双葉杏「僕と君のとても退屈で少し大切な日々」 (26)


杏「なあ、プロデューサー」

P「なんだ」

杏「結婚しようぜ」

P「いやだ」

杏「なんだと」

P「お前絶対家事とかしねえだろ」

杏「するよ、するする。週1回くらいは」

P「少ねえ…」

杏「うるせえ、黙って養え」

P「お前の方が稼いでるだろ、むしろ俺を養え」

杏「じゃあ私が養うって言ったらプロデューサーは結婚してくれんの?」

P「しない」

杏「おい」


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P「おい、そろそろ仕事行くぞ」

杏「待って、あと2時間休ませて」

P「せめて分単位で要求しろよ」

杏「じゃああと59分休ませて」

P「ほぼ1時間じゃねえか、うだうだ言ってねえで早く行くぞ」

杏「疲れたんだよー、つーかーれーたー」

P「今日まだ疲れるようなことしてねえだろ」

杏「したよ」

P「何を」

杏「プロデューサーと会話」

P「…おいちょっと傷ついたぞ」

杏「知らないよ」

P「泣くぞ」

杏「泣けよ」

P「殴るぞ」

杏「それはダメでしょ」

P「せやな」

杏「せやろ」

P「…」

杏「…」

P「行くぞ」

杏「うー…」


P「お疲れ」

杏「…」

P「どうした死んだメダカみたいな目をして」

杏「…なんでメダカ?」

P「小さいから?」

杏「メダカは絶滅危惧Ⅱ類なんだぜ」

P「ほう」

杏「早く保護しなよ」

P「無駄な知識ばっかつけやがって…」

杏「サボるためならいかなる労力も厭わない」

P「本末転倒って言葉知ってるか?」

杏「それは言っちゃダメ」

P「すまん」

杏「許すから代わりに保護してよ」

P「…すまん」

杏「そんなに保護したくないの!?」


杏「手持ちの飴が切れた…」

P「パイン飴かサクマドロップスかどんぐり飴ならあるぞ」

杏「サクマで」

P「おう、缶ごと渡すぞ」

杏「サンキュー。ところでなんでいつも飴持ち歩いてんの、プロデューサー」

P「なんでだと思う?」

杏「杏を物で釣って体よく働かせるため」

P「半分は正解だ」

杏「もう半分は?」

P「教えぬ」

杏「言っちゃおうよ」

P「オシエーヌ」

杏「なんかフランス語っぽい…」

P「オー・シー・エヌ」

杏「プロバイダになった…」

P「うーん…」

杏「何さ」

P「杏と話してると素直になれない」

杏「何?杏が悪いの?」

P「半分は」

杏「…もう半分は?」

P「さあな」

杏「そこは『教えぬ』じゃないんだね」

P「飽きた」

杏「早っ…私も人のこと言えないけどさ…」

P「すぐ飽きんだよなあ…人との会話とかでも」

杏「…その割に私とは長く話してない?」

P「…」

杏「そこで黙るのはズルいよ」


杏「五月病だ…」

P「杏病の間違いだろ」

杏「失礼な。人を怠けの権化みたいに」

P「お前はそういうキャラだろ」

杏「キャラじゃなくて本質だよ」

P「自分で認めてんじゃねえか」

杏「あと病気は発見者の名前がつくもんじゃない?パーキンソン病みたいに」

P「じゃあ俺の名前か…なんかいやだな」

杏「なんで?」

P「俺が怠け者みたいになるし」

杏「働き者だもんね、プロデューサー」

P「誉めてもいいんだぞ」

杏「狂気を感じるレベルで」

P「誉めろよ」


P「杏…スタドリ飲んでみるか?」

杏「やだよ。まだ死にたくないし」

P「飲むだけで死ぬなら俺何回死んでんだよ…」

杏「なんで飲ませようと思ったの?」

P「いや、杏がハツラツとした人間になるかと思って」

杏「だいたいスタドリ飲んでも性格は変わらないじゃん」

P「まあ…そうだな」

杏「だったら杏にスタミナを与えたところでただの無駄使いじゃん、はい論破」

P「理屈は間違ってないから余計に腹立つな」

杏「満足した?じゃあもう杏は寝るからね」

P「おい待て今から仕事だろうが、何ナチュラルに毛布かぶってんだ」

杏「ちっ、バレたか…」

P「何故バレないと思ったのか」


P「あああああああああああああああああああああんんんんんんんんんんんんんんんんんんんずうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」

杏「どうしたの」

P「いや別に…」

杏「そっか」

P「うん」


杏「お腹がすいた」

P「おう」

杏「でも食事するの面倒くさい」

P「いや食えよ」

杏「私の睡眠欲は53万です」

P「食欲は?」

杏「うーん…6?」

P「桁違いどころの話じゃねえぞ」

杏「えへへ」

P「なんで恥じらってんだよ…とにかく食いに行くぞ」

杏「どこ行くの?」

P「ガ○ト」

杏「ほう」

P「あそこのお子様ランチは悪くないぞ」

杏「なんでそんなこと知ってんの?」

P「いや、まあ…その、な」

杏「えっ、頼んだの?その歳で?えっ…」


杏(私がダラダラしていると
 皆だいたい心配してくれる
 「大丈夫?」「調子悪い?」「無理しない方が…」
 それにずっと甘えてきた
 たいして疲れていない時でも、だ
 
 でもプロデューサーは違った
 私の演技は一切通用しなくて
 布団にへばりつく私を布団ごと抱え上げて連れていく
 そのくせ、私が本当につらい時には誰より早く気付く
 
 ある意味本当に私のことをわかってくれるのは
 あの人だけなのかもしれない)







P「おう杏、今日のレッスン時間いつもの倍にしといたから」

杏「ごめん前言撤回で」


杏「なあプロデューサー」

P「なんだ」

杏「私のこと、可愛いと思うか?」

P「いや全然」

杏「おい」

P「いやだってさ」

杏「アイドルだぞ?美少女だぞ?」

P「自分で言うなよ…」

杏「貴様の目は節穴か。その両の穴を塞いでやろうか」

P「怖えよ勘弁してくれ。まあでも俺はその、な」

杏「?」

P「杏の可愛くないところが好き、なのかもな」

杏「…」

P「どうした」

杏「こっちを見るな」

P「急に顔伏せてんじゃねえよ」

杏「見るなって言ってんでしょーが」


杏「プロデューサーは彼女とかいないの?」

P「忙しくてそれどころじゃねえよ」

杏「ふぅん…気になる人とかは?」

P「いねえよ」

杏「智絵里?」

P「…」

杏「じゃあ凛とか?」

P「…」

杏「あえての早苗さん?」

P「…」

杏「…私?」

P「…」ピクッ

杏「ほほう…」

P「…次この話題振ったら」

杏「ん?」

P「仕事増やす」

杏「ごめん」

おわり

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