廃墟で会った白い少女の話(25)


 僕は、この廃墟が好きだったんだ。

 終わってしまって、誰にも必要とされていないようで。

 僕にはお似合いだと思ったんだよね。

 だからかな?

 そんな僕の場所にいきなり白い少女が佇んでいるのを見て、どうしようもないくらいに腹が立ったんだ。

 見事なまでの嫉妬だよ。

 僕だけの世界の筈のこの場所で。 僕よりよっぽど似合っているんだもん。



少女「誰……?」


 少女は廃墟の割れた天井から見える月を見ていた。

 朽ちたコンクリートに囲まれた月は、なんだかお月様を独り占め出来ているみたいで僕も好きだ。

 白いワンピースの彼女は、真っ黒な長い髪が月光に照らされて暗いこの場所だとお月様みたいだと思った。


少女「……誰なの?」


 答えてなんかやらない。

 変わりに一つ文句を言ってやろう。「やい退け!! そこは僕の場所だぞ」てね。

少女「……誰……私は、誰なの?」

 驚いた。 彼女は自分が誰かと訪ねていたらしい。

少女「聞いてもわかる訳ない、か。 おいで、一緒に月を見よう」

 彼女の手招きを受ける。

 まぁ、いいか。

少女「あら? 通じたんだ。 あなたは頭が良いのね」

 馬鹿にしてるのかな? それとも僕が外国人にでも見えたのかな? 仕方ないか。 僕は彼女とまだ一言も交わしていないのだし。

少女「ふふ、黒猫さんも、あのお月様が好きなのね」

少年「え?」

 黒猫さんってもしかして……僕の事?

少女「『え?』 だって、あなた変わった鳴き声ね」

 外国人どころで刃無かったよ。

 どうやら――。

 彼女の中では、僕が黒猫に見えているらしい。

開いた瞬間からwktkが止まらない
支援全力で支援



少年「じゃあ遠慮なく」



 彼女は驚いたように目を丸くする。

 お月様みたいにまん丸だ。


少女「驚いた、あなたしゃべる猫だったの?」


少年「うん、どうやらそうみたいだね」


少女「すてきな夜だわ」


少年「記憶も無いのに?」

少女「えぇ、記憶も無いのに」

酉付けるのを忘れた



少年「君はどうしてこんな所に?」

 少女はぼんやりと月を見上げている。

 記憶喪失のようだしわからない質問か。


少女「人間を探しに来たの」

 人間?


少女「ちっちゃくて、四つん這いでふわふわで、『にゃあ』って鳴くの。 あなたは見たことがないかしら?」


 それって……。

少年「猫じゃないかな……それ?」


少女「違うよ、猫は君みたいなこの事を言うんだよ? 猫さんは一人なの?」

 少女の目には僕がどう映っているのだろう?

 水鏡みたいな目を見てみたけれど、映っているのは相変わらず僕だった。


とりあえずここまで。

即興だからどうなるかわかんないや。

おっぱい

女っぽい文章だな

面白そう


少女「ねぇ黒猫さん」

 彼女の中では僕は黒猫で決定のようだね。

 確かに髪は黒いし痩せっぽちのチビだけど。


少女「せっかく素敵な夜だから、少し、ほんの少しだけ」

 相変わらずお月様みたいな目が僕を見つめている。

少女「冒険なんてどうかしら? 黒猫さんとこの素敵な夜を楽しみたいの」

 確かに今日は、良い夜だ。

 話に乗るのも悪くない。

 天鵞絨の夜空に星屑のビーズを散りばめた満点な満天の星空だから。

 黒猫ぶるのも良いかもしれない。

 ‘にゃあ’んてね?



 夜の帳の真ん中を二人、いや、一人と一匹で歩く。

 月の作る影は淡く優しい儚い影で。

 二つの影は付いたり、離れたり、重なったり。

 雲が月に隠れれば、消えてしまう影。

少女「黒猫さん、黒猫さん。 あの空に浮かぶものは何ですか?」


 少女の声は唄うようにゆらゆら揺れる。

少年「あれはお月様だよ。 お日様みたいに押し付けがましくないから僕は好きなんだ」

少女「お日様……?」

少年「お昼に僕らを照らす物だよ。 アレは気位が高いから直接観られるのが嫌なんだろうね。 明るすぎて目が痛くなっちゃうよ」

 アレの明かりは何でも照らしちゃうから好きじゃないよ。 うん。 見たくない物まで照らすなんて余計な事しなきゃ良いのにさ。

おっぱい??
おっぱい好きなあの人か?

期待しとりやす!


 この世界から余計な音が消えたみたいだ。


 遠い遠い所にあるらしい海という場所から聞こえる音も聞こえた。

 海が何かは分からないけど、この音が海からだっていうのはなんでか分かったんだ。

 こんなに静かな夜ならば、宛もなく歩くのも悪くはないね。


少女「人、居ないねえ」

 うん、居ないね。 もしかしたら居るかもって思ったんだけど。


 もう、居ないんだよね。



 歩き続けてたどり着いたのは小高い丘。


少女「街があるね」

少年「うん」


少女「明かりはないね」

少年「うん」


少女「黒猫さん、私思い出したかも」


少年「あぁ、思い出しちゃったんだ」



少女「世界、終わっちゃったんだよね」

少年「うん」


少女「私が消したのは人。 愚かしくも愛おしい不完全な存在」


少年「僕が消したのは自然。 人が生きるには障害になり過ぎた大いなる存在」


少女「おかしいよね、消したのは私なのに、一生懸命さがしている」


少年「おかしいよね、居場所を求めて消したのに、今は居場所を一生懸命探している」



少女「見つけたのはお互い消し残した相手だけ」

少年「僕は嬉しかったよ? すごく嬉しかった」

少女「私も、嬉しかった」



少年「さよなら、神様」


少女「さよなら、黒猫さん」



 発展しすぎた人類は。


 地球に嫌われちゃった。


 地球は怒って人類を滅ぼそうとした。

 地球の意志は、ある一つのヒトガタを作った。

 すっごく強くて、すっごく綺麗なソレを人類は、ありったけの皮肉を込めて神様と呼んだ。
 既に人類は神様を越えている。

 そう言いたかったみたい。



 人類は種を守る為にある兵器を作った。


 神様は人類を滅ぼせなかった。


 神様は地球の一部、自然の一部だから。

 人類は神様を倒した。

 自然を焼き付くせる真っ黒なヒトガタ。

 人類はやっぱり皮肉を込めて、黒猫、て呼んだ。

 不吉の象徴なら神様にも効くかな、て事。



 でも、人類は滅んでしまった。 偉い人曰く人も又、自然の一部だから自然を壊してまで生きてはいけなかったらしい。



 地球に残った最後の二つ。



 今更何も始められない二つ。


 お互いを壊して。


 廃墟の中に差し込む月明かりは。

 主の居ない廃墟は。


 静かに静かに眠っていく。



 おやすみなさい




おしり。


人は神にあらず、人は獣にあらず
人が人であるために今一度考えるのだ
人とは何かを、何をするべきかを
っていうセリフ思い出した

おつです

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