深海棲艦「アナタハ、ソコニイマスカ?」総士「僕は……」 (573)

ファフナー×艦これのクロスSS。主人公は皆城総士

ファフナー新作アニメ化に浮かれて衝動的に作ってしまった
基本的に書き溜めなしでやっていくので投下間隔が長かったり内容が短かったり話にズレがあるかもです
その代わり更新の頻度は高めに行く予定です
艦これライトユーザーなもんでその辺に関してもご容赦を
基本的にファフナーの機体は出てきません、期待してる方には先に謝っておきます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400406720




――僕は『彼ら』に痛みと存在を教え、そして僕は彼らの“祝福”を……存在と無の循環を知った



「総士!そこにいるんだろ!?総士!!」



僕は一度『彼ら』の側に行く。そして再び存在を作り出す。どれくらいかかるか分からないが、必ず――



「総士いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」






僕はここにいる。いつか必ず、出会うまで――

―――――――――

~港?~


総士「……ここは?」

総士(どこかの港のようだが……竜宮島とは違うようだ)

総士(僕の肉体は消滅したはずなのに……これは夢?)

総士(それともこれが存在と無の循環なのか……?)



「あなたが新しく着任される司令官ですね?お待ちしてました!」

総士「?君は……」

吹雪「ここの鎮守府であなたの秘書艦を務めさせていただきます特型駆逐艦の一番艦、吹雪です!」

総士「鎮守府……駆逐艦……何の話だ?」




僕は嘗て彼ら、地球外生命体『フェストゥム』から人々を守る為に戦いを続けてきた

その中でフェストゥムは僕ら人間の、僕らはフェストゥムの“存在”を教え、理解し合った

その果てに、僕の体はフェストゥムと同化し、結晶となってそこからいなくなった

……その筈が、何故か僕はここにいて、体と心を持っている



総士「……第二次世界大戦で使われた日本の艦船の生まれ変わり、という事か」

吹雪「はい、私以外にも沢山の艦娘がいます。前司令官が早くに異動となってしまって、今は私と数人の艦娘だけが残された状態です」



話によると、ここはどうやら日本らしい。僕がいた世界とは違って現存しているようだ

そして今この日本に未知の物体が狙われている。それに対抗する為に彼女ら艦娘がいる。僕は提督となり、艦隊の指揮を執る……



総士「あの時と同じ、か」

吹雪「?」

↑ミス
×日本に未知の物体が
○日本は未知の物体に

―――――――――


吹雪「紹介しますね、こちらがこれから司令官の下で働く皆さんです」

弥生「睦月型駆逐艦三番艦、弥生です……あ、気を使わないでくれていい……です」

夕張「軽巡洋艦の夕張よ!兵装の実験運用やデータの採取も兼ねてるから、何か作りたい時は私を頼って下さいね!」

天龍「天龍型一番艦、天龍だ。奴らをブチのめしたいなら俺を常に前線に入れておくこったな、新入り」

龍田「天龍型二番艦、龍田よ。天龍ちゃんが迷惑かけないようにするのがお仕事なの~」

総士「皆城総士だ。今日からここの提督を務めさせていただく。よろしく頼む」

総士(聞いてはいたが、どれも見た目は人間の女性と変わらないな。僕より幼い子の姿まで……)

天龍「フフフ、怖いか?」

総士「そんな事はない、不思議に見えただけだ」

天龍「んなっ、キッパリ答えんなよ!」

龍田「まぁまぁ落ち着いて、ね?」

吹雪「えっと、それでは施設の案内をしますね!」




吹雪「ここが工廠です。兵装の開発や、新しい艦娘を建造する際はここを使ってください」

総士「この機械で、君達は生まれるのか?」

吹雪「はい、私や他の皆さんもこうして生まれてきましたから!」

総士(竜宮島の人口子宮による受胎と同じようなもの、か……)



吹雪「こちらはドックです。戦闘で負傷した艦娘達はここで治します」

総士「風呂にしか見えないが……」

吹雪「こ、これでもドックなんです!」






吹雪「ここが執務室です。今後はこの部屋で様々な仕事をこなしていってください」

総士(僕が真壁指令のようになるのか……唐突過ぎて実感が沸かないな)

吹雪「以上で説明は終わりです。何か分からない事はございますか?」

総士「ここの前任は何故異動になったんだ?」

吹雪「それは……」



――アナタハ、ソコニイマスカ?



総士「この声は!」

吹雪「襲撃!?今までこんな事なかったのに!」

総士「フェストゥムが攻め込んで来たのか!」

吹雪「ふぇす……?とにかく、迎撃しないと!司令官、こちらへ!」ダッ

――――――――――


総士「これは……『ジークフリード』なのか?」

吹雪「司令官は戦闘の際この装置を使って私達艦隊の指揮を執っています。使い方は……」

総士「説明は不要だ。君は早く皆と迎撃の準備を!」

吹雪「え?は、はい!」ダッ

総士(これが何故この世界に存在するんだ?これを使ってフェストゥムと再び戦えというのか)

総士(僕に、何を見せたいんだ……!)ギリッ



―――――――――

~鎮守府正面海域~


深海棲艦「……」

天龍「単独で攻めてくるとは、大した度胸じゃねぇか!」

龍田「天龍ちゃん、油断しちゃ駄目よ?」

夕張「何だか色が変じゃない?」

弥生「金色……眩しい色……」

吹雪(何だろう、これまで戦ってきた敵とは違う感じ。まるで心を見透かされてるような……)

深海棲艦「……」

天龍「気味悪いな、とっとと片付けてやっか!砲撃開始!」ドンッ

吹雪「待ってください!まだ司令官の指示が!」

天龍「あぁ?来たばっかのぺーぺーに何が出来……!?」

深海棲艦「……」

天龍「攻撃が、外れた?」

天龍「クソッ、もう一回!」ドンドンッ


シュルルルルルルルル……


夕張「弾道が敵から逸れていく!?どうして!?」

深海棲艦「アナタハ、ソコニイマスカ?」


ドバッ!


龍田「天龍ちゃん、危ない!」

天龍「うわ!?何だこりゃ、放せ!」ジタバタ

弥生「触手……!?こんな攻撃、知らない……!」

吹雪「天龍さん!」

天龍「クッ、こんなもんでやられると……!」ギリギリ



深海棲艦・スフィンクス級「アナタハ、ソコニイマスカ?」



天龍「ひっ……!」ゾクッ


ズルズルズル……


龍田「天龍ちゃんが、敵に飲み込まれちゃう!」ドドドド

弥生「天龍さんを……返して!」ドバーン

夕張「もう、何で当たらないのよ!このままじゃ天龍が!」ズドドド

吹雪(司令官、早くしないと天龍さんが……!!)

深海ス級「アナタハ、ソコニイマスカ?」

天龍「やめろ……俺の中に、入って来るなあああああああああああ!!」







総士『――クロッシング完了!』


ドーーーーーン!!


深海ス級「!?」ブチブチ

夕張「あ、当たった……!」

天龍「う……」ズルッ

龍田「天龍ちゃん!大丈夫!?」ガシッ

天龍「あ、あぁ。何とかな」

弥生「よかった……です」

総士『皆、聞こえるか』

吹雪「司令官!」

総士『あれはフェストゥムといって、あらゆる物体に同化し、消滅する事を目的に行動する』

総士『今あの姿をしているのは、そいつと同化した事によるものだろう。見た目は似ているが、中身は全く別物だ』

総士『そしてフェストゥムは読心能力を持っている。元々人間に対してのみだったが、どうやら艦娘である君達ですら読んでしまうらしい』

夕張「それで攻撃が当たらなかったのね……」

天龍「なら、どうやって倒すんだよ?」

総士『僕がこのジークフリードを使って思考防壁を作る。そうすればフェストゥムの読心能力を防げる』

深海ス級「アナタハ、ソコニイマスカ?」

弥生「来る……!」

総士『フェストゥムにはコアがある、それを破壊しない限り奴は倒せない!コアは円形のものが殆どだ!』

吹雪「了解です!各艦隊、陣形を立て直しますよ!」

総士『幸い敵は一人だ、落ち着いて対処すれば問題ない。連携を取って撃破するぞ』

天龍「おっしゃあ!さっきの仮、倍にして返してやるぜーー!」ドドドド

龍田「もう、提督の話聞いてた?」

深海ス級「……!」


ズドーーン!


夕張「あんなでも、雷撃は出来るのね!」バッ

弥生「砲雷撃戦、いい?」

吹雪「私だって、やれるんだから!」



【深海ス級・中破】


深海ス級「……!」ボロボロ

吹雪「司令官!破損した甲板からそれらしきものが!」

総士『よし、一気に畳み掛けろ!』

天龍「おらおらおらーーーーー!!」

龍田「天龍ちゃんを傷つけたんだもの、ただじゃ済まないわよ~?」

夕張「どう、この攻撃は!」

弥生「……撃つ!」

吹雪「いっけーーーーー!!」


ドドドドドドドドドドドドド!!


深海ス級「アナタハ……ソコニイマスカ……?」


【深海ス級・撃沈】


吹雪「やった!やりましたよ司令官!」

総士『あぁ、よく頑張ってくれた。全員帰還してくれ』

天龍「いてて……ったく、とんでもねぇ奴だったぜ」

龍田「もう、次はあんな事しちゃ駄目よ?」

天龍「俺は今後も一番槍として戦場を駆け抜ける!曲げる気はねぇ!」フンッ

弥生「その前に……入渠……しないと」

夕張「そうよ、大事な兵装が壊れちゃってるじゃない」

天龍「俺の心配はねぇのかよ!」

―――――――――

~ジークフリード内~


総士「ふぅ、何とか使えたみたいだな」

総士(それにしても、あのフェストゥムは何が目的でここへ来た?)

総士(それに、あるはずのない場所にあるジークフリード・システム……そして艦娘という存在)



僕は何故ここにいるのか……僕に何を見せたいのか……。その答えは、あの暁の水平線が教えてくれるのだろうか

いつか帰ると約束した友の下へ、僕は目指せているのだろうか

だが一つだけ確かな事。それは――



総士「僕は……ここにいる」






本日は以上。こんな感じで進めていきたいと思います
原作を知らない人にはイマイチピンと来ないかも知れませんが、雰囲気だけでも楽しんでいただければ幸いです
(これをきっかけにファフナーを見てくれたら感無量だぜ!)

剣司君には最後まで生き残って欲しい限りです。そして艦娘達はどうなるやら
では始めたいと思います

―――――――――

~ドック~


天龍「あ~あ、俺だけかよドック入りは。みっともねぇなぁ」ザブーン


――アナタハ、ソコニイマスカ?


天龍「……気持ち悪い奴だったな。今まであんなハッキリ意思疎通してくるような連中じゃなかったはずなんだが」

天龍「フェストゥムだか何だか知らねぇが、次はこうは行かねぇからな……」

龍田「天龍ちゃーん背中流しに来たわよ~」ガララ

天龍「んなっ!別にいらねぇよ!」

龍田「どうせ自分だけボロボロになって落ち込んでたんでしょ?私が慰めてあ~げる~」

天龍「落ち込んでなんかねぇ!帰れ!」

―――――――――

~執務室~


吹雪「――今回の戦闘による消費資源は以上です」

総士「分かった。下がっていい」

吹雪「では、失礼しました」バタン



総士「……ここの資源の運用も僕が担うのか。提督というより、一国の城主のようだ」

総士(僕はこれからファフナー抜きでフェストゥムと戦わなければならないのか)

総士「やれるだろうか……」


―――――――――
―――――――――

~翌日・工廠~


夕張「おはようございます提督!」

総士「……この小人のようなのは?」

夕張「あぁ、この子達が主に建造や開発に携わってる……妖精、みたいなものね」

妖精「~~♪」

総士「妖精<エルフ>?君達を作ったのがこの妖精なのか?」

夕張「そういう事ね。ただこの子達は要望に応えてるって訳じゃないの」

夕張「与えられた資源が同じでも建造する度に違う艦船が出来るのよ。不自由かもしれないけど、時にはとんでもない逸材が生まれる事だってあるんだから!」

総士「ある種の博打か……必要なものを簡単に得られないのはこの世界でも同じか」

夕張「?」

総士(とはいえ、一度やってみなければどんなものかも分からない。実験的にやってみるか)カリカリ

総士「夕張、これだけの資材を提供する。これで艦船一隻と武器を一つ頼む」

夕張「お任せください!皆お仕事よー!」

妖精達「~~~~!!」ピョンピョン

総士(本当に任せて大丈夫か?)



~執務室~


総士「吹雪、この鎮守府はどのくらいの艦隊を保持出来る?」

吹雪「はい、現在は100隻まで保管が可能となっております」

総士(最大100隻、僕の運用次第ではこの全てとクロッシングする可能性もあるのか)

総士(そうなれば、“アレ”もあの時の比ではなくなるな……)

吹雪「今日はどうされますか?」

総士「そうだな、一度この周辺海域を見て回りたい。僕はまだ知らない事が多い、情報は戦いにおいて全てを左右する重要な要素だ」

吹雪「分かりました。それでは出航の準備に取り掛かります」

総士「油断はするな、現状いつフェストゥムが襲いに来るか分からない」

吹雪「はい……!」



~鎮守府南西海域~


天龍「あのヤロー、どこにいんだぁ?」キョロキョロ

龍田「今日はただの見回りよ~?」

夕張「ちょっと皆速いよー!」

弥生「夕張さん……遅すぎ……です」

総士(見渡す限りの海……それといくつか島が見える)

総士(もっと遠くへ行ってみたいが、今の戦力では無謀だな)

吹雪「どうですか、司令官?」

総士『もういいぞ、全員帰還してくれ』

天龍「もう帰んのかー!?まだ一戦もしてねぇだろー!?」

総士『言ったはずだ、これは海域の偵察だと。息巻くのは勝手だが、昨日みたく真っ先に捕まってしまっては困る』

天龍「何を~!」ギリギリ

吹雪「司令官の命令です、戻りますよ天龍さん」


ドバァーーーン!!


総士『っ!』

天龍「奇襲か!?」

夕張「足元から仕掛けてくるなんて、一体いつから!?」

駆逐ス級A「……」

駆逐ス級B「……」

軽巡ス級「……」

総士(昨日と同じタイプが二体に新しいタイプが一体……不意をついて陣形を乱しに来たか!)

総士『まずは隊列を立て直せ!戦力の分断は危険だ!』

軽巡ス級「……サセナイ」ゴォッ

弥生「速い!」

天龍「にゃろう!俺をなめんじゃねぇ!」ドドド

龍田「天龍ちゃん落ち着いて!」

軽巡ス級「……トモニ、コイ」ガシッ

夕張「っ!しまっ……」


ザブンッ!


吹雪「夕張さんが、海に引きずり込まれました!」

弥生「助けないと……!」

総士『救出は後だ!今は目の前の敵に集中しろ!』

吹雪「でも!」

総士『こんな態勢では全滅もありえる!それだけフェストゥムは脅威だという事だ!』

総士『夕張を助けたいのなら、まずは目前の敵を速やかに撃破しろ!』

総士『僕を信じるんだ、』

吹雪「……分かりました!」

天龍「同じ轍は踏まねぇぞ!オラオラァ!!」ババババ

駆逐ス級A「……」ブゥン

龍田「あの光は?」


ズギュゥゥゥゥゥゥゥン!!


龍田「っッ!!」


【龍田・中破】


弥生「今のは砲撃、じゃない……!?」

吹雪「あぁ、龍田さんの体が……円形に削り取られて……!」ガクガク

龍田「やって、くれるわねぇ……でも、まだよ。ウフフ」

総士『くっ、ワームスフィアーか……!』

天龍「龍田ぁ!……畜生があああああああ!」

駆逐ス級B「アナタハ、ソコニイマスカ?」ブォン

弥生「弾道が、見えない……!」

総士『立ち止まるな!あれを回避するには常に動き回るしかない!』

天龍「夜戦なら、夜戦なら負けねぇのに!」


~ジークフリード内~


総士(ファフナーと彼女らでは勝手が違いすぎる。せめてもっと火力のある武器があれば……)ピピッ


【夕張・大破】


総士(……博打に出るしかない、か)



~工廠~


妖精「~~!」フリフリ

総士「……完成、しているのか」



「あなたが司令官ね?私は伊号型潜水艦の伊168よ。言いにくいならイムヤって呼んでいいわ」



総士「何、潜水艦なのか!」

168「え、えぇそうだけど」

総士「早速だが、君には今すぐ戦線に出てもらいたい。仲間が一人海に引きずり込まれてしまった。助けるには君を頼る以外ない」

168「……分かったわ!水中なら私に任せて!」

妖精「~~」クイックイッ

総士「武器も出来上がってるのか?」



総士「こ、これは!」

妖精「~~♪」エッヘン

総士「……これなら誰も失わずに済むかもしれない」

総士「168、君の使命は海中に捕らわれた仲間の救出とこれをある者に届ける事だ。僕が君をそこまで案内する」

168「了解!168、出ます!」

今日はここまで
艦これに関してはポケスペ的ノリが多くなりそうです

この軽巡ス級は深海軽巡にスフィンクスC型(普通のより大きくて速い)が同化したイメージ
龍田さんは現在右肩からゴッソリ持ってかれた状態です。原作は基本的に体丸ごと消滅してるんで幸か不幸か
では再開

―――――――――

~海中~


ゴボゴボゴボ……


夕張(もう、ダメ……兵装も剥がされて……身動きも取れない)

夕張(提督の……声も、聞こえなくなっちゃった……)

軽巡ス級「オマエモワレワレニナレ。サモナクバ、オマエハエイエンニオマエダ」

夕張(どういう、意味?)

軽巡ス級「“イタミ”ハ“ソンザイ”ヲシラシメ、“ソンザイ”ハ“イタミ”ヲウム」

軽巡ス級「ソシテ“ソンザイ”ト“ム”ガジュンカンシ、“エイエン”ガウマレタ……」ギリギリ

夕張「……ッ!」ミシミシ

軽巡「ワレワレハシッテイル。オマエハイマ“イタミ”ヲカンジテイルト」

夕張(痛いわよ……こんなだから、ちゃんと痛いわよ!)

軽巡ス級「オマエハ、イツマデソコニイル?」

夕張(いつまで……)

軽巡ス級「ワレワレニナレ。ソウスレバオマエハドコニモイナクナル」

夕張「……」



軽巡ス級「アナタハ、ソコニイマスカ?」



168「ちょっと待ったーーー!!」ギューン


ズドォォーーーーン!!


軽巡ス級「!?」

夕張(潜水、艦……?)

総士『拘束が解けた、今だ!』

168「お任せ!」ガシッ

軽巡ス級「マテ……!」

168「水中で私に追いつけるとでも?それ!」ギューン



~海上~


ザッパーーーン!!


天龍「何だ?」

吹雪「っ!夕張さん!」

夕張「うぅ……」

168「あなた達が仲間ね。ちゃんと取り返して来たわよ」

総士『詳しい説明は後だ、それよりも天龍!お前に新しい武器だ!』

天龍「な、何だこのでっけぇの!」

総士『雷撃槍<ルガーランス>だ。艦隊の中で唯一刀剣を振るうお前なら扱える筈だ』

天龍「何かしらねぇけど、コイツなら奴らを倒せそうだ!」

龍田「本当に大丈夫なの……?」ゼーハー

天龍「あぁ、お前はそこで見てな龍田」



弥生「これは、どういう……?」

駆逐ス級A「……!」ズドドド

駆逐ス級B「……!」ブォン

168「ち、ちょっと!皆私ばっかり狙って来るんだけど!?」

総士(他の二体が攻撃を168に集中させている?周りを気にかけてないように見えるが……)

総士『今がチャンスだ!天龍、ソイツをフェストゥムに叩き込め!』

天龍「おっしゃああああああああ!!」



ズバァッ!


駆逐/ス級A「……ツ!」ドゴォォン

天龍「もう一匹ぃ!」ゴォッ

駆逐×ス級B「ッ!?」ドゴォォン


【駆逐ス級A・撃沈】
【駆逐ス級B・撃沈】


吹雪「すごいです!あの深海棲艦をあっさり!」

天龍「いける、これならいけるぞ!」


ザッパーーーン!!


軽巡ス級「……ヤッテクレル」

総士『あとはアイツだけだ、最後まで油断はするな!』

天龍「分かってるっての!」

総士『龍田は夕張を連れて後方へ、吹雪・弥生・168の三人で敵の注意力を乱せ!一瞬の隙を天龍の一撃で仕留める!』

吹雪「任せてください!」

軽巡ス級「ワレワレニナレ……」



左右と下方からによる砲撃を敵は避けて回り、艦船の雷撃とフェストゥムのワームスフィアーによる波状攻撃で応戦する

爆音が響く度に艦娘一人ひとりの心情がジークフリードにこだました。自信・不安・恐怖・期待・羨望……これはファフナー
乗組員達が感じていたものと何ら変わりない



168「もう、だから何でこっちがやけに狙われるのよー!」

総士『今だ、天龍!ルガーランスを突き刺せ!』

天龍「おらぁぁぁ!!」



ほんの一瞬の隙を見逃さず、ルガーランスはフェストゥムの胴体を貫いた

軽巡ス級「ッ!」

総士『まだだ、このままレールガンを放つ!』



突き刺さったままの刀身が上下に開き、フェストゥムの体を内側からこじ開けていく

その刃の間から光が生まれ、電気を帯びて収束を始めた



天龍「こいつで……」



やがて光は飽和状態まで達し、一層輝きを増していく



天龍「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



放たれた閃光はフェストゥムをコアもろとも塵と化し、水平線を駆け抜けていった――





総士『――戦闘終了、直ちに帰還しろ』

弥生「大丈夫……ですか?」

龍田「私はまだなんとかね~」

夕張「ちょっと……キツイかも」

吹雪「帰ったらドックで傷を癒しましょう」



【戦闘結果・勝利】

吹雪
弥生・・・・小破
龍田・・・・中破
天龍
夕張・・・・大破
伊168


【MVP・天龍】

―――――――――

~鎮守府~


吹雪「ただいま帰還しました」

総士「ご苦労だった。負傷の激しい二人は先に入渠だ」

龍田「は~い、天龍ちゃん、ちょっと待っててね~」

総士(あんな状態でも平然としていられるのか、艦娘というのは)

夕張「すみません提督……ちょっと一人じゃ立って歩けそうにないみたいです」

総士「そうか。吹雪、夕張をドックまで運んでやってくれ」

夕張「あの、提督……お願い出来ませんか?少しお話したい事もあって……」

総士「僕が、か?」






夕張「すみません、提督。手をわずらわせてしまって……」

総士「それで、話したい事とは?」

夕張「……あの時敵に言われたんです。『お前はいつまでそこにいるんだ』って」

夕張「私、何となく理解しちゃったんです。あの深海棲艦達は……元々私達と同じ艦娘だった」

総士「!」

夕張「世界は循環してる……存在と無が永遠に繰り返されて成り立っている。だから昔艦隊だった私が再びこの世界に生まれた」

夕張「何度火を浴びせられ、苦しみの中で死を迎えても、いずれまた軽巡夕張としてこの世界に生み落とされる……ここで私が死んだとしても、ね」

夕張「だって、私はここにいるんだもの」

総士「……君は、ここにいたくないのか」

夕張「分からない……でも存在したくない艦娘がいたから深海棲艦が生まれた。そして私達を同化<循環から開放>する為に襲ってくる。そう思ったの」

総士「……」

夕張「変ねぇ、金色に光る変わった形の深海棲艦が出てからこんな事考えるようになっちゃったみたい」

夕張「提督はあの金色の何を知ってるの?」

総士「……僕達は、まだフェストゥムの事を理解しきれてない。フェストゥムもまた、僕達を理解しきれてない」

総士「ただ、僕はどれだけ苦しい運命が待ち受けていようとも、僕は自分の存在を選ぶ」

夕張「そう、ですか」

総士「……着いたぞ」

夕張「ありがとうございます。あ、いくら提督でも覗いちゃダメですからね?」

総士「そんな事はしない」プイッ



存在と無の循環、生きる事と死ぬ事……それを忘れたくて、彼らは生まれた

僕らがフェストゥムに教えたものを、彼らなりに理解した結果がこれなのだろうか

それに立ち向かうのは、存在と無の循環を知った彼女達

もしかすれば、これらは全てフェストゥムの“葛藤”なのかもしれない

今ここにいる僕も、その“葛藤”の一部だとでも言うのか――




今日はここまで
深海棲艦が元艦娘なのかは公式で明言されてませんが、それを臭わせる部分がチラチラと
そして艦娘達がどんどんファフナーの空気に飲まれつつあるが……


一応フェストゥム・ゲネを用意しておこうか(ゲス顔)

人類を正しく理解した結果

操「魂ィイイイイイイイ!!」
イドゥン「我々が地獄だ!!」
ミョルニア「キュンキュンきてますよー」

理解する相手を間違えた

最後のポエムもやってくれるのかwwwwww

>>80
フェストゥム舞台型による同化(意味深)
>>90
もっと言うとサブタイトルもやりたかったけど書き溜めないから諦めました
では再開します

==========



ズギュゥゥゥゥゥゥゥン!!


龍田「やって、くれるわねぇ……でも、まだよ。ウフフ」



==========



総士「……平然でいられる訳、ない……か」ズキズキ

―――――――――
―――――――――

~翌日・鎮守府~


168「改めて、私が伊号型潜水艦の伊168よ。みんなイムヤって呼んでね!」

吹雪「よろしくです、168ちゃん!」

龍田「それで水着姿なのね~」

天龍「おまけに浮き輪まで持って、遊びじゃねぇんだぞ?」

168「これも立派な艤装なの!それにちゃんと仕事してたでしょ?」

弥生「敵を……引き付けてくれた……。夕張さんも、助けてくれた……」

夕張「何にしろ、昨日はありがとね、168」

天龍「おぅ提督!次の出撃はいつだ?早くアレぶっ放したくてウズウズしてんだ」ワクワク

総士「暫くは資源確保の遠征以外の出撃はない」

天龍「な、何でだよ!」

総士「昨日は運よく勝てたようなものだ。168とルガーランスが出来なければ夕張はあそこで死に、更に窮地に立たされていただろう」

総士「あの日の偵察で安全性の高い海域をマークしておいた。そこを中心に資源を獲得し、戦力の増強を試みる」

総士「忘れるな。これは一体でも多くの敵を倒す為じゃない、一人でも多く君達を生かす為の策だ」

天龍「……俺より子供っぽい癖によく言うぜ」

夕張「でも事実、でしょ?」

天龍「へいへい、分かったよ」

―――――――――

~工廠~


吹雪「司令官、ここにいらしてたんですね」

総士「あぁ、昨日と同じ分量で試している。夕張が言うには毎回違うものが出来ると聞いてるが……」


【装備の開発に失敗しました】


妖精「……」ショボーン

総士「何だ、このダンボールの中身は?」

吹雪「何でしょう?ペンギン?ぬいぐるみ?」

総士「何かに使えそうか?」

吹雪「えっと、私には分かりません……」

総士「……とりあえず、次を見てみよう」




電「電<いなずま>です。司令官の為に頑張るのです」

雷「雷だよ!よろしくね!」

暁「暁です。子供扱いしちゃダメよ?」

響「響だよ。最後まで生き延びた事から不死鳥の名を持ってるよ」



総士「……これはまた、幼い感じの艦船だな」

吹雪「駆逐艦はそのような傾向にあるみたいですね。重巡洋艦や戦艦になってくると外見は変わってくると思いますよ」

暁「む、子供扱いしないでって言ってるでしょ!」

総士(吹雪や弥生と同じようなものか……)

雷「私達第六駆逐が揃えば敵はいないわ!」

総士「今日から僕が君達の提督だ。共に戦ってくれるか?」

電「もちろんなのす!」

~執務室~


雷「うわぁ!広い広ーーい!」ドタドタ

電「大きいのです!綺麗なのです!」

響「ハラショー。これはいいソファだ」

暁「でも何か殺風景よねぇ。もっとオシャレな飾りつけとか……」

吹雪「や、やっぱり中に入れない方がよかったですか?」

総士(不安だ……)



こうして、僕の鎮守府戦力拡大計画は始まった――


―――――――――
―――――――――


総士「今日は第六駆逐隊の四人と天龍、龍田の六人で遠征に行ってもらう」

天龍「またかよ!いい加減戦わせろって!」

龍田「はいはい行きましょうね~天龍ちゃん」ガシッ

電「今回もよろしくお願いします、天龍さん!」

天龍「えぇ~!」ズルズル



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【完成品】

・レールガン
・プラズマライフル
・スコーピオン


総士(不思議だ、ファフナーの武装をこうも作り出してしまうとは)

夕張「ふふ、どれから試そうかなー?」

総士「どうだ、扱えそうか?」

夕張「うん、この小さいのなら駆逐艦の子達も使えると思いますよ」

夕張「私ならもう少し兵装を積めますよ?」

総士「うむ……」


【完成品】

・メデューサ
・サラマンダー


夕張「ど、どんどん乗せてー……」ズッシリ

総士「流石の君でもこの二つは難しいか」

夕張「悔しいけど、この二つはもっと大型の艦に譲るわ」

総士(……まさかとは思ってたが、こんなものまで作れてしまうのか)



・フェンリル



―――――――――
―――――――――


~夜・鎮守府正面海域~


弥生「水雷、電磁砲、一斉射!」ズドーン

天龍「へへ、夜の俺は無敵だぜぇ!」ズバァ

総士(駆逐艦と軽巡洋艦は夜の方が力を発揮出来るみたいだ。昼間よりも動きが違う……)



―――――――――
―――――――――


赤城「航空母艦、赤城です。航空機動部隊の主力として提督を支えます」

羽黒「妙高型四番艦、羽黒です。あの……頑張ります!」

扶桑「日本初の独自設計による超弩級戦艦、扶桑です。妹の山城共々、よろしくお願いします」

山城「扶桑お姉さまの妹、山城です。どうせあなたも私の事“欠陥戦艦”とか言うんでしょう……」



吹雪「すごいですねぇ、重巡洋艦に航空母艦、それに戦艦が二人!これでますます強くなれそうですね!」

総士「あぁ、皆の活躍に期待している」

総士(頼もしく見えるが、それと同じくらい不安を感じるのは何だ……?)

―――――――――
―――――――――


~執務室~


総士「何だこの消費量は!?今までの倍以上に膨れ上がっているぞ!?」

吹雪「そ、それが、赤城さんや扶桑姉妹の出撃による消費燃料が半分を占めてまして」

総士「……そうか」

総士(戦いの指揮だけではやっていけない、か。竜宮島の時より責任が問われる役職だ、提督というものは……)



戦力の補強は順調に進み、新たな仲間が増えた事によって鎮守府内も賑わいを見せていった

こうして見れば、彼女らは本当にただの人だ。笑ったり、怒ったり、泣いたり……僕よりも感情を表現出来ている

同時に、彼女らは僕にとってある意味ファフナーに近い存在だとも思った



総士「……」



竜宮島の皆は、今もフェストゥムと戦っているのだろうか。彼女らのように笑い合えているだろうか

友よ、お前はそこにいるか?

僕は今――ここにいる。この世界の仲間と共に――


今日は以上です。武器のサイズは一応艦娘基準になってます
一気にキャラクターが増えましたね。(一応)女の子に囲まれた年頃の少年は何を思うだろう
書き溜めないから今後の展開がどうなるか自分でも分かりません。いつかEDの歌詞二番が流れる時が来るのか……?
ではまた



あなたは、そこにいますか?



資源「わーたーしーいーかーなくちゃー」

>>123
その発想はなかった
では再開します

―――――――――
―――――――――

~南西諸島防衛ライン~


編成

夕張(旗艦)
天龍
龍田
羽黒
山城
扶桑


総士『フェストゥムとはいえ元は艦隊、ソナーには反応する。防衛線という利点を活かし迎撃の姿勢で臨め』

総士『特に天龍、間違っても自分から突っ込むような真似はするな』

天龍「へいへい、ったく小言の多い提督だなーもう」

龍田「提督も天龍ちゃんが心配なのね」

扶桑「この鎮守府に戦艦は私達しかいないみたいね……頑張るわよ」

山城「はい!お姉さまとならどこまでも行けます!」


テンリュウチャーン
オネエサマー


羽黒「こんな時なのにとても賑やかですね」

夕張「そうねー、私だけはしっかり警戒してないと」

羽黒「あ、あの、夕張さんはお姉さんや妹は……」

夕張「残念ながらいないのよねー。あ、でも私が生まれて以来様々な重巡洋艦の元になったから、広い意味で妹はいっぱいいるのかも」

羽黒「そ、そうなんですか……私は、他に三人のお姉ちゃんがいるんですけど、ここにはいないみたいで……ちょっと寂しいなーって」

夕張「じゃあ、私があなたのお姉ちゃんになってもいい?」

羽黒「あ……ありがとうございます!ゆ、夕張お姉……ちゃん///」

―――――――――

~ジークフリード外~


吹雪「何だか楽しそうですね」

総士「遠足じゃないんだ、変に気を緩められては困る」

総士(姉妹、か……)

総士「君にも姉妹はいるのか?」

吹雪「はい、ただ羽黒さんと同じで、この鎮守府にはいないみたいです」

総士「会いたいと思った事は?」

吹雪「あります……けど、会いたくて会えるものじゃありませんし、もしかしたらどこかの鎮守府で頑張ってるのかもしれません」

吹雪「それに辛い別れを経験した人が多いから、再開出来て嬉しいのは当たり前だと思います」

総士(存在と無の循環を経て再び巡り合えた、という事か)

総士(だが言い換えてみれば、これは同じ事の繰り返しとも取れる)

総士(だとすれば、彼女らにとっての無とはすなわち……)

夕張『敵影確認!これは……小型飛行物体が迫ってます!』

総士(あれは、昔いたフェストゥムと似ている?)

総士「直ちに迎撃体勢を取れ!」

吹雪(皆さん、気をつけて……!)



―――――――――


天龍「空からなんて卑怯だぞ!」

扶桑「迎撃するわよ、山城!」

山城「はい!」


ドドドドドドドドドド


龍田「数が多いわねぇ……!」

羽黒「危ない、お姉ちゃん!」



ドゴォォォォォォォォォォォォン!!


夕張「羽黒、私を庇って……!」

羽黒「だ、大丈夫……私は平気……だから」


【羽黒・中破】
【天龍・小破】


天龍「畜生、よくもやってくれやがったな!」

夕張「待って!無闇に出ちゃ駄目って提督に言われてるでしょ!?」

天龍「そりゃそうだが……!」ギリッ

山城「敵の全貌が見えてきました!」

扶桑「あれが、私達の敵……!」




軽母・旧スフィンクス級×4「イタ……」

空母・プレアデス級×1「……ヲ……ドウカヲ……」

戦艦・リヴァイアサン級×1「オイデ、コチラヘ……」



総士(リヴァイアサン型に空襲型多数とプレアデス型……ここでも奴らは戦いを熟知している!)

総士『各員、砲雷撃戦を徹底しろ!あの巨大戦艦は一口で全てを飲み込む!戦線を維持しつつ夜になるのを待て!』

天龍「防戦に徹しろってか!」

夕張「こっちも力を蓄えて来たのよ、そう簡単に負けないわ!」

夕張「さぁ扶桑姉妹のお二人、新兵器の力、見せてやりなさい!」

扶桑「行きます!」

扶桑「二連大口径砲<メドゥーサ>、発射!!」

山城「対深海棲艦用火炎放射器<サラマンダー>、食らいなさい!」


ゴゴォォォォォォォォォォォ


軽母旧ス「!!」

軽母旧ス「!?」


【軽母旧ス×2・撃沈】


夕張「凄い威力ね、敵艦を早くも二機倒したわ」

空母プ級「……イケ」ザワザワ

総士(小型のプレアデスを!)

羽黒「また、空から来ました!」

総士『出来るだけ全て打ち落とせ!それが無理でも被弾だけはするな!』

龍田「注文が多いわねぇ!」ダダダ

天龍「くっそぉ、まどろっこしいぜ!」ダダダ

山城「きゃっ!何これ引っ付いて……離れなさい!」

総士(しまった!)


ドゴーーーーン!


山城「あ……ぅ……」グラッ

扶桑「山城!」


【山城・大破】


羽黒「他にも戦闘機がどんどん来ます!」ドンッドンッ

夕張「日没はまだなの!?」ダダダ

天龍「クソが、もう我慢出来ねぇ!」ダッ

龍田「天龍ちゃん!駄目!」

夕張「提督、天龍と龍田が前に……提督、聞こえますか!?」

―――――――――

~ジークフリード内~


総士「ぐっ……!!」

吹雪「し、司令官!どうしました!?」

総士「だ、大丈夫、だ……それより天龍を引き止めないと」

吹雪「司令官……」

総士(やめろ天龍、このままでは僕はまた誰かを失ってしまう!)

総士(今度こそ、誰も失う事無く生き延びたいんだ……!)




総士「吹雪、弥生と168を連れて彼女らの所へ!」

吹雪「は、はい!」ダッ

総士(間に合ってくれ、手遅れになる前に!)



―――――――――


龍田「戻りなさい!」

天龍「戻ったところで防戦一方になるだけだ!攻めなきゃ……進まなきゃ道は開けねぇんだよ!」

天龍「あの爆弾飛ばしてくる奴さえ叩けば状況は変わる!一撃離脱だ、ルガーランス一振りで決める!」ダッ

総士『天龍!あの巨大フェストゥムがいない、おそらく海中に潜んでいる!まだ間に合う、下がれ!』

天龍「なら、そいつもぶった斬るまでだぁ!」


ザバァーーン!!


戦艦リ級「ヨクキタナ……」

天龍「提督の言う通りだ、ホントに出てきやがった」

天龍「ここまで来きまったんだ、退ける訳ねぇ」チャキッ

総士『何を考えてる、死にたいのか!』

天龍「提督、俺は元々戦いの中で死んでんだ。今更死ぬのは怖くねぇ」

天龍「それに、俺が今臆病風に吹かれたら周りの皆も弱気になっちまう。それじゃダメだろ?」

天龍「天龍とはこういう存在だ、だから俺は天龍としてここにいる!」

総士『……』

天龍「世界水準の名は伊達じゃねぇって事、見せてやるよ!」


戦艦リヴ「サァ、ワレワレトヒトツニ」



女性の風貌をした深海棲艦が片腕を伸ばした。べ厚い手甲が花弁のように開き、巨大な口となって天龍を飲み込まんと迫る

迎え撃つは剣を手に持つ戦士が一人。その名は天龍――仲間という宝物を守る龍<ファフニール>。彼女の目に一切の迷いはなかった



天龍「うおおおおおおおおおおお!!」



己を奮い立たせ、咆哮する。そして眼前に広がる闇へと突き進むべく海を蹴った

















だが、そんな勇者の進撃を阻む者がいた――













トン――



「たつ……た?」



「もう、天龍ちゃんはいつも迷惑ばっかりかけるんだから」



「でも、そんな天龍ちゃんだから――」















バクンッ












天龍「……え?」



彼女の無二の友、龍田は笑っていた。フェストゥムに飲まれる最期の一瞬まで――






ガンダム種死の裏でやってたんだぜ。主人公が似ているのも何かの運命だったんだきっと
では再開

戦艦リヴ「マタヒトリ、コノジュバクカラカイホウサレタ」ズルッ

天龍「嘘だろ……龍田」

総士『……龍田とのクロッシングが途絶えた。もう、彼女は……』

天龍「……あ」



天龍「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

総士『落ち着け!心を乱すな!僕の声に耳を傾けろ!』

天龍「野郎、殺す!殺してやる!その首切り落としてバラバラに刻んでやる!!」

戦艦リヴ「オマエモカイホウシテヤロウ」

総士『お前は龍田の思いを無駄にする気か!何故お前を庇ったと思ってる!』

天龍「うるっせぇんだよおおおおおおおおおお!!」



ズガンッ!


天龍「なっ!?」ガクン

弥生「あ、当たった……」

総士『168!天龍を引きずり降ろせ!』

168「り、了解!」ガシッ

天龍「テメェら邪魔すんじゃ……ッ!」


ザブン


168「気持ちは分かるよ、目の前で友達が殺されたんだもん、怒るのは当然……」

168「でも今は耐えるの。仇を討ちたいなら尚更!」

天龍(畜生、チクショウ……!!)




吹雪「皆さん、大丈夫ですか!?」

羽黒「な、何とか耐えてます……」

夕張「空爆が止んだ……やっと夜が来たのね」

山城「ふ、扶桑お姉さま、いますか?」

扶桑「ええ、私はここよ」ギュッ

弥生「戻って来る……」



168「お待たせ、何とか引っ張って来たわよ」ゼーハー

天龍「畜生……殺す……俺が……」ブツブツ

吹雪「天龍さん……」

夕張「この状態じゃ、誰の声も届きそうにないわね」

羽黒「敵が大人しくなりましたね」

夕張「空からの攻撃は見通しのいい日中にしか出来ないからね。夜戦になれば、と思ってたけど……」

総士『駄目だ。今のままでは例え勝てたとしても、更に失うものが増えるだろう』

吹雪「……」

天龍「龍田……龍田ぁ……」

総士『総員に告ぐ、直ちに撤退しろ。これ以上の交戦は許さない』

夕張「聞こえた?皆引き上げるわよ」

羽黒「はい……」


【戦闘結果・戦術的敗北】

夕張(旗艦)
天龍・・・・小破
羽黒・・・・中破
山城・・・・大破
扶桑


龍田・・・・轟沈

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―――――――――

~翌日・鎮守府~


天龍「……は?」

総士「聞こえなかったか?お前は当分出撃させないし、遠征にも行かせない。僕が大丈夫だと判断するまでここで待機していろ」

総士「提督である僕の命令を無視し仲間との連携を乱した挙句、大事な艦隊を一機沈めた。自分が一体何をしたのか分かってるのか?」

天龍「分かってる!だから罪滅ぼしに戦うんだろうが!やってやるよ、刺し違えてでも奴の首を撥ねてやるよ!勝利をもたらしてやるよ!」

総士「そんな考えでいる限り、お前は永遠に出さない。また一人誰かを失う事になる」

天龍「くっ……!」

吹雪「天龍さんの気持ちは痛いくらい分かります。でも……」






総士「庇った龍田も龍田だ。後先考えない行動がこんな結果を招いた、自業自得としか言いようがない」

天龍「……っッッ!!」ブチッ

―――――――――

~港~


夕張「龍田、天龍を守ってくれてありがとう。それと助けてあげられなくてごめん……」

電「ひっく、うぅ……」ボロボロ

雷「龍田さぁん……どうしてぇ……」エグッエグッ

響「……っ、くっ……」ポロポロ

暁「うわああああああん!ああああああああん!」ボロボロ

夕張「あなた達、いつも遠征で一緒だったもんね。きっと龍田も喜んでくれてるわ」グスッ

雷「うん……いつも、私達に優しくし、てくれて……色んな事も教え、て、もらったの」ヒグッ

電「電は、何も……返せてま、せん……」ポロポロ

夕張「だったら今はせめて、彼女の為に祈りましょう。安らかに眠ってくださいって……」

響「……うん」グスッ



弥生「夕張さん……大変な事が!」

―――――――――


夕張「な、何をやってるの……!?」



吹雪「やめてください天龍さん!司令官に手を挙げるなんて!」ギュー

山城「正気じゃないわよ、あなた!」ギュー

天龍「コイツは!龍田の事を侮辱しやがった!アイツの死を、自業自得と切り捨てやがったんだ!黙ってられっかぁ!!」ジタバタ

夕張「え?」

天龍「離せコラ!一発じゃ足りねぇ、もっと殴らせろ!」ジタバタ

天龍「スカした面の裏では俺達を道具としか見てなかったんだ!見てろよ、お前らが死んだ時もコイツはまた同じ事を言うぞ!自業自得だってな!」

天龍「なぁそうだろ提督さんよぉ!何か言い返してみろよぉ!」

総士「……僕は、彼女がした事を褒めるつもりはない。お前がしようとしている事もな」

天龍「そうかい、それがアンタの本心かい」

夕張「そんな……そんなの、酷すぎます!」

総士「吹雪、山城、天龍を隔離部屋へ連れて行け。今後の処遇を検討する」

吹雪「は、はい……」

山城「さぁ、行くわよ」

天龍「ハッ、上等だよ!追放でも解体でも何でもしやがれ!こんな所こっちから願い下げだ!」



赤城「大丈夫ですか?口が切れているようなので薬を取って……」

総士「これくらいどうってことない」

夕張「提督……さっき天龍が言ってた事、本当なんですか?」

総士「あぁ。龍田の死は彼女自身の判断でやった事、自業自得以外の何ものでもない」

夕張「提督にとって、私達艦娘は一体何ですか?」

総士「……」


―――――――――

~隔離部屋~


天龍「……」



『あら~、天龍ちゃんったらまた一人で突っ走って。危ないって何度も言ってるでしょ~?』



『そんなに照れなくてもいいのに~、可愛いわねぇ』



『やった!流石天龍ちゃんだわ~、惚れ直しちゃった!』



『でも、そんな天龍ちゃんだから――』



天龍「うぅ……龍田ぁ……」ボロボロ

―――――――――

~執務室~


総士「……」

吹雪「……」

総士「君も、僕が不満か?」

吹雪「わ、私には……分かりません」

総士「何なら秘書艦の任を解いてもいい。これからは僕一人で仕事をする」

吹雪「そんな事したら本当に皆バラバラになってしまいます!それだけは、出来ません!」

総士「……そうか」

吹雪「司令官」

総士「何だ」

吹雪「言葉って、難しいですね」

総士「……」




気付けば、また同じ道を辿っていた。二度と繰り返すまいと、そう誓ったのに……

誰かの為に誰かが死ぬ事を、僕は最も嫌う。残される者達の悲しみをよく知っているから

それを伝えるには、僕は余りにも力不足だ。そのせいで、あの時と同じ状況を作り出してしまった



総士「暫く、一人にしてくれ」

吹雪「……はい」



ただ乗り越えたかった。嘗て出来なかった事を、やろうとしていた

そうすれば償えるのだと自分に言い聞かせながら



総士「……すまない、皆」



僕は、更に深い闇へと沈んでいった――



以上です。ゆっくり書いてたらこんな時間に……
艦これでこんな薄暗い話を書くのは自分くらいですかね。暗いばっかという訳にも行きませんからどこかで明るい話もしますよ、歳相応な話題を
ではまた



あなたは、そこにいますか?

人って奴は簡単には変われないんだよね。あ、瑞鳳と島風が一発で出来て軽く浮かれてます
では再開




――駄目、天龍ちゃんが飲み込まれちゃう!



                   ――このままじゃ間に合わないよ……!



    ――もう、こうするしかないよね



           ――よかった。間に合った



――天龍ちゃん、大好きよ





――後悔はないわ。だって天龍ちゃんを守れたんだもん、このまま死んでも……



             ――いや
 


    ――やめて!そんな事言わないで!



                  ――いやぁ!怖い!助けて天龍ちゃん!私が私でなくなっちゃう!



――助けてよ天龍ちゃん!私は……まだ……ココニ……



















ワタシハ、モウドコニモイナイ




―――――――――

~深夜・自室~


総士「っ!!」ビクッ

総士(夢……いや、あれは夢じゃない)ムクリ

総士「……まだこんな時間、か」



~港~


弥生「司令官……?」

総士「弥生、か。何をしている」

弥生「すみません、すぐ戻ります」

総士「いや、待て」

弥生「?」







総士「……」

弥生「……」

総士「……」

弥生「……あの」

総士「何だ?」

弥生「話がしたいと言ってましたが……」

総士「何を話せばいいか分からなくてな。イラつかせて悪いと思ってる」

弥生「弥生、怒ってなんかないですよ……すみません、表情硬くて」

総士「そのリボン、いつも持っているのか」

弥生「これ、ですか?これは……昔弥生と一緒に戦った、如月という艦隊のもの……です」

弥生「司令官がここに来る前の戦いで……沈んでしまいました」

総士「……触れない方がよかったか」

弥生「いいんです。弥生、もう十分悲しみましたから……。これからは、如月の思いを背負って、生きていくと決めたんです……」

総士「……」

弥生「だから……天龍さんを余り悪く思わないでほしい、です。今はうんと悲しませてあげてください」

総士「立ち直れると思うか?」

弥生「止まない雨はないと……信じてます」

総士「そうか……」


総士「君は、今の僕がどう見える」

弥生「え?」

総士「正直に答えてもらって構わない、それに関して怒る事もしない」

弥生「えっと……失礼な言い方ですが、弥生と同じ種類の人だと……思いました」

弥生「皆にああ言ったのも……きっと、何かを伝えるのが苦手だからだと、そう感じました」

弥生「弥生もそういうの苦手で、よく皆に誤解を招いてしまいますから……」

総士「……」

弥生「大丈夫、焦らずゆっくりで。弥生はここにいるよ」

総士「……あ、ありがとう」




天龍「ごめんなぁ、龍田ぁ……あの時俺が無茶しなけりゃ……」ヒック

天龍「うぐ……提督の言う事、素直に聞いてりゃお前は今もここに……うぅ」

天龍「お前は悪くねぇ、俺が全部悪いんだ……俺が……お前を死なせたんだ……」グスッ

天龍「俺、もうどうしたらいいかわかんねぇよ龍田ぁ……」



総士「……」

総士(お前だったら、こういう時彼女になんて言葉を掛けてあげるんだ)

総士(僕には、「元気を出せ」などと無責任な言葉をかけるなんて出来ない)

総士(こういう結果を招かない為に僕はいるというのに……)

眠たくなったので今日はここまで
ちなみに自分はまだ誰も轟沈させてません、中破したら勝負捨てて逃げるチキンです
ではまた



あなたは、そこにいますか?

全員ゴウバインヘルメットを被ればいいんだ!

>>192
全員ネジネジされるじゃないですかヤダー!
しかし凄まじい影響力を持つお祭りゲーだな、スパロボというやつは
では再開

―――――――――
―――――――――

~三日後・港~


ザワザワ


雷「司令官が話があるって言うから来たけど」

電「皆集まってるのです、何の話なのでしょうか?」



総士「……皆も知っているだろう。この鎮守府の仲間が一人、龍田が友の為に命を張った事を」

総士「彼女は一切の躊躇も後悔もなく、その使命を果たした。最期の一瞬まで、彼女は友に微笑みかけていた」

総士「それだけ友を大切に思っていた龍田の行動は名誉な事だと、立派だと皆は思っているかもしれない」

総士「だが、僕はそう思わない。彼女の取った方法は身勝手で独りよがりな自己満足だけの行動だ」

168「幾らなんでもそんな言い方はないじゃない!」

夕張「落ち着いて、黙って話を聞きなさい」

総士「何故なら、命を救われた友は三日三晩泣き続けた。自分の不用意な行動が彼女を死に至らしめたと、結果的に友を苦しめている」

総士「その者だけじゃない、ここにいる君達の心にも深い傷を負わせた。僕が何を言いたいか分かるか?自分を犠牲にして誰かを助けるという事は、結局は残された者全てを傷つける愚かな行為だ」

総士「これが褒め称えられてしまったのでは、皆が自分の命を軽んじてしまう。それだけはあってはならない」

吹雪(司令官……)

総士「忘れるな、君達の命は誰かに生かされ、そして誰かを生かしているという事を!自分の命を大事にしない者が、何かを守れると思うな!」

総士「その為にも、僕はより一層力をつける。誰も死ぬ事無く、この戦いを生き抜くべく!」

総士「こんな提督でも、君達はついてきてくれるか……?」










弥生「弥生は……ついていきます。司令官の思いは、弥生にも伝わりました」

夕張「私もです。初めて提督の本心を聞いた気がしました」

168「さ、最初からそう言ってくれればよかったのに!あれだけじゃ誰だって誤解しちゃうよ!」

赤城「私達の命を重んじる提督の心意気、確かに受け取りました」

電「電も、司令官のお側で働きたいのです!」


ワーワー


吹雪「司令官、改めてよろしくお願いします」

総士「あぁ、こちらこそ」

総士(これで僕は、あの時から変われたんだろうか……)

総士「皆ありがとう。僕が責任を持って、君達を導いてみせる」

総士「……最後に、身を呈して天龍の命を救った龍田の死をここで弔おう。提督として、一人の人間として」



僕らは祈った。安らかな眠りを、そして彼女がいた証をその心に刻むべく

僕は忘れない。これまでの痛みを、そしてここでの痛みも――



―――――――――


~隔離部屋~


総士「……天龍」

天龍「……何だよ」

総士「お前は、どこにいる」

天龍「……」

総士「僕には、どこにもいたくないように見えるぞ」

天龍「……かもしれねぇ」

天龍「最低だよ。散々命令違反したのは俺なのに龍田が死んで、おまけに受けなくてもいい非難まで浴びせて、俺は逆上して暴れまわって空気壊して……」

天龍「もう俺、立ち直れる気がしねぇよ。こんな使えねぇ船、さっさと解体でも何でもしてくれ提督」

総士「……今のお前を見たんじゃ、折角助けた龍田も浮かばれないな」

総士「お前だけに教えてやる。僕は戦闘の指揮を取っている時、お前達が感じる全てを共有している」

天龍「どういう意味だ?」

総士「お前達が戦いの中で思っている事は僕にも伝わっている。そしてお前達が受ける痛みも、僕は同じように感じている」

天龍「俺達の頭ん中いつも覗いてやがったのかよ、悪趣味だなぁ」

天龍「……痛みも受けるって、お前はただの人間だろ?それも全員分をか!?」

総士「そうだ。それもその時だけじゃない、フラッシュバックによって何度もその痛みが蘇ってくるんだ」

総士「だが、こうするしかフェストゥムの読心術を防ぐ手立ては今のところない。勝つにはこうするしかないんだ」

天龍「……」

総士「だから僕は、龍田が今際の際に何を思っていたのかも知っている。知りたいか?」

天龍「……教えてくれ」

総士「彼女はお前を庇った瞬間はとても満足していた。自分の行動に一切の迷いも後悔もないと言っていた」

総士「だがフェストゥムに同化される寸前、彼女は最後の最後にお前に助けを求めていた。彼女はまだ生きたかったんだ、お前と共に」

天龍「何だよそれ……それじゃあ俺はますますどうしようもねぇ奴じゃねぇか」

総士「自己犠牲は美談にとられがちだが、実際はそんな単純なものじゃない。だから僕はあの時龍田の死を自業自得と言ったんだ」

総士「……が、行為は否定しても、その心まで否定するつもりはない」

天龍「……」

総士「お前はこの鎮守府を守る艦娘達の一人、天龍だ。お前を必要としている仲間は沢山いる。龍田がそうだったように」

総士「お前の命はお前だけのものじゃないんだ。お前がいなくなった事によって誰かがいなくなる事だってある」

総士「それでも最後に選ぶのはお前自身だ。例え強いられた運命だとしても、お前は選び直さなければならない」

総士「……その選択すら放棄するというのなら、もうどこにもいたくないのなら、その時は僕が責任を持ってお前を処分する」

天龍「……」

総士「明日、もう一度問う。それまでゆっくり考えるといい」






天龍「龍田……俺は今、どこにいるんだろうな」

今日はここまで。我が鎮守府はオリョクルも五十鈴牧場もした事がないホワイト鎮守府です
この天龍を書いてると引き篭もった剣司を思い出します
ではまた



あなたは、そこにいますか

次の作品は全員に死亡フラグが立ってそう、というより常に全員死亡フラグ抱えてるよね
では再開

―――――――――

~夜・執務室~


総士「……」フゥ

吹雪「どうしたのですか司令官?お疲れ気味ですか?」つお茶

総士「いや、疲れてるわけではない。ただ……」ズズ

吹雪「ただ?」

総士「誰かを励ますというのは難しいと……そう考えてた」

吹雪「あぁ、天龍さんの事ですね。早く立ち直ってくれればいいんですが」

総士「……」ズズ

吹雪「司令官は、私達の事を大事に思ってくれてるんですね。今日の話を聞いた時、とても嬉しかったです」

総士「そうか」

吹雪「初めは何だか気難しい人だなーって思ってました。一度も笑ったところを見た事ありませんし」

総士「悪かったな」

吹雪「お、怒ってます!?す、すみません!」ペコペコ

総士「怒ってなどない、表情が硬いだけだ」

吹雪「あ、今のって弥生さんの口癖ですよね?」

総士「……」

吹雪「こうして司令官と他愛のない話をするのも初めてですね」

総士「そうだな」

吹雪「楽しくないですか……?」シュン

総士「いや、僕はそういう空気に不慣れなだけだ。ましてやこんな状況で提督たる僕が談笑などしている場合ではないだろう」

吹雪「そ、それは違うと思います!たまには笑ったりして息抜きしないと心が持ちませんよ!」

総士「……息抜きなら、もう十分している」

吹雪「え?」

総士「明日は出撃だ。君も帰って体を休めろ」

吹雪「は、はい。では失礼します」


バタン


総士「……難しいな、誰かと付き合うというのは」

―――――――――

~隔離部屋~


天龍「……何だお前ら」

電「あ、あの……」

雷「ここからいなくなるって、本当なの?」

天龍「どこで聞いたんだよその話」

暁「偶然ここを通りかかったら司令官が処分するって……」

響「そんなに悪い事したの?」

天龍「まぁ、悪いっちゃ悪いよな。命令無視しまくった癖に提督ぶん殴ったり……」

天龍「何より、俺の独断のせいで龍田が死んじまったからな……そりゃ重罪だろうな」

電「いなくなるのはいやなのです。龍田さんだけじゃなく天龍さんまでいなくなってしまったら私達は……」ジワ

天龍「お、俺なんかの為に泣くなよ。そいつは龍田に流してやってくれ」

雷「私、司令官を説得しに行ってくる!」ダッ

天龍「やめろ!余計な事しなくていい!」

雷「でもぉ……天龍までいなくなっちゃったら、寂しいよぉ……」ポロポロ

電「そうなのです!私達がここに来たばかりの時、二人はいつも一緒にいてくれたのです!色んな事教えてくれたのです!」

暁「だから今度は私達が天龍を助ける番!龍田だってそうしてほしいに決まってる!」

響「もっと、一緒にいたい……」

天龍「……提督は俺にこう言ったんだ、『お前はどこにいる』って」

雷「どういう事?」

天龍「俺にもよく分からなかった。でも、お前達が会いに来てくれたおかげでその答えが分かった」

響「分かったら、出してくれるの?」

天龍「さぁな、でもいつまでも塞ぎ込んでる俺は天龍じゃない。天龍ってのは世界水準を軽く越えた自信家で馬鹿な戦闘狂だ」

天龍「それとお前らの兄貴分でもある。あぁそうだ、俺は天龍だ」

電「天龍さん?」

天龍「ありがとな。俺、やっとここに戻って来れたよ」






―――――――――
―――――――――

~翌日~


総士「答えは出たか?」

天龍「あぁ、お蔭様でな」

総士(……目の色が変わったな)

総士「なら聞こう、お前はどこにいる?」







天龍「俺はここだ、俺が天龍だ!こんなどうしようもない奴が俺以外にいてたまるか!今までしでかした事も、全てが俺なんだ!」

総士「……そうか」カチャ


ガシャン


天龍「提督?」

総士「ただ今をもって天龍の拘束を解く。改めて、この鎮守府での働きに期待している」

天龍「いいのか?もう出ても……」

総士「早速だがお前には他の艦隊と共に南西諸島への海域奪回戦に参加してもらう」

天龍「……」

総士「いけるか?」



天龍「当たり前だろ!」

―――――――――

~南西海域防衛ライン~


【編成】

吹雪(旗艦)




天龍(キラ付け状態)



雷「初の戦闘ね、緊張するわ……」

吹雪「大丈夫よ、なんてったってこっちには天龍さんがいますから」

天龍「当ったり前だろ!全部俺に……いや、お前達も頼りにしているぞ」ナデナデ

暁「な、なでなでしないでよ!一人前のレディなんだからね!///」テレテレ

響「言葉の割には嬉しそうだね」

電(いいなー暁ちゃん……)

―――――――――

~鎮守府~


赤城「本当に良かったのですか?まだ彼女達は戦いに慣れてません、いきなりこんな大役を任せても……」

総士「僕自身もどうかしていると思う。これは実践で、しかも命のやり取りをしているんだ」

総士「おまけにあそこは一人が命を落とした場所……それも彼女達が一番慕っていた」

赤城「そんなあの子達をわざわざ戦場に出すなんて……感情的な行動による戦闘への支障を危惧してあのような措置をしたのでは?」

総士「あぁ。でも僕には、これが最良の選択だと確信した」

総士「今の彼女達なら、今の天龍ならこの戦いを任せられる、と」

弥生「大丈夫……きっと」

夕張「えぇ、私もそう思うわ」

総士(天龍、僕は信じているぞ……)

―――――――――


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


戦艦リヴ「マタキタカ……」

空母プレ「ドウカヲ……」

駆逐スフ×4「……」



暁「あ、あれが私達の敵……!」

天龍「あの面子なら、俺達でも十分やれるぞ」

電「頑張るのです!」

吹雪「皆さん行きますよ!」



嘗て、一対の龍がその片身を失った

数え切れない痛みを抱えて海底へ沈み行く、その体を救い上げたのは己の存在が残したものだった

そして今、隻眼に光を携えた龍が再び天へと昇る――





今日は以上です
毎回鬱蒼とした展開を繰り広げるつもりはありません。この戦いが終わったら日常パートでも書こうかなーと
ではまた



あなたは、そこにいますか

>>1はここにいますか?

>>236
俺はここだ、ここにいる!
仕事という名のフェストゥムに同化されかけてました。では再開

空母プレ「イケ……」


ドバババババババババ


吹雪「空襲、来ます!」

天龍「撃ち落そうなんて考えるな!お前らの持ち前は機動力と夜戦での雷撃だ!全部避けろ!」

雷「これ、全部避けられるの!?」

天龍「戦艦すら一発で大破させるモノだ、脆いお前らが食らえばどうなるか言わなくても分かるだろ!」

電「は、はいなのです!」

天龍(それに、提督が言ってた事が本当なら尚更当たる訳にはいかねぇんだ……!)

総士『……』

響「っ、すごい数だね」


ベチャ


暁「きゃっ!主砲に引っ付いて……!」

天龍「それはもう駄目だ、外せ!」ガシッ


ドガンッ!


暁「あ、ありがとう……」

雷「わっ!?」ドンッ

吹雪「雷ちゃん!」

雷「だ、大丈夫!ちょっとかすっただけ!」

戦艦リヴ「ヨソミシテイテイイノカ?」ゴォッ

天龍「テメェは俺がぶっ潰す、だが今はその時じゃねぇ!」ドドド

総士『天龍!』

天龍(分かってるよ、ちょっと足止めするだけだ。心配すんな、あんな無茶はしねぇからよ)

総士(……分かった)

総士『吹雪、第六駆逐隊!天龍が奴を足止めしている間に敵の数を減らせ!あのスフィンクス型なら君達でも十分倒せる!』

総士『だが深入りはするな。あくまで勝負は夜という事を忘れるな』

吹雪「了解です!」

吹雪「皆!砲撃用意!」

雷「まっかせて!」

電「なのです!」

暁「オッケー!」

響「了解」

駆逐スフ×4「……!」ゴォッ

吹雪「撃てー!」


ドドドドドドドドドドド!!


【駆逐スフ×2・撃沈】
【駆逐スフ×2・中破】


吹雪「やりました!」

雷「どんなものよ!」

―――――――――

~夜~

戦艦リヴ
空母プレ
駆逐スフ・中破
駆逐スフ・中破


総士『戦況は優勢だ、最後まで気を抜く事なく勝つぞ。一人も欠ける事無く勝利する事が、死んだ龍田への弔いにもなる』

吹雪「はい……」

天龍「吹雪、あのデカイのは俺に任せてくれ。皆は他の奴らを頼む」

吹雪「大丈夫ですか?」

総士『構わない、ここは天龍を信じよう』

吹雪「分かりました……これより、夜戦に突入します!!」




ドガガガ!


雷「どう?昼間とは全然違うでしょ!」ドドド

駆逐スフA「ッ!」ボゴンッ

暁「龍田の仇、取ってやるんだから!」ドドド

響「これで、終わりだよ」チャキッ

駆逐スフA「……ワレワレハ」

電「!」


ドーーーン!


雷「後はあのクラゲみたいなの被ってる奴だけね!」

空母プレ「……」

総士(この間もそうだったが、ここのプレアデス型は夜になると小型を飛ばせなくなるのか。これも艦娘を理解した結果なのか?)

吹雪「今ならいけます!一斉掃射!」

響「電、どうしたの?」

電「いえ、なんでもないのです」

雷「いっくよー!」


ズドドドドドドドド


空母プレ「……ヲ、……ッヲ」ボコッベコッ

響「効いてるね」ドドド

吹雪「空母型は夜になると無力だからね!」ドドド

暁「昼間のお返しよ!このまま倒してやるんだから!」ドドド

空母「ヲグッ!ナ……ゼ……」ボコンッバコンッ

電「……!」



空母?プレアデス?「ナゼ…ワ、たしハっ……ドコ、にもいナい?」


電「ま、待って欲しいのです!」バッ

雷「ちょっ、何しっ……!」


ドゴンッ!


電「あうっ!」バシャッ

総士『!?』

吹雪「電ちゃん!どうして敵を庇うんですか!?」

電「ご、ごめんなさい!ごめんなさいなのです!だ、だって……」

電「あの敵艦、助けてほしいって……目が言ってたのです!」ポロポロ

暁「こんな時に何言ってるの!」

電「戦いには勝ちたい……でも、それよりも電は!命を助けたいのです!」

電「例え敵だったとしても……助けを求められたら、手を伸ばしたいのです!ごめんなさい、ごめんなさい……うぅ」ポロポロ

雷「電……」




天龍「クソッ!」ズザザザ

戦艦リヴ「ナゼアラガウ?ソンザイニハイタミヲトモナウ……イタミノハテニ“シ”ガオトズレ、イズレマタ“タンジョウ”シ、フタタビイタミヲアジワウ」

戦艦リヴ「イツマデクリカエス?クルシミノレンサカラトキハナトウトシテイルノニ、ナゼソンザイヲエラブ?」

天龍「……存在は何も痛みばっかじゃねぇってのを知ってるからだ」

天龍「お前に龍田を食われた時、心がすげぇ痛かった。一日中泣き喚くくらい痛かったさ。この世から居なくなりたくもなった」

天龍「けどなぁ、俺にはその痛みを分かち合ってくれる奴らがいた!俺の存在を教えてくれた奴がいた!痛みじゃねえ、優しさを感じた!」

天龍「そん時俺はここにいてよかったと、心底思った!だから俺はここにいる事を選ぶ!テメェらみたいに存在を捨ててたまるか!」

総士(天龍……)

戦艦リヴ「マァイイ、オマエモナカマトイッタイニシテヤロウ」グパァ

総士『天龍!何としても、あのフェストゥムを倒すぞ!』

天龍「当然だぁ!」

今日はここまで。次回で決着をつけます
ではまた



あなたは、そこにいますか

今回で1-4ステージ編終了。果たして誰も欠ける事無く勝利できるか?
では再開

天龍「らぁっ!!」


剣撃と拳撃が交差し、砲撃と崩撃が飛び交う。息もつかぬ攻撃の嵐が水平線を震わせた

相手は戦艦級の深海棲艦にリヴァイアサン型のフェストゥムが同化した強敵。そして彼女の親友を奪った仇だ

対して天龍は軽巡洋艦にルガーランスが一本、如何に一撃を入れるかが勝負の分かれ目だろう


天龍「ちっ!」


天龍の思考は果敢な攻撃とは裏腹に冷静さを保っていた。だが……


天龍「ビクともしねぇのかよ、頑丈な体しやがって」

戦艦リヴ「ムダダ」


火力が低いせいか、砲撃を撃ち込んでも傷つかず、斬撃も弾かれてしまう

総士『装甲が堅いのか、火力不足なのか。こちらの攻撃があまり効いてないみたいだ』

天龍「どうすりゃ攻撃が通る?」

戦艦リヴ「サァ、コチラヘ……」


手甲が花弁のように割れ、天龍目掛け襲いかかった。それを咄嗟に避ける

龍田を飲み込んだあれを目に奥歯を噛み締める。今すぐにでも叩き斬ってやりたいと睨みつけた

その後も攻防が続くが、徐々に押されつつあるのを感じた


総士『もうすぐ仲間が来る、全員でかかれば……』

天龍「それだと今度は誰かが死ぬリスクが上がっちまう。出来ればコイツは俺一人で!」

総士『だとしても、今のままでは勝機がない。今アレに決定打を与えられるのはお前だけだ、お前だけが死んでも駄目なんだぞ』

天龍「分かってる!けど……」

吹雪「天龍さん、加勢に来ました!」


吹雪に連れられ第六駆逐隊の面々が到着した


戦艦リヴ「ミナ、ワレワレトヒトツニナリニキタカ」

雷「アンタを倒しに来たのよ!」

天龍「お前ら……」


天龍の表情には安堵と不安が入り混じっているように見えた

砲撃と雷撃の時雨がフェストゥムに容赦なく降り注ぐ


響「流石戦艦級、これくらいじゃビクともしないね」

暁「でも数を重ねればいつかは!」

総士『僅かだが効いているようだ。このまま反撃の隙を与えるな!』

吹雪「はい!」


更に攻撃を重ね、フェストゥムは防御姿勢のまま後ろへと押されつつあった


天龍(どのタイミングでいけば奴に一撃を決められる?)


ルガーランスを両手に握り、機会を伺う。確実に仕留められるその瞬間を

だが、相手はそんな機会を与えるつもりなどさらさらない


戦艦リヴ「サァイクゾ」


突如、防御を解き艦隊の列へと突進してきた


天龍「しまった!」


突撃を防ごうとするも、戦艦の重量と速度と破壊力に成す術なく天龍は吹き飛ばされた

駆逐艦の彼女らも巻き込まれ、陣形が乱れてしまう


暁「あうぅ……」

電「痛いのです……」

総士『全軍下がれ!一度体勢を立て直すんだ!』

雷「わ、分かってるよぉ」


慄く第六駆逐隊の面々をフェストゥムは見逃さなかった


戦艦リヴ「ワレワレトヒトツニ」

電「ひっ……!」


巨龍の顎が、電を飲み込まんと迫る

総士『まずい、逃げろ電!』

電「あ……あ……」


電は初めて感じる死への恐怖に飲まれ、身動きが取れなくなっていた


天龍「させるかああああああああ!!」


剣を捨て、電を守るべく全速で駆ける


天龍(もう誰一人として俺の前からいなくなるんじゃねぇよ!)

戦艦リヴ「ナルガイイ……」




電は、自分の体が真横へ飛ばされる感覚で正気に戻る

そして……










電「天龍、さ……!」


金色の怪物は、彼女の憧れの人を飲み込んだ――














総士『――天龍、聞こえるか』

天龍「あぁ、まだ聞こえるよ」

天龍「ひとしきり抵抗したが、変なのに巻きつかれたままついに身動きがとれなくなっちまったよ」ギチギチ

総士『……』

天龍「剣は外に投げちまったし、頼みの主砲は潰された」

天龍「もう、ここまでなのか……チクショウ」

総士『まだだ、まだお前はそこにいる。お前はまだこうして僕と話をしていられる!だから最後まで存在を捨てるな!』

総士『お前は一人じゃない、僕が最後までついてる!』

天龍「提督……」





電「ヒック……天龍さんがぁ……!」

響「返して!」ドドド

雷「やだよ天龍ぅー!」ドドド

吹雪「そんなぁ……」

暁「お願い、返事してー!」

戦艦リヴ「サァ、ツギハ……」


ズバァッ!!


戦艦リヴ「!?」


刹那、敵の右腕の内側から刃が飛び出した

そしてそれは分厚い腕を真一文字に切り裂き、破壊する


電「……天龍、さん?」

天龍「おぅ!」

雷「よ、よかったぁ……」


中から飛び出してきたのは天龍だった。それを知って皆は涙を流しながら安堵の息を漏らす

彼女はまだ、ここに残る事が出来たのだ


天龍「……龍田が、俺を助けてくれたんだ」

暁「え?」


天龍の右手には、嘗て龍田が愛用していた槍が握られていた


天龍「アイツの中にコレが残ってたんだ。お蔭で俺はここに戻って来られた……」


死んでからも彼女に助けられるとは……と、自分の不甲斐なさと龍田への感謝の思いが巡った

戦艦リヴ「マサカ……シュクフクヲコバムトハ……」

天龍「悪いな、祝福ならもうとっくに貰ってんだよ!」


龍田の槍とルガーランスを手にフェストゥムへと迫る


戦艦リヴ「ナラバモウイチド……」

天龍「そいつを待ってたぜ!」


大きく開かれた左腕の花弁に天龍はルガ-ランスを投げ入れる。その剣は龍の顎を穿ち、貫いた

右腕に続き左腕までも失った敵は最早無防備となっていた


天龍「フフフ、怖いか?」


挑発的な笑みを向ける。だがフェストゥムからの返答はなかった。彼らは恐怖というのを理解出来てないからだ

「分からねぇなら教えてやる」



友の形見を握り締め、敵の頭上へと跳ぶ



「それが……」









「生きてるって証だ!!」


万感の思いを込めた一撃は、フェストゥムという“存在”に確かに届いた――


今日はここまで。思ったより長くなっちまった
この話はもう少し続きます
ではまた



あなたは、そこにいますか

>>270
どうしてそんなことを書いた!言え!

乙ー

>>271
やめて!もう…やめてよ……
では再開

戦艦リヴ「……っ、……!」

天龍「仇は取ったぞ、龍田……」

戦艦リヴ「マタ……イズレ……」

天龍(……ありがとう)



【戦闘結果・勝利】

吹雪(旗艦)

電 ・・・小破
暁 ・・・中破

天龍・・・中破

【MVP・天龍】

総士『皆、よく頑張った。作戦終了だ、鎮守府に戻ってきてくれ』

吹雪「皆さん帰りましょう、私達の帰る場所へ!」

天龍「おし、凱旋だお前ら!」



ヲ級「……」

天龍「まだいたのかよ!」チャキッ

電「ま、待って欲しいのです!この子、戦う気はないみたいなのです!」

天龍「だとしても危ねぇだろうが」

ヲ級「ヲ……ワタシ。ハ……ドコ?」

総士(フェストゥムが『存在』を求めている?)

天龍「チッ、とっとと失せろよ」

ヲ級「ワタシ、ハ……ドコ?」

吹雪「どうしちゃったんでしょう」

雷「電になついちゃったのかな?」

総士『……天龍、そいつを鹵獲しろ』

天龍「ま、マジかよ!?」

総士『そいつはもう皆が知るフェストゥムじゃない。言い換えるなら、そいつはお前になりたがっているんだ』

天龍「はぁ?……よくわかんねぇけど、提督の命令なら従うしかねぇよな」

電「連れて帰るのですか!?」

天龍「なに嬉しそうな顔してんだよ」

電「そ、そんな事はない……のです」

響「早く帰ろうよ」

天龍「だな」




―――――――――

~鎮守府~


雷「ただいまー!」

吹雪「約束通り、全員帰って来ました!」

総士「ご苦労だった」

弥生「皆……おかえり」

夕張「よく頑張ったね、皆!今日は間宮さんが来るから先にドックで体を洗ってきなさい!」

雷「やったー!」バタバタ

響「了解、直ちにドックへ急行する」バタバタ

暁「あ、暁はあんな風にはしゃいだりしないわよ!一番傷ついてるから急がなきゃってだけなんだからね!」バタバタ

赤城「皆元気そうでよかったですね」クスッ

総士「あぁ」

―――――――――

~港~


電「あなたはどうしてついて来たのですか?電達はあなたを殺そうとしてたのに……」

ヲ級「……」

電「体、傷だらけですね。痛みますか?」

ヲ級「……イタミ?」

電「あ、えぇっと……苦しかったり、不快だったり、そういう気分になってませんか?」アタフタ

ヲ級「クルシイ……フカイ……?」

総士「電、まだここにいたのか」

電「司令官!す、すみません!あの、勝手な事を……!」

総士「そんな慌てなくてもいいだろ」

電「この子、どうするんですか?」

総士「……少し、話をしてみたいと思う。すまないが僕一人にしてくれないか」

電「は、はいなのです」



総士「お前はマスター型とは違うのか?」

ヲ級「マスター?」

総士「お前は何故彼女らに縋った?」

ヲ級「……」

総士「お前はもう彼女達を同化しようとは思わないのか?」

ヲ級「……」コクリ

総士「お前は、自分がどこにいるのか知りたいのか?」

ヲ級「……」コクリ

総士「どうしてそう思うようになった?」

ヲ級「……ワカラナイ」

ヲ級「ワタシ……ドウシテ、イナクナッタ?」

総士「そうやって考えるお前は、そこにしかいないんじゃないのか」

ヲ級「……」



―――――――――

~夜・鎮守府食堂~


ワイワイ


雷「おいしいねー!」パクパク

響「ハラショー」モグモグ

赤城「流石は間宮さんですね、鮮度も味も抜群です。あ、おかわりお願いします」

羽黒「え、これで何杯目ですか!?」

夕張「出撃した子達以上の食欲ね、赤城さん」

弥生「食べる子は……よく育つ」

夕張「ど、どこ見て言ってんのかしら弥生ちゃ~ん?」

総士(天龍がいない?)

吹雪「司令官?」

総士「少し風に当たってくる」



~海辺~


総士「天龍」

天龍「提督か、何か用か?」

総士「いや、姿がなかったから」

天龍「へぇ、俺を心配しに来てくれたってのか。らしくないな」

総士「……そうか」

天龍「冗談だよ。……龍田と最後の時間を過ごしてたんだ」

総士「最後の?」

天龍「あぁ。俺と長い付き合いだった龍田はもういないんだ、いつまでも引きずってる訳にはいかねぇ」

天龍「この先もあんな強い奴と戦うんだ、前向いて戦わなきゃ俺がやられちまう。龍田が繋いでくれたこの命、無駄にしねぇ為にもな」

天龍「だからこうして海眺めながら飲んでんだよ」トクトク

総士「……お茶か」

天龍「今馬鹿にしたろ!悪かったな酒飲めなくて!」

総士「一杯、いいか」

天龍「……あぁ」




総士「……」

天龍「綺麗な月だな」

総士「あぁ」

天龍「あの月にはうさぎが住んでるらしいぜ」

総士「そうか」

天龍「龍田は、どこに行ったのかな」

総士「……」

天龍「天国だといいな。って、艦隊の俺達に天国も地獄もねぇか」ハハッ

総士「……」

天龍「……」

総士「……」

天龍「……何かフォロー入れろよ、辛気臭くなっちまうだろうが」

総士「すまない」

天龍「よく無愛想って言われるだろ」

総士「そんな事はない」

天龍「本当かぁ?」

総士「これでも愛想良く振舞っているつもりだ」

天龍「ふーん」グビッ

総士「……」

天龍「だからすぐ黙るなって!」

総士「会話は、苦手だ」

天龍「だろうな……」

天龍「あの、さ……」

総士「?」

天龍「あの時は悪かった。その、殴ったりして」

総士「気にしてない。あの手のは慣れてる」

天龍「それと……あ、ありがと……な」

天龍「提督の言葉があったから俺、その、こうして立ち直れたし」ポリポリ

総士「いつもの調子はどうした」

天龍「なっ!人が折角感謝の言葉をだなぁ……」



総士「でもそっちの方がより好感が持てると、僕は思うぞ」フッ

天龍(あ、笑った……)


天龍「さて、そろそろ帰るか」スクッ

総士「もういいのか」

天龍「あぁ、お蔭でスッキリした。それに心配する奴らも出てくる頃だろうしな」

総士「そうか」

天龍「最後にこれだけは言っておく」

天龍「俺はこれからも、提督の下で戦い続ける事を約束するぜ」

総士「……頼りにしている」



天龍「じゃあな、龍田――」



最愛の友に別れを告げ、僕らは皆が待つ故郷へと戻る

その細身の体には二匹の龍の魂が宿るのを、僕は確かに感じた

彼女はもう大丈夫だ。だから君も、どうか安らかに――

今日はここまで。史実では天龍が先に沈んだんだっけ
次回は欝要素皆無の日常編の予定
ではまた



あなたは、そこにいますか

皆が同化されても、那珂ちゃんの事は嫌いにならないでください!今回はそんな重たい話にはならない(予定)
では再開

―――――――――

~工廠~


総士「少しいいか?」

妖精「!」

総士「君達はファフナーの武器を作れるようだが、この世界にファフナーは存在するのか?」

妖精「~~?」キョトン

総士「分からないのか?でも彼女達が持っている武器とは明らかに違う作りだ。ではファフナーが何なのかは知っているか?」

妖精「~~???」フルフル

総士「そうか……」

夕張「提督、何してるんですか?」

総士「いや、ちょっと話を」



夕張「うーん、この子達の技術力は確かに疑問にも感じますけどねぇ」

総士「もしかしたらもっと大きな艦隊を作れるかもしれない。今までより資源を多く使ってみて一度試してみたい」

夕張「大きな艦隊、ですか?」

総士(まさかとは思うが、これでファフナーが作れたりなんて事が……)






金剛「英国で生まれた帰国子女の金剛デース!よろしくお願いしマース!」

夕張「あら、戦艦クラスみたいですよ提督!」

総士「……」ジー

金剛「ホワッツ?」

総士(……そう簡単なものじゃない、か)

夕張「でも提督が言ってた大きい艦隊というのは……」ジー

金剛「ふ、二人してどうしたんデスカ?」オロオロ

夕張「ま、まさか!」

総士「どうした」

夕張「大きい艦隊って、む、胸の話ですか!?」

総士「な、何を言って……」

金剛「Wow!提督ったらそんな目で私の事を見てたんデスネ///」ボイン

夕張「悪かったですね!私が胸部甲板の薄い構造で!」チマー

総士「誤解だ!僕は君達をそんな目で……」

夕張「天龍と最近妙に仲がよかったのもそれが理由だったんですね!提督のスケベ!もう知らない!」ダダダ

総士「ま、待て夕張!話を……」


ワタシダッテ、イツカメロンミタイニナッテヤルー!


総士(……不器用とは言われるが、これも僕が悪いのか?)

金剛「あなたが提督デスネ?私を生んでくれてありがとうございマス!お礼に紅茶はどうデスカ?」

総士「……」

金剛「まずは落ち着いて、それから事情を説明してはどうデスカ?」

総士「そんなものか?」

金剛「ハイ!」

総士(図らずとも、君にも原因があるんだがな……)



―――――――――

~執務室~


金剛「英国仕込みの紅茶デス、味には自信がありマスヨー」コトッ

総士「すまない……」ズズー

金剛「どうデスカ?」

総士(そもそも英国がどんな所かも知らないから違いと言われてもな……)

総士「おいしいぞ」

金剛「ふふ、そうでしょう?」

金剛「ところで提督、さっきの話なんですケド」

総士「?」

金剛「提督って、大きい方が好きなんデスカ?」

総士「だからそれは別の話であって……」ズズー



金剛「……場所と時間を弁えるなら、触ってもいいデスヨ?」

総士「!?」ブホッ

金剛「だ、大丈夫デスカ提督!?」

総士「君は一体何を言って……熱!」

金剛「何か拭くものをお持ちしマス!」

~少し前・執務室前~


夕張「あの時は何か色々動転しちゃったけど、冷静に考えればあの提督がそんな考えで私達を作るなんて考えられないよね」

夕張「思い出すと恥ずかしくなってきた……提督に謝らなきゃ」


トコロデテイトク、サッキノハナシナンデスケド


夕張(金剛さんの声?どうして提督の部屋に……)



「……場所と時間を弁えるなら、触ってもいいデスヨ?」



夕張「!?」

夕張(い、今……触るって……!?)ガタガタ

吹雪「今日も秘書艦として頑張るぞー!って、夕張さん?」

夕張「あ、吹雪ちゃん!今入っちゃダメ!」

吹雪「どうしたんですか?中で何かあったんですか?」

夕張「提督なら今部屋を出たところでここにはいないから……」


ガチャッ


金剛「あ!」

夕張「わっ、見つかった!」

吹雪「初めて見る人ですね。何て名前ですか?」

金剛「あの、拭くものってどこにありますか!?提督が紅茶こぼしちゃったんデス!」

夕張「え?えっと……」




夕張「」

―――――――――

~執務室~


総士「……だから、これは只の勘違いだ。だが説明が不十分だった僕にも非はある、それはすまなかった」

金剛「な、何も提督が謝る事ないデスヨー!」

夕張「そうですよ!勝手に勘違いしたのは私の方ですし!」

吹雪(胸かぁ……私も大きくなれるかな)チンマリ

総士「それよりも、金剛の紹介がまだだろ。皆を呼ぶぞ」

吹雪「はい!」






金剛「皆、これからもよろしくネー!」

天龍「戦艦型かぁ、でも最強の座は渡さねぇぞ?」

扶桑「私達と同じ戦艦ですよ、山城」

山城「何でだろ、数少ない戦艦なのに私達の出番がより一層減るような気がする……」



こうして何とか誤解は解けた。僕も少しは人との付き合い方というのを学ぶべきだな



総士(こんな浮ついた話をするのも久しぶりな気がする)



僕は竜宮島を守る使命を受けて生まれた。だから何事も島を守る事を優先していた、それが僕の役目だから

大人達に囲まれ戦い続ける日々を過ごす内に、歳相応の振る舞いを忘れていたのかもしれない



総士(君の事をこうして振り返る日が来るなんてな)



でも、僕が僕でいられる時はいつも君がいた。君にだけは何もかもを話せた

だから君がいなくなった時、本当は泣き出したかった。僕の心の拠り所である君の死は、僕にはあまりにも大きかった

それからだろうか、僕は自分の本音をあまり話さなくなったのは




信頼を取り戻した友にさえ、僕の本心を全て伝える事は出来なかった

僕がたった一つ抱いていた、幼くてとてもありふれた感情……



総士(相談すべきだっただろうか……)



僕が今こうして彼女達に囲まれているのにも、何か意味があるのかもしれない




雷「天龍のってすごいおっきいよねー、どうしたらそんなになるの?」モミモミ

天龍「こら、何しやがる!」



戦い続きで忘れていたが改めて思うと、この環境は僕にとって色々苦労しそうだ――

―――――――――

~深夜・工廠~


夕張「ねぇ、胸部甲板を厚くする改修って出来ない?」

妖精「……」フルフル

夕張「うーん、同じ軽巡なのにどうして天龍とこうも差があるのよ……」ペタペタ

妖精「!」サッ

夕張「メロンが二つ……」






夕張「すごい!これなら提督もビックリするわ!」ボインボイン

妖精「~~!」パチパチ

夕張「……虚しい」

今日はここまで。途中入力ミスしてしまった
思春期真っ盛りの少年がこんな環境に放り込まれて正気でいられる訳ない
ではまた



あなたは、そこにいますか

ちょっと間が空いちゃいました
では再開

―――――――――

~港~


ヲ級「……」

総士「何を見ている」

ヲ級「ソラ」

総士「空?」

ヲ級「ソラハ……ナゼコンナニモアオイ」

ヲ級「コレガ、“ウツクシイ”トイウコトカ?」

総士「……そう感じたのか」

ヲ級「ワタシガ、ソウニンシキシタ?」

総士「……」

総士「単刀直入に聞こう、お前達のミールはどこにある?」

ヲ級「ミール?」

総士「知らない筈はない、お前達がフェストゥムとして存在させた核だ。これまでの行動も、全てミールから情報を送られていたんだろう」

ヲ級「……」

総士「話すつもりはない、か」

ヲ級「……イマハ、ナニモキコエナイ」

ヲ級「ワタシガ“ワレワレ”ダッタトキハ、イツモソレガキコエテイタ」

ヲ級「デモイマハ、モウキコエナイ」

総士(ミールとの接続が絶たれた?つまりは個体として生きる道を得たという証?)

ヲ級「ワタシハ……ヒトリナノカ?」

総士「……あぁ、お前は一人だ。お前はここにしかいない」

ヲ級「コレカラドウスレバイイ?」

総士「生きる目的が分からないなら、探してみるか?彼女達と」

ヲ級「サガス……カンムスタチト?」

総士「そうだ」

ヲ級「……」






―――――――――


【編成】

金剛(旗艦)
扶桑
山城
赤城
羽黒
夕張



金剛「バーニング・ラァァーーーーヴ!!」


ズドォォォォォォォォォォォォォォン!!


金剛「さぁ、まだまだ行くヨ!」

羽黒「金剛さんって昔もかなり大活躍してたって聞いてます」

夕張「にしても気合の入りようが違うわね」

山城「……比べられた気がした」

【戦闘結果:勝利】

金剛(旗艦)
扶桑
山城
赤城・・・小破
羽黒
夕張

【MVP:金剛】



金剛「提督、見ててくれた?これからも目を離しちゃノーだからネ!」

総士『あぁ、君の活躍は見事だ。ただ……その、戦闘中にまで僕を気にかける必要はないと思うぞ』

金剛「What!?どうしてそれを……///」

羽黒「何を慌ててるんでしょう?」

夕張「さぁ?」

―――――――――

~鎮守府~


吹雪「皆さんお疲れ様です。負傷した赤城さんは先にドックへ向かって下さい」

赤城「では私はお先に失礼しますね」

夕張(赤城さん、風呂長いのよねぇ)

金剛「わ、私も失礼しマス!」ダッ

羽黒「そういえば司令官さんは?」

吹雪「司令官は今港で例の深海棲艦と話をしています」

夕張「何の話だろう?」

―――――――――

~港~


総士「また空を見ているのか」

ヲ級「……」

総士「深海棲艦は元々艦娘だったと聞いているが」

ヲ級「……ソンナキガスル」

ヲ級「ワタシガカツテナントヨバレテイタノカモ、イマデハオモイダセナイ」

ヲ級「タダ、エイエンニツヅククルシミカラノガレタカッタ……ノカモシレナイ」

総士「でも君は、再び存在を選んだ。そうだろ?」

ヲ級「……」

総士「なら、君は君として存在すればいい。艦娘だった自分は忘れて、今ここにいる君でいればいい」

ヲ級「……」

総士「そうなると君に名前が必要だな」

ヲ級「……ヲキュウ、イツカソウヨバレタ」

総士「ヲ級、それが君の名前か。僕は皆城総士、この鎮守府の提督を務めている」

ヲ級「ソウシ……」

総士「いつまでも君をこんなところに置いておく訳にもいかない。鎮守府へ、君の帰る場所へ案内しよう」



――艦娘だった自分は忘れて、今ここにいる君でいればいい。僕が彼女に向けた言葉が胸に残る

僕も、いずれはあそこへ帰る。僕を待ってくれている者達のもとへ

だが、嘗ての自分を忘れ、ここにいる自分を受け入れる道もあるんじゃないか?

そう問われているような気がして――



今日はここまで。間隔長いくせに短いのはご愛嬌
ではまた



あなたは、そこにいますか

私は、ここだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
さぁ再開だ

―――――――――

~鎮守府~


天龍「おい!それ本気で言ってんのかよ!?」

総士「あぁ、鎮守府で彼女の面倒を見る事にする」

ヲ級「……」

吹雪「どうして、ですか?」

総士「昔、似たような存在に出会った事がある。もしかしたらこの戦いの終結に繋がる何かを秘めているかもしれない」

弥生「でも……納得しない人達もいる」

総士「分かっている、だから僕が責任を持って管理する。部屋も執務室にするつもりだ」

金剛「でも提督の身に万が一の事があったら……」

総士「心配ない、僕なら大丈夫だ」

夕張「その根拠は?」

総士「……彼女がここにいるから」

天龍「ホントに大丈夫かよ、コイツは龍田を殺した奴らの仲間だぞ?」ギロッ

ヲ級「……」

総士「確かにそうだ、だが奴らは個としての存在を望まない。そして彼女は存在を得ようとしている」

総士「君達艦船が艦娘として生まれ変わったように、彼女もまた生まれ変わろうとしているんだ」

弥生「生まれ変わる……」

天龍「チッ、分かったよ。なるべく俺の視界に入れないでくれよな」

総士「ありがとう天龍」

ヲ級「……ヲ級、ソウ、ヨバレテイタ」

総士「そうか、お前はヲ級という名前なのか」

ヲ級「チガウノカモシレナイ。デモ、ソウヨバレテイタ」

総士「僕は皆城総士だ。名前は自分という存在の証になる、大事にするんだ」

ヲ級「ワカッタ。ナマエ、ダイジニスル……ソウシ」

金剛(名前呼び、しかも下の名でなんて……私でもした事ないのニ!)

―――――――――

~翌日・オリョール海域~


【編成】

吹雪(旗艦)
弥生
天龍
夕張
羽黒
168


168「……」

吹雪「どうしました?元気ないみたいですが……」

168「あ、ううん!大丈夫!気にしないで!」

吹雪「?」

総士『168、どうした』

168「大丈夫ですよ司令官!早く先へ進まないと!」

総士『大丈夫なら何故怯えている』

168「……」

総士『この場所を知っているのか?』

168「知っているというか……初めて来た感じがしないのよ。何でか知らないけど、すごく居心地が悪いの」

総士『艦船の時の記憶か?』

168「多分違う。でも、ここが嫌な場所だってのは本当よ」

総士『……』


ザパァーーーーーン!!


天龍「来やがったな!」

吹雪「総員、戦闘配備!」

総士『話は後だ、今は目の前の敵に集中しろ!』

168「う、うん!」




ドドドドドド!!


168「うぅー!やっぱり私ばっかり狙われてるー!」

総士『敵は168に気を取られている、今だ!』

羽黒「はい!」


ドゴーーーン!


168「あうぅっ!」


【168・大破】


駆逐スフ「アナタハ、ソコニイマスカ?」

168「こ、来ないでよーー!」

吹雪「させません!」

―――――――――

~鎮守府~


168「はぁ……」

総士「168、入渠していたんじゃないのか?」

168「ちゃんと行ったわよ、だから傷も元通りでしょ?」

総士「そんなに早いものなのか」

168「そう、ただでさえ狙われやすいのに元々耐久ないからすぐボロボロになるし、でもすぐに直るの」

168「きっと、168は“昔”も同じ事を経験してる」

168「特にあのオリョール海域……きっとあそこは“昔”の168が一番辛い思いをした場所なんだと思う」

総士「……艦娘の記憶は、以前の艦娘の記憶まで受け継ぐのか」

168「誰がいたとかその時の心境までは覚えてないよ。ホントにただ、そんな気がするだけ」

総士「……」

168「司令官も“今”の168をそんな風に使おうと思ってる?」

総士「……君のその能力は多くの仲間の命を救える力だ」

総士「だが、それによって君が不幸になるというのなら、戦場から降りてもいい」

総士「戦うに相応しくない者が出ても、それは新たな不幸を招く原因になる」

168「……」

総士「僕は、一人でも多くの命を生かす事を信条に戦っている」

総士「だから君を酷使するような事はしないと約束しよう」

168「……ありがと、司令官」

総士(少しは気の利く事を言えただろうか)

168「うん、その言葉を聞いて安心した!これからも168頑張るからね!」

総士「……」フッ

今日はここまで
168の過去は言わずとも分かるよね、提督諸君?
ではまた



あなたは、そこにいますか

ここにいたいよぉ……
では再開です

―――――――――



……――!



誰かが、呼んでいる



――!……―……!



僕を、呼んでいる



応えたいのに、苦しくて声が出ない



……―…――!!



僕を呼ぶのは、誰だ?



もしかして、お前なのか?――


―――――――――

~執務室~


吹雪「――司令官!起きて下さい!」

総士「……!」ハッ

ヲ級「メザメタ」

吹雪「よかった……幾ら呼んでも起きないから心配しました」

総士「僕は一体……」

総士(そうだ、昨日徹夜で書類をまとめていて、そのまま寝てしまったのか)

総士「っ!」ズキッ

吹雪「司令官!?」

総士「大丈夫だ、それより今は何時だ?」

吹雪「現在午前11時です」

総士「寝過ごしたか」

吹雪「体調が優れないようでしたら今日はお休みになられた方が……」

総士「大丈夫だ、それより昨日指定した者達は遠征に行ったのか?」

吹雪「はい、予定ですとあと3時間後の午後2時に帰還します」

総士「そうか……」フゥ

ヲ級「ヘンダゾ」

総士「まさか、僕を気遣っているのか?」

ヲ級「イツモトチガウ、ソウカンジタダケ」

総士「……」

吹雪「そうですよ、今日はしっかり休んでください。事務関係は私がやってきますので」

総士「……少し横になる」

吹雪「……」

―――――――――

~遠征海域~


【編成】

天龍
弥生






電「今日もいっぱい頑張るのです!」

雷「司令官の為に成果を上げるよー!」

天龍「相変わらず張りきってんなー」

弥生「天龍さん……やる気、出さなきゃ」

天龍「そうは言ってもよー、俺に遠足なんて性に合わねぇんだよなー」

弥生「でも任されたというのは……頼られてる証拠」

天龍「どうせ頼ってくれるなら戦わせてほしいぜ」

弥生「天龍さんは、戦い以外にも優れてる面がある……だから遠征にだって行ける」

天龍「そ、そうか?」

弥生「きっと司令官も、天龍さんを一番頼りにしてる」

天龍「そ、そりゃあ当然だ!俺が一番強いからな、どんな事でもそつなくこなしてみせるっての!」ハハハ

暁「天龍も早く手伝ってよー」

天龍「おう、任せとけ!」

響「いつになくやる気だね」

弥生(上手くいったようです、司令官……)




電「お仕事完了なのです、では帰るのです!」

雷「遠征は帰るまでが遠征なんだよ電ー」

天龍「……ちょっと待て」

暁「?」

弥生「……敵が、来る!」


ドドドドドドドドドドドド


軽巡スフ「ソコニイマスカ……」

軽母「……」



天龍「チッ、これから帰るとこだってのによー。いつものアレ頼むぜ提督!」

響「……?」

天龍「おい、提督?」

―――――――――

~執務室~


吹雪「司令官!遠征に行った艦隊が敵と遭遇しました!」

総士「な……に?」

吹雪「ど、どうしましょう!?」

総士「すぐジークフリードに向か……っ!!」ズキンッ

吹雪「司令官!」

総士(くっ、こんな時にフラッシュバックが!)ガクッ

ヲ級「……」

吹雪(どうしようどうしよう……司令官がいないと戦えないし、でも司令官は今……)オロオロ

ヲ級「バショハドコダ?」

吹雪「え?」

ヲ級「ワタシガタタカウ。ソレガイマデキルサイゼンノホウホウダトオモウ」

吹雪「ヲ級さん……」

総士「行って……くれるのか?」ハァハァ

ヲ級「……」コクッ

今日は眠いのでここまで
ではまた



あなたは、そこにいますか

運が良けりゃ死ぬし、悪けりゃ生き残るんだよ
では再開

――――――――――


天龍「クソッ、チョロチョロ避けやがって!」

軽母旧ス「……アマイ」


ズドドドドドド!!


天龍「がぁっ!チクショウ、提督は何やってんだ!」

暁「た、助けてぇー!」

雷「暁!この、離しなさい!」ドンドン

軽巡スフ「アナタハ、ソコニイマスカ?」

弥生(司令官、早く返事を……!)


ドゴーーーン!


軽巡スフ「!」

天龍「これは、奴らの艦載機?何で味方を……」

響「あれを見て!」



ヲ級「……」

電「ヲ級さん、助けに来てくれたのですか!?」

ヲ級「ソウシハイマタタカエナイ。ダカラワタシガココニキタ」

弥生「どういう、こと?」

軽母旧ス「……」ブゥーン

ヲ級「サガレ、ワタシガアイテヲスル」



バババババババババ!
ブーーーーーン


軽巡スフ「アナタハ、ソコニイマスカ?」

ヲ級「マエハドコニモイナカッタ……」







ヲ級「ダガイマハ、ココニイル」


――――――――――

~寝室~


総士「……」スースー

金剛「提督……」

天龍「おい、大丈夫なのかよ?」

吹雪「今は落ち着いているようですが……」

雷「げ、原因はなんなの?病気とか?」オロオロ

吹雪「私にも分かりません」

天龍(あの時言ってたアレが本当なら……)

吹雪「今は私が付きっきりでやれるだけの事はやろうと思ってます。秘書艦として、少しでも役に立たないと……」

夕張「そう気負わないで、私達も手伝うからさ」

吹雪「ありがとうございます」




総士「……」スースー

吹雪「司令官……私は、秘書艦としてちゃんとやっていけてるんでしょうか」

吹雪「正直、今回の事で自信をなくしてしまいました」

吹雪「与えられた役割はきちんとこなしてきたつもりでしたし、何事も責任を持って取り組んできました」

吹雪「でも司令官が倒れた時、私は何も出来ませんでした。皆さんに的確な指示も出せず、ただオロオロしてました」

吹雪「情けないですよね、戦いでも秘書でも役に立てないなんて……」ジワ

吹雪「私、悔しいです……もっと強くなりたいです……」ポロポロ

総士「……」スースー


吹雪(……私ったらみっともないな。司令官はもっと辛いはずなのに一人で勝手に泣いて)ゴシゴシ

吹雪「手ぬぐい洗いますね」



ヲ級「……」

吹雪「ヲ級、さん」

ヲ級「ソウシトハナシテイタノカ」

吹雪「あ、いえ、その……ちょっと独り言を」ハハハ

ヲ級「……」

吹雪「ヲ級さんはすごいですね、一人で敵を倒してしまうんですから。私なんか司令官の力を借りなきゃ何も出来ないし……」

ヲ級「オマエハ、イマノオマエガイヤナノカ?」

吹雪「……」

ヲ級「カワリタイノカ?“カンムス”トイウソンザイカラ」

吹雪「……強くなれるなら、皆の役に立てるなら」

ヲ級「……ナラバ、ワタシニツイテコイ」

吹雪「え?」

ヲ級「オマエナラ、“ワレワレ”ヲウケイレラレルカモシレナイナ」

吹雪「……っ」チラッ

総士「……」スースー

吹雪(すみません、司令官)

今日はここまで
ようやく吹雪の出番が来た。アニメ主人公おめでとう!



あなたは、そこにいますか

数年前に輸送大型トラックの事故に巻き込まれて右腕ミンチ(右腕肩から先欠損)
2年前の年末に久しぶりに外に出たらまた事故に巻き込まれる(左の二の腕半ばから欠損)
今天上天下の主人公のおかんと大体同じ状態だな、両目ともあるけど
誰か筋電義手について詳しい人とか居ない?
足でネットサーフィン超疲れる

>>401
選ぶんだ、何度でも! 悲しいからって諦めないで……そこにいることを、選び続けろ……!

では再開

―――――――――


赤城「あら吹雪さん、どちらへ?」

吹雪「赤城さん。あの、えっと、ヲ級さんが海を見たいそうなので……」

赤城「そう。提督の様子は?」

吹雪「今はぐっすり眠ってます。少し離れますので代わりに看病をお任せしていいですか?」

赤城「いいですよ。それと吹雪さん」

吹雪「はい?」

赤城「貴方は秘書艦として十分働いているわ。だからそんな思い詰める事もありませんよ」

赤城「それに私達もいるんですから。問題解決の為に誰かを頼るのも秘書艦の務めですよ」

吹雪「……はい」

ヲ級「イコウ」

吹雪「では、私はこれで……」スタスタ



赤城「吹雪さん……本当に大丈夫かしら」

―――――――――

~寝室~


金剛「提督ー、お見舞いに来たヨー」

総士「……」スースー

金剛「ぐっすり眠ってますネ、まるで眠り姫デース」

総士「……」スースー

金剛「……」キョロキョロ

金剛「おとぎ話では、眠り姫は王子のキスで目覚めるといいマス」

金剛「だったら、その逆はどうなるんですかネ……」

総士「……」スースー

金剛「……///」ドキドキ











天龍「おぅ提督、生きてるかー」ピシャッ

夕張「静かに開けなさいよね」

金剛「What!?」ドキィッ

天龍「な、なんだよいたのかよ!急に大声出すなって!」

168「あ、金剛さんだ」

弥生「いつから、いたんですか」

金剛「えーっと、さ、さっき来たところダヨ?ちょっと心配で見に来ただけだからネ?」ドキドキ

天龍「ふーん」

夕張(怪しい……)

総士「……」スースー

天龍「まだ寝てんのかよ、呑気だなぁ」

弥生「それだけ、疲れてたんだと思う」

夕張「こういう時くらいゆっくり休ませてあげましょう」

金剛「私達に何か出来る事はないのカナ……」

天龍「極端に言えば、俺達が戦わない事だな」

168「どうして?」

天龍「だって戦いがなきゃ提督もぶっ倒れる事もないだろうし、今よりもっと気楽に過ごせるだろうよ」

天龍「そいつは同時に、俺達の存在そのものを否定する事になるがな」

168「司令官は、168達と一緒にいたくないの?」

弥生「……」

赤城「あら、皆さんも提督の看病に?」

夕張「ま、まぁね」

赤城「皆、提督の事を大事に思ってますのね」

天龍「え?いや、俺は単に早く戦いに行きたいから起こしに来たってだけで……」

弥生「一番最初に誘ったの……天龍さんだよね?」

夕張「もう、素直になりなさいよ」

金剛「勿論ネ!提督を一番大事にしているのは私ですからネ!」フフン

168「む、168も負けてないよ!」



総士「う……」

赤城「提督、お目覚めですか」

金剛「提督ぅ、よかったデース!」

総士「皆して僕を看てくれてたのか」

赤城「そうですよ、特に吹雪さんは付きっきりで提督を看病してたんですから」

天龍「何にせよ、これでやっと戦いに出れるな」

総士「……そういえば吹雪は?」

赤城「吹雪さんなら深海棲艦と海を見に行くと言って出られましたが」

総士「……見て来る」ガバッ

夕張「提督、まだ起きたばっかで……!」

総士(この胸騒ぎ、身に覚えがある!)

―――――――――

~港~


ヲ級「ジュンビハデキタカ」

吹雪「これから、どこへ向かうんですか?」



ヲ級「――“楽園”ダヨ」



総士「吹雪!」

吹雪「司令か……ッ!?」ガシッ


ザブーン!


総士「……何て事だ」

総士(吹雪、お前もそうなのか。お前も探しに行くのか……)

今日はここまでー
では次回また



あなたは、そこにいますか

皆、ただいま
今から再開するよ


~水中~


吹雪(く、苦しい……)ゴボボ

ヲ級「モウスコシノシンボウダ」スイー

吹雪(私は、本当に強くなれるのかな……)

吹雪(もう、だめ……息が……)ゴボゴボ







―――――――――

~鎮守府~


総士「吹雪が、深海棲艦と共に鎮守府を出た」

夕張「えぇ!?そんな、どううして!?」

天龍「チッ、所詮はアイツらと同じ敵だったってのか!」ガンッ

山城「なんて不幸な子」

電「そんな、ヲ級さんが吹雪さんを……」

扶桑「でも待って、“共に鎮守府を出た”というのは?連れ去られたのではないのですか?」

総士「僕には、あれは吹雪自身が望んだ事のように見えたんだ」

雷「どういう意味よ?」

総士「僕には彼女が、何かを探しに行くように見えたんだ」


弥生「探しに行かなくて、いいんですか?」

総士「勿論捜索はする。その間の秘書艦だが……」

金剛「Hey提督!代わりの秘書艦なら私に任せるネ!」バッ

夕張「え、ちょっと待ってよ!提督、秘書艦なら経験の長い私が適任だと思います!」

天龍「秘書艦ってのは一番強え奴がなるもんだろ?だったら俺が相応しいよなぁ?」

弥生「吹雪さんと同じ駆逐艦の、弥生の方が……」

山城「お姉さま!今こそお姉さまの活躍を見ていただく絶好の機会ですよ!」

扶桑「まぁ、そうかしら……」


ワーワー


総士「赤城を臨時として秘書艦に任命する」

赤城「分かりました。よろしくお願いします、提督」

(((えぇー……)))

―――――――――


吹雪「……う」パチッ

ヲ級「メガサメタカ」

吹雪「ヲ級さん……ここは?」

ヲ級「ワレワレ“深海棲艦”ノ……ニンゲンデイウ“故郷”ダ」

吹雪「故郷……」



タ級「カンムス……カンムスガイルゾ」ジリジリ

ル級「ヲ級……オマエガツレテキタノカ」ジリジリ

チ級「エモノカ?コイツハイキガヨサソウダ」ジリジリ

吹雪「ひっ!」

ヲ級「マテ、コイツハエモノデハナイ」

チ級「チガウノカ?カンムスハワレワレヲココニシバリツケル“敵”デハナイカ」

ル級「ヤツラヲヒトリデモオオクシズメナイカギリ、ワレワレハイツマデタッテモ“カエル”コトガデキナイノダゾ」

吹雪「どういう……事?」

ヲ級「オマエハ、ワレワレガドウイウソンザイカヲシラナケレバナラナイ」

ヲ級「ワレワレガナゼ“深海棲艦”トヨバレ、オマエタチカンムスニキバヲムクノカ」

ヲ級「ソシテ、オマエタチヲオソウ“ワレワレニニタソンザイ”ノショウタイヲ……」





すんません、今日はここまでです
では次回また



あなたは、そこにいますか


次回、真-しくみ-実

>>431
毎度タイトルを考えてくれてありがとうございます
では再開

―――――――――

~鎮守府~


総士「……」

赤城「心配ですか」

総士「……彼女はずっと自分の弱さを憎みながら戦っていた。艦娘としての埋めようのない性能の差に絶望していた」

総士「せめて秘書艦としての務めだけはと、そう思いながら必死について来てくれた」

総士「でも今回の事で、彼女はついに耐え切れなくなったんだ」

総士「どうすれば強くなれるのか、その答えを海の底へ求めた……」

赤城「そこまで吹雪さんの事を分かってたのですね」

総士「初めての経験じゃないからな」

赤城「?」

総士「僕には今の彼女を強くさせるような知恵も技術も持ち合わせていない。もしかしたら無闇に探すのはよくないのかもしれない……とさえ思ってしまう」

総士「だが、吹雪の帰りを待つ者がここにはいる。彼女の独断による行動は許されたものじゃない。だから僕は吹雪を見つけ出す」

赤城「……その気持ちを直接伝えるだけでも彼女は今より強くなれると、私は思います」



雷「司令官!あ、あれ!」ガチャッ

総士「っ!あれは……フェストゥム!」

赤城「鎮守府に直接乗り込んで来た!?」

総士「第一艦隊戦闘配備!残りは鎮守府の防衛だ!」

―――――――――

―――――

――


沈んだ艦娘はその記憶と魂を洗い流し、再び同じ艦娘として生まれ巡る

しかしその過程で、命を終えた艦娘の強い思念がそれを拒む者が現れた

仕える主との使命を果たす為、生存本能の叫び、それらが理を覆した時、深海に沈んだそれは形を変えて生まれ変わった



それが、“深海棲艦”である

次々生まれた彼女らはただ己の望みを果たす為に鎮守府へ向かった。そう、全ての深海棲艦が同じ場所を目指していた

艦娘だった時の記憶が薄れても尚、その奥に息づく本能だけを頼りに、彼女らは帰るべき場所へ向かった

だが、そんな深海の艦隊を待ち受けていたのは……



「敵艦発見!砲雷撃戦用意!」

「また現れたな!鎮守府へは近づかせねぇぞ!」



嘗て友と称した艦娘と、その時の己自身であった

生命の循環を拒んだ彼女らは深海の魔物としての宿命を受け、生まれ変わるはずだった自身は新しい命が担っていた

その時彼女らは悟った。自分達はもうあそこへ帰れないのだと……

何度打ち倒され、その身朽ち果てようとも、目を覚ませばまた同じ異形の獣だった

ただ遣り残した事を果たす為だったのに……もう一度あの暖かい場所へ、愛する人のもとへ帰りたかっただけなのに……

永い絶望と悲しみに暮れ、やがて彼女らは誓った。還るんだ、もう一度艦娘として。例え全て忘れ去ろうとも、還るべき場所へ

その為には今存在する艦娘を、生命の循環を奪い取る。そこにいるべきなのは自分だ



これが、艦娘と深海棲艦の果て無き戦いの連鎖である――

艦これアニメPVにより本格的に動き出しましたね、この調子でファフナーアニメにももっと情報を!
では再開

幾千にも及ぶ深海の獣の中のたった一匹が、ある時願った。――ここではないどこかへ行きたいと

戦っては勝ち、そして負け、艦娘と深海棲艦を永遠に巡る環から抜け出したい。もうここにいるのに疲れた



そしてそれは現れた。蒼穹から舞い降りたのは金色に光る未知の物体。艦娘とも自分とも違う異形の塊は獣の目の前に降り立つと、透き通る声で問いかけた

「貴方は、そこにいますか?」

獣は確信した。この光こそが、自分をこの永遠から解き放ってくれる存在なのだと。この忌々しい青を荘厳なる金に塗り替えてくれるのだと

やがて獣は答えた

「ワタシハココダ。ココニイル。ダカラココデハナイドコカヘツレテイッテクレ」

約束通り、金色は獣をこの世界から連れ出した。“フェストゥム”という世界へ、あらゆる存在と溶け合った楽園へ――


楽園は獣を祝福した。あらゆる因果から解き放たれた獣にはもう憂いも喜びもない

より多くの存在を“フェストゥム”に……ここがそう、楽園だと伝えるのだ

艦娘にも深海棲艦にも、この祝福を――

幾年を経て一匹の海の獣は黄金に光る姫となり、全てを開放<どうか>するべく世界<フェストゥム>を広げていった――





―――――――――


吹雪「……」

ヲ級「リカイシタカ?ワタシタチノソンザイリユウ、オマエタチノソンザイリユウ、ソシテ“ヤツラ”ノソンザイリユウヲ」

タ級「“ヤツラ”ニヨッテオオクノナカマガノマレタ。カンムスドモハオロカ、ワタシタチスラ……」

吹雪「……」

ル級「オマエハナゼココニキタ。コノセカイヲシッテ、ワタシタチヲシッテ、ドウシタイ?ワタシタチニソノバショヲクレルノカ?」

吹雪「私は、今の弱い自分が嫌で、強くなりたくて……そしたらこの人がここへ連れて来てくれたんです」

吹雪「私は強くなりたいんです!強くなって、皆の居場所を守りたいんです!そして司令官に……認めてもらいたいんです」

タ級「ソノチカラデワタシタチヲコロスノダロウ?コレマデノヨウニ」

吹雪「それは……少し前まではそうでした。でも、あの敵は私達だけでなくあなた達の存在すら消そうとしてると知って、考えは変わりました」

吹雪「私は、鎮守府の皆と……あなた達深海棲艦の居場所を守りたいです!」

チ級「ワタシタチヲマモル、ダト?ワラワセルナ、ワタシタチハオマエタチガイルカギリエイエンニコノクライウミノソコダ。タオスベキテキダ」

吹雪「皆さんの気持ちは分かります……でも今はどちらもフェストゥムに狙われています。でしたら力を合わせて、この苦難を乗り切りましょう!」

吹雪「それにもしかしたら、ヲ級さんのように理解し合える事だってあるかもしれないじゃないですか」

ヲ級「……」

吹雪「もしお互いが戦わなくて済むのなら、きっと皆さんも鎮守府に帰る事だって……」

ル級「タタカウタメニウマレタオマエタチガ、ソノソンザイヲミズカラヒテイスルノカ?」

吹雪「そういうつもりで言ったんじゃ……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


吹雪「何ですか!?」

戦艦リヴA「サァ、ムカエニキタゾ」

戦艦リヴB「シュクフクヲウケヨ……」



チ級「ミツカッタカ。シツコイヤツラメ」

吹雪(龍田さんを殺したフェストゥムが二体も……!)ゾクッ

ヲ級「ニゲルゾ。オマエデハアレハタオセナイ」

吹雪「でもあの人達は!」

ヲ級「スクナクトモオマエヨリハタタカエル」

吹雪「ここで逃げたら何の為にここへ来たのかわかりません!ヲ級さんはどうしてここへ連れて来たのですか!」

ヲ級「……」

吹雪「私も戦います!ヲ級さん、他の深海棲艦の皆さん、力を貸してください!」

ル級「……フフクダガ、イマハテヲカソウ」

タ級「スコシデモジャマニナルナラコロス」

吹雪「頑張ります!」

今日はここまで。早く吹雪ちゃんの活躍をテレビで見たいものだ
ではまた



あなたは、そこにいますか

お待たせしました
それでは再開

―――――――――

鎮守府近辺海域


【編成】

赤城(旗艦)
金剛
扶桑
山城
羽黒
夕張

総士『深追いはするな、あくまで防衛を最優先しろ!』

赤城「はい!」


重巡スカラベ級「……」


羽黒「見た事のない敵です。まずは!」ドンッ!


バチィッ!


夕張「砲弾が、壁みたいなのに防がれて!」

総士『スカラベ型か!羽黒、横へ避けろ!』

羽黒「あ、でも……!」



ドゴォォン!!


夕張「うぅ……」ボロッ


【夕張・小破】


羽黒「お姉ちゃん!どうして!」

夕張「いつかのお礼よ。それよりなんで避けなかったの?」

羽黒「だって、私が避けたら鎮守府に当たってしまうかもしれないから……」

夕張「強いのね、羽黒。さぁ、鎮守府を守るわよ!」

山城「あの敵はこちらの攻撃を跳ね返す力を持っているのね。これじゃあ倒しようがないじゃない……」

重巡スカ「……」

総士『こちらの様子を伺っているのか、動きはない。今の内に敵の頭数を減らすぞ!』

金剛「了解デース!提督、私の活躍見せてあげるネー!」

―――――――――

~深海~


吹雪「くっ、当たらない……!」ドンッ!ドンッ!

ル級「ツカエナイヤツダ、ヒッコンデイロ」ドカッ

戦艦リヴA「ソンザイヲステヨ……」

ヲ級「ワタシハココニイル。ソレヲオビヤカスナラタタカウ」


ドドドドドド!!


吹雪(どうして深海棲艦の攻撃は当たるんですか。司令官がいないと、本当に何も出来ないなんて……!)ギリッ

戦艦リヴB「アキラメヨ、ナニモカモ」

吹雪「諦めて、たまりません!」ドドドド

タ級「ハナセ……!」ジタバタ

戦艦リヴA「サァコチラヘ……」


バクンッ!


吹雪「そんな、強すぎる……!」

チ級「マズイゾ、コノママデハコチラガフリニナル」

ル級「コノカンムスヲオトリニスルカ」ガシッ

吹雪「え!?ちょ、ちょっと待ってください!」

ヲ級「……」ブーン

戦艦リヴA「ムッ」ドゴォーン!

ル級「オイ、ナゼコイツヲカバウヨウナマネヲスル」

ヲ級「ソウシガ、カナシムカラダ」

吹雪「司令官……」

戦艦リヴB「オマエモ、ヒトツニナロウ」ユラッ

吹雪「っ!ヲ級さん!」バッ

ヲ級「……!」


バクンッ!


チ級「ヤツラモノマレタゾ!」

ル級「クッ……!」

戦艦リヴA「アトハオマエタチダ」





―――――――――

~???~


吹雪「ヲ級さん……!」グググ

ヲ級「ソノテヲハナセ。ワタシタチハモウ、コノヨニハソンザイシテイナイ」

吹雪「何を言ってるんですか!私達はまだここに!」

ヲ級「コノ“虚無”ガヤツラ、フェストゥムノ“祝福”ナノダロウ。モウジキスベテキエテナクナル」

ヲ級「ソウシ……スマナイ。フブキヲソウシカラウバッテシマッテ」

吹雪「何か……方法はあるはずです!鎮守府へ帰る方法が、きっと!」

ヲ級「……」

吹雪「司令官はヲ級さんを受け入れました。そしてヲ級さんは司令官と生きる道を選びました。今まで考えもしなかった事が実現したんです!」

吹雪「だから、私は諦めたくありません……ここに、まだ私が……いる、限り!」

ヲ級「……ワタシハ、オマエノヨウニナッテミタカッタ。オマエノヨウナココロヲモッテイレバ、キットセカイヲノロワズニイラレタダロウ」

吹雪「私だって、ヲ級さんのように強くて冷静な艦娘になってみたかったです。それに、その胸部装甲とかも……って、何言ってるんでしょうね、私」エヘヘ

ヲ級「ワタシハオマエニ、オマエハワタシニ、イマナラナレルカモナ」

吹雪「え?」

ヲ級「ココハフェストゥムノセカイ。アラユルソンザイガ“同化”シタセカイ。ココナラ、ソノノゾミヲカナエラレルダロウ」

吹雪「……」



音も光もない虚無が包む世界で、二人はそっと手を重ねた

フェストゥムの祝福が彼女らを永遠に取り巻くのを感じながら、目を閉じた

そして――


「ワタシハ、オマエダ。オマエハ、ワタシダ」

「私はあなたです。あなたは……」















私です――











――――――――――


「!?」


吹雪達を飲み込んだフェストゥムが眼前まで迫ったところでピタリと動きを止めた


「ワ……ワタ……」


やがてフェストゥムは何かに怯えるように震え、うわ言を述べ始める


「ナニガオキテイル?」

「ワカラナイ」


深海棲艦の二人も、ただ目の前の現象に首をかしげていた








「ワタシハココダァァァァァァァァァァ!!」



咆哮、絶叫、慟哭、そのどれでもありどれでもない雄叫びが海の底を揺らした

その瞬間、フェストゥムの全身を水晶のような結晶が覆い尽くし、そして砕け散った


「……オマエハ!」


海中を漂う欠片の隙間から、それは見えた


 ・・
「私達は、ここにいますよ」



その中心に立つ彼女の瞳は、碧を湛えていた――

今日はここまで。夏イベの調子はどうですか?あのロリをぶっ飛ばすのは中々難しいようで
ではまた



あなたは、そこにいますか

艦娘と深海棲艦の同化、これが真の近代化改修!
気分が高揚してまいりましたのでこのまま再開します

―――――――――


電「敵砲弾、鎮守府工廠直撃なのです!」

総士『第六駆逐隊は消化に当たれ!天龍、弥生、168は資材庫を死守しつつ迎撃!』

天龍「クソッ、空から海から鬱陶しいやつらだ!」ズバァ

168「ドックの方にも敵が!」

総士『……戦力を分断する!扶桑山城で鎮守府本丸を守り、夕張と羽黒でドックの防衛!前線は金剛と赤城の二人で……』

赤城「提督、次の発艦分で艦載機が尽きます!」

金剛「ちょっと大変だけど、提督の為に頑張りマス!」

総士(防衛装置のない鎮守府では彼女らに任せるしかないが、人手が足りなさ過ぎる)



【残存敵艦】

重巡スカラベ級
空母プレアデス級
軽母旧スフィンクス級×3
軽巡スフィンクス級×3
駆逐スフィンクス級×4

赤城「最後の攻撃隊、全機発艦!」

金剛「バーニング、ラァーーーーヴ!!」


ドゴォォォォン!!


駆逐スフ「……!」ゴボゴボ

軽母旧ス「ア……ナタハ…――」

赤城「これで攻撃手段はなくなりました。あとはこの身を盾に鎮守府を!」

空母プレ「……」ドバァ

総士『あの軌道、狙いはここか!』

扶桑「させません!」ドゴォン!

山城「敵航空機まで!数が多すぎる!」ドドドド

総士(防ぎきれないか……!)


ズドォォォォォォォォォォォォン!!



ブツン…――……


雷「司令官!?司令官聞こえる!?」

天龍「マジかよ……」

金剛「提督!提督ゥ!!返事をしてヨ!!」

赤城「金剛さん気をしっかり!まだ戦いは続いているんです!」

重巡スカ「……」ユラ

扶桑「こちらに向かって来ます!」

山城「でも攻撃したら!」

赤城「この先は……行かせません!」バッ


ガシッ


重巡スカ「……」

赤城「提督には指一本触れさせはしません!」


重巡スカ「……」ジジッ


ギリギリギリギリギリギリ


赤城「っぁあアアあぁぁあアああ!!!!」メキメキ

山城「う、腕が捻れて!」

赤城「い、一航戦の誇り……ここで失う、訳に……は……ッ!」メキメキ

扶桑「ッ!」ドンッ!


バチィ!


扶桑「うぅっ!……そんな、どうすれば……」



軽巡スフA「コウキ……」

軽巡スフB「……ウツ」

軽母旧スA「……」


暁「もう、駄目……攻撃も当たらなくなっちゃった」ガクッ

電「うぅ、ヒグッ、嫌なのです!」

天龍「クソッタレがぁ!最後まで諦めねぇぞ!」

―――――――――



……――!



僕は、どうしてここにいるんだろう



この世界は、痛みと命を理解したフェストゥムの祝福なのか?



――!――…!!



この戦いそのものが、フェストゥムの葛藤の象徴とでもいうのか



お前達は僕を消したいのか……痛みを忘れたいのか……また、無へと還りたいのか……



―……―…―!



なら、何故艦娘という存在を作り、葛藤という空間を作り出した



悩んでいるのか、フェストゥム……




――しれ……か…―…――



僕を呼ぶ声……彼女らの中の誰か、か



し…………かん――!



僕は、彼女達の存在の為に戦っていたんだ。艦娘という命の祝福を……守る為に



指令――かん――!



もし、ここが本当にフェストゥムの内側だとするなら……彼女らの心は、お前達の心でもある



なら僕は――














「司令官!今行きます!」



この心を、消させはしない――!














敵艦隊の群を、一閃の光が貫いた

海から天へと昇るそれに導かれるように、多くのフェストゥムがその中へと溶けていった


「この光は……」


その場にいた全てがその光に魅入られていた。あのフェストゥムさえも

やがて光の線は薄れ、一つの点だけが海面に残った


「あなた……!」


「すみません、私一人が勝手な事をしたばかりに……」


その姿は誰もが知っている。だが明らかに変わっていた。碧を帯びた瞳、白と黒を基調にした制服、左手には杖のような物が握られていた

そして右手の連装砲は生物の口を思わせる装飾がなされ、腕には微かに何かが光っていた

その者はあっけに取られる艦娘達に一言謝ると、力強い声で言った


「吹雪、ただ今帰って参りました!これより戦列に参加します!」


世界がもたらした一つの答え……救世主<サルヴァートル>の誕生である――

今日はここまで
ではまた



あなたは、そこにいますか

どこにもいない……ここにいる
では再開

吹雪「司令官、聞こえますか!?」

金剛「それが、鎮守府に空爆を受けてから通信が……」

吹雪「分かりました、私が見てきます!金剛さんは敵の進軍を食い止めて下さい!」



吹雪「赤城さん!その腕……」

赤城「吹雪さん……戻って、きてくれたのね……」ギリギリ

山城「その格好……深海棲艦なの?」ギギギ

扶桑「見た目はそう見えない事もありませんが、貴方は間違いなく吹雪さんね」ギリギリ

吹雪「離れてください!ソイツは私が!」チャキッ

赤城「貴方には他に優先するべき事が、あるでしょ?」

山城「私達はいいから、早く行きなさい!」

吹雪「……!」ダッ

―――――――――

~鎮守府・ジークフリード外~


吹雪「司令官!どこですか!」

総士「……うっ」

吹雪「司令官!しっかりしてください!」

総士「……吹雪、なのか」

吹雪「無断で鎮守府を出た事を謝罪します。本当にすみませんでした」

総士「……お前が出て行った事で、皆が苦しい思いをしたんだぞ。それを、分かっているのか?」

吹雪「……」

総士「答えは、見つかったのか」

吹雪「はい。ヲ級さんと……深海棲艦の皆さんと導き出した答えです」

総士「……クロッシングを再開する。五秒待て」






総士『皆、心配かけた』

金剛「提督!無事だったんですネ!」

雷「司令官!」

弥生「よかった……」

天龍「へっ、ヒヤヒヤさせやがって」

総士『吹雪が帰って来た。彼女の帰る場所はここだった。決して皆を捨てた訳じゃなかった』

総士『皆が身を呈して守ってくれたお蔭だ。だから吹雪、今度はお前が皆の思いに応える番だ』

吹雪「はい」

総士『……吹雪、僕の見ているものが見えるか』

吹雪「……はい、見えます」

総士『行くぞ!』



吹雪(まずは、赤城さん達を苦しめるあのフェストゥムを!)

重巡スカ「……」

山城「ダメ!ソイツに砲撃を浴びせると……ぐぅッ!?」メキメキ

吹雪「山城さん!」

吹雪(あの黒い壁が赤城さん達の腕を……!)

吹雪「皆から、離れなさい!」ピキピキ

総士『っ!!それは……』


ドッゴォォォォォォォォ!!


重巡スカ「……!」シュー

天龍「何だよ今の……駆逐艦が持つ主砲の威力じゃねぇぞ!」

扶桑「敵が、かなり遠くへ飛ばされました」

総士『そいつは動きが遅い。今の内に他の迎撃に回れ!』

吹雪「はい!」ダッ

赤城「吹雪、さん……」

吹雪「赤城さん、待っててくれてありがとうございます」




総士(まさか吹雪、お前はファフナー……マークザインになったとでもいうのか?)

『ソウシ』

総士「その声……ヲ級か」

ヲ級『ワタシトフブキハイマ、ヒトツノイノチトナッテソンザイシテイル』

総士「お前が、そうさせたのか」

ヲ級『ワタシトフブキ、タガイガタガイヲノゾンダ。フェストゥムノ“祝福”ノナカ、ソウシノモトヘカエルタメニ』

吹雪『深海棲艦も、ただ鎮守府という故郷へ帰りたかっただけなんです。例え生命の法則に逆らう事だと分かっていても、合いたい人がいたんです……』

吹雪『皆が存在しようとしている。なら、それを脅かすフェストゥムは、何としても倒さなければなりません!』

総士「……」



響『司令官、敵艦載機が来るよ!』

総士「吹雪!」

吹雪『ヲ級さん、力を貸してください』

ヲ級『ワカッタ』

大変遅くなりました。これより最終回を始めます

―――――――――


あの戦いから二週間、破壊された鎮守府の復興作業も一段落し、暫しの安息が訪れた

彼女達“艦娘”について分からない事はまだ多い。この前の戦いで更に不明な点が増えたとも言える

しかし、いざ接してみると中身は僕が知る人間のそれと殆ど変わらない。嬉しければ笑い、理不尽には怒り、悲しければ涙を流す

もしかしたら提督と呼ばれる僕の方が、この世界にとって異質な存在なのかもしれない

……ここに来て随分経った。なのにここがどこなのかも、皆のもとへ帰る手段も未だ掴めないままでいる。僕はこの現状に時々焦りを感じている

このまま帰れなくなるのではという不安。そしてそれ以上に――



コンコンコン


吹雪「し、失礼します……」ガチャ

総士「来たか、吹雪」

総士「まずは座ってくれ」

吹雪「は、はい」

総士「戦いに復興作業と忙しなかったが、ようやく時間が出来たな。今日は簡単には帰さないぞ」

吹雪(うぅ、やっぱりあの時勝手に出て行った事、根に持ってたんですね……)

総士「飲み物を用意する、待っていろ」

吹雪(いつもより表情が険しいような……あーどうしようー!)ブルブル

総士(大丈夫だ、この日の為に何度もシミュレートしてきたんだ。今度こそ不器用とは言わせないぞ)



総士「さぁ、話をしようか」

吹雪「は、はいっ」

―――――――――

~司令室前~


天龍「あれー?何も聞こえねぇなー」

夕張「何やってるのよ扉の前で」

天龍「シッ!提督に気づかれるだろ!」

夕張「……盗み聞きはよくないわよ」

天龍「何だよ、お前だって盗み聞きの一つくらいやったことあんだろ」

夕張(ギクッ)

天龍「それに気にならねぇか?吹雪があんなに強くなった理由」

夕張「それはちょっと、気になるかも」

天龍「俺の勘では絶対何か知ってる筈だぜ。何日も前からアイツを見てブツブツ言ってたんだ、間違いない」

夕張「……こ、今回は見逃してあげるんだから!」




総士「……」

吹雪「……」

総士(おかしい、反応がよくないぞ。何故そんな気まずそうな顔をするんだ)

吹雪(何だかいつもの司令官じゃない。何て言うか、畳み掛けるように話し掛けて来て、何だか怖い……)

総士(とにかく、これ以上の沈黙は場の空気をより重くするだけだ!何か話題を)

吹雪(そ、そうだ!何でもない話でいいから雰囲気を変えて)

総・吹「「あの」」

吹雪「あ、すみません。司令官の方からどうぞ」

総士「気にするな、そっちから話すといい」

吹雪「はい、えっと……」

総士「……」

総・吹((不器用……か))

吹雪「あの、司令官は……今の私を見て、どう思いますか?」

総士「……初めは戸惑った。お前のその力は艦娘としての枠組みを遥かに越えていた」

総士「だが同時に、懐かしさも感じた。お前と同じような事をした奴を、僕は知っている」

吹雪「その人も、答えを探しに?」

総士「あぁ……そしてそいつも帰ってきた。新たな力を身につけて」

総士「吹雪、今のお前は最早以前のお前とは違う。それでも吹雪という存在はここにいると、言い切れるか」

吹雪「はい。私はいつだってここを帰る場所とする司令官の秘書、吹雪です」

吹雪「そして、私を助けてくれたヲ級さんも、ここにいます」

総士「――強くなった、そう僕は思うぞ」

吹雪「えへへ……初めて褒めてもらえました」




天龍「何だ、わざわざ盗み聞きする程のもんじゃなかったな」

夕張「そうね、吹雪ちゃんは立派な秘書としての成長を遂げた。そして提督も吹雪ちゃんの事をしっかり見ていた。とてもいい関係じゃない、妬いちゃうくらいに」

天龍「へぇー妬いてんのかー」

夕張「何よ、天龍だって吹雪ちゃんに嫉妬してるんでしょ!色んな意味で!」

弥生「何してるの……早く手伝って」

天龍「あ、いっけねー!すぐに戻らねぇと!」スタコラ

夕張「コラ逃げるなー!」



総士「何だか外が騒がしいな?」

吹雪「そ、そうですか?」

―――――――――

~夜・港~


吹雪「司令官、こっちです!」

総士「こんな時間に何だ……?」


パンッ!パンッ!


「「「司令官、お疲れ様!!」」」


総士「……え?」

吹雪「司令官には内緒でずっと準備してたんです。鎮守府修復の機会に日頃の感謝を伝えようって」

総士「感謝だなんて、僕はそこまで大それた……」

雷「司令官、困った時はいつでも私を頼ってよね!」

電「あの、いつもありがとうございますなのです」

暁「司令官がレディに優しいのは知ってるんだから!でもたまには厳しくもないとダメよ?」

響「響、これからも頑張るよ」

扶桑「こんな素敵な場所にいれる私は、本当は幸せ者なんじゃないかと思う時があるんです。きっと、気のせいじゃない」

山城「お姉さまと再び巡り会わせてくれた提督には、感謝しない事もないわ」

金剛「提督ゥ!これからも私の活躍、見ていて下さいネー!」

赤城「提督の働きは、鎮守府の誰もが知っています。私達はいつだって貴方が必要である事を、どうか忘れないでください」

168「168を大事にしてくれる司令官なら、どこまでもついていくよ!潜れるのは168だけだしね!」

弥生「……これからも、頑張ります。弥生は、いつでもここにいます」

夕張「新しい兵装を提督と一緒に考えるの、結構楽しかったりするんですよ?これからも知恵をお借りしますね!」

天龍「龍田の時は悪かった。それと……あ、ありがとうな……。あーもう恥ずかしいなぁチクショー!」


吹雪「皆、司令官に感謝してるんです。この鎮守府に迎え入れてくれた事、一緒に戦ってくれてた事、全部覚えています!」

総士「……」

吹雪「私からも、司令官に贈ります。私、駆逐艦吹雪は、司令官の秘書艦でいられる事を誇りに思っております!今後もよりよい戦果を司令官にもたらすべく一層邁進していく所存です!」

吹雪「そして私は、そんな司令官が――」



僕はこの現状に時々焦りを感じている

このまま帰れなくなるのではという不安。そしてそれ以上に――帰りたくなくなってしまうのではないかと

彼女達と過ごす日々は決して穏やかとは言い難い。フェストゥムとの戦いは今後も続くだろう。その度に僕は痛みと、誰かを失う恐怖に苛まれる

僕がこの世界へ誘われた理由が、少し分かったような気がする。もしそれが本当なのだとしたら――



総士「皆……ありがとう」

――そんな事、今はどうでもいいのかもしれない



これが強いられた運命だというのなら、僕は望んでそれを受け入れよう。それが今の、皆城総士の存在意義



鎮守府提督として、彼女達の存在を守り続けよう。その時が来るまで……















僕はここにいる、一騎



これにて完結です。今まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました
このSSをきっかけにファフナーまたは艦これに興味を持ってくれたのならば感無量です
冬には両方のアニメが控えてます。これからが待ち遠しい

暫く様子を見たらHTML依頼を出そうと思います。感想なり思いついたネタなり書き込んでいってください
それではまたいつか



あなたは、そこにいますか

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