モバP「シンデレラ高等学校1-C」 (51)

呼んでいただく前に注意事項
本作は年齢設定は無視を前提に書かせてもらってます
注意終わり

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P「えー僕はP。このクラスの担任だ。君たちはこのシンデレラ高等学校に入学した。よりよい個性を育てるをモットーの校風だ。みんな。自分の思う通りの過ごし方をしなさい」

P「一応今日は軽い自己紹介と学校説明だけで終わるつもりだが、君たちから何か質問はあるか?」

雫「あのー。この制服ー。サイズが合ってないんですけどー」

P「女生徒の前なのでオブラートに包んで言わせてもらうが、君のサイズに合うものがなかったんだ。後日業者に頼んでみよう」

楓「この辺に温泉はありますか?」

P「温泉はないが僕が良く利用する銭湯はある。場所が知りたいのならあとで教えよう」

杏「帰りたいです!」

P「元気な質問結構。今日はこの時間で帰宅だ。帰ってもいいが明日からきちんと登校するんだ。では他に居ないみたいだから今日はこれで終わりとさせてもらう。以上」

P「ふぅ。なんか、個性の強い子たちが多いな。こんなんでやっていけるんだろうか」

美優「どうしたんですかP先生。まだ初日なのに溜息なんかついて」

P「あ、家庭科の三船先生。いえ。前々からこの学校には個性的な子が多いと聞いていたのですけど、いざ目の当たりにすると気圧されると言いますか。本当に濃い子たちばかりで」

美優「大丈夫ですよ。確かに個性的な子は多いですけど、この学校に入る子はみんないい子です。保障しますよ」

P「そうですか。いやはや、頼りになる先輩教師がいて助かりますよ」

美優「そんな。私もこの学校に来て二年目ですから。P先生の方が教員歴は長いと思いますよ」

P「そうかもしれませんが、とりあえずこの学校ではあなたが先輩です。胸を借りるつもりですよ」

美優「は、はい。そうだ。この後、教員の皆さんで飲みに行こうって話になってまして。P先生もどうです」

P「ぜひご一緒させていただきます。あと」

美優「はい? なんでしょうか?」

P「どうしても高校生に見えない子もいるんですが………どう思いますか?」

美優「どうもこうも、一人の生徒として接するまでです」

P「やっぱり、個性的だ」

数日後

P「うーん………」

美優「どうしたんですかP先生。そんなに唸って」

P「三船先生。いえ。入学式以来来てないやつがチラホラいまして。新学期早々登校拒否ですかね」

美優「チラホラ、いるんですか?」

P「はい。事情を聴いてる子もいるんですけど。この子。入学式初日に帰りたいと高々と宣言した。双葉杏です。音沙汰も何もありませんね」

美優「電話はしたんですか?」

P「一応したんですけど、どうやらこの子は一人暮らしのようでして、中学の時から怠け癖がひどかったようですね」

美優「一人暮らしなんですか………そういう生徒は他にもいますけど」

P「とりあえず、今日の放課後彼女の家に尋ねようと思っています。いじめやそういった問題ではなくただの怠け者ならこちらから無作法に出向いてもいいでしょう」

美優「えっと、そういうのは問題になるかもしれませんよ」

P「そのことについても考えはあります。うちのクラスに双葉の情報を提供してくれた、双葉の中学時代の同級生がいまして。その子が同行してくれるとのことです。友人と一緒なら幾分か取り合ってもらえるでしょう」

美優「そう、ですか?」

P「では、待たせているので。失礼します」

P「なるほど、君は中学生時代に双葉の家によくプリントを届けに行っていたのか」

仁奈「そうでごぜーます! 杏おねーさんにはいつもお世話になってたんです!」

P「そうかそうか。君は双葉をずいぶんと信頼してるんだね。こんな友達思いの友人がいて双葉は幸せだろうな」

仁奈「幸せだなんて、照れるです。杏おねーさんはすごいでごぜーますよ!」

P「まああそこまでポジティブなネガティブ精神を持ってるのはすごいけど………今思えばサボりまくってたのにうちの高校に入れたのか」

仁奈「仁奈も杏おねーさんにいつも勉強を教えてもらってたのです!」

P「あの最初の一声が帰りたいの彼女が勉強を教えて………これは、ぜひとも不登校から脱却してもらいたいものだ」

P「双葉の家に着いたのはいいが………どうにも鍵がかかってるみたいだ。しかもインターホンを押しても気配も何もない。もしかしたら、ヤバい状況なんじゃないのか」

仁奈「だいじょーぶです! 杏おねーさんは基本的にインターホンじゃでなくて………この植木の下に隠してある鍵を使って入れって言われてます! 仁奈は友人だからって教えてくれたんですよ」

P「つまり………勝手に入ってくる以外は家で人と会わないのか。新学期早々嫌な問題に直面してるなぁ僕」

仁奈「杏おねーさん。入りますよー」

P「うわぁずいぶんと匂い漂うゴミの山が出来上がってるじゃないか。双葉ー。いるのか?」

杏「………ん? あ、仁奈ちゃんじゃん。どうしたのってげぇ! 先生!? 何で?」

P「何でもくそもないよ。入学式初日から学校に来てないじゃないか。何で来てないか理由を聞きに来たんだ」

杏「何で来てないかって。めんどくさーい。先生だって言ったじゃーん。自分らしく過ごせーって。杏はだらだら~する」

仁奈「杏おねーさん。せっかく同じ学校に入ったんですから一緒にいこーでごぜーますよ」

杏「えーでもなー。杏は楽な人生を送れたらそれでいいし」

P「市原もこう言ってるんだ。学校へきたらどうだ。それに、ここでダラダラしたところで楽な人生なんて送れないぞ。将来玉の輿でも狙ってるのか」

杏「あーそれいいかもねー。うん決めた。杏は玉の輿になる」

P「こいつ………! だったら、こういう話がある」

杏「ん?」

美優「P先生。話は聞きましたよ!」

P「ん? 何がですか?」

美優「この前言っていた杏ちゃん。学校に来てるみたいじゃないですか。それに、とても友好的で勉強もしてるって」

P「と言ってもムラはありますけどね。そういう時は僕が直接話をしてまたやる気にさせています」

美優「この前の家庭訪問の時からこうですし、何をしたんですか?」

P「別に、玉の輿に乗って楽な人生を歩みたいと言ったのでどうすればなれるか教えただけですよ。今から勉強を頑張って、社交性をもって自分を磨けば将来、大企業の社長から声をかけられ楽な人生を送れるといっただけです。まあ、アイドルになれば印税生活で楽になる、みたいなことを言ったんですよ」

美優「それ、少し違うような。でも中学時代、有名な不登校の子を見事学校に復帰させたって、千川理事長も評価してましたし、流石ですね!」

P「別に大したことはしてませんよ。生徒の問題や悩みを解決するのは教師の役目なんですよ。しかも」

美優「しかも?」

P「双葉が学校に来るようになったことが市原もうれしかったようで、あれ以来僕によく頼ってくれるんです。教師冥利に尽きると言いますか」

美優「わかります。生徒たちに信頼されると、うれしいですよね」

P「ただ、後ろからいきなり抱きつくとかは辞めてほしいですね。腰に来ますから」

美優「あ………あまり、問題にならないようにお願いしますよ」

P「え? え?」

四月の一週目 双葉杏

P「今から部活の希望アンケートを配る。別に部活に所属する気のない者はなしと記入するだけで十分だ。今日の放課後のホームルームの時に回収するぞ。この箱に突っ込めよ」

P「んー。回収率悪いな。しかも名前被ってるのあるし。変なのもある………暗黒魔術研究会なんてあるのか」

美羽「あ、あの! いいですか!?」

P「ん? お、矢口。どうしんだ? あ、アンケーとか。悪い。もらっとくよ」

美羽「まだ………書いてないんです。私」

P「まだ書いてなかったのか。いや、確か胃放課後までに書けないほど魅力的な部活はこの学校にいっぱいある。この暗黒魔術研究会なんていかにも胡散臭そうでいい。うんうん。いい心がけだ。そうやっていっぱい悩んで最後に出した答えが君の一番やりたいものだ。よし、今日は出さなくていいぞ。家でしっかり考えてくるんだ」

美羽「そうなんです! 魅力的な部活がいっぱいあって、決められないんです! でも、家で一人で考えても、答えが出なさそうで。出してもいいのかって悩んじゃいそうで………」

P「ふむ。なるほど。何かはしたいけど何をすればいいかわからないのか。難しいな」

美羽「高校に入って、新しい自分にしたくて………先生! 一緒に考えてくれませんか? 私にぴったりな部活は何かを!」

P「え? 一緒に?」

>>10 アンケーと× アンケート○ 確か胃× 確かに○ 

後日

美羽「まず、私が入りたいと思った部活を羅列してみました!」

P「えっと何々………サッカー剣道陸上競技。運動系はメジャーどころがわんさか。だけど、野球部って書いてある。ウチは野球部のない女子高だよ」

美羽「え? でもソフトボールありますよね?」

P「文化系は………それこそ無数にあるからなぁ。しかもまた羅列がすごいことになってるじゃないか。君も節操がないな」

美羽「だって、魅力的で………むむむ。悩むぅー!」

P「はぁ。でもこの羅列じゃ絞るも何もないな。とりあえず体験入部か見学をするのが一番だろう。クラスでも何人かすでに部活に行った子もいるみたいだし、君も行ってみるといい。それと、文化系か運動系くらいの選択もしといた方がいいかもな」

美羽「うーん………私って運動系と文化系のどっちに向いてると思います?」

P「そこを聞くのか………」

美羽「だって部活を決めるということは学校生活の方向性を決めることですよ! もし間違っていたら」

P「それこそ、自分で決めるべきだ。僕に決定権はない。僕ができることはこうやって話し相手になって君の悩みを聞いてやったり、アドバイスをするだけだ。さすがに部活は決めてやれないな。だからいくらでも話は聞いてあげる」

美羽「うえぇ………じゃあ私に合ってそうな部活は………」

P「あー………」

美優「また、どうしたんですか?」

P「いえ。寝不足なんです最近」

美優「何か家でやってるんですか?」

P「実を言うとクラスの生徒に部活を決められないと相談されたのが事の始まりでして」

美優「もうクラスの子から頼りにされてるんですね」

P「そうだとうれしいですけどね。部活の方は何とかするーって納得してくれましたが、どうにも他にも悩み事が多いらしく。夜遅くまで電話で相談事を………」

美優「あんまり根を詰めちゃだめですよ。コーヒー淹れてきますね」

P「お願いします。とびっきり濃いのを………ん? 電話? しかも………もしもーし」

美羽『すみません先生! 相談したいことがあるんです! 時間空いてますか?』

P「学校にいる間は直接会いに来なさい。で、相談事って?」

美羽『部活は、結構決まって来たんですけど………また悩み事が出てきちゃって』

P「その悩みってのは?」

美羽『部活して………クラスの子と遊ぶ時間が少なくなったらどうしよう』

P「それは知らないよさすがに!」

四月の二週目 矢口美羽

美羽「そう言えば、最近の噂、知ってますか?」

P「知らないな。それは学校内での噂なのか?」

美羽「そうそう。どうにもバイト関連のことでやってるかやってないかーとか。やっててもあり得ないーとか色々変な話があるんですよ」

P「その説明だと全く分からないな。つまりこの学校で誰かがバイトしてるが、それがあり得ないって話か。許可制だけど別にバイトの一つぐらい珍しくもないだろう」

美羽「そうなんですよねー。うーん。私もバイトを始めようかな。高校生活は一度きりですし。でも、何をしようか悩むなー」

P「君はいつでも悩んでるなぁ」

みく「先生。クラスメイトのプリントを回収しました」

P「お、ありがとう。いつも助かるよ」

みく「委員長ですから当然のことをしたまでです」

美羽「うーん、流石みくちゃん! なんかこう。できる感じですよね先生」

P「自分から率先してクラス委員長になったからな。みんなも頼りにしてるし、まさにクラス委員の鑑だな」

みく『ほら双葉さん。床で寝ちゃだめですよ』

杏『スぺランカーになりたい』

美羽「でもちょっと硬すぎるかなぁ。笑えばかわいいのに」

P「人は人だよ。そうだな。前川の満面の笑みってのも想像できないな。見てみたい気はある」

美羽「お、気が合いますね! ハッちゃけたみくちゃんとか見てみたいなぁ」

P「ハッちゃけたねぇ」

P「いつ見てもここら辺は人が多いなぁ。ちょっと機械のパーツを買いに来るだけでも一苦労だ………ん?」

みく「………」

P「あれは前川。珍しいな。こんなところに一人でいるなんて」

みく「………」

P「何か建物に入っていった………喫茶店か? もしかして、ここでバイトをしているのか? 前川のことだからお金より接客業でコミュニケーション能力の向上とか言いそうだな。でも、担任の僕は聞いてないからな。確かめなくては。失礼する」

みく「お帰りなさいませにゃ! にゃんこなみくは寂しかったにゃ♪」

P「………何やってんの前川?」

みく「!???!?!? せ、先生!?!!?!?!???!??」

P「猫耳………あー………んー………君は前川の姉か?」

みく「そ、そうにゃ! みくは前川みくの姉にゃ! いつも妹がお世話になってるにゃ!」

P「ちなみに君は自分をみくと呼んでいるが妹と同じ名前なのか? そしてなぜ僕と認識がないのに第一一声が先生だったんだ?」

みく「う………」

P「まあ、君も漏れずに個性的だったってことか」

みく「せ、先生だってこんな店で一人で来て! 意外ですね。そんな趣味があったなんて」

P「嫌な勘違いをしているのは分かる。弁明することは簡単だが先に結論だけ言おう。君はバイトを学校側から許可を得てるのか? 少なくとも僕は知らないな」

みく「………してないです」

P「そうだろうな。前川の様子からわかる。それにしても噂は前川のことだったのか。確かに君がこんな一部のあまり他人に露見できるものではない趣味趣向の持ち主たちが集う喫茶店のバイトをしてるなんて誰も思うまい。しかも、女子高生や聖職者である教師があまり来るとは思えないし、知人に見られたとしても学校での君を考えれば他人の空似と思うのも無理はないな。結構理にかなったバイト先ともいえるな。さすが委員長だ」

みく「あの………冷やかしに来たなら帰ってくれますか?」

P「帰っていいのか? 帰っていいならこのことを学校側に報告するつもりなんだが」

みく「………い、言うんですか?」

P「何。隠れてバイトなど学生らしくていいじゃないか。別に学校側にバレないのならそれで構わない。が、一応僕も教師だ。校則に背いている生徒の報告は規約にあるのも事実。とりあえず、君の働きぶりを見て考えるとしよう。それとも、客として来訪した僕を君は無下に足蹴に追い出そうというのかい?」

みく「………こちらへどうぞ」

P「いつもの働きぶりが見たい。僕を担任の教師ではなく一人の客として扱ってほしい。教師としてでも客としてでもなく僕の頼みだ」

みく「………こちらへどうぞにゃお客様♪ みくが案内するにゃ」

P「ありがとう。それにしても人ってのは本当にわからないものだな」

P「ふーむ。『お手製オムレツ♡あなたの心に忍び足』『love電波受信!ケーキ塔に不時着しました』………なんじゃこりゃ。僕はこんな和製外来語を知らないぞ」

みく「何言ってるにゃ。全部日本語にゃPチャン」

P「まあ、わかると言えばわかるが………にしても、なかなかの働きぶりみたいだな」

みく「ふふーん。こう見えてもみくは店の人気ランキングのトップ常連にゃ」

P「キャバクラ? いや、流石にそれとは違うか………」

菜々「何してるんですかみくにゃん! 一人のご主人様だけに時間を費やすのはダメですよ」

みく「あ、ごめんにゃ菜々チャン。行ってくるにゃ!」

P「君は17歳で二年生の安倍菜々だろ」

菜々「何で年齢を言うんですか。そうですけど」

P「前川は、いつもあんな感じなのか?」

菜々「みくにゃんは………学校では委員長キャラだって聞いてます。でも、猫好きでこうしたバイトをしている時が一番楽しいと言ってました」

P「確かに、楽しそうではあるな」

菜々「私が言うのもなんですけど………あの子の話も聞いてあげてください。ここはあの子の本当の自分を出すことができる場所ですから」

P「………」

みく「お疲れ様にゃ。ん?」

P「お疲れ」

みく「………九時まで待ってたのにゃ?」

P「口調。そのまんまだぞ」

みく「別にいいにゃ。どうせバレてるんだから。いちいち演じる必要なんかないにゃ」

P「つまり、今の前川が素だと言うことか。これまた」

みく「先生は………このことを学校側に言うの?」

P「いや、最初から言うつもりはないさ。何せ、こんなこと言ったところで信じてもらえないだろうな。だから言うつもりはない。むしろ僕だけが知っている方が役得だ」

みく「何にゃそれ………まあアリガト」

P「それに、校則に背くかもしれないが校風には準じている。よりよい個性を育てる。前川はそれを体現している優等生だな」

みく「何それ。わけわかんないにゃ。ふふ」

P「ふん。だが、一応たまに君の様子を見るために来ることにしよう。そうすれば万が一学校側にバレても僕が容認していたことになるだろう」

みく「先生って結構、不真面目なの?」

P「僕は生徒の自主性を重んじるだけだ。ただし、成績に響くようなら口出しはさせてもらうけどな」

みく「じゃあその時は助けてもらうにゃ」

美優「P先生。何やら生徒の間でバイトに関しての噂があるらしいですよ」

P「そうみたいですね。でも所詮噂ですよ。そのうち収まります」

みく「失礼します。先生。これ、頼まれたものを運んでおきました」

P「悪いな。この後予定があるのに頼んじゃって」

みく「………あまりそのことは口にしないでほしいです」

P「おっと、悪い癖だ」

美優「どうしたんですか?」

P「何でもありません。とりあえずアリガト前川」

みく「礼には及ばないにゃ」

美優「にゃ?」

P「くっくっく」

みく「ゴホン! 礼には及びません。では失礼しますPチャン」

美優「Pチャン?」

みく「!!? じゃあ失礼します!」

美優「………ちょっと雰囲気変わりましたか。みくちゃん」

P「どうでしょうかねぇ。ん? メールだ」

メール『またのご来店楽しみにしてますにゃ』

美優「P先生?」

P「あ、いや! 違います! そういった趣味ではなくて! 誤解しないでください! 美優先生!?」

メール『お返しにゃ♪』

四月の三週目 前川みく

P「さーって今日も元気に登校登校~ん?」

あい「ふむ、困った」

P「おはよう東郷。ずいぶんとお困りの様子だが」

あい「おはようP。今日もいい天気だ」

P「教師を呼び捨てとは………その靴箱の中」

あい「どうやら私は同性の子から好意的な目で見られてるみたいだ」

P「確かに君は僕から見ても女性受けしそうな外見だ」

あい「褒め言葉として受け取っておこうか」

P「実際に褒めたんだがな。しかし、五月にも入っていないのにこの有様か。もはや歌劇団にゴーしてヅカの頂点に立ち稀代のオスカルとして英雄になるレベルだぞ君は」

あい「さすがの私でも意味不明なんだが。一応私も高校一年生の女子だ。カッコイイよりカワイイと言われる方が嬉しいというのもあるんだが」

P「それは立ち振る舞いからしても君はカッコイイの部類からは揺るがないだろう。まあ内面を変えるのが難しいのなら自分の外見を着せ替えるほかないだろう」

あい「そう言われても難しいな」

P「………そういうことに詳しいクラスメイトがいるたはずだ。そいつに声をかけてみよう」

P「と言うわけだ。頼めるか?」

あい「Pクン………本当に大丈夫なのか? と言うより、私は君の考えに同意した覚えはないのだが」

P「呼び捨てをダメと言ったがクン付けも良しとは言えないな。安心したまえ。生徒の悩みを解決するのが教師の務めだ。で、彼女をどう魅せるのがいいと思う、諸星」

きらり「うーん☆ どうするかにぃ?」

あい「かにぃって………確かに彼女は愛らしいが、この胸をよぎるどころではない、まるで鷲掴むような不安は決して気のせいではないぞ!」

P「まあ落ち着けデューク。確かに君とタイプは真逆かもしれない。しかし彼女は大柄だ。君も女性としては大きい方だが彼女はさらにその上を行く。だが諸星は我がクラスきってのカワイイの権化と言ってもいいくらいのピュアピュアな外見の持ち主。高い背丈でかわいく見せる方法に詳しいとは思わないか?」

あい「んー………何か違う気もするが」

P「諸星は東郷をカワイく魅せるにはどうしたらいいと思う?」

きらり「うーん………きらりはぁ、あいちゃんはカワイく魅せるよりカッコよくした方がいいにぃ☆」

P「ほう。これは話の根本を全否定する答えだな。東郷はこの意見についてどう思う?」

あい「まあ、妥当だとは思う。私自身の自覚もあるからな」

きらり「でもぉ☆ アクセントって大事だと思うかな。こうやって、前髪をヘアピンで………うっきゃーぴったし☆」

あい「これは?」

P「ヘアピンで髪を分けたか。確かにそれなら簡単ながらよりよく魅せられる。しかもヘアピンの種類によって印象も変えられる。なるほど、大きな変化の切っ掛けは小物でもいいのか。まさに千里の道も一歩からだな」

あい「少し違うなそれは。でも、ヘアピンか………考えたこともなかったな」

きらり「似合ってるよあいちゃん☆」

あい「ふむ………」

P「うーん………」

美優「いつも唸ってますねP先生」

P「ええ。どうにも………自分の行いってものが正しいかどうかって思いまして」

美優「何かあったんですか?」

P「まあ結果的には良かったんですよ。その子もちょっとしたオシャレに目覚めたと言いますか。感謝もされて」

美優「ならいいじゃないですか。いいことをしたんですよ」

P「そうなんですけど………わからないですねぇ」

美優「生徒たちからの相談事や悩み事は大人である私たちにわからないのは当然ともいえますけどね」

P「………そう言えばもう月末ですね。飲みに行きませんか? 奢りますよ」

美優「え、そんな。悪いですよ」

P「奢るのは三船先生だけです。いつもお世話になっているので。皆さんには内緒ですよ。それとも、何か用事があるんですか?」

美優「いえ、でしたら御呼ばれします」

P「楽しみにしてます。お、サックスの音が」

美優「いい音色ですね」

P「僕は最近よく聞きますけどね」

四月の四週目 東郷あい

美優「ふぅ。何か、しっとりしますね」

P「この前の飲み会は大人数でしたし。言っちゃなんですけど僕は静かな方ですからしんみりもしますよ。まあ三船先生もゆったり飲む方ですし、こうなるのは当然でしょう」

美優「にしても本当にいいんですか? 結構いいお店ですし、奢ってもらうなんて」

P「気にしないでください。独身生活であまり給料の使い道もありませんし、お世話になっている人への御礼くらい大盤振舞ですよ」

美優「少し、酔ってきたんじゃないですか?」

P「そういう美優さんこそ顔赤いですよ。さすがにペース速いですかね」

美優「少し落としてもいいですね」

P「にしても、赴任して一ヶ月。短い間ながらいろいろありましたよ」

美優「そうみたいですね。一週間に一回くらい生徒の問題に取り組んでましたよね」

P「ニート娘に悩みたガール。ねこにゃんぼーにサックス担当のイケメン。全く。色物にもほどがありますよ」

美優「………本当に酔ってませんよね」

P「大丈夫ですよ。もし酔いつぶれても三船先生がいますから。介抱してくれますよね?」

美優「え? え?」

P「はっはっは。冗談ですよ。まあ三船先生が酔いつぶれたら僕が介抱しますから」

美優「そういう問題では、」

P「まあまあ飲みましょう飲みましょう」

美優「はいありがとうございます」

P「では、今一度。今月お疲れ様でした」

四月 終わり

P「放課後の見回りも大変だ。まあ教室に忘れ物を取りに行くだけだが………ん?」

『キノコキノコ―』

P「なんだ? この絶望には染まらないが確実に獄の方から聞こえる寂しげな歌声は………教室から?」

輝子「キノコー!」

P「聞いてくれ母さん。夕暮れにも染まる教室でキノコの植木を手に歌う生徒を目の当たりにしている。雨乞いにしか見えないんだ助けてくれ。てかあれ星だよな? クラスじゃ大人いしいと思ってたけど、星はこんな趣味があったのか………オイ星!」

輝子「ヘアっ!? ? ? あ、先生………い、いらっしゃい」

P「何をやってるんだ。もうそろそろ下校時間だ。教室で民族舞踊紛いなことしてないで帰るんだ。と言うより、何でキノコを持ってるんだ?」

輝子「き、キノコイズマイフレンド。アイムボッチ」

P「キノコが友達? そう言えば星がクラスの誰かとしゃべってるところを見たこと………よし。今から先生が友達になろう」

輝子「え? あ、はい………え?」

P「嫌ならいいんだが。まあおっさんだし。でも話し相手くらいにはなれるぞ」

輝子「と、友達………な、なあP」

P「呼び捨て? まあ友達だもんなうん。なんだ?」

輝子「もう、帰るのか?」

P「あ、まあもう帰るけど」

輝子「と、友達だから………一緒に、帰ろう」

P「一緒に? ………まあ、いいけど」

輝子「じゃ、じゃあ校門で………待って、る」

P「行っちまった………言っちまった」

輝子「ほ、ほら。コンビニ。と、友達は意味もなくコンビニに寄る」

P「まあ、間違っちゃいないよな」

輝子「あ、あんまん………」

P「………奢ってあげるよ」

輝子「お、気が利く、な。半分、どぞ」

P「………ありがとう」

輝子「あ、プリクラ。女子高生はプリクラが大事、らしい」

P「見ててあげる」

輝子「ぼっちー」

P「わかったよ………一緒に写るよ」

輝子「か、カラオケ………! 初めて、来た」

P「何やってんだろ僕。言っとくけど結構時間も遅いからな」

輝子「こ、これどうやって入れるの? 教えて」

P「こうだ」

輝子「さ、流石P。我が、親友」

P「ダメだ。やっぱり女子高生の友達は難しすぎる。ここはあいつに頼もう」

幸子「カワイイボクに頼み事? なるほど、先生はボクに頼らざる得ない状況なのですね! まあ仕方ないですよね。不安なときはカワイイボクに頼りたくなるのは当然です! で、頼みって何です?」

P「まあ、何だ。お前はクラスきっての意味の分からん自信と誰にでも平等なコミュニケーション能力がある。それを生かして、星と友達になってほしい」

幸子「輝子さんですか? たまに声をかけてもなかなか返事をしてくれませんよね! カワイイボクに嫉妬して無視してると思ってました………」

P「それはない。声のトーンが一段階下がったな。とにかく、こういうことを頼めるのは輿水くらいしかいないんだ。放課後付き合うのはさすがにこれ以上は厳しい」

幸子「放課後って、輝子さんは先生と一緒に帰ってるんですか?」

P「一回だけな。輿水なら分け隔てなく仲良くなれそうと思って」

幸子「ふーん………別にかまいませんよ。と言うより、最初から友達だと思ってますから!」

P「なんて頼もしいんだ。さすがカワイイと豪語するだけあるな」

幸子「ですけどさすがにあとワンクッションは欲しいですね………そうだ!」

P「いやぁいい子とすると気分がいいなぁ」

三船「月初めから随分と機嫌がいいですね」

P「そうですね。ちょっとおせっかいかもしれませんけど、まあ僕自身も体壊しそうでしたし………」

三船「?」

幸子「先生! いいですか?」

P「お、どうした輿水、職員室に来て」

幸子「いえ。実は今度の休日小梅さんと輝子さんと映画に行こうって話しになったんですけど………二人がホラーがいいって聞かないんです」

P「ほお。泣き言を言いに来たってわけか」

幸子「先生は以前輝子さんと帰路についていたと聞きました! どうですか? 休日一緒に映画に行きませんか? カワイイボクの慰め役として同行してもいいですよ」

P「結構だ。忙しい」

幸子「そんなこと言わないでください! じゃあ休日待ってますからね!」

P「おい! あー………行った方がいいのかなぁ」

三船「P先生………生徒にとんでもないことを言わせますね」

P「え? あ、いや! あれはあの子の照れ隠しなんです。自分では認めたくないプライドってやつですよ。そうだ。休日一緒にどうですか? 映画」

三船「………考えておきます」

五月の一週目 星輝子

>>40 いい子と× いい事○

美優「今からどこかに行くんですか?」

P「クラスに北条加蓮と言う病弱な子がいまして。事前には聞いていたんですけど、ちょっと体調を崩して数日休むと親御さんから連絡が来たんです。ですからちょっと様子を見に行こうと思いまして」

美優「行くと連絡はしてあるんですか?」

P「さすがに双葉の時みたいに押し掛けませんよ。親御さんに言ってありますし、伝言も頼んでおきました。ただ今日は不在らしく、インターホンを鳴らしたら北条が出てくれるみたいなので。では行ってきます」

P「うーん………土産ぐらい持ってくか。スポーツ飲料にゼリーに、体に良さそうなものを諸々」

P「そして次の行で到着。ほんとアイコン移動でもしている気分だ。ピーンポーン………出ないなぁ」

P「マジで出ない。そして扉の鍵は開いている………寝てるのか?」

P「いや待て。最悪のことを考えろ。今は親がいない。そんな一人の時に病状が悪化。僕を出迎えられないほど開かあ。ただ寝ている可能性の方が高い。だが、最悪のことを想定しなければ………大丈夫か北条!」

北条「あ、誰よ羽こうら飛ばしたの!」

奈緒「CPUじゃねーのか」

北条「しれっと嘘つかないでよ奈緒が最初から持ってたんじゃん! あーもうまた建て直しって緑こうらが!」

凛「ごめんね」

北条「あー一気に順位が四つも落ちた………ん?」

P「僕は、不法侵入をしたのかもしれないな」

北条「な、何でPさんが!?」

凛「まさか………加蓮、もしかして先生と付き合ってるの?」

奈緒「マジかよ。確かに妙にPさん加蓮の体調に気遣ってたし………マジか」

加蓮「何言ってんのさ二人とも! そんな、真正面から言われると恥ずかしいじゃん。ねぇPさん」

P「しれっと肯定的な答えを出すな。と言うより、今何でって言ったよな? 僕が来るって聞いてなかったのか?」

加蓮「えー………言われた気がするようなしないような。朝寝ぼけてたし」

P「言いたいことは多々ある。まず! 布団に入れ! 寝ろ! ビデオゲームをしてるんじゃあない! あと渋谷と神谷も何でここにいるんだ? 見舞いに来たのか? ゲームをしに来たのか!?」

凛「あ、先生がお菓子持ってきてる」

奈緒「気が利くなPさん」

加蓮「でもスプーンがないね。取ってくる」

P「待った君は寝てるんだ。病弱なんだろ。体弱いんだろ? 寝てるんだ」

加蓮「わかったって。そんなに迫るほど言うかな普通」

P「君の母親に様子を見てくれとも言われてるからな」

加蓮「何でそう簡単に人を信用するかなあの母親は」

P「で、二人は見舞いなのか?」

奈緒「まあ一応。いつものことだから遊びに来てるのも事実だけど」

P「君たちは学校でも一緒にいるな。学校が同じだったのか?」

凛「そうだよ。まあ腐れ縁ってやつかな」

加蓮「バンド組んでたんだよ。その名もトライアドプリムス!」

P「ほお、バンドか」

奈緒「ちなみにあたしがギター」

凛「私がベース」

加蓮「そしてアタシがドラムボーカル!」

P「言っちゃなんだがおかしくないか? 何で一番病弱なやつがドラムとボーカルなんだよ。一番体力使いそうなんだが?」

奈緒「………大変だったよなぁ」

凛「特に最後の文化祭なんか血を吐くかとひやひやしたよ」

加蓮「いい思い出だね」

P「寝ろ! 今すぐ寝ろ! 君たち二人は帰れ! しっかり療養をするんだ!」

奈緒「おい、先生が二人きりになりたいって言ってるぞ」

凛「もしかして、加蓮抜け駆け?」

加蓮「そんなんじゃないって! でも、結果的にそう見えるかも。ね、Pさん」

P「こいつら………」

凛「まあいいや。そういうなら帰るよ」

奈緒「じゃな」

加蓮「あー帰っちゃった。二人っきりだねPさん」

P「僕もすぐ帰るよ。思った以上に元気そうだし」

加蓮「うぐぅ~。持病の肩こりが………Pさん揉んでくれない」

P「ただ単に凝ってるだけじゃないのか………」

加蓮「じゃあ病人を一人にするの? 寂しいなぁー。寂しいから話し相手にあの二人呼んだのに寂しいなー。ウサギは寂しいと死ぬって話し知らないの?」

P「わかった。少し話し相手になろう。もとより、様子見を頼まれてるからな」

加蓮「ありがと。にしてもPさんって今時珍しいよねー。そんなに生徒におせっかいな人も今じゃ天然記念物物だよ」

P「頼られる人に教師とは生徒の心配の一つはするもんだ。まあ僕なんて教師歴もまだまだだけど」

加蓮「ふーん。Pさんって何歳だけっけ」

P「………まだ三十じゃないとだけ言おうか」

加蓮「まあ見た感じそんなもんだよね。彼女は?」

P「いない。と言うより、何でそんな話を振ってくるんだ」

加蓮「別にー」

P「………」

美羽「おはよーございます! ん? どーしたんですか先生。携帯をまじまじ見て」

P「矢口が。いやな。クラスの子からメールが来たんで見てるんだが………どうにも絵文字が多くてかなわん」

美羽「ふふふ………絵文字ですか。それなら絵文字マスターのこの私にいつでも聞いてください。伊達にメールを趣味にしてませんから」

P「君は良くも悪くも普通の学生だよな。でも、このメールは………」

美羽「と言うより先生私以外のクラスの子とメールしてるんですね。意外でした」

P「基本的にクラスのやつらにアドレスは教えてあるからな。でも何人かは私用で送ってくる奴もいて困ったものだよ」

美羽「女の子は話好きですからね。困ったものですよ!」

P「君もだろ。ほら、もうすぐ朝のホームルームだ。とっとと教室に行きなさい」

美羽「わかりましたー! またあとでー」

P「話好きか………北条も、こんなメールを送ってくるなんてな」

メール『お見舞いありがとう! 一緒に撮ったツーショット写メ送っとくからね』

P「不意を突かれて撮られた………送らなくてもいいのにな」

五月の二週目 北条加蓮

麗奈「よし………これで」

光「コラー! 何をやっているんだ麗奈!」

麗奈「ん? この声は………ふん、また来たわね光」

光「黒板消しを扉に挟もうとしてるな! いい加減やめたらどうだ!」

麗奈「嫌よ。これはレイナサマのライフワークなのよ。やめろと言われてやめられないわね!」

光「むむ、いつも注意しているのに反省の色なし………今度と言う今度は許さんぞ!」

麗奈「はん! 許さないってどう許さないのって、やめなさいよ! 黒板消しを取ろうとするんじゃないわ!」

光「いーや! きっと麗奈はその黒板消しがあるからこそあんな悪行を行おうとするんだ! それさえ奪ってしまえば!」

麗奈「奪ったて何にも変わんないわよ! それに、チビのアンタが取れるわけないじゃないホラー」

光「チビだと………! ちっちゃくない! 私は140はあーる!」

麗奈「ちょ、飛びかかんないでようわぁ! 黒板消しが!」

P「オラーお前ら席につ」

二人「あ」

P「………おいそこの二人。またか?」

光「P………! 大丈夫か!?」

麗奈「絶妙なタイミングで入って来たわね。光が絡みついてくるから」

P「お前たち二人! あとで職員室に来い!」

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