監督「本番5秒前!4、3、…」 奉太郎「ある日俺がマイクを持ち」 (56)

奉太郎「折木奉太郎です。 今日からよろしくお願いします」

監督「うん。こちらこそ。他の役者さんも来てるから。顔合わせといて」

奉太郎「はいっ!」

マネージャー「折木くん、体震えすぎー」

奉太郎「仕方ないじゃないですか…初主役なんですから」

マネージャー「ほんとにやっと、って感じだよね。このチャンス、掴もうね!」

奉太郎「もちろんです」

奉太郎「…と最初は…福部里志さん」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400487441

コンコン
『はい』

ガチャ

奉太郎「あ、あの折木奉太郎です。今日からよろしくお願いします」

里志「ああ、君か。福部です。こちらこそよろしく」

里志「頑張ってくれよ。氷菓の人気は君にかかってる!」ビシッ

奉太郎「そんな…とんでもないです」

里志「くっくっくっ。 まぁNGは少なめにな」

奉太郎「はい!」

奉太郎(次はと…)

コンコン

『はーい』

ガチャ

奉太郎「あのk」

摩耶花「ひょっとして折木くん!?」ガタッ

奉太郎「え、ええ…」

摩耶花「きゃー! 待ってたよ!」

奉太郎「ありがとうございます」ペコリ

摩耶花「ねぇねぇ 中入りなよ。飲み物お菓子でも食べながら話しようよ」

奉太郎「ありがたいんですが、ほかの部屋にもいかなきゃならないので」

摩耶花「ふーん…まあ、今日からよろしくねー」

奉太郎「よろしくお願いします」ガチャリ


奉太郎(テンション高いなあの人…)

奉太郎(よし最後だ!)

コンコン







奉太郎「あれー?」

マネージャー「トイレにでもいってるのよきっと」

奉太郎「なんてタイミングの悪い…」

マネージャー「待ってよっか。すぐ戻ってくるよ」

奉太郎「だといいんですが」









奉太郎「おかしいですよ!もうかれこれ三十分たってますよ!」

マネージャー「ホントどこいっちゃたのかしら」

マネージャー「仕方ないわ。千反田には後で挨拶しよ」

奉太郎「そうですね。台本の確認もしたいですし」

ガチャ

奉太郎「えっ?」

える「あ?」







える「何してんの?」

奉太郎「あ、あれ? 部屋にいたんですか?」

える「見りゃわかんだろ」

奉太郎「えっと、ですね…僕は折木奉太郎って言います。今日からご一緒させてもらうことになっています」

える「…あー! あんたが折木かよ~。なんだよストーカーかと思って一瞬ビビっちまったよ~」

える「ふむふむ。今日からよろしくな!奉太郎!」バシバシ

奉太郎「それはそうと、さっき何度もノックしたんですけどどうして…」

える「あーだから部屋の前でうろちょろしてたのか~」

える「知りたいか?」

奉太郎 コクコク

える「よし!耳かせ…実はな…」

奉太郎「…」ゴクリ

える「そんなこと自分で考えてみな」

奉太郎「」

える「まぁノーヒント、ってほどあたしは鬼じゃねーよ。部屋の中みせてやる」ガチャ

奉太郎「スマホに文庫本、テレビ…」

える「さーてここで問題。あたしがノックの音に気付かなかったのはどうしてか」

奉太郎「可能性たくさんありますね」

える「1、音楽を聴いていたから。 2テレビの音が大きかったから、3本に集中していたから」

える「あたしのことをよーく知っていれば解ける問題だぜ」

奉太郎「スマホとか文庫本、見てもいいですか?」

える「好きにしろ」

奉太郎(スマホには特に物理的な仕掛けはない……テレビも本も通常通りだ…)
 
奉太郎(ふつうに考えれば、ノックの音に気付かない…となると…)

奉太郎(ノックより大きな音が継続的になるものだから)

奉太郎「文庫本はナシです」

える「じゃあスマホかテレビのどっちかだな」

奉太郎(今は昼過ぎ…この時間にやってる番組といえば決まってる…)

奉太郎 ピッ ピッ ピッ

奉太郎(ビンゴだ)

奉太郎「千反田さん」

える「ん? 分かったのか?」

奉太郎「はっきりとわかりました。答えは音楽を聴いていたから」

える「そのこころは?」

奉太郎「テレビか音楽か、という話でしたが、

奉太郎「この時間にやっているテレビはどの局も通販番組です。そんなものを集中してみるとは思えません」

える「消去法で音楽ってわけか?」

奉太郎「はい」

える「はぁ…奉太郎、すげえ悲しいよ…共演者にすら知られていないとはあたしもまだまだだな…」

奉太郎「は?」

える「奉太郎。最初に言ったよな。あたしのことをよく知っていれば解ける」

奉太郎「まぁ言いましたが…深い意味はないんだと…」

える「バカ。大有りだ。いいか、これはグダグダ推理しなくてもちょいと調べればわかることなんだぜ」

奉太郎「調べる? 楽屋に監視カメラでも」

える「んなわけねえだろ。ちょっと待ってな」

奉太郎(スマホ…?)

える「よし!ここだ」

奉太郎「有名な百科事典サイトですか?」

える「そう。ここであたしの名前を書くと」

奉太郎「千反田さん、記事あるんですか? いいなぁ」

える「おまえもじきにできるだろ。ほらここみろ」

奉太郎「趣味、の項目ですか」

奉太郎「えっと…趣味は読書であり暇さえあれば本を読んでいる。一度読みだせば所構わずのめりこんでしまう」

奉太郎「お気に入りは乾くるみ」

える「なっ? これで分かったろ?」

奉太郎「まさか…インターネットに答えが…」

える「へっへっへっ…初歩的なことだぜ!ホータロー!」ウィンク!

奉太郎「ネット社会恐るべし、ですね」

える「まぁ、現場でにらめっこするだけが能じゃないってことさ」

える「つーわけでよ、今日ジュースおごれや」

奉太郎「罰ゲームあったんですか? それくらいならまぁ」

スタッフ「あのーそろそろ始めますんでスタンバイしてくださーい」

える「うぃーす」

奉太郎「はい」

奉太郎「あー結局台本の確認してないっ!」

える「そんなの大丈夫だって。たく真面目だなお前は」

監督「よーい!」パァン

える「私どうして閉じ込められていたのでしょうか」

奉太郎「……だからそれは何かの間違いで…」

える「それならどういう間違いなのでしょうか。折木さん、私」

える「気になります!」キラーン

奉太郎「…くっ…」







監督「はいオッケー!」

える「いよっしゃー!」

里志「さすがですね。千反田さん」

える「あたしはヒロインだぜ! このくらい余裕だよ」

摩耶花「折木くんもなかなか良かったよ」

奉太郎「ありがとうございます」

える「あーもう限界だっ! 暑苦しい」スポッ

奉太郎「えぇー! それズラ?」

える「ったりめーだ! あたしはこんなロンゲ嫌いなんだよ」

里志「お嬢様とは程遠いな」

える「ほっとけ」

摩耶花「ねー折木くんはどんな髪型が好みなの?」

奉太郎「僕…ですか? 特にこれといったものは」

摩耶花「し、強いて言うなら何?」

える「ほらほら早く答えろよぉー 何照れてるんだー?」ウリウリ

奉太郎(こ、この流れでは…)

奉太郎「ショートカットですかね」

里志「くっくっくっ。わざわざこの二人に気を遣わなくてもいいんだよホータロー」

摩耶花「あんたは黙ってて。ねぇ折木くんほんとにショートカット好き?」

奉太郎「え、ええ。 ほんとですよ」

える「そーいやーおまえのマネージャーもショートだよな? おまえそれであの人選んだのかぁ?」

奉太郎「んなわけないでしょう」

里志「伊原さん、なにニヤけているんだい?」

摩耶花「ばっ! 誰がニヤけてるのよっ」

奉太郎(そんなこんなで何のトラブルもなく撮影は進み…千反田さんたちとも徐々に打ち解けられた)

奉太郎「で、皆さんどうして僕の部屋に?」

奉太郎(いつの間にか、撮影前は俺の部屋で待機するのが慣習となっていた)

える「一人でいても暇だし」

摩耶花「ほ、ほらやっぱ撮影前に顔合わせしといたほうがいいかなっ…って」

里志「僕も千反田さんと同じかな」

える「それによー今日新しく役者くるんだよ。一つの部屋に集まった方が向こうも挨拶楽だろー?」

奉太郎「なるほど」

里志「くっくっくっ。千反田さんが他人を気遣うなんて珍しいね」

コンコン

奉太郎「はい」

ガチャ

「今日から一緒に撮影させてもらいます。よろs」

える「おっ来た来た。冬実ちゃ~ん」

入須「える…そっか。あんたもいたんだっけね」

える「んーなんだその顔~ 緊張か?」

入須「そんなわけないじゃない。」

入須「まぁえるは顔見知りだからいいとして」

入須「よろしく。あたしが入須冬実」

奉太郎「よろしくお願いします。僕は…」

入須「名乗らなくても結構よ。あなたは折木くんね」

奉太郎「えっ?」

入須「そっちが福部くん、そっちが伊原さん」

奉太郎「はっ? なんでわかったんですか?」

入須「さあ、どうしてでしょうね」

える「ここに入ってくる前に、ほかの部屋のネームプレート見たんだろ」

入須「…ちっ…」

伊原「でも、私は女だからすぐ当てられたけど

伊原「福部くんと折木くんはなんでわかったんですか?」

入須「……」

える「ここだけの話、実はこいつ超能力が使えるんだ……」

入須「える…あんたね…」

奉太郎「はいはい、それで本当のことを言うと?」

える「ちっ…冬実ちゃんノリ悪いなぁ~」

える「まぁいい。現実での名探偵は誰なのか教えてやるよ」

える「ノックに返事したのは奉太郎だよな?」

奉太郎「はい」

える「それで、さっきよろしくといった時の声から、お前は折木だと判断したわけだ」

摩耶花「なるほど。それで残ったのは私と福部さんだから…

摩耶花「摩耶花って名前から女の人だと判断して、残った男は福部さん、ってわかっちゃうんですね」

える「探偵えるちゃんにかかればこんなの余裕だぜ!」

入須「折木くん、あなたもっと頑張ってね」

奉太郎「えぇ? なんでそうなるんですか!」

入須「こいつに負けるとなんか腹立つのよ」

奉太郎(ライバル意識もってるのか…)

監督「よーい!」パァーン

入須「さっそくだが君たちには映画を見てもらう。仮称はミステリー」

入須「では検討を」スタスタスタ←操作室へと向かう

ステーン

入須「きゃっ!」

監督「カーット! 何してんの冬実ちゃん」

える「かー…やっぱやっちまったかあいつ……」

奉太郎「何がですか?」

える「あいつああ見えてドジでよ、よく転んだりするんだよ」

奉太郎「意外ですね…」

奉太郎(でもそれもちょっぴり可愛いかも…)

える「っしゃー!今日も終わった終わった」

える「なぁホータロー、晩飯食いにいこーぜー!」

奉太郎「いいですね。行きましょう」

摩耶花「あたしもいくっ!」

里志「僕も一緒に行っていいかな?」

える「なぁ、冬実ちゃんもいこーぜー!」

入須「え、ええ。ありがとう」

イラッシャイマセー セキニゴアンナイイタシマース





奉太郎「そういえば入須さんは?」

える「いったん家帰ってくるんだとよ」

里志「そいつはいいな。入須さんの私服が見られるぞ。折木くん」

摩耶花「フリフリな派手な服に着替えてくるのかな。いいなぁ背の高い人は。そういう服似合って」

える「なんか変だなあの客」

奉太郎「どうしたんですか?」

える「あの奥に座ってる男二人組だよ。n」

える「なんか違和感感じねえか?」

奉太郎「…いえ…」

里志「特にないですね」

える サッ

奉太郎「何してるんですか?」

える「ちょっと予防策をな。ギャグで済めばいーんだけど」

える「あーもしもし冬実ちゃん? 今出るとこ? よし」

える「えるちゃんに折り入ってお願いがあるんだよー。えっ、嫌だ? ふーん」

える「まぁ嫌ならいいんだけどさ。そのかわり事務所の後輩にお前のドジエピソードばらしちゃうぞ?」

える「よーしそれでいいんだ。 君に一つやってほしいことがある」





える「うっし。完了。料理も来たことだし食うかぁ!」

える「と、食う前に。フォークとナイフを使えるようにしとけ」

奉太郎「?」

える「いいからよ。ほら」

里志「しかし現実で探偵に近いのは千反田さん、っていうのはまた面白いな」

える「あたしがいればどんな事件もチョチョイのパーなんだぜ」

奉太郎「頼もしい限りです」

里志「摩耶花? さっきからうつむいてどうしたんだ?」

摩耶花「ねぇ折木くん!」

奉太郎「はい?」

摩耶花「折木くんはどういう女の子がタイプなのかな?」

奉太郎「えっ」

える「ちょ!いきなり何聞いてんだよ~」

奉太郎「どんなタイプとは?」

摩耶花「ほら! グラマーとかスレンダーとか清楚とか」

奉太郎「そうですね…僕は」


「全員動くなぁ! 食うのをやめろ!」

奉太郎「!?」

キャー ナニアレー

「騒ぐなぁ! 両手は頭に! 地面に伏せろ。速くしろ」

える「ちっ。よりによって強盗か…」

奉太郎「何のんきにジュース飲んでんですか。速く地面に伏せて」

える スッ

奉太郎(スプーン…?)

強盗「よーし。全員金目の物を机の上に出せ!携帯電話スマホもだ」

強盗「おい、コックども!ここへ出てこい。隠れても無駄だぞ。何人いるかこっちは知ってるんだからな」

奉太郎(これじゃ警察を呼べない…八方ふさがりだ…)

える チョイチョイ

奉太郎(?)

える「心配すんな。もうすぐ奴らは隙を見せる。そのときは頼むぜ」ボソボソ

奉太郎「はぁ…」

強盗「さて、今からこの袋に全員の財布を」

ガチャン バァン

入須「みんなー、こんにちはー!」

入須「元気ですかーー! 元気があれば何でもできるっ!」

入須「入須ちゃんでーす! ほらえる! これで文句ないでしょ!」

強盗 ポカーン

奉太郎(よしっ! いまだっ!)ダダッ

奉太郎 ダダダッ

奉太郎 バシッ

強盗「ふ

がっ!?」

奉太郎「入須さん!もう一人もお願いします!股間を蹴っ飛ばして」

強盗2「てめぇ!」

奉太郎「ひぃ!」

入須「えいっ!」バシッ

強盗2「あぁん!」

える(やりゃできるじゃんかよホータロー)

摩耶花(かっこいい…//)

里志(あれスプーンは?)

奉太郎「入須さん、警察を」

入須「あ、うんそうね」

刑事「お手柄だよ君ぃ」

奉太郎「どうも」

刑事「そこのお嬢ちゃんもよくやってくれたね」

入須「ありがとうございます」

刑事「ところでほかの客から聞いたんだけど」

刑事「君、店に入った直後、有名プロレスラーのモノマネをしたそうだけど何か意味はあるのかい?」

入須「」

奉太郎(僕たちはお手柄俳優として、新聞にでかでかと載った)

奉太郎(僕は役者としてはまだまだ知名度が低かったのでちょっと複雑)

奉太郎(千反田さんは、手柄もってかれたとさんざん悪態ついていたけど)

奉太郎(これが氷菓の人気につながるといいな)

お わ り

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom