バハムー娘(ばはむーこ)「さあ、朝ご飯だ!」(79)



バハムー娘「おーい起きろー!ご飯の用意ができたぞ!」

男「むー…ん」

バハムー娘「ほらっ、早く食べてくれないと冷めてしまうだろう!」

男「休みの日はゆっくりさせてくれっていつも…」



バハムー娘「起きてくれないと灰にするぞ?」ボボボッ

男「起きます」ムク

バハムー娘「よろしい♪」ニコ


男「いただきます」

男「今日もうまいな。ずいぶん上達したよな、料理」モグモグ

バハムー娘「ふん!私をなめるな!」

バハムー娘「それに、褒めても何も出んぞ?////」プン

男「掃除もすごく丁寧だ」

バハムー娘「だ、だから、褒めても何も…////」

男「なかなかに素晴らしい」ナデナデ


バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー

バハムー娘「はっ////」


バハムー娘「ほ、褒めるようなことでもないだろっ!////」


バハムー娘「私は…、お、恩をお前に返しているだけなんだから!」

男「んな、恩てったって、腹減らしてた所を助けただけだろ?」

バハムー娘「まあ、そうなのだが…、よくもまあ、人外など家に住まわせたものだな」

男「居候して随分経つのに、何を今更」

男「それにバハムー娘は悪いヤツじゃないし」

バハムー娘「お、お前にそう言われると…嬉しいな////」

男「可愛いなぁ」ナデナデ

バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー



――


男「ごちそうさま」

バハムー娘「はいよ」

男「ホントに上達したよな、家事」

バハムー娘「ふん!」フン

男「料理だって最初の頃は…」


……



――
―――


バハムー娘「世話になりっぱなしだと、居候としては肩身が狭いな」

バハムー娘「よし!夕飯は私が作ろう!」

男「料理、ちゃんとできるのか?」

バハムー娘「庶民にできて、龍貴族の私にできないワケないだろう?」フン

バハムー娘「今日の夕飯は…」ガサガサ

男「サバを焼こうかと」

バハムー娘「焼くか!私の専売特許だな!」

バハムー娘「チマチマ焼かなくても、一発でこんがり焼いてやろう!」


男「ほう」

バハムー娘「見ていろ」フォーク、ブス

バハムー娘「すぅうぅううう!」

男「?」

バハムー娘「ん」プクー

バハムー娘「ほっ」カッ!

男「!!?」


ズドドゴバボンッ!!!!!!


ズズズン…

男「あっづっ!!な、何した、お前!」


バハムー娘「ふぉふっ、私の体内で起こした化学反応で炎を作り出してだな…」


サバ「」



バハムー娘「お前!サバを何処にやった!?」

バハムー娘「さては一人占めしたな!?まったく、卑しいヤツだな!」

男「アホか!お前は!」

ドンドンドン

大家「大家ですけど!!今お宅からすごい音がして、アパート揺れたんですけど何をしたんですか!?」

男「ああっスイマセン!スイマセン!」


―――
――





バハムー娘「言わないで…////」

男「今では焼き加減も完璧だ」

バハムー娘「ふ、ふん!当たり前だ!」

男「あと、掃除もな…」


……



――
―――


バハムー娘「世話になりっぱなしだと、居候としては肩身が狭いなぁ」

バハムー娘「よし!掃除は私がしてやろう!」

男「掃除、ちゃんとできるのか?」

バハムー娘「庶民にできて、龍貴族の私にできないワケ無いだろう?」フン

バハムー娘「では…」バサッ

男「おお、龍の翼!…を出してどうする?」

バハムー娘「風を起こす!この翼でな!」

バハムー娘「チマチマ掃かなくても、一発でさっぱり掃いてやろう」


男「ほう」

バハムー娘「見ていろ」バサッ

バハムー娘「んー!」グググッ

男「?」

バハムー娘「んー」ググー

バハムー娘「ほっ」バサッ!

男「!!?」


ブボフォアアアァァァ!!ガチャンパリン!!ドンッガタッ!!ドン!


ズズズン…

男「あいたっ!!な、何した、お前!」


バハムー娘「ふぅふっ、私の翼で起こした風で竜巻を作り出してだな…」


部屋「」



バハムー娘「お前!なぜすぐに散らかす!?」

バハムー娘「まだまだ子供だな!まったく、かわいいヤツめ!」

男「アホか!お前は!」

ドンドンドン

大家「大家ですけど!!今お宅からすごい音がして、アパート揺れたんですけど何をしたんですか!?」

男「ああっスイマセン!スイマセン!」


―――
――




バハムー娘「言わないで…////」

男「今では隅々まで完璧だ」

バハムー娘「ふ、ふん!当たり前だ!」

男「あと…」


バハムー娘「もう言わないで…」シュン

男「そう落ち込むな」

バハムー娘「ふふふ」

バハムー娘「そうだな…私は一人だと何もできなかった」

バハムー娘「だが今は、お前のおかげで随分成長したと思うぞ」

ピンポーン


 


男「はーい」

バハムー娘「あ、多分私だ」

バハムー娘「はいはーい」

?「内職受け取りに来ましたー!」

バハムー娘「はーい!少し待ってくださーい」

男「運ぶの手伝うよ」

バハムー娘「すまんな」


 


依頼主「いやぁ、バハムー娘さんの作業、丁寧だって本社内でも評判ですよ」

バハムー娘「そ、そうなんですか?」

依頼主「しかも丁寧な上に、作業のスピードも速いときた!」

バハムー娘「褒めて頂いて光栄です」

依頼主「これからもよろしくお願いしますね」

バハムー娘「いえっ!こちらこそ今後ともよろしくお願いします!」ペコリ

依頼主「はい」

依頼主「では、これが次回分の内職と…」

依頼主「それと、こちらが今月分のお給料です」

バハムー娘「ありがとうございます!」ペコ
依頼主「はい、またお願いしますね」

バハムー娘「よろしくお願いします」ペコ

ふむ、続けてくれ

FFでドラゴンのイメージついてるけどバハムートってベヒモス(超でっかい牛)の別名なんだよね

>>15さん
>>16さん

読んで頂きありがとうございます。

当方も書き進めているときに調べて『ベヒーモス=バハムート』というのを初めて知りました。

しかしながら、このままドラゴンのイメージで読んで頂けると幸いです

引き続きよろしくお願い致します




バハムー娘「おおー!今回は結構な額だぞ!」

男「うちの家計も大いに助かってるよ。いつもありがとう」

バハムー娘「まあ世話になる以上、働かざる者食うべからず、だからな」

男「そういやお前、本社から正社員にならないかって誘われてたんだろ?」

男「内職から正社員ってすげぇ良待遇、なんで断ったんだ?」

バハムー娘「あ、ああ、まあ、その…あまり目立った生活はしたくないしな。嬉しいが断らせてもらったよ」

バハムー娘「それに…」チラ

男「ん?」

バハムー娘「なんでもない////」




男「しかし、人外とは言え貴族の娘さんにこんな地味な生活させてるのも、気が引けるというかなんというか…」

バハムー娘「お前は気にしなくていいよ」



バハムー娘「…私は、今の生活が気に入っている」

男「大して広くもない部屋でもか?」

バハムー娘「部屋の広さなんて、問題ではない」

バハムー娘「私は、生まれた時から龍貴族の娘として何不自由なく生きてきた」


バハムー娘「なのに、もっと色んな世界が見たい、色んな世界を知りたい、一人で生きてみたいなどと…」

男「そっちの世界を出た理由がそうだったな…」


バハムー娘「本当…、こっちの世界で何もできない自分が嫌になったよ」

バハムー娘「しかし、お前に助けてもらって…」

バハムー娘「お前に色々教わって、気づいた」

バハムー娘「自分の足で地に立って、世界を見るとこんなにも鮮やかに見えるのだな」

男「お、詩人ですな」

バハムー娘「ちゃ、茶化すな////」

バハムー娘「まあ、お前に会えた事が家を出て、最も良かったことだがな」ニコニコ

男「て、照れるだろ////」ポリポリ

バハムー娘「ふふん!仕返しだ」クスクス

バハムー娘「…なあ」

男「ん?」

バハムー娘「土曜日だし、何処か出かけないか?」

男「ああ、そうしようか」

バハムー娘「うん!」


―繁華街―




バハムー娘「ああっ、んっ!」

男「声、出過ぎだぞ」

バハムー娘「だって…!あっ」

バハムー娘「ん、もうっ、少しっ…!」

バハムー娘「あ、ああっ」

バハムー娘「んんんっ!」




 


ポロリ

バハムー娘「ああ…落ちた…」ガックリ

男「次、貸してみな」

バハムー娘「これ、絶対取れないだろ!」プンスカ

バハムー娘「アームがぷらんぷらんしてるもんっ!」プンスカ

男「まあまあ、コツがあるんだよ、コツが」

チャリンチャリンチャリン

男「見てろよ」

バハムー娘「むー」

ウィーン

バハムー娘「おお?」

ウィーン

バハムー娘「おおおっ!?」


……



バハムー娘「ふふ」スキップスキップ

バハムー娘「ふふふー」ニコニコ

男「えらく嬉しそうだな」

バハムー娘「ああ!すごく嬉しいぞ!」

バハムー娘「ほら!コレ!!」

バハムー娘「かわいいだろ?」ギュ

男「ゲーセンでさっき獲ったぬいぐるみだろ?」

バハムー娘「ドラゴンのクセに、全体的に丸いフォルムがたまらんなぁ」ギュー

バハムー娘「それに」

男「うん?」

バハムー娘「男が…獲ってくれたものだから…」


男「え」


バハムー娘「うん、嬉しい」ニコニコ

男「おう////」



男「あっ!ちょ、ちょうどいいや!クレープ食べていかないか?////」

バハムー娘「おお!食べたい!食べよう!」


男「食べたら、どうする?」

バハムー娘「もう少し、ぶらぶらしないか?」

バハムー娘「服が見たいんだ」

男「ああ、いいよ」

バハムー娘「ふふふー」



――


男「そろそろ帰ろうか?」

バハムー娘「あ、少しだけ別行動…構わないか?」

男「何か用事か?」

バハムー娘「あ、あの…その…、内職で使う道具を買いに、な」

男「なら一緒に行ってもいいぞ?」

バハムー娘「い、いや、うん、いいんだ」

バハムー娘「その、なんだ…こ、こっちの世界に慣れたとは言っても、やはり日々勉強日々精進、だからな、うん」

バハムー娘「買い物もできるときには一人でしたいんだ」


男「そういうことなら…そうしようか」

バハムー娘「ああ。では30分後に駅の改札で」

男「随分と長いんだな」

バハムー娘「そ、そうか?」

男「まあ、もう一人で居ても問題無いし、バハムー娘がそうしたいってなら、俺もどこかで時間潰してるよ」

バハムー娘「すまないな」

男「いいよ、気をつけてな」

バハムー娘「うん!」


―30分後―

バハムー娘「お待たせー、はあ」パタパタ

男「走ってきたのか?」

バハムー娘「遅れそうだっ、はあ、たから、はあ」

男「別によかったのに」

バハムー娘「翼を出してひとっ飛びしたかったが堪えたぞ!」フン

男「えらいえらい」ナデナデ

バハムー娘「ほふふふー」

バハムー娘「は!なめるな!ここでそんな事できるわけないだろ!?走るしかないじゃないか!」

男「はははっ、そうだな。で、もう用事は無いか?」

バハムー娘「うん。さあ帰ろう」


―男宅―

男「ただいま」

バハムー娘「ただいま」

男「晩メシどうしよう」

バハムー娘「私が作るよ」エプロンキュッ

男「出かけて疲れてるだろうに」

バハムー娘「さっきも言ったけど、日々勉強日々精進、だよ!」

男「そか、じゃあ…頼むよ」

バハムー娘「頼まれた!」

バハムー娘「ふんふーん♪」




バハムー娘「できたよー!」

男「お、俺の好きなサバの味噌煮か!」

バハムー娘「ご飯は鳥めしを炊いたぞ」

男「…すごいな」

バハムー娘「え?」

男「やっぱり料理スキルがすごいなって。いつでも嫁に行けるな」

バハムー娘「ばっ…!////」

男「あ、いや、大した意味は無いんだ」

バハムー娘「…ばか」


男・バハムー娘「…」


男「た、食べようか」

バハムー娘「う、うん」


――

男「ごちそうさま」

バハムー娘「ごちそうさま」

男「今日も美味かったよ」

バハムー娘「どういたしまして」

男「いつもありがとうな、バハムー娘」

バハムー娘「ど、どうしたんだ?急に」



男「ん…今日でお前がうちにきて」

男「ちょうど1年だよな」

バハムー娘「あ」

男「どうした?」

バハムー娘「覚えてて…くれたんだ」


男「ははっ、こんな非日常が始まった日を忘れるもんか」

バハムー娘「過ぎる日々はことごとく日常だけどな」クスクス

男「はははっ、ホントだな」

男「お前が人外ってこと以外は、普通の日常だもんな」

バハムー娘「それでも、私にとってはかけがえのない日々ばかりだよ」


男「バハムー娘…」



バハムー娘「…あの」

バハムー娘「…男、これ」ガサガサ


バハムー娘「受け取ってくれ」

男「…腕時計」

バハムー娘「男に…何をあげればいいかわからないから…」

バハムー娘「内職代で買える範囲のプレゼントを、な」

男「これ…結構なブランド物だぞ?」

バハムー娘「さっき買った」

男「あ、もしかして」

バハムー娘「そうだ」

男「…」

バハムー娘「男、いつも、ありがとう////」

バハムー娘「この1年、本当にお前が居てくれてよかった」



男「そんな大袈裟な…」

バハムー娘「嘘偽り無い、私の本心だ」



男「ありがとう、嬉しいよ」

男「…ちょっと待ってて」スクッ

バハムー娘「?」

ガラッ

男「…これ」

バハムー娘「これは?」

男「俺からの日頃のお礼だ」

バハムー娘「あ、開けていいか?」

男「どうぞ」

バハムー娘「なんだろ」パカ


バハムー娘「あ」

バハムー娘「ペンダント…」

バハムー娘「ひまわり…だ」


男「バハムー娘がこっちに来て間もない頃、ひまわりを見て綺麗だなって言ってて」

男「時々、ひまわりを買ってきて、花瓶に挿してあっただろ?」

バハムー娘「そんな些細な事、覚えてたのか…」

バハムー娘「うん、好きなんだ、ひまわり」

男「と、思ってひまわりのデザインにした」

バハムー娘「ほふふふー////」ニコニコ

バハムー娘「着けていいか?」

男「ん、どうぞ」


キラリ

バハムー娘「似合う?」

男「うん。似合ってる」

バハムー娘「ほふふふー」ニヘラー



男「バハムー娘っ…」

ギュッ

バハムー娘「えっ!?」ドキッ

男「…花言葉って知ってるか?」

バハムー娘「えっと、どどどうした?お男?」

男「花に込められた想いというか、そういうのなんだけど…」

男「ひまわりの花言葉は」


男「あなたは素晴らしい」

バハムー娘「え?」

男「私はあなただけを見つめたい」

バハムー娘「え?え?え?」

男「ははは…アホだな、俺は」

男「身分はおろか、種族も違うのに」

男「でも…バハムー娘…好きだ」


バハムー娘「おっ!おーっ!お…」

バハムー娘「男!」

ギュッ

バハムー娘「わっ、私で、いいのか?」ギュウ

バハムー娘「私は、龍だぞ!?」


男「お前の頑張りはずっと見てたよ」

男「人間とか龍とか、そんなの関係ないくらい」

男「バハムー娘は魅力的だ」

男「バハムー娘!好きだ!!」

バハムー娘「私だって!!」

バハムー娘「優しく根気よく面倒見てくれて」

バハムー娘「お前がいる世界を私に教えてくれた」

バハムー娘「何より」

バハムー娘「人を愛することを、教えてくれた!」

バハムー娘「そんなお前が愛しくて愛しくてっ…!」


「だ、だからっ…!」

グイッ

男「な、なんだ?いきなり」


バハムー娘「う、うなじに黒い鱗の部分があるだろう?」クイックイッ

男「ああ」

バハムー娘「その中に、一枚だけ逆さまの鱗があるんだ」


バハムー娘「それが私の『逆鱗』…なんだけど」

バハムー娘「さ、触って…いいぞ」

男「んえ?」

バハムー娘「ほら」クイッ

男「いや、逆鱗って触れちゃいかんもんなんじゃ…?」

バハムー娘「私は…男、お前を」

バハムー娘「ううん…」

バハムー娘「あなたを愛しています」

バハムー娘「…愛する人には触られても、触らせても、良いんだ////」



男「バハムー娘っ…!」

男「じゃあ…触らせて、もらうぞ?」

バハムー娘「あ、ああ////」ドキドキ

ヒタ

バハムー娘「はうぅっ、あっ////」

男「だ、大丈夫か!?」

バハムー娘「はあっはっ、あっ、ふ、普通なら苦痛なハズなのに」

バハムー娘「んんっ、気持ち次第で、ふあ、こうも変わるのだな」トローン

男「ば、バハムー娘…」

バハムー娘「んふぅ…、おと…あなた…」

チュ

男「んっ」チュウ


バハムー娘「ふあっ、私のファースト、キスだ////」

男「あ、ありがたき幸せ」

バハムー娘「ふふっ」






バハムー娘「愛しています、あなた////」




 


―数日後―


バハムー娘「おーい起きろー!ご飯の用意ができたぞ!」

男「むー…ん」

バハムー娘「ほらっ、早く食べてくれないと冷めてしまうだろう!」

男「休みの日はゆっくりさせてくれっていつも…」



バハムー娘「起きてくれないと灰にするぞ?」ボボボッ

男「起きます」ムク

バハムー娘「よろしい♪」ニコ




男「しかし、驚いたな」

バハムー娘「何がだ?」

男「バハムー娘たちの世界の住人に、だよ」

男「まさか、戸籍まで作ってしまうとは」

バハムー娘「まあ、神に近い存在だからな」

バハムー娘「人智を超えることなど簡単だ」

男「公文書偽ぞ…」

バハムー娘「人聞きの悪い!」

バハムー娘「あくまで、『新造』しただけだ!神の力でな!」

男「うーん…ま、神様ならいいか」


バハムー娘「我々にできない事などそうはないぞ!」フン



男「家事はできなかったのに?」

バハムー娘「ばっ////」

バハムー娘「ばか!そんな事言うと別れるぞ?」

男「お前にできるのか?」




バハムー娘「…できません////」

男「はははっ」

バハムー娘「ふふふっ」



バハムー娘「なあ」

男「ん?」

バハムー娘「正社員の話、断った理由、まだちゃんと言ってなかったな」

男「目立ちたくないからじゃないのか?」

バハムー娘「それも少しある」

バハムー娘「…けど」モジモジ

男「?」

バハムー娘「一番の理由は…あなたに、温かいご飯を用意したいからだよ」

男「え?」

バハムー娘「うん、あなたがいない昼間は正直、寂しくて…働くのもいいかと思ったが」


バハムー娘「仕事から帰ってきたあなたを、出迎えてあげたい、温かい夕食を食べてもらいたい…」

バハムー娘「働くと、それが難儀になるから」

バハムー娘「私は…、あなたが第一だ!////」

男「バハムー娘ぉっ!!」ガバッギュウ

バハムー娘「こらっ!朝ご飯…!」

男「大っっ好きだ!」

バハムー娘「私も大っっ好きだ!」

男「ぎゅー!」ギュウ

バハムー娘「ふふっ、いちゃつくのはこれぐらいにして…」






「さあ、朝ご飯だ!」







おわり

拙い文章で、お目汚し失礼しました。

最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

少しだけ後日談を書こうかと考えております。その際には、読んで頂けると幸いです。

改めて読んで頂き、ありがとうございました。


~その後の話~


男「んー」ノビー

男(あー疲れた)

男(だが、しかし!)

男(今の俺には!)

男(俺の帰りを待ってくれてる人がいる!)

男(そういうのって、やっぱりいいよなぁ…)ニコニコ

ガチャ

男「ただいまー!」


?一同「「「おかえりなさーい!」」」


男「???????」

バハムー娘「お、おかえり、なさい…」

男「バハムー娘…えーと…」



父ムート(ちちむーと)「お邪魔しているよ」

バハムー娘「父です」

母ムート(ははむーと)「お邪魔しています」

バハムー娘「母です」

姉ムート(あねむーと)「お邪魔していまーす!」

バハムー娘「姉です」

妹ムート(まいむーと)「お邪魔しております」

バハムー娘「妹です」




父ムート「娘が随分世話になったな、男君」

男「あ、いや、あ、こちらこそ勝手に娘さんを預かりまして…えーと、あーと…うー」

バハムー娘「す、少し落ち着こうな」ナデナデ

男「バハムー娘さん、状況の説明を」

バハムー娘「家族が…訪ねてきました」


男「…急すぎる」



 


父ムート「落ち着いたかね」

男「ええ、まあ」

父ムート「これは土産だ」スッ



【銘菓『龍の咆哮』】



男「…」

父ムート「心配するな。君達人間も食べられるものだ」

男「あ、ありがとうございます」

父ムート「まず、礼を言わせてくれ。娘が本当に世話になった。ありがとう」ペコリ


男「あ、いえ。成り行きとはいえ、こちらこそ勝手に住まわせて…」

男「心配していらっしゃったのでは…?」


父ムート「まあ、多少は、な」

母ムート「でも、すっかり家事もこなせるようになって感謝していますよ」

母ムート「すっかり女らしくなって」

バハムー娘「かっ、母様っ!////」


姉ムート「ああ!それでうまくいいヒトを見つけたのね」

バハムー娘「ね、姉様まで!////」

妹ムート「誠実そうな方ですね」

バハムー娘「そうだろう?」ニコォ!

男「おっ、おいっ!////」

姉ムート「あーあ、私もこっち側に引っ越そうかしら」

姉ムート「私もいいヒト見つかるかも」

バハムー娘「姉様の性格では中々に難しいかと…」ボソ

姉ムート「あぁ?」

姉ムート「ふんっ!最近の男共は軟弱なのよ。ちょっとワガママ言っただけですぐに音をあげるんだもの」



バハムー娘「だから、そういう性格を直さないと…」


姉ムート「…」ムカ

姉ムート「ねぇ男君?」ズイ

男「はえっ!?」

姉ムート「こんな乳臭いガキはやめて、お姉さんとイイ関係にならない?」

男「はあっ!!?」

姉ムート「ねえ…」スッ

男「だっ、だめで…」


男「!!」ゾクッ


バハムー娘「姉様…」ギロッ

バハムー娘「その指が男に触れたら」

バハムー娘「姉様と言えど」


バハムー娘「灰にしますよ?」ボウッ

姉ムート「はっ、ガキが!調子に乗るんじゃないよ!」ゴウッ

ピリピリ

男「ま、まずいんじゃないか…?」

妹ムート「男さん…二人が本気を出してぶつかれば、ここらへん一帯、蒸発しますよ?」

男「妹さんはさらっと怖いこと言うね!?」

男「ちょっ、バハムー娘!大丈夫だから!俺はお前しか見てないよ!」




バハムー娘「…」

バハムー娘「…////」ポッ

バハムー娘「…あなた////」ニヘラー

バハムー娘「ほふふふー」ギュー

男「よしよし」ナデナデ


姉ムート「ぐぬぬ…見せつけてくれちゃって…!」

妹ムート「大姉様も、大人気ないですよ」

姉ムート「ふん!」プイ

妹ムート「すいません男さん。姉様達がご迷惑おかけして」



男「あ、いや、いいんだ」ナデナデ

妹ムート「それより男さん」

男「はい?」ナデナデ

妹ムート「両親の温かい視線が降り注いでいますが?」

男「ん?」ナデナ…


父ムート「…」ニコニコ
母ムート「…」ニコニコ


男「わあっ!すっ、すいません!」


父ムート「はっはっはっ、いいじゃないか」

母ムート「バハムー娘の幸せそうな顔ったら、ふふふ」



バハムー娘「ええ、私は幸せですよ」

男「バハムー娘っ!?」



父ムート「そうか…なら、安心した」

父ムート「そろそろ帰るとしようか」

男「え」

父ムート「娘をたのむよ」

男「え?え?」

男「お、おとっ、お義父…さん?」

父ムート「おおっ、早くも『お義父さん』と呼んでくれるか!」

男「あ、いや、そうじゃなくて…」

男「連れ戻しに…来たんじゃないんですか?」


父ムート「そんなつもりは毛頭無いが?」

男「バハムー娘は…バハムー娘さんは龍で…貴族で…」

男「俺は人間で…」

父ムート「娘が選んだ相手だ。私は君を信じるよ」

男「あ、ありがとう、ございます!」

父ムート「こちらの世界の戸籍も作ってあげただろう?」

父ムート「娘が君と末長く居られるように、だが…」

父ムート「今更『遊びでした』とでも?」ゴウッ


男「い、いや、めめ滅相もごさいません!」

母ムート「あなた、悪ふざけが過ぎますよ」

父ムート「はははっ、すまんすまん」


母ムート「男君、娘を頼みます」

男「はい、必ず幸せにします」

姉ムート「かわいい弟ができたわね」

妹ムート「義兄様、ですね」

男「ははは…」

母ムート「ムー娘、また連絡頂戴ね」

バハムー娘「はい」

バハムー娘「父様母様…姉様も、妹も体に気をつけてください」

父ムート「ああ」

母ムート「あなた達もね」

姉ムート「じゃあね、幸せ死にしないように」

妹ムート「小姉様、お幸せに」


バハムー娘一家「お邪魔しました!」

 





――

男「結婚する話になっちゃったな…」

バハムー娘「む」

バハムー娘「男は嫌なのか?」

男「嫌じゃないさ、ただ、ちゃんとプロポーズしたかったな、と」

バハムー娘「今からしてくれても構わんぞ?////」

男「うえっ!?あ、ああ…////」

男「それでは…うほんっ////」



男「バハムー娘、毎朝お前の手料理が食べたい」

男「一緒になって、俺のために早起きしてくれないか?」


バハムー娘「…」

バハムー娘「…今と変わらないが…?」

男「…あ…カッコ悪…////」


バハムー娘「ふふふっ、でも、それでいいさ。あなたらしいプロポーズだと思うよ」

男「そか////」

バハムー娘「今度は、あなたの両親に挨拶に行かないとな」

男「うちは男ばかりの兄弟だから、娘ができると喜ぶんじゃないかな」

バハムー娘「ふふっ、今から楽しみだな」


男「あと、指輪も買わないと!」


バハムー娘「ふふっ、ふへふへへへ」

男「笑い方…」


バハムー娘「自然と笑ってしまうんだ」

バハムー娘「ふふふっ、私はあなたと出会えて幸せだ」

バハムー娘「末長くよろしくお願いいたします。あなた」

男「こちらこそお願いします」



チュ




おわり

これにて完結です。

最後までお付きあい頂きありがとうございました。

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