ほむら「まどかからブルマを借りパクしてしまったわ……」 (184)

・前スレ
ほむら「まどかから>>2を借りパクしてしまったわ……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384250383/)

・三行で分かるあらすじ
前の時間軸でまどかからブルマを借りパクしてしまったほむら。
そのブルマがきっかけとなり、まどかが別の時間軸の記憶があるかのような発言をする。
ほむらは背中洗いっこをすることになった。

・未消化の安価
ブルマくんかくんか


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400934217

恐る恐る、半目を開いて……まどかの表情を伺いながら私は答える。

ほむら「鋤、かしら」

まどか「え、えっ……! ん? え……?」

その解答に彼女は珍妙な反応をしてみせた。

一瞬驚いて、一瞬喜んで、そして一瞬にして眉間に皺を寄せた微妙な表情になる。

百面相ね、まどかったら。

まどか「えっと。ほむらちゃん……今なんて?」

ほむら「だから鋤よ、鋤。農作業で使うやつ」

ええ、分かってるわ。かなり無理があるわよね。

でも……だって、こんな下らない冗談でも言わなきゃ私……その……。

本当は、まどかの書いた文字は分かっていた。

でもどうしてあんな二文字を書いたのか、それが分からない。

単なる冗談なのかもしれない。私をからかっただけなのかもしれない。

そのどちらでもない、まどかからのメッセージなのかもしれない……。

私にはまどかの真意を伺い知ることは出来なかった。

ただ、あのたった二文字の言葉を口にしてしまうと何かが壊れてしまいそうな、そんな気がした。

私達の関係か決定的に、修復出来ないものになってしまいそうな……

そんな予感がしたから、だから私は逃げたのだ。

まどか「……不正解だよ、ほむらちゃん……」

その結果がこれだ。

ほむら「あ……」

酷く落ち込んだ声だった。

俯き、私の陰に隠れたその表情を伺い知ることは出来ない。

嗚呼……私の答えが、あんな答えがまどかを此処まで傷付けてしまうなんて。

あまりにも軽率だったと後悔してももう遅い。

でも……この反応はつまり、さっきの出題がまどかにとって……その。

と、特別な意味を孕んでいると……そういうことなのだろうか……。

まどか「ほむらちゃんのイジワル……」

ポツリと呟かれた台詞が私の胸に突き刺さる。

いけないわ。このままじゃ間違いなく嫌われてしまう。

まどかの真意はいったん余所に置いて、ここはフォローを入れないと……

ほむら「ねえ、まどか……その、えっと……」

まどか「……なに? ほむらちゃん」

ほむら「ふ、不正解者には……罰ゲームが必要だと思わない?」

まどか「……え?」

ほむら「そう、罰ゲーム。私はクイズに正解出来なかったんですもの」

まどか「う、うん」

ほむら「だから『貴女から』……お、オシオキを受ける必要があるんじゃないかしら」

まどか「オシオキを……わ、私が、ほむらちゃんに……?!」

この展開は予想外だったのか、まどかも驚いた様子で顔を上げた。

ほむら「ええ、そうよ」

私がとっさに考えた償い。

それはまどかに『オシオキ』という名目で好きにさせることだった。

こんなことでまどかの気が晴れるか分からないけれど……

でも、浅はかな私にはこのくらいしか思いつかなかったのだ。

まどか「お、オシオキ……オシオキかぁ、私が、ほむらちゃんにオシオキを……」

だがどうやら私の案は想像以上にまどかに響いたらしい。

ブツブツと呟く彼女の口元は何となくニヤけたものになっている。

ほむら(そ、そんなにオシオキが嬉しいの……?)

まさかまどかって、加虐趣味だったりするのかしら────。

まどか「もしかしてほむらちゃん……そ、そっちを期待してワザと……?」

ほむら「えっ?」

……いけない、妙なことを考えていたせいでまどかの言葉を聞き逃してしまった。

ほむら「今何か言った?」

まどか「う、ううん! なんでもないよっ!」

私が聞き返すが、大したことではなかったのかまどかは言い直そうとはしなかった。

なんだったのかしら?

まどか「そ、そっか……ほむらちゃんがそういう子なら、私も……が、頑張らなきゃだよね……!」

ほむら「?」

まどかはまどかなりに結論を出したのか、良く分からない決意を固めたようだ。

まどか「うん、ほむらちゃん! 私がオシオキしてあげる!」

先ほどまでの沈んだ表情は何処へやら、力強い意志の込められた瞳を鏡の中の私に向けていた。

気合い充分過ぎて怖いわ、まどか。

いったい何をする気なの……。

次回へ続きます。

以前打ち切ったスレですが今度こそ完結させる予定です。
宜しくお願いします。

さやか「ねえ、あんたらさっきからナニ話してんの?」

と、そこで美樹さんが志筑さんの背中を流しながら口を挟む。

オシオキだのなんだのと騒がれたら気にもなるのだろう。

いやむしろ、今まで何も言ってこなかったのが不思議なのだけれど……。

仁美「ふふっ」

意味深なウィンクが志筑さんから飛んでくる。

ああ、そういうこと。妙な気を回しておいてくれたのね。

まどか「え、えと……あのね、ほむらちゃんがゲームに負けたから、罰ゲームをすることになったの」

実に簡潔で分かりやすい完璧な説明ね。素晴らしいわ。

さやか「成る程、良く分からんが分かった」

美樹さんも深く尋ねることはない。

あっさりと状況を把握……したと言えるのかしらこれ。

仁美「罰ゲームですか。どんな罰をお与えになるんですの?」

まどか「うーん、それはまだ……ほむらちゃんの期待に応えられるような罰を考えなくちゃ、って悩んでるところなの」

……期待に応えるって何かしら、まどか。

ほむら「い、痛いのはちょっとだけにしてね?」

何故かまどかに包丁を突きつけられる光景が脳裏に浮かんでしまい、念のため釘を刺す。

まどか「ちょっとだけなら良いの……?」

なんでそっちに解釈するの、まどか。

嗚呼、やっぱり……貴女って……?

まどか「や、やっぱり……ほむらちゃんって……」

まどかは奇しくも私の思考をトレースしたような台詞を呟く。

何がやっぱりなのだろう。

さやか「罰ゲームは良いけど、あんま陰湿なのはやめてよねー?」

もちろんそんなことはしないだろーけど、と美樹さんは軽いノリで念を押す。

まどか「も、もちろんだよ、私がほむらちゃんを苛めるようなことするわけないもん」

……そ、そうよね。まどかは優しい子だものね。

そんな酷いコトなんて、私にしたりしないわよね。

私は信じているわ、まどか。

まどか「でも、何にしようかなぁ……」

仁美「それでしたら、サウナなんかはどうでしょうか?」

悩むまどかに案を提示したのは、意外なことに志筑さんだった。

ほむら「サウナ?」

仁美「はい。勿論、身体に障らない程度に、他のお客様の迷惑にならないように、ですわ」

空気を読んで罰ゲームなどというお遊びに乗りつつも、細かな気遣いは忘れない。

良く出来たお嬢様ね。

どうしてそれを美樹さんにも向けてくれなかっ……いえ、今はこの話は関係ないわね。

まだこの時間軸ではその段階にまでは至ってないのだから。

ほむら「そうね……それくらいなら、罰ゲームに丁度良いかしら」

私としても、志筑さんの提案は都合が良かった。

彼女の案に乗り、変にこじれる前に話をまとめてしまおう。

まどか「え……そ、そんなので良いの、ほむらちゃん?」

ほむら「ええ。私熱いのは苦手だから」

さやか「サウナくらいならさやかちゃんも安心ですわー、それでいいんじゃない?」

まどか「……そっか。じゃあ、それでいっか」

美樹さんの発言もあってか、まどかは一応納得してくれたようだ。

何処か物足りなさそうな雰囲気を醸し出しているけれど。

そんなわけであっさりと、私への罰ゲームはサウナになったのだが────

私はこの時まだ知らなかったのだ。

あの部屋に満ちた蒸し暑い熱気が。

肌が触れるほどの距離で嗅ぐ互いの汗の臭いが。

私から、正常な判断力を奪ってしまうのに十分過ぎる力を持っているということを……。

次回へ続きます

※サウナは体調管理をしっかりとした上で健康的に楽しみましょう(配慮)



タオルで簡単に前を隠しながら、私とまどかはサウナルームへと足を踏み入れた。

むわり、と熱気に迎えられて少したじろいでしまう。

まどか「入ったらすぐ扉を閉めないとダメだよほむらちゃん」

ほむら「あ、ごめんなさい」

まどかに指摘され、慌てて扉を閉める。

サウナも初心者な私はこういう小さなことにも気が利かないから困るわね。

サウナルームは暖色系のライトによってオレンジ色に照らされていた。

利用者をリラックスさせる目的で意図的に光量を抑えているのか、部屋内は若干薄暗い。

湿度が高く、熱気が籠もった空気は肌にまとわりつくようだった。

ほむら(これは……中々に辛いものがあるわね……でも)

でも、覚悟していたよりは暑くない。

この程度なら辛うじて我慢出来そうだ。

それに、静かに座っているだけで良いという状況は非常に助かる。

まどかの……その、えと、は、裸を直視しないで済むのは何よりも重要なことだ。

思いの外、楽な罰ゲームになりそうね。

などと私は楽観的な感想を抱く。

まどか「ここのサウナってソルティサウナなんだって」

ほむら「サールティー……何?」

まどか「ソルティだよ、つまり……塩サウナ!」

タイミングが良かったらしく、今サウナを利用しているのは私とまどかの二人きりだ。

こうして話していても迷惑にはならない。

……ちなみに美樹さんと志筑さんは、罰ゲームと関係ないからと言って付き合ってくれなかった。

薄情なのか気を利かせたのか……。

ほむら「ごめんなさい、塩サウナって何かしら」

まどか「えと……ほら、あそこに塩が置いてあるでしょ?」

まどかが指差す先、部屋の中央には容器に盛られた塩が設置されていた。

ほむら「何に使うの、あれって」

まどか「うん……あれはね、身体に塗るものなんだよ」

ほむら「塩を身体に?」

まどか「汗が出やすくなるとか、色々効果があるみたい」

ほむら「へえ……そうなの」

初耳だ。塩サウナ、そういうものもあるのね。

ちょっと面白そう。

塩を身体に塗るというのはどんな具合なのだろう、と好奇心が芽を出した。

でも手順とかマナーとか良く分からないのよね……どうしたら良いのかしら?

まどか「……ね、ねえほむらちゃん、ほむらちゃんは塩サウナ初めてなんだよね?」

ほむら「ええ」

まどか「じゃ、じゃあ……まずは私が、お手本を見せてあげるよ!」

私が好奇心と躊躇に板挟みになっているのを察してくれたらしい。

まどかは私に助け船を出してくれた。

ほむら「助かるわ、私初めてだから……その、良く分からなくて」

まどか「わ、私もあんまり経験ないから、上手に教えられるか分からないけど……」

まどかは視線をあちこちに泳がせながら弱々しい声で謙遜するけれど……

続く最後の一言だけは、室内に響くほど力強く言い切った。

まどか「ほむらちゃんが気持ち良くなれるように、一生懸命教えるね!」

ほむら「……ふふ、ありがとう」

こんなことにも真剣に考えてくれるのね、貴女は。

ほむら「とりあえず座れば良いかしら?」

まどか「う、うんっ、どうぞ座って」

私はまどかに促されて、備え付けの長イスに座る。

当然まどかも私の隣に腰を下ろしたのだが……何だか、やけに近いような気がした。

私達の間には手のひら一つ分の隙間もない。

ほんの少しだけ温度が上がったような、そんな錯覚を覚える。

ほむら「……え、と? まずはどうすれば良いの?」

それでも私は平静を装って尋ねた。

妙な近さなど意に介していないようなフリをして。

まどか「う、うん……あのね、えと……」

私に対して、当のまどかは酷く落ち着かない様子だ。

ドアの方を何度も見たり、自身の胸元に視線を落としたり……

頬も赤く、もしかしたらのぼせてしまったのだろうかと心配になる。

ほむら「……どうかしたの?」

まどか「え、ううん! な、なんでもないよ!」

明らかに何でもないという雰囲気ではなかった。

しかし、私が再度口を開く前にまどかはお尻をもぞもぞと動かして……より一層近くへと寄ってきた。

残された僅かなスペースさえも無くなるくらい、近くへと。

ほむら「ちょ、ちょっと近過ぎないかしら……?」

まどか「こ、これくらいのほうが教えやすいんだよっ?」

ほむら「そう、なの……?」

まどか「うん、そう……だよ……」

ついには私とまどかの太ももが、べったりとくっついてしまう。

ほむら(っ……!)

お互いの汗でベタりと接着されるような感じ。

あまり気持ちの良いものではなかったけれど、でもだからと言って逃げてはまどかを傷付けてしまうかもしれないし……。

まどか「ええと……そ、それじゃあ、今からお手本をするから……」

そんな私の葛藤なんて勿論知らないまどかは、さらに身体を寄せてきて────

まどか「……よ、良く見ててね、ほむらちゃん……っ」

ぱさり、という軽い音と共にタオルを落とした。

まどかの身体を隠す、最後の布切れを。

ほむら「え……」

次回へ続きます。

※このSSは魔法少女達の絆と友情をテーマとしたタイヘン健全なSSです。

まどか「ちゅ……注意するのは、力を入れてコスっちゃイケないってことなの」

まどかは山盛りの塩へと手を伸ばし、一掴み握り締める。

私から身体を離そうとしなかったため、かなりぎこちない動作だった。

まどか「優しく……こうやって、乗せてあげるような感じでやるんだよ」

露わになった自身の太ももへ、塩の化粧を施していく。

言葉通り、優しい手つきで。

塩は塗られた先から汗により溶けてゆき、半透明の液体がまどかの肌から滴り落ちる。

まどか「こうやって塗っておいて……お塩が溶けたら、マッサージをするの」

塩を持たない反対側の腕にも塗りながら、まどかは説明を続ける。

まどか「それまでは、ガマンしてなきゃいけないんだよ」

作業に集中しているのか、その視線は私の方に向けられていない。

……いや、それだけの理由ではないのかも知れないけれど……

とにかく、まどかの目が私に向けられていないということは私にとって好都合だ。

何故なら、私がどんな表情で彼女を見つめているのか……知られずに済むのだから。

鏡が無くても分かる。

今、私は少女にあるまじき酷い顔をしているに違いない。

まどかの一挙一動を一つも見逃さないように、瞬きはしない。

興奮を気取られぬよう呼吸も限界まで押さえ込む。どんなに苦しくても。

これは例えるなら……そう、獲物を狙う野獣のような……。

ほむら(……な、何を考えているのよ、馬鹿ね……)

そんなわけない。だってわたしとまどかは友達だもの。

友達をそんな目で見るなんて、あるわけない。

これは暑さのせいで、ちょっとおかしなことを考えちゃってるだけよ……。

まどか「それと……ね? お塩に弱いとこは……塗っちゃダメなんだよ?」

ほむら「弱い、ところ?」

まどか「お顔とか……で、デリケートなところとか……だよ」

デリケートなところ……。

その言葉に連想した私は、反射的に彼女の身体の一部へと目を向けてしまう。

彼女の……その、えと……デリケートな……ところへ、だ。

ほむら「っ……」

無意識の内に、ごくり、と喉が鳴った。

……最悪のタイミングだった。

気持ちの悪い汗が一斉に顔から吹き出すのを感じた。

まどか「ほ、ほむらちゃん……?」

余りにも露骨なその音から、まどかが何を感じ取ったのかは想像に難くない。

事実、彼女はそっと腕を下ろしてその場所を隠した。

ほむら「あ……ち、違うのよ、今のは、その……」

嗚呼、違うのまどか。今のは喉が乾いたから、唾を飲み込んだだけなの。

そう、これも暑さのせい。暑さのせいなの……。

ほむら「……ごめんなさい」

私は弁明することを諦めた。

何を言っても下手くそな言い訳にしかならなそうだったから。

まどか「う、ううん、いいんだよ……気にしてないよ」

平気であるかのようにまどかは言うけれど……どうだろうか。

まどか「だって私、お手本だもん……も、もっと見ててくれて、良いんだよ……」

……嗚呼、貴女って子は本当に……。

まどか「えと、後は……身体にも塗らなきゃ、だよね」

再度塩を手に取ると、まどかはお腹周りに塗ろうとして……止める。

まどか「……そ、そろそろほむらちゃんもやってみよっか?」

そう言って私へと塩の固まりを差し出してきた。

ほむら「え……ええ、やってみるわ……」

受け取った塩は既にまどかの手汗で湿り気を帯びている。

まどかの汗が混じったこの塩を……私の身体に……

ほむら(……いけない、また変な想像を……)

やっぱり、この暑さがいけないんだわ。

……などと私がやましさから葛藤していると、まどかは……

まどか「じゃ、じゃあ……」

より一層身体を近付けて、まるで恋人達がするように寄り添って……

ほむら「えっ……ま、まどか……?」

その柔らかな胸が、ささやかな二つの膨らみが私の身体に触れるか否かというところで……

両目を瞑り、告げたのだった。

まどか「じゃあ……優しく、塗ってみて……?」

……どこに?

とは聞けなかった。

これは……そういう意味なの、まどか……?

でも、どうして、そんな、私なんかに……

嗚呼、まどかの身体か震えているわ、怖いのね……?

こんな小さな身体で、勇気を出して、こんなことを……?

いや、違うのかもしれない、全部私の勘違いなのかもしれないわ。

きっとそう。まどかがそんな、さ、誘ってるなんて、勘違いなのよ……ええ……。

嗚呼……でも、でも……。

…………。

これは……暑さのせい。

そう、全部暑さのせい……暑さのせいでおかしくなっちゃってるから、仕方がないの……。

私の勘違いかもしれないけれど、でも、暑さのせいで勘違いしただけだから……。

だから……。

ほむら(だから……良いんだわ……)

喉が張り付く。汗が全身から吹き出る。身体が熱い、頬が熱い。

本当に、なんて暑いのかしら……この部屋は……。

ほむら「…………」

私は震える手で塩を握り締め、こぼさぬようにまどかの腰の辺りへと運んで……

まどか「っ……」

まどかがびくん、と震えたのを触れあう肌で感じて……。

────そこで突如ドアが開き、私はとっさにキュゥべえ三匹分くらい飛び退いてまどかから離れたのだった。

ほむら「ひゃっ……!?」

ゆま「わー! あっつーい!」

同時に聞き覚えのある幼い少女の声が響く。

ゆま「キョーコ、このナカすっごい熱いよっ♪」

杏子「馬鹿、あんま騒ぐなって何回言ったらわかんだよ」

ゆま「はーい。ごめんなさーい」

闖入者の正体は千歳ゆま。そして、佐倉杏子だった。

まどか「う……ううー……!!」

珍妙なうなり声がまどかの方から聞こえてきたけれど、フォローをしてあげる余力はない。

……い、いま私……まどかに何をしようとしてたの……?

今日はここまで。

まどっちのヤキモチで喉を詰まらせて死にたい(次回予告)

二人が現れたことでこの場を支配していた妖しい空気が霧散する。

おかげで私の思考も正常なものへと戻りつつあった。

しかしそれはつまり、自分のしでかしたことを嫌でも自覚するはめになるということであり……

ほむら(っ……!)

かぁっ、と頭に血が上ってクラクラする。

耳の奥で血流がマグマのように音を立てていた。

ほむら(わたし……な、なんてことをしようと……)

否定したいけれど否定出来ない。認めるしかない。

私は、越えてはいけない境界を越えてしまうところだった。

私は確かに、まどかのことは好きだ。

でもそれは親愛という意味であり、間違っても……その、そっちの意味ではなかったはずだ。

それなのに……あ、あんな真似を……。

ほむら(まどか……)

怖くてまどかの方を見ることが出来ない。

私はただ自分の痩せた膝に視線を落とした。

正直、逃げ出したい。全てを捨てて逃げ出したい。

でもそんなこと出来るわけない。それは、まどかを拒絶するようなものだ……。

ゆま「キョーコ、あのお塩なに?」

杏子「あー、あれ? あれは……その、お清めってやつだよ」

好奇心を隠そうともしない無邪気な少女と、見栄を張ってデタラメを教える少女。

普段なら微笑ましいと思える光景も、今の私には少し煩わしい。

ちょっと静かにしてくれないかしら……。

一声かけるという考えも浮かんだが、それは憚られる。

杏子は縄張り意識の強い魔法少女だ。下手をすれば厄介事に繋がりかねない。

彼女との対話は私の使命において必要なことではあるが、この場は都合が悪い。

────まどかはまだ、魔法少女のことを知らないのだから。

ゆま「わーい、お塩、おしおー」

……そういえば。魔法少女といえば、この千歳ゆまはもう契約済みなのかしら。

過去の時間軸では杏子を助けるために契約したと聞く。

今回もそうなのだろうか。

ほむら「…………」

確かめるべく、彼女の指に注目するが……。

ゆま「あつーい、いっぱい出ちゃうね、キョーコ!」

ちょこまか動いているせいで確認できない。

子供ってどうしてこうも落ち着きがないのかしら……って、私も子供だけれど。

これじゃあ大事なトコがよく見えないわ。

まどか「……ほむらちゃん……?」

私の座っている位置が悪いのもある。

千歳ゆま自身の身体の陰に隠れたり、杏子に遮られたり、で指が見えないのだ。

仕方がないわね、ちょっと身体をズラして……。

ほむら「……ん」

私はお尻を這わせて、長イスの上を移動する。

……よし、この位置なら。

ほむら(もうちょっとで、アソコが見えそ……)

アソコにアレがハメられているなら、千歳ゆまは魔法少女であると確信出来るのだが。

まどか「……こほんっ」

ほむら「っ!?」

わざとらしい咳払いが狭い室内に響く。

発生源は確かめるまでもなくまどかだった。

見やれば彼女にしては珍しく不機嫌そうな表情を露わにしていた。

騒がしい子供が嫌いなのかしら、まどか……意外ね。

あ、いや……さっきの私との遣り取りが尾を引いているのかも……。

杏子「……ほらほら、大人しくしてな。タオルもちゃんと持て」

ゆま「はーい」

アウトロー系魔法少女と幼女も流石に察したのか、入浴態度を改めたようだった。

ただ、しっかりとタオルを手にしたせいで千歳ゆまの大事な場所は隠れてしまった。

ますます確認できない。

ほむら(……仕方がないわね)

それならば、と今度は体つきを良く観察してみる。

千歳ゆまの身体はいかにも幼女といった体型だった。

凹凸が少なく、腰回りもくびれのない寸胴体型だ。

腋だとか脚だとかには体毛は見られず、ツルツルすべすべ。

肌もなめらかでまさしく『玉の肌』といった感じだ。

確か母親から虐待を受けていたという話だけれど……そのような痕跡は見えない。

栄養が足りず痩せ細っているという雰囲気でもない。

それらは、魔法の影響である可能性が高いか────

まどか「ね……ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「っ!?」

と、そこで私の思考は突然耳元で囁かれたか細い声により中断された。

吐息が耳にかかる程近く、いつの間にかまどかは私のすぐ隣まで近付いて来ていた。

その距離につい先ほどの出来事を連想させられ、私の身体はまた熱を帯びてしまう。

ほむら「なに? ど、どうしたのまどか?」

まさか続きをしようとか言い出すのでは……と身構えるがそうではなかった。

まどか「ほ、ほむらちゃん……さっきから何を見てるのかな……?」

私にそう問うまどかは何故か上目づかいで、その両目は潤んでいて、今にも涙がこぼれ落ちそうで……

ある種の危険な色っぽさを漂わせていた。

私にイケない感情を抱かせるには充分過ぎるほどに。

ほむら「っ……! ええと、その……た、ただボンヤリしてただけで……」

芽生えた邪念はひとまず脇に置いておく。

本当のことなんて説明出来るはずもなく、私はまた苦しい言い訳に走った。

幸いまどかは私が何を見ていたのかは気付いていなそうだし……

まどか「な、何だかほむらちゃん……えと、あのちっちゃい子ばっかり見てる気がするよっ……」

ばっちり気付かれていた。

ほむら「え、ええと……それは、その」

図星を突かれて言いよどんでしまう。

まどか「ねえ、なんでなのほむらちゃん……? も、もしかして……!」

そんな私の態度が不愉快だったのか、まどかの声は段々と大きなものになってきてしまう。

どうしましょう……まさか、魔法少女かどうかを確認したかったなんて言えないし……。

杏子「……?」

ゆま「ね、あれケンカかな……?」

不味いわね、杏子たちも不審に思い始めているわ。

面倒なことになる前に上手く誤魔化さないと……。

ええと、理由、千歳ゆまを見ていた理由ね……そうだわ!

ほむら「ごめんなさい。あの子がとっても可愛らしかったから、つい見とれちゃったの」

まどか「っ……!?」

……あら?

まどか「ほむら、ちゃん……それって……」

なんだかまどかが、いつか何処かで見たことがあるような表情になってしまったわ。

まるで世界の終わりを目撃してしまったかのような、悲しい瞳。

いつだったかしら……そう、この顔は確か私が三週目の時に……。

次回へ続きます。

お風呂上がりはピンク色のイチゴミルク飲みたい(次回予告)

まどか「そ、そっか……そうなんだ……」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃんは……ろ、ロリコンさんだったんだね……っ!」

ほむら「ろっ……!?」

震える声でまどかが口にした単語は、私にとって完全に想定外のものだった。

ロリコン。年頃の女子中学生に相応しくない呼び名だ。

確かに私は幼女を観察していたわけだけれど、私も女の子なんだからロリコンはないでしょうに。

まどか「ううっ……ぐすん」

友人がロリコンであるのが余程嫌なのか、まどかは大粒の涙を零してしまった。

ゆま「ねえキョーコ、ロリコンってなーに?」

杏子「あー、うん。とりあえずオマエは耳を塞いでろ……ったくもー」

……ごめんなさい、杏子。

ほむら「な、何を馬鹿なことを言ってるのまどか、そんな訳ないじゃない」

まどか「じゃあなんで『可愛いから見とれた』なんて……!」

可愛い、と言っただけでロリコン扱いになるの?

いや、見とれた、というのが不味かったのかしら。

どちらにせよ想像力が豊か過ぎるわ、まどか……。

ほむら「それは、その、純粋に『可愛い』って思っただけよ、他意はないわ」

まどか「ホントに……?」

ほむら「勿論よ」

まどか「ほんとにホント?」

ほむら「本当よ」

まどか「ほんとのほんとにホント?」

ほむら「当たり前よ」

随分と疑心暗鬼になってしまっているようだ。

まどかは瞳を潤ませた上目づかいのまま、しつこいくらいに何度も問い正してくる。

捨てられる直前の子犬のような……そんな庇護欲をかき立てられるような仕草に、キュンとしてしまうが今はそれどころではない。

まどか「…………」

疑いの色がその目から消えることはない。

そんなにも私の言動がロリコンっぽく思えたということなのかしら……少し傷付くわ。

何て説明すれば理解してもらえるのか私には検討もつかない。

かと言って黙り込んでしまってはますます後ろめたいことがあるようでいけない。

ほむら「私が見ず知らずの女の子に……その、やましい気持ちを抱くなんてあるわけないわ」

私は思い付くまま、ありのままの事実を口にしていって……

ほむら「相手はあんな小さな子だし、誰かが不快になるようなコトなんて私はしないわ」

そして、つい口走ってしまう。

ほむら「そもそも私が一番好きなのはまどかで……」

まどか「……えっ?」

ほむら「……あ……」

まどか「い、今なんて言ったのほむらちゃん?」

ほむら「……何でも、ないわ」

また物凄い勢いで顔から脂汗が吹き出した。

滴る汗は嫌でも喉の渇きを意識させる。

……私は馬鹿だわ……馬鹿さに定評がある誰かさんとコンビを組めるくらいには馬鹿だわ……。

いくらなんでも、何て失言を!

まどかが好きというのは確かに嘘ではないけれど……

それは友達という意味であって、その、変な意味ではない。

要らない誤解を招きかねないし、こんな状況で告げるべきことではないことだ。

それについ忘れかけてしまいがちだが、私とこのまどかはまだ出会って数日の関係なのだ。

こんなことを言ったら気味悪く思われるのは分かり切っている。

嗚呼、貴方は何処まで愚かなの暁美ほむら……。

いえ、これもきっと暑さのせいよ、もういい加減サウナから出るべきなんだわ。

でも冗談だということにしておけば、今ならまだフォローが利くかもしれない。

ほむら「まど……」

そう思い口を開きかけたが……それが言葉にされることはなかった。

まどか「……えへへっ、そ、そっか、そうだよね……」

まどかは頬を朱色に染めながら、自身の前髪を指でくるくると巻いて遊んでいる。

ほんの一瞬前まで世界の終わりのような顔をしていた子とは思えないくらいに、柔らかな頬笑みを浮かべて。

まどか「……良かった♪」

それは小さな囁きだったけれど、たっぷりと安堵の色が詰まっている囁きだった。

思わずドキリとする。

ほむら(それは……私がロリコンじゃなくて良かった、という意味よね?)

他に深い意味なんてないはずよね……?

まどか「……えへへ♪」

まどかはニッコリと目を細めて私を見つめてくる。

釣られて私も見つめ返すと……自然と安堵の溜め息がこぼれた。

ほむら「……ふぅ」

……まあ、とりあえず誤解は解けたようだし、良しとしましょう。

ゆま「……ねえキョーコ。あのお姉ちゃん達なんで見つめ合ってニヤニヤしてるの?」

杏子「いや、あれはな、その……」

杏子「……なぁ、ちょっとアンタら」

ほむら「あ……えと」

まどか「は、はい」

杏子「……教育に悪いからどっか余所でヤッてくんない?」

まどか「あぅ……」

ほむら「……ごめんなさい」

……怒られてしまった。

次回へ続きます。

ブルマくんかくんか(次回予告)

間隔が空いてしまってすみません。
のんびり行きますのでよろしくお願いします。



真面目な不良少女にお叱りを頂いた後は、特筆すべきことはなく……

私とまどかは美樹さん達と合流してごく普通に入浴を楽しんだ。

志筑さんが私の罰ゲームの様子を執拗に尋ねてきたけれど、その辺りは誤魔化しておく。

種類が豊富なお風呂を順番に巡っていけば、満足いく頃には夕食に丁度良い時間になっていた。

何処かのお店で皆で一緒に食べようかという案も出たけれど、志筑さんが門限があるとのことで今日は解散する運びとなった。

夕暮れに染まる住宅街を並んで歩きながら歓談を楽しんで……そして別れ道に差し掛かったとき。

まどかは私の耳元でこう囁いたのだった。

まどか「今日ね……? パパたち帰りが遅いの……」



まどかの部屋はつい先日と変わったところはないようだった。

相変わらず愛くるしいぬいぐるみ達はつぶらな瞳で私を見つめているし、勉強机の上は綺麗に片付いている。

何も変化も異常もない。

だというのに、何処か緊張感が漂っているような気がするのは……私の錯覚だろうか。

ほむら(考えすぎ、よね……)

この時間軸では二度目になる、まどかの部屋への訪問。

一度目はブルマをこっそり返すという目的があったから少しだけ緊張していた。

今回は……。

ほむら(大事な話がある、って言っていたけれど……何かしら)

まどか「おまたせ。またウーロン茶だけど良いかな」

まどかはこの前と同じようにお茶を持って来てくれた。

お盆に乗ったグラスからは結露が滴り落ちている。

ほむら「ええ、ありがとう」

私にグラスを手渡すと、まどかは対面に腰を下ろした。

先日数学の勉強をしたテーブルを挟んで、向かい合って座る形となる。

まどか「…………」

ほむら「…………」

……奇妙な沈黙が一拍生まれた。

まどか「あ、えと……どうぞ飲んで飲んで?」

ほむら「う、うん。いただくわ」

勧められるままグラスに口をつけ、軽く喉を湿らせる。

当然ながら同じ味だった。

ほむら「それで……えっと、大事な話って何かしら?」

まどか「う、うん。その……ね? 実はほむらちゃんに見て貰いたいものがあって……」

ほむら「私に?」

いったい何だろうか。

わざわざ改まってこのような場を設けた以上、お気に入りのぬいぐるみだとかテストの点数だとかいうことではないだろう。

わざわざ両親とタツヤくんがいないことを明かしてまで私を呼んだのだから、きっと家族には言えないコト。

……でも私には見せたいモノ。

それは、何?

まどか「ちょ……ちょっと待っててね」

そういうとまどかは立ち上がり洋服タンスへと向かい、引き出しに手をかけた。

引き出し……? まさか、もしかして……?

まどか「えっと、その……こ、これなんだけど……!」

ほむら「えっ……!?」

おずおずとした手つきでテーブルの上にそっと乗せられたそれは、淡い紫色の布地で出来た……

パンツだった。

ふんだんにフリルが施された装飾過多なデザインとは裏腹に布地面積自体はやけに少ない。

穿いたところで殆ど『見えて』しまいそうな……いえ、『見せて』しまいそうな。

そんな下着だった。

ほむら「えっと、その」

……何故これを私に見せるの?

というかこれって所謂……しょ、勝負下着というものよね?

そんなものを見せるってことは……えっ? あれ、今両親が居ないのよね?

ほむら「ま、まどかっ、その、これって」

まどか「え……ひゃああ!!」

まどかは下着を放り投げると共に奇声をあげた。

……ご両親が在宅中だったら慌てて駆け付けていたところだったでしょうね。

まどか「違っ、これじゃないの! い、今のはママのだよ! 間違えてしまっちゃったみたい、えへへ……」

ほむら「そ、そう」

顔を真っ赤にして取り繕うまどか。

その言葉が真実なのかどうかを確かめる術はないけれど、わざわざ追及する必要は……ないわよね。

……というか、私も変な想像をしてしまった後ろめたさから言葉が出なかった。

気を紛らわせるために再度お茶に口をつける。

まどか「ほ、ほんとだよ! これ私のじゃないからね?」

ほむら「うん、ええ、大丈夫よ、まどか、分かっているわ」

まどか「サイズもあわないし、あ、何なら証拠に穿いてみてもいいよ!」

ほむら「や、やめなさい! 大丈夫、大丈夫だから!」

まどか「でも……」

なにやら話せば話すほど泥沼に陥っているような感覚だった。

ここは仕切り直さないとダメね、ええ。

ほむら「……こほん。それで、見せたいモノっていうのは?」

まどか「あ、う、うん……えっと」

私の軽い咳払いが効果を発揮して、まどかは一応の落ち着きを取り戻したようだった。

まどか「……私が見せたかったのは……こっちなの」

そう言って改めてまどかが引き出しを探り、取り出したのは……。

二着のブルマ。全く同じ外見の、ブルマだった。

ほむら「……!」

まどか「あのね……へ、変なことを言うけど……引かないでね?」

ほむら「……ええ」

まどか「このブルマ……何故か急に二つに増えちゃったみたいなの」

まどかの発言は何も知らない人からすれば酷く珍妙なものに思えるだろう。

だが私にとっては悪事の証拠を突きつけられてはいるようなものだった。

言うまでもなく片方のブルマは、私がまどかに返したブルマなのだから。

ほむら「二つに……?」

まどか「……うん」

平静を装って相槌を打つけれど、内心では冷や汗ものだった。

良く考えれば……いえ、少し考えてみればこの展開は予想出来た筈よね。

私がブルマを返したことでこの時間軸には同じブルマが二つ存在することになる。

まどかが不思議に思わないわけがないのだから。

……こっそり返せば問題ない、なんて思っていた私が愚かだったのだ。

ほむら「……元々予備があった、という訳ではないの?」

まどか「ううん、予備のは別にあるの。これが、このブルマが、二つに増えちゃったんだよ」

まどか「ほら、ここに名前が書いてあるでしょ? おんなじ字で……」

念のため確かめてみるけれど、間違いなくまどかの丸っこい字がタグに書かれていた。

まどか「だからね、やっぱりこのブルマはおんなじものだと思うの」

断言はしなかったが、確信している様子だ。

まどか「この前ほむらちゃんが来た後からなの。二つになっちゃったの」

畳み掛けるようにまどかが問いかける。

まどか「だからほむらちゃんが……その、えと、何かしたんだよね?」

ああ、そうよね。状況を鑑みれば私しか疑う相手がいないわよね。

これも、少し考えれば分かりそうなことだったのに……何故私は今まで気が付かなかったのかしら。

自分の迂闊さに頭痛を覚える。

ほむら「……私は何も知らないわ」

それでも、私はあえてしらばっくれた。

後ろめたさを誤魔化すためだけでなく……ある種の『期待』も込めて。

だって、そもそも私が彼女にブルマを返した理由は……。

まどか「嘘だよ……今の私には嘘だって分かるよ」

ほむら「どうして?」

それはもしかして……私のことを思い出したから?

あの日の思い出を取り戻したから?

……そう言葉にしたかったけれど、喉の奥で飲み込む。

ほむら(まだダメ。まだ分からないわ……)

先走る心を理性で縛り付けて、私はまどかの答えを待つ。

まどか「だって一緒にお風呂に入ったもん。だから、分かるの」

それは、私の予想していた……期待していた理由とは異なった。

まどか「ほら、だってこれ……」

そして、完全に想像の範疇を越えたものだった。

ほむら「え……?」

私が制止する暇もなくまどかは────

まどか「これ……ほむらちゃんの匂いがするよ……」

吸い込まれるように自然な流れでブルマに顔をうずめて、まどかは大きく息を吸い込むのだった。

まどか「……ごめんね、こんなの訳わかんないよね……気持ち悪いよね……」

ブルマに顔を埋めたままフゴフゴと、くぐもった声でまどかは告白する。

まどか「でもダメなの……! 抑えきれないの、自分でも変だって分かってるのに、我慢できないの」

まどか「このブルマを見てると、ほむらちゃんへの想いが溢れてきちゃって……まるで自分が自分じゃなくなったみたいに、変になっちゃうの……!」

まどかの言葉が胸に、頭に響く。

まどか「ずっとほむらちゃんのことを知ってて、ずっとほむらちゃんのことが好きだったみたいな、そんな風に思っちゃうの!」

私はただ、黙って彼女の言葉を聞くことしか出来なかった。

まどか「う……うう……」

涙をブルマに吸わせる彼女にかける言葉など、一つも思いつかなかった。

ほむら「まど、か……」

────私は、身勝手な理由でまどかにブルマを返した。

彼女の記憶が戻るかもしれないという願望から。

彼女が私を思い出してくれたら良いという自分本意な願いからまどかにブルマを返した。

まどか「ごめんね……ごめんねほむらちゃん……」

その結果がこれだ。

まどかは苦しんでいる。どうやら本当にまどかはブルマがきっかけで記憶を取り戻しつつあるようだけれど……

別の時間軸の記憶とのせめぎ合いに、頭が、心が、感情が追いついていないように見える。

思えば今日のお風呂の一件……まどかが過剰なまでにスキンシップをしてきたのもこれが原因だったのかも。

紺色の布地に隠れて見えないけれど、いつも愛らしいまどかのお顔が苦痛に歪んでいることは容易に想像できた。

私は取り返しの付かないことをしてしまったのではないか。

いや、ブルマを奪えばまだ何とかなるかもしれない。

まどかの記憶の混濁を生んだのがブルマなら、その原因を無くせば元通りになる可能性はあるはずだ。

それとも魔法で記憶を奪うか?

まったく知らない振りをして誤魔化すのも良いかもしれない。

ほむら(……馬鹿だ)

反射的に思いついた幾つかの案に自己嫌悪する。そんなの責任逃れのためでしかない。

私はまだそんな身勝手なことをする気か。

ならば私のするべきことは、取るべき責任の取り方は……?

この後どうするかのオチが決まらなくて困ってるのでアイデアをください(無責任)

皆さんご意見ありがとうございました。
メチャクチャまどほむする方向で頑張ります。

ちなみに当初予定していたクライマックスは
二つのブルマによって生じたパラドックスが次元のはざまを作り出して
無の力に飲み込まれてしまったほむらがネオエクスホムラとして生まれ変わり世界をリユニオンしようとするんだけれど
まどか達光の四戦士の活躍によりわたしはしょうきにもどった!ってなって
時間圧縮から抜け出してハッピーエンドになる展開だったんですが
少しだけこのスレの雰囲気と合わないので没にしました。

ほむら「まどか……」

私は泣きじゃくるまどかの隣へ移ると震える肩をそっと抱きしめた。

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「大丈夫よまどか、貴女は何も悪くないわ」

嗚呼、なんて小さな身体。こんな彼女に、私は記憶という重荷を背負わせてしまっていたのね。

まどか「ほむらちゃんは、私を赦してくれるの? こんな気持ち悪い私を、受け入れてくれるの?」

ほむら「気持ち悪いだなんてことはないわ。言ったでしょう、貴女は何も悪くないのだもの」

ごめんなさい、まどか。本当のことを貴女に教えるわ。

ほむら「悪いのは、私なの」

もしかしたらもっと貴女を苦しめてしまうことになるかも知れない。でも……

ほむら「私ね、未来から来たんだよ」

まどか「え……?」

馬鹿な私には、これくらいしか責任の取り方が分からなかったから。



……私は全てを打ち明けた。

時間遡行のこと。過去の時間軸でまどかからブルマを借りたこと。

そして、身勝手な下心からブルマをまどかに返したこと。

全部、隠すことなく話した。

軽蔑されたわよね。絶対に。

でも憎んでくれた方がきっと良い。

私のことを好きだっていう気持ちを、忘れるくらいに嫌いになってくれたほうが、きっと健全だもの。

まどか「……良かった」

そう、思っていたのに。

まどか「私のこの気持ちは、間違ってなんかなかったんだね」

嗚呼、どうして私に微笑んでくれるの、まどか。

まどか「……えへへっ」

どうしてそんなに幸せそうにブルマを咥えているの、まどか。

ほむら「私はっ、貴女を狂わせてしまったのよ? それなのにどうしてそんな、嬉しそうに……」

終末になったら投下する

まどか「私ね……ほむらちゃんが話してくれたお陰で全部思い出せたの……」

ほむら「……!」

頬を伝う涙を拭いながらまどかは言う。

その雫は先ほどまでの悲しみの色ではなく喜びの色で輝いていた。

まどか「ほむらちゃんが私のために頑張ってきてくれたこと、全部分かったんだよ……」

まどか「だからこの気持ちは間違ってなんかいないって、そう言い切れるの!」

嗚呼、でも、私は一度だって貴女を助けられなくて。

それに貴女にこんな酷いことまでして。

そんな私が、まどかに好きになってもらうなんて資格はないわ。

まどかは私なんかを好きになってもらっちゃダメなのよ。ダメなのに。

ほむら「うっ……うううううう……!」

もう、我慢できなかった。抑えられなかった。

だってやっとまどかが私のことを思い出してくれたんだもの。

ずっと一人ぼっちで戦ってきた私のことを、まどかが分かってくれたんだもの。

私はこみ上げてくるそれを押さえ切れず……。

ほむら「うっ……うう……うあああっ……!」

子供みたいに大声をあげて、恥も外聞も忘れて泣いてしまった。

嬉しくて、嬉しくて嬉しくて、私はまどかの胸で泣いてしまった。

まどか「ほむらちゃん……」

ふわりと、まどかの柔らかな手のひらが私の髪を撫でる。

私はしばらくそのまま泣き喚いていた。

泣いて、泣いて、泣いて……。

ようやく泣き止んだ頃には落ち着きを取り戻していた。

まどかの胸に顔をうずめていることに気恥ずかしさを覚えたけれど……

でも、彼女から離れる気にはなれなかった。

まどか「こうしてほむらちゃんが甘えてくれるのも『久しぶり』だね」

ほむら「……ごめんなさい」

まどか「ふふ、私は嬉しいんだよ?」

ああまどか。

私も嬉しいの。でも、同じくらい罪悪感もあって、苦しいの。

大好き。まどかのことは大好き。

まどかも私のことを好きだと言ってくれるなら、その気持ちに喜んで応えたい。

でも……少し、複雑なの。

自分のしたことを全部棚に上げてまどかを愛するのも間違っているような気がして。

この気持ちを整理するのは……ちょっと時間がかかりそう。

ほむら「こんな優柔不断な私でも、臆病な私でも、良い……?」

まどか「勿論だよ、ほむらちゃん!」

そういってまどかは世界で一番美しい華を咲かせた。

まどか「私はほむらちゃんの全部が好きなんだもん。格好良いほむらちゃんも、ちょっと臆病なほむらちゃんも、全部!」

私はもう一度泣きたくなって……まどかを抱きしめ、彼女の控えめな胸に溺れていった。

……どれだけの時間そうしていたかは分からない。

気がつけば窓の外はすっかり暗くなっていて、常識的に考えるならば健全な中学生はもう帰宅するべき時間だった。

ほむら「もうこんな時間なのね……」

名残惜しいけれど、私はまどかの胸から離れて立ち上がる。

ほむら「遅くまで付き合わせてしまってごめんなさい、今日はもう帰っ……」

まどか「だ、だめっ」

スカートの裾がずり落ちそうな程に思い切り引っ張られる。

……危うく下着を露出するところだったわ。

まどか「だめ、だめだよほむらちゃん、そんなのずるいよ……」

ほむら「狡い?」

まどか「だってほら、私……ほむらちゃんのせいで、こ、こんなに濡れちゃったんだよ……?」

まどかが指さす胸元は、確かにぐっしょりと濡れていた

私が痴態をさらした跡だ。涙と、もしかしたらそれ以外の体液も混ざっているかもしれない。

ほむら「ご、ごめんなさい……」

改めて見ると、自分の仕出かした事がどれだけみっともないかを思い知らされて私は頬が熱くなる。

まどか「ううん、いいの……でもっ、こんなにされちゃったんだもん、だから……」

まどか「今度は、私の番じゃなきゃ……狡いよ」

ほむら「まどか……」

まどか「責任取って、私を……ま、満足させてね……?」

徐々にまどかは私の方へ顔を近付けてくる。

それ以上言葉なんていらなかった。

私達は互いに吸い込まれるように頬を寄せ、触れ合った。

温かい。まどかのほっぺたから温もりが伝わる。そして……。

ブルマの柔らかな感触が私達の頬をくすぐったのだった。







こうして私達は、より深い絆で結ばれることとなった。

本当にこれで良かったのか不安になるときもある。

でも、まどかの幸せそうな顔を見れば、それも小さな悩みに思えてワルプルも倒せた。

美樹さんのこと、巴さんのこと、杏子のこと……魔法少女の問題がまだまだ山積みであることは変わらないけれど。

それだってまどかが一緒に居てくれれば全部大丈夫、きっと乗り越えられる。

そうだよね、まどか。

ほむら「きゃっ!」

まどか「あっ、大丈夫ほむらちゃん?」

ほむら「ええ……でも少し濡れてしまったわ」

まどか「昨日のスーパーセルで水溜まりが一杯だからね、気をつけて?」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「……あ、でもまた水浸しになっても、ブルマを貸してあげるから大丈夫だよ♪」

ほむら「ふふっ。もう、まどかったら……」

~fin~

くぅ疲れましたこれにて完結です。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。
SS速報を卒業(笑)することにしたので最後に>>1の過去スレを悉く晒してお別れしたいと思います。
本当にありがとうございました。

・完結
ほむら「そうだわ、魔法少女のことを漫画にしましょう」
マミ「わ、私は美樹さんのことを……」
マミ「み、美樹さんが……男の子に!?」
杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」
マミ「そ、そんなのダメよ美樹さん!」
マミ「つ、付き合うって……私と美樹さんが!?」
マミさん「いたっ!!……靴に画鋲が?」
さやか「あたしこの子とチーム組むの大賛成だわ! ほむらちゃんマジほむほむ!」
まどか「私の可愛い猫ちゃん!」ゆま「にゃー♪」
ほむら「熱膨張って知ってるかしら?」
ほむほむのエロ画像ください
【速報】暁美ほむらは東京で処女を捨ててきたヤリマンだと判明www
杏子「壁殴り代行はじめました」
さやか「その……さ。同性愛ってどう思う……?」杏子「え……?」
俺「よーし、それじゃあまどかちゃん達みーんなレイプしちゃおっかなあwww」
まどか「あ、カレからメールだ~♪」さやか「えっ」
さやか「安価であの泥棒猫から恭介を取り戻すよ!!」
ゆま「な、なんでもするから、ゆるして……」さやか「じゃあ>>2してよ」
ほむら「ありがとう! 親切な占い師さん!」織莉子「ふふふ」
まどか「ほむらちゃんの心臓病が……再発?」
マミさんがうんこソムリエになるまで
ゆま「 」
メガほむ「な、なんでもするから許して……」杏子「ふーん、じゃあ>>2してよ」
ほむら「トランクを開けたら全裸の女の子が入っていたわ」
ほむら「やることは同じだけど印象を変えてみたわ」
マミ「なぎさちゃんと朝までハロウィンしてしまったわ……」
さやか「まどかの鞄持ちオーディションを開催します」
なぎさ「お話しようよゆまちゃん!」ゆま「うん、いいよ!」
ゆま「なぎさちゃん、ちゅーしてもいい?」なぎさ「もちろんなのです♪」
QB「悪魔が聖夜に最期を迎えるなんて、皮肉が効いてるよね」ほむら「…………」
なぎさ「安価でキュゥべえの出方を見るのです」
まどか「悪魔さんの噂」
さやか「マミさんの前でイチャついてみよう!」なぎさ「意地悪してみるのです!」
ほむら「百江なぎさって何処に住んでるのかしら……」
キュゥべえ「魔法少女衣装のシースルー化を呼びかけよう(提案)」
ほむら「悪魔だけど安価で魔法少女を救済するわ」
ほむら「ルンバを買ってきたわ」
マミ「クーラーが壊れたからハッスルダンスするわ」
なぎさ「ほむほむにお詫びの品を要求するのです」
ほむら「まどかからブルマを借りパクしてしまったわ……」

・エタ
まどか「ほむらちゃん黒猫説?」
キュゥべえ「うひょおおおお! かずみちゃんペロペロおいしいぃぃぃぃ!!」
ほむら「ギャルゲみたいな時間軸に来てしまったから安価で攻略するわ」

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