雛苺「ちゅーってうにゅーみたいに甘いなの!」 (108)

 
・雛苺が少し冒険するお話です
・最終巻のネタバレあり
・アリスゲーム後
・雛苺×ジュン要素が少しあります
・キャラ崩壊しまくりな上に、設定も弄りまくっています
・某所に投下したSSを修正して再投下したものです
・基本は台本形式

読みづらい部分もありますが、ご容赦ください。
 


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400337511

 
雛苺「ねぇトモエー、ちゅーってどんな味がするなの?」

巴「……雛苺、なにかあったの?」

雛苺「うゅ? えっとねぇ~」
 

 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
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――――――――――――――――――――――

――――桜田家リビング

TV
くんくん『ニャンミ!!どこにいるんだ!返事をしてくれ!!』

ニャンミ『…くん…くん……?』

くんくん『ニャンミっ!?ニャンミ―――――!!』

ニャンミ『あぁ、私の愛しいあなた…、来てくれたのね』

くんくん『僕がもっと早く来ていれば…、くそっ!!切り裂きウルフめ!』

ニャンミ『私は…あなたが来てくれただけで…。ねぇ…、最後にあなたとキスがしたいわ…』

くんくん『最後だなんて!それより早く救急車を ニャンミ『お願いよ!くんくん…』

くんくん『……わかったよ。ニャンミ』

ニャンミ『ありがとう…。くんくん』


―――――
 

 
ニャンミ『ふふ…、あなたとのキスは……まるで甘美なマシュマロのよう…です……わ…………』ガクッ

くんくん『ニャンミ…?ニャンミ――――――――!!!』

つづく


翠星石「やっぱり泣けますねぇ…。くんくん復讐編…」グスッ

真紅「最初はただの泥棒ネコだと思っていたのだけど、まさかこんなことになるなんて…」ウルウル

雛苺「ぶわああああああああああああん!!」ビャアアアア

翠星石「あーもぅ、泣きやめです!チビ苺!」

雛苺「うぅ…、ニャンミかわいそぅなの…」グスン


のり「真紅ちゃーん、紅茶の準備ができたわよー」

真紅「あら、もうこんな時間なのね。みんなでお茶にしましょう」
 

 
お茶会中


雛苺「真紅ぅー、ちゅーってうにゅーみたいに甘いなの?」

真紅「あら、どうして?」

雛苺「さっきニャンミが言ってたの!とっても甘いのよ」

翠星石「ぷぷっ」クスクス

雛苺「もう!翠星石なによーぅ!」プンスカ

翠星石「これだからチビチビは…。いいですかぁ?あれは比喩表現です!本当に甘いわけではないのですぅ」

真紅「文献で読んだことがあるわ。恋の概念だけれど、たしか…レモン味…?」

翠星石「ぷーっ!なんですかソレ。昭和の香り漂う回答ですぅ」ケラケラ

真紅「違うの?…困ったわね…」
 

 
翠星石「無知な妹たちに教えてやるです!キスとは甘く切ない甘美なものなのです。一言では言い表せませんよ」

雛苺「なんだかニャンミが言ってたことと同じに聞こえるの」

真紅「そうね。それに翠星石、あなたキスなんてしたことあるの?」

翠星石「お、お父様となら…」

真紅「それは親愛のキスではなくって?薔薇乙女なら全員お父様からおでこと頬に口づけを頂いているはずよ」

雛苺「ヒナもお父様やトモエ、ジュンと口づけしたことあるのー!」ハイハイ!

紅翠「「はぁあ!?」」ナンデスッテー!

真紅「詳しく聞きたいわね、雛苺」ゴゴゴ…

翠星石「場合によってはただじゃおかねぇです!」スイドリーム!

雛苺「ぴ、ぴゃああああああああ!!トゥモエエエ!!!」ドタドタ!

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巴「…くんくんってそんな番組だったの?」
 

 
雛苺「それでね、ヒナはね、唇の口づけはしたことないからトモエに聞いてみたの」

巴「そうだったの。ごめんね、私もまだしたことないの」

雛苺「そうなの?」

巴「うん。でもね、本当に愛し合った恋人同士ならしてもいいのよ」

雛苺「恋人?ヒナはトモエもジュンものりもみんな好きよ。みんな恋人になれるの?」

巴「恋人になれるのは一人だけで男の子とだけなの」

雛苺「うぅ…、難しいの…」

巴「私もそこまで詳しくないから…。ごめんね、雛苺」

雛苺「んーん、そんなことないわ。トモエありがとなの!」

巴「どういたしまして」ホッコリ

雛苺「そうだ!ほかの姉妹にも聞いてみるわ。いってきますなの!」タタタタッ!

巴「いってらっしゃい、気をつけてね」
 

 
――――有栖川大学病院316号室


水銀燈「それで長女の私の所に来たってわけねぇ。おばかさぁん」

雛苺「ばかじゃないわ。ヒナは真剣に悩んでるの」

水銀燈「ふぅ~ん…、でも内容がおばかすぎて聞いてられなぁい、ついていけなぁい」ツーン

雛苺「うぅう…」

めぐ「もぅ、水銀燈。あまりいじめちゃダメよ」

水銀燈「―――ふん」プイッ
 

 
めぐ「それで、雛苺ちゃんが聞きたいことはキスのこと?それとも恋?」

雛苺「両方なの!めぐはしたことあるの?」

めぐ「う~ん、キスはしたことないけど恋はしているわよ」

水銀燈「へぇ、初耳だわぁ。あなたみたいなイカれた子がねぇ」

雛苺「水銀燈!めぐに失礼なの!」

水銀燈「だって本当のことじゃなぁい。どうせ片思いでしょうしぃ」

めぐ「そう。この愛は水銀燈への一方通行な片思いなの」

水銀燈「はぁ?」

雛苺「うゅ?」
 

 
水銀燈「ここまでイカれてるとは思わなかったわ。心臓じゃなくて頭がジャンクなんじゃないの?」

めぐ「うふふ、そうかもね」

雛苺「でも、ヒナは恋人になるには男の子とじゃないとダメってトモエから聞いたの」

めぐ「委員長さんがそんなことを…。いいわ、真理を教えてあげる」

めぐ「そもそも恋愛は女の子同士が至高なの!男の子となんて邪道だわ。絶滅してほしいくらいよ汚らわしい!!」ガバッ!

水銀燈「め、めぐ…?」

めぐ「パパも!!桜田くんも!!!みんな滅びてしまえばいいのよ!!!!!!あっははははははははははははは」アハハハハ

水銀燈「めぐぅ!?」

雛苺「な、なんだか怖いの…」
 

 
めぐ「でも男の子を滅ぼすのは後回しよ!今はこの想いを!!心と身体を!!!水銀燈に捧げる方が先決よ!!!!」

水銀燈「ちょっとぉ!いい加減にしなさいよ!!」

めぐ「水銀燈っ!!私の愛を受け止めてぇえええええ!!!」ルパンダーイブ

水銀燈「ちょっ、きゃぁあああああああああああ!!」イヤァアアアアア

雛苺「お、おじゃましましたなのー!」タタタタッ!

水銀燈「ひ、雛いち……ちょっと待っ… めぐ「ひゃっはぁあああああああああああ!!」


アッーーーーーーーー!!





――――nのフィールド


雛苺「こ、怖かったの…。でも女の子とも恋をしていいなんて思わなかったわ!」

雛苺「次は金糸雀の所に行ってみよっと!」
 

 
――――みっちゃんのマンション


金糸雀「なるほど、面白い話かしら。それと真紅の話もあながち間違ってはいないわ」

雛苺「ちゅーや恋はレモン味ってことなの?」

金糸雀「いいえ、あくまで概念の話かしら。恋愛とは甘いだけでなく、ほろ苦く甘酸っぱいものかしら」

金糸雀「それを不特定多数と共有するために『レモン味』と位置づけ、イメージしやすくしたの。これが恋のイメージかしら」

雛苺「甘かったりしょっぱかったりするってことなの?」

金糸雀「その通りかしら!恋とは千差万別で人それぞれなの。それだけに色んな形があるわ」

雛苺「じゃあ、女の子同士でも恋ができるなの?」

金糸雀「もちろんかしら。一般的には男女間で発生するものだけど、たまに同性同士の恋愛も生まれるの」

金糸雀「つまり、愛は性別を超えることも時々あるということかしら」



みっちゃん「(恋バナかと思ったら難しい話をしてる…。でも、そんなカナもとってもプリティ!)」ハァハァ
 

 
雛苺「うぃ…、でもでも!ヒナはトモエもジュンものりも真紅もみんな大好きなのよ」

金糸雀「う~ん…、それはLIKEとLOVEの区別がついてないだけかしら」

金糸雀「例えば、私たちがお父様に抱く気持ちはLIKEかしら。これは家族、友達みんなに向けることができるの」

金糸雀「そしてLOVEの方は、伴侶として人生のパートナーだけに贈る愛情。大雑把に分けるとこんな感じかしら」

雛苺「よく…わからないの…」

金糸雀「あっ…!ごめんなさい、雛苺。いきなり言われてもわからないのは当たり前よね…」ションボリ

雛苺「んーん、説明してくれてありがとなの!」

金糸雀「それなら良かったかしら」ホッ

みっちゃん「カナと雛苺ちゃんの撮影会をやろうと思っていたけど!もぉう我慢できないわぁあああああ!!」ヒャッホォオ!!

雛金「「!?」」ビクッ
 

 
金糸雀「こ、ここはカナに任せて先に進むかしら!」

雛苺「えっ!? う、うん。金糸雀ありがとなの!」タタタタッ!

金糸雀「ふふ、答えが見つかるといいわね。雛苺」


ヒナイチゴチャーーン、カナーーーー!!!
キャーー!!マサチューセッチュカシラーーー!!!








――――nのフィールド


雛苺「金糸雀だいじょぶかなぁ…」

雛苺「金糸雀の犠牲のためにも答えを見つけなきゃなの!次は蒼星石の所に行ってみるの」
 

 
――――薔薇屋敷


蒼星石「恋かぁ。あまり触れない話だね」

翠星石「そうですかぁ?それはともかく、チビ苺!さっきはよくも逃げやがったですね!」

雛苺「まさか翠星石まで居るとは思わなかったの…」

一葉「私も昔はよく遊んだものだよ」

元治「わしも若い頃は婆さんと燃え上がったものじゃよ」

雛苺「あれ?おじいちゃんはたしか…」

元治「雛苺ちゃん久しぶり。わしはたまに蒼星石の顔を見にお茶会に参加していてなぁ」

雛苺「こっちに来てたなんて初めて知ったの!」

翠星石「Wおじじとか初耳でびっくりしたですよ…」

一葉「柴崎さんとは言い合いもしたが、今では良いお茶会友達だよ」

蒼星石「最初はどうなることかと思いましたけど、仲良くなってくれて良かったです」ニッコリ

一元「「はい…」」

翠星石「?」
 

 
一葉「さて、恋の話だったね」

翠星石「金糸雀もまだまだ甘いですねぇ。知識だけでは恋愛はできねぇですよ!」

雛苺「うゅ…?どういうことなの?」

翠星石「恋愛とは考えてから行動するのは禁物です!常に相手の事を想い、気持ちのままに行動するのが正解なのです」エッヘン!

蒼星石「のりさんから借りた少女漫画にそう書いてあったよね」

翠星石「その通りです!……って蒼星石!バラすことないじゃないですかぁ!!」プンプン

蒼星石「ふふ…、ごめんね」

翠星石「もーっ!相変わらずS星石なんですから」
 

 
翠星石「えっと…、どこまで話しましたっけ?」

蒼星石「気持ちのままに行動するってとこまでだね」

雛苺「?? 考えちゃダメなの?」

一葉「いや、考えることは良いことだ」

一葉「ただ、打算的過ぎると裏目に出てしまう事がある。いつの時代も変化球よりストレートの方がいい」

元治「たまには変化球もいいんじゃろうがなぁ」

翠星石「おお~~!経験者は語るとはよく言ったものですぅ」

一葉「さらにLOVEは1人だけという話だが、私は複数あってもいいと思うのだ」

翠星石「…………どういうことです?」

一葉「二股三股、愛人といった類だ」

翠星石「はぁああああああああああ!!?」
 

 
翠星石「そんなの絶っっ対に認めねぇです!!!」

元治「つまり浮気、不倫などかの?わしは婆さん一筋だからわからんが…」

雛苺「ぅ、うゅ…?」

蒼星石「僕もマスター、おじいさん、ジュンくんとマスターがコロコロ変わったけど、これもその一つなのかな…?……はは…」ウルッ

翠星石「ち、違うですよ、蒼星石!マスターが変わったのは不可抗力なんですから」アタフタ

翠星石「やい!おじじ!!変な話をするから空気が重くなったじゃないですか!」プンスカ

雛苺「ヒナもよくわからないけど……嫌なの…」ウルウル

一葉「す、すまなかった!今の話はナシだ。忘れてくれ」

翠星石「まったくです!相手を裏切る行為なんて、そんなの絶対認められねぇです!」

元治「その通りじゃな」
 

 
翠星石「結局ずっと話をしてましたが、最終的に元治おじじの惚気話で話が終わったですぅ…」

元治「申し訳ない…」

蒼星石「楽しかったですよ、おじいさん」ニコニコ

一葉「さて、柴崎さん、翠星石、蒼星石。今日はどうするのかね?」

元治「夕飯時になったら帰ろうと思う」

翠星石「今日は泊まるですよ!蒼星石はどうしますか?」

蒼星石「僕も泊まろうかな」

一葉「ふむ。雛苺、君はどうする?」

雛苺「ヒナは…まだ答えを探すの!」

一葉「そうか。時間が掛かるようならジュンくんに電話をしよう。心配しては大変だからね」

雛苺「お願いするの!ありがとなの!」ペコリ

雛苺「翠星石と蒼星石、元治おじいちゃんもまたね!」ノシ タタタタッ!

元治「ふふ、賑やかで愛らしい。まるで天使のような子ですね」フフフ

一葉「えぇ、本当に可愛らしい。お互い孫ができたようですな」ハハハ

翠星石「2人共すっかり骨抜きですぅ。雛苺、恐ろしい子…ですぅ」
 

本日の投下はここまでです。
短いですが、こんな感じで雛苺が色んな人から話を聞いていくお話です。

それでは、続きを投下していきます。

 
――――大ジュンのアパート


大ジュン「う~ん、恋愛のことは正直わからないよ」

雪華綺晶「ふふ、マスターは恋愛をしたことがありませんものね」クスクスッ

大ジュン「なっ…!い、いいだろ別に…」

雛苺「大きいジュンにもわからないなの?」

大ジュン「いや、えっと…、雛苺には好きな人がいるの?」

雛苺「ヒナはトモエものりも真紅もみんな好き。でも、ヒナが考えてる好きとは違う『好き』が知りたいなの」

大ジュン「………」ウーン…
 

 
雪華綺晶「ところでお姉様。本当に口づけをしたことがないのですか?」

雛苺「うん。唇同士ではしたことないなの」

雪華綺晶「…本当ですか?本当の本当に?」

雛苺「う、うん…したことないよ…?」

雪華綺晶「あぁ…!私、あれがファーストキスでしたのに…」オヨヨ

雛苺「え?……あっ!!…あぁああぁああああ……」ガクブル

大ジュン「ど、どうした!?雛苺!」

雪華綺晶「えぇ。私たち唇を交わしたことがあるのです」

雪華綺晶「とっても甘く柔らかなキスでしたわ。クセになりそう」ウットリ

雛苺「た、たしかにしたの。ヒナは初めてだったのに痛かったのよ…」

大ジュン「………(なんかエッチだ)///」
 

 
雪華綺晶「まぁ冗談はさて置き、あの時は本当に申し訳ありませんでした」ペコリ

雛苺「あ、いいのよ。アリスゲームだったんだもの」

雪華綺晶「そう言ってもらえるなら…。えっと、話を戻しますね」

雛苺「うん。雪華綺晶はどう思うなの?」

雪華綺晶「はい。先ほどの話ではLOVEは1人だけと結論が出たようですが、私は複数あってもいいと考えます」

雛苺「え…?でも、それだと浮気になっちゃうの…」

雪華綺晶「私も気持ちはわかります。普通の人間でしたらパートナーは1人だけですから」

雪華綺晶「でも私たちはお人形。複数の人を愛し、そして愛されてもいいのではないでしょうか」
 

 
大ジュン「お、おい、それって…」

雪華綺晶「大丈夫です、マスター。以前のように大勢の人を昏睡させるような事は致しませんわ」

雪華綺晶「人間と人形の恋愛は難しい。だからこそ、私はただ愛してくだされば満足なのです」

雪華綺晶「そういうわけで、マスター。これからはドンッドン斉藤さんにアタックしてくださいねっ☆」

大ジュン「なっ…!さ、斉藤さんは関係ないだろ!」

雪華綺晶「あんな可愛い女の子がアプローチしてきているのに何を言っているのですか」クスクスッ

大ジュン「お前なぁ~…」

雛苺「うゅ…」
 

 
大ジュン「そんなわけで参考にならなくてごめんな、雛苺」

雛苺「んーん、話を聞いてくれてありがとなの!」

雪華綺晶「お姉様、この後の予定は…?」

雛苺「最後に薔薇水晶の所に行ってみるなの!」

雪華綺晶「そうですか。ばらしーちゃんによろしくとお伝えください」

雛苺「うんっ!雪華綺晶もたまには遊びに来てね。待ってるなの!」

雪華綺晶「はい。後日お伺い致しますわ」

大ジュン「そっちの僕にもよろしくな」

雛苺「わかったの!それじゃ、またね!」ノシ タタタタッ!




――――nのフィールド


雛苺「雪華綺晶…、少し元気がなかったけど大丈夫かな…」

雛苺「……金糸雀の言ってたとおり甘いだけじゃないなの…?」

雛苺「でも迷ってちゃダメなの!ヒナは知らなきゃいけない気がするの」ジワ…
 

席を外していました。再開します。

 
――――ドールハウス『Enju』


雛苺「こんにちはーなの!」


シーン


雛苺「あれ?誰もいないなの?」


アァ、オトウサマ…
フフ…、ココハドウダイ?
アァ…!


雛苺「! 声が聞こえるの」

白崎「あれ?珍しいお客さんだね」

雛苺「!?」
 

 
雛苺「あっ!ラプラスの魔なの」

白崎「この姿の時は白崎と呼んでほしいかな」

雛苺「うぃ、白崎久しぶりなの!」

白崎「これは、これは。麗しき第6ドールのお嬢様。今日はどのようなご用件で?」ペコリ

雛苺「えっとねぇ 槐「コホンッ!…いらっしゃい」

薔薇水晶「雛苺、久しぶり」ヤッホー

雛苺「槐と薔薇水晶!とってもお久しぶりなの!」

白崎「おやおや、槐。取り込み中に申し訳ないね」

槐「…どういう意味だ?」

白崎「だってさぁ。さっき薔薇水晶とエッチなことしてたでしょぉ」

薔薇水晶「お父様とえっちなこと?」ポッ…

雛苺「うぃ?」
 

 
槐「何を言っているんだ、クソうさぎ」

白崎「だって声が聞こえたんだよ。『薔薇水晶、ここか?ここがええのんか?』ってさ」

槐「何を言っているんだ、この豚は」

雛苺「でもでも!たしかにヒナもさっき聞いたなの」

薔薇水晶「さっき…?メンテナンスのこと?」

槐「あぁ、それか。時々だが薔薇水晶の身体に異常がないかチェックをしているだけだ」

槐「今のところ異常はないさすが僕、天才だ。しかもイケm 白崎「なぁんだ、つまらないなぁ…」

槐「………お前は何を期待していたんだ」

薔薇水晶「でも、お父様が相手だったらアリだと思う」

槐「え」

雛苺「!」

白崎「ふふ…」ニヤニヤ
 

 
夕食中


「「「「いただきまーす!」」」」

雛苺「およばれしちゃってごめんなさいなの」

薔薇水晶「大丈夫…いつもより少し多く作るだけだから」

雛苺「えっ!?このゴハンって薔薇水晶が作ったなの!?すごいの!」

薔薇水晶「んーん…すごくないよ」フルフル

雛苺「ローゼンメイデンでお料理できるのは翠星石くらいなの…」

槐「ふふふ!ここでもローゼンの人形より僕の人形の方が優れていることが証明されたな!」

薔薇水晶「お父様…、悪口いくない」

槐「はい…」
 

 
雛苺「わぁ、おいしいの!ゴハンに誘ってくれてありがとなの!」

薔薇水晶「ふふ、どんどん食べてね」

槐「ところで何の話だったかな?」

白崎「えんじゅぅ、恋の話だってばぁ。KO・I・BA・NA!☆」

槐「(うぜぇ…)」

雛苺「そうなの。今まで色んな人に聞いたけど答えが出なくって…」

槐「難しい問題だ」

白崎「しかも決まった答えが無いからね。答えが見つけられない場合もあるよ」
 

 
薔薇水晶「………」

薔薇水晶「雛苺、きらきーはどんな感じだった?」

雛苺「うぃ…、元気だったけど少し悲しそうに見えたの…」

薔薇水晶「うん。恋が成就すればそれはとても嬉しいことだけど、叶わなければこんなに辛いことはないと思う」

雛苺「ぅ、うゅ…」

薔薇水晶「恋とはエゴの塊。それでも好きな人に幸せになってもらいたいと気持ちを抑える時もある」

雛苺「じゃ、じゃあ雪華綺晶は…」ジワ…

薔薇水晶「うん…。ジュンの幸せを願い、身を引いたんだと思う」

雛苺「だ、だって、雪華綺晶は今までずっと辛い思いをしてきたのよ?やっと幸せになれたのに…」ポロポロ…

薔薇水晶「泣くのはまだ早い。あくまで私の憶測にすぎないから…。でも、ドールと人の恋にはいくつもの障害があるのは間違いない」
 

 
雛苺「さっき薔薇水晶はお父様が相手でもいいって言ってたの」

槐「!」ドキッ

白崎「……」モシャモシャ

薔薇水晶「うん」

雛苺「家族、お父様や姉妹に向ける愛はLOVEじゃなくてLIKEだって聞いたわ」

雛苺「でも、愛は性別を超える。もしかして家族の壁も超えられるなの?」

薔薇水晶「とても良い質問。私は超えられると信じてる」

槐「」ブッフォ!!

白崎「え、槐!?」
 

 
薔薇水晶「雛苺はまだ好きな人はいないんだよね?」

雛苺「うん。くんくんとニャンミを見て気になったなの」

薔薇水晶「なら焦る必要はない。ゆっくり見つけてこ」

雛苺「うん。そうするの!薔薇水晶ありがとなの」

薔薇水晶「ふふ、どういたしまして」

槐「我が娘が成長した喜びと切なさ、そして戸惑いを感じて前が見えない」ポロポロ…

白崎「告白されたようなものだからね。動揺しても仕方ないさ」

白崎「それにしても予想以上にシリアスな話になったなぁ。びっくりしたよ」

槐「飯をもりもり食っていた奴が何を言ってるんだ…」グスッ
 

 
夕食後


雛苺「やっぱりヒナ、お父様に会いに行ってみるなの」

槐「そうか。ローゼンに会ったら『ローゼンのばーか!』と伝えておいてくれ」

雛苺「そ、それはちょっと困るの…」

薔薇水晶「…お父様?」

槐「すみませんでした」

白崎「ところで雛苺。断続的とはいえ、マスターなしでnのフィールドに長時間入って大丈夫なのかい?」

雛苺「う…、実のところそろそろ限界が近いなの…」

白崎「やれやれ…」ハァ…

ラプラスの魔「これより先は私めにお任せ下さい」スゥ…
 

 
雛苺「あっ!白崎がラプラスの魔に変わったの!」

ラプラス「ククッ 如何にも左様にも」

ラプラスの魔「これより先は急ぎます故、何卒足元にご注意下さいませ」ニヤニヤ

雛苺「うん。ありがとなの!」

雛苺「薔薇水晶、ゴハン美味しかったの!またお話しようね」

薔薇水晶「うん。また今度あそぼ」

雛苺「薔薇水晶と槐、今日は本当にありがとなの!またn ●パカッ

きゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~…………………」

槐「なっ!?」バッ

薔薇水晶「雛苺!?」バッ


ラプラスの魔「トリヴァル!だからあれほど『足元にご注意を』と申しましたのに…」クククク…
 

 
槐「白崎、きさまっ…!」

薔薇水晶「雛苺をどこへやったの?」

ラプラスの魔「もちろん彼女の『お父様』の所でございます。うさぎの穴の方が早く着くでしょう」

ラプラス「道に迷わなければ…の話ですが」クク…ッ

槐「お前は姿が変わると本当に性格も変わるな」

薔薇水晶「雛苺にもしものことがあったら、もうご飯作ってあげない」

ラプラスの魔「おやおや…、信用されていませんね。うさぎは道案内が得意な生き物。しかし、はぐれたら案内ができない」

ラプラスの魔「すべてはあべこべ。うさぎがアリスを追いかけるのでは物語が成り立ちません」

ラプラスの魔「恋もそうだとは思いませんか?」ガチャ

ラプラスの魔「アリスはどこへ向かったのか。ああ~~~~忙しい~~~」バタンッ! スゥ…

薔薇水晶「nのフィールドの扉に入っていった…」

槐「あいつだけは何を考えているのかわからんな」
 

 
薔薇水晶「お父様っ!雛苺は大丈夫でしょうか…?」

槐「わからない…が、薔薇乙女はローゼンに見守られている。心配はないだろう」

薔薇水晶「ふふ、なんだかんだ言って彼を信頼しているのですね」

槐「なっ…!あぁもう…、薔薇水晶。今日はお父様が皿洗いをする」

薔薇水晶「では、一緒に洗いましょうか」フフ

槐「あ、あぁ」

薔薇水晶「あまりお皿を割らないでくださいね」ニコッ

槐「はい…」
 

本日の投下はここまでです。

それでは続きを投下していきます。

 
● ポイッ









…………………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!」


バッスン!!

雛苺「痛っ!!……くない?」ポヨンッポヨンッ

雛苺「ここは…樹の中……なの?それに…」ポヨンッポヨンッ

雛苺「トランポリンみたいで面白いのー!」ポヨンッポヨンッ キャッキャッ

 
数分後


雛苺「きゃーー!!うにゃーーーー!!」ポヨンッポヨンッ キャッキャッ

ラプラスの魔「おやおや、そんなことをしていてよろしいのですか?」

雛苺「そ、そうなの!冷静に考えたらこんなことしてる場合じゃなかったわ」ハッ

ラプラスの魔「やれやれ…、困ったお嬢さんですね」

雛苺「!? ラプラスの魔!いつから居たなの!?」

ラプラス「先ほど到着したところです」

雛苺「そ、そうだったなの」

ラプラスの魔「えぇ。では、これより道案内を致しますので、はぐれないようお気をつけください」

雛苺「は、はいなの!」

 
ラプラスの魔「 恋は愛  愛は恋  二つの言葉は似ているけれど 」ピョンッ ピョンッ

ラプラスの魔「 愛は真心  恋は下心  決定的な違いがある  」ピョーンッ ピョンッ

雛苺「…うゅ」タタタタッ!

ラプラスの魔「 愛とは何か? 恋とは何か? 相手を想う気持ちに差なんてあろうか? 」ピョンッ ピョンッ

ラプラスの魔「 egoism?  Altruism?  どちらがいいなどわからない 」ピョンッ ピョーンッ

雛苺「……」タタタタッ

ラプラスの魔「 卵が先か?  鶏が先か?  そんなのどちらでもかまわない 」ピョンッ ピョンッ

ラプラスの魔「 上も 下も 右も 左も ただただ世界は廻るだけ  」ピョーンッ ピョーンッ

雛苺「…はぁ…はぁ……なの…」タタタ…







ラプラスの魔「着きました」

 
――――ローゼンの小さな箱庭


雛苺「はぁ…はぁ…、つ、着いたなの…?」

ラプラスの魔「えぇ、懐かしいでしょう?あなたの故郷です」

雛苺「あ、あれ?でもここは雪華綺晶のお城になったんじゃ…?」

ラプラスの魔「えぇえぇ、その通り。幻の城はあるべき姿に戻ったのです」

雛苺「ほぇ~…懐かしいの」

雛苺「そういえば、ここに来る途中に喋ってた言葉はどういう意味なの?」

ラプラスの魔「あぁ、あれですか?あれは紫の薔薇のお嬢さんが仰っていた事を私なりの解釈で歌わせて頂きました」

雛苺「薔薇水晶の…?全然意味がわからなかったの」

ラプラスの魔「クック… そうでしょう。そうでしょう」

ラプラスの魔「終わりは始まり。始まりは終わり。巡り巡っていくのですよ、雛苺嬢」

雛苺「?? よくわからないけど、案内してくれてありがとなの!」ノシ タタタタッ!

ラプラスの魔「いえいえ、どういたしまして。やはりあなたは数ある薔薇の中でも一番素直な薔薇ですねぇ」

 
雛苺「うわぁ…懐かしいなの!草木が生い茂ってるけど面影があるの」トコトコトコ

雛苺「あっ!みんなでお茶会した場所だわ。雪華綺晶が言ってた通り荒れ放題なの…」トコトコ…

雛苺「そういえば、ヒナからお父様に会いに行くのはこれが初めてね」トコトコトコ

雛苺「…お父様どこにいるんだろぅ?」


ローゼン『娘たちよ、この扉の中に入ってはいけないよ』


雛苺「きっとあの扉の奥にお父様はいると思うの!行ってみましょっ」タタタタッ!







雛苺「…ここなの」グッ…

雛苺「お父様?いるなの…?」ガチャッ

 
――――ローゼンのアトリエ


雛苺「お父様!ただいまなの!!」ギギギ… バタンッ!

ローゼン「………」

雛苺「…お父様?」

顔無しローゼン「…ん?」クルリッ

雛苺「きゃぁああああああああ!!の、のっぺらぼうみたいなのーー!!」アワワワ…

雛苺「お、お父様ぁあ!!死んじゃだめなのぉお――――っっ!!!」ウワァァァン

顔無しローゼン「おっと、すまない。これは私の古皮だよ」スッポン!

ローゼン「ふぅ…すっきりした」スッキリ

雛苺「!?」

 
雛苺「もーっ!お父様なんて知らないの!」プンプン

ローゼン「すまなかった。だが、いい反応だった」

ローゼン「水銀燈と真紅は気絶」

ローゼン「金糸雀と翠星石はびっくりしすぎて攻撃してきて」

ローゼン「蒼星石と雪華綺晶からは説教をされたよ」

雛苺「お父様…」

雛苺「お父様はいたずらが好きなの?」

ローゼン「いや…娘をからかってみたかった。それだけだよ」

雛苺「うゅ…雛苺もね、たまにいたずらしちゃって真紅に怒られるのよ」

ローゼン「そうか。私達は似ているね」

雛苺「うん!」

 
ローゼン「雛苺、こっちへおいで。話があるのだろう?」

雛苺「はいなの!」オトウサマノヒザノウエー

ローゼン「聞かせておくれ」

雛苺「えっとね、今日来たのは恋について聞きたかったからなの」

ローゼン「……恋?」

雛苺「うん!えっとね、ヒナね、色んな人たちに聞いて回ったの!」

ローゼン「ふむ…」

雛苺「始まりはくんくんとニャンミからなの!その二人を見てヒナは恋とちゅーを知りたくなったなの!」

雛苺「それでね、真紅と翠星石とトモエに聞いたんだけどよくわからなくてね、色んな人に聞くことに決めたの!」

雛苺「最初はね、水銀燈の所に行ったんだけどね、水銀燈は教えてくれなかったなの…」

雛苺「でもね、水銀燈のマスターのめぐが女の子同士がいいって教えてくれたの!」

ローゼン「そうか…(アリスに最も近い少女とはなんだったのか…)」

 
それから少し経って――――


雛苺「それでね、槐が『ローゼンのばーか!』って言ったら薔薇水晶に怒られてたなの」

ローゼン「そうか。どこの家も娘には頭が上がらないな」

雛苺「それでね、答えが出かかってるような気がするから最後にお父様に聞きたかったなの!」

雛苺「お父様、愛や恋ってなんなの?」

ローゼン「………」

ローゼン「私も詳しくはないが金糸雀と同意見だ」

ローゼン「家族愛や兄弟愛、姉妹愛は親愛としての好意だ。友情などもこれに含まれるだろう」

ローゼン「そして恋や愛は恋人や夫、妻に捧げるものと考えよう」

ローゼン「恋は不安定で不確かなもの。それを過程とし、愛は安定していて恋の結果という考えもできる」

雛苺「うゅ…?」

 
ローゼン「どちらの愛も見失ってしまった私には到底答えを出すことなどできないが…」

雛苺「お父様ぁ…、ヒナたちが…居るよ…?」ショボショボ

ローゼン「そうだったね。ありがとう」

雛苺「それでね…ヒナはね…、みんなの話を聞いて…恋ってとても切ないって…気づいたなの…」ウトウト…

雛苺「くんくんも…雪華綺晶も…辛そうだったの………お父様は……どうだったなの…?」コックリコックリ…

ローゼン「……私は…」

ローゼン「…………」

ローゼン「…そうなる前に 逃げ出したのだ」

ローゼン「………」

ローゼン「…雛苺?」

雛苺「すぅ…すぅ…」

ローゼン「おやすみ」ナデナデ

 
ローゼン「(雛苺。私の6番目の娘。成長と変化を司り、心と心を繋ぐドール)」

ローゼン「(そう願いを込めて造ったが、その成長を目の当たりにするとは思わなかった)」

ローゼン「(成長とは不思議なものだ)」ナデナデ

雛苺「すぅ…すぅ…」ムニャムニャ

ローゼン「…生きている 私の娘…か…」

ローゼン「…………」


ローゼン『…………』

ローゼン『私の娘たちに紛うことなき生を 今度こそ与えてやりたかったんだ…』

ローゼン『……』

ローゼン『…私の娘たちは 生きていただろうか…?』

ジュン『あぁ この上もなく』


ローゼン「…………」

 
ローゼン「すべてを押し付けた私が言えたことではないが…」

ローゼン「それでも“彼で良かった”と心から思う」










ガチャ ギギギ…
バタンッ…!


ローゼン「やぁ、来たか。早かったね」
 

本日の投下はここまでです。
お疲れ様でした。

それでは続きを投下します。

 
『とても温かくて大きな手。ヒナはこの手を知っているわ』

『これはお父様の手と腕。今、ヒナはお父様に抱き抱えられているの』

『お父様の胸に抱かれて眠っているなんて、…これは夢?』

『あ、そうだったわ。アリスゲームは終わってジュンが真紅を起こして』

『お父様にいつでも会えるようになったのだった』

『ヒナは毎日が楽しくてお父様にあまり会いに行かなかったけど、恋の話でお父様に聞きに行って…』

『う~ん…、思い出せないなの…。でも、すごく落ち着くの』

『気持ちよくて幸せなの~~』ホンワカ

『あれ?でも、この手は本当にお父様…?なんか……///』ドキドキ



『………お父様じゃない?』

 
『お父様じゃなかったら誰なの…?』

『うぅ…、知らない人だったら怖いの…。で、でもでも!ヒナは成長したんだもん!!思い切って聞いてみるわ』

『いくのよ!』セーノッ

雛苺「誰なの!!」パカッ!

ジュン「!?」ビクッ

雛苺「あれ?」

チュンチュンチュン チチチ…
ジュンクーン、ヒナチャーン、ゴハンヨー!


雛苺「……?ここはジュンの部屋?」

ジュン「寝ぼけてるのか?(びっくりしたぁ…)」ドキドキ

雛苺「あ、ジュン!おはようなのー!!」

ジュン「あぁ、おはよう。朝から元気だな」

雛苺「うん!ジュンも元気なの!」

ジュン「まぁね。ほら、姉ちゃんが呼んでるから行くぞ」

雛苺「はいなの!」

 
朝食中


のり「そうだったの。あんまり遅いから心配してたのよぅ」

雛苺「うゅ…、ごめんなさいなの」

のり「いいのよ、雛ちゃん。久しぶりにお父さんに会えて楽しかった?」

雛苺「とっても楽しかったのー!!」

真紅「雛苺がお父様の所に行っていたなんて考えもしなかったのだわ。よく迷わずに行けたわね」

雛苺「ラプラスの魔に案内してもらったなの」

真紅「ラプラスの魔に…?雛苺、あなたよくあの道化ウサギの言うことを信じられたわね」

ジュン「あぁ、真紅はローザミスティカが砕けている間 『9秒前の白』で、ずっとラプラスの魔と一緒だったんだよな」

真紅「えぇ…、ずっと2人きりだったわ。会話のキャッチボールができなくて、本っ当にうんざりしたのだわ」

ジュン「今までで一番凄みのある『起こすのが遅い!!』だったよ」ハハハ

真紅「笑い事じゃないわよ」ハァ…

 
雛苺「でもでも!白崎の時は面白いのよ」

ジュン「あの姿でも僕は苦手だよ」

真紅「そうね、私も苦手だわ」


雛苺「うゅ? そういえば、翠星石と蒼星石はまだ帰ってきてないなの?」

のり「結菱さんの所で泊まって夕方に帰るそうよ。雛ちゃんの事もちゃんと連絡きたのよ」

雛苺「そういえばそうだったの。忘れてたのよ」

ジュン「おいおい…、忘れすぎだろ」

のり「うふふ、昨日は楽しすぎてちょっと忘れちゃっただけなのよ」ネー

雛苺「そうなの!」ネー

真紅「のり、紅茶のおかわりを入れて頂戴」

 
朝食後


雛苺「そういえば、お父様はなんて言ってたんだろぅ?」

雛苺「肝心なところが思い出せないの…」

雛苺「そうだ!同じ男の子のジュンに聞いてみれば!……でもなんか恥ずかしいなの///」モジモジ

のり「あら?雛ちゃんどうしたの?」

雛苺「あ、のりぃ」

のり「? 本当にどうしたの?」

雛苺「んっとね、あのね…」

雛苺「のりは恋とかしたことある?」

のり「そうねぇ」

 
のり「私はしたことないけど、女の子にとっては憧れよねぇ」

雛苺「のりもしたことないのね…」

のり「雛ちゃんはどうして恋を知りたいの?」

雛苺「ヒナは最初、ちゅーや恋は甘いことなのかなって思ったわ。でも、そうじゃないみたいなの。みんなの話を聞いてる内にどうしても知りたくなったなの!」

のり「そう。でも、焦って知ろうとしなくていいんじゃないかしら」

雛苺「やっぱりそうなのね…」

のり「恋って不思議よね。一目見て恋に落ちる事もあれば、いつも一緒にいる相手と恋が始まることだってあるの」

のり「欲しいと思っても相手と出会わなかったり、そんな気がなくても恋を知ることもあるの」

雛苺「そうなの?」

のり「えぇ。それに、雛ちゃんはとっても魅力的だからすぐに運命の相手が見つかるかもしれないね」

雛苺「そ、そうなの?」テレテレッ

のり「うん。一緒に女の子パワーを磨いていこうね」ニッコリ

雛苺「うん!」


雛苺「ヒナにもいつか素敵な人が現れたらいいなぁ~」キラキラ

今回の投下はここまでです。

なでしこ勝利やったーー!
少し投下します。

 
数日後


――――桜田家リビング

TV
くんくん『追い詰めたぞ!!切り裂きウルフ!』

切り裂きウルフ『ふふ、恋人の仇討ちか?』

くんくん『敵討ちだと?そんなことはしない!僕は探偵としてお前を捕まえると決めたんだ!!』

切り裂きウルフ『くく…ぬるい事を言うな、くんくん。恋人を殺した私が憎くて憎くてたまらないといった顔をしているぞ』

くんくん『黙れ!僕は探偵だ。お前みたいな殺人鬼にはならない!』


水銀燈「………」

薔薇水晶「おぉ~…」ドキドキ

金糸雀「手に汗握る展開かしら…!」ハラハラ

蒼星石「うん…!」ゴクリ

 
切り裂きウルフ『殺人鬼か…。なぜ殺人鬼が生まれるのか考えたことはあるか?くんくん』

くんくん『………』

切り裂きウルフ『なんだね。探偵犬くんくんともあろう者がわからないのかね?いいだろう。教えてやろう』

切り裂きウルフ『…復讐だよ』

くんくん『なんだって…?』

切り裂きウルフ『私はもともと警官だった。悪に立ち向かい、弱きを守る正義。その正義を疑うことさえしなかった』

くんくん『……』

切り裂きウルフ『ある日のことだ。同僚で恋人だった彼女が死んだ。殺したのは警察内部の者だったのだ』

くんくん『なっ…!?そんな事件聞いたことがないぞ!』

切り裂きウルフ『もみ消されたのさ』

くんくん『そ、そんな…』


真紅「な、なんてことなの…!」ハラハラ

翠星石「ど、ど、どういうことですぅ!?」

 
切り裂きウルフ『公にする訳にはいかないと事故死として扱われたのだよ。あれだけ大きな組織だ。結託も強い…!』

切り裂きウルフ『私は…私は復讐に取り憑かれた!最愛の人を殺した男は故意だろうと、そうでなかろうと…許せなかった…!』

くんくん『…っ!』

切り裂きウルフ『警察機関に復讐すればいいのか?罪を犯した男だけに?それとも上層部も? 私はどうすればよかったと思う…?』

くんくん『………』

切り裂きウルフ『私は狂いたかった!!正義の心になんの疑いもなく行動していた自分を…壊したかった!!!』

切り裂きウルフ『危険に身を置く仕事だ。覚悟はしていた。だが、これはあんまりではないか…』


切り裂きウルフ『神よ!私はあなたを許さない!!』カチッ

切り裂きウルフ『くんくん。最愛の恋人を奪ったこの世界に復讐を果たす事が、私の真の目的なのだ!!』つ爆弾

くんくん『や、やめるんだ!ウルフ!!』



雪華綺晶「うぅ…、気持ちがわかりすぎて前が見えませんわ」ポロポロ…

雛苺「ウルフかわいそぅなの…」ポロポロ…
 

 
切り裂きウルフ『もう一つ教えてやろう。私がなぜ君の恋人を狙ったのか』

くんくん『なに…!?』

切り裂きウルフ『君は…私によく似ていた。そんな君の絶望する様を見てみたかった』

くんくん『そ、そんな理由でニャンミは…!』

切り裂きウルフ『当時の私と同じ揺るぎない正義心。そんな君が私と同じ目にあったらどうするのか見てみたかったのだが…』

くんくん『僕はお前とは違う!彼女の意思を汲み、探偵としてお前を捕まえるだけだ!!』

切り裂きウルフ『そうだ。それでこそ名探偵くんくんだ』フフ スッ…

くんくん『やめろウルフ!生きるんだーーーー!!』バッ

ねこ警部『くんくん君!早く逃げるんだ!!』バッ

くんくん『ねこ警部!? は、離してください!!』ジタバタ

切り裂きウルフ『良いタイミングだ。元部下よ』

切り裂きウルフ『これが最後の復讐だ。もう悔いはない。だが、君には会えそうにないよ。 レベッカ…』ポチッ

ドゴォォォォオオオン!!!!!


水銀燈「………」

 
――――わんわん警視庁前


ドゴォォォォオオオン!!!!!

ワーーー!! キャーーーーー!!


くんくん『くっ…、僕は…僕はウルフを助けることができなかった…!』

くんくん『僕はなんのために闘ってきたんだーーーー!!』ウォォォォアアアア

ねこ警部『くんくん君。君のせいではない。誰にもウルフさんを止めることはできなかっただろう』

くんくん『それでも僕は…探偵失格だ…!』

ニャンミ『そんな事言わないで!くんくん…』

くんくん『っ!? ニャンミ?!!生きていたのか!!』

ねこ警部『君はあの時錯乱していて気づかなかったようだが、意外と傷は浅かったのだよ』

ねこ警部『そして、彼女が亡くなったと思い、辛さを紛らわすために捜査に没頭し続けた。彼女が入院していたのも知らなかっただろう?』

ニャンミ『お見舞いにも来てくれなかったから、どうしたのかと思ったわ』

くんくん『あぁ…あぁ…!ニャンミ…!!』ハグ

ニャンミ『くんくん…!』ハグ

 
くんくん『…はっ!ちょ、ちょっと待ってください!!』ガバッ

くんくん『ウルフは…、ウルフは最初からニャンミを殺す気なんて…!』フルフル…

ねこ警部『なかったかもしれないが、今となっては…』フイッ

ワーーーー!! キャーーーー!! ヒガーーーーー!!
ハヤクショウカシローーーーーーー!!!!


くんくん『僕は…これからも探偵を続けていきます』

くんくん『こんな悲劇が二度と起きないように…!』

ねこ警部『その粋だ!くんくん君』

その後、警察内部の告発により揉み消された事件が次々と明るみにされた。
正義とはなにか。悪とはなにか。くんくんはその疑問を胸に今日も闘い続けるのであった。


くんくん『劇場版 名探偵くんくん~復讐の探偵~はどうだったかな?』

くんくん『次の映画も、よろし~~~くんくん!!』

おわり



真紅「ふぅ…」

 
金糸雀「す、すごい話だったかしら!」

薔薇水晶「『正義とはなにか。悪とはなにか。』……かっこいい」ポッ

翠星石「正義の機関がまさか悪だとは思いもしなかったですぅ!」

蒼星石「犯人にも同情する部分があったね。共感はしちゃいけないけど…」

雪華綺晶「わたくし、共感してしまいましたわ…」グスッ…

雛苺「ウルフには生きてもらいたかったの…」ウルウル

水銀燈「………」

真紅「どうだった?水銀燈」

水銀燈「……ばっかじゃないのぉ。別に面白くなかったわよ」

金糸雀「ふふ、目が泳ぎまくってるかしら」クスクス

水銀燈「ぅ、うるさいわね!」カァッ


ガチャ

のり「みんな~、おやつよ~」

 
水銀燈「ところで雛苺。この間はよくも逃げてくれたわね」

雛苺「ご、ごめんなさいなの…」

金糸雀「そういえば、恋についてはどうなったのかしら?」

雛苺「結局よくわからないから女の子パワーを磨くの!」

金糸雀「そうね。それがいいかしら」

水銀燈「それにしても恋ねぇ。本当にばっかみたぁい」

金糸雀「あらあら、水銀燈も昔は『お父様の恋人になるわぁ』とか言ってたのにね」クスクスッ

水銀燈「ちょっ…!バラすんじゃないわよ!!///」

翠星石「水銀燈は相変わらずチビカナに弱いですねぇ」ヤレヤレデスゥ

翠星石「でも恋ですかぁ。翠星石もロマンスには憧れてるですよ」

翠星石「いつか白馬の王子様が迎えに来てくれるんですぅ」

水銀燈「そんな事あるわけないじゃなぁい。おばかさぁん」

翠星石「水銀燈には聞いてねぇです!」

蒼星石「いや、王子様は無理だと思うよ」

翠星石「え」

 
翠星石「ち、違うです!王子様ってのは比喩表現です!この場合は意中の相手の事ですよ」

真紅「あら、翠星石。あなた意中の相手なんているの?」

翠星石「なっ…!い、いるわけねぇです!!///」

金糸雀「(バレバレかしら…)」

蒼星石「恋かぁ。僕は興味ないけど乙女として一度は経験するのもいいかもね」

雪華綺晶「そうですよね!ところで、お姉様方は好きな人はいらっしゃいますか?」

金糸雀「カナはみっちゃんかしらー!」

翠星石「却下ですぅ」

金糸雀「LIKEでもいいじゃないかしらー!」

薔薇水晶「私はお父様」

蒼星石「僕も」

水銀燈「私も」

翠星石「LOVEがいないじゃないですか!」プンスカ

 
真紅「私はくんくんをLOVEの意味で愛しているのだわ」

金糸雀「でも、くんくんって忙しいんじゃないかしら。お付き合いしても寂しいだけよ?」

真紅「それでも私はくんくんを愛しているのだわ!」バーン

蒼星石「これは本物だね。雪華綺晶は?」

雪華綺晶「私はマスターですわ」

翠星石「むっ」

雪華綺晶「ど、どちらも大切ですけど、まかなかった方ですわ!」

蒼星石「マスターは元気にしてるかい?」

雪華綺晶「えぇ。マスターは元気100倍ですわ♪」

蒼星石「それなら良かった。翠星石、きみは?」

翠星石「もっちろん!蒼星石ですぅ」

蒼星石「ありがとう、翠星石」

翠星石「あ、あとですね。もしもの話ですよ?もしもドールが人間に恋をしてしまったら…その……辛いですよね?」

雛雪「「!」」

薔薇水晶「………」

 
真紅「そうね。成就の定義にもよるけど、あなたが憧れるような形で公然と恋人同士の関係を築こうとするのであれば…」

翠星石「真紅…」ゴクリ

真紅「相手の人間を社会的に抹消する覚悟が必要かもしれないわね」

翠星石「えーーーーーーっ!!」ガーーン

雪華綺晶「………」

雛苺「うぅ…」ウルウル

真紅「残念だけれど世間の目は規格を外れた者にとても厳しいの」

真紅「ふたりの未来は隠遁もしくは修羅の道へと続くことでしょう」

翠星石「夢もへったくれもねぇ言い様ですぅ~…」ウエーーン

真紅「でもね、俗世間のカテゴリーに括りさえしなければドールは人間の至高のパートナーに適した存在だと思うわ」

真紅「ただ側にいてくれる。ただ話を聴いてくれる。それだけのことが救いになることは誰にでもあるでしょう?」

金糸雀「たしかにそうね」チラッ

水銀燈「――フン!」プイッ

 
真紅「対話の中で人間は自分自身で答えを見つけることもあるわ。それは勿論、人間同士や他の生物でもお手伝いできるのだわ」

金糸雀「ただ、生き物同士だとそれぞれの生活基盤や規律がある分、時間的空間的に不自由がありそうってことかしら」

蒼星石「家族や友達とずっと一緒にはいられないもんね」

翠星石「無機物の方がいつでも側にいられるってことですか?」

真紅「私はそう思うわ」

雪華綺晶「でも、それは普通のお人形さんの話でしょう?私達は普通のお人形ではありませんわ…」

薔薇水晶「きらきー…」

翠星石「前にも言いましたが、ジュンやのり、マスターである人間たちはみんな私たちを残していなくなってしまいます」

翠星石「薔薇乙女は世界に取り残される…。これなら普通の人形の方がマシです!」

水銀燈「今頃気づいたの?私達は絶望するために生まれてきたのよ」

真紅「雪華綺晶、翠星石、水銀燈…」

蒼星石「真紅。僕も頭ではわかっているんだよ。お父様がどんな想いで僕たちを造ったのか。お父様の願いは痛いほどわかってる」

蒼星石「でも、生き物であり無機物でもある中途半端な僕らは、この長い時間をさ迷うだけかい?アリスゲームが終わった今なら尚更だ」

真紅「そ、蒼星石まで…」


金糸雀「ふぅ、困った姉妹達かしら」

本日の投下はここまでです。

それでは投下していきます。

 
金糸雀「正直に言うわ。私はアリスゲーム中に自分がアリスに相応しいとも、アリスになれるとも思っていなかったかしら」

水銀燈「単に自信が無かっただけじゃないのぉ?」

金糸雀「そうね。自信がなかった。姉妹のローザミスティカを奪う覚悟が私にはなかったかしら」

水銀燈「あははっ!弱虫ねぇ」

蒼星石「君も僕のローザミスティカを奪った後に良心の呵責に苛まれていたじゃないか」

水銀燈「…うるさいわね」プイッ

金糸雀「カナは逆転勝利もあると言ったけど、本当はそんなこと思っていなかったの」

翠星石「じゃあ、なんでアリスゲームに参加したです?」

金糸雀「カナは生まれた意味を知りたかったかしら」

金糸雀「水銀燈が言うように私達はジャンクなのか。真紅が言うように私達にも生まれた意味があるのか。確かめたかったの」

水銀燈「………」

真紅「………」

金糸雀「時代を幾度も超えて旅をして色々なものを見て聞いて、マスターの命令も何でも聴いてきたかしら」

雛苺「金糸雀…」ウルッ

 
金糸雀「アリスゲームとは、私達が生きる力を付けるためにお父様が考え出した苦肉の策」

金糸雀「嬉しいこと、楽しいこと、辛いこと、悲しいこと、そして恋だって…!」

金糸雀「お父様は私達に色んなことを経験してほしいと願ってる」

金糸雀「アリスゲームが終わって、これからどう生きていくのかが本当の闘いかしら」

薔薇水晶「私が言うのもなんだけど、金糸雀の言う通りだと思う」

真紅「生きている…それだけでもう闘っている…」

金糸雀「そう。私達は自分をかわいそうとは思わない。闘っているから…」

金糸雀「それがローゼンメイデンの誇り。…そうでしょ?みんな」

雛苺「うん!」

蒼星石「金糸雀の言う通りだね。僕も自分のコンプレックスを克服したと思っていたけど、まだまだだったよ」

水銀燈「…ふん」

薔薇水晶「私はローゼンメイデンじゃないけどね…」

金糸雀「カナは義理の妹だと思っているかしら」

薔薇水晶「そう思ってくれてるなら嬉しい」アリガト

 
金糸雀「さて、話を戻すけど…。翠星石、雪華綺晶。落ち込むのはまだ早いわ。真紅、続きを聞かせてほしいかしら」

真紅「えぇ。そうね」

真紅「人間がドールに向ける愛し方は様々よ。美しく飾ってくれたり、綺麗なお洋服を着せてくれたり…」

真紅「家族の一員として可愛がってくれたり、たくさん遊んでくれたり…」

真紅「どれもドールにとっては幸せなものよ」

翠星石「けれど、子どもは在りし日のお人形遊びを忘れていくですよ?」

真紅「そうね。いくら深い想いで繋がっていても私達とジュンは人形と人間。その事実は変わらないわ」

翠星石「…ジュンなんて一言も言ってねぇですよ」ジー

真紅「コホンッ…///」

真紅「人はみんな成長するわ。心も身体も見える世界も全て変わっていくでしょう」

雪華綺晶「じゃあ、やっぱり…」シュン…

真紅「そうでなくとも人間と人形の恋は難しい…」

翠星石「ですぅ…」シュン…

真紅「そう思っていた時期が真紅にもあったのだわ」

翠星石「え?」

 
真紅「ぶっちゃけた話、世間に何を言われても堂々としてればいいのよ」

雪華綺晶「え…、え?」

真紅「本当に愛してくれるのなら世間の目なんて気にしないのだわ!それに…」

真紅「情熱的に愛を貫いてくれたら、ドールにとってはたまらなく幸せよ!」バーン

翠星石「さっきは脅すようなことを言ってましたのに…」

真紅「相手はともかく、私達は気にする必要はないわ。なぜなら私達はお父様の子よ?」

真紅「お人形を海に捨てられたり、牢獄に入れられたり、世間から非難喝采だったお父様は結局願いを叶えたのだわ!私たちも見習うべきよ」

翠星石「ボロクソですぅ…」

蒼星石「ま、まぁ、夢を諦めずに一生懸命やりきったってのはすごいよね!さすが僕らのお父様だ」

金糸雀「そうね(カナが考えていた事とちょっと違うけど、まぁいいかしら)」


雪華綺晶「闘うことは生きること…妥協しないで精一杯生きる…それが薔薇乙女の誇り…」

薔薇水晶「きらきー?」

 
雪華綺晶「ばらしーちゃん!私、目が覚めましたわ。マスターを想って身を引くのは間違い!」

雪華綺晶「悔いが残らないよう精一杯アタックします!打倒斉藤さん!!燃えてきましたわー!!」メラメラ

薔薇水晶「おー」パチパチ

ワーー ワーー キャーー
ヒューヒュー カシラーー! パチパチパチ…
バンザーイ! バンザーイ!


真紅「はぁ、騒がしいのだわ」

水銀燈「癪だけど同感だわぁ」

薔薇水晶「よーし、私も精一杯アタックしてお父様を落とす」

水銀燈「ふーん…」








水銀燈「えっ?」

 
水銀燈「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉ!」

薔薇水晶「え?」

水銀燈「あなた自分の父親と恋仲になろうっての?」

薔薇水晶「うん、そうだよ」

水銀燈「それって倫理的にどうなのよぉ…」

薔薇水晶「お父様も普通の人間じゃないから大丈夫」ウン

水銀燈「そ、それなら私だってお父様に求婚するわぁ!」

真紅「すればいいじゃない。どうせ天邪鬼っぷりを発揮してツンツンしちゃうだけよ」

水銀燈「なぁんですってぇ…!しぃんくゥゥ!!」


アリスゲーム、サイカイヨーーー!! ノゾムトコロナノダワ!
キャーー!  ヤメルデスゥーー!! カシラー!



雛苺「………」

蒼星石「雛苺、どうしたんだい?」

 
雛苺「蒼星石。ヒナね、恋ってなんだかわかった気がするの」

蒼星石「本当かい?」

雛苺「うん。この気持ちを大事にしていこうと思うなの!」

蒼星石「ふふ、先を越されちゃったみたいだね」





デカ猫「ンニ゛ァァァ~」

子猫「にゃーん」


雛苺「あ!ヒナ、今日は遊ぶ約束があるんだったわ」

蒼星石「お茶会もお開きみたいだし、行っておいで」

雛苺「うん。いってきますなのー!」タタタッ!




<ただいまー

<おかえりなさーい

 
ジュン「おっ、今日はいっぱい居るな」

蒼星石「おかえり、マスター」

雪華綺晶「おかえりなさいませ、マスター」

ジュン「あぁ、ただいま。 …二人とも、マスターはやめろってば」

雪華綺晶「では、ジュン様とお呼びしますわ」

蒼星石「わかったよ、ジュンくん」

ジュン「う~ん、まぁいいけど…」

真紅「あら、おかえりなさい。ジュン」

翠星石「おかえりですぅ」

水銀燈「……」

金糸雀「ジューン!おかえりなさいかしらー」

薔薇水晶「おじゃましてます」

ジュン「うん。ただいま」



のり「みんなー、ご飯食べていくならお姉ちゃん腕によりをかけて作るわよー!」


ヤッターー! バンザーーイ!
キャーー キャーー





 

本日の投下はここまでです。
次回投下は明日の今頃で、次の投下が最後になります。

それでは投下していきます。

 



ジュン「ふわぁ…、僕もそろそろ寝ようかな」

雛苺「…ジュン」パカッ

ジュン「ん?なんだ。まだ起きてたのか」

雛苺「うん…」

ジュン「…? どうかしたか?」

雛苺「えっとね、ヒナね。前にお父様のアトリエで寝ちゃったことがあったの。その時、迎えに来てくれたのはジュンなの?」

ジュン「あー…、そうだよ。ローゼンに呼ばれたんだ」

雛苺「そうだったのね。ありがとなの」

ジュン「別に。どうってことないよ」

雛苺「ねぇ、ジュン。お膝の上に座ってもいい?」

ジュン「えっ?まぁいいけど」

雛苺「わぁい!ありがとなのー」ウンショ

雛苺「ふふーん」ヒザノウエー

 
雛苺「あのね、ジュン」

ジュン「うん?」

雛苺「ヒナね、恋の事を考えてたの」

ジュン「ブフォッ!!げほっ!ごほっ! こ、恋…?」

雛苺「うん。それでね、一つの結論が出たなの」

ジュン「ふぅん、どんなことだよ」

雛苺「それはね。ヒナの大切な人、姉妹、お父様。ヒナは家族に恋をしているの」

雛苺「トモエ、のり、そしてジュンも。みんな大切な家族なのよ」

ジュン「そうか」

雛苺「だからね、ジュンには家族としておやすみのちゅーをしてほしいの///」ドキドキ

ジュン「…………え!?」

雛苺「いつかのりやオディール、真紅や水銀燈、みんなとちゅーがしたいけど、まずはジュンから」

ジュン「(こ、こ、これは親愛の方のキスってことだよな…?!家族とか友達とするやつだよな!?みんなとするってことはそうだよな!?)」

雛苺「ジュン…、ダメなの…?」ウルッ

ジュン「!!」ギクッ

 
ジュン「(やばいまずい!!泣きそうだ!こ、これはやるしかないぞ、僕!)」

ジュン「わ、わかったよ。 雛苺、オデコを出して」ドキドキ

雛苺「はいなの」

ジュン「い、いくぞ」ドキドキ



雛苺「……」ドキドキ




雛苺「……」ドキドキドキ





ジュン「……」スッ…


雛苺「あ…」ピクンッ

ジュン「…んっ」




ジュン「……」スッ…

雛苺「あぅ…////」ドキンドキンドキンドキン
 

 
雛苺「…………////」ポー

ジュン「ひ、雛苺。大丈夫か?」

雛苺「は、はいなの!問題ないの!!」ハッ!

ジュン「しーっ!静かに!」シー

雛苺「ご、ごめんなさいなの」




ジュン「ふぅ…、恥ずかしかった」

雛苺「ふふ、ジュンのお胸の音すごかったの」

ジュン「お、お前には言われたくないよ!///」



ジュン「さて、もう寝よう」

雛苺「待ってなの!まだ雛苺はちゅーしてないわ」

ジュン「えっ!?だってさっき…」

雛苺「それはジュンからのちゅー。今度はヒナからするの」

ジュン「う、うそだろ…?」

雛苺「じゃあ、ホッペをこっちに向けてほしいの!」

ジュン「………わかったよ…」ドキドキ

 
ジュン「ほら」

雛苺「じゃ、じゃあ、いくのよ。ジュン」ドキドキ

ジュン「あ、あぁ…」ドキドキ

雛苺「……」



雛苺「…ごめんね、ジュン…」ボソッ

ジュン「えっ?雛苺、いま何か… 雛苺「―――ん」

ジュン「んっ?! んんっ!!」
 

 
雛苺「ぷはぁ!」

ジュン「ぷはっ!お、お前……雛苺ぉ!!」

雛苺「ジュン、ごめんなさい!おやすみなさいなのー!」パタンッ

ジュン「ま、待てコラ!雛苺―――!!」

真紅「ジュン!うるさいのだわ!!何時だと思っているの!!」パカッ

ジュン「こ、これはその…」

真紅「問答無用!!」ピシッ!パシッ! 


ギャーー!!






 

 
真紅『問答無用!!』ピシッ!パシッ!


ギャーー!!




雛苺「(ごめんね、ジュン…)」ドキンドキンドキンドキン

雛苺「(ヒナはどうしても、お口同士のちゅーをしてみたかったの)」ドキンドキンドキン

雛苺「(みんなの話を聴いて、ヒナは家族に恋をしてると思ったわ)」ドキドキドキドキ

雛苺「(でも、トモエとおやすみのちゅーをした時はこんなことにはならなかった)」ドキドキドキ

雛苺「(もしかして、これが恋なの?もしそうなら、とっても苦しいのよ…)」ドキドキドキ

雛苺「(でも、この気持ちは苦しいだけじゃない…)」ポー

雛苺「(苦しいけど、すっごく幸せなこの気持ちは、まるでうにゅーを食べる前みたいなの)」

雛苺「(ちゅーはうにゅーみたいに甘くない。けれど、とっても心が満たされるの)」

雛苺「(ちゅーだけじゃない。恋や愛も想像より苦しいものかもしれない。でも、それでもヒナにとっては…)」




雛苺「ちゅーってうにゅーみたいに甘いなの!」


END

これで終わりです。
読んでくれた方、レスをつけてくれた方、本当にありがとうございました。

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