ヒカル「だ、誰だ!?」 稲尾「私の声が聞こえるのですね」 (8)

ヒカル「じぃーちゃーん、上がらせてもらうよー」

あかり「いいの?勝手に漁ってー」

ヒカル「いいっていいって今月小遣い止められてんだ」
ヒカル「よっこらしょっと。これなんか良いかなあ」

あかり「それ知ってる!キャッチボールに使うグローブでしょー」

ヒカル「よいしょ、この染みが落ちねーなー」

あかり「どの染み?」

ヒカル「ここだよ!ココ!」

???「…見えるのですか!?」

ヒカル「!?」

???「私の声が聞こえるのですか…?」


ヒカル「だ、誰だ!?」

稲尾「私の声が聞こえるのですね」

あかり「も、もう先帰るからね!」

ーーー
ーー

ヒカル「お前、名前は?」

稲尾「サイと呼ばれています」

稲尾「西鉄でプロ野球をしていました」

ヒカル「西鉄?野球選手?」

稲尾「しかし晩年は故障に苦しみ、鉄球を投げてリハビリをしていました」

ヒカル「へー、じゃあグラブに付いた汚れはお前の血だったのか」

稲尾「ええ…そして志半ばでしたが、西鉄の為に現役を引退しました」

ヒカル「じゃあ、また野球がしたくてこの世に現れたって訳なのか?」

稲尾「はい。なぜなら…

稲尾「なぜなら…私はまだ、神の一球を極めていない!!」

ヒカル「神の一球…」

翌日

クラスメイト「お前、昨日倉で倒れて救急車乗ったんだってなw」

ヒカル「あかり!言うなって言ったろ」

あかり「だってヒカルが心配で…」

先生「それではテストを始めるわよー」

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