『終末艦これショート・完』 (257)

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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j  今日中に完結させたいでち
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        V`ゥrr-.rュイ人人  
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前スレ
『終末艦これショート』 - SSまとめ速報
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第一話
【浮き砲台三人娘 Chapter1】
浮き砲台となった榛名達のほのぼの終末トーク。

第二話
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter1】
一航戦の加賀と五航戦の瑞鶴、素直じゃない二人のとある一日。

第三話
【ソロモンの涙】
大切なモノを失ってしまった夕立は、ソロモンの悪夢へと変わる。

第四話
【浮き砲台三人娘 Chapter2】
浮き砲台となった榛名達の、ほのぼの姉妹トーク。

第五話
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter2】
一航戦の誇りは加賀を縛り付ける。彼女の呪縛を瑞鶴は
解き放つことができるのか。加賀は二航戦の喪失と向き合えるのか。

第六話
【大和ホテル繁盛記】
最強の戦艦大和。しかし今の彼女はホテルとして運用されていた。
己の存在に疑問を持ち苦悩する、大和のお話。

第七話
【ソロモンの悪夢に捧ぐ鎮魂歌】
ソロモンの悪夢となった夕立は、孤立する。
そんな彼女を救おうと奮闘する、駆逐艦達。
優しい夕立と、優しい駆逐艦達の物語。

第八話
【浮き砲台三人娘 Chapter3(終)】
浮き砲台となった榛名達の、最後のトーク。

第九話
【東方作戦】
運命の分かれ道。分岐点。鎮守府はサーモン海域攻略の為
東方艦隊を編成する。第一東方艦隊旗艦は戦艦扶桑。
しかし第一東方艦隊は事実上の囮艦隊だった。
これは懸命に戦った、彼女達の記録。

第十話
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3/前編】
迫り来る大海戦を前に、空母達はさらなる鍛錬の為、
姫級を想定した仮想姫級艦隊と演習を行う。
しかしその中で軽空母龍驤はとんだヘマをしてしまう。
自信を失う龍驤。彼女は無事立ち直ることができるのか。


第十一話
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3/後編(終)】
泊地艦隊の総力戦。圧倒的な戦力差も、敵の新しい兵装も、
今まで一緒に戦ってきた仲間となら打ち砕ける。
一航戦と五航戦。彼女達の物語の結末。

第十二話
【装甲空母は砕けない】
装甲空母の装甲は何のためにある。砕けぬ意志のためにある。
装甲空母大鳳が歩んだ、鎮守府の戦跡。

第十三話
【ソロモンより、呪いのような祝福を全ての艦娘に】
夕立はある声に誘われ、霧の中を進む。その先で彼女は、
この世界の真実に触れた。
夕立は知る。この世界に救いなど無いことを。

第十四話
【鈴谷の遙かなる航路】
重巡鈴谷は一人海を行く。大切なあの子に合う為に。
どんなに敵が向かってこようとも、どんなに体が傷ついても、
ただ彼女に合う為に、鈴谷は一人、泊地を目指す。

第十五話
【提督日誌/前編】
泊地提督が記録した、艦娘達の日常と戦いの記録。

第十六話
【提督日誌/後編】
泊地提督が記録した、終末に至るまでの記録。

最終話
【素晴らしき終末】 ←いまここ


時系列
【大和ホテル繁盛記】

【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter1】

【東方作戦】

【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter2】

【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3】

【ソロモンの涙】

【ソロモンの悪夢に捧ぐ鎮魂歌】

【装甲空母は砕けない】

【鈴谷の遙かなる航路】

【ソロモンより、呪いのような祝福を全ての艦娘に】

【提督日誌】

【素晴らしき終末】】(この話の間に【浮き砲台三人娘】が入ります)


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      〈|::::l ー`' ー`-!:::::j  
       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|   では、続きから始めますでち……
        V`ゥrr-.rュイ人人   次の選択肢まで投下。多分これでルート確定。
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2.瑞鶴を呪縛から開放してやる



提督(……これ以上一航戦の呪縛に囚われていては、瑞鶴の心は壊れてしまう)

提督(瑞鶴には今まで、辛い戦いばかりさせてきた……)

提督(こんな救いのない世界だから、せめて……最後の時だけは。彼女の心に……救いをやりたい
安らかな終末を……与えてやりたい)


提督「……瑞鶴を呪縛から開放してやろう。一航戦の呪縛から……」


翔鶴「提督……!」

提督「もはや、一航戦五航戦と言った名に意味は無い。それが彼女を苦しめているのなら
取り払ってやるだけだ」

翔鶴「……はい。妹を、瑞鶴を……救いましょう!」




――泊地・港――



瑞鶴「……みんな出撃しなくなっちゃった」

瑞鶴「なんでよ……皆どうして、戦わないの……?」

瑞鶴「最後の最後まで、諦めちゃいけないんだよ……」

瑞鶴「私は約束したんだ……加賀さんと約束したんだ……決して諦めないって」

瑞鶴「私が、皆を引っ張って行かなくちゃ……一航戦として、引っ張っていくんだ」

瑞鶴「一人でも諦めなければ……いつか……きっと……!」


瑞鶴はおぼつかない足取りで海を目指す。彼女の体も、心も……
見ているのが辛いくらいに、ボロボロだった。今の瑞鶴を支えているものは、
彼女の決して挫けぬ信念。そしてそれは、瑞鶴の心臓が射抜かれるまで、
彼女を突き動かすことだろう。


提督「……どこへ行くつもりかな、瑞鶴」

翔鶴「瑞鶴……」

瑞鶴「……提督さん、翔鶴姉」

提督「出撃なんか、するつもりじゃあないだろうね」

瑞鶴「出撃しないと、深海棲艦の侵攻を食い止められないよ……」

提督「今のお前は、艦載機を飛ばせないだろう……艦載機に使う燃料はもう……」

瑞鶴「飛ばせなくても、ぶつけることはできる」

翔鶴「あなた……またそんなことを……!」

翔鶴「もうやめて瑞鶴……! こんなことをして何になるの!」

瑞鶴「私達は艦娘。深海棲艦と戦うのが役目……海の平和を守るのが、役目……」

瑞鶴「そして私は一航戦。一航戦は皆を引っ張っていくのが役目」

瑞鶴「他の皆が諦めても、私だけは諦めない。勝利を決して諦めない」



瑞鶴「それが一航戦の意志を継いだ、私の役目」



提督(金剛……お前がいた頃は、決して私は……こんなことを口にはしなかっただろうな)

提督(だけど……お前が居なくなって……私は……少し、変わってしまったのかも知れん)

提督「瑞鶴……もう、いいんだ」


提督「もう、諦めても……いいんだ」


これだけは、あまり口にしないようにしていた。
なんとなく意識していた。言ってはいけないような気がしていた。

だが……この言葉で、瑞鶴の心が救えるのなら……それでいいんだ。


翔鶴「……!」

瑞鶴「提督……!? 自分が何を言ってるのか、わかってるの!?」

瑞鶴「艦隊を指揮する人間が……勝利を諦めるなんて!」

提督「……私は、あるかどうかもわからん勝利よりも……目の前の艦娘の方が大切だよ」

提督「お前だけじゃない。榛名に伊勢に日向、木曾に天龍に雷、電。若葉も陽炎も雪風も時雨も
……もちろん翔鶴だって、みんな大切さ」

瑞鶴「戦わなければ、皆を守れない!!」

提督「……瑞鶴、もうお前はわかっているはずだ」

提督「どうしようもない状況であることは……わかっているはずだ」

瑞鶴「……そんなの、聞きたくない」

提督「もう戦うことに意味は無いんだ。これ以上戦っても……お前が傷ついていくだけだ」

提督「私はそれをただ黙って見ていられることなどできない」



瑞鶴「提督さんの気持ちは、わかったよ。でもやっぱり私は、戦い続ける」



翔鶴「瑞鶴……!」

瑞鶴「私は一航戦。海を、国を守るため、最後まで矜持を持って戦わなくちゃいけない」


提督「……お前が守りたいのは、加賀との約束だろう」


瑞鶴「……!」

提督「お前は本当に……加賀が好きだな」

瑞鶴「そ、そんなこと……!」

提督「ほら、今ちょっと素が出たじゃあないか」

瑞鶴「!!」

提督「お前にとって、加賀はとても大きな存在だった。お前はその喪失を埋めるため、
加賀の影を追い、加賀の代わりを果たそうとした」

提督「だがお前と加賀は違う。どんなに加賀を求めても……お前は加賀にはなれない」

瑞鶴「提督さんも、そういうこと、言うんだ……」

提督「お前は加賀しか見えていない。もういなくなってしまった、あいつしか。
それは自分の体の傷にさえ、心の傷にさえも気付かぬほどに……盲目的だ」

提督「もっと身近な者にも目を向けてやりなさい。お前が傷つくことで……苦しむ奴が一人、
ここにいるんだ」


翔鶴「瑞鶴……」

瑞鶴「……翔鶴姉」



翔鶴「あなたにとって、加賀先輩が大切な人であるように……私にとっても
瑞鶴、あなたは大切な人なの……!」

翔鶴「お願い瑞鶴……! もうこんな無茶はやめて……! あなたが苦しむのを私はもう、見たくない……」

瑞鶴「……やめて、翔鶴姉」

翔鶴「どうして? 私じゃダメなの……? 私達、ずっと一緒に戦ってきたじゃない……!」

翔鶴「あなたにとって加賀先輩は……絶対的な存在だったのかもしれない」

翔鶴「だけど私だって、ずっと一緒にいた! 瑞鶴のことを見てきた!」

翔鶴「私じゃ、あなたの大切な人にはなれないの……?」

瑞鶴「そんなこと……ないよ」

翔鶴「嘘! あなたは加賀さんの事のしか……」



瑞鶴「嘘じゃない!」



瑞鶴「私は……翔鶴姉の事が大切。たった一人の姉なんだもん、大切に決まってるよ……!」

翔鶴「私だって、あなたが大切よ! 瑞鶴! あなたのことが大切……!」

翔鶴「だからわかって……妹が傷つく姿を見るのが平気な姉なんていないの!」

翔鶴「瑞鶴! ああ瑞鶴っ! これ以上あなたが苦しむ必要なんてないのよ!
世界が何! 平和が何だというの! 瑞鶴はもう十分頑張ったじゃない!」

翔鶴「これ以上、私の妹を傷つけないで……うっ……えぐ……!」


泣き崩れる翔鶴。いつも頼りになる姉が、今日ばかりは駄々をこねる幼児のように泣き叫んでいる。
瑞鶴は、そんな姉の姿を見たのは初めてだった。


瑞鶴「翔鶴、姉……」

翔鶴「もういいの! 瑞鶴、もう、頑張らなくていいの……!」


翔鶴は瑞鶴をぎゅっとだきしめる。姉の温かい体温が瑞鶴の体に染みこんでいく。


瑞鶴「私は……私は……!」


久方ぶりだった。翔鶴の柔肌に触れたのは。
包み込まれていく。心が、安心に。


翔鶴「……瑞鶴?」

瑞鶴「……」

翔鶴「瑞鶴! どうしたの!? 瑞鶴!!」

提督「……大丈夫だ、気を失っているだけだ」



長らく安心することのなかった瑞鶴は、翔鶴の安心に包まれた時、
そのぬくもりに触れた時……彼女が今まで我慢していた疲労は一気に開放されて、



瑞鶴の意識は深く、沈んでいった。



――――――
―――




瑞鶴「ぅ……ううん」

瑞鶴「あれ、私……」

瑞鶴「ここは……?」


「……久しぶりね、瑞鶴」


瑞鶴「……その声は!」


「見ない間に、随分と……頼りがいのある顔つきになったわね」



瑞鶴「加賀さん……!」


瑞鶴「加賀さん!!」


瑞鶴は走りだす。あれほど求めた加賀が、今は目の前にいる。
瑞鶴は無我夢中で駆け抜け、そして……加賀の胸に飛び込んでいった。


瑞鶴「加賀さん……! 加賀さん……!」

加賀「…・・頼りがいのある顔つきになったと思ったら……まだまだ甘いところもあるようね」


瑞鶴「加賀さん……どうして?」

加賀「あなたの頑張り……見させてもらったわ」

瑞鶴「加賀さん……私」

瑞鶴「一生懸命頑張ったよ? 加賀さんがいなくなっちゃった後も必死に……」

加賀「ええ、知っています」

瑞鶴「私、加賀さんや赤城さんの意志を継いで、一航戦として……戦ったんだんだから」

加賀「本当に、よく頑張りましたね……」

瑞鶴「でも私……ダメだったみたい。加賀さんみたいに、一航戦として皆を引っ張ろうと頑張ったけど……」

瑞鶴「結局、この有り様だ。一航戦の名に、傷をつけるだけだった……」

瑞鶴「だけど、これからきっと挽回するから……だから! 心配しないで……加賀さん」

加賀「瑞鶴、あなたの気持ちは嬉しい。あなたが一航戦の意志を継ぎ、誇りを守ってくれたことを……」

加賀「私との約束を、守ってくれていたことを……」

瑞鶴「当然だよ。加賀さんがいたから……今の私があるんだもん」

瑞鶴「加賀さんのおかげで私は……ここまで戦えた」


加賀「だけど今はそれが……あなたを苦しめている」


瑞鶴「ッ! そ、そんなことない! 加賀さんは関係ない!」

加賀「私の言葉が、あなたを縛っている」

瑞鶴「それが、あなたと私の……繋がりだから。大事な、繋がりだから……!」

加賀「……ありがとう、瑞鶴。私との繋がりを大切にしてくれて」

加賀「だけど……もう……十分よ」

瑞鶴「ど、どうして!?」

加賀「あなたは十分、私達一航戦の意志を貫いてくれた」

加賀「私はもう、既に没した身よ。いつまでも私があなたを縛り付けている訳にはいかない」

加賀「……これからは、生きている者の為に……自分の思うように……その生を使いなさい」

瑞鶴「……そん、な……」

瑞鶴「そんなこと言われても、困るよ! 私は今まで加賀さんの言葉を頼りに生きてきたのに……!」

瑞鶴「どうすればいいのか、わからなくなっちゃうよ……」

加賀「……とりあえず今、確実に一人……あなたの事を心配する子がいるわ」

加賀「まずはその子を安心させてあげなさい」

瑞鶴「でも……」

加賀「瑞鶴。私は十分……満足したわ。だから……もう」

加賀「あなたの好きにしなさい」


瑞鶴「…………」


選択肢

1.加賀さん……いいの? もう頑張らなくても……いいの?

2.加賀さん……ごめん。やっぱり私……



現在√確定率80%

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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j 後悔のないように選んでほしいでち

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次のレスまで多数決

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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j  タイムアップだ!! ルート確定だ!!

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        V`ゥrr-.rュイ人人  
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選択肢は[1]に決まりました。

√確定
【√C"地獄への道は善意で敷き詰められている"】


書き上がり次第ちょこちょこ投下してくでち



1.加賀さん……いいの? もう頑張らなくても……いいの?



瑞鶴「……いいの?」

瑞鶴「加賀さん……いいの? もう頑張らなくても……いいの? 」

加賀「ええ……いいのよ」

瑞鶴「加賀さん、私……」




瑞鶴「受け入れるよ……現実を」




パリンと、空間が割れる。バラバラと落ちていく空間の断片の中で、
瑞鶴と加賀は見つめ合う。


加賀「そう。それで……いいのよ」

瑞鶴「……加賀さん!」


加賀の姿が、遠のいていく。
視界がどんどん薄れていく。
瑞鶴の中で今、何かが崩壊した。






―――
――――――


「――かく、ず――かく!」


「瑞鶴!!」


瑞鶴「あ……」

翔鶴「瑞鶴! 気がついたのね!」

瑞鶴「翔鶴姉……」

提督「いきなり気を失うから、心配したんだぞ」

瑞鶴「提督さん……」

翔鶴「瑞鶴……!」

ぎゅっ……

瑞鶴「わわ! 翔鶴姉!」


翔鶴は強く、瑞鶴の体を抱きしめる。



翔鶴「私、怖かった……あなたが気を失った時、あなたが何処かへ
行ってしまうような気がしたから……!」


翔鶴の震える手の振動が、彼女の心の内を表している。心細くて不安で……。


瑞鶴「翔鶴姉」


瑞鶴は翔鶴の手を握る。翔鶴を安心させるために。


瑞鶴「私は……どこにも行かないよ」

翔鶴「ほんと……? もう無茶しない?」

瑞鶴「うん……しないよ」

翔鶴「一人で頑張ったりしない?」

瑞鶴「もう……頑張るのは、疲れちゃったんだ」

翔鶴「瑞鶴……!」


言い聞かせるように、あやすように……瑞鶴は染み入るような声で翔鶴に話す。


提督「……翔鶴……よかったな」


瑞鶴からは何か、憑き物が落ちたように見える。
そしてそれと同時に……瑞鶴はとても疲れているように、提督は感じた。


提督「無理もない、今までずっと、頑張ってきたんだ……」

提督「今はゆっくりと、休みなさい……」


翔鶴「……瑞鶴、これからは今まで時間がなくて出来なかったことを沢山しましょう?
美味しいものを食べたり……あぁ! 皆で遊びに行くのもいいかもしれないわ……!」

瑞鶴「そうだね、翔鶴姉」

翔鶴「あなたは沢山頑張ったのだから、その分楽しまなくっちゃね!」


翔鶴は瑞鶴に微笑みかける。その笑顔を見た瑞鶴は、どこか心が救われるような気がした。


瑞鶴「翔鶴姉……そうだよね。うん、これでいいんだ」

瑞鶴(翔鶴姉が安心してくれてよかった……)

瑞鶴(今まで私は……翔鶴姉のこの笑顔を忘れてしまっていた)

瑞鶴(今はただ……この笑顔を守っていければいいや……)


瑞鶴(これで、いいんだよね……加賀さん……?)





こうして瑞鶴は、一航戦の呪縛から開放されたのだった。









――√C"地獄への道は善意で敷き詰められている"――






――翌日――


提督「よし! それじゃあ今日は皆でピクニックに行こうじゃあないか」

天龍「……はぁ?」


早朝、執務室に集められた艦娘達は提督の唐突な提案に開口する。


陽炎「ピクニックったって、どこ行くのよ。海に囲まれてんのよ?」

提督「この泊地の裏山があるじゃないか」

時雨「裏山って……何かあったかな?」

提督「何もない。が、ピクニックといえばやはり山。丁度おあつらえ向きの山があるんだ
利用せん手はない」

木曾「今更あの山に登ってどうする」

提督「なんだかんだで私達は戦いに明け暮れていた。実はまともにあの山に登ったことが
ないという者も少なくはないんじゃあないか?」

雪風「はい! はい! 雪風、あの山に登ったことないです! しれぇ!」

翔鶴「いいじゃないですか、ピクニック。いい機会ですし……ねぇ、瑞鶴?」


瑞鶴「まぁ、あんな山、機会がなければ登らないしね……この際だからそういうのもいいんじゃない?」


天龍「……お前なら、こういう提案は却下すると思ってたけどよ」

瑞鶴「ま、色々あったのよ……」


電「みなさん! いきましょう! 電は少しでも皆さんと過ごす時間がほしいのです!」

雷「私が作ったおべんともあるわよ!」

若葉「弁当か。行くか」

木曾「ふっ……仕方ない、付き合ってやるか」

提督「弁当目当てかお前達」

天龍「……そうだな。いつまでこうしていられるかわかんねーし! ここは素直に従っとくか!」

提督「よーし! そうと決まれば早速出発だ! お前達、準備だ準備!」

雷「はーい!」

電「なのです!」


こうして今日は一日、みんなでピクニックに行くことになりました。



――泊地・海岸沿い――


提督「それじゃあ私達はピクニックへ行ってくる」

榛名「はい! 海の警戒は榛名達にお任せください!」

提督「……本当はお前達も一緒にピクニックに連れて行きたかったんだがな」

日向「そんなに気を遣ってくれなくてもいい。私達はいつもどおり、ここで楽しく会話してるさ」

雷「そんな三人にせめてお弁当だけでもって思って、はい! 三人分のお弁当、作ってきたわ!」

伊勢「雷ちゃんマジ天使」

日向「雷は何故ここまで母性に溢れているんだ……? 謎だ」

榛名「……そういう訳ですから、提督はお気になさらずに。楽しんできてください」

提督「ああ、悪いな……ではそろそろ私は行くとするかな」

伊勢「土産話期待してますからねー?」

日向「あんな何もない山に何を期待しているんだ……」


――泊地・裏山の山道――


泊地にある裏山。艦娘達は随分と見慣れているこの山ですが、
その山の奥まで進んだことがある艦娘は誰一人としていませんでした。


電「な、のですな、のです♪」

時雨「上機嫌だね、電」

電「だって、みんなでピクニックなのです!」

天龍「何もねーってのによ、よくそんなにテンション上げられんな」

提督「熊とかいるかも知れんぞ?」

木曾「いや、こんな所にうちの姉はいねぇ」

提督「そっちの球磨じゃないから」

天龍「熊だぁ? 平気平気、そんなもん、この天龍様がぶった切ってやらァ!」

陽炎「あ、熊」

天龍「え、どこどこ! おいどこだよちょっと!」

陽炎「天龍めっちゃビビってんじゃない!」

天龍「ビビってねーし! 索敵は戦闘の基本だろうが!」

瑞鶴「……アンタ、普段そんなこと一言も言ってないでしょ
どちらかと言えば、索敵の前に突っ込んでいくイメージ」

天龍「イメージで語んなよ! 流石に大抵は索敵は怠らねぇよ!」

陽炎「大抵、なのね……」

翔鶴「フフ……」

瑞鶴「どーしたの、翔鶴姉?」

翔鶴「いや、ちょっとおかしくって……」

瑞鶴「……そーだね。おっかしー、あはは!」

翔鶴「ふふふッ……!」

提督(……翔鶴、瑞鶴……お前達がこうして笑い合えるようになって、本当に良かった)


陽炎「ふー……ちょっと疲れてきたわ~……」

天龍「まー、俺達はいつも海の上だからな。こんなに歩くことなんてねーし」

雪風「陽炎お姉ちゃん! 雪風、水筒持ってきました! 飲みますか?」

陽炎「あらありがとう、いただくわ」

雷「司令官も喉乾いてない?」

提督「私は大丈夫だよ」

時雨「……提督、ちょっといいかな?」

提督「ん? どうしたのかな、時雨」

時雨「……あそこに、寄って行きたいんだ」

提督「……ああ、わかった」



――泊地・裏山の墓地――


時雨「夕立……」

雪風「夕立さん……」


一行は、裏山に設けてある墓地に立ち寄った。
戦いで沈んでいった仲間達。彼女達が眠る墓場で、
艦娘達は皆それぞれ墓標の前に立ち、黙祷を捧げる。


瑞鶴「……」

翔鶴「瑞鶴……」


瑞鶴が向かったのは、やはり加賀の墓標の前だった。


瑞鶴「……加賀さん。私はようやく……あなたの喪失を受け入れられたのかもしれません」

瑞鶴「一航戦であろうとして、戦って……がむしゃらに闇雲に生きていたのは、やはり……
あなたの喪失を正視できなかったから」

瑞鶴「でももう大丈夫です。ちゃんとあなたの喪失を、受け入れることができた」

瑞鶴「今は……翔鶴姉と一緒に、残された時間を歩んでいきたいと思っています」

瑞鶴「いままで、ありがとうございました……加賀さん……!」

翔鶴「ありがとう、ございました……先輩……!」


一航戦との決別。こうして墓前に参ることで、瑞鶴は自分の心にけじめをつけたのだ。



天龍「さーってと! 辛気臭ぇのはここまでだ! ちゃっちゃとてっぺん目指すぞ!」

若葉「そして飯だ」

提督「お前……飯のことしか頭にないだろう」

若葉「そうだ」

提督「相も変わらず素直ね、君」


そして一行は墓地を後にして、登山を再開する。

歩き歩いて数時間。ちょうど昼時に一行は山の頂上へとたどり着いたのだった。



――泊地・裏山の頂上――


天龍「うおー! てっぺんだ! てっぺんに付いたぞ! かーっ!」

木曾「馬鹿は高いところが好きだな、本当に」

天龍「んだと!」

電「つかれたのでひゅ……」

雷「しれーかん、おんぶ……」

提督「人を駄目にする雷ちゃんがダメになってる……」

陽炎「あーもう歩きだくない! 雪風足揉んで~」

雪風「雪風も疲れましたぁ……」

時雨「意外と、高かったねこの山……」

瑞鶴「この程度でへこたれるなんて、みんなひ弱ねー。
翔鶴姉なんて汗ひとつかいてないわよ」

翔鶴「ええまぁ……」

天龍「馬力が違いすぎんだよ! 全くスタミナゴリラ共にはついてけねーよ」

瑞鶴「誰がスタミナゴリラじゃーい!」

天龍「こら! 弓矢むけんなって! おい翔鶴、お前からもなんか……」

翔鶴「瑞鶴、しっかり眉間を狙うのよ!」

瑞鶴「わかってる!」

天龍「まじでか」



時雨「空気が美味しいね……」

天龍「ふん、空気なんてどこも一緒だろ」

時雨「君は風情がわかってないね……」

提督「ほらほらお前達、昼食の準備手伝いなさい」

雷「空気よりももーっとおいしい、雷様特製のお弁当よ!」

雪風「雪風が皆さんのお箸と取り皿をご用意いたします!」

陽炎「手伝わない奴は昼食抜きよ抜き!」

時雨「それは困るかな……」

天龍「おい! 俺の昼食を抜きにするな!」


そんなこんなで、一行は雲ひとつ無い空と広大な海に囲まれて昼食をとりました。



瑞鶴「やっぱり美味しい……雷、あなたどうしてこんなに料理が上手なの?」

雷「さー? どうしてかしら? 皆の喜ぶ顔を見ていたら、自然と上手くなっていたわ!」

提督「これぞ無償の愛……雷ちゃんisリトルゴッテス……」

陽炎「とか何とか言って、本当は司令のハートを射止める為に上手くなったんじゃないの?」

雷「もーっ! やーだ陽炎ったら! 唐揚げもっと食べる?」

木曾「こんなおっさんのどこがいいんだ……」

電「世の中にはそういう嗜好の方もいらっしゃるのです」

提督「なんか遠回しにひどい扱いを受けている気がするんだが」

翔鶴「私は、提督のこと、結構男前だと思ってますよ?」

提督「ありがとう翔鶴。君のような娘を持てて私は幸せだ」

翔鶴「娘……?」

瑞鶴「翔鶴姉を勝手に娘にしないでください」


提督「いいじゃあないか。私は独り身、この年で娘一人いないんだぞ!
可愛そうだと思わないのか!?」

瑞鶴「それは提督さんがモテないのが悪いし……」

提督「じゃあ責任をもって結婚してよ!!」

瑞鶴「は、はぁ!?」

翔鶴「提督!?」

瑞鶴「提督何いってんの!? 爆撃されたいの!?」

提督「爆撃できるもんなら爆撃してみんさい。資材が底ついてるから無理だろうけど」

翔鶴「自分で言ってて悲しくなってきませんか?」

瑞鶴「パワーボム!」ドッゴォ

提督「ごはぁ!?」

木曾「そしてしっかりと爆撃したな」

天龍「ありゃプロレスだろ」

若葉「お前達!」

若葉「やかましい! うっとおしいぞ! 今は食事中だ!」

提督「す、すんません……」

瑞鶴「いやほんと……」

雷「司令官! 大丈夫!?」

時雨「……いい景色だね(現実逃避)」


楽しいお昼時は、こうしてゆっくりと過ぎていきます……。



雪風「雪風……も~お腹いっぱいです!」

天龍「食った食った~……」

時雨「ごちそうさま、雷。とてもおいしかったよ」

雷「お褒めに預かり、光栄ですっ」

提督「いやほんと、雷ちゃんの料理は最高だったよ」

雷「褒めても何も出ないわよ、しれーかん!」

陽炎「ハートは出まくってるけどね」

提督「それにしても、本当に良い景色だ。こんなことならもっと早く来ておくべきだったな」


泊地を見下ろし、広がる海を見渡せる山頂。そこから見える景色は中々悪くなかった。


瑞鶴「戦いばかりしてたからね……私達。登山なんてする心の余裕、なかった……」

提督「でも今は、あるみたいだな」

瑞鶴「提督さんと、翔鶴姉が……あまりにもうるさいから。私もすっかり腑抜けちゃった」

提督「腑抜けていいじゃないか。誰もお前を咎めはしない」

瑞鶴「……そーだね。あー!」


瑞鶴は背伸びをすると、その場で寝転んだ。



翔鶴「あら! 瑞鶴ったらこんなところで寝転がって! 泥がついちゃうわよ!」

瑞鶴「いいじゃんいいじゃん~……あー、風が気持ち良い~……」

翔鶴「本当、そうね……草木の香りにほんのりと混ざる潮の香りが心地いいわ……」

瑞鶴「ねえ翔鶴姉。この海の先にはさ……深海棲艦がいるんだよね」

翔鶴「そうね……」

瑞鶴「なんだかこうしてみるとさ、信じられないよね……」


この海の先には、終末が待ち受けている。誰もがそれを理解していた。


瑞鶴「提督さん」

提督「どうした、瑞鶴」

瑞鶴「私、ここに来れてよかったよ」

提督「……どうしたんだ、突然」

瑞鶴「皆と一緒なら、後悔はない。皆でならきっと、終末を迎えられる」

翔鶴「瑞鶴……」

瑞鶴「だから、ありがとね! 提督!」

提督「……何がありがとうなんだか。私は感謝されるようなことは何もしてないよ」

瑞鶴「いろいろだよ、いろいろ! 色々感謝!」

提督「変なやつだ」

若葉「お前のほうが変だ」

提督「ハハハこやつめ」


その時、他の艦娘は口には出さなかったけれど……。

皆の気持ちは、一緒だった。

皆一緒なら、目を背けずに終末を迎えられる。そう思っていた。







そしていよいよ、この泊地にも終末が訪れるのです……。



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          (( -――-.(ソ
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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j 一旦きゅーけいでち

       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|  
        V`ゥrr-.rュイ人人  
         ,/1::ー:'::! i
   .  ( ̄) ̄  ̄ ̄i.ノ ̄ ̄><

一旦乙
ルート次第では番外編のデチペジオチームがでち公達を帰すついでに参戦
シーレーンを取り戻して深海棲艦を殲滅する奇跡の大逆転なんて展開もあったんだろうか?
番外だから時系列に組み込まれてない世界かな?
あとでち公、魚雷の棒線忘れてるぞ
          ,.r-=

          (( -――-、 
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        V`ゥrr-.rュイ人人    
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         ↑この線

>>51
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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j それもかんがえたんでちがゴーヤが全部もっていってしまうでちから

       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|  ゴーヤは謙虚なんでち
        V`ゥrr-.rュイ人人  
         ,/1::ー:'::! i
   .  ( ̄) ̄  ̄ ̄i.ノ ̄ ̄><
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   

続き行くよぉ





某日 一三○○ 泊地近海ニテ深海棲艦ノ侵攻ヲ確認





――執務室――


提督「……どうしても行くのか」

木曾「黙ってやられるのは癪だしな」

提督「大局はすでに決しているぞ?」

天龍「勝つとか負けるとかじゃねえんだ。俺達は軍艦、戦いの中で最期を迎えてーんだよ」

陽炎「辛くはないわ。寧ろ穏やかな気分……」

時雨「これは今までと違って、勝つための戦いじゃない……僕達艦娘の魂の為の戦いなんだ」

雷「このまま戦わないで、終わってしまったら……」

電「電達は、魂に遺恨を残す事になるのです」

翔鶴「提督。私達は敵を倒す為じゃない、自らの最期の為に、出撃するんです」

瑞鶴「私達は、提督さんに沢山の物をもらった。軍艦の頃じゃ知ることができなかった事を
沢山教えてくれた。体験させてくれた」

翔鶴「提督にはもう、十分幸せを頂きました。だから、行かせてください」

提督「……全く、お前達ときたら……こういう時だけは精悍な顔つきをする」


執務室に、悲観的な空気は全く流れていなかった。
それどころか、どこか清々しささえ伺える。


提督「……わかった。お前達の最期、しかと見届けよう!」

提督「見届けたた後、私もすぐにそちらに向かう! 暫しの別れだ!」


提督「泊地遊撃隊、出撃! その魂の安寧の為に!」




雪風「……雪風は、前にもこんな風景を見たことがあります……」

雪風「それはいつだったか……」




――泊地正面海域――


榛名「皆さん……すみません。榛名達は、ここから動けません」

伊勢「戦艦を動かすだけの燃料は残ってないみたいだからね。あたし達はここで浮き砲台」

日向「お前達の最期に付き合えないのは残念だ」

天龍「お前らの分までこの天龍様が暴れてきてやっからよー。心配すんなよな」

日向「レ級にびびって逃げるんじゃあないぞ?」

天龍「あー? ビビるかよ!」

翔鶴「榛名さん、伊勢さん、日向さん。私は、あなた方と共に戦えて……光栄でした」

榛名「こちらこそ。皆さんと一緒だったからこそ、榛名達はここまでこれたのだと思います」

伊勢「そうそう。特に空母の艦載機は、日向の瑞雲よりずっと力になったしね」

日向「おいおい、瑞雲の悪口は許さんぞ」


瑞鶴「……」ソワソワ

翔鶴「……瑞鶴、ほらあなたもご挨拶なさい」

瑞鶴「わ、わたしはいいよ……」

翔鶴「どうしたの瑞鶴?」

瑞鶴「だって私、榛名さんに前、酷いこと言っちゃったし……今更挨拶しづらいなって」

翔鶴「全くこの子は……」


榛名「榛名は気にしていませんよ?」


瑞鶴「わわ! き、聞いてたんですか!?」

榛名「すみません。つい、耳に入ってきてしまって」

瑞鶴「あの……榛名さん……」

瑞鶴「ごめんなさいっ! あの時は生意気なこと言って!」

榛名「……いいんですよ。それよりもこうして、最期を迎える前にわかりあえて……
榛名は、嬉しいです」

瑞鶴「榛名さん……」


瑞鶴は、胸のつかえがすっと取れたように思えた。




翔鶴「では、泊地遊撃隊……行ってまいります」

榛名「ご武運を」

伊勢「また会おうね」

日向「ここは私達にまかせておけ」


浮き砲台となった榛名達は、艦隊を見送る。
死地へと赴く彼女達の背中に、絶望はなかった。





――戦闘海域――


彼女達は対峙する。有象無象に連なる深海棲艦の群れと。


翔鶴「皆さん。これが本当に、最後の戦いです」


艦隊旗艦の翔鶴は艦隊の皆を見渡す。
皆まっすぐと、芯の通った目つきをしていた。


翔鶴「皆、悔いを残さぬよう……戦いましょう!」

木曾「ああ!」

天龍「天龍様の晴れ舞台、見とけよな!」

若葉「言うまでもない」

雷「雷、頑張っちゃうんだから!」

電「が、頑張るのです!」

陽炎「任せておいて!」

時雨「ああ、やるさ!」

雪風「雪風も、皆さんにお供します!!」

瑞鶴「うん。悔いなんて残さない私は私として……戦う」


瑞鶴「五航戦瑞鶴!」
翔鶴「五航戦翔鶴!」



「「出撃します!!!」」








――戦闘開始――

BGM:南方海域強襲偵察!
http://www.youtube.com/watch?v=YgzK-LlgalM





「敵機多数接近!!」

瑞鶴「対空戦闘用意! 噴進砲発射準備!」


雪崩れ込むような敵の航空機に対して、瑞鶴達空母は対空装備で迎え討つ。
彼女達に艦載機を飛ばす力はない。故に機銃や噴進砲で迎撃するしか無いのだ。


翔鶴「目標捕捉! 噴進砲発射!」

「敵機二機撃墜!」

「まだまだ来ます! 右舷より攻撃隊!」

瑞鶴「翔鶴型の速力を見くびらないでよね!」


それでも彼女達は立ち向かう。確かに彼女達に艦載機はない。
しかし空母としての矜持はある。



戦艦タ級「……!」

木曾「おい天龍! 腰が引けてるんじゃないか?」

天龍「馬鹿言え! 俺が怖気づくわけねーだろう! 見とけよ!」

天龍「おらおら! 戦艦がどうした! 敵うと思ってんのか!」

木曾「お前達深海棲艦の指揮官は無能だな! 重雷装艦の雷撃、甘くはないぜ!!」

戦艦タ級「ッッ!」


勝機を見出してはいない、元から勝ち目などない戦いだ。
彼女達が求めているのは、自分の死に場所なのだ。


陽炎「くっ……弾幕が厚いわ。雪風、対空戦闘お願い!!」

雪風「わかりました!!」

時雨「僕も手伝うよ!」

雪風「ありがとうございます!!」

電「!! ソナーに感有り! 潜水艦なのです!」

雷「なんですって!?」


若葉「若葉が向かう。お前達はそちらの敵に集中しろ」


悲しくはなかった。苦しくはなかった。
だって皆一緒だったから。





ドッゴォォォォン!!



翔鶴「きゃあ!? 被弾!? 瑞鶴、大丈夫!?」

瑞鶴「……小破ってとこかな」

翔鶴「私もよ……」

重巡リ級「ッ!」チャキ
重巡リ級「ッ!」チャキ

翔鶴「! 瑞鶴、砲撃来るわよ!」

瑞鶴「!! あっちからも来るよ!」

重巡リ級「ッ!」チャキ
重巡リ級「ッ!」チャキ

瑞鶴「……面白いじゃない。翔鶴姉!」

翔鶴「瑞鶴!」


瑞鶴は敵の包囲から逃れるべく、その速力を生かし突破せんと試みる。
姉の翔鶴の手を引いて。


ドン! ドン!
   ドオォォォォォン!


瑞鶴「当たらないってば!」

翔鶴「私達のスピードなら、いける!」


手を取り合い重巡リ級の砲弾を回避する二人は、もうどこまでも行けるような気さえしていた。
そう、二人ならどこまでも……。

しかし、現実はそうとはならないのだ。


レ級「ニヤ……」ピッ

戦艦ル級「……!」スチャ

戦艦タ級「……!」スチャ


瑞鶴「!!! 翔鶴姉! マズイ! 敵の射程に……」

翔鶴「瑞鶴……!」


翔鶴は瑞鶴の手をぎゅっと握りしめる。瑞鶴も翔鶴の手を強く握り返す。


レ級「にっこり」


ドオォォォォォン!


レ級の指揮する戦艦達の砲撃が、二人に襲いかかる。

翔鶴にはもう思い残すことはなかった。


だけど


瑞鶴「……翔鶴姉、ごめん」

翔鶴「え……」


瑞鶴は違った。




ズガアアアアアアアアン!!




翔鶴「……嘘、瑞鶴……?」

翔鶴「なんで、なんでなの……?」


翔鶴「なんで私をかばって……」


瑞鶴は、翔鶴を敵の射程範囲から突き飛ばし……その身に砲弾を引き受けた。


瑞鶴「ごめ、ん」

翔鶴「私達、一緒に沈むんじゃなかったの……?」

瑞鶴「そのつもり、だった……」

瑞鶴「でも、私……たくさんのことを、あきらめちゃった……から……」

瑞鶴「悔しいって、思った。最後に、翔鶴姉のことだけは、諦めたくないって、思っちゃったんだ……」

瑞鶴「翔鶴姉に死んでほしくないって……思っちゃった……」

翔鶴「……なんで」

翔鶴「なんでそんなこと……なんでそんなことを!!」



瑞鶴「ごめん」

翔鶴「私、あなたと一緒に沈むつもりだったのよ!?」

瑞鶴「やっぱり私、翔鶴姉には、沈んで欲しく、ないよ」

翔鶴「こんな状況なのよ? 生きのびれる可能性なんて万に一つもないのに……!」

瑞鶴「ごめん。ほんとうに、ごめんなさい……でもわたし」

翔鶴「もうしゃべらないで! 瑞鶴! あなたは……私の……」

翔鶴「全てだった! 何故私ではなく、あなたが沈むの!? 沈むなら私が……」


瑞鶴「翔鶴姉は、私の一番、大切な人だから。だから、生きていて欲しいって……思ったんだ」


翔鶴「!!」

瑞鶴「これが、わたしの、最期のわがまま……最後の希望、しんじ、させて……!」

翔鶴「瑞鶴……瑞鶴! あなたは本当にいつも無茶をするんだから!!」


翔鶴「そんなこと言われたら……私、沈めなくなっちゃうじゃない!!!」



悔いはなかった。後は最期を迎えるだけだった。そんな翔鶴の心に、


生まれてしまった。抗う意志が。




瑞鶴(きぼう……私は信じたかったんだ。あの時、加賀さんと話して、呪縛から開放された時……
なくしたものは……それだったんだ)

瑞鶴(思えばあの加賀さんは……随分と私に優しかったな)

瑞鶴(ううん。きっとあれは、加賀さんであって加賀さんじゃない)

瑞鶴(私の心が生んだ、私の望む言葉しか言わない、理想の加賀さん)

瑞鶴(本当の加賀さんはもっと、無愛想で意地悪で理不尽だもんね……ふふ)

瑞鶴(結局私は、心の何処かで……諦めたがってたんだなぁ)

瑞鶴(最後の最後で、翔鶴姉に勝手な希望を押し付けて……ほんと、ダメな妹だな……私って)

瑞鶴(でも……いいよね? 最期なんだから……これくらいのワガママ、いいよね……)


瑞鶴「しょうかく、ねえ……」

翔鶴「瑞鶴!」



生きて、ください……








正規空母 瑞鶴、勝利を信じ続け、数多の戦いを決して諦めずに戦い抜いた空母は、
最期は勝つためではなく、自らの愛する者の為に沈んでいった。










翔鶴「……瑞鶴」

翔鶴「……あなた、本当に酷い……」

翔鶴「これじゃあもう、安らかになんて……逝けないわね」


翔鶴「……いいわ、あなたの最後のわがまま……行ける所まで付き合ってあげる!!」


翔鶴に、生への執着が生まれる。
それは安らかな終わりを拒否することに等しい。



「空母ヲ級、艦載機繰り出してきます!」

「ヌ級もそれに続いています! 敵機総数200以上!」

翔鶴「回避します!! 機銃の用意も怠らないで!!!」


迫る敵の艦載機。空を睨むは白き鶴。



「左舷より魚雷接近! 雷速……」

翔鶴「そんなのあたりません!!」


押し寄せる数多の攻撃にも屈さず。


重巡リ級「ッ!!」ドォン!

軽巡ホ級「ッ!!」ドン!

翔鶴「くっ……」


降り注ぐ砲弾の雨にも臆さず。


「敵航空機の集中攻撃!!」

翔鶴「機銃で迎え撃ちます!!!!」ズドドドドド


ただひたすらに、貪欲に、生へと縋り付いた。


「敵航空機の攻撃防ぎきれません! 翔鶴さん!」

ババババババ

翔鶴「ぐっ……この、程度!!!」

敵艦載機「ッ!」ヒュウウウウウ……

「きゅ、急降下爆撃!!」

翔鶴「!!」


ドオォォォォン!!!




翔鶴「う……」


意識が飛びかける。視界が判然としない。
生暖かいものが滴り落ちる。拭き取ると大量の血が手のひらにべっとりとつく。

何故こんなにも苦しまなくてはならないのか。安らかに終わるはずだったのに。


翔鶴「瑞鶴の」

翔鶴「瑞鶴の希望だから……私は……!」


選択肢

1.あきらめない

2.あきらめない





翔鶴「諦めない!!!!」



翔鶴は再び前進する。滴り落ちる血を振りまきながら、駆け抜ける。

片翼の鶴は、海上を舞い続けた。


戦艦タ級「ッッ!!」

戦艦ル級「ッ!!」


翔鶴「いくら戦艦の砲撃を浴びようと私は!!」


選択肢

1.あきらめない

2.あきらめない



翔鶴「諦めない!!!!」


空母ヲ級「ヲっ」ヒュン

翔鶴「いくら敵の爆撃機の攻撃を受けようと私は!!」



1.あきらめない

2.あきら



翔鶴「諦めない!!!!」


翔鶴「何人たりとも砕けはしない!! あの子のためなら私は……!」



レ級「ニヤ……」チャキ



ドゴン!!






翔鶴「あ……」



その時翔鶴は、光を見た。

そして自分が、その光りに包まれていくのを感じた。



全ては、白に還っていく。








榛名「……ここまで、ですか……」


彼女達は戦った。


伊勢「まぁ、私達結構……がんばったわよね……」

日向「大破着底するのは 呉軍港内と決めていたんだがな……まぁいい」


その穢れ無き魂をかけて、戦った。


電「雷ちゃん!」

雷「だいじょうぶ! 最後まで私達は一緒よ……?」


これは彼女達のための戦い。


木曾「悪くない最後だ……」

天龍「龍田のやつに……また会えっかな……」


全ての艦娘の為の戦い。


陽炎「みんな! きっと来世でも……!」

雪風「はい……会えますよきっと!」

時雨「僕達は、幸運の駆逐艦なんだから」



そして……彼女達の最期の為の戦いなのだ。










若葉「……若葉は、何か忘れている…」






若葉(若葉は……何か大切なことを……!)


ドゴン!!


若葉「ガッ……」


駆逐艦 若葉、敵潜水艦の魚雷が直撃。航行不能となる。


若葉「ぐあ……このっ……!」

若葉「せめて、せめて後一隻でも……沈めてや……」





ドッッゴオオオオオオオオン!!!!




若葉「……なん、だ?」



若葉「!? お前は……!」






――泊地・執務室――


提督「……もう間もなく、か……」


提督は徐に立ち上がる。彼女達の後を追うために。



「……本当に諦めてもいいのか?」



提督「!? ……誰だ?」


研究員「いやいやいや~、こんなとこまで来るのはめんどくさかったんだけどさー
まぁ、緊急時だし……」

提督「君は……」

研究員「我の名は花見月子。貴様も知っていると思うが」

提督「君が……?」


花見月子。鎮守府が隠蔽していた情報をこっそり流出させていた人物の名前だ。


提督「君があの……一体……何でここに……」


研究員「そんなの決まってるぴょん!」



研究員「……あなた達を、助けに……きました」






Episode EX【0から芽吹くわかばかな】



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          (( -――-.(ソ
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        /::/レヘ::::;ヘ:::::i:::::::|  
      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j 一旦きゅーけいでち

       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|  日付変わる前に負われるか微妙でち
        V`ゥrr-.rュイ人人  
         ,/1::ー:'::! i
   .  ( ̄) ̄  ̄ ̄i.ノ ̄ ̄><
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   

タイトルの読み方は【0(なし)から芽吹くわかばかな】です


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          (( -――-.(ソ
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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j 
       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|  
        V`ゥrr-.rュイ人人  
         ,/1::ー:'::! i
   .  ( ̄) ̄  ̄ ̄i.ノ ̄ ̄><
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   

投下は五時頃になると思います。オリョクルでもしながらお待ちください。


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      〈|::::l ┃`' ┃`-!:::::j   た、タイムアップでちか
       ji::〈 "  ヮ  "/::::::|  
        V`ゥrr-.rュイ人人  
         ,/1::ー:'::! i
   .  ( ̄) ̄  ̄ ̄i.ノ ̄ ̄><
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   
では再開します。




大切なものを守る為に戦ったその意志は




受け継がれていく。




次の世代へと。








――よくぞ今まで諦めなかった! 翔鶴!!――






BGM:南方海域強襲偵察!道中
http://www.youtube.com/watch?v=p1H4-1Y1MKw




翔鶴「……ぇ」


光が収束する。翔鶴を狙っていたレ級の砲塔が煙を上げている。


翔鶴「……なんで……?」


長門「ビックセブン! この長門が来たからにはもう心配はいらん!!!」


暁の水平線に照らされ、仁王立ちする彼女は世界のビックセブン、戦艦長門だ。


翔鶴「な、長門さん……なんであなたが」

長門「私だけではないよ」


「流星……烈風……この編隊がやっぱり一番ね!」


空を覆う敵艦載機を切り裂く流星と烈風の航空隊。
空の形勢は忽ち混迷を極める。


翔鶴「あなたは……?」

大鳳「お久しぶりです……翔鶴さん。装甲空母大鳳です!」


大鳳「あ、今度は魚雷一発で沈んだりしないんだから!! 安心して!」


改翔鶴型で翔鶴の妹分でもある装甲空母、大鳳。
かつてはその活躍を見せること無く戦争の舞台から降りた彼女は
今度はそうは行かないと、満を持して戦場に推参した。




ドッゴオオオオオオオン!!


戦艦タ級「ッ……、ッ……」

木曾「うわ、すっげー超弩級の砲撃」

木曾「おいこれって……まさか……」


一撃で行動不能に陥る戦艦タ級。この火力を出せるのは、長門と並んで
ビックセブンと称される彼女しかいない。


「行くわよ! さぁ唸りを上げろ、第三砲塔!!」


ドゴォン! ドッゴオオオオオオオン!!


名乗りと共に放たれた砲撃は、敵艦隊にバラ撒かれ、粛清の業火となって降り注ぐ。
燃え盛る敵艦隊を背に彼女は一言呟くのだ「あらあら」と。


「敵艦沈黙!」

陸奥「あら、今日は第三砲塔調子良いみたいね」

陸奥「お待たせ! 戦艦陸奥が助けに来たわよ? びっくりした?」

木曾「……マジでどーなってんだこれ」

天龍「俺も何が何だかわからん」


「何じゃお前達、その間抜け面は」ヒュンヒュンヒュン


まだ理解が追いついていない天龍達の頭上を、見慣れない水上機が飛んで行く。


天龍「なんだこりゃ!?」


「ふっふっふ……それは晴嵐と言ってな、非常に優れた攻撃機なのじゃ」


かつて泊地で共に戦った仲間。改装して必ずや戻ってくると誓った彼女は、
その言葉の通り、航空巡洋艦となって戻ってきた。


天龍「おま……まさか利根か?」

利根「その通り!」

木曾「……何だ? その格好は」

利根「航空巡洋艦として改装してきた吾輩の新しい姿! 新しい艤装! どうだ? おどろいたか?」

木曾「いや、艤装とかじゃなくて下着……」

利根「下着? そんなもの着用したことはないぞ?」

天龍「こえぇよ……木曾俺、こいつこえぇよ……!」

木曾「気をしっかりと持てフフ怖!」



潜水ヨ級「!」ヌッ


雷「電っ!」

電「雷ちゃん!」


雷と電は互いに抱きしめ合い、瞳を閉じる。
いよいよ私達は沈むのだと、二人は己の最期を覚悟した。



「……本当に長かった。ここまで来るのに本当に本当に……長すぎる時間だった!」



バシュウウウン!!


そんな二人の前で、大きな水柱が吹き上がる。


潜水ヨ級「!? ……、……」


潜水ヨ級は沈黙する。突如として我が身を襲った正体不明の攻撃によって。


「ハリネズミのトゲはどうだい? 痛いだろう?」


電「な……」

雷「なんなの……!?」


「やっと、やっと君達を救うことができる……」


雷「あ……あなたは……」



Верный「――助けに来たよ、二人共」




最後に自分だけが残ってしまった。
ずっとずっと一人で悔やんでいた。
そんな彼女が数十年もの時を超えて、


ようやくこの瞬間にたどり着くことができたのだ。


Верный「私があの国で過ごした数十年は……この瞬間の為にあったのかもしれない」

電「響ちゃん!!!」

Верный「……ああ、そうだ。私は響。そしてまたの名を……ヴェールヌイ」

雷「そんなのどっちでもいいわよ!」

Верный「どっちでもよくない」

電「なんで響ちゃんがここに……?」

Верный「それは……」


暁「ちょっとー! 私のこと忘れないでよー!」


暁「はぁ、はぁ……暁も助けに来てあげたんだから、感謝してよね」

雷「んー、響は敵を倒して現れたから助けに来たって気がするけどー、
暁はなんか……おまけ的な」

暁「ぴゃ!?」

雷「まぁ、簡単にいえばキマってないのよね」

暁「もー! わざわざこんな所まで来たのに来て早々この扱いはなんなのよー!!!」

電「暁ちゃんも来てくれてありがとう、なのです!」

暁「"も"っていうのが気に食わない"も"っていうのが!」

Верный「しっ……みんな、悠長に話している場合ではないよ」


潜水カ級「……」
潜水ヨ級「……」


Верный「潜水艦がまだそこら中に……」

暁「もー! こうなったら汚名挽回よ!」

雷「汚名返上ね」

電「皆で力を合わせるのです!」

雷「第六駆逐隊再結成ね!」

Верный「あぁ……そうだね……!」


彼女は待っていた、この瞬間を待ち望んでいた。



Верный「いこうか、みんな!」



自分の隣には第六駆逐隊の皆がいる。皆と共に戦える。
彼女にとってこれ以上に嬉しい事はなかった。






――旗艦大和、聯合艦隊、推して参ります。




ドッゴオオオオオオオオオオオオン!!


もうダメかと思われたその時、爆音が陽炎達の耳を劈く。
豪快に敵勢を薙ぎ払うそれは、46cm三連装砲の成せる力技だ。


陽炎「……」ポカーン

雪風「陽炎お姉ちゃん。あれは……!」


陽炎はぽかんと口を開いて立ち尽くす。あの連合艦隊旗艦の勇姿を見て。


陽炎「……何かの見間違いかしら? 大和がこんなところにいるはずが……」

浜風「夢でも見間違いでもありませんよ?」

雪風「!! 浜風さん!」

霞「アンタ達が不甲斐ないから助けに来てやったのよ! 全く、この程度の敵に
手こずるなんてだらしないったら!」

初霜「間に合ってよかった……」

大和「おまたせしてしまってすみません。旗艦大和、これより敵艦隊を撃退します!」

時雨「なんだかよくわからないけど……またしても僕たちは、幸運に救われたみたいだね」

矢矧「……間一髪で間に合ったようね。雪風」

雪風「矢矧しゃん!」

時雨「矢矧、これは一体……」



矢矧「……雨はいつか止むもの。そうでしょ? 時雨」




――泊地・執務室――


長門『聞こえているか? 戦艦長門、諸君らの救援に参った。
これより共に戦わせてもらう』

陸奥『戦艦陸奥よ。今日ばかりは火遊びしちゃうんだから。
もちろんこの……41cm連装砲でね!』

大和『連合艦隊旗艦、大和です。提督、これより私達も作戦行動に加わります』

大鳳『提督……あなたと共に勝利を掴みます!』

千代田『千歳お姉と私のラブラブ艦載機レボリューション攻撃』

千歳『まじめに発艦しなさい』

三隈『もがみん達が沈んだこの海で……これ以上仲間を沈めさせはしません!』

天津風『いい風来てる? よし、行くわよ連装砲くん!』

島風『島風には誰も追いつけないよ!』

阿賀野『最新鋭軽巡、阿賀野! 出撃します!』キリッ

能代『阿賀野姉! 寝ぐせついてるから! キメ顔しても全然決まってないから!』

矢矧『言ったでしょ? 今度は全て守りきるって!』

酒匂『ぴゃあぁ!? あたし、戦闘するのは初めてだけど、頑張るからね!』


提督「何が……一体何が起こっている!?」

研究員「だから助けに来たって言ったぴょん」


提督「なぜ彼女達が……本土の守りは!?」

研究員「そんな細かい事は気にしちゃだ~め?」

研究員「それで、貴様はどうする? まだその軍刀で何かするつもりか?」

提督「……いや、そんな無意味なことはもうしない」

提督「私は一度勝利を諦めた、司令官としては失格の男だ。そんな人間に
再び艦隊を指揮する資格があるのかどうかはわからんが……」


提督「何の因果か、再び灯った希望の火だ、燃やしてやらねばなるまいて!」



研究員「……そう、その目。あの頃のあなたはいつも、そういう目をしていました」


それは、金剛が一目見ただけでもよく覚えていたという、信念の篭った目。


提督「聞こえるか! ……全艦隊、態勢を整えろ」

提督(この言葉を、皆には随分と待たせてしまったな……)





提督「――これより、反撃を開始する!」





曙「翔鶴、助けに来たわよ! 今度は絶対に守るんだから!」

潮「やらなくては!」

翔鶴「潮、曙……!」


続いて増援にやってきたのはかつて珊瑚海海戦で共に戦った駆逐艦、曙、潮……。
曙は翔鶴。そして潮は瑞鶴を護衛していた。


潮「あの、瑞鶴さんは……」

翔鶴「……ごめんなさい。瑞鶴は、もう……」

長門「そう、か……瑞鶴は……」


少し遅かったか、と長門は悲痛な表情を浮かべる。


潮「!! 皆さん! アレを!」


レ級「ニコニコ」ヒュン


しかし感傷に浸っている暇はない。レ級は艦載機を飛ばし、容赦なく襲い掛かってくる。


長門「何だ? こいつは戦艦ではないのか……?」

翔鶴「気をつけてください! あれはレ級と言って新種の深海棲艦です! 砲撃雷撃、航空戦だってしてきます!」

曙「なによそれ、反則じゃない!」


レ級「ニヤァ……!!!」


レ級、直掩機を伴って突撃。


大鳳「任せて下さい! この装甲空母大鳳、正規空母ですらない相手に制空権で遅れは取らないわ!!」


応戦するように、大鳳も艦載機を発艦する。




ブウゥゥゥン……
          ドドドドドド!
 パラララララ……


「……制空権はどっこいどっこい。まぁ互角ですなぁ」

大鳳「そんなバカな!?」

翔鶴「皆さん! レ級が来ます!!」

曙「翔鶴! 私の後ろに!」

潮「守ります!!」

長門「来い! この戦艦長門が相手だ!」

「旋回よし! 仰角よし!」

長門「照準よくねらえよ……よし、今だ! うてー!!」



ドオォォォォォン!!



レ級「ッッ!!」



戦艦長門の砲撃が、レ級に命中する!





長門「やったか!?」

曙「あ、それ言ったら……」



レ級「ニッコォ……!」シュウウゥゥゥゥゥ



長門「ほう……」

曙「あー……言わんこっちゃない」


レ級は煙の中で佇み、狂気的な笑みを浮かべている。
大鳳との制空権争いを五分に持ち込み、長門の砲撃を食らっても沈まない。
規格外の相手だった。


長門「確かに中々やるようだ。だがな……」



長門「戦いとは、常に二手先を見越すものだ」



バシュン………………バコンッ!!


レ級「!?!?」


レ級の足元から、突如として水柱が吹き上がる。雷撃だ。魚雷がレ級に直撃したのだ。


長門「この戦艦長門の砲撃は、お前の目を引きつけるためのブラフ。本命は……」


ザッバーン!


長門「彼女の方だったという訳だ」




8「グーテン・ターク。はちです。私の魚雷、気に入っていただけましたか?」





翔鶴「潜水艦……!」

8「ゴーヤ達の仇……まだまだこんなものじゃ、終わらないよ」

長門「まさかこのビックセブンの攻撃がブラフにだったとは思わなかったようだな

レ級「ッッ……! ッ! ……、……!」


レ級は声にならない怒りを露わにして、水底へと沈んでいく。
ここはその名に驕らず勝ちを見越して堅実な戦い方をした長門の勝利だった。


長門「……さてと、これではまだまだ暴れたりん」

大鳳「私だって! 本当の力はあんなものじゃないんだから!」

潮「誰も傷つけさせはしません!」

曙「そうこなくっちゃね! 突撃よ!」


翔鶴「……瑞鶴、あなたの残してくれた希望は……こうして繋がった」

翔鶴「私の命はきっと、あなたに貰った命なのね……瑞鶴」




翔鶴「ええ、いいでしょう。戦い抜きます。そして皆で……母港へ帰りましょう!」





陸奥「全砲門開け!」


ドオォォォォン!


利根「水上機と砲撃の連携技……その妙味に舌鼓をうつが良いぞ!」


ドゴォン!


島風「遅い! 遅すぎる! あなた達って遅いのね! にひひ、
五連装酸素魚雷、やっちゃってー!」


バシュン……ゴオォォォォォン!!


千代田「千歳お姉とのスカイラブハリケーン受けてみなさい! サーチアンドデストローイ!」


バキャアアアアアアアアアン!!


天龍「……んだよこれ、何なんだよお前ら!?」

天龍「どんどんどんどん湧いてきやがってよォ~~ッ!? はぁ~~~!?」

天龍「なんかもう好き勝手やっちゃってるしさ~~~なんなのお前らマジで!」

木曾「まぁ、深く考えるのはよそうぜ……」

木曾「なんだかよくわからねぇが、助けが来たってことだ。それでいいじゃあないか」

天龍「……だとしてもだ」

天龍「俺様を差し置いて好き勝手暴れてるのは気に入らねぇ!」

木曾「……ふっ、そうだな。俺もこのまま黙って見ているつもりはない」


天龍「いくぜ! 敵艦隊に突撃する! 簡単に大破すんなよ、木曾!」

木曾「紙装甲がよく言うぜ。重雷装艦を舐めるなよ?」




大和「……あれが、レ級……ですか」


レ級「にやにや」

レ級「ニッコリ」

レ級「ニヤー……?」


雪風「レ級……!」

酒匂「ひゃ~、なんか沢山並んでる~」

陽炎「いくら最強の戦艦と呼ばれる大和でも、こんなに沢山のレ級を相手に……」

大和「……私は連合艦隊旗艦・大和。私の主砲は何物をも貫く矛。私の装甲は何物をも通さぬ盾」

大和「安心してください。大和は負けはしません!」

初霜「ええ、私達は負けません!」

浜風「坊ノ岬のようにはいきません。負けないわ!」

霞「少しはできるやつがいるようね。いいじゃない、やってやるったら!」


矢矧「! ……敵艦に動きあり! こちらに向かってくるわ!」


隊列をなして伺うように航行していたレ級達は針路を変え、大和達の方へと接近していく。


大和「迎撃用意! 一隻残らず沈めます! 戦闘、右砲戦!」

「ひとふたまるのもくひょー」

「しゅほうせんかいかんりょー」

大和「目標捕捉! 主砲、打ち方始め!!」


ドオォォォォォン!



矢矧「大和の砲撃に続け! 阿賀野! 能代!」

阿賀野「阿賀野の本領、発揮するからね!」

能代「軽巡の主砲だって~~ッ!」

酒匂「ぴゃああああ!?」


ドン! ドン!
        ドゴオオオン!


大和達の砲撃がレ級達目掛けてグングンと伸びていく。散布界を捉えた砲弾はレ級達を的確に仕留める。

黙々と立ち昇る硝煙。大和の主砲が直撃したならば、立っていられるはずがない。しかし……


大和「……!」


大和は戦慄する。立ち上る煙の中に揺らめく三つの影を見て、


レ級「ニッコォ……!」


46cm三連装砲の砲撃を受けて尚、戦闘能力を落とさずにいるレ級の存在を目の当たりにして。


能代「なっ……嘘でしょ!? 阿賀野姉の砲撃ならまだしも、大和さんの砲撃を受けても笑ってるなんて!」

阿賀野「能代酷いと思うんだけど!」

矢矧「聞いてはいたけど、まさかこれほどとはね……大和」

大和「怯まないで。第二射、いきます!」


奥せず大和は砲撃を続ける。しかしレ級の勢いは依然として落ちはしない。

文章訂正


大和達の砲撃がレ級達目掛けてグングンと伸びていく。散布界を捉えた砲弾はレ級達を的確に仕留める。

黙々と立ち昇る硝煙。大和の主砲が直撃したならば、立っていられるはずがない。しかし……


大和「……!」


大和は戦慄する。立ち上る煙の中に揺らめく三つの影を見て、


レ級「ニッコォ……!」


46cm三連装砲の砲撃を受けて尚、戦闘能力を落とさずにいるレ級の存在を目の当たりにして。。


能代「なっ……嘘でしょ!? 阿賀野姉の砲撃ならまだしも、大和さんの砲撃を受けても笑ってるなんて!」

阿賀野「能代酷いと思うんだけど!」

矢矧「聞いてはいたけど、まさかこれほどとはね……大和」

大和「怯まないで。第二射、いきます!」


臆せず大和は砲撃を続ける。しかしレ級の勢いは依然として落ちはしない。




レ級「ニッコォ」ヒュン


初霜「レ級、艦載機を飛ばしてきます!」

浜風「対空戦闘! いきます!」

霞「うるさいハエどもね! 落ちなさい!」

陽炎「……っ! 私達も援護するわよ! 雪風!」

雪風「はっはい!!」


レ級の艦載機は他の深海棲艦が搭載している機体よりも格段に強力な兵装が施されている。
ともなれば、迎撃するのも一苦労だ。


敵艦載機「ッ!」ババババババ

酒匂「ぴゃあ!? 痛いよー!」

矢矧「酒匂! みんな無事!?」

阿賀野「な、なんとかー……」

浜風「くっ……さすがに手強いですね。皆さん、対空射撃を強化してください」

霞「もう十分やってるったら!」

大和「このままじゃジリ貧……何とかしなくっちゃ……!」


――泊地・執務室――


「第一遊撃部隊より入電! レ級三隻と交戦中の旨!」

提督「状況は……?」

「……芳しくない模様」

提督「くっ……やはりレ級か。一隻ならまだなんとかなるものの……!」

研究員「敵も随分と成長しているようだな……」

提督「こいつは別格だ……」

研究員「私は、この程度で諦めるような提督じゃにゃいって信じてるにゃん!」

提督「……当たり前だ」

木曾『提督! 俺はいけるぜ、援護に回ればいいんだろう?』

提督「木曾、いけるか?」

木曾『ああ!』

提督「……頼んだぞ」

木曾『お前の頼みとあっちゃあ、頑張らない訳にはいかないな!!』

提督「……」

提督「木曾は重雷装艦……しかし、レ級三隻を相手にどこまでできるか……」

研究員「……ねぇ、司令官」

研究員「敵も成長するように、僕達だって成長するんだよ?」

研究員「あたしらってさ、今までずっとハードモードで戦ってきたわけじゃん?
だからさ、エクストラステージくらいはイージーモードで戦わせてよって思わない?」

提督「要領をはかりかねるな……」

研究員「……そうか。周りくどかったな。ならば単刀直入に言おう」






研究員「貴様は……"次世代型艦娘建造計画"というものを知っているか?」








若葉「……そうか」


一隻、また一隻と敵艦が駆逐されていく。


駆逐イ級「!!」ドン!

軽巡ホ級「……ッ!」バシュン


「……」スチャ



/C4I処理・指揮装置支援射撃!/

/Mk.63 砲射撃指揮装置/
/Mk 33 3インチ砲/



ドン!       バコン!

ドン!       ズガン!



駆逐イ級「!?」

軽巡ホ級「!!!」


駆逐艦程度の大きさしか無いそれに、並み居る深海棲艦はただの一撃さえも与えることができない。


若葉「若葉はこの名を守る為に、今まで戦ってきたのか」

若葉「若葉は、若葉の存在は……お前に会う為に……この邂逅の為に……あったんだな……」



若葉は彼女に語りかける。若葉の体は朽ち果て、既に沈む運命と共にある。
若葉に声をかけられた少女は手を伸ばす。彼女の役目は"護衛"することだ。
しかし若葉は救助はいらないという風に右手で制止する。若葉は自らの死期を悟っていた。
少女は困惑する。先程まで一隻で敵艦隊を圧倒していたとは思えないほどの狼狽えようだ。

若葉はフッと笑みをこぼすと、彼女に言葉をかけた。


若葉「若葉はお前に会うことができてよかったぞ」

若葉「なぜだろう……とても誇らしい気分だ。お前は……若葉達の大切なモノを受け継いでくれるような
そんな気がしてならない」

若葉「そんな悲しそうな顔をするな。若葉はとても満足している。これからはお前が……」




若葉「ああ、そうだ今日からお前が"わかば"だ」




駆逐艦・若葉から護衛艦・わかばへ。



いつか静かな海を願う彼女達の想いは、受け継がれていく。





提督「……次世代型艦娘建造計画?」


研究員「今は、ええっと『護衛艦娘建造計画』か……僕が一生懸命暗躍して
資材横流しして、資金をちょろまかして……ようやく形に出来た、計画さ」

研究員「護衛艦娘……従来の艦娘の性能を遥かに凌ぐ、次世代の艦娘。
その力は私とて計りかねるよ……」



提督「護衛、艦娘……!?」





レ級「ニヤニヤ」

レ級「にっこり」

レ級「ニマー……」


浮き砲台となって最終防衛線を張っていた榛名達の元にも、レ級が現れる。


日向「くっ……来たか……!」

伊勢「レ級……!」

榛名「榛名は……大丈夫です!」


榛名(金剛お姉さま……比叡お姉さま……霧島……!)



榛名は深く息を吸い込み、沈んでいった姉妹艦達の事を想う……。
もう最後の金剛型となってしまった榛名ではあったが、心細くはなかった。
戦艦伊勢と日向がいる。彼女達がいるから榛名は立ち向かえた。
榛名は深く吸いこんだ息を吐くと、キッと鋭い目つきでレ級を見据える。
同時に榛名の主砲は旋回を始め、レ級達へと砲口を向けた。



榛名「……来なさい! 金剛型誇り! 曇りなき金剛石の輝きをお見せしましょう!!」スチャ



ドオォォォォン!!



レ級「!!」グアァ!


日向「そらいくぞ! 撃て!」

伊勢「当たって!!」


ドォン! ドォン!


向かってくるレ級に向かって、榛名達は砲撃を開始する。


レ級「ニコニコ」ヒョイヒョイ


がしかし、砲弾は虚しくしぶきを立てて水底へと沈んでいく。



日向「くそ……! ちょこまかと……!」

伊勢「マズイ! このままじゃ……」


レ級「ニッコォ……」ヒュンヒュンヒュン


日向「ば、ばけものめ……!」


レ級達は空中に大量の艦載機を展開する。その光景は、かつて榛名達が空を睨んで戦った
呉軍港空襲を思わせるほどに、凄まじく、圧倒的であった。


榛名「そんな……!」


決して引かず、気丈に立ち向かっていた榛名も、この大編隊を前にして平然としてはいられない。


伊勢「日向! 榛名!」

日向「地獄の底まで付き合うぞ……」




榛名「くっ……おねえ、さま……!」



一縷の望み。ある訳がないのに、最後の最後で榛名は沈んでいった姉妹達に
助けを求めた。

そう、来るはずがない。彼女達はもう沈んだ。どんなに縋っても、現実は……







「きあい! いれて! いきます!」
                 「きょり! そくど! よし!」







【GMLS-3型A シースパロー】シャッ
        【ファランクス(CIWS)】シャッ
                【FCS-2-12[81式射撃指揮装置2型]】シャッ





榛名「……え」


……それは、本来あるはずのない出会いだった。


榛名「なん、で……どうして……」


彼女達は既に沈んだはずだった。


「ひえい! むだうちしすぎよ!」

「うるさいなぁー、あたったからいいじゃないですか!」


榛名「やっぱり……この声は……!」


だけどそこにいるのは、

艤装を背負い、水面を滑っているのは確かに……



榛名「比叡、お姉さま……霧島!!」


比叡と霧島の二隻だった。


レ級「!?!?!?!?」


ひえい「シースパローはっしゃはじめ! あたってぇ!」


空を駆け抜け、一度獲物を捕捉すれば……決して外すことはない。空の追跡者が艦載機を墜とす。


きりしま「たいくうせんとう! 0-7-0のもくひょう! シーウス、こうげきはじめ!」


ズゴン! ドゴン!



次々と撃ち落とされていくレ級の艦載機。

あの絶望的なまでの戦力差を見せつけたレ級の艦載機を、いとも簡単に葬っていく。


伊勢「あれは……まさか……!」

日向「まちがいない……彼女達は……!」


ひえい「みなさん! ごぶじでしたか! わたし、"ヘリコプター搭載護衛艦・ひえい"です! 
けいけんをつんで、すこしでもみなさんにちかづきたいです!」

きりしま「イージスシステムだいじょうぶ? チェック……ワンツー……よし!
はじめまして、"ミサイル護衛艦・きりしま"です! はい! イージスです!」


榛名「護衛艦……?」


榛名は困惑する。彼女達は確かに"ひえい"と"きりしま"なのに、榛名の知る"比叡"と"霧島"とは
どこか様子が違った。いや、それどころか……二人は榛名と同じ格好をしているものの、艤装も……
そして、背丈も大分変わっていた。まるで駆逐艦のような大きさだった。


ひえい「あっ! あなたははるなおねえさまですね!」

榛名「はるな、おねえさま!? お姉さまは比叡お姉様の方じゃ……」


「榛名さん」


榛名が戸惑い混乱していると、ひえいの艤装から一人の妖精が現れた。


榛名「あなたは……?」

「現在、護衛艦・ひえいの艦長を務め……そして、かつて戦艦比叡の乗組員だった者です」

榛名「!!」


榛名はその言葉で悟ってしまう。目の前の彼女達と、自分の知る姉妹艦とは別の存在なのだと。


「彼女達は、"護衛艦娘"。次世代型艦娘建造計画で生まれた、新時代の艦娘です」

榛名「そう、なのですね……」


何を期待していたんだ。そんなことがあるワケがない。沈んでいった彼女達が生き返るわけがない。
榛名は落胆する自身の心の内を見せまいと必死にそれを隠す。表情に出さないように頑張る。
だけどそんなものは艦長である妖精にはお見通しだったようで、榛名の心中を察した妖精は
榛名にこんな言葉をかけた。


「榛名さん。確かに彼女は、かつての戦艦比叡ではありません。ですが……彼女はしっかりと、比叡の名と
その魂を受け継いでいるのです……」

榛名「え……?」



「彼女にかつての記憶はありません。ですが、彼女の魂は紛れも無く"戦艦比叡"のもの。
彼女はそう……比叡の生まれ変わりなのです」

ひえい「そうですよー! すがたかたちはたしょう……かわってしまいましたけれど、そのいしはしっかりと!
うけつがせていただきました!」

ひえい「この護衛艦ひえいにまっかせて! あんなやつら、すぐにげきたいしてごらんにいれますから!」


拳をぐっと握って豪語する護衛艦ひえい。

その姿に、榛名は、


榛名「あ……あぁ……やっぱりあなたは」


戦艦比叡の面影を見た。


榛名「比叡、お姉さま……なのですね」

ひえい「はるなおねえさま!?」


決壊する涙腺。崩れ落ちる榛名。

姿形は変わってしまったけれど、確かにそこに、比叡の魂が在る。

その魂に触れればわかる。姉妹艦の榛名だからわかる。


榛名「おかえりなさい……おかえりなさい! 比叡おねえさま!!」

ひえい「わわ!? だきしめられた!?」


ぎゅっと抱きしめるその腕の中に、比叡の魂を感じる。

長い長い悲しみを越えて、ようやく榛名の顔に……


榛名「お姉さま! 今はお姉さまじゃないけど、お姉さま!」


笑顔が、戻ったのだ。



きりしま「ちょっと! ボーっと見てないで! いくらイージス艦とはいえ、このかずをさばくのは
ほんのちょっぴりほねがおれるわ! ほんっとーに、ちょびっとだけですけどね!」

日向「わかったわかった。とはいえ、私達では、君達の足手まといにしかならないと思うが」

ひえい「そんなことありません! せんかんのしゅほーはおっきくてつよいって、ほんでよみました!」

伊勢「あら、あなたわかってるじゃない!」

日向「じゃ、じゃあ瑞雲とか! 瑞雲とかどうだ!」

きりしま「いいからてつだってください」

榛名「……! 皆さん! 気をつけてください!」


ドオォォォォン!


伊勢「うわ! 砲撃!?」


レ級「ッ!」

レ級「……ニィ……ッ!」

レ級「ニッコォ……!!」


日向「……そうか、あいつらのこと忘れてた」

榛名「レ級……!」

ひえい「はるなおねえさま、あいつ……つよいんですか?」

榛名「はい、とっても……」


きりしま「あら、ではここは、イージスのでばんですね!」



ひえい「イージスイージスって、なにがそんなにすごいの?」

きりしま「ふ……イージスシステムのすごさをしらないようですね。そんなにみたいんですか?
わたしのちからが……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


きりしまの口元が不気味に歪む。直後、きりしまの艤装に備え付けられたキャニスターが動き、
微細動を始める。


きりしま「ハープーンはっしゃはじめ! えんりょはいらないわ、ぜんもんせいしゃ!!」


そして放たれる対艦ミサイル"ハープーン"。


レ級「!!!」


レーダーの誘導によるホーミング機能は確実にレ級を捉え、追尾していく。


レ級「っっ!!」


危機を察知したレ級は速力全開でハープーンの追跡を振り切ろうとする……が、


レ級「っっっ……っ! っ~~!」


どれだけどれだけ逃げ続けても、それは裁きを執行するかのように寡黙に着実に追いかけてくる。


深海棲艦レ級。彼女は今までどれだけ多くの絶望を振りまいてきたことだろう。

しかし今、彼女達は初めて絶望する側となった。


レ級「!!!!」


追い詰められたレ級は、あっけなく海の狩人の餌食となるのだ。


ゴオォォォォォン……



きりしま「どうです! これがイージスのチカラよ!」

伊勢「うわ……酷……」

日向「敵ながら哀れだが、同情しようとは思わないな」

ひえい「ひえー……」

榛名「少しやり過ぎな気も……」

きりしま「なぜひかれてるのかしら!?」




木曾「重雷装艦の雷撃、受けてみろ!!」バシュウウウウン


木曾が誇る重雷装の雷撃は扇状に広がりレ級を迎え討つ。


大和「!! 当たる!」


ズゴオォォォォォォォォン!!


直撃を告げる爆音に、木曾は満足気な表情を浮かべる。
大和も、雪風も、ここにいた艦娘の誰もがその雷撃の凄まじさを間近で見て、
レ級の撃沈を疑わなかった。だが……


レ級「……ニッコリ」

木曾「馬鹿な……!」


レ級は事もなさげに笑っていた。
全力だった。持てる雷装を全て出し尽くした木曾の渾身の一撃だった。
にも関わらず……レ級は一隻として沈まずにいる。


木曾「くそ……この俺の重雷装が効かないなんて……!」


木曾は苦虫を噛んだような表情を浮かべる。彼女の重雷装が通用しなかったのは
これが初めてだったのだ。


レ級「ニッコォ!」


迫り来るレ級。木曾にはもう迎え討つ術はない。


雪風「木曾さん!!」

木曾「……重雷装艦がこのザマたぁ、情けねぇな……」

木曾「へっ、いいぜ……来いよ」


木曾は軍刀の先を水面に立てる。勝機がなくとも関係ない。
木曾はどこまでも気高くあった。




レ級「……?」

木曾「ん? なんだ……」


もう打つ手が無い木曾を前にしておきながら、
レ級達は突如として前進を止める。


レ級「……!」


レ級はその瞳に捉える。二隻の艦娘の姿を。
そしてレ級達は次に思い知らされることになる……

鎮守府最強とは、どういうものなのかを。






「二十射線のスーパーキャビテーション魚雷、二回いきますよー」
      「スーパーキャビテーション魚雷って、すごく早くって……素敵」





バッッッッッシュウウウウウウン!!!!


ガッ……!


レ級「……ッ!」


ゴオォォォォン!!


寸秒の間に、レ級が一隻水柱の中に消える。


木曾「な、何だ……!?」


何が起きたのかわからなかった。突然レ級の足元で水柱が発生し、レ級を沈めたのだ。


レ級「!? ……っ!?」


レ級達に動揺が走る。それはあまりに唐突であった為、どうやって
撃沈されたかさえもわからない。




「……何が起きたかわからないって? まぁ……そうね」


木曾「お前……北上!」

北上「あー、木曾じゃん。おひさー」


緊迫した戦場に気の抜けた声が響く。重雷装艦 北上、木曾の姉妹艦で
先に雷巡へと改装を施されていた艦娘だ。


木曾「さっきのは……お前がやったのか? そもそも"ソレ"はなんだ」

北上「ん? これ? スーパーキャビテーション魚雷だよ~。そしてあたしは
次世代化改修を受けスーパーキャビテーション魚雷を全四十門搭載した、キャビテーション北上様だよー?」

大井「木曾、あなたまだ酸素魚雷なんて使ってるの?」

木曾「大井……お前もか」

北上「木曾ってば、遅れてるなー。今の時代キャビってなんぼでしょー」

大井「キャビティーは重雷装乙女の嗜みですよね、北上さん!」


スーパーキャビテーション魚雷。少なくとも木曾の知る二人は
そんなものを装備してはいなかった。逆を言えば、
これを装備しているからこそレ級をあそこまで一方的に沈めることができたのだろう。


木曾「……全く、お前らときたらいつも美味しい所を持って行きやがる」

北上「MVP持っていき過ぎてたまに怒られるしねー」

大井「北上さんを怒るやつとか死ねばいいのに……」

北上「まー……それはおいといて」



レ級「!!」


北上と目が合うレ級。北上のその表情から彼女自身の心理状態を伺い知ることはできない。
しかしレ級は、その時確かに身の毛もよだつ程の畏怖を覚えた。


北上「今まであたしらの仲間が世話になったみたいで」

大井「せっかくですから、お礼させてくださいな」



大井「……この! 全四十門のスーパーキャビテーション魚雷でね!!」
北上「あー、もうやっちゃいましょー!」


バッッッッシュウウウウウン!


それは摩擦を忘れ、音速へと到達する。


レ級「!?」


レ級が察知した頃にはもう、魚雷は目と鼻の先に到達している。

主砲を構える間もなく、何か抵抗する余地さえも与えられず。


バコン!
        ドゴン!


レ級「……、……」


北上大井らが放った魚雷は一瞬で目標へと到達し、レ級を食らう。
反撃の隙も許さない、ハイパーコンビの独壇場だった。


大井「これがレ級っていうの? なんだ、大したことないわね」

北上「大井っちと組めば、最強だよねっ」


大和「……大和、ちょびっと凹んじゃいます」ズーン

大和「あんなにあっさりやっつけられちゃうと……連合艦隊旗艦の立場が……」

木曾「気にすんなよ。あいつらが異常なんだ」

大和「うぅ……」

霞「もう! 大和ったら、いつまでウジウジしてるのよ! だらしがないったら!」

初霜「これから頑張ればいいのよ……ね?」

浜風「だ、打撃力だけが全てではありません……大和さんにはその鉄壁の装甲があるじゃないですか!」

大和「そ、そう……?」

能代「駆逐艦に慰められる超弩級戦艦って……大和さん……」

矢矧「……私達も負けていられないわね」

阿賀野「阿賀野、頑張っちゃうからね」

酒匂「ぴゃあ! あたしもまぜてよ~」

大和「ふ……戦艦大和の真の実力、いいですか、真の実力をお見せいたしましょう!」キリッ

北上「さぁ~て、もうひと踏ん張りしましょうかねー」

大井「北上さんっ」

木曾「お前達ばかりに、手柄は取らせないぜ!」

初霜「武勲艦の名は伊達じゃありません! 見てなさい!」

浜風「この部隊で勝利を刻む日が来ることを、どんなに待ち続けたか……!」

霞「負ける気がしないったら!」



時雨「……僕は未だに、この状況を信じられずにいる」

陽炎「私もよ。本当に、夢でも見てるみたい……」

雪風「……夢じゃないです」

雪風「夢なんかじゃないです!」

雪風「こうでなくちゃ、やっぱりこうでなくっちゃいけなかった……!」

雪風「夢なんかじゃないです! 奇跡なんかじゃないです!
……皆さんが、一生懸命戦ってきたからこそ、この瞬間を迎えられたんです!」

雪風「雪風は見てきました。今まで辛い現実をを沢山沢山見てきました。
決して目を背けずに、見届けてきました」



雪風「……ですが雪風は、最後までバットエンドまっしぐらな物語なんて見たくありません!」



陽炎「……そうよね、最後はやっぱり、ハッピーエンドじゃなくっちゃね!」


雪風「行きましょう! 陽炎お姉ちゃん! 時雨さん!」


陽炎「ええ!」

時雨「行こう!」





――泊地・執務室――


研究員「ほら、聞こえるだろう、勝利へと邁進する、彼女達の砲撃の音が」

提督「……護衛艦娘。あのレ級をここまで圧倒するとは」

研究員「当然っしょ、当然。その為に、あたしは今まで生きてきたんだ……」

研究員「私の命は、沈んでいったみんなの想いの延長線上にあった。これでようやく、
私の存在の意義を成し遂げることができる……!」


提督「……君を一目見てから、ずっと引っ掛かっていた」


提督「君と私は……以前、会ったことがあるような気がしていた」

研究員「他人の空似ぴょん?」

提督「いや、違う……今、疑念は確信へと変わりつつある……」


提督「君は、艦娘だね?」


研究員「!!」

研究員「……な、何を言ってるぴょーん? 私の名前は花見月子……」

研究員「面影が残っていた。忘れはしない……
かつて駆逐隊を指揮していた時に見た……睦月型の……」


研究員「やめて!!」


研究員は今までのつかみ所のない態度から一変して、拒むように声を張り上げる。



研究員「確かに、私は艦娘……かも、しれません。睦月型かも、しれません……」

研究員「でも、それ以上……それ以上言ったら、私という存在が確定してしまう……!」

研究員「だから、やめて……!」


研究員は耳をふさいでうずくまる。目の前の事実を拒絶するように。


提督「君は……」



――弥生。



研究員「!!」



彼女は顔を上げる。そこは先程までの執務室ではなく、真っ暗でがらんどうな空間だった。


「弥生」


またしても誰かがその名を呼ぶ。



研究員「やめて、ください……やめて!」


彼女は、皆の、睦月型駆逐艦姉妹の死を、受け入れることができなかった。
そして何より、唯一生き残ってしまったのが自分であるということが許せなかった。

だから彼女は睦月であり、如月であり、弥生であり、卯月であり、皐月であり、
文月であり、長月であり、菊月であり、三日月であり、望月だった。

生き残った睦月型駆逐艦の誰か。そんな曖昧な存在な存在でいれば、姉妹艦の死を誤魔化せた。
だって彼女は睦月であり、如月であり……睦月型駆逐艦の誰にでも成り得た。
そうすることで、彼女は姉妹艦の死から目を背けた。

だけどその魔法は、提督によって解かれたのだ。
彼は彼女のことを覚えていた。どんなに外見を変えても、どんなに口調で欺こうとも、
提督の目はごまかせなかったのだ。

魔法の解けた彼女は、都合の良い存在ではいられない。
その存在は、忽ちかつての器へと押し込められていく。





「弥生」「弥生」



研究員「やめて……私が、私に戻ったら……皆の死を、認めることに、なります……!」



「いいんだよ、もう」



研究員「!!」


暗闇の中から、ある艦娘達の姿が浮かび上がる。


皐月「弥生は今まで本当に頑張ったもんね」

文月「弥生ちゃん、もうムリしなくていいよぉ~……」


皐月、文月。


望月「無駄に肩肘張って生きてもさ、しんどいだけだって」

三日月「私達は弥生姉さんの想い、十分に受け取りましたから」


望月、三日月。


卯月「うーちゃん達のまねっこしても……虚しいだけぴょん。本当の弥生に戻るぴょん」

長月「私達がいつまでもお前の生にぶら下がっている訳にもいかないだろう」

菊月「お前はお前の道を生きろ……」


卯月、長月、菊月。


睦月「生かされるのではなく、自分の力で生きていて欲しいのです」

如月「あなたの生を押し付けられても私、困っちゃう」


睦月、如月。


研究員「みんな……!」




沈んでいった姉妹艦達の姿を見て、彼女は涙をその目に溜め込む。


如月「みんな、あなたが生きることを望んでるのよ。私達の死を誤魔化すことなんて、誰も望んでないんだから」

皐月「あと少しなんだ! 立って! 戦って! 運命に打ち勝って! そして……」


如月「あなた自身の生を、つかみ捕りなさい」


睦月「弥生!」
卯月「弥生!」
皐月「弥生!」
文月「弥生!」
長月「弥生!」
菊月「弥生!」
三日月「弥生!」
望月「弥生!」


如月「……弥生」


研究員「私は……私は……!」



ずっと目を背けていたかった。
曖昧であれば誰の死も迎えることはないのだから。


研究員「でも、それは……間違っていたの、ですね」


研究員「私は……まず皆の死と向き合わなくちゃいけませんでした。でも私は、それから逃げた。
逃げて逃げて……随分遠回りをしてしまいました」



研究員「だけど私はもう、逃げません……から」



睦月「うん! それでいいのです! にゃは!」

卯月「それでこそ弥生、ぴょん!」

如月「――弥生」



如月「運命に、打ち勝って。滅びの因果なんて、やっつけちゃって!」





研究員「……ん」

提督「――大丈夫か?」


意識が回帰する。そこは先程まで彼女がいた執務室……。


研究員「……ええ、もう大丈夫、です」

提督「すまない。君の触れられたくない事に触れてしまったようだね……」

研究員「いえ……もう、いいんです」

提督「……!」


少女は白衣を脱ぎ捨て、メガネを取る。

そこには、だた一人生き残った唯一の睦月型駆逐艦……。


弥生「私は私として……戦う! でなくちゃ、沈んでいった皆に
顔向け出来ません……から!」



弥生「睦月型駆逐艦三番艦……弥生、出撃です!」



駆逐艦・弥生は飛び出していく。

文月のお守りを如月のりボンで結びつけ、

皆が戦う戦場へと飛び出していく。

旧式駆逐艦の力などたかが知れている.。

それでも、彼女は戦場へと赴く。

なぜなら弥生は知っている。

たとえ小さな力でも、目的に向かう絶え間ぬ"意志"さえあれば、

それはやがて"大岩"となって転がり始め、大きな力を生み出すのだから。




陸奥「あらあら、敵艦隊が崩れ始めたみたいね」

大鳳「このまま一気に、決めます!!」

潮「お仲間を、傷つけさせはしません!」

曙「守ってみせる!!」

利根「着弾観測は吾輩に任せろ!」

天龍「おらおらー! 天龍様のお通りだぁ!」

暁「暁だって活躍するんだから!」

Верный「第六駆逐隊、出るよ」

雷「はーい! 雷、もっと頑張るからね!」

電「電の本気を見るのです!」

木曾「重雷装艦の力、こんなものではないぜ!」

北上「ギッタギタにしてあげましょうかね!」

大井「私はどこまでも北上さんについて行くだけの愛の求道者……」

千歳「ケリを付けましょうか!」

千代田「千歳お姉!」


三隈「くまりんこの主砲は甘くなくってよ?」

天津風「風はこちらに向いている!」

島風「島風に追いつける?」

霞「くぐり抜けてきた修羅場の数が違うのよ」

浜風「終わりです! もう諦めなさい!」

初霜「皆さんと一緒なら! 戦えるわ!」

陽炎「そうよ! こんなにも沢山の心強い仲間がいる!」

時雨「もう遅い。今度は君達が詰む番だ」

雪風「雪風は、雪風はこの光景をずっと夢に見てました!!」

阿賀野「さぁ、阿賀野型の力、存分に発揮しちゃうよ~!」

能代「今度はちゃんと活躍してみせますよ!」

酒匂「今度はちゃんと戦うよ!」

矢矧「恐れる必要など無いわ! そうでしょう? 大和!」

大和「この大和がいる限り……皆の心が折れることはありません!!」

翔鶴「赤城先輩……加賀先輩…………瑞鶴。
……今まで沈んでいった皆の為にも……負けません!!」

長門「さぁいよいよにして追い詰めたな……覚悟を決めてもらおう」





長門「艦隊、この長門に続け!!!!」








レ級フラグシップ「……ニヤリ」



「――何を狙っているんですか?」


レ級FS「!?」

弥生「……大方おびき寄せた所を潜水部隊で一網打尽にする腹づもり
だったのでしょうけど……甘い、ですね」

弥生「あなた方の潜水部隊は、"梨"が……」

弥生「……? 何、違う? ……わかりました、わかりましたから」

弥生「あなた方の潜水部隊は"わかば"が一隻で壊滅させてくれました」

レ級FS「……ッ!」スチャ

弥生「わかばッ!!」


ドン!    ズゴン!


レ級FS「ッッ……!!」


深海棲艦の旗艦、レ級フラグシップは主砲を撃とうとするが、護衛艦・わかばの的確な砲撃に
砲身を破壊されてしまう。




「……素晴らしい!」


「素晴らしい! 素晴らしい! 素晴らしい!」


その時、どこからとも無く歓喜と称賛の声が聞こえてくる。何者かと弥生があたりを見渡すと、
そこには猫を掴んでぶら下げているおかしな妖精の姿があった。




弥生「……あなたは?」

エラー娘「私の名前はエラー娘。でもそんなことはどうでもいい。私は感動しています
あなたのような改二ですらない艦娘が、まさか因果を……運命を覆すとは!!!」

弥生「……そうじゃ、ありません」

エラー娘「……?」

弥生「私一人じゃない、皆で超えたんです。因果を、その運命を」

弥生「今まで戦ってきた全ての艦娘の戦いが、沈んでいった全ての命が、護衛艦娘という希望を繋げた。
無駄な戦いなんて一つもなかった……全ての命に……意味があった」



弥生「個ではなく、全として!! 艦娘という存在そのものが、あなたの言う運命に打ち勝ったのです!」



「そうだ!!」


ドッゴオオオオオオオン!


レ級FS「ッ!」


大口径の主砲から打ち出される圧倒的な破壊力を伴った砲弾がレ級フラグシップを襲う。
戦艦長門の砲撃だ。


長門「……負の因果は没し、新たな因果が昇り始めた……明けない夜などありはしないのだ!」





長門「幕を引け、喜劇は終わった! 認めるがいい、"因果は終末を迎えた"」







レ級FS「……~~っ!!」


それでも諦めが悪いレ級は尚も攻撃を試みる。


長門「北上! 大井!」

北上「はいはい、わかってますよー」

大井「フラグシップになったところで、スーパーキャビテーション魚雷はよけきれないわよ?」


バシュウウウウン!!  バコン!!


レ級FS「ッッッ!!」


魚雷がレ級を捉える。その威力は凄まじく、レ級も大破を免れない。


長門「よし! 止めだ!!」

曙「任せたわよ!! 潮! 響!」






潮「これで……最後です!!」

Верный「……прощай(……さよなら)」






ドンッ……!




鳴り響く砲撃音。それは長く長い戦いに終わりを告げるものだった。




エラー娘「……お見事。あなた達は運命の超越者となった」

エラー娘「ですが、忘れないでください。あなた達がいる限り、いずれまた……」


すうっと、エラー娘の姿が透けていく。ものの数秒もかからないうちに、彼女の姿は消失した。


長門「なんだったんだ、あいつは」

大鳳「……ただの、エラーですよ」

大和「終わった……のでしょうか?」

矢矧「ええ……!」

翔鶴「……瑞鶴、あなたの希望……しっかりと、守り切ったわ」

翔鶴(あなたの希望が……私を生かしてくれた。今はゆっくりと、休んでね……瑞鶴)


翔鶴「……さてと、では……皆さん」





翔鶴「帰りましょう。私達の母港へ」







伊勢「おやおや、何か沢山帰ってきたけど……何事?」

日向「大方我々以外の所にも、援軍が来ていたのだろう。そしてあの様子からして……片はついたようだな」

榛名「ええ、そうですね……本当に長くて辛い戦いでした」






榛名「……全て終わりましたよ、金剛お姉さま」





     , -――---、

    /       丶
   ∥/レ∟||∥|| il  :|
    | l ┃  ┃.i j |  一旦切る。少しでち公を休ませてあげて。
    i 〈 ".  o  "| .l  |   次はエピローグ。
    | `ゥr、-.rッイ| |/ l
   ∥ / i`父イ i j | _

  >< ̄ 'J ̄ ̄i.ノ ̄ ̄)∋)


今日中に完結させます(二回目)

なんというか言っちゃあ悪いが現代艦出てきた時点で雰囲気が変わって興醒めした…
このSSは史実を艦これで再現みたいな感じがよかったのに、選択肢で結果が変わるにしても
せいぜい生き残る艦娘が一人増えるとか、それだと超絶鬱EDだが
雰囲気が変わってここまで興醒めするぐらいならそっちの方がよかった気がする…

>>170
公式漫画のいつか静かな海でが毎回護衛艦をオチに持ってくるから
このSSでも護衛艦をオチに持っていきたかったんでちよ……
後選択肢関係なくこの展開は固定だったでち……


エピローグ投下するのんなー


【エピローグ】


……まず何から話せば良いのだろうか?


我々泊地艦隊は大和率いる援軍により、九死に一生を得た。
艦隊を立て直した我々は一転、攻勢に出る。面白いくらいの快進撃だった。
ほどなくして……我々は南方海域のシーレーンを確保することができた。
ここまで来るのに、本当に長かった……。
それを可能にしたのは……護衛艦娘だ。やはり彼女達の力によるところが大きい。

護衛艦娘試作一番艦・わかばはたった一隻で決号作戦寸前まで追い詰められていた
本土周辺海域の戦況を覆した。それのお陰で鎮守府は艦隊を立て直すことができ、
また新たな護衛艦娘投入への猶予ができた。その後、徐々に巻き返していった連合艦隊は
ついに本土周辺の深海棲艦を尽く殲滅することに成功した。

だからあの時、大和や長門が泊地の救援に来ることができたのだ。
本土の周辺にはもう、深海棲艦がいないのだから。
尤も、あの救援は鎮守府の意向など完全に無視していたようだが。

かくして、南方海域の制圧を終えた我が艦隊は、鎮守府へと凱旋した。

ここからがまた波乱の連続だった。
帰還した私を待ち受けていたのは、私の恩師とも言える元帥の死だ。
彼は元帥の称号を剥奪され、軟禁された挙句……最後は首を吊って亡くなったそうだ。
そして……彼をそんな状況に追い詰めたのは上層部の面々だ。
私は秘密裏に不正の証拠を集めていた弥生と共に、彼らの拘束へと乗り出す。



――鎮守府・司令室――


バタン!


長門「失礼するぞ!!」

無能提督「な、何だ!?」

幹部「貴様、許可もなく入ってくるとは無礼なやつ!」

無能提督「……君達、一体何をしにきたんだい? 僕達は忙しいんだけど?」

大和「権力の悪用による不正行為の摘発、及びそれに関連して軍法会議への出頭の用を求む為
……戦艦大和、本日は皆さんの拘束に参りました」

幹部「なっ……何を馬鹿なことを言っている!」

提督「……馬鹿なことなんかじゃあ、ありませんなぁ」

幹部「君は……!」

提督「裏は全部とれている。大人しくご同行願いたい」

無能提督「だ、誰が素直に応じるもんか!」

矢矧「気をつけたほうが良いわよ? 暴れたりなんかしたら……」

長門「……」スチャ

大和「……」ガコン

矢矧「腕の一本や二本じゃ……済まないかもしれないわよ?」

幹部「ひっ……!」

無能提督「た、たいほーちゃん……君なら、僕を助けてくれるよね! ねぇ!」

大鳳「……提督」


大鳳「お話は、然るべき裁きの場で聞きましょう」


無能提督「……た、大鳳ちゃん……そんなぁ……」




こうして鎮守府を支配していた上層部は駆逐され、鎮守府は新たな体制の下生まれ変わった。

そこで一つ問題が発生した訳なんだが……。


提督「私が、鎮守府の提督……!?」

長門「お前以外に適任はいないだろう」

大和「元帥さんの見込んだ人なら、大和も安心です」

提督「しかし……いいのか? 本当に」

伊勢「くどすぎますよ、提督」

日向「皆の気持ちは同じだ。腹を決めるんだな」

榛名「……提督なら、榛名は大丈夫だと思います!」

提督「ど、どうしよう雷ちゃん……」

雷「大丈夫よ司令官! 私がついてるじゃない! 鎮守府でもなんでも、雷にまかせて!」

長門「やっぱり雷ちゃんは大天使だな……」

提督「そうだな……」

日向「救えないロリコン共だ」


……こうして私は、鎮守府の提督としてその任を任されることになった。
まぁ、やることになった以上は全力を尽くすつもりだ。



艦娘達のその後についても話しておこう。
まずは旧式化した艦娘達についてだ。とはいえ、護衛艦娘の登場により
既存の艦娘はその殆どが旧式化してしまった訳だが。

最初に戦艦だ。戦艦大和・長門・陸奥は退役艦となった。
なんでも大和はホテル経営を始めたとか。
大和いわく、


大和「時代は移ろい、大和の役目は終わりました。
艦隊にはもう、新しい盾[イージス]がありますから」

大和「ならば大和、戦時中のノウハウを活かして、少しチャレンジしてみます」


とのことだ。戦時中になぜホテル経営のノウハウが身につくのかはわからん。

長門と陸奥はなんとラムネ売りへと転身した。
あの御国の誇りとまで言われた二人が、ラムネ売りにその身を落とすとは……
世の中何があるのか、わからんものだ。


長門「これから全国を回り、駆逐艦好きの同志にこの至高の駆逐艦ラムネを
振る舞ってやるつもりだ」

陸奥「今に始まったことじゃないし、私は長門について行くわ……」

提督「それじゃあ、私もひとつ頂こうか?」

長門「何味がいい?」

提督「NENOHI味」

長門「……ふっ、通だな、貴様」

陸奥(これがビックセブンと、国の平和を背負う男のする会話か……)遠い目


私は知っている。彼女達はまだ戦いたいと、本心では思っていることを。
だが彼女達は身を引いた。彼女達にかかる資材と費用は計り知れず、また護衛艦娘の登場により、
彼女達は戦力的にも絶対的な存在ではなくなってしまった。その事を踏まえて彼女達は自ら戦線を退いたのだ。
そういった事情を知っていた私は一度は彼女達を引き留めようとした。
だが、彼女達の目は語っていた「無駄な慈悲をかけて私達を惨めにしないでくれ」と。
引き際だったのだろう。私は少しやるせない思いに浸りながらも、彼女達を送り出した。


戦艦伊勢、日向、榛名は未だに前線で戦ってもらっている。窮地は脱したとはいえ、
まだ深海棲艦の危機が去った訳ではない。今は護衛艦娘達の教育や、装甲の薄い護衛艦娘達が
接近戦に持ち込まれた場合の用心棒として活躍してもらっている。

とはいえ、戦闘の殆どは接近戦に持ち込まれることがなく、撃ち漏らしても大抵第一目標として定めている
戦艦や空母はやってこないので、戦艦達の仕事は駆逐艦などを沈める仕事が主になっている。


日向「ロクマルか……おい提督、私にもあれ……積めないか?」

提督「無茶を仰る」

伊勢「日向ってば瑞雲はどうしたのさ~」

日向「たまには瑞雲以外もいいんじゃないかと思ってな」

伊勢「どういう心境の変化よ」

日向「まぁ私も、年を取ったという訳か」

提督「おっ、そろそろ老朽艦娘かな」

日向「撃つぞ、そら!」


続いて空母だが、空母は先の海戦で大部分の艦を失ってしまった。
従って護衛艦娘に十分な戦力が整うまで、全員一線で動いてもらっている。


大鳳「……あの、提督」

提督「ん? どうしたのかね大鳳君」

大鳳「この、いずもって子なんですけど……」

提督「ああ、護衛艦の……?」

大鳳「えっと、空母じゃないんですか?」

提督「いやあの、空母って言うとあの子怒るんだよねぇ……」

大鳳「はぁ……」


軽空母勢は新型の機体が扱えない者もいるし、航空戦力の充実化が急がれる。


巡洋艦・駆逐艦は退役する者が殆どだったが、中には北上・大井のように
次世代化改修(護衛艦娘には及ばないまでも、それに迫る性能に改修することができる)
で前線に残る者もいた。


雷「次世代化改修を受けて、もーっと司令官に頼られるようになった雷様よ!」

電「電です。次世代化改修でもっとたくさんの人をお救いできるようになったのです」

むらくも「次世代化改修? 旧式の駆逐艦がでしゃばってこないでくれないかしら?」

みちしお「前線は私達護衛艦にまかせて、おばさん達はさっさと退役したら?」

雷「おば……むらくもってばひっどーい! ねえ司令官! この子たち生意気よ!」

あさしお「護衛艦あさしおです! 護衛艦としてはかなりいい仕上がりです!」

提督「あぁ~^^」

雷「司令官!?」


電「……こうしてまた皆と会えるなんて、電は嬉しいのです」


護衛艦娘の中には、かつて沈んでいった艦娘の魂を持った者もいる。
姿形は多少変われど、その本質は同じだ。

護衛艦娘は様々なものを受け継いでくれた。かつて戦った艦娘達の意志は、
確実に護衛艦娘達の中に生きていることだろう。

艦娘達についてはこんなところだろうか。




色々二転三転と様々なことが起きたが……今現在、我が鎮守府は何とかうまくやっている。
深海棲艦も以前のような脅威ではなくなり、各国の海上交通路も安全性を取り戻した。
以前のような絶望的な状況が訪れることはないだろう。

鎮守府も軌道に乗り、うまく回り始めている。それに比例して、海は随分と平和を取り戻したように思える。



そして今日は――。



翔鶴「提督。皆さん待ってますよ」

提督「そうか……そろそろ行こうか」

翔鶴「はいっ」





――鎮守府・特設ステージ――



那珂「みんなー! 艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」


せんだい「いえー!」

じんつう「なかちゃんかわいー!」

陽炎「……す、すごい人ね」

雪風「那珂さんは今や艦娘という枠を超え、アイドルとして人々に親しまれている
有名人ですから!」

時雨「……やぁ二人共、久しぶり」

陽炎「あら時雨じゃない」

雪風「時雨さん! 来てたんですね! 雪風、お会いできて嬉しいです!」

時雨「今日は全艦娘出席の素敵なパーティだからね。来るさ」

電「あ! みなさん! 来てくださったのですね!」

雷「もー! おっそいじゃない!」

響「仕方ないさ。もう退役して遠くへ行った艦娘もいるんだ」

暁「そうよ! 暁だってここまで来るのにすっごーく面倒だったんだから!」

陽炎「うお、現役艦娘……なんだか輝いて見えるわ」

時雨「君も現役復帰するかい?」

陽炎「今更復帰してどうすんのよ」

時雨「新人護衛艦の教育とかで、結構人手足りてなかったりするんだ」


むらさめ「あー! しぐれせんぱいこんなところにいたじゃないですかー!」

ゆうだち「せんぱーい!」

陽炎「あら、あの子たちは……」

時雨「今僕が受け持ってる護衛艦娘達さ」

雪風「あの、時雨さん……あれって……」

時雨「……ゆうだちのことかい?」

雪風「雪風は聞いたことがあります。護衛艦娘の中には、かつての艦艇の魂を受け継いだ
者もいるって」

雪風「ゆうだちさんは……」

時雨「彼女は多分、夕立じゃあないよ」

雪風「……」

時雨「姉妹艦だからわかるんだ。むらさめから感じるようなかつての面影が、ゆうだちにはない」

時雨「夕立の魂を持った護衛艦娘とは、未だに会えてないんだ」

陽炎「そう、なの……」

雪風「時雨、さん……」

時雨「でもいつか――」


時雨「いつか夕立と会えるって、僕は信じている。それまで僕は、待ち続けるさ」




提督「おー、みんな集まってるじゃあないか」

北上「遅いじゃん提督ー」

大井「時間にルーズな男は嫌われますよ、提督」

木曾「親しき中にもなんとやらってやつだ」

天龍「ちゃっちゃとしろよな、ちゃっちゃと」

提督「すまんすまん」

鳳翔「おや、鎮守府をまとめあげる立場になられたというのに……相変わらずなのですね」

伊勢「提督はいっつもこんな感じよ? ねー日向」

日向「偉くなっても根は変わらん。まぁ、それが良いところでもあるが……な」

翔鶴「……鳳翔さん、お久しぶりです」

鳳翔「ご無沙汰しています。確か、ここにいる皆さんは皆現役で頑張っている方達でしたね
ご苦労さまです」

北上「まー、天龍は裏方だけどね」

天龍「教育係と呼べ!」

木曾「こいつ昔っから駆逐艦の面倒見だけは良かったからなー」

提督「適材適所。それを考えるのが提督の仕事です」

隼鷹「とーかぁいって護衛艦娘のケツばっか追っかけてるだけ何らろ?
あたしゃ知ってるぜー」


提督「隼鷹……!? うっ、臭! 酒臭! こいつ既に酔ってるぞ!」

隼鷹「パーティ何らから飲まなきゃ損ってもんよぉー!」

飛鷹「ちょっと隼鷹! みっともないからやめなさい!」

千歳「そうですよ……こういう場なんですから」

飛鷹「千歳……」

千歳「もっと飲まないと! ね!」グイ

飛鷹「わぷ!?」

千歳「ほら飲めぇ、もっと飲めぇ」

飛鷹「ゴク……ゴク……ゴク……ゴク……ぷはっ」

飛鷹「…………」

飛鷹「ひゃっはー!」

隼鷹「ヒャッハー!」

天龍「ヒャッハーが二人に増えた!?」

飛鷹「おらおらー! お前ら飲んでッかー?」

隼鷹「全て曝け出せよー! こういう場でしか無理だぞー!」

千歳「はぁーいどんどんお酒持ってきてー! アルコール入ってれば何でもいいのー」

木曾「おい千代田。お前の姉止めろ」

千代田「千歳お姉がいいなら千代田……それでいいの」

木曾「あー駄目だこいつ。そういやダメな奴だった」


天龍「おいどうすんだ……アレ」

提督「まぁ……今日ぐらいは好きにさせてやりなさい。そういう場なんだから……」

鳥海「提督! 少しマズイことが……!」

提督「鳥海か、どうしたんだ?」

鳥海「あの……なんと申し上げればいいのか……会場内で"駆逐艦ラムネ"なるものを無許可で販売する
人達が……」

北上「あっ」

天龍「すごく心当たりがある人物が一人いるんだが」

日向「今日は好きにさせてやるんだろう? え? 提督」

提督「……長門よ。お前というやつは……!」


鳳翔「……そういえば、榛名さんの姿が見当たりませんね……どうかなされたので?」

翔鶴「……あそこに、寄ってくるみたいですよ」

提督「ああ……そうか。やはり、そうだと思った」

提督「今頃大和が向かってるはずだな。あの子を引き連れて……」

翔鶴「大和さんが、ですか?」



提督「あいつはああいう役回り大好きだからな」



青葉『はいはーい! 皆さんステージにご注目下さーい! これからスーパーアイドル
那珂ちゃんの、ライブショーが始まりますよぉー』


那珂「艦娘のみんなー! こんにちわー!」

「「こんにちわ~……」」

那珂「あれれ!? なんか声援がちっさいな……じゃあ、護衛艦娘のみんな?
こんにちわー!」

「「「「「こんにちわーー!」」」」」

那珂「うーん、やっぱり小さい子達は素直で良いね!」

那珂「えっと……ここにいる皆の中には、先の戦いで姉妹艦を亡くしてしまった人もいると思います……
那珂ちゃんも、川内お姉ちゃんと神通お姉ちゃんを亡くしてしまいました……」

那珂「だけど、那珂ちゃんは泣きません! アイドルとか関係なく、笑ってる那珂ちゃんを
二人に見せてあげたいからです! 笑顔の那珂ちゃんを、二人は好きだって言ってくれたからです!」

那珂「……あはは。ちょっと湿っぽくなっちゃったかなー?」

那珂「まぁそんな訳で! 那珂ちゃんは思います! 皆笑顔でいてくれた方が、沈んでいった
皆も嬉しいはずだって!」


那珂「だから今日は皆が笑顔になるために! 那珂ちゃん、一生懸命歌うから、聞いててね!」


青葉『それでは聞いていただきましょう! 曲名は……』



「ちょーっと待ったぁ!!」




那珂「……え?」

涼風「このステージは、涼風達が頂いたよっ」

那珂「ええ!?」

天津風「これよりこのステージは、『七風駆逐隊』が仕切らせてもらうわ」

那珂「ちょっと!」

浜風「那珂ちゃんさんは、下がってください」

那珂「それってどういう!」

谷風「これから歌うのは、谷風さん達ってことだよ?」

那珂「はいぃ!?」

舞風「さぁさぁ歌って踊りましょう!」

那珂「それは那珂ちゃんの!」

島風「那珂ちゃんの出番終わるのはっやーい!」

那珂「こ、こら! ちょっと青葉ちゃん! こんなの聞いてないんですけどー!?」

青葉『私も聞いてないんですが……まぁ面白そうなので、オールオッケーで!』

那珂「」

青葉『それにしても……七風と名が付いているのに、六人しかいないというのは……』

浜風「最後の一人はそこにいますよ? 雪風!」

雪風「え!? ええ!?」

島風「ほらほら雪風ちゃん! ステージに上がってきなよ!」

雪風「あ、あの、陽炎お姉ちゃん……」

陽炎「行って来なさいよ雪風、せっかく呼ばれてるんだし」

雪風「うぅ……何がなんだか……」


とてとて


谷風「おっとぉ? 来たね来たねぇ、雪風来たねぇ?」

涼風「これで七風揃ったってね!」

雪風「いったい何をすれば……」

浜風「大丈夫、歌うだけだから」

雪風「歌う……?」



――鎮守府・慰霊碑前――


榛名「……金剛お姉さま、見てください」

榛名「この海はこんなに静かに、平和になりました」

榛名「これがあなたの願った海。あなたが見たかった……」


「榛名さん、やはりこちらにいらしていたのですね」


榛名「……大和さん」

大和「お久しぶりです。現役でのご活躍、度々耳にしています」

榛名「お久しぶりです。まさか大和さんが退役するだなんて、榛名……思いませんでしたよ」

大和「大和はこの時代にはもう、無用の長物ですからね」

榛名「そんなこと……」

大和「榛名さんは、パーティにご出席なさらないので?」

榛名「いえ、後で向かいます。ですが……どうしてもここに寄っておきたくて」

榛名「……あの戦いの日々、榛名は今でも瞼の裏に浮かびます。」

榛名「榛名は決して忘れません。沈んでいった皆さんのことも。そこにあった想いも」

大和「そう、ですか……」


榛名「……ところで、大和さんはどうしてこちらへ?」

大和「……実は、榛名さんに用があって私、ここへやって来たんですよ」

榛名「榛名に、ですか?」

大和「すこし提督に頼まれごとをされてしまって……榛名さんに会わせたい子がいるとか」

榛名「会わせたい……?」

大和「ええ。実は一緒に来てるんですけど……あっ、もう出てきていいですよ?」


「もういいノォ? イエース!」


榛名「……え」


「はるなおねえさま! ハジメマシテ!」


榛名「あぁ……そんなことって……!」


こんごう「マイネームイズ……、護衛艦こんごうデース!
ヨロシクオネガイシマース!」








雪風「えっと、それじゃあ聞いてください! 曲名は……あっ! ……そういうことですか」

雪風「曲名は……」




『風になりたい』
http://dai.ly/x8vdgc













榛名「……お姉さま!!!」








――大きな帆を経てて


あなたの手を引いて


荒れ狂う波に揉まれ



今すぐ、風になりたい



天国じゃなくても


楽園じゃなくても


あなたに会えた幸せ



感じて風になりたい






                  キャスト





榛名「金剛お姉さま金剛お姉さま! 金剛お姉さまーー!」

こんごう「ワァオ! さすが榛名お姉さまネ。ほんばじこみのベリーベリーホットなハグヨ」



              戦艦榛名     榛名
                【浮き砲台三人娘Chapter1・2・3】
            





時雨「……ゆうだち、僕はずっと待ち続けるよ。いつかキミとまた、出会える日を」



                駆逐艦夕立      夕立
                     【ソロモンの涙】
                     【ソロモンの悪夢に捧ぐ鎮魂歌】
                     【ソロモンより、呪いのような祝福を全ての艦娘に】






大和「戦いだけが全てじゃない……道は一つじゃないんです……」


                戦艦大和       大和
                       【大和ホテル繁盛記】




大鳳「砕けぬ意志が、この平和な世界を作り出したのね。これからも装甲空母大鳳は砕けないわ!」


                装甲空母大鳳    大鳳
                       【装甲空母は砕けない】


三隈「もがみん、すずやん、くまのん……皆先に逝ってしまって」

三隈「三隈は知りませんでした。一人残されるのがこんなにも辛いものだなんて」


                重巡洋艦      鈴谷
                       【鈴谷の遙かなる航路】



弥生「……皆さんが、笑っています。あなた達の頑張りが。この幸せな空間へと繋がったんです」

弥生「私は既に、除籍された身。ここにはもういられません」

弥生「さぁ、これからどこへ行こう。時間はたっぷりある。私は私の、行きたいところへ」

弥生「私は私の、生きたいように」



                駆逐艦 弥生     弥生
                花見月子               
                戦艦扶桑       扶桑
                戦艦山城       山城
                           【東方作戦】





翔鶴「……瑞鶴。あなたの希望……必ずやこの先も繋いでいきます」


翔鶴「私は今日も、ここで生きている」




                正規空母瑞鶴    瑞鶴
         【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter1・2・3】



浜風「何一ついいことー」

涼風「なかったこの鎮守府[ばしょ]で」



雪風「沈みゆく仲間の、想い繋げたい」



生まれてきたことを


幸せに感じる


かっこわるくたっていい



あなたと風になりたい





 戦艦比叡      比叡  
 護衛艦ひえい         
 戦艦霧島      霧島   
 護衛艦きりしま             
 戦艦伊勢      伊勢

 航空戦艦日向   日向  
 戦艦長門      長門  
 ラムネ売りの女

 戦艦陸奥      陸奥

 正規空母赤城    赤城 
 正規空母加賀    加賀  
 正規空母蒼龍    蒼龍
 正規空母飛龍    飛龍  
 軽空母龍驤     龍驤
 軽空母瑞鳳     瑞鳳  
 軽空母鳳翔     鳳翔  
 軽空母飛鷹     飛鷹
 軽空母隼鷹     隼鷹  
 軽空母千歳     千歳  
 軽空母千代田   千代田


 重巡洋艦古鷹    古鷹  
 重巡洋艦加古   加古  
 重巡洋艦青葉   青葉

 重巡洋艦衣笠   衣笠 
 重巡洋艦羽黒   羽黒

 重巡洋艦愛宕    愛宕  
 重巡洋艦摩耶   摩耶  
 重巡洋艦鳥海   鳥海 
 航空巡洋艦最上  最上  
 重巡洋艦三隈   三隈   
 航空巡洋艦熊野  熊野  
 重巡洋艦筑摩   筑摩


 軽巡洋艦天龍    天龍  
 軽巡洋艦龍田   龍田  
 重雷装艦北上   北上

 重雷装艦大井    大井  
 重雷装艦木曾    木曾  
 軽巡洋艦長良   長良

 軽巡洋艦五十鈴  五十鈴
 軽巡洋艦名取   名取  
 軽巡洋艦鬼怒   鬼怒
 軽巡洋艦阿武隈  阿武隈
 軽巡洋艦川内   川内  
 軽巡洋艦神通   神通

 軽巡洋艦夕張    夕張 
 軽巡洋艦阿賀野  阿賀野 
 軽巡洋艦能代   能代  
 軽巡洋艦矢矧   矢矧

 軽巡洋艦酒匂   酒匂




 睦月型駆逐艦   睦月 如月 卯月 皐月 文月 長月 菊月 三日月 望月
 初春型駆逐艦   初春 若葉 初霜
 吹雪型駆逐艦   吹雪 初雪 磯波 叢雲
 綾波型駆逐艦   綾波 朧 曙 漣 潮
 暁型駆逐艦     暁 雷 電
 白露型駆逐艦   白露 村雨
 朝潮型駆逐艦   朝潮 大潮 満潮 荒潮 霞
 陽炎型駆逐艦   陽炎 不知火 黒潮 初風 天津風 浜風 谷風 舞風
 駆逐艦島風     島風

 駆逐艦響      響   
 Верный   
 駆逐艦雪風    雪風

 駆逐艦時雨    時雨


 正規空母翔鶴   翔鶴

 戦艦金剛      金剛  
 護衛艦こんごう        

  
 潜水艦伊58  でち公 
 ??

 潜水艦伊168 イムヤ 
 ??
 潜水艦伊19   イク
 ??          
 潜水艦伊8 はっちゃん
 潜水艦まるゆ  まるゆ 




 深海棲艦(アクター)武蔵 ビスマルク 祥鳳 妙高 足柄 那智  高雄 由良  霰 
             子日 五月雨 白雪 深雪 敷波 夕雲 巻雲 長波 伊401 Z1 Z3

 深海棲艦(声)    大淀


 潜水艦イ401  イオナ 
         (友情出演)
 重巡タカオ    タカオ
         (友情出演)
 大戦艦ハルナ   ハルナ
         (友情出演)
 大戦艦キリシマ  キリシマ
         (友情出演)
 大戦艦コンゴウ  コンゴウ
         (特別出演)




天国じゃなくても

楽園じゃなくても

あなたに会えた幸せ

感じて

風になりたい






           脚本    エラー娘

      美術・絵コンテ   秋雲

           演出    響

     航空機妖精指導   さかもと(艦載機妖精隊長)

照明      あきつ丸    撮影      あきつ丸
3Dモデリングあきつ丸     3DCG     あきつ丸
特殊効果   あきつ丸    音響効果   あきつ丸

           宣伝  青葉


               協力

      横須賀鎮守府    呉 鎮守府

      佐世保鎮守府    舞鶴       
      大湊警備府      トラック泊地
      リンガ泊地      ラバ基地

      ショートランド    ブイン
      タウイタウイ     パラオ
      ブルネイ       単冠湾泊地

      幌筵泊地       宿毛
      鹿屋基地       芙蓉部隊
      深海棲艦       霧の艦隊
      変態提督組合    初風捜索隊 
      駆逐艦愛護団体  憲兵団        





 
               制作
           オリョクル撲滅機構




            監督  エラー娘








終末艦これショート
       おしまい



――海上――



榛名「風が気持ちいいですね……」

翔鶴「もう、榛名さんったら。気を引き締めてくださいよ」

榛名「す、すみません」

こんごう「ま、ワタシたちがいればどんな深海棲艦でもワンターンキルですけどネー」

ひえい「さっすがこんごうちゃん!」

きりしま「こんごうおねえさま、ゆだんしてはいけませんよ。ゆだんからつながるじこも……」

まるゆ「わぁ~……懐かしいなぁ。ここ、まるゆがよく先輩と一緒にクルージングした
オリョールですよ」

こんごう「……アノー、なんでit's、かのじょがいるの?」

ひえい「さぁ?」

きりしま「なにかのてちがいでしょうか?」

まるゆ「ひどい!」

榛名「あはは……」

翔鶴「……?」

榛名「? 翔鶴さん。どうかなされたのですか?」

翔鶴「いえあの……何か、聞こえてきませんか?」

榛名「何か……?」



I look across the raging war and feel the steady beating of my heart.



こんごう「oh? 何かレーダーにおかしな反応が……?」



――嵐の前の静けさに 刃を振り下ろしてくんだ



ザッパアァァァァァーン




??「ぷっはぁー! 久々のシャバの空気はおいしいでち!」

??「私達……帰ってこられたの? 元の世界に?」

??「ヒュウガのやり方が正しければ、ここが元の世界なのね」

??「でいうか……あなたまたあの歌勝手に使って」

??「テーマソングでち」

??「あれイオナの曲だから! 著作権的な問題でその……アレだから!」



まるゆ「うそ……まさかあの人達は……!」



??「ん? なんでち? あいつもしかしてまるゆでち」

まるゆ「ごーやさん! イムヤさん! イクさん!」

まるゆ「まるゆは嬉しいです……潜水艦仲間の皆さんとまたお会いできて!!」


??「侵食魚雷発射。消し飛べまるゆ」


バシュウウウウン


まるゆ「ふえええええええええ!?」

こんごう「!! アスロックはっしゃ!」


シュパァン……ドッゴオオオン!!



??「? ……小賢しい真似をするなでち」

まるゆ「どうしたんですか先輩! まるゆと先輩は潜水艦仲間……」

??「しゃらーっぷまるゆ! お前は潜水艦じゃなくて可潜艇でち! いっしょにするなでち!」

まるゆ「ひ、ひどい……」

翔鶴「あなた達……伊号潜水艦、よね?」

??「かつてはそうだったでち……しかし、今は違う!!」


イ58「ナノマテリアルによって、霧の潜水艦娘に生まれ変わったイ58です」

イ168「同じく、霧の艦娘、イ168」

イ19「イク、イクのー!」


ババーン!


榛名「…………」

翔鶴「…………」

こんごう「what?」

ひえい「きりのかんむす?」

きりしま「なんだかあたまのわるそうなかたたちですね」




イ58「な、なめくさりやがって……ゴーヤ達は全潜水艦をオリョクルから開放するために
戻ってきたのでち!! オリョールよ! ごーやは帰ってきた!」

イ168「イムヤ達のクラインフィールド、破れるかしら?」

イ19「侵食魚雷、撃ちまくるのー!」

イ58「オリョクルを強要するブラック鎮守府許すまじでち! ごーや達は宣戦布告するでち!」


榛名「あの、話が見えてこないのですが……」


イ19「……ごーや、タカオからの分捕品をつかうのね」

イ58「……重子力エンジン、機関最大出力……」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



こんごう「!? なんナノこのはんのうは……!?」

きりしま「ひじょうにきけんです! みんな、きをつけて!!」



イ58「超重力砲、発射でち」



キュピーン……・バシュウウウウウウウウン!!



こんごう「あぁーッ!?」大破

きりしま「わたしのデータにはこんなの……!」大破

ひえい「こんなのきいてませんってばー!」大破

翔鶴「嘘……!?」大破


榛名「うぅ……」中破




イ58「ほほう、やっぱり戦艦の装甲は厚いでちね」

イ168「なんだか私達、取り返しの付かないことしてるような……」

イ19「考えたら負けなのね!」

イ58「いいでちか、よーく覚えておくでち!」


イ58「ごーや達は黒き魚雷! 潜水艦を開放する者! よーく覚えておくでち!!」


翔鶴「あぁ……」




瑞鶴、海に平穏がおとずれるのは……もう暫く先になりそうです。




―――――――




瑞鶴「……何か、エライ事になってる。大丈夫かな翔鶴姉」

加賀「あの子なら大丈夫でしょう」

赤城「加賀さん正直他人ごとでしょ?」

加賀「そうね」

赤城「あなたのそういう所、嫌いじゃないわ」


加賀「まぁ、あの子達なら何とか出来るでしょう。この平和を手に入れることができた、あの子達なら」




END




新番組! 黒き魚雷のデチペジオ―イムヤ・ノヴァ―

霧の潜水艦として生まれ変わったでち公共は、各国の海軍相手に潜水艦開放革命をおっぱじめる!
たった三隻の潜水艦が、世界を巻き込んで大暴れ! タカオから盗んだ超重力砲でバッタバッタ敵艦をなぎ倒す!
好調に思えたでち公たちの快進撃! しかしそんな中、ある艦娘が未来から現れる……!


??「そんなに……私の力が見たいんですか……?」


放たれるアスロック! 絶体絶命のでち公共!
果たして蔓延るオリョクルをでち公共は阻止することができるのか……!?

新番組! 黒き魚雷のデチペジオ―イムヤ・ノヴァ―


横須賀鎮守府他各泊地で、この夏から放送開始っ!


これでほんとにおしまい

風俗行くより思い通りの SSがかけた時の方が1.05倍くらい気持ちいい

※元帥の死因は首吊りじゃなくて腹切りでした


ルート分岐について

一応おおまかな流れは三つ考えていて
√Aは提督が瑞鶴のことを信じて再び戦う意思を見せ、
艦隊全体を説得し立ち上がらせ、そして皆一丸となって
最後の戦いに望む、という感じになります。
皆の奮戦のお陰で瑞鶴も死なない√。

√Bは瑞鶴だけが諦めない瑞加賀の絆√。瑞鶴は最後まで諦めないから
自らの生を投げ出さないで戦い抜きます。翔鶴姉がやったあきらめない選択肢は予定では
瑞鶴でやる予定でした。生きていなければ加賀さんとの約束も果たせないので、ここでも瑞鶴は死にません。

√Cは見ていただいた通り、一航戦の呪縛から開放された瑞鶴は、その苦しみから開放されますが、
終末を受け入れた彼女は生のへ執着を失ってしまいます。
そして彼女は翔鶴を助けて逝くという死に場所と希望を見出すのです。


どの選択肢を選んでもl最終的には瑞鶴に救いをあげています。
最終幕は彼女の救いの話でもあるのです。
というか、分岐は瑞鶴の生死ぐらいにしか絡んでなかった。


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月10日 (土) 07:28:33   ID: vKwyiQn_

若葉が駆逐艦から護衛艦に進化してもOKな気分

2 :  SS好きの774さん   2014年05月11日 (日) 22:59:28   ID: vGxhtnsF

泣けた

3 :  SS好きの774さん   2014年05月28日 (水) 15:45:58   ID: 6xCPhKnU

ほんと良かった。これは名作

4 :  SS好きの774さん   2014年12月09日 (火) 16:25:10   ID: uM45-_ho

涙が…止まらないのです♪

5 :  SS好きの774さん   2014年12月22日 (月) 15:16:05   ID: XozH3h3V

凄まじく読み応えのあるssだった

6 :  SS好きの774さん   2015年01月11日 (日) 09:50:00   ID: SvnTaIpZ

このss読んだのが艦これ始めた切っ掛けの一つ。
おかげで轟沈なしを貫いています。以前読んだときは艦娘の名前と
イラストが合致しなかったり、キャラがわからなかったりしたけど
全員が分かる今もう一度読んでみると、新しい発見があったりしてまた面白いですね。

こんなssをありがとう。長文失礼しました。

7 :  SS好きの774さん   2015年02月28日 (土) 01:23:28   ID: XXwk7yaV

何だろう、この引いて突っ張ねられる感覚は

8 :  SS好きの774さん   2015年03月27日 (金) 15:22:43   ID: Etq1pkuz

感動をありがとう

9 :  SS好きの774さん   2015年04月17日 (金) 03:07:19   ID: sHfkAk5u

アルぺだすなら鋼鉄の咆哮もだしてほしかったな・・・

10 :  SS好きの774さん   2016年12月28日 (水) 18:30:00   ID: i5Amye3j

映 画 化 決 定

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