トレーナー「地割れ保険…?」(26)

保険屋「サブウェイでどうしてもクオリティに負ける貴方!」

トレーナー「うるせえよ…また負けた…爪地割れとかひでえ…」

トレーナー「やっぱあれか、頑丈もちをベースにするべきなのか…」

トレーナー「いやいや、前にそれやって弱体化して急所負けしたんだった…」

保険屋「ここはひとつ、わが社の『地割れ保険』はいかがでしょう?」

トレーナー「――地割れ保険?」

保険屋「簡単に説明させていただきますと」

保険屋「この保険に入っている状態で『一撃必殺技』で倒された場合」

保険屋「その勝負をその瞬間に勝ち扱いにして次に進むことができる!」

トレーナー「マジで!?」

保険屋「まあ眉唾物という不安もあることでしょう、とりあえずパンフレットをば」

保険屋「もしご加入したいということならご連絡ください」

トレーナー「これはご丁寧にどうも」

ポケモンセンターソファー

トレーナー「ふむふむ…」 ペラペラ

トレーナー「『1か月単位のご契約で60bp/月から。その他条件相談』」

トレーナー「『契約さえしていれば、何度挑もうとも恩恵にあやかれます』」

トレーナー「『ただし、連勝記録には影響はありませんが…』」

トレーナー「『契約中は7連勝ごとのbp獲得ができません』」

トレーナー「『ホームでのサンの実・スターの実などの道具は獲得可能です』」

トレーナー「…要するに、保険を悪用したbpの回収・水増しはできないのか」

トレーナー(bpが得られなくなるのは損な気もするが)

トレーナー(正直、今でも1000bp近く余らせてるしこれ以上いらん)

トレーナー(連勝記録とかのほうがよっぽど魅力的だな)

トレーナー(なんかズルしてる気も…いやいや、クオリティが悪いんだ)

トレーナー(俺はちょっとばかしそれに仕返ししようとしてるだけ…)

保険屋「ご連絡ありがとうございます、保険屋です」

トレーナー「決めました。加入します」

保険屋「では、こちらの用紙にご記入ください」

トレーナー(サラサラッと…………書いてしまった)

保険屋「はいはいー。それでは確認いたしますね」

保険屋「一撃必殺技を受けた場合勝ちにする地割れ保険コースに」

保険屋「急所を1試合中3度受けた時点で勝ちにする急所特約と」

保険屋「気合いの鉢巻・襷を無効化できる気合い特約をお付けして」

保険屋「1か月あたり120bpとなります、これを6か月ですね」

トレーナー「はい、720bpです」

保険屋「お客様はついてますよー、まだご加入者が少ないですからね」

トレーナー「どういうことですか?」

保険屋「サブウェイ運営側も立てるべき顔がありますからね、圧力が、ハハ」

保険屋「発動具合によっては抑制のため保険料を上げざるを得ない」

保険屋「お客様の、安めの価格での6か月契約はご英断でしょう」

トレーナー「いろいろ大変そうだ…」

保険屋「あ、そうそう。お客様は一括払いのうえに」

保険屋「トレーナーカードのランクも最高位ですね、素晴らしい」

トレーナー「ええ、ありがとうございます」

保険屋「ということで…信用に値する人物と踏まえたうえで」

保険屋「こちらの超特約をサービスさせていただきます」 コソコソ

保険屋「好きなタイミングから1か月間効果を発揮しますので」

保険屋「必要であれば…どうぞ持参してください」

トレーナー「……禁止解禁…超特約……これは――――」

トレーナー「ガブリアス、げきりん!」

ドカーン!!

ゾロアークは きあいのタスキで もちこたえた つもりだったが
ガブリアスは きあいのタスキを つらぬいた!   

1 vs 0      トレーナ win!!   《105連勝》
一度 戻りますか?
  ▶はい
   いいえ

トレーナー「……ふう」

トレーナー「…ふ、ふ、ふはははは!サンの実ゲット!!」

トレーナー「なんだろう、よく考えるとそれほどアドバンテージもない」

トレーナー「…いや、ただ単に不平等を是正しただけだってのに」

トレーナー「こうも簡単に3桁の大台に載るなんてな!まだ5日だよ5日!」

トレーナー「やっぱ、保険があるっていう安心感が半端ないぜ!!」

※ゲームプレイヤーの1回の挑戦が主人公の1日に相当

トレーナー「よーし、なんだかすっげー気分がいい!」

トレーナー「奮発して美味しいものでも食べに行くか!」


ノボリ(ワタワタ)

クダリ(アワアワ)

トレーナー(…なんだかサブウェイ入口の様子が変だな…)

トレーナー「あのー、ノボリさんクダリさん」

ノボリ「おや、君はさっきの凄腕トレーナーではないですか」

クダリ「ちょうど良かった!力を貸してくれないか!」

トレーナー「は、はい?」

ノボリ「悪の組織のロケなんとか団という輩が、四天王を襲った模様です!」

クダリ「以前にもシンオウやジョウトのバトル施設を襲っていたんだが…」

クダリ「そいつらが、とうとうイッシュにも乗り込んできたらしい!」

クダリ「次は間違いなくここに来る!もう大混乱だよ!」

トレーナー「…ん?シンオウやジョウトの四天王は?」

クダリ「いや、ポケモンリーグが襲われたのはどうやらイッシュが初めてだ」

クダリ「他の地方は、バトルフロンティアとかいう施設のみが襲われてる」

ノボリ「何故なのでしょう…」

クダリ「それは、ノボリクダリ兄弟が恐れられているからだよ兄さん!」

ノボリ「そんな冗談はゴミ箱の中にでも捨て置いてですね」

ノボリ「とりあえずの警備援助など、手伝っていただけないでしょうか」

トレーナー「わ、わかりました」

クダリ「」

m「ココロモリ、エアスラッシュ構え!…おとなしくしなさいっ!!」

ギーマ「くっ…人質とは卑怯な…」

カトレア「…………うぅ…………」

k「な、なあ。やっぱやめようよ、四天王まで敵に回すなんて後が怖いって~」

m「だまらっしゃい!!人の物は私の物、私の物はサカキ様の物なのよ!」

n「まー、じっとしてれば危害は加えにゃいニャー」 シャキーン!

アデク「ゼハーゼハー、大丈夫かカトレア!」

アデク「ワシの大事な四天王たちに乱暴をする…それだけはやめてくれ!」

m「お呼びでないお呼びでない、帰った帰った」 シッシッ

アデク「ワシの出番を奪う…それだけは…やめてくれ…」

カトレア「……何が望み――」

m「あ、いやね?アンタって、シンオウのとある場所で働いてたそうじゃない」

カトレア「…………?」

m「そんときに貯めに貯めたbpをさあ…ゴッソリいただこうと思って」

シキミ「そんなくだらないことのために…!」

カトレア「シキミ、この人たちは案外本気みたいだから刺激しない」

カトレア「……わかりました、bpを貯めた口座を渡せばよろしいのですね?」

m「うんうん、偉いえらい。bpって金になるのよね、ようやく分かったわー」

カトレア「…………はい、渡しました」

m「え」

カトレア「今のご時世、スマホがあれば30秒でできる操作――」

シキミ「それは超能力持ち+ネクラのカトレアさんだけだと思います」

カトレア「……シキミ、ひどい――人質にされたことよりショック――」

k「…たしかに、指定した口座にたんまりbpが入ってるぞ!?」

n「ニャーたちって指定口座の詳細って話したかにゃ?」

カトレア「超能力があれば常識」 ドヤア

カトレア「そして、隙をついて――デオっち、サイコブースト」

デオ「アタックブーストya★ru★yo!」

mkn「「「やなカンジーー!?」」」

カトレア「デオっち、ぶい」

デオ「いいってことよ、親友のためだぜ」

シキミ「」

ギーマ「」

レンブ「」

シキミ「……なんなんですか、もう。ま、無事でなによりです」

レンブ「よかったよかった」

ギーマ「…ふっ」

アデク「そろそろワシも大団円に加わっていいかな?」

カトレア「……あ」

デオ「どうした、親友」

カトレア「……情報処理操作、ミスった。bp、華麗に回収するはずが」

カトレア「不特定多数の口座にpc経由でばらまいた…ぽい――」

カトレア「…コクランに怒られる――」 ブルブル

シキミ「…はいはい、もとから捨ててたようなもんでしょ!」

シキミ「で?どのくらい貯まってたんですか?」

カトレア「――投資で増やしたぶんも合わせて、ざっと900兆bpくらい」

シキミ「」

シキミ「…いやいや、嘘でしょ!?」

カトレア「…ごめん、嘘だった」

シキミ「……もーっ!言っていい嘘といけない嘘がありますよ!!」

カトレア「円に換算して900兆円、が正しい。本当はざっと900億bpくらい」

カトレア「さすがに経済が崩壊することに気付いて世界からの修正が入った」

シキミ「なーんだ、それなら十分ありえるありえる」

ギーマ「ありえねーよ!!」

カトレア「…ここだけの話、bp関連の各地のバトル施設は私の家が全負担で作った」

カトレア「大元だから大量のbpを保有しているのは当たり前――」

レンブ「…ってことは、今この瞬間から運営やばくないか?」

カトレア「…………」

カトレア「…………コクラン、なんでもするから痛いのはやめてほしい――」ドゲザ

シキミ「居もしない人に対して真っ青になって土下座してるよ!?」

カトレア「コクランは人生の99.99%は菩薩だけど0.01%はアルセウスとタイマン張る」

ギーマ「マジか」

カトレア「大マジ――」 ヨロッ

カトレア「こうなったらcpをbpに両替して少しでも金融緩和を」

コクラン「それは承諾しかねますね、かえって信用を失うだけかと」

カトレア「背に腹はかえられ……!?」

シキミ「あ」

カトレア「――――!!!?!?!?!?」 ガクガクガクガクガクガク

アデク「これがヤムチャ視点というものか」

コクラン「いやはや、私としたことが気付かずに申し訳ありません」

コクラン「まさか1000年かけて代々築いてきた900兆円の資産を」

コクラン「一瞬にして融かしてしまわれるなんて、ねえ」

シキミ「あれ、普通に考えてこれって家系から惨殺もの?」

コクラン「まあ、お嬢様。それほど怒ってはいませんから落ち着いて」

ギーマ「そうだな、慌てても仕方がないというか」

カトレア「……今の私は最高レベルの精神抑制で落ち着いている――」

カトレア「その証拠に――せいぜいこの程度の――ひゃやさでひか――」

カトレア「――――尿を漏らしていな――」

シキミ「はーい男性陣とカメラさん、ちょっと消えててねー」 



コクラン「…反省しましたか」

カトレア「ハイ」

コクラン「今後は気をつけてクダサイネ」 プレッシャー!

カトレア「ソレハモチロン」 カタカタカタカタ

コクラン「では許すと致しましょう。…ただ、最近は妙な輩が増えてますから」

コクラン「bpがばらまかれたことを知って暗躍しなければよいのですが…」

サブウェイ路線総合システム管理室にこもること1週間―――

トレーナー「結局なんにもなくてよかったですね」 フーッ

ノボリ「いえ、所詮1週間の監視にすぎません。油断は禁物です」

クダリ「しばらくは僕たち、連戦枠から抜けてシステム監視を続けなきゃ」

トレーナー「そ、それってサブウェイ的に駄目じゃないですか?」

クダリ「まあぶっちゃけ、僕たちは連勝記録の通過点だしね、アッハハ」

ノボリ「…………」 ボカッ

クダリ「――痛いっ!?いきなり何するんだノボリ兄さん!」

ノボリ「軽率な発言は慎むように」

クダリ「…はーい。じゃ、トレーナー君は連勝街道いってらっしゃーい」

トレーナー「は、はあ。……そうだよな、もう俺が手伝えることもないし」

トレーナー「……あれ??なんか…違和感が」

ワイワイ ガヤガヤ  ウオー ぐふぐふぐふ! 

トレーナー「…ああ、そうか」

トレーナー「しばらく外部に出てないうちに、やたらサブウェイが盛況になってら」

トレーナー「ははーん、こりゃ事件の話題性で老若男女問わずフラフラ集まってきたな?」

トレーナー「サブマスには悪いけど、素人が多いこの機会に連勝記録稼ごっと!!」

トレーナー「スーパーシングルトレイン、たのもーっ!!」

106戦目!

トレーナー「トゲキッス、でんじは!」

トレーナー「いいぞいいぞ、麻痺りーの止まりーの」

トレーナー「そんじゃお言葉に甘えて、エアースラーッシュ!!」

ヨノワールは ひるんで うごけなかった!

トレーナー「いいぞー!保険とか関係ナシにツイてるねー!もっかいエアスラ!」

ヨノワールは からだが しびれて うごけない

トレーナー「ふっふーん!…でも流石に堅いな、怯めば関係ねーけど」

トレーナー「まあずっと俺のターンだし気にしない!まだまだいk」

ピピーーッ!!! ヤツヲ タタキダセー!

トレーナー「…へ?なに?なに?」


・・
・・・・
トレーナー「……気が付いたら、ターミナルに送り返されていた」

トレーナー「……訳がわからねーよ…」

トレーナー「連勝記録…105で…止まってる…なんでだよ…まさかっ!?」

ol「正直、ポケモン育ててる時間なんてないのよねー!」

ol「なんか棚ボタでbpが大量に手に入ったし」

ol「すいませーん、マジックコートコース1年でお願いしまーす」

保険屋「はいはい確かに!」

鉄道員「サブウェイ施設、お前ら痛めすぎだろ…」

鉄道員「ちょっとお灸据えてやる。…すいません、硬直保険をお願いします」

保険屋「はいはい、必要事項お書きの上お並びくださーい」

清掃員「むむっ、鉄道員に負けておれんわい。攻撃力が常時upってあるかの?」

保険屋「プラスパワー特約がご要望に一番沿えると思いますねー」 ニコニコ

メイド「…私はご主人様の名誉のため必ずや999連勝せねばなりません」

メイド「ゴタクハ イラナイヨ タダ ブッツブスノミ フフフフフフ…」

保険屋「これはこれは。もっと強力な保険コースをこしらえた方が」

保険屋「作った分だけ懐が潤いそうですな、ぐふふふふふ」

トレーナー「……うわあ、案の定やばいことになってるし」

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