エレン「約束しただろ?」(69)

-???

「――――ったら、俺と――!」

「――……?」

「――――、――大切――だから、――――――!」

「――――も、――のこと――だよ」

「じゃあ……!」

「――!――――、よろしく――」



-849 男子寮

エレン「――――っ!!」

エレン「はぁっ……。……夢、か」

エレン「……」

アルミン「んん……。スゥ……スゥ……」

ジャン「ミカシャ……ングゥ、そこは、駄目っ……ぐああっ!!」

ライナー「グ、グオオッ、ゴ、ゴガオォォッ!」

ベルトルト「うーん……うーん…………zzz」

マルコ「zzz」

コニー「それは俺の…………ふっ、かかったな芋おんあぁっ!……フガフガ!」


エレン「……ったく。寝てるときまでうるせえな、あいつら」

エレン「…………覚えてる、かな……」

-食堂

エレン「おいアルミン、ちゃんと聞いてんのか!!」

アルミン「エレン……スープ、冷めるよ」

エレン「話を逸らすなよ! 約束しただろって聞いてるんだ!」

アルミン「……エレン、落ち着いて。ここは食堂。そして食事中だ」

エレン「十分落ち着いてる! 約束だよ約束!! 結婚しようって!!」

アルミン「んんっ! ゲホッゲホッ! え、それ、僕に言ってるの!?」

エレン「当たり前だろっ!! お前以外に誰がいるんだよ!!」

アルミン「えぇー……」



ミカサ「エレン、アルミン。おはよう。騒がしいけれど、何の話をしているの?」

アルミン「おはよう、ミカサ。それが……」

アルミン「エレンが、結婚しようっていきなり」

ミカサ「結婚!?」

エレン「違う! いや、将来的には違わないけど! 今は約束の話だ!!」

ミカサ「将来!? 約束!?」



 「あんの死に急ぎ野郎……ミカサと何の話を……!」
 「はいはい、ジャン落ち着こうね」


 「結婚とは。あの二人、意外と進んでるんですねぇ」
 「おい、馬鹿夫婦はハンナとフランツだけで十分だぞ」
 (ひどい……)



アルミン「ちょっ、ちょっと落ち着いて! 声が大きいよ!」

エレン「わ、わりぃ」

ミカサ「ごめんなさい……」

ミカサ「それで、アルミン、話を詳しく聞かせて欲しい」

アルミン「え、えぇ!? 僕なの!?」

アルミン「ま、待ってね。状況整理するから……」

アルミン「えーっと」

アルミン(結婚の、約束か)

アルミン(うーん、そんな約束したかな)

アルミン(将来……一緒に……もしかして……)


『いつか…外の世界を探検できるといいね…』


アルミン(いやまさか、そんな……)

アルミン(でも、エレンことだからこの事なのかも)

アルミン「……エレン、それってもしかして結構昔の話?」

エレン「!! ああ! そうだよ!」

アルミン「なんだ、そっか。大丈夫だよ、忘れてない」

エレン「ったく覚えてんじゃねーか! 忘れちまったのかと思ったぜ、へへっ」

ミカサ「……」

アルミン「ふふ、忘れるわけないじゃないか、大切な思い出なんだもの」

エレン「アルミン……」

ミカサ「……」

アルミン「あんな小さい頃の事を覚えていてくれたなんて……」

アルミン「でもあれって、外の世界を見に行――」

ミカサ「なるほど」

アルミン「ミカサ?」

ミカサ「確かに、エレンとアルミンは結婚の約束をした」

アルミン「え゙」

ミカサ「私もちゃんと覚えている」

エレン「だろ?」

アルミン「えっ、えっ?」

ミカサ「ええ、でも私も約束した。エレンと結婚すると」

アルミン「んな……!?」

ミカサ「そしてアルミンとも結婚すると」

アルミン「え゙え゙っ!?」

エレン「あーそっちのほうか」

アルミン「そっ、待って!! そっちって何!?」


    ざわ…          
                   ざわ…

エレン「アルミン、あんまり騒ぐなよ」

ミカサ「アルミン、今はみんな食事中」

アルミン「ごっごめん……じゃなくてっ!! 僕にもわかるように説明してよ!!」

エレン「? 覚えてるんじゃないのか?」

アルミン「えっと、記憶の食い違いというか、僕の想像してるものとエレンが想像しているものの差というか」

エレン「???」

ミカサ「アルミン、心配はいらない。私が詳しく説明する」

アルミン「なんだか不安なんだけど……」

ミカサ「任せて。あれはそう、4年程前のこと――」


――――
―――
――

-845 シガンシナ区 河沿い

ミカサ「エレン、その、大きくなったら結婚してほしい。おじさんとおばさんのように、ずっと一緒に暮らしたい」

エレン「えー? やだよ」

ミカサ「ど、どうして!?」

エレン「オレは調査兵団に入って、外の世界を探検するんだ! それに――」

エレン「オレ、もう結婚する相手決まってるしな!!」

ミカサ「」

エレン「おい大丈夫か?」

エレン「おい大丈夫か?」

ミカサ「あ、相手は……誰……なの……」

エレン「そっそれは……」

ミカサ(モジモジ照れてるエレンかわいい。アッカーマンの立体機動が立体起動しそう)


アルミン「おーいっ! エレン、ミカサ!!」

エレン「! アルミンっ!!」

ミカサ(うおっまぶしっ!? エレンの顔が太陽のように光輝いている……。まさか!?)

アルミン「はぁ……! はぁっ……っ!」

エレン「そんなに慌ててどうしたんだよアルミン。大丈夫か?」

アルミン「はぁ……大丈夫っ……! ふぅ。ありがとう、エレン」

エレン「ん、よかった!」

ミカサ(これは、これは間違いなく……)

アルミン「それよりさ! じいちゃんのとこで、また新しい本見つけたんだ!!」

エレン「! もしかして外の世界の本か!?」

アルミン「うん!」

エレン「へへっ、やったなアルミン!!」

ミカサ(相手はアルミン……!)

アルミン「よかったら、これから一緒に見ない?」

エレン「ああ! あったりまえだ!!」

エレン「アルミン! 早く早く!」

アルミン「ま、待ってエレン引っ張らないで。ほら、ミカサも一緒に見よう?」

ミカサ「うん……」

ミカサ(アルミンは可愛い。聡明で優しさも兼ね備えている)

ミカサ(それでいて男らしいところもある。決して暴力に屈せず、力に頼り振り回すこともしない)

ミカサ(エレンと私の、とても大切な友人)

ミカサ(そんなアルミンがエレンと結婚する……?)

ミカサ(エレアル……? それともアルエレ……? どちらにしても祝福したい)

ミカサ(もし二人が結婚したなら、私も一緒に住まわせてもらえるのだろうか)

ミカサ(天使の楽園を邪魔する訳にはいかないけれど、私には二人を見守る義務があるっ!)

ミカサ(……はっ!! いやいや、落ち着くの、ミカサ。エレンと結婚するのはこの私。たとえアルミン相手でも、私は逃げない)


ミカサ(戦わなければ、勝てな――)

アルミン「ミカサ? ……ミカサ? ボーっとしてるけれど大丈夫?」

エレン「アルミン! そんなことより次! 次のページいこうぜ!!」

アルミン「でもミカサが……」

エレン「むっ……! お前はミカサと俺、どっちが大事なんだよ!」

アルミン「もうっ、なんでそうなるのさ……」

エレン「俺はアルミンと一緒に見たいんだ!!」

アルミン「エレン、気持ちはわかるけどミカサの様子が――」

エレン「なんだよ!! さっきからミカサミカサって!! もっと俺のこと気にしてくれてもいいだろっ!?」



ミカサ「嫉妬エレンキターーーーっ!!!!」

エレアル「!?」

ミカサ(やべっ。つい本音が)

アルミン「えっと、ミカサ……?」

エレン「お、おい、どうしたんだ……?」

ミカサ「んんっ何でもない。続けて。私は背景のようなもの」

エレン「いや、明らかにおかしかったろお前」

ミカサ「ならエレン、私と結婚しよう」

エレン「はぁ!? なんでいきなりそうなるんだよ!?」

ミカサ「もともとそういう話をしていたでしょう? だから」

エレン「オレには……っ! そのっ……だな……!」

アルミン「エレンとミカサが結婚かぁ……うん、お似合いなんじゃないかなぁ」

エレン「」

ミカサ「ふふっ、でしょう? エレン、アルミンもああ言ってる。結婚しよう」

エレン「おいっ!! オレの意思はどうなるんだよ!!」

アルミン「でも……」

エレミカ「?」

アルミン「ちょっと寂しいかな……なんて」

アルミン「二人が結婚しちゃったら、三人一緒でいられなくなっちゃうよね……」

ミカサ「アルミン……そんなことない」

アルミン「あはは、大丈夫だよ。わかってる、いつまでもそんな風じゃ駄目なんだって……」

アルミン「でも、想像しちゃったら……少しだけ……ほんの、すこし……」

アルミン「せっかく……ミカサとも仲良くなれたのに……」

ミカサ「!!」

エレン「ア、アルミン……」

ミカサ「アルミン!! 心配はいらない!!」

アルミン「えっ……?」

ミカサ「寂しいのなら私とも結婚すればいい、それで解決!」

アルミン「ええっ!?」

エレン「待てよミカサ!! アルミンと結婚するのはオレだぞ!!」

アルミン「ええええぇぇっ!?」

ミカサ「やっぱり……でも安心してエレン。まずエレンとアルミンが結婚する」

アルミン「ちょ、ちょっとぉ……」

ミカサ「そして私とアルミン、私とエレンが結婚すればいい」

ミカサ「こうすればいつまでも三人一緒でいられる!」

アルミン「いや、あのね、結婚っていうのは……」

エレン「なるほど!! ミカサ頭いいな! 天才か!!」

ミカサ「ふふん、もっと褒めていい」

アルミン「二人とも……」

エレン「アルミンはオレたちと結婚するの、そんなに嫌か……?」

ミカサ「アルミン……」

アルミン「う……ずるいよ、そんな言い方……」

アルミン「嫌なわけ、ないじゃないか……」

アルミン「いっしょが……いいよっ……」

エレン「な、なんで泣くんだよ~! オレがイジメてるみたいじゃねぇか……!」

ミカサ「ずっと、一緒……ね?」

エレン「そうだぞ! 俺たちはずっと一緒だ!!」

アルミン「っ……ずっと、ずっーと、一緒にいられたらいいなぁ……」

ミカサ「いられたらいいな、じゃない。絶対いるの」

エレン「だなっ!」

アルミン「……うんっ!」

エレン「また泣く~!」

ミカサ「エレンも、泣いてる。ふふっ」

アルミン「あははっ」

エレン「なっ……笑うなっ!! こんにゃろー!!」

アルミン「あはっ! あはははっ! やめっ……くすぐったはははっ!」

ミカサ(ブフッ。おっと鼻血が……。守りたい、この笑顔)


――
―――
――――


ミカサ「ということがあった」

アルミン「あああ、今思うと恥ずかしい……」

エレン「俺にとっては大事な思い出だぞ!」

ミカサ「私も」

アルミン「う……ううん、そう言われると……」

アルミン「でも、あれはずっと一緒にいようねっていう約束であって、結婚はさほど重要じゃないかなぁ……と、ね?」

エレン「そんなことない!!!」

アルミン「うわっ!」

ミカサ「エレン、食堂では静かに」

エレン「わ、わりぃ」

エレン「でもよ、今のアルミンの言い草は酷くないか?」

ミカサ「うん、酷いと思う。謝罪を要求する」

アルミン(えっ……そんなに酷い!?)

アルミン「い、異議あり! だってあれは口約束であって、それに僕を励ましてくれたようなものじゃ――」

エレン「それこそ異議ありだろ! 口約束だろうと約束は約束だ! 守らなきゃダメなんだぞ!!」

アルミン「へ、屁理屈じゃないか……!」

ミカサ「エレンの異議を認めます。アルミンは黙って私たちと結婚するように」

アルミン(考えるのを放棄してる……なんかもう無茶苦茶だ……)

エレン「それに、オレの話がまだ終わっちゃいないぜ?」

アルミン「えっ?」

ミカサ「……どういうこと?」

エレン「オレはあの時よりもずっと前に……」

エレン「アルミンと結婚の約束をしているっ!!!!」

ミカアル「な、なにぃぃぃぃ!!!!??」



「フ、フフ、ダメだ堪えきれねぇ……! アホだろあいつら、ダハハハハッ!」
「ちょっとユミル! 今いいところなんだから静かに!」

アルミン「異議あり! と、とりあえず異議を申し立てます!!」

アルミン(なんだかわけがわからなくなってきたけど、この騒ぎを止めないと……!)

ミカサ「とりあえず異議は却下。エレン、続きを。詳細に。アルミンは大人しく聞いているように」

アルミン「」

エレン「おう!」

エレン「もう何年も前、ミカサにも会う前なんだけどな――」

――――
―――
――

-84? 花畑-

アルミン「んしょ……っと……」

エレン「かあさん! できた! みてみて!!」

カルラ「お、上手にできたね~」

エレン「へへっ、かあさんがおしえてくれたおかげだよっ!!」

カルラ「そのお花の指輪、誰にあげるの?もしかして~、お母さんかな?」

エレン「ち、ちがうよっ」

カルラ「そう、残念。ふふっ」

アルミン「エレーン!」

エレン「お、アルミン!なんだー?」

アルミン「えへへっ、これ、エレンにプレゼント!」

エレン「わわっ、なんだ? これ?」

カルラ「花冠ね……アルミン、器用なのね。誰に習ったの?」

アルミン「本にのってたんです! エレンにあげたくって、何度もれんしゅうしました!」

カルラ「そう……本当に上手……ふふっ、エレン、似合ってるわよ」

エレン「こ、こういうのはアルミンのほうがにあうだろっ!!」

カルラ「あら、他に言うことはないの?」

エレン「あっ……あ、ありがと……アルミン」

アルミン「どういたしましてっ!」

エレン「~~っ!」

エレン「これっ!!」

アルミン「ん?」

エレン「……おかえし!」

アルミン「わぁ……ゆびわ? ありがとう!」

エレン「へへっ……」

アルミン「宝物にするね!」



――― バァァァン! ―――



ミカサ「待って!!」

アルミン「!」

エレン「! ……んだよ、こっからがいいとこなのに!」

ミカサ「話の腰を折ったのは謝る」(正直可愛すぎて意識をやられかけていた……)

ミカサ「でもエレン、それは結婚とは何の関係もない」(どうして私はもっと早く二人に出会っていなかったの)

ミカサ「ただの、子供同士のお遊びにすぎない!!」(悔しい……エレンが羨ましい……!)



「子供同士……だと!?」
「しかもお遊びだって。エレンって意外と……」



アルミン「ちょっとミカサ! 声が大きいってば……!」

エレン「ふーっ……。アルミンを黙らせてまで、詳細にって言ったのはお前だろうが」

エレン「お遊びかどうかは続きを聞いてからにしろよな……!」

ミカサ「……悪かった……。私は冷静じゃなかった……」

エレン「えっと、どっからだっけ――」


――――
―――
――

エレン「あ、ちょっとまて! だいじなことわすれてたっ!」

アルミン「? うん」

エレン「ア、アルミン!」

アルミン「なぁに? エレン」

エレン「おとなになったら、おれとけっこんしてくださいっ!」

アルミン「けっこん……?」

カルラ「あらあら……」

アルミン「おばさん、けっこんって……なんですか?」

カルラ「うーん、私とグリシャ先生みたいになるってことかしら」

カルラ「エレンは、アルミンとずーっと一緒に居たいなって言ってるのよ」

アルミン「ずーっと、いっしょ……」

エレン「おれ、アルミンのことだいすきだっ!! いっしょうたいせつにする!!」

エレン「だから、おれとけっこんしてくださいっ!」

カルラ「あらあら、この子ったら」

アルミン「え、えっと……ボクも……エレンのこと大好きだよ」

エレン「じゃあ……!」

アルミン「うん! ボクでよかったら、よろしくおねがいします!」

エレン「やったぁ!! これでいっしょにいられるな!」

アルミン「いっしょ……えへへ……」

カルラ(本当はちょっと違うんだけど……)

カルラ(それはもう少し大きくなったときに教えればいいかしら)

エレン「よし! そしたら、ちかいのちゅーだな!」

アルミン「ちかいのちゅー?」

カルラ「!?」

エレン「おう! けっこんしましたっていうちかい(?)をちゅーしてひょうげんするんだって! とうさんがいってた!」

アルミン「へぇーそうなんだ……」

カルラ(あなた……久々に地下室へ行きましょう……)

エレン「す、するぞ……」

アルミン「う、うん……」

エレン「ん……」

アルミン「あ……」


チュッ


エレン「アルミンっ……」

アルミン「エレンっ……」

カルラ「これ以上は見せられないわ」



――
―――
――――

ミカサ「カルラおばさん! そこをどいて! そのあと!! そのあと二人はどうなったの!!!」

アルミン「ミカサ、落ち着いてよ! 僕だってかなり恥ずかしいんだから!!」

エレン「いやぁ、あの時のアルミンは可愛かった……。あ、もちろん今のアルミンも可愛いぞ?」

ミカサ「同意せざるを得ない」

アルミン「全然嬉しくないよっ!」

エレン「あの後、家に帰ってお泊りしたしな――」

ミカサ「エレン、これであなたが言うことも納得できた」

ミカサ「アルミン、あなたはエレンと結婚すべき」

アルミン「ミ、ミカサ! 君はそれでいいの!? エレンと結婚したいんじゃなかったの!?」

ミカサ「それはもう昔の事。今の私にとってエレンは家族。それ以上でも以下でもない」

ミカサ「私はアルミンになら、エレンの事を任せてもいいと思っている。」

ミカサ「だからアルミン、心配する事なんて何もない。安心して」

アルミン「安心できないから言ってるんだよ! わかってくれよ! あと鼻血拭いて!」

エレン「ベッドの中で手を握ったら、アルミンは頬を真っ赤にしながら握り返してさ――」

アルミン「だいたい僕たちは訓練兵なんだよ? 結婚なんてできるわけが」

ミカサ「なら卒業してから結婚すればいい」

アルミン「で、でも卒業したらどこかしらの兵科に配属されるんだから、そんな暇なんてないはずで」

ミカサ「兵士の中にも家庭を持っている人もいる。ハンネスさんだってそうでしょう?」

アルミン「うう……でも、でも」

エレン「そんでもって俺は抱き締めたんだ。優しく――」

ミカサ「アルミン、あなたは何を恐れているの?」

ミカサ「人が人を好きになるという事はとても素晴らしい事」

ミカサ「役割に甘んじて、愛するという感情を強引に止めてしまっては、それは人でも、獣ですらないと私は思う」

ミカサ「それに……何故、同性であるということを指摘しないの?」

ミカサ「誰もが一番初めに疑問を抱いてもおかしくないのに、わからないフリをするだなんて、あなたらしくない」

アルミン「っ……それは……」

エレン「そのときの感触は今でも忘れられない……柔らかくて――」

ミカサ「嬉しいのなら嬉しいと言うべき。アルミンは昔から頑固なところがある」

アルミン「……嬉しいよ。でもっ」

ミカサ「でも、はいらない」

アルミン「うん……」

エレン「朝になってもアルミンは抱きついたままでさ、寝惚けた顔で――」

ミカサ「それに、二人はすでに付き合っているのだから隠し事はしないほうがいい!!!」



    ざわ…  
                   ざわ… 
        ざわ…



アルミン「ちょっ、ミカ、ミカサぁああああ!!!!」

ミカサ「? 事実でしょう?」

アルミン「何度も言ってるけどここ食堂! ていうかなんでそこだけ声大きくするの!」

ミカサ「? 皆知ってることだからいいかと思って」

アルミン「う……そぉ……」



 「アルミンが震えてる……」
 「バレてないと思ってたみたいですねぇ」
 「丸分かりだってのにな! 訓練中あんだけイチャついててなーにが嘘ぉ、だ!」
 「もう! ユミル、そんな言い方しないの!」


 「顔真っ赤だね」
 「あんな惚気死に急ぎ野郎のどこがいいんだか……」
 「なんだジャン、嫉妬か?」
 「アホか! さっきから一人で喋ってるヤツに誰が嫉妬するか!」
 「まぁまぁ落ち着いて。(ちゃんと聞いてるんだね……)」
 「ライナーも煽るなよ……」



アルミン「ホントダ……」

ミカサ「ね? だから結婚しても問題はない」

アルミン「ね?じゃないっ! あるよ! 問題アルミン!!」

アルミン(恋人らしい事もしてないのに結婚だなんて……)

エレン「ああ、問題あるな」

アルミン「エ、エレン!?」(そういえば本人がいたんだった!)

ミカサ「……どんな?」(すっかり忘れていた……)

エレン「だってよ。告白してから未だにアルミンとキスもデートも、手すらちゃんと握ってねぇんだぜ?」

エレン「ドキドキしちまってできないってのも、あるんだけどさ」

エレン「寝るときだって今まで一緒だったのに、最近じゃ距離があるんだ……」

エレン「恋人らしい事もまともに出来てねぇのに結婚するってのはな……」

アルミン「あ……ぅ……」

エレン「確かにちょっと急すぎたな。すまん! アルミン!」

アルミン「うわああぁぁぁあああ! なにが確かにだ!! もう、もう黙れよエレン!!」

ミカサ「アルミン、落ち着いて。エレンの言うことは一理ある。ちゃんと恋人生活もしなk」

アルミン「一理なくもな、いや!! だいたい、いきなり結婚まですっ飛ばしたのはエレンだろ!?」

エレン「だから謝ったじゃねぇかよー……」

ミカサ(頬をふくらませるエレンかわいい)

ミカサ「エレン、大丈夫。アルミンはああ言ってるけど、本当は嬉しくて堪らないの」

ミカサ「夜な夜な、エレンへの想いを募らしているのを、私は知っている」

アルミン「」

ミカサ「エレンに優しくされて、嬉しさのあまり口が緩んでいないだろうか」

ミカサ「周りにバレずに甘えることができただろうか、とか」

ミカサ「少し強く当たりすぎてしまった事を、後悔していた事もあったし」

ミカサ「ジャンとの喧嘩を、本音同士でぶつかり合えて羨ましいと嫉妬する事もあった」

ミカサ「アルミンはいつもエレンのことを第一に考えている」

ミカサ「アルミンにはエレンが必要。そしてエレンにはアルミンが必要だと思う」

エレン「ミカサ……お前……」

ミカサ「アルミンはエレンが離れていってしまうのが怖いの」

ミカサ「だから、言葉にはしないけれどアルミンは不安押し潰されてしまいそうになっている」

ミカサ「エレン! アルミンに今必要なのは、エレンの温もり!」

エレン「あぁ!! アルミン! お前の全てを受け止めて、支えてやる!」

エレン「だから俺に任せ――へぶなはっ!!」

ミカサ「エレンっ!?」

アルミン「ェ……、……サも、…………ぃ……」

ミカサ「アルミン! 何をするの――」

アルミン「エレンもミカサもっ……」

アルミン「だいっっ…………きらいだぁぁああああああああああああああ!!!!!!」

アルミン「うわぁぁぁぁああああああああああああああああああああん!!!!!!」

エレン「そん……な……ァ……ルミ……ゲフッ」

ミカサ「あ、あぁぁああぁ、アル、アルミン……アルミンにきっ、きら、嫌われ……」



サシャ「あらら、アルミン走ってっちゃいましたね」

ミーナ「無理もないと思うよ……」

ユミル「こんな所であんな赤裸々に、しかも誰にも知られてないと思ってた事を語られちゃあな、死にたくもなるさ」

サシャ「ですよね……」

ハンナ「ミ、ミカサ……女の子なんだから足をワキワキさせながら震えるのはやめたほうが……」

アニ(はぁ……何やってんだか)

ユミル「ったくしょうがねぇヤツらだ……」

クリスタ「あ、ユミル!」

マルコ「ジャン、ミカサが落ち込んでるよ。慰めなくていいの?」

ジャン「いや、なんつーかもう今の話でお腹一杯つうか。なんか疲れたわ……」

フランツ「あはは……僕もだよ……」

ライナー「綺麗なストレートだったな。あいつ、意外と格闘の才能あるんじゃないか」

ベルトルト「ライナー……本気で言ってる?」

ライナー「……半分冗談だ」

フランツ(半分は本気なんだ……)

トーマス「エレンとミカサはあんなだし、追いかけたほうがいいかな?」

ライナー「いや、今の時間に戻るとしたら宿舎だろうからな。コニーがいる。あいつに任せよう」

ライナー「そこの二人もユミルに説教されてるみたいだしな、大丈夫だろう」

ベルトルト(あ、面倒なんだな……)

その後、アルミンはコニーになだめられ、目を赤く腫らしながら食堂に戻ってきました。

エレンとミカサは、ユミルの説教が効いたのか、アルミンに土下座までしていました。

アルミンの表情は苦笑気味でしたが、ニコリと微笑んで二人を許したようです。

ただ、エレンとはまだ気まずそうにしています。

やっぱり大事な秘密は、秘密のままにしておいたほうがいいように思います。


カリカリ…… ペラッ

ベルトルト「ふぅ、こんなところかな」

マルコ「あ、今日の日誌?」

ベルトルト「うん、朝の出来事だけで全部埋まっちゃったよ」

マルコ「あはは、すごかったもんね。……まだお昼前なのに埋まったんだ……」

ベルトルト「ああ……」

-夜 男子寮

エレン「アルミン! 悪かった!! もうしないから! この通り!!!」

アルミン「…………」

エレン「アルミィン……」

アルミン「はぁ、あのねエレン。とりあえず大声はやめて」

エレン「あ、ああ……」

アルミン「もう怒ってないよ。……かなり恥ずかしかったけど……」

アルミン「……今日は、一緒に寝よっか。昔みたいに……ねっ?」

エレン「あ、ああ!!」

アルミン「だからっ、大きい声は」

エレン「ありがとうアルミン!!」

アルミン「むぐっ……エレ、くるしっ」

アルミン(はぁ……まぁ、これがエレンだし、いっか……)

エレン「よっと……」

エレン「おやすみ!アルミン!」

アルミン「おやすみ、エレン」


(ずっと一緒にいような)ギュッ(ずっと一緒にいようね)





ペラッ

キース「ふむ……」

キース「」

キース(グリシャ……お前はいったいどんな教育をしていたんだ……)


―おしまい―

終わったッ!第3部完!
個人的にアルミンとコニーは仲がいいと思っている
ので、アルミンのなだめ役にしたけど会話は思いつかなかった
悪かった…私は冷静じゃなかった…

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