【艦これ】提督「連装砲ちゃん、抜錨せよ!」 (143)

 
 タイトル通りの艦これSSです
 登場キャラが偏っています

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401019839

 
  その一

 提督「よし、これから会議を始める」

 ???「……」

 ???「……」

 ???「……」

 提督「うむ、全員揃っているね」

 ???「……」

 ???「……」

 ???「……」


 提督「返事をしなさい、返事を」

 ???(手を挙げる)

 提督「やっぱり無理か」

 提督「どうして君たち、連装砲ちゃんしかいないんだろうね」

 連装砲ちゃんA(以下、A)「……」

 連装砲ちゃんB(以下、B)「……」

 連装砲ちゃんC(以下、C)「……」

 
 A(首をかしげる)

 B(提督の横に回って、ぽんぽんと優しく背中を叩く)

 C(テーブルの上の、お茶が入ったヤカンに手を伸ばすが、届かない)

 提督「秘書艦すらいないって、どうなってるの」

 C(テーブルを回り込んで、ヤカンに手が届いたらしい)

 B(提督の背中を優しく叩き続けている)

 A(戸棚を開けてお茶菓子らしきものを取り出している)


 提督「ん? ……そんなところにひよこまんじゅうがあったのか」

 A(ひよこまんじゅうのようなものを取り出して、じっと眺めている)

 提督「それ食べたら、皆を探しに行こうか?」

 B(万歳している)

 C(激しく頷いている)

 A(Bの砲身にひよこまんじゅうのようなものを詰めている)

 提督「何やってるの、君。……え、なに、それが君らの出撃準備なの?」


 提督「いや、それ、ひよこまんじゅう……」

 A(「ひよこまんじゅう」らしきもののパッケージを提督に渡す)

 提督「ひよこ型、砲弾だと……?」

 提督「……いや、それより。君らって、先籠め式だったのか。どこの火縄銃だよ」

 B(えっへんのポーズ)

 提督「褒めてないから」

 C(戸棚から人形焼きを取り出す)


 提督「それも砲弾なのか」

 C(人形焼きのパッケージを提督に渡す)

 提督「……浅草名物ボーキ入り……、いや、君ら、艦載機じゃないからボーキいらないでしょう」

 提督「空母たちも、どこ行ったのかなぁ……」

 提督「龍驤とか」

 A(胸を張るポーズ)

 提督「ああ、胸の大きさは同じくら……って、おい」


 提督「翔鶴とか」

 B(鍋を渡す)

 提督「そうそう、鍋と言えばしょっつる鍋……しょっつる……しょうつる……翔鶴……って、おい」

 ABC(揃って万歳)

 提督「いや、『しょうつる』じゃなくて、『しょうかく』だから、読み方間違えてるからね?」

 提督「なんなんだ、君らはさっきから」

 A「……」

 提督「冷静に考えてみれば、そもそも私は提督じゃないか?」


 C「……」

 提督「むやみに偉そうにする気はないけれど、それにしても秩序というものが……」

 B(戸棚をごそごそ)

 提督「む。またお菓子か?」

 B(筆と墨汁、硯を取り出す)

 C(半紙を用意している)

 A(墨をすり始める)

 提督「習字?」


 B(書けました! と言うように墨痕淋漓と描かれた三文字を見せる)

  「 四 天 王 」

 提督「四天王……」

 B(えっへん)

 提督「いや、君ら三人しかいないだろう」

 ABC「!?」

 提督「待てよ、まさか私も入れて四天王なのかな?」

 ABC(揃ってうなずく)


 提督「……そうか、私も仲間だということか……」

 提督「ふふっ、そうか、仲間か」

 ABC(にっこり)

 提督「一番最初にやられて、君らに『提督ごとき、四天王の最弱』とか言われないよね?」

 A(目そらし)

 B(目そらし)

 C(目そらし)

 提督「おい」


 とりあえず「その一」終了

 提督と連装砲ちゃんが出ずっぱりです

 連作で、気が向いたときに付け加えていきます
 最後の着地点だけは決めてあります
 


ありがとうございます

酉忘れてたのでつけときます

これは個人的神SSだわ

連想砲くんまだー?、



 その二


 提督「まだ誰も帰ってこないなぁ」

 提督「そろそろ昼食の時間だが」

 A(ミカンやリンゴなど果物の入ったカゴが頭に乗っている)

 提督「果物か」

 C(うなずく)

 提督「それは、昼食ではないよね」

 A(しょぼんのポーズ)


 提督「ああ、いやいや、持ってきてくれたことはありがたいんだ。ありがとう」

 B(Aの頭の上からミカンを取って差し出す)

 提督「ふむ。ありがたくいただこうかな」 

  受け取ったミカンにずぶり、と親指を差し込んで皮を剥く。

 A「!!??」

 B「!!!」

 C「?!?!」

 提督「どうした、何を慌てている」


 A(剥いた皮をおそるおそる回収している)

 B(皮をじっと見つめている)
 
 C(がくがくぶるぶると震えている)

 提督「なにやら必要以上に驚いているようだが、ミカンは皮を剥いて食べるものだぞ」

 ABC「!!!!」

 提督「まさか、皮ごと食べているやつでもいたのか?」

 A(一航戦の誇りのポーズ)

 提督「よしわかった。皆まで言うな」


 提督「果物は基本的に皮を剥いて食べるんだ。皮ごと食べられるものもあるが、少なくともミカンは違うぞ」

 B(Aの頭のカゴからリンゴを取り出す)

 C(Bから受け取ったリンゴを提督に渡す)

 提督「リンゴか。皮ごと食べてもいいが、これも皮を剥くんだぞ」

 A(ミカンのように皮を剥こうとして苦戦している)

 提督「リンゴの皮を手で剥くのは難しいぞ。どれ、貸してみなさい」

 提督(果物ナイフでしゃりしゃりと皮を剥き始める)


 A(驚嘆のポーズ)
 
 B(尊敬のポーズ)

 C(螺旋状に落ちていく皮をじっと見つめている)

 B(どこからか果物ナイフを取り出して、リンゴの皮むきを真似し始める)

 提督「ほお、うまいものだ」

 A(ミカンを剥き始めるが、ミカンがつぶれて果汁がまき散らされる)

 提督「そっちは無理があったみたいだな」


 B(リンゴの皮を剥き続けている)

 提督「うまいうまい」

 C(Aの頭の上のカゴを見てショックを受けている)

  カゴの中は空っぽ。

 C(戸棚の中から何かを取り出す)

 A(飛び散ったミカン汁を拭いている)

 B(リンゴの皮を剥き続けている)

 提督「うまいうまい」


 B(むき終わったリンゴを提督に渡す)

 提督「ありがとう」

 C(何かを提督に渡す)

 提督「ん? これは……」

 白餡の塊。

 C(手元に何か茶色い皮のようなものを持っている)

 提督「……」


 C「……」

 提督「ひよこまんじゅうの皮を剥くんじゃない」

 C「!?」

 C(手元のひよこ皮とBのリンゴ皮を見比べている)

 提督「不思議そうな顔をするな」

 提督「そもそも、ひよこまんじゅうは果物じゃないだろ」

 A「!?」

 提督「え、なんで君が驚いてるの?」



 以上、「その二」でした

 ひよこまんじゅうは九州銘菓やねん。東京ちゃうねん(憤怒)

 総返しはしませんが、皆さんレスありがとうございます

>>17
 出したいですねぇ


 その三


 今日は朝から雨模様。

 提督「雨か」

 A「……」

 A(窓から空を眺めている)

 提督「しばらくやみそうにないな」

 提督「ところで、あとの二人はどこに行ったんだ?」

 A(部屋反対側の窓を示す)

 提督「ああ、そっちの窓……」


 B(白い紙を身体に巻いて窓際にぶら下がっている)

 提督「うわぁああああっ! 何やってんの、君!?」

 B(ぶら下がったまま、くるりと振り向く)

 B「……」(こんにちわ、と頭を下げる)

 提督「……おう、こんにちわ。って、何やっているの、それ」

 B「……」(ぶらぶらと揺れている)

 提督「もしかして、てるてる坊主か?」

 B(にっこり)


 提督「そうか、晴れてほしいのか。とりあえず降りてきて……ん? その紙、なんか書いてあるな」

 B(巻いていた紙をはいで、広げてみる)

  【 ! す で の な 】

 提督「……これってまさか」

 B(壁を指さす)

 提督「それ、掛け軸だろ」

 B「!!」


 提督「それは勝手に持って行っちゃ駄目だ。元に戻しておきなさい」

 B(戸棚から何かを取り出す)

 提督「ん?」

 B(染み抜きで文字を消そうとする)

 提督「そこまで戻さなくていいから」

 B「!!」

 提督「今は別の掛け軸をかけているから、とりあえずそれは片付けておいてくれ」

 B(掛け軸を見る)

 
 
 
 
 


  【 か い 怖 フ フ 】








 B「……」

 A(怖くないですよ? と言いたげに首を振っている)
 
 提督「まあ、あんまり迫力はないな」

 提督「そういえば、これとセットでもらった掛け軸があるんだが。まだ中は見ていないな」 

 A(提督から受け取った掛け軸を開く)







  【 ら し か こ ど は 船 い た に 死 】

  (注・なんか微妙に黒ずんだ赤墨で書かれてる)




 
 A(がくがくぶるぶる)

 B(がくがくぶるぶる)
 
 提督「み、見なかったことにしよう、うん」

 提督(掛け軸を閉じて、元に戻そうとする)

 提督「あれ? 三本目がある? いつの間に……」

 B(三本目の掛け軸を開く)








  【 ? ~ の た っ ゃ ち 見 ~ ら あ 】

 (注・なんか微妙に黒……以下略)






 提督「うわぁああああああっ!!!」

 A(がくがくぶるぶるがくがくぶるぶる)

 B(がくぶるがくぶるがくぶる)

 提督「す、捨てるんだ、その掛け軸を捨てるんだ!!」

 A(二本の掛け軸を砲身に詰めて、窓の外に向かって砲撃する)

 飛んでいく掛け軸二本。

 提督「……」

 A「……」

 B「……」


 提督「……か、考えてみれば、たかが掛け軸ごときでビビりすぎだな」

 A(うなずく)

 B(ボクは本当は怖くなかったよ、のポーズ)

 提督「いやいや、ちょっと冗談が過ぎたかな。ちっとも怖くないのに怖がって見せてしまったな」

 A(実はボクも怖くなかったよ、のポーズ)

 B(あんな掛け軸怖いわけがないよ、のポーズ)

 C「……」



 C(ドアを開けて入ってくる)

 提督「どこにいたんだ?」

 提督「濡れてるじゃないか。散歩でもして……ん? どうした、何か拾ったのか?」

 C(三本の掛け軸を差し出す)

 提督「増えてる!?」

  ぱらり、となぜか自動的に開く掛け軸。




 【 ら し か こ ど は 船 い た に 死 】




 【 ? ~ の た っ ゃ ち 見 ~ ら あ 】



 
 

 
 
 

 【 ら し か の た て 捨 て し う ど 】

 
 
 
 
 


 提督「ぎゃあああああああああ!!!!」

 A(気絶)

 B(失神)

 C「???」



 その三はここまで


 ちなみに、龍田さんは自分のイチオシです
 ケッコンカッコカリしたいです
 天龍ごと面倒見ますとも、ええ





   その四 ちょっと話が進む



 提督「なにか、重大なことを忘れているような気がする」

 A「……」

 提督「……そうだ。深海棲艦はどうなったんだ」

 B「……」

 提督「我々の戦いはどうなっているんだ」

 C「……」

 提督「終わった、のか?」

 D「……」


 提督「君たちに聞いても……」

 提督「……」

 D「……」

 提督「増えてる!?」

 連装砲くん、こと、D(いい風来てる? のポーズ) 
 
 提督「いたのか、連装砲くん」


 提督「む。すると……まさか、潮の……」

 連装砲頭(やあ)


 提督「やっぱりいた!?」
 
 提督「連装砲ちゃん三機、連装砲くん、そして連装砲頭。五つの連装砲が揃ったのか」

 提督「……」

 提督「五人揃ってゴレンソー?」

 A「」

 B「」

 C「」

 D「」

 頭「」


 提督「……すまなかった」

 提督「しかし、だ」

 提督「艦娘たちが誰もいないのに、なぜ連装砲たちが……」

 提督「そうだ。そもそも君たちが島風たちと離れていること自体がおかしいんじゃないか」

 提督「どういうことなんだ……君たちと艦娘たちとの違い……」

 提督「島風、天津風、潮が一緒にいるわけでもない。やはり艦娘と連装砲ちゃんたちの間には決定的な違いがあるのか?」

 提督「……一体何が……」


 提督「性別?」

 提督「連装砲くんは名前からして男だろう。……いや、連装砲ちゃんも連装砲頭もおそらくは男」

 提督「もちろん、私も男」

 提督「男しかいない世界?」

 提督「性別の問題なのか?」

 提督「……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私たちと連装砲チャンたちの違いデスか?」

「私たちは、艦魂と融合しているLADYですから、艦娘デース」

「だけど、連装砲チャンたちは融合してませんから、ノット艦娘で、艦魂オンリーですネー」

「お姉様の言うとおりです!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 提督「……?」

 提督「ん?」

 提督「私は今、何を思いだしていた?」

 提督「それに私は今、世界と言ったのか?」

 提督「何故? 何故私はここが別世界だと思っているんだ?」

 D(提督に重箱を差し出す)

 提督「連装砲くん? それは?」


 提督(箱のふたを開ける)

 提督「これは……」

  【鳳翔さんの作った豪華弁当】

 提督「これは、肉団子のあんかけ……干しアンズも入っているのか。それにこっちには竜田揚げ、む、西京焼きが」
 
 提督「そういえば、昼食もまだだったか。ありがたくいただこう」

 D(感謝しろよ、のポーズ)

 提督「君はこれを届けに来てくれたのか」


 D(さらに箱を三つ取り出す)

 ABC(箱を受け取る)

 ABC(箱を開ける)

 提督(覗く)

 提督「おおっ」
 
  【キレイに色を塗られた鋼材と弾薬と、汁物用ケースに入った燃料】


 提督「連装砲ちゃん用のお弁当か」

 ABC(喜びのポーズ)

 提督「では、皆でいただこうか」

 A(テーブルについていただきますのポーズ)

 B(踊っている)

 C(お茶の入ったヤカンを持ってくる)

 D頭(テーブルに並んでつく)


 提督「連装砲くんのお弁当はないのか?」

 D(ワシも弁当あるで? のポーズ)

 D(連装砲頭をぱかりと開ける)

 提督「それ、弁当箱だったのかよ!?」


 その四はここまで

 SS書いてるとゲーム自体は全く進まなくなるなぁ……



  その五 終わりは近い



 ××××「……オノレ……クチオシヤ……ウヌガタマシイ……モロトモニ……」

 提督「!?」

 提督「……」

 提督「……」

 提督「……夢?」

 提督「いつの間にか、うたた寝していたのか」

 提督「今の夢……」

 提督「ん? ……夢?」


 提督「あれ、何の夢見てたんだっけ……」

 提督「ん?」

 連装砲ちゃんA&B(提督の足下に転がっている)

 提督「……君らも寝ているのか」

 A(もぞもぞと起き上がる)

 提督「ん?」

 A(起き上がり、よたよたと歩いて机にぶつかる)

 A「きゅう」


 A(よたよたと、今度は戸棚にぶつかる)

 A「きゅう」

 A(どの方向に動いてもぶつかりそうで、動けなくて困っている)

 提督「何をやっているんだ、君は」

 提督「目隠しをしたまま歩いては、ぶつかるのも当然だろう」

 提督「さあ、目隠しを取って」

 提督(手を伸ばし、Aを引き寄せる)

 提督「む……これは……」


 提督「眼帯を片目ずつに当てて目隠し?」

 提督「……これは、天龍の眼帯じゃないか」

 提督「こっちは、木曾の眼帯」

 提督「どういうことなんだ」

 A(天龍眼帯を外す)

 A(見えたよ! のポーズ)

 A(おまえに最高の勝利を与えてやるキソー、のポーズ)

 提督「なんでこんなところに二人の眼帯が」


 A(提督の手から天龍眼帯を受け取り、今度は頭でなく砲塔に引っかける)

 A(えっへん、のポーズ)

 提督「うむ。そうだな。そうしていれば前もちゃんと見える。学習したな」

 A(まだ寝ているBをつつく)

 提督「……そっちもなんだかおかしな格好だな」

 提督「水兵服なのか?」

 提督「君のサイズのものがよくあったな」

 B(きょろきょろ)


 提督「起きたか」

 提督「……おい、ズボンをはいてないのか」

 提督「……上半身だけの水兵服……? まさか……」

 B(しれぇ! のポーズ)

 提督「雪風か!」

 B(幸運の女神のキスを感じちゃいますのポーズ)

 提督「……なんで雪風の格好なんて……」

 提督「こっちは天龍と木曾の眼帯だし」

 提督「……」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私たちは、艦魂と融合しているLADYですから、艦娘デース」

「だけど、連装砲チャンたちは融合してませんから、ノット艦娘で、艦魂オンリーですネー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 提督「……艦魂と融合する乙女が艦娘……」

 提督「艦娘には艦魂の歴戦の記憶すら流れ込むと聞く」

 提督「それにより、艦娘としての自我を得るのだと」

 提督「……ならば……艦魂しか持たぬままにある種の自我を得た連装砲ちゃんたちに融合することも……?」

 提督「そして、ここには私と連装砲ちゃんたちしかいない……」

 提督「だとすれば……君たちは……」

  がたん、がたん!!


 A「!?」

 B「!?」

 提督「何だ今の音は!」

 A(お外から聞こえてきたよ、のポーズ)

 B(ドアの向こうだよ、のポーズ)

 提督「……まるで、連装砲ちゃんぐらいの大きさのものがこけつまろびつでこちらへ向かっているような音じゃないか」

 A「……」


 B「しれぇ!!」

 A「!!??」

 提督「え? なに? 今しゃべった? え? 連装砲ちゃん、しゃべれたの?」

  ばこん、めきっ、どぐらっしゃあ

 提督「なにぃっ!? ドアを破って入ってくる!?」

 A&B(侵入者に砲塔を向ける)

  どんがらがっしゃん

 C(目を回している)


 提督「……連装砲ちゃん」

 提督「……体中に何か絡まっているじゃないか。それでまともに動けずに転んで……」

 C(絡まっているパンスト)

 提督「……そ、それは……」

 C(目を回している)

 A(誰のだろう? と首をかしげている)

 B(せっせとパンストをはずそうとしている)


 提督「……高雄……いや、夕張……でもない。比叡でも霧島でもない」

 提督「愛宕? いや」

 提督(Cに近寄りパンストをつかむ)

 提督「これは……叢雲!」

 A「!?」

 B「!?」

 C「!?」

 提督「……なんで君たち逃げるんだ」

 


 その五は以上です

 そろそろ種明かししてタイトル回収して終わらせるよ



その六 連装砲ちゃんの真実



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「奴らは対地攻撃すら可能になった。鎮守府とて無傷……いや、徹底的に攻撃されるだろう」

「だからこそ、この戦いで提督を鎮守府に残すわけにはいかない。乗艦を決めてくれ」

「島風か雪風、どちらを選ぶ?」

「島風の艦内なら、提督を護るものがいる」

「連装砲ちゃんは艤装化しなくていいよ。だから、私の中で提督を守ってね」

「きゅいきゅい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


提督「……また、雨か」

A(提督の右横で窓外の雨雲を見上げている)

提督「今日もやみそうにないな」

提督(外を見回し、視線を連装砲ちゃんに戻す)

A「……」

B「……」

提督「増えた……」

提督「もしかして……」


提督「外をゆっくりと見回してから……」

提督「連装砲ちゃんを見る」

A「……」

B「……」

C「……」

提督「君ら、普段はどこに隠れてるんだ」

B(提督の左横へ移動して、そちら側の窓から外を見る)

B(残念そうに首を振る)


提督「どうした?」

C(別の窓へと移動して、やっぱり外を確認して、首を振る)

提督「どの窓から見ても天気は一緒だろうに」

A「!?」

提督「なんで驚くんだ」

A(きょろきょろと、右の窓と左側の窓を見比べている)

提督「窓を替えても、外は一つだぞ」

A「!?」


提督「窓が変わると外も変わると思ってたのか?」

A「……」

提督「晴れを探しているのだろうが、この雲の様子じゃあな」

A(B、Cとなにやら相談)

A、B、C(三機並んで窓際でトリプラーのポーズ)

提督「ジェットストリームアタックとは違うのか」

提督「何故砲塔が動き出す?」


A「!!」

 どっごーーーーーん

提督「砲撃した!?」

B「!!」

 どっぱーーーーーん

提督「上空に、雲に向かって撃っているだと!?」

C「!!」

 ぱんぱかぱーーーん

提督「愛宕!?」


提督「……ん?」

提督「雨がやんだ?」

提督「砲撃で、雲の一部が吹き飛ばされた? そんな馬鹿な……」

提督「……雲間から光が……」

提督「光……」

提督「この光景。どこかでみたような……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「やったか?」

「あれだけ煙に囲まれていると標的が見えません!」

「ありったけの弾を打ち込んだからな。着弾確認もろくに出来ん」

「主砲の……46cm三連装砲の手応えは間違いなくあった。直撃のはずだ」

「提督は? 島風の現在位置は?」

「ここよ! 私はここにいるから!」

「無事のようですね。!? 敵旗艦再起動! なに、この速度?」


「まだ動けるのか!?」

「生き汚い! こうなれば轟沈を狙うな! まず足を止めろ!」

「全空母、全攻撃機を発艦させろ」

「あなたたちは左から、私と赤城さんは右から行きます」

「最後のお仕事や! 艦載機のみんなぁー、お仕事お仕事ー!」

「敵旗艦は島風に向かっています!」

「くっ、いつの間に……止めろ! なんでもいい、やつを止めろ!」

「敵の全火器、航空機が島風に向けられています」


「……提督だけを狙う気かよ! させるかっ!」

「なめるなクマー!!」

「木曾っち、大井っち、酸素魚雷、全弾叩き込んで!」

「もぐもぐアタ~~ック!!」

「全機発進! 砲撃開始! 航空戦艦の真の力、思い知れ!」

「敵旗艦捕捉、全主砲薙ぎ払え!」

「とぉおおおおおおっ!!!」

「これ以上、させません!」

「あらぁ、私たちを無視して提督を狙うなんて、許さないからぁ」

「クソでもなんでも、一応、提督なんだから!!」


「煙が、晴れていく」

「な、なんだ、ありゃ」

「なに、あの光」

「煙の隙間から光が……」

「まるで雲間から覗く太陽みたい……」

「あの、光は……」

「雪風? どうした?」

「しれぇ! 逃げてください! それは、良くない光です!!!」

「なに? なんなの、これ? 連装砲ちゃん!! 提督を護って!!」






「……オノレ……クチオシヤ……ウヌガタマシイ……モロトモニ……」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


提督「……」

提督「思い出した」

提督「そうだ、私は……」

提督「深海棲后に……」

A「……」

B「……」

C「……」

提督「君たちは、最後まで私を護ってくれていたんだな」

提督「ありがとう」(敬礼)

A、B、C(答礼)


以上、今回は終了

あと一回か二回で終わります





その七(最終回) 連装砲ちゃん、抜錨せよ




 提督率いる鎮守府艦隊の前に深海棲后は轟沈。深海棲艦との戦いは終わった。

 しかし提督の……そして私たちの戦いは終わらなかった。

 深海棲后の最後の猛攻から辛うじて逃れた島風は轟沈こそ免れたが、大破損害を受ける。
 
 海上に漂う彼女を助けた私たちが見たのは、昏睡状態の提督と、提督を護るように重なっている連装砲ちゃんたち。

 提督の身体には傷一つない。連装砲ちゃんたちにも故障箇所などない。

 それでも、提督は目を開けることはなかった。島風がどれほど呼びかけても、連装砲ちゃんたちは動かなかった。


「しれぇは、疲れて眠っているだけですよね」

 頑なに言い張る言葉に反駁するものはいない。
 だからといって、いつ目覚めるのかという問いに答えられるものもいない。
 
「深海どもが姿を見せてからこっち、働きづめだったからな。たっぷり寝たくもなるさ! 寝かせといてやろうぜ!!」

 手塩にかけて育てた駆逐艦たちに言い聞かせるような軽巡の言葉は、自分自身に言い聞かせるものではないのか。 

 私たちに出来ることはほとんどなかった。
 私たちはただ見守るだけだった。ただ世話をした。輪番で枕元につき、何時動いてもいいように控えているだけ。
 私たちは無力だった。


「提督の夢を見ました」

 ある日の輪番の後、そう言った彼女は微笑んでいた。私たちは軽い嫉妬すら感じつつその言葉を聞く。
 夢ですら会いたいと思うのは浅ましくもみっともなく、そしてひどく羨ましいのだから。

「提督ったら、私をみかんの皮ごと食べているだろうって」
「そこまで私食い意地張ってますか? 酷いですよね」

 夢を見たのは一人ではない。

「掛け軸を書いたぜ」

「あらぁ、私も書いたわ~」

「お弁当を届けました。はい、夢の中で作ったんですよ」


 夢を見るものは増えていく。
 私たちは壊れていくのかもしれない。それならそれでいいと、私は思った。

 私たちの提督は、司令官は、隊長は、ただ一人しかいないのだから。

 ならば一緒に壊れてしまえばいい。
 それはとても甘美だろう。
 私たちは、滅びに酔っていたのかもしれない。心地よい毒酒の杯を手に。

 その日が来るまでは。


「ねえ」

 その言葉で、すべてが変わった。

「連装砲くんが、提督と連装砲ちゃんに会ったって言ってるの」

 彼女は伝えた。
 連装砲くんの聞いた、提督の言葉を。
 連装砲ちゃんに伝えられた、提督の言葉を。

 それは夢ではない。

 提督と連装砲ちゃんたちが共に囚われた世界。

 艦魂だけを持つ連装砲くんが入れる世界。
 艦娘には入ることの出来ない世界。


「連装砲くんが出入りできるなら、提督だって、連装砲ちゃんだって戻ってこれるはずでしょう!」

 夢は甘い。いつまでも消えずにいることが出来るから。
 希望は苦い。いずれ消えることを考えてしまうから。

 それでも。

「ライフ・マスト・ゴー・オン! 命ある限り、生き続けなきゃ駄目デース!」

 それがどんなに無謀でも。

「絶対に提督に会うにゃ」

 それを求めるなら。

「不幸はもう、これっきりにしなきゃね」

 私たちは進む。

「行くぞ! 怖気づくものは残っておれ!」

 どんな波涛も打ち砕いて。




・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・




提督「連装砲くんが来て、そして消えたということは、君たちは帰ることが出来るんだろう」

A「……」

提督「私にいつまでも付き合うことはない」

B「……」

提督「島風に、会いたいだろう?」

C(何度もうなずく)

提督「君たちは私とは違う。私はただの人間だ。弱い弱い、人間だ」


連装砲くん(突然現れる)

連装砲頭(突然現れる)

提督「やあ、迎えに来てくれたのかい?」

連装砲くん(いい風来てる? のポーズ)

提督「さあ、連装砲ちゃんたちを連れて行ってやってくれ」

連装砲くん「???」

提督「行きなさい」


A(首を振る)

B(首を振る)

C(少し躊躇って……首を振る)

提督(帽子をまっすぐにかぶりなおす)

提督「これは、提督としての命令だ」

提督「連装砲ちゃん! 抜錨せよ!」

A、B、C「!!」

提督「早く行くんだ、二度も言わせないでくれ。これは、命令だ」


A「……」

B「…………」

C「!!」

C(無茶な命令には反対する権利がある! のポーズ)

A「!?」

B「!?」

A(無茶な命令には反対する権利がある! のポーズ)

B(無茶な命令には反対する権利がある! のポーズ)


A、B、C(提督に近づいて、その服の裾をつかんで離さない)

提督「命令に従え! 君たちは、帰ることが出来るんだろう!!」

連装砲くん(連装砲頭をかかえ、提督に飛びかかる)

提督「くっ、おまえまで!!」

連装砲くん(連装砲頭を、提督の頭にぶつける)

提督「ぐあっ! 何を……!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・

 私たちは必死だった。
 提督に添い寝するようにしている連装砲頭と連装砲くん。
 その二体に、怒鳴りつけるように語りかける姿は端から見れば異常だ。

 届くのなら。
 連装砲くんたちが届くのなら。
 連装砲くんたちを介して私たちが届くのなら。
 それが例え、夢の中の幻ほどに不確かでも。


「帰ってきなさいよ! クソ提督!!」
「しれぇ!!」
「帰るクマーーー!」
「帰ってこないなんて、ひどいですわよ!」
「君はその程度で諦めるのか?」
「戻ってこないと、お仕置きだから~」
「お姉と一緒に待ってるから!」
「帰ってくれたらオリョクルでも何で行くでち」
「帰還を待っているであります!」
「うざっ! うざいんだから、早く戻ってきなさいよ!!」
「うつけが! 早う、戻ってくるのじゃ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・


連装砲頭「カエッテキナサイヨ! クソテイトク!!」
連装砲頭「シレェ!!」
連装砲頭「カエルクマーーー!」
連装砲頭「カエッテコナイナンテ、ヒドイデスワヨ!」
連装砲頭「キミハソノテイドデアキラメルノカ?」
連装砲頭「モドッテコナイト、オシオキダカラ~」
連装砲頭「オネエトイッショニマッテルカラ!」
連装砲頭「カエッテクレタラオリョクルデモナンデモイクデチ」
連装砲頭「キカンヲマッテイルデアリマス!」
連装砲頭「ウザッ! ウザインダカラ、ハヤクモドッテキナサイヨ!!」
連装砲頭「ウツケガ! ハヨウモドッテクルノジャ」


提督「……」

提督「……え?」

A「!!」

連装砲くん(ドヤ顔)

B「♪♪」

C「!♪」

提督「私は……帰れる……生きてるのか?」


A、B、C、連装砲くん、連装砲頭(提督を中心に輪型陣を組む)

提督「……私は……」

A(提督をつつく)

B(行こう! のポーズ)

C(命令してよ! のポーズ)

連装砲くん(やれやれだぜ、のポーズ)

連装砲頭(にっこり)

提督(再び、帽子をかぶりなおす)

提督「……ああ、すまなかった」

提督「命令は変更だ」

提督「我々は帰還する!」





提督「連装砲ちゃん、抜錨せよ!」


















 そして幻の世界は消える。














 やがて別の世界のどこかで、喜びの声があふれ出す。



 以上、お粗末様でした。

提督「連装砲ちゃん、抜錨せよ!」

 終了させていただきます


 いくつものレス、ありがとうございました。

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