伊織「アンタたち、もうちょっと正しい日本語使いなさいよ」 (56)

亜美「んえ?」

真美「何が?」

伊織「何が?じゃないわよ」

伊織「アンタたちの慣用句、いっつもなんか間違ってるじゃないの」

亜美「慣用句?」

真美「羊羹食うの間違いじゃない?」

伊織「ホントにバカね、アンタたち……」

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伊織「か・ん・よ・う・く!」

伊織「ホントに知らないわけ?」

真美「ヤだなーいおりん」

亜美「流石に亜美たちもそこまでバカじゃないよー」

伊織「ふーん?」

伊織「それじゃ、ちょっと試してみましょうか」

伊織「これから問題を出すから、答えてみなさい」

亜美「えー?テストぉ?」

真美「メンドクサイよー」

伊織「いいから、黙って答えてみなさい」

伊織「いい?行くわよ?」

亜美「ほーい」

伊織「問一、言葉で何度も説明を受けるより、実際に見た方が理解が早いということ」

伊織「さ、なんてことわざかしら?」

真美「それくらい知ってるよー」

真美「『作文は実験にしかず』でしょ」

伊織「はい、ブー!」

亜美「えー?何で何でー?」

真美「そうだよ!あってるじゃん、『作文は実験にしかず』」

伊織「まあ、確かにそれっぽいかしら……」

伊織「でも不正解よ!正解は『百聞は一見にしかず』」

亜美「似たようなもんじゃん?」

真美「ね」

伊織「あのねぇ……」

伊織「まあ、良いわ二問め行くわよ」

伊織「師匠の教えを受けた弟子が師匠より凄くなること」

伊織「どんなことわざかしら?」

真美「えー、んー……」

亜美「2問めにして難問だね……」

伊織「じゃ、ヒントね」

伊織「○は○より出でて、○より青しってやつ」

真美「あ!それ聞いたことあるよ!」

真美「『愛は舞より出でて、舞より青し』ってやつだね!」

伊織「はい、不正解」

真美「えー!」

伊織「えー!じゃないわよ!」

伊織「そんなニッチなことわざがあるか!」

亜美「でもでも、なんかあってるぽく無い?」

伊織「ぽいじゃダメなのよ!」

伊織「もう、ホントにダメダメねーアンタたちは」

亜美「なんだとー!」

真美「いおりんのくせに生意気な!」

伊織「はん、事実じゃないの」

真美「じゃあ今度は、真美たちが問題を出すかんね!」

亜美「そうだそうだ!答えてみろー!」

伊織「はあ?アンタたちがなんの問題出すってのよ」

真美「じゃあ、例えばアレ!」

美希「ZZZ……」

伊織「……アレが?」

亜美「あの状態を表す、ことわざと言えばなーんだ?」

伊織「何よその頭の悪そうなクイズは……」

美希「ZZZ……おにぎりぃ……」

伊織「何の夢見てんのよ……」

伊織「あー……そうね……」

伊織「『三年寝太郎』でいいじゃないの、あんなの」

亜美「はーい、残念」

真美「そもそも、ことわざなの?それ」

伊織「うっさいわね」

伊織「……で?正解は?」

亜美「んっふっふ~、正解はね……」

真美「『ニートを追う者はちっとも燃えず』だよ!」

伊織「はあ?」

真美「だーかーらー!」

真美「『ニートを追う者はちっとも燃えず』!」

伊織「……」

亜美「ダメダメだなーいおりん」

真美「こんなの、初歩の初歩だよー?」

伊織「いや、アンタたちね」

伊織「誰が大喜利をやれって言ったのよ!」

亜美「はい、じゃあ次」

伊織「話聞きなさいよ!」

亜美「あれはなーんだ?」

千早「らー♪らー♪」

伊織「千早が歌の練習ね……」

伊織「そうね、まあ、いっつもやってる努力ってんなら……」

伊織「『蛍雪の功』ってところかしら?」

亜美「ブッブー!」

伊織「……正解は何よ?」

真美「『板につく』」

伊織「アンタはっ倒されるわよ……」

真美「まあ、『蛍雪の功』も惜しかったけどね」

亜美「でも、むしろあっちに近いよねー」

伊織「……どっち?」

響「うわーん!ハム蔵、もうひまわりの種は食べないからー!出てきてくれー!」

伊織「……どこがよ」

真美「『軽率な子』」

響「ごめん!ゴメンってばハム蔵ー!」

伊織「……まあ、あいつのことはいいわ」

亜美「はい、じゃあ3問目ね」

伊織「まだやるのね」

真美「他に問題になりそうなのは……」

真美「あ、あれかなー」

小鳥「あれ?あれ?あの書類ってどこやったかしら……」

伊織「ウチの事務所、あんな感じのしかいないわね……」

亜美「はい、あの状況をことわざにしてみましょう」

伊織「え、んー……」

伊織「なんかもうめんどくさいわね」

伊織「もういいわ、どうせ書類も見落としてるだけなんだろうし」

伊織「『灯台下暗し』ってところね」

真美「おっ、いいねー」

伊織「ふふん」

亜美「でも不正解!」

伊織「はあ!?」

伊織「不正解なら、いいねーなんて言うんじゃないわよ!」

亜美「まあまあ」

真美「今度はホントにニヤピンだから」

伊織「ニヤピン?」

伊織「じゃあ、正解は何なのよ」

亜美「『20代一人暮らし』」

伊織「やめなさい!」

ぷっちまーす!!

伊織「アンタたち、いっぺんホントに叱られてきた方が良いじゃないかしら」

亜美「きゃー、怖いね真美!」

真美「足がむくんじゃうね!」

伊織「『足がすくむ』!」

伊織「まったく……」

ガチャ

P「ただいまー」

亜美「あ、兄ちゃん」

伊織「あ、ちょっとプロデューサー、アンタもうちょっとこいつらをちゃんと教育……」

P「はあー……」

伊織「ど、どうしたのよため息なんかついて」

P「いや、ちょっとな……」

亜美「どったの、兄ちゃん?」

真美「『青年のヘキエキ』ってやつですかな?」

P「何だそれ?」

伊織「何でもないわ」

伊織「それで?なにがちょっと、なのよ」

P「ああ、それがな」

P「どうも、新しいテレビのレギュラーが取れそうで……」

真美「え!?テレビのレギュラー!?」

亜美「亜美、出たい出たい!」

伊織「ちょっと、二人とも、落ち着きなさい」

伊織「テレビのレギュラーなら、良いことじゃないの」

P「ああ、そうなんだ」

P「それでな、その番組のプロデューサーに、今晩どうだって誘われててな……」

伊織「行けばいいじゃないの」

P「そう簡単に言うなよ!」

伊織「はあ?」

P「だって聞いてくれ!その番組のプロデューサーってのはな!」

P「ゲイなんだ」

伊織「えっ」

亜美「ゲイ?」

真美「男の子どうしのこと」

亜美「あー」

P「なあどうしよう伊織!俺、今日行ったら絶対にヤバいよ!」

伊織「あ、あー……」

P「かといって、みすみすこんなチャンス逃すわけにもいかないし……」

P「俺、どうしたらいいんだ……」

伊織「そ、そうね……どうしようかしらね……」

P「くっそお……」

亜美「……」

真美「……」

亜美「行けばいいんじゃん?」

P「へ?」

伊織「アンタね、他人事だと思って」

亜美「だってホラ、昔からよく言うじゃんか」

亜美「『ゲイは身を助ける』って」

伊織「いや、あのね」

P「……確かに」

伊織「アンタもちょっと待ちなさい」


伊織「亜美、アンタ意味分かって言ってるのかしら」

亜美「全然?」

伊織「じゃ、ちょっと黙っててもらえる?」

真美「まあまあ、兄ちゃん、そんなに思い悩むこともないって」

P「真美……」

真美「昔の人も言ってるじゃん?『まずバイより始めよ』って」

伊織「アンタはもっと黙ってなさい」

P「『ゲイは身を助ける』……『まずバイより始めよ』……」

伊織「ちょっと、バカプロデューサー」

P「はは……昔の人は良くいったもんだ……」

伊織「ねえ、聞きなさいって」

P「そうだよな、『艱難汝を玉にす』ってな!」

P「伊織!俺、行ってくるよ!」

伊織「待ちなさいよ!」

P「玉、吸われてくる!」

伊織「おい!」

P「はっはー!『アスは我が身』!何ともないさ!」

伊織「待ちなさーい!」

バタン

伊織「あー……」

亜美「……行っちゃったね」

伊織「……ねえ、真美」

真美「何?」

伊織「アンタ、良くバイなんて知ってたわね」

真美「うん」

伊織「これから、アイツがどんな目にあうか分かってて発破かけたわけ?」

真美「えー?大丈夫っしょー」

真美「別に真美は、兄ちゃんがちょっと男の人に触られたくらいじゃ全然嫌いになんないよ?」

伊織「えっ」

真美「え?」

伊織「……」

伊織「……無垢って罪ね」

伊織「……」

小鳥「あ、書類あった!」

伊織「……」

響「ハム蔵!許してくれるんだな!」

伊織「……」

千早「ほら、美希、そろそろ起きなくてはダメよ」

美希「むにゃ……千早さーん……」

伊織「……プロデューサーのこと、みんなに行った方がいいかしら」

亜美「いやー?いいんじゃない?」

真美「『知らぬがほっとけ』ってねー」

伊織「はは、ははは……」

数日後……

春香「プロデューサーさん!クッキーどうぞ」

P「お!ありがとな」

春香「どうですか?」

P「ああ、美味しいよ」

P「でも、もしかしたら、ちょっと余熱が足りないんじゃないか?」

春香「えー!すごーい!どうして分かったんですか?」

P「はは!実は最近俺もお菓子作りをはじめてな!」

春香「へー!何だか女の子みたいですね!」

P「はは!よせよ、照れるじゃないか」

真「プロデューサープロデューサー!この服ボクに似合いますかね?」

P「お!良いじゃないか似合ってるぞ」

真「ホントですか!?やーりぃ!」

真「へへっ、最近何だかプロデューサと趣味が似てる気がしますね!」

P「そうか?」

真「はい!前なら、こんなフリフリの服はダメだ!って言ってたのに、どうしちゃったんですか?」

P「まあ、心境の変化ってやつだな……」

真「ふーん?」

雪歩「もう、プロデューサーったら……真ちゃんはあんな服に合わないのに……」

雪歩「でも何だか、前より怖くないかもって……」

P「あ、あずささん、そこのエステいまいちでしたよ」

あずさ「あら、そうですか?」

P「はい、こっちの店の方がサービス良いですって」

あずさ「ふふ、お詳しいんですね」

伊織「……」

P「なあ、貴音見てくれよこれコラーゲン入りのラーメンだってよ」

貴音「ふむ、コラーゲン入り……」

伊織「……」

P「やよい、いいか?掃除ってのはまず真心だ」

やよい「はーい!」

伊織「……」

亜美「いやーやっちゃったねー亜美たち」

真美「ま、やったのは兄ちゃんだけどね」

伊織「アンタたちぃ!」

伊織「とんでもないことになっちゃったじゃないの!」

亜美「まあまあいおりん、そうかっかしないで」

真美「そうだよ、慣れてみればいいもんだよ?今の兄ちゃんだって」

亜美「そうだよー、優しいし、結構いいセンスしてるし」

伊織「あのねぇ!」

亜美「さて、ここで問題です」

伊織「はあ!?」

真美「今のこの状況、ことわざでいうと何でしょう?」

伊織「……」

亜美「んー、亜美的にはねー……『後悔先に立たず』って所かなー」

真美「じゃあ真美はねー『人間万事塞翁が馬』!」

亜美「お!かっくいー!」

真美「へへーん!」

亜美「ね、いおりんはー?」

伊織「そうね、私は……」

伊織「『磯の小町の片思い』ってとこかしら」

         おわり

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