ことり「海未ちゃんを男装させたい」 (84)

ことりや穂乃果ちゃんがまだ中学二年生のころ




文化祭の催し物でシンデレラの劇をやったんです





その時、ことりは小道具係りで舞台には立ってなかったのだけど




海未ちゃんはクラス全員の推薦もあって王子様役になったんです






※今回途中までしかできていないので、何日かに分けて投稿します。
1週間以内の完結目指しますので最後までお付き合いくださるようお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400072793

嫌だ恥ずかしい、と嫌がって人前では練習もほどんどしていなかった海未ちゃんなんですが




いざ、本番になると





誰よりも声が透き通ってて、役にのめり込んでいて



なんて言えばいいのかな――――



とにかく、その辺の男性にも負けない王子様を演じて




そこからかな



海未ちゃんの事を、「お姫様」ではなくて「王子様」って認識しだしたのは

そんなことをふと思い出したライブが終わった日の夜――――





湯船につかりながら、ぼーっとしていると




この事を思い出しました




きっかけはきっと今日のライブの衣装です

絵里ちゃんの提案でファンタジー路線の衣装を作製したのですが



残念な事に海未ちゃんは皆の意見からフリフリフリルのお姫様になってしまって――――




海未ちゃんすごく恥ずかしそうにしてたから、ことりはこれでもよかったのだけど




やっぱり、久しぶりに見てみたかったかな

うん――――――やっぱり見てみたい



でもどうしようかな





次の衣装は全員男性もので――――――




湯船につかりながら頭の中をグルグルグルグル




少し熱いぐらいの湯船にながーく浸かっていると良いアイデアを閃くんです

希ちゃんみたいに言うと、ことりのスピリチュアルスポットって言うのかな





そんなことを考えていると



ふと―――――ひらめいた



とっても良いアイデア





我ながらこんな素晴らしい事を思いつけるなんて



ルンルン気分で浴槽から出たことりなんですが、滑ってお尻から倒れたのは内緒の話です

思いったったら即行動――――



穂乃果ちゃんを見習って、海未ちゃんにメールを送ります





送る内容は、今度の日曜日にお買い物に付き合ってほしいってこと




お買い物という名前のデートのお誘いです






2、3分でOKのメールが届きました



日曜日が楽しみです♪

本日、日曜日の天気は――――――雲一つない晴天



絶好のお出かけ日和




ただ――――気温も急上昇で、お店にずっと入っていたい気分だったりします






ことりは真っ白フリルのワンピースで待ち合わせの場所で待っています




待ち合わせの時間まで、まだ少し時間がありますが


海未ちゃんはいつもだいたい20分前には来ているので


今日は海未ちゃんに対抗してことりは30分前に来ています

さてさて、海未ちゃんがやってきました





海未ちゃんの服装は無地のシャツに――――――いつもと同じ膝が見えないぐらいの無地のスカートです





そんな海未ちゃんも好きだけど―――――




今日はことりがプロデュースします

海未ちゃんが、今日は早いですね。って




だって、楽しみであんまり寝れなかったから……



なんてことは言わずに、ちょっと海未ちゃんをからかってみたくて



ことり「海未ちゃんに一秒でも早く会いたかったの」


ってもじもじしながら言ったら、やっぱり海未ちゃん



とても慌てて、可愛くて面白いです

ことりが案内して海未ちゃんを連れてきた場所は



ここ――――男性用のお洋服をたくさん扱っているお店です





執事や王子様なんていうのもありなんですが――――



一般的な普段着をことりは所望します

海未「ことり、ここですか?」


ことり「うん。実はね、親戚の子にお洋服プレゼントしようかな、って」


ことり「それでね、海未ちゃんには試着してもらいたいんだけど……」



もちろん嘘です♪

海未ちゃんはもちろん断ります



でも、そこはちゃんと分かっています。だから―――――



ことり「海未ちゃんと身長一緒だし、海未ちゃんに着てもらったほうがいいの選べると思うんだ」


ことり「だから―――――お願い」



海未ちゃんの両手をぎゅっと握ってお願いします



いつもなら、これで海未ちゃんはイチコロなんです



海未ちゃんは頬を染めて、小さくボソッと


海未「そ、そこまでいうのでしたら………」



ほらね♪

店内に入るとそこは、雰囲気っていうのか空気が違うのか



とにかく新鮮な場所で



目に入るものすべてが目新しく





ああこのお洋服、次の衣装の参考にしよう



ってお仕事モードに入ってしまい



少しの間、海未ちゃんをほったらかしにしてしまいました

はっと気づいたのが20分くらいしてから




辺りをきょろきょろしてみると、入り口で俯いた海未ちゃんを発見



急いで海未ちゃんの元へ行きます




ことり「海未ちゃんごめんねー」


海未「こ、ことり。私を置いて行かないでください……」

顔が少し赤くて、もじもじしています




きっと恥ずかしがっているんだ



理由はきっと、殿方の洋服店なんて刺激が――――みたいなところかな?





とっても可愛いです



なんだか虐めたくなる可愛さでもあります

ことり「さっきよさそうなの見つかったから海未ちゃんこっち来てー」



有無を言わさず海未ちゃんを引っ張って奥へ



とりあえず更衣室で海未ちゃんは待機



ことりがお洋服を持ってきて、それを着るという流れです




まずは――――――これです

このシャツ着て――――わぁ可愛い


こっちのお洋服も――――すごーいきれーい


ズボンはこっち――――うんうん、いいね♪


あ、こっちもいいかな――――海未ちゃん可愛いよー




あれやこれやと海未ちゃんはまるで着せ替え人形

肌の露出が多いものだと海未ちゃんが恥じらったりしますが



時々ポーズのお願いをすると意外と簡単に応じてくれます





携帯電話で写真を撮ったり散々楽しんで、ことりは満足です



でも――――もうちょっと楽しみたい

ほわほわしてていいね

ことり「えーっと―――――わぁ、海未ちゃんこれがいい!これが一番かっこいいよ!」



海未「そう、ですか?」


一時間ほど着せ替えを楽しんで



ぐっときた海未ちゃんのベストファッション


落ち着いた深いブルーをベースにしたお洋服で――――海未ちゃんにぴったり



特にこのジャケットが良く似合っております

あとは――――



鞄から取り出した伊達メガネとキャスケットで――――



きゃ~!!♪




なにこれ、可愛いしかっこいい!

ことりのコーディネイトで海未ちゃんは




パッと見たらとてもかっこいい美少年―――――


でもちょっとよく見るととても可愛い美少女――――




ふたつの要素が合わさってまさに最強です




ごちそうさまでした♪

今日はここまでです。
早ければ明日、遅くても土曜日には続きを投稿します。

>>21
ありがとうございます。

少しお高くついたけど、とても良いものが観れたのでことりは満足です




次はもう少し安めのお店でお願いしようかな?



お店を出ると、今までの楽園とはおさらばで―――――



とても暑い――――

海未「これからどうしますか?」


そうだね――――もう目的も達成できたけど





そうだ―――――




ことり「駅前に美味しいケーキのお店できたみたいなの」


ことり「海未ちゃんよかったら行ってみない?」



そうでした――――今日はデートなのです

ケーキですか――――と海未ちゃんは少し悩んで、少しだけなら……って




海未ちゃん体動かしてるんだから、気にしなくてもいいのに



むしろことりのほうが―――――






ううん―――――だめ!



考えたらだめ!



今は―――――そう、海未ちゃんとの楽しい思い出を優先!

海未ちゃんとおしゃべりをしながらお店まで歩いていると



公園を通った時に―――――





わんっ!わんっ!



小さな子犬さんです




わぁ、可愛い


小さな子犬さんはリードをひらひら―――――どうやら飼い主さんをどこかに置いて、自由に走り回っているみたいです

その子犬さんはことりの足元にやってきて



すりすり――――




ふふ、くすぐったい





ことり「わぁ――――かわいいー!」


頭をなでなで――――





子犬さんは嫌がりません


とっても良い子ですね♪

海未「もう、ことりは――――」


後ろから聞こえていた海未ちゃんの声ですが



海未「きゃあーー!?」



途中で悲鳴に変わり




驚いたことりが振り向くとそこには――――

ことりよりもとってーも大きな犬さんが海未ちゃんの上にのっかて




海未ちゃんとじゃれています



海未「きゃあ!?や、やめてくださっ――――!」




海未ちゃんが必死に抵抗していますが、大きな犬さんは海未ちゃんをお構いなし



ことりも引っ張ったのですが、それでもどいてくれなくて



結局2、3分くらい海未ちゃんとじゃれていました

満足したのか犬さんは、子犬さんと一緒にどこかに走って行きました




海未ちゃんは―――――怒る気力もないようで




ぐでー、っとなっていて





なんだか興奮――――――ううん、可哀想です

公園の水飲み場で顔を洗った海未ちゃんですが



服が汚れていて、もうお出かけ不能です





海未「ことり、申し訳ありませんがケーキ屋は次の機会にしましょう」




あれ――――これって




ふと、さっき買った男性用の洋服が入っている袋を見て―――――



何かを察知した海未ちゃんが逃げました

ですが、今日はことりに運が向いてるようです





だっ!っと駆け出した海未ちゃんなんですが




石につまづいて―――――すてん



あっさりことりの御用になりました




さぁ―――――ことりプロデュース実践編です♪

公衆トイレで着替えてもらい


簡単なメイクをして


柑橘系の香水を――――シュっと吹き付けて


ついでに伊達メガネとキャスケットつけてもらい






そこには――――さっきの可愛くてかっこいい海未ちゃんが



ただ――――顔は真っ赤でもじもじしていて


海未「恥ずかしいです………」

ううん、そんなことないよ



とっても似合ってるよ





ことりが選んだから





それに海未ちゃんの事だから



そのうち慣れるよ――――意外と単純なんだもん

今日はここまでです。
明日のお昼ごろに完結予定です。

お店に到着しましたが


どうしてなのか―――――カップルが多いです



近くでなにかイベントあったのかな?






席に案内されて



椅子に腰かけて――――メニュー表を開きます




イチゴのショートにチョコレートケーキ



ミルフィーユにチーズケーキ。ブルーベリーのタルトにモンブランにティラミスに―――――

魅惑される言葉がずらりと並んでいて


どれも美味しそう





うーん――――迷っちゃう




海未ちゃんを見てみると


難しい顔をしてメニュー表とにらめっこ



海未ちゃんも迷っているようです

散々迷って



ことりはチーズケーキとアップルティー


海未ちゃんはガトーショコラとモカコーヒーを注文しました




本当、色々ありすぎて――――悩んじゃうよ




嬉しい悲鳴です



食べた後は本当に悲鳴が聞こえそうですが――――

海未ちゃんかっこいいよ――――って、からかって時間を潰していると



「お待たせしましたー」


ウエイトレスさんがケーキを運んできてくれました




注文した通りのチーズケーキとガトーショコラ



アップルティーとモカコーヒーと―――――




記憶にないトロピカルなジュースが



そのジュースには、ハートの形になっている二本のストローがつけられていて――――

海未「あの、これ注文していませんが……」


「はい、本日カップルデーとなってまして」


「カップルで来店されたお客様に無料でご提供させてもらっています!」



にっこり笑顔のウエイトレス




わわ、ことりたちもしかして――――カップルに見られちゃってる!?


確かに海未ちゃんは男装してるけど――――

嬉しいような――――恥ずかしいような



海未ちゃんも言葉にできないようで、口をパクパクさせています






「それでは―――ごゆっくりどうぞ」


ウエイトレスさんが下がった後も少しの間、ケーキに手をつけることができませんでした

少し気持ちが落ち着いて



チーズケーキをひとくちパクリ





うーん―――――とーっても甘くて美味しい




ほっぺたがとろけそうです


余りの美味しいさに思わずため息が出ちゃいました

海未ちゃんもこのお店のケーキを気にいったみたい





さてさて――――このジュースはどうしちゃいましょう



ことりの希望は一緒に飲むことなのですが



それは海未ちゃんが絶対嫌がります



なら――――

ことり「もったいないし、海未ちゃんこのジュース飲んでいいよ」


ことり「カップル用っていっても――――ねぇ?」



海未「それでしたらことりが――――」




ううん、だめ


それじゃ――――意味がないもん




ことり「ううん、海未ちゃん飲んでよ」



ぐいっとコップを海未ちゃんのほうへ

それなら、と海未ちゃんがストローに口をつけて



飲み始めたときに――――





ぐい



身を乗り出して――――もう一個のストローを




ちゅー

海未「なっ――――――」



ことり「んふふっ。やっぱり急に飲みたくなっちゃった♪」




慌てた海未ちゃんは椅子から転げ落ちちゃいました



顔を真っ赤にしています――――今日一番真っ赤です





もう――――動揺し過ぎ




でもそんな海未ちゃんが愛おしいのです

ことり「ケーキ美味しかったね」


海未「そ、そうですね………」






帰り道――――



日も傾いて綺麗な夕焼け空


ようやく涼しくなりそうな――――そんな時間


ことりは海未ちゃんの隣を歩き、話しかけます

歩く歩幅も狭く



夕焼けの影響なのかずっと顔が赤く見えます





あの後、海未ちゃんは怒ると思っていましたが



怒るどころか―――むしろ静かで



しおらしい海未ちゃん



ちょっと――――やりずらい

それに――――違う



ことりが憧れていた海未ちゃんと違う




男性よりも漢らしい――――そんな海未ちゃんがみたかったのに





ことりが弄って



むしろ海未ちゃんの女の子らしさが際立って――――

ううん―――――ことりが勝手に要求しておいて


海未ちゃんに押し付けるのは間違ってるよね




漢らしくてかっこいい海未ちゃん



それもいいけど――――やっぱり海未ちゃんはいつもの海未ちゃんがいいかな





―――――謝らなくちゃ

ことり「あの――――ごめんね」



ことりが立ち止まると海未ちゃんも立ち止まって



ことり「今日は色々――――その、暴走しちゃって」



可愛い海未ちゃんがみたくて――――



頭を下げて、ごめんなさい!って

海未「顔をあげてください。ことり」


海未「確かにジュースの件は少々怒っています。いえ、怒っているというより驚いています」


海未「ですが――――」



スッと海未ちゃんの手がことりの頬に



海未「ことりなりの愛情表現――――なんですよね?」

かすかに染めた頬でことりを見つめて



その真っ直ぐな瞳にことりは――――




きっと顔がゆでダコのように真っ赤になったに違いありません




ことり「う、海未ちゃ――――そ、そのごめ―――――」


ことり「ああえと――――よ、用事ができ―――――」



ドキドキが止まらなくて


もう――――海未ちゃんを直視できなくて



その場にいることが恥ずかしくて




海未ちゃんを置いて走ってしまいました

でも―――――お昼の仕返しなのか



つまづいて――――転んでしまい





すぐに海未ちゃんに追いつかれちゃいました





海未「いきなり走り出して――――危ないじゃないですか」

ことり「ご、ごめんなさっ―――――」



ずきっ!



足首を捻ったみたいで――――痛い




足首を見てみると―――――少し腫れています



海未「ことり、そこで少し待っていてください。決して動かないでくださいよ」


ことりが捻挫した事を知ると海未ちゃんはそう言い、どこかに走って行きました

2、3分くらいで戻ってきて



海未「これを暫く当ててください」



海未ちゃんが何かが入っているビニール袋を足首に当ててくれて



それは――――とても冷たい




氷みたいです


近くのお店から貰ってきたみたいです

腫れの痛みも少し引いてきたころ



ドキドキも――――だいぶ収まってたのですが



海未「これでは歩けませんね。私が背負います」


え――――でも



ことり「い、いいよ。ことり重たいし――――」


海未「それだといつまで経ってもこのままですよ」

よっと、海未ちゃんがことりを抱える



これって―――――



そうです――――お姫様抱っこです




海未「ことりが嫌なら、私はこう抱えて帰りますよ?」



きゃ、きゃあーーーー!?




余計に恥ずかしいよー!

結局――――ことりは海未ちゃんにおんぶをお願いしました




ことり「海未ちゃん重たくない……?」


海未「日々鍛えてますから――――それにことりは軽いのでもう一人背負れそうですよ」




海未ちゃんの背中―――――温かい


また、ドキドキが――――鼓動が高鳴って



顔を海未ちゃんの背中に埋めてしまいました

海未ちゃんって



普段はとっても可愛い女の子





でも――――ことりや穂乃果ちゃん。他の人が困っていると



皆を助けるナイトになってくれるんです



そのナイトは誰よりも凛々しくてかっこよくて――――


きっと世界で一番素敵な王子様

だけど――――その王子様は



普段は絶対現れない





ことり達が本当に困っていて――――



本当に必要な時にだけ颯爽と現れる――――




今日なんとなくだけど、それがわかりました

次に王子様がことりの目の前に現れるのが、いつになるのかわかりませんが



きっと次もことりを助けてくれると思います






だから――――今はちょっとだけ




あと数十分で消えてしまう王子様の背中で



少しだけ思い出を―――――









今日は―――――幸せでドキドキして



とても充実した休日でした♪






おしまい

最後まで読んでいただきありがとうございました。
タイトルにあるくせに男装要素薄いですね。


次回作は未定です。
おそらくSIDにこえりか、枕を忘れたことりちゃんの話になると思います。

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