ことり「幸せな休日」 (48)

・設定はSIDとかアニメとかごっちゃになってるので、生暖かく見守っていただけると幸いです。

・地の文はことりちゃん一人語り。SID風に捉えていただけると。

・時系列的には2期5話ファッションショーの直後くらい・・・という設定で。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400860927

今日はとってもいい天気。

絶好のウィンドウショッピング日和です。

服飾のお勉強とか、そういう難しいことは差し置いても、ことりはお洋服そのものがとっても好き。

だから天気のいい日はこうして街に繰り出してお店を回るのが趣味のひとつなんです。

可愛いお洋服がたくさん並んでて、ことりにとってはまるで宝石みたい。

女の子を可愛く飾ってくれる、とってもキラキラしたお洋服たち。

見てるだけでドキドキ、ワクワクしちゃいます。

「~♪」

すっごく楽しくて、ついつい鼻歌まじりに。

「……あれ?」

次のお店に目を向けると、どこかで見たような後ろ姿。

お日様みたいな明るい髪のショートカットの女の子。

「凛ちゃん……だよね?」

凛ちゃんはショーウィンドウにじーっと見入ってて、ことりには気づいてないみたい。

そこに飾ってあるのはとっても可愛いワンピース。

「りーんちゃんっ」

「にゃーっ!?」

ぽん、と肩を置いただけで凛ちゃんはすごくびっくりしたみたい。

「わわ、ごめんねっ?」

「こ、ことりちゃん?どうしてここに?」

「どうしてって、普通にお買い物だよー」

変なことを聞く凛ちゃん。

「凛ちゃん、この服興味あるの?」

ショーウィンドウを指さして聞いてみます。

「え!?な、ないよ!」

ぶんぶんと必死に首を振る凛ちゃん。

そんなに恥ずかしがらなくたっていいのに。

ぶんぶんと必死に首を振る凛ちゃん。

そんなに恥ずかしがらなくたっていいのに。

ことりには分かります。

あれだけ熱っぽい視線でじーっと見てたんだもの。

「試着だけでもしてみればいいと思うよ?とっても似合うと思うなぁ」

「に、似合わないよ。凛にはこんなに可愛い服……」

「ほら、凛ちゃんだって可愛いと思ってるんじゃない」

「う……」

たじろぐ凛ちゃん。

「凛ちゃんはもっと自信持っていいと思うよ?」

「そ、そうかにゃ……?」

ファッションショーライブのときだって、ことり達は写真しか見てないけどすっごく可愛かった。

間近で見られなかったのが悔しいくらい!

「うー……」

チラチラとショーウィンドウを見ながらもじもじしてる凛ちゃん。

まだ吹っ切れてないのかなあ。

決めました!今日ことりは、可愛い凛ちゃんをたっくさん見ちゃいます!

「ほらほら、れっつごー♪」

ちょっぴり強引に凛ちゃんの手を引いて。

「ちょ、ことりちゃん!?にゃーっ!?」

「だ、誰か助けてーっ!」

「それは花陽ちゃんのだよー♪」

お店の中に入って、あれよあれよと凛ちゃんを試着室に。

店員さんに言って、さっきのお洋服を出してもらいます。

うん、とっても可愛い。

凛ちゃんにぴったりの、白を基調にワンポイントでお日様みたいなオレンジ色が入ったワンピース。

そして黄色とやっぱりオレンジ色のキャミソール。

絶対凛ちゃんにぴったり!

「はい凛ちゃん、着てみて着てみて!」

「は、はい……」

ごそごそ、と着替える凛ちゃん。

「凛ちゃん、着替え終わった?」

「う、うん。でもことりちゃん?やっぱり凛は……」

「はーいオープンっ!」

「にゃーっ!」

カーテンを開けると。

「いきなり開けるなんてひどいにゃ……」

ちょっぴり恥ずかしそうに、スカートの裾をおさえながら立ってる凛ちゃん。

「うわー、可愛いよ凛ちゃんっ!」

「そ、そうかな……?へへ……」

自信なさげな凛ちゃんだけど、なんだか嬉しそう。

可愛い服を着て、可愛いって言われて、嬉しくない子なんていないもんね。

でも、やっぱり凛ちゃんは特別可愛いと思います。

さっきから他のお客さんもこっちをチラチラ見てるみたい。

「あの、ことりちゃん?」

「ん?なぁに?」

「そろそろ脱いでも……?」

「次はこっち!」

ビシッ!とことりコーディネートで見繕ってきた服を凛ちゃんに渡します。

「え、えぇっ!?」

「せっかくの機会だもん、いろんなお洋服着ないとね♪」

ことりは今、とっても楽しいです。

「ことりちゃん、ノリノリだにゃー……」

その後も、いろんなお洋服を持ってきては着てもらって。

まるでことりだけの即興ファッションショーみたいです。

凛ちゃんと2人、いろんな店を回って、いろんなお洋服を着て。

最初は渋ってた凛ちゃんも、途中で吹っ切れたのか楽しんでくれたみたい。

気づいたらあっという間に時間が経ってしまっていました。

「んー……さすがにちょっと疲れたにゃー……」

「そうだね、ごめんね?」

「ううん、凛もとっても楽しかったし!」

最初のお店で買ったあのワンピースが入った袋を下げて、嬉しそうに。

うん、とっても楽しかった!

でも、たくさん歩いたからことりもさすがにちょっとだけ疲れちゃった。

そうだ!

「連れ回しちゃったお詫び……じゃないけど、私のお部屋でお茶でもしない?」

「いいの?ことりちゃんのお部屋、初めてだー!」

「うん、昨日焼いたチーズケーキもあるし、寄っていってくれると嬉しいな♪」

「チーズケーキ!さっそくいっくにゃー!」

元気いっぱいの凛ちゃん。なんだか微笑ましいです。

のんびりと歩いて、ことりのお部屋までご招待。

―――

「お邪魔しまーす……」

凛ちゃんはなんだかちょっぴり緊張した様子で。

「そのへんに座って楽にしてて?今ケーキとお茶持ってくるね」

「あ、お構いなく!」

「ふふ、どうしたの凛ちゃん?」

なんでかかしこまっちゃってる凛ちゃんを見て、つい笑ってしまいます。

「なんだか、女の子の部屋!って感じでちょっと緊張しちゃって……」

照れくさそうに頭をかいてる様子が微笑ましくて。

「はい、お待たせしました♪」

「わあっ、おいしそー!」

ぱあっと笑顔が咲きます。

凛ちゃんの魅力の1つは、こうやって表情がくるくる変わること。

「んー、おいしい!さすがことりちゃんだにゃー」

「そう?良かったー」

のんびりとお茶をしながら、いろんなお話。

μ‘sのこと、普段の生活のこと、趣味のこと。

「凛ね、ことりちゃんにずっと憧れてたんだー」

凛ちゃんは急にそんなことを言います。

「ことりに?どうして?」

「だって、ことりちゃんってお菓子作りやお裁縫も得意で……」

「とっても綺麗な長い髪だし、とっても可愛くて『ザ・女の子』って感じだから」

「凛はちんちくりんだし、髪もこんなに短いし……」

「ことりちゃんみたいになりたいなーってずっと思ってたんだ」

凛ちゃんがそんな風に思ってたなんて。

そんなことない、凛ちゃんは可愛いよって。

そう言おうとしたとき。

「でもね」

そこで、一息ついて。

「この間のファッションショーでみんなに背中を押してもらって」

「今日ことりちゃんにいろんな服着せてもらって、可愛いって言ってもらって……」

「凛は凛でいいのかなって、今は思うんだ」

「自信なんてないけど、可愛いって言ってくれるみんなのことは信じたいなって」

「今はそう思ってる……にゃ」

ちょっぴり照れくさそうに、そんな告白をしてくれました。

いつも元気で、とっても明るい凛ちゃんだけど、やっぱり悩みはあって。

だけどゆっくりでも確実に、一歩一歩前に進む凛ちゃんはとってもカッコいいと思います。

そんな凛ちゃんこそ……。

「凛ちゃんこそ、私の憧れだよ?」

「ダンスはとっても上手いし、いつでも明るくて」

「ホントは誰より女の子らしくて、とっても可愛い」

「ことりは、いつもそんな凛ちゃんに元気をもらってるんだよ」

凛ちゃんが憧れだって言ってくれたみたいに、私も伝えます。

「な、なんか背中がむずむずするにゃー」

なんて、2人で褒めあって。

「なんだか変な感じだね、ふふっ」

そんなことを言いながら、その後もたくさんおしゃべりしました。

ふっと外を見ると、気づいたら夕方。

「ね、凛ちゃん……あれ?」

見ると、凛ちゃんは船を漕いでいます。

今日はたくさん歩いたもんね。ちょっと疲れちゃったかな。

「んー……眠いにゃ……」

こてん、とそのまま横に倒れこんじゃって。

でも、なんだか収まりが悪かったのか、ちょっと寒かったのか。

ことりの方にのそのそと寄ってきて。

ぎゅっ。

「ことりちゃん暖かいにゃー……」

「わわ、凛ちゃん?」

「……すぅ……すぅ……」

ぎゅーってことりに抱きついたまま、静かに寝息を立てています。

ど、どうしよう……起こすのも可哀想だし……。

でもこれじゃ身動きとれないし。

「んー、ちょっとごめんね、凛ちゃん」

そっと抱きついてる凛ちゃんの腕を外して。

凛ちゃんの頭をそっとことりの膝に乗せてあげます。

「膝枕で我慢してね……?」

「んん……」

良かった、ことりの膝枕で満足してくれたみたい。

気持ちよさそうに眠る凛ちゃんはまるで本当に猫ちゃんみたい。

頭を撫でてあげると。

すりすり、とじゃれるみたいに頭をこすりつけてきます。

「あはは、くすぐったいよー?」

起こさないように小声で。

幸せそうに眠る凛ちゃんを見て。

こんな休日も素敵だなって、ことりは思います。

この可愛い猫ちゃんを起こすのは、夕飯の時間になったらでいいかな。

ゆっくりゆっくり凛ちゃんを撫でながら。

ことりもなんだかとっても幸せな時間を過ごしたのでした。

短いですが以上です。

凛ちゃんの買った服は5話のラストの練習着をイメージしていただけると…

ことりちゃんの口調にかなり苦心したので、おかしなところがありましたらすいません。

それでは、またよろしくお願い致します!

感想ありがとうございます!

書き分けについては今回かなり苦戦したので、もし分かりにくかったのであれば私の実力不足です。

ただ雰囲気を大切にしたいところもあって、登場人物が2人~3人までは出来る限り台本形式は使わないつもりではあります。

もっと精進しますのでご理解いただけるとありがたいです。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月24日 (土) 03:09:53   ID: Q9tOskjX

とてもよかった!

2 :  SS好きの774さん   2014年05月24日 (土) 12:18:07   ID: gnyBaAqw

いやーことりちゃんはいいおねぇさんって感じでいい。凛ちゃんもかわいいな!

3 :  SS好きの774さん   2014年05月24日 (土) 12:26:58   ID: 1j9G_21v

仕事早いですね
ホントに最高です♪

4 :  SS好きの774さん   2014年06月02日 (月) 00:39:03   ID: hTAbt21X

この人のSSが俺は一番好きだ

5 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 18:56:43   ID: CZMhGcg_

ええ、素晴らしいです

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