えり「家出少女?」成香「素敵に出てきました」 (51)

遅くなりましたけと家出少女の成香ちゃんっていうか何ていうか……



咏「いやー、お疲れさん」

えり「お疲れ様です。明日はオフですから飲みに行きますか?」

咏「えりちゃん弱いじゃん。まー行くけど」

えり「タクシー呼びます?」

咏「もう呼んでるぜー」

えり「相変わらず早いですね」

咏「仕事と遊びで忙しいけど部屋は大丈夫なのかい?」

えり「お恥ずかしい話、汚いです。家政婦欲しいですね」

咏「いざとなったら手伝ってやるよ」

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えり「ありがとうございます……それより、三尋木プロ」

咏「ん? どしたの?」

えり「あそこの子、少し様子が……」

咏「そうだね。おかしいし、見たことあるよな。知らんけど」

えり「どっちですか……確かインターハイで……本内選手」

咏「事情聴取事情聴取っと。おーい、そこの鬼太郎!」

えり「失礼ですよ」

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ーーーーーー

咏「生中2つと焼き鳥適当にね。後は……烏龍茶1つ」

えり「それで、どうして東京まで来たの?」

成香「強くなりたくて……もう、皆さんの足は引っ張りたくないんです」

えり「親や仲間はそのことは?」

成香「大丈夫です。探さないで下さいって置き手紙してきました」

咏「いや、大丈夫じゃねーじゃん」

えり「明日、すぐに帰りなさい」

成香「え?」

咏「それだと家出少女ってより自殺少女じゃね?知らんけど」

えり「……少し、外します」

咏「お願いねぃ……で、強くなりたいって?」

成香「はい。せめて、先鋒で必ずプラスで帰れるくらいには」

咏「それって相当強くないと無理だぜ?」

成香「分かってます」

咏「少し厳しいこと言うと……本内ちゃんの実力じゃ短期間じゃ難しいぜ?」

成香「……」

咏「私は嫌いじゃないぜ?」

成香「ならーー」

咏「おいおい、トッププロが誰かに肩入れするのは問題なんだよ」

成香「そう、ですよね」

咏「だから、友達になろうぜ。友達と遊ぶなら、問題ないだろ?」

えり「わざわざ遊ぶ為に北海道まで行くんですか?」

咏「おーえりちゃん。どうだった?」

えり「本内さん、獅子原さんから伝言。どうせ帰る金、無いんだろ? 自分で稼いで帰っておいで。だそうよ」

成香「うっ……どうしましょう」

咏「私が出してあげてもいいんだけど……自分で稼げときたなら、ね」

えり「宿もない、働くあてもない、お金もない……無茶を言うわね」

成香「このままホームレスで一生を終えるのは嫌です……」

咏「そーいや、えりちゃん」

えり「どうされました?」

咏「家政婦欲しいって言ってたよね」

えり「……まさか」

咏「そのまさかだよ。雇ってあげたらいいじゃん。ね、私の友達だし」

成香「三尋木プロ……」

えり「はぁ……分かりました。本内さん、私が雇います。夏休みが終るまで」

成香「ありがとうございます!」

咏「じゃあ早速明日から遊ぼう」

成香「はい!」

えり「とりあえず食べましょう」

咏「そだね。本内ちゃんも食べて食べて。奢りだから」

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成香「おはようございます。珈琲、どうですか?」

えり「いただくわ。ありがとう」

成香「トーストです」

えり「本当に家政婦してるのね」

成香「まぁ……はい」

えり「私は仕事だけど、本内さんは今日はどうするの?」

成香「三尋木プロが遊びに来るらしいです」

えり「え? ここに?」

成香「はい。オフだから暇潰し付き合ってって」

えり「まぁ、三尋木プロなら安心か。鍵、無くさないでね」

成香「はい。かしこまりました」

えり「それじゃあ私、用意してくるわ」

成香「では、私は朝ご飯食べてきます」

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成香「掃除よし、洗濯よし、洗い物よし……暇です」

成香「……これは、資料?」

成香「インターハイの出場選手の牌譜。こちらは最近のニュースや新聞を纏めたノート……」

咏「何見てるんだい?」

成香「うひゃぁっ……三尋木プロ、いつの間に」

咏「ああ、合鍵持ってるからね。えりちゃんが酔っ払って大変だった時に送ったから。返すの忘れてんだ」

成香「はぁ……少し早いですけどお昼食べます?」

咏「本内ちゃん、料理できるの?」

成香「簡単なものなら何とか……」

咏「一緒に作ろっか……どれどれ、冷蔵庫の中身は……ミートソースが作れるねぃ。知らんけど」

成香「知らないんですか……」

咏「いいから、人参の皮を剥いてみじん切りにして」

成香「はい」

咏「そうそう、本内ちゃん」

成香「どうされましたか?」

咏「麻雀、二人じゃ出来ないね」

成香「……あ」

咏「つうわけで、今日はインターハイのおさらいね。次、ピーマンと玉葱」

成香「はい……目が痛いです」

咏「我慢我慢」

成香「うぅ……」

咏「それをバターをひいたフライパンに入れて火を通して。ほんとは順番があるけどめんどいからいいや」

成香「いいんですか」

咏「いいのいいの。で、ミンチを入れて火が通ったらケチャップとか調味料ね」

成香「ミートしかないですよ。ソースっぽくないです」

咏「じゃあ最後に水溶き片栗粉を入れて終わりだ」

成香「……ミートソースです!」

咏「簡単だろ? 隣で麺湯がいてたからパスタにしようぜ」

成香「素敵ですね」

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えり「ただいま」

成香「お帰りなさい。晩ご飯、出来てますよ」

えり「ありがとう。三尋木プロは?」

成香「……散々ダメ出しして帰りました」

えり「ダメ出し?」

成香「針生さんが置いてた私の牌譜を見ながらどこがダメだとか……」

えり「あの人が……珍しいこともあるのね」

成香「そうなんですか。切り替えて晩ご飯にしましょう」

えり「ええ。いただくわ」

成香「ちなみに隠し味は醤油です」

えり「隠し味を言っていいの?」

成香「あぅ……」

えり「……三尋木プロと作った?」

成香「分かるんですか?」

えり「味が同じよ」

成香「あの人、ああ見えて何でも出来ますね。素敵です」

えり「人は見かけによらないわ」

成香「私も食べます。お箸取ってもらっても?」

えり「はい、どうぞ」

成香「ありがとうございます。そう言えば、お仕事どうでしたか?」

えり「いつも通りよ。台本に目を通して、収録。それだけよ」

成香「収録?」

えり「今度、見に来てみる?」

成香「いいんですか?」

えり「迷惑かけなければいいわよ」

成香「ありがとうございます!楽しみです」

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成香「一週間が経ちました。私はというと、一通りの家事と三尋木プロの指導で忙しいです」

成香「料理のレパートリーも増えましたし、何時一人暮らしをしても困りません」

成香「針生さんは毎日遅くまで仕事をされているそうで、晩ご飯は本気です……まぁ、三尋木プロに教わっているのですが」

えり「本内さん、塩取ってくれない?」

成香「塩ですね。分かりました」

えり「……岩塩? 普通の塩なかった?」

成香「ありませんでした」

成香(本当は全部床に撒いてしまったので買ってきました)

成香(少々汚い話ですが、買い出しの為のお金は先に渡されています。この範囲内で今日は過ごしてと)

成香(実際、買い出しに行ってもかなり余るんですよね)

えり「そう。それにしても不思議ね」

成香「何がですか?」

えり「こうして女子高生と食卓を囲めることよ」

成香「仰る意味がよく分かりません」

えり「貴女もこの歳になったら分かるわ」

成香「そういうものですか」

えり「多分。それで、麻雀の方はどうなの?」

成香「二人じゃ打てないからひたすら説明を受けてます。あの人、よく来ますけど仕事は大丈夫なんですか?」

えり「シーズンじゃないから大丈夫よ。それに可愛がられてるわね」

成香「散々からかわれてますよ。ここでこれ切った意味は? わっかんねーんだけど。とか言って」

えり「それでも結局、正解を教えてくれるでしょ?」

成香「まぁ」

えり「なら安心ね。来年のインターハイが楽しみだわ」

成香「素敵な結果を残したいです。けど、問題は……」

えり「大星淡、宮永咲を筆頭とした子達ね」

成香「正直、戦いたくないです」

えり「一年でどれだけ差を詰められるかよ。私は応援してるわ」

成香「ありがとうございます」

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成香(……どうしてこうなったのでしょう……)

咏「集まってくれてありがとね」

成香「ここ、針生さんのマンションですよね?」

照「プリンうまうま」

智葉「三尋木プロの頼みは断れませんよ」

咏「ガイドちゃんはこの子知ってるよね?」

智葉「同じ先鋒でしたから」

咏「戦ってみた感想は?」

智葉「弱かったです」

成香(泣いてもいいでしょうか?)

智葉「弱かった。だが、伸び代は感じました。彼女はスポンジですよ」

咏「鍛えればモノになるとかい?」

智葉「ええ。もしかして、私達が呼ばれた理由って、彼女の件ですか? プロが肩入れするのは正直……」

咏「プロ? 知らねーな。私は三尋木咏個人として友達を鍛えてやりたいんだ」

智葉「なるほど。ならば、尽力は惜しみません。なぁ、宮永?」

照「ごめん、最初から話してもらっていい?」

智葉「人と話すときくらいプリンを置け!」

咏「まーまー。それに照ちゃんには美味しいお菓子が食べられるとしか言ってないし」

成香(話に入れません)

智葉「さて、早速打つか」

照「麻雀? 三尋木プロに勝ったらお菓子もらえるの?」

咏「勝ったら好きなお菓子奢ってやるよん。本内ちゃんもいい?」

成香「はい。お願いいたします」

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照「最後の手、良かったよ。けど、もう少し周りを見よう」

智葉「本番でも同じことをしていたぞ」

成香「うぅ……」

咏「うーん……何て言うかわかんねーけど、もう一皮剥けたら劇的に変わりそうだね」

成香「もう一皮ですか?」

咏「難しいことじゃないよ。武器を確立するって言った方が正しかったかな?」

智葉「私もそれを感じました」

照「……例えば絶対防御とか、速攻とか」

智葉「だが、尖らせ過ぎるのも問題だな。対策されると厳しい」

咏「宮永ちゃんみたいに能力持ちなら話は別なんだけど」

照「対策されても問題ない」

成香「すごい自信ですね」

照「それが王者」

成香「……対策されても問題ないです!」

智葉「いや、全く貫禄ないからな」

成香「うっ……」

咏「そりゃ、結果を残してないんだからね」

照「けど、運がいいよね。これだけ高火力な面子はそうそう集まらない」

智葉「ああ。私はともかく、二人はとにかく稼ぐからな」

咏「あり? 方向性決まった?」

成香「……高火力」

智葉「それでいて振り込みを減らすのが目標だ」

照「……育成ゲーム」

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成香(それから数日。私の私物が増えることはありません)

成香(強いて挙げるなら服と三尋木プロが何処からか持ってきた雀卓くらいでしょうか)

えり「それにしても豪華な面子ね」

成香「はい。毎日が楽しいです」

えり「それなら良かったわ」

成香「でも、ここが溜まり場になりつつあるのは申し訳ないです」

えり「私が帰る頃には片付いておけば問題ないわ」

成香「ありがとうございます」

えり「……それより、味付け変えた?」

成香「分かるんですか?」

えり「勿論よ。美味しいわ」

成香「良かった。デザートはチーズケーキなんですけど、大丈夫ですか?」

えり「大好きよ」

成香「まぁ、宮永さんがほとんど食べちゃったんですけど」

えり「あの子、お菓子好きらしいからね」

成香「ずっと何か食べてましたよ」

えり「それであの体型。羨ましいわ」

成香「一体栄養はどこに回っているのでしょうか?」

えり「……ツモ運?」

成香「否定できないです」

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成香(さて、私の一日が今日も始まります)

成香(朝の5時過ぎ。寝癖を直し、顔を洗います)

成香「……卵、ベーコン、トースト、レタス」

成香(それ以外に朝ご飯に使えそうなものがありません)

成香(朝の5時半。料理の開始です)

成香(フライパンの上にベーコンと卵を落とします)

成香「トーストトーストっと」

成香(その間にトーストを焼き、再び冷蔵庫を確認します)

成香「なるほどなるほど」

えり「何がなるほどなの?」

成香「あっ、おはようございます」

えり「おはよう。珈琲飲む?」

成香「砂糖たっぷりでお願いします」

成香(針生さんが起きてくるのは決まってこの時間です。大体6時前後)

成香(針生さんが珈琲を容れている横で私はお弁当の準備に取りかかります)

えり「砂糖取ってくれる?」

成香「どうぞ」

えり「ありがとう。先に朝ご飯食べちゃいましょう」

成香「はい。少しだけ待っててください」

成香(簡単な仕込みだけ済ませて私もテーブルにつき、二人揃って朝ご飯です)

えり「今日の予定は?」

成香「朝に家事を終わらせて昼からは普段通りです」

えり「そう。あっ、リモコン取ってもらってもいい」

成香(ニュースを見ながら朝ご飯を食べる針生さんを横目に私はお弁当の準備に再び取りかかります)

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成香「いってらっしゃいです」

えり「いってきます」

成香(針生さんを送り出した私は早速、洗濯機を回し、掃除に精を出します)

照「……お腹すいた」

成香「いつの間に……」

照「インターホン鳴らしても誰もでなかった」

成香「はぁ。朝ご飯食べます?」

照「ありがとう」

成香(このようにハプニングは多々あります)

成香「お弁当の残りですけど」

照「いいよ。私が押し掛けて来たんだから」

成香「昼まで二人ですけど何します?」

照「寝る」

成香「いやいやいや」

照「なら、映画でも借りてこよう」

成香「分かりました。食べたら行きましょう」

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成香(映画を借りたのはいいです)

照「……ダメなやつだ」

成香(……何で朝からホラーなのでしょう)

成香「怖いです」

照「いや、そこいる! ほら!」

成香(横で叫ばないで下さい)

成香(あっ、洗濯も掃除も済ませてあります)

照「うわっ……グロ」

成香「気持ち悪いです」

成香(……夜中、針生さんにトイレ着いてきてもらいましょう)

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成香(お昼です。三尋木プロは用事で休みです)

照「何する?」

成香「麻雀……は無理ですね」

成香(辻垣内さんも今日は予定が入っているらしいです)

照「いや、出来るよ。妹が東京に来るらしいから、後輩を呼べば揃う」

成香「え?」

成香(猛獣の檻に放り込まれる人はこんな気分なのでしょうか)

照「と思ったけど携帯忘れた」

成香「……ほっ」

照「だから、雀荘行こう。小遣い稼ぎに」

成香「宮永さん相手だと誰も賭けたがりませんよ」

照「私、有名人。お金を落としてでも打ちたい人はいる」

成香「確かに言われてみればそんな気がします」

照「ガッツリ稼いで贅沢しよう」

成香「素敵です!」

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照「プラス収支だったね」

成香「こんなこと言ったらなんですけど……弱かったです」

照「本内さんが強くなってきてる」

成香「それは、嬉しいです」

照「まぁ、いいや。次、どこの駄菓子屋で豪遊する?」

成香「何で駄菓子屋限定なんですか?」

照「お菓子と言ったら駄菓子屋じゃない?」

成香「もう少し女子高生らしい店に行きましょうよ。喫茶店とか」

照「喫茶店?」

成香「紅茶でも飲みながらケーキを食べましょう」

成香(この前のチーズケーキは食べれなかったですし)

照「行こう。今すぐ行こう」

成香「走り出さないで下さい!」

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成香(喫茶店に入ったのはいいのですが……)

淡「テル!この人誰?」

咲「本内さんだよ。お久しぶりです」

成香「こちらこそお久しぶりです。大星さんは初めてですね。本内成香です」

照「あっ、メニューのここからここまでお願いします」

咲「ところで、本内さんは何で東京に?」

成香「実は武者修行で」

咲「それでお姉ちゃんと」

成香「はい。毎日教えてもらってます。宮永さんは、大星さんとですか?」

咲「淡ちゃんが毎日東京に来いって言うので」

成香「当の大星さんは宮永さんのケーキを強奪してますけど」

咲「あはは。けれど良かったです」

成香「何がですか?」

咲「これで淡ちゃんと決着がつけれますから」

成香「」

照「あっ、でっかいパフェおかわり下さい」

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成香「て事がありました」

えり「災難ね」

成香「それよりも宮永さんの食べる料に驚きました」

えり「けど私も一度でいいからメニューの端から端まで注文してみたいわ」

成香「テーブル中に甘いものですよ」

えり「食べられないわね」

成香「無理です。結局、皆さん死屍累々でしたよ」

えり「だから晩ご飯食べないの?」

成香「正直匂いだけで胸焼けします」

えり「なら、先にお風呂入ってきたら?」

成香「いえ、雇ってもらっている身なのでそんなこと出来ません」

えり「真面目ね。一欠片でいいから三尋木プロに分けられないかしら」

成香「あの人も真面目ですよ。多分、私以上に」

えり「言葉の綾よ。あの人の真面目は分かりにくいわ」

成香「真面目を芯に不真面目でコーティングしたみたいな人ですからね」

えり「言い得て妙ね」

成香「お仕事で何かあったのですか? 確か今日は一緒でしたよね」

えり「いつも通りよ。三尋木プロの無茶振りに私が振り回されて」

成香「その光景が目に浮かびます。けど、嫌じゃないんですよね」

えり「まぁ……ほら、お風呂先に入ってきなさい」

成香「分かりました。いただきます」

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ーーーーーー

成香(そもそもですね。私は麻雀という競技を全く知らなかったのです)

成香(インターハイ。あの一挙一動にどのような意図で牌を扱ったのでしょうか?)

成香(答えは何の意図もないです。いえ、意図はあったのでしょうが的を得ていない。そう表現した方が正しいのでしょう)

成香(針生さんの家に居候さして頂いて早2週間と少し。麻雀の実力と家事スキルは目に見えて上がりました)

成香(麻雀なら、毎回飛んでいた私ですが、飛ばされる回数が徐々に減ってきました)

成香(家事なら、効率よく全てこなせるように。料理も凝ったものもある程度作れるようになりました)

成香(素敵です)

成香(針生さんの職場にお邪魔もしました。やっぱり、格好良かったです)

咏「いやー、ひっさしぶりだね。知らんけど」

成香「最近忙しそうでしたから声をかけづらかったです」

咏「気にしなくてもいいのに。調子はどうよ?」

成香「概ね良好です」

咏「ふうん。あっ、そこの牌譜取って」

成香「どうぞ」

咏「本内ちゃん飛ばされてないじゃん。へぇ、これは……」

成香「どうかされましたか?」

咏「見違えたなぁって。インターハイよりも圧倒的にいい」

成香「あっ、ありがとうございます!」

咏「ガイトちゃんの言っていた通り乾いたスポンジだね。割りと火力も高くなってきてるみたいだし。だからさーー」

成香「だから?」

咏「その自信、へし折ってやるよ。底から這い上がってきな」

成香「……本当ですか」

咏「ホントホント。ほら、行くよー」

ーーーー
ーーーーーー

咏「いやー勝った勝った。甘いね本内ちゃん」

成香「」

成香(もしかしたらいい勝負出来るかもと思っていましたが、甘かったです)

成香(一度も点を増やすことなく飛ばされました……宣言通り、自信無くしました)

咏「よし、これで本内ちゃんの奢りだね」

成香「聞いてないですよ」

咏「いいじゃん。負けたんだから」

成香「……はぁ」

成香(さようなら、私が稼いだ雀荘でのお金……)

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ーーーーーー

成香(結局、奢っていただきました)

成香(基本的にいい人なんですよね)

成香「すいません。私が負けたのに」

咏「いやぁ、高校生にたかるのはさダサくね?」

成香「私が中学生に奢ってもらうのと一緒ですね。確かにそうです」

咏「だろ? これは貸しにしといてあげる」

成香「貸し、ですか?」

咏「そーそー。来年のインターハイで返してもらうよ」

成香「へ?」

咏「最初に言ってだろ? 先鋒で必ずプラスで帰るって」

成香「……数週間前ですのに凄く昔に感じます」

咏「それだけ濃い日々を過ごしてるってこどじゃね? 知らんけど」

成香「はぁ……」

咏「あっそうだ、これから私は忙しくなるから暫く会えないわ。北海道に帰る日に見送りには行くから」

成香「いえ、気を使わなくても」

咏「そんなことしねーよ。成長した顔を見たいだけだから」

成香「ありがとうございます」

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ーーーーーー

成香(給料日です)

成香(私の1ヶ月苦労が全て報われた気がします)

えり「お疲れ様。1ヶ月、楽しかったわ」

成香「……こんなに……飛行機代だけじゃなかったんですか?」

えり「本内さんの仕事を客観的に見て判断した額よ」

成香「いや、でもこれ北海道に戻って市場で豪遊するだけの額はありますよ?」

えり「楽しそうね。飛行機の予約は済ませてあるから今日は挨拶回りにでも行ってきなさい」

成香「はい!」

ーーーー
ーーーーーー

照「だから、朝から喫茶店に呼んだの?」

智葉「なるほどな」

成香「はい。二人にはお世話になりましたので」

智葉「なるほどな。ここは素直に行為に甘えておくか」

照「店員さん、メニューのここからここまでお願いします」

成香「宮永さん!?」

智葉「食べれるのか?」

照「そんな気がしてたから昨日の晩ご飯抜いた」

成香(宮永さんには一生かかっても勝てる気がしません)

成香「まぁ、いいです」

智葉「それより、来年のインターハイ、楽しみにしている」

照「確かに強くなったしね」

成香「皆さんには敵いませんでしたよ」

智葉「そう簡単に追い付かれてしまっては立つ瀬がない」

照「けど、このまま頑張れば先鋒でプラスも夢じゃない」

成香「本当に皆さんのおかげです! 料理、来ましたよ」

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ーーーーーー

咏「生中2つと適当に持ってきて」

えり「……」

咏「えりちゃん?」

えり「どうされましたか?」

咏「寂しいのかい?」

えり「顔に出てましたか?」

咏「それはもう思いっきり」

えり「そうですか。ちなみに、とれくらい強くなったんですか?」

咏「インターハイでそこそこ活躍できるくらいかな。知らんけど」

えり「それは楽しみですね」

咏「ま、私達の友達なら来年やってくれるよ」

えり「ええ。私達の友達なら……」

カン

終わったぁ寝る

こんなネタは収集がつかなくなりますね。ゴールが見えなくなります。

拝読ありがとうございましたっておやすみなさい。


次は前からやりたかったヒットマン宮永咲。もう書き始めてるけど、こっちもゴールが見えない。

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