貴族娘「あんた護衛としてわたしに仕えなさい」(144)


近衛騎士「隣国との会談、お疲れ様でした国王様…」

国王「もう良いのだ…下がれ」

近衛騎士「畏まりました」



国王「息子よ…済まない…お前は間違いなく王に相応しい器を持っているが…」

国王「私はお前にこの国を残してやる事が出来そうに無い…」

幼い王子「良いのです、わたしは父上の息子として生きれて幸せでした」

国王「もうじきこの国は憎き隣国に蹂躙されるであろう…」

国王「…せめてお前だけでも影を仕立てて――」

幼い王子「いいえ、わたしも父上と共に最後まで隣国と戦います。…父上、今日はもうお休みください」

国王「そ、そうだな。今日はもう休むとしよう」


国王「……小さいながらも私で16代続いたこの国も後一月もすれば終わりか」

国王「無念だ………――――む?」コン…

国王「…これは以前、隣国との緊張が高まってきた時に宮廷魔術師から送られてきた書物…」

国王「魔神とその軍勢を使役…か。おぞましい話だ…そのようなものに頼った平和など…」



『王子の剣の上達ぶりは驚かされます!騎士団の中にも手を抜かずに負ける者が出始めました!』


国王「………」


『公正で聡明と民からも大変に慕われております、小国自慢の王子ですよ』


国王「…………」


『 わたしは父上の息子として生きれて幸せでした 』

『 父上と共に最後まで戦います 』


国王「……………神よ…」


貴族娘「―――お母様。ブタ貴族様との婚姻…何度も言うようですが絶対に嫌です」

貴族娘母「まだ言いますか。お前とブタ貴族様との婚約はとうの昔に済んでいるのですよ?それにブタ貴族様はお前を大変気に入って下さっています」

貴族娘「でも――」

貴族娘母「エリスッ」

貴族娘「―ッ」ビクッ

貴族娘母「…私もお前の父も同じ様にしてきたのです」

貴族娘母「それにこのところ隣国と緊張が走っています…更には原因は不明ですがこの国の周辺に他の国から魔物が集まっていると聞いています」

貴族娘母「そういった時に騎士団長であるブタ貴族様との…まぁいいでしょう。お前も今日で15才。受け入れなさいエリス」

貴族娘「…今日はもう休みます。おやすみなさいお母様」


貴族娘(最低…外の空気でも吸ってこよう)

護衛「お嬢様、夜間外に出るのは貴族娘母様から禁じられているはずです。お戻り下さい」

貴族娘「少ししたら戻ります」

護衛「いけません、お戻り下さい」

貴族娘「…分かりました」


貴族娘(お母様も使用人も…ここにはわたしの味方が一人も居ない)ポロポロ

貴族娘(部屋に戻って…もう寝よう…もういい…)グスッ


―――ガタッ

貴族娘(…あれ?今窓の方から音が…)


護衛「がっ…」ドサ

男「楽勝だ」スタッ

男「確か情報によると…2階の奥の部屋に目的の宝があるんだよな」

男「んー?あの部屋っぽいな…よしっ――――んっ、あれ?」グイッグイッ

男「ズボンが窓の付け根に挟まって…く…動けねぇ」

男「んっ…ダメだ。しっかり喰ってやがる…ナイフで裂くか…」コリコリ


男「ふふん、しかし2階に誰も居なくて良かった。こんなところを見られたら…」

貴族娘「」ジトー

男「」ビクッ


貴族娘「」ジトトー

男「」ダラダラ

男「あ――」

貴族娘「あ?」

男「――怪しい奴はあっちに逃げたぞっ!早く追うんだっ!」キリ

貴族娘「…あんた以上に怪しい奴居ないんだけど」

貴族娘「もしかして曲者?外には何人も護衛がいたはずなんだけど……え?」


貴族娘「みんな倒れてる…あんたが殺したの?」

男「…いや?ナイフの塚で軽く――って俺じゃないぞ!?」

貴族娘「殺してないんだ……それなりに腕はあるようね」

貴族娘「………………」

男(凄く疑ってやがるぞ…どうしよう…)ドキドキ

貴族娘「………………………あ、そうだ!」タタタタッ

男(ややっ?)


男「…やばいっ人を呼ぶ気か!?卑怯だぞ!ちょっとまてっ!」

男「くっこのっ!早く切れろっ!…奮発して鎖入りの丈夫なズボン買うんじゃなかった」コリコリコリコリ

貴族娘「」タタタタッ

男「ぐあ…はええよ、戻って来やがった」コリコリコリコリコリコリ!

男「くそうっ!こっちくんな!」

貴族娘「動かないでよ…えいっ」スポン

男「…ん?指輪?なんだこれ?」

貴族娘「ふふんっ」


貴族娘「…んっ」キィン

男「ぎゃああああああああああああ」ビリビリ

貴族娘「やったっ♪」

男「……んぐっ。こ…この指輪の仕業か…?くそっ、これ外れないぞ」プスプス…

貴族娘「絶対外れないよ?それわたしの家に伝わる…なんていったかな……そう!隷属の指輪って言うの」

男「れ、隷属ぅ?」




貴族娘「あんた護衛としてわたしに仕えなさい」


男「え」ボーゼン

エリス「わたしの名前はエリスって言うの。宜しくね」ニコ

男「護…はい?なんだって?」

エリス「だからわたしの護衛」

男「……なんだって?」

エリス「だから護衛だってばっ」

男「ゴメン、耳垢詰まってて良く聞こえない。もう一回」ミミホジホジ

エリス「もう一回?」キィン

男「ぎゃああああああああああああああ……電撃じゃない…んぐっ…」プスプス

エリス「耳垢取れた?…護衛ね、もう決まったから」


エリス「良かったねー。こーんなキレイで若い女性を護衛出来て♪」

男「女性って…お前12才かそこらだろ?若いって言わないぞ、ガキっていうんだ!」

エリス「今日で15だけど?」

男「嘘付け。そんな貧乳でロリな15才見たことな――嘘、冗談だって…電撃は許して…」ビクッ

エリス「ん。で?やるの?」

男「ちなみに断ったらどうなるんだ?」

エリス「当然人を呼んであんたは牢屋行きね。まぁ護衛に決定してるけど」フフン


男(くそう…なんとかして護衛を諦めさせ…指輪も外させる為には…)

男(機嫌を取るか…護衛する振りをするか…そうだ!>>13だ、>>13するしかない!)

隷属したふりをして逆にメロメロにさせる


男(ふりだけして…俺にメロメロにし、指輪を外させる―――)

男(うわぁ…このガキをメロメロにさせるのかぁ…背に腹は変えられないが…)


エリス「あんた名前は?…そのショートソード何処かで見覚えがあるんだけど…どこから来たの?」

男「…男と呼んでくれ。出身は砂漠を越えた南の方の国だ」キリッ

エリス「ふーん、南っていうと…女王が統治している大国?」

男「そんなとこだな。魔物が増えて来たって噂を聞いて飯の種を探しに来たんだ」キリリ

エリス「ここに来たのは盗賊ギルドの依頼かなにか?……さっきから一々格好つけないで。元が悪いから無駄よ?」

男「ひでぇ…」グスッ


エリス「で、そのショートソード紋章の所削ってあるけど…なんか見覚えある。どこで手に入れたの?」

男「う…さぁ?武器屋で投売りしてたんで買ったんだっけかな?」

エリス「わたしに聞かれても分かるわけないでしょ!まぁいいわ。じゃあ明日から護衛宜しくね」

エリス「今日は宿にでも泊まって明日屋敷に来なさい。あ、逃げても指輪してる限り無駄だからね」

男「はいよ…つーか良く俺みたいな奴を護衛にしようと考えたな…」

エリス「色々訳ありなのっ。いいから早く行きなさい」

男「分かった分かった…あ」

エリス「なに?」


男「宿代が無い。金貸してくれ」キリ

エリス「…格好付けて何言ってんの?仕方ないなぁ…これでいいでしょ」ゴソゴソ

男「酒代が無い。貸してくれ――」キリリ

エリス「」イラ

男「――う゛、冗談です。それでは明日っ」シュタ


エリス「はぁ。でも…なんとなく悪い奴じゃない気がする…」

今日はここまで。


安価スレならスレタイに安価って書いといた方がいいと思う

>>18 今気が付いた!入れるの忘れました…

※後々に残酷描写があります。苦手な方は注意でお願いします。


訂正 >>7 ×ナイフの塚  ○ナイフの柄


数刻前――

小国領外れにある灰の森と、隣国と繋がる街道との間にある町。

先々代の小国王が隣国や他の国との交易の為に建設した町は、

何の前触れも無く、本当に何の前触れも無く、

短い歴史を閉じることになる。



門番「ふあぁ…眠い…見張りの交代までは――」

兵士「先程交代したばかりだろう…眠いなら顔を洗ってこい」

門番「すまん、薄暗くなってからの見張りは堪える…」

兵士「隣国がいつ攻めてくるかも分からない時に…まったく…」


兵士は門番に代わり見張り台に立とうとした時、ある違和感を感じた。

初めは馴れ親しんだいつもの夜とは違う、馴染まない空気

次にいつもの夜に聞く虫の声とは違う、聞き慣れない虫の様な声

更にはいつもは聞こえないはずの地鳴りの様な足音――


兵士「な…なんだ?―――――ッッッ!!!」

門番「おーい、悪かったなー…?ん、どうしたんだ?」


兵士「………まも……魔物の群れだ……こちら…に向かって来ている…………」

門番「魔物……ほんとかよ!?…今は200人は兵がいる!ははは!運が無かったな魔物共!」

門番「急ぎ領主に報告するっ!魔物の数はどれくらいだ!?」

兵士「…あ……ぅ…」

門番「おい兵士っ!数はおおよそでいいんだぞ!?」

兵士「…さ……ん…」

門番「しっかりしろ!聞こえないぞ!さ…?30でいいのか!?」



兵士「さん…まん」


翌朝――

男「んごぉ…んごぉ…」スヤスヤ


コンコン…

男「んごぉ…?」

宿屋の娘「剣士さんおきて下さい、もうすぐお昼ですよっ」

男「んごぉ…わかった…いまおきふ…」フラフラ

男「ふあああああああああぁぁぁ――ふぅ…眠い…」

男「久しぶりにベッドで寝れた…やっぱ野宿とは違うなー…ん。そういや今日からエリスの護衛だっけ…」

男「確か昼までは宿にいていいんだよな…よし、ギリギリまで宿の接客を満喫しようっ」

男「ふふん♪昼までお前(ベッド)は俺だけのモノだっ…おやすみ―――っうぎいいいいいいいいいいぃぃ」ビリビリ

男「…朝から爽やかに電撃かよっ!本人が目の前に居なくてもオーケーなのかよっ!あの人でなしめ…くそぅ…」プスプス


エリス「…あ、男!やっと来た!遅すぎ―――って、あんたなにその格好…」

男「…え?エリス?なにその格好?貴族の真似?」

エリス「わたしは貴族でこれは正装っ!あんたは何でそんな汚い格好してんのよっ!ボロボロじゃないっ」

男「昨日から3発も電撃喰らえばボロボロになるわっ!」

エリス「はぁ…門の外で待ってて良かった…ついてきて」

男「何処行くんだよ。昨日飲みすぎて頭痛いんだから少し休ませてくれ」

エリス「お酒飲んだの?…わたし宿代しか渡さなかったのに…まさかスリとかしたんじゃ…」

男「見損なうなよ?宿屋の主人と出身が一緒でな、意気投合してまけてもらったんだっ」キリ

エリス「屋敷に泥棒に入ったくせに…」


エリス「着いた、ここのお店」

男「おう…高そうな店だな…」

店の主人「いらっしゃいませ…これはこれはエリス様。ようこそいらっしゃいました」

エリス「男、早く選んで」

男「おおぉ…この大剣いいなっ」

店の主人「目が高いですな!その大剣はかの名工……」

男「ふむふむ…」

エリス(へぇ…真剣な表情してる…こんな顔もするんだ…)

エリス「武器も買っていいけど…ちゃんとそれなりの服も買いなさいよ」

男「あいよー」


男「うーん、服はこんなものか…このシルクのシャツなんかいくらなのかが怖いぞ…」

男「…最後にもう一度店内を見てみよう」

男「やっぱり高そうな店は品揃えが違うなぁー」キョロキョロ

エリス「買うの決まったの?」

男「ちょっと待て…今最後の確認をだな――」

男「――お!この>>31いい!これを買って行こうっ」

>>30


男「よーし♪この高そうなリングを自腹でエリスに買ってあげr……ってなんでだよっ!」ポイッ

男(俺まだ酔っ払ってんのかな…しかし…この貧乳をメロメロにしないことにはこの指輪はずっと…)

男(というか、俺金無いよな…でも指輪…)

エリス「なに騒いでるの?」ジトー

男「うおっ!…なんでもないぞ?あ、買うものはこれな。結構すると思うが…」

エリス「大したこと無いわよ。主人、これ頂いていきますね。金貨はいつも通り屋敷に取りに来て下さる?」

店の主人「ありがとう御座います、畏まりました」

男(ツケきくのかよ……あ!)

エリス「じゃあ出ましょう」


エリス「わたしは先に屋敷に戻ってるから。あんたは後から来てね…ちゃんと来るのよ?」

男「分かってるぞ、4発目の電撃はカンベンだ」

エリス「ふふん。宜しい」


男「行ったな。さてと、店に戻るか」



男「主人、先程のエリスの連れの物だが…」

店の主人「貴方様は先程の…いかがしました?」


男「うむ。この店にエリスの好きそうな物はあるか?例えばこの高そうなリングとか」

店の主人「エリス様はそういった高級な貴金属はあまり好かれていないはず…」

店の主人「エリス様の…うーん…そういえば、いつもこの人形を見ていかれます」

店の主人「長い時間手にも取られるのですが、結局いまだに買われておりません。買いにくいのでしょうか?」

男「ふむ…それを貰おうか。エリスにツケておいてくれ。それじゃあ宜しくなっ」

店の主人「畏まりました」

今日はここまでです。


男「ふぅ…ふぅ…やっと着いた、門から入り口まで無駄に長いなぁ…」ズリズリ

男「ん?扉の前にいるのはエリスの奴か。おーい、着てやったぞー」ズリズリ

エリス「来たわね――って、なんでさっき買ってあげた大剣引きずって歩いてるのよっ?」

男「いや…結構重くてなぁ」ズリズリ

エリス「…あんたそれ使うから買ったのよね?」ジトー

男「これは名工の作で格好いいから飾って――」

エリス「飾りに買ったとか言ったらあんたしばらく給金無しだからね?」

男「――!?使うっ、もちろん使うぞ!変なことを言うんじゃない、動揺するじゃないかっ!」ダラダラ


エリス「…まぁいいわ。早くはいりなさい」

男「おっけー」ホッ


エリス「ここがあんたの部屋ね。メイドに掃除させておいたから感謝しなさい」フフン

男「…普通の部屋だな。宿屋と変わらない」

エリス「使用人の部屋だから当然でしょ?荷物はここに置いて。私の部屋に案内するから」

男「あいよー。…痛てて、大剣が扉に引っかかったっ、くそぅ」グイッ

エリス「だ、大丈夫なんでしょうね…」


エリス「ここがわたしの部屋ね。場所、覚えてね」

男「最初に忍び込もうとした部屋だな」

エリス「…忍び込んだら電撃だからね?」

男「分かってるぞ…中は意外と普通だな。悪趣味な部屋かと思ってた」

エリス「変な想像しないでよ」

コンコン…

メイド「エリス様、エリスの母様がお呼びで御座います。ブタ貴族がお見えになっております」

エリス「…分かりました、今行行きます。…うわぁ…最低」ボソッ


男「ブタ貴族って誰だ?」

エリス「わたしの婚約者…」

男「おおっ!良かったなっ、ロリ貧乳でもいいって奴がいたのかっ」ニコ

エリス「無理矢理婚約させられたのよっ!…それと電撃1回予約ね、覚悟してなさい」ニコ

男「祝福してやったのに…」

エリス「あんたも一応ついてきて。お母様に紹介するから」

エリス「…あとさ、お母様の前でエリスとか呼び捨てにしないでよ?エリス様って呼んでね」

男「ん」


エリス「エリスです、お母様お呼びでしょうか?」

エリスの母「待ってましたよエリス、ブタ貴族様が忙しい中屋敷に来て下さいました」

ブタ貴族「ブヒヒ…相変わらず美しいなエリス。さぁ隣に来なさい」

エリス「はい、わざわざ来てくださって大変嬉しく思いますわ」ニコ

エリスの母「私は飲み物を用意して参りましょう」スッ

ブタ貴族「ブッヒッヒ…暫く見ない間に大きくなったなぁ」モミモミ

エリス「…。ブタ貴族様もお元気そうで何よりです」ニコ

男「…」キョロキョロ

ブタ貴族「…ん?エリス、この男は誰なのだ?」ブヒ?

エリス「最近物騒ですので…腕の立つ護衛ですわ」


ブタ貴族「ほぉ…名前は?」

男「ん?男(うぉっ…エリスこんなのと結婚すんのか…)」ボソッ

ブタ貴族「……ぐっ。聞こえてるぞ、ほぅ…腕の立つ護衛だと」ブヒー?

ブタ貴族「それはいい、このお付の騎士も最近剣の相手が居なくて困っててな。丁度良い、相手をして貰いなさい」

お付の騎士「団長…」

ブタ貴族「男殿も構わないですな?」ブッヒッヒ

エリス「…」チラ

男「いいよ?」

ブタ貴族「ブフッ、では行きましょう


屋敷の庭――

お付の騎士「男殿、申し訳ない…しかし手は抜けない故お許しを」ボソッ

男「おっけーだ」

エリス(…………あっ!男っおとこってば)ボソッ

男「?」

エリス(あんた、絶対負けちゃダメっ!勝ちなさい!負けたら護衛変えられちゃう)ボソッ

男(えっ)パァァァァァ

エリス(…なに嬉しそうな顔してんのよっ!)ボソッ

エリス(負けたら電撃と…給金無しで一生指輪つけたまま奉仕させるんだからねっ)ボソッ

男(マジかよっ)ダラダラ


お付の騎士「男殿、これを」サッ

男(歯を潰した長剣か…長剣使うのは久しぶりだな…)スチャ…

お付の騎士「では宜しいか?」スチャ

男「あいよ」

エリス「…」

ブタ貴族「ぶふぅ」


お付の騎士「参る!」ダッ


男「んっ」スッ

お付の騎士「…構えは大国の剣技か、ふんっ!」


お付の騎士は男の構えを見て一瞬立ち止まったが、すぐに滑る様に

動いたかと思うと両者は正面から正面から剣を打ち付けあう。

両者はいったん離れ、また距離を詰め三度、四度剣を打ち付けあった。

五度目の剣を打ちつけようと剣を振りかぶったお付の騎士だが

その喉元にはすでに男の剣先があった。


エリス「…あれ?おとこの勝ち?」

ブタ貴族「」ブヒ?

お付の騎士「…参りました」

ブタ貴族「……おいっ今日は戻るぞ!エリス、また近いうちに来るからなっ」



エリス「…お付の騎士って騎士団でも相当の腕なんだけど…あっさり負けなければいいと思ってたけど…」

エリス「男…ほんとに強かったんだ…」

エリス「…でも…ふふふっ♪ブタ貴族の顔面白かったね」

男「だな、真っ赤になってたなっ!…でもいいのか?婚約者なんだろ?」

エリス「冗談っ!あんなエロブタ絶対にいやっ!」


男「金持ちそうなのにな、勿体無い…動いたら腹減ったな」

エリス「ん。じゃあ夕食にする?わたしも色々聞きたいし…特別にお酒も出してあげる」ニコ

男「おおっ!さすがエリスっ」

エリス「お母様にも挨拶しなきゃだし…じゃあ行こうか」


――夕食後

男「ふーん、エリスはあまり他の国行ったことないのか」

エリス「うん、屋敷から離れることは殆ど無い…」

エリス「ねぇ、いろんな土地の話聞かせてよっ」

男「おっけー、じゃあこの国の北側には雪原があってだな…」

エリス(楽しそうに話すなぁ…ご飯も美味しそうに食べてる…)


男「――ってな物もあるんだっ。…あ、そうだ。これ渡すの忘れてた」サッ

エリス「……!」

男「さっきの店で買ってきたんだ、ほらっ」

エリス「これ…どうしてこれにしたの?」

男「似合うと思ってだけど…いらないか?」

エリス「…もらってあげる///」

男(よし!ここら辺で言ってみよう…)

男「…あの~、そろそろ指輪を外していただけると…」チラッ

エリス「何?急に…それはダメ。…今日はもう寝る」

男「くそぅ…」


――同刻、兵士詰め所

騎士「…連絡の兵が戻ってこないだと?」

兵士「はい…それも小国の北側と東側の町を回っている兵士全員です…」

騎士「隣国との境の町もか…」

兵士「今朝方に出発した砦の担当も戻ってきておりません」

騎士「…お前、馬に乗り砦の様子を見てくるんだ」

兵士「はっ」


エリス「あ、そうそう。聞くの忘れてたけど…あんたここに来る前なにやってたの?」

男「なんだよ急にっ…」

エリス「わたしあんたのことあんまり知らない…答えて」ジー

男「…南の大国で…何でも屋をだな…」

エリス「ほんとう…?道具屋?」ジトー

男「そうそう…不況の煽りで…」ダラダラ

エリス「そのショートソードさ…南の大国で騎士に支給されるものじゃない…?」

男「ちがうちがうっ!」フルフル

エリス「ふーん。まぁいいわ…おやすみっ」


男「ちょっとまて、聞きたいことがあるんだが…俺はいつまで護衛する予定なんだ?」

エリス「…」ジー

エリス「…わたしがこの国から逃げれるまで」

男「え、貴族なのにか?」

エリス「うん。わたしブタ貴族と結婚するのも貴族として生きるのも絶対嫌。だから協力して」

男「…ちなみに断ったら?」

エリス「男はこんなキレイな女性の頼みを断るのっ?」

男「いや…見つかったら俺殺され…」

エリス「そこは命をかけなさいよっ!」

男「ぶっ!ふざけんなっ!」

エリス「…成功したらちゃんとお礼する」

男「…何でも?」

エリス「うん」

男「>>55って言っても?」

>>54


エリス「………はい?」

男「だから俺と結婚してくれって言っても?」

エリス「…わたしが?」

男「うむ」キリ

エリス「…あんたと?」

男「うむ」キリリッ

エリス「……本気で言ってるの?」チラ

男「勿論だ、アイシテルぞ。…何でもいいんだろ?」

男(よっしゃ!こう言っておけばエリスから引くはず…てか引いてくれ)


エリス「……」

男(悩むことじゃないだろ、電撃1、2発くらいは覚悟してやる!)グッ

エリス「………」

エリス「…………」

男(長いぞ…)

エリス「…………………っ」

男(お?)ゴクリ…


エリス「うぅぅあ…ひっく…」ツー…

男(ややっ!?)

エリス「えぐっ…ぐすっ…」ポタッ…ポタッ…

エリス「男…お願い……他に頼る人が居ないの……」ポロポロ…

エリス「…わたし…自由に…生きたい…!」ポロポロ…

男「…!」ビクッ



男「わ…分かったっ!少しだけ…協力するっ!」ワタワタ


エリス「…えぐっ………ほんとう?」チラ

男「う゛……ちょっとまて!もう一回良く考えたいんだが…」

エリス「やっぱり嘘なの…?」グスッ…

男「い、いや?」

エリス「…じゃあ協力してくれるのね?」チラリ

男「ああ…」

エリス「………………………ぷっ」フルフル

男「?」

エリス「…ぷぷっ…ありがと!約束は守ってよねっ♪」ニコ

男「…………………………あれ?」


男「え?今の涙…演技なのか?涙バッチリ出てたよな…?ポロポロって…」

エリス「さぁ。でも言ったことは守ってくれるよね?」

エリス「それに、どうせ結婚って言えばわたしが引き下がると思ったんでしょ?」フフンッ

男「く…く…くっそぅぅぅ」ガクッ


ジジジジ…ジジジ…


男(ん?今…指輪が少し熱かったような…気のせいか?)

男「もう…今日は寝る」

エリス「お休み男、あ、ご褒美にこの高級なお酒持っていっていいよ、はい♪」

男「お気遣い申し訳ないなっ!飲まなくちゃ寝れないんで遠慮無く貰っていくわっ」


男「はぁ…」トボトボ…ガチャ……バタン

エリス(…やっぱり結構いい奴なのかも♪)ジー


夜、小国と砦を結ぶ街道――

黒の塗料を一面にぶちまけた様な暗い街道を兵士は馬に跨り小国から砦に向かっていた。

規律によって砦から必ず日に二度、砦の様子を伝えに来るはずの連絡兵が今日は一度も来ていない。

この様なことはこの若い兵士が着任して以来一度も無かった。


…聞いた話では過去に二度、今回の様なことがあったらしい。

一度目は9年前にアサシンに連絡兵が殺された時。ある貴族の思惑だったとの噂だ。

二度目は7年前に兵士が途中で居眠りしたと聞いた…この兵士には即、厳しい罰が与えられた。

詳細は知らされてないが居眠りした兵士が今現在兵士団に在籍していないことを考えると…あまり考えたくはない罰だろう。


若い兵士が今回の連絡兵にどの様な罰が下るのか、哀れみを交えて馬を走らせていると

前方に苦しそうにうずくまる人をみつけた。若い兵士は馬を止め、近寄る。


兵士「…なんだ?おい!どうした?…その甲冑は砦の兵士か?」

砦の兵士「…」

兵士「おい…砦の兵士!しっかりし……――あ…」

砦の兵士「…た…す………」


奇妙な魔物「ギ…」クッチャ…クッチャ


砦の兵士にはまだ息がある――が、その腹部に見たことが無い魔物が張り付いていた。

若い兵士は助けはおろか…叫ぶのも忘れ砦の兵士をただ凝視していた。



――砦の兵士は腹部を生きながら喰われていた。


兵士「……お……まえ…腹……」

砦の兵士「…」


奇妙な魔物「キィィィィ――」


若い兵士に気付いた奇妙な魔物は、食事を中断し手入れを怠った楽器の様な音を出す。

すると次第に周囲がざわつき出した。若い兵士は余りにも惨い砦の兵士を凝視したまま動かずにいる。

この時すぐに小国に向かって引き返していれば或いは助かったのかも知れない。



若い兵士が気が付いた時には既に奇妙な魔物と同族らしい魔物に囲まれていた。


エリス「男っ!おとこっ!おきなさい!」ガンガン

男「…んあ?…うるせーなー」

男「なんか用なの――ぶほっ!」

エリス「…これ、見て。昨日のお店からの請求書」

男「いたたた、どれどれ…あの大剣って金貨50枚もするのかー」ジー

エリス「そこじゃない!ここに人形って書いてあるわよね?」

男「ああ。プレゼントの奴な」

エリス「なんでわたしへのプレゼントがわたしへのツケになってるのよっ!」

男「まぁ選んだのは俺ってことで」キリ

エリス「はぁ…少しだけ嬉しかったのに」ボソッ


男「ところで…なんか騒がしくないか?」

エリス「そうね、お母様もお城に行っちゃったし…」

エリス「朝から騎士を何人も見かけるわね」

男「ふーん。で、今日はどうするんだ?俺することある?」

エリス「別に無いけど…なにかしたいの?」

男「たまに鍛えないと鈍るからなー。中庭借りるぞ」

エリス「別にいいわよ。…わたしも見てる」

男「ははっ姫様!ご自由にしてくださいませ」キリ

エリス「無理しなくていいわよ、変だし気持ち悪い」

男「…」


男「うおりゃ」ブン

エリス「…ねぇ?」

男「ん?」

エリス「練習相手欲しいでしょ」

男「まぁ…いる?」

エリス「ちょっと待ってて…」トタタタ



エリス「おまたせっ。衛兵さん、こいつ強いから全員でかかっていいわよっ」ニコ

衛兵「男殿、宜しくお願いします」

衛兵2「なんでもお付の騎士に圧勝したとか…」

衛兵3「我々も丁度練習が単調になっていたところで助かりました」

男「ちょ!」

衛兵2「多数を相手にする手腕を勉強させていただきます!」

エリス「手加減しちゃダメだからね!命令だよ」

衛兵3「はっ」

男「おいおいっ!俺やるって言ってないよ?」

エリス「ダメ、人形の罰」

エリス「その代わり衛兵さん達に勝てたらご褒美あげる。でも指輪外せとか…結婚とかナシね♪」

男「指輪ナシかぁ…」

>>74
1:全力でやる
2:適当にやる

1


エリス「降参する?ふふふ♪」

男(今日は自分の剣だし…全力でやるか。エリスの鼻を明かすっ)

男(相手は長剣が二人と槍が一人―――)



衛兵2「行くぞ!」

衛兵1「うおおおおおお!」

男「っ!」


衛兵1、衛兵2が全力で打ち込みを放とうと男に走りよる。

しかし男は小剣を鞘から抜いたまま動かない。

剣を振り上げた衛兵2人が男の間合いに入り、剣を振りかぶった瞬間――


衛兵1、2「なっ…!」


――男は強烈な踏み込みで2人の衛兵をすり抜け、槍を構えた衛兵3の喉元に小剣を突きつける。


衛兵3「…降参だ」


衛兵2「…やりますね男さん。衛兵1、同時にかかりましょう」

男「…出来れば別々に来て欲しい」

衛兵1「男殿、行きますよ!」


…男に二本の長剣が襲い掛かる。

開始直後こそ二対一の状況に多少の遠慮があった衛兵達だが、男に涼しげに

あしらわれる内に遠慮が無くなってきた。

衛兵1の大振りな剣を男は最小の移動でかわし――

衛兵2の渾身のなぎ払いを小剣でいなすとそのまま衛兵2の喉元に小剣を突きつけた。


衛兵2「…ぐ」


その後、衛兵1とは二回剣を合わせただけで勝負は着いた。


衛兵1「男殿…強いですね」

衛兵3「ありがとう御座いました!よければまたお願い出来ますか?」

男「ああ、いつでもいいよ」


エリス「あっさり勝っちゃった…こないだのマグレじゃないんだ」ポカーン

男「いや、結構きつかったぞ。それと…褒美くれるの?」

エリス「え?う、うん。何か欲しいのある?」


男(さて、褒美はなにを貰おうかなぁ)

男(酒代は…屋敷でも酒飲めるしなぁ。服も買ったし…休暇とか?小遣いでもいいな)

男「>>80でもいい?」

エリス


男(ここで……決める!!メロらせる!!!)


エリス「…は?」キョトン

エリス「男、もう一回言ってみて?」

男「…」

男「」スタスタ…


エリス「な…なによ?近寄ってきて…」


男「」ガバッ

エリス「え…なんなの!?ちょっとっ、顔…ちか――」

男「ん」チュゥゥ

エリス「――!!!」


男「むちゅ…」

エリス「あんたっ…やめ…んぐっ…!」ジタバタ

男「ちゅぅ…レロレロ…」チュバ…

エリス「…っ!!!」ビクッ

男「ん…レロレロ」

エリス「やっ…やめ…あ…ン……」

男「エリスの唾液おいしいなー。いっぱい出てくるぞ」チュバ…クチュ…ゴクン

エリス「…あン…う…おね…がい…ああぅ…」


男「ん?お願い?俺なんかにお願いするの?…つーか感じてないか?」チュゥチュゥ

エリス「…!ばかなこ…と…んっ…言って…うぁ…」

男「顔も真っ赤だぞ?…うなじはどうかなー」サワ

エリス「――!きゃ…あ、あ…も、もう…んっ…」ビクン

男「エリスうなじ弱いのか、じゃあもうちょっと…」サワサワ…レロレロ

エリス「あっ…あ……も、もう…おねがい…」

男「お願い【します】は?」

エリス「おね…ふぁ…い…しま…す…ああっ…」

男「おお…主従逆転!……なんか面白い♪うなじももう少しマッサージしてやろう♪」サワサワ

エリス「…そんっ…な!」ビクッ


―1分後―


男「そろそろお願い聞いてあげよう…っぷはぁ」

エリス「…うぁ…」ビクッ…ビクッ


男「唾液が糸引いちゃったな、なんかエロいな。…感じやす過ぎだぞ?悪い子だなー」

エリス「…あ……ぅ」

男「俺からもお願いがあるんだが…あれ?聞こえてる?」

エリス「…ん…あ…あんたっ……」ギロリ

男「お、聞こえてるな。指輪をだな――」

エリス「」キィン

男「――外して…っひぎいいいいィィィィイイイイイィィィッッ!!??」バチバチ



男「」プスプス

エリス「死ねっ!死んじゃえっ!死んでっ!」ゲシッゲシッゲシッ!


エリス「はぁはぁはぁ…」

男「」チーン

エリス「まったく…信じられんないっ!」



バンッ!

衛兵2「エリス様!いらっしゃいますか!?」ハァハァ

エリス「な、ど、どうしたの?顔真っ青だけど…」

衛兵2「はぁはぁ…小国が襲われています!」

エリス「…え?………もう隣国がせめて来たのっ!?」

男「…!」

衛兵2「いいえ!魔物です、魔物達が空から…!」

エリス「…窓から外をっ」ダッ


――空中を遊んでいるように旋回していた魔物は獲物を定めると旋回を止め一直線に飛んできた。

一見人間女性の様に見えるが、背中には鳥の様な黒い翼を生やし手足は鳥類のそれを思わせる。

彼女は翼を広げたまま、金切り声の様な奇声をあげて貴族の屋敷の窓につっこんできた――


エリス「きゃあああっ」

衛兵2「エリス様だいじょうぶ――がっは…」

男「バカッ――」

魔物「キイイイイイイイイイ――」


衛兵2は自分の腹に鍵爪をつき立てた魔物を唖然と見ている

皮製の鎧など紙同然に裂かれ、そのまま体を持ち上げられ……

衛兵2は汚れを払うように窓の外に投げ捨てられた。

衛兵2は反対側の建物の壁に激突した後…ピクリとも動かない。

彼女の目線は少し彷徨ったあとエリスを捉える。


エリス「…え」

男「おい!エリスっ、早く逃げろって!」

エリス「あ…足が…」ガクガク

男「バッ…バカッ!俺には強気なくせに…」

エリス「そ、そんなこと言ったって…」

魔物「キイイイイイイ――」

男(どうするっ?>>95

間に割って入って華麗に助ける

>>95了解です

そして>>92の後に1レス抜けましたので↓を入れて読んでくだされ…



エリス「…!魔物がたくさん飛んでる…?」

男「…告死鳥だ…他にもハーピーや……ありえない…」

エリス「男…どうして?」

男「魔物は基本的に他の種族と群れないんだ…」

エリス「そうなの…?あっ!町の門が襲われてるっ!」

男「しかも…他の種族同士で連携とれてないか…?」

衛兵2「ん?1匹…どんどん近づいて来てませんか?」

男「こっちに来てるな………エリス、衛兵2!廊下に逃げろ!」


抜けここまで


エリス「いやぁぁ!魔物のクセにこっちこないでよぉ!」

男「…!」スッ

エリス「あっ!」

魔物「クァァ――ッ?」


男はエリスと魔物の間に入り小剣を抜くと、魔物は聞きなれない言葉を発した。


エリス「魔法っ!男気をつけてっ!魔法の詠唱をしてるっ!」

男「わかってるよ」

男は小剣を構えると素早く魔物に踏み込んだ。

人間が10人程並ぶ距離を一気に詰める。

1歩目で半分の距離を、

2歩目で魔物の目の前に、

次の瞬間には魔物の背後を完全にとっていた――


男「っ!」ザシュ

魔物「ギ―――クァ……」ドサ…


男「皮膚硬ってぇ…腕痺れたぞ…」

男「エリス、漏らしてる場合じゃない!早く逃げるぞ!」

エリス「男、ありが……わたし漏らしてないし!」

男「いいから中庭から出るぞ!衛兵達の所へ行くぞ!」

エリス「うん……って!男、後ろっ見て!」

男「ん……おわっ!!オーガか…つーかでかくね?」

エリス「大きいね…こっち来てるよ?」

男「まぁ定説によると人間の女にイヤらしいことをするのが好きらしいからなぁ」チラ

エリス「そうなの!?…そういえばわたしの方に来てる気がする」


男「豚とかオーガとかにはモテモテだな」

エリス「『は』とか変なこと言わないで!…言っておくけどわたし国とか貴族の間で美人で有名なんだよ!?」キッ

オーガ「ブオオオオオォォォォッ」

男「はいよ。ほら!お前はこっちだっ」


男がエリスとオーガの間に立つと、オーガは不機嫌そうに声を漏らし武器らしい木材を振り上げ男に向かって振り下ろした。

男「何処の家の柱だよ…って、早っ――ぐぅぅぅぅううう!!??」


振り上げる動作の遅さからは考えられない程の速度で迫る木材を男は小剣で受け止める。


男「重いぃぃぃぃいいい……」

エリス「うわっ、風圧がこっちまで来た…男!大丈夫!?」

男「ギリギリ…つーか本当にこのまま潰されそうだぞ」

エリス「…そうだ!男、そのままオーガに抱きついて!」

男「はぁ?………それで?」

エリス「そのまま私が全力で指輪に電撃を送るからっ!」

男「ふざけんなっ!俺死んじゃうだろ!?」

エリス「次5回目だし慣れてるから大丈夫!それにわたしの為なら命なんて惜しくないよっ!」

男「ぶほっ!……人でなし過ぎる!」


言い終えない内に男は素早く腰から奇妙な形のダガーを抜きオーガの腕に振り下ろした。

金属片を巻きつけた防具越しではあったが、ダガーは吸い込まれるようにオーガの腕に突き刺ささった。

オーガ「!?」

一瞬オーガの力が緩んだ隙を見逃さず、男は胸元を小剣で突き刺すとオーガは短い断末魔をあげ倒れた。


エリス「倒したの?…はぁぁ…怖かった…」

男「ふぅぅ…疲れた…おっと、早く逃げるぞっ」

エリス「う、うん…おとこ、ありがとう…」

男「あいよ」


衛兵達「エリス様!ご無事ですか!?」

エリス「うん…でも…」

男「外の様子は?」

衛兵「空から魔物が襲って来ました…兵が奮闘しておりますがエリス様!早く城にお逃げ下さい!」

衛兵「奴らの半数は北門と西門の兵や守りの設備を襲っていきました!今はどちらの門もほぼ壊滅状態で魔物が進入して来ております!」

衛兵「そして門の外からは…報告の間違いだとは思うのですが…3万を超える魔物共が…」


エリス「そんな…」

男「さんまん!?」

エリス「お母様はっ?」

衛兵「騎士団の詰所にブタ貴族様といらっしゃると思われますが…詰所周辺は現在多数の魔物がおります…」

エリス「そんな!?……わたしお母様のところに…詰所に行きたい!」

衛兵「いけません!まだ魔物が残っております!エリス様は一刻も早く城へ非難して下さい!」

エリス「で、でも…お母様……」

衛兵「さぁエリス様、お早く!」


エリス「うぅ…おとこぉ…」チラ…

男(どうしようか>>109

エリスに従う

>>109 了解です!

今日はここまでにします。


男「う゛…」

エリス(お願い…)ボソッ


男(………あーーくそっ!分かったよ!そんな目で見るんじゃないっ)ボソッ

エリス(…!ありがと男っ!)パァァァ

男(母親かぁ、仕方ないな…)

男(その代わり危なくなったら引き返すからな!?)ボソッ

エリス(危なくならないから大丈夫!)ボソッ


エリス「…お城に行く準備してくるよ。衛兵さんたちはどうするの?」

衛兵「守備兵達と合流して西門を守ります!エリス様には間もなく屋敷に来る騎士が城まで同行する予定です!」

エリス「ありがとう。衛兵さん、気をつけてね…」

衛兵「ありがとう御座います!ここから城まではもう魔物はいないと思いますが…エリス様どうかご無事で!」

エリス「男、ついてきて」

男「あいよっ」


エリス「ここ!ここの窓から外出れるのっ!」ガラガラ

男「書置き残しといた方がいいんじゃないか?」

エリス「…そうだね。じゃあ…お母様の所に行きます…っと。ドアに張っておこう」カリカリ

男「じゃあ行くか…あんまり離れるなよ?それと危なくなったら戻るぞ?」

エリス「うんっ」


男「確か詰め所は西門の方だったよな…裏道通った方が早いよな」

エリス「うん。…道分かる?」

男「前にもこの国に来たことあるから大丈夫だ。…エリス、あんまりその辺の死体見るなよ?」

エリス「うん、大丈夫…」



エリス「戦ってる声がする!お母様っ!」

男「ここからは静かにしてくれっ」

エリス「でもっ、早く行かないとっ…」

男「大丈夫だ。戦ってる奴がいるんだからまだ無事だと思うぞ」

エリス「うん…」


男「見えてきた。うわぁ…詰め所の周りに魔物残ってるじゃねーか」

エリス「50匹くらいいるよ!大きいのもいるっ!うぅ…お母様っ」

エリス「おとこっ、早く行って全部やっつけてよっ」

男「あそこに一人でつっこんだら死ぬわっ!でも騎士達押されてるな…でもエリスの母親は中に居るだろうから――」

エリス「あ!お母様!詰め所の門の所っ!」

男「――なんで出て来るんだよっ!」

エリス「魔物が何匹かお母様の所に行ってる!お母様っ!」ダッ

男「ちょ!バカ!エリスの大バカ!戻れっての!」


男(どうする!?>>123

使えそうな道具や、武器を探す。


男「ちっこいくせに意外と足が速いぞ!このままだとエリスが…何か弓矢とかないか――」キョロキョロ

男「――何もねぇ!…じゃあこの石で……おりゃあああ!!!」ブンッ



エリス「お母様っ――……っ!痛ったああああい!!」ゴチン!

男「エリスに当たるとは…でも足は止まってくれたな…しょうがねぇ、行くか」ダッ

エリス「男!なんてことすんのよ!お母様が――」

男「おい、無茶すんな!かーちゃん助けてやるから下がってろ!…てか俺死んだら恨むからな!」ヒュン

エリス「あ……男、お願いお母様を助けて!」

男「いくぜっ!――おい騎士共!気合が足りねぇぞ!」スチャ

騎士達「!?」

エリス「お母様っ!!」

エリスの母「エリス?何故ここへ!?」


男「うりゃああああ!!」ザシュ

魔物「……ギィィ!?」

男「おい!建物の中はどうなってるんだ!?」

騎士「貴殿は!?…中には毒の霧を撒き散らす魔物がいて近寄よれん!」

男「じゃあエリスの母を中心にして中央を抜いて来い!そんなとこじゃあ中から挟み撃ちにあう!」

騎士「しかし敵の数が…」

男「俺がいくらか引き受けてやる!」


突然現れた男に気がついた魔物達が一斉に男に襲い掛かっていった。

頭の異様に大きい魔物は男を噛み砕こうと、

醜い顔をしたオークの亜種は手持ちの粗末な槍で男を貫こうと、

背中に羽の生えた四足歩行の獣は巨大な爪で引き裂こうと、

大型の魔物は男を握り潰そうと手を伸ばす!


男「っ!!!」ヒュ

頭の異様に大きい魔物の牙を避けつつ首筋に右手の小剣を突き刺す――

オークの槍は左手の小剣で弾きつつ首筋に切りつける――

獣の爪は避けきれないと判断し、防具にまかせ――

目前に迫った大型の魔物の腕は、よろめきながらも右手の小剣で切りつけた。


騎士達「おぉ……我等も遅れを取るな!!うおおおおおおおおおおおおお!!」


男「うぐっ…痛ぇ、エリスの母は何処だ?…よし、持ち直した騎士達の中心にいるな」

男「残り頑張るか…」


男「ぜぇっ…ぜぇっ…はぁ…はぁ…んっ!」ザシュ

魔物「!!……ウゥ」ドサッ


騎士は始め7人居たのが今は3人、男も体にいくつも傷を負っていた。

持ち直した騎士達と男によって魔物は次々と屠られていき、残りは僅かとなった所で異変が起きた。

戦いが始まってから殆ど動かなかった人型の魔物が動き出し騎士を襲い始めた。


騎士「ギャ…あぁ…」ドサッ


小国に仕える正騎士に支給される甲冑は決して脆くない――が、

この人型の魔物の爪は薄紙を裂くように甲冑を引き裂く。

哀れな騎士は一振りで肩口から腰まで引き裂かれ絶命した。


騎士「魔 物 風 情 が ぁ ぁ ぁ ! !」

同時期に叙勲を受けた親友を殺された騎士は、全力の殺意を込めて肩口を切り付ける。

動かない魔物を見て騎士は勝利を確信し、殺された騎士と同じように腰まで切り裂いてやろうと振り抜くイメージを頭で描く。

しかし剣は甲高い音を上げ簡単に弾かれてしまった。

騎士「なんだと!?」


魔物に表情があるのかは疑問だが、僅かに笑った様に口元を吊り上げながら爪を振り上げた。

騎士「くっ…!」


魔物「………ツ!!?」

男「はぁはぁぜぇぜぇ…こいつで終わりだ……」ドス


人型の魔物の胸元には男の小剣が突き刺さっている。

魔物は声を上げることも無く倒れた。


今日から少しずつ更新していきますので見てる方いましたら宜しくです。

もちろん着色無し

ttp://imepic.jp/20140701/771050


男「はぁはぁ…キツかった。そこの騎士、無事か?」

騎士「なんとか生きているが…5人も…」

騎士「貴殿の協力に感謝する、名を聞いても良いか?」

男「男だ。そこのエリス…サマの護衛っぽいことをしている」

騎士「そうか…未だ小国は魔物の大群に包囲されている。魔物が組織的な行動をするなど聞いたことがないが事実だ」

男「…魔物は3万だろ?ここの兵の数は?」

騎士「騎士や兵、傭兵を合わせても1000に満たないが…我々が誇りに懸けて最後までここを守る」

男「そうか、無理するなよ。最後が来る前に…誇りよりも命を大切にしろよ?神様も許してくれるぞ」

騎士「ははっ、わたしは戦神を信仰している、最後までやってみるさ」


エリス「お母様っ!」

男「?」


エリスの母「…エリス、どうしてここへきたのですか。襲撃があった際は城へ行きなさいと伝えたはずですよ?」

エリス「…それは、お母様が心配で…」

エリスの母「あなたの身に危険があれば当家の存続に関わります、分かっていますね」

エリス「…でも――」

エリスの母「エリス!今すぐ城へ行きなさい」

エリス「――っ…分かりました」ビクッ

エリスの母「そこの…名前は何て言ったかしら?エリスを城まで連れて行きなさい」

男「…分かった。じゃあ行くかエリス…様」

エリス「…」コク


エリスの母「エリス」

エリス「…?」

エリスの母「…なんでもありません……いきなさい」

エリス「…はい」


男「なぁ、元気出せよ」

エリス「なに?別に落ち込んでない…」

男「涙目じゃねーか。…屋敷に寄るか?」

エリス「別に会いたい人も居ないしいいよ…お城に行く…」

男「衛兵とか仲良さそうだっただろ」

エリス「衛兵さん達は屋敷の人じゃなくてお城から来てる人だよ…屋敷の人はあまり好きじゃない…」

男「そうか。…痛ててっ…」

エリス「?…どうし……―っあんた!傷だらけじゃない!」


男「そりゃあ誰かさんのせいで魔物の大群につっこんだからな、傷だらけにもなるぞ」

エリス「………痛い?」

男「ギリギリ大丈夫だが今襲われたら諦めてくれ。城に着いたら休ませて貰うぞ」

エリス「…寝室あるからそこで休んでて。司祭様も呼ぶから…」

男「エリスは?」

エリス「わたしは多分お説教されるかな…それが終わったらそっち行くから」

男「あいよ」


男「お、城門が見えてきたな」

エリス「…」チラ

男「…」

エリス「……」チラッ

男「…ん?」

エリス「…っ」サッ

男「どうしたんだ?」

エリス「なんでもない、早くお城へ行くよっ」

男「あ、ああ」

今日はここまでです。

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