蓮「2人の沙衣」【カガクチョップSS】 (25)

デレた沙衣をどうやったら書けるのか四苦八苦しながら書いたもの。

前回書いたもの→沙衣「媚薬を作ったよ」蓮「は?」【カガクチョップSS】 - SSまとめ速報
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廊下

プツン

蓮「嘘!て、停電!?」

蓮「雷が鳴ってる訳じゃないし…」

蓮「学校の周りは電気が点いてるわね」キョロキョロ

蓮「まさか…」タタタ

科学準備室

ガチャ

蓮「やっぱり!」

ゴウンゴウンゴウン

沙衣「やあ」

蓮「『やあ』じゃないわよ、何よこの機械!停電はアンタのせいね!?」

沙衣「まあね、実験に大量の電気を必要としてね」

沙衣「自前の発電機を使う予定だったんだけど、間違えて先に装置の方の電源を入れてしまったんだ」

蓮「は、早くどうにかしなさいよ!」フルフル

沙衣「大丈夫、発電機を動かしたからすぐに復旧するよ」

蓮「すぐって…」


パッ

沙衣「ほら」

蓮「ハァ…」ホッ

沙衣「暗い所が苦手なのかい?」

蓮「べ、別にそんなことないわよ!」

沙衣「前に怖い話をした時だって電気は消してたじゃないか」

蓮「わかってて電気を消すのと突然暗くなるのとじゃ話が違うでしょ!?」

沙衣「そう…」

盛本「大丈夫ですか?」

蓮「ああ、盛本さん…ええ、平気よ」フゥー

蓮「発電機ってこれの事ね…」

蓮「って、これ、よく見たら非常災害用って書いてあるじゃない!」

蓮「勝手に持ち出したらダメでしょ!」

沙衣「いや、いいんだよ」

蓮「はあ?」

沙衣「今回の実験は発電機のテストも兼ねているのさ」

蓮「テスト?」

沙衣「考えてもみたまえ、地震が起きた時にこの発電機が正常に作動しなかったらどうなると思うかい?」

蓮「…それは、困るわね」

沙衣「だろう?万一の時にそんな事にならないように、事前に確認しているんだ」

蓮「そういう事なら仕方ない?のかしら…?」

沙衣「フッ、チョロイね…」

蓮「何か言った?」

沙衣「いや、何も?」

蓮「…で、今回は何を作ったわけ?」

蓮「随分大きな機械だけど?」

ゴウンゴウンゴウン

沙衣「ああ、これは『3Dコピー機』さ」

蓮「あっ、それなら知ってる」

蓮「本物そっくりのフィギュアとか作れるやつでしょ?」

沙衣「それは3Dプリンターだろう?」

蓮「どう違うの?」

沙衣「3Dプリンターは形が同じモノを作れるだけだけど…」

沙衣「この3Dコピー機は物質を素粒子レベルで解析して原子レベルで全く同じモノを作ることができるんだ」

蓮「どういうこと?」チンプンカンプン

沙衣「まあ、実際にやってみた方がわかりやすいかな」

蓮「待った!…爆発したりしないわよね?」

沙衣「しないよ?」

沙衣「私の発明を何だと思っているのかな…」

沙衣「まあいいか、盛本くん、ちょっとそれを貸してくれるかな?」

盛本「いいですよ、はい」

沙衣「まずこのどら焼きを左の入力装置兼解析装置に入れる」ガチャン

沙衣「次にコピーしたい個数を入力する」ピッピッ

沙衣「そして『コピー』のボタンを押す、と」ピッ

蓮「本当にコピー機ね…」

沙衣「で、少し待つと…」

ウィーン ピーッ ガーッ
 
ボンッ

沙衣「できたね」

沙衣「右の出力装置から完成品が出てくる」ホカホカ

蓮「おお!?す、スゴい!」

盛本「部長、これって食べられますか!?」

沙衣「もちろん、元のどら焼きと全く同じものだからね」

盛本「あっ、美味しいです!」パクパク

蓮「こ、これはひょっとして世紀の大発明なんじゃないの…?」

沙衣「だろう?」ドヤガオ

蓮「この機械って何でもコピーできるの?」ワクワク

沙衣「装置に入るサイズならね」

蓮「なら、これにお金や金の延べ棒とか入れたら大金持ちになれるんじゃ…!」

沙衣「…」

盛本「…」

蓮「…!」ハッ

沙衣「まったく…」ハーッ

沙衣「せっかくの科学技術の成果をそんな利己的な目的のためにだなんて…」

沙衣「まさか委員長ともあろうキミの口からそんな言葉を聞くとはね…?」ヤレヤレ

蓮「なっ…、なっ…」カァァ

蓮「普通の人なら誰でも考えることでしょ!?」

蓮「そうよね盛本さん!?」バッ

盛本「え?えっと…」

盛本「お金はまずいんじゃ…?」ホウリツテキニ

蓮「盛本さんまで!?」ガーン

沙衣「普通の人の感覚とは違ったみたいだね」

蓮「もーっ、うるさい!利己的で悪かったわね!」

蓮「どうせ私は欲の皮が突っ張った銭ゲバ守銭奴よ!」

沙衣「別にそこまでは言ってないよ?」

蓮「大体アンタは何でこんなモノ作ろうと思ったのよ!?」

蓮「どうせまたロクでもない理由なんでしょ!?」

沙衣「失敬だなあ、そんなことないよ」

沙衣「私はただ…」

沙衣「盛本くんのコピーを作ろうと思ってね」

蓮「はあ!?」

沙衣「盛本くんは被験者としてはベストなんだけど、やはり生身の人間では制約が多くてね…」

沙衣「その点コピーならいくらでも替えが利くからね」ゲスガオ

蓮「何よそれ!?実験のために人間を作るなんて…」

蓮「やっぱりアンタの方が利己的じゃない!鬼!悪魔!この人でなし!」

沙衣「そうかなあ…?盛本くんの負担軽減にもなって丁度いいと思うんだけどね?」

盛本「私は全然気にしてないですよ?」

蓮「盛本さんはもっと気にして!自分を大切にして!」

蓮「そうよ、被験者が必要なら自分のコピーを作ればいいでしょ!?」

沙衣「まあそれも考えて一応私自身もスキャンしてあるんだけどね…」

蓮「だけど何なのよ?」

沙衣「やっぱり自分自身を被験者にするのは何というか…、ね?」

蓮「ああもうまどろっこしい!」ガバッ

沙衣「何をするんだ!?」

蓮「これが沙衣のデータね!」ピッピッ

蓮「で、『コピー』!!」バンッ

ウィーン ピーッ ガガガガガ プシュー

ボンッ!

プツン

蓮「きゃっ!」

蓮「発電機が爆発した!?」

沙衣「あーあ、装置に負荷を掛けすぎたから…」

沙衣「まだ調整中だから人間みたいな大きな物は試したくなかったんだけどなー」

蓮「それを先に言いなさいよ!」

蓮「また停電してるし…」

蓮「失敗したの?」

沙衣「いや…」

パッ

蓮「点いた!」

蓮「あっ!?」

コピー沙衣「…」

蓮「沙衣がもう一人いる!?」

沙衣「だからそれが私のコピーだよ」

蓮「人間までコピーできるなんて…」

沙衣「そのつもりで動かしたんじゃないのかい?」

蓮「まさか本当にできるとは思ってなかったわよ」

沙衣「まあ私も成功率は五分五分だと思っていたけどね」

沙衣「ハプニングではあったけど、人間をコピーする実験は成功したようだね」

沙衣「それにしても、これが私か…」ウーム

蓮「あれ、でもこの沙衣メガネ掛けて無いわね?」

沙衣「ああ、私のメガネと白衣は特殊だからね」

沙衣「読み込む時に装置に負荷をかけないようあらかじめ脱いでおいたのさ」

蓮「そう、じゃあ…」

蓮「アンタのメガネ貸しなさい!」バッ

沙衣「あっ!」

沙衣「…まったく、予備のメガネはどこかな…?」メガネメガネ

沙衣「あ、あった」カパッ

蓮「でも本当にすごいわね、沙衣そっくりで…」

蓮「後はメガネを掛けさせて…」

蓮「これでよしと」スチャ

コピー沙衣「…ふう」

コピー沙衣「やあ、委員長」

蓮「しゃべった!?」

沙衣「記憶も引き継いでるのかな?」

コピー沙衣「いつもありがとう、委員長」

蓮「えっ…」ドキッ

コピー沙衣「君には感謝してるんだ」

コピー沙衣「部員でもないのに毎度毎度私の実験に付き合ってくれてるからね」

蓮「な、何よ突然…」ドギマギ

沙衣「開口一番何を言うかと思えば…」

沙衣「『私の』実験だよ?」ムカッ

コピー沙衣「迷惑じゃないかい?」

蓮「い、いや、私だって好きでやってるし…」

コピー沙衣「それでも嬉しいんだよ」

コピー沙衣「…いつも不安なんだ、キミがいつか愛想尽かせて来なくなっちゃうんじゃないかってね」

蓮「そ、そんなことするわけないじゃない!」

蓮「私には委員長として科学部…沙衣が暴走しないよう見届ける義務があるんだから!」ツーン

コピー沙衣「そうかい、なら、これからもずっと来てもらえるかな?」

蓮「ず、ずっとって…////」

沙衣「おーい?」

コピー沙衣「盛本くんも」フリカエリ

盛本「え、あ、ハイ!」

コピー沙衣「いつも無茶な実験に付き合ってもらってすまないね、体は大丈夫かい?」

盛本「ぜ、全然大丈夫ですよ!丈夫さだけが取り柄ですから!」

コピー沙衣「キミは人が良すぎるから…、騙しているようで正直心苦しいんだ」

コピー沙衣「ムリだったらいつでも断ってくれて構わないんだよ?」

沙衣「断られると困るんだけどな…」イライラ

盛本「いえ、私…科学部員ですから!」

盛本「私も好きでここに来て、部長にずっとついて行きたいと思ってるんです!」

盛本「だから部長は全然気にしないで下さい!」

コピー沙衣「ありがとう、本当に感謝しているよ」

盛本「いや、あの、こちらこそいつもおいしいお菓子をありがとうございますっ////!!」ギクシャク

コピー沙衣「…さて、どうかな?」

コピー沙衣「そこのシャイな沙衣に代わって2人に本心を言ってみたんだけど?」

沙衣「…」

蓮(嘘、まさか、これが沙衣の本音だったりするのかしら?)

蓮(そうだったら良いのにな…なんて)ドキドキドキドキ

沙衣「フッ…」

沙衣「やれやれ、好き放題言ってくれるね…」ハァ

沙衣「記憶は一応引き継いでいるようだけど、中身はまるで違うらしい」

沙衣「私の本心だなんて見当違いもはなはだしいよ」

沙衣「私は純粋に科学の探求に邁進しているだけさ」

コピー沙衣「ほう?」

蓮「沙衣…」

沙衣「いかに私の発明といえども、内面まではコピーできなかったようだね」

沙衣「まあ、私の才能は唯一無二だから、それも仕方ないね」

蓮「は?」ピキッ

沙衣「私は一人いれば充分だよ」ウンウン

蓮「…そうね」スッ

蓮「出来の悪いコピーは処分しないと…」

沙衣「え?いや、待った」

沙衣「私はオリジナアーッ」ドゴン!!

~おわり~

以上です。
前回ミスがあったのでそのリベンジのためにまた書いてみることにしました。
ちなみに盛本さんだけ苗字なのはCOMICメテオ編集部準拠です→http://comic-meteor.jp/kagaku/
次は盛蓮で何か書きたいと思います。
ここまで長々とお読みいただきありがとうございました。

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