ボストロール「俺が勇者だ!!」(26)

城内・騎士の部屋

大臣「騎士はいるか?」

騎士「これは大臣様。どうなさいました?」

大臣「勇者一行が王に謁見を求めている」

騎士「えっ!? 女神様に選らばれたという、あの勇者様ですか!? 」

大臣「……そうだ。あの勇者だ」

騎士「それは凄い!! この城に寄って下さるなんて!! 今、部下達に失礼の無いように歓迎の準備を……」

大臣「しなくとも良い」

騎士「えっ?」

大臣「王は、まだ会いたくないとのことだ」

騎士「今は? 魔王退治の為に旅をしていらっしゃる勇者様ですよ? そんなに長く滞在されるわけでもないはずなのに?」

大臣「お前は知らないのか? 町でも色々と噂になってるんだが」

騎士「?」

大臣「……まあ、よかろう。早い話、王は勇者が偽者で自分を暗殺に来たのではないかと疑っておられる。なので『まだ』会いたくないそうだ」


騎士「偽勇者なのでしょうか?」

大臣「お前は騎士団長であり、人事も担当してるな」

騎士「はい」

大臣「お前の能力は確かであろう?」

騎士「つまり、私に勇者様が偽者かどうか確かめてこいと……」

大臣「察しがよいな。よろしく頼む。それと、王が勇者を疑っていることは隠しておくれ。王が暗殺を恐れる小心者と思われては国の名誉に傷が付く」

騎士「……そうですね。それでは勇者様は今どこに?」

大臣「城下町の宿に泊まっているはずだ」

・・城下町・宿屋・・


宿屋の主人「勇者なら今出掛けてるよ。しばらく戻らないそうだ。ここで待つかい?」


騎士「いや、勇者様一行に早く会いたいから、町を探してみるよ。邪魔したな」

宿屋の主人「……勇者一行か。本当に勇者なのかねー、あの連中。金さえ払ってくれれば別になんだっていいけどさ」

ーー城下町・大通りーー


騎士「……しまった 。勇者様の顔知らないや。 せめて人相くらい聞いてくればよかった……」トコトコ

騎士「でも、勇者様なら誰かに聞けばわかるか。色々と噂になってるらしいし」トコトコ

町人a「あれー? 騎士様どうしたんですか?」

騎士「やあ。ちょっと勇者様を探してるのだが……」

町人a「」ビクッ

騎士「ん?どうした? 勇者様は何処にいるか知って……」

町人a「う、うしろ」ガクガク

騎士「うしろ? 私の後ろ?」クルッ

騎士「さっきまで人が大勢いたのに少なくなった? ……遠くから何か来るな?」ジー


町人a「うわー!!」

騎士「ちょっと、町人aー! 何処に行くのー?」

町人b「来たぜ……勇者だ……」

町人c「お、おい! 早く隠れよう!」

騎士「えっ? えっ? 勇者様来るの? どこ? ねぇ、どこ?」

騎士「もしかして、あの歩いて来るデカイ人が勇者様?…… いや違う!?」

ボストロール「なんだ? お前は隠れないのか?」

騎士「くっ、ボストロールか……私だけで勝てるか?」ジャキン

ボストロール「うおっ、あぶな! いきなり剣を抜くな!」

騎士「おのれモンスター! 町の中まで侵略してくるなんて! 見張りは何をしている!」シュッ

ボストロール「お、おい!? 違う!? 剣を降るな! 俺は勇者だ!」サッ

騎士「嘘だ! 滅びよ魔物め!」

ボストロール「助けてくれ! 僧侶! 賢者!」

僧侶「あ、あの……、お、お、落ち着いて……」オロオロ

賢者「お前が落ち着けよ僧侶。勘違いはいつもの事だろ」


騎士「おのれー! かよわき女性を二人も人質にするなんて! さすが魔物! 汚い!」シュッ

ボストロール「うおっ、こいつ強い! マジヤベー! 」サッ

騎士「デカイくせによけるな!邪悪なボストロールめ!!」

僧侶「落ち着いて、落ち着いてください」オロオロ

ボストロール「だ・か・ら! 違うと言ってるだろうが!」ゴン

騎士「うっ…」バタンキュー

ボストロール「あっ……」

賢者「あーあ、やっちまった。生きてる?」

ボストロール「……よかった。気絶しただけだ」

僧侶「落ち着いて、落ち着いてください! は、話会えばわかります」オロオロ

賢者「僧侶、いい加減に落ち着こうよ」

ーー城下町・宿屋ーー

騎士「……おのれボストロール!!」ガバッ

賢者「あっ、起きた」

僧侶「おはよーございます」ニコニコ

騎士「……あれ? わ、私の剣がない!? ボストロールは!? ここはどこだ!?」キョロキョロ

賢者「お前の剣はここ。 ボストロールは外の庭。 ここは宿屋」

僧侶「あなたの荷物は私が預かってるよ」ニコニコ

騎士「あなた方は……よかったー。ボストロールから逃げれたんですね」

賢者「いや、逃げてないし。ボストロールは元気に庭にいるし」

騎士「くっ、私としたことが……。早く剣を返してくれ! 魔物を倒さないと町に被害が!」

僧侶「大丈夫ですよ。騎士ちゃん。ボストロールは勇者様ですから」ニコニコ

騎士「えっ?」

僧侶「もう一度言いますよ。ボストロールは勇者様です」ニコニコ

騎士「ボストロールは……勇者様……」

賢者「そう。ボストロールが勇者で私たちはその仲間」


騎士「……すまない! 私は勇者様に何て事を!」

賢者「あれ? 信じてくれるんだ?」

騎士「ええ、あなた方は嘘を言ってないと思う」

賢者「ふーん。もう少し疑ってくれてもいいのに」

僧侶「賢者、せっかく信じてくれてるんだからそんな事、言わないの」ニコニコ

騎士「改めまして。私は騎士と申します」

賢者「うん、知ってる。キミって有名人なんだね。宿屋のおっちゃんから教えて貰った」

僧侶「最年少の騎士団長様。しかも女性で初。すごいねー」ニコニコ

騎士「そんな事ないです。勇者様達に比べたら、私なんてちっぽけです」テレテレ


賢者「ボクは賢者。んで、このニコニコしてんのが僧侶。そんで外の窓からこっち覗いてんのが、勇者のボストロール」

僧侶「よろしくー」ニコニコ

ボストロール「起きたんなら、教えろよー。騎士よろしく。さっきは悪かったな」

騎士「……いえ、こちらこそすいませんでした」ギロッ

ボストロール「(マジでこわい)」

騎士「あの、ボストロールが勇者様だという証拠ありますか?」

賢者「ボストロール、あれ見せたら? 女神から貰った『勇者の印』」

ボストロール「また、あれ見せんの? 門番に見せて、確か袋の中にしまったよな」ゴソゴソ

騎士「本当にあるんだ……『勇者の印』」

賢者「女神様に会った証拠だからね。女神様の祈りで防御力超upの首飾りさ」


ボストロール「あった。ほらよ」ポイ

騎士「投げないでください!? バチが当たりますよ!?」

ボストロール「はいはい」

騎士「この美しい紋章は確かに勇者の印……。そして、この金属はなんだ?オリハルコン? 強い魔力と神力も感じる……。人の手で作るのは無理だろうな……」

ボストロール「どうだ?本物だろ?」

騎士「確かに本物だと思います。しかし、これを本来の持ち主から盗んだ可能性や、拾った可能性もあります」

ボストロール「拾ったわけでもねーし、ましてや盗んでなんかねーよ」

騎士「……そうですか」

賢者「……騎士、ボストロールに冷たいな。まだ怒ってる?」


騎士「い、いえ、怒ってないですよ。二人の事は信じます。でも、やっぱり魔物が勇者様というのが……」

僧侶「んー? ボストロールは人間だよ?」ニコニコ

騎士「えっ? ボストロールは魔物ですよ」

僧侶「……? 私達とボストロールで何か違います?」

騎士「何から何まで違いますよ。肌の色だって緑だし、デカイし」

僧侶「私達だって違いますよ? 私より賢者は色黒いし、騎士ちゃんは色白だし。賢者なんてこんなにちっちゃいですよ。」

賢者「……僧侶。ボクに喧嘩売ってる?」

騎士「しかし、ボストロールは邪悪な存在だ!魔物なんだよ! 嘘つきだし、なにより他の生き物を暴力で支配しようとする」

ボストロール「おいおい、喧嘩はやめなよ」


ボストロール「おいおい、喧

僧侶「騎士ちゃんもう忘れたんですか? 話も気がずにボストロールに剣を向けたよね? 殺そうとしたよね?」

騎士「あれは違う! 私は人を、みんなを守るために……」

賢者「二人共、いい加減に……」

ボストロール「お前らいい加減にしろ!!!!!」ドッゴーン!!!!

賢者・僧侶・騎士「!?」

ボストロール「せっかく誤解もとけて仲良く慣れそうだったんだろ!?
僧侶も騎士も握手」

>>11

ボストロール「おいおい、喧嘩はやめ

ミスです


僧侶「でも、騎士ちゃんがボストロールを……」

ボストロール「俺の事はどうでもいい。俺は魔物だ。別にどう思われてもいい。この話はおしまい」

僧侶「……でも、……でも」ウルウル

騎士「私としたことが二度も過ちを犯してしまった。 すいまない……。僧侶と賢者が信じてるように、私もボストロールを信じてみよう」

僧侶「……騎士ちゃん」

ボストロール「お?そうか。俺を信じろ。必ず魔王をたおしてやるよ」

騎士「はい。今度の言葉は信じます。もう嘘をつかないでもくださいね」

ボストロール「俺、お前に嘘言ったけ?」

騎士「さあ?」

賢者「……」

賢者「あっ、宿屋の壁。ボストロール弁償しろよ」

次回は遅くなります

初めての投稿なのでアドバイスや感想があったら教えてください

う~ん…ネタはいいんだけどなぁ…

やっぱ見せ方に問題があるのかな

構成次第で結構面白くなりそうだけど

ーー城内・大臣の部屋ーー

騎士「失礼します。勇者様について、ご報告に参りました」

大臣「ご苦労。どうであった?」

騎士「気になる点はいくつかありますが、本物の勇者様だと思います」

大臣「ふむ……。お前がそう言うのならそうなのだろう」

騎士「しかし、噂の勇者様がボストロールだったなんて、正直驚きました」

大臣「噂ならまだまだあるぞ。魔王が送り出しだした偽者だとか、勇者の主食は人間だとかな」

騎士「王が会いたがらないお気持ち少しわかります」

大臣「あの性格では、本物の勇者だと知らせても、何かと理由を付けて、お会いにはならないであろうな」


騎士「王が望まぬなら、勇者には私から断りましょうか?」

大臣「いや、偽者ならともかく、本物の勇者ならば無理にでも謁見に応じて頂く」

騎士「どうするのですか?」

大臣「勇者には試練の洞窟を攻略してもらう。通行許可は私が出しておく。騎士は勇者の手伝をしてくれ」

騎士「試練の洞窟ですか!? たしか、クリアした者は王位継承権を得ることができるんですよね? 」

大臣「王には『冒険心により、勇者は試練の洞窟を攻略するつもりです』と進言しよう。さすれば、引き止めと謁見に応じる旨を伝える使者を遣わせるはずだ」


騎士「それでも王が応じなかったら?」

大臣「勇者が攻略しても構わない。王がボストロールの国も面白いと思わないか? 仮にも勇者だ。悪くはないであろう」

騎士「……本気なんですね。ある意味クーデターですよ? そこまでする必要があるのですか?」

大臣「勇者は他国の王には会っておらぬ。何故、我が王のみに謁見を申し込んだんだ? 真意はどこにあるのか気にはならないか?」

騎士「……直接聞けばいいのでは?」

大臣「……お前にはロマンと思量が足りないな。聞いたけど誤魔化されたんだ」


ーー試練の洞窟・入口ーー

ボストロール「……着いてしまったな」

賢者「……意外と近いんだね」

僧侶「……騎士ちゃん、どうしよう?」

騎士「引き止めの使者はなぜ来ない」イライラ

賢者「もう入っちゃおうよ」

ボストロール「俺は王様なんてなりたくねーよ 」

騎士「……王や大臣は何をしている。そこまでボストロールに会いたくないのか?」イライラ

僧侶「……あれ? 洞窟の中に誰かいますよ? あれが使者さん?」

騎士「なんだ、先に来てたのか」ホッ

ボストロール「なんか、手招きしてるな? 中に入れってことか?」

騎士「あっ、今行きまーす!! 勇者様達も行きましょう」スタスタ

カラカラ……コツン……

カラカラ…コツン…コツン…

僧侶「?? 小石?上から落ちてきたの?」

ボストロール「……おい!! 走れ!!落石だ!!」

賢者「ちょっと! ヤバイ!」

騎士「えっ、なんで……?」

ボストロール「ぼけっとするな!走れ!」

ーー試練の洞窟・内部一階ーー

ボストロール「みんな無事か?」

賢者「ボストロールこそ大丈夫? みんなを庇って怪我してない?」

ボストロール「なんとかな。僧侶は無傷か?スゲーな」

僧侶「なんとかじゃないよ! ボストロール、腕の骨が折れてる! すぐに回復魔法かけるから! 動かないで」

ボストロール「流石は試練の洞窟だな。いきなり落石とは恐れいった。」

賢者「僕は自分と騎士にかけるから、僧侶はボストロールに」

騎士「……」

賢者「(騎士……説明して)」ボソッ

騎士「……」


賢者「(あの落石は事故じゃない。明かに僕達を狙って下敷きにするつもりだったよね? これって試練なの?)」

騎士「(……試練の洞窟は王家の神聖なる場所なんだ。確かに危険ではあるけど……命を奪うような罠はない)」

賢者「(ふーん。騎士は巻き込まれたんだから犯人じゃないね)」

騎士「(当たり前だ!)」

ボストロール「なに二人でボソボソ話してるんだ? それより使者は無事か? どこ行った?」

騎士「そうだ! 使者は? あいつが仕組んだのか?」


ボストロール「仕組んだ? 何を?」

賢者「あー、ボストロールに王様になって欲しいから、中に招き入れたってことかな?」

ボストロール「俺は王様なんかなりたくないって言ってるんだがなー」

騎士「(なぜ嘘を!?)」ボソッ

賢者「(黒幕がわかるまでボストロールには内緒にしてくれる? あいつ単純だから、キレると何をしでかすかわからない)」

騎士「(……わかった)」

>>15
構成ですか
あんまり考えてませんでした
次は頑張ってみます

そして次回も遅くなると思いますm(__)m

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