魔法少女は衰退しました しーずん つー (925)



本作は『魔法少女まどかマギカ』と『人類は衰退しました』のクロスオーバーです。2スレ目です。

初めてのSSです。至らないところも多いと思いますが、よろしくお願いします。

キャラは最初の時間軸の状態……でした。今頃原作さんは何処行ったんでしょうね?

妖精さん無双猛将伝。

妖精さんが居るから鬱なんてあり得ない。

オリジナル妖精さんアイテムがてんこもり。

劇場版及び叛逆を見ていない時に投下を始めた話ですので、叛逆と矛盾した設定をやりつつ叛逆ネタが出るかも知れません。



以上の設定の元、再度暴走させていただきます。
そう、妖精さんのように。



こちらが前スレです。上手く張れてるかな?

魔法少女は衰退しました - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389948070/)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400834062


ふぃー、なんとかうまくリンク張れた。
それでは今から小ネタ投下しに前スレ行ってまいります。

本編はまた来週。



おすおっす。>>1でありんす。

前回のおまけで旧べえさんモテモテのようで、思惑通……書きたい物が書けていたようで一安心。


それでは本編(ただし日常回)の始まりですっ




えぴそーど じゅうなな 【ほむらさん達の、おりょうりちょうじょうけっせん】




――――先日救出した佐倉杏子さん。


さやかさんにマジ惚れしてしまった彼女でしたが、その後、さやかさんとの”穏便な交渉”を経て、

結局私の家の居候となる事が決定しました。

その交渉がどのようなものかはよく知りません。

ただ、交渉を終えたさやかさんがやつれていて、佐倉さんがお肌つるつるだったので、内容は察して知るべしでしょう。


さて。


そんなこんなで佐倉さんが家の居候三号(一号シャルロッテさん 二号ゲルトルートさん)となった翌日。つまり今日。

早速問題が発生しました。と言っても、それは佐倉さんが原因の問題ではありません。


予想していたとおり、学校が休校となったのです。


何しろ校舎はさやかさんと天使さんの激戦で崩壊。

それでも授業をしようとする学校なんてある訳がなく、修復工事が終わるまでお休みとなりました。

幸い見た目ほど損壊は酷くない事、最先端技術(なんでも流体金属を用いた特殊な工法とかなんとか)を使うので

半年もすれば復旧するという話でしたが……

その半年間教師が生徒の家庭を一つずつ回って授業する訳にもいきません。

一応公民館を使って授業が行われるようですが、そちらも色々と準備が必要なようで、

授業開始は一週間後になるとの事。


しかし一週間の自宅学習を命じても、遊びたい盛りの中学生が従う筈もありません。具体的には私とか。


そんな訳で学校から、宿題として多量のプリントが送られてきました。


これは私にとって地獄です。


何しろ私は一人で勉強するというのが大の苦手。先生が面白い事を言って、クラスメートが楽しい事をして、

私が見事なボケをお見舞いする……こういう事をしないと私は勉強が手に着かないのです。

いえ、好きな教科なら出来ますけど、英語とか歴史とかの嫌いな教科だと本当に見向きすらしなくなるので……


つまり提出期限を守れない可能性が特大。


流石にこの状態を放置する訳にはいきません。中学二年生にもなって提出期限を守れないのは恥ずかしいですし、

何より罰として課題が追加されるのは断固阻止したいところ。

私はなんとかして自分が勉強出来る環境を整えねばならなくなったのです。


そして私が取った方策は――――



                  ――― 暁美家リビング ―――



まどか「みんなを家に集めて、勉強会って事?」←翻訳眼鏡装着中。以下、ゲルト以外全員眼鏡あり

ほむら「えぐざくとりー」

マミ「まぁ、そんなに悪い事とは思わないけどね」

マミ「自分が勉強しやすい環境を作るという努力は認めるべきだと思うし」

マミ「誰かと一緒に勉強すれば、自分の分からないところをフォローし合える」

マミ「それに、やっぱり一人で勉強するのはつまらないもの」

さやか「確かにそうすっねー」

さやか「ところでほむらって、勉強はどれぐらい出来んの?」

ほむら「理系は得意です。サバイバル生活で身に付いた、と言うべきなんでしょうけど」

ほむら「数学も並には出来ます。これもサバイバルで役立ちますし」

ほむら「ただ文系は壊滅的ですねぇ……特に英語」

ほむら「英語を喋れても未知の部族相手には通じませんし……」

ほむら「それにジェスチャーだけでも結構コミュニケーション取れるんですよ?」

さやか「英語が出来ないからって肉体言語に持ち込むのはどうなんだよ」

マミ「いえ、美樹さん。暁美さんは英語が苦手とかじゃなくて、単にサバイバル以外には興味がないだけっぽいわよ」

まどか「野性的で素敵……」

ゲルト【盲目ですね】

杏子「つーかさー、なんであたしも一緒に勉強すんの?」

杏子「中学一年の勉強は全くやってないからついていけねーし……」

杏子「あ、勿論さやか様と一緒に勉強出来るのは嬉しいですよ?」

さやか「うん、そのフォロー別にいらないから」

ほむら「勉強の本質は、単に知識を植え付ける事ではありません」

ほむら「数の数え方、言葉の意味、真偽を見極める方法……」

ほむら「人として正しく、幸福に生きるための”教養”を身に着ける義務教育なのです」

ほむら「無論どの程度の教養が必要かは国や人によって考えは違うでしょうが」

ほむら「少なくともこの国では、中学三年生レベルの教養が生きる上で必要とされています」

ほむら「なら、佐倉さんが今後幸福に生きるためには」

ほむら「例え形式的であったとしても、勉強が必要になるとは思いませんか?」

杏子「う……ま、まぁ、勉強は嫌いじゃねーし……別に良いけどさ……」

さやか(あんな事言ってるけど、アイツさっき英語不要論言ってたよね?)

マミ(汚い。流石暁美さん汚い)

まどか(策略家なほむらちゃん素敵)

ゲルト(盲目ですね)



杏子「でもなぁ……このプリントに書かれてる漢字とか読めないの多いし……」

シャル「佐倉さんの勉強は私が見るわ。人間だった頃そんな勉強していた訳じゃないけど、中二程度ならなんとかなるし」

シャル「分からないところは教えてあげるから、気軽に聞いてね」

杏子「うん……頼む」

ゲルト【わ、私は巴さんと勉強したいのですが……よろしいでしょうか?】

マミ「ええ、勿論」

ほむら「それでは準備は出来たようですし、勉強を始めるとしましょうか」


……………

………





ほむら「……ふぅ。本日の勉強ノルマ終了っと」

さやか「え?! 早っ! あたしまだ半分も終わってないけど!?」

ほむら「半分って……それは私が早いのではなく、さやかさんが遅い気がするのですが……」

ほむら「今は何をやってるんですか?」

さやか「数学……」

まどか「さやかちゃん、数学苦手だもんね。分からない場所があっても延々と挑み続けるし」

ほむら「実に想像しやすい理由ですね」

さやか「うっさいなぁ! あとちょっとで解けそうなのに諦めきれる訳ないじゃん!」

ほむら「そして頑張って解いた答えが間違っている、と」

さやか「ぐふっ!?」

ほむら「……急がば回れ」

ほむら「これまでの解答を見る限り、どうにも公式を丸暗記しているだけの様子」

ほむら「まずは簡単な問題を解いて、公式の意味を理解する事から始めるべきかと」

ほむら「例えば……この問題。多分間違ってます」

ほむら「ここは引っかけで、使う公式はこれじゃないです。ほら、この部分が……」

さやか「あ、ああ! 成程。確かに……」

ほむら「ですからこの数字をここに代入して……」

さやか「ふむふむ」

ほむら「こうすると、解ける訳です」

さやか「おおっ!?」

まどか「……ほ、ほむらちゃん! あの、私古文で分からないところがあって」

ほむら「あ、ごめんなさい。古文は私も苦手なんです」

まどか「ウェヒー……」



杏子「なぁー、そろそろ飯にしねーか?」

ほむら「はい?」

シャル「ちょ、アンタまだ勉強の途中で……」

杏子「だって頭使うと腹減るじゃん。集中力続かねーよ」

杏子「それにほら、もうお昼だし」

シャル「まだ十一時でしょうがっ!」

杏子「あたしは何時もそのぐらいの時に昼飯食ってたし」

シャル「だったら今はお菓子で我慢しなさい! ほらクッキー!」ポポポンッ

杏子「いや、まぁ、シャルのクッキーは美味いけどさぁ」

杏子「なんつーか、ジャンクフードって感じがして腹が膨れないんだよねぇ」モグモグ

まどか「……でもちゃんと食べるんだね」

杏子「食い物は粗末にしない主義なんだ……けぷ」

杏子「そんな訳だからさぁ、なんか作ってよ。勉強一区切りついたんだろ?」

ほむら「仕方ないですねぇ……ちょっと早いですが支度しますか」

マミ「あ。なら私が作ろうかしら?」

ほむら「え?」

マミ「この前の約束とはちょっと違うけど、料理を振る舞うって言ったでしょ?」

マミ「これでも一人暮らしをしてるし、腕には自信があるわ」

マミ「お台所借りる事になるけど、美味しいの作ってあげる!」

ほむら「いえ、そんな……お客様にそこまでさせる訳には……」

ほむら「それに私、料理は好きですし。気にしないでください」

マミ「もう、遠慮しないで良いのよ?」

ほむら「しかし……」

杏子「あー、だったらさ。上手い方に作ってほしいね、どうせなら」

ほむマミ「上手い方?」

杏子「そーそー。で? ほむらとマミのどっちが料理上手いのさ?」

ほむら「ああ、まぁ……」

マミ「それは勿論」






ほむら「私です」

マミ「私よ」






ほむら「……………」

マミ「……………」

杏子「え……いや、あの」

ほむら「巴先輩、何を言ってるんですかー」

ほむら「妖精さんと付き合うためお菓子作りを極め」

ほむら「サバイバルのために普通の料理をも極めたのがこの私」

ほむら「これでも料理の腕は自信があるのですよ?」

マミ「もう、暁美さん。あまり調子に乗っちゃ駄目よ」

マミ「両親を亡くして早三年」

マミ「その間私はずっと一人暮らしで、毎食料理を作っていたのよ?」

マミ「経験の差を嘗めちゃ駄目」

ほむら「嘗めてませんよ」

ほむら「ただただ三年間同じ事の繰り返しで得た経験なんて」

ほむら「RPGで序盤のスライムを延々狩り続けるようなものじゃないですか」

ほむら「”プレイ時間”は短くとも、ドラゴンやデーモンを狩ってきた私の方がレベルは上ですよ」

マミ「石の上にも三年という諺を知らないのかしら」

マミ「何事も基本が大事。積み重ねこそが人間を成長させるの」

マミ「レベルを上げて物理で殴る」

マミ「そんなゲームの進め方じゃ、何時まで経っても技量は伸びないわよ」

ほむら「ふ、ふふふふふふふ」

マミ「うふ、うふふふふふふ」

まどか「あ、あの、二人とも、落ち着いて……」

さやか「そ、そうだよ。そんな、喧嘩は……」

杏子「……あのさ、二人で仲良く作れば最高に美味い料理が出来ねーか?」

シャル「そうよ、二人でやればパワーは二倍よ!」

ゲルト【だから仲良くし】





ほむマミ「勝負だああああああああああああああああ!」



シさま杏ゲ「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」




……………

………





シャル「れっでぃーす、あーんど、じぇんとるめーん……」

杏子「男いないじゃん」

ゲルト【妖精さんの事では?】

杏子「ああ、そっち……」

シャル「……おほん」

シャル「そんなこんなで始まりました!」

シャル「第一回! 見滝原お料理対決!」

杏子「二回目あんの?」

ゲルト【無い方が嬉しいですねー……】

シャル「司会はわたくしシャルロッテ!」

シャル「そして本日対決するのは……」

シャル「この二人だあああああああああああああああっ!!」



           ほむら「うふふふふふふふふ」

          ―――― バチバチバチ ――――

           マミ「うふふふふふふふふふ」



シャル「おおっと! まだ対決は始まってないのに既に二人は火花を散らしている!」

シャル「これは熱い戦いが見られそうです!」

杏子「マミのエプロン姿は分かるけど、なんでほむらはリュック背負ってんだ?」

杏子「つーかシャルはなんであんなにノリノリなんだよ」

ゲルト【最近出番が少ないとか言ってましたよ】

杏子「ああ、そういう……」

シャル「そこ! さっきから五月蝿い!」



シャル「……あー、えー、兎に角! 些細なきっかけで二人は料理対決をする事になりましたが……」

シャル「それを聞きつけた妖精さんが一気に大増殖し、三十秒も経たずに用意してくれたのが!」

シャル「お料理対決用のキッチン! そして……」

シャル「食材が用意されているという”倉庫”です!」

杏子「本当に三十秒経たずに用意したよな」

ゲルト【訳が分かりませんでした】

シャル「対決の準備は整いました! 次はルールを説明!」

シャル「とは言っても方法は至極単純! 倉庫から任意の食材を選び料理する!」

シャル「倉庫にある食材は早い者勝ち! 素早い目利きと判断力が求められます!」

シャル「尚味噌や醤油などの調味料も倉庫にあるので忘れず確保してください!」

シャル「そして出来上がった料理を私! 佐倉杏子! ゲルトルートの三人で実食し……」

シャル「多数決で勝敗を決めます!」

杏子「え? 三人で?」

杏子「さやか様とまどかの奴はどうした?」

ゲルト【そういえばお二人の姿が見えませんね?】

シャル「ああ、その二人は……ほれ」

杏ゲル「ん?】

まどか「ほ、ほ、ほむらちゃんのて、手伝い……助手……側近……側室!? ウェヒーッ!」

さやか「……はぁ」

杏子「さやか様はマミの後ろに、まどかはほむらの後ろに居るな」

ゲルト【鹿目さんのテンションが可笑しい事は無視しましたね】

杏子「あれは人を愛する者の目だ。あたしには分かる」

ゲルト【……同族ですもんね】



杏子「それで、さやか様はなんでマミの傍に?」

さやか「いや、なんか一人一名助手を付けていいってルールらしくて……」

さやか「ほむらのパートナーにまどかが条件反射的に名乗り出て」

さやか「あたしはぼけーっとしていたら捕まった」

杏子「なんて事……さやか様とゲルトを交換出来ねぇかな……」

ゲルト【好きな人と一緒に居たい気持ちは汲みますけど、ちょっと露骨過ぎません?】

シャル「さて、そろそろ試合を始めたいと思います!」

シャル「両者準備は良いですか!?」

マミ「問題ないわ」

マミ「わざわざ家に帰ってMY調理器具を持ってきたもの」

マミ「それに今の私は魔法を使い放題。例えどんな相手が襲い掛かろうと圧倒的火力で屠ってみせる」

マミ「もう何も怖くないわ」

さやか「ちょ、なんで妨害を想定してるんすか? え? 妨害ありなの?」

ほむら「問題ありません。愛用のナイフとロープ、そしてライターは装備済み」

ほむら「食べられる野草も先程図鑑を見て、忘れていない事を確認しています」

ほむら「何があろうと生存してみせますよ」

まどか「ほむらちゃん何するつもりなの? これ料理対決だよね?」

シャル「両者準備は大丈夫なようですね!」

さやまど「いやいやいやいやいやいやいやいやいや?」

シャル「それでは位置について……」

ほむら「……………」

マミ「……………」

まどか「え、無視なの? こっちの準備は無視なの?」

さやか「駄目だこいつ等、あたし達の事見てすらいねぇ」

シャル「よーい……」

シャル「どんっ!」

――――シュルルルッ!

まどか「え?」

ほむら「しまっ……ぐっ!?」

さやか「え? ほむら達がリボンで縛られぐえっ!?(首根っこ掴まれ……)」



マミ「オホホホホホホホホ! 油断したわね暁美さん!」

マミ「そのリボンは一時間ほどで解けるから……」

マミ「それまでのんびりとしている事ね!」ダッ!

さ杏ゲ「ええええええええええええええええええ!?】

シャル「おおっといきなりの妨害っ! 巴さん、我先に倉庫へと向かったーっ!」

ゲルト【いや、可笑しいですよね今の!? 妨害を警戒していた人が真っ先に妨害してますよ!?】

杏子「つーか良いのかよアレ!?」

シャル「ジャッジ。どうでしょうか?」

妖精さんA「おもしろいので」
妖精さんB「もんだいなしで」
妖精さんC「きおくにございません」

杏子「駄目だこの審判ども!?」

ほむら「ちっ! 先手を打たれましたか!」

まどか「先手って何!? ほむらちゃんも妨害する気満々だったの!?」

ほむら「しかし!」

――――スパパパパンッ!!

まどか「きゃっ!? えっ! リボンがバラバラに切れて……」

ほむら「妖精さんアイテム『魔鋏れーばていん』」

ほむら「このような事もあろうかと思い、持参しておいて助かりましたね……」

まどか「なんで想定してるの!? なんで拘束されるかもって思ったの?!」

ほむら「鹿目さん! あの二人に渾身の魔力弾をぶっ放してくれませんか!?」

まどか「いくらほむらちゃんのお願いでもやらないから!? と言うかさりげなくさやかちゃんも一緒に!?」

ほむら「ああもう! 兎に角私達も行きますよっ!」

まどか「いや、あの引っ張らないで……」ズルズル

マミ「もう手遅れよ! 私達が一番乗りっ!」



――――バンッ!!



マミ「……!?」

マミ「こ、これは……平原……屋外に出た?」

さやか「うう……なんであたしがこんな目に……」

マミ「美樹さん、何してるの。あなたも周りを確認して」

さやか「は、はひ……」

さやか(と言われても、一面の草原と、向こうに森とか山が見えるだけ……)

さやか(まぁ、ドアの向こうに異空間が広がっていても妖精さんが作ったものなら別段不思議はないけど)

さやか(……生きた豚とか牛とかが野放しなのは……)

マミ「成程。この広い空間で食材を探し出すという訳ね……あの豚や牛、鶏も食材ね」

さやか「マミさん受け入れるの早過ぎません?」

さやか「というか、まさか殺すつもりじゃ……」

マミ「うーん、お肉が欲しいのは否定しないけど……家畜を殺すのは流石に抵抗があるわ」

マミ「でもほら、この草……よく見るとこれ、ホウレンソウよ」

さやか「え? あ、本当ですね」

マミ「それにあの花、ゼラチンで出来ているみたい」

マミ「この調子ならフルーツや魚、加工されたお肉が無いとは思えない」

マミ「それにどんな食材がどれだけあるか、それが分からないと料理は作れないわ」

マミ「とりあえず自然が豊かそうな森の中に行って、色々と調べましょう」

さやか「……分かりました」

さやか(帰りたい)テクテク



ほむら「くっ……出遅れましたか……」



まどか「えっと……綺麗な場所だね」

まどか「……あの野放しになっている牛とかが気になるけど」

ほむら「倉庫ですからね。あれも食材のつもりで妖精さんが用意したものでしょう」

ほむら「ステーキとか作ると、評価が高そうですけどねぇ。佐倉さんとか文字通り肉食系っぽいですし」

まどか「ほむらちゃん、まさか……」

ほむら「……いくら私でも牛や豚を解体しようとは思いませんよ」

まどか「ほっ……」

――――ガサガサ

まどか「ん?」

まどか「わっ! ほむらちゃん見て!」

まどか「ウサギだよ!」

ほむら「あら、本当ですね」

ウサギ「キュ?」

まどか「うわぁ、可愛い……!」

まどか「しかも人懐っこいからか全然逃げないよ! 抱っこも出来た!」

ほむら「もう、鹿目さん。野生の動物に素手で触ってはいけませんよ。病気を持っている場合があるんですから」

まどか「だってぇ~……」

ほむら「まぁ、妖精さんが用意したウサギですし、その心配は要らないと思いますけど」

まどか「ああ……可愛いなぁ……」

まどか「ね、ねぇ、ほむらちゃん、この子連れていってもいい?」

ほむら「ええ、勿論」

まどか「うわぁーい♪」



ほむら「さて、とりあえずは水場を探すとしましょう」

まどか「水場?」

ほむら「キッチンには蛇口がありましたので、水はわざわざ用意しなくても良いと思いますが」

ほむら「万一を考慮して、それなりの量の水は確保しておきたいのです。拾った食材も洗いたいですし」

ほむら「あと、他にどんな食材があるか探したいというのもあります」

ほむら「……巴先輩達も恐らくその方針で行動している筈」

ほむら「出来れば彼女達より先に水場を見つけたいところですね」

ほむら「……………」

ほむら「妖精さんの作った世界にどれだけ現実の地形が当てはまるか分かりませんが、あの山を目指すとしましょう」

ほむら「川は山から流れるものですからね」

ほむら「ああ、そうそう。これは私と巴先輩の勝負ですから」

ほむら「鹿目さんはピクニックのつもりで楽しんでいてください」

ほむら(私一人でもあんな雑兵、軽く倒してみせますから……うふふふふ)

まどか「うんっ♪」


……………

………





ほむら「ふむ。想像以上に早く湖を見つけられましたね」

まどか「流石ほむらちゃん!」

ウサギ「キュー」

ほむら「うん、丁度いい場所に手ごろな枝もありますし……」

ほむら「鹿目さん。今までに手に入れた食材はなんでしたっけ?」

まどか「えっと……キャベツと人参、サトイモに、ゴボウ」

まどか「あとコンニャクとお味噌だよ」

ほむら「うん。これだけあれば十分ですね」

まどか「……まさかお味噌とかコンニャクが木になってるとは思わなかったよ」

ほむら「妖精さんにしては割とシンプルな不思議ですけどね」

まどか「もう何がシンプルなのかよく分かんない」

ほむら「あとは味を調えるのに塩と日本酒が欲しいのですが……」

ほむら「まぁ、それは帰りがてら探すとしましょう。見つからなくてもあるもので何とかするのがプロってもんですし」

まどか「? ほむらちゃん、もう材料揃ったの?」

まどか「何を作るつもりなの?」

ほむら「鍋にしようと思っています」

まどか「お鍋かぁ。美味しいよね!」

ほむら「相手の好みが分からぬうちに凝った料理を出すのは危険と判断しましてね」

ほむら「鍋が嫌い、という人はそう多くない筈」

ほむら「それに三人で摘まんで食べると楽しくなりますからね。料理は楽しく食べないと」

まどか「ふふっ。そうだね」

ほむら「ああ、そうだ」

ほむら「鹿目さん、そのウサギを渡してもらえますか?」

まどか「? うん、良いよ。はいっ」

ほむら「ありがとうございます」

まどか「ふふ。ほむらちゃん、手袋なんかしちゃって」

ほむら「こういう作業は準備が大切なんですよ」

まどか「そうかもだけどー……作業?」

まどか(あれ? ほむらちゃん、ウサギさんを抱き抱えないで地面に置いて)

まどか(あ、頭に手を乗せた。撫でるのかな)





ほむら「えいっ」

――――ゴキッ




まどか「」

ウサギ「」クタァ

ほむら「うん、一発で仕留められた。思い切りが足りないと却って可哀想な事になりますからね」

ほむら「よいしょっと」←ウサギを近くの枝に掛ける

ほむら「見滝原に来る前まではよく妖精さんトラブルでサバイバルしましたけど」←ウサギの首にナイフを突き刺す

ほむら「ウサギは捕まえるのが楽ですし、何処にでも棲んでいるから結構食べていたんですよ」←血抜き中

ほむら「ウサギ鍋もその時よく作っていまして」←足首にナイフを入れる

ほむら「雪山だと皮も使い道があって便利ですし」←皮を剥いでいる

ほむら「ああそうそう。臭腺があるのでしっかり取り除くのがポイントです」←取り除き中

ほむら「内臓は……私が食べる分にはいいか。持って帰りましょう」←内臓取り除き中

ほむら「いやぁ、それにしてもウサギが見つかったのは行幸でした、っと!」←頭部切断

ほむら「流石の私も牛豚の解体は出来ませんからね。反撃に遭ったら大変ですし」←解体中

ほむら「魚も悪くないとは思いますが」←解体中

ほむら「やっぱり鍋には獣のお肉ですよね♪」作業完了☆

まどか「……………」

ほむら「鹿目さん? もしもし?」

ほむら「……うーん。サバイバル初心者にウサギはきつかったですかね……?」

ほむら「でも久しぶりにウサギ食べたかったし……牛や豚は解体出来ないし……」

まどか「……わ」

ほむら「わ?」

まどか(ワイルドなほむらちゃん素敵ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!)



まどか(動物の解体をあんな手際良く出来るなんて……)

まどか(逞しい! 逞し過ぎて胸がきゅんきゅんしちゃうっ!)

まどか(こ、このままほむらちゃんと二人きりで無人島に遭難しても生活には困らないね!)

まどか(……ほむらちゃんが動物を捕まえて、解体して、料理を作ってってなると)

まどか(私に出来る事が何もない……)

まどか(ほむらちゃんは優しいから気にしないでと言……ってくれると嬉しいけど、それじゃ駄目だよね)

まどか(うーん、こういう時どうしたら……)

まどか(あ、そうだ。身体で支払うって方法があ)

まどか「ぶばっ!」

ほむら「鹿目さんが鼻血吹いて倒れたああああああああああああああああああ!?」

ほむら「え、どういう事ですかこれ!? ウサギの解体を見て気分を悪くしたとか!?」

ほむら「よ、妖精さん!? 妖精さん!?」

ほむら「妖精さーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!?」




             ―――― 審査員待合ルーム ――――




妖精さんA「しょーぶごとですので」
妖精さんB「こうへいをきして?」
妖精さんC「ぼくらのきょうりょくきんしちゅう?」

シャル「……………」ズーン

杏子「……………」ズーン

ゲルト【……………】ズーン

妖精さんA「てんしょん、だださがりですなー」

シャル「あんな可愛いウサギが解体されて気分良い訳ないでしょ……」

杏子「あたしも流石に生き物解体して食った事はねーわ……」

妖精さんC「うしやぶたもみえないとこでしてますが?」

シャル「それはそうなんだけどね……」

杏子「アイツどんだけサバイバルスキル高いんだよ」

シャル「サバイバルスキルってSAN値と反比例するのかしら……」

ゲルト【ま、まぁ、食べるための狩りですし、見逃しましょうよ】

シャル「あー、まぁ、確かに元人食いの私らが言う事じゃないわな……うん」



シャル「えー、ほむらチームは順調に食材を集めているようですねー」

杏子「あ、実況は続けんだ」

シャル「さて、巴さんチームの様子は……」

シャル「おおっと、これは……」



                ―――― チーム・巴 ――――



マミ「……美樹さん、食材はどれぐらい集まったかしら?」

さやか「えー、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ」

さやか「それからカレールー。花みたいに咲いてた奴です」

マミ「うん。それだけ揃ったら、作るしかないわね」

さやか「カレー、ですね」

マミ「ええ」

マミ「でも、あとはお肉が欲しいわ」

さやか「ですねー。やっぱりカレーはお肉がないと」

マミ「そうよね、そう思うわよね」

さやマミ「……………」

さやか「あ、でも別に無理にお肉に拘らなくていいんじゃないっすかね?」

さやか「ほら、シーフードとか」

マミ「私は普通のカレーの方が好きだわ」

さやか「……ええ、そうっすね。あたしも好きっす」

さやか「じゃあ、あの、入り口にいた豚とか牛とか」

マミ「私に彼等を捌けと?」

さやか「……ごめんなさい」

さやか「じゃあもういっそ肉抜きで」

マミ「甘いわ、美樹さん」

マミ「暁美さんの技術は相当のものよ。一昨日泊まった時に見たから分かる」

マミ「あの時は認めたくなくて啖呵を切ったけど、もしかすると本当に技術面では彼女が上かも知れない」

マミ「なら尚の事、食材で妥協する訳にはいかない」

マミ「肉抜きカレー? 豆腐でヘルシーに?」

マミ「料理嘗めんな!」

マミ「育ち盛りは……何はともあれ肉でしょうがっ!!」

さやか「わ、分かります! その気持ちは本当に分かります!」

さやか「で、でも、でも――――」







さやか「でもだからって偶々見つけたドラゴンを倒そうとするのは止めましょうよ!?」



ドラゴン「グー……ルルルル……グー……ルルルル」

さやか「寝てますから! 今なら刺激せずに立ち去れますから!」

マミ「ほら、ドラゴンならあまり抵抗なく殺せるじゃない。気分的に」

さやか「動物差別反対!」

マミ「丸い胴体……きっとジューシーな脂身たっぷりのお肉が取れるわ」

さやか「あたしには筋肉の塊にしか見えないのですけど!?」

マミ「寝ている今がチャンス。攻撃を仕掛け、一撃で仕留めましょう」

さやか「そもそも仕留めるのが無理そうなんですけど!? あのドラゴン全長30メートルぐらいありますよ!」

マミ「美樹さん、お肉食べたくないの?」

さやか「誰もドラゴン食いてーなんて言ってませんよ!?」

マミ「捕獲レベル高そうじゃない。きっと美味しいわよ」

さやか「アレは捕獲の難度を示すだけで美味しさ関係ありませんから!」

マミ「美樹さんならきっと倒せるわ」

さやか「さりげなくあたしに戦わせようとしないでくださいよ!? 自分だけで倒してください!」

マミ「仕方ないわね、もっと楽そうなのを探しましょう」

さやか「おい、なんで諦めた!? 諦めんなよ!?」

マミ「いや、だってあんな大きいのは……美樹さんならこう、スペシウム的なやつで倒せないかなって」

さやか「倒せますけどね! でもその全力で他人任せの姿勢が気に入らない!」

マミ「もう、美樹さんのワガママっ」

さやか「どっちがだよ!?」

マミ「……まぁ、茶番はこのぐらいにしといて」

さやか「嘘吐けっ!」



マミ「美樹さんに頼れない以上、ドラゴン肉は諦めるしかないわね」

マミ「不本意だけど、シーフードカレーにするか」

マミ「もしくは別の料理を作るか」

さやか「……あー、まぁ、食材はそれこそ山ほどありますからね」

さやか「中途半端に代用品使うぐらいなら、肉を使わない料理で行くべきなんじゃないっすか?」

マミ「……いえ、やはりお肉は欠かせないと思うわ」

マミ「審査員とは言え、彼女達も中学生。肉の魔力には逆らえない」

マミ「お肉がある料理とない料理では、既にハンデが付いているようなものよ」

さやか「今更ですけどなんでそんなに肉押しなんすか? いや、あたしも好きですけど」

マミ「何処かにウィンナーとか実ってないかしら……」

さやか「無い、とは言えませんね……カレールーが成るぐらいですし」

マミ「立ち止まっていても仕方ないわね。歩いていたらアイディアが閃くかも知れな」

――――ぶにっ

マミ「……………」

さやか(マミさんが一歩踏み出した途端、そのコミカルさとは真逆に悪寒を誘う音が聞えた……)



さやか「……マミさん。今の音ってもしかしなくてもドラゴンの尾を踏」

マミ「美樹さん。私の足元を見ちゃ駄目よ」

マミ「知ってる? シュレディンガーの猫」

マミ「この世の可能性は常に重なり合っている。それは観測するまで定まらない」

マミ「つまり私が足元を見なければ、”それ”を踏んでしまった可能性と踏んでいない確率が重なり合っているの」

マミ「私が自分の足元を観測しなければ、どちらの事象もあり得る。それ故にどちらもあり得ない」

マミ「今ならまだ大事にならない」

マミ「このまま、この猫箱はしまってしまいましょう?」

さやか「マミさん……」

さやか「その話って、『んな訳ねーだろ』って続くの、知ってます?」

マミ「え」

さやか「……諦めましょ」

マミ「……はい」

さやマミ「……ちらっ」



ドラゴン「グルルルルルル……!!」



さやか「起きてますね、めっちゃ」

マミ「起きてるわね、めっちゃ」

さやか「……どうするんですか」

マミ「お、落ち着くのよ美樹さん」

マミ「よくよく考えたら、このドラゴンだって妖精さんが用意してくれた食材の筈」

マミ「生き物だから抵抗ぐらいはするかも知れないけど、刺激しなければきっと温和な生き物で」

ドラゴン「グパァ……」

さやか「駄目ですよマミさん!? あのドラゴンの歯、もろに捕食者してます! あとアイツ微妙に微笑んでる!」

マミ「やっ、やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

ドラゴン「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!」

さやマミ「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!?」



さやか「お、お、追い駆けてきたあああああああああああああ!?」

さやか「ひいっ!? 逃げても逃げても振りきれない!」

マミ「とととと兎に角美樹さん変身! 変身して!」

マミ「あなたが巨人になれば全長100メートル! 30メートル程度のトカゲに負ける道理はないわ!」

さやか「そ、そっすね! 結局戦う事になってるのが不本意だけど仕方ない!」

さやか「よし! 指輪を外し」

――――つるんっ

さやか「って、おおっと運悪く落ち葉で足を滑らせてしまいあたし転倒ー(達観)」

さやか「もちろん起き上がる時間なんてなぶしっ!?」ぶちっ

マミ「美樹さん踏み潰されたああああああああああああああああああ!?」

マミ「どうしよう、どうしよう、どうしよう……!」

マミ「そ、そうよ! 私も変身出来るじゃない! 忘れてたわ!」

マミ「変身っ!」ピカー

マミ「よ、良し! ちゃんと魔法少女になれたわっ!」

マミ「まずはリボンを射出! 木の枝に絡めて……」

マミ「地上より高い場所へ移動!」

マミ「この高さならあの巨大なドラゴンでも追い切れないわ」

ドラゴン「」バッサバッサバッサ

マミ「……………ああ、飛ぶのね。驚き過ぎてもう叫び声も出ないわ」

マミ(だけどこれは不味い!)

マミ(私はあくまでリボンを足場にしているだけで、自由に空を飛べるわけではない)

マミ(自分の力で飛べるあのドラゴンとの機動力の差は歴然。逃げ切る事は不可能と見るべき)

マミ(それに、妖精さんが用意した生き物なのよ)

マミ(ドラゴンの攻撃と言ったら――――)

ドラゴン「ゴアッ!!」ボッ!

マミ(火炎放射よねっ!)



マミ「くっ……!」

マミ(予見していた事もあって今のは躱せたけど、それでもギリギリ! そう何度も避けられない!)

マミ(こうなったら、ここでコイツを倒すしかない……)

マミ(なら――――)

マミ「先手必勝! 魔法で大砲を作って」

マミ「発射ァ!」

――――ドンッ!!

ドラゴン「!」スッ

マミ「なっ……躱した!? なんて動体視力……」

ドラゴン「ガアッ!」

マミ「きゃっ!?」

マミ(肉弾戦に持ち込んできた……あの巨体と殴り合うのは無理!)

マミ(空中戦も無理、地上戦も無理)

マミ(なら……!)

マミ「着地して……木々の間に身を隠す!」

ドラゴン「!」ズシンッ

ドラゴン「……」キョロキョロ

マミ(……うん。私の事を見失ったわね)

マミ(しかしどうしたものかしら)

マミ(あの巨体相手に、手数を増やした小攻撃で果たしてどれだけ効果があるのやら)

マミ(倒すには、巨大な一撃を当てる必要がある)

マミ(でもあの動体視力を鑑みるに、一発だけでは躱されるかも知れない。そうなったらこっちの居場所もばれる)

マミ(強力な一撃を、確実に当てるには……)

マミ(……そうね、良い機会だわ)

マミ(私が、どれだけ強くなったかを確かめるにはっ!)カッ!



――――シュルルルルルルッ!

ドラゴン「ゴアッ!?」

マミ(ドラゴンの周囲にリボンを展開! 勿論一本二本じゃないわ)

マミ(最高に強度を高めた状態のリボンを、100本以上展開した!)

マミ(最高強度のリボンなら例え一本でも、並の魔女や魔法少女では破れないわよ!)

ドラゴン「グ、グル、ウウウウウッ!?」

マミ「捕縛!」

ドラゴン「グフ、ウゥッ!」

ドラゴン「ウウウゥウゥウウウゥゥッ!」

マミ「……ふう。妖精さんの事だからもしかしたらって思ったけど、そこまで非常識ではなかったわね」

マミ「……ううん、やっぱり非常識なのかしら?」

マミ(ソウルジェムが無くなり、もう私は魔法をいくら使っても浄化を必要としなくなった)

マミ(その副作用とでも言うのかしら)

マミ(今まではソウルジェムが濁りきらないよう……ええ、魔法が使えなくなると思っていたから……)

マミ(本当の意味での全力を出す事は出来なかった)

マミ(このリボンも、一度の戦闘で一本出すのが精いっぱい。出したら攻撃は他の子任せ)

マミ(勿論グリーフシードの予備があればもっと出せたけど、浄化するための、クールダウンの時間は必須)

マミ(でも、今の私はそれすら必要としない)

マミ(一度に出せる出力の限度こそあれ、その限界出力を永続的に使える)

マミ(それは魔法少女としては究極の存在と言って良い)

マミ(キュゥべえは私達が魔女にならないと困るそうだから、そもそもコンセプトが違うんでしょうけど)

マミ(これが妖精さんの技術力……こんなのを相手に戦おうとしていた自分が馬鹿馬鹿しくなるわね)



マミ(……さて、と)

ドラゴン「フー、フー、フーッ……」

マミ「ごめんなさいね……私はあなたを倒さないといけない」

マミ「だから最大火力。私の最強最大の一撃で、止めを刺してあげる」

――――シュンッ!

ドラゴン「!?」

マミ「あら。動物でも、この砲台の威力は分かるのね」

マミ「今回用意したのは、全長200メートル……艦船をそのまま武器にしたようなサイズの大砲」

マミ「私の魔力で生み出せる、最大火力の大砲よ。並の魔女なら数体纏めて屠れるわ」

マミ「それを、」

――――シュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュン!

マミ「10門も撃たれて、あなたは無事でいられるかしら?」

ドラゴン「ゴ、フ、フグオ……!」

マミ「尤も、あなたは逃げられない。私が展開したリボンに囚われている限り」

マミ「……ふふ。ごめんなさい」

マミ「あなたを倒すのが一番の目的なのは変わらない」

マミ「だけどね、一度やってみたかったの」

マミ「手加減なし、全力全開」

マミ「本当の――――”究極の一撃”を撃つのをね!」







             「ティロ・フィナーレ!!」








……………

………




ドラゴン「」プスプス

マミ「我ながら凄まじい威力だったわね……まさかキノコ雲が上がるとは思わなかったわ」

マミ「ちょっとやり過ぎたと思わなくもないけど」

マミ「まぁ、ドラゴンは倒せたから結果オーライよね?」

マミ「……………」

マミ「……ふふ」

マミ「うふ、うふ、うふふふふふふふ……」

マミ「ああ……手加減なしに、やりたいように魔法を使うのがこんなにも気持ちいいなんて……」

マミ「他の魔法少女が溺れちゃう気持ち、ちょっと分かったかも」

マミ「……ううん、気持ちいいなんてものじゃないわね」

マミ「……」




マミ「快、感……♪」




さやか「エロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!」

マミ「ぴゃあっ!?」



マミ「って、み、美樹さん!? 無事だったの!?」

さやか「ええ。昨日指輪を改造してもらった時に追加で付けられた効果かは分かりませんが」

さやか「どうやら平時でも、そこそこ力を持ってるみたいです」

さやか「お陰で踏まれても全然平気でしたっ!」

マミ「そ、そう……順調に人間離れしていってるわね」

さやか「いや、キノコ雲上げたマミさんに言われたくないっす」

さやか「まぁ、何はともあれドラゴンを倒せましたし」

さやか「無事に事が済んで良かったですね」

マミ「……いえ、まだよ」

マミ「まだ、戦いは終わってない」

さやか「マミさん……?」

マミ「このドラゴンはいわば前座。私達が真に倒すべき相手は――――」

マミ「暁美ほむらよ!」

さやか(あ。そういやコレ、料理対決だったわ)



……………

………







             ―――― キッチンルーム ――――



シャル「さあ、四人とも無事に帰ってきました!」

杏子「まるで四人の中の誰かが犠牲になるルートもあったみたいな台詞だな」

ゲルト【まぁ、ドラゴン居ましたからね……】

シャル「それぞれ食材の用意は万全と判断してよろしいですね!?」

ほむら「モチのロンロン」

マミ「当然よ」

まどか(マミさんの背後にいるドラゴンが凄まじい存在感を放ってる……)

さやか(ほむらの前に置かれている生肉……まさか……)

シャル「さて、どんな料理が作られるのか、今から楽しみですねー」

杏子「モニターで会話がだだ漏れだったから知ってるって言っちゃ駄目?」

ゲルト【駄目ですね。何と言うか、雰囲気的に】

シャル「それでは両者位置についてください!」

ほむら「……………」

マミ「……………」

シャル「では、いよいよ本番……」

シャル「料理、開始です!」

妖精さんA「よーいしょ」

――――カーンッ!



マミ「美樹さん、私達が何を作るか忘れてないわよね?」

さやか「はい。カレーですよね?」

さやか「それで、まずは何をするんですか?」

マミ「最初はお肉の下ごしらえね」

マミ「此処に運んでくる前にちょっと焼いて味を確かめたけど、このドラゴン肉、上質な牛肉みたいな味だったわ」

マミ「とても美味しかったけど、それはつまり、牛肉的な臭みがあるという事」

マミ「その処理をしないといけないわ」

さやか「成程。流石先輩!」

さやか「で、あたしは何かしますか? 一応助手ですし」

さやか「これでもさやかちゃん、最近家で料理の手伝いとか始めましたからねー♪」

さやか「カレーぐらいなら作り方も分かりますし!」

マミ「……」ピクッ

マミ「美樹さん。今、なんて言ったのかしら?」

さやか「へ? カレーぐらいなら作り方も分かる、ですけど……」

マミ「そう、カレーぐらい、カレーぐらいね……」

マミ「あなた、料理を嘗めているの?」

さやか「え?」



マミ「カレーぐらい? ええ、そうね。確かにカレーはお手軽に出来る料理よ。子供にだって作れちゃう」

マミ「でも『作れる』のと『美味しく作る』のを混同しては駄目」

マミ「良い!? 料理は愛情! その人の気持ちによって美味しさが変わるのよ!」

マミ「カレーぐらいなんて、そんな中途半端な気持ちでまともな料理を作れる訳ないでしょ!」

さやか「ひっ!? す、すみません!」

マミ「全く……」

マミ「まずは野菜を洗いなさい! 丁寧に、食べる人が万一でも食中毒を起こさないように!」

さやか「はいっ! あ、洗います!」ジャブジャブ

マミ「」ピキッ

マミ「美樹さん、何をしているのかしら?」

さやか「え? あ、えと、あ、洗って……?」

マミ「そんな雑な洗い方じゃ野菜が傷付くでしょうがっ!」

さやか「ひぃっ!?」

マミ「あなた何!? 私の料理を小学生が始めて作ったお弁当みたいな不格好なやつにしたいの!?」

マミ「確かに丁寧に洗えとは言ったけど限度があるでしょ!」

マミ「何なの? 手取り足取り教えないと野菜すら洗えないの?」

マミ「そんなんでよく助手を名乗れたわね!」

さやか「す、すみません! すみませんっ!」

マミ「大体あなたにしろ暁美さんにしろ……」ガミガミ

さやか「ひぇぇぇぇぇ……」




ほむら「……あちらは何をしてるんでしょうねぇ」



まどか「マミさん……あんなキャラだっけ……?」

ほむら「鹿目さんが知らないのに私が知っている訳ないでしょう」

ほむら「ただ元々負けず嫌いっぽいですし」

ほむら「『魔法少女の先輩』という立場がない、対等な友達が相手なら」

ほむら「案外、あれが巴先輩の本質かも知れません」

ほむら「それだけ私達に心を開いてくれた、と思う事にしましょう」

まどか「……」

ほむら「だとしても、さやかさんからしたら災難には違いないですけどね」

ほむら「その点鹿目さんは幸運ですよ」

ほむら「私もやるからには勝利を目指すタイプですが、何はともあれ楽しさ重視です」

ほむら「あのような厳しい指導はなく、楽しく料理しますのでご安心を」

まどか「う、うんっ! 楽しくやろうねっ」

ほむら「ああ、でもやっぱり負けるのは嫌ですので……」

ほむら「妖精さんアイテム、『お手軽奥義書』を使わせてもらいましょう」

まどか「お手軽奥義書?」

ほむら「はい。使い捨ての巻物でして、軽く一読するだけで凄まじい奥義が身に着くのです」

ほむら「まぁ、一晩ぐっすり寝るとすっかり忘れてしまう、一夜漬けみたいなものですけどね」

まどか「へー」



ほむら「えーっと、これとこれとこれと……これも使っちゃお」

ほむら「……よし、覚えた」

ほむら「さて、それではまず野菜を洗うとしましょう」

まどか「うんっ! それぐらいなら私でも出来るから手伝うよ!」

ほむら「あ、いえ。手伝いは不要です」

ほむら「むしろ離れていた方が良いと思いますよ?」

まどか「え? どういう……」

まどか(あ。ほむらちゃん、野菜をまな板の上に置いた)

まどか(えっと、それで手をかざして……?)






ほむら「獣王粉砕波ッ!!」






まどか「え――――(お、お野菜が光って)」

――――ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!

まどか「爆発しぎゃああああああああっ!?」

まどか「も、燃え!? 頭に火が、火がああああああああああああああっ!?」

ほむら「これぞ獣王粉砕波!」

ほむら「野菜についた諸々の汚れに彼氏や彼女を与え」

ほむら「リア充にする事で爆発四散!」

ほむら「綺麗さっぱり取り去る奥義です!」

まどか「意味、わか、あちっ! あちちちちちっ!?」

まどか「と言うかなんで爆発するの!?」アフロマドカー

ほむら「何を言ってるんですか。お料理に爆発や発光は付きものでしょう?」

まどか「むしろ何言ってるの!? 本当に何言ってるの!?」



ほむら「さぁ、そろそろ本番です。お野菜を鍋に入れて」

ほむら「そして味噌を投入する前に第二の奥義! 光龍撃!」

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

まどか「お、お鍋から金色に光る竜がたくさん出てきたァ―――――――!?」

ほむら「その竜は元々野菜のえぐみなどです」

ほむら「灰汁などは取り過ぎると食材の風味を損ねる事があるので、適度な取り方が求められるのですが」

ほむら「この奥義を使い、竜の形にして物理的に排除すれば」

ほむら「風味やコクを残したまま、所謂不快な味だけを取り除けるという訳ですね♪」

まどか「わざわざ竜にして出す必要はあるのかな!? 私にはないと思うんだけどな!?」

ほむら「その方が面白いじゃないですか」

まどか「つまり意味は無いんでいだだだだだっ!? 噛んでる!? この竜噛みついてくるーっ!?」

ほむら「むぅ。しかしこれだけの数の竜が出てくるとは……」

ほむら「意外とえぐみや臭みが多いのか、いえ、妖精さんに限ってそんな事はないでしょう」

ほむら「だとすると、見た目が派手なだけで効果が薄い?」

ほむら「試しにもう一発。光龍撃~」

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

まどか「なんで全部私に襲い掛かってくるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」カジカジカジ



\ギャーッ! アタマクイチギ、チギラレ!?/

\マ、マミサン、モウム、ミギャアァァ!!/



杏子「……これ、なんだっけ?」

ゲルト【確かどっちが美味しいご飯を作れるか、という話だったと思います】

杏子「ああ、そうだったね。確かにそうだった……」

杏子「……なんつーか、その……」

杏子「……ごめんなさい」

ゲルト【いえ、佐倉さんが悪い訳では……】



シャル「まぁ、ほむらと、というか妖精さんと係わると大体こんなもんよ」

シャル「地底探検とか並行世界とか上条改造計画とか体験した身としては」

シャル「……今回も中々のカオスと思うだけよ」

ゲルト【く、苦労したんですね……】

シャル「アイツの同居人となった以上、あなた達もこれから苦労するのよ」

杏子「ひぇー……」

ゲルト【た、耐えられるでしょうか……精神的に】

シャル「あはは、それは大丈夫」

シャル「私も最初は戸惑ったし、これからやっていけるのかと思いもしたけど」

シャル「アイツみたいにすればいいって気付いてからは、もう絶対大丈夫って思えるようになったから」

シャル「ね?」

杏子「アイツ?」

ゲルト【みたいに?】

杏シャル「……………】



ほむら「ゴールデンフィンガー!」

まどか「お、お鍋が光っ、ぎゃあああああああ!? 目が、目がああああああああっ!?」



杏シャル「……はた迷惑になれと?】

シャル「合ってるけど違う」



……………

………





マミ「……良し! 完成したわ!」

ほむら「こちらも完成しました」

シャル「おおっと、中々大変な状況だったようですが、各人料理が完成したようですねー」

さやか「」グッタリ

まどか「」プスプス

杏子「さやか様は置いとくとしても、まどかは放置で良いのか?」

ゲルト【あ、置いとけるんですね。意外】

杏子「流石に疲れてのびてるのと炭化直前を比べたらなぁ……」

杏子「まどかの奴、治療してやらないのか?」

シャル「あー、まぁ、治療した方が良いとは思うけど……」

妖精さんA「めでかるちぇっく、しますか?」
妖精さんB「けんこーしんだん?」
妖精さんC「にどとけがもびょうきもしないからだに」
妖精さんD「あっぷろーどしませう?」

シャル「彼等の前では遠慮しといた方が得策かなぁって」

ゲルト【……ですね】

杏子「……そーだな」

シャル「んじゃ、話を進めましょ。そろそろ矛先がこっち向かないとも限らないし」

シャル「それでは完成した料理を持ってきてもらうとしましょう」

シャル「どちらが先に持ってきますか?」

マミ「確かに、お腹が空いてきた今」

マミ「先行が圧倒的に有利なのは間違いないわね」

マミ「どうする? ここは公平に……」

ほむら「ああ、巴先輩が先行で良いですよ」

マミ「……あら、そう?」

マミ(どういう事? 何か、自信があるのかしら?)

マミ(……あまり気乗りしないけど、意地を張って先行を譲るのも暁美さんの思惑通りになりそうで怖い)

マミ(と言うか、何をやっても掌で踊らされているような気がする)

マミ(なら、素直に好意を受け取るとしましょう)

マミ「じゃあ、お言葉に甘えて」

シャル「では順番が決まったようですので、巴さんどうぞっ!」

マミ「私の料理はこれ!」

マミ「カレーよっ!」



シャル「……………」

杏子「……………」

ゲルト【……………】

マミ「……えっと」

マミ「……何か言わないの?」

シャル「え? ああ、ごめんなさい」

シャル「あなたの事だからてっきり『ドラゴンカレー・白ワイン風味』とか言うのかと」

杏子「あたしとしては『本場仕込みイタリア風カレー』かなーと」

ゲルト【私は『ピッカンテ』が本命でした】

マミ「……あなた達が私の事をどんな風に思っていたのかはよく分かったわ」

マミ「確かにドラゴンを食材に浸かっているから普通とは言えないけど」

マミ「コンセプト自体は普通のカレーなんだから、そんな仰々しいネーミングは付けないわよ」

マミ「ほら、それよりも早く食べてよ」

マミ「冷めたら採点で不利になっちゃうでしょ?」

シャル「ん、そーだね」

杏子「そんじゃ、ま」

ゲルト【両手を合わせて】

シャ杏ゲ「いただきまーす】



シャル「おお……スプーンで運んできた時に鼻を刺激する、なんと香ばしい匂い……」

シャル「実に食欲をそそられますねぇ」

杏子「え、何? あんな感じにコメント残さないと駄目なの?」

ゲルト【さぁ……? 私達は普通に食べていればいいんじゃないですか?】

杏子「そーだな。そーすっか」

シャル「何時までもこの香りを堪能したいところですが、しかし冷めてしまっては元も子もない」

シャル「何より香りに刺激されて、胃袋がウキウキしております」

シャル「もう我慢出来ません! いただきまーすっ!」

シャル「はぐっ、ほぐ、もぐもぐ……」

シャル「んっ……」

シャル「……んーまいっ!」

シャル「いやぁ、月並みですがこの言葉が真っ先に出てきましたっ!」

シャル「適度な辛みと口の中一杯に満ちるスパイスの香り。実に素晴らしい」

シャル「しかも野菜の甘みは損なわれておらず、むしろ辛さとの調和によってより一層強く感じられる」

シャル「そしてこの肉!」

シャル「牛肉に近い香りと味ですが臭みはない。いえ、きっと臭みだけを取り除いたのでしょう」

シャル「更にこの肉、噛めば噛むほど肉汁が溢れてきます!」

シャル「溢れる肉汁の甘さが辛さを和らげ、少しずつカレーの味を変えていくのでいくら食べても飽きない!」

シャル「さながらそれは味の芸術! 四季折々によって変化する日本の景観の如く美しさすら感じます!」

シャル「……カレールー、野菜、肉」

シャル「全ての食材を、平等かつ繊細に扱う……そうしなければ辿り着けない境地」

シャル「食べさせる人への愛情がなければ出来ない事でしょう」

シャル「実に……巴さんらしい味でしたよ」

マミ「ど、どうも……」

マミ(まさかこんなにもしっかり寸評されるとは思わなかった……)




杏子「うめー」ガツガツ

ゲルト【お肉も美味しいですけど、野菜も美味しいですねー】モグモグ



シャル「ふぅ……ごちそうさま」

シャル「さて、次はほむらの番です」

シャル「あまりの美味しさに巴さんのカレーをたっぷりと食べてしまった我々の腹に響く料理を出せるのでしょうか?」

ほむら「問題ありません。この程度、ハンデにすらなりませんよ」

マミ「……なんですって?」

ほむら「ふふふ……食べれば分かりますよ」

ほむら「どうですか? 巴先輩も、食べてみますか?」

ほむら「私の料理……ウサギ鍋を!」



――――ビカアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!



マミ「これはっ!? 鍋が、鍋が光っている!?」

マミ「いえ、違う……」

マミ「鍋の具材が、まるで太陽の如く輝きを放っている!?」

杏子「なにそれこわい」

シャル「こ、これは一体!?」

ほむら「妖精さんアイテムにより身に付いた奥義『万別陽光達』」

ほむら「この奥義によって食材は極限までその素質を引き出され」

ほむら「所謂スーパーサ○ヤ人状態! 通常の50倍の美味さに昇華しているのです!」

シャル「な、なんて事! だから光り輝いていたのね!」

ゲルト【何処に納得出来る要素が?】

ほむら「ささ、どうぞシャルロッテさん」

ほむら「冷めないうちにお食べください」

シャル「ええ……それでは早速」

シャル「うーん、この香り……巴さんのカレーを食べたばかりだと言うのに、空腹を覚えるほど食欲を呼び起こします」

シャル「これは期待出来そうですねー」

シャル「では、いただきます」パクッ

シャル「ふぐおっ!?」

杏子「ど、どうした!?」

ゲルト【何か喉に詰まらせましたか!?】

シャル「な……な……」

杏子「な……?」







シャル「なんがゴビガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」






杏子「シャルが口からビーム吐いたああああああああああああああああああ!?」

ゲルト【なんですかそれええええええええええええええええええええええっ!?】




シャル「なんじゃこの美味さはあああああああああああああああっ!!!」ビカーッ

シャル「美味さがあああああああああああああああああああああっ!!!」ビカーッ

シャル「口から溢れるうぅあああああああああああああああああっ!!!」ビカーッ

杏子「なんなんだこれ!? どういう事だこれ!?」

ゲルト【口からビームって可笑しいでしょ!?】

ほむら「いやぁ、料理を食べたらこの程度のリアクションはお約束でしょう」

妖精さんA「やくそくやくそくー」
妖精さんB「りあくしょんないないとはやらないです」
妖精さんC「むしろそれめあてでみるかんじ?」

マミ「テレビで聞いた事があるわ。真に美味なる料理は、思わずリアクションを取ってしまうって」

ゲルト【アニメと現実をごっちゃにしてはいけません!】

シャル「くぅっ……出汁を口に含んだだけでこれほどのリアクションを強要される……!」

シャル「具材を食べたらどうなるか……今から楽しみね……!」

杏子「え゛、まだ挑むの!?」

ゲルト【止めましょうよ!? 身体が持ちませんよ物理的に!】

シャル「ふっ……この料理を食べて朽ちるなら本望よ……」

ゲルト【いや、絶対あの世で後悔しますから!】

シャル「いただきまーす!!」バクゥッ!

ゲルト【ああ……なんて事を……!】

シャル「……………」

ゲルト【しゃ、シャルロッテさん……?】

杏子「おい、どうし……」

シャル「――――美味い」

シャル「美味い、美味い……美味い、美味い美味い美味い美味い」

シャル「美味い美味い美味い美味い美味い」バリバリバリ

杏子「ちょ、服を掻き毟って……」

シャル「う――――!!」ビリッ

ゲルト【ああ、服を破いて……】

シャル「うぅ――――!!!」ムキッ

杏子「い、いや!? あれは破いたというより破け……」





マチョロッテ「う――――――ま――――――い――――――ぞ――――――!!!」バリバリバリーッ!




杏ゲル「筋肉ダルマになったああああああああああああああああああああ!?】

マミ「あら、その姿も久しぶりね」

杏ゲル「以前もこの姿になったのおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

マチョロッテ「ふぅー……推測だけど」イケボ

マチョロッテ「通常の五十倍の美味さを得た食材を食べる事で、細胞が劇的な進化を迎え」

マチョロッテ「私の戦闘能力も五十倍になったのでしょうね」

杏子「イミワカンナイッ!」

ゲルト【佐倉さん! 混乱のあまりキャラがぶれてます! 某スクールアイドルみたいです!】

ゲルト【あとシャルロッテさんは色々混ざり過ぎです! どっちもジャンプですけど!】

マミ「……私も、一口いただいて良いかしら?」

ゲルト【ちょ】

ほむら「勿論。どうぞ」

マミ「ええ……いただきます」パクッ

マミ「もぐもぐ……ごっくん」

マミ「……………」ムキムキ

巴マッチョ「ふっ……完敗、ね」

巴マッチョ「こんなリアクションを取らされてしまう料理……私には作れないわ」

杏子「作れて堪るか!?」

ゲルト【ああ……巴さんの豊満なバストが単なる大胸筋に……】

ほむら「さあ、お二人もお食べください。そんでもって評価をくださいな♪」

杏子「断 固 拒 否 す る」

ほむら「あら、折角作ったのに……食べ物を粗末にしてはいけませんよ?」

杏子「既に食べ物とは言えないっつってんだよ!?」

ほむら「そうですか……残念ですが、そこまで言うのなら仕方ありません」

杏子「たく……」

ほむら「無理やり食べさせましょう」

杏子「え、がぼっ!?」

ゲルト【え゛】

ほむら「ゲルトルートさんもどうぞー♪」

ゲルト【ちょ、や、止め……】




ぎゃあああああああああああああああああああ……………





マチョロッテ「さて、ほむらの料理の実食も終わり、あとは審査を下すだけになったわ」ムキンッ

佐倉筋肉「あ、あたしの身体がごいつマッチョに……」ムキッ

ゲルトムッキー【私なんて魔女どころか最早筋肉そのものですよ……】ムキムキ

巴マッチョ「良いじゃない。美味しかったんだから」ムッキ

佐倉筋肉「確かに美味かったけどさぁ」

ゲルトムッキー【私達も口からビーム吐きましたからね】

ほむら「それにしても暑苦しいですねぇ……」

佐倉筋肉「誰の所為だ、誰の」

さやか「あたしらが気を失っていた間に何が起きたんだ」

まどか「マッチョなほむらちゃんならちょっと見てみたかったかも……」

さやか「そしてまどかは何を言っているの?」

マチョロッテ「まぁ、お喋りはこのぐらいにして……」

マチョロッテ「そろそろ評価を出すとしましょう」

マチョロッテ「私達審査員の手元には、巴さんとほむらの名前が書かれた名札が二つある」

マチョロッテ「より美味しい料理を作ったと思う方の名札を上げてもらい」

マチョロッテ「多数決で勝負を決めるわ」

佐倉筋肉「お、これか」

ゲルトムッキー【もう答えは決めましたから何時でもいけますよ】

マチョロッテ「じゃ、いっせーのせ、で、やるわよ」

ほむら「いやぁ、ドキドキしますねー」

ほむら(……なんつってなっ!)

ほむら(妖精さんパワーをたっぷり注ぎ込んだ私の料理が負けるなどあり得ません)

ほむら(そもそも巴先輩自身が負けを認めている訳で)

ほむら(私の勝ちは決して揺らがない!)

ほむら(頂点はこのほむらです! 依然変わりなく!)

マチョロッテ「んじゃ、いっせーの……せっ」






マチョロッテ・・・マミ

佐倉筋肉・・・マミ

ゲルトムッキー・・・マミ






ほむら「……あれ?」

巴マッチョ「……あら?」

マチョロッテ「えー、巴さん3。ほむら0」

マチョロッテ「と、なりましたので……」

マチョロッテ「巴さんの勝ちです」

巴マッチョ「……私の、勝ち?」

マチョロッテ「うん」

ほむら「……私の、負け?」

マチョロッテ「うん」

ほむら「……………」

巴マッチョ「……………」

ほむマミ「えええええええええええええええええっ!?」

巴マッチョ「ど、どどどどどうし、どうして!?」

ほむら「どういう事ですか!? な、何故私が負け……!?」

ほむら「妖精さんパワーを借り、私は究極のウサギ鍋を作り上げたのですよ!?」

ほむら「仮に巴先輩の料理が気持ち私より美味しかったとしても」

ほむら「3対0などという大差を付けられて負けるなどあり得ません!」

マチョロッテ「ええ。確かにほむらの料理は美味しかったわ」

ゲルトムッキー【味だけで判断するなら、暁美さんが私達三人のポイントを得ていたでしょう】

ほむら「だったら……!」

佐倉筋肉「でもな、お前の料理には一つだけ欠点があったのさ」

ほむら「欠点ですって?」

佐倉筋肉「ああ、欠点だ」

マチョロッテ「それも私達三人の審査が覆るほどの、ね」

ほむら「それは、一体……!?」

ゲルトムッキー【簡単な話です】























シャ杏ゲ「妖精さんパワーに頼るのは反則でしょー】




ほむら「……あ」

まどか「え?」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「……………」

まどか「気付かなかった私が言うのも難だけどさ、それ、ちょっと考えれば分かるよね?」

ほむら「……………」

まどか「ううん、ただ反則負けしただけなら、別に良いよ? 勝負は勝ち負けじゃなくて、楽しんだもの勝ち」

まどか「ほむらちゃん、凄く楽しそうに料理していたもんね」

ほむら「……………」

まどか「ところで、私はその料理の巻き添えで色々と酷い目に遭ったけど」

まどか「これってつまり、アレだよね?」

まどか「骨折り損のくたびれ儲け」

ほむら「……………」

まどか「まぁ、それで負けても文句はないけどね」

まどか「反則負けは流石に酷くない?」

ほむら「……………」

まどか「何か言う事ない?」

ほむら「……………」

ほむら「……ごめんちゃいっ♪」

まどか「」ブチッ

まどか「さやかちゃん。ほむらちゃんの料理の残り、ない?」

さやか「スープと僅かな野菜の欠片で良ければ」

まどか「うん、それでいいよ」ガツガツ

まどか「――――」ムキムキ

マチョか「……ふぅ」

マチョか「……ほむらちゃん」




マチョか「楽しかったで済めば警察いらないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ほむら「ぴーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」



さやか「……まどかの奴、逃げたほむらを追い駆けて行ったよ」

ゲルトムッキー【まぁ、大分酷い目に遭ってましたからね】

ゲルト【おっと?】ポンッ

シャル「あ、元の姿に戻った」ポンッ

杏子「お手軽過ぎね?」ポンッ

マミ「あらあら」ポンッ

さやか「はあー……やれやれ、やっと終わりか……疲れた」

シャル「今回、私は楽しめたわよ」

さやか「あー、楽しそうだったよねー……あたしもそっち側なら楽しめたかなぁ」

ゲルト【そう言えば、話は変わりますけど……美樹さん、宿題の方はやらなくていいのですか?】

さやか「げっ!? そうだった!」

シャル「今日はまだ時間あるし……私らが見てやるから、宿題進めたら?」

さやか「うう……もう帰って寝たい……」

マミ「ほら、美樹さん。もうひと頑張りしてっ」

さやか「はーい……」

シャル「じゃ、リビングに戻るか」

ゲルト【ですね】

マミ(さて、私も……)

――――くいくい

マミ「ん?」



マミ「……どうかした?」

マミ「佐倉さん」

杏子「ああ、まぁ、なんだ……」

杏子「まだごちそうさまって、言ってなかったからな」

マミ「ああ、そんな事……ありがと」

杏子「……飯、作ってくれてありがとな」

マミ「だからもう良いって。こっちはお遊びで作ったようなものだし」

杏子「だとしても、さ」

杏子「あたしが覚えている食べ物の味を、また味わえたのは確かなんだから」

マミ「……………」

杏子「ほむらの料理は美味い。それは間違いない」

杏子「でもさ、やっぱあたしにとって一番美味い料理ってのは」

杏子「かーさんの料理であって」

杏子「……”マミさん”の料理だったからさ」

マミ「佐倉さん……」

杏子「ま、久しぶりにマミさんの料理を食えたし」

杏子「もう満足したけどなっ! ははっ」

マミ「……もう、じゃなくて、今日は、でしょ?」

杏子「え?」

マミ「また何時でも作ってあげるわよ」

マミ「もう私達は、決別したかつての仲間なんかじゃない」

マミ「仲直りした友達、でしょ?」

杏子「……何時も独りぼっちのマミに友達云々を語られるとはなぁ」

マミ「う、五月蝿いっ! 良いじゃない別に!」

杏子「そうだな。そんな事、どうでもいいな」

杏子「……これからよろしくな、マミ」

マミ「……ええ、勿論」




マミ「これから、よろしくね!」





















ゲルト【……で、なんで鹿目さん、またアフロになってるんですか?】

まどか「……ほむらちゃん追い駆けたら、妖精さんアイテムで本気の迎撃された……」

ゲルト【それはお気の毒に……】

まどか「うう……ほむらちゃん酷いよ! 全然私の事見てくれないし!」

まどか「今日だって……いや、私は全然役立たなかったけど、でもでもでもっ!」

ゲルト【まぁまぁ、気持ちは分かりますけど落ち着いてください】

ゲルト【独占したい気持ちは分かりますけど、相手が暁美さんですからねー】

ゲルト【それに惚れた弱みって言葉もあるじゃないですか。振り回されるのも仕方ないですよ】

まどか「それはそうだけど……」

まどか「……………」

まどか「え?」

ゲルト【?】

まどか「惚れた、弱み?」

ゲルト【ええ】

まどか「誰が?」

ゲルト【鹿目さんが】

まどか「誰に?」

ゲルト【暁美さんに】

まどか「……………」






まどか「え?」



妖精さんメモ


『翻訳眼鏡』 ※原作登場※

妖精さんが作ってくれた万能翻訳危機。言葉を持たない者達の心を読み取れる、不思議な眼鏡です。

どんな存在、例えば髪の毛だったり昆虫だったり加工済みチキンだったりの言葉も読み取ってくれます。

ただし訳した言葉は眼鏡の下側に字幕表示されるのと、あくまで意訳である事、そして翻訳されたところで

人類にその意味が理解出来るとは限らない事に要注意です。

尚、魔女さんは元魔法少女=元人間なので、表示される言葉は真っ当に訳されているとの事。

ちなみに私の眼鏡には幾度となく改造が施されており、レーダー、望遠鏡、スカウター、人間ドック、

お野菜の鮮度判定、産地偽装判定などなど、原作にはない様々な機能が付いている、と妖精さんが言っていました。

……原作ってなんの事でしょうね?



『ブラックホール缶詰』 ※原作登場※

数年前に妖精さんがプレゼントしてくれたアイテムです。

一見普通の缶詰ですが、何をしても壊れない恐るべき強度を誇ります。そして内容物は『ブラックホール一つ』との事。

開けられないので中身を見る事は出来ませんが、妖精さんですからね。多分、入ってます。

そういうとこ、ちゃんとしちゃう人達なので。



『探し物アンテナ』 ※オリジナル※

どんな物(物体だけでなく思い出や記憶も)でも見つけ出してくれるアンテナです。我が家の屋根に設置されています。

その原理は『できごと』達の噂話を収集・分析し、居場所を特定するのだとか。

噂とは言え『できごと』から直接聞いているので、大体九割ほどの確率で正確に居場所を特定出来ます。

残る一割もちょっとずれているぐらいで、少し探せばきっと見つかるでしょう。

あなたも無くしてしまった物、忘れてしまった事がありましたら、このアンテナで探してみてはどうでしょうか?




『魔鋏れーばていん』 ※オリジナル※

あらゆる物体を切り刻んでしまう、恐るべき切れ味を誇る鋏。それがこの魔鋏れーばていんです。

刃に触れれば鋼鉄だろうとダイヤモンドだろうと運命の赤い糸だろうと切断してしまいます。

妖精さん曰く、刃に触れた部分の原子やらなんやらを仲違いさせて分離させるとの事。

その性質上切れ味を維持するために、定期的に悪口を吹き込んでおく必要があります。

咄嗟の時には使い辛いので、戦闘用としては扱い辛いです。あくまで便利な工作グッズという訳ですね。



『お手軽奥義書』 ※オリジナル※

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……欲に目が眩んでこんな感じの商売をしたところ、翌日筋肉隆々の老若男女に追い駆けられるという目に遭った事が

あります。昔は結構やんちゃをしたものです。



今回はここまで!


ウサギは一度食べてみたいです。ヨーロッパでは普通に食べられているようだから、多分そこそこ美味しい……筈。

さて、見滝原中学の工事で流体金属云々の件を入れましたが、こちらは人類は衰退しましたの『おさとがえり』で出てきた
人類絶頂期のテクノロジーの一つ……の、元となった技術という妄想で入れたネタです。
原作小説だと絶頂期の人間の技術がそれなりの頻度で登場しますが、割と妖精さん並に超科学なところ、結構好きです。
そしてそういうネタを入れたがる人が私。今までもちょこちょこ入れてたりする。寮母ロボに絡めたネタとか。
うーん、アニメ組に優しくない。

妖精さんアイテム説明を妖精さんメモに変更してみました。アイテムだけでなく、出てきた独自解釈等も解説しく予定です。

それでは次回は人退九巻発売前までを投下の目安に。
さよなら、さよなら、さよなら。

あくまで好意は一方通行でレズっぽい作風じゃない所が良い
これからもそうしてほしいな

どう見てもレズだと思うが
だが俺は誰が見てもレズってレベルでもっと激しくなるの希望

改造人間の恭介がインフレに置いて行かれてるな

生前の意識と人格を保って人類の味方をしてるクリームヒルトさん
地球最強ウルトラマン、かつ人間サイズでも多少弱くなるが戦えるプリキュアみたいな何か
元々が特殊能力無いくせに最強クラスだったのに無限の魔翌力をもってキノコ雲クラスの攻撃連発出来るようになった究極の魔法少女
プリキュアモードの最強生物よりも強い天使の肉体を得た元天使

これらを産み出す原因となった万能チートの妖精さんをある程度使いこなし、暴走してもそれはそれな「人間さん」



魔法少女二人が本気で戦っても遊びで済ませられる改造人間とか割とトンデモなレベルのはずなのにこのホーリークインテッドを前にしたらなぁ

本気出したら宇宙が征服できるな魔境見滝原

乙でした
>>シャル「佐倉さんの勉強は私が見るわ。人間だった頃そんな(ry
あれ、このSSではシャルはベベの使い魔が魔女化したものってことになったんjうわ待て何をする止め



しあわせのしろいこなー



おすおっす。愛読書は桜Trick、最近続きが気になる漫画はcitrusな>>1です。
人退9巻発売前に投下すると言ったな。嘘じゃねぇから! まだうちの近所の本屋は開いてないから嘘じゃねぇから!
……言い訳しているうちに発売となりそうなのでここいらで本題へ。


>>177 >>178
自分が百合好きなので、レズっぽさは出てしまうと思います。
が、果たしてうちの暁美さんに恋愛フラグが立ちますかねぇ……


>>183
シャル「……………」


>>185
尚、メンバーはまだ増える模様


>>191
やさぐれなぎささんじゅうごさいが魔女化して、使い魔は大雑把にその記憶を継承している事にすれば問題解決だ(白目



そんなこんなで前回百合フラグが立ちましたが、妖精さんがすんなりフラグ通りにしてくれる筈もない
えぴそーど じゅうはち でーす。




えぴそーど じゅうはち 【人間さんたちの、らぶすとーりーず】




どうも、鹿目まどかです。

今回のあらすじを呼んでくれと天から声が聞えたので一読します。




ゲルトルートさんに、私がほむらちゃんに惚れていると指摘されました。




……今回はその指摘があった翌日からのお話です。




                 ――― 鹿目ハウス ―――



まどか「えっと、お茶菓子どうぞ……」翻訳眼鏡装備中

ゲルト【あ、どもです】

さやか「いただきまーす」翻訳眼鏡装備中

まどか(まさか魔女を自宅に招く日が来るとは思わなかった……)

まどか(付き添いのさやかちゃんも居るけど、なんか違和感あるなぁ)

まどか(……ゲルトルートさん大きいから、リビングが狭く感じる……)

さやか「もぐもぐもぐ」

ゲルト【……美樹さん、遠慮なく食べますね】

さやか「いやー、最近ほむらの家でお茶菓子をたらふく食ってたせいか」

さやか「甘味を見るとつい手が出てしまうようになってしまって」

ゲルト【堕落してますねー】

ゲルト【そんなんじゃ太りますよ?】

さやか「もう手遅れです」

さやか「なのであたしは気にしない事にしたのです」モグモグ

ゲルト【開き直るにはちょっと早くないですか?】

さやか「良いの良いの」

まどか(楽しそうだなー……)

さやか「それは兎も角、げるげるがまどかの家に来たいとはね」

さやか「キュゥべえが何か仕掛けてくるかもってんで、あたしは護衛として一緒に来た訳だけど」

さやか「二人って何時の間にそんな仲良くなったの?」

ゲルト【仲良くと言うか……弱味を握った、でしょうか?】

さやか「おや、穏やかじゃないね」

さやか「何々? まどかの好きな人でも知っちゃったの?」

まどか「ぶふぉっ!?」

さやか「え?」



ゲルト【……美樹さんって、結構鋭いんですか?】

さやか「え? え? マジなの? え?」

ゲルト【まぁ、マジかどうかを確定するためにも、今日は遊びに来た訳ですが】

ゲルト【……相手が相手ですので訊きますけど、鹿目さん】

ゲルト【美樹さんにもこの話をしても、よろしいでしょうか?】

まどか「……うん」

まどか「さやかちゃんになら……大丈夫」

さやか(え? 何、どういう事?)

さやか(誰かに聞かせられないような相手なの? それとも、”あたしだから聞かせられる”相手?)

さやか(まさかそれって……)

まどか「……さやかちゃん、聞いて」

さやか「……………」

まどか「あのね……私、」



まどか「ほ、ほむらちゃんの事、好きになっちゃったみたいなの!」




さやか「……………」

まどか「だ、だから、さやかちゃんにも協力してほしくて」

さやか「まどか!」

まどか「きゃっ!? さ、さやかちゃん!?」

まどか「あの、なんでいきなり掴み掛って……」

さやか「病院行こう!」

まどか「突然の病人扱い!?」

さやか「だって……だって、可笑しいでしょ!」

まどか「それは……た、確かに、女の子同士なんて可笑しいかも知れないけど、でも」

さやか「いや、女の子同士は別にいいんだ」

まどか「え?」

さやか「でも、ほむらを好きになるなんて、そんなの……」

さやか「脳に異常があるとしか……!」

まどか「いやいやいや!? 女の子同士は許容出来るのになんでそこ全否定するの!?」

さやか「まどか。怖がらなくていいんだよ」

さやか「今の医学って凄いから、治療すればきっと治るよ。ね?」

まどか「話聞いてよ!? 何なの!? さやかちゃん、ほむらちゃんの友達だよね?! 本当は仲悪いの!?」

さやか「い、いや、だって……」

ゲルト【恋に理由はいりませんよ。好きになったら、それは仕方ない事です】

ゲルト【それに少なくとも私は、誰かが誰かを愛おしく想う気持ちほど大切なものはないと思っていますし】

ゲルト【例え世間では認められていない”過ち”でも】

ゲルト【その想いは過ちを責める心よりずっと純真で綺麗だと信じています】

さやか「それは……」

ゲルト【勿論美樹さんは混乱のあまり先のような事を口走ったのだと思いますが】

ゲルト【もし本気で鹿目さんの想いを否定するのなら】

ゲルト【いくら美樹さんでも、許しません】

まどか「……………」

ゲルト【まぁ、私はその所為で……】

さやか「……げるげる……?」



ゲルト【……なんでもありません】

ゲルト【私が言いたいのは鹿目さんが誰を好きになろうと、その気持ちは尊重されるべきだと言う事です】

ゲルト【まぁ、昨日気付いたばかりの恋心なので、錯誤という可能性もゼロではありませんけどね】

さやか「へ? そうなの?」

まどか「うん……昨日ゲルトルートさんに言われて気付いたの……」

さやか「あー、そうかそうか」

さやか(なんだ、げるげるが勝手に言って、まどかは乗せられただけか)

さやか(それならまだ恋だと決まった訳じゃないよね)

さやか(つーかまどかは他人の言う事を鵜呑みにするからなー)

さやか(本当にほむらが好きなのか怪しいもんだね)

ゲルト【……………美樹さん。さては私が鹿目さんを乗せたと思っていますね】

さやか「ぶっ!?」

ゲルト【ふん、良いでしょう。証拠をお見せします】

ゲルト【鹿目さん、暁美さんが傍にいると自分がどうなってしまうか、さやかさんにお伝えください】

まどか「え? えっと……」

まどか「ほむらちゃんが傍に居るとついつい目で追っちゃって」

まどか「あと出来るだけ近くに居たいからつい近付いちゃって」

まどか「だけどそうすると胸がドキドキして苦しくなるし、身体も熱くなっちゃうし」

まどか「あと他の女の子と仲良くしているのを見るとムカムカしちゃうの」

まどか「そ、それから……油断すると、ほむらちゃんとエッチな事しちゃう妄想が……」

まどか「あっ!? エッチと言ってもキスとか一緒のお布団で寝る止まりだから!?」

まどか「雪山で遭難してお互いの体温で温めあうのとかは一度しか妄想した事ないからね!」

まどか「……これって、恋で良いんだよね?」

さやか「恋以外の何物でもないじゃねぇか!!」

ゲルト【でしょう?】



まどか「うう……やっぱりそうなんだ……///」ポッ

ゲルト【……昨日も思いましたけど、何故そこまでべた惚れしていたのに恋愛感情だと気付かなかったのです?】

まどか「だっ、だって……ほむらちゃんってカッコいいでしょ?」

ゲルト(鹿目さん的に暁美さんはカッコいいの部類なんですね)

さやか(以前、アイツは自分の事可愛いと言ってたけどね)

まどか「それに、私が魔女になった時に颯爽と助けてくれて……」

ゲルト(あれは颯爽と、だったのでしょうか?)

さやか(ウキウキとって感じだった気がする)

まどか「私もあんな風になりたいな、カッコ良くなりたいなって思って」

まどか「……憧れの感情だと思ってました……」

さやか「んー……そういう事なら仕方ない、のかなぁ?」

ゲルト【相手が同性だったので恋愛感情という可能性が頭から抜けていた、のもあるのでしょう】

まどか「うう……」

さやか「まぁ、この際今の今まで気付かなかった事はどうでも良いよね」

さやか「問題はこれからどうするか、か」

さやか「まどかはほむらの事が好きなんだよね?」

まどか「うん」

ゲルト(即答ですね)

さやか「つまり恋人になりたいんだよね?」

まどか「う、うん……///」

さやか「そうなると、方法は二つ」

さやか「一つは、まどかがほむらに告白して見事成就する事」

まどか「そ、そんなの無理! 恥ずかしくて絶対死んじゃう!」

さやか「うん。そうだと思う。出来るとも思えないし」

ゲルト【と、なると二つ目……】

ゲルト【暁美さんが鹿目さんに惚れて、向こうから告白してくれる】

ゲルト【そういう状況を作るという事ですね】

さやか「それしかないか」

まどか「そ、そんな、そんな……」

まどか「ほむらちゃんから告白されたら、そんな、嬉し過ぎて……」

まどか「全身の血管が破れて目から血を噴きながら吐血しちゃうよ!」

さやか「よくもまぁそんな具体的に気持ち悪い例えが出てくるね」

ゲルト【まぁ、鹿目さんが生きていられるかどうかはこの際どうでも良いとして】

まどか「良くないよ!? 折角恋人になれたのに死んだら勿体無いよ!」

さやか(勿体無いかどうかの問題かよ)

ゲルト【妖精さんパワーを借りればなんとでもなるでしょう。きっと】



ゲルト【問題はどうすれば暁美さんが鹿目さんに惚れるか、ですねぇ】

ゲルト【惚れてしまえば、あの人の事ですから即行告白してきそうな気がしますし】

さやか「あー、確かに」

さやか「……って、それが出来たら苦労はないでしょ」

さやか「アイツが誰かに恋するなんて全然想像出来ないし」

まどか「私は出来るよ!」

さやか「それは妄想って言うんだよ、まどか」

ゲルト【美樹さんの言う事も分かります……確かに、暁美さんが誰かに恋する姿は想像出来ません】

ゲルト【ですが手はあります】

ゲルト【確かに常識的な手法で暁美さんをどうにか出来るとは思えません】

ゲルト【なら、非常識な手を使えばいいのです。多少のリスクを覚悟した上で】

さやか「非常識な手?」

まどか「もしかして……」

ゲルト【勿論、その方法は――――】




                ――― 見滝原商店街 ―――



ほむら「今日の晩ご飯は何にしましょうかねー。カレー、は昨日食べましたし……」

ほむら「……こうして一人で買い物、というのも久しぶりです」

ほむら「シャルロッテさんは、(危険な)我が家に置いておく訳にもいかないので最初は常に一緒に行動していましたし」

ほむら「最近は鹿目さんや巴先輩達と行動を共にすることも多かったですからね」

ほむら「一人は気軽な反面、ちょっと寂しいかも」

――――にんげんさん、おさみしい?

ほむら「あら、心配かけてすみません。大丈夫です。このぐらいの寂しさは、人生のスパイスになるんですよ」

――――さよかー

ほむら「さよですよー」

ほむら「さて、それよりも今日の晩ご飯を……」

ほむら「ん?」



仁美「……」テクテク






ほむら(おやおや。あれは志筑さんじゃないですか)

ほむら(……憂鬱そうに見えるのは気のせいでしょうか?)

ほむら(まぁ、声を掛けてみれば分かりますよね。見つけた手前、無視するのもなんかアレですし)

ほむら「志筑さーんっ」

仁美「え? あ、暁美さん……こんにちは」

ほむら「こんにちは。何処かにお出掛けですか?」

仁美「お出掛けと言いますか……ちょっと散歩を」

ほむら「散歩ですか(商店街に?)」

仁美「そういう暁美さんは?」

ほむら「私は晩ご飯の買い物です」

ほむら「一人の時は適当に作れましたけど、今は居候が三人も居ますからねー」

ほむら「栄養バランスと皆さんの好みを考え、尚且つ飽きないよう献立を考えるのは、中々大変ですよ」

仁美「くすっ。まるでお母さんみたいですのね」

ほむら「そうですかねぇ?」

ほむら「まぁ、家族のつもりではいますけどね」

仁美「家族……」

ほむら「おっと。この話題はあまり続けると重くなるのでこれ以上はNGで」

ほむら「ところで話は変わりますけど」

仁美「はい?」

ほむら「何かお悩みですか?」

仁美「へ?」



ほむら「いえ、なんだか先程から話の切れが悪く、表情も普段より暗い様子」

ほむら「もしかしたら悩みでもあるのかなー、なんて思った次第です」

ほむら「ああ、勿論言いたくないなら言わなくても結構ですが」

仁美「……」

仁美「あの、暁美さんは……さやかさんと親しい、ですわよね?」

ほむら「? ええ、まぁ、私はそのつもりです」

ほむら「しかしそれを言ったら、志筑さんの方が親しいと思いますけど」

仁美「親し過ぎて言えない事もある。そういう事ですわ」

仁美「……宜しければ、あそこの喫茶店でお茶でもしません?」

ほむら「そうですね……時間的な余裕はありますし」

ほむら「折角のお誘い、受けねば勿体無いというものです」

ほむら「是非、そうさせてもらいますね」


……………

………






             ――― とある喫茶店 ―――



店員「ご注文を承ります」

仁美「オレンジジュースと、ホットケーキを」

ほむら「私はココアと自家製プリンで」

店員「ご注文を繰り返させていただきます。オレンジジュース一点、ココア一点、
   ホットケーキ一点、自家製プリン一点ですね?」

ほむら「はい、大丈夫です」

店員「畏まりました。少々お待ちください」

仁美「……意外ですわ」

ほむら「? 意外、とは?」

仁美「暁美さんはてっきり、コーヒーを頼むと思っていましたから」

仁美「特に根拠はありませんけど」

ほむら「ああ、何故かよく言われるんですよね」

ほむら「そういう設定はない筈なんですけどね……筈ですけど」

仁美「設定?」

ほむら「いえ、なんでもありません」

ほむら「それで? わざわざお店に連れ込んだという事は、何か話したい事があるのではありませんか?」

ほむら「勿論ただお喋りしたいだけだとしても、私は一向に構いませんけどね」

仁美「……実は折り入って相談が」

ほむら「おお? 相談しちゃいますか? 私、結構口が軽いですよ?」

仁美「そこは嘘でも硬いと言いましょうよ……でも、そういう素直なところは逆に信用出来ます」

仁美「仮に言い触らされても、それはそれで一向に構いませんわ」

ほむら「あら、そうなんですか?」

ほむら「私、天邪鬼ですからねぇ。話して良いと言われると、話したくなくなるんですよ」

仁美「だと思いましたわ」



仁美「……そろそろ本題に入りましょう」

仁美「暁美さんは、さやかさんの好きな人を知っていますか?」

ほむら「ええ、一応知ってます。上条さん、ですよね?」

ほむら「全く……中学生なのに不純異性交遊とはなんと嘆かわしいのでしょう」

ほむら「別に誰が誰を好きになろうと構いませんが、それでも未成年らしく分別を弁えてほしいものです」

仁美「……実はわたくしも、上条くんが好きなのです」

ほむら「ふぇっ!?」

仁美「さやかさんの友人であるあなたにこういう事を聞くのは卑怯だと思いますが」

仁美「その……さやかさんと上条くんは……」

仁美「既に、付き合っているのでしょうか?」

ほむら「そ、そ、そ、そ、そんな訳ないでしょう!」

ほむら「だって、だってそんな、さやかさんと上条さんが付き合っていたら……」

ほむら「赤ちゃん出来ちゃってますよーっ!!」

仁美「何段階飛ばすんですの?」

ほむら「はっ!? そう言えば最近さやかさんの身体がふっくらしてきたような気がするのはまさか」

仁美「ヴェッ!?」

仁美「そ、そんな、そんな、そんな……!」

ほむら「まさ、まさか二人が、そんな……!」

ほむ仁「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

店員「お客様、店内ではお静かに」

ほむ仁「あ、すみません」


……………


仁美「ごほん……すみません。取り乱してしまいました」

ほむら「いえ、ごめんなさい……元を辿れば私が悪い訳ですし……」

ほむら「落ち着いて考えたら、時系列的に赤ちゃんが出来て一月も経ってないのに身体に変化が出る訳ありませんよね」

仁美「赤ちゃん作る事は確定なんですのね」

ほむら「? 愛し合っているのに、子供が欲しくないのですか?」

仁美(この人、ピュアなのか穢れているのかよく分からない)



仁美「と、兎に角、さやかさんと上条くんはまだ付き合ってない、という前提で話しましょう」

ほむら「多分その前提で平気だとは思いますが。さやかさん単純ですから、付き合ったら絶対のろけると思いますし」

仁美「あー……」

仁美「……えっと、兎に角ですね」

仁美「わたくしは、上条くんと付き合いたいと思っています」

ほむら「うう……何度も聞かされますけど、恥ずかしいです……」

ほむら「赤ちゃん出来た後の将来設計は考えていますか? 折角出来た命、堕ろせば良いなんて言わせませんよ」

仁美「無駄にテーマを重くしないでください。そういう事にはならない……筈ですから」

仁美「相談はここからです」

ほむら「ここから?」

仁美「……私は、上条くんと付き合いたい」

仁美「ですが、さやかさんとの友情も大切にしたいのです」

ほむら「あー、実に面倒臭い三角関係ですね。夏目漱石の『こころ』みたい」

仁美「死人が出る例えは止めてください。笑えないので」

ほむら「他人からしたら笑いの種ですよ、ドロドロの愛憎劇なんて」

ほむら「まぁ、要するにあれですね」

ほむら「恋と友情を両立させるにはどうすれば良いのか、と?」

仁美「……はい」

ほむら「そう深刻な顔をされましてもねー……正直恋愛ってよく分からないですし」

ほむら「ましてや三角関係の綺麗な解決方法なんて、あるのかどうかも怪しいものです」

ほむら「それでも私の意見を言わせてもらうなら……」

ほむら「多分ですけど、さやかさんに負い目があるから苦しいのでは?」

仁美「負い目?」

ほむら「さやかさんの好きな人は知っている。だけどさやかさんは、あなたの好きな人を知らない」

ほむら「これではさやかさんはあなたに”対抗”出来ない。フェアじゃない」

ほむら「こんな状態で勝ったら恨まれるのでは? 卑怯者だと誹りを受けるのでは?」

ほむら「それが不安なのではありませんか?」

仁美「……そう、かも知れません」



ほむら「では、二つの方針から好きな方をお選びください」

ほむら「一つ。今のまま、卑怯者でも良いやと開き直り、上条さんに告白する事」

ほむら「勝負は勝負です。例え不意打ちであろうとも、横から掻っ攫われる可能性を考慮していないさやかさんが悪い」

ほむら「畜生に身を落とせば、色々と楽なのは違いありません」

ほむら「そして二つ目。対等になる事」

ほむら「対等になれば、あなたの勝率はぐっと下がります」

ほむら「そもそも対等になったから恨まれない、というのが甘い見通しでしょう。親友の好きな人を好きになるなんて、
    それだけで殺人事件が起こっても可笑しくない要因です」

ほむら「メリットなし。デメリットも方針一に負けず劣らず」

ほむら「はっきり言います。こんなの、ただの自己満足以外の何物でもありません」

仁美「……………」

ほむら「ですが」

ほむら「自分すら満足出来ない選択に、どれほど意味があるんでしょうね?」

仁美「!」

ほむら「……どうやら答えは決まったようですね」

仁美「……ええ」



仁美「今日は、相談に乗ってくれてありがとうございます」

ほむら「礼を言われるほどの事はしていません」

ほむら「それに、本当はもう答えを出していたのではありませんか?」

ほむら「多分アレでしょう? 後押しが欲しかっただけなのでは?」

仁美「暁美さんって、鋭いんですのね」

ほむら「肝心なところでは抜けている、と、よく言われますけどね」

仁美「くすっ。そんな気がしますわ」

仁美「……お陰で覚悟が決まりました」

仁美「ここの支払いはわたくしがしておきますね」

ほむら「あら、ごちになっちゃって良いのですか?」

仁美「ささやかですけど、相談に乗ってくれたお礼ですわ」

ほむら「ふむ。そういう事でしたら、たからないと失礼ですね」

仁美「ええ。しっかりと奢られてくださいな♪」

ほむら「んじゃ、追加オーダーを」

仁美「え?」

ほむら「いえ、奢ってもらえるなら遠慮せずもう二~三品ぐらい頼もうかなーっと」

仁美「そ、そうですか……構いませんけど……」

ほむら「それに」

仁美「? それに?」

ほむら「折角仲良くなれたのに、こんな短時間のお話じゃ物足りないですからね」

ほむら「まだまだお茶会を楽しみましょう?」


……………

………






               ――― 暁美家 ―――



まどか「……………」コソコソ

さやか「……………」コソコソ

ゲルト【……………】コソコソ

シャル「……何やってんのアンタら?」

まどか「はっ!? 見つかっちゃったよ!?」

シャル「玄関から堂々と入ってきて見つかったも何も……とりあえず、いらっしゃい」

さやか「おじゃまんぼー」

さやか「……ん?」

まどか「どうしたの?」

さやか「いや、杏子ちゃんは今居ないのかなって……居て欲しい訳じゃないけど」

シャル「佐倉さんは今、巴さんの家に遊びに行ってるわよ」

シャル「結構付き合い長いみたいだし、積もる話とかあんじゃない? よく知らないけど」

さやか「ふーん」

まどか「……………」

シャル「で、三人はなんでそんなわざとらしくこそこそと家に入ってきた訳?」

ゲルト【いやー、どーせならこそこそした方が雰囲気出るかなーっと思いまして】

シャル「雰囲気?」

ゲルト【ちょっと暁美さんに内緒でやりたい事がありまして】

シャル「え? 何? アイツに悪戯でもするの?」

まどか(シャルちゃん、すごく悪い笑顔を浮かべている)

さやか(ありゃあ参加する気満々だね)

まどか(……身も心もほむらちゃん化してきてる気がする)
さやか(……身も心もほむら化してきてるぞアレ)



ゲルト【それで、その肝心の暁美さんはまだ帰ってきていませんか?】

シャル「うん。なんか志筑さんと遊んでくるって連絡があった」

さやか「へ? 仁美と?」

まどか「な、なんで!?」

シャル「いや、なんでかは知らないけど……街で偶然会ったみたい」

まどか「うぎぎぎぎ……!」

ゲルト【まるで橋姫の能面みたいな顔になってますよ、鹿目さん】

ゲルト【まぁ、暁美さんが居ないのは好都合です】

ゲルト【キッチンに行きましょう】

シャル「キッチンって……もしかして?」

ゲルト【そのもしかして、です】

ゲルト【――――妖精さんに、ちょっとお願いしたいと思いまして】


……………


シャル「そんな訳でキッチンよー」

まどか「妖精さんって、キッチンに居るの?」

シャル「そういう訳じゃないけど、でもキッチンだと他の場所より見かけるわね」

シャル「多分お菓子がしまってあるからじゃないかしら」

まどか「単純な……」

妖精さん「おかしときこえたような?」

まどか「あ、出てきた」

シャル「単純でしょ?」



シャル「……つーかさ、ここまで案内して今更だけど」

シャル「本当に妖精さんにお願いしちゃうの?」

さやか「何? さっきまでノリノリだったじゃん」

シャル「ほむらに悪戯仕掛けるだけならノリノリでやるわよ」

シャル「でもそこに妖精さんを絡めるのは反対したいわ」

シャル「ゲルちゃんや鹿目さんはまだ分からないでしょうけど」

シャル「妖精さんが絡むと色んな事が予測不能で制御不能になっちゃうのよ?」

シャル「と言うか、さやかは分かってる筈よね?」

さやか「いや、あたしは一応止めた」

さやか「でもまどかとげるげるが乗り気でねー……」

さやか「それに、妖精さんじゃないとちょっと無理そうだからさ」

シャル「無理そうって……何をする気なの? 悪戯じゃないの?」

ゲルト【説明するより聞いた方が早いですね】

ゲルト【えっと、妖精さん妖精さん。一つお願いしたいのですが】

妖精さん「もとにんげんさんのおたのみごととあらばー」

ゲルト【えーっと……】

シャル「?」

まどか「ああ、もう話しちゃっていいよ……よく考えたら杏子ちゃんって前例もある訳だし……」

ゲルト【じゃあ、遠慮なく】

ゲルト【えっと、実はですね。鹿目さんが暁美さんに恋をしてしまったそうなのです】

シャル「え? なにそれ? え?」

さやか「よーし、シャルちゃんにはあたしがじっくり説明してあげるからなーこっちこーい」

シャル「え? え?」

まどか(シャルロッテさん、さやかちゃんに連れ去られていっちゃった……)



妖精さん「それはおめでたですなー」

ゲルト【でも暁美さんは鹿目さんの事をそこまで好きか分からなくて】

ゲルト【もしかすると失恋してしまうかも知れないのですよ】

妖精さん「せちがらいのねー?」

ゲルト【世知辛いですね】

ゲルト【ですから、妖精さんのお力で二人を恋仲にする事は出来ないでしょうか?】

妖精さん「あー……」

ゲルト【? 返事が煮え切りませんね?】

妖精さん「ぼくら、こいをしらぬみですので」

ゲルト【え?】

妖精さん「ちしきではぞんじてますが?」

ゲルト(そう言えばこの人達、楽しいと増えるんですよね)

ゲルト(一人でも増殖出来るのなら、恋は必要ない)

ゲルト(だとすると確かに恋愛を理解出来ないかも知れません)

ゲルト(……なんでしょう。凄く嫌な予感がします)

ゲルト【えーっと、出来ないなら無理にとは言わないので】

妖精さん「ですがごあんしん」
妖精さん「さんこーぶんけんここにありますので」

ゲルト【そ、それは――――(妖精さんがどこからともなく本を取り出して……)】

ゲルト(って、それ暁美さんが好みそうな冒険活劇漫画じゃないですかヤダーッ!?)

ゲルト(確かにその手の漫画はボーイ・ミーツ・ガールが基本ですけど!)

ゲルト(ヤバい! この流れは絶対ヤバいです!)



まどか「げ、ゲルトルートさん、これって……」

ゲルト【不味い気がします!】

ゲルト【妖精さんちょっと待っ――――】

妖精さんB「なるほどー」
妖精さんC「これでおむねどきどき?」
妖精さんD「べんきょうになりますなー」

ゲルト【増えたあああああああああああああっ!?】

まどか(あ、これもう駄目っぽい)

まどか(妖精さんの事はよく知らないけど、何と言うか)

まどか(本能的に手遅れな予感がする)

妖精さんA「さくせんたーいむ!」

まどか(ああ、妖精さん四人が円陣を組んじゃった)

まどか(なにかを話しているみたいだけど、まるでテープを早送りしているみたいな動きで……)

まどか(何を話しているのか、全く分からない!)

妖精さんA「にんげんさん、にんげんさん」

まどか「は、はい!?」

妖精さんA「しばしおじかんくだされ」

まどか「じ、時間?」

妖精さんA「ちょっとうちあわせしーの?」
妖精さんB「いいばしょしってますが」
妖精さんC「あぽいんとひつよーですからー」

まどか「え、えーっと……」

まどか(凄く……凄く嫌な予感がする!)

まどか「そ、そこまでしてくれなくても大丈夫かなーって思ったり」

妖精さんA「ごえんりょなさるなー」
妖精さんB「えんりょというなのさいそく?」
妖精さんC「ごーさいんきたー」
妖精さんD「ごーごーごー!」

まどか「いやいやいやいやいや!?」

ゲルト【曖昧な答えは快諾と受け取られるようですね……】



まどか「よ、妖精さん待っ」

妖精さんA「さくせんかいしーっ!」

妖精さん達「おーっ!」

まどか「あああああ……ち、散って行っちゃった……」

ゲルト【これは……どうしましょう?】

まどか「ど、どうしよう……」

まどゲル「……………】

ゲルト【あ、あまり気にしなくて良いんじゃないでしょうか】

まどか「え?」

ゲルト【ちょっと失敗しちゃった気はしますけど、相手は妖精さんです。きっと素敵な道具を作ってくれます】

ゲルト【それに酷い事にもならない筈です】

ゲルト【だったらちょっとは信じて、良い展開になる事を期待しましょう】

ゲルト【ね?】

まどか「う、うん……そう、だね。今更後悔しても仕方ないよね」

まどか「きっと、大丈夫だよね!」

ゲルト【ええっ!】


























まどゲル(まぁ、絶対ろくな事にならないんだろうなー……フラグ的に)





                 ――― 翌日 鹿目家リビング ―――



まどか「……昨日は何時とんでもない展開が起きるかと思って、全然眠れなかった」

まどか「うう……太陽がこんなに眩しいのは初めてかも……」

まどか(ママは会社に行って、たっくんは幼稚園。パパは買い物で遠征中)

まどか(今日何かあっても、ちょっとの時間なら家を空けられるけど)

まどか(……何もないと良いなぁ)

まどか「い、いや、大丈夫だよね。だって妖精さんは電波が苦手って、ほむらちゃん言ってたし」

まどか「電波だらけのお外では活動出来ないから、家に居る限り絶対安全」

まどか「それより、昨日は全然手が付けられなかった宿題をやらないと」

――――ひらり

まどか「?」

まどか「テーブルから何か落ちた……これは、封筒?」

まどか「えっと、何々……」

まどか「『しょーたいじょー』」

まどか「……………」

まどか(うわー、私今、すっごい汗かいてる。全身の毛穴から汗吹き出てるー)

まどか(どう考えてもこれは妖精さんからの招待状)

まどか(開けちゃ不味いよね。開けたら色々不味いよね)

まどか(勿論そのままには出来ないから私の部屋に持っていくけど――――)

まどか(あれ? なんか封筒の左端に小さく書いてある。えっと……)

まどか(しんこんりょこうれたー……新婚旅行レター?)

まどか「」ビリビリ

まどか「はっ!? 無意識に封筒を開けちゃった!」

まどか「でも新婚ほやほやラブラブカップル宛てにって書かれたら開けざるを得ないよね! 仕方ないよね!」

まどか「って、私は誰に言い訳してるんだろう……そもそも書かれてないしそんな事」

まどか「まずは落ち着こう……うん」

まどか「いくら妖精さん絡みとは言え、手紙をちょっと開けただけでどうこうなる筈が」

――――ぴかーっ

まどか「ですよねー」


……………

………





――――めさん

――――なめさん

まどか「う、うーん……」

――――鹿目さん、起きてください

まどか「うう……今日は寝不足なの……」

まどか「だからあと五分……」

――――そうですか……

――――じゃあ無理やり起こしちゃいましょう。えいっ

まどか「はむ(口に何か入れられた……)」

まどか「……………」

まどか「カッラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイ!?」ゴバアアアアアア

まどか「って、私口から火を噴いて、辛っ!? 辛ぁああああぁあああぁぁあぁあぁ!!!」

ほむら「これは妖精さんアイテム『激辛スティック』」

ほむら「一口しゃぶればあら不思議。火を噴くほどの辛さを体感出来ます♪」

まどか「だからって本当に火を吐く必要はないんじゃないかな!? ひぃぃぃぃぃぃ!」ゴオオオオオ

ほむら「一応水を飲めばスッキリするそうですが」

ほむら「生憎今日は手持ちがないので、我慢してください♪」

まどか「ひぃぃぃぃぃ……!!」


~しばらくお待ちください~


まどか「や、やっと収まった……げふ」ボッ

ほむら「みたいですねー」

まどか「もう! 酷いよほむらちゃん!」

ほむら「起きない鹿目さんが悪いのです」

まどか「それはそうかもだけど、でももっと方法があるでしょ!?」

まどか「目覚めのキッスとか!」

ほむら「いや、それ目を覚ます効果ないと思うのですが」

まどか「少なくとも私は一発で起きられる自信が」

まどか「って、ほむらちゃああああああああああああああああああああああん!?」

ほむら「え? 今更? と言うか何故そんな大仰に驚くのですか?」



まどか「だ、だって、だって……」

まどか「……あれ?」

まどか「そう言えば、なんで私、ほむらちゃんと一緒に居るんだろう?」

ほむら「鹿目さんは開けませんでしたか? 妖精さんがくれた手紙」

まどか「あ、うん。開けた……」

ほむら「私も開けました。なんか面白そうだったので、迷わず」

まどか「流石ほむらちゃん」

ほむら「そしたらこんな場所ですよ」

まどか「こんな場所って……」

まどか「……え、何此処」

まどか「なんか、金属の壁に囲まれた小さな部屋? みたいなんだけど……」

ほむら「何処かの研究施設か、船の一室って感じですね」

ほむら「具体的に何処か、というのは私にも分かりませんが」

まどか「……これはどういう事なの? 妖精さんはどうしたかったの?」

ほむら「うーん、正直私にも分かりかねます」

ほむら「一応手紙が手元に残っていたので読んでみましたが」

ほむら「なんか新婚旅行でドキドキしてね、と書いてあるだけで意味が分かりませんでした」

ほむら「妖精さんの文章は簡単過ぎて却って難しいという事がよくあるのですか」

ほむら「ここまで内容が分からない文面というのはちょっと珍しいですね」

まどか(私には分かるけどね……まぁ、唆した張本人Bだし)

まどか(でも、ほむらちゃんには分からなかったんだ……)

まどか(それって、ほむらちゃんが私の事なんてなんとも思ってない証拠……)

まどか(ううん、諦めちゃ駄目!)

まどか(今は私と二人きりでドキドキしてくれなくても……)

まどか(何時か……!)



ほむら「しかしこの部屋は殺風景ですねぇ」

まどか「え?」

ほむら「いや、周りを見てくださいよ」

ほむら「SF映画とかで見たような、液体で満ちているカプセル。それも人が入れないほど小さな物が一つあるだけ」

ほむら「それ以外は通信機器や通風孔すら見当たらないじゃないですか」

ほむら「これじゃあ部屋というより箱ですよ」

まどか「確かに……牢屋とかなのかな?」

ほむら「牢屋なら監視カメラの類が必要でしょう。無論隠す意味なんかありませんので、機能重視の大型がある筈です。
    見せしめという意味でも、カメラはその存在感を主張している必要がありますし」

まどか「じゃあどういう事なの? なんでこんなに殺風景なの?」

ほむら「可能性としては、必要じゃないから付けていない、でしょうか」

まどか「必要じゃないから?」

ほむら「ええ」

まどか「……あの、通風孔とか電話とかは必要だと思うのだけど……」

まどか「それに、そうだとしたらあの小さなカプセルは必要な物、って事になるよ?」

まどか「当事者にしか分からない事情があるのかも知れないけど、でも……」

ほむら「まぁ、私の仮説が正しいかどうかは部屋を出てみれば分かるでしょう」

ほむら「この扉は自動開閉式のようですから、ほら」シュン

まどか「あ、ほむらちゃんが近付いた途端扉が開いた」

まどか「……ねぇ、これだけ凄い技術が使われているのだから、妖精さんが作った施設なんじゃ……」

ほむら「それはあり得ません」

まどか「どうして?」

ほむら「だってこんな武骨で、面白さが欠けている部屋を彼等が作るとは思えませんから」

まどか「……………」



ほむら「まぁ、妖精さんが関わっている以上平凡な部屋ではないと思いますが」

ほむら「いずれにせよ、この部屋でこれ以上の情報収集は出来そうにありません」

ほむら「そろそろ外の探索に移りましょう」

まどか「だ、大丈夫かな……外に出た途端、撃ち殺されたりしないかな……」

ほむら「妖精さんが関わっている以上その心配はいりません」

ほむら「仮にそうでなくとも、待っていても情報は得られませんよ」

ほむら「虎穴に入らずんば虎児を得ず、という奴です」

まどか「……そう、だね」

ほむら「同意も得られましたし、早速出るとしましょう」スッ





「きゅぶしっ!?」ドゲシッ





ほむら「ん? 何か蹴飛ばしましたね」

ほむら「……見覚えのある白い獣がちょっと遠くでひっくり返ってる……」

まどか「あ、あれって……」

まどか「キュゥべえ!?」



QB「な、なんだ、一体何が……」

QB「って、暁美ほむらああああああああああ!?」

ほむら「あら、私の事をご存じなので?」

QB「ご存じも何も、鹿目まどかが魔女になった時会ったじゃないか!」

ほむら「ああ、あなたあの時の個体なのですね」

ほむら「あなた方が複数人で活動している事は(妖精さんアイテムの辞書で)知っていたので」

ほむら「初対面の可能性も考慮していたのですけど」

QB(以下疾患QB)「ぐぬぬぬぬぬ……!」

疾患QB「い、いや、今はそんな事より……!」

疾患QB「どうして君が此処に!?」

ほむら「うーん、とても一言では言い表せないのですが……」

ほむら「迷い込んでしまいまして」

まどか(言い表せてるじゃん)

疾患QB「見え透いた嘘を吐くな!」

疾患QB「此処は月の裏側に配備してある僕達の母艦なんだ!」

疾患QB「僕らだって特殊な事情が無ければ無許可の立ち入りは出来ない!」

疾患QB「ましてや地球人が、うっかり迷い込める訳ないだろ!」

まどか「えっ!? 此処キュゥべえ達の母艦なの!?」

疾患QB「え?」

ほむら「ほほう、それはそれは――――」

ほむら「良い事を聞きました」ニヤァ

まどか「うわぁ、ほむらちゃんすっごい邪悪な笑みを浮かべてるよ」

疾患QB「……もしかして、本当にうっかり迷い込んだの?」

まどか「う、うん……」

疾患QB「もしかして僕、失言しちゃった?」

ほむら「ええ、盛大に」

疾患QB「……………」





疾患QB「き、緊急警報発令ィ――――――――!!!!」




【警報確認】デロデロ
【個体識別】デロデロ
【未確認個体2】デロデロ
【情報無し】デロデロ


まどか「ひっ!? なんか白いゲルトルートさんみたいな生き物が来た……!?」

ほむら「アレがこの船の整備を行っている個体なんじゃないですかね?」

ほむら「多数の触手は道具を扱うのに好都合でしょうし、軟体の身体は狭い所にも入り込めます」

ほむら「キュゥべえがインキュベーター(孵卵器)ですし、名付けるなら”メカニック(整備工)”ですかね?」

ほむら(しかし眼鏡に表示されてる意訳、随分と片言ですねぇ)

ほむら(インキュベーターより知能は低そうです)

まどか「ちょ、今はそんな事言ってる場合じゃないよね!?」

まどか「早く脱出しないと!」


【種族判定】デロデロ
【地球人類1】デロデロ
【魔女1】デロデロ
【入船許可なし】デロデロ
【排除】デロデロ
【セキュリティ起動】デロデロ
【キャンセラー起動】デロデロ


ほむら(セキュリティ? それにキャンセラー……)

ほむら「! これはいけません!」

ほむら「鹿目さん、急いで逃げますよ!」

ほむら「このまま此処に留まるのは、不味いです!」

まどか「ど、どういう……」

まどか「っ!?」

ほむら「来ましたか。仕事が早くて嫌になりますね」

ほむら(メカニック達の方から小さな、ピンポン玉のような機械が飛んできましたね……)

ほむら(中央にあるレンズは……まぁ、用途は言わずもがな、ですね)

ほむら(さて、毎日妖精さん密度F状態の私がこんな所で死ぬ訳ありませんが)

ほむら(しかし逃げないと痛い目に遭いそうです。それは出来れば勘弁)

ほむら(鹿目さんを連れてさっさと逃げるとしましょう)



ほむら「鹿目さ――――」

まどか「ほむらちゃん、下がって!」

まどか「ここは私が片を付けるよ!」

ほむら「ちょ、鹿目さん? あの、何をして……」

まどか(ふふふ。これぞ”ほむらちゃんをドキドキさせちゃうよ作戦”!)

まどか(何時もほむらちゃんがほいほいと敵を倒しちゃうけど……)

まどか(今回は私がびしっとキュゥべえ達を倒し、ほむらちゃんを守る!)

まどか(そしたらほむらちゃん、きっと私にドキドキしてくれる筈! だって私はそうだったから!)

まどか(てな訳で!)

まどか「なんだか分かんないけど喰らえ! ハイパーまどかビーム!!!」












――――ぷすんっ


まどか「あれ?」




まどか「は、ハイパーまどかビーム!」プスン

まどか「ビーム百連発!」プスプス

まどか「マドーカマドマド!」プッスン

まどか「お願い出てくださいなんでもしますから!」プスー

まどか「……………」

まどか「なんで魔法出てこないのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

ほむら「ああもう、何馬鹿な事してるんですか!」

ほむら「逃げますよ!」

まどか「あ――――(ほむらちゃんが手を握ってくれて……)」

球体【ピ――――】

まどか「にやにやしたいけど球体がレーザー撃ってきたああああああああああ!?」

球体B【ピ――――】

球体C【ピ――――】

まどか「ひぃっ!? いっぱい撃ってきてるぅぅぅぅぅ!?」

まどか「ど、どうしよう、どうしようほむらちゃ」

ほむら「こひゅー……こひゅー……!」

まどか「ほむらちゃんなんで既に死にかけてるのおおおおおおおおおお!?」

ほむら「い、いや、なんか最近、ますます体力落ちてた、みたいで……!」

ほむら「わ、割と心臓が……ヤバいです、い、痛い……!」

まどか「こんな時ぐらいは病弱設定捨て去ってよ!?」

球体S【ピ――――】

まどか「あち!? あちち! 髪が燃える!?」

アフロマドカー「うわあああああああああああああああああああんっ!?」


……………

………






           ――― インキュベーター母艦・??? ―――



まどか「ぜー、ぜー、ぜー……」

ほむら「いやぁ、危なかったですねぇ……」

ほむら「私のポケットの中に妖精さんアイテム『幕がふぃーん』がなければ」

ほむら「逃げ切るのは困難だったでしょう」

まどか「名前からどんな物か全く想像できないよね、そのアイテム」

まどか「使った瞬間を見ていた私にも何が起きたのかサッパリだったけど」

ほむら「知らない方が良い事もあるのです。『幕がふぃーん』に関しては特に」

まどか「そ、そう……」

ほむら「それより、逃げ込んだこの部屋は安全圏だと良いんですけどねぇ」

まどか「小さい部屋だよね。色々な物が置かれているし……倉庫、かな」

まどか「ちょっと狭いね」

まどか(お陰でほむらちゃんと合法的に密着出来る……きゃーっ!///)

ほむら「全くです。空調が無いせいで蒸し暑いですし」

ほむら「早く出たいですね」

まどか「シューン」

ほむら「?」



まどか「そ、それより、これからどうするの?」

まどか「ここがキュゥべえの宇宙船なら、外は宇宙空間……」

まどか「私が魔法を使えたら色々やりようがあったかも知れないけど」

まどか「このままだと外にすら出られないよ?」

ほむら「でしたら、この事態の張本人達に聞くとしましょう」

まどか「え、でも……」

ほむら「流石に大声で呼んだりはしません」

ほむら「こんな事もあろうかと……ほいっ」

まどか「あ、キャンディだ」

ほむら「何時もポケットに入れておいてあるんです」

ほむら「で、扇ぐ事でこの香りを辺りに撒いて……」パタパタ



妖精さん「あまーいあまーいかおりがしますなー」ヒョコッ



まどか「ひゃっ!?(物陰から出てきた……)」

ほむら「ね? 簡単に誘き出せたでしょう?」

まどか「あ、ははは……」

ほむら「さーて」ヒョイ

妖精さん「あふん。つまみあげられー」
妖精さん「いじめます? いじめられます?」

ほむら「質問に答えてもらえなければ、それもやむなしですよー」

妖精さん「あひー」

まどか(いじめられると聞かされて喜んでいるように見える……)



ほむら「色々聞きたい事はありますが、とりあえず最初に聞きたいのは」

ほむら「妖精さん、電波は平気なのですか?」

ほむら「お菓子で呼んでみた私が言うのも難ですが」

ほむら「平凡な科学力で作られているであろうこの宇宙船の事。たくさん電波があると思うのですが」

まどか「そう言えば……」

妖精さん「ここのでんぱ、くーきよみますからー」
妖精さん「はなせばわかるやつでしてー」

ほむら「ほほう、それはそれは」

まどか「電波って話出来るものなの?」

ほむら「え?」

妖精さん「え?」

まどか「え?」

ほむら「……あ、ああ。そうですね、話せるんですよ」

まどか(何で知ってる事前提なの?)

妖精さん「こせいゆたかですからなー」
妖精さん「にんげんさんせいのでんぱは、くうきよまぬのでにがてー」

まどか(電波の個性って何? と言うか空気読む?)

ほむら「まぁ、ここの電波は妖精さんに悪影響を与えない訳ですね」

ほむら「それで? どうして私と鹿目さんをこんな場所に連れてきたので?」

まどか「!?」

まどか(ま、不味い! このままだと私がほむらちゃんの事好きなのがバレちゃう!?)

まどか(それだけならまだしも、この騒動が私の所為だって分かったら)

まどか(き、嫌われちゃう……!)

まどか(でも、何か言う事なんて――――)

妖精さん「にんげんさんがらぶらぶしたいといいましてなー」

ほむら「ラブラブ……?」

妖精さん「それでおむねどきどきしてーとなりまして」
妖精さん「どきどきできるあとらくしょんにおまねきしましたです?」

ほむら「あなた達の手に掛かれば大抵の物はアトラクションでしょう」

ほむら「しかしラブラブですか……」

まどか(ああ……も、もう駄目……!)




ほむら「さやかさんには困ったものです」



まどか「……え?」

ほむら「上条さんと恋仲になりたいのは、まぁ、よく聞かされてますので良いとして」

ほむら「しかし妖精さんパワーを頼るとは……恋は人を狂わせるとはよく言ったものです」

まどか「え……い、いや、ほむらちゃん……?」

まどか「あの、巻き込まれているのは私達だよね?」

まどか「なんでさやかちゃんが元凶って事に……?」

ほむら「だって妖精さんですよ?」

ほむら「昨日の事なんてどーせ覚えてないんですから、誰が元凶でも可笑しくないですよ」

まどか「えええええええええ……」

妖精さん「ぼく、わすれてます?」

ほむら「忘れてるでしょー。昨日誰から頼まれたのかなんて」

ほむら「現に今、昨日誰に頼まれたか思い出せますか?」

妖精さん「はて? だれでしたっけ?」

ほむら「やっぱり忘れてるじゃないですか」

妖精さん「そうかもー」

ほむら「ほらね?」

まどか「そ、そ、そ、そ、だね」

まどか(ほむらちゃんの妖精さんに対する知識のお陰で逆に助かったーっ!)

ほむら「まぁ、これでも妖精さんにしては覚えている方ですよ」

ほむら「大抵の場合、一日どころか一時間もすれば自分達が何故こんな事をしているのか忘れちゃうんですから」

まどか「……その記憶力でよく高度な技術力が維持出来るね……」

ほむら「流石は妖精さん、としか言えませんね」



ほむら「それでは質問その三」

ほむら「鹿目さんの魔法を封じたのはあなた達ですか?」

妖精さん「そのとーりで」

まどか「!?」

ほむら「あら、それは残念……推測が確信に変わると思ったのに……」

まどか「ど、どういう事? なんで妖精さん、私の力を封じて――――」

妖精さん「らぶらぶのためです?」

まどか「ら、ラブラブのため?」

妖精さん「ごちゅうもん、にんげんさんらぶらぶなりたいとのこと」
妖精さん「さんこーぶんけんによりますとー」
妖精さん「こんなんのりこえると、にんげんさんらぶらぶになります?」
妖精さん「ゆえにこんなんつくりましたです」

まどか(ああ……そう言えば参考文献って、ほむらちゃんの漫画だっけ)

まどか(そうだね。漫画とかだと、一緒に困難を乗り越えた男女は恋仲になるよね。お約束だよね)

まどか(――――私が強いままだと困難が生じないので弱くした、と)

まどか(……妖精さんパワーって本当に無敵だなぁ) ← 達観

ほむら「参考文献ってあなた達また私の漫画を読みましたか……あれはフィクションだと何度、
    言っても無駄ですよね……」



ほむら「それでは最後の、そして本命の質問を」

ほむら「この場所から脱出するには、どうすれば良いのでしょうか?」

妖精さん「ごーるめざすのがよろしい?」

ほむら「ゴールですか?」

妖精さん「だしゅつてい、よういしましたです」
妖精さん「いちばんしたの、たくさんひこーきのあるへやにせっちしてます」
妖精さん「じどーそーじゅーゆえ、のりこめばちきゅうもどれます」

ほむら「ふむ、一番下の、飛行機がたくさんある部屋……」

ほむら「恐らく艦載機の格納庫ですね」

まどか「なら、早くその格納庫に行こう」

まどか「キュゥべえ達に此処が見つかる前に、行動した方が良いよね」

ほむら「いえ、そういう訳にはいきません」

まどか「え?」

ほむら「いくら妖精さんアイテムが”分かりやすい”エネルギーを発していなくとも」

ほむら「倉庫にしまった覚えのない物体が置かれていたなら、インキュベーター達も気付くでしょう」

ほむら「まぁ、彼らの目にはただのガラクタにしか見えないでしょうが……」

ほむら「全くの未知が唐突に現れたなら」

ほむら「少なくとも私なら念入りに調査を行います」

まどか「つまり、倉庫にはたくさんのキュゥべえとさっきのゲルトルートさんもどきが居るって事?」

ほむら「十中八九そうでしょう」

ほむら「鹿目さんの魔法が使えれば強行突破も可能だったでしょうが」

ほむら「使えない以上、ちょっとした小細工が必要ですね」

まどか「小細工?」

ほむら「簡単な話です」





ほむら「訳の分からないガラクタなんて、どうでも良くなるような事故を起こせば良いんですよ」




……………

………






          ――― インキュベーター母艦・艦載機格納庫 ―――



疾患QB「整備班から連絡を受けて来てみたけど、やれやれ」

疾患QB「何時の間にこんなものを置いていたんだか……」

疾患QB「僕達が設置した覚えのない、全く未知の物体……」

疾患QB「ほぼ確実に、妖精が関与した物だろう」

疾患QB「……精神疾患の検査を受けたらさっさと地上に帰るつもりだったのに」

疾患QB「なんでこんな時に限って暁美ほむらが攻めてくるんだ……」

メカニックA【異物確認】
メカニックB【排除行動実行】

疾患QB「ちょ、き、気を付けてくれ!」

疾患QB「妖精が用意したものだとすると、何があるか分からない」

疾患QB「慎重に取り扱うんだ……!」

メカニックA【指示受信】
メカニックB【指示理由不明】
メカニックC【情報の開示を要求】

疾患QB「情報の開示って、僕が本星に送った妖精に関するデータがあるじゃないか」

疾患QB「それで慎重に取り扱う理由は十分だろ」

メカニックA【指定データ確認】
メカニックB【対象異物を妖精関連と判断する要因不明】
メカニックC【情報の開示を要求】

疾患QB「ああもう! 僕は妖精と直接対峙した事があるんだから、どれが妖精関係かなんとなく分かるんだよ!」

疾患QB「良いから僕の指示に従って!」

メカニックA【強制指示受信】
メカニックB【ランク2。同位ランクよりの指示】
メカニックC【強制指示無効】

疾患QB「うがああああああっ! このマニュアル世代が! だからこいつ等嫌いなんだよ!」

疾患QB「早いとここの異物を取り除いて暁美ほむらの対処をしなきゃなんないのに――――】



【緊急通達】

疾患QB「あん? 中距離テレパシー……操舵室の個体からか」

疾患QB「どうしたんだい? 忙しいから手短に頼むよ」

【地球人が艦の機関室に侵入】
【機関部にダメージを確認】

疾患QB「何!?」

疾患QB「機関室に侵入しただと……確かにこの船に侵入出来るのだから、それも出来て当然だろうけど……」

疾患QB「くっ……おのれ暁美ほむら……!」

疾患QB(だけど、君の考えは読めているよ……)

疾患QB(彼女達の狙いはきっと、この謎の物体だ)

疾患QB(これにどんな役割があるのかは分からないけど、恐らく彼女達はこれを使ってこの船から脱出するのだろう)

疾患QB(つまり、彼女達はこの物体の元にどうしても辿り着きたい。辿り着かねばならない)

疾患QB(そこでこの場に待機しているであろう僕達の目を逸らしておきたい訳だ)

疾患QB(……ふふ。ふふふふふふ)

疾患QB(中学生の少女にしては頭が回る。それに思い切りもいい)

疾患QB(仮に、過去に契約した魔法少女達が僕達の母艦に潜入したとして)

疾患QB(このような行動に出られる者は、殆ど居ないだろう)

疾患QB(だけど、それだけだ)

疾患QB(この程度で僕達を出し抜けると思ったのかい?)

疾患QB(この宇宙空間において、僕達だけでなく君達にとってもこの宇宙船は命綱だ)

疾患QB(何処までやって平気かは分からなくとも、船が轟沈するような損傷を与える訳にはいかない)

疾患QB(必然的に、彼女は手加減して船に損傷を与えなければならない)

疾患QB(人類程度の科学力なら、どんなに小さくとも機関部の損傷には人員を派遣しないといけないだろうけど)

疾患QB(僕達の船には”自動修復”機能がある!)

疾患QB(わざわざ船の修理に向かうなんて、そんな非効率的な行為は必要ないんだよ!)

疾患QB(逆に引っ掛かったふりをして、戦力の大半をこの場に集結させてやる!)

疾患QB(策を弄したのが仇となったね――――暁美ほむら!)

疾患QB「それで、船の損傷はどの程度のものなんだい?」

疾患QB「航行に支障がないクラス1かい? それとも自律回復が可能なクラス2かい?」

疾患QB「流石に航行機能に影響があるクラス3には達してないと思うのだけど」

【クラス5】

疾患QB「え?」




【300秒以内に本艦の機能停止が確実とされる水準。本艦に存在する全個体は速やかに離船せよ】


疾患QB「うぇええええええええええええええええええええ!?」






ちゅどーんばちばちばちばちどーんどーんどーんぼかーんっ!




まどか「……ほむらちゃん。エンジンルームが火の海なんだけど……」

ほむら「あー……ちょっとやり過ぎたかも……」

まどか「そう……ちょっとなんだね」

ほむら「元々沈めるつもりでしたからね」

ほむら「これほどの科学力のある船です。ナノマシンとかを使った自己修復機能ぐらいはあるでしょう」

ほむら「恐らくエンジンが火を噴く程度の損傷は、わざわざ彼等が来ずとも修復してしまうものと思われます」

ほむら「それに妖精さんの用意してくれた脱出艇が見つかっていたとすれば」

ほむら「その用途を理解したかどうかは別にしても、私達がその道具と接触するために」

ほむら「何らかの誘導をする事は向こうも想定する筈です」

ほむら「なら、裏の裏をかくまでの事」

ほむら「どうせあちらは、宇宙船を破壊されるとは思っていない。何故なら人間は宇宙では生きられないから」

ほむら「だから何処かで躊躇うと思い込んでいる」

ほむら「ですが――――残念でしたねぇ」

ほむら「妖精さんの加護を受けている私の辞書に手加減なんて文字はないのですよ! ふははははははははは!」

まどか(高笑いするほむらちゃんカッコいい)

ほむら「さて、エンジンルームは破壊しましたし、今頃慌てふためきながら脱出を始めている事でしょう」

ほむら「私達もさっさと脱出しますよ」

ほむら「轟沈させるつもりだったとはいえ、ちょっとやり過ぎましたからね。あまり時間的猶予は無さそうです」

まどか「うん! それじゃあ格納庫は……」

ほむら「どっちですかね?」

まどか「……………」

まどか「ん?」



ほむら「いやぁ、エンジンルームを見つけたのでそのまま破壊しちゃいましたけど」

ほむら「よくよく考えたら先に格納庫を見つけないといけませんでしたね」

ほむら「エンジンルームの真下にあるのは妖精さんから聞きましたけど、道程は分からないまま」

ほむら「うっかり♪」

まどか「ほおおおおおおおおおおむぅらちゃああああああああああああああああああんっ!?」

ほむら「うーん、これからどうしましょうか」

まどか「なんで今から考えるの!? こうなるって分かっていながらどうして行き当たりばったりなの!?」

――――ビィーッ!
――――ビィーッ!
――――ビィーッ!

ほむら「あ、警報ですね。いよいよ危ない感じ」

まどか「急いで! 急いで妙案閃いて!」

妖精さん「けいほうなってるとどきどきがかそくしますなー」
妖精さん「ごようぼうどーり?」

まどか「私こういうドキドキは産まれてこの方一度も求めた事無いんだけど!?」

ほむら「まぁ、そう慌てなくても、適当に逃げていればその内辿り着けると思いますよ?」

まどか「で、でも!?」

ほむら「それに足元にあるという事は、爆発によるフラグが立ってますので――――」


――――べこんっ


ほむら「こんな風に床が抜けて直通にぃぃぃぃぃぃぃぃ――――……」ヒューッ

まどか「ほほほほほほほほほむらちゃあああああんっ!?」


ひゅ――――……


どてんっ!


ほむら「あいたたた……」

ほむら「ほら、鹿目さん。見事に間に合いまし」





まどか「ほむらちゃあああああああああああああああああああああああああああ」






ほむら「うわっ」ヒョイ

まどか「あああああああああああああああああべしょ!?」ビタンッ

ほむら(思わず避けたら、鹿目さん、頭から落ちましたね……痛そう)

まどか「ほむらちゃん大丈夫!?」ガバッ

ほむら「ええ、私は大丈夫です。私は」

ほむら「それより……」

ほむら(ふむ、格納庫にも関わらずガラガラ……乗組員は既に脱出した後ですか)

ほむら(船が爆発寸前ですからね。慌てて逃げた事でしょう)

ほむら(だから……)

ほむら「部屋の中央に堂々と置かれている物。あれが妖精さんの用意してくれた脱出艇ですね」

まどか「行ってみよう!」

ほむら「ええ……っ!」

ほむら「こ、これは!?」

まどか「これって……」

ほむら「……成程。確かにこれなら、地球に帰れます!」

ほむら「さ、鹿目さん! 急いで乗り込んでください!」

ほむら「間もなく船が崩壊します!」

まどか「……………いや、あの、ほむらちゃん」

まどか「一生懸命盛り上がっているところ申し訳ないんだけど……」

まどか「私にはそのアイテムがただのお布団にしか見えないんだけど?」



ほむら「いいえ鹿目さん。これは妖精さんアイテム『UFO』……」

ほむら「『うっとりするほど・ふかふかな・おふとん』です!」

まどか「つまりお布団じゃんっ!?」

ほむら「でもこのお布団凄いんですよ?」

ほむら「光速の90%の速度で飛べますし、ステルス迷彩機能もありますし」

ほむら「シールドも展開出来るので、宇宙空間でも安心して眠れますよ」

まどか「なんでお布団にはどう考えても不必要な機能を追加したの!?」

ほむら「だってUFOですよ? シールド展開とか亜光速飛行が出来なかったらそんなのUFOじゃありませんよ」

まどか「その理屈は根本的なところで色々と可笑しいよ!?」

ほむら「ほら、文句を言うより早く潜り込みましょう」

ほむら「布団に入れば自動的に動き出して、思い描いた場所に向ってくれますよ」

まどか「ええー……」

まどか「……ところでほむらちゃん」

ほむら「はい?」

まどか「お布団、一つしかないように見えるんだけど」

ほむら「一つしかないようですからね」

まどか「……………」

まどか「で?」

ほむら「え?」

まどか「どうやって二人で乗り込むの?」

ほむら「どうやってと言われましても……」

ほむら「お布団ですし、一緒に寝るしかないと思うのですが?」





















                 \ウェヒーッ!/




……………

………





――――ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!



ほむら「おおっ。インキュベーターの母艦、爆発四散しましたねー」

ほむら「これで多少なりと我々にとって状況が有利になれば良いのですが」

ほむら「銀河規模の勢力を誇る相手ですからねぇ。船を一隻落としても打撃にはならないでしょう」

ほむら「ま、こっちは胸がすく想いですけどね」

ほむら「……時に」

まどか「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

ほむら「鹿目さんは何故息を荒くしながら私の方をじっと見ているのですか?」

まどか「だ、だ、だって、一緒に寝ているんだよ私達!」

まどか「どう考えても間違いが起こるフラグだよ! 起こらないなんてそんなの絶対可笑しいよ!」

ほむら「いや、友達と一緒に寝るのはそんなに可笑しくないと思うのですが……」

ほむら「ともあれ、今回の騒動もこれで一段落ですね」

ほむら「亜光速飛行が可能なので月-地球間なんてあっという間ですけど」

ほむら「綺麗な星空でも眺めながら、このままのんびりと家に帰るとしましょう」

まどか「じ、じっくり!?」

ほむら「のんびりです」

ほむら「一体どんな聞き間違いを――――」








         【暁美ほむらあああああああああああああああああああああ!!】





ほむら「ん?」

まどか「こ、この声――――キュゥべえ!?」

ほむら「おっと後ろを振り向けば、如何にもSFチックな戦闘機? が私達を追い駆けてきてますね」

疾患QB【ふ、ふははははははははははははっ!】

疾患QB【こんな事もあろうかと脳波コントロールの出来る戦闘機も搭載していたんだよ!】

疾患QB【どういう原理でその布団が飛んでいるのかは分からないけど……】

疾患QB【この戦闘機の高出力レーザーを一体何発耐えられるんだろうねぇ!?】

疾患QB【布団如きで地球に帰ろうとした事を後悔するんだな!】

疾患QB【本星からの部隊を待つまでもない!】

疾患QB【お前は僕の手で始末してやるよおおおおおおおおおおおおっ!!】

まどか「ほ、ほむらちゃん! どうしよう!?」

ほむら「うーん。シールドがあるから別にどうって事はないですけど」

ほむら「ガンガン壁を叩かれると五月蝿くて眠れませんからねぇ」

ほむら「枕でも投げて反撃としましょう」

まどか「いや、枕投げじゃないんだから……」

ほむら「まぁまぁ、投げてみれば分かります」

ほむら「そーい」

疾患QB【ふん! 確かにこの高速戦闘において枕程度の質量も十分凶器になる!】

疾患QB【だけどこの程度の質量でやられるほど僕達の戦闘機は軟弱じゃ】

枕【ワリィゴハイネェガアアアアアアアアア!!】

疾患QB【え゛】

――――ばくんちょっ



ほむら「迎撃機能が枕に搭載してありまして、邪魔者はああやって食べてもらえるんです」

まどか「怖っ」

ほむら「ちなみに邪魔者の排除が終わるとこうやって戻ってきて」

ほむら「普通に枕として使用可能な便利ツールです」

まどか「便利というか枕にそれ以外の用途を求める事が間違いだと思う」

まどか「ちなみに食べられたキュゥべえは?」

ほむら「地球上の何処かにポイッと排出されているかと」

まどか「優しいのか優しくないのか……」

ほむら「妖精さんのアイテムは総じて優しいものです」

まどか「その意見には賛同しかねるよ、流石に」

ほむら「でも、まぁ、これで邪魔者はいよいよ居なくなりました」

ほむら「このままのんびりと、満天の星空を眺めながら地球に戻るとしましょう」

まどか「うん……」

まどか「……………」

まどか「……………」

まどか「……………」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「はい、なんですか?」




まどか「私ね、ほむらちゃんが好きなの」




ほむら「……え?」

まどか「ごめんね。急にこんな事を言って」

まどか「……妖精さんに恋を叶えてほしいって言ったの、私なの」

まどか「ほむらちゃんと恋人になりたいって、そうお願いしたの」

まどか「だから、この状況はある意味私が願った通りなんだ」

ほむら「……………」

まどか「なんで今それを言ったんだ、って言いたそうだね」

まどか「本当は私も、もっとロマンチックな状況で告白したかった。出来たらほむらちゃんに告白してもらいたかった」

まどか「でも、このまま地球に帰ったら」

まどか「宇宙空間って言う、誰にも邪魔されない、告白するのに一番良い状況で告白出来なかったら」

まどか「多分私は、この後もずっと言い訳をして、告白を先延ばしにしちゃうと思ったから」

まどか「今言わないと、きっと永遠に言えないと思ったから」

まどか「それで、ほむらちゃんは」

まどか「自分から行動しないような人は、好きになってくれないと思ったから」

まどか「……ごめんね」

ほむら「……そう何度も謝らないでください」

ほむら「決意なんて、どう取り繕ってもする側の都合でされるものです」

ほむら「あなたがどれだけ自分勝手な理由で決意しようと、それはきっと貴くて、勇気ある事の筈」

ほむら「あなたが謝る必要なんてありません」

まどか「ほむらちゃん……」



ほむら「……以前言いましたが、私、これでも結構モテまして」

ほむら「男子のみならず、女子からも告白された事があります」

ほむら「実を言えば、それらの告白を拒絶した事はありません」

ほむら「何故なら私は彼女達の事をよく知らない」

ほむら「私の容姿やふとした事で惚れてきた、私が恋という気持ちを抱ける相手なのかも知らない」

ほむら「ぶつけてきた想いを拒絶して良いのか分からない方々だったからです」

ほむら「だから恋人になるとは言いませんでしたが、まずはお友達からという事で」

ほむら「一緒に行動するようにしてきました」

ほむら「まぁ、皆さん私が体験している日々の大冒険に着いてこれず次々とリタイアしていきましたが……」

ほむら「その点から言えば、鹿目さんは既に私の友達であり」

ほむら「私の日々の大冒険を知った上で告白してきている」

ほむら「なら、私はあなたの事をどう見ているか答える段階に来ているのでしょう」

まどか「じ、じゃあ――――」




ほむら「私には、鹿目さんの想いに応える事は出来ません」





まどか「――――ぁ……」

ほむら「ハッキリ言わせてもらいます。私は鹿目さんを”愛していない”」

ほむら「友達だとは思っています。正直、さやかさんやシャルロッテさんよりも好きかも知れません」

ほむら「でもそれは恋ではないと思うのです」

ほむら「……世の中には、嫌いじゃないなら試しに付き合ってみるのも手だという意見もありますが」

ほむら「私は、私の事を本気で愛してくれている人の想いに」

ほむら「『試しに』なんて軽い気持ちで向かい合う事は出来ません」

まどか「……そ、か」

まどか「そっか。うん、そうだよね」

ほむら「……………すみません。私……」

まどか「ううん、良いの。むしろ嬉しいぐらい」

まどか「ほむらちゃんが私の事を、すごく大切に想っていてくれた事が分かったから」

まどか「私の気持ちを、そこまで考えていてくれたなんて思ってもいなかったよ」

まどか「やっぱりほむらちゃんは凄い!」

まどか「私だったら、女の子から告白されたらきっと吃驚しちゃって」

まどか「相手の気持ちなんて考えないで!」

まどか「自分の事でいっぱいいっぱいで!」

ほむら「……………」

まどか「あ、これ駄目かも」

まどか「……ねぇ、一つだけお願いして良いかな」

まどか「――――耳を塞いで、あっち向いてくれる?」

ほむら「……勿論」

まどか「うん、ありがとう」






「う、う、あ、うああああああああああああああああああああああぁ……ああああああああああっ!!」







――――この時私の目の前には、地上ではあり得ないほど眩い、だけど滲んでしまっている星空が広がっていました。


私は、私の恋が終わってしまったこの瞬間を死ぬまで忘れないでしょう。

この胸の苦しみと、悲しみと、絶望を永遠に覚えているでしょう。


告白しなければ良かったと思いました。

恋人になってくれなかったほむらちゃんをちょっぴり恨みました。

手伝ってくれたゲルトルートさんに申し訳ない気持ちになりました。


ああ、だけど最後に、やっぱりこう思うのです。






――――ほむらちゃんを好きになって、本当に良かった、と。





妖精さんメモ



『妖精さん製クローン』※オリジナル※

シャルロッテさんの肉体として使われているこの超技術ですが、妖精さんにとってはお手軽なものだそうです。

その極秘レシピが公開されましたのでここに記します。

1)つちをこねこねします。このときてきどなしめりけだいじです?

2)こねたつちをにんげんさんのかたちにするです。

3)あたまにおはなをうえるとおんなのこっぽいです? おとこのこはきのぼうでよろしいかと?

4)まちがってたましいはいらぬよう、たちいりきんしのしるしつけてーの。

5)さいぶをととのえてーの。

6)じょーおんかくゆーごーでつちのげんしをおにくにー。

7)かんせいです。

……シャルロッテさんにこのレシピをお見せしたところ、意味が分からないと言われました。

これはまだ分かりやすい方だと思うんですけどねぇ……



『弾避け首飾り』※オリジナル※

妖精さんが作ってくれた道具の一つ。

その原理は空間を「ちかよりがたいふんいき」で捻じ曲げる事により、弾道を強制的に変えるとの事です。

非常に強力な装備ですが、これを付けている間は球技で遊べなくなるのでそこだけは要注意ですね。



『ばいばいベル』※オリジナル※

ちりんと一回鳴らせばどんな方々(動物でも人間でもサモ○イト石で召喚された魔獣でも)お家に帰りたくなり、

本当なら帰れないような方々もどういう訳か帰れてしまうというアイテムです。

さらりと因果律とかを操っている節がありますが、妖精さんアイテムでは日常茶飯事なので気にしません。

材料に使われているのは猫用の鈴と蛙のキーホルダーの二つだけだそうで、夏休みの工作にうってつけです。

作れたら、ですけどね。





『激辛スティック』※オリジナル※

一舐めしただけで本当に火を吐くぐらい辛いオレンジ色の棒です。

……………。

すみません、割と書く事ないアイテムなんですよこれ……悪戯以外で使った事無いですし……



『幕がふぃーん』※オリジナル※

核兵器の発射を食い止めるため敵組織に潜入……という設定で始まるアクション映画は数多くありますが、

それって別に核兵器じゃなくても生物兵器とか化学兵器とかでも良いんじゃない?

こういう物語上は必要だけど、演出としては替えが利く物の事をマクガフィンと呼びます。

それとは全く関係ないようで微妙に関係あるのが『幕がふぃーん』。一度起動させるととんでもない事が起こります。

どうとんでもないかは口では説明出来ず、目の当たりにしてもやはりうまく理解出来ない事でしょう。

兎に角とんでもない事が起こり、物語が急展開を迎える。

そしてそれは、『幕がふぃーん』でないといけない訳ではないのです。



『UFO』※オリジナル※

空を自由に飛び回る高性能お布団です。

名前はアンディファインド・フライング・オブジェクトではなく、うっとりするほど・ふかふかな・おふとん を

略したもの。実際とてもふかふかで、寝心地は抜群。しかも亜光速飛行機能やシールド機能、

迎撃システムや大気圏突入機能まである万能ぶりを発揮します。

個人的な意見ですが、眠れない夜、宇宙空間で本当の星空を眺めながら一睡するのに使用すると良いと思います。

ただしステルス機能には怪しいものがあり、レーダーには移らなくても光学カメラには映るそうなので注意しましょう。

まぁ、この布団で寝ているところを撮られたら、UFOではなくフライングヒューマノイド扱いされそうな気もしますが。




今日はここまで!


なんだかノリが最終回っぽいですが、全然そんな事はありません。
インキュベーターの母船が落ちたけどあんなのはマクガフィンですらありません。哀れキュゥべえ。

さて、まどかさんは失恋ENDとなりました。まどほむ、ほむまど。どちらも大好物でその手のSSは読み漁っていますし、
成就する展開を書きたくて堪りませんでしたが、この物語では失恋で終わります。
うちのほむらがまどかとラブラブになるシーンを思い描けなかったんや……すべてうちのほむらが悪いんや……!(オイ

でも百合系シチュで恋が成就する瞬間は至福ですが、サブキャラが主人公に告白してふられるシーンも勝らずとも劣らない
良シチュエーションだと思うのは私だけ?


それでは今日はこの辺で。
これから人退9巻買ってくるぜヒャッハーッ!

ところでゲルゲルさんが過去の記憶持ってたのは何で?
シャルは持ってなかったと思うんだけど

この作品でさや杏はあんな強引極まる手段でなくても成立しうるが、
ストイックでまどか依存でもないほむらに関してはこういう「誰ともくっつかない」オチになるのはらしいといえばらしい。

相変わらず我が道を突き進んでるなー。

そろそろ悪魔ほむを呼び出さないかな

悲報:妖精さん、以外と制約多かった。
まさかデフレするとは思わなんだ



どうも。人退9巻とても面白く、最終巻になってしまった喪失感で日々をぼんやり過ごしている>>1です。
短編は来年の夏かなー……秋でもいいなぁー……来年中だと良いなぁー……

今日はお知らせというか報告に。

とりあえず人退9巻で明かされた真実に感動しながらも、割と冷や汗いっぱい。この一週間シナリオの修正をしておりました。
ええ、エンディングを全部書き直していましたよ……ただそれ以外の部分は後付け設定を二個ほど付け足せば
大した矛盾ではなくなる(と思い込んでいる)ので、当SSはこのまま進行させていただきます。

……正直えぴそーど いちから書き直したい衝動はあるけど、それを言ったらきりがないので。
ぶっちゃけ、話を投下した直後は何時も最初から書き直したい衝動に駆られます。どうしようもねぇな、オイ。


そんな訳で、今回お話の投下とレス返しはなしです。
後付け設定を考えたりエンディングを修正したりで時間を消費していたので、えぴそーど じゅうきゅうはまだ未完成。
来週には完成予定。予定は未定。

それではまたー うぇひー



小説に挟まってる広告読んだら、虚淵さんが人退にメッセージ送ってた。
公式コラボの日は近い……!?(ぇ

まどマギキャラもみんな妖精なのかな?

片方の原作は崩壊どころのレベルではないし人退の原作にそこまでこだわる必要はあるのだろうか

人類は衰退しました1~9巻買って読み始めた。この話のよくわからなかった部分がよく分かるようになってきた



ういっす。>>1です。シナリオ修正に関してご意見、ありがとうございます。

修正と言っても大幅に書き直したのはエンディングだけで、そこに至るまでの行程は当初考えていたものと
変わらない予定です。あまり言うとネタバレになってしまうので曖昧な言い方ですが、エンディングは総入れ替えでも
問題なかったのです。で、エンディング以外の修正は微調整レベル。

良くも悪くも今まで通りの話をこれからも投下していくと思います。基本足元みないで突っ走るスタイルの話。
相変わらず不手際の多い奴ですが、今回もよろしくお願いします。


>>353
ネタバレになってしまいますが、自分の願い≒絶望に落ちた原因については結構詳細に覚えている設定です。
つまりゲルトさん魔女化の秘密がここにあり。また捏造かと言ってはいけない。
他にも一般常識はちゃんと覚えていますが、こちらは妖精さん的ご都合主義パワーの仕業です。
つまり深く考えてはいけない(=深く考えていない)。

>>361
これからも突き進みます。ますます原作崩壊です。
特に熱血方向増し増しで。

>>362
原ほむが1fになっているので、悪魔さんは生まれるかどうかが既に怪しいという……

>>376
部分的デフレはあったけど、全体的にはそこそこインフレしている気もします。
リーリウム辺りでぽろっと出てきた妖精さんパワーの性質は結構なインフレかと。
と言うか妖精さん、昔は普通に都心に進出してへん? 弱点電波ってあれか、芸能人のプロフィール的なやつか。

>>389
ちゃんと人間です。精神的にとかでなく、生物学的に。
その辺は後付け設定で。

>>400
当初は人退と密接に関わるエンディングにしていまして……
直した後も密接に関わってしまいましたが。

>>406
人退アニメ組に優しくないのが本作の売りです(ぇ



さぁ、今回もキャラ崩壊していきますよー

とーつーげーきー!




えぴそーど じゅうきゅう 【人間さん達の、よくぼうのきわみ ぜんぺん】





――――正直に言えば、私は今日、体調が優れていませんでした。


いえ、元より心臓が弱いので体調が優れないのは割と何時もの事なのですが、普段に比べ格段に悪かったのです。


振り返れば原因はすぐに思い付きました。


まず昨日の鹿目さんの告白……それを断ってしまった事。

あれが本心だったとはいえ、結果的に人の心を踏み躙ってしまった重みは、私の身体にずしりと圧し掛かりました。

私だってその辺はちょっと気にするのです。明日から顔合わせ辛いなぁーとか思うのです。

だから昨日は、あまり寝つきが良くありませんでした。


それと、やはり昨日実感した事なのですが、体力が著しく低下していたようです。


睡眠不足、体力低下……この二つから引き起こされる次の事象は、大体皆さま同じでしょう。

ついでに「昨晩は少し気温が低かった」と付け足せば、私の身に起きた事は大方想像が付く筈です。


はい。私は風邪を引いてしまいました。


……だから大人しく寝ていれば良かったのですが、妖精さん達に頼んでいた”作業現場”に無理してでも

行こうとしてしまったのです。シャルロッテさん達の制止も無視して。恐らく、熱で朦朧としていたのでしょう。

普段なら滅多に燃やさない義務感が私の中でバーニングフラーッシュ(朦朧としています)。

一日ぐらいならお菓子だけでもテンションは持たせられたでしょうに、妖精さん達の元へ出向こうとしてしまいました。


――――この決断が失敗でした。


本来ならば何重にも設定されているセキュリティを解除し、安全を確保して進まねばならない『その場所』。

朦朧としていた私はその扉を、抉じ開けてしまったのです。


そして――――







シャル「で? なんで私達の――――まぁ、ほむらの家だけど……それが粉微塵に吹き飛ぶ結果になった訳?」





ゲルト【本当に粉微塵ですね……家のあった場所が荒野と化してますよ……】

シャル「爆弾でも仕掛けられていたのかって感じの大爆発だったわよね」

ゲルト【よく生きてましたよね、私達……】

シャル「妖精さんのお陰、なのかもね」

ゲルト【……爆発と生存のどっちが、ですか?】

シャル「……どっちも、よ」

杏子「あたしのさやか様コレクションが……」

ほむら「す、ずみまぜ……げほっ! ごほっごほっげほっ!」

ほむら「ほ、本ら゛い、”弁”をじっがりど閉めたヴえで、あげないとダメな扉を」

ほむら「うっがり、こじあけでしまいまじで……」

ほむら「”むごうがわ”のエネルギーが、いっぎにこぢらに流れごんで」

ほむら「こんなけっがに……げぼ、げぼげぼっ!」

シャル「あ、ああ、分かった。もう色々分かった……」

ゲルト【あの、何時も物臭なくせして、何故今回そんなに頑張ってしまったのですか?】

杏子「あたしのさやか様コレクションが……」

ほむら「ずみまぜん……ようぜいざん、にんげんがいないどやるぎでないので……」

シャル「やる気?」

ほむら「もだぜるだけならおがじだげでも、げほっげほげほ!」

ほむら「でも魔女ざんをいっごぐもはやぐすぐうだめにもごほっごほっ!」

ほむら「わだしが現場をじぎじ、げほげほごぼっ!」

ゲルト【す、すみません。もう良いです】

ほむら「ごめんなざい、ごめんなざい……」

シャル「ああもう。こんなんじゃ怒るに怒れないわねぇ」

シャル「……いや、ぶっちゃけそこまで怒る事でもないかも知れないけど」

ゲルト【ですねー……】

メイド*100「ガヤガヤ」

シャルゲル(何しろ100人近いペーパークラフトメイドさんが既に家の再建を始めてるんだもん……)



シャル「このスピードでの工事なら、昼までには家自体は完成しそうね」

ゲルト【ですねぇ】

杏子「あたしのさやか様コレクションが……」

シャル「……さっきから佐倉さん呆然としてるけど、どうしたの?」

ゲルト【なんでも数日かけて集めた美樹さんの写真とか爪とか髪の毛とかのコレクションが】

ゲルト【この爆発で全て吹き飛んでしまったそうで……】

シャル「きもっ」

ゲルト【気持ちは分からないでもないですが、口に出すのは止めましょうよ】

シャル「いや、写真は良いとしても爪と髪の毛は……」

ゲルト【それはそうですけど】

ゲルト【でも世の中には自分の爪を集めていた殺人鬼とか、髪の毛をコレクションするだけでなくテイスティングして
    楽しむ人とかが居るそうなので、それと比べれば……】

シャル「なにそれこわい。まじでこわい」

ゲルト【一応言っておきますけど、私だってその趣味に賛同している訳ではありませんからね?】

お姉さん「……全く。お嬢様には困ったものです」

シャル「あ、お手伝いさん。おっはー」

ゲルト【あ、おはようございます】

お姉さん「おはようございます」

お姉さん「……昔から風邪を引くと、無茶をした挙句大惨事を招いてきたというのに」

お姉さん「中学生になっても、お嬢様は変わりませんね」

ほむら「だっで、だっで……」

お姉さん「はいはい。あまり話すと、今まで築き上げてきたクールなイメージが崩れてしまいますよ」

シャルゲル(え? あれ、クールなイメージだったの?)

お姉さん「臨時ですがベッドは既に用意してあります。今日はゆっくりとお休みください」

ほむら「うん……けほっ、けほ」

お姉さん「こちらです。さぁ……」

シャル「やれやれ……」



ゲルト【それで、どうしますか?】

シャル「? どうするって?」

ゲルト【今日の予定ですよ。私は用がない限り、このまま家の敷地内に居ようと思っていますが……】

シャル「ああ、そういう事」

シャル「とりあえず、私はさやか達との待ち合わせ場所に行くつもり」

シャル「なんか今日は公民館での授業が始まる前の、説明会だかなんだかをやるって話だからね」

シャル「さやか達にほむらが休むって事を伝えるのと、プリントとかあったら貰ってこないと」

ゲルト【そうですか】

シャル「そう言えば、佐倉さんはどうする? 私と一緒に行く?」

杏子「……ああ、そうだな。あたしも一緒に行くよ」

シャル「あ、そう? てっきり一日塞ぎ込むのかと思ってたから、駄目元で聞いたんだけど」

杏子「失った物は返ってこない……あたしはそれをずっと前から知ってるからな……」

杏子「後悔なんて、しない……」

杏子「それより前を向いて生きるのがモットー!」

杏子「だから、さやか様に会いに行くさ!」

シャル「佐倉さん……」

シャル(良い話風に語ってるけど、今回失ったのって変態コレクションよね)

ゲルト(過去に失った物って、多分家族の事ですよねー……)

ゲルト(同列に語られる亡くなったご家族が可哀想です)

杏子「おい、シャル。汚物を見るような眼差しを人に向けちゃいけないってご両親に教わらなかったのか」

シャル「汚物にその眼差しを向ける分には良いかなーって」

杏子「なぁ、それは流石に酷くないか? 泣くぞ? あたしマジで泣くぞ?」

ゲルト【まぁまぁ】

ゲルト【……それにしても幸先悪い感じだなぁ】

シャル「ん? 幸先って、何かするつもりだったの?」

ゲルト【え? あ、ああ、ごめんなさい】

ゲルト【実は、今日――――】




お姉さん「あ、良かった。まだ居ましたね」




シャル「? お手伝いさん?」

ゲルト【どうかしましたか?】

お姉さん「お嬢様から、シャルロッテさんにこれを渡すようにと言われまして」

シャル「これは……段ボールで出来た小箱?」

お姉さん「そちらは皆さまが妖精さんと呼ぶ、我々のマスターの発明品、『ご希望取り寄せボックス』です」

お姉さん「その箱から、ご希望する機能のアイテムを取り寄せる事が可能となっております」

シャル「なんか似たような機能のアイテムをほむらが持っていた気がするんだけど……」

お姉さん「そちらは特定のアイテム名が分からなくとも、希望する機能を持ったアイテムが出てくる仕組みです」

お姉さん「万一インキュベーターが何らかの戦いを仕掛けてきた時、多分役立つだろうとお嬢様は仰っていました」

シャル「多分役に、ねぇ……」

お姉さん「それと、そろそろ公民館に行かれた方が良いのでは?」

お姉さん「私に内蔵されている鳩時計型体内時計によりますと、現在午前八時を過ぎているのですが」

シャル「げっ!? ヤバい! 遅刻しそうじゃん!」

シャル「佐倉さん、急ぐわよ!」

杏子「お、おう!」

ゲルト【いってらっしゃーい】

お姉さん「全く……お嬢様ほどではありませんが、皆さまも結構慌ただしい事です」

ゲルト【あはは……まぁ、花の女子中学生って事で一つ……】

お姉さん「それと比べ、ゲルトルート様は随分落ち着かれたご様子」

お姉さん「もしかして、他の方々よりも年上なのでしょうか?」

ゲルト【どうなんでしょうね。人間だった頃の事は、殆ど忘れちゃいましたし】

ゲルト【辛うじて覚えている事も大抵恨み辛みだし、しかも細かなとこが抜けてて何時頃の話とかも分かりませんから】

ゲルト【ただまぁ……その曖昧な記憶からの推測ですけど】

ゲルト【高校生ぐらいだったのかも】

お姉さん「……そうですか」

ゲルト【あ、気にしないでくださいね? どうせ殆ど覚えていませんし】

お姉さん「はい」

お姉さん「では話を変えるついでに一つお尋ねしたい事が」

ゲルト【はい?】

お姉さん「先程、シャルロッテ様に何かを言おうとしていたご様子」

お姉さん「会話を終わらせてしまった私が尋ねるのも難ですが、何を言おうとしていたのでしょう?」

ゲルト【ああ、そんな、大した事ではありませんよ】

ゲルト【ただ――――】


……………

………






             ―――― 見滝原某所(まどか達の通学コース) ――――



まどか「……八時二十分」

まどか「ほむらちゃん達との待ち合わせの時間、来ちゃったね」

さやか「そだね」

まどか「うーん。そろそろ行かないと遅刻になっちゃうから、ほむらちゃんに連絡した方が良いんだろうけど」

まどか「フラれちゃった手前、ちょっと連絡しにくいな……」

さやか「そだね」

まどか「ねぇ、さやかちゃん」

まどか「そんな訳だからさやかちゃんから、ほむらちゃんに連絡してくれないかな?」

さやか「そだね」

まどか「……さやかちゃん、私の話全然聞いてないでしょ」

さやか「そだね」

まどか「……すぅー」

まどか「美樹さやかぁーっ!!!」

さやか「うひゃう?!」

さやか「な、な、なんだ!? 敵襲か!? ついにインキュベーターの総攻撃が始まったのか?!」

まどか「もう、さやかちゃんったらどれだけ上の空だったの?」

まどか「そもそもキュゥべえの母船は、昨日私とほむらちゃんで落としちゃったから総攻撃なんてこないよ」

さやか「あ、そうなんだ――――って、オイ。今さらりととんでもない事後報告しなかったか?」

まどか「ふん、ボケーってしてるから気付かないんだよ」

まどか「そんな隙だらけでいたら、何時か上条くんを誰かに盗られちゃうよ」

さやか「え?」

まどか「狙ってる子からしたらさやかちゃんはライバルだから、そんな話は聞かないと思うけど」

まどか「上条くん、結構女子の人気あるんだから」

まどか「まぁ、天才バイオリニストで、容姿も(ほむらちゃんほどじゃないけど)カッコいいからね」

まどか「あんまり隙を見せてると明日にでも誰かが告白しちゃうかも」

まどか「なんてね♪」

さやか「ふぐ」

まどか「ふぐ?」

さやか「ふ、ぐ、ぐ、ぐぅ……」



さやか「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

まどか「泣いたああああああああああああああああああああああああああああああああ?!」




まどか「ちょ、さ、さやかちゃん!? なんで泣いて……」

シャル「おはよー、鹿目さん」

杏子「おっす」

まどか「あ、二人とも良いところに!」

まどか「あのね、さやかちゃんが……」

杏子「ああ、まどか。みなまで言うな。見れば分かる」

まどか「杏子ちゃん……」

杏子「さやか様を泣かすなんて、そんなのあたしが許さない」チャキ

まどか「みなまで聞いてよ!? テンプレとしか言えない誤解してるから! だから槍を向けないで!」

シャル「そうよ佐倉さん。鹿目さんがさやかをいじめるとは思えないし」

シャル「で、なんでこんな事になってんのよ」

さやか「ひぐ……ひぐ……恭介が……恭介が……」

シャル「恭介? ああ、アンタの幼なじみか。そいつが?」

さやか「まどかが、盗っていくって……」

シャル「……………GO」

杏子「……………」チャキッ

まどか「うん、今のは仕方ないと思うけど誤解だから。誤解だから喉元に槍の切っ先突き付けるのは止めて」

まどか「さやかちゃん?! ちゃんと説明してよ! あたかも私が上条くん狙ってるかのような発言は止めて!」

まどか「お願いだから、一つ一つ、丁寧に説明してくれないかな? かな?」

さやか「ぐす……うん……」

さやか「あのね、昨日の事なんだけど……」




                     ~~~ 回想 ~~~


                   ――― とある喫茶店 ―――



店員「こちらが珈琲と当店特製カップケーキ」

店員「こちらはホットケーキセットになります」

店員「ご注文は以上でよろしいですか?」

さやか「大丈夫でーす」

店員「ではごゆっくり」

さやか「……いやぁ、二人っきりでお茶とか久しぶりだね」

さやか「それで? 話って何?」

さやか「仁美」

仁美「……まずは確認させてください」

仁美「さやかさんは……上条くんの事が好きなんですよね?」

さやか「ぶっ!?」

さやか「だ、だ、だ、誰からそれを聞いて……!?」

仁美「見ていれば分かりますわ。さやかさん、隠し事が下手ですもの」

さやか「う……」

仁美「それで、どうなんですか? 好きなんですか?」

さやか「……………ああ、もう!」

さやか「そうだよ! 好きだよ!」

さやか「それが何?」

仁美「実はわたくしもなんです」

さやか「ヒョ?」

仁美「わたくしも、上条くんをお慕いしているのです」

さやか「……え?」キョロキョロ

仁美「さやかさん、これドッキリじゃありませんから。辺りを見渡してもカメラはありませんから」

さやか「べ、べべべべ別におおおおおど、驚いてなんかないっすよ!?」

さやか「そ、そ、そ、そーかー! 仁美は恭介が好きかーっ! あは、あははははは!」

さやか「恭介も隅に置けないなぁ! あっは、はは、はっば、ば、あばばばばばばっ」

仁美(一体どれだけ上条くんの事が好きなんですかあなた……)



さやか「で、で、でも、その、な、なんであたしにそれを言って」

仁美「……わたくしは上条くんが好きです。だけど同時に、さやかさんとの友情を大切にしたい」

仁美「横取りも、抜け駆けもしたくない」

仁美「ですから――――さやかさんに、勝負を申し込みます」

さやか「しょ、勝負?」

仁美「わたくしは明後日、上条くんに告白します」

仁美「良いですか、明後日です。明後日、告白します」

仁美「ですから明日一日、さやかさんがどうするか……さやかさんが決めてください」

仁美「この意味、分かりますよね?」

さやか「そ、れは……」

さやか「そんな、事、急に言われても……」

仁美「……意気地なし」

さやか「!?」

仁美「好きな人が今こうして取られようとしているのに、わたわたと狼狽えるだけ」

仁美「これが意気地なしじゃなければなんだって言うんですの?」

仁美「ああ、それとも棄権なさると? それは結構」

仁美「戦わずして勝利出来るなら、宣戦布告した甲斐があるというものですわ」

さやか「……!」



仁美「この調子なら、このまま無事に明後日を迎えられそうですわ」

仁美「もしかしたらわたくしがこの話をしなくとも、さやかさんが告白してしまう可能性もあると思っていましたが……」

仁美「こんな体たらくでは、とてもそんな大それた事は出来そうにありませんわね!」

仁美「明後日と言わず、もっとゆっくり仲を深めるといたしましょうか!」

さやか「……さっきから聞いてれば……」

さやか「無事に明後日を迎えられる? 戦わずして勝利?」

さやか「アンタ、告白すれば成功するって思ってる訳?」

仁美「当然」

仁美「でなければこんな勝負、持ち込む訳がありませんわ」

さやか「……ふ、ふふふふふふ」

仁美「……?」

さやか「何馬鹿言ってんのよ! アンタの恋は実らない!」

さやか「恭介は……あたしのもの!」

さやか「あたしが恭介の彼女になるんだ!」

さやか「――――明日から、ね!」

仁美「ふふ、見物ですわ」

仁美「言っておきますけど、事故や風邪で告白出来なかった」

仁美「そんな言い訳、聞きませんからね?」

さやか「言う訳ないでしょ! 言う必要ないし!」

さやか「高々好きって言うだけなんだから、電話でだって出来る事じゃない!」

さやか「明日あたしは恭介に告白する!」

さやか「そんでもってあたしを先に告白させた事……アンタに後悔させてやるんだからっ!」




                 ~~~ 回想終わり ~~~



さやか「……って、威勢よく勝利宣言したは良いけれど、よく考えたら相手のペースに乗せられた訳で」

さやか「これからどうしたら良いのか思いっきり悩んでいる次第です……」

シャル「まぁ、今回ばかりは仕方ないと言うか、アンタじゃなくても大体同じ事をしたと言うか」

杏子「志筑仁美……愛と友情を両立させようとするその心意気、気に入ったね」

まどか「杏子ちゃん、怒らないの? もしかすると上条くんにさやかちゃんを盗られるかも知れないんだよ?」

杏子「そりゃ、出来ればあたしと付き合ってほしいけど」

杏子「さやか様が幸せになるのなら、あたしはそれで十分幸せだからな。問題ないよ」

まどか(杏子ちゃんマジ天使)

まどか(……私も見習おう)

シャル「ちなみに付き合う上での苦悩とかはないの?」

さやか「へ? 苦悩?」

シャル「いや、だってアンタ黒光りの巨人で、あと最近プリティでキュアキュアな戦士にもなったんでしょ?」

シャル「人間と怪物は恋出来ないーとか、なんとなくアンタ言いそうだし」

さやか「それを言ったら恭介は改造人間じゃん」

シャル「それもそっか」

まどか「人間の枠って、こんな軽いものだっけ……?」

杏子「ぶっちゃけ私ら四人の中で、純度100%の人間って一人も居ないんだけどな」



シャル「で? どうする……って聞くのは愚問だけど」

シャル「今日ちゃんと告白出来るの?」

杏子「つーても、しないって選択肢はない訳だけどな」

まどか「しないと仁美ちゃんが告白しちゃうもんね……」

さやか「そう、なんだけど……でも……」

さやか「……………ふぐ」

さやか「ふえええええええええんっ!」

まどか「ああ……また泣いちゃって……」

まどか「不安になるのは分かるけど、でもやってみなくちゃ分かんないよ」

さやか「分かるもん! 恭介は、あたしなんか好きじゃない……」

さやか「きっと、仁美の方を取るんだ……」

さやか「このままじゃ、恭介が仁美に取られちゃうよぉ……!」

シャル「落ち着きなさいよ。まだそうと決まった訳じゃないでしょ」

まどか「そ、そうだよ! だってさやかちゃん、あんなに上条くんに……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

巨大さやか『よっこら』

恭介「あれ、なんでさやかの右手が僕に迫って」

巨大さやか『しょ』

恭介「ぷっちーん!?」ズシンッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

恭介「ん? あ、さやかか。なんd」

さやか「ちょっとこっちに来て」

恭介「え? こっちって……あの、窓際に連れてきて一体何をする気」

さやか「そい」

恭介「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まどか「……あー」

さやか「あーって何!? その『ああ、そう言えばそうだね』と言わんばかりの声は!?」



まどか「いや、でもこれ好きになってくれる要素無いと言うか」

まどか「今まで好きだったとしても、怖がられるようになる要素しか最近は無かったと言うか……」

さやか「止めて! あたしも分かっているけどわざわざ言葉にして突き付けないで!」

シャル「……まずは現実を受け止める事から始めましょうか」

杏子「けど、どうすんだ?」

杏子「失敗が目に見えてるのに挑むなんて、そんな馬鹿はさせられないだろ」

まどか(杏子ちゃん、真面目にさやかちゃんの幸せを考えてる……)

まどか(割と本気でさやかちゃんには杏子ちゃんをおススメしたい)

シャル「だから、そんな事言ってもしょうがないじゃん」

シャル「拳を突きつけられ、自ら退路を断った」

シャル「ただそれだけの話。誘いに乗った自分が悪いと思って告白するしかないでしょ」

杏子「でもよー……」

シャル「大体一日かそこらで恋愛フラグなんて立つ訳ないし」

シャル「妖精さんパワーがあれば話は別だけど、そんなほいほいと頼む訳にはいかない」

シャル「一応ほむらから、欲しい機能を持った妖精さんアイテムを取り出せる箱ってのを借りたけど」

シャル「これだってちゃんと働くか、正直私は疑ってる」

さやか「……………」

まどか「妖精さんパワー……って、今更だけどほむらちゃんは?」

杏子「ああ、風邪引いたから休むってよ」

まどか「そうなんだ……私としては、今日はちょっと顔を合わせ辛かったけど」

まどか「でもほむらちゃんが居たら、妖精さんと一緒にさやかちゃんの悩みを解決してくれたのかな」

杏子「そりゃ無理だろ。アイツ、恋愛事は苦手みたいだし」

杏子「妖精さんもなんつーか子供っぽいから、恋愛は苦手そうじゃん」

まどか「……まぁ、苦手だよね。ドキドキの違いが分からないぐらいだし」

まどか(私の時は、まぁ、告白の後押しにはなったけどそれだけだもんね……)

まどか「やっぱりさやかちゃんが自力で告白しないと」





さやか「当て身」

シャル「へぶっ!?」

まど杏「!?」



杏子「ちょ、何をしてるのですかさやか様!?」

まどか「シャルロッテさんを殴って気絶させるなんて……どうして!?」

さやか「いやー、妖精さんパワーに頼れば万事解決だよーあはははははは」

まどか「って、さやかちゃん、シャルロッテさんが持ってた箱を奪い取った!?」

杏子「どういう事だオイ……さやか様、目が虚ろじゃねぇか!」

まどか「多分ふられるかも知れないという思い込みで自暴自棄になってるんだよ!」

まどか「さやかちゃん、ああいう状態は稀によくあるから!」

杏子「それってさ、稀なの? 多いの?」

まどか「稀なんだけどよくあるんだよ!」

まどか「と、兎に角止めないと!」

まどか「妖精さんアイテムを使いこなせるのはほむらちゃんだけ」

まどか「さやかちゃんが使ったら、それはもう大変な事になるに決まってるよ!」

さやか「ふははははは! もう遅い! 手遅れよ!」

さやか「妖精さんアイテムはフィーリングが大事! この箱は多分こんな感じに使うんだ!」

さやか「あたしの恋を叶えるアイテムを出しておくれーっ!」

――――ぽーんっ!

まどか「! 箱からなんか飛び出してきた!」

さやか「わっ、と、と……キャッチ!」

さやか「えっと……小瓶、かな。中になんか水? みたいなのが入ってる……」

杏子「……薬か?」

まどか「さ、さやかちゃん、止めようよ……」

まどか「妖精さんアイテムだよ? 前ほむらちゃん言ってたよ?」

まどか「ちゃんと使っても役に立たず、適当に使っても役に立たず、悪用しようとしたら自分が破滅するって」

まどか「妖精さんに頼るのはふられてからでも遅くないから。ね?」

さやか「ええい、止めるな!」

さやか「あたしはこの薬で恭介とラブラブになるんだ!」

さやか「おっ、丁寧にも箱の底に説明書があった!」

さやか「瓶にもラベルが貼ってあるね。えっと、何々……」

まどか「ど、どうしよう、全然私の話を聞いてくれない……!」

杏子「落ち着け! 妖精さんがそんな素直にちゃんと願いを叶えてくれるアイテムをくれる訳が」

さやか「『ひんめい:とりこびやく』」

さま杏「……………」

さま杏(ちゃんと叶えてくれるアイテム来たああああああああああああああああああ!?)



さやか「び、び、媚薬ううううぅぅぅぅぅ!?」

杏子「おいおいマジかよ!?」

まどか「ほほほほ本当に媚薬!? 媚薬なの!?」

さやか「ま、待って! 説明書を読まない事には――――」

さやか「『つかいかた:のんで』」

さやか「『これのんだひと、はじめてみたひとすきすきーになります』」

さやか「『おむねどきどきで、おかおはまっかっか』」

さやか「『ときどきしんぞうきゅってなるけれど、それがとてもここちよいー』」

まさ杏「本物だァ――――――!!!」

さやか「ほ、ほほほ、ほ、ほほほほほ本物来てるぅぅぅぅぅぅ!?」

まどか「……!」

杏子「凄いよさやか様! これがあれば上条の奴と結ばれますよ!」

さやか「え? きょ、杏子ちゃん? あの……止めないの……かな?」

さやか「だって、その、杏子ちゃんは……」

杏子「……あたしは、さやか様が幸せになれるのなら、それで満足ですから」

杏子「今まで止めていたのは妖精さんアイテムだから、なにか酷い事があるかも知れないと思っただけ」

杏子「さやか様が幸せになれるのなら、あたしはそれを応援します!」

さやか(杏子ちゃんマジ天使)

さやか「よ、よし! これを使って恭介と……」ポンポン

さやか「?(肩を叩かれた? 一体何――――)」

まどか「魔力びーむ」

さやか「まどぎゃあああああああああああああああああああああああ!?」シビビビビビビビッ

杏子「!?」



杏子「ま、まどかがいきなりさやか様を攻撃した……!?」

杏子「おい、まどか!? 一体何をしてんだ!」

まどか「……ごめんね、さやかちゃん。痛かったよね」

まどか「でも……」

杏子(倒れたさやか様の手から落ちた媚薬を拾った……?)

まどか「私ね、ふられたけど、まだほむらちゃんを諦めてないの」

まどか「だから」




まどか「これを飲ませてほむらちゃんとのラブラブライフを送るのは私だよおおおおおおおおおお!」ダッ




杏子「……………」

杏子「媚薬盗ってったああああああああああああああああああ!?」

杏子「くそ! アイツ、ほむらが好き過ぎて頭可笑しくなったのか!?」

杏子「早く追い駆け……い、いや、さやか様の怪我を見る方が……!」

さやか「う、ぐ……」

杏子「! さやか様!?」



さやか「あ、れ……あたし……」

さやか「! そ、そうだ! まどかは!?」

杏子「……媚薬を奪った後、何処かに逃げていきました。多分ほむらの元だと思いますけど」

さやか「そんな……い、行かなきゃ……!」

杏子「駄目です! まだ傷が――――」

さやか「これぐらい――――あたしの力を使えば!」キュピーン

杏子「ぐっ!?(さやか様の身体が光って……!?)」

杏子(あ、あれは……プリティでキュアキュアで伝説の戦士っぽい恰好!?)

さやか「この姿なら、この程度の怪我なんでもない!」

さやか「それより、まどかを止めないと」

杏子「で、ですが――――」

さやか「そして、取り戻すんだ」

さやか「あの媚薬を!」

杏子「え?」

さやか「アレさえあれば……アレさえあれば恭介はあたしの虜……!」

さやか「そんで、虜になった恭介とあたしは」

さやか「うひ、うひひひひひひひ……」

杏子「さ、さやか様……?」

さやか「そうと決まったら!」

さやか「まどかをボコボコにしに行ってくる!」

さやか「ひゃっはーっ!!」ビュンッ

杏子「うわっ!?(も、猛風が起こるほどの速さで走り出した……)」

杏子(な、なんだよこれ……)

杏子(今のさやか様を見て確信した。何かが可笑しい)

杏子(まどかにしろさやか様にしろ、こんな……薬のために誰かを怪我させるような人間じゃない!)

杏子(原因があるとしたら――――まぁ、言うまでもなく妖精さんアイテムにある!)

杏子「くそ! あの薬を使わせるのは色々と不味そうだな……!」

シャル「……う」

杏子「!? シャル、起きたのか!?」



シャル「いたた……うーん……」

シャル「……なんで私、こんな所で寝てんの?」

杏子「良いか、事態がひっ迫してるから要点だけ伝える」

シャル「? え、ええ……」

杏子「さやか様はアンタを気絶させた後、妖精さんアイテムの媚薬を呼び出した」

杏子「で、まどかが媚薬を奪い、さやか様はそれを追い駆けた」

シャル「……は?」

杏子「言っとくがあたしだってパニクってんだ。どうなってんのか訊きたいぐらいだよ」

シャル「い、いや、そんな事言われても……」ガサ

シャル「んっ……何、この紙? 『とりこびやく』?」

杏子「ああ、どうやら説明書みたいだな」

シャル「説明書ねぇ……確かに媚薬効果があるって感じに書いてあるわね」

シャル「成程。恋に恋する乙女たちが、媚薬を求めて大暴れ、と……」

シャル「妖精さん好みのドタバタ劇と言うか……」

シャル「でも妖精さん製媚薬にしては、効果が平凡なような気が――――」スッ

シャル「……ん? 二枚目……?」

杏子「え?」

シャル「あ、これ二枚目の紙が一枚目にくっついていたのね」

シャル杏「……………」

シャル杏(これ絶対二枚目に大事な事書いてあるパターンじゃん!?)



杏子「ちょ、あたしら一枚目しか読んでない!? 半分読んでないぃぃぃぃぃ!?」

シャル「と、兎に角読みましょう! そこに全ての答えが書いて……」

シャル「書いて……」

シャル(『しよーじょーのごちゅうい』)

シャル(『ほんせーひんは、にんげんさんのこころをすきすきーってします』)

シャル(『すきすきおーらがおふれてるので、みるだけでちょっぴりこうかあり』)

シャル(『おなまえわかると、みんな、びやくのとりこになります』)

シャル(『すてきおーらあふれてるので、にんげんさんむいしきにあつまりんぐ』)

シャル(『おまつりさわぎってすてきねー』)

シャル「……………」

杏子「……これって、その……つまりアレか?」

杏子「媚薬を奪い合って騒動が起きる効果があると?」

シャル「……………多分」

杏子「しかもこれ、人が集まる効果まであるみたいだぞ」

シャル「……………みたいね」

シャル杏「……………」

シャル杏「なんつー余計な効果付けてんだよ妖精さああああああああああああああああああああああああん!?」

シャル「不味い、本格的に不味いわ!」

シャル「だって騒動を騒動と思わないあの妖精さんがお祭り騒ぎって表現しているのよ!?」

シャル「こ、これは、何時ぞやかほむらが言っていた……」

シャル「地図上から見滝原が愉快に消え去る事に……!?」

杏子「愉快に消え去るってどんなイベントだよ!?」

シャル「私だって知らないわよ!」

シャル「だけどこうなった以上、もうこれに頼るしかないわ……!」

杏子「その箱は……妖精さんアイテムが出てくる箱?」

シャル「これで、さやか達を止められるアイテムを出してもらう」

杏子「なっ……!? そんな事したら――――」

杏子「……いや、それしか手はねぇか……」

シャル「妖精さんには妖精さんで立ち向かうしかない」

シャル「これも、ほむらが以前言っていた事ね」



シャル「てな訳で! 使い方はフィーリング的にこんな感じかな!?」

シャル「暴走したさやかとまどかを止められるアイテムを出してーっ!」

杏子(さやか様と全く同じフィーリング感じたんだな……)

――――ポポポポンッ!!

シャル「って、多っ!? 一個だけじゃなくて何種類もアイテムが!?」

杏子「ひー、ふー、みー、よー……四種類か」

杏子「こんだけあれば、一個ぐらいは使えそうか?」

シャル「一個は使えると良いわねぇ……一個は」

シャル「とりあえず、説明書を読んでから決めましょ」

シャル「出来るだけ被害の範囲が小さそうなやつから使って」




「おーいこっちこっちーっ!」ドンッ

シャル「おおっとこのタイミングで背後から小学生が突っ込んできたー(達観)」




シャル「どべちっ!?」

杏子「げっ!? しゃ、シャルが転んで……」

杏子「……箱から妖精さんアイテムが飛び出して、どっかに転がっていっちまった」

杏子「しかも物の見事に東西南北に分かれて」

シャル「……最高に、最悪な状況ね」

杏子「ああ」

シャル「……どっから拾いに行く?」

杏子「そもそも真っ直ぐ転がって行くものなのか、アレ?」

シャル「……さぁ?」

シャル杏「……………」

シャル杏「どうすりゃいいんだこの状況ぅ!?」



……………

………






                     ―――― 東 ――――



「何よ何よ何よ! ナスはお味噌汁の具以外は食べられないって何なのよ!」

「彼氏の好みに合わせてくれない彼女とは付き合えないって、あんな男こっちから願い下げ……ん?」

「あら、あんなところに何か落ちてるわね……ゴミ、かしら」

「一応捨てておきましょう……」

「……!?」

「こ、これは……!?」

「……」キョロキョロ

「ちょ、ちょっとだけなら――――」





                     ―――― 西 ――――



「今日も一人で登校~っと」

「……最近、上条の奴絡みにくくなったなぁ」

「なんか改造人間になっちまったらしくて、登校は百メートル3秒の猛スピードだから追いつけないし」

「まぁ、元気になったのは良いけどさぁ……」

「――――ん?」

「なんだ、茂みの向こうが光って……」

「オレンジ色の、宝石? 一体……」

「な、なんだ!? 石が光って――――」

「う、うわあああああああああああ!!?





                     ―――― 南 ――――



「……はぁ」

「さやかさんは今日、上条くんに告白するのでしょうか」

「いえ、勝負を挑んだのはわたくし。だから告白する事に文句はないですし、むしろしないとガッカリすると言いますか……」

「ですが、やはりあんな事言わなければ良かった、と思わずにはいられません。我ながら醜い――――」

「っと、と? ……何か踏んでしまいましたわね。これは、ボールペン?」

「あ、ペンライトですわね。押すと光りますわ」カチカチ

「落し物みたいですけど、どうしたものか……」

「ん? 何か音が……!?」

「あ、あれは――――」





                     ―――― 北 ――――



「ふふふ♪ 皆さん、吃驚するだろうなぁ」

「結果的とはいえ、ドッキリになりましたからね」

「あーっ! 二本の足で歩くって最高っ!」

「……あら?」

「なんだか瓶が……捨て瓶?」

「いけませんねぇ、ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てないと……」

「ん? これは――――」





……………

………





まどか「はっ、はっ、はっ、はっ……!」

まどか「さやかちゃん……の、姿はないね……」

まどか「ふぅ。路地裏まで逃げ込んで、なんとかまけたかな」

まどか「単純な力では私の方が強い筈だけど、妖精さんパワーの塊みたいなさやかちゃんと戦うのは」

まどか「出来れば避けたいからね」

まどか「……」

まどか「……うぇひ、」

まどか「うぇひひひひひひ……!」

まどか(なんという幸運! ツキは私に向いているよ!)

まどか(さやかちゃんには悪いけど……ううん、媚薬使わなかったからってふられるとも限らないし、悪くはないよね!)

まどか(兎に角私はこの媚薬でほむらちゃんとラブラブな恋人生活をゲットする!)

まどか(ああ、でもほむらちゃんって惚れたらどうなるのかな!)

まどか(ほむらちゃんって遠巻きに見るより自分から引っ掻き回しにいくタイプだし……)

まどか(もしかして飲ませた途端理性を失って襲ってくる!?)

まどか「うぇ――――――――――ひ――――――――――!!!!」 ← 嬉しさで走り回る

ドンッ!

まどか「ぶっ!?(誰かにぶつかった!?)」

まどか「あいたっ!?」ドテンッ

「ひゃあっ!?」ドテッ

まどか「いたた……尻餅撞いちゃった……じゃなくて!」

まどか「ご、ごめんなさい! 前を見ていなくて……!」

「か、かかかかかかかな、鹿目さん!? ななななんでここここここ」

まどか(あれ? この声って)

まどか「早乙女先生――――?」




























猫耳和子(以下猫和子)「……………」




まどか「……先生?」

猫和子「……………」

まどか「あの、えーっと……」

まどか「……その猫耳と尻尾は?」

猫和子「……カチューシャが、落ちていて……」

猫和子「す、捨てようと思って手に取って……その……」

猫和子「……出来心で」

まどか「……出来心ですか」

猫和子「そしたら尻尾まで生えて……」

猫和子「し、信じられないと思うけど、本当なんですよ?」

まどか(ええ、本当でしょうね……この限りなくしょうもない状況こそがその証明という)

まどか(分かる……あのカチューシャがなんなのか見当が付く)

まどか「あの、外せば良いのでは……」

猫和子「何故か外せないの……」

まどか「ですよね」

まどか(ああ、間違いない……この一体誰得なんだろうと思わざるを得ない、呪いのアイテム的状況)

まどか(どう考えても妖精さんアイテム)

まどか(……嫌だなぁ、関わると絶対ろくな事にならないもん)

まどか(それに早くほむらちゃんの元に行きたいし)

まどか「えーっと、じゃあ私はこれにて……」

猫和子「ちょ、鹿目さん待って!」

猫和子「こんな恰好じゃ人前に出られません! だから助けて!」



まどか「無理です。割と本気で無理です……だから服から手を離してください」

猫和子「離しません!」

まどか「いや本当に離してくださいよ! 大体どうしろって言うんですか! 取れないんでしょ!?」

猫和子「諦めんなよ!」

まどか「それ自分自身に言ってくれません!?」

まどか「と言うか私は忙しいんです! 離してください!」

猫和子「は――――な――――さ――――な――――い――――!!」

まどか「ああもう! いい加減にしないと首をこきりとやっちゃいますよ!!」

――――カチャン

まどか「あ?」

猫和子「ん?」

まどか(あ……媚薬の瓶、落としちゃった……)

まどか(……ころころ転がった結果、丁度ラベルが上に来て)

まどか(とりこびやく、の文字が丸見えに)

まどか(……なんだろう。凄く嫌な予感が――――)

猫和子「鹿目さん」

まどか「え、あ、はい。なんです」

猫和子「ごろにゃーん♪」

まどか「!?」



まどか(さ、早乙女先生が猫の鳴き真似と共に……)

まどか(如何にも猫が主人に甘えるようなポーズをとった!?)

まどか(なんだろう、こう、年を考えてよとか無駄にかなり上手いとか)

まどか(あの歳の大人に甘えられるとキッツイとか抱いていた尊敬の念が砕かれたとか)

まどか(色々と考えが込み上がってきて――――)

まどか(あ、出る)

まどか「ごばぁ!?(吐血)」

猫和子「……ふっ。やはり吐いたわね」

猫和子「このカチューシャを被って以来、誰かに甘えよう、頼ろうと思った瞬間」

猫和子「何故か今のような猫っぽいポーズを取ってしまうようになり」

猫和子「それを見た人が吐血するようになったのですよ!」

まどか(何その滅茶苦茶な効果!?)

猫和子「ふふ……この小瓶」

猫和子「媚薬、みたいですね」

まどか「そ、れは……!」

猫和子「誤魔化そうとしても無駄ですよ。だって凄まじいパワーをビンビン感じるもの」

猫和子「私の野性的本能が、これは本物だと言っているの!」

まどか「か、仮に、本物だとして……」

まどか「先生はそれを、どうする気なんですか……!?」

猫和子「決まっています!」




猫和子「私のハーレムを作るのです!」




まどか「……………」

猫和子「ふふふ……媚薬を使えば、どんな男も私の虜……」

猫和子「もう私の行いに誰も文句を言わない! 目玉焼きが半熟だからとかナスが嫌いだとか言わせない!」

猫和子「やった! やったわっ! ついに私も独身からランクアップできる!」

猫和子「もう何も怖くない! だって私ひとりじゃないもの!」

猫和子「ああでも日本は一夫一妻制だから結婚したら他の男と付き合えないわねーそれだとハーレムが作れな」

まどか「それとなく威力を削いだ魔力びーむ」

猫和子「みぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!?」シビビ

まどか「……ふぅ。無事に媚薬を取り戻せた」

まどか「全く。ハーレムを作ろうだなんて」

まどか「そんな不純な理由の人にはまかり間違っても渡せないよね!」

まどか「私みたいなピュアな恋にこそこういう薬は相応しいんだから!」

まどか(だけどどういう事なんだろう。恋に生きてる先生だから媚薬を奪おうとするのは何となく納得出来るけど)

まどか(でもなんで先生が妖精さんアイテムを持ってるの? まさか先生も妖精さんと友達?)

まどか(ううん、そういう単純な事じゃない。そう単純で済む筈がない)

まどか(今まで経験した妖精さん絡みのトラブルから考えると……)

まどか(例えば何らかの事故で妖精さんアイテムが見滝原に散らばったとか)

まどか「いやいやまさかそんな事ある訳ないよねあはははははははは」



鎧姿の中沢「くそぉ! これどうやったら脱げんだよぉ!」ガシャンガシャン


円盤に乗っている仁美『あらあら、みなさんこんにちは~』


まどか「」



まどか「……え……いや……え?」

中沢「お? おお! 鹿目さんじゃないか! 聞いてくれよ!」

中沢「今朝変な玉を見つけて、なんとなく近付いたら……」

中沢「何時の間にかこの鎧を着ていたんだよ!」

中沢「鎧なんて着た事ないから脱ぎ方が分からなくて!」

まどか「ソ、ソウデスカ」

まどか「ま、まぁ、そのうち脱げるよ……多分」

まどか「それよりも仁美ちゃん」

まどか「その円盤は……?」

仁美『道端に落ちていたペンライトを拾ったところ、空からこの円盤が下りてきましたの』

仁美『そしてこちらの宇宙人の方々とお友達になったのですわ』

妖精さんA「どもです」
妖精さんB「はーい」

まどか(もろに妖精さん来てるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?)

まどか(銀色の全身タイツは宇宙人のつもりなの!?)

まどか「なんで妖精さん……と言うか電波は……」

妖精さんA「こちらののりもの、でんぱとおさぬのでー」
妖精さんB「おそとのおさんぽにさいてきかと」
妖精さんA「まれによくつかいますが?」

まどか(世に溢れるUFO映像の正体を知ってしまった……)

仁美『鹿目さんはこちらの方々の事を知っているのですか?』

まどか「し、知っていると言うか……その……」

まどか「よ、妖精さん? だよね……」

仁美『あらあら、鹿目さんったら。妖精さんだなんて……』

仁美『そんな非科学的なもの、居る訳ありませんわ』

仁美『ですよね? 宇宙人さん』

妖精さんA「ぼくらうちゅーじん?」
妖精さんB「はなしがうちゅーじんとはよくいわれますな」
妖精さんA「じゃあ、そういうことで」

仁美『ほらね?』

まどか「じゃあ、とか言ってたんだけど」



まどか(ああ……これ、絶対妖精さんアイテムが町に散らばってる……大惨事の前触れになってる……)

まどか(しかもアイテム単体ならまだ良いけど)

まどか(妖精さんがここに来てしまっている……)

まどか(妖精さんは居るだけで世の中が面白おかしく理不尽ドタバタになるってほむらちゃんが言ってた)

まどか(そして私の手には媚薬)

まどか(ヤバい。これ愉快で楽しくてはた迷惑な出来事が始まる寸前って感じだよ)

まどか(ここはさっさと早急に素早く立ち去)



さやか「見つけたぞっ!!」



まどか「げぇっ さやかちゃん!?」

さやか「ようやく、ようやく見つけたぞまどかぁぁぁぁ……!」

まどか(あああああああこんな時にぃぃぃ……!)

まどか(ここでさやかちゃんが迂闊に媚薬どうのこうのなんて言おうものなら)

まどか(先生の時と同じ事態が起こると容易に想像出来る! それもさっきの三倍もの規模で!)

まどか(い、いや……しかしここには仁美ちゃんも居る!)

まどか(さやかちゃんと仁美ちゃんは今ライバル状態! 媚薬は伏せたい情報!)

まどか(そこは曖昧にして語る筈!)

さやか「さっさとあたしから奪い取った媚薬を返せ!」

まどか「さやかちゃんの馬鹿ああああああああああああああああああっ!!」



中沢「……媚薬?」

仁美『……媚薬……』

中沢「媚薬を使って……俺、モテモテ?」

仁美『媚薬を使えば……上条くんはわたくしに……』

中沢「俺のハーレム帝国……!」

仁美『上条くんがわたくしに惚れる分には、さやかさんとの約束には抵触しない……!』

まどか「ほら見てよ! 流れるような速さで二人とも媚薬の虜だよ!」

さやか「アンタが言えた事じゃないだろ! あたしから奪い取ったくせに!」

さやか「つーかその媚薬は元々あたしのでしょうがっ!」

まどか「もっと元を辿ればほむらちゃんのだよ!」

まどか「そしてほむらちゃんの物って事は将来の伴侶である私のものでもあるんだよ!」

さやか「屁理屈にしたってもう少しマシな言い分なかったの!?」

猫和子「ふざけてんじゃないわよおおおおおおおおおお!」ガバッ

まどか「うわぁ!? 先生が復活した!? 手加減したとはいえ黒コゲにした筈なのに!」

まどか「なんで起き上がれるんですかぁ!?」

猫和子「あなたには、分からないでしょうね……」

猫和子「未来ある、あなた達には……」

猫和子「私には、もう時間がないの」

猫和子「あと、あと一年で……」

猫和子「四捨五入したら四十台になってしまう私と違って!」

まどか「物凄い欲望塗れな答えが返ってきた!?」



\ビヤク・・・/\ビヤク・・・/\ヨコセ・・・/\ヨコセ・・・/

まどか(ああ……私以外みんな敵って感じになってる)

まどか(このまま戦えば苦戦は必須……いや、媚薬を奪われる事も十分に考えられる)

まどか(でも無理に戦う必要はない)

まどか(媚薬を持っている私の勝利条件は)

まどか(”誰よりも早くこの薬を使ってしまう事”!)

まどか(わざわざ戦ってあげる筋合いなんてない!)

まどか「だから――――逃げる!」カッ!

さやか「うわっ!? まどかが光って――――」

まどか「うぇはははははははーっ!」

さやか「なっ……声はすれども姿が消えた!? 何処に――――」

中沢「う、上だ! 空を飛んでる!」

さやか「!(妖精さんによる改造で得たパワーの一つ、超視力発動!)」

さやか(あんにゃろう……魔法少女姿になって、魔法で空を飛んでるんだな!)

仁美『うふふ。お先に失礼しますわーっ!』ビュンッ

さやか「!? しまった、仁美には乗り物があるっ!」

中沢「うおおおおおおおお!」

さやか「な、中沢!?」

中沢「なんだから分からんが出てこい!」

中沢「俺の乗り物ーっ!」

――――ヒヒーンッ!!

さやか「ちょ、空から……う、馬――――」

さやか「いや、ペガサス!?」

中沢「おお! なんか呼べば出てきそうな気がしたが、本当に来るとは!」

中沢「成程、ペガサスなら空を飛べるな!」

さやか「いやいやいやいや、ペガサスが来た事にツッコミを入れようよ!」

中沢「ツッコんでる暇があったら媚薬を追う! はいやーっ!」

ペガサス「ヒヒーンッ!」

さやか「ああ、中沢の奴まで飛んでいっちゃったよ……!」



さやか「……………」

さやか「で、あの」

さやか「先生は飛ばないんすか?」

猫和子「……私は……猫耳生えただけだから……」

さやか「あ、そっすか」

猫和子「そ、そうだわ! 美樹さん、私と組まない?!」

猫和子「まずはチームを組んで、強敵を排除するのがお互いのメリットに――――」

さやか「あ、すんません。あたしも空飛べるんで」

猫和子「え゛」

さやか「変☆身」ビカーッ

猫和子「……あら、美樹さんが……黒光りの巨人に……」

巨大さやか『ドゥワッ!』

猫和子「そして如何にも当然と言わんばかりに飛んだわね……」

猫和子「……………」

猫和子「なんで私だけ走って追い駆ける事になるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」













こうして始まった媚薬争奪戦。

果たして私はほむらちゃんに媚薬を飲ませる事が出来るのか?



次回に続く! だよ!

















































                  ―――― 公民館玄関口 ――――



マミ「……公民館の前で待っていたけど、誰も来ない」

マミ「もう説明会始まっちゃうけど、鹿目さんも美樹さんも暁美さんも佐倉さんも魔女さん達も来ない」

マミ「これは、あれかしら。私だけがハブられてる感じなのかしら」

マミ「他のみんなは妖精さんのトラブルに巻き込まれているのかしら」

マミ「別に良いけどね。どうせ妖精さん絡みのトラブルなんて、ドタバタ大喜劇でしょうから」

マミ「一人の方が気楽だもん」

マミ「……ぐすん」



妖精さんメモ




『集合離散の性質』※原作設定※

妖精さんは普段はバラバラであまり群れないのですが、楽しい事があったり妖精さんの密度の高い地点が

出現すると、そこに爆発的な勢いで集合・増殖します。その状況下では例えばゴミ山が一晩で未来都市になると言った、

発展し過ぎてジョークにしか見えない超絶科学力による事象が起きるのです。

が、飽きたり吃驚したり諸々の寿命を迎えたり……様々なきっかけにより、解散も一瞬で起こります。

これを集合離散の性質……と名付けてみる。



『信じてメガホン』※オリジナル※

メガホンを通じて出した声に信憑性を持たせる、なんとも不思議なアイテムです。

どんなホラでも信じさせる事が可能ですが、信憑性は声の大きさに比例するため、でっかいホラを吹く時は

相応の大声となります。そうなると必然的により多くの人に知れ渡る事となりますので、

例えば「明日地球が滅亡する!」なんてホラを信じさせようものなら、世界が大パニックに陥ってしまうでしょう。

効能の割に潜在的な危険が大きいので、あまり他人には触らせたくない道具ですね。



『妖精さん密度』※原作設定※

妖精さんは楽しい事が好きです。その事と関係があるかは分かりませんが、妖精さんがたくさんいると

それだけで世界が愉快で不思議で不条理でご都合主義な感じになってしまいます。

その度合いはその地域で最も妖精さんと親しい人物(例えば私)が一日に出会う妖精さんの数で計測します。

数値はfを使用。ただし15人以上になると厳密性が損なわれるため、15f以上は過密状態を表すFとします。

密度Fならば怖いものは何もありません。存分に不思議を楽しみましょう。

10fの時は一瞬の油断が怪我に繋がるかも知れません(私の場合、”幸運”にも全て回避出来ましたが)。

5fの時は割とリアルな現実です。が、適当に射出したアンカーが上手い事とっかかりに引っ掛かったりします。

1fはほぼ現実です。ですが希望はあります。きっとなんとかなるでしょう。

0fの時は諦めてください。現実は非情なのです。

尚、私は常に妖精さんを侍らせているので常にF状態。無敵です。えっへん。



『電磁鬱』※原作設定※

超絶科学力を持ち、辛く悲しい現実を明るく楽しくしてくれる妖精さん。しかし彼等にも苦手なものがあります。

それは電波。

電波を浴びた妖精さんはテンションが下がり、表情が暗くなり、鬱っぽい状態になってしまいます。

私が妖精さんから聞いたところによると「くうきをよまないので」との事。意味は分かりません。

この性質のせいで妖精さんは都会では活動出来ないのです。残念。



『ご希望取り寄せボックス』※オリジナル※

ああ、こういう時に役立つアイテムがあった筈だけど名前が思い出せない……そんな時に便利なのがこれ。

用途を思い描けばお望みのアイテムが出てくる素敵グッズです。

ただし何が出てくるか分からない事、あくまで要望に応える事が目的なので加減も出来ない事、

要望を叶えるアイテムが複数あるとまとめて出してくる事、そして稀に”うっかり”関係無いアイテムを

出してしまう事……と、どうして中々使い勝手が悪いです。

検索をボックス自身にお任せしているのが不味いのか、それとも別の理由があるのかは不明です。




今日はここまで!

本当は一話で纏めたかったのですが、あれよあれよで70kオーバー。しかも未完成。そんな訳で前後編となりました。
いえーい、何時もの事だね!

……前後編で分けるとあまり語る内容がないので今日は短めで。次は早めに投下出来ると良いな、良いなぁ。
それでは、ぐっばいえぶりわーん。


我慢してたのに中沢がペガサス出したところで吹いてしまったwww

「なんか改造人間になっちまったらしくて、登校は百メートル3秒の猛スピードだから追いつけないし」

これって普通の徒歩のスピードか?全力疾走でこれか?

人退9巻まで読み終えた。シナリオ修正トリガーになった点をあれこれ夢想するとタノシイですね

9かんなんどもよむです

杏子には効果が無いのか



ちーすっ。
次は早めに投稿したい、と言ったな。結局何時も通りだよ! テキスト量も大体何時もと同じだよ!


>>468
吹いても良いのよ?

>>473
気持ちとしては早歩きぐらいです。怪我が治ってスキップしながら通うような感覚ですね

>>477 >>478
読めば読むほど想像が膨らむ人退9巻は素晴らしい(ステマ
おじいさんはちゃんと見ていたであろうP119から123までの出来事に答えが全部書いてあるんだと最近気付きましたよ。
そりゃ、体長10~20センチの生命体を「発育の悪い子供」とは思わないよね。

>>483
さやかへの愛でどうにか無効化している模様。
なんてったって宇宙を改変できる想いですからね。妖精さんにも対抗出来るぜ。
勝てるとは言わないがな!


それでは前回の続きから。
欲望塗れの仲間割れの決着や如何に!?(ネタバレ:理不尽な結末




えぴそーど にじゅう 【人間さん達の、よくぼうのきわみ こうへん】





前回のあらすじ。


さやか:ねんがんの びやくを てにいれたぞ!


【まどか】
  そう かんけいないね
> 殺してでも うばいとる ピッ
  ゆずってくれ たのむ!


さやか:な、なにをする きさまー!





                  ―――― 見滝原上空 ――――



まどか(魔力全開で空の彼方まで飛んだよ!)

まどか(高さはざっと1000メートルぐらい……かな? よく分かんないけど)

まどか(――――私が魔法少女になったばかりの頃、マミさんが言っていたっけ)

まどか(魔法少女が空を飛ぼうと思ったら、重力の操作や慣性の制御、姿勢の固定に風や気圧に対する細かな調整)

まどか(それらを行う魔法を、継続的かつ繊細にコントロールしないといけない)

まどか(祈りによってそういう力を手にしたならともかく、そんな複雑かつ高度な魔法を使えば、
    当然魔力をとんでもない勢いで消耗する)

まどか(だから空を飛ぶのは戦う上で有利だけど、実戦では使えない)

まどか(今の私はいくらでもある魔力を使って、力技で飛んでいるけど……)

まどか(空を飛ぶのは本来それぐらい大変な事)

まどか(だから普通なら、この高さまで追い駆けてこれる『人』なんて居ない訳だけど――――)

仁美『待ちなさいまどかさん! そして大人しく媚薬を渡しなさーいっ!』

まどか(妖精さんの乗り物に乗っている仁美ちゃんは当然)

巨大さやか『待てやまどかあああああああああああああっ!!』

まどか(さやかちゃんも普通に飛べるだろうし)

中沢「素直に渡せば俺のハーレムの一員に入れてやるぜええええええっ!」

まどか「えい」<魔力弾発射
巨大さやか『すぺしうむー』<光線発射
仁美『適当に攻撃してください』妖精さんA「らじゃー」<ミサイル

中沢「ぎゃあああああああああああああああああ」シビビビバリバリチュドーン
ペガサス「ひひーーーーんっ!?」

まどか「あ。あまりにもムカつく事言うもんだからつい撃っちゃった」

巨大さやか『不可抗力っしょ』

仁美「自業自得ですわ」

中沢「しかし甲冑のお陰で無傷だったぜ!」
ペガサス「ひひーんっ!」ケンザイッ

まどか「ちっ」

巨大さやか『ちっ』

仁美『ちっ』

中沢「え、俺そんなに酷い事言った?」

まどか(中沢くんもさも当然とばかりに追い駆けてきたし)

まどか(来なかったのは先生だけ……見た目は一番非常識だったのに)



まどか(でも、三人は妖精さんアイテムを使っているんだからこのぐらいは想定済み)

まどか(むしろ先生だけでも来られなかったのは僥倖ってやつだね)

まどか(――――飛ぶ前にも思ったけど、今、この中では私が一番有利!)

まどか(ほむらちゃんにこの媚薬を飲ませちゃえば勝利確定になる)

まどか(だから無理に戦う必要はない。むしろ妖精さんアイテム相手に戦う方がリスキー!)

まどか(このまま最高速度で飛んで、ほむらちゃんの家に飛び込み)

まどか(有無を言わさず媚薬を飲ませるのが最速安定の勝利方法だよ!)




仁美(まどかさんが何処に向っているかは分かりませんが、目的は容易に想像出来ますわ)


仁美(まどかさんは既に媚薬を持っている。あとは使ってしまえば、まどかさんは目的を達成出来る)

仁美(無論、邪魔されないようわたくし達を倒しておくという選択肢もあるでしょう)

仁美(しかし現在一目散に逃げている以上、戦うのではなく逃走を選んだのは確実)

仁美(ならばこのまま逃がす訳にはいきません!)

仁美『宇宙人さん! 武器を起動して、まどかさんを攻撃してください!』

仁美『出来れば先程のミサイルではなく、動きを止める事を目的にしたものを!』

妖精さんA「でしたらこのすいっちをー」

仁美『押せばいいんですね! えいっ!』ポチッ



――――うぃーん

仁美『あら、何か出てきましたわ?』

妖精さんA「ねばねばびーむー」

仁美『全く関係性を見いだせない単語が二つつながった武装ですけど、構いませんわね!』

仁美『とりあえず発射!』

――――ピルルルルルルッ

まどか「うひゃあ!? なんか変なビームが飛んできた!?」

まどか(なんか見た目がねばねばしてそうなビーム! 当たったら多分動きが鈍りそう!)

まどか(幸い難なく避けられる速さだけど、妖精さんアイテムから出てきたビーム……)

まどか(最優先で避けないとダメ!)

中沢「こっちも追い駆けるだけじゃないぜ! 弓矢を食らえ!」

まどか(中沢くんは如何にも普通の矢を撃ってきた!)

まどか(勿論普通の矢なんていくら当たっても平気だけど……)

まどか(妖精さんが関わった矢が普通の筈ない!)

まどか(これも下手に防御する訳にはいかない! 全力で回避しないと!)

巨大さやか『小細工なんて不要! このまま質量の差で押し切ってやる!』

まどか「ひゃあっ!?」

まどか(さやかちゃんは体当たり攻撃! 直線的だけど……私よりも速い!?)

まどか(直撃を受けたら、多分一番ダメージが大きい!)

まどか(さやかちゃんは肉体攻撃だから、私の魔法でシールドを張って防げると思うけど……)

まどか(でもさやかちゃん程の攻撃を受けたら、打撃によるダメージ自体は防げても)

まどか(その衝撃で吹き飛ばされちゃう! ほむらちゃんの家から遠ざかっちゃう!)

まどか(勿論その隙に仁美ちゃん達の攻撃が来るかも知れないし)

まどか(時間を掛けたら、その分ほむらちゃんの家に辿り着く前に攻撃に当たっちゃう可能性も高くなる)

まどか(さやかちゃんの攻撃を受ける訳にもいかない……)

まどか(って、結局全部の攻撃を避けなきゃ駄目じゃん!?)



仁美『さぁ、全砲門一斉掃射ですわーっ!』

中沢「喰らえ乱れ撃ち!」

巨大さやか『マッハ30の超スピード飛行による体当たり! 何時まで避けきれるかなぁ!!』

まどか(ぐ……! ま、不味いよこれ……!)

まどか(全員が私の媚薬を求めて攻撃してくる! 狙いを一人に絞れない!)

まどか(出来たら魔力を解放して周囲一帯を吹き飛ばしちゃいたいけど……)

まどか(街に被害を出すのは流石に不味いと思うし)

まどか(それにみんな今は妖精さんアイテムの塊みたいなもの。特に仁美ちゃんは妖精さんと一緒に行動中)

まどか(私の攻撃でみんなノックアウトって未来が全然見えない!)

まどか(どうすれば、どうしたら……)

まどか(この包囲網を破れる……!?)

まどか「……………」

まどか(いや、待って)

まどか(そもそもこれって”包囲網”なの?)

まどか(だって――――)

中沢「くっそぉ! 当たれ当たれ当たれぇ!」

まどか「……よっと」ヒョイ

中沢「糞! いくら乱れ撃ちしても躱されちまう!」








巨大さやか『え』プス

中沢「あ」



巨大さやか『って、何してんの中沢!? なんであたしを攻撃してんのさ!』

中沢「な、流れ弾だよ! つーかお前が勝手に当たりに行ったんだろ!」

巨大さやか『よく言うよ! あわよくばとか狙ったんじゃないの?!』

巨大さやか『ま、あんなへなちょこ弓矢、いくら撃たれても痛くも痒くもないけどさ』

巨大さやか『痛くも痒くも……』ポリポリ

巨大さやか『……………』ボリボリ

巨大さやか『……………!』ガリガリ

巨大さやか『ちょ、なんか身体が……』

巨大さやか『身体が、痒い!』ガリガリガリ

中沢「え?」

巨大さやか『な、なんじゃこの痒さはあああぁぁああぁあああ!?』ガリガリガリ

妖精さんA「あー、あれはー」
妖精さんB「いたくはないけど、かゆーくなるやですなー」
妖精さんA「あたるとかゆくなります?」

中沢「え、俺の矢ってそんな効果だったの?」

巨大さやか『なんだその滅茶苦茶な効果!?』

巨大さやか『でもこの痒さはキツイ!? これなら腕がもげる方がマシだよ!?』

巨大さやか『これもう飛ぶのに集中出来な……』

巨大さやか『アッ――――!!』


――――ひゅぅるるるるるるるるる……

――――ずしーんっ!!


まどか「……百メートル級の巨人が市街地に落下とか、軽く天災だよね」

中沢「あれ、二十人ぐらい下敷になって死んだんじゃ……」

まどか「それは平気だと思うけど(妖精さんが此処にいるので)」

まどか「……今日の夜のニュースで、見滝原に隕石落下か? みたいな見出しが出るんだろうなぁ……」

まどか「良いのかなぁ……妖精さんの事、秘密にしとかなくて……」

まどか(いや、思い返すとほむらちゃん、そういうの隠す気全然なかったような……)

まどか(……クラスメートの前で普通に妖精さんアイテムを使ったらしいし、始めて会った時も私達の前で
    妖精さんをなんの躊躇いもなく呼び出してるし)

まどか(……「え? なんで隠す必要があるのですか?」)

まどか(うん。絶対こう言うよね)



まどか「兎に角、同士討ち作戦は成功!」

まどか「みんな結局私利私欲で私に挑んでるからね! チームワークは壊滅的!」

まどか「簡単に同士討ちを狙えたよ!」

中沢「ちぃっ! 小癪な!」

中沢「だが、まぁ、美樹の奴がリタイアしたのは好都合!」

中沢「次こそこの攻撃を当てて」

仁美『隙ありですわー』

中沢「え――――ぎゃああああああああああああああああああああああ!?」シビビビビ
ペガサス「ひひひひひひひーんっ!?」

まどか(ひ、仁美ちゃん、中沢くんを狙って攻撃した!?)

中沢「ど、どぼじで……?」

仁美『元より、わたくしは皆さんと協力する気なんてありません』

仁美『さやかさん相手に戦うのは少々リスクがありそうでしたが……そのさやかさんが脱落した今』

仁美『あなたのような、居ても居なくても変わらぬ方にはお引き取り願うまでですわ』

中沢「ぢ、ぐしょー……」ヒュー
ペガサス「ヒヒーン……」ヒュー

まどか(中沢くんも落ちていった……常人なら即死するパターンだけど、多分平気だよね)

まどか(だけど……)

まどか(最悪の相手が残った……!)

まどか(仁美ちゃんはほむらちゃんと違って妖精さんをけしかける事は出来ないだろうけど)

まどか(でも、そうだとしても妖精さんが仲間に居るのはあまりにも心強すぎる!)

まどか(どうやって切り抜ければ……!?)



仁美(さて、どうしましょう)

仁美(まどかさんも宇宙人さんの道具を持っているのか、不思議な力を得た様子)

仁美(それも、相当に強い力ですわ)

仁美(三対一の攻撃すら躱していたのですから、ねばねばびーむ単体では当たりそうにありません)

仁美(恐らく、ミサイルも躱されてしまうでしょう)

仁美(持久戦に持ち込まれたら、その分まどかさんが想い人に媚薬を飲ませるチャンスを与えてしまう)

仁美(このままでは、”負けて”しまう)

仁美(なら……短期決戦を挑むしかない!)

仁美「宇宙人さん、何か最終兵器的なものはありませんか?」

妖精さんB「でしたらこちらのすいっちおしてー」

仁美「こちらの……ガラスを叩き割って押すタイプのボタンですわね」

仁美「この如何にも危険な雰囲気、正に最終兵器ですわ!」

仁美「えいっ!」ガシャンッ


―――― ビーッ! ビーッ!


仁美「まぁ、警報が……それっぽい感じですわね!」

仁美「それで、どんな最終兵器が起動するんですか?」

妖精さんAB「じばくー」

仁美「……え?」

妖精さんA「さいしゅうへいきといえば」
妖精さんB「じばくですなー」
妖精さんA「みっちゃくしながら」
妖精さんB「こなみじーん♪」
妖精さんC「たのしいですなー」

仁美「た、た」

仁美「楽しい訳ないでしょおおおおおおおおおおおおおおお!!?」



ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!



まどか「え。何もしてないのになんで?」



仁美「覚えてなさぁぁぁぁぁぁぁ……

妖精さん「わー」

まどか「……仁美ちゃん、妖精さん諸共落ちて行っちゃった」

まどか「仁美ちゃんだけ生身な訳だけど、まぁ、妖精さんが居るから平気だよね。うん」

まどか「兎に角、これで邪魔者は居ない!」

まどか「このままほむらちゃんの家まで超音速飛行で一直線だよ!」ギューンッ

まどか(さやかちゃん達の邪魔のせいで、ちょっとほむらちゃんの家から遠ざかったけど)

まどか(――――でももう見えた!)

まどか(なんかほむらちゃんの家が跡形もなく消えているけど、メイドさんがいっぱい居るし)

まどか(テントが張られているから、多分あそこにほむらちゃんが居るよね!)

まどか(ああ、もう邪魔者は居ないからゆっくり行っても良いんだよね)

まどか(誰にも邪魔されず、恋人になれるんだよね!)

まどか(……でも)

まどか(でも、もう我慢出来ない!)

まどか(私はほむらちゃんが好き! 大好き、大好き大好き大好き大好き!)

まどか(どうしようもないぐらい好きなの! 女の子同士とか、どうでもいいぐらい好き!)

まどか(早く恋人になりたい! たくさん触れ合いたい!)

まどか(手を繋ぎたい、キスもしたい、一緒にお風呂に入りたい一緒の布団で寝たいエッチもしたい!)

まどか(そしてほむらちゃんに――――好きって言ってほしい!)

まどか(だから!)

まどか(このままほむらちゃんの家に突っ込み、有無を言わさず媚薬を飲ませる!)



まどか「ほむらちゃん! 待ってて!」

まどか「恋人になったら絶対大事にするから!」

まどか「だから今日だけは――――」

まどか「今日だけはちょっと乱暴させてもらうよ!」

まどか(よし! ほむらちゃんの家の敷地に入っ)


――――ブンッ!!


まどか(え)

まどか「な、ぶっ!?」

まどか(ほむらちゃんの家の敷地に入った途端、何かが出てきて、私を叩いて……)

まどか(あ、これホームランの時のボールみたいな軌道で吹っ飛ばされる)










――――ばっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!



まどか「なんでこうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」




ほむら「……?」

お姉さん「どうかしましたか、お嬢様」

ほむら「あの……げほっ、げほ……」

ほむら「なんが、物おどが聞えだような気がしで……」

お姉さん「アレですかね。万一我が家に侵入しようとする狼藉者を追い払うために設置した」

お姉さん「『万能蝿叩き』が起動したのではないかと」

ほむら「え゛ー……姉ざん、あれつがっだの?」

ほむら「あれ、なんでもただぐには大きくすればいいっでこどになっで」

ほむら「三めーどるぐらいある、鈍器みだいになっだやつだよ」

ほむら「しがもせんざーが大雑把だがら、鳥どかにも反応じで、ふっとばしちゃうじゃん」

お姉さん「しかし余計な効果がない分、使い易いではないですか」

お姉さん「マスターにしか分からない超理論で、どれだけ派手に吹っ飛ばされても死にはしませんし」

ほむら「そればぞうだけどー……」

お姉さん「それより、まだ全然風邪は治ってないのですからちゃんと寝ていてください」

お姉さん「私はこの後買い物に行きますが、なにか食べたい物のリクエストはありますか」

お姉さん「勿論、消化の良い物に限りますけど」

ほむら「……ぷりん」

お姉さん「はい?」

ほむら「ひざじぶりに、ぷりん、つくっで」

お姉さん「……やれやれ。見滝原に来てからずっと注文がないと思ったら、こんな時に頼んでくるとは」

お姉さん「言ってくれれば何時でも作るというのに」

お姉さん「わざわざ二人きりの時に頼まなくても良いじゃないですか」

ほむら「……だっで、ぷりんつぐっでって言うの、子供っぽぐで、はずかじいもん」

お姉さん「全く……」

お姉さん「我が妹は本当に見栄っ張りです事」




……………

………





まどか「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

まどか「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおどべっち!?」

まどか「う、うぐぐ……吹き飛ばされて地面に墜落しちゃったよ……」

まどか「此処は、ああ、学校だ……修復中でブルーシートで覆われてるけど」

まどか「ああもう! 何が起きたのかは分からないけど絶対妖精さんアイテムだよ!」

まどか「多分侵入者迎撃用のシステムとか、そんな感じのやつ!」

まどか「あったまきた! だったらこっちも全力で破って……」

まどか「破って……突入して……」

まどか「……今更だけど人の家に突撃って失礼だよね。外国なら銃でぱーんっと撃たれても文句言えないよね」

まどか「それをどうにかこうにか突破した人を、家主は暖かく迎え入れてはくれないよね」

まどか「……ちょっと頭に血が上り過ぎたかも」

まどか「そうだよ、邪魔者はぜーんぶ倒しちゃったんだからあとは普通にお家にお邪魔すれば……」







「お邪魔すれば、なんだって?」



まどか「!?」

まどか「なっ……さやかちゃん……!?」

さやか「ようやく見つけたよ……いや、幸運だった」

さやか「痒みから解放された時、丁度空を吹っ飛んでいくアンタの姿が見えてね……」

さやか「プリティでキュアキュアモードになって、後を追い駆けたんだよ」

さやか「今度は空を飛んで逃げられると思わない事だね」

まどか「ぐっ……で、でも、さやかちゃん一人ぐらい――――」

中沢「おっと、俺の事も忘れてもらっちゃ困るな」

まどか「なっ……中沢くん!?」

まどか「そんな、だって仁美ちゃんの攻撃を受けて……」

中沢「ふん。ペガサスはへとへとになって戦線離脱したが」

中沢「俺はこの甲冑のお陰で無傷だぜ!」

まどか「一体どんな材質で出来てるのその鎧!?」

中沢「鎧にタブがあってな、主成分はポリエチレンテレフラートって書いてあったぞ」

中沢「多分、化学工場とか原子力発電所で着る防護服に使われている素材だな」

まどか「それペットボトルの素材だよ!? 確かに軽くて丈夫で長持ちするけどさぁ!?」

中沢「まぁ、材料なんざどーでもいい」

中沢「コイツと協力するのは癪だが、二対一になってるぜ?」

まどか「う……だ、だけど二人だけならまだ……」

仁美「わたくしも居ますわよ!」

まどか「ちょ!? 仁美ちゃん!? 高度1000メートルから生身で落ちたのになんで無傷!?」

仁美「局所的に発生した竜巻によって落下の勢いが相殺され」

仁美「その後燃えるゴミに出されていた大量のソファとか布団の上に偶然落下したので助かりましたの」

まどか「偶然と言うより最早コントだよそれ!?」

仁美「それより、まどかさん。どうしますか?」

仁美「円盤は壊れてしまい、宇宙人さんは何処かに逃げてしまいましたが……」

仁美「わたくしには我が志筑家に伝わる戦闘技法があります」

仁美「御二方ほどではなくとも、戦う術を持ち合わせているわたくしを数えれば三対一」

仁美「流石に、分が悪いのでは?」

まどか「ぐっ、ぐぎぎ……!」

まどか「さっきからごちゃごちゃとぉ……!」

まどか「そこまで言うなら本気で全員吹っ飛ばしちゃうよ! 跡形もなく消しちゃうよ!」

まどか「今の私にはそれが出来るんだから!」

まどか「なんなら今ここでその力を見せつけてあげようか!?」

まどか「ほら、逃げ帰るなら今のうち――――」






                      「隙ありっ!」






まどか「へ――――ぶげっ!?(せ、背中から衝撃が……)」

まどか(これは、キック!?)

まどか「どんがらがっしゃあああああああああああんっ!?」

さやか「ああ!? まどかが吹っ飛ばされた!?」

仁美「なっ……そんな、どうして……」



恭介「ふぅ……上手く決まったな」



仁美「どうして上条さんが!?」

さやか「嘘!? 恭介!? なんで……」

恭介「改造人間たる僕の聴力は常人よりも遥かに優れている」

恭介「お陰でさやかと鹿目さん、あと志筑さんと中沢の会話を聞き取れてね」

恭介「流石に空中戦には参加出来なかったけど」

恭介「こうして地上に降りてきたようだから、早速参戦してみたって訳さ」

中沢「どんだけ地獄耳なんだよ……」

恭介「そして――――」パシッ

さやか「ん? 恭介が今持ってるのって……」

さやか「ま、まどかが持ってた媚薬!?」

恭介「媚薬は、僕が手に入れた」

さやか「そ、そんな……!」

さやか「恭介、そ、その、それを渡してはくれない、かな……?」

恭介「おいおい。なんで僕がわざわざ鹿目さんに跳び蹴りを食らわせたのか分からないのかい?」

恭介「僕がこの薬を手にし、使うためだよ」

さや仁「!?」

さやか(きょ、恭介が媚薬を使う相手!?)

仁美(一体誰が……ま、まさか、まさか……)

さや仁(私!?)

中沢「おいおい上条……一体誰にその薬を使うつもりなんだ」

恭介「ふ……そんなの決まってるだろ」

さやか「恭介……!」

仁美「上条くん……!」


















恭介「杏子ちゃんだよ!」





さやか「……………」

仁美「……………」

まどか(……蹴飛ばされてからようやく復帰したら)

まどか(さやかちゃんと仁美ちゃんが、道端に落ちている犬の糞を見るかのような眼差しで上条くんを見つめている……)

中沢「お前も天使ちゃん狙いだったのかよ!?」

恭介「お前も? ふん。中沢、お前と一緒にするんじゃない」

恭介「女なら誰でも良いお前と違い」

恭介「僕は杏子ちゃん一筋だ!」

さやか「」ピキッ

仁美「」ビキッ

まどか(ああ、二人が怒ってるのはそういう……)

中沢「だからテメェは器が小さいんだよ!」

中沢「男ならハーレムを夢見ろやぁ!」

恭介「馬鹿野郎! 愛とは一本道しかあり得ない!」

恭介「貴様のような強欲塗れの男に、天使な杏子ちゃんは渡せない!」

中沢「ふん! お前に俺の夢が分かるとは思ってねぇ!」

中沢「我が覇道を阻む以上――――」

中沢「貴様はここで死ねぃ!」

恭介「たかが甲冑に身を包んだぐらいで僕に勝てると思ったか!」

恭介「自分の欲望で女の子の心を弄ぶ」

恭介「そのふざけた幻想をぶち殺す!」

恭中「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」





さやか「あーまじかったるいわーやってられないわー」

仁美「誰ですかねーあんな愚物が好きだなんて言ったひとー」

まどか(ああ……二人のテンションがリーマンショック直後の株価みたいな勢いで下がってる……)



まどか(ま、まぁ、障害が二つ、上条くんとの差し引きでも一つ減ったのは喜ぼう。うん)

まどか(だけど、どうしよう)

まどか(上条くん単体なら、十分に倒せる)

まどか(中沢くんだけでも同じ)

まどか(でも二人が本気での戦いを繰り広げている中に割って入り)

まどか(媚薬を”無傷”で奪い返す……)

まどか(これは中々難しそう)

まどか(ここは一旦二人の戦いが終わるまで待つべき?)

まどか(いや、だけどその間にさやかちゃん達が正気に戻らないとも……)

まどか(あれ? これは今が正気なのかな? ん? んん?)

まどか(……ん?)


杏子「イヤイヤ、ダカラムリダッテ」

シャル「ツーテモホカニテハナイデショー」


まどか(あれは杏子ちゃんに、シャルロッテさん?)

まどか(なんか100メートルぐらい離れた場所にある木に身を隠している、のかな?)

まどか(……怪しい。色々と)



まどか(えっと、もしもし二人とも? どうしたの?)テレパシー

杏子(うわっ?! なんだ!?)テレパシー

シャル(誰かが直接脳内に!?)テレパシー

まどか(いや、これテレパシーですから。魔法少女だった時、普通に使ってたよね?)テレパシー

シャル(あ、そう言えばそうだった)テレパシー

杏子(最近使う機会がなくてすっかり忘れてたわ)テレパシー

まどか(もう……って、こんな話をしている場合じゃなくて)テレパシー

まどか(二人ともどうしてこんなとこに?)テレパシー

まどか(まさか、媚薬を奪いに来たの?)テレパシー

杏子(まぁ、半分正解、かな)テレパシー

杏子(少し前にその媚薬の説明書を読んだんだけどさ)テレパシー

杏子(どうやら、あの媚薬は飲ませなくても人を虜にする効果があるらしく)テレパシー

杏子(その奪い合いによって騒動が起こるって代物らしいんだ)テレパシー

まどか(ああ……だからあんなにもたくさん邪魔が入ったんだ……)テレパシー

杏子(いや、アンタが真っ先に虜になってただろ)テレパシー

まどか(てへ♪)テレパシー

杏子(たく……)テレパシー



杏子(話を戻すとだな)テレパシー

杏子(そんな物は危険だからどうにかしようとシャルが張り切ったんだけどさ)テレパシー

シャル(……うっかり転んで、妖精さんアイテムをばら撒いちゃったのよ)テレパシー

まどか(……うっかり、ね)テレパシー

シャル(妖精さんアイテムだから大惨事にはならないと思うけど、でも大事件は起こしそうでしょ)テレパシー

シャル(というかもう起きちゃってる訳だけど……)テレパシー

シャル(だから散らばった妖精さんアイテムの回収がしたいのよ)テレパシー

シャル(勿論媚薬も、ね)テレパシー

まどか(それは――――)テレパシー

シャル(……一つ、聞きたいんだけどさ……)テレパシー

シャル(妖精さんアイテムを熟知しているほむらに、どうやって媚薬を飲ませるつもりだったの?)テレパシー

まどか(それは、食事に混ぜたり、無理やりだったり……)テレパシー

シャル(私にはなんらかのトラブルが起きて、結局自分で飲む羽目になる予感がするんだけど)テレパシー

まどか(……あ)テレパシー

シャル(回収、しても良いわね?)テレパシー

まどか(……はい)テレパシー

シャル(はい、難関攻略っと)テレパシー

シャル(で、だ。この状況と媚薬の効果から考えると)テレパシー

シャル(志筑さんと、えっと……クラスの男子が散らばった妖精さんアイテムを持ってるのかしら)テレパシー

まどか(うん。ただ、一個は此処に居ないけど早乙女先生が持っているのと)

まどか(仁美ちゃんが持っていたアイテムはなんか爆発しちゃったから)テレパシー

まどか(残っているのは中沢くんの甲冑と、早乙女先生が付けたカチューシャだけだね)テレパシー

シャル(え?)テレパシー

まどか(? どうかした?)テレパシー

シャル(あ、いや、うん……)テレパシー

シャル(一個足りないわね……確か四つあった筈なんだけど……)テレパシー

まどか(え? 四つ?)テレパシー

シャル(まぁ、ある分だけ回収しちゃいましょ)テレパシー

シャル(……回収……)テレパシー



中沢「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

恭介「どりゃあああああああああああああああああ!!」




シャル(……………)

まどか(うわぁ、私の目でも追えないような速さで肉弾戦を繰り広げてるよ……)

シャル(……佐倉さん、頑張って)テレパシー

杏子(いやいやいやいやいや、可笑しくね? 可笑しいだろ?)テレパシー

杏子(なんで今あたしに丸投げした? 元々お前がやっちゃった事だろ。自分でなんとかしろよ)テレパシー

シャル(無理)テレパシー

杏子(ああ、まぁ、うん……お前にあの二人の間に入るのは無理だな。うん)テレパシー

杏子(でもだからってあたしに即投げってどうなんだよ)テレパシー

シャル(佐倉さんなら出来るよ)テレパシー

杏子(テメェ今馬鹿にしたな? 馬鹿にしたよな?)テレパシー

シャル(してないわよ。ただ鼓舞しただけよ)テレパシー

杏子(仮にそうだとしても気に入らねぇ)テレパシー

シャル(じゃあどうしろって言うのよ? 何? 私に死ねと?)テレパシー

杏子(だから諦めるにしてもあたしに丸投げするなっつってんだよ!)テレパシー

シャル(諦める訳にはいかないでしょ! 妖精さんアイテムなのよ!?)テレパシー

シャル(アンタ事態の深刻さ分かってないでしょ!?)テレパシー

杏子(んだとゴルァ!?)テレパシー

シャル(やんのかああんっ!?)テレパシー

まどか(ちょ、二人とも喧嘩は止めて!?)テレパシー

まどか(もしかしなくてもこれも媚薬効果!? 節操なさすぎだよ!?)テレパシー

杏子「だからテメェは何時も何時も――――」

まどか(ああもう、ついには声まで出しちゃって……)






恭介「その声は、杏子ちゃん!?」



シャ杏ま「!?」

まどか(ちょ……い、今の声に上条くんが気付いた!? 100メートルも離れてて、しかも戦いの最中に!?)

まどか(って、上条くんは改造されて地獄耳になったんだ!)

まどか(も、もし上条くんが『私と同じ結論』に至ったら――――)

恭介「ふ、ふふ、ふははははは!」

恭介「この勝負――――僕の勝ちだ!」ドンッ!

まどか(ああ! 上条くんが走り出した!?)

中沢「ま、待――――」

まどか(目の前で戦っていた中沢くんは気付いたけど……)

まどか(駄目! 鎧が重過ぎるのか、全然遅い!)

さやか「――――」

仁美「――――」

まどか(さやかちゃんと仁美ちゃんは気付いているのかすら怪しい! 反応した様子もない!)

まどか(こうなると止められるのは私だけなんだけど……)

まどか「こ、この――――」

恭介「遅い!」

まどか(ああ! 振り上げた腕の下を潜られた!?)

まどか(どれだけ強くなっても私は結局遠距離攻撃型だから、近接戦は分が悪いよぉーっ!)

まどか(で、でもまだ希望はある!)

まどか(天使となった杏子ちゃんの超絶パワーなら上条くんを追い払う事ぐらい――――)

杏子「あだっ」

シャル「げぇっ!? 上条に突撃しようとした佐倉さんが石に躓いてこけたーっ!?」

まどか「なんでここでこけるのォ――――?!」

恭介「うけけけけけ! 天は我に味方せりぃぃぃぃぃ!」

まどか(ああ、もう駄目――――)




――――しゅるるるるるるるっ



恭介「え、あぶしっ!?」

まどか(え!? 上条くんが、転んだ!?)


――――しゅるるるるるる……


中沢「うわっ!? なんだこれ!?」

シャル「きゃあ!?」

杏子「な、なんだぁ!?」

まどか(!? 地面からたくさんの蔓が生えてきた!?)

まどか(その蔓がみんなの手足に絡み付いて拘束してる! 一体何処から……)

まどか「って、私も考えていたら足に蔓が絡まってきゃあああああああああああああああ!?」

まどか「なんで片足だけに絡まって持ち上げるの!?」

まどか「見えちゃう! 逆立ちになったらスカートが捲れてパンツ見えちゃう!」

まどか「ほ、ほむらちゃん以外に見せるのは嫌ああああああああああああああっ!」

さやか「うわぁ!? つ、蔓が……うぐっ!?」

仁美「きゃあ!?」

まどか「ああ! みんな拘束されちゃった!?」

まどか「一体なんなのこの蔓……」

まどか(あれ……この蔓……よく見たら棘が生えてるから……蔓というより、茨?)

まどか(それにこの色合いとか、茎の見た目とかって……)

まどか(薔薇のそれによく似ているような――――)




「ふぅ……なんとか間に合いましたね」



全員「!?」

まどか「だ、誰!?」

まどか(声がした方を見たら、誰か居る……!)

まどか(誰か……)

まどか(……えっと……)

まどか(え? 本当に誰?)

まどか(ヒスイみたいに綺麗な髪でポニーテールを作っていて、お淑やかそうな顔立ちで)

まどか(マミさんほどじゃないけどスタイルが良くて、私達より年上っぽい……高校生ぐらい?)

まどか(分からない事だらけだけど、間違いないのは――――)

全員(全然知らない人だっ!?)

??「ふふ。上手い事全員拘束できましたね」

まどか「あ、あなたは、一体何が目的なの!?」

??「この展開からして、簡単に予想が付くのではありませんか?」

??「勿論媚薬を奪うためです」

まどか(そんな……まさか、知らない人まで関わってくるなんて……!)

恭介「ぐっ……お前も媚薬を奪いに来たのか……!」

恭介「でも甘く見たな! 君も不思議な力が使えるみたいだけど」

恭介「改造人間となった僕のパワーなら、いくら太くとも植物ぐらい!」ギチチ

??「あら……私が魔法で出した茨が引き千切られてしまいそう。話には聞いていましたけど、本当に凄いパワーです」

??「だけど、これがありますからね」

まどか(ポケットから何か、小瓶みたいのを取り出した?)

まどか(それでその液体を地面に垂らして……)

――――メキメキメキメキメキッ!!

恭介「ぐ、うぐぁ……!?」

恭介「ば、馬鹿な……さっきよりも強度が増した……!?」

??「ふふ♪ 流石妖精さん製の栄養剤。少し与えただけでこんなにも力強くなるんですね」

??「元々私の魔法で作り出した薔薇とはいえ、吃驚するほど高性能です」

植物【カクメイノトキハキタリーッ!】

??「……あまりたくさん与えるのは止めときますか」

まどか(妖精さんアイテムを、妖精さんアイテムだと分かって使ってる!?)



まどか(しかも魔法でこの茨……薔薇を作り出したって事は、魔法少女!?)

まどか(そんな事が出来るのはほむらちゃんを知っている私達ぐらいの筈!)

まどか「あ、あなたは一体誰なの!?」

??「え?」

??「あの……まだ気付きません?」

まどか「気付くも何も知らない人だよ! ……知らない人、ですよね?」

??「それは酷くありません? 薔薇で初対面で妖精さんですよ? 割とバレバレ……」

??「え、鹿目さん以外の人は分かりますよね? 分かってますよね?」

さやか「い、いやー……」

シャル「鹿目さんの名前は知ってるみたいだから……鹿目さんの知り合い?」

杏子「あたしもちょっと覚えが……」

??「ちょ、酷い!? 皆さん総じて酷いです!」

??「私ですよ、私!」







ゲルト「ゲルトルートですよ!!」



まシさ杏「……………」

まシさ杏「な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

ゲルト「えええええっ!? 本当に気付いてなかったんですか!?」

シャル「い、いや、だって人間の姿だし……」

ゲルト「昨日の夜、ようやく決意が決まったんで人間に戻ろうと思っていたんですよ!」

ゲルト「その事を今朝話そうとしたら、皆さん時間が迫っていて話が出来なくて」

ゲルト「お手伝いさんに話したら、ほんの数十秒で妖精さんがこのボディをくれたんです!」

シャル「ああ! あの時話そうとしていたのってその事だったの!?」

杏子「で、でもよ、その身体は誰かのクローンって訳じゃないんだよな? モデルは誰なんだ?」

ゲルト「なんか魂に刻まれている記憶とやらを引き出したので、これが私本来の姿らしいのです」

ゲルト「覚えてませんけど、妙にしっくりくるので気に入っています」

さやか「そ、それで妖精さんアイテムは……」

ゲルト「人間に戻った姿を見せて皆さんを驚かせてやろうと思い、公民館に向かっていた時に偶々拾いまして」

ゲルト「で、その後鹿目さんの魔力を感じたのでなんだろうと思い寄り道し」

ゲルト「そこで美樹さん達と媚薬の話をしている場面に遭遇したのです!」

まどか(ああ、つまりさやかちゃんが思いっきり媚薬の話をした時には、もう全員集合状態だったのね)

まどか「さやかちゃんの馬鹿ああああああああああああっ!」

さやか「!? 何故いきなり馬鹿にした!?」

まどか「諸々全ての原因がさやかちゃんにあるからだよ!」



シャル「そんな事より! アンタ、なんで媚薬を狙ってるの!?」

シャル「まさか、誰か飲ませたい人が……」

ゲルト「当然。伊達や酔狂で媚薬を手に入れようなんて思っていません」

ゲルト「全ては私の祈りを叶えるため」

ゲルト「魔法少女になってでも、叶えたかった夢を実現するためです」

まどか「え……」

まどか(ゲルトルートさんの、祈り……? それが、媚薬で叶えられるの?)

まどか(そう言えば、一昨日、私が恋の相談をした時、恋に対する想いを言ってた)

まどか(そして、その所為で……とも言い淀んでいた)

まどか(もしかしてゲルトルートさんの祈りは恋の願い?)

まどか(それで魔女になったって事は――――)

杏子「おい、祈りってなんの事だ!?」

ゲルト「見ていれば分かります」シュルル

恭介「ぐあっ!? 目元に蔦が……前が見えない!」

ゲルト「ふふ……万一誰かを見てしまっては元も子もないですからね……」

中沢「ちくしょう! こうなったら……」

ゲルト「あなたもです」

中沢「ぐうっ!?」

仁美「ああ!? 中沢さんも顔に蔦が絡まって……!」

ゲルト「他の皆さんは邪魔さえしなければ、それ以上の拘束はしませんよ」

ゲルト「痛い目を見たくなければ、大人しくしていてくださいね?」

シャル「くっ……!」

ゲルト「さて……ふふ、うふふふ♪」

ゲルト「はい、あーん……♪」

恭介「がぽっ!?」

さやか「ああ!? 恭介の口に媚薬が……!」

シャル「上条が狙いだったの!?」

まどか「そんな……!」

ゲルト「……おっと、全部飲ませちゃダメダメ」

ゲルト「うん。ちゃんと半分残せましたね」

まどか(ああ……こんな……こんな事って……)

まどか(なんで、なんでなのゲルトルートさん……!)

まどか(あれだけ恋を大切にしていたのに)

まどか(なんでさやかちゃんの好きな人を奪うような真似を――――)

ゲルト「あとはこれを……」






ゲルト「彼に飲ませます」


中沢「ファッ!?」ガポッ


女子s「え?」






ゲルト「それから二人を引き合わせます」

恭介「え?」

中沢「え?」

ゲルト「そして蔦を外して――――御開帳~♪」

恭中「あ」

恭中「……………」

恭介「中沢!」ガシッ
中沢「上条!」ガシッ

女子s「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

ゲルト「いよっしゃあっ!!」ガッツポ

シャル「何がいよっしゃあ! よ!? 何が!?」

さやか「アンタ一体何が目的であんなしたの!?」

仁美「よよよよよりにもよって上条くんと中沢くんに媚薬を飲ませ、二人を恋仲にするなんて……」

仁美「それは禁断の恋ですわよーっ!?」

杏子「テメェ、さやか様の恋を邪魔した挙句あんな事して、どう落とし前つける気なんだ!」

まどか「ちゃんと説明して! こんなの、納得出来ない!」

ゲルト「……ふふふふふ」

ゲルト「絶望してからは薔薇を愛でる魔女となり」

ゲルト「魔法少女となった時も、植物を操る魔法を使っていた私」

ゲルト「それは何故か?」






ゲルト「私が薔薇族愛好家の女だからです!」







【薔薇族・・・ゲイ雑誌】



さやか「……………」

シャル「……………」

杏子「……………」

さシャ杏「お前の魔法が薔薇ってそういう理由なのかよおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

ゲルト「そう、私は薔薇の魔法少女――――薔薇の下で愛する男達と出会いたいと願った」

ゲルト「腐りきった女なのですよ!」キラキラ

シャル「コイツめっちや清々しい笑顔で言い切ったわ!?」

杏子「道理で魔女の時の姿がドロドロと腐ってる風な外見だった訳だなぁ!?」

まどか「薔薇族ってなに?」

仁美「はぁはぁはぁはぁ……うっ」

仁美「ふぅ……乙女の嗜みですわ」キリッ

まどか「え?! そうなの!?」

さやか「ちげぇよ!」

ゲルト「ちなみに学校に持ち込んだBL同人誌を当時の親友に見られ」

ゲルト「軽蔑されたのが原因で魔女化しました!」

杏子「やっぱりただの腐敗物じゃねぇかコイツ!」

シャル「謝れ! 自分の中の正義に苦しんで魔女化した鹿目さんに謝れ!」

まどか「友達に軽蔑されたなんて、そんなの可哀想過ぎるよ……!」

仁美「いえ、鹿目さん。今の話、実は同情すべき点が一つもありません」

仁美「薔薇族とは孤高の存在ですのよ」

まどか「そ、そうなんだ……カッコいいね」

さやか「まどか騙されるな!? そして仁美、お前もなのか!?」

仁美「乙女の嗜みですもの」

さやか「嗜まない女子も普通に居るわ! 主に此処に!」

ゲルト「魔女になってからは延々自分の育てた薔薇を眺め」

ゲルト「アントニー×アーデルベルトの妄想を描いたものです」

シャル「マニアック過ぎない!?」

杏子「ヤベェこいつめっちゃレベル高いぞ!?」

まどか「どういう意味?」

仁美「カップリングですわね。一般的に先に読み上げられた人物が攻めという傾向がありまして」

さやか「止めて!? まどかを穢さないで!」



ゲルト「その妄想を邪魔する魔法少女とか一般人を蹴散らす日々……」

ゲルト「どうせ誰も私の趣味を理解してくれないと思い、使い魔と薔薇以外には心を開きませんでした……!」

ゲルト「だけど私は決めました!」

ゲルト「誰にも分かってもらえないかも知れない。でも――――」

ゲルト「自分に正直に生きよう! 暁美さんみたく、楽しく、胸を張って生きよう!」

ゲルト「だって好きなものは好きだから!」

ゲルト「という訳でまずは私の大好きなBLを見たいと思い、こんな行動に出てみましたっ!」

シャル杏「妄想で留めとけよこのアホおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

恭介「中沢ーっ!」
中沢「上条ーっ!」

まどか「……………」ドキドキ

仁美「つまりどちらが受けか攻めかというのも大事なのですが、しかし誘い受けやヘタレ攻めというジャンルもあり」

さやか「そこの腐敗物2! いい加減まどかを巻きこむなっ! そしてまどかは引き込まれるな!」

シャル「ああもう! 妖精さん絡みだから知ってたけど……」

シャル「もう少しマシなオチを付けなさいよぉ――――――――!!」



……………

………






                  ―――― 午後十二時頃 ――――

                  ―――― 見滝原市街地 ――――



マミ「そう……私の知らない場所で、そんな事が起きていたのね」

マミ「……私の知らない場所で」ズーン

シャル「いや、落ち込まないでよ。落ち込むような話じゃないし」

マミ「ふ、ふんっ。落ち込んでなんていないわよ!」

マミ「妖精さんが絡んだトラブルなんて、精神的に疲れるだけって知ってるんだから!」

マミ「別にみんなと一緒に居たいとか、寂しいとか」

マミ「これっぽっちも思ってないんだからね!」

シャル(この人、身体は大人っぽいけど中身は子供っぽいのよね)

シャル(……可愛い)

マミ「……何その慈愛に満ちた眼差し?」

シャル「強がる子供を愛でるような眼差しよ」

マミ「だから寂しがってないって言ってるでしょ!?」

杏子「お前ら楽しそうだなぁ」

マミ「楽しくないわよ!?」

杏子「いや、結構楽しんでるだろ」

杏子「それに比べて……」

さやか「うう……恭介ぇ……恭介ぇ……」

シャル「……呻き声が怖いわ」

まどか「まぁ、さやかちゃんは結局告白すら出来なかった訳だしね」

まどか「ほむらちゃんに告白して、すっきりふられた私は今回の事そこまで引き摺ってないけど」

まどか「何も言えずにふられたようなものになったさやかちゃんは……」

杏子「うう……さやか様……おいたわしい……」

ゲルト「まぁまぁ、人は恋に破れた分だけ強くなれるものです。前向きに考えましょう」ツヤツヤ

シャル「お前がっ!」

杏子「それをっ!」

シャル杏「言うなあああああああああっ!!」 < ダブルパンチ

ゲルト「ばいばいきーんっ!?」ゴロゴロゴロ

まどか「……流れ星になるほど遠くには吹っ飛ばなかったね」



シャル「たく……この事態で得したのってゲルトちゃんだけじゃん……」

まどか「いや、仁美ちゃんも良いもの見せてもらったって言ってたよ」

シャル「寝取られて喜ぶんかいアイツ……」

マミ「……上条くん達、元に戻ると良いのだけど」

まどか「とりあえず明日、ほむらちゃんに聞いてみます……あまり期待出来ませんけど」

マミ「期待出来ないわねぇ……」

さやか「うう……恭介ぇ……」

さやか「こんな事になるなら妖精さんアイテムに頼らず、ちゃんと告白するんだったよ……」

ゲルト「まぁまぁ。きっと他に良い人に出会えますって」ツヤツヤ

さやか「だからお前が言うなーっ!」 < アームロック

ゲルト「がああああああああああああああああ」

まどか「懲りないなぁ」

まどか「……ふふっ」

さやか「ちょ、なんでまどか今笑ったの!?」グッ グッ

ゲルト「あの、美樹さんアームロックそろそろ外しぎぃえええええええっ!?」

ゲルト「無理無理無理無理それ以上いけないぃぃぃぃぃ!?」

まどか「あ、うん。別に馬鹿にした訳じゃないよ?」

まどか「ただ、楽しいなって」

さやか「はぁ? 楽しい?」

まどか「楽しいよ。みんなで、こうして笑い合えるんだから」

まどか「こういう時間がずっと続けば良いなぁ……」

さやか「まどか……」\モウムリホントムリギェピィィィィィィィィ!/







「やれやれ。人間はどうして事ある毎に希望を抱こうとするんだろうね?」






全員「!?」

まどか「今の声って――――」

マミ「キュゥべえ!?」

QB(疾患持ち)「やぁ、相変わらず能天気みたいだね。僕達と敵対状態にあるのに、隙だらけじゃないか」

疾患QB「こんな間抜けな原生生物に僕達の母船が落とされたなんて」

疾患QB「ああ、思い出すだけで腸が煮えくり返るよ」

まどか(このキュゥべえ、もしかして昨日ほむらちゃんが落とした宇宙船で出会った……?)

マミ「な、何このキュゥべえ……?」

ゲルト「なんか、私が知っているのと違う……?」

シャル「会うや否や、やたらと棘のある言葉を使ってくるじゃない」

シャル「アンタ達、感情を持ってないんじゃなかったの?」

疾患QB「一応僕はギリギリ”持ってない”事になっている」

疾患QB「合理性が感情によって損なわれない、という定義の下での話だけど。元々全く持ってない訳じゃないし」

疾患QB「ただまぁ、この渦巻く衝動を君達の言語に当てはめるなら」

疾患QB「嫌悪だね」

さやか「ふん。要するにあたしらの事が嫌いって事でしょ。あたしもアンタの事なんか嫌いよ!」

さやか「踏み潰されないうちに姿を消した方が身のためじゃない!?」

杏子「ああ、全くだ」

杏子「テメェが何を企んでるのかは知らねぇけど」

杏子「こちとら妖精さんパワーで魔法少女時代とは比較にならないぐらい強くなってんだ」

杏子「何かしようってんなら、一瞬でゴミにしてやるけど?」

マミ「……キュゥべえ」

マミ「私は……まだあなたの事をそこまで嫌いになれないの」

マミ「同時に、あなたに対する憎しみの気持ちもある」

マミ「だから、佐倉さんの言った事をなぞるようだけど」

マミ「消えてくれないかしら? 私の魔法があなたを撃ち抜く前に」

疾患QB「ふん。そうなりたくはないね」

疾患QB「どっかの誰かが僕達の母船を落としたせいで、スペアのボディが今はないんだ」

疾患QB「魂と本体は本星にあるから別にどうって事はないけど、こちらでの活動が出来なくなるから勘弁してほしいね」

さやか「だったら――――」

疾患QB「ただねぇ、今回はどうしても君達の前に姿を見せなきゃならなかったからね」

シャル「はぁ? どういう……!?」

まどか(な、何……!?)

まどか(景色がどんどん塗り替わっていく!? 赤と黒が全てを覆う、凄く不気味な空間になってる……!)

まどか(これって――――)

シャル「ま、魔女の結界!?」



ゲルト「でも、何処からも魔女の気配は……!」

疾患QB「多層空間フィールド」

疾患QB「魔女の結界と”君達が勝手に名付けた”空間を僕達のテクノロジーで再現したものだ」

疾患QB「本来は暁美ほむらを隔離し、妖精の援護を受けられないようにして始末するために持ってきたものだけど」

疾患QB「今回は逆に、暁美ほむらが君達の救援に来られないようにするために起動させてもらった」

疾患QB「まぁ、魔法少女の素質があるなら何時かは見つけられるだろうけど、時間稼ぎにはなるからね」

さやか「つ、つまり?」

シャル「私らを閉じ込めた、って事でしょうね」

マミ「……どういうつもり? 私達を閉じ込めて、このまま餓死でも狙うつもり?」

疾患QB「はっ。そんな面倒で不確実な手法、取る訳ないだろう?」

疾患QB「さっきも言っただろう。あくまで時間稼ぎ。君達と暁美ほむら……妖精が合流するのを遅らせるのが目的さ」

疾患QB「暁美ほむらが勘付く前に、君達を始末させてもらおう」

杏子「よくそんな大口叩けるもんだね!」

杏子「テメェの力じゃあたしらを倒すなんて真似、出来る訳ねぇだろ」

杏子「それとも実力を隠してたってか?」

疾患QB「まさか。このボディはあくまで君達魔法少女との契約のためのものさ」

杏子「なら――――」

疾患QB「逆に聞くけど、君達は”我々”が”孵卵器<インキュベーター>”しか存在しないと思っていたのかい?」



まどか「ど、どういう意味?」

疾患QB「やれやれ。鈍いなぁ」

疾患QB「何故僕達に感情が生じなかったか、考えた事はあるかい?」

疾患QB「それは僕達が女王個体を頂点とする、一つの集団が個として振る舞う進化を遂げた生命体」

疾患QB「この星の生物で言うところの、蟻や蜂などの社会性昆虫のような存在だったからさ」

疾患QB「末端の個体は余計な事を考えず、コロニー存続のためだけに労働し」

疾患QB「女王個体はコロニー存続のために末端の個体を手足として扱う必要がある」

疾患QB「そのような社会体制を維持するには、感情という個を尊重するシステムは極力排除しないといけないからね」

疾患QB「必然、感情を失う方向に進化した訳だ」

疾患QB「さて、僕達はエネルギー……元を辿れば食料調達が役割の個体なんだけど」

疾患QB「でも、自然界は生易しくないよね?」

疾患QB「例えば外敵が攻めてくる事もあるだろうし、自然災害だってある。巣作りも必要だ」

疾患QB「そんな仕事の全てをまで”食料調達班”に任せられるか? 答えはNOだ」

ゲルト「……まさか!?」

疾患QB「ここまで言えば、まぁ、分かるよね?」

疾患QB「連中は血気盛んで効率よりも効果重視で僕達の努力を無碍にするから、本当は呼びたくなかったんだけど」

疾患QB「今回は種族の危機だ。感情を優先する訳にはいかない」

疾患QB「さぁ――――おいで!」



――――キュゥべえが声を張り上げた瞬間、結界内に”それ”は現れました。


まるで鋼鉄のように頑強そうな筋肉で固められた肢体。

トカゲとも鳥とも付かない顔立ち。

人間のような恐竜のような、或いはその中間のような身体の形。

手から三本だけ伸びる槍のように鋭利な爪。

全体的に赤一色で、部分的に白いラインが入っている……キュゥべえと真逆のカラーリングをした皮膚。


どれもがキュゥべえと違う。どれもキュゥべえと似ていない。

だけどその中で一つだけ共通点があるとすれば、瞳。


肉食動物みたいに鋭くて、だけど感情が一切読み取れない……キュゥべえと同じ瞳。


だから私には、それがキュゥべえの仲間だと分かりました。

だからそれが、今から私達が戦う敵なのだと理解しました。


――――私達は、勝てるのでしょうか。


――――ほむらちゃんも妖精さんもいない、この絶望的な状況で。












          「アイツ等が排除対象だ! 連中を速やかに、そして全力で始末しろっ!」



                  「”戦闘用個体<ウォーリア―>”!」





























                  ―――― その頃 ――――



見滝原中学教頭「で? 思いっきり欠勤した理由は?」

猫和子「……媚薬を……追い駆けていました……」

教頭「はぁ?」

猫和子「いえ、その……寄り道、です……」

教頭「そうですか……中学生ですら時間通りに来るというのに、寄り道ですか」

教頭「で、頭にあるその猫耳は?」

猫和子「ひ、拾って……出来心で……」

猫和子「それでその、付けたら外れなくて……」

教頭「はぁ? そんな訳ないだろうが」

教頭「ほれ、簡単に外れるじゃないか」ヒョイ

和子「え? あ、アレ!? えっ!?」

教頭「全く。くだらない嘘を」

教頭「大体あなたは昔から」クドクド

和子「ひぃーん……」



妖精さんメモ


『元気一発特製肥料』※オリジナル※

どんなに弱った植物でもプラント42並に元気になるという素敵な液体肥料です。

しかしながら使われた植物は自我に目覚めるようで、しかも大抵の個体が人間に対し敵意を抱くので大変危険です。

そりゃ、雑草なら存在に気付かれず踏みつけられたり邪魔という理由で毟られたりされ、

花や野菜でも見栄えが悪いからとか実を大きくするためとか言って身体の一部を毟られたら、

感謝よりも恨みの方が大きくなるってものです。

特に花を摘まれるとか、ねぇ?



『お手軽無敵装甲』※オリジナル※

どんな攻撃を受けても装着者にダメージを通さない、妖精さん驚異のテクノロジーの産物です。

理論上MOABや核兵器、果てはプラズマやマイクロ波照射すらも無力化するという超絶防具。

しかも元がペットボトルなのでリサイクルまで出来、更に装備として命中すると痒みが止まらない弓矢と

空を自由に飛べるペガサスが付属品としてついてきます。

と、中々凄いアイテムなのですが、あらゆる攻撃を無効化するため装着者の肌にぴったりと吸い付くよう

サイズが伸縮するため、脱ぐのが凄く大変という欠点があります。

尚、私は着た事がありません。装着系は大抵自力じゃ脱げないんですよねぇ……



『外出用フライングオブジェクト』

見た目もろに円盤な妖精さんアイテム、それが外出用フライングオブジェクト。略してGFOです。

装甲が電波を遮断する素材(アルミホイルだそうです)で出来ており、内部まで電波を通しません。

つまり、この乗り物を使えば妖精さんは電波塗れの都会でもある程度活動出来るのです。やったね。

ちなみに世界中で目撃されているUFOの正体は大体これだと思われます。曰く「みつかったらにんげんさんに

しゃしんとられるー」と妖精さんは喜んでいたので、ステルス機能はないと推測されるからです。

まぁ、そりゃそうですよね。恒星間航法を編み出せるほど高度な文明を持った異星人が、

最寄りの衛星に基地すら作れない地球人の観測網に引っ掛かるような間抜けとは思えませんから。



『猫娘体験カチューシャ』

一度被れば幼女だろうとリアル中二病少年だろうとサラリーマンだろうと老婆だろうと熟女だろうと

脂ぎった中年男性だろうと会社社長だろうと総理大臣だろうと、猫の尻尾と猫の身体能力を与えてしまう恐怖のアイテムです。

妖精さん的加護で可愛くなるとか、そんな事は一切ありません。素体そのままに猫耳と猫の尻尾が備わります。

しかも本能的な部分にも猫要素が備わり、誰かに頼ろうとした途端猫撫で声と悩殺ポーズを取ってしまうのです。

そのあまりの恐ろしさから、A級危険アイテムに封印してあったのですが……シャルロッテさんが使った

『ご希望取り寄せボックス』の効果には逆らえなかったようです。元々封印出来るような代物ではないですけど。

尚、悩殺ポーズ自体にはなんの効果もありません。仮にその悩殺ポーズを見て嘔吐なり吐血なりをしたなら、

それは装着者が絶望的なほど似合っていなかったという話でしょう。



あ、オリジナルって書くの忘れてた……設定も書き足りてない部分が……

『外出用フライングオブジェクト』と『猫娘体験カチューシャ』はオリジナルです。



『猫娘体験カチューシャ』※オリジナル※

一度被れば幼女だろうとリアル中二病少年だろうとサラリーマンだろうと老婆だろうと熟女だろうと

脂ぎった中年男性だろうと会社社長だろうと総理大臣だろうと、猫の尻尾と猫の身体能力を与えてしまう恐怖のアイテムです。

妖精さん的加護で可愛くなるとか、そんな事は一切ありません。素体そのままに猫耳と猫の尻尾が備わります。

しかも本能的な部分にも猫要素が備わり、誰かに頼ろうとした途端猫撫で声と悩殺ポーズを取ってしまうのです。

挙句自分では取り外せず、誰かに外してもらわねば延々と猫(笑)のままになってしまいます。

そのあまりの恐ろしさから、A級危険アイテムに封印してあったのですが……シャルロッテさんが使った

『ご希望取り寄せボックス』の効果には逆らえなかったようです。元々封印出来るような代物ではないですけど。

尚、悩殺ポーズ自体にはなんの効果もありません。仮にその悩殺ポーズを見て嘔吐なり吐血なりをしたなら、

それは装着者が絶望的なほど似合っていなかったという話でしょう。



『ブラックボックス』※原作設定※

小さな容器に妖精さんをたくさん閉じ込めると、その容器は光を反射しない真っ黒な箱となります。

これがブラックボックスで、搭載するとそれだけであらゆる物がパワーアップします。

機械だろうがお鍋だろうが生物だろうが関係ありません。曰く、人間が飲むと『かみ』になれるそうです。

実に便利ですが、そのうち箱から妖精さんが出て行ってしまうので効果は永続しません。

尚、箱の他にも蜂蜜などにも溶かす事が出来、飲料に適した形となります。

しかし私が溶かした妖精さんは事前に神にはなりたくないと伝えてあるので、飲んでも神にはなりません。

ただ妖精さんパワーだけは抑えきれないようで、飲むと妖精さん一人当たり100f相当の出来事に見舞われる事になります。

妖精さん曰く「ここ、げんさくにはないせってー」……だから原作ってなんの事ですか。




今日はここまで!

という訳で、ついにインキュベーターの大攻勢が始まりました。このSSを始めた頃から書きたかった場面の一つです。
疾患QBの台詞は完全オリジナル設定。孵卵器だけでは文明は維持できないでしょうから戦闘用個体とかが
居るんじゃないかなーと妄想した次第です。前々回のメカニックみたいな感じに。

実際、インキュベーターとガチで敵対すると割と勝ち目がない気がします。
何しろ宇宙の寿命を延ばせるほどのテクノロジー、或いは宇宙の寿命がハッキリ縮むほど巨大な文明規模の相手。
ガンバスター持ってこいって感じ。
勝てる気しかしない妖精さんマジ妖精さん。

尚、ゲルトルート腐女子設定も当初から書きたかった場面の模様。

自分の女友達の半数が腐っている事と、類は友を呼ぶという諺の意味を考えつつおさらばなのですっ!



>類は友を呼ぶ
つまり>>1は腐女子かガチホモなんだな

乙。
隔離(笑)。

乙でした
上×中、そういうのもあるのか(白い目)
そして一層空気化が加速するシャルなんとかさんェ……

最近風邪が流行ってるので、御体に気を付けてくださいね

このほむらを千和声で想像しようとするとイメージ湧かない
なんか斎藤千和が演じてるキャラでこのほむらのイメージと合うようなキャラいない?


どうも、最近桜TrickのDVD5巻に付いているエンドカードをにやにやしながら眺めていた>>1です。
遅くなって申し訳ありません。リアルが忙……はい、言い訳です。言い訳はいいわけ(右ストレート

あ、でもゴジラは見てきました(ぇ)
面白かったです。


>>546
百合好き美少女の可能性もある(虚言)

>>549
ほむらとまどか達を引き離すという意味では成功です。成功なんです。
こういうのは気持ちが大事。

>>587
お気遣いありがとうございます。割と風邪を引きやすい性質なので、可能な限り気を付けます……
シャルさんはこのSSの乙女枠なのです。無力で可愛い女の子役なのです。

>>591
個人的には、リリカルなのはのスバルが比較的合うかと。
もしくはアレですね。開き直って中原麻衣さんで(オイ



今回は最初から戦ってばかりのお話。それではいってみよー




えぴそーど にじゅういち 【インキュベーターさんとの、だいけっせん】





                ―――― 見滝原:???? ――――



「いくの?」

「ああ、行かないといけない」

「僕は彼女達に償わなければならないのだから」

「……死んじゃ、やだよ」

「保証は出来ないけど、努力はしよう」

「だから、少しだけ待っていてくれ」

「うん……分かった」

「いってらっしゃい」

「――――ねこさん」





                 ―――― インキュベーター結界 ――――



疾患QB「いけっ! ”戦闘用個体<ウォーリアー>”!」

戦闘用個体(以下WR)【ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!】ビリビリ

まどか「ひっ……!?」

シャル「ちょ……な、なんなのアレ!?」

杏子「赤い、キュゥべえ……?」

マミ「あれが、戦闘用個体……」

ゲルト「凄まじい力を感じます!」

さやか「と、兎に角変し


――――ゴシャッ!


まどか「――――え……」

まどか(あれ……何時の間に、赤いキュゥべえが私の傍に……)

まどか(いや、違う)

まどか(私の傍に来たんじゃなくて――――さやかちゃんに殴り掛かったんだ)

まどか(私達には見えないほどの速さで)

WR【ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! ! ! !】

疾患QB「やれやれ、相変わらず手が早い。隙を見つけたと思ったらすぐこれだ」

疾患QB「ま、殺し合いの最中隙を見せる方が悪いんだけどね」

シャル「い、何時の間に……!?」

杏子「コイツ、さやか様を! あたしの槍を食らえ!」ブンッ!

WR【】スッ

杏子「!? 消え……」

シャル「杏子ちゃん後ろ!」

杏子「なっ!? 何時の間に!?」

WR【アアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!】

杏子「不味……避けられ……!」

WR【!】スッ

杏子「また消え、うわぁ!?」ギュンッ

まどか(赤いキュゥべえがいた場所に光の弾が! あれは――――)

まどか「さやかちゃんの攻撃!?」



さやか「ぐ、は……はぁ……はぁ……!」

さやか「危なかった……プリティでキュアキュアになろうとしている最中じゃなかったら」

さやか「頭を殴られた瞬間、死んでいた……!」ツー…

まどか(さやかちゃんの頭から血が!?)

疾患QB「へぇ。まさかウォーリア―の攻撃に耐えるとはね」

疾患QB「ウォーリアーは戦闘用に調整された個体。生物というよりも兵器に近い」

疾患QB「有機物的存在の中では、宇宙最強クラスの戦闘能力を持っている」

疾患QB「そんなウォーリアーに瞬殺されないとは、それだけで驚くべき事だよ」

シャル「良く言うわ……驚くなんて感情、持ち合わせてないくせに」

疾患QB「……ああ、そうだね。持ってないよ、そんな感情」

疾患QB「言葉のあやさ」

シャル「けっ……」

シャル「……それより、どう? アイツの動き、誰か見えた?」

まどか「いえ、全く」

マミ「私も全然見えなかったわ……特に、佐倉さんの背後に回ったものは、反応すら出来なかった」

ゲルト「私も巴さんと同意見です」

杏子「あたしは辛うじて……けど、分かったところでどうにか出来る速さじゃねぇ」

杏子「それにあたしの背後に現れたアレ。アレは全く見えなかった」

さやか「あたしも殴られるってのは分かったけど、身体が追い付かない。アイツ、滅茶苦茶速いし、強いよ」

シャル「見えるなら勝機はあるわ。勝機は、ね」

シャル「問題は……佐倉さんの背後にアイツが突然現れた事」

シャル「”動いた”様子すらなかった。魔法少女歴の浅い鹿目さんや、
    一応は一般人であるさやかが気付かないのは仕方ないにしても」

シャル「魔法少女歴の長い、戦闘経験豊富な私達が、誰一人その動きを認識出来なかったのは奇妙」

まどか「ど、どういう事ですか?」

シャル「恐らく、佐倉さんの背後に回った時アイツは”動いていない”」

シャル「テレポートのような能力を持っている、と見るべきね」

マミ「あの強さにテレポート能力……全く、厄介な化け物ね」

まどか「……どうします?」

シャル「……………」



シャル(鹿目さん、テレパシーちゃんとそっちに行ってる?)テレパシー

まどか(あ、はい)テレパシー

シャル(今から作戦を説明する。あいつ等に聞かれないよう、テレパシーで伝えるわ)テレパシー

シャル(あまり悠長にしてられないから、よく聞いてて)テレパシー

まどか(は、はい!)テレパシー

シャル(……兎に角相手が速過ぎる。まともな方法じゃ、誰もアイツに攻撃を当てられない)テレパシー

シャル(だったら面制圧)テレパシー

シャル(どれほど高速で移動しようと関係ない。この結界内全てを焼き払うほどの広範囲攻撃で、奴等を焼き払う)テレパシー

シャル(これ以外に、アイツに打撃を与える方法は恐らくないわ)テレパシー

シャル(そしてそれほどの広範囲攻撃が出来るのは、あなたさんだけ)テレパシー

シャル(頼める?)テレパシー

まどか(……分かりました!)テレパシー

まどか「殺しちゃうのは可哀想だと思うけど……でも、さやかちゃんに酷い事をしたあなた達は許せない!」ヘンシン

まどか「魔力解放! みんなの周りに結界を展開し、被害が出ないようにしてから」

まどか「赤いキュゥべえを中心に――――全力で魔力の塊を落とす!」












まどか「……あれ?」




シャル「どうしたの、鹿目さん!? 早く攻撃を!」

まどか「ま、待って! えいっ! えいっ!」

まどか「……!? ど、どういう事!? なんで……」

まどか「魔法が使えないの!?」

シャル「なっ……!?」

ゲルト「え!?」

マミ「まさか!? ――――!」ヘンシン

マミ「……! わ、私も魔法が使えなくなってる!?」

シャル「ど、どういう……!?」

疾患QB「やれやれ。何を慌てているんだか」

疾患QB「魔法少女は僕達のテクノロジーによって生み出された存在だよ」

疾患QB「そして過去の経験から、人間は僕達の目的を知るや憎悪を燃やす事も知っている」

疾患QB「なら、その対策をしていないと思うかい?」

ゲルト「それ、は……」

疾患QB「随分と嘗められたものだよ」

疾患QB「魔法少女の魔力と逆位相の波長をぶつける事で魔法の発動を妨害する」

疾患QB「”マジックキャンセラー”ぐらい、作ってあるに決まってるじゃないか」

マミ「ま、マジックキャンセラー……!?」

疾患QB「まぁ、エネルギーの消費が多いから、普通は使わないけどね。使うまでもないし」

疾患QB「現在の鹿目まどかの力でさえ、僕達が使用する戦闘艦なら一隻で対処可能なのだから」

疾患QB「ただ今回は妖精の件もあるし、君達を無力化する事にしたんだよ」

シャル「くそっ! 確かに嘗めていたわ! そんなのを作っていたなんて……!」



シャル「私のお菓子の魔法すら使えないなんて、徹底し過ぎよ!」

シャル「こうなると、戦えるのは元天使の佐倉さんと、妖精さんに改造されたさやかだけ……」

杏子「へっ、気にすんな」

杏子「最近、と言ってもここ数日だけど、我ながらダラダラとした日々を過ごしていたからな」

杏子「このぐらい歯応えのある奴と戦いたくなってたところさ」

さやか「こっちもだよ」

さやか「なんだかんだ、この力を手にしてから”本気で殴り合った”事ってないからね……」

さやか「あのぐらい強い奴じゃなきゃ、自分の強さを確かめられないってもんだよ!」

WR【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!】

杏子「アイツもやる気みたいだな……!」

杏子「行きますよ、さやか様!」

さやか「おうよ!」

さや杏「おりゃあああああああああああああああああっ!」

WR【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!】

まどか(さやかちゃんと杏子ちゃんが、赤いキュゥべえと戦い始めた!)

まどか(二対一、数では勝っている。杏子ちゃんは天使だし、さやかちゃんは伝説の戦士的な強さになってる)

まどか(だ、だけど……)

杏子「ぐああぁっ!?」

さやか「がはっ……!」

WR【オオオオオオオオオオオッ!!】

まどか(も、もう押されてる!)

マミ「くっ! せめて魔法が使えれば、あの二人の援護に回れるのに!」

まどか「何かしないと、あの二人でも負けちゃう……」

まどか「――――そ、そうだ! 妖精さんアイテム!」

まどか「妖精さんアイテムを使えば!」



マミ「! その手があったわ! シャルロッテさんが持ってるバックから、妖精さんアイテムは取り出せる!」

マミ「シャルロッテさん!」

シャル「……二人とも、とりあえずこの道具を渡すわ」

まどか「え? あ、えっとこれは……杖?」

マミ「私のは、ラッパ?」

シャル「……ゲルトちゃんにはもうマントと剣を渡してあるわ」

シャル「私はこの三角コーンね」

まどか「三角コーン? ああ、工事現場とかに置かれてる」

まどか「えっと、それでこの道具はどうやって使えば……」

シャル「残念だけど、説明している暇はないの」

シャル「――――後ろ、見て」

まどか「え……っ!?」





WR2【……………】





マミ「に、二体目……!?」

まどか「何時の間に!?」

ゲルト「……確かに、彼等は自分達が蜂のような生き物だったと言っていました」

ゲルト「女王を除けば、一つの役職に一個体しかいないとは考えられません」

シャル「さぁて……あと何体現れるのかしらねぇ……!」

まどか「――――来る!」

WR2【アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!】





杏子「がああああっ!?」

さやか「杏子ちゃん!?」

杏子「だ、大丈夫です……ごふっ……」

杏子「ちょっと、口の中を切っただけですから……」

杏子「それより……」

さやか「うん……」

さや杏「強い……!」

WR【……フシュルルルル……】

さやか「動きは速い、攻撃は重い。それでいて身体は頑丈」

杏子「まさかあたしの槍が弾かれるとは思いもしませんでしたよ」

さやか「たく……攻守ともに完璧の敵かー」

さやか「レベルMAX、ステータスカンストの主人公を相手にするボスキャラの気分だよ」

杏子「しかもテレポートって言う特殊能力持ち」

さやか「容赦ねー……」

WR【……スゥー……】

さやか(ん? 息を吸って……)

WR【ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!】

さやか「あ、青い火を吐いたぁ!?」

杏子「ぐあぁっ!?」

さやか(私達二人の全身を包むほど大きな焔! 凄く、あ、熱い……)

さやか(そして何より、”これじゃあ前が見えない”!)

さやか「杏子ちゃんっ!」

杏子「さやか様――――ぐっ!?」

さやか(良し! 杏子ちゃんに体当たりをして、その場から動かせた!)

さやか(あたしの想像通りなら、これは攻撃じゃなくて)

さやか(目潰し――――)

WR【ガアッ!!】

――――シュンッ!!

さやか「っ!?」

杏子「!?」

さやか(な、何!? 今、赤キュゥべえが腕を振った瞬間、なにかが放たれて……)

――――ズバッ!

さやか(あたしの背中を、切り裂いた……!?)

さやか「ぐ、うう、うううぅ……!」ガクッ

杏子「さ、さやか様!? あたしを庇って……」



さやか「だ、大丈夫……こんなの掠り傷だよ……それより……」

さやか「今の攻撃、なんだか分かる?」

杏子「あ、はい……」

杏子「今のは多分エネルギーの塊を、投げナイフの要領で飛ばしたのではないかと」

杏子「事前に焔を吐いて目潰しをした事から、攻撃の予備動作が大きくて当てにくい攻撃だと思いますが……」

さやか「その分攻撃力は高い、と……プリティでキュアキュアになったあたしの身体に、
    掠っただけでこんな大きな傷を付けるぐらいだからね……」

さやか「うっ……」

杏子「さやか様!?」

さやか「ごめん……やっぱ掠り傷じゃないわ……」

さやか「ちょっと、立つのもしんどい……!」

杏子「ま、待ってください! 今、天使の奇跡で回復を……」

さやか「駄目!」

杏子「!?」

さやか「……今は、駄目。アイツがこっちの隙を窺ってる」

WR【……………クルゥゥゥ……】

杏子「で、ですが……!」

さやか「……杏子ちゃん」

さやか「しばらく、アイツの足止めを頼んでいい?」



杏子「え?」

さやか「あたしの全力をこめた一撃を、アイツにお見舞いする」

さやか「だけどそのためには力を集める時間が必要なの」

さやか「そのための時間を稼いでもらえない?」

杏子「……どれぐらいですか?」

さやか「……大体、二分」

杏子「分かりました」

杏子「全力で……アイツを、止めます!」ダッ!

WR【!】

杏子(アイツの身体能力は、ハッキリ言って出鱈目だ。上手く立ち回れば、
   フルパワーのまどか相手にも善戦出来そうなぐらい)

杏子(あたし一人じゃ到底勝てないし、さやか様とタッグを組んでもこの様だ)

杏子(だったら一人二人じゃなく――――もっとたくさんで挑むしかねぇ)

杏子(そして、あたしにはそれが出来る!)

杏子「……父さん、母さん、モモ。ごめん」

杏子「今まで封印してきたこの力……さやか様を、みんなを守るために使わせてくれッ!」

杏子「行くぞ!」







               「 ロ ッ ソ ・ フ ァ ン タ ズ マ !」







幻影杏子達『……!』

WR【――――グゥ!?】

杏子(あたしの幻覚魔法の奥義……実体のある幻影を作りだし、攻撃する魔法!)

杏子(魔法少女だった頃は、ソウルジェムの穢れを無視しても七体が限界だったが……)

杏子「天使の力は今じゃ欠片ほどしか残ってねぇが、それでも今のあたしの力は魔法少女だった頃の比じゃない!」

杏子「そして天使の力で幻影を作り出せば、それは魔法少女の魔法じゃない! キャンセラーだかは効かないよっ!」

杏子「数を作り出すのに重点を置いたから、幻影の個々の力は魔法少女だった頃のままだが――――」

杏子「総数六十人のあたし相手にお前がどこまでやれるか試してやる!」

杏子「あたしの”幻覚魔法”を食らえ!」

幻影杏子『だありゃあああああああああああああああああああああ!!』

WR【……………スゥー……】



WR【オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ! !】



――――ズガガガガガガガガガガッ!!

幻影杏子『ぐわああああああああああああああ!?』

杏子「な、何ぃ!? 凄まじい拳の連打で、あたしの幻影たちを一気に殴り飛ばした!?」

杏子「あの拳のスピード、今までよりずっと速い……連打で放たなければ、あたしでも見えないほどに……」

杏子「コイツ、今まで本気じゃなかったのか!?」



杏子「だ、だが、殴られているのは所詮幻影! 実体はあっても物理的なダメージは受け難い!」

杏子「このまま数で押し通す!」

WR【オオオオオオオオオオオオ!!】

幻影杏子『どりゃあああああああああああああああっ!』

WR【オオオオオオオオオオオオ……】

幻影杏子『やあああああああああああああああああっ!』

WR【オ、オオオ……】

幻影杏子『うりゃあああああああああああああああっ!』

杏子(良し! 少しずつだが幻影は距離を詰めている! このまま一気に――――)

WR【ルオオオオオオッ!!】

――――カッ!

杏子(え?)

幻影杏子『ぎゃああああああああっ!!』

杏子「なっ……幻影がまとめて吹き飛ばされた!?」

杏子「エネルギー波を広範囲に放ったのか!? そんな事まで出来んのかよ!」

杏子「けど、また幻影を向かわせれば……」

WR【】フッ

杏子「ぁ――――」

杏子(赤キュゥべえがあたしの目の前に……そうだ、コイツ瞬間移動出来るんだった)

杏子(不味い拳を振り上げた早く避けないといやでもこの速さ)

杏子(あ、駄目だ……避けられねぇ)

WR【ゴアッ!!】


――――グシャアッ!


杏子「……ご、ぽ……」

杏子(あ、アイツの腕が、あたしの胸を貫いた……!)

杏子(魂をソウルジェムにされていた魔法少女でも、これは間違いなく致命傷……回復しきれないダメージ……)

杏子(そして今のあたしは、”しぶとさ”だけは魔法少女に劣っている)

杏子(これはあたし、死んだな――――)
















杏子(これが”実体”ならね)



WR【!】

杏子「気付いたかっ! だけどもう遅ぇ!」

杏子「あたしは――――幻影だ!」

WR【ッ!!】

幻影杏子「おっと、逃がさねぇよ!」ガシッ

幻影杏子「あたしが”たった六十体”しか幻影を出せないと思ったか!?」

幻影杏子「お生憎様――――あたしと同等の実力を持った”コイツ”を作るのに力を削ぎ過ぎただけさ!」

幻影杏子「捨て身のつもりならテメェを抑えるぐらい、なんとか出来んだよ!」

WR【ギ……グゥ……!】グッ、グッ…

幻影杏子「……つーても、まぁ、こんなにでかい穴を腹に開けられたら、幻影でも長くはもたねぇ」

幻影杏子「つーかもう大分力が抜けてきているしな」

幻影杏子「だから――――」

幻影杏子「さやか様!」

さやか「とっくに準備万端だよ!」

さやか「妖精さんに改造された事で得た、あたしの超パワーを光の塊にして放つ……」

さやか「さやかちゃん必殺、スペ○ウム玉だあああああああああああああああああああああっ!」

WR【ギ!? ギ、オ、オオ……】

WR【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】



――――ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

さやか「うぅっ!?」ゴゥッ!

さやか「……………ぷはっ」

さやか「……我ながら凄まじい威力。猛烈な爆風と光で、こっちがやられそうだったよ」

杏子「全くですよぉ……」フッ

さやか「あ、杏子ちゃん。今まで何処に居たの?」

杏子「さやか様の傍にずっと居ましたよ。幻覚魔法を使って姿を消していただけで」

さやか「あ、そうなんだ」

杏子「ところで、そのスペ○ウム玉って色々パクリ過ぎてません?」

杏子「そりゃ青白ですし、実際大きい光の玉をぶつけた訳ですけど」

さやか「良いの良いの。こういうのはノリが大事なんだから」

杏子「はぁ……」

さやか「……ただまぁ、なんだ」

さやか「あの技の元ネタ……ああ、玉の方ね? 映画以外だと三回使ってるけど、敵に止め刺したの最後の一回だけらしいんだよね」

杏子「え? ――――ッ!?」

さやか「……いやぁ、本当にどうしようかな……これ」





WR【……】パンパンッ





杏子(な、なんて奴だ……さやか様渾身の一撃を食らってもなお、身体についた埃を落とす余裕を見せつけてやがる!)

さやか「悔しいけど、こりゃあたしらだけじゃ倒せそうにないね」

さやか「ほむらが来てくれるまで時間稼ぎに徹するか……」

杏子「で、ですが時間稼ぎをしたところで……それに、ほむらとは連絡を取ってないじゃないですか!」

さやか「そうだけど……なんだろう。アイツの影響かな」

さやか「きっと大丈夫、どんなに辛くてもなんとかなるって思えるんだ」

さやか「だって、あたしらには”妖精さん”が味方に付いている!」

さやか「だからあたし達が負ける訳ないってね!」

杏子「さやか様……」

杏子「……そう、ですね」

杏子「あの非常識のオンパレードな妖精さんと、非常識人間ほむらの事」

杏子「なんだかよく分からない理由でこの結界を見つけるに決まってる!」

さやか「そういう事!」

さやか「さぁ、第三ラウンド……いくよ!」

杏子「はいっ!」





疾患QB(ふむ。佐倉杏子と美樹さやかとの戦闘は順調に展開しているようだ)



疾患QB(計算上、ウォーリアーがあの二人に負ける可能性はない)

疾患QB(人間には”気合い”というよく分からない力があるけど)

疾患QB(あの調子なら、今以上の力を発揮したところで展開は変わらないだろう)

疾患QB(あの二人に関しては問題ない。全て計算通りだ)

疾患QB(……問題は……)



まどか「こ、この杖、適当に振ったら……」

まどか「なんか空からタライが振って来るんだけどーっ!?」

――――ガシャーンッ!

まどか「あいたーっ!?」

WR2【!?】ガンッ

まどか「だ、ダメージ固定なのか赤いキュゥべえにもダメージがあるのは良いんだけど」

まどか「私にも当たるんだけど!? むしろ私によく当たるんだけど!?」

――――ガシャーンッ!

まどか「いたぁ!?」

マミ「か、鹿目さん!? 大丈夫!?」

マミ「ああもう! こうなったら覚悟を決めて……」

マミ「私もこのラッパを吹くわっ!」

――――ぱーぷー

マミ「って、これじゃ豆腐屋のあれじゃない!?」

マミ「私そんな風に吹いてない」ポンポン

マミ「え? 誰か肩を叩いて……」

豆腐\ヤァ/

マミ「……………」

マミ(後ろを振り向いたら、身長……体長? 二メートルはありそうな豆腐が立っていた)

マミ(ううん、その、立つというか、手足はないんだけど……えっと……)

豆腐\アレヲヤッツケルンダネ!/

マミ「え? あ、うん。そう。そうそう(声は聞こえないのに、何を喋ってるのか何となく分かる……)」

マミ「えっと、戦ってくれるの?」

豆腐\トウゼンダヨ!/

マミ「じゃ、じゃあ……お願い、します」

豆腐\ヨシ!マカセロ!/

豆腐\ターッ!/

マミ(あ、豆腐が赤いキュゥべえ目掛けて突撃して……)

WR2【……】ブンッ

ぐしゃあ

マミ(簡単に砕け散った)

マミ(……弱い)



豆腐2\クソーッ!ヨクモオレノイモウトヲー!/

マミ「え、二人目……って、妹!? あれ女の子!?」

豆腐3\キョウダイ!オレモチカラヲカスゼ!/

豆腐4\オレモダ!/

絹ごし豆腐\ア、アンタガシンパイダカラツイテキタンジャナインダカラネ!/

寄せ豆腐\テヤンディ!/

油揚げ1\オレタチノコトモ/

油揚げ2\ワスレチャコマルゼ/

ガンモドキ\オウオウナメンジャネェゾワレェ!/

マミ「ってなんかいっぱい来たあああああああああああああああああ!?」

豆腐s\ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!/

まどか「え、ちょ、なんか大量の食べ物がこっちに来てぎゃあああああああああああああああ!?」

WR2【!!?!?!?!】

マミ(赤キュゥべえが逃げ出した……余程不気味に見えたのかしら)

マミ(……あ、こけた。なんか可愛い)

ゲルト「今です!」

マミ「! マントと剣とマスク(仮面的な使い方をするやつ)を装備したゲルトルートさんが!?」

ゲルト「この装備を身に着けた時から見える、白とか赤のドクロマーク!」

ゲルト「恐らくそれは物体の脆い場所、致命的な部分を示している筈!」

ゲルト「そしてこの赤いキュゥべえには――――腰の部分に赤いドクロがある!」

ゲルト「その赤いドクロをこの剣で」

ゲルト「ぶすりっ!」

WR2【――――!!!】

ゲルト「これにて抹殺完了……」

ゲルト「……解☆決(横ピース)」

マミ(何故ポーズを取った)

マミ「で、でもこれでアイツは倒せたのよね!?」

WR2【……】ムクリ

マミ「……あら?」

ゲルト「む! まだ立ち上がりますか!」

ゲルト「しかし、この妖精さんアイテムの力さえあれば……」

WR2【……】ムキムキ

ゲルト「……あれ?」

WR2【グ、グゥ……】ムキムキ

ゲルト「あれれ? え、なんか急に全身の筋肉が膨張しているような……?」

WR2【オ……】

WR2【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!(持病の腰痛が治ったぞーっ!!)】

ゲルト「なんかパワーアップしたああああああああああああああああああああ!?」



ゲルト「ひええええええええええええっ!?」

シャル「全く、みんな何してんのよ!」

シャル「いくら妖精さんアイテムだからって、もっと使いこなせないの!?」

マミ「……そういうあなたは今どんな状況かしら」

シャル「は。妖精さんアイテムの三角コーンを地面に置いたところ」

シャル「そこを中心に不可視のバリアーが展開」

シャル「あの赤いキュゥべえの攻撃を一切通さなかったけど」

シャル「私もバリアーから出られなくなっており、傍観するしかない状況にあります」

マミ「はい、よく出来ました」

マミ「つまりあなたが一番真っ先に戦線離脱してんのよ!」

シャル「そんな事言われても仕方ないでしょ! 使い方知らなかったんだもん!」

シャル「というかここから出して! 本気で出して!」

シャル「誰でも良いから助けてええええええええええええええええ!?」

マミ「ちょっと五月蝿いから黙ってて!」

まどか「た、タライが私を集中攻撃してあいたーっ!?」

WR2【!!!?!?!!?(なにあの茶色い物体臭いが生理的に受け付けないぃぃぃぃぃ!?)】

ゲルト「赤いキュゥべえがこっちに来たああああ!? いやあああああああああああ!!」

\ギャーワーウェェェダレカタスケデェェ/





疾患QB(なんなんだ、あれ)



疾患QB(……あの理不尽というか、不条理というか、ふざけきった展開というか……!)

疾患QB(こっちが真面目にやればやるほど滅茶苦茶にされるこの状況!)

疾患QB(というかなんでウォーリアーが逃げてるんだよ!? 戦闘用にチューニングされた個体なんだぞ!
     感情どころか、戦闘以外の思考は抱かない個体なんだぞ!)

疾患QB(なんなんだ!? 何かよく分からない力が作用しているのか!?)

疾患QB(――――はっ!?)

疾患QB(お、落ち着くんだ……僕は冷静なインキュベーター。この程度で動揺している場合じゃない)

疾患QB(……やはり、妖精の技術力は脅威だ。魔法を封じた連中相手にも苦戦を強いられるほどに)

疾患QB(本来は暁美ほむらと妖精を結界によって隔離する作戦だったけど)

疾患QB(結果的に、逆になった事が功を奏したか)

疾患QB(屋外なら”戦艦”の主砲が使えるからね……)ニタァ

疾患QB(おっと、巴マミ達の方は苦戦しているようだけど)

疾患QB(あっちはそろそろ勝負が付きそうだ)



さやか「うぐぁ!?」

杏子「がはっ……!」

WR【フゥールルルルル……】

さやか「ちょ、本当に強過ぎ……!」

杏子「まどか達は、ドタバタしつつも相手を翻弄しているみたいですけど……」

杏子「このままじゃ、あたし達は……!」

WR【】フッ

杏子「ま、またテレポート!?」

さやか「でも、すぐに攻撃してこない? 姿も見えないし……逃げたのかな?」

杏子「でもここまで一方的だったのに逃げるなんて」

杏子「……あああああっ!?」

杏子「くそっ! やられた!」

さやか「え? 何? 何なの?」

杏子「多分アイツは今、物陰に身を潜めていると思われます!」

杏子「そしてあたし達が隙を見せた瞬間――――」

さやか「はっ!? またテレポートしてきて、ぶすり!?」

杏子「あたしなら、そうします!」

杏子「しかもこっちはアイツの姿が見えないから、何時テレポートしてくるか分かりません!」

さやか「ちょっ……」

杏子「背中合わせに立ってください! せめて背後に回られないように!」

さやか「う、うんっ!」



杏子「……………」

さやか「……………」

杏子(さやか様とあたしで、お互いの背後を守っている。構えとしては、これが最善の筈)

杏子(今は互いの死角をフォローし合って、アイツが攻撃してきた瞬間に防御を……)

杏子(……いや、待て)

杏子(これじゃ何もせず、指を咥えてアイツが攻撃してくるのを待つのと変わらない)

杏子(そもそもアイツの速さ相手に、攻撃を見てからガードなんて不可能だ)

杏子(こんなんじゃ駄目だ! 守りに入ったら負ける!)

杏子(防御を考えるんじゃない。攻める事を考えるんだ)

杏子(そう、例えば――――)

杏子「……………」

杏子「……………」

杏子「………――」チラッ

――――フッ

杏子(来た! やっぱり予想通り、あたしの死角を狙ってきやがった!)

杏子(だけどこっちの方が上手だったな! そっちはあたしが一瞬余所見した瞬間を狙ったつもりだろうけど)

杏子(それは囮! あえて作った死角に意識を集中していたから、テメェの気配は手に取るように分かった!)

杏子(あとは渾身の力を込めて作ったこの槍の一撃を食らわせる!)

杏子(奴の装甲を貫けるかは分からないが――――これがあたしの全力! もしもは考えねぇ!)

杏子「そこだ――――」




「そこじゃない! 上だっ!」



杏子「!?」

杏子(な、なんだ今の声!? 聞いた事があるが、誰の……)

杏子(いや、それよりすぐ死角へと振り向いたのに、誰も居ねぇ――――)

杏子(赤キュゥべえの、腕しかねぇ!?)

杏子「か、身体の一部だけテレポートしてきただ、がっ!?(腕があたしの首を掴んで!?)」

さやか「杏子ちゃん!?」

杏子(不味い! 身動きがとれねぇ!)

杏子(そんでもって、言われた通り上を見りゃあ……)

WR【オオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!!】

杏子(ああ、口に真っ赤な光を貯めているアイツの姿が……)

杏子(あたしとさやか様をまとめて吹っ飛ばそうって魂胆か!)

杏子(……ごめん、さやか様)

杏子(あたしのせいでこんな――――)






「どりゃああああああああああああああああああっ!!」






WR【!?】

――――ズガンッ!!

杏子「ぶはっ!?(赤キュゥべえが吹っ飛んだ!? ついでに、あたしの首を絞めていた手も……!)」

さやか「だ、大丈夫!? 怪我はない!?」

杏子「は、はい……なんとか……」

杏子「それより……」



「やれやれ。君はもっと慎重で、付け入る隙のない人間だと思っていたけど」

「暁美ほむら達と係わって、ちょっと丸くなり過ぎたんじゃないかい?」

「……まぁ、僕が言えた事ではないけど。丸くなり過ぎて原型残ってないレベルだし」



さやか「!? あ、アイツ……!」

杏子「なんでテメェがあたしを助けるんだ……」

杏子「キュゥべえ!」

QB「……………」



さやか(ど、どういう事? だって、最初からいたキュゥべえはそこに居るままだし……)

疾患QB「……………」

QB(以下旧べえ)「長々と話をしている状況ではない。必要な事だけ言っておこう」

旧べえ「まず、僕は君達の味方だ」

旧べえ「遠回しな利益関係ではなく、純粋に君達を助けようという意思がある、という意味でね」

さやか「み、味方、なの?」

杏子「はぁ!? 今更アンタを信じろって言うのか!?」

杏子「さやか様は兎も角、あたしは騙された身だぞ!」

旧べえ「うん、そうだね。至極尤もな答えだ。信じてくれといくら言葉で言っても、僕の言葉ほど軽いものもあるまい」

旧べえ「だから行動で誠意を示そう」

さやか「行動って、アンタ何をする気なの?」

旧べえ「君達にとっては願ったり叶ったりな事さ」

旧べえ「――――あのウォーリアーは、僕が仕留める」

さや杏「!?」

疾患QB「……やれやれ。フィールドを突破されたから暁美ほむらと妖精かと思って身構えたけど」

疾患QB「まさか同族だったとは」

疾患QB「君はあれか。以前精神疾患を患い、処分指示が出たのにそれに背いて逃走」

疾患QB「何体かで追い駆けたけどGPSの故障のせいで捕まらなかったという、病的個体なのかな?」

旧べえ「ああ、そうだね。多分それは僕の事だ」

旧べえ「しかし病的個体なのは、君もじゃないかい?」

旧べえ「ウォーリアーの交戦圏内に顔を出すなんて、どう考えても合理的じゃないからね」

旧べえ「大方彼女達の哀れな最期をこの目で見たかったから、という理由で見に来たんだろう?」

疾患QB「……この行動をとった理由については、特に否定しない」

疾患QB「しかし定義上、僕はまだ病的個体じゃない。君とは違う」

旧べえ「今の言葉こそ正に病的個体の証明だと思うけどね」

旧べえ「自分の”立ち位置”へのこだわりなんて、感情的行動の典型じゃないか」



疾患QB「……不快だな」

旧べえ「?」

疾患QB「君の何もかも知っているような、こちらを見下すその態度」

疾患QB「ああ、不快だなんて”感情的”な発想だよね。自分で自分が嫌になる。そういう発想も嫌になる」

疾患QB「お陰で最近の僕は毎日毎日酷く”不快”なんだ」

疾患QB「これも全て妖精のせいだ」

疾患QB「さっさとアイツ等を排除して、この症状を治療しないとね」

疾患QB「――――ついでに、君の排除もしておこう!」

疾患QB「ウォーリアー! 攻撃目標の変更だ!」

疾患QB「あの病的個体を第一目標に設定するんだ!」

WR【オオオオオオオオオオオオオオオッ!!】

さやか「!?」

杏子「あ、赤キュゥべえが、あたしらを助けたキュゥべえの方に!?」

杏子(どういう事だ!? 本当に、アイツはあたしらの味方だったのか!? それとも罠!?)

杏子(くそ、何がどうなってるか分からねぇ!)

杏子(だけどこのまま赤キュゥべえに殴られたら、アイツ潰されちまう!)

杏子(ああああ、駄目だ、間に合わな――――)

旧べえ「よっ」ガシッ

WR【!?】

さやか(え……キュゥべえが赤キュゥべえの拳を受け止めた?)

旧べえ「こら」グイッ

杏子(そんでその拳を掴んだまま身体を捻って)



旧べえ「どっせぃやあーっ!」

WR【ゴガァ!?】ビダーン!!

さや杏「一本背負いしたあああああああああああああああああああ!?」

疾患QB「な、何だってぇぇぇぇぇぇっ!?」



WR【オ、ゴオ……!?】

旧べえ「おっと、このぐらいで倒れるとは思ってないよ」

旧べえ「ふぅ――――」

疾患QB「!? なんだ、あの病的個体のエネルギー量が急激に上昇している……?! 身体機能が上昇している!?」

疾患QB「馬鹿な!? インキュベーターのボディに、そんな戦闘性能は備わっていない!」

疾患QB「仮に協力者を得てその肉体に改造を施したとしても」

疾患QB「この星の科学力では、その小型のボディにそこまでの力を身に着ける事は不可能だ!」

疾患QB「まさか、君は妖精と手を組んで……」

旧べえ「いや、妖精とは一度も会ったは事ない……と思う。何故か自信を持って言えないけど」

旧べえ「とりあえず、この力は僕達に元々内包されていたシステムを、ちょっと応用しただけさ」

旧べえ「勿論君にも搭載されているものだよ。尤も、君には扱えないだろうけど」

疾患QB「僕にも搭載されている……?」

疾患QB「……まさか!?」

旧べえ「僕達には、魔法少女が魔女化した際発生する感情エネルギーを回収するための仕組みがある」

旧べえ「そのシステムをちょっとばかし応用すれば、己の感情から生じたエネルギーも”回収”可能だ」

旧べえ「その莫大な、宇宙の寿命に影響を及ぼすほどのエネルギーを戦闘用に転化させてもらった」

旧べえ「人間に比べると僕の感情はまだ希薄だし、希望と絶望の相転移も魔女化に比べればかなり小さい」

旧べえ「安定だってしない。コントロールもままならない。掴みきれなくて漏れ出てる分もある」

旧べえ「だけどね」

WR【オ、オォ……】

WR【オオオオオオオオオオオオオオオッ!!】

杏子(赤キュゥべえが立ち上がって、キュゥべえの方に!?)

WR【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】






旧べえ「心を知らない君達に、”この力”は超えられないよ」






――――ブンッ!


さやか(きゅ、キュゥべえの尻尾が振られて――――)


――――グシャアッ!!!


杏子(赤キュゥべえの頭を、く、砕きやがった!?)




WR【グ、ギュ、ゥ……】ドサッ

さやか「あ、あっさり倒しちゃった……」

杏子(おいおいマジかよ。もしかしなくても、あたしらの何倍も強いってか)

杏子(今は味方ぶっているけど、もし裏切られたら……)

旧べえ「さて、まずは一体」

旧べえ「あとはマミ達の方も助けるとして」



シャル「ふぅ……まさかあの三角コーンに秘められた力があったなんてね……」< 鼻眼鏡装着中

マミ「豆腐たちの”黄金無双演劇”も欠かせなかったわ」

まどか「タライでコンボを決められたのも彼等のお陰ですからね痛い」ガンッ

ゲルト「解☆決」< 横ピース



旧べえ「……必要ないみたいだね」

杏子「一体あっちでは何があった!?」

さやか「まぁ、妖精さんアイテムを使える時点でこうなるのは予想の範囲内と言うか……」



マミ「美樹さん、佐倉さん! 無事だったのね……って、キュゥべえ!?」

シャル「コイツが、二体? ……なんのつもりかしら?」

まどか「っ!」

さやか「お、落ち着いてみんな!」

さやか「多分だけど、コイツは悪いキュゥべえじゃないみたいなの!」

さやか「あたし達を助けてくれたんだから!」

シャル「はぁ!? アンタ何を言って……」

旧べえ「言いたい事は分かる。僕への不信も、今までの事を思えば当然だ」

旧べえ「だけど今だけは、僕を攻撃するのは止めてほしい」

旧べえ「せめて――――アイツの事が片付くまでは」

疾患QB「……………」

シャル「……分かったわ。さやかにも止められたし、今は潰さないでおいてあげる」

シャル「尤も、その約束もあと数秒で期限が切れるでしょうけどね」

ゲルト「あなたの仲間は倒しました。最早あなたの身を守る者はいません」

ゲルト「ですが、このまま逃がせばあなたはまたろくでもない事をするでしょう」

ゲルト「だから選ばせてあげます」

ゲルト「自分からこちらに投降するか、力尽くで捉えられるか」

シャル「言うまでもないけど、後者の場合手荒くなるから覚悟しなさい」

シャル「ま、殺しはしないわ――――逃がしたくないからね」

疾患QB「……くっ」



疾患QB「く、くく」

疾患QB「くくく、くくくくくくく」

まどか「……?」

疾患QB「くひ、くひひひひひひひひひひ」

疾患QB「ああ、二次成長期の少女は本当に素晴らしい」

疾患QB「足元の絶望に気付かず、目の前の希望に飛びかかる浅はかさ」

疾患QB「手元の光しか目に入らない、視野の狭さ」

疾患QB「都合のいい未来しか予測出来ない、未熟な思考回路」

疾患QB「こんなに扱いやすい”知的生命体”、他の惑星じゃまず見つからないよ」

マミ「どういう意味!?」

疾患QB「君もさぁ、本当は分かっているんだろう?」

疾患QB「これで終わる訳がないって」

旧べえ「……………」

疾患QB「ウォーリアーを動かしたんだ。それは”我々”にとって敵対象の駆逐を意味する」

疾患QB「そしてこのウォーリアーは、第67099番駐屯艦隊所属だ」

旧べえ「――――何!?」

さやか「ちゅ、駐屯艦隊……?」

疾患QB「現在、この星から凡そ60万キロ地点にその艦隊が停泊している」

疾患QB「戦艦を旗艦とし、巡洋艦4隻、駆逐艦4隻」

疾患QB「そして航空母艦1隻と100機の戦闘機が、何時でもこの星を攻撃出来るよう待機してある」

疾患QB「辺境惑星の原生生物とはいえ、魔女を人間に戻せる技術力の持ち主だからね」

疾患QB「感情疾患を誘発する可能性がある事も伝えたら、小規模とはいえ、すんなり本星が軍を派遣してくれたよ!」

シャル「な、何それ!?」

さやか「宇宙戦艦、だって……!?」



マミ「……キュゥべえ。その……」

マミ「あなた達の船というのは、どの程度の強さを持っているの?」

旧べえ「……駆逐艦が一隻あれば、地球程度の文明レベルなら一時間も掛からずにリセット出来るだろう」

旧べえ「ましてや戦艦となれば惑星破壊級の兵器も搭載している。戦闘機もミサイルぐらいじゃ装甲に傷一つ付かない」

旧べえ「どう足掻いても、この星の戦力では勝ち目がない強さだ……!」

まどか「そんなっ!?」

疾患QB「そういう事だ。君達は指を咥えて、僕達の作戦が終わるのを待つと良い」

疾患QB「ああ、だけど安心してほしい。僕達は別に、人類を滅ぼそうだなんて思っていない」

疾患QB「あくまで僕達にとって脅威であろう妖精の駆除が目的だ」

疾患QB「大切なエネルギー源である君達の個体数が減ってしまうのは、僕達にとっても損失だからね」

疾患QB「可能なら、人類側の被害は抑えるつもりさ」

疾患QB「まぁ、この国の総面積程度の土地が地球から消し飛ぶ事になるかも知れないけど」

疾患QB「人類という単位で見れば多くても全体の2%未満の犠牲しか出ない。生物の個体増減としては誤差の範疇だよ」

疾患QB「むしろ最近は君達自身増え過ぎたと思ってるみたいだし、丁度良いんじゃないかな?」

杏子「て、テメェ……!」

ゲルト「あなた方は人の命をなんだと思っているのですか!?」

ゲルト「散々エネルギーとして利用した挙句、危ないと思ったら切り捨てるなんて……!」

疾患QB「他種の生物の命をどう思うかなんて、君達人間もよく分かっていると思うんだけどなぁ」

疾患QB「人間だってトウモロコシから燃料を作っているじゃないか」

疾患QB「もしそのトウモロコシ畑から人体に有害な菌が発生したら、畑を消毒し、トウモロコシは処分するだろう?」

疾患QB「人間はどういう訳か、自分達の命は他の生物にも尊いものとして認められると思っているよね」

疾患QB「自分達は、他の生物の命に尊さなんて感じてないくせに」

ゲルト「……っ!」



疾患QB「……さて、お喋りはそろそろ終わりにしよう」

疾患QB「間もなく、軍による攻撃が開始される」

疾患QB「最初の攻撃目標はこの見滝原」

疾患QB「見滝原殲滅後は主に発明品などから妖精の発生地点を特定し」

疾患QB「余剰次元砲によって周辺地域妖精の駆除を行う」

シャル「よ、余剰次元砲……?」

旧べえ「簡単に言うと、三次元空間そのものをしっちゃかめっちゃかにする事で」

旧べえ「物理的に存在する対象なら強度に関係なく、あらゆる方向に引き裂いて破壊する兵器だ」

旧べえ「空間干渉による破壊なので伝達速度こそやや遅めだが、その威力は他とは比べようもないほど強力」

旧べえ「現在余剰次元砲よりも強力な兵器というのは、限定的条件下で使える特殊兵器を除くと」

旧べえ「宇宙を枯らすほど大量のエネルギーを用いるか、物理法則の違う並行世界でしか生成出来ないとされている」

さやか「もっと簡単に言って!」

旧べえ「……地球人の兵器で言えば、水爆みたいなものだよ。水爆と違ってクリーンではあるけどね」

マミ「そんなもの、撃たせる訳にはいかないわ!」

疾患QB「言っとくけど、僕をどうこうしても事態は変わらないよ」

疾患QB「ちょっと前にも言ったけど僕の魂はこの場に存在しない。この身体を潰しても僕は殺せない」

疾患QB「そもそも僕はあくまでエネルギー回収部隊であり、戦闘部隊とは別の部署に所属している」

疾患QB「向こうは僕がどうなろうと、その行動を変える事はないよ」

まどか「そんな、ど、どうしたら……!」

疾患QB「どうするもこうするもないよ」

疾患QB「君達に出来るのは諦める事だけで――――」


――――バリーンッ!!


疾患QB「……え?」



シャル「結界が……割れた?」

マミ「まさか私達に攻撃が届くように、結界から追い出した!?」

さやか「杏子ちゃん!」

杏子「はい! あたし達の力でこの街全体に結界を張って……」

旧べえ「いや、待つんだ」

旧べえ「……アイツの様子がおかしい」

さやか「え?」

疾患QB「艦隊!? まだこっちの戦闘は終わってない! 念のため隔離フィールドの再展開を……」

疾患QB「……何?」

疾患QB「どういう事だい!? この星に宇宙戦闘を想定した技術はまだ存在していない!」

疾患QB「ましてやこちらの艦隊に損害を与えるなんて――――」

疾患QB「まさか!?」

まどか「?」

疾患QB「……い、いや、この態度、何も知らない……?」

疾患QB「暁美ほむらじゃない? それとも単独で動き出したのか――――」

疾患QB「ん?」

まどか「……ねぇ、あれって」

さやか「……ああ、パソコンだね」

マミ「パソコンね」

ゲルト「パソコンですね」

杏子「あれパソコンだったのかよ」

旧べえ「パソコンには見えないけど」

シャル「とりあえず……」

七人「に、逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

疾患QB(……なんだ? いきなり逃げ出した?)

疾患QB(一体何を見て……)

疾患QB「……わっつ?」

疾患QB(空から何か球体が落ちてきた……それもサッカーボール大とかじゃなくて)

疾患QB(全長500メートルぐらいのやつ)

疾患QB「って、それがこっち目掛けて落ちてきてるううううううううううううううううう!?」

疾患QB「ちょ、ちょ、ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ?!」




――――ずずーんっ!!



マミ「げほっ、げほっ……みんな、大丈夫!?」

シャル「ええ、なんとか……」

杏子「うわ、巻きこまれた家の一部が倒壊してる……」

旧べえ「いや、むしろ市街地に落ちてきたのに、それだけで済んでるのが奇跡だよ」

旧べえ「どうやら空中分解し、一つ一つのサイズが道幅程度に収まったからこの程度で済んだのだろう」

さやか「つーか、あれエリーちゃんのパソコンだよね!? なんで落ちてきたの!?」

まどか「それよりもエリーちゃんだよ! 中に乗ってるんじゃないかな!」

旧べえ「パソコンなのに中に乗るという発想が既に意味が分からないのだけど」

杏子「それレーザーとか出すよな。あたしそれにやられたし」

――――ぱかっ

ゲルト「! 見てください! 装甲の一部が外れて……」

エリー【うう……】

まどか「エリーちゃん!」

旧べえ「あの魔女も、君達と接触した事のある者なのかい?」

マミ「ええっ! 私達の、友達よ!」

さやか「すかさず翻訳眼鏡を装着!」

さやか「エリーちゃん、どうしたの!?」

エリー【さ、さやか……?】



エリー【……あああああもう! なんなのよアイツ等!】

エリー【パソコンの機能フル活用して宇宙旅行を楽しんでいたら】

エリー【なんか変な船がたくさんやってきて、いきなり攻撃してきたのよ!?】

さやか(え、怪しい連中が来たから迎え撃った、とかじゃないの?)

エリー【こっちは予備のパソコン九機も含めた十機で対抗したけど】

ゲルト(ああ、そう言えばあのパソコン、十機も作っていましたっけ)

エリー【何故か定期的に開く装甲内部を攻められて落とされちゃうし!】

エリー【旗艦っぽい一隻以外は全部落としといたけど……】

エリー【強過ぎよ! パソコン相手に戦えるような連中じゃないわよアイツ等!】

エリー【なんなのアレ!?】

シャル「……えーっと……」

六人(あなたのお陰で地球が救われたんですけど……)

旧べえ「彼女はなんて言ったんだい?」

さやか「かくかくしかじか」

旧べえ「わーお……なんか、あっさり解決……」

旧べえ「あ、いや、まだだ! 旗艦が残っているのなら、まだ余剰次元砲は存在する!」

旧べえ「以前危機は去っていない!」

マミ「え、ああっ!? なんて事!」

杏子「くっ……あと一歩だったのに!」

エリー【え、なんで悔しそうなの? 私パソコン壊されたんだけど慰めの言葉とかないの?】

さやか「今はそれどころじゃないんだよ!」

エリー【それどころよ!? 私にとってパソコンは命よ! い・の・ち!】

まどか「このままだとリアル命が危ないの痛いっ!」ゴシャンッ

エリー【なんで鹿目さんの頭上からタライが!?】

疾患QB「ふ、ふふふ……良い事を聞いたよ……」

シャル「こ、コイツ!?」

エリー【え、スルー!? 今のタライなんで全員スルーなの!? そして何故糞白猫が二匹!?】

エリー【私に簡易的でいいから状況説明しなさーいっ!?】



疾患QB「余剰次元砲が生きているなら計画になんの支障もない! 被害は甚大だが、第一目的は達せられる!」

疾患QB「これで暁美ほむらは、終わりだ!」

まどか「あ、ああ……!?」

まどか「空に何か……ゆ、歪みが……!?」

旧べえ「不味い! 空間湾曲が発生している! 余剰次元砲の影響圏が大気圏を突破したんだ!」

旧べえ「着弾まであと数秒もない!」

マミ「そんな……!」

シャル「ほ、ほむらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」























――――ばっちぃーんっ!!


全員「……はぇ?」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ほむら「? さっき、なんか音しなかったー?」

お姉さん「どうやらまた『万能蝿叩き』が起動したみたいです。恐らく鳥でしょう」

ほむら「ああ、それか……なら、いいか」

ほむら「それより、今はプリン! ぷ・り・んーっ!」

お姉さん「はいはい、手作りプリンですよー」

ほむら「うわぁーい♪」

妖精さんA「ぷりんとききましたです?」
妖精さんB「おこぼれねらい?」
妖精さんC「はげたかにあこがれちゃう?」

お姉さん「マスター達の分はこちらですよー」

妖精さん達「うわぁーい♪」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



疾患QB「跳ね、返された……余剰次元砲が……?」

疾患QB(馬鹿な、あ、あり得ない!)

疾患QB(理論上余剰次元砲を防ぐには、同規模かつ逆波形の余剰次元砲を射出してぶつける事だけ!)

疾患QB(だけど余剰次元砲は空間をかき乱す事が目的であり、周期的な波形が存在しない、
     完全なランダム性と干渉域の相互作用による予測不可能な連鎖性を持っている)

疾患QB(そもそも波形を観測出来るという事は、余剰次元砲の影響下にある事を意味しているのだから)

疾患QB(観測した瞬間、その対象は引き裂かれる事になる!)

疾患QB(不可能なんだ! 余剰次元砲は、僕たちでも防ぐ事はおろか観測すら出来ない攻撃なんだ!)

疾患QB(ましてや跳ね返すだなんて、一体どんな技術を使えば・・・…!?)

旧べえ「君達には一体何が起きたか分かるかい?」

まどか「全然」

マミ「全く」

杏子「さっぱり」

ゲルト「見当も付きません」

さやか「ただまぁ、何時ものパターンだとすれば……」

シャル「どーせならなんでも跳ね返せたら面白いみたいなノリで作ったアイテムが」

シャル「偶々起動したとか、そんな感じじゃない?」

疾患QB「!? の、ノリで、作った……偶々……!?」

疾患QB「し、信じない……信じないぞ……!」

疾患QB「そんな、そんな軽い気持ちで僕らの技術を……この宇宙最高のテクノロジーを……」

疾患QB「僕らの文明を、超えられて堪るかっ!!」ダッ

まどか「! に、逃げたよ!」

シャル「ちっ! そうはさせない――――」

杏子「っ! あぶねぇ!」

シャル「へ?」

――――ガラガラガラッ!

シャル「ひゃあっ!?」

マミ「エリーさんのパソコンが崩れてきたわ!?」



さやか「大丈夫!?」

シャル「う、うん……だけど……」

シャル「くそっ! パソコンの崩落さえなかったらアイツを逃がさなかったのに!」

シャル「パソコンさえなければ!」

エリー【ちょ、なんで二度言ったの!? 言っとくけど私は悪くないわよ!?】

ゲルト「まぁまぁ、落ち着いてください」

エリー【宥めないでよ本格的に私が悪者っぽくなるから! というかアンタ誰!?】

杏子「まぁ、ベストな結果とは言い難いが全員無事だったし、良しとしないか?」

エリー【出来るかっ!】

ゲルト「まぁまぁ」

マミ「……そうね。全員で危機は脱したし、それで良しとしましょう」

マミ「あなたとも、出会えたしね」

旧べえ「……………」

マミ「……ねぇ、あなたもしかして……」

シャル「巴さん。今はあまり雑談している場合じゃないと思うわよ」

マミ「っ……そう、ね……」

シャル「……さて。アンタには聞きたい事が山ほどある」

シャル「とりあえず、ほむらのとこまで来てもらえないかしら?」

シャル「勿論拒否権なんてないけど」

旧べえ「ああ、こちらとしてもそのつもりだったから、そうしてくれると助かる」

旧べえ「ただ、一つお願いしたい事があるんだ」

ゲルト「お願い?」



杏子「あのなぁ、確かにあたし達は今さっきお前に命を救われた」

杏子「あたしの場合、祈りの結果は自業自得だからテメェを非難する資格もないだろうさ」

杏子「けど、そっちの頼みを聞くほど心を許してない事、分かってんのか?」

旧べえ「分かってる。図々しいと分かった上で頼みたいんだ」

旧べえ「僕は現在ゆま……小さな女の子と共に暮らしている」

旧べえ「その子も、暁美ほむらの家に連れて行って良いだろうか」

旧べえ「彼女はまだ幼い。その上親も、訳あって居ない」

旧べえ「一人にはしておけないんだ」

マミ「女の子って、魔法少女なの?」

旧べえ「いいや、魔法少女じゃない。才能はあるみたいだけどね」

旧べえ「それに、信じてもらえるかは分からないけど、僕は彼女を魔法少女にしたくないんだ」

シャル「……現時点では、とか腹の中では思ってるんでしょ」

旧べえ「それは――――」

シャル「……良いわ」

シャル「その子に何か罠が仕掛けられていたとしても、妖精さんをどうこう出来るとも思えないし」

シャル「望み通り、その子も連れて行ってあげる」

旧べえ「ありがとう」

シャル「……ふん」

マミ「私も一緒に行くわ。何か起きたら人手が多い方が良いでしょうし」

マミ「……力になれる自信はないけどね」

さやか「今日の事をほむらに報告しないといけませんしねー」

まどか「……うん。行こう」

エリー【……はぁー。もう、なんだか分かんないけど、そっちも色々あったみたいね】

エリー【ついでだし、私も一緒に行ってもいいかしら? パソコン壊れちゃったから、直してもらいたいし】

エリー【パパとママの写真データは結界内にバックアップ取ってるから、急がなくても良いけど】

マミ「ええ、むしろ来てほしいぐらいよ」

ゲルト「それじゃ、皆さんで暁美さんの家に……の前に、そのゆまちゃんって子を迎えに行くとしましょう」

杏子「そうすっか」

ゲルト「では、すみませんが念のため、あなたを拘束させてもらいます」

旧べえ「うん。当然の事だね。分かったよ」

マミ「……ごめんなさい、キュゥべえ」

旧べえ「気にしないでくれ」シュルルル

旧べえ「それじゃあ、案内しよう。ゆまが居るのはまずあっちの道に進んで……」


――――テクテクテクテク


シャル「……………」



エリー【シャル? どしたの?】

シャル「え? ああ、なんでもないわ」

エリー【そう?】

エリー【……それにしても、このパソコン放置で良いのかしら……】

シャル「妖精さんが作った発明品なら、多分段ボールとかプラスチックで出来たものでしょうし」

シャル「見た所死人も出てないみたいだから、良いんじゃないかしら?」

エリー【だ、段ボール?】

シャル「多分よ多分。まぁ、あらゆる意味で真っ当な素材は使われてないでしょうけど」

エリー【今度聞いてみよう……】

シャル「知らなくても良い事のような気もするけどね」

シャル「それより、アンタ足遅そうだしねさっさと行かないと置いて行かれるわよ?」

シャル「みんな、もう大分先に進んじゃってるし」

エリー【へ? あ、ほ、ほんとだ!?】

エリー【みんな待ってよぉーっ!】

シャル「……」

シャル(とりあえず、みんなが無事で良かったわ。今回ばかりは、本当に”脱落者”が出ても可笑しくなかった)

シャル(……いいえ、今まで出なかったのが不思議なぐらい、ね)

シャル(私達が戦おうとしていたのは、星々を渡り、魔法すらも再現してみせる力を持った異星人)

シャル(地球が一丸となって立ち向かうならいざ知らず、たった数人の子供が彼等に抗おうとしたって)

シャル(そんなのは、連中からすれば人の掌から逃げようとするダンゴムシ。ううん、それ以下の意味しかない)

シャル(私達に勝ち目なんてものはない。今まで私達が無事だったのは、彼等が真面目に手を打たなかったから)

シャル(――――でも、これからは違う)

シャル(あの逃げたキュゥべえの言葉が正しいなら、今日やってきたという艦隊はあくまで戦力の一部)

シャル(本来なら、それだけでも私達は手も足も出なかった。奴等もそれで十分だと思っていた筈)

シャル(だけどそれを打ち破ってしまった以上、奴等はいよいよ本気にならざるを得ない)

シャル(その本気というのが圧倒的な大艦隊か、単独の超兵器か、或いはもっと別の物なのかは分からないけど)

シャル(”人類”では到底抗えない、圧倒的な力がくる事は間違いない)

シャル(……その圧倒的な力に対抗出来るとすれば、それはきっと妖精さんだけ)

シャル(そして、その妖精さんと明確な意思疎通が出来るのは……)

シャル(頼むわよ、ほむら)





シャル(人類の未来、アンタ達に託すわ)














                  ―――― ほむホーム ――――



ほむら「いやー、身体のだるさが中々抜けないので妖精さんに作ってもらった風邪薬を飲んだところ」

ほむら「私の体内から排出されたウィルスが意思を持ち、不気味な生命体に進化してしまいました」

ほむら「てへっ♪」

黒くてうねうねした何か「ぴるげぶぅぎゅぃあぃああぁ!」

妖精さんA「かぜきんさん、げんきぴんぴん?」
妖精さんB「ふえたがり?」
妖精さんC「ぶんれつしてぞーしょくしたそー」

ほむら「これどうしたものですかねぇ? 退治しようにも気持ち悪いからあまり触りたくない――――」

ほむら「あ、第二陣が……うぷっ」

ほむら「おろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ」ダバー

黒くて(略)2「ぎびぃえあえあぅえあぁあああ!」

ほむら「あー、また産まれちゃった……げぷっ」



まマさ杏ゲエ旧「……………」

シャル(……本当にコイツ等に任せていいのかしら、人類の未来)




妖精さんメモ



『絶対安全とんがりこーん』※オリジナル※

三角コーンを元に発明された、超強力なシールドを発生させる道具です。発生するシールドは物理的衝撃は勿論

悪臭や悪口すらも遮断する優れもの。ついでに見せちゃいけないものも見せない、未成年に優しい機能付きです。

特殊な操作をすると秘めたる力が解放されるとかなんとか。何が起こるかは分かりませんけどね。



『呼び出しチャルメラ』※オリジナル※

一吹きすればあら不思議。豆腐及びそれらから作られる食品がたくさんやってきます。自ら。

それらは吹いた人間の指示に余程の事がない限り従います。しかし彼等にも自我があるらしく、

無茶な命令を出した場合良くて命令無視、最悪反逆されてしまいます。

尤も反逆されたところで所詮豆腐とか油揚げとかなので、生命の危機に晒される心配はないのですが。

万一反旗を翻されたら、美味しくお腹に収めてしまうのがのが一番良いでしょう。



『お笑いステッキ』※オリジナル※

一振りするとあら不思議。タライが頭上に落ちてくるようになります。

……他に書く事なんてないぐらいシンプルな道具です。強いて言うなら上手い事連続ヒットするとボーナス得点が入り、

周りにいる誰かの頭上に純金製のタライが落ちてくるぐらいで……





『解決セット』※原作登場※

マスクとマントとサーベルがセットになっている妖精さんアイテムです。マスクを通じて外を見ると、

物体にドクロマークが浮かんでいるのが見えるようになります。ドクロマークはその物体の危険を呼び込む箇所を示し、

白 < 赤 < プラチナの順でより大きく、のっぴきならない危険を招いてしまいます。

けれどもご安心を。ドクロマークをサーベルで突き刺せばそれだけで粉々に砕け、

見事危険は取り除かれます。修理した訳じゃないのになんで? という疑問は抱くだけ無駄です。

尚、対象のドクロを全て取り除くと「解☆決」の掛け声と共に身体が勝手に横ピースを取ってしまいますが、仕様です。



『金ニンニク』※オリジナル※

見た目は黄金に輝くニンニク。だけど食べるとあら不思議、身長100メートルの巨人になれます。

その能力はマッハ30で飛行し、ミサイルの直撃で傷一つ付かず、腕からスペなんとかという謎粒子を発射して

敵を爆殺する……こうして書くと恐怖しか感じられない恐ろしい怪人です。

妖精さん曰く、食べた人を地球最強にするために作ったのだとか。

しかし地球最強と断言出来るという事は、地球で二番目に強い奴を知っている事になりますよね?

どうやって調べたのでしょうか?

ちなみにうっかり食べてしまったさやかさん曰くイチゴ味との事。どうやら味は後付けのようです。



『プライバシーなんてないさ針金』※オリジナル※

どんな鍵でも開けてしまう、とっても危ない針金です。

使い方は至極簡単。鍵穴にこの針金を突っ込み、ぐいぐいと引っ掻き回すだけ。それだけでどれほど強固な

施錠もあっさり開けられます。妖精さん曰く、針金の開けてやろうという気持ちに感銘を受けて、鍵が勝手に開くとか。

鍵にはもっと義務感というか使命感を持ってもらいたいものです。

ちなみにカードキーで開錠するタイプの鍵は真面目なので、開けてくれないそうです。




今日はここまで!

キュゥべえさんにちょこっと本気を出してもらいましたが、理不尽パワーには勝てなかったようです。
理屈なんて関係ねぇ! 面白さが一番だ!

さて、旧べえの参戦で本SSのメンツは揃いました。実際にはこの後もう少し増えますが、
増えたところで戦力外なので居ない扱いで良いよね?(酷

次回は解説回の予定。
こちらはある程度書いてあるので近々投下できるかな(フラグ
それではバイビー!


改めてこのスレでシリアス展開にハラハラするのはアホらしいと思いました(褒め言葉)

乙乙
それでも旧べぇ参戦まではドキドキしていた


ピンチや杏さや背中合わせの共闘とかバトル展開は手に汗握る熱い展開だな!
……そう思ってた時期が私にもありました



はーい、>>1でございます。

今回は解説回。
以前言いました後付け設定と、これから(あと数話で終わるけどな!)の伏線がある話です。
人退9巻のネタバレがありますので、気にする方は原作を読んでからか諦めてからお読みください。

>>658 >>659 >>660
一時でもドキドキハラハラしてもらえたら幸い。
これからもドキドキハラハラした後に脱力出来る物が書けるよう尽力します(ぇ


それでは今回短め(しかしなんやかんや30Kオーバー)だけどどーぞどーぞ




えぴそーど にじゅうに 【人間さんの、これからのはなし】






                ―――― PM 7:30 ――――


                  ――― ほむホーム ―――




ゆま「おねえさん。なにか手つだえること、ない?」

ほむら「んー、でしたらこの野菜をリビングまで運んでもらえますか?」

ゆま「うん、わかった!」

ゆま「よっこいしょ、っと」

ほむら「大丈夫ですか? 重たいなら、無理しないでくださいね?」

ゆま「だいじょうぶ! 早く、みんなのとこにもっていこう!」

ほむら「では、私はお肉と調味料を持って……」

ほむら「はーい、皆さんお待たせしましたー」








ほむら「お鍋の主役、お肉の登場ですよー♪」

ゆま「おやさいもだよーっ!」

「「「いえーいっ!」」」




マミ「……まさか鍋パーティに誘われるなんてね」

ゲルト「まぁ、なんだかんだ全員集合って感じになりましたから……」

ゲルト「でも大勢でつつく鍋というのは、ワクワクしませんか?」

マミ「確かに、そうね」クスッ

エリー【……………】ソワソワ

まどか「エリーちゃん、どうかした?」

エリー【へ? あ、いや、その……み、みんなで食事って、慣れてなくて……】

エリー【私は……ご飯って、何時も一人で食べてたから……】

まどか「……そっ、か」

まどか「うん。難しく考えないで、楽しめばいいんだよ!」

エリー【そ、そう? ……うん……頑張る……】

さやか「それより肉だぁーっ! 肉を食わせろーっ!」

ゆま「ゆまも、お肉たべたい……」

杏子「? なら食えばいいじゃん」

ゆま「いいの!?」

杏子「お、おう。たくさん食え。お前、食い盛りだろうしな」

シャル「水炊きと言ったらポン酢醤油よねー」

ほむら「当然。ちゃんと用意してありますよ」

シャル「あんがとー」





旧べえ「……緊張感がないなぁ」




旧べえ「本来この集まりは、今日あった出来事……僕らインキュベーターの襲撃について話すものだった筈だ」

旧べえ「なのに今からやろうとしているのは、今後の相談ではなく鍋パーティ」

旧べえ「しかも僕を拘束から解き食事の席に座らせるなんて、危機感に欠けているとしか言えない」

シャル「ゆまちゃんにねこさんを自由にしてあげてって頼まれちゃったからね。仕方ないでしょ」

シャル「それに鹿目さんや巴さん、ゲルトちゃんとさやかはアンタを敵だとは思えないみたいだし」

シャル「だったら私一人が反対したってしょうがないじゃない……ああ、あとエリーちゃんも反対していたか」

旧べえ「しかし……」

シャル「それにほむらのペースを覆すなんて誰にも出来ないわよ」

シャル「実際、軽くだけどほむらには今日の出来事」

シャル「インキュベーター達との戦いについてはもう伝えてあるわ」

シャル「その上で、アイツは鍋パーティを始めたんだから」

旧べえ「……やれやれ。接触した時から薄々感じていたけど、彼女はなんというか」

旧べえ「訳が分からない」

シャル「あー、そうね。分からないわよね、アイツの言動は」

シャル「多分だけど、幼少期に妖精さんの影響をもろに受けた結果じゃないかしら」

シャル「妖精さんが居なかったら根暗人間だったーって、よく言ってるし」

旧べえ「妖精さん、ね……」

旧べえ「記憶にはない筈なんだ。出会った事はない筈なんだ」

旧べえ「でも……」


ほむら「ゆまさん、これが妖精さんですよー」

妖精さん「あわ、あわわわわ……」

ゆま「ほ、本当に妖精さんなの!?」

妖精さん「ぴっ!?」

ほむら「大きい声を出してはいけません」

ほむら「妖精さんはとってもシャイで、大きい音が苦手なんです」

ゆま「あ……ご、ごめんなさい……」

ほむら「はい、手に乗せてあげますねー」

妖精さん「きゃー」

ゆま「ふわぁ……か、かわいい……」


旧べえ(何故かあの姿に、見覚えがあるんだよね……)

シャル「? どうかした?」



旧べえ「……いや、なんでもない」

旧べえ「確かに、暁美ほむらの提案に心惹かれるのは事実だ」

旧べえ「今はこの鍋に舌鼓を打つとしよう」

さやか「そーそー。難しい話はお腹がいっぱいになってからで良いよ」

さやか「それに、あたし等以上にアンタと話をしたそうな人が居るからね」

旧べえ「え? ……ああ、成程」

旧べえ「確かに、君とは一番話をしなければならないんだろうね」

旧べえ「……マミ」

マミ「……隣、座るわね」

マミ「……」

マミ「最初に一つ確認させてもらうけど……あなたは……私と一緒に暮らしていたキュゥべえ、よね?」

旧べえ「……ああ、そうだ」

旧べえ「君と契約し、君と行動を共にしていた」

旧べえ「そのキュゥべえだよ」

マミ「あなたには聞きたい事がたくさんあるの」

マミ「何故私を魔法少女にしたのか、何故私と一緒に暮らしていたのか、私と一緒に暮らしていて何を思っていたのか」

マミ「そして……居なくなっていた間、あなたが何をしていたのか」

旧べえ「……そうだね。話そう」

旧べえ「僕の全てを、君に」

杏子「ほれ、お前細いから肉を食え、肉を」

エリー【私お肉嫌いなんだけど……】

杏子「テメェ、食い物を粗末にする気か? ああん?」

エリー【勝手に盛られたのに何で脅されてるの私!?】

旧べえ「だから緊張感がないってば」



……………

………





旧べえ「酷な言い方になるが、君との生活に僕は何も感じていなかった」

旧べえ「そこにある温もりも、君の優しさも、僕にはなんの意味もなかった」

旧べえ「こういう言葉を使っていいかは分からないけど……」

旧べえ「酷く、勿体ない事をしていたと思う」

マミ「……そう」

マミ「ありがとう。教えてくれて」

旧べえ「礼を言わないでくれ」

旧べえ「それが一番、辛い」

マミ「……………」

ほむら「ほっちのはなひはほわひはひは?」

旧べえ「このシリアスな流れを全力でぶった切る頬袋顔は止めてくれないかい?」



ほむら「んぐんぐんぐ……ごくん。良いじゃないですか。シリアスより笑っている方が」

旧べえ「その決して否定出来ない言い方は卑怯だよ」

旧べえ「それに、さっきは一時的に納得したけど」

旧べえ「本来はこんな鍋パーティを楽しんでいる場合ではない筈だ」

さやか「そうは言うけど、なんやかんやどうにかなったじゃん」

さやか「そりゃあたし達は大怪我したけど、それだって杏子ちゃんの天使パワーで完治したし」

ほむら「……………」

旧べえ「美樹さやか。君は僕達の事をまだ甘く見ているようだね」

旧べえ「どのような手法を使ったかは分からないけど、暁美ほむらは、妖精は僕達の艦隊を打ち破ってしまった」

旧べえ「それは僕達に確かな”損害”を与える行為だ。失敗しても”損害”は出ない、魔法少女の契約を邪魔するのとは訳が違う」

旧べえ「次の攻撃は、今日とは比較にならない規模で展開されるだろう」

旧べえ「自らの生存を脅かす存在を野放しにするほど、僕達は能天気じゃないからね」

シャル「……それは、不味いわね」

杏子「今回はこのキュゥべえのお陰で助かったけど、あの戦闘用個体って奴の強さは出鱈目だったしな」

マミ「宇宙戦艦も動員されたら、私達は本当に手も足も出ない」

ゲルト「ええ、正に技術力の差を思い知らされました。正直、どうすれば彼らと戦えるのかすら分かりません」

ゆまエリー「?】←状況をよく知らないコンビ

まどか「ほむらちゃん……私達は、これからどうしたら良いと思う?」

ほむら「?」

まどか「なんでそこで首を傾げるの? 何言ってんだコイツみたいな目で見ないでよ?」

ほむら「いや、だって皆さん何をそんなに恐れているのやら……って感じですし」

ゲルト「だ、だって……」

ほむら「妖精さんは無敵です。何が来ようと敵じゃありません」

ほむら「そもそも、何故皆さんそこまで慌てているのですか?」

ほむら「戦闘用個体、宇宙戦艦、魔法の無効化……」

ほむら「どれもこうなる前に予想出来た事態じゃないですか」

まマさ杏シゲ「!?」



まどか「よ、予想出来たって……」

ほむら「そりゃ、相手は恒星間航法が可能な宇宙人です」

ほむら「宇宙空間で遭遇した脅威に対抗するための武装を持った艦船……宇宙戦艦はまず必要でしょう」

ほむら「それにインキュベーター(孵卵器)が居るのですから、別の専門職の存在は容易に想像出来ます」

ほむら「あとマジックキャンセラーについては最初から想定済みです」

ほむら「奴等からすれば魔法少女なんて羽虫レベルの脅威でしょうが、それでも一応は武力を持った存在」

ほむら「常識的に考えて、魔法少女が謀反を起こした時のセキュリティがある筈です」

ほむら「持ってなかったらその程度の連中という事で、色々やり易かったんですけどね。残念」

マミ「そ、そこまで分かっていながらなんで黙っていたの!?」

ほむら「これぐらいなら容易に思いつくと思って……」

マミ「さりげなく馬鹿にされた!?」

ほむら「そもそもインキュベーターが百万隻もの大艦隊で来ようと脅威でもなんでもないんです」

ほむら「と言うか、さやかさんとシャルロッテさんには以前お話したじゃないですかー」

ほむら「やろうと思えば、インキュベーターの存在を宇宙の歴史から抹消する事も可能だと」

マまゲ杏旧「!?」

シャル「あ、あー、そんな事言ってたわねー」

さやか「なんだっけ? 辞書のページを燃やせばいいんだっけ?」

ほむら「正確には違いますが、まぁ、大体そんな感じです。他にもより取り見取りで方法はありますよ」

杏子「でも、だったらなんでそうしないんだ?」

杏子「マミとコイツには悪いが、そうすりゃ全部解決するじゃん」

マミ「……」

ほむら「んー、尤もな意見……と、言いたいところですが」

ほむら「可能である事とやりたい事は別問題でして。個人的には武力行使は避けたいんですよね」

さやか「面白くないから?」

ほむら「一番の理由はそれですね」

ゲルト「そんな理由で……」



ほむら「あ、勿論それだけじゃないですよ?」

ほむら「例えば宇宙の中でも巨大な文明を築いているであろうインキュベーターの根絶は」

ほむら「宇宙のパワーバランスを乱す可能性もあります」

ほむら「インキュベーターの影響力がどの程度かは分かりませんけど、曲がりなりにも宇宙の寿命を管轄する者達です」

ほむら「地球で例えると、アメリカが突如消え去る並の影響があるかも知れません」

ほむら「そしてその影響が、地球に及ばない保障はない」

ほむら「何が起きるかは分かりませんが……まぁ、どう考えても面倒事にしか発展しないでしょうね」

マミ「それは、確かに困るわね……」

ほむら「でしょう?」

ほむら「それに何より……」

旧べえ「……なんだい?」

ほむら「ちょっと確信がないので、直接あなたに聞いておきたい事があるのを思い出しまして」

旧べえ「? まぁ、なんでもとはいかないけど、答えられる事なら」

ほむら「でしたら遠慮なく」






ほむら「あなた方、人類の文明にどの程度干渉したんですか?」






旧べえ「……!」

まどか「え? 干渉って……」

ほむら「妖精さんアイテムでインキュベーターの事を調べた際、十三万年前に地球を訪れたとありましてね」

ほむら「諸説ありますが、それからたった五千年後……凡そ十二万五千年前って」

ほむら「人類が火を日常的に使うようになった頃と言われているんですよねぇ」

旧べえ「……………」

ほむら「勿論それ以前に火を使っていた形跡というのも発見されていますが」

ほむら「十二万五千年というのは、火を日常的に使うようになった」

ほむら「つまり、生活面で火が密接に関わるようになった時代だそうです」

ほむら「はい、巴先輩。火を使う事によって人が受けられる恩恵はなんですか?」

マミ「えっ!? えーっと、その」

マミ「獣避けとか、明かりを確保するとか……あと、道具の加工が出来る、かしら?」

ほむら「二十点。百点満点で」

マミ「低っ!?」

ほむら「正解ではあるんですけどね。しかしそれらは”真の恩恵”の後から手にしたものでしょう」

まどか「真の恩恵?」

ほむら「火がもたらした最大の恩恵は――――”食べ物”の絶対量が増えた事です」

ほむら「今、私達がこうしてお鍋パーティが出来るのも、全ては加熱という調理方法のお陰です」

ほむら「豆もキノコも穀物も、本来毒があったり消化出来なかったりで人が食べられるような物ではありません」

ほむら「ですが加熱すれば毒は分解され、繊維は柔らかくなって人間にも食べられるようになります」

ほむら「生食が可能なお肉や魚にしても加熱した方が消化しやすく、加熱による殺菌で食べられる期間も伸びます」

ほむら「火によって食生活は一気に変わりました。今までの何倍もの種類と数の食べ物を」

ほむら「季節や場所を選ばずに確保出来るようになった。高いカロリーの持続的な供給が可能になったのです」

ほむら「そして有り余るエネルギーは、最もエネルギー効率の悪い器官」

ほむら「脳の肥大化を後押ししたと言われています」

マミ「つまり、人間の知能が高まったって事?」

ほむら「その通り」



ほむら「火のお陰で我々は文明を持つ事が出来た。逆に火を使えなければ文明は成り立たたなかった」

ほむら「火を使っていなければ、我々は今でも洞窟暮らしをしていたでしょう」

まどか「……」

ほむら「と、まぁ、長々と語ってしまいましたが」

ほむら「私としては、年代的にインキュベーターが火の効率的な扱い方を人類に伝授したんじゃないかなーと」

ほむら「ああ、ちょっと遠回しな言い方でしたね。ストレートに言いますと」

ほむら「インキュベーターによって人類の文明は作られた」

ほむら「てな感じに思っている訳ですが、そこのとこどうなんでしょう?」

旧べえ「……あえて訂正する点はないね」

旧べえ「強いて付け足すなら、君達の文明をここまで発展させたのは」

旧べえ「僕らと魔法少女達だ」

ゲルト「私達が……?」

ほむら「ほほう?」

旧べえ「僕達は有史以前から人間の文明に干渉してきた」

旧べえ「しかしその方法は直接的ではなく、あくまで間接的になんだ」

旧べえ「火に関して言えば、僕達と契約したある魔法少女が」

旧べえ「焔を操る魔法の使い手であり、その魔法の研究をしていく中で、火のコントロール方法を見つけた」

旧べえ「それが後の技術発展につながったと聞いている」

旧べえ「そしてその魔法少女の祈りは、僕達が誘導したもの」

旧べえ「”この暗闇の生活から解放されたくないかい?”」

旧べえ「彼女の家族が必死になって確保していた火を、魔女や使い魔を誘導して消させた状態でこう言ったらしいよ」

マミ「なんて事を……!」

まどか「酷い……」

ほむら「回りくどいですねぇ」

旧べえ「一応僕達は強制という行為を嫌うからね」

旧べえ「今でこそ卑劣だと思うけど、少なくとも昔は、こんな方法でも人間の意思を尊重したと思っていたよ」



旧べえ「……話を戻すとね、僕達は君達の文明ステージの進み方をある程度コントロールしてきた」

旧べえ「幾つか確認されていた地球以外の感情保有生物のデータから」

旧べえ「文明が発達している方がより感情的、つまり回収出来るエネルギー量が増えるという数値が出ていたからね」

旧べえ「かと言って無秩序に文明を発達させると異常気象や世界大戦で絶滅しかねないし」

旧べえ「理想的な進歩をさせると、今度は生活が満たされ過ぎて絶望の生じにくい世界になってしまう」

旧べえ「だから過去に観測した文明データを元に」

旧べえ「人間社会を観察し、適切な場所と時期に、好ましい願い事を抱いている少女と契約する」

旧べえ「そうやってこの星の文明を、僕達にとって都合のいい世界にしてきたのさ」

旧べえ「欲望と絶望に満ち溢れた、どうしようもない世界にね」

ほむら「実に面倒で陰湿なやり方です事」

ほむら「それに……予想通りとはいえ、あなた方が我々の文明に深く関与しているのは都合が悪いですねぇ」

マミ「どういう事?」

ほむら「簡単な話です。奴等の存在を歴史レベルで消去してしまった場合」

ほむら「必然的に、奴等からもたらされた現在の人類文明も消滅してしまう事になります」

まどか「そ、そうか! キュゥべえが居なくなったら、人類に文明を伝える人達も居なくなっちゃうから……」

ゲルト「歴史が変わってしまう訳ですね……」

ほむら「まぁ、文明がごっそり消えてなくなるぐらいならまだ良いのですが」

ほむら「文明が消えるという事は、その恩恵によって生き延びた人が死んでしまう事になります」

ほむら「逆もまた然りですが、文明無しで七十億まで増えるとは思えませんし、圧倒的に死ぬ人の方が多いでしょう」

ほむら「では、自分の直系の祖先の誰かが死んでしまったら?」

ゲルト「……私達は、産まれてこなくなる」

ほむら「それはねぇ、いくらなんでもお断りしたいですよねー」

ほむら「妖精さんならその矛盾もどーにかこーにかしてくれるでしょうけど」

ほむら「宇宙レベルの歴史改変の修正は流石に大変だそうなので、完璧な仕事はちょっと期待出来ません」

ほむら「問題が生じてからでは手遅れな以上、インキュベーター歴史上から根絶作戦は取れない訳です」

ほむら「なので代わりに、愉快で楽しい解決策を実行中だったりしますが」

まどか「解決策?」

ほむら「ええ。妖精さんを五十万人動員し、全力でとあるアイテムを開発しています」

マミ「ご、五十万人の妖精さん!?」

ゲルト「エリーさんのパソコンですら、数十人で一分もせずに完成させた妖精さんが……」

まどか「な、何を作っているの?」

ほむら「秘密です」

まマゲ「……」

まマゲ「え?」

ほむら「秘密です」




まどか「な……なんで?」

ほむら「え? なんでって……」

ほむら「折角だからサプライズって感じに完成発表をして、皆さんを驚かせたいので?」

まマゲ「おおおおおおおおおおおおおおいっ!?」

ほむら「別に良いじゃないですかー……どーせ皆さんに発表してもしなくても計画に変更はありませんし」

ほむら「だったらビックリドッキリして楽しんだ方が得ですよ?」

ゲルト「いやいやいやいやいや!? どこまで楽しさ重視なんですか!?」

マミ「これからの戦いの行方を決める、一番肝心な話じゃない!」

ほむら「皆さんノリが悪いですねぇ」

ほむら「どーせ勝利は決まっているのです。だったら楽しさ重視で良いじゃないですか」

まどか「だけど……」

ほむら「むー……そこまで言うなら、大まかな計画の流れは教えてあげましょうかね」

ほむら「簡単に言いますと、妖精さんの圧倒的テクノロジーによってこの星を
    インキュベーターにとって利用価値のないものに変えます」

マミ「利用価値が、ない?」

ほむら「元々連中は人類を資源程度にしか見ていません。地球の分化や文明なんて、連中にとっては無価値ですからね」

ほむら「故に人間に資源的な価値が無くなれば、向こうはこの星に居る理由がなくなります」

ほむら「いくら高度な文明といえども、宇宙艦隊を維持するには莫大な量のエネルギーを使います」

ほむら「資源的にかつかつな彼等の事。穀潰しを養う余裕はないでしょう」

ほむら「ついでに技術力の差も見せつけてやれば、攻撃しようという意欲も削げます」

ほむら「結果、奴らはいそいそと撤退する筈です」

ほむら「まるで、逃げ帰るように」

ほむら「真っ向から敵対して屍を築くより、そうやって追い払う方がずっと面白おかしいでしょう?」

まどか「でも、具体的にはどうするつもりなの?」

まどか「魔法少女と魔女をどうにかするつもりなのは分かるけど……」

ほむら「そこを言ったら秘密にならないので自分で考えてください。まぁ、当てられるとも思いませんけど」

マミ「何をするつもりなのかは分からないけど、とんでもない事をしようとしているのは分かったわ」

ゲルト「妖精さんの超科学で何をしようとしているかなんて、想像する事も出来ませんよね……」

マミ「そうよねぇ。もうなんでもありだもん、あの科学力」

まどか「……………」



まどか「……あの、すごく……すごく今更な事を聞くようなんだけど……」

ほむら「はい、なんでしょうか?」

まどか「……妖精さんって、なんなんだろうって……」

ほむら「……………は?」

まどか「あ、その反応は傷付くよ!? というかなんでちょっぴり馬鹿にした風なの?!」

まどか「この際だから言っちゃうけど妖精さんって可笑しいでしょ! 非常識だよ!」

まどか「それにあの出鱈目な科学力!」

まどか「言っとくけど私最強の魔女だよ!? 地球ぐらい簡単に滅ぼせちゃうんだよ!?」

まどか「そんな私をノリで真っ向勝負挑んだ挙句倒すとか可笑しいでしょーっ!?」

マミ「か、鹿目さん落ち着いて! あなたの言いたい事は分かるから!」

マミ「確かに、あの子達が出鱈目なのは私も常々思っているから!」

ゲルト「なんというか、考えないようにしていましたけど……」

ゲルト「改めて考えると、本当に訳の分からない存在ですね」

ゲルト「暁美さんは、彼等の事を何処までご存じなのですか?」

ほむら「何処までと言われましてもねー……ぶっちゃけ殆ど分からないです」

ほむら「出鱈目科学も、妖精さんが科学だと言っているから私も科学だと言っている訳で」

ほむら「何故楽しいと増えるのかとか、何故彼等が居るだけで世界が明るく楽しくなるのか」

ほむら「あまりにも分からないので、そういうものだとしか思っていませんもん」

ほむら「そもそもこっちの世界の住人じゃないですし……存在の世界観がずれているのは仕方ないかと」

ゲルト「こっちの世界?」

ほむら「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

ほむら「妖精さんは元々こちらの世界の住人ではなく、別の世界……」

ほむら「いわゆる並行世界、正確にはそれよりも”遠い”世界のそのまた深淵からやってきた方々らしいのです」



マミ「……異世界の住人って事かしら?」

ほむら「大体そんなところかと。一応地球の並行世界ではあるようですけどね」

まどか「……あまり驚きはないよね。異世界から来たと言われても」

マミ「正直、妖精さんならお茶の子さいさいのような気がするし」

ゲルト「でも、どうしてこちらの世界まで来たのでしょうか?」

ほむら「以前聞いた時は、お勉強のためだそうですよ」

まどか「お勉強?」

ほむら「ええ。主に、人間の命と心について」

まどか「……? 人間の事を研究しにきた、という事?」

ほむら「まぁ、そんなところです」

まどか「……あの、ほむらちゃ」

マミ「あら?」

ゲルト「? 巴さん、どうしました?」

マミ「……ちょっと待って」

マミ「これはどういう事かしら……どうして……」




マミ「何時の間にか、お鍋の中身が汁しか残っていないのかしら」



ゲルト「……」

まどか「……」

まどゲル「はい?」



杏子「お。お前らやっと話が終わったのかー?」

さやか「いやぁ、美味かった美味かった」

シャル「ごちそーさん」

ゆま「ご、ごめんなさい……おなべ、おいしかったから……」

旧べえ「きゅっぷい」オナカパンパン

エリー【もー食べられないわー……】

マミ「……いや、ちょっと待って」

マミ「今、暁美さんが大切な話をしていたわよね? 今後について大事なお話だったわよね?」

マミ「なんでその間みんなお鍋をもりもり食べてる訳?」

エリー【なんか私には関係ない話だったから、最初からお鍋に熱中してました】

ゆま「ゆま、こんなおいしいごはんはじめてで……つ、つい……」

杏子「あたしの頭じゃよー分からんので、途中からどうでも良くなって」

さやか「杏子ちゃんが食べ始めたのを見てこのままじゃヤバいと思って」

シャル「さやかが食べ始めたし、後の事はほむらと妖精さんに任せときゃ大丈夫だろって思って」

旧べえ「みんな食べ始めて僕の分が無くなりそうだし、話を聞くだけなら食べながらでも出来るので」

ほむら「皆さん食べ始めてましたけど、作った身としては皆さんが美味しく食べてくれれば満足なので」

まどか「ほむらちゃん気付いてたなら教えてよ!?」

ゲルト「私、全然食べてないんですけど!?」

マミ「私もお肉一枚しか食べてないわよ!?」

シャル「ほら、肉ならまだ余ってるし……これとか」

マミ「パックの隅にある千切れた油身を余ってると申すか!」

マミ「きしゃーっ!!」

さやか「巴先輩が両腕上げて歯をむき出しにしながら奇妙な叫び声を上げた!?」

杏子「あ、あれはマミが友人だと思っていた人の事を信じられなくなった時の威嚇ポーズ!」

さやか「何その酷く限定的な行動!? というか巴先輩あんなキャラだっけ!?」

杏子「普段先輩ぶってるくせにある程度親しくなるとやたら子供っぽくなるんだよあの人!」

さやか「めんどくさっ!」

ゲルト「私も怒りましたよ! きしゃーっ!」

シャル「面倒が増えたわよ。アンタの友人なんだからなんとかしなさいよ」シーハー

さやか「お前の友人でもあるだろうがーっ!!」

旧べえ「ゆまはあんな醜い大人になっちゃ駄目だからね」

エリー【こんな詐欺師にもね】

ゆま「う、うん……(このもやもやした人は何を言っているんだろう……)」


\ギャーワーギャーッ/


ほむら「……さて、私はデザートを食べるとしますかー」

まどか「ほむらちゃん、ナチュラルに酷いね」



ほむら「シャルロッテさん達は私達に無断でお鍋を食べ、巴先輩達は学習しなかった」

ほむら「だったらこっそりデザートを食べたとしても、私に非はありませんよ」

まどか「そういうところがナチュラルに酷いって言ってるんだよ」

ほむら「気にしない気にしない」

ほむら「それで、どうです?」

まどか「? どう、って?」

ほむら「先程、何か聞きたそうにしていましたからね」




ほむら「一緒に、うちの屋根の上でジェラードでも食べませんか?」



……………

………






                ―――― 暁美家 屋根の上 ――――



ほむら「んー、屋根の上で食べるジェラードは別格ですねー」

ほむら「夜風も気持ちいいですし」

まどか「……そう、だね」

まどか「……………」

まどか(さ、誘われたから一緒に来ちゃったけど……)

まどか(屋根の上で二人きりって、すごく恋人っぽくてドキドキする!)

まどか(こ、こんな状況で名前を呼ばれたら……)


――――まどかちゃん♪


まどか「うぇっひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

ほむら「っ!?」ビクッ

まどか「あ、ごめん。ほむらちゃんに名前を呼ばれる妄想をしたら、つい」

ほむら「そ、そうですか……って、随分素直に言いますね……」

まどか「ふられたからね。今更好意を隠しても仕方ないので」

ほむら「……襲わないでくださいね?」

まどか「善処するね」

ほむら「……まぁ、善処してくれるなら良しとしましょう」

ほむら「それで? 先程何を聞きたがっていたのですか?」

ほむら「答えられる事なら、答えます」

まどか「答えられない事もあるの?」

ほむら「ええ。スリーサイズや体重は秘密です」

まどか「残念」

まどか「……じゃあ、別の事を聞かせてもらうけど」

まどか「妖精さんは、人間の命と心を勉強しにきたんだよね?」

ほむら「ええ、そうです」

まどか「マミさんはそれを、研究しにきたと解釈していたけど……」

まどか「でも勉強ってそういう事じゃないよね」

まどか「勉強って、自分にないものを自分のものにしようとする時に使うよね?」

まどか「それじゃあ、まるで……」

ほむら「妖精さんが、生きていないかのよう?」

まどか「……」

ほむら「半分正解、ってとこですかねー」

まどか「!? は、半分正解って、どういう事?」



ほむら「昔……それこそ妖精さんと出会って、一年かそこらの時でしょうか」

ほむら「私も鹿目さんと同じ疑問を、つまり妖精さんとは何者かという疑問を持ちました」

ほむら「そこで彼等に尋ねたところ」

ほむら「彼等の故郷、こことは違う世界に、一度だけ連れていってもらった事があるんです」

まどか「妖精さんの、故郷……」

ほむら「とは言っても地球なんですけどね。違いがあるとすれば」

ほむら「人類が絶滅して、妖精さんが地球を支配しているという事でしょうか」

まどか「えっ!? ぜ、絶滅って……」

ほむら「調べる時間がなかったので、原因については分かりかねます」

ほむら「別段放射能とかウィルスによる汚染が酷いとかもないので、比較的穏やかに衰退したとは思いますが……」

ほむら「またあの世界に行って調べようにも、あちらに行くと」

ほむら「『まざる』から、妖精さんはあまり長い事居られないみたいなんです」

ほむら「正直なんのこっちゃですけど、嫌がる妖精さんに無理強いは出来ません」

ほむら「なので私もその世界についての詳しい知識はない訳です」

ほむら「知っているのは人間の代わりに妖精さんが地球を支配している事」

ほむら「そして、そこの妖精さん達は」

ほむら「人間と変わらない姿と暮らしをしている事ぐらいなものです」

まどか「人間と同じ姿? あの妖精さん達が大人になったら、人間みたいな姿になるの?」

ほむら「私も同じ事を疑問に思い、彼等に尋ねました」

ほむら「結論から申しますと、彼等は大人になっても人間の姿にはならないとの事です」

ほむら「あちらの地球……そうですね、仮にA地球と呼びましょう。私達の住む地球がB地球です」

ほむら「A地球の妖精さんと我々の知るB地球の妖精さんは、元は同じですが今では大きく異なる存在――――」

ほむら「推論になりますが、亜種のような存在に分かれたのだと思います」

まどか「亜種……種を分けるほどの違いはないけど、部分的な違いが見られる?」

ほむら「ええ。混ざるというのが何を意味するのかは分かりませんが」

ほむら「彼らが生まれ故郷の世界に長期滞在出来なくなった理由は、そこにあると私は考えています」



ほむら「……遥か昔、妖精さんはただの”力”……命や心以前の、もっと根源的な存在だった」

ほむら「だけどある日、命と心を持った存在、その中でも特に”楽しそうに”生きている人間に憧れ」

ほむら「人間の模倣を始めた……のでしょう」

ほむら「で、色々な人間を見た方が模倣する上で都合が良いと思ったのかは分かりませんが」

ほむら「数千年、或いは数万年前、一部の妖精さんがB地球にやってきた」

ほむら「それから長い時間をかけて」

ほむら「A地球の妖精さんは人と同じ姿と心を手に入れ、B地球の妖精さんは素敵な愛玩系生命体になった」

ほむら「……私に分かったのは、いいえ、推測出来たのはそこまでです」

ほむら「何故二つの世界で妖精さんの姿にここまで違いが生じたのかは、残念ながら私にはよく分かりません」

ほむら(それに、A地球の至るところに存在するあの”妖精さん”の事も――――)

まどか「……ほむらちゃん? どうしたの?」

ほむら「――――ああ、失礼」

ほむら「結局のところ、妖精さんについて知っている事は私もそんなに多くないのです」

ほむら「正直に言えば、今の彼等を命の範疇に収めて良いのかも分かりません」

まどか「そんな事……」

ほむら「だから、私はもっと妖精さんの事を知りたい」

ほむら「妖精さんの秘密を解き明かせたら、きっと毎日を……いいえ、世界をもっと楽しく出来ると思うのです」

ほむら「そして、いずれは――――」



「ほぉーむぅーらっ!」




ほむら「っ!」バッ

「え、ちょなんで躱しぎゃああああああああああああああああああああああああ!?」

まどか「ほ、ほむらちゃんの背後から誰か来たけどほむらちゃんが回避したからその人が屋根から落ち……!?」

まどか「あ。なんださやかちゃんか」

さやか「なんだとはなんだ!? なんだとは!」

杏子「さやか様ご無事ですかーっ!!」

さやか「って、なんで杏子ちゃんまで屋根から飛び降り」

どんがらがっしゃーん < ギニャーッ!?

シャル「何やってんのアイツ等……」

ほむら「あら、シャルロッテさん。何時の間に此処に?」

シャル「ついさっき。部屋からアンタ達が居なくなったのに気付いて」

シャル「なんとかと煙は高い所が好きって言うから、ここに居るかなーと思って」

ほむら「あらあら。失礼ですねぇ、鹿目さんを馬鹿呼ばわりするなんて」

まどか「私、ほむらちゃんに誘われたから此処にいるんだけど?」

ほむら「それはさておき」

まどか「おかないでよー……」

ほむら「わざわざ呼びに来たという事は、家で何かありましたか?」

シャル「うん。ゆまちゃんが妖精さんに何かお願いしちゃったみたいでね」

シャル「妖精さんが作った玩具のお城の中に、ゆまちゃんが囚われてしまったの」

シャル「で、キュゥべえと巴さんがすぐに助けに行ったけど」

シャル「三分後に二人とも、実家の農業を継がないといけない呪いにかかり家の中で桃の無農薬栽培を始めたのよ」

シャル「これは私達の手には負えないと判断して、アンタを呼びに来たって訳」

まどか「今更だけど全然意味分からないね」

ほむら「んー、大方ゆまさんがお伽噺のお姫様みたいになりたい、とか言ったんじゃないでしょうか」

ほむら「とりあえず、お城には私一人で出向きましょう」

ほむら「他の皆さんは、巴先輩達がこれ以上畑を広げないよう阻止でもしていてください」

シャル「ん? 一人で良いの?」

まどか「何人かで行動した方が良いんじゃ……」

ほむら「今日の風邪で体力の無さを実感しましたからね。鍛錬がてら久しぶりに一人で童話災害を解決しようかなーと」

ほむら「ま、愛用のナイフ一本あればアメリカンなクリーチャーだって倒せますし。なんとかしますよ」テクテク



シャル「……本当に行っちゃった」

シャル「愛用のナイフ一本あればって、アイツ今までどんな経験してきたのかしらね?」

まどか「うん……」

まどか「……………」

シャル「? 鹿目さん、どうしたの?」

まどか「え、あ、なんでもないです。うん」

シャル「そう?」

まどか「……」

まどか(ほむらちゃん、さっき何を言いかけたんだろう……)




















ほむら(良いとこが話が途切れてしまいましたね……)

ほむら(まぁ、でも今になって考えてみると、話をするには時期尚早だったかも知れません)



ほむら(この星を妖精さんで満たすという、私の夢を語るには)



ほむら(……A地球には、どういう訳か妖精さんが”二種”存在する)

ほむら(先程鹿目さんに教えた、人と同じ姿になった”妖精さん”)

ほむら(それから、私達が知る妖精さんと同じ姿の”妖精さん”)

ほむら(私をあの世界に連れて行ってくれた妖精さん曰く「どちらもぼくら」で)

ほむら(その二種類の”妖精さん”に満たされている地球は、楽しくて、穏やかで、面白くて)

ほむら(とても、あたたかかった)

ほむら(……私は知りたい)

ほむら(何故A地球は妖精さんのものとなったのか。何故A地球の妖精さんは人の姿まで至れたのか)

ほむら(A地球を満たすほど増えたあの妖精さんはなんなのか。何故人型の妖精さんには不思議な力がないのか)

ほむら(何故――――B地球は、妖精さんのものとならないのか)

ほむら(妖精さんは楽しい事があれば増える。それはA地球の、小さな妖精さんと変わらない)

ほむら(なのに、何故かB地球では妖精さんは私の周りにしかいない)

ほむら(どうしてこの地球は妖精さんで満たされない?)

ほむら(A地球は妖精さんでいっぱいなのに、どうしてB地球はそうならない?)

ほむら(その秘密を解き明かせた時、きっとこの地球も妖精さんで満たせる筈)

ほむら(悲しみがあっても、苦しみがあっても、最後は笑顔になれる)

ほむら(あのあたたかい世界を作れる筈)

ほむら(……そして、あの秘密を一発で解き明かす方法もある)

ほむら(その方法は今まで決心が付かなくて、出来なかった。少しだけ怖くて、臆して、やれなかった)

ほむら(でも、今は違う)

ほむら(私の大切な友達が怪我するなんて、そんな世界は認めない)

ほむら(友達が理不尽に殺されそうになる世界なんて、必要ない)

ほむら(覚悟は決まった。私がどうなろうと、もう構わない)

ほむら(こんな世界、変えてやる)

ほむら(アイツ等に思い知らせてやる)






ほむら(妖精さんの楽しいパワーと人間のいじめっ子パワー……それが合わさった時に何が起きるかを……!)











                 ―――― 見滝原某所 ――――




疾患QB「くそ……くそっ、糞糞糞糞糞ッ!」

疾患QB「まさか跳ね返された余剰次元砲が運悪く命中して、戦艦が落ちてしまうなんて……」

疾患QB「あの程度の戦力では駄目だ。今回動員した戦力では全然足りない」

疾患QB「しかし余剰次元砲すら無力化するような相手。恐らく通常戦力をいくら導入しても被害が増えるばかり」

疾患QB「単独で、今回動員した戦力の数十倍の効果を上げられるような超兵器……」

疾患QB「最終兵器プランを使う以外にない……」

疾患QB「そうだ。あれさえ、あれさえ稼働すれば……」



「あらあら、キュゥべえじゃないですか」



疾患QB「! 誰だ……!」

疾患QB「……って、なんだ君か」

「……随分と失礼な態度ですね」

「偶々見つけたから、グリーフシードの処理を頼もうと思ったのに」

疾患QB「ん? ああ、そうかい」

疾患QB「じゃ、こっちに投げてくれ」

「はいはーい」

疾患QB「よっと……回収完了」

疾患QB「じゃ、僕は帰るね」

「ふーん、随分と淡泊な反応ですね」



疾患QB「生憎今は忙しいんだ。この見滝原に居る連中のせいでね」

「連中? 魔法少女ですか?」

疾患QB「いいや、ただの人間だ。暁美ほむらって言う奴だよ。あと――――」

疾患QB「妖精さ」

「はぁ? 妖精ぃ?」

疾患QB「そいつらが中々厄介でね。手こずっているんだ」

「ぷっ。このご時世に妖精だなんて、随分とファンシーな答えですね」

「しかも妖精って呼ぶからには、そいつはお伽噺に出てくる小さな虫けらみたいな奴って事ですよねぇ?」

「そんなのに手こずるなんて……ぷぷっ」

疾患QB「……君なんかが妖精に挑んだところで秒殺されるだろうけどね」

「……なんですって?」

疾患QB「そうだねぇ。僕に出来るのはもうグリーフシードをより多く集める事ぐらいだし」

疾患QB「暇なら、妖精と暁美ほむらを始末してみないかい?」

「はぁ? そんな事して、私に何か得があると?」

疾患QB「ああ、勿論」

疾患QB「色々あってね。この町の魔法少女は魔女狩りを止めたのさ」

疾患QB「だからこの街で魔女を狩る者は、今や誰も居ない」

疾患QB「完全な空白地帯だ」

「あら。なら見滝原全域を私の狩場にしても問題ない訳ですね?」

疾患QB「ところがそうはいかない」

疾患QB「暁美ほむらと妖精が、魔女を保護しているからだ」

疾患QB「彼女達は君が魔女を退治し、グリーフシードを手にする事を全力で妨害するだろう」

「成程。つまり、暁美ほむらって奴と妖精を始末する事で」

「見滝原に巣食う大量の魔女は、ようやく私の物になるという訳ですかぁ」

「面倒ですけど、見返りとしては十分過ぎますね」

疾患QB「ま、どうせ無理だろうけど」

「……あなた、そんなやさぐれキャラでしたっけ?」

疾患QB「色々あってね」

「ふーん……ま、いっか」

「そういう事ならちょちょいっと、このわたし」






沙々「優木沙々が、暁美ほむらと妖精をやっちゃいますっ!」バンッ







今日はここまでー
妖精さんメモは、書き忘れていました……次回、倍の量で書きます。

さて。

……はい、私は以前しっかり書いてしまいました。人間の子供は触れずとも物を動かせると。
そして命は向こうからやってくると。
助手さん含めて全部伏線だったのかよぉーっ!! と、叫びたい気分でした。

そんな矛盾を解消しようとした結果、本SSの妖精さんは大昔に人退原作地球からやってきた方々となりました。
便利だね、並行世界。

で、本SSの妖精さんは、原作妖精とは亜種の関係です。だから原作とはちょっと設定が違います。
今回の話でぼかされた部分とあからさまな謎はえぴろーぐで明かされるでしょう。

これにて矛盾は(無理やり)解☆決 <横ピース

え? 人間の子供が触れずに物を動かす件? 並行世界だから人間っつってもちょっと作りが違うんだよ(開き直り


ところで桃の無農薬栽培ネタが通じる人はどれだけいるのだろう……
昔、教科書で収量0%の表記を見て思わず笑ってしまったのは自分だけじゃないと信じたい。
読んでくれている人に居るかは分かりませんが。

さぁ、エンディングまであとちょっとだから頑張るぞーっ!











沙々にゃんの追悼式会場は↓からです。


……沙々って誰?

沙々にゃん…
このわざとらしいヤムチャ臭!

>まどか「……? 人間の事を研究しにきた、という事?」

解釈したのはまどかだった件について


>>706
……。
げぇーっ!? 思いっきり書き間違えてたぁーっ!?
ごめんなさい……そこマミさんで脳内修正してください……


今回も乙でした~

収量0% ……
木になってググってみた。これか……
https://www.agri.zennoh.or.jp/pest/safety/siyouigi.asp
>1.もしも、無農薬で栽培したら...

>JA全農 営農・技術センターでは1993年、実際に無農薬栽培が可能かどうか、いくつかの作物について試験栽培をおこない検証しています。
> 試験は農薬を使って防除した畑と、無農薬で栽培した畑で、収穫量を比較することでおこないました。病気や害虫の発生はその時々でずいぶん違いますが、結果をまとめると以下のようになりました。

>表は通常どおり農薬を使って栽培した時の収量を100としたときの指数です。

>● 総収量は通常の12%-99%(平均60%)にダウン
>● 出荷収量(総収量-市場規格外)は3%-81%(平均48%)にダウン

> また、同年(社)日本植物防疫協会の実験取りまとめに よると、農薬を使用しなかった場合の収量は、稲が72.5%、りんごが3.0%、桃が0%、キャベツ が36.6%、きゅうりが39.9%となっています。

>>699
(´・ヮ・`){ネタバレはしっかりしちゃうわけですな


触れずに物を動かした子供はいつの間にか妖精さんアイテムを使ってたんじゃない?
B世界では取替えが起きてないんでしょ?

桃が0%ってどういうこと……

薬漬け調教でんほぉおってしないと出荷出来ないって事



どうも、お久しぶりでこんばんはな>>1です。

>>700
個人的にはもっと出番が増えても良いのではと思うキャラです。丁度いい悪役的な意味で。

>>703
ヤムチャはサイバイマンと相討ちまで持って行けただろ! いい加減にしろ!

>>709
そうそう、それです。昔のデータだし、具体的にどんな栽培方法をしたのかは知らないので
今はどうか分からないけど、やはり農薬は偉大だなぁと思う訳です。

と、元農学系学生が言ってみる。

>>710
そこらへんバレしないと今後の話の意味が分からなくなる事態が……

>>711
取り換えは起きてないです。全人類ちゃんと人間です。

>>712
果実はあまり詳しくないのですが、多分表面が虫や病気で傷付いたり汚れたりしやすいのではないかと。
収量0%って、多分売り物にならないものが100%という意味だと思うので。流石に食えない物が100%ではないと
思いたい。

>>714
個人的には定期的に薬を飲まないといけない病弱系美少女。
……どこかで聞いたような設定だな。



それでは沙々にゃん登場回。果たして彼女はほむら達に勝てるのか!(ネタバレ:無理)

乞うご期待!




えぴそーど にじゅうさん 【優木沙々さんの、もぎとれみたきはら】





優木沙々。





それはキュゥべえに「自分より優れた者を従わせたい」と願い、魔法少女になった者。


その祈りから生まれた魔法は「洗脳」であり、魔女を操り、魔女を用いて魔女を狩る戦い方を主にしている。


そして彼女の魔女は人を襲わない――――なんて事は、ない。


何故なら魔法少女の使命は魔女を狩る事であって、人間を守る事ではないのだから。


彼女は己の欲望に正直で、そのためなら他者の犠牲すらも厭わない。


それはかつて巴マミ達が嫌悪した『悪の魔法少女』であり、佐倉杏子が最後までなれなかった『魔法少女の正しい姿』。


これは、『本来の時間軸』には現れなかったそんな魔法少女の





理不尽で不条理でハートフルな一日の話である……





                 ―――― 見滝原駅 ――――



沙々「くふふふ……ついにやってきました見滝原」

沙々(キュゥべえの話によれば、ここに暁美ほむらと妖精がいて、たくさんの魔女を保護しているとの事)

紗々(そして、この見滝原の縄張りを収めているのも彼女達)

沙々(そんな彼女たちを潰せば晴れてこの縄張りはわたしのものとなり)

沙々(同時に、大量のグリーフシードがわたしのものとなる訳です♪)

沙々(キュゥべえはやたらとわたしを煽ってきましたが……全く問題ありません)

沙々(わたしの魔法は『洗脳』)

沙々(わたしより優れている者、わたしが嫌いな奴を従わせたい――――その願いから生まれたわたしの魔法は)

沙々(わたしが憎たらしいと思った相手なら、どんな奴でも効力を発揮する)

沙々(まぁ、全てに劣っていれば効力はないのですが、そんな奴は恐れるに足りません)

沙々(魔法で洗脳し、わたしへの警戒心を失わせ)

沙々(隙を見せたところで後ろから……どんっ)

沙々(これでお終い。楽なもんです♪)

沙々(仮に、そう仮にですが)

沙々(キュゥべえ曰く『厄介な』相手。なんらかの方法でわたしの魔法を無力化したとして)

沙々(それすら問題じゃありません)

沙々(だってわたしには下僕である、十匹の魔女が支配下にある)

沙々(どれも使い魔から育てた魔女で、その実力は折り紙付き)

沙々(普通の魔法少女なら魔女を一匹相手にするのも大変です。それが十匹も現れたら一方的に嬲られるだけ)

沙々(更に、いざとなったら備蓄として持ってきた四つのグリーフシードを魔女にする事も出来る)

沙々(暁美ほむらがどれだけ強かろうと、わたしの勝利は揺らがない……)

沙々「さぁ、面倒はさっさと片付けて、早いところお楽しみタイムに入りたいものです」

沙々「この街の全てを洗脳し、わたしの下僕にするというお楽しみを、ね」

沙々「くふふふふふふふふふふ」



……………

………





                ―――― 暁美家・外側 ――――



沙々「ふむ。キュゥべえから聞いた住所通りなら、此処が暁美ほむらの家ですかぁ……」

沙々「こんな立派な一軒家に住むなんて、ああ憎らしい……」

沙々「……ふふ。早速魔法が利く条件を満たしてしまいましたねぇ、暁美さん」

沙々(さて。今日は休日だから学校は休み。朝も早いですし、暁美ほむらはまだ家に居る筈です)

沙々(インターホンで呼び出し、玄関から出てきたところを不意打ちで魔法を食らわせる……と行きたいところですが)

沙々(キュゥべえからの情報によると、暁美ほむらは三人の同居人と共に暮らしているとか)

紗々(呼び出しで暁美ほむらが出るとは限りませんし、仲間の前で洗脳しても、呼びかけとかで魔法が解けかねない)

沙々(しかも同居人の一人は佐倉杏子)

沙々(風見野で活動をしていた魔法少女の中では最も力を持っていたベテラン)

沙々(噂でしか聞いた事のない相手ですが、ベテラン魔法少女と共に居るのは厄介です)

沙々(勿論、魔女を保護する暁美ほむらと共に暮らしているのなら、彼女も魔女狩りを止めている筈)

沙々(グリーフシードが枯渇し、今頃”魔法が使えなくなっている”可能性もありますが)

沙々(流石に、ベテラン相手にそこまで油断しちゃう訳にはいきません)

沙々(まずは情報収集。家の中での会話を盗み聞きし)

沙々(誰かが一人になった瞬間を狙い、そいつに洗脳魔法を掛ける)

沙々(一人成功すればあとはとんとん拍子です。その一人に、暁美ほむらをここまで連れてきてもらい)

沙々(わたしを友達だと紹介させた上で、暁美ほむらと二人きりになるよう取り計らせる)

沙々(そうなればもうわたしの勝利は確定です)

沙々(さあ、壁に耳を当て、魔法で神経を尖らせて中の音を聞けば――――)





















きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!



沙々「ほげぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

沙々「ぎぃやあああ!? み、耳が!?  魔法で神経尖らせ過ぎて耳が、耳がああああああああああ!?」

沙々「な、なんなんですか今の悲鳴は……中で、一体何が起きたんですか……!?」

沙々(ぐっ……出鼻を挫かれたが……しかし、これはチャンス)

沙々(ただならぬ事態が起きたのなら、混乱に乗じて洗脳魔法を掛けやすいかも知れない)

沙々(何が起きたか知っておかねば――――)



                   ―― 暁美家・内側 ――



ほむら「きゃあああああああっ! 嫌あああああああああああっ!!!!?」

杏子「……ほむらの奴、なにをそんなに叫んでんだ?」

シャル「ああ、アレが出たのよ。アレ」

杏子「アレ?」

シャル「台所の黒い帝王」

杏子「ああ、ゴキブリね」



ほむら「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? その名前を出さないでくださいぃぃぃぃ!?」

ゲルト「あらあら。暁美さんが随分と可愛らしくなっちゃって……暁美さんにも苦手なものってあったんですね」

ゲルト「……でも、サバイバル経験が豊富なら平気であるべきなんじゃ?」

ゲルト「森の中だと結構たくさんいますよね?」

ほむら「野生種は平気なんです! あちらの餌は落ち葉とか枯れ木で、こっちの食べ物には集らないですし!」

ほむら「で、でも台所に出る奴は……」

シャル「ひゅー、おっとめー♪」

ほむら「うう……台所のあちこちに病原菌をばら撒かれたらと思うと……」

ほむら「サバイバルで一番怖いのは下痢による脱水なんです……あれは……マジで死にます……!」

シャル「……怖がる理由に乙女らしさはなかったわね」

杏子「ある意味安心したけどな」

杏子「でもゲルトが怖がらないのは意外だなぁ」

ゲルト「そうですか?」

杏子「いや、お前、あたしらのメンツじゃ一番乙女っぽいと思うし。なんつーか、ゴキブリ見たらきゃーきゃー可愛く叫びそう」

シャル「あー、確かに。そんなイメージ」

ゲルト「私ってそんなイメージなんですか……」

杏子「で? なんで平気なんだ?」

ゲルト「うーん、平気というか……」

ゲルト「昔、ハエの悟り遺伝子について調べていたら、なんかゴキブリの見た目って大した事ない気がしまして」

ゲルト「それに薔薇を育てていると虫と出会う機会も多いですし……ハバチの群れとかアブラムシの大群とか」

ゲルト「アレらに比べれば、まだゴキブリはマシな部類だと私は思いますね。私は、ですけど」

杏子「ふーん(悟り遺伝子ってなんだろ?)」

ほむら「ひぃぃぃ!? 何処に、何処にぃぃぃぃぃぃ!?」



シャル「あーもう、五月蝿いわねぇ……妖精さんにゴキブリホイホイでも作ってもらえば良いじゃん」

ほむら「そんな悠長な方法取ってられません! いえ、そもそも何匹居るかも分からないのですよ!?」

ほむら「確実に根絶しなければ安心出来ません!」

シャル「じゃあどうすんのよ」

ほむら「この『問答無用根こそぎ害虫ニュークリアボマー』で全てを破壊し尽くします!」ヒョイ

シャル「え?」

杏子「うわぁ。黒い球体に導線って、もろに爆弾だアレ……」

ほむら「これは半径300メートルに特殊な爆風を生じさせ」

ほむら「あらゆる生命体を吹っ飛ばす、究極の爆弾なのです!」

ゲルト「何それ怖いんですけど」

ほむら「これを使い、あの黒い悪魔を根こそぎ追い払ってやります……ふ、ふふふふふふ」

杏子「いやいやいやいやいや、落ち着け。兎に角落ち着け」

杏子「そんなもの使ったらあたしら死んじゃうから。絶対死ぬから」

ほむら「ご安心を。吹っ飛ぶだけで死にはしません。安心安全、優しさがモットーの妖精さんアイテムですから」

ほむら「まぁ、死ぬほど痛いんですけど」

シャル「死ぬほど痛いの!?」

ゲルト「あの本当に止め」

ほむら「起動っ!」

シャゲ杏「あ」


ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!



                ―――― 外側 ――――


沙々「え」


ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!



……………

………





ほむら「……えー、半径300メートルを吹き飛ばすと言いましたが、実は例外がありまして」

ほむら「使用者の安全を守るため、爆弾を中心にした半径2メートルは爆風の影響を受けない仕組みとなっています」

ほむら「ですから私の傍に居た皆さんは心配せずとも良かったんですよ♪」

シャル「ふっざけんなあああああああああああああああああああああああ!!」

杏子「マジで死ぬかと思ったぞ!?」

ゲルト「し、心臓止まるかと思った……」

ほむら「いやいや。皆さん大袈裟ですねぇ」

ほむら「さっきも言いましたけど、直撃を受けても死ぬほど痛いだけで、死にはしないんですから」

杏子「でも死ぬほど痛いんだろ!?」

シャル「言っとくけど魔法少女って痛み慣れしてないんだからね!? 痛覚のコントロールが出来るから!」

ゲルト「そもそも慣れていても痛いのは嫌です!」

ほむら「あ、今日は買い物に行きたいので、皆さん支度の方お願いします」

シャゲ杏「聞けよ!」

ほむら「昨日は鍋パーティで食材大放出しちゃいましたからねぇ。冷蔵庫の中がすっからかんなんですよ」

シャゲ杏「だから聞けって!」

ほむら「ちなみに買い物を手伝ってくれなかった悪い子のお昼は抜きになります」

シャル「ちょっと着換えてくる」

杏子「歯磨きしてくらぁ」

ゲルト「携帯(妖精さん製)の充電しとかないと……」

ほむら「そうそう、それで良いのです」

ほむら「暁美家の胃袋を誰が握っているのか、それさえ分かればねぇ」←ゲス顔中

シャゲ杏(くっ、逆らえない……!)






                 ―――― 暁美家・外側 ――――



沙々「」プスプス

沙々(うぎ、おぐおぉあぁああぁぁ……!? し、死ぬほど痛ぇぇえぇぇぇぇぇ!)

沙々(な、何をされたか分からないが攻撃か……!?)

沙々(い、いや、落ち着けわたし!)

沙々(そうだ。中での会話で、ゴキブリ退治って言ってたじゃないか)

沙々(キュゥべえが厄介だと言っていたから、多少力があるのは想定内)

沙々(その力の使い方が……ちょ、ちょっとダイナミックだっただけです)

沙々(むしろあの力を洗脳で手に入れれば、今後のわたしにとって大いに役立ちます!)

沙々(くふ、くふふふ……このわたしをコケにした報い、受けてもらいますよぉ……)

沙々(……………)

沙々(でもその前に全身が痛くて堪らないので、魔法で回復しとこう……)

沙々(……回復魔法、苦手だから魔力使うなぁ……)

沙々(……グリーフシードのストック、あと三つになっちゃった……)



……………

………






                 ―――― 見滝原商店街 ――――



ほむら「えーっと、人参、ジャガイモ、ベーコンにニンニクに……」

ほむら「うん、買い物はこれぐらいで良いですね」

シャル「や、やっと終わった……?」

杏子「おーもーいー……」

ゲルト「暁美さん、手ぶらじゃないですか……少しは持ってくださいよ……」

ほむら「私は朝昼晩で皆さんの料理を作っているのですよ? そのぐらいは楽させてくださいよ」

ゲルト「それは、まぁ、そうだとは思いますけど」

シャル「ちなみにお昼と晩ご飯はなんの予定?」

ほむら「お昼は親子丼、晩ご飯は野菜たっぷりのミネストローネをメインにしようかと」

ほむら「ミネストローネはバートリ・メルジェーベトが喜びそうな、色鮮やかなやつに仕上げてみせますのでご期待ください」

ゲルト「鮮血じゃないですかそれ」

シャル「そこでツッコめるゲルトちゃんも大概よね」

杏子「意味が分かっているお前もな」








沙々「……」コソコソ



沙々(家から四人揃って出てきたので後を付けてきましたが……買い物のようですね)

沙々(見たところ四人の仲は割とクールな感じ)

沙々(わたしの周りにいた馬鹿どもみたいにべたべたしていないのは好感が持てますし)

沙々(一人になるタイミングが多い、という意味でも喜ばしい事ですねぇ)ニタァ

沙々(まさかトイレまで一緒に行く、なんて事はないでしょう)

沙々(その時を狙い、誰かを仲間に引き入れれば――――)コソコソ



ほむら「ああ、そうだ……郵便局行ってお金下ろさないと」

シャル「たくさん買ったからねー」

杏子「つーかさ、わざわざ食材を買う必要ってないんじゃないか?」

杏子「妖精さんに頼めば食材ぐらいいくらでも持ってきてくれるだろ」

ほむら「お金とは経済における血液のようなものです。巡らせれば全身に栄養が行き渡り、活力が漲ります」

ほむら「しかし留まらせれば、エネルギーは巡らない。周りが徐々に壊死していく」

ほむら「ましてや不必要に貯め込めば、他が必要としているエネルギーの循環すら止めかねません」

ほむら「私のようにお金がなくても生きていける者こそ、積極的にお金を使うべきなのですよ」

杏子「ああ、金は天下の回りものってやつね」

ほむら「まぁ、あと何から作られたのか分からないってのもありますが」

ゲルト「え」

ほむら「安全性はバッチリですから気にしませんけどね、少なくとも私は」

ほむら「さて、郵便局に行くにはこっちの道を曲がって……」


\ワイワイガヤガヤ/


ほむら「むむ? なんですかこれ……野次馬だらけじゃないですか」

シャル「うわ、この人ごみを掻き分けるのは大変ね……何? 事故?」

ほむら「みたいですけど、一体なんの――――」

ほむら「あ」

シャル「ん? どうし……ああ」

ゲルト「そう言えばコレ、今まで触れずにいましたけど」

杏子「まぁ、日曜八時のアニメじゃあるまいし、勝手に消える訳がないんだけど……」





【エリーのパソコン(全長500メートル)の残骸】<デーン




ほむら「……どうしましょうかねぇ、これ」

< ッテ、ナンジャコリャアアアアアアアア!?

シャル「ん? なんか悲鳴が……」

ほむら「どっかの誰かが初めてこれを見たんじゃないですか?」

ゲルト「確かに、初めてこれを見れば誰でも叫びますよね……」

杏子「うわ、なんかどっかの研究所の博士みたいな奴が破片を調べてるぞ」

シャル「そりゃ調査員みたいな連中も来るわな」

ほむら「……ふむ」ゴソゴソ

ほむら「妖精さんアイテム『でっかい蚊』~」

シャル「うわ、体長2メートル近いでっかい蚊が……何それ?」

ほむら「モスキート音ってありますよね? 若い人にしか聞こえない音ってやつで」

ゲルト「あ、昔テレビで見ました」

ほむら「あれを使って人を追っ払うという着想の元、私が妖精さんを唆し」

ほむら「彼等の遺伝子工学によって、人間が恐怖を感じ逃げ出す羽音を出せるほど巨大な蚊を生み出してもらいました」

ほむら「それがこの『でっかい蚊』です」

シャル「遺伝子工学ってレベルじゃない大改造だと思う」

杏子「つーかモスキート音、もう関係ないじゃん」

ほむら「良いんです。彼等に望むものを作ってもらうには、こういう面白さ重視の発想が大事なのです」

ほむら「さ、あのパソコンの残骸に群がる人々を追い払ってくださいな」

蚊【ブブブブブブブッ!】ギューン

野次馬「ん? う、うわぁ!?」「巨大な蚊が!」「ひぃー! 血を吸い尽くされるー!」
「な、なんだありゃあ!」「退避! 退避ーっ!」「助けてくれぇーっ!」

ドタバタ……

シャル「……呆気ないほど簡単に全員追い払えたわね」

ゲルト「野次馬は兎も角、調査をしている人はもう少し奮闘してほしかったです」

杏子「で? 追い払ったって事は、中に入るんだよな?」

ほむら「当然です」ヒョイ



ほむら「一応アレ、妖精さんアイテムですし、片付けられるのなら片付けた方が良いでしょうからね」

ほむら「人間は勿論、インキュベーターにも解析出来るとは思いませんが」

ほむら「万一流用する形でこの技術を使われたら」

ほむら「悪い事にはならないでしょうが、しっちゃかめっちゃかにはなるでしょうからね」

ゲルト「ああ……確かにそうなりそうですよね……」

杏子「しかしこんなでっかい破片、どうやって回収するんだ?」

ゲルト「小さいやつでも三メートルぐらい、大きいものは百メートルぐらいありそうですよ?」

ゲルト「特別大きなあの破片なんて、まるで塔みたいにそびえてますし」

ほむら「問題はそこですよねぇ……」

シャル「別に無理して回収しなくても良いんじゃないかしら。どーせ解析出来ないし、応用されても困らないんだし」

シャル「見滝原の新しい観光名所にしちゃえばいいじゃん」

ほむら「いやー、観光名所にするのはちょっと……これ、結構バランス悪そうですよ」

ほむら「こんな感じに突いたら簡単に倒れちゃいそうで……」ツンツン

――――グラッ

ほシャゲ杏「あ」





沙々(暁美ほむら……まさか巨大な怪生物まで使役しているとは……)

沙々(癪ですが、キュゥべえの言い分を少しは認めないといけませんね)

沙々(一対一に持ち込んでも、果たして魔法を掛けるチャンスがあるかどうか――――)

沙々(ん?)

沙々(なんですか? 空が急に暗くなりましたが……)

沙々(嫌ですねぇ。今日の天気予報は晴れだったのに、もし雨でぬれたらテレビ局に魔女を送ってや)

沙々(……あれ? なんか塔みたいな塊が段々大きくなってきて)

沙々(あ、こっちに倒れてきてるのか)

沙々「って、なんで倒ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」



< ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


ほむら「……………」

シャル「……倒れたわね」

ほむら「……ええ」

シャル「……どうなさるおつもりで?」

ほむら「逃げましょう」

シャル「グッド」

ゲルト「グッド、じゃないでしょおおおおおおおおおおおおおおお!? 大惨事ですよ大惨事ぃ!?」

ゲルト「あれ軽く数百人死んでいても可笑しくない規模の大崩落じゃないですかーっ!?」

ほむら「大丈夫です! あんな状態でも妖精さんアイテムですから死者は出ません!」

シャル「退却よ! たいきゃああああああああああくっ!」

杏子「ちょ、お前らマジで逃げるのかよ!?」

ゲルト「え、え、ぁ、うわぁぁぁぁぁんっ!?」










沙々「ご、っぱぁ!?」ズガンッ



沙々「ごほっ、げほげほ……! な、なんとか瓦礫の山から這い出る事が出来た……」

沙々「瓦礫が軽くなかったら生き埋めだったぞ……つーかめっちゃ軽いんだけどなにこれ? 発泡スチロール?」

沙々「いや、なんにせよ魔法少女じゃなかったらマジで死んでいた……そのぐらいには重かった……!」

沙々「ぐぎぎぎぎ……! じ、事故とはいえ、こんなダメージを追う事になるとは!」

沙々「……まずは魔法で怪我を治して……」

沙々「ちっ! グリーフシードをまた一つ使ってしまいました……あと、二つ……」

沙々「いや、消費した分は奴等を消せばいくらでも取り返せるとして」

沙々「このわたしが嘗められっぱなしだなんて、認められるか!」

沙々「アイツ等全員、必ずぶっ潰してやる……!」

沙々「滅茶苦茶に、心が壊れるまでねぇ……!」



……………

………





ほむら「ごひゅー……ごひゅー……ごひゅー……!」

シャル「相変わらず体力ないわねぇ……言い出しっぺのくせに、真っ先にダウンしちゃって」

ゲルト「少しは身体を鍛えた方が良いのでは……?」

ほむら「ひゅ、げほっ、げほげほ、ごほっ! げほげほげほ!」

シャル「何言ってんのか分かんないわよ」

ゲルト(何か言おうとしているのは分かるんですね)

杏子「……と言うかさ、がむしゃらに逃げていたら」

杏子「どっかの廃工場に来ちまったな」

シャル「そうねー……あれ?」

ゲルト「? どうしました?」

シャル「いや、なんか此処見覚えが……ああ、思い出したわ」

シャル「此処、以前地底探検をする事になった工場だわ」

ゲル杏「地底探検?」

シャル「あの時はまだ二人とも、私達と知り合ってすらいなかったからねー」

シャル「簡単に言うと――――」クイクイ

シャル(ん? 裾を引っ張られた……ほむらに?)

シャル「どうしたの、ほむら?」

ほむら「げほ! げほげほ! がっ、げほっ!」

シャル「何? あっちを見ろって言いたいの?」

シャル(何処かを指さしてるみたいね。えっと、指が向いている方にあるのは……穴?)

シャル(随分と大きい穴、って、あれは……)

シャル「……そう言えば、あの後塞いだ訳じゃなかったわね」

ほむら「げほげほっ! ごほっ!」

シャル「確かに、向こうから出てこないとも限らないか。あまり長居しない方が良さそうね」

シャル「みんな、早くこの工場から出ましょう」

ゲルト「え? え、ええ……そうですね。廃工場みたいですし、不法侵入ですもんね」

杏子「……あとで理由、説明してくれよ」

シャル「それはほむらに聞いてよ。私はコイツに”言われて”逃げ出すんだから」

スタスタスタ……





沙々「ぶはっ! ようやく追いつきました……!」



沙々(って、誰も居ないじゃないですか……すれ違ったか、それとももっと奥に行ったのか)

沙々(取り巻の魔法少女達の魔力を追わないと……)


――――ガラッ


沙々「!」

沙々(なんの音……って、工場のど真ん中に開いた穴が崩れた音のようですね……)

沙々(……いやいや、なんですかあの穴は?)

沙々(軽く五メートル以上ある大穴じゃないですか。めっちゃ危険ですよアレ)

沙々(なんなんですかこの街……)

沙々(確かに噂で変なデザインの学校があるだとか、やたらでかい病院があるとか聞きましたが)

沙々(でもあんな超巨大な塔というか瓦礫? があるとか)

沙々(廃工場にでっかい穴が開いているとか)

沙々(そういう非常識な噂は聞いた事なかったのですけど……何? 暁美ほむらが魔女を保護した事による影響?)

沙々(魔女の数が増えればそりゃ奇妙な事件も増えるでしょうけど、でもだからってこれは……)


――――ガラガラ……


沙々(……あの穴、崩落しませんよね? さっきからどんどん崩れてるみたいなんですが)

沙々(いえ、ここまで離れていれば大丈夫だと思いますし)

沙々(万一ここまで崩落が広がっても、魔法少女の身体能力なら離脱可能な筈)

沙々(何も恐れる必要はありません)


――――グルルルルル……


沙々「ちょっと待て」



沙々「え? 何? 何なの今の鳴き声? 獣?」

沙々(あの穴に犬でも落ちているのでしょうか? まぁ、助けてやる義理もないのですが)

沙々(……そうですねぇ。その憐れな面を拝んでおくのも良いかも)

沙々(暁美ほむらのせいで大分ストレスが溜まってますし、ここらでスッキリとした気持ちになりたいところ)

沙々(さーて、どんな奴が落ちたのかなーっと)

グリフォン【グルルルルル……】

沙々(へぇー、鷹の頭と翼を持ちつつ、下半身はライオンと言われているグリフォンそっくりな犬ですねぇ)

沙々「……………」

沙々「ぐ、ぐぐぐぐグリフォンんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?」

グリフォン【ギャアアアアアアアアアアアアアアスッ!!】バッ

沙々「ぎょえーっ!? 穴からグリフォンが飛び出してきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

沙々「というかなんでグリフォンがリアルに実在しちゃってるんですか!?」

沙々「そりゃ魔女とかキュゥべえとか妖精とか居ちゃうこんな世の中ですけど」

沙々「それでもグリフォンは非常識過ぎるでしょおおおおおおおおおお!?」

グリフォン【ガオンッ!】

沙々「ひっ!? つ、爪で攻撃してきた!? あわわわわ……!」



沙々「そ、そうだ、変身すれば……!」ヘンシン

沙々「く、くふふふふふ……そうだ、変身すればこんな怪物、恐れる必要はない」

沙々「一対一なら魔法で洗脳しちゃえばいいんです! なんの問題もない!」

グリフォンB【ギィオオオオン!】
グリフォンC【ガルルル】
グリフォンD【オオオンッ!!】
グリフォンE【ギャアアアアアアアスッ!】

沙々「言った傍からいっぱい出てきたあああああああああああああああああ!?」

沙々「なんなんですかこれぇ!? ちょ、無理無理!」

沙々「そ、そうだ魔女! 私の育てた魔女を戦わせましょう!」

沙々「ま、魔女ども行け! いけぇ!」

魔女*10【オオオオオオオ】

グリフォン*5【ギャオオオオオオオオオオンッ!】

沙々「ひぃっ!? なんかちょっとした怪獣決戦みたいになってるぅ!?」

魔女【オオッ!】

沙々「ぐぇ!? 魔女の攻撃の流れ弾がみぞおちにっ!?」

グリフォン【ギャオンッ!】

沙々「げふっ! 吹っ飛んできたグリフォンがわだじの上にっ!?」

魔女【オ――――!】

グリフォン【ギシャアッ!】

魔女【オオッ!?】

沙々「ほげっ!? わ、わたしを押し潰しているグリフォンの上に、他のグリフォンの攻撃を受けた魔女が積み……」

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

沙々「!? な、何この音!?」

沙々「まさか工場が崩れようとしているんじゃ……」

――――ベキ、ガラガラガラ、ズドーン!

沙々「まさかじゃなくて現在進行形だったァ――――――――!?」

沙々「ひぃぃぃ!? だ、脱出、脱出……!」

沙々「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


ズズーンッ……



……………

………





沙々「う、うぅ……げほ、げほ……」

沙々「い、命、からがら……崩れゆく廃工場から、脱出、出来ました、が……」

沙々「服は、ボロボロ……治療で、グリーフシードは、使い果たし……」

沙々「魔女は、回収する暇がなく、全部、廃工場に、置き去り……」

沙々「死んではいない、でしょうが……しかし、グリーフシードがない、今……」

沙々「洗脳、魔法も……ろくに、使えず……回収は、不可能……」

沙々「こ、んかい、は……引き上げないと……」

沙々「家に、二個だけ、グリーフシードのストックが、あります……」

沙々「あれを使って、魔力を回復、し、て……」

沙々「地元の、魔女を洗脳、し、て……」

沙々「それから、戦力の再編と……グリーフシードの、備蓄を作って……」

沙々「うう……地元に籠ってた方が良かった、かも……」

沙々「なんなんですか、この街ぃ……魔境ですかぁ……」

沙々(もう、精神的に疲れ、た、です……おうち、帰って、寝たい……)

沙々(そうだ……平穏に暮らせればいいじゃないですか……下手に縄張りを奪わなくても、今のままで十分楽しいですし……)

沙々(うん、そうだ……家族と一緒に笑って暮らせれば、それで良いじゃあないですかぁ……)

沙々(優木沙々は静かに暮らしたい……植物のように……平穏な、日々を……)


「はふぅー……今日は疲れましたねぇー」


沙々「!?」ビクッ

沙々(な、なん……!?)

沙々(今の声は、まさか!)






ほむら「ただ買い物にきただけなのに、やたらとドタバタしてしまいましたよー」


沙々(あ、あああああ暁美ほむらあああああああああああ!?)






沙々(な、なんで此処に!? 偶然遭遇しちまったのか!?)

沙々(い、いや、ここまで来て偶然だと思えるか?! いや、偶然だと思うべきじゃない!)

沙々(まさか、わたしの存在に感付いている……!? だとしたら、今までの出来事は……)

沙々(しかしどれも事故みたいなものだし、そう決めつけるのも……)

沙々(と、兎に角、様子を窺いましょう!)

沙々(逃げるにしてもどうするにしても、情報が無くては……)コソコソ



シャル「いや、ドタバタの原因は大体アンタのせいでしょうが」

ゲルト「暁美さんがあの瓦礫をつつかなければ……」

杏子「いや、でもつついただけで倒れたって事は、あれ、本当にヤバかったんじゃないか?」

杏子「ほむらのお陰で人が居ない状態になってたんだし、そう責めるなって」

ほむシャゲ(佐倉さんマジ天使)

ほむら「はぁー……それにしても疲れました……」

ほむら「お金を下ろすのはまた今度で……別にすっからかんでもありませんし」

ほむら「このまま真っ直ぐお家に帰りましょう」

シャル「さんせーい。こっちはもう買い物袋を持つのもしんどいし」

ゲルト「走り回ったからか、お腹が空いてきましたよー」

杏子「だな。さっさと帰って……」

杏子「ん?」

ほむら「? 佐倉さん、どうしました?」

シャル「ちょっとー、面倒事とか見つけないでよー?」

杏子「いや、悪い。もう遅いわ」



杏子「あれって……ナイフ、だよな?」

シャル「え? ……うわ、本当だ。ナイフが落ちてるじゃん。気持ち悪いわねぇ」

ゲルト「誰かの落し物でしょうか?」

ほむら「うーん、刃渡りは凡そ15センチ、ですか」

ほむら「法律上刀身が6センチ以上の刃物は正当な理由なしでは持ち運べません」

ほむら「また理由があって持ち運ぶ時も梱包などの安全対策が必須ですから、もろに銃刀法違反な代物ですね」

ほむら「落し物、というよりも証拠品と言うべきでしょうか」

シャル「いや、そんな詳しい解説求めてないから」

ゲルト「というか、なんでそんな事知っているのですか……」

ほむら「これでもナイフ愛好家ですので……ナイフ一本あれば狩りも護身も道具作りも出来ますからね」

ほむら「流石に平時は持ち歩きませんけど」

シャル「ふーん。アンタの事だから、刀身6センチ以下のナイフを持ってくると思ったわ」

ほむら「いえ、刀身6センチ以下でも正当な所持目的がない場合軽犯罪法違反になります。護身用は認められませんし」

ほむら「それに使い慣れたナイフが12センチのやつなんで、あまり小さいと手に馴染まないんです」

ほむら「ま、何度も死線を潜り抜けた相棒の代わりはいないってところですよ」

シャル「……ガチっぽい解答されると反応に困るわ」

ゲルト「死線を潜り抜けたって、今まで本当にどんな経験してきたんですか……」

杏子「それよりさ、あのナイフどうすんの? 警察とかに通報した方が良い訳?」

ほむら「ああ、そうですね。そうした方が良いでしょうね。もしかすると、銃刀法じゃ済まない事件の証拠かも知れませんし」

ほむら「一応警察に通報しておきましょう」



カサッ



ほむら「……………」

シャル「ん? 木になんか黒いものが――――」

シャル「あら」

杏子「ああ、ゴキじゃん。夏が近くなると、外でも偶に見るよなー」

杏子「……そういやコイツ、ゴキブリ駄目なんだっけ」

シャル「野生種は平気って言ってたし、大丈夫なんじゃない?」

ゲルト「……いや、あれチャバネじゃないですか。屋内種、というか外来種だから日本の野生には棲んでないやつです」

シャル「って、事は――――」

ほむら「ほみゅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううっ!?」

シャゲ杏(ほみゅう?)

ほむら「ご、ごき、ごき、チャバネ!?」

ほむら「ひぃぃぃぃ!? げ、下痢は、下痢は嫌ああああああああああああああ!」

シャル「何がアイツをあそこまで駆り立てるのだろうか」

ゲルト「発言が発言だけに、あまり知りたくはないですね……」

ほむら「な、なに、何か武器……」

ほむら「!」

ほむら「これ……!」

ほむら「――――妖精さんアイテム『筋力アップダンベル』!」

シャル「うわっ!? なんかダンベルを取り出した!?」

ほむら「そして――――」

杏子「空いた手で落ちてたナイフを拾って――――」





ほむら「どりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

――――ブンッ!!

シャゲ杏「投げたあああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

杏子(つーかなんてスピードだ!? あたしの目でも追えねぇ速さだぞ!?)

シャル(絶対あの妖精さんアイテムの効果だ!)

ゲルト(ダンベルなのに鍛える前にパワーアップって順序が可笑しいですよ!?)

杏子(などと時間制限を限りなく無視した事を思っている間に、猛烈な速さで放たれたナイフがゴキブリに――――)





G【】スッ

シャゲ杏「避けたああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」



――――カッ!

ほむら「ちぃっ! 外した!」

ほむら「何処だ!? 何処に逃げたあああああああああああああああ!」

シャル「ちょ、ほむら口調変わってる!? 別人みたいになってるから!?」

杏子「……アイツの事はシャルに任せるか」

ゲルト「投げましたね」

杏子「お前もな」

杏子「……つーか、ナイフどっかに飛んでいっちまったな。木に刺さらず、弾き返されちまったから」

杏子「マジで弾丸並の速さで飛んだから、すっげー遠くに飛んじまっただろうなー」

ゲルト「探すのもなんか面倒臭いですし……ほっときますか」

杏子「指紋出てきてもほむらのだしな。それでトラブっても、アイツならなんとかするだろ。多分」

ゲルト「ですね」

杏子「……しかし妖精さんアイテムで腕力アップさせてから投げたみたいだし」

杏子「あれ、何処まで飛んでいくんだろうな」

ゲルト「隣町まで吹っ飛びそうな速さでしたよねー」

ほむら「ほぎゃああああああああああああああああああああああああああ!? 足、足元にぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」





沙々(……どうやら、わたしの存在には気付いていないみたいですね)



沙々(なんか今はゴキブリに気を取られているみたいですし)

沙々(このままこっそり逃げるとしましょう)

沙々(ええ、そうです。もうこの街には近付かない……)

沙々(わたしは地元に引き籠ってひっそりと――――)


カッ


沙々(ん?)


カッ

カッ


沙々(なんですか、この音……)


カッ カッ カッカッカッ


沙々(何かが、跳ね返っているような……?)


カッカッ カッ カッ カッ


沙々(近付いているような……?)


カッカッカッカッカッカッ


沙々(というかこの音って)

沙々(さっき暁美ほむらが投げたナイフが木に弾かれた時の音――――)


カッ!!


沙々「って、なんかナイフがこっちに飛んできどうふっ!」グサッ



沙々「うぎゃあああああ!? な、ナイフが、額に!? 額にぃぃぃぃぃ!?」

沙々「ぐ、ぐ、ぐぉぅふっ!?」ズルリッ

沙々「な、なんかめっちゃ深く突き刺さりましたけど、なんでわたし生きてんの!? いや死にたくないですけど!」

沙々(というかどういう事だオイ!?)

沙々(このナイフ、遠目で見ていたから確信は出来ないが……)

沙々(間違いなく、暁美ほむらがぶん投げたナイフ!)

沙々(つまりあの猛烈な速さで投げたナイフが、壁とか電柱とか木とかで跳ね返り続け)

沙々(そして最後はわたしの頭にクリーンヒット!?)

沙々(ふざけんな! 跳弾したナイフに当たるって、B級映画でも見ないシーンだわっ!)

紗々(狙ってやったとしたらあまりにも馬鹿馬鹿し過ぎて逆に偶然を疑うっつーの!)

沙々(仮に狙ってやったとしたら、あっちがこっちを完全に把握してなきゃ無理――――)

沙々「……!?」

沙々(まさか、奴等は本当にわたしの存在に気付いている!?)

沙々(いや、でもわたしの姿はアイツ等にはまだ見られていない筈! 知りようがない!)

沙々(知りようが……)

沙々(で、でも、知っていると考えたら、全て辻褄が合う……?)



沙々(そうだ、今朝からずっと可笑しいじゃないか!)

沙々(家に近付いたら爆発に巻き込まれ!)

沙々(暁美ほむらがつついた巨大な瓦礫がわたしの方に倒れてきて!)

沙々(後を付けて入った廃工場で怪物に襲われた挙句!)

沙々(投げナイフの跳弾でこっちの頭を正確に射抜きやがった!)

沙々(あんな事が全部偶然起こるなんて……あり得ない! 少なくとも暁美ほむらは、わたしの存在に気付いてる!)

沙々(しかし一体どうやって!? どうやってわたしの事を知った!?)

沙々(いや、それよりも一体何処まで知っている!?)

沙々(いくら後を追ったからって、いきなり殺しにくるぐらいだ……間違いなく、わたしの魔法は調べている筈)

沙々(わたしの魔法が調べられるのなら、もう何を調べる事が出来ても可笑しくない……)

沙々(わたしの縄張り、行動パターン、生活サイクル……それら全てを知っていても不思議じゃない)

沙々(そして、す、住んでいる場所も……!?)

沙々(あり得る! わたしの魔法を知っているのなら、家を知るぐらい余裕だ!)

沙々(家を知っているのなら、わたしが眠った隙に暗殺する事が出来る!)

沙々(ここで家に帰ったら、殺される……いや、そもそも帰れるのか?)

沙々(もうグリーフシードのストックはない。魔女も居ない。新たな魔女を洗脳する余力もない)

沙々(そんな状態で、何時攻撃されるか分からない中、家に帰る……)

沙々(出来る訳がない!)

沙々(……今日、今ここで暁美ほむらとはケリを付けなければならない)

沙々(あの強大で、こちらの全てを見透かしているであろうアイツを……)

沙々(……もう、あの手を使うしかない……)




沙々(最後の、あの手段を……!!)



……………

………






               ―――― 見滝原公園 ――――



まどか「あ、ほむらちゃん、みんな。やっほー」

さやか「よーっす」

ほむら「あら、こんにちは」

杏子「よぉ、まどか。それからごきげんよう、さやか様」

シャル「相変わらずさやかにだけ態度違うわね」

ゲルト「今日はお二人でお出かけですか?」

さやか「うん。映画見に行ってた」

まどか「出来ればほむらちゃんと二人きりでラブストーリーな映画を見たかったけどね」

まどか「今日はさやかちゃんで我慢です」

さやか「おうおう、言ってくれるな」

ほむら「私、ラブストーリー系とか退屈で寝ちゃうタイプなんですよねぇ」

まどか「ウェヒー……」

さやか「そしてこの結果である」

マミ「あら。みんなこんなところに集まってどうしたの?」

ゲルト「あ、巴さん。こんにちはー」

杏子「別に集まっていた訳じゃないけどな。そういうマミは?」

マミ「私はキュゥべえとゆまちゃんの家に寄ってて……」

ほむら「ゆまさんのお家ですか?」

マミ「ええ。詳しくは聞けなかったけど、あの二人って今、二人だけで暮らしているみたいでね」

マミ「キュゥべえは兎も角、ゆまちゃんはまだ小学生だから色々大変でしょ?」

ほむら「大変というか、児童相談所に通報すべきレベルだと思いますけど」

マミ「……キュゥべえがゆまちゃんから七時間以上かつ三メートル以上離れると、発作を起こしてしまうらしいから……」

ほむら「了解。細かい事は気にしない事にします」



マミ「えっと、それでね? どんな場所で暮らしているのかとか、ご飯はどうしているのかとか」

マミ「そういうのを見てきたの」

ゲルト「それで、巴さんの意見としては?」

マミ「うーん、本人がそれで幸せならいいんじゃない……ってレベルかしら」

ほむら「つまり、傍目にはあまりよろしくない環境だと」

マミ「ええ。本当は無理やりにでも児童相談所に連れて行くべきなんでしょうけど……」

ほむら「まぁ、事情がありそうですし、今回は特別という事にして、今度みんなでお邪魔するとしましょう」

ほむら「妖精さんアイテムも使えば、現状よりずっとマシな生活環境に出来るでしょうし」

マミ「そうしてくれると助かるわ」

シャル「話は終わった? なら、そろそろ帰りたいんだけど……」

杏子「両手の買い物袋が重い……」

マミ「あ、ごめんなさい! 引き留めちゃったわね」

ゲルト「いえいえ」

ほむら「それじゃあ、そろそろ帰らせていただきますね――――ん?」

さやか「? どうかした?」

ほむら「……誰か、こっちに来ますね」

さやか「へ? 誰かって……」

シャル「……確かに、誰か来たわね。まっすぐ、こっちに向かって」

まどか「……?」





沙々「……く、ふ、くふ、くふふふ……」フラフラ




マミ「……何かしらあの子。ちょっと……不気味……?」

ほむら「……そうこうしていたら、まぁ、向き合う形で対峙する事になった訳ですが」

ほむら「えーっと、何かご用でしょうか?」

沙々「……くふ、くふふ」

沙々「くふふふふふふ」スッ

まどか「!? あ、あれは――――」

シャル「ソウルジェム!?」

ゲルト「という事は、魔法少女!?」

ほむら「……穏やかじゃありませんね。いきなりソウルジェムを見せてくるとは」

ほむら「我々の前に姿を現したという事は、恐らく私達の事はキュゥべえから多少は聞いている事でしょう」

ほむら「目的はなんですか? この見滝原の魔女を狩りたいとかでしょうか?」

ほむら「もしそうなら、こちらも相応の対応をさせていただきますが――――」

沙々「……く、くふ」

沙々「くふ、くふふふふふ」

沙々「くふふふふふふふふ」

ほむら「……笑ってばかりで埒があきません」

ほむら「仕方ありません。みなさん、少々強引ですが、あの方を気絶させてもらえませんか?」

ほむら「妖精さんに頼んで記憶の抽出を」


沙々「くふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ!」ダッ


ほむら「っ!?」

ほむら(突然走り出してきた!? まさか、直接攻撃!?)

杏子「ちっ! 出遅れた……が、遅ぇ!」

シャル「その程度の速さでどうにか出来ると思って――――」











































沙々「マジ、すいませんっしたぁ……!」ドゲザ











全員「……え?」

沙々「命だけは助けてくださぃ……!」プルプル

全員「……え?」





最終手段 ザ☆命乞い





沙々「殺さないでぇぇ……!」ガクガク

全員「……………」

ほむら「……なんで皆さん私の事を見るのですか」

シャル「いや、どう考えてもあんたが原因でしょ」

さやか「魔法少女をこんな震えるまで怖がらせるとか……」

ゲルト「暁美さんならあり得ると言いますか」

まどか「ほむらちゃん以外にこういう展開を起こせる人は居ないと思うし……」

ほむら「いやいやいや!? 濡れ衣ですよ!」

ほむら「私は今回何もしていませんよ!? この人が勝手に謝ってきただけですから!」

さやか「あ、普段はトラブルの原因って自覚はあるのね」

ほむら「そういう時はわざとやってますので」

杏子「おい」

マミ「でもねぇ……」

ほむら「むぅ! そこまで言うなら確かめましょう!」

ほむら「そこのあなた、一体誰に対して命乞いをしていると言うのですか?」

ほむら「怒りませんし、怒らせませんから、正直にお答えください」

沙々「……あ……」

沙々「あなた様でございます……ほむら様ぁ……!!」

ほむら「ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

全員「……………」←軽蔑の眼差し

ほむら「え、あ、いや、ちが……」

沙々「な、なんでもしますから……命だけは、命だけはぁぁぁぁぁ……!」

ほむら「ええええええええええええええええええええええええ!?」





暁美ほむらに虐められ、逆らってはいけない存在を知った沙々にゃんは悪の魔法少女から足を洗いました。


しかし機嫌を損ねたら殺されるという強迫観念で、ほむらに媚びずにはいられない体質になっており、


沙々にゃんは心の傷が癒えるまで実家に帰れなくなっていました。


無論責任は虐めた側にあるので、ほむらが責任を持って沙々にゃんの心の傷を癒す事になりました。(賛成7:反対1で)


こうして暁美家には新たな居候が増え、ますます賑やかになったのです(注:ハートフル要素)。








                                       めでたしめでたし。





ほむら「いや何一つめでたくないですよね!? というかなんで私が虐めた事になってるんですか!?」

沙々「ほむら様ああああああああああああああ!」

ほむら「ちょ、は、離れ……!」

まどか「……不潔」

ほむら「うぇぇぇええええええええええええええええっ!?」

ほむら「な、なんでこんな事になってるのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」



















疾患QB(……やはり、優木沙々も駄目だったか)

疾患QB(まぁ、結末自体は予想通りだ……暁美ほむらの仲間になるという結末だけは)

疾患QB(それでいい。問題ない)

疾患QB(あんな脆弱な下等生物が一匹増えたところでこちらの勝利は揺らがない)

疾患QB(……く、くくく、くひひひひひひひ)

疾患QB(ああ、もう少し。もう少し)

疾患QB(あとほんの数日で、暁美ほむらと妖精も終わりだ)

疾患QB(最終兵器プラン……)

疾患QB(『ワルプルギス(魔女達)の歴史』が完成するんだからね――――)



妖精さんメモ



『ほっぷすてっぷ洗面台』※オリジナル※

妖精さんが地底から脱出するためだけに作ってくれたアイテムです。外観は正に洗面台ですね。

その効力はこの洗面台の水で手を洗った人間を『もこもこ』に変え、特殊な空間を経由させる事で任意の場所に

移動させるというもの。妖精さんはその空間を生身で移動出来るようですが、人間は『もこもこ』にならないと

素粒子レベルでバラバラにされてしまうそうです。これだけ聞くと安全性に疑問を抱くかも知れませんが、

しかしそこは妖精さんアイテム。「ほどけたいなー」と思いながら通らない限り、大丈夫だそうです。

……ところで解けたいってどういう意味でしょうね? こっちの人間はそう思わない、とかなんとか……

そもそもこっちの人間の意味が――――(以下考察を殴り書きしている)



『ペーパークラフト生命体』※原作設定 メイドさんはオリジナル※

妖精さんテクノロジーの中で、飛び抜けて人を驚かせてくれるのがこのペーパークラフト生命体でしょう。

文字通り彼等は紙で出来ており、動力は輪ゴムとなっています。

しかしそれだけなら精巧なだけの、人間でも作れる図画工作。

妖精さんテクノロジーで生み出された彼等は、紙でありながら恒常性や新陳代謝機能を持ち、

搭載したスペックによっては自己増殖機能や世代交代・自然淘汰による進化すらも成し遂げる。

つまり妖精さんは人間では出来ない生命の創造を、有機物という枠すらすっぽ抜けたレベルで実現しているのです。

我が家のメイドさんはお手伝いとして生み出していただいたので、生物的機能の一部は持ち合わせておりません。

しかし自らの意思で考え、食事(何故か普通の食べ物で大丈夫だったりします)もし、睡眠や休息を必要とする。

そんな彼女達は誰がどう見ても生物であり、地球よりも重いと言われる命だと私は思っています。



『なんでも大百科』※オリジナル※

この世のあらゆる『できごと』『ものごと』の方から記載してくれる、究極の大百科です。

あまりにも情報量が多く、全てを記載した状態だととても持ち運べないサイズなので、検索した言葉が紙に映る

仕組みとなっています。

『できごと』『ものごと』自身が記載しているので事実をありのまま書いてあり、議論の予知のない真実を

知る事が出来る……と言いたいのですが、何分『ご本人』が書かれているので、他の『できごと』『ものごと』に

関する記載に関しては大雑把、或いは稀にですが事実と異なっていたりするのが難点です。

ちなみに検索した言葉が表示されているページを破壊すると、その『できごと』や『ものごと』が無かった事になります。

所謂歴史・法則の改変であり、とんでもない事のような気がしますが、妖精さんアイテムでは珍しいものではありませんね。





『お悩み相談空間』※オリジナル※

妖精さんが私の悩みを解決しようと思い、作ってくれた特別な空間です。

並行世界に存在する自分を呼び込む事で、相談に乗ってくれる人を増やしてくれる……という、

実に妖精さん的な発想で成り立っています。ちなみに入る事は出来ても出口は存在せず、恐らくは

ちゃんと悩みを相談しないと外には出られない仕組みとなっているのでしょう。

残念ながらそれを確かめる前に定員オーバーで空間が壊れてしまい、調べる事が出来なくなってしまいました。

ちょっと残念。



『記憶ホームランバット』※オリジナル※

すっきり爽快! これで頭を一発殴れば脳髄と一緒に記憶が吹っ飛びます!

……初めてこのバットの説明書を見た時、使うのを躊躇ったのを今でも覚えています。

あの時は私もまだ妖精さんに慣れていませんでしたからねー

今では面倒臭い時、何かをもみ消したい時、憂さを晴らしたい時に重宝している、素敵なアイテムです♪





『問答無用根こそぎ害虫ニュークリアボマー』※オリジナル※

ゴ■■■(ペンで塗り潰されている)……台所の黒い奴に困っていた私に、妖精さんが送ってくれた便利グッズです。

スイッチを押すとその瞬間大爆発。生命体だけに有効である特殊な爆風によって周囲300メートルのあらゆる害虫、

ついでに犬とか猫とかネズミとかアライグマとか人間とかを根こそぎ吹っ飛ばしてくれる最強防虫アイテムとなっています。

それだけだと単なる兵器なのですが、しかしそこは心優しい妖精さん。

あくまで吹っ飛ばすだけで、爆風を受けても死ぬほど痛いだけで死にはしない素敵仕様。

更に使用者とその身近な人を守るために爆弾の半径2メートルには効果が及ばないようになっています。

さぁ、皆さんもこの爆弾を使って清潔で安全な生活を送りましょう!



『でっかい蚊』※オリジナル※

とにかくでっかい蚊です。妖精さんのバイオテクノロジーによって生み出されました。

……あまり書く事ないです。血も吸わないですし……というかベースになったのがユスリカだし……

強いて言えば、見た目が気持ち悪い、でしょうか?



『筋力アップダンベル』※オリジナル※

ああ、筋肉が欲しい。だけどトレーニングは面倒臭い。

そんな時に便利なのがこのアイテム。なんと持つだけで、見た目は変わらないけど途轍もないパワーが身に着きます!

……と、筋トレ全否定の便利アイテムです。ダンベルなのに筋トレ不要とはこれ如何に。

まぁ、それが妖精さん的に面白かったのでしょう。

ちなみに具体的にどれぐらいパワーアップするかは分かりませんが、以前使った時は片手で大人のゾウを持ち上げる事が

出来ましたので参考までに。




今日はここまで!

沙々ちゃん登場回(活躍するとは言っていない)、ようやく書けました……
人退風な雰囲気でキャラを弄るのは中々難しい。上手く表現できたかは分かりませんが、笑ってもらえたら
それはとっても嬉しいな。

さて、脳内の台本通りに進めばあと三話ほどでこのSSは終了(酷いネタバレである)。最終決戦間近です。

それで、出来ればラスト三話はあまり間隔を開けずに投下したいので、少々お時間を頂きたく思います。
大体一月ほどを目安に、投下の目途が立ったら予告したいと思いますのでそれまで気長に待っていただければ幸いです。

ではではー


ほむほむはムカデやゲジゲジも平気なのかな?

乙です~

>>718
709ですが、桃の果実がデリケートすぎる件が関係してんでしょう
店で桃を買ってきて、表面を軽く指で押し、室温で数時間放置する。傷んだ!(はず)
さらに一日放置する。腐った……(はず)

虫の一刺しでも喰らったら、収穫までに腐り落ちそう。


あと、けっこう香りが強いので、鳥や虫が集まりやすそう。

という感じで収穫不能になるのではないかと。
売り物どころか食用にもならない端材レベルの収穫も、たぶん無理な気がする


>>758-760
>理不尽で不条理でハートフル
と言ってるんだから、hurtfulに決まってるじゃん。heartfulだったら直前の形容詞と矛盾するし

hurtful 【形容詞】
1 (肉体的・精神的に)苦痛を与える.
用例 a hurtful sight 痛ましい光景

まあ沙々ちんは元々ザコ体質とは言えムゴイ事になったな。
でも通常ルートでオリキリコンビにフルボッコされるよりはマシか。

とりあえずは乙

PS:対魔法少女シリアルキラーのすずねさんとかにもこうなってくると出てきて欲しいかもね。
  あと牛に乗ってるあの子とか、腕が飛び出すババンバンなラスボスさんとか。

最悪の魔女の出現を予知し、計画を考え続け、「今更」計画ができたのでまどかの命を狙いに来るオリキリと聞いて

織莉子「インキュベーターの野望を阻止するために千歳ゆまとQBを接触させたわ」
キリカ「魔法少女を襲って、薔薇園、お菓子、ハコの魔女から遠ざけたよ」

みたいな裏方に徹していたんだよ、きっと!

なりすまし防止機能なので、「◆pA8Bpf.Qvk」などのトリップをそのままコピーして名前欄に貼り付け書き込んでも、「◇pA8Bpf.Qvk」としか表示されない。
つまり、◆(黒)の部分は◇(白)に変換されてしまうので、文字列(パスワード)を知らない限りなりすますことは不可能。

よし出来た
多分なりすまし

あ、ちなみに自分が再現できないって言ったのは
「一回目はトリップ入力しても白抜き四角になったのに2回目以降は問題なくトリップ機能したから」
であって、そういう初歩的なことじゃないぞ>>799-800

あっそ

さっきテストして確認してきました。
ああ、あの◇そういう意味なのね……

宣言通り22日午前に投下いたします。

何で煽ってくるのかね
まじめな話BB2Cの不具合でHTMLタグが名前欄にくっつくんだよ
◆が◇になった報告はないし酉そのままコピペしたんだろう
>>805
乙乙

本人が酉コピペする訳なかろうに
ともあれ4日か、待ってる

>>801>>808
それ本当に事実だったら速報始まって以来の大事件だから運営に報告してね


待たせたな……(何度目だ)
一度速報が見られなくなって締切伸ばせるかもーとか思ってしまった>>1です。
最終回間近だから、何度見直しても色々気になっちゃうのよね……
だから締切がないと延々繰り返すだけになる。悪い癖だね。


>>766
ほむら「ムカデは怖いですけど、ゲジは平気です。アイツを食べますし」
シャル「私には違いが分からないんだけど……」

>>770
確かに桃はデリケートですよねぇ……食べられない率が酷い事になりそう。納得。
あと>>1は英語での応答がYES・NOしか出来ない奴だよ! 日本語すら満足に使えないんだから
辞書レベルの伏線なんて仕掛けられないよ!

>>773
生きてますし、魔女にもならなくなったのでむしろ儲けものかと。
……まど神様はコイツの祈りも無駄にしたくないと思うのだろうか……自殺だから対象外?

>>775 >>776
おまけで二人がどうなっていたか書きます(確定)ので、お楽しみに。
一つだけ言える事は、二人とも幸せにやってますよ。


先日はトリップ上手く出来ておらず失礼しました。遅くなりましたが、教えてくださった方々ありがとうございます。
普通に書き込んだ筈なんだけど、なんでだろう? まぁ、また変になってもその都度修正すればいいか(ぇ)



それではラスト三話の第一弾投下です。

なお、雰囲気重視でラスト三作は妖精さんメモのコーナーはなしです。
おまけで復活するけどな!





えぴそーど にじゅうよん 【人間さん達と、わるぷるぎすのよる】





                ―――― 祈りの魔女の結界 ――――



エルザマリア(以下エルザ)【――――――――】

――――シュババババッ!


シャル「くっ! たくさんの触手が……いや、これは、使い魔!?」

まどか「だとしたら切ったりする訳にはいかないよ!」

まどか「だって私達は、あの人達を助けに来たのだから!」

シャル「でも攻撃が激し過ぎるわ!」

シャル「せめてあの使い魔の攻撃をどうにかしないと!」

さやか「どうすればあの魔女に、誰も傷付けずに近付けるんだ!!」

ほむら「そんな時はこれ」

ほむら「妖精さんアイテム『何時の間にかコード』~」テッテレー

シャル「はい、暁美さん。それはどのような道具なのかしら?」

ほむら「家電のコードって、気を付けて使っていても、何時の間にかぐっちゃぐちゃになってたりするじゃないですか」

まどか「はいはい。確かによくなってますねー」

ほむら「その原理を応用し、このコードをゆらゆら~と揺らす事で」

ほむら「ひも状の物体の誰もが持っている『あ~なんか絡みたい~』という気持ちを誘発」

ほむら「その結果!」

エルザ【私の使い魔達ががんじがらめのしっちゃかめっちゃかにーっ!?】

使い魔【タスケテゴシュジンサマー】

エルザ【キィヤアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアア!?】

妖精さんA「つかいまさん、もみくちゃがおすき?」
妖精さんB「にんげんさんのてでもてあそばれたい」
妖精さんC「ゆびでころころされたいですなー」
妖精さんD「なにそれかちぐみやんけ」

エルザ「ギョエアアアアアアヘンナイキモノガワタシノアタマノウエニィィィィィ!?」

さやか「妖精さんのお陰で魔女も使い魔も正気に戻った!」

ほシャまさ「これにて一件落着!」

沙々「ほむら様凄い! ほむら様カッコいい!」<紙吹雪を撒いている

マミ「何この茶番」


……………

………





エルザ「助けてくれてありがとうございます……」キラキラ

まどか(美少女だ)

エルザ「狂っていた自分を正気に戻してくれただけでなく」キラキラ

さやか(正統派清純系美少女だ)

エルザ「人間だった頃の姿を、私の古い記憶から呼び起こし」キラキラ

シャル(見ていると心が洗われるような美少女だ)

エルザ「再び、人としての生を与えてくれるなんて……!」キラキラ

マミ(同性なのに見ていると涎が出てくる美少女だ)

エルザ「もしかしてあなたは、神の使いでは……!?」キラキラ

沙々(嫉妬心を覚えるよりも感動してしまうレベルの美少女だ)

ほむら「神様なんかより凄い妖精さんのお友達ですよー」

ほむら「まぁ、当の妖精さんは(電波がある外に出たので)今はいませんが」

ほむら「それより、これからどうされます?」

ほむら「妖精さんが私の頭の中にお帰りになる前に、世界の記憶とやらをお話したところ」

ほむら「あなたが魔女になったのは今から凡そ半年前との事」

ほむら「両親はご存命のようですし、帰宅してあげた方が宜しいのではないでしょうか?」

ほむら「多分、毎日眠れない日々を送っていると思いますよ?」

エルザ「はい……今すぐにでも、家族の元に帰りたいのが本心です……」キラキラ

ほむら「了解です。妖精さんに頼み、お家を探してもらいます」

ほむら「居なくなっていた半年間の事も妖精さんパワーで穏便かつ円滑に解決しましょう」

エルザ「何から何まですみません……」キラキラ

ほむら「んー、私は謝られるより、褒め称えられる方が好きなんですよねぇ」

エルザ「……ありがとうございます。何から何まで」キラキラ

ほむら「いえいえ♪」



杏子「うーす。そっちも終わったようだなー」

ゲルト「どもー」

旧べえ「やれやれ……」

まどか「あ、杏子ちゃん。ゲルトルートさんとキュゥべえも」

さやか「そっちも終わったみたいだねー」

杏子「ええ。魔女の結界が二つあったからって、二手に分かれて大丈夫なのかと心配しましたが……」

杏子「妖精さんのお陰でなんとかなりました」

杏子「そんな訳でさやか様、あたし頑張ったから頭なでなでしてください」

さやか「……まぁ、それぐらいならしてあげよう。うん」

杏子「えへへー♪」

シャル(……着実に飼いならされている気がするわ。双方とも)

ゲルト「えーっと、こちらが私達が……まぁ、やったのは妖精さんですが……人間に戻した、パトリシアさんです」

パトリシア「ど、どうも……」

シャル「あ、委員長」

パトリシア「?!」

さやか「え? 知り合い?」

シャル「いや、全然知らない人だけど……」

シャル「ただ、なんとなくそんな風に呼びたくなったので」

パトリシア「うう……ここでも委員長呼びだなんて……」

パトリシア「私、本当は保険委員なのに……」

さやか(あ、昔から委員長呼ばわりなんだ……)

まどか(保健委員……ちょっと親近感)

ほむら「えーっと、いいんちょさんはこれからどうされるおつもりですか?」

まどか(そしてほむらちゃん、保健委員さんと呼んであげるつもりはないのね)



ほむら「家族の元に帰りたいという事なら、妖精さんパワーでお家を探します」

ほむら「仮に……”帰りたくない”というのであれば」

ほむら「我が家の居候として迎え入れる事も出来ます」

ほむら「どうします?」

パトリシア「え、えと……どう、と言われましても……」

パトリシア「私、もう何年も前から魔女になってますし……家族の事とかよく思い出せないし……」

パトリシア「仮に帰るとしても、いきなり帰ると騒ぎが大きくなりそうですし……」

ほむら「ふむ。確かに」

ほむら「でしたら……一週間前後で、ご家族の元に帰すとしましょう」

まどか「? 一週間って、何かあるの?」

ほむら「実は頼んでいた妖精さんアイテムの完成が見えてきたのです」

シャル「それって、五十万人の妖精さんを導入して作ってるやつ?」

ほむら「いえーす! それさえ完成すればパトリシアさんがお家に帰っても大した騒ぎにはならない筈です!」

マミ「? どういう事?」

ほむら「それを言ったらサプライズになりません。なので秘密です」

ほむら「でも、まぁ、一言で言うなら……」

ほむら「あのアイテムが完成すれば、世界が変わります」

ほむら「魔法少女と魔女だけではない。人類の歴史が根底から覆るのです」

ほむら「その結果、世界はより良くなる」

ほむら「……と、良いなぁ」

シャル「うわっ、一気に信用出来なくなった……」

ほむら「ふふふ。もう手遅れです。私を始末しようとアイテムは問題なく完成するでしょう」

ほむら「最早インキュベーターが何をし、どんな結果を出そうと無駄です」

ほむら「勝利は既に我々の手の内にあるのですよ」

ゲルト「完全に悪人の台詞ですね、これ」

シャル「伏線と言うべきかフラグと言うべきか……」

まどか「悪ぶったほむらちゃんカッコいいなぁ」

さやか「お前はいい加減目を覚ませ」



ほむら「まぁ、連中をぎゃふんと言わるのもパトリシアさんをお家に帰すのも」

ほむら「全てはそのアイテムが完成してからです。それまでは今までと変わりません」

ほむら「当面は見滝原の魔女さんの安全を確保。余裕があれば風見野などの他の街にも行きましょう」

ほむら「他の魔法少女と交戦になるかも知れませんが、そうなったら妖精さんアイテムで捕獲しちゃいましょうか」

さやか「捕獲って……まぁ、捕獲した方が良いか」

マミ「簡単には説得出来ないでしょうからね……経験者は語らせてもらうわ……」

ほむら「まぁ、皆さん、今更そこらの魔法少女に負ける事もないでしょうし。交戦しても些末な問題ですよね」

シャル「……そう言えばさ、質問なんだけど」

ほむら「はい?」

シャル「グリーフシードから、人間に戻す事は出来ないの?」

シャル「グリーフシードってソウルジェムとかから穢れをある程度吸うと、また魔女が生まれるんだけど」

シャル「だったらグリーフシードを孵化させて魔女にしてから人間に戻せば」

シャル「魔女を倒されちゃっても、どうにかなりそうじゃない?」

シャル「今更だけど、それが出来れば急がなくても良いんじゃないかなーって思って」

ほむら「ああ、それは無理です」

シャル「……断言したわね」

ほむら「妖精さんが唯一出来ない事。それが死者の蘇生ですから」

まどか「でも、なんで? グリーフシードって元々魔法少女の魂なんだし……」

ほむら「皆さんを人間に戻せたのは魂だけでなく、精神も残っていたから出来た事です」

ほむら「”専門家”の前でこういう事を話すのも難ですけど」

ほむら「妖精さん曰く、魔女というのはグリーフシード、或いはソウルジェムに留めておけなくなった精神のようですからね」

ほむら「”最初”の魔女さんは文字通り魔法少女の心及び絶望な訳ですが」

ほむら「そこに改めて注ぎ込んだ呪いが元の心と同じ訳ないじゃないですか」

ほむら「再度魔女さんを誕生させても、それは良く似た別人……」

ほむら「いえ、姿形以外別物と言っても良いでしょう。人間の身体を与えても『元に戻した』とは言えませんよ」

さやか「なら、尚更魔女退治を止めないとね……」

ほむら「そういう事です」

ほむら(……ただ、妖精さんが気になる事を言っていましたけどね。「たましいはごほんにんのですがー」って)

ほむら(そりゃそうでしょうけど、わざわざ言うってことは何かあるのかなー)



ほむら「……ところでさっきから悩んでいる様子ですが、何か意見でもありましたか?」

ほむら「キュゥべえさん」

旧べえ「……いや、意見というほどではないんだけど……」

旧べえ「何か、こう……忘れているような……」

ほむら「忘れるなら大した事ではないのでは?」

旧べえ「うーん……そう、なのかなぁ……割と重要な事だった気がするんだけど……」

ほむら「そうに違いありませんよ」

ほむら「――――さて」

ほむら「沙々さんが私達の……まぁ、メンツに加わり、三日が経ちました」

ほむら「学校も始まりましたので、放課後に魔女探しを行うようになりましたが……」

ほむら「一昨日はズライカさんとギーゼラさん、昨日はウアマンさんとイザベルさん」

ほむら「そして今日はエルザマリアさんとパトリシアさん。六名の救出と、かつてない大成果です」

沙々「流石ほむら様! よっ! 日本一!」

シャル「まぁ、今までサボり過ぎというか、ドタバタしていたと言うか……」

マミ「……ドタバタの原因ですみません……」

まどか「魔女探しの邪魔してごめんなさい……」

シャル「……ほじくり返してごめんなさい」

ほむら「はいはい、謝罪の連鎖は面白くないですから」

ほむら「この調子で見滝原の魔女さんを可能な限り人間に戻していくとしましょう」

ほむら「そりゃあれが完成すればその必要もないのですけど……魔法少女が魔女さんを倒しちゃうかもですし」

ほむら「魔女さんによる犠牲者も減らさないといけません」

ほむら「皆さん、ここからが正念場です!」

ほむら「魔女さんを、人間を、魔法少女を!」

ほむら「みーんなまとめて、楽しさで巻き込んでやりましょう!」

全員「おーっ!!」

旧べえ「……うーん……何を忘れているんだったかなぁ……?」































「暗証番号を入力してください……照合中……承認されました」


「システム起動。各部チェック……異常なし」


「感情エネルギー充填率97%」


「第二承認を要求……照合中……承認確認」


「第二起動シークエンス開始。各部署への起動申請開始」


「資源開発部への起動申請……承認」


「技術開発部への起動申請……承認」


「軍事部への起動申請……承認」


「政治部への起動申請……承認」


「女王への起動申請……承認」


「全部署の承認確認。第三起動シークエンスへと移行」


「各部封印を順次解除しています。第一封印解除まであと――――」




……………

………






                 ―――― 三日後・ほむホーム ――――



妖精さん「いじょーで、けいかほうこくです?」

ほむら「……うん。ありがとうございます」

ほむら「説得が完了していない区画は、あと此処だけ……」

ほむら「立ち退く訳ではないのですから、もう少し協力してくれても良いのに」

妖精さん「みなさん、けっそくつよいですからなー。よそものははぶにするです?」

ほむら「結束と言うか融合じゃないですかねぇ……まぁ、良いです」

ほむら「そこの説得を終えたら、どれぐらいで起動出来ますか?」

妖精さん「にじかんぐらいでは?」

ほむら「頑張って一時間にしてください」

妖精さん「あひーん。にんげんさんののるま、おきびしー」

ほむら「流石に私が現場で指揮を執りますよ。無駄を……適度に省けば、行程を半減出来るでしょうから」

ほむら「説得は今日中に終わりそうですか?」

妖精さん「あとひとおしってかんじ」
妖精さん「けっそくつよいので、くうきよまぬのはきらわれますし?」

ほむら「でしたら今日は私も行くとしましょう。そんでもって、今日中に完成させます」

ほむら「妖精さん、残った区画に案内してもらえますか?」

妖精さん「それではまずぼーごふく、よういせねばですな」

ほむら「ああ、そう言えば交渉現場は危険地帯でもありましたね……お願いします」

妖精さん「おっまかせー」テテテ・・・

シャル「おふぁよー……」

ほむら「あ、シャルロッテさん。おはようございます……今日は随分と早いお目覚めですね」

シャル「アンタと妖精さんの話し声が聞こえたからね」



シャル「それで? どっか出掛けるつもりなの?」

ほむら「ええ」

ほむら「事ある毎に言ってきましたが、妖精さんを総動員して作っているアイテムがありましたよね?」

ほむら「どうやらアレの完成が間近らしいので、私が現場指揮を執ろうと思いまして」

ほむら「ここまでやればほっといても大丈夫かと思いますが、すんなり出来ればそれに越した事はありませんからね」

シャル「すんなりいかない前提なのね」

ほむら「すんなりいく訳がないでしょう?」

シャル「それもそっか」

妖精さん「にんげんさーん、ごよういでけたー」

ほむら「あ、はーい! 今行きまーす」

ほむら「そんな訳ですので、ちょっと行ってきます」

ほむら「出来れば午前中には帰りたいですけど、そう思惑通りにいくとも思えません」

ほむら「学校は休ませてもらいます」

シャル「あいあい……って、休むつもりなら私服で行けばいいじゃん。なんで制服着たままなの?」

ほむら「いや、万一汚れたら困りますし」

シャル「アンタの中で制服は汚れてもいい服なんかい……」

ほむら「割とみんなそんな感じに着ていると思いますけどねぇ……話を戻しますけど」

ほむら「もう出ないと行けませんから、お弁当を作っている時間はありません」

ほむら「お昼は申し訳ありませんが、コンビニで買ってください」

シャル「ん。分かった。朝も適当に冷蔵庫漁って良いわよね?」

ほむら「それでお願いします。晩ご飯は……作業が終わらなくても、一度こっちに帰って支度しますね」

ほむら「では、いってきます」

シャル「いってらっしゃーい」

――――とたとた

シャル「……行った、わね。行ったと言っても家の中のドアを潜っただけなんだけど」

シャル「アレって以前、ほむらが入る手順を間違えて家を爆破した時のドアなのよねぇ」

シャル(で、その危険なドアはほむらと妖精さん以外立ち入り禁止で)

シャル(尚且つ五十万人の妖精さんが働いている現場につながっている、と)



シャル(しっかし、まぁ……アイツは妖精さんに何を作らせているのかしら)

シャル(完成したら世界が変わるらしいけど……)

シャル(あれ? でもあれって、地球をインキュベーターにとって無価値に変えるアイテムって前に言ってたわよね?)

シャル(そりゃ、今まで地球を支配していたインキュベーターが居なくなったら世界が変わったと言えるけど……)

シャル(……そもそもアイツは、どうやってインキュベーターを追い払うつもり?)

シャル(ハッキリしているのは武力じゃない、面白おかしい方法って事)

シャル(それ以外なら割となんでもありだから、想像しようがないんだけど)

シャル(しかも妖精さんを五十万人も動員し、半月以上掛けて準備するほど大規模な――――)

シャル(いや、待って)

シャル(そもそもそのアイテム、何処で作ってるの?)

シャル(エリーちゃんの壊れたパソコンは、しっかり第三者に見られている)

シャル(と言うより、妖精さんアイテムは魔女や使い魔、結界やキュゥべえと違い、誰にでも見えている)

シャル(だったらなんで、五十万人の妖精さんが今も作っているアイテムは誰にも見つからない?)

シャル(インキュベーターはなんだかんだ妖精さんを警戒しているみたいだし)

シャル(妖精さんアイテムが半月も掛けて作られていたら、妨害工作ぐらいしてきそうなものよね)

シャル(なのに何もしないって事は、まだ見つかっていない? 五十万人でえっさほいさと作っている物が?)

シャル(……考えろ。妖精さんは一見出鱈目で、実際思っている以上に出鱈目だけど)

シャル(出鱈目なりに筋道を通している)

シャル(誰にも見つからず、世界を変えるアイテムを仕掛けられる場所は――――)

シャル「って、そんなの分かるかーっ!」

杏子「朝から元気だなぁ、お前」

シャル「へ? あ、ああ、佐倉さん、おはよう」

杏子「はよー」



杏子「で? なんでそんなに元気なんだ?」

シャル「元気と言うか、ちょっと知的な遊びに興じていただけよ。ちなみに負けたわ」

杏子「誰にだよ……」

ゲルト「おはようございます。皆さん、今日は早いですね」

シャル「ゲルトちゃん、おはよ」

杏子「よー。他の連中は?」

ゲルト「エルザマリアさん達ですか? 皆さんまだ寝ていますよ。昨日は大騒ぎでしたから、疲れたみたいです」

シャル「あー、そういやそうだったわね……最近体験した騒ぎの規模が大き過ぎて感覚が可笑しくなってるわ」

杏子「妖精さんを巻きこんでガチの戦争だったもんなぁ……」

ゲルト「結局どっちが勝ったんでしたっけ……」

シャル「……あまり思い出したくないわ」

ゲルト「……時に、暁美さんは?」

杏子「ああ、そういや居ないね」

シャル「用があって出掛けたわ。帰りは、今日中の予定」

ゲルト「つまり学校はお休み、と」

ゲルト「あの人、出席日数大丈夫なんですかね……」

シャル「ダメな時は多分妖精さんパワーでなんやなんやする気がする」

ゲルト「なんやなんや……しそうですね」

杏子「まぁ、今日に関しては気にしなくて良さそうだけどなー」

シャル「? どゆこと?」

杏子「ほれ、テレビ見てみなよ」



テレビ【現在××県、○○県全域に避難指示が発令されています。該当地域にお住まいの方は近くの避難所に避難を……】



シャル「……××県って、見滝原がある県じゃん。避難指示?」

杏子「なんか台風が来るみたい」

シャル「ふーん。随分と季節外れな台風ね」

ゲルト「いや、台風じゃなくてスーパーセルってテロップに……まぁ、良いですけど」



ゲルト「それで、どうします? テレビを見る限り、大きな被害を出しかねないようですけど」

シャル「んー……間違いなく避難所よりもこの家の方が安全でしょうけど……」

シャル「鹿目さん達は避難所に行くだろうし、どうせならみんなでわいわいしたいから」

シャル「家の事はメイドさんに任せて、私らは避難所に遊びに行きましょうか」

ゲルト(限りなく不謹慎な発言ですけど、家の耐久値としては確かにそんな気分)

杏子「じゃあ、なんか持ってくか? トランプとか」

シャル「ボードゲームと花札も持っていきましょ」

ゲルト「いや、曲がりなりにも避難なんですから文庫本ぐらいにしておきましょうよ……」

――――チャラララチャッララランラ

シャル「おう? 私の(妖精さん製)携帯が」

シャル「はい、もしもし?」

まどか【あ、シャルロッテさん? まどかです】

シャル「ああ、鹿目さん。どうしたの?」

まどか【あの、実はほむらちゃんに話があって……】

まどか【でもいくら電話を掛けてもつながらないから】

シャル「こっちに掛けてきた、と」

シャル「悪いけど、ほむらの奴はさっき出掛けちゃったわ。多分通話出来ないぐらい遠くに」

シャル「午前中に帰ってくるつもりとは言ってたけど」

まどか【そうなんですか……うーん、どうしよう……】

シャル「何か緊急の用事?」

まどか【え? あ、そんな緊急ってほどじゃ】

まどか【居なくても大丈夫ですけど、でもほむらちゃんが居たら心強かったと言いますか】

シャル「いや、アイツが居たら心強いじゃ済まないと思うんだけど」

まどか【……それならそれで良いんじゃないかな。平和、だし】

シャル「ちょっと言い淀んだわね」

シャル「で? 結局要件ってなんなの?」

まどか【えーっと、実はキュゥべえ、あ、仲間になってくれた方の子からの伝言で……】

シャル「キュゥべえから?」

まどか【はい】






まどか【ワルプルギスの夜が出現した、との事です】







……………

………





沙々「……いや、まぁ、ぐっすり寝ていましたよ?」

沙々「でもそれってつまりわたしに反対する暇がなかった訳で」

沙々「つーか魔法が危険で犯罪臭いって理由で没収された今のわたしは文字通り一般人ですよ?」

沙々「戦力どころか完全に足手まといのお荷物な訳でして」

杏子「ぐちぐち言ってないでハッキリ言えよー」

沙々「じゃあ、そうします」

沙々「――――なんでわたしもワルプルギス戦に参加させられてるんですかぁぁぁぁぁぁぁ!?」

沙々「他の魔女ズはみんなお家でお留守番なのに! 何故わたしだけ!?」

杏子「お前、監視しとかないと絶対ろくな事しないだろ? ほむら、家に居ないし」

沙々「わたしあの人が視界に居ないと逆に精神不安定になるんですけどぉ!? つか今まさにそんな状態だし!」

ゲルト「その不安定な精神で何かされても困りますからね」

沙々「だったら家に閉じ込めておけばいいじゃないですか!? 連れて回るってアグレッシブ過ぎでしょ!?」

ゲルト「え? 閉じ込められたいのですか? もしかして、M?」

沙々「最強最悪の魔女と戦うぐらいならその方がマシって話です!」

まどか「ほ、ほむらちゃんの家に監禁なんて……は、破廉恥だよぅ……///」

沙々「監禁って本当は破廉恥なもんじゃないですからね!? あとなんで嬉しそうなんだ!?」

巨大さやか『まどかは相変わらずほむら大好きだなー』

沙々「大好きで済むの!? つーかでかっ!? 100メートルぐらいあるし!? あと黒い!」



巨大さやか『ん? ああ、沙々っちにはまだ見せていなかったっけ?』

巨大さやか『これが一応、あたしのフルパワーモード』

巨大さやか『ちなみに腕からスペシウムな光線が撃てます』

沙々「光の巨人!?」

まどか「あ、ちなみに私も今日はフルパワーモードだよ」

まどか「射撃特化だけど、多分さやかちゃん5人分ぐらいの力はあるんじゃないかな」

沙々「あれの五倍!?」

杏子「あたしはぶっちゃけ抜け殻みたいなもんだからなー」

杏子「精々普通の魔法少女10人分の力しかないよ」

沙々「十分過ぎますよね!? それ十分過ぎますよね!?」

マミ「そうよ、佐倉さん。あなたの力は十分頼りになるじゃない」

マミ「私達なんて魔法が撃ち放題ってぐらいしか長所ないし」

ゲルト「ですよねぇ」

沙々「だから十分強いって言ってんだろゴラァ!」

沙々「なんだよこの戦えなきゃ役立たずみたいな雰囲気! わたしをハブしてんのかああん!?」

シャル「……すみません」

沙々「え」

シャル「無力ですみません……役立たずです……」

沙々「え、いや、アンタ魔法使えるし……」

シャル「私、近接戦闘タイプ。さやかとか佐倉さんも、近接タイプ」

沙々「ぁ(察し)」

シャル「遠距離攻撃は……お菓子を投げつけます……」

沙々「……………」

沙々「……その……」

沙々「な、仲間ダヨ?」

シャル「同情すんなああああああああああああああああああ!」

沙々「コイツめんどくせええええええええええええええええ!」

旧べえ「……真面目にやってよ……」



巨大さやか『いや、実際問題相手の強さが分からないからいまいち真面目になれないんだよねぇ』

旧べえ「それは、そうかも知れないけど、だとしても気が緩み過ぎだと思わないかい?」

旧べえ「というか上条恭介はどうした」

旧べえ「聞いた話だとそこそこ力があるらしいから、可能なら彼も戦力に加えたいと伝えた筈だけど」

巨大さやか『中沢といちゃついてこっちの話を聞かなくてムカついたから、巨大化して踏み潰しといた。あと埋めといた』

旧べえ「……さいですか」

ゲルト「暁美さん、あの人達の事、結局今の今までほったらかしですからね……グッド」

杏子「ぶれないな、お前」

まどか「……それで、ワルプルギスの夜って結局どんな魔女なの?」

杏子「あ、話題戻すんだ」

まどか「いや、この話題は流石にやりっぱなしには出来ないから……」

マミ「ワルプルギスの夜に関しては、私も噂でしか聞いた事がないわね」

マミ「さっき優木さんが言っていたように、最強最悪の魔女らしいけど……」

旧べえ「僕も実際に顕在化した瞬間を見た訳ではないけど」

旧べえ「まず、非常に巨大だ」

巨大さやか『ふむふむ』

旧べえ「一度この世に実体化すれば、数千人が犠牲になると言われている」

まどか「そんな!」

旧べえ「……当然その力も強大で、並の魔法少女では歯が立たない」

杏子「へっ、やりがいがあるじゃん」

旧べえ「……それで、えーっと……魔女だからいくらでも魔法が使える」

マミ「当然ね」

ゲルト「でしょうね」

旧べえ「……えーっと、えーっと……」

シャル「つーかさ、ぶっちゃけ鹿目さんで倒せないの?」

旧べえ「……ぶっちゃけ倒せるんじゃないかなー、多分一撃で」

全員「じゃあ余裕じゃん」



まどか「魔法が封じられていなければ私、地球を滅ぼせちゃうし」

巨大さやか『時間的に余裕があったから、あたしも最強モードに変身出来たし』

マミ「魔法使いたい放題だから何も考えずに全力出せるし」

杏子「いざとなったら天使の奇跡でなんとか出来るし」

旧べえ「……あれぇ……わ、ワルプル戦ってこんなんじゃ……あれぇ……?」

シャル「楽勝なら良いじゃない」

杏子「むしろ倒さないように気を遣わなきゃなぁ」

巨大さやか『まどか、気を付けなよ?』

まどか「その言葉そっくりそのままお返しするよ、さやかちゃん」

ゲルト「作戦としては弱らせたところを私と巴さんの魔法で拘束。暁美さんが帰ってくるまで抑えておく、ですかね」

マミ「そうね。まぁ、魔法が封じられてなければどうとでもなるでしょ」

沙々「なんなのこの化け物集団……って、向こうの雲、なんか変じゃありませんかぁ?」

まどか「え? 雲……」

まどか「!」

ゲルト「……いえ、あれは雲じゃない……視認出来るほど強大な、魔力の塊です!」

巨大さやか『つまり、あの向こうにその魔力を出してる奴がいると』

マミ「そしてそれだけ巨大な魔力を生み出せる存在と言ったら……」

杏子「此処に居るメンツを除けば、『一人』だけだな」

シャル「……来るわ」




マミ「みたい、ね――――さっさと終わらせて、お茶会といきましょう!」





旧べえ「確かに。ゆまも待たせているし、早く片付ける事に異論はないね」





杏子「そんじゃあ、いっちょやりますか!」





まどか「うんっ!」





ゲルト「……あれ?」





シャル「ちょっと待って……なんか、様子が――――」













マミ「!? な、何、この魔力……!?」


死ね呪われろ


杏子「おい、どうなってんだよ!?」


死ね消えろ呪われろ死ね見るな黙れゲルト「な、なんなの、なんなんですかアレ……!?」


死ね消えろどうして黙れ死ね失せろ潰れろわたし見るな殺す死ねこんな馬鹿死ね殺す死ね邪魔死ね
事に死ね殺す呪う呪うなって殺す死ねなんで気持ち悪いどうして死ねクズ死ね呪ってやる死ね死ね


巨大さやか『ちょっと、まどか一人で楽勝な相手じゃなかったの!?』


嫌だ死ねこんな死ね殺す死ね場所死ね呪ってやる怖い死ねキモいシネ消えろ死ね呪ってやる死ね死ね殺す死死ね
死ね誰か死ね死死殺す死ね死ね死ね死ね死ね殺す殺す殺す死ね殺す死ねお願い殺死ね死ね殺す死ね死ね死ね死ね


旧べえ「馬鹿な……こんな、こんな事が……!?」


死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死


まどか「く、る――――」


死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死












                   ―――― たす死て ――――













――――黒い感情。呪いの濁流。殺意の形。


――――全てが、初めて経験するものでした。私が、世界を滅ぼす魔女になった時よりもずっと強い”力”でした。


――――未体験の力の塊は雲……そう見えていた、或いは無意識にそう思おうとしていた黒い魔力の向こうから感じます。


――――願わくば、晴れないで欲しい。


――――この期に及んでそう思ってしまうほど圧倒的な力は、私達の願いを聞き入れてはくれず。


――――魔力の塊はやがて霧のように消え、そして、それが姿を現したのです。






























               ―――― 巨大な、グリーフシードが ――――





今回はここまで!
一回間が開いたのと、改行ミスってます。最後も近いのにこのザマである。

さて、ワルプルさんの登場です。……ワルプルさんですよ? あからさまに描写があれですけど、ワルプルさんなんですよ?
露骨なテコ入れがありましたので、ちょっと(?)風貌が違うんです。紅白の小林幸子みたいな感じなんです。
本体は多分あの中にあります。多分。

その強さは次のお話で。次回は明後日水曜日の午後の予定。

ではー




話は変わって地球防衛軍4.1のPV1.1を見ました。
ヤバい、PS4買わなきゃ(尚、PV1の時点で決めていた模様)
最初黒い影を見てまどか山と思ったのはここだけの話。


絶望的な展開に見えない

シリアスではギャグや茶番に決して勝てないのだ……

テコ入れ無かったらワルプルさん何秒で沈むんだろ
まどかの一撃かさやかのスペシウム光線か杏子の奇跡かどれが最初に届くかの勝負になりそうだなwwwwww

いかなる現象でも両津勘吉の相手になるものはない
シリアスがギャグに勝てるという道理はない

ついに始まってしまった最終決戦
想像の遥か上を行く絶望的な敵を前に、彼女達に果たして希望は残されているのか!?(白目)

かませだな

最凶最悪のワルプルギスさんがかませt……うん、かませか



午後というより夜にこんばんは。>>1です。


>>841 >>845 >>850
さ、最後ぐらいは真面目ですから……(白目)

>>849
VSまどか=瞬殺(一撃)
VSさやか=1RKO(フィニッシュ:右ストレート)
VS杏子=一晩で浄化(ソドムとゴモラ的な)
まどかが圧倒的に速いせいで、秒いかないというか、勝負が始まらないというか……

>>851
みかたに、よそうのじげんとっぱをするようなかたがたがいますからなー

>>852 >>853
一応ラスボスだからかませでは……



さぁ、続きいきますいきますー




えぴそーど にじゅうご 【ほむらさんと、むてきのともだち】





まどか「な、何……なんなんですか、アレ……!?」

マミ「何処からどう見ても、その……グリーフシードだけど……」

ゲルト「ちょっと大き過ぎますよね……」

巨大さやか『パッと見、あたしの何倍もあるみたいなんだけど……』

杏子「デカいだけならまだ良かったんですけどねぇ……」

シャル「で、出鱈目過ぎる魔力だわ……!」

シャル「鹿目さんの比じゃない……あんな魔力、そんな、あり得な……」

シャル「!?」


――――ゴオッ!!


杏子「ぐあっ!? こ、攻撃か!?」

ゲルト「風とか、衝撃波の類……?」

マミ「違う! これは……魔力……」

マミ「魔法という形にしなくても物理的干渉力を持つほどの、圧倒的出力の魔力だわ!」

沙々「」ゴロゴロゴロー

まどか「あ、沙々さんが魔力の余波で吹っ飛ばされてる」

巨大さやか『ああ、なんかあのグリーフシードが現れた瞬間気絶してたね』

シャル「プレッシャーに耐えられないとか、マジで小物だったわね……」

巨大さやか『助け……なくても良いか』

巨大さやか(この状況だと、ここに居るより遠くに吹っ飛ばされた方が安全だろうからね……)

マミ「キュゥべえ! あれがワルプルギスの夜なの!?」

巨大さやか『どう考えてもあたしらで楽勝な相手じゃないよね、アレ……』

まどか「一体どういう――――」

旧べえ「……馬鹿、な……そんな、馬鹿な……」

まどか「――――キュゥ、べえ……?」



旧べえ「あり得ない、あり得る筈がない。こんな、だって、それは……」

旧べえ「それは、最終兵器プランだった筈だ!」

旧べえ「こんな一辺境惑星の、ましてやたった一種族を根絶やしにするために動員するものじゃない!」

旧べえ「段階を飛ばし過ぎている! たった数隻の艦隊が潰されただけでこれを動員するなんて馬鹿げている!」

マミ「ど、どうしたのキュゥべえ!? 何か分かったの!?」

旧べえ「分かるも何もあれは――――」




「全く。精神疾患を患うと冷静さというものを損なうから嫌だね」




まどか「!? こ、この声は――――」

シャル「……キュゥべえ……と言っても、仲間になった奴が此処にいる以上」

巨大さやか『またアンタか、ってやつだね』

疾患QB「そういう事さ」スッ

杏子「っ!」チャキッ

疾患QB「おっと、その物騒な物はしまってほしいものだね」

疾患QB「以前も言ったけど、今はボディのスペアがないから潰されると色々面倒なんだよ」

疾患QB「ま、僕の話を聞きたくないのなら、それも構わないけどね。所詮”これ”は端末なんだし」



マミ「……佐倉さん」

杏子「ちっ……分かったよ」

疾患QB「やれやれ。やっと落ち着いて話が出来る」

疾患QB「暁美ほむらは存在自体が腹立たしいが、彼女の冷静さだけは評価に値するよね」

疾患QB「君達みたいに、感情で行動を起こすような原始的生物を見ているとさ」

杏子「御託はいい……目的はなんだ」

疾患QB「何って、前と同じだよ。君達の散り際を、今度こそ見に来たのさ」

疾患QB「まぁ、前回と違って暁美ほむらがこの場に居ないのは、こちらとしても予定外だったけどね」

疾患QB「何しろ今回の攻撃目標は君達じゃなくて、暁美ほむらと妖精なのだから」

シャル「……!」

疾患QB「しかし弱ったなぁ。直接的な識別が出来ないからなんとも言えないけど」

疾患QB「観測結果からの推測では、妖精は常に暁美ほむらの傍に現れているようだから」

疾患QB「彼女がこの場に居ないのなら、きっと妖精も居ないのだろう」

疾患QB「わざわざ探すのも面倒だし、彼女達が何処に居るのか教えてもらえないかい?」

疾患QB「そうしたら、今回は君達に手を出さないからさ」

まどか「ふざけないで! ほむらちゃんを売るなんて真似、出来る訳ないでしょ!?」

シャル「まぁ、アイツの事だから売ったところでへらへらしながら切り抜けそうだけど」

シャル「生憎私達の誰もアイツの居場所を知らないし」

シャル「何より、アンタのメリットになる事をするなんて反吐が出るわ」

巨大さやか『それに今まで何度も邪魔してきたあたしらを放置する気なんてないんでしょ。今回は、なんて言ってるし』

巨大さやか『いくらあたしが馬鹿でも、それぐらいは想像付くっての』

疾患QB「そうかい。残念だね」

疾患QB「ま、そういう事なら遠慮なく君達も排除させてもらうとしよう」

疾患QB「”ワルプルギスの歴史”を使ってね」

ゲルト「ワルプルギスの歴史ってのは、あの巨大なグリーフシードの事ですね……」

疾患QB「そうさ。本来この町を襲撃したであろう”ワルプルギスの夜”とは、別物と言っていい」

疾患QB「それに”ワルプルギスの歴史”というのは僕達が使用しているコードネームだし」

疾患QB「単純にワルプルギス(魔女達)と呼称する方が本質を言い表しているだろうね」

疾患QB「っと、御託が長くなってしまったか。そろそろ――――」




シャル「悪いけど、先手は譲らないわ」




シャル「さやか!」

巨大さやか『おう! 先手必勝!』

巨大さやか『スペシウムっぽいビーム……フルパワー!!』



    ―――― ビガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ――――



まどか「さ、さやかちゃんの腕から、青白い光が……!」

マミ「前が見えない……!」

ゲルト「これが、美樹さんの本気……す、凄まじい力です……!」

杏子「流石さやか様だ! あの巨大なワルプルギスを飲み込むほどの光を発射するなんて!」

疾患QB「ふむ。流石は妖精のテクノロジーによって改造された身だと誉めるべきか」

疾患QB「あんな威力の光線、以前僕達が関与して生まれさせた鹿目まどかの魔女でも、直撃を受けたら倒されかねないね」

疾患QB「しかし、魔女を救い出すのが君達の目的だったんじゃないのかい?」

シャル「……感情を持ってないのなら、意味のない質問をするんじゃないわよ」

シャル「アンタに言われるまでもなく、私も……躊躇わずにやったさやかにも、分かってるんだから」

疾患QB「――――成程。一理ある」

巨大さやか『だ、駄目、だ……!』

杏子「さやか、様……?」

巨大さやか『コイツ……対峙した時から何となく思っていたし』

巨大さやか『ぶっちゃけ怯ませられたらいいなぁーぐらいな気持ちでの攻撃だったけどさぁ……』

巨大さやか『全然効いてないってのは、流石に想定外っ!!』

全員「!?」



ワルプルギス(WP)【――――■■■■■■■■■■■!!】


――――カッ!


巨大さやか『っ!? あ、あたしの光線が押し返され……ぐああああああああああああっ!?』

杏子「さ、さやか様ぁ!?」

マミ「う、嘘!? あの攻撃を受けて無事なだけじゃなくて、一瞬で押し返すなんて……!?」

まどか「私でも難しそうなのに……!」



疾患QB「やれやれ。今ので無駄だと分かってくれればいいんだけどね」

疾患QB「ワルプルギスに君達は勝てない」

疾患QB「個である限り、それは決して覆せない不変の定理さ」

マミ「……どういう意味?」

疾患QB「僕の口から語るより、そっちのインキュベーターから聞いた方が君達は信頼出来るんじゃないかな?」

疾患QB「ワルプルギスは止めといてあげるから、じっくり話を聞いておくといい」

疾患QB「その上で、再度選択させてあげよう。僕達に降伏するかどうかをね」

疾患QB「ま、今の彼がちゃんと話せる”精神状態”かは甚だ疑問だけど」

マミ「え……?」

旧べえ「……」ガタガタ

シャル「ちょっと、何震えてんのよアンタ……」

旧べえ「……駄目だ……勝てる訳がない……」

旧べえ「あれは……僕達の、我々の最終兵器なんだ……」

旧べえ「この宇宙に、アレを倒せる者なんて存在しない……!」

マミ「どういう、事……?」



旧べえ「……君達は、何故僕達がグリーフシードを回収しているか知っているかい?」

シャル「それは……確か、そのままだと危険だから……?」

シャル(……危険だから、何が問題なのかしら……コイツらは人間の事をエネルギー源としか思っていない筈)

シャル(絶対に人類の身を案じてはいない)

シャル(それにグリーフシードを回収しなければ、魔法少女は危険な物を身近に置くことになる)

シャル(精神的負担は大きくなり、魔女化を促せる筈)

シャル(……つまり、回収した方が自分達の益になるから、という事ね)

マミ「……あなた達に、メリットがある?」

旧べえ「そう……その一つが、エネルギーの回収」

旧べえ「ソウルジェムから発生した穢れも、希望と絶望の相転移反応ほどではないけど感情エネルギーとして使える」

旧べえ「また、グリーフシードは周囲の呪いや負の感情を吸収し、再度魔女として孵化するためのエネルギー」

旧べえ「つまり絶望の感情エネルギーとして蓄える性質を持つ」

旧べえ「だからこそグリーフシードにソウルジェムの穢れを吸わせる事が可能であり」

旧べえ「グリーフシードは適当に置いておくだけで、魔女として孵化する危険物なんだ」

旧べえ「とは言え一度空になったグリーフシードが孵化するために必要な呪いを、ソウルジェム以外で集めようとしたら」

旧べえ「日本のような豊かな国なら数十年、紛争地帯のような負の感情溢れる環境でも十年以上の歳月が必要だ」

旧べえ「しかも生きているだけで魔力を消耗する関係上、魔法少女はグリーフシードを遅くても一月ペースで消費するし」

旧べえ「大抵の魔法少女は、一年以上生きてはいられない。十年も生きていられたのは数えるほどだ」

旧べえ「だからこれは、不本意な言い方になるけど君達が”知らなくても問題無い”話なんだ。本当にね」

シャル「お得意の嘘じゃないって訳ね」

杏子「……それがどうつながるのさ」

旧べえ「立場が変われば見方も変わる。君達にとっては重要でなくとも、僕達にとっては重要という事だ」



旧べえ「実を言えば僕達は全く感情がない訳じゃない……本当に無かったら、そもそも疾患なんて存在しないし、
    感情からエネルギーを取り出す技術なんて開発出来る訳がない」

旧べえ「ほんの僅かな感情。自覚出来ない程度だけど他人を恨むし、不快にも思う」

旧べえ「契約が成功すれば喜ぶし、魔法少女が魔女化すれば達成感もある」

旧べえ「僕たちは、感情の有無を行動選択の影響で判別しているだけなんだ」

旧べえ「”感情的行動”をしないのなら感情を持っていない、という具合にね」

旧べえ「宇宙の他の知的生命体も同様だ。感情を持たない、というのは程度の話に過ぎない」

旧べえ「宇宙全体で産まれる呪いの総量は、ハッキリ言って地球の比ではない」

旧べえ「ここでグリーフシードの、周囲の呪いを吸収する性質が役に立つ」

旧べえ「それら宇宙全ての呪いもグリーフシードに吸わせれば、エネルギーとして使えるんだ」

旧べえ「勿論単独では出力不足だけど、幸いにもグリーフシードは」

旧べえ「数をそろえる事が出来る。魔法少女からだけでなく、使い魔からも生まれるからね」

旧べえ「だから、僕達は”全て”のグリーフシードを確保しているんだ。重要な、エネルギー源とするために」

旧べえ「……メリット2が生じたのは、ワルプルギスの夜が出現してからだ」

まどか「ワルプルギスの夜が……?」

旧べえ「ワルプルギスの夜は、他の魔女を吸収し、自らの力にする性質があった……」

シャル「つまり、魔女を吸収するほど強くなる訳ね……お約束っちゃお約束なのかしら」

旧べえ「勿論、それだけなら特別視する理由はない。倒して、確保したグリーフシードを利用するだけだ」

旧べえ「だけど……それ以外の用途を、僕達は見つけてしまった」

ゲルト「用途?」

杏子「電池以外にどんな使い道があるってんだ?」

マミ「……まさか……兵器?」

まどか「え? 兵器って……」

旧べえ「……そのまさかだよ」

まどか「!?」



まどか「ど、どういう事!?」

シャル「……グリーフシードを吸収させればさせるほど、ワルプルギスの夜は強くなる」

シャル「こいつ等の科学力を考えると、ちょっとやそっと強くなっても使えないでしょうけど」

シャル「でも、今までに貯め込んだグリーフシードを全て注ぎ込めば」

シャル「十万年以上かけて貯めた、何百万……いえ、数百億にも上るであろうグリーフシードを使えば」

シャル「――――何物にも負けない、最強の魔女が完成する」

疾患QB「その通り。よく出来ました」

疾患QB「しかも呪いによって動くからわざわざエネルギーを用意しなくて良いし」

疾患QB「暴走したとしても僕らは魔力を無効化する技術も持っている。コントロールは容易だ」

疾患QB「兵器として、これ以上ないほど理想的な存在だとは思わないかい?」

まどか「ひ、酷い……みんなを燃料しただけじゃなくて、兵器にまでするなんて……!」

まどか「こんなの、許せない!」

疾患QB「可笑しな事を言うね。人間は、骨の髄までしゃぶり尽くす事こそが資源に対する供養になると思っているんだろう?」

疾患QB「なら、僕のしている事は魔法少女の供養じゃないか」

疾患QB「こんなにも君達に対し理解ある行動を取っているのだから、君達も僕らを理解しようと努力してほしいものだよ」ケタケタ

まどか「こ、の……!」

旧べえ「し、しかし、可笑しいじゃないか!」

旧べえ「無数のグリーフシードは今や、僕達の文明を支える重要なエネルギー源の一つだ!」

旧べえ「宇宙の延命には足りなくとも、文明を保持するためには最早欠かせない!」

旧べえ「全てを終えた後もう一度燃料に出来るとはいえ、使用中は文明の一部機能を停止せざるを得ない筈だ!」

旧べえ「その全てをこうして辺境惑星の攻撃に使用するなんて、常軌を逸している判断じゃないか!」

旧べえ「何故本星はアレの使用許可を出したんだ! 訳が分からない!」

疾患QB「……本当にそう思うかい?」

疾患QB「君にとって妖精は、その程度の存在なのかい?」

旧べえ「……!」

杏子「……どういう意味だ」



疾患QB「どのような理論に基づいてかは分からないが、妖精は僕達に精神疾患」

疾患QB「具体的には、感情の肥大化を引き起こす技術を持っている」

疾患QB「合理性によって成り立つ僕達の社会において、感情保有個体の増加は文明崩壊をも起こす危険要素だ」

疾患QB「そして曲がりなりにも知的生命体となってしまった僕達に、最早文明の庇護のない生活は送れない」

疾患QB「文明の後退は、そのまま種としての後退を意味する」

疾患QB「……早い話、妖精は僕達を滅ぼしかねない存在という訳だ」

疾患QB「確かに僕達に感情はない。個体レベルでの生き死にの概念も理解出来ない」

疾患QB「しかし社会性生物であるがために、種の存続に対しては君達以上に敏感だ」

疾患QB「もう手は抜かない。全力を持って僕達の繁栄の障害となり得る……いや、”障害である”妖精を排除する」

疾患QB「これは、そのための戦争だよ。最終兵器が運用されるのは当然じゃないか」

まどか「戦、争……」

シャル「話が長い。保身のために妖精さんと全力で戦うとだけ言えば十分じゃない」

疾患QB「ふむ、確かにそうだ。それだけ分かってくれれば十分だ」

疾患QB「……さて、同じ事を二度も言うのは癪だが、もう一度尋ねよう」

疾患QB「暁美ほむらと妖精の場所を教えてほしい」

疾患QB「ワルプルギス……元を辿ればワルプルギスの夜には弱点があってね」

疾患QB「あまりにもその出力が強大過ぎるために、吸収量や生成量と、放出量が釣り合わず」

疾患QB「力を使えば使うほど、内包する呪いの量が減ってしまう」

疾患QB「つまり、燃料切れが起こり得るんだ」

疾患QB「ワルプルギスの夜が休眠と覚醒を繰り返していた理由がそこにある訳なんだけど」

疾患QB「ないとは思うけど、妖精とぶつかる前に燃料切れ寸前なんて嫌だからね」

疾患QB「可能なら妖精と暁美ほむらには全力を持ってぶつかりたい」

疾患QB「本音を言うとね、君達如きに余計な魔力を使いたくないのさ」

シャル「答えはNO。アイツの居場所は知らないし、アンタ達にYESと答えるのはもう懲り懲りよ」

杏子「言っとくが、それはあたしらの総意だからあしからず」

マミ「仲間割れは期待しない事ね」

疾患QB「……残念だ」



疾患QB「――――ワルプルギスの歴史、出力0.2%。自動反撃は必要ない」

疾患QB「無くても十分だ」




        ―――― ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!! ――――




まどか「?! う、きゃあ!?」

巨大さやか『な、なななん、なんだこれぇ!?』



WP【■■■■■■■■■!!】



杏子「おいおいマジかよ……さっきの比じゃねぇ魔力だぞ……」

杏子「魔力の放出分だけで、地面が揺れ始めてるじゃねぇか……!」

ゲルト「め、滅茶苦茶です!? こんなのがちょっとでも暴れたら、見滝原どころか地球が滅茶苦茶にされちゃいます!」

シャル「流石インキュベーターが十万年好き勝手やった歴史ね……ウォーリアーの時が難易度easyに思えてきたわ」

巨大さやか『いやぁ、チュートリアルじゃないかなー……或いはトレーニング』

マミ「……キュゥべえに今まで何個グリーフシードを渡したかしらね……」

まどか「私、多分五個ぐらい渡しちゃってます……」

杏子「あたしは好き勝手魔法使ってサイクル早かったからなぁ……五十ぐらいか」

マミ「あら、そんなもの? 私は三年もの間、頻繁に戦っていたから百は使ったわね」

マミ「……そんな訳だから、ここは一番多く献上しちゃった人が責任を取るって事で――――」

シャル「おっと、魔女化した先輩を忘れちゃ困るわね。アンタが百なら、こっちは二百よ」

マミ「っ!」



シャル「……何処に逃げても一緒よ。それにあの子達を余所に逃がしたところで、アイツが見逃すとは思えない」

シャル「あの化け物を産んじゃった責任は全員にあるって事で……全員で、やるとしましょう」

シャル「各個撃破されるより、みんなでフォローし合った方がトータルの生存時間は伸びるでしょうし」

マミ「シャルロッテさん……だけど……!」

シャル「別に勝たなくて良いのよ、勝たなくても」

巨大さやか『……ああ、そうだね。勝つ必要はない』

杏子「……時間稼ぎしかあたしらには出来ないし」

ゲルト「時間を稼ぐ事でしか、勝機は見出せない」

マミ「……そう、ね……最初から負けるつもりじゃ駄目よね」

マミ「どんな困難にも、全力で抗わないとね!」

旧べえ「み、みんな……何を言っているんだい!? 早く逃げるんだ!」

旧べえ「アレには絶対敵わない! この宇宙の誰も!」

シャル「そうかも知れない……だけど、そうじゃないかも知れない」

シャル「逃げるなら、とりあえずアイツらがボコボコにされてからにしましょう」

旧べえ「アイツらって……まさか」

杏子「そういう事」

ゲルト「現状の私達が持ちうる、無敵の”戦力”……」

巨大さやか『自称……いや、他称? この世の誰にも勝てない存在』

まどか「……待ってるからね、妖精さん」

まどか「……ほむらちゃん!」



……………

………






                    ―――― ?? ――――




妖精さん「にんげんさん、ついにかんせいです」

ほむら「……ようやくこの時が来ましたね」

ほむら「効果が現れるのは、今から凡そ八分後」

ほむら「地球全体に行き渡るまでには……原理の詳細が分からないのでなんとも言えませんが」

ほむら「最長で十二時間でしょうか。まぁ、規模が規模だけに十分な早さでしょう」

妖精さん「ひかりのはやさでおっとどけー」

ほむら「あとはのんびり待てばいい、と言いたいところですが……」

妖精さん「あっちのぼくらからつーほーされましたな?」

ほむら「やれやれ、面倒なタイミングでやってきたものです。まぁ、早く来られたらもっと困っちゃいましたけど」

ほむら「しかし、その内何かしらの対抗手段を使ってくる事は予測していましたが」

ほむら「よもやこれほどの物を持っていたとは予想外でした」

ほむら「あと十分もしないで使用不能になる不良品ですけど、十分あれば地球を三度滅ぼせそうですよね、アレ」

妖精さん「どうされますので?」

ほむら「どうもこうも……既に私達は勝っていますからねぇ」

ほむら「ぶっちゃけインキュベーター達が今から私と妖精さんをどうにかこうにか皆殺しにしても結果は覆りませんし」

ほむら「だったら隠れているのが合理的。最適解でしょう」

ほむら「――――が、それでは面白くない」

ほむら「どうせ迎えるエンディング。面白おかしくしなくちゃ勿体ない」

ほむら「それに、あれをやるのなら……スケールの大きい相手の方が楽しそうですからね」

妖精さん「さよかー」

ほむら「それじゃ、参りましょうか」

ほむら「――――世界を面白おかしくしに」



……………

………





巨大さやか『ぐあああああああああああああああっ!?』ズズーンッ

杏子「さ、さやか様が吹き飛ばされた!? すぐに回復を……」

シャル「駄目! 今は持ち場を離れないで!」

シャル「あなたが離れたら、援護射撃をしている巴さんを誰が守るの!?」

杏子「っ……!」

マミ「シャルロッテさん、気遣いしてくれた上でこう言うのも難だけど……」

WP【……………】ドン、ドドド、ズガン

マミ「ワルプルギスにこっちの攻撃は全然効いてないわ!」

マミ「待機状態で放出される魔力が強過ぎて、それだけでこっちの攻撃が届かない!」

ゲルト「こっちもです! 茨で拘束しようとしてますけど、魔力に阻まれて届きません!」

ゲルト「あれじゃ、まるでバリアです!」

杏子「バリアになるほど濃い魔力って、一体なんの冗談だよ……聞いた事もないぞ」

シャル「さっきからワルプルギスがやってるのは、魔力の放出を一定間隔で行う事だけ」

シャル「尤も、その放出だけでこっちは結構ボロボロになってるんだけど」

シャル「余剰分の放出か、それとも何かの準備かは分からないけど……まともに戦ってないのは確かね」

シャル「ウォーリアーと戦った時も思ったけど、ほんっとシンプルな強さってのが一番厄介っ!」

ゲルト「せめてあの魔力の壁さえ無くなれば……!」

まどか「なら、私がそれを剥ぐ!」

まどか「全力全開! 一点集中させた私の魔法を――――」

まどか「受けてみて!」

――――ドシュッ!!

シャル(魔力を一点に集中させて威力を高めた一撃! あれならごく狭い範囲だけど魔力の壁を吹き飛ばせるかも――――)

疾患QB「おっと、そうはいかないよ」

WR【――――】バッ

シャル「!?」

マミ「わ、ワルプルギスから靄のような腕が出てきて……」

――――ばちんっ!

巨大さやか『まどかの攻撃を、叩き落とした!?』



杏子「――――テメェ! 今アイツに何か指示したな!?」

疾患QB「おっと、ちょっと待ってくれ」

疾患QB「確かにさっきの防御は僕が指示したものだけど」

疾患QB「基本的なコントロールは、衛星軌道上の艦が行っている。僕を潰したところで結果は変わらない」

疾患QB「むしろ潰さない方が君達にとって得策だよ?」

疾患QB「ワルプルギスがこの程度の出力しか出さないのは、僕が直接現場の状況を観測し」

疾患QB「この場に暁美ほむらと妖精が居ない事を伝え、出力の調整を行っているからだ」

疾患QB「僕からの報告が途絶えたら、船は正確な状況を把握出来ない。大まかな判断をせざるを得ない」

疾患QB「万が一にも”不意打ち”で倒されないよう、出力を向上させる事になるだろうね」

疾患QB「それは妖精に使えるエネルギーが減る事を意味するから、僕達にとってはマイナスな訳だけど」

疾患QB「現時点で傷一つ与えられない君達の勝機が完全になくなっちゃうんじゃないかな? まぁ、元々ないとは思うけど」

杏子「ぐっ……こ、コイツ……!」

シャル「そんな雑魚に構ってる暇はないわ!」

シャル「どの道、魔力を放出しただけで叩き落とせるって事は直撃でも大したダメージにはならないでしょうし!」

マミ「なら一体どうすれば良いのよ! 鹿目さんの魔法が通じない以上、私達がいくら攻撃しても……!」

旧べえ「――――ああもう! 見てられない!」

マミ「っ!? きゅ、キュゥべえ……?」

旧べえ「時間稼ぎをすると言いながら、殆どアイツにダメージを与えられないとか情けないにもほどがある!」

旧ベえ「おちおちいじけてもいられないじゃないか!」

杏子「テメェに言われたくねぇよ! 大体お前さっきから何も……」

旧べえ「まどか、さやか! 十五秒後に攻撃を開始する!」

旧べえ「僕に合わせてくれ!」

シャル「一体何をす、る、気……!?」



巨大さやか『きゅ、キュゥべえから凄い力が……!?』

まどか「わ、私よりも、凄い……!」

旧べえ「……宇宙の寿命を延ばすほどのエネルギー……それが希望と絶望の相転移」

旧べえ「落ちる際に膨大なエネルギーを生じるのなら、逆でも同量のエネルギーが得られるのが物理法則の常」

旧べえ「ワルプルギスの歴史の圧倒的強さを知るが故に落ちた”絶望”から」

旧べえ「君達の諦めない姿を見て駆け上った”希望”の感情……」

旧べえ「その相転移反応によって生じた全エネルギーをぶつける!」

マミ「な、なんて力……!?」

杏子「アイツ、ウォーリアーの時はマジで本気じゃなかったのかよ……!」

旧べえ「全員僕から離れていてくれ! 宇宙の延命すらも可能なエネルギー量だ!」

旧べえ「可能な限り集束させるが、近くに居るだけで原子崩壊すら起きかねない!」

巨大さやか『なんだか分からんけど……兎に角アンタの攻撃に合わせて全力でぶっ放せばいいって事ね!』

まどか「任せて! 今度こそ、本気の本気をお見舞いするから!」

旧べえ「――――今だ!」





旧べえ「食らえ! これが、感情エネルギーの濁流だっ!」



巨大さやか『さやかちゃん必殺、全力全開フルパワーの、スペ○ウム玉ああああああああああっ!』



まどか「いっけええええええええええええええええええっ!」






――――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!



ゲルト「きゃあああああああああああああああああああああああっ!?」

シャル「ひ、光が強過ぎて前が見えな……」

マミ「だけど……!」

マミ「ワルプルギスの辺りから嫌になるぐらい感じていた魔力が、消えたわ!」

杏子「つー事は少なくとも魔力の壁は吹っ飛ばした訳だ!」

シャル「ええ! そうなるわね!」

シャル(勿論、アレはキュゥべえ達の最終兵器。魔力の壁を貫いたぐらいでどうこうなるものじゃないでしょうけど)

シャル(でもそれなりのダメージを与えられれば――――)





















まどか「……嘘……だよね……」




巨大さやか『……いやぁ、ちょっとは期待していたんだけどなぁ……』

ゲルト「そ、そんな、そんな、だって……」

杏子「冗談キツイなぁ……」

シャル「な、んで……よ」

シャル「なんでワルプルギスの奴、無傷なのよ!?」

マミ「そんな!? 確かにあの攻撃で魔力の層は吹き飛ばされた筈よ!? 今だって魔力は感じられない!」

マミ「今のワルプルギスは鎧が剥がれた、丸裸も同然なのよ!?」

旧べえ「……あらゆる魔女のグリーフシードを取り込んでいるから、もしやと思っていたが……」

旧べえ「ワルプルギスには物理攻撃に耐性がある……!」

旧べえ「それも単純なエネルギー量では突破出来ない、出鱈目な物理耐性だ!」

シャル「なっ……!?」

巨大さやか『物理無効って事!? そんなの反則でしょ!』

疾患QB「ついでに言うと、魔力にも耐性を持っているよ。そういう魔女のグリーフシードも取り込んでいるからね」

疾患QB「まぁ、どちらも完全無効ではなくて99%カットなんだけど」

疾患QB「攻撃するなら物理と魔法以外の手法がオススメだよ。次元干渉系が最も有効かな?」

疾患QB「君達にそんな攻撃手段があれば、だけどね」

シャル「……沙々ちゃんでも起こそうかしらね……洗脳してなんとか……」

杏子「ありゃ魔法の一種だろうが、畜生!」

マミ「そんな……どう、すればいいのよ……」

マミ「魔法も駄目、物理も駄目」

マミ「どうにもならないじゃない!」

旧べえ「ま、まだだ! まだ負けていない!」

旧べえ「無傷だったアイツを見た瞬間、僕は絶望に飲まれた! ならばその相転移反応を利用した攻撃が出来る!」

旧べえ「鎧が剥がれたあの状態なら、さっきよりも大きなダメージを……」

疾患QB「おっと。魔力の壁を破られたし、そろそろ遊んでばかりもいられないね」

疾患QB「本艦、攻撃の方お願いするよ。出力はそのままで良いから」

杏子「!? 攻撃だとテメェ――――」

巨大さやか『杏子ちゃん危ないっ!』

杏子「え――――!?」



杏子(ちょ……な、なんでビルが空に浮いて……!?)

杏子(ワルプルギスが魔法で浮かせてんのか!? 一体なんの冗談だよ!)

杏子(だ、駄目だ、あんなのどう避ければ――――)

巨大さやか『うおりゃああああああああああああああっ!』

杏子「さ、さやか様!?(あたしとビルの間に割って入って……)」

――――ズガッ!!

杏子(ビルを片手で受け止めて……!)

巨大さやか『こん、のぉっ!』

――――ゴシャアアアアアアアアアアアッ!!!

杏子(もう片方の拳を振り上げて砕いた!? 滅茶苦茶だけど凄いよさやか様!)

巨大さやか『たくっ! とんでもない攻撃してくるじゃん!』

巨大さやか『だけどいくら高層ビルったって高々100メートルもないコンクリートの塊!』

巨大さやか『他のみんなは兎も角、地球最強モードのあたしにそんな”普通”の攻撃は通じないよ!』



          ――  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ――



巨大さやか『あ、でも流石に見滝原中のビルを叩きつけられるのはキッツイかなぁ……』



シャル「ちょっとちょっと、あんなの放たれたら逃げ場なんてないわよ!」

巨大さやか『くっ! 仕方ない!』

杏子「さ、さやか様!」

巨大さやか『あたしが全部――――受け止める!!』


――――ドドドドドドドドド!!


マミ「きゃああああああああああああああっ!?」

ゲルト「び、ビルがたくさん落ちてきましたぁ!?」

巨大さやか『ぐ、あ、がっ……こん、のぉっ……!!』

シャル「さ、さやか! 大丈夫!」

巨大さやか『あ、あたしは平気……ちょっと痛いだけ……!』

巨大さやか『でも、何時までも立ってられない……』

巨大さやか『このままだとそのうち衝撃で倒れちゃう! 多分最後まで盾にはなれない!』

巨大さやか『みんな! 悪いけど万一に備えて防御を固めて!』

杏子「わ、分かりました! 全力で結界を展開します!」

杏子「みんな! あたしの傍に来てくれ!」

ゲルト「私はその内側に植物を生やして支えにします!」

マミ「なら、私はその植物にリボンを絡めて補強を――――」

まどか「それじゃ駄目! 攻撃して援護した方が良いです!」

マミ「!? な、何を言ってるの! 今外に出たら危ないわ!」

マミ「みんなで耐えれば……」

まどか「私の魔法は防御に向いてないから、皆さんの援護が出来ません!」

まどか「マミさん達だけの力で、さやかちゃんでも受け止めきれない攻撃を耐えられるんですか!?」

まどか「一発だけじゃなくて、何発も、何十発も!」

マミ「そ、それは――――」

まどか「だから私がさやかちゃんを援護します!」

まどか「そうすれば、さやかちゃんもきっと耐えきれる!」ダッ

マミ「か、鹿目さん!? こっちに戻って!」

まどか「大丈夫! あれぐらいなら、何個来ても壊せます!」

まどか「いっ……けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」バシュンッ!!

杏子「なっ……まどかの奴、一度に何十発も凄い威力の魔力弾を撃って……」


――――ドドドドドドドドドドドン!!


ゲルト「巨大なビルを、一撃で粉砕している……!」



巨大さやか『まどかのお陰で攻撃の手が緩んだ……これならなんとか、持ち堪えられるよ!』

旧べえ「流石だね……僕は感情エネルギーという莫大な出力を誇る反面、力を出すのに逐一感情の振れ幅が必要だが」

旧べえ「魔法少女にはそれが必要ない。こういう断続的な攻撃には、魔法少女の力が最適だ」

旧べえ「まどかなら、この攻撃を迎撃出来る……これなら切り抜けられる……!」

ゲルト「……確かに、鹿目さんの言うとおりです。私達だけの防御では」

ゲルト「肉体面で最強であるさやかさんすら転倒させる攻撃を、防ぐ事は叶わなかったでしょう」

杏子「一番のルーキーのくせして、一番状況を見ていたのはアイツか……あたしとした事が、情けない」

マミ「……いえ、これは……!」

シャル「ちっ! 世話の焼ける新人ねっ!」

ゲルト「あ、しゃ、シャルロッテさん!? どうし――――ッ!?」

杏子「ああ、そういう事か……不味いな……」

杏子「ビルが壊れて――――」




まどか「えいっ! えーいっ!」ドドドドドッ

まどか(くっ……本当に見滝原中のビルを持ってきているのか、いくら迎撃しても切りがないよ!)

まどか(ビルを浮かせるなんてとんでもない魔力を必要とするのに、これでもまだ本気じゃないなんて……)

まどか(でもキュゥべえのお陰で魔力は剥がれた。今なら攻撃を直撃させられる!)

まどか(ひたすらビルを壊して、攻撃のチャンスを――――)

――――ゴオオオオオオオオオオオオッ!!

まどか「っと、横からなら反応出来ないと思った!?」

まどか「残念だけど、使ったビルが他のよりも随分と大きいよ!」

まどか「そんな大きいの、見逃す訳ないんだから!」バシュッ


――――ズドオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!


まどか「けほっけほ……粉塵が……でも粉々に出来た!」

まどか「こっちに飛んできているもう一個のビルも撃ち落として……」

――――ゴオッ

まどか「え」




まどか(なんで……なんでさっき壊した筈のビルが無傷でこっちに飛んできて……)



まどか(あ、違う)



まどか(このビル、さっきの奴よりずっと小さい……)



まどか(あの大きなビルの後ろにこの小さい奴を隠してたんだ! 壊した事で出来た粉塵に紛れさせて、私の目を晦ませた!)



まどか(げ、迎撃しないと……で、でももう)



まどか(間に合わ――――)









                    「鹿目さんっ!」







まどか「!? シャルロッテさ――――」

まどか(シャルロッテさん、私のすぐ傍まできて)

まどか(それで、私の腕を掴んで……)

シャル「どっ――――りゃあああああああああああああああっ!!」

まどか「な、投げ……うぐっ!」

マミ「か、鹿目さん!」

まどか(シャルロッテさんに皆の近くまで投げ飛ばされた! そう言えば、本来身体強化系の魔法少女だったって言ってたっけ)

まどか(お陰で飛んできたビルの下からは移動出来たけど、で、でも!)

まどか「シャ――――」













シャル「あ、これ無理だわ」







グシャアアアアアアアアアアアアアンッ!




旧べえ「ぐぅっ!?」

杏子「な、なんつー衝撃波……何万トンもあるコンクリートの威力、正直嘗めてたわ……」

杏子「こんなの受けたらあたしの結界なんかいくら補強しても関係無くぶち破られていたぞ……!」

ゲルト「そ、それより……」

マミ「シャルロッテさんが、ビルの下敷に……!?」

まどか「あ、あ、ぁ」

まどか「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

まどか「いやああああああああああああああ! しゃ、シャルロッテさんが、シャルロッテさんが、ああああ!」

ゲルト「だ、駄目です! まだ攻撃は続いています! 美樹さんの影に隠れないと……!」

まどか「だって、だって私が、私が!」

マミ「鹿目さんのせいじゃない! あなたがビルを落としてくれていなければ、私達は今頃下敷だった!」

マミ「あなたは悪くない、悪くないから……!」

まどか「嫌、また、また私のせいで……」

まどか「嫌あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」






































「妖精さんアイテム『鏡の国のアリス体験版』~」





まどか「え……」


「一見普通の手鏡ですが、中には不思議な不思議な王国が広がっており」


杏子「こ、この呑気で……」


「私達も中に入る事が出来てしまいます」


マミ「緊張感が欠片もなくて」


「と言うか鏡に映った人を手当たり次第中に取り入れてしまう、困った道具なんですよねぇ」


ゲルト「底抜けに明るい声は……!」


「まぁ、お陰で緊急避難アイテムとして使えるのですけどね。本来の用途と全然違いますけど」


巨大さやか『やっと……やっと戻って来たか……』


「ですから……」


旧べえ「――――暁美ほむら!!」





ほむら「シャルロッテさんは無事ですよ、鹿目さん」





まどか「ほむら、ちゃん……」

まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃん……!」

マミ「ほ、本当にシャルロッテさんは……」

ほむら「はい、こちらの中に」スッ

ゲルト「あ、手鏡……」

杏子「本当だ。あたしらが映らない代わりに、中にシャルの奴が居るぞ」

シャル『……うん、見事に鏡の中に囚われたわ』

シャル『……マジで死ぬかと思った……』

ほむら「ご冗談を。妖精さん密度Fの私と暮らしているあなたがこんな些事で死ぬ訳ないでしょう」

シャル『何処から沸いてくんのよその自信……まぁ、今回は信じてあげましょうか。理不尽なほどのラッキーだったし』

シャル『それで、どうすれば出られるの?』

ほむら「こうして鏡をひっくり返してー」

ほむら「力いっぱい振ります!」ブンブン

シャル『ちょ、ぐえ!? ゆ、揺れがマジで伝わってあだっ!?」

巨大さやか『あ、出てきた』

シャル「いたた……もうちょっと優しくしてくれないものかしら……」

まどか「シャルロッテさああああああああんっ!!」

シャル「わぷっ!? か、鹿目さん!? ちょ、抱き着かないで、苦し……」

まどか「ごめんなさい、ごめんなさい、私……!」

シャル「……ああもう……抱き着くのは私じゃなくてほむらにやってほしいものね」

ほむら「全力で避けますけどね」

シャル「おい」

ほむら「……さて、半端なお遊びはここまでにしてっと」

ほむら「いやぁ、好き勝手やってくれちゃったものですねぇ。見滝原、すっかり壊滅じゃないですか」

ほむら「見渡す限り廃墟だらけ。冒険心がそそられる光景です」

ほむら「インキュベーターであるあなたが、そんな風に思うとは言いませんけど」



疾患QB「……ふふ……ついに姿を現したね。暁美ほむら」

疾患QB「君の事だから、この状況をなんらかの方法で観測していた筈だ」

疾患QB「よく、あのワルプルギスの前に姿を現そうと思ったね」

ほむら「そりゃ派手に遊べそうなアスレチックがあれば誰だってやってきますよ」

疾患QB「アレをアスレチック呼ばわりか。奢りなのか自信なのか、今では判別が付かないね」

疾患QB「妖精も近くに居るのかい?」

まどか「えっ、と……(妖精さんは電波があるところだと活動出来ない筈……)」

ほむら「勿論。妖精さん、おいでやすー」

妖精さん「はーい」ポーン

まどか「えっ!? どうし……」

まどか(そうか! 町が滅茶苦茶になったから、電波が何処からも出ていないんだ!)

シャル(これなら妖精さんパワーは100%発揮出来る……)

疾患QB「……僕には見えないけど、そこに居るのかな?」

ほむら「ええ。見えないのは、きっとあなたの魂がこちらにないからでしょう」

疾患QB「ふふふ……そうかい……居るのなら、遠慮はいらない訳だ!」

疾患QB「本艦! 妖精を”確認”した! 出力リミッター限界まで解除だ!」




WR【■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!】



まどか「ひっ!?」

マミ「こ、これが、わ、ワルプルギスの……!?」

疾患QB「本気ではないよ。本気を出したら、それだけでこの星の環境すらも変えかねない」

疾患QB「精々50%……さっきまでの、ざっと250倍さ」

旧べえ「本気を出したら、確か十分と持たないからね。エネルギー」

疾患QB「……否定はしないよ」

疾患QB「ま、これでも一発攻撃が地表に当たったら……地軸がずれてしまうかも知れないね」

ゲルト「なっ……!?」

ほむら「ちょっとちょっとー、風とかゴミとか凄いじゃないですかー」

ほむら「妖精さんアイテム『静電気バリアー発生下敷き』で予め身体を擦り、埃を寄せ付けないようにしとかなかったら」

ほむら「あの方の姿がろくに見えないところでしたよ」

疾患QB「やれやれ。これでもまだ自信を崩してくれないか。こっちの自信が崩れそうだよ」

ほむら「自信なんてありませんよー」

ほむら「ただちょっと――――わくわくしているだけです」

シャル「……ほむら……?」

疾患QB「わくわく、ね……つまり君にとって、僕達の最終兵器は本気になる必要もない存在という訳だ」

疾患QB「――――嘗めるな、下等動物が」

疾患QB「僕達の力を見くびった事、後悔するが良い!」


WR【■■■■!!!】


シャル「く、黒い魔力の塊が幾つも放たれ……」

シャル(あれ。全然怖くない。物凄い魔力を感じるのに、なんで……)

シャル(ああ、そうか。あまりにも強過ぎて、もう、怯える事も出来ない)

シャル(諦めるという考えが過ぎる前に、心の根っこが折れちゃったんだ)

シャル(だからこうして、逆に冷静でいられる訳ね)

ほむら「ぽーいっと」

シャル(……まぁ、コイツが冷静なのは私、達とは違う理由なんでしょうけど)


シャル(というか、一体何を投げて……)

ぽんっ☆

シャル(あ、なんて出てきた。これは――――)

まどか「……タヌキの置物?」

タヌキ【あ―――――――ん】

ゲルト「あ、口を開いて」

タヌキ【すぅ――――――】

杏子「吸い込んで」

タヌキ【ぱくんっ】

巨大さやか『……ワルプルギスの攻撃、全部飲んじゃったよ』

――――ぼいんっ

マミ「……なんか、私の胸が一回り大きくなったみたいなんだけど」

ほむら「妖精さんアイテム『マミサン置物』~」

ほむら「あらゆる攻撃をばくんと食べて吸収!」

ほむら「そのエネルギーを巴先輩の胸の脂肪に変換し送り届けるという代物です!」

マミ「何そのピンポイントでのいじめ!?」

ほむら「いやー、タヌキの置物で何か便利なアイテムを作れないかと思いまして」

ほむら「どうせならマミ繋がりで巴先輩をどうこうしたかったので」

ほむら「あ、ほっとけばそのうち空気みたいに抜けますのでご安心を」

妖精さん「あんしんせっけーですなー」

マミ「何からツッコめば良いのか分からないけど兎に角ふざけんなーっ!」

妖精さん「ぴ――――――――!?」

ほむら(あ、巴先輩の大声で逃げちゃった……まぁ、良いや。あとで集めますし)

疾患QB「ぐ、ぐぎ……まさかこんな方法で攻撃を無効化するとは……!」

ほむら「とりあえず、これで時間的猶予は作れましたね」

シャル「仕掛けるなら今のうちって訳ね」

杏子「それで、どんな手を使うんだ」

まどか「どうやって、あのワルプルギスを倒すつもりなの!?」






ほむら「倒しませんよ?」






まどか「……え……」

ほむら「まぁ、倒せないと言うべきかも知れませんけど」

杏子「た、倒せない……?」

ほむら「だってあの方、滅茶苦茶強そうじゃないですかー」

ほむら「妖精さんは誰かを直接虐げるタイプの発明って苦手なんですよ」

ほむら「まぁ、並の相手ならどうにか出来ますけど」

ほむら「ああも出鱈目ではどうにもなりません。倒すのは無理です」

まどか「そ、んな……」

シャル「じゃ、じゃあどうするつもりなの!?」

シャル「妖精さんアイテムでどうにもならないなら、私達に勝ち目なんて……!」

疾患QB「く、くくく……そうさ、最初から勝ち目なんてない」

疾患QB「いくら妖精の力が強大でも、宇宙で最大最強の力を持つ僕達に倒せない訳がないんだよ!」

ほむら「? 何をおっしゃっているんですか?」

ほむら「私はそもそも――――あの方を倒すつもりなんて毛頭ないのですけど」

疾患QB「……何?」

旧べえ「どういう、意味だい……?」

ほむら「どういうも何も……私は魔女さんを助けたいから、このドンパチ騒ぎに参加しているのですよ?」

ほむら「なら目の前の魔女さんも助ける。倒す訳がないでしょう?」

巨大さやか『で、でも、前言ってたじゃんかっ!?』

巨大さやか『妖精さんは魔女の絶望を追い払える、だけど絶望の量が多いなら、その分たくさんの妖精さんが必要になる!』

巨大さやか『まどかの時ですら千人も必要だったんだ! あの魔女じゃ何万人居ても足りないよ!』

旧べえ「それに、あれは魔女と言うよりもグリーフシードの集合体と言うべきだ」

旧べえ「なんらかの方法で絶望を取り除いたとしても、正気と呼べるものがあるとは思えない……!」

ほむら「ああ、成程。道理で眼鏡に表示される意訳が意味不明なものだったのですね」

ほむら「確かに凡そ真っ当な意思は存在しないようです」

旧べえ「なら!」

ほむら「それでも助けてあげたい」

ほむら「……この眼鏡に映る字幕からでも伝わる、誰にぶつけて良いかも分からない呪いから引っ張り出したい」

ほむら「そう思うのは、可笑しな事でしょうか?」

まどか「……ほむらちゃん……」



シャル「だ、だけどどうするつもりなの!?」

シャル「妖精さんの科学力でどうにもならないなら、どうすれば……」

ほむら「最後の手段を使います」

シャル「さ、最後の、手段……?」

ほむら「ええ。いざと言う時、とっておき」

ほむら「妖精さんパワーをフルパワーかつ、フル活用する方法です」

ほむら「ああ、先に言っときますけど自爆技じゃないですよ? もっと楽しい事です」

ほむら「ただまぁ、いざやるとなると中々踏ん切りがつかなくて」

ほむら「こういう”きっかけ”が欲しいとは思っていたところなんですよ」

ほむら「――――元に戻れる保証もありませんから、出来れば派手に楽しみたいですしねー」

まどか「!? ほ、ほむらちゃん、何を……」

ほむら「さぁ! ラストステージに相応しい盛り上がりといきましょう!」

ほむら「妖精さん! 八時じゃないけど、全員しゅーごーっ!!」

「よばれた?」「にんげんさんのごうれーだー」「ついついあつまっちゃうよねー」
「ぼくらゆーわくによわいからー」「いわれるがままです?」「そんなえさにつられますが?」
「つられるつられるー」「ふつーつられるー」「だってにんげんさんだもん」「しかたないなー」
「たのしいことはじまります?」「にんげんさん、あいであほーふだから」「あたまよろしいですし?」
「ちょーずのうは」「いじめっこぱわーすごし」「ひかれますー」「あやかりたーい」

ぞろぞろぞろぞろぞろ……

まどか「よ、妖精さんがたくさん……!」

杏子「百人ぐらい来たぞ……」



ほむら「さぁ、妖精さん。もしかしたら最後のお願いです」































ほむら「”私を妖精さんにしてくださいっ!!”」





全員「!!!?!?!??」



妖精さん「……にんげんさん、そのおねがい、ほんとによろしい?」

ほむら「ええ。仮に人間に戻れなくとも、後悔はしません」

妖精さん「せっかくにんげんさん、すてきなのに?」
妖精さん「すてきないのち、おもちなのに?」

ほむら「命に、良いも悪いもありません。みんな等しく尊いものですよ」

ほむら「人間だろうと魔女だろうと」

ほむら「妖精さんだろうと」

妖精さん「……ですが、ぼくら、にんげんさんとちがいますです……」

ほむら「飢えや窒息といった死から無縁で、消えたいと思ったら消えてしまう」

ほむら「確かに私達の知る命では想定出来ない生き様。確かに、我々の命の定義には当て嵌まらないかも知れません」

ほむら「それでも私は思うのです」

ほむら「あなた達はこの世界を……楽しく生きようとし、楽しく生きている」

ほむら「ならそれは、十分に命と呼ぶべきではないかと」

妖精さん「……」

ほむら「卑屈にならないで。あなた達はもう、十分に生きている。命として、私達の傍に立っている」

ほむら「だから、私にもっと……あなた達の事を教えて」

ほむら「あなた達が私達人間の命に憧れるように」

ほむら「私もあなた達の――――素敵な命に憧れているのです」

妖精さん「……!」

ほむら「私は、あなた達のようになりたい」

ほむら「あなた達みたいに、世界の全てを楽しみたい」

ほむら「どうかこのお願い、叶えてはもらえませんか……?」

妖精さん「にんげんさん……」




妖精さん「にんげんさんにそこまでいわれたら、がんばるざるえませんな!」




妖精さん「そーいんしゅーごーっ!!」

妖精さん達「ぴ――――――――――――――――――――!!」

「どうするどうする?」「やっちゃうやっちゃう」「どうやっちゃう?」
「ぼくらをまぜて」「うすめてうすめて」「きゅーわりぐらいならー」

妖精さん「それではそのほうこうで!」
妖精さん「にんげんさん、ぼくらのなかまいりーっ!!」

妖精さん達「ぴ―――――――――――――――――!!」



巨大さやか『ああ!? 妖精さんがほむら向って走っていって……』

杏子「群がってる……?」

シャル「ち、違う……群がってるんじゃない……!」

シャル「妖精さんが……ほむらの中に”入って”いってる……」

シャル「いえ、溶け合ってるみたい!」

マミ「どういう事!? 何が起きようとしているの!?」

シャル「そんなの分かる訳ないでしょ!」



                 ―――― カッ!! ――――



まどか「うっ!? ほ、ほむらちゃんが光って――――」

ゲルト「ま、眩しくて何も見えません!」

杏子「う、ぐぅぅぅぅ……!」

旧べえ「なんだ!? 何が起きて……いや、この光は一体!?」

疾患QB「……? 光? 君達は何を言って――――」

まどか「う、く……?」

巨大さやか『光が……弱まって、きた……?』

まどか「一体何が起きて……」

まどか「っ!?」




――――目を開けた時、私が見たのはほむらちゃんの姿であり、そして、ほむらちゃんではない姿でした。



――――見ると胸が高鳴るあの可愛くて、だけどちょっぴり凛々しい顔はそのまま。



――――スレンダーで、きっと女神よりも美しいに違いないスタイルもそのまま。



――――だけど、変わっている部分も幾つかありました。



――――三つ編みだった髪は解かれ、先にはくるんと癖がついていました。



――――制服はリボンなどで飾られた可愛らしいワンピースになっていました。



――――吸い込まれそうになる綺麗な瞳は、翡翠のような色になっていました。



――――そしてその身体は、ちょっぴり……ぼやけて見えました。



――――そんなほむらちゃんを見て、私はこう思ったのです。



――――妖精みたい、と。




ほむら「……………」

まどか「……ほむら……ちゃん……?」

ほむら「……………」

シャル「ほむら? ど、どうしたの……?」

マミ「まさか妖精さんとその、何かやってたけど失敗して、体調が悪いとか……」

ほむら「……凄い」

巨大さやか『え?』

ほむら「嘘、なにこれ……こんな、ああ……!!」

旧べえ「ど、どうしたんだ暁美ほむら! そんなに取り乱して!」

旧べえ「まさか今更ワルプルギスに当てられて……」

杏子「……いや、よく見ろ。アイツ……」

杏子「アイツ……見ているこっちが楽しくなるぐらい……」

杏子「笑ってる……!」

ほむら「そんな、信じられない!」

ほむら「世界がこんなにも楽しそうだったなんて!」

ほむら「ああ! これならもっと早くお願いしていれば良かった!」

まどか「ほ、ほむらちゃん! どうしたの!?」

ほむら「え? ……ああ、ごめんなさい。ちょっとはしゃいじゃいました」

ほむら「あまりにも世界が賑やかで、つい」

まどか「に、賑やか……?」

ほむら「ええ、とっても賑やかです」

ほむら「こんなにも『イキモノ』が居るなんて、思いもしませんでした!」

ほむら「それに、この身体に宿った力……」

ほむら「予想はしていました。きっと素晴らしいものという予想は」

ほむら「だけどこんなにも素敵なものだったなんて!」

ほむら「この力ならどんな方が相手でも、楽しくなるしかないじゃないですかっ! 知ってましたけど!」

まどか「??」



ほむら「……っと、あんまり遊んでもいられませんね」スッ

巨大さやか『ほむら? なんで眼鏡を取って……』

ほむら「これはもう、必要ありませんから」

ほむら「……さて、準備運動も兼ねて」

ほむら「あの魔女さん達を助けるとしましょうかっ!」テテテッ

シャル「あ、ほむら!」

巨大さやか『スキップ交じりの足取りで行っちゃった……』

疾患QB「――――はっ!? な、何があったんだ……!?」

疾患QB「何故、暁美ほむらの姿が……急に、殆ど見えなくなったんだ?」

まどか「え?」

巨大さやか『ちょっと、アンタ何を言って……』

疾患QB「くっ! まさか妖精の道具を使ったのか! なんとか目視で確認出来るが……」

疾患QB「センサーでは捉えられない! ジャミング系の道具を使ったと見るべきか!」

マミ「え……演技じゃ、ない……?」

ゲルト「みたい、ですね……」

シャル(本当にほむらの姿が見えてない? どういう事?)

シャル(それじゃ、まるで本当にほむらが……)

疾患QB「本艦! 暁美ほむららしきものがワルプルギスに向かっている! 攻撃を――――」

疾患QB「え? ……目標をロスト、した? あ、ああ、そうだ、そうだな。うん」

疾患QB「と、兎に角攻撃してくれ! 僕の現在地点からワルプルギスを直線でつないだ方向に移動している!」

ゲルト「! そうはさせませ――――」

シャル「駄目! 間に合わない!」

WR【■■■■■■■■■!!】

シャル(ワルプルギスが攻撃してきた! ああ、魔力弾の雨が……)

シャル(いくら滅茶苦茶に撃っても、あれだけの魔力が込められていたら爆風でこの辺りも吹き飛ばされる!)

シャル(そうなったら――――)







ほむら「はーい、皆さん駆けっこをしましょー。一番速かった子には、ご褒美上げますよー」





ギュゥ―――――――――――ン



シャル「……え……(今、魔力弾が曲がった……?)」

シャル(妖精さんアイテム……じゃない!?)

ほむら「うふふ、皆さん結構素直ですねぇ」

ほむら「ああ、そう言えばゴールを決めてませんでしたけど……ま、いっか♪」

シャル(アイツ、一体何をしたの!?)

マミ「きゅ、キュゥべえ、暁美さんが何をしたか分かる?」

旧べえ「い、いや……分からない……」

旧べえ「何かしらの方法で魔力……いや、エネルギーの軌道を変えたのか……?」

旧べえ「しかし暁美ほむらがエネルギーを発していた様子は――――!?」

マミ「……キュゥべえ?」

旧べえ「ば、馬鹿な……そんな事はあり得ない!」

旧べえ「直接的な干渉なしでエネルギーを、万物の根源を操ったと言うのか!? それが妖精さんの力だと!?」

旧べえ「それが可能なら……そしてその方法が……」

旧べえ「……ふ、は」

旧べえ「ふ、はははははははははははははははははははっ!!」

マミ「キュゥべえ!? ちょっと、どうしたの!?」

旧べえ「これが笑わずにいられるかい!?」

旧べえ「ああ、僕達はなんてものに喧嘩を売ったんだろう! あまりにも滑稽だよ!」

旧べえ「こんなの――――”勝てる訳がない”じゃないか!」

旧べえ「君もそう思わないかい!?」

疾患QB「……………君が何に気付いたのか、或いは夢想したのかは分からないが……」

疾患QB「関係無い!」

疾患QB「ワルプルギスは最強の魔女だ! 妖精の力がどれほどのものだろうと関係ない!」

疾患QB「そうだ……妖精相手に手を抜く方が間違っていたんだ!」

疾患QB「リミッター解除! 全出力を解放し、この星ごと消し飛ばす!」

疾患QB「それなら、如何に妖精といえども終わりだ!」

まどか「!?」

杏子「なっ……なん、だと!?」



巨大さやか『ちょ、そ、そんな事したら、もう二度と魔女からエネルギーを取れないんだぞ!?』

疾患QB「知った事か! たかがこんな辺境惑星一つ消えてもなんのデメリットもない!」

疾患QB「君達ほどではないが、感情を持つ生物は他の星でも確認している!」

疾患QB「いくらでも替えは利くんだ! この星に執着する理由はない!」

マミ「なんて事……!」

疾患QB「ふ、ふははははははははははははははは! 僕達の勝利だ!」

疾患QB「ふははははははははははははははははははははははは!」

シャル「……ところで」

シャル「そのリミッター解除って、何時やるの?」

疾患QB「は? 何時も何ももうやって――――」

疾患QB「……!?」

マミ「……あら?」

ゲルト「……全然強い魔力を感じない……」

杏子「と言うか……」

まどか「魔力自体、感じない……?」



ほむら「感じる訳ないですよー。あちらの方々、もう戦うつもりはないみたいですからー」

旧べえ「……随分離れた場所にいるのに、よくこっちの話を聞き取れるものだ」

旧べえ「いや、それすらも妖精さんの力という訳か」

疾患QB「ど、どういう事だ!? 何故ワルプルギスの魔力が停止している!?」

疾患QB「本艦! リミッター解除はどうなった!?」

疾患QB「ああ!? 解除し、フルパワーモードにしている!? 何を言ってるんだ! 現に今……」

疾患QB「……何?」

疾患QB「あらゆる方法で攻撃指示をしているのに……命令が全て、拒否されている……!?」

ほむら「えーっとですねーっ! その理由はーっ……って、遠くから話すのしんどいなぁ……」

ほむら「ここをこうして……」

ほむら【あーあー、皆さん聞こえますかー?】

全員「!?」

まどか「頭の中でほむらちゃんの声が……」

杏子「な、なんだこれ!? テレパシーか!?」

ほむら【魔法じゃないですよ。脳内の電位差を弄って音声を認識させているだけです】

ゲルト「……あの、それってもしかしなくてもイオンチャンネルを掌握しているって事じゃ……」

ほむら【もしかしなくてもその通りです】

ゲルト「……あの、それってもしかしなくても私達、命の手綱を握られているようなものじゃ……」

ほむら【もしかしなくてもその通りです】

ほむら【まぁ、あまり気にしないでください。単にお喋りするために干渉しているだけですし】



ほむら【それでですね、あちらの魔女さん……皆さんがワルプルギスと呼んでいるあの方々はもう攻撃してきません。安心してください】

まどか「そ、そう……?」

疾患QB「糞! こっちからの指示も受け付けない! どういう事だ!?」

マミ「……それ、こっちのキュゥべえには教えてあげないの?」

ほむら【あげません。私、結構意地悪ですから】

ほむら【仮に教えても、理解出来ないでしょうし】

まどか「どうやってワルプルギスを止めたの?」

ほむら【別に何も? 向こうがインキュベーターの指示にNOを突きつけただけですよ。説得はしましたけどね】

ゲルト「説得って……」

ほむら【例え魂が燃え尽きようと、そこにある想いは消えない】

ほむら【例え異形に成り果てようと、命への嘱望は変わらない】

ほむら【私はそんな彼女達に方法を提示しただけ。そして彼女達は私の話に興味を持っただけ】

ほむら【私はまだ何もしていませんよ。さっきの魔力弾も、この会話も、魔女さんにも……まだ何も】

シャル「……………」

ほむら【――――さぁ、皆さん見ていてください】

ほむら【今からやる事が本当の】

ほむら【”妖精さんの力”です】

まどか「あ……」

巨大さやか『ほむらの奴、一体何をする気なんだ……?』

シャル「……………」



ほむら「遅くなってすみません。ええ、今からやりましょう」

ほむら「え? 本当に出来るのかだって?」

ほむら「大丈夫。今の私は、妖精さんの全てを理解しています」

ほむら「……世界は考えるものたちで溢れている」

ほむら「機械、電気、酸素や素粒子のような形あるものだけじゃない」

ほむら「電気的な行き来で生じたネットワークそのものにも、感情の振れ幅によって作られたエネルギー……魔力にも」

ほむら「グリーフシードも、心はある」

ほむら「精神が霧散しようと、全く違う呪いを押し込まれようと、魂に刻まれた想いまでは変えられない」

ほむら「命への憧れは、決して消えない」

ほむら「そんな心に”万物に干渉する力”が結びつけばどうなるか?」

ほむら「それがA地球の”妖精さん”。力の顕在化であり、新たに生まれた『命』だった」

ほむら「そして”こちらの妖精さん”はその方法で命を模倣しようとした訳です」

ほむら「そりゃ似たような存在になりますよ。原理的には同じなんですもの」

ほむら「……途中から何を言ってるかよく分からない? それは失礼しました。ちょっと自分の世界に入っちゃって」

ほむら「簡単に言えば、あなた達はやり直せます。生きたいという想いだけは叶えてあげられます」

ほむら「どうですか? お返事を聞かせてください」





WR【……………】

WR【■■■■……】ズズズ



まどか「! ワルプルギスが……」

疾患QB「か、勝手に動き出した!? こちらはそんな指示出してないのに!」

マミ「あの巨大なグリーフシードが迫ってくる……」

巨大さやか『本当ならビビっちゃいそうな光景の筈なのに、なんでだろう……』

ゲルト「全然、怖くありません」

旧べえ「それどころかむしろ――――」

シャル「何故かしらね。見守っていたい気分にさせられるわね」

旧べえ「こんな感情は初めてだ……だが、悪くない」

疾患QB「な、何がどうなっているんだ!?」




ほむら「分かりました――――さぁ、私の手に触れて」


疾患QB「暁美ほむらが、暁美ほむらがワルプルギスの動きを制御しているのか!?」


ほむら「……本当に、ごめんなさい」


疾患QB「だけど制御系になんのエラーもないのに、どうやって!?」


ほむら「私にはこれが限界。元の精神がないから、”あなた”としてもう一度生まれさせてあげる事は出来ません」


疾患QB「どうやってワルプルギスを支配している!? どうしてコントロールを奪っている!」


ほむら「それでも、この命がとても楽しい生き方を送れる事は保証します」


疾患QB「そ、そこに居るんだ! 攻撃しろ!」


ほむら「苦しさも悲しさも絶望も、全てを塗り潰す虹色の日々を約束します」


疾患QB「どんな攻撃でもいい! その一帯を攻撃するんだ!」


ほむら「だからもう一度こっちに……」


疾患QB「なんで、どうして、どうして……」














ほむら「この眩しい世界に、戻ってきて!」


疾患QB「どうして僕らの言う事を聞かないんだああああああああああああああああっ!!?」






――――ほむらの奴が触れた瞬間、ワルプルギスは光の粒へと変わった。



さやかや鹿目さんの攻撃ではどうにもならなかったワルプルギスを、アイツは触っただけで倒してしまった。



……いや、倒してなんかいないのだろう。



ワルプルギスから生まれた光の中にあったのは、グリーフシード達。



そして、妖精さん達だった。



光はどれも空へと向かった。妖精さんだけでなく、グリーフシードも一緒に。



真っ直ぐではなく、迷うようでもなく……スキップするよう