【咲‐Saki‐】京太郎「あまりのおいしさに口が勝手に…!」 (573)

・京まこ

・のんびりゆっくり

・まこたんイェイ~

・特に誕生日ネタではない

よろしくお願いします

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久「明日はみんなでお昼をたべましょう!」

まこ「なんじゃいきなり」

京太郎「何かありましたっけ?」

久「秋の大会に向けたミーティングよ?咲や和達は心配いらないけど須賀君はまだまだ不安が残るでしょ?」

優希「京太郎はタコスづくりの腕は成長しているけど麻雀の方ははまだまだだからな!」

京太郎「そんなはっきり言わなくても…」

咲「でも京ちゃん最近は上手になってきたと思うよ?」

和「振込も減ってきましたし無理なつっぱりも無くなりましたね」

京太郎「本当か!?俺も一回戦ぐらいは勝てるかなぁ」

まこ「そんなに卑屈にならんでもええと思うぞ?確かに成長はしとると思うし」

久「まぁ確実な一勝を勝ち取るためのミーティングね。というわけで明日の昼休みはお弁当を持って部室に集合!」

和「みんなで食事ということはおかずを交換したりのするのでしょうか…?」

咲「明日はちゃんとしたお弁当つくってこなくちゃね」

優希「よし!明日は私も腕をふるって最高のタコスをつくってくるじぇ!京太郎もたくさんタコスを持ってこい!」

京太郎「それはいつものことだし構わねぇけど六人中二人がタコスを持ち寄るのはどうなんだ?」

優希「タコスならいくらあっても困らないじぇ!」

まこ「まぁ優希がいくらでも食べるしのぅ」

久「みんなのご馳走期待してるわよ?特にまこは早弁禁止!あと玉子焼きいっぱい持ってくること!」

咲和「!!」

京太郎優希「玉子焼き?」

久「まこの玉子焼きは絶品なのよ!」

咲「今まで食べた中で一番美味しい料理だよ!」

和「料理には自信がありましたがあの玉子焼きには勝てる気がしません…!」

京太郎「玉子焼きにそこまで!?」

優希「負けず嫌いののどちゃんがそこまで言うのか!これはとてつもない大物の予感…!」

咲「もし私のお弁当が染谷先輩の作ったものなら誘惑に負けて早弁をしてしまうぐらいには美味しいよ!」

和「学校に着く前に食べてしまってもおかしくない絶品です!」

久「毎日食べたいくらいよねぇ」

まこ「なんじゃ!?そんなにおだててもなんも出んぞ?」

久「そこは玉子焼き出すとこでしょ!」

咲「楽しみにしてるんですよ!?」

和「是非玉子焼きを!お願いします!」

優希「みんな私のタコスへの熱意に負けないぐらいの勢いだじぇ…」

京太郎「これだけ熱心だとさすがに気になってくるな…」

まこ「わかった!わかったから落ち着け!玉子焼き弁当箱いっぱいに詰め込んで持ってくるわ!」

和「本当ですか!?」

咲「絶対ですよ!?約束ですからね!?」

久「これで生きる楽しみが増えたわね」

優希「む~これは負けてられないじぇ!明日のタコスのために最高の材料を揃えてくるじょ!ではさらばだ!」

京太郎「あ!俺も行くから待てって!すいません今日はこれで失礼します」

久「気をつけて帰るのよ~」

まこ「タコス楽しみにしとるけぇね」

京太郎「はい!俺も玉子焼き楽しみにしてますんで!」

まこ「…なんかハードル上がりすぎじゃないかのぅ」

和「正直全然余裕で超えられると思いますが」

久「もっと自信を持ってもいいのよ?雀荘でもメニューにしちゃえばいいのに」

咲「たしかにお金取れるぐらい美味しいですよね」

まこ「やめんさい!背中が痒くなるわ…そんなことより久」

久「なにかしら?」

まこ「あんた料理できんかったろ?明日どうすんじゃ?」

咲「そういえば…」

和「以前みんなでタコスをつくった時に食品サンプルを持ってきましたね…」

久「もういいでしょその話は!…お、お母さんにつくってもらうから大丈夫よ」

まこ「少しくらい料理できたほうがええと思うがのぅ」

和「私でよかったら教えますよ?」

咲「わ、私も少しぐらいなら…」

久「…ありがと。でも明日には間に合わないしまた今度ね!それじゃ!」

まこ「…逃げよった」

和「たしかに今から少し練習しても間に合わないでしょうけど…」

咲「部長帰っちゃいましたし私たちも帰りましょうか」

まこ「じゃあ鍵はわしがかけとくけぇ、気をつけて帰りんさい」

咲「はい、お疲れ様です」

和「お疲れ様でした」

まこ「おつかれさん」

まこ「…さて、卵たくさん買って帰らんとのう」

翌日 昼休み 部室

久「やっほー!みんなそろってるかしら?」

まこ「ん、あんたが最後じゃ」

優希「タコスうまー」

和「どうして先に食べ始めてるんですか!」

京太郎「俺の持ってきたタコスもうないぞ…」

優希「呪われたタコスの血族のサガだじぇ…このままでは私自身がタコスになるところだった」

和「そんなオカルトありえません」

京太郎「相変わらず意味不明な設定だな」

咲「…京ちゃんのお弁当なくなっちゃったけど」

久「まぁみんなのお弁当があるんだからいいじゃないの。さぁまこ!玉子焼きを私に!」

咲「部長!ずるいですよ!私も染谷先輩の玉子焼き楽しみにしてたんですから!」

和「そうですよ!みんなに権利があるはずです!」

まこ「全員がたくさん食べられるように持ってきとるから安心せぇ」

まこ(…ミーティングするって話はええんかのぅ)

まこ「ほれ、京太郎」

久咲和「!?」

京太郎「へ?俺っすか?おかず交換できないですよ?」

久「そうよ!そんなのおかしいわ!」

和「等価交換!等価交換するべきです!」

咲「わ、私のお弁当じゃダメなんですか!?」

まこ「だから落ち着けっちゅうに!このままじゃ京太郎のお昼抜きじゃろうが!」

優希「うう、反省してるじぇ…」

京太郎「…ありがとうございます!それじゃあ遠慮なくいただきますね」

京太郎(やっぱ染谷先輩はいい人だなぁ…優しさが心に染み入るぜ)

久「むぅ、仕方ないわね…私たちもお弁当食べましょうか」

和「…そうですね、たくさん持ってきてくださったようですし」

咲「染谷先輩と比べられると自信ないですけど私も頑張って作ってきましたから是非食べてください」

優希「私も最高のをタコスをつくってきたからみんなに食べて欲しいじぇ!」

和「…ゆーきは自分でタコスをつくれるんですからわざわざ須賀君につくってもらわなくてもいいんじゃないですか?」

優希「のどちゃんはわかってないじぇ!人がつくったタコスだからいいのだ!」

咲「あ、ちょっとわかるかも。いつも自分でつくってると人の料理って嬉しいよね」

和「…たしかにお母さんがつくってくれる料理は嬉しいし美味しいですね」

咲「それはまた事情が違うような…」

優希「のどちゃんのお母さん忙しいからなー」

久「私は食べるの専門だからよくわかんないわねー」

まこ「んじゃほれ、口あけんさい」

京太郎「へ!?」

まこ「だってタコスしか持って来とらんかったようじゃし箸ないじゃろ?」

京太郎「あ」

まこ「ふふ、まぁ次があるようじゃったら気ぃつけんさい」

京太郎「すいません…でも本当にいいんですか?一応俺男ですよ?」

まこ「わかっとるって。そんな意識せんでも先輩後輩のちょっとしたスキンシップじゃろ」

久「!!」

久「咲、咲!ちょっとこっち!」

久「はい、あーん」

咲「ふぇ!?」

久「そんなに恥ずかしがらなくてもいいわ!ただの先輩後輩のスキンシップだから!」

咲「そ、そんなこと急に言われても…」

久「ほら!あーん」

咲「あ、あーん」

久「和も!あーんして!」

和「あ、あーん」

優希「部長部長!はい!タコスあーん!」

久「あーん…うん!美味しいわ!最高ね!」

京太郎「…部長、急にどうしたんですかね?」

まこ「…先輩後輩っちゅうのが気に入ったみたいじゃの。ほら、部室に一人の期間が長かったけぇ」

京太郎「なるほどなぁ。部長も結構可愛いとこありますねぇ」

まこ「普段は生徒議会長とかでしっかりしとるだけに意外な感じがするんかねぇ」

まこ「で、京太郎はスキンシップ受けてくれんのかのぅ?」

京太郎「うぅ…そんな言い方されたら断れないですよ」

まこ「先輩っちゅうのはずるいもんじゃ。ほれ、あーん」

京太郎「あ、あーん」

京太郎(…普段あんま意識しないけどこういうのはさすがに緊張するな)

京太郎(改めてこう見てみると、和や部長がいるから目立たないけど染谷先輩も十分美人だし)

京太郎(…手、綺麗だな。箸も凄い綺麗に持ってるしその指も細くて爪も丸くて可愛いっていうか)

まこ「…どうじゃ?」

京太郎「」

まこ「なんか言ってくれんと不安になるんじゃが…美味しくなかったかのぅ?」

京太郎「結婚してください」

まこ「!?」

咲「えぇ!?」

和「な!?」

優希「じょ!?」

久「ちょっと!?」





京太郎(あまりの美味しさに口が勝手に…!)



>>21
京太郎(あまりのおいしさに口が勝手に…!)

に修正
誤字すいません

遅い上に少なくて申し訳ありませんが今晩はここまでで失礼します
京まこというより清澄ネタっぽくなってますね
0時回ってしまいましたがまこたんイェイ~

ゆっくり投下していきます

咲「血痕!?血で血を洗うミステリー!?」

久「まこは私の嫁よ!?」

和「染谷先輩はともかく須賀君はまだ結婚できないですよ!?」

優希「どの返しも期待してないじぇ」

まこ「い、いきなり何を言っとるんじゃ!?」

京太郎「あ、いやその!あんまりおいしいからついというかなんというか…」

まこ「そ、それならそうと普通においしいって言いんさい!」

咲「でもそういうことなら納得だよ」

久「気持ちはよくわかるわ」

和「仕方ないですね」

優希「…昨日から大好評だけど本当にそんなにおいしいのか?この玉子焼き」ヒョイパク

咲「あっ!」

和「ゆーき!抜け駆けはずるいですよ!」

京太郎「いやでも本当においしいだろ?!?」

優希「んーむ…」ヒョイパク

久「ちょっと!二個目はダメでしょ!」

優希「私はヒトの姿をたもつためにタコと名のつくものを食べ続けないといけないから仕方ないじぇ!」

久「それ玉子焼きでしょ!」

優希「その通り!タ ま コ ゛やきだじぇ~」

和「流石に無理がありますよ!」

咲「優希ちゃんはまだタコスがあるんだから遠慮してよ!」

ギャーギャー

まこ「はぁ…みんなのお弁当分けてもらうかの。ほら、食べさせてやるけぇこっちに来んさい」

京太郎「あ、ありがとうございます」

まこ「…ほ、ほれ」

京太郎「…もしかして先輩照れてます?」

まこ「うっさいわ!わしゃぁこの手の冗談は馴れとらんけぇ…」

京太郎「意識するなって言ったの先輩じゃないですか」

まこ「な、なにニヤニヤしとるんじゃ!もう食わせてやらんぞ!」

京太郎「あぁすいません!もう言いませんから勘弁してくださいよ」アーン

京太郎(…顔赤くしちゃって染谷先輩なのに可愛いじゃないか)モグモグ

京太郎(恥ずかしいなら無理しなくても…って俺が食べられないからか)モグモグ

京太郎(考えてみれば気まずくならないように普通に振る舞おうとしてくれたのかな?からかったりして悪いことしたな)

まこ「ん、京太郎食べたいもんあるか?」

京太郎「あ、じゃあそっちの野菜炒めを…」

京太郎(…なんかポロっと結婚とか言っちゃったけどこれはちょっと印象悪いんじゃないか?)アーン

京太郎(軽薄な奴だって思われてたらどうしよう…金髪もそういう印象になりやすいみたいだし)モグモグ

京太郎(というか!だいたい染谷先輩と結婚なんて…)モグモグ

京太郎(…毎日あの料理を食べられるって最高だな)

まこ「ん、お茶いるか?」

京太郎「あ、すいません。ありがとうございます」

京太郎(やっぱり染谷先輩優しいんだよなぁ…全国前の合同合宿の後お土産買ってきてくれたのも染谷先輩だけだし)ゴクゴク

京太郎(普段から気を使ってもらってるし女所帯でやってけるのは先輩のお蔭でもあるんだよな)アーン

京太郎(部長が忙しいから麻雀の方もほとんど染谷先輩に見てもらってるし…)モグモグ

京太郎(実力で劣る分練習中置いてかれがちな俺に声かけてくれるのも染谷先輩だし…)モグモグ

まこ「あ、こぼしとるぞ?気ぃつけんさい」フキフキ

京太郎「うわ、すいません!気を付けます…」

まこ「まったく、仕方ないのぅ」クスクス

京太郎「あ…」ドキッ

京太郎(いやいや!なんだよドキッて!染谷先輩相手に!)

京太郎(俺が好きなのはもっとこう優しくて家庭的な…)

京太郎(って染谷先輩めっちゃ優しい上に家庭的だろ!そうじゃなくて!)

京太郎(そう!胸!こう和みたいにダイナミックな巨乳の女の子が…)

まこ「にしても…」

京太郎「え?」

まこ「やっぱりみんなで食べる食事が一番じゃのぅ。な、京太郎?」ニコッ

京太郎「あぅ」

京太郎(うわヤバいめっちゃ可愛いじゃなくてえっと違うんだよ俺はだからその)

京太郎(落ち着け!とりあえず落ち着け!俺が好きなのは家庭的で優しくて可愛くて胸の大きい女の子!)

京太郎(染谷先輩なんて胸は普通だしめちゃくちゃ優しくて料理も凄く上手で笑顔が可愛いだけだろ!)

京太郎(いやそりゃ胸を補って余りあるけど!つーか可愛いなおい!)

京太郎(いつも世話焼いてもらって染谷先輩いいなーとかたまに思ってたけど!むしろ毎日思ってたけど!)

京太郎(…あれ?俺ってもしかして染谷先輩のこと大好きじゃね?)

京太郎「え、あ、うわ」カァァ

まこ「ん?どうした?」

京太郎「おぉ俺!ちょっと用事思い出したんで!しっ、失礼します!」

まこ「…行ってもうた」

久「取り分が増えたわね!」モグモグ

咲「京ちゃんも用事だなんて運が悪いなぁ」モグモグ

和「ゆーき!食べすぎです!平等に分けるべきです!」モグモグ

優希「早い者勝ちだじぇ!」モグモグ

まこ「…あんたらなぁ」ハァ

京太郎(うわっ!うわっ!恥ずかしっ!恥ずかしっ!つーか俺鈍すぎだろ!)ダダダ

京太郎(なんだよ毎日染谷先輩いいなー可愛いなーとか思ってたじゃん!改めて考える前に気づくだろ普通!)ダダダ

京太郎(なに平然とあーんとかやっちゃってんの!?もっとときめけよ!キャッキャウフフな展開じゃんか!)ダダダ

京太郎(いやでも気づかなくても仕方ないだろ!?だって俺は…)ダダダ

ドンッ

「痛っ!って須賀か?今日は麻雀部で昼飯食うんじゃ…」

京太郎「俺はおっぱいが好きなんだよ!」

「落ち着け!廊下だぞここ!」



屋上

「で?おっぱいがなんだって?」

京太郎「ちげぇよ!俺は染谷先輩が好きだったって話で…」

「は?染谷先輩?好き?」

京太郎「あ!いや待て待て待て!ちょっと今の無し!」

「へぇ?染谷先輩ねぇ…インハイの放送見てたぜ?次鋒の人だよな?一個上だっけ?」クックックッ

京太郎「だからちょっと待てって!今整理中だから!」

「それにしても咲ちゃんという嫁さんがいながら…」

京太郎「嫁さん違います!前からしつこいぞお前!」

「はいはいわりぃわりぃ。で、どうしたん?」

「…つまり?目の前の染谷先輩が好きなことにふと気づいてテンパって逃げてきた、と」

京太郎「…おう」

「うわーもったいねーな!せっかくのイベントをみすみす逃して」

京太郎「うるせーな!しょうがないだろ!」

「…まぁ今後積極的にアプローチしてきゃいいじゃねぇか。同じ部活だしチャンスなんかいくらでもあるだろ?」

京太郎「む、むり」

「は?なんで?」

京太郎「だってちょっと意識しただけで顔も見れなくなったんだぞ!?は、話しかけるとか無理だって!」

京太郎「つーかあーんも俺には早かった!今思うと恥ずかしすぎる!」

京太郎「せめて!て、手を握るとかそういうところから段階を踏んで…」

「乙女か」ペシッ

「それぐらい頑張れよ…今時は小学生だって付き合ったりなんだりしてるって言うし」

京太郎「なにそれ小学生こわい」

「そういうお前はヘタレすぎ」

京太郎「うっせ!お前にはわかんねぇよ…中学の頃からモテてたし…俺だって彼女欲しかったよ!」

「いや、お前に彼女できなかったのはずっと咲ちゃんといたからだろ」

京太郎「え」

「みんなお前ら付き合ってると思ってたぞ」

京太郎「マジかよ…」

「中学生活ほぼ一緒だったじゃねぇか…つーか俺お前が好きなの片岡だと思ってたわ」

京太郎「は!?優希!?」

「乙女思考なお前のことだから昔の漫画みたいに

『私先輩のためにお弁当作ってきたんです!よかったら食べて貰えますか…?』

作戦を実行してるんだとばかり…」

京太郎「んなわけあるか!優希は友達でタコス作りは今ハマってるだけだって…だいたい俺は巨乳が好きなの!」

「あれ?染谷先輩って巨乳だったっけ?」

京太郎「いや、普通だけど…まぁそれでもす、好きになっちゃってたっていうか…」テレテレ

「うわーこいつうっざいわまじで」

キーンコーンカーンコーン

「…昼休み終わったし俺は戻るぞ」

京太郎「待てって!せめてなんかアドバイスを…」

「あ?もう告っちゃえよ」

京太郎「何めんどくさくなってんだよ!ちゃんと頼むって!お願いします!」

「大丈夫大丈夫照れてたんだろ?脈アリだって行ける行ける(たぶん)」

京太郎「ま、マジか?いやでもなんて言ったら…」

「かっこつけようとしてもどうせ本番でパニクって失敗するんだから諦めろって」

京太郎「酷いなお前!まぁ事実だけど!」

「普通で良いって。つかもうプロポーズしちゃったんだし今さらだろ」

京太郎「え、あ、いやあれはプロポーズっていうか!」

「…あーもうめんどくせぇなスマホ貸せよ」バッ

京太郎「あ、おい!何してんだよ!」

「んー?…ほらメールで呼び出しといたぞ。部活前に旧校舎裏な」クックックッ

京太郎「はぁ!?フラれたらどうすんだよ!?気まずくて部活出れねぇよ!」

「逆に考えるんだ…優しい染谷先輩はフッたら部活で気まずくなるから付き合ってくれると…」

京太郎「お前天才か!?…ってそんなんで付き合うことになっても嬉しくねぇよ!」

「今の状態じゃどうせまともに部活できねぇだろ?もう呼び出しちゃったし覚悟決めろよ。残念パーティーぐらいしてやっからよ。んじゃな」

京太郎「おいちょっと!…あーもうどうすっかな」

京太郎(…まぁ確かに今のままでまともに部活できるとは思えないしなぁ)

京太郎(…こうなったら腹くくって告白するしかない!染谷先輩にちゃんと伝えるんだ!)

京太郎(…言うぞ、うん、たぶん、きっと…す、すす、好きだって!)

今晩はここまでで失礼します

少し投下します

京太郎(にしてもぶっつけ本番じゃ確実に失敗する…)

京太郎(午後の授業の間にできる限りのパターンを想定して…)ガラッ

咲「あ、京ちゃん遅かったね。用事大変だったの?」

京太郎「え?あーちょっと時間かかっただけだよ」

咲「そっか。あのね、京ちゃんが行っちゃった後に今度の大会の話したんだけど…」

京ちゃん「そういやそのために集まったんだったな…すっかり忘れてたわ」

咲「男子の方はまだよくわかんないって部長が」

京太郎「おい!昨日俺のためにミーティングするって言ってなかったか!?」

咲「んーとね?取り敢えず男子は参加人数多いから特に強い人だけデータ集めておくって」

京太郎「あ、そこはやってくれてるのか…部長も受験の準備とかあるだろうに申し訳ないな」

咲「まぁ本当に強い人と当たったら勝てないから諦めろって言ってたけど」

京太郎「対策考えたりはしてくれないのかよ!?」

咲「稼げるとこで稼ぎなさいって言ってたよ。個人戦だし無理するよりはその方がチャンスあるって」

京太郎「…たしかに、咲とか天江さんみたいな化け物と張り合うよりは可能性ありそうだな」

咲「人を化け物とか言わないでよ!」

咲「もう…あ、あとこれ」ドサッ

京太郎「麻雀の本か?」

咲「うん。京ちゃん基礎はだいぶ出来てきたしそろそろオカルト理論とか知っといた方が良いって部長が」

京太郎「…オカルトに理論とかあるのか?ま、ありがとな」

咲「私もよくわからないんだけどね…勉強しても無駄にはならないだろうって。それにこれ書いた熊倉って人、オカルトの専門家で有名な雀士らしいよ?」

京太郎「へー…じゃあ取り敢えずこれでオカルト対策だな」

咲「和ちゃんは『意味がわかりません。牌効率の勉強をするべきです』って言ってたけどね」

京太郎「和は相変わらずだな…うちにも咲がいるんだから認めてもいいだろうに」ハハ

ガラッ

教師「授業始めるぞー」

京太郎「数学か…咲ー?ノート頼むなー」パラパラ

咲「…京ちゃん授業中に本は」

京太郎「あれー?文学少女の宮永さんは授業中にいつも本読んでたような気がするなー」

咲「うー…今日だけだよ」

京太郎「よろしく!」

京太郎(…清澄はインハイ優勝校だ。今度は午前で敗退なんて無様は晒せない)

京太郎(夏までとは違う!俺だって全国の空気を肌で感じてきた…努力だってしてる!)

京太郎(なにより麻雀って楽しいしな!よーし、燃えてきたぜ!)

放課後

咲「はい、ノート。その本午後の授業中ずっと読んでたみたいだけどどんな内容なの?」

京太郎「サンキュー!…オカルトの起源がどうとかなんとか」ヨクワカラン

和「だから私は牌効率の勉強をするべきだと…」

咲「あ、和ちゃん、優希ちゃん」

優希「楽しい部活の時間だじぇ!」

京太郎「よっしゃ部活の時か…ん…」

京太郎(しまったぁぁぁぁ!こ、告白!何も考えてねぇじゃねぇか!)

咲「ごめん、私掃除当番だからみんな先に行っててよ」

優希「それじゃあ仕方ないか…それじゃあ食堂でタコス買ってから行くじぇ!」

咲「え、優希ちゃんまだ食べるの?」

優希「タコスは別腹!いくらでも食べれるじぇ!」

和「いつもタコスしか食べてないじゃないですか!」

優希「それは言いっこ無しだじぇ…京太郎?どうした?」

京太郎(…このままだと和と優希と一緒に部室に向かうことになる)

京太郎(染谷先輩と会うのは旧校舎裏。そして部室は旧校舎。一緒に行ったら鉢合わせる可能性が…)

京太郎(さすがに見られたら恥ずかしいしなんとかしないと…)

和「須賀くん?どうかしましたか?」

京太郎「…いや、どうせタコス買ってくなら咲の掃除終わるの待ってもいいんじゃないか?咲一人じゃ旧校舎にたどり着けないかもしれないし」

咲「なっ!は、半年通ってるんだしさすがにもう迷わないよ!…た、たぶん」

和「…一緒に行きましょうか」

優希「…タコス買ったら教室まで迎えに来るじぇ」

咲「あぅ…ご、ごめんね?」

京太郎「じゃあ俺は用事あるから先に行くんで!」ダッ

優希「お前は待たないのか!」

和「須賀くん用事が多くて大変ですね」

咲「なんだかバタバタしてるけど大丈夫かな…?」

京太郎(あーもうどうしようこれ!つーか俺が呼び出したんだし先に着いてた方が良いよな?) ダダダ

京太郎(…やっぱり急過ぎるんじゃないか?昼ので印象悪くしてるかもしれないし)ダダダ

京太郎(…もしフラれたらしばらく立ち直れる気が)ダダダ

まこ「お、京太郎」

京太郎(先輩はえぇよ!)

まこ「旧校舎着く前に会ってもうたのぅ」

京太郎「い、いやぁよく考えたらそりゃそうなりますよねぇ」

まこ「旧校舎まで一本道だしのぅ…で、話ってなんじゃ?部室じゃいかんのか?」

京太郎「あ、はい。できれば二人で話したいんですけど…」

まこ「ほうか。それじゃ旧校舎裏まで回るかのぅ」

京太郎「すいません面倒かけてしまって…」

まこ「気にするこたぁない。かわいい後輩からの相談じゃけぇの」

京太郎「えっと、相談というか…」

まこ「ん?違うんか?」

京太郎「あー…まぁそんな感じです」

まこ「?…あ、京太郎腹減っとらんか?」

京太郎「え?…そう言われるとそんな気が」

まこ「お昼の途中で出てったからのぅ…弁当取り分けとったんじゃが」

京太郎「食べます!食べたいです!ありがとうございます!」

まこ「京太郎が食べんかったら自分で食べようと思っとったけぇ気にせんでええよ」

京太郎「じゃあいただきます!」

京太郎(いろいろあって忘れてたけど昼ほとんど食べれなかったし助かるな…しかも染谷先輩の手料理!)

京太郎(本当に先輩優しいなぁ…惚れなおすっていうか)

京太郎(にしてもここまで気を使ってくれるなんて…こりゃもう俺に気があるんじゃ)

京太郎(いやいや、楽観するな。ただ染谷先輩が天使のような心を持っているだけの可能性が…)

京太郎(…ちょっと待て!この箸って染谷先輩の、か、かかか間接)

まこ「どうした?無理して食べんでも…」

京太郎「いえ、食べます!食べますから!」

京太郎(落ち着けって!発想がキモいぞ俺!染谷先輩は気にしてないみたいだし普通に食べればいいんだよ!)モグモグ

まこ「いやぁそれ取っとくのも苦労したわ…久たちが凄い勢いで食べるもんじゃから」

京太郎「好きです!付き合ってください!」

まこ「!?」

京太郎(またしても…!あまりのおいしさに口が勝手に…!)

ここまでで失礼します

優希は周りに気を遣える真っ直ぐな子ですし家庭も問題なさそうだから結構な優良物件だと思います

出来たとこまで投下します

京太郎(やっちまったぁぁぁぁ!昼にこれで失敗したばっかじゃねぇか!)

京太郎(なんもかんも弁当がおいしすぎるのが…いや、待てよ)

京太郎(告白という点では結構良かったんじゃないか?)

京太郎(シンプル・イズ・ベスト…変に言葉を飾って失敗するよりは素直に好意を伝えられたんだ)

京太郎(誠実な告白に染谷先輩も心を動かされたんじゃ…)

まこ「だ、だからそがぁな冗談はやめいって言うとるじゃろ!」

京太郎(やっぱり怒ってたぁぁぁぁ!)

京太郎(と、とにかく!誤解を解かないと…このまま嫌われるのだけは!)

京太郎「い、いやこれは!違うんです!」

まこ「な、なにが違うんじゃ!そうやって人をからかって」

京太郎「本気ですから!」

まこ「え…」

京太郎「お、俺!ほ、本当に本気で染谷先輩のことが好きなんです!」

まこ「あ、ぅ…で、でも!いつもはそがぁな素振り見せんかったじゃろうが!」

京太郎「今日の昼に気づいたんですよ!自分でも鈍すぎるって思いますけど!」

京太郎「その…あ、あんなこと言っちゃったのもふざけてとかじゃなくて!自然と口から出ちゃって…」

京太郎「だからその、俺は普段意識してなかったんですけど!思い返してみたらいつも染谷先輩のこと考えてたんだなって…」

まこ「な、なにを」

京太郎「先輩はいつもみんなのことをよく見てくれてて、その、とても優しくて気配りのできる人ですし」

京太郎「料理もめちゃくちゃ上手で!…えっと、麻雀も!夏の大会の時もかっこ良かったです」

京太郎「それに、先輩の笑った顔、その、凄くかわいいと、おもいます」

京太郎「あの、だからお、おれ」

京太郎「せ、せんぱいのことが、すき、です…」

京太郎(恥ずかしい死ぬってか死んだ!顔めっちゃ熱い顔あげられねぇ)

京太郎(勢いで色々言ったけど全然まとまってないし…先輩も何も言ってくれないし…)

京太郎(やっぱりフラれるのか?いつも世話焼いてもらってるのだってもしかしたらもううんざりとか思われてたり…)

まこ「あ、あの」

京太郎「は、はい!」

まこ「ちょ、ちょっとまって」

まこ「い、いま顔真っ赤じゃけぇ…冷めるまで、ちょっと、まって…」

京太郎「…………」

まこ「…………」

京太郎(かわいい…凄い照れてるし、脈アリだよな?)

京太郎(でもやっぱり、もうちょっとかっこつく告白したかったな…さすがにテンパり過ぎだったし)

京太郎(…俺は結構落ち着いてきたんだけど先輩はどうだろう)チラッ

まこ「…!?」

京太郎(あ、目あった)

まこ「こ、こっち見んで待ってんさい!」プイッ

京太郎「あ、すいません」

京太郎(チラチラこっち見てる染谷先輩かわいい)

まこ「…きょ、京太郎」

京太郎「は、はい!」

まこ「あー、その、本気なんじゃな…?」

京太郎「も、もちろんです!」

まこ「あ、いや、わかっとるんじゃがのぅ…こんなこと言われたの初めてじゃけぇね」

京太郎「…ぁああの、それで」

まこ「う、うん…その、悪いんじゃが…」

京太郎「」ジワッ

まこ「あ、違う違う!最後まで聞きんさい!」

京太郎「え…」

まこ「もう少し…一日でいいんじゃ。時間をくれんかのぅ」

まこ「京太郎のことは、あーその…こ、好意的に思っとる」

まこ「けど、その…そういうことかはちょっとわからんけぇ」

まこ「つ、付き合う…とかそういうんは中途半端な気持ちじゃ京太郎にも失礼じゃと思うし…えっと」

京太郎「…わかりました!その、俺、先輩のそういう真面目なところも好きですよ」

まこ「っ!も、もうわかったからええって!」

京太郎「いや、なんか一回言っちゃったしいっぱい言った方が良いかなって」アハハ

京太郎(いちいち照れてくれるから言いたくなるんだよなぁ…俺もすっげぇ恥ずかしいけど)

京太郎「それじゃ俺今日は帰りますんで」

まこ「…部活出ないんか?」

京太郎「さすがにちょっと…その、ねぇ?」

まこ「ねぇ?って…その、それならわしが休むから」

京太郎「あ、いや大丈夫です!ちゃんともらった本読んで勉強しとくんで!」ダッ

京太郎(いま平常心で部活出るとか無理だし!部長あたりに突っつかれて自爆するに決まってる!)

京太郎(…それにしても良かった!フラれたわけじゃなかった!いやむしろこれはもう行けるんじゃ…)ヨシ!マイマイマイ!ヒロガールー

京太郎「はい!もしもし?」

『そろそろフラれたか?』クックックッ

京太郎「まだフラれてねぇよ!さっきな…」







まこ「…実際どうすりゃええんかいのう」

久「そうね…私に玉子焼きくれたらいいと思う」

まこ「そうじゃのうて…って久!?」

久「お弁当残ってるんだからいいでしょ?」

まこ「いつからおったんじゃ!?は、話聞いとったんか?」

久「ん?うふふ…まぁ悩んでるなら相談のってあげるわよ?」

まこ「…まぁええわ。聞かれとったんなら仕方ないし、少し整理したいから話聞いてくれるかのぅ?」

久「お姉さんに任せなさい!」

まこ「その、結構戸惑っとるんじゃ…いきなり京太郎に告白されて」

久「えぇ!?す、須賀くんに告白されたの!?」

まこ「聞いてなかったんかい!?」

久「いやぁ私のキャラ的にこう…何でも知ってます的な?」

まこ「ああああ!もう!久っ!この阿呆!」

久「え?で?キスぐらいしちゃったのかしら!?」

まこ「しとらんわ!」

久「えっ?フッちゃったの?もったいない」

まこ「フッたわけじゃ…」

久「キープってこと?いやぁまこも結構悪い女ねぇ」モグモグ

まこ「あぁもう黙っとれ!弁当箱も没収!」

久「酷いわ!私のお弁当…」

まこ「元々わしの弁当じゃろうが!…ほれ、部室行くぞ」

久「え?私に相談しないの?」

まこ「わしの問題じゃし自分で何とかするわ…あんたに話してもイライラするだけじゃ」

久「確かに私も悪かったけど!そこまで言わなくても…」

まこ「はいはいすまんね。みんなにも余計なこと言わんでねー」

久「ちょっと!私の扱い雑じゃない?…わかったわよもう」

部室

ガチャッ

まこ「遅れてすまんのぅ」

咲「あ、先輩!遅かったですね」

優希「京太郎も先に行くって言ってたのに来てないし…」

まこ「あ、京太郎は欠席じゃ。急用じゃと」

和「須賀くん過労で倒れるんじゃ…先輩方もお二人で何かあったんですか?」

久「いやぁ実はまこが「久!」…何でもないわよ?」

優希「…あからさまになんかあったじぇ」

咲「その、頼りないかもしれませんけど私たちで良ければ力になりますよ?」

和「いつもお世話になってますし…」

まこ「あー!京太郎が帰ってもうたから弁当余っとるんじゃった!誰か食べてくれんかのぅ!」

咲「任せてください!」

和「ありがとうございます!」

優希「いただきます!」

久「やったー!」

まこ「あんたはの分はなしじゃ」

久「そんな!」


まこ「しばらくおとなしくしてんさい!余計なことばっか言いよって…」

久「わかったわよ!もう!意地悪!ケチ!」

優希「……」モグモグ

咲「美味しいね~」モグモグ

和「これは是非レシピを聞きたいですね」モグモグ

まこ「そんなに気に入ったんなら明日にでもメモして持ってくるわ」

和「本当ですか!?ありがとうございます!」

咲「あ、私も!私も欲しいです!」

久「うぅ…ひもじいよぅ」

優希「…部長!私の分の玉子焼きを差し上げるじぇ!」

咲和「!?」

久「本当に!?」

和「ど、どうしたんですかゆーき!?」

咲「風邪でも引いたんじゃ…」

優希「二人とも失礼な!こんなに美味しい料理食べられないんじゃ部長がかわいそうだじぇ!」

久「優希…!」ジーン

優希「私の分を分けるから…それならいいんだじぇ?」

まこ「…まぁ、優希がええんなら」

久「…ありがとう優希!後輩ポイント一点!」

まこ「またわけわからんことを…」

久「後輩ポイントは素敵な後輩に与えられます」

和「…貯めると何かあるんですか?」

久「…景品が貰えるとか?」

咲「いや、こっちに聞かれても…」

久「えーと…じゃあ優希は一点目なのでなでなでしてあげるわ!」

優希「やったじぇ!」ワーイ!

久「どう?」ナデナデ

優希「おお…これはなかなか…」

和「……」

優希「ん?のどちゃんさては妬いてるじぇ?」

和「なっ!違います!わ、私は別にそんな…!」

まこ「…ほれ、いつまでも遊んどらんで!時間なくなるけぇの」

和「あ、すいません…」

咲「そうですね、そろそろはじめましょうか」

優希「染谷先輩待って!はい、部長あーんするじぇ!」

久「あーん…やっぱりまこの玉子焼きは美味しいわねぇ」モグモグ

優希「…で、染谷先輩がどうかしたんだじぇ?」ニヤリ

久「それがなんと…須賀くんに告白されたんですって!」モグモグ

咲和優希「!?」

まこ「ちょ、久!」

久「あ、あまりのおいしさに口が勝手に…!」

ここまでで失礼します

明日というか今日ですね。やっとこさ咲カフェ行ってきます
一週間経ってますがまだコースターありますかね?

優希は勉強は苦手なようですが頭の回らない子ではないと思うのです。
悪知恵を働かすには少し素直でいい子すぎるかな?ここではまぁ身内のことですし、好奇心が勝ったということで…


タルタルプレイ楽しかったです。染谷先輩は手に入らなかったので時間作ってまた行きたいですね

投下はまた書き溜めて2,3日後になると思います

見てくれている方がいるようで嬉しいです。エタらせはしないのでよろしくお願いします

投下します

うわ

ミス

久「…い、いやぁまさか須賀くんがまこに行くとはこの私の目をもってしても見抜けなかったわ」

咲「うわ」

優希「おぉう」

和「全然気づきませんでした…」

まこ「こら久!喋るなって言うたろうが!」

久「この玉子焼きがおいしすぎるのがいけないのよ!作ったまこの責任よ!」

まこ「なに逆ギレしとるんじゃ!」ペシッ

久「あたっ!…っていうかみんなも反応薄すぎ!怒られ損じゃないのよ!」

久「なにかないの!?『京ちゃんは私のものなのに…この泥棒猫!』とかそういう面白い奴!」ビシッ

咲「えぇ!?私ですか!?京ちゃんとは仲良いですけど別にそういうのは…」

咲「その…えぇっと、和ちゃんは?何かそういうのは」

和「特に無いですけど」

咲「だよね」

久「知ってた」

優希「そこまでバッサリだと京太郎が気の毒だじぇ…」

和「といいますか」

久「逆に『染谷先輩は私のものです!』キリッ的な!?」

まこ「さっきから反省の色が見えんのぅ」グリグリ

久「ちょ!痛い痛い!ごめんなさい!やめて!」

和「いえ、その…ゆーきは須賀くんのことが好きなんだと思ってました」

優希「…私か?」キョトン

咲「たしかに優希ちゃんと京ちゃん仲がいいよね。京ちゃんも甲斐甲斐しくタコス作ってくるし」

優希「そりゃまぁ京太郎のことは好きだけど…」

まこ「…!」

優希「なんというか…主人と専任シェフの関係?」

和「…わざわざタコス作りまで覚えてもらっているんですから、そんな言い方は良くないと思いますよ」

優希「…まぁ親友だと思ってるじぇ。あ、もちろんのどちゃんと咲ちゃんのことも!部長と染谷先輩も大好きだじぇ!」

咲「えへへ…親友だって」テレテレ

和「も、もちろん私もゆーきのこと親友だって思ってますよ」カァァ

久「…私も大好きよ!ハグしてあげちゃう!」ギュー

優希「おぉう…部長いいにおい…じゃなくて!染谷先輩!」

まこ「な、なんじゃ?」

優希「その、京太郎とは…?」

まこ「…明日返事をするつもりじゃ」

優希「私が言うことじゃないと思うけど…あいつ、良い奴だし前向きに考えてあげてほしいです」

優希「恋人でもない私に毎日タコス作ってくるようないい奴で!えーと、あのヘタレが告白したんだから本当の本気なんだと思うし…その」

まこ「…うん、わかっとるよ。わしなりにちゃんと考えるから安心せぇ」

優希「はい…あ、あと」

まこ「なんじゃ?」

優希「プライベートなことだったのに、部長に話させちゃって、ごめんなさい…」シュン

まこ「…もうええって、気にしてないわ」ナデナデ

久「ほら、優希!まこもこう言ってるんだから元気出して!」

まこ「悪いのは話した久じゃしなぁ?」グリグリ

久「あっ!だからそれ痛いって痛っいったたたた!」

和「ふふっ…それじゃあ、今度こそ練習始めましょうか?」

優希「うん!今日も頑張るじぇ!…あ、咲ちゃん」

咲「なぁに?優希ちゃん」

優希「せっかくだし、中学時代の京太郎のいい話とかないのか?」

咲「京ちゃんの?」

久「あ、良いわねそれ!まこも判断材料増えるし!面白い話とか恥ずかしい話とか」

まこ「いちいち茶化すのやめんさい!」

夜 雀荘『roof-top』

まこ「アツシボでーす」

「おぅ」

まこ(…あれから結局ずっとみんなで京太郎の話をしとったが結局悪い話はひとつも出なかった)

まこ(知り合ってから半年程とはいえ、部活で多くの時間を共有しとるし京太郎がいい奴だなんてみんなわかっとる)

まこ(実際わしから見ても…背は高いし、容姿だって整っとる方じゃないかのう?)

まこ(ああ見えて真面目で誠実、優しくて、気の遣える男じゃし…)

まこ(…それでも、わしは)

カランカラン

まこ「っと、いらっしゃい…藤田プロ」

靖子「いつもの出前特盛でお願い」

まこ「はい。…珍しいですね?こんな時間に」

靖子「おいしいカツ丼が食べたくなってね」

まこ(…うち、雀荘なんじゃがのう)

「あ、藤田プロ!見ましたよこの前の試合」

「八万点差をひっくり返すなんて流石『まくりの女王』ですな!」

靖子「ありがとうございます。…得意分野とはいえ毎回あんな点差から試合出されると大変ですよ」フフッ

「いやぁそれだけ期待されてるってことですよ」ハハハ

「よかったらサインいただけませんか?娘がファンでして」

靖子「えぇもちろん。娘さんのお名前は…」サラサラ

「あぁ藤田プロこっちの卓空いてますよ!相手してもらえませんかねぇ」

靖子「はい、よろしく」ニコニコ

まこ「カツ丼でーす。…人気ですねぇ相変わらず」

靖子「どうも。…まぁここはもはやホームだしな。長いこと通わせてもらってるし」ガツガツ

靖子「で、どうした?」ガツガツ

まこ「え?」

靖子「私で良かったら後で話ぐらい聞いてやるぞ?」ガツガツ

まこ「…そんなに顔に出てますかねぇ?」

靖子「ま、お前ともそこそこ長い付き合いだし…ちょっとした表情から気配ぐらい探れなきゃプロの世界じゃ生きていけないさ」ガツガツ

まこ(…この手のことは大人の女性に相談してみるのもええかもしれんのう)

まこ「それじゃあ、後で少しお時間いただけますか?」

靖子「構わないよ。あ、カツ丼おかわり。特盛で」

まこ「あ、はい」

まこ(…夜中に雀荘でカツ丼何杯も食べるってぇのは大人の女性としてどうなんかのう)

「相変わらず良い食べっぷりですねぇ、藤田プロ」

靖子「ここで食べるカツ丼はおいしくて…何杯でも食べれますよ」

まこ(…そこが人気の秘訣なんかねぇ)ワカラン

………

靖子「部活の後輩に告白されたぁ?」

まこ「…えぇ、まぁ」

靖子「…で、どうなんだ?好きなのか?嫌いなのか?」

まこ「そりゃ、憎からず思ってますけど…」

靖子「それならなにも悩むことはないだろ。付き合ってみれば良い」

まこ「でも…」

靖子「何か問題がある奴なのか?二股三股かけてるとか」

まこ「…あいつは、そんな奴じゃないです」

靖子「…それじゃあ、問題があるのはお前の方かな?」

まこ「…そう、ですね」

まこ「あいつは…誰からも好かれるような、優しくて、人懐っこい奴で」

まこ「夏の大会の間も、ずっとみんなのためだって雑用引き受けてくれて…」

靖子「…本当にいい奴なんだな」

まこ「はい…でも、あいつ、京太郎は部活で唯一の、男子で、初心者なのに、わしらは自分達のことで精一杯でろくに指導してやれんかったんです」

まこ「藤田プロのお蔭で開催できた四校合同合宿…あの時も一人だけ留守番で…」

まこ「そんな風に、あいつをないがしろにしてたわしが、あいつと付き合うとか…そういう資格は無いんじゃないかって思うんです」

靖子「…そこら辺を負い目に感じてるのか」

まこ「きっと、もっとちゃんとあいつのことを思ってくれる人が現れると思います…わしなんかより、ずっと」

靖子「…まぁそんなこと気にしなくていいんじゃないか?」

まこ「っ!そんなことって!」

靖子「そんなこと、さ」

靖子「その彼が、これまでの事をお前の言ったように考えて、気にしてるなら、好きだなんて言わないだろ?」

まこ「あ…」

靖子「もっと自分の気持ちに素直になっていいんじゃないのか?」

まこ「……」

靖子「だいたい、好いた惚れたに資格なんて要らないんだ…若いうちはな」

まこ「え?」

靖子「小鍛治さんなんかまだ適齢期なのに行き遅れのアラフォー扱いだぞ?」ハハハ

まこ「…あー」

靖子「まぁあの人は経歴が経歴だし相手見つけるのも大変だろうけど…ひとりでも生活には困らなそうだし」

靖子「…しかし実際女性雀士は晩婚化してるってデータもあるし他人事じゃない…いや、私はまだ若いし大丈夫だけどな?」ナ?

まこ「はぁ…」

靖子「あぁ…でも私も子供欲しいなぁ…衣みたいなかわいいのが」

まこ「あー…藤田プロは天江さんお気に入りですよねぇ」

靖子「かわいいからな。高校卒業したらうちのチーム来てくれないかなぁ…」

まこ「はぁ、そうですね…」

………

靖子「…まぁ、いい男なら今のうちに捕まえときゃいいんじゃないか?麻雀部の後輩なら雀荘やってくにも理解あるだろ?」

まこ「なっ!しょ、将来って…」

靖子「照れんな照れんな。…今度ここに連れてきなよ。私も一応プロだしな、指導の手助けぐらいしてやるさ」

まこ「え、でもお金とか…」

靖子「いいって、なんか結局私の愚痴とか聞かせちゃったしな」

靖子「…まだまだ時間はあるんだ。今までお前が放っておいたと思う分だけ余計に世話してやれよ」

まこ「…そう、ですね。そうします」

まこ「…今日はありがとうございました。だいぶ気持ちの整理がつきました」

靖子「気にするなって。…頑張りなよ」

まこ「はい、藤田プロも」

靖子「…私はまだ25だし大丈夫…決して、小鍛治さんルートには…早くいい男見つけないと…」ブツブツ

まこ「…なんかすいません」

靖子「あぁいや、いいんだ。じゃあな、またカツ丼食べに来るよ」

まこ「毎度ー」

まこ(…だからうちは雀荘なんじゃが)


とりあえずここまでで失礼します
まだ早い時間ですしキリのいいとこまで書ければまた投下しに来ます

投下します

翌日

チュンチュン

京太郎「…あ、れ?あさ…?」

京太郎「ねむ…」ゴシゴシ

京太郎「あー…」ボケー

京太郎(結局緊張してほとんど眠れなかった…)

京太郎(仕方ないから昨日の本読んでたけど…途中から神話やらなんやらの話が始まって…)

京太郎(…俺には難しすぎる…やっぱ才能無いのかなぁ)

京太郎(いや、大会までにある程度モノにしないと…もう、夏みたいな情けないのは御免だ)


カガヤイテーココイチバーン

京太郎「あー…もしもーし」

まこ『お、おはようさん。…あー、まだ寝とったかのう?』

京太郎「いまおきたとこです…」

まこ『ほ、ほうか。…えっと、でな?昨日の、話なんじゃが…』

京太郎「あい……って染谷先輩!?」ガバッ

まこ『お、おぅ!どうした?寝惚けとったか?』

京太郎「え、あ、いや大丈夫です!起きてます!」

まこ『ん、それでな…き、昨日の、返事、なんじゃが…』

京太郎「え、あ!い、今?今ですか!?」

まこ『いや、こういうのは、その、直接話すんがええと思っとるんじゃが…京太郎が電話で良ければ今でも構わんぞ?』

京太郎「う、えーと、い、今はちょっと心の準備が…」

まこ『…それじゃあ、昼休みでええかのぅ?場所は…昨日の、旧校舎裏で』

京太郎「は、はい!わかりました」

まこ『そ、それじゃあ、お昼にな』プツッ

京太郎「あー…びっくりしたぁ…」

京太郎(まさかいきなり電話が来るとは…)

京太郎(…まぁ染谷先輩のモーニングコールで目覚めたと考えればこれは一日の始まりとしては最高だな!)

京太郎(あ、でももしこの後フラれたら…)

京太郎「…いやいや!いきなり想像で落ち込んでどうすんだ!」

京太郎「朝一番に染谷先輩の声を聞けたことをラッキーだと思うんだ!…だいたい嫌われてたらわざわざ電話なんてしてくれないって!たぶん…」

京太郎「…よし!学校いくか!」

………

咲「あ、おはよう京ちゃん」

京太郎「おう、おはよう咲」

咲「…えっと、その、きょ、今日はいい天気だね!」

京太郎「…?そうだな」

咲「あー、っと…えーと」

京太郎「…どうした?なんか変だぞ?」

咲「あ、いや、別に何でもないよ!?染谷先輩とのこととか全然知らないし!」

京太郎「!?!?!?」

京太郎「え?あ、ちょっと!?うん、え!?」

咲「あ、違うから!知らないから!気にしないで!」

京太郎「そ、そうだよな!咲には関係ないしな!知ってるわけないよな!?」

咲「そ、そうだよ!京ちゃんが染谷先輩に告白したとか全然知らないし!」

ザワザワ

ソメヤセンパイ?エー?ミヤナガトツキアッテタンジャネーノ?

京太郎「」

咲「あ…ご、ごめんね?京ちゃん…」


………

京太郎(そうだよなー自分が弄られる可能性を考慮して逃げ帰ったけど…女子だけだったら相談してもおかしくはないよなー)

咲「あの…京ちゃん…?」

京太郎「つーかさ!何も大声で言いふらさなくてもいいだろ…」

咲「ご、ごめん!悪気は無かったんだけど…なんか私も緊張しちゃって…」

京太郎「あー恥ずかしいマジヤバイこれでフラれたらほんとヤバイ恥ずかしい死ぬ」

咲「ちょっと、少し落ち着いてよ…」

京太郎「落ち着けってだってお前!これちょっと、ねぇ!?」

咲「…そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?」

京太郎「大丈夫って言われても…そんなん何を根拠に!?」

咲「んーと、染谷先輩は…なんていうか、すっごく京ちゃんのこと…気にかけてると思うな」

京太郎「…それは、俺が部内で唯一の男で、唯一の初心者だからだろ?」

咲「そうかもしれないけど…それでも、染谷先輩はちゃんと京ちゃんのこと気にしてたから、きっと京ちゃんの良いところ、よーくわかってくれてると思うよ?」

咲「…私は、京ちゃんはもうちょっと自分に自信を持っていいと思うな」

咲「私も和ちゃんも優希ちゃんも、部長に染谷先輩…部のみんなが、京ちゃんには感謝してるんだよ?」

咲「夏の大会の間、私達が麻雀のことだけ考えて過ごせたのは、京ちゃんがみんなのために、って一生懸命頑張ってくれたからだって」

京太郎「……でも」

咲「でも、じゃなくってさ」

咲「私は、誰かのために一生懸命になれるのって、とっても素敵なことだと思うな」

京太郎「……」

咲「んーと…あのさ?」

咲「…京ちゃんが自信持てない一番の理由って、麻雀のこと…だよね?」

京太郎「……!」

咲「自分だけが初心者だった事、気にしてるみたいだけど…最初は誰だって初心者なんだから、気にしなくて良いんだよ?」

京太郎「…カッコ悪いだろ?女子が全国優勝してるのに、唯一の男子の俺が、地区予選…それも午前の部で敗退なんてさ」

咲「始めて半年で全国レベルだなんて本当に一握りの人だけだよ…今からサッカー部に入って、冬は国立、なんて無理でしょ?」

咲「それに、自分で言うのもちょっとアレだけど…全国レベルの仲間が五人もいるんだから!ね?」

咲「京ちゃんはちゃんと上達してるよ?この調子でみんなと練習して、これからの大会で頑張ればいいんだよ」

京太郎「俺だってそのつもりだ!…そのつもり、だけど」

京太郎「……俺、全然勝てないし…本当に麻雀上手くなってるのかな…?」

咲「上手くなってるよ!みんなもそう言ってたでしょ?」

京太郎「でも…」

咲「京ちゃんってさ…一回へこむとめんどくさいよね」

京太郎「はぁ!?な、なんだよ!めんどくさいって!励ましてくれてんじゃなかったのかよ!?」

咲「京ちゃんが自分で自信持てなきゃ、私が何言ってもしょうがないでしょ」ハァ

咲「…で?いつ染谷先輩に返事もらうの?」

京太郎「え、と…昼休みだけど」

咲「先輩と会うときにそんな顔してたら、心配かけちゃうよ?…ほら、授業始まるよ」トテテ

京太郎「あ、おい、咲!」

京太郎「そんな顔、って言われても…」

京太郎(自分に自信が持てないのなんて仕方ないだろ…?俺は、結果を出せてないんだ)

京太郎(みんなが全国で強敵と戦ってる間、俺は見てるだけで…)

京太郎(せいぜい荷物持ったり、買い出し行ったり、タコス作ったり…)

京太郎(みんなはそれだけでも助けになったって言ってくれてるけど…)

京太郎(知識も経験も足りない俺は牌譜からデータを纏めたりとか、試合で直接役に立つことはできなかったんだぞ?)

京太郎(それなのに、それなのにみんなは、染谷先輩は俺のことを気にかけてくれて…)

京太郎(…俺は本当に上手くなってるのか?オカルトの本も結局よくわかんなかったし…)

京太郎(みんなが全国レベルの打ち手なのはわかってるけど、半年打ってて部内でトップ取ったこと無いし…)

京太郎(…本当は、俺が…男で、初心者の俺がいない方が、みんなには良かったんじゃないのか…?)


………

ザワザワ

咲「京ちゃん、京ちゃん」

京太郎「……?あ、やべぇ寝てた…」

咲「もうお昼だよ?」

京太郎「おう…」

咲「染谷先輩、待ってるんじゃないの?」

京太郎「…っと!悪いな咲、起こしてくれてサンキューな」

咲「頑張ってね」

京太郎「ん…行ってくる」

京太郎(考え込んでるうちに寝ちまったのか…)

京太郎(俺は……)

京太郎(…旧校舎、急いで行かなきゃな)

まこ「あ、京太郎」

京太郎「染谷先輩…すいません、遅くなっちゃって」

まこ「き、気にすることないわ…わしもいま来たとこじゃけぇ」

まこ(…なんか今の、デートの待ち合わせみたいでちょっと恥ずかしいのう)

まこ「あー、それでな?昨日の返事じゃが…」

京太郎「は、い…」

まこ「…どうした?なんか、元気無いのう」

京太郎「あー…なんと言うか」

京太郎「俺って…どうなんでしょうね?」

まこ「…?どういう意味じゃ?」

京太郎「…俺って必要なんでしょうか?」

まこ「いきなり何言っとるんじゃ…そんなん当然じゃろ?…誰かになんか言われたんか?」

京太郎「ちょっと咲と話して…色々考えたんですけど、なんか俺ってダメだなぁって」

京太郎「あ、咲に悪口言われたとかじゃ無いですよ?…ただ、俺って夏も何もできなかったですし」

まこ「何を言うとるんじゃ!京太郎はみんなのために細やかなことほとんど受け持ってくれたじゃろ?…みんな、感謝しとるよ?」

京太郎「…でも、麻雀にはなんの役にも立てなかったじゃないですか!」

まこ「んなこたぁない!麻雀に集中できたんは京太郎のお蔭だし精神的にも支えてもらった!」

まこ「…そんなこと言ったら、わしだって!大会に向けて活動を始めてからは京太郎のこと、ほとんど放置してもうたじゃろ?…本当にすまんかった」

京太郎「そんなの、優勝目指してたんですから!選手の先輩が自分の練習に力を入れるのは当然じゃないですか!」

まこ「そうだとしても!後輩をないがしろにしたんは、先輩として…」

京太郎「俺は!ないがしろにされたとも放置されたとも思ってませんよ!」

京太郎「そりゃあ、合同合宿の時とか留守番で寂しかったですけど…お土産買ってきてくれたりとか、先輩がちゃんと気にしてくれてるってわかってたから…」

京太郎「だから!俺、情けなくて…気にかけてもらってるのに、大会じゃ何もできない自分が…」

まこ「そんなに自分を卑下しなくてもええ!自分が清澄の優勝を陰から支えたんだ、って思ってええんじゃぞ?」

京太郎「…でも俺は、試合で結果を出せてないから」

まこ「…夏の大会で京太郎の努力が実を結ばなかったのはわしのせいじゃ!…適切な指導もできんかったし、注目選手のデータもろくに準備できんかったし…」

京太郎「うちの部は少人数なんですし、ある程度自分で準備するべきだったんですよ!…先輩のせいじゃないです!」

まこ「初心者の一年生に大会にどう臨めばいいのかも教えられんかったんじゃぞ!?わしの責任じゃ!」

京太郎「俺の大会だったんですから結果が出なかったのは俺の責任ですよ!」

京太郎「先輩が責任を感じることはないんです!次の大会こそは…俺が、俺の力で結果を出さないと…!」

まこ「…大会の結果が全てじゃないじゃろ?京太郎はちゃんと部活に貢献しとるんじゃからもっと自信を持って…」

京太郎「結果も出さずに自信なんか持てませんよ!」

まこ「…なんでそんなに大会の成績にこだわるんじゃ?成績に意味がないとは言わんが…」

京太郎「…俺、麻雀好きだから」

京太郎「部活のみんなも、染谷先輩のことも好きだから…」

京太郎「だから清澄が全国優勝した時はすっげぇ嬉しくて」

京太郎「…だけど、みんなに置いてかれたみたいで、寂しくて、悔しくて」

京太郎「俺も…みんなと一緒に戦えるぐらい麻雀上手くなって、大会で結果出して…」

京太郎「そうしないと俺も清澄高校麻雀部の一員なんだって、胸を張れない気がして…」

まこ「…そんなに気にしとったんか」

京太郎「…みんなが上手くなってるって言ってくれても、やっぱり勝ててないですから…自信、持てなくて」

京太郎「…すいません、ウジウジと愚痴っちゃって。先輩の前じゃカッコつけたいんですけどね…」

まこ「…半泣きで愚痴る姿は、正直カッコ良くはなかったのう」

京太郎「あー、ハハハ…すいません、情けなくて」

まこ「気にせんでええ…今まですまんかったのう、京太郎」

京太郎「?…なにがですか?」

まこ「京太郎が悩んでたのに、今まで気づいてやれんかった」

まこ「それに、やっぱり夏の大会に関してはちゃんと面倒見てやれんかったわしにも非があるからのう」

京太郎「そんな!俺は染谷先輩がいっぱい気を遣ってくれてるの感じてましたし、本当に気にしてませんから!」

まこ「あんたが気にしてなくてもわしが気にしとるんじゃ」

まこ「だから…これからはちゃんと、あんたの面倒見てやりたいんじゃよ」

京太郎「だ、だからそんなに気にしないでくださいよ!本当に大丈夫ですから!」

まこ「あー…だから、そうじゃなくてな?」

京太郎「え?…あの、どういうことですか?」

まこ「だ、だからな?」

まこ「…わしは、京太郎のことが、す、好きじゃ!これからは…先輩として、それから、こ、恋人として、京太郎のこと支えてやりたいと、思っとる」

京太郎「え」

まこ「…その反応は無いじゃろ。かなり恥ずかしかったんじゃが…」

京太郎「え、だってその…あ、ははは…え?マジですか?」

まこ「…別に嫌なら無理にとは言わんわ」

京太郎「嫌なわけ無いじゃないですか!嬉しいです!」

まこ「ん…まぁ、その、よろしく頼むわ」

まこ「…今までの分も、ちゃんと面倒見ちゃるからな」

京太郎「…先輩も本当に気にしなくて良いですから。俺にとって染谷先輩は凄くいい先輩ですから」

京太郎「それこそ先輩の方も、自信持ってくださいよ」

まこ「…ん、ありがとな」


………

ガラッ

咲「あ」

京太郎「なんだよ、あ、って」

咲「いや、別に?…おかえり」

京太郎「おう」

咲「…遅かったね?」

京太郎「いやー染谷先輩と弁当食ってたんだけど…」

咲「そっか!良かったね!」

京太郎「…お、おう。それでな」

咲「いいなー染谷先輩のお弁当…私も食べたかったなぁ」

京太郎「そっちかよ!もっとなんか、こう、あるんじゃねぇの?」

咲「だって京ちゃん、ソワソワしすぎ。話したいです!って顔してさ…凄く鬱陶しいノロケとか始めそうだし…」

京太郎「そりゃ悪かったな!どうせ俺はめんどくさい奴だよ!」

咲「うん、そうだね」

京太郎「…なんかお前容赦ねぇな。ちょっと傷つくぞ」

咲「そういうところが…うん、まぁいいや。…元気になったみたいだしよかったよ」

京太郎「…色々悩んでたこととか染谷先輩と話してさ、スッキリしたよ」

京太郎「朝は俺もちょっとナーバスになってたし…悪かったな、心配してくれてたのに」

咲「いいよ、気にしなくて…友達でしょ」

京太郎「…さんきゅ」

京太郎「あ、それでな?」

咲「…みんなも心配してたし部活の時に聞くよ」

京太郎「そうか?それじゃあそうするかなー」

咲「…同じ話二回も聞きたくないしね」ボソッ

京太郎「ん?なんか言ったか?」

咲「…別に?何も言ってないよ」


………

ガラッ

京太郎「こんちはー」

久「須賀くんおそーい!で、まことは?どうなったの?」

京太郎「いやーそれ聞いちゃいます?聞いちゃいますかー」

久「まこったら照れちゃって何も教えてくれないんだもの!相談に乗ってあげたって言うのに…」

まこ「あんたはなんの役にもたたんかったじゃろ…」

久「なに言ってんのよ!?ちゃんと助っ人送り込んであげたでしょー?」

まこ「あんた…!…藤田プロもこんなのに使われて大変じゃのう」ハァ

久「そんなに誉めないでよ、もう!…もっと感謝してもいいのよ?」

まこ「…ありがと。助かったわ」

久「どーいたしまして!」

和「それで?どうなったんですか?」ワクワク

優希「まぁこの様子を見ればわかるけどなー」

京太郎「実は…俺と、染谷先輩は…」

咲(…鬱陶しいなぁ)ハァ

和「焦らさないでください!」ドキドキ

優希「のどちゃん…ちょっと落ち着いて」

京太郎「このたび!めでたくお付き合いすることになりましたー!」イェーイ!

優希「おめでとー!」イェーイ!

和「おめでとうございます!」パチパチ

咲「良かったね、京ちゃん」

久「よっ!大統領!」パチパチ

京太郎「ありがとうございます!ありがとうございます!」

まこ「…どーも」

久「それで?それからどうしたのよ?」

京太郎「いやー染谷先輩が俺の分もお弁当作って来てくれてて…」

まこ「おい、京太郎!余計なことまで言わんでいいからな!?」

和「い、今の発言はお弁当以上のことがあったということでしょうか!?」ドキドキ

優希「…のどちゃんぐいぐい行くなー」

咲「…京ちゃんのことだから手を握ったとかだと思うよ」

京太郎「おい咲!あんまりヘタレだと思って馬鹿にすんなよ?俺だってやるときゃやるんだぞ!」

久「ぅえ!?が、学校でヤっちゃったの!?」

優希「じぇ!?や、ヤるってそういう…」カァァ

咲「え!?そ、それはさすがに段階をとばしすぎじゃあ…」カァァ

和「あわわわ…そ、そういうことはけ、結婚してから…いや、昨日須賀くんがプロポーズしてるんですから婚約者で…でもまだ高校生ですし…」

まこ「いやいやいや!やや、ヤるってなんじゃ!?ヤっとらんわ!」マッカッカー

久「まさかまこが『デザートはわ・た・し(はぁと』…とかやっちゃったとは」

まこ「そ、そんな恥ずかしいことするわけあるか!」

京太郎「い、いきなりそれはレベル高過ぎですよ!」

優希「あ、あの、もっと節度を持ったお付き合いを…」モジモジ

まこ「だからしとらんって!話を聞きんさい!」

和「にょ、女体盛りなんて破廉恥です!」

まこ「あんたは何を言っとるんじゃ!?」

咲「…じゃあ、ほっぺにちゅーとか?」

京太郎「だから馬鹿にすんなって!ちゃんと口に…」

まこ「きょ、京太郎!」

久「ほほぅ?」ニヤニヤ

優希「おおぅ…京太郎の癖に頑張ったじゃないか」ニヤニヤ

咲「うわ…まさか京ちゃんが…成長したね」ニヤニヤ

和「ちゅ、ちゅーしちゃったんですか!?」ドキドキ

まこ「きょ、京太郎!こ、この阿呆!」カァァ

京太郎「す、すいません!その、わざとじゃなくって!」

久「いやーまこのファーストキス須賀くんに取られちゃったかー」ニヤニヤ

咲「ごめんね京ちゃん…まさかいきなりキスする度胸があったなんて」ニヤニヤ

優希「めでたいじぇ!今日は赤飯だな!」ニヤニヤ

まこ「あーもう!全員ちょっと黙りんさい!ニヤニヤすんのもやめぇ!」カァァ

和「あ、あの!ファーストキスはレモン味って本当なんでしょうか!?」ドキドキ

京太郎「あ、いや、その…」





京太郎「すっごく甘い、玉子焼きの味だったよ」



カン!

玉子焼きは塩派の人すいません

染谷先輩は砂糖も塩も使いこなすと思います

ここまでお付き合いいただきありがとうございました

SS書くの慣れたいですし暫く依頼は出さずにおきます

今後は後日談等投下していくと思いますのでもうしばらくよろしくお願いします

sage進行なのに反応いただけて嬉しいです。今後もお付き合いいただければ幸いです

全国編BD3巻届きました。染谷先輩超かっこいいけど出番短いのはやっぱ残念…

少し投下します

久「しばらく部活に出ない?」

まこ「ああ、京太郎も連れてくわ」

京太郎「え?俺ですか?」

久「んー、認めてあげたいけど…大会前だしデート休暇はちょっと…」

まこ「な、何を言っとるんじゃ!京太郎にはうちの雀荘を手伝ってもらおうと思って…」

和「実家のお手伝い…将来を見据えて、ということですね」

まこ「そんな話はしとらんわ!京太郎にはちゃんと経験を…」

優希「なるほど!お店に慣れておけばいつ婿入りしても安心だじぇ!」

まこ「だーかーら!話を…」

咲「染谷先輩は看板娘だし、常連さんにちゃんと挨拶しないと駄目だよ?京ちゃん」

京太郎「え、そんな、挨拶って…む、娘さんを僕にください!ってやつだよな!?えっと、菓子折りとか持ってった方がいいかな!?」

まこ「な、な、な!ち、違うわ!違う!そうじゃなくて…!」


まこ「あー…コホン。よし、ちゃんと説明するからな?」

久「二人の関係を?お客さんにそこまで言わなくても…」

まこ「違うっつーに!黙っとれ!」

まこ「ハァ…ハァ…あー、京太郎はたしかに麻雀上手くなっとる…しかし今はその事に自信を持てないわけじゃ」

京太郎「はい…その、全然勝ててないですから」

和「?…以前ネト麻の成績見せていただいた時はそこそこの戦績を出していたように思いますが」

京太郎「……リアルで打って一位とったこと無いんだよ、俺」

まこ「普段部活でしか打っとらんからな…京太郎とそれ以外ではやっぱり経験に差があるからのう」

久「ふむ…つまり雀荘でいろんな人と打たせて自信つけさせてやろう、ってことね」

まこ「客の実力は様々じゃが…まぁ今の京太郎なら全く勝てないってことは無いじゃろ」

京太郎「でも、もしそれで勝てなかったら…」

咲「…だからいちいち悪い方に考えないの」ハァ

和「麻雀はなかなか勝てないということも起こり得ますし、総合すれば悪い成績ではないのですから自信を持ってもいいのでは?」

優希「あんまりウジウジしてると染谷先輩に嫌われるじぇ?」

京太郎「ちょ、それは困る!」

久「何はともあれ打ってみてからでしょ。須賀くん、頑張ってきなさい!」

京太郎「はい!頑張ります!」

………

雀荘『Roof-top』

京太郎「ここが先輩の…」

まこ「ん、更衣室はあっちじゃ。さすがに学校の制服じゃまずいしのう」

京太郎「あ、そういや前に咲と和が手伝いに行ったときはメイド服着たって聞きましたけど…」

まこ「なんじゃ?…まさかメイド服着たいんか!?」

京太郎「違いますよ!?いや、俺着替えとか持ってませんし…なんか制服みたいなのあるんですか?メイド服と合わせて執事服とか…?」

まこ「いや、メイド服は趣味で集めとるんじゃが…あー」

まこ「今日のところは父さんの服借りてくるからそれで我慢してもらえるかのう…?」

京太郎「特に無いんですね…大丈夫です。お借りします」


まこ「ふむ…にしても執事服か。女性客取り込めるかもしれんし、京太郎が着たいなら準備してみるかのう」

京太郎「あ、いや!俺が執事なんて!無理ですよ!」

まこ「ほうか?京太郎は身長もあるし結構様になるんじゃないかと思ったんじゃが…」

京太郎「その、本物の執事さん知ってますし…なんというか、俺なんかがおこがましいというか」

まこ「…龍門渕の執事さんは、なんというか…規格外じゃったのう」

京太郎「タコスとか…今も色々お世話になってるんですけど、消えたと思えば現れ、現れたと思ったら消え…何もないとこからティーセットや自動卓出したりとか」

まこ「…そういうもんなんじゃろ。深く考えん方がええ」


まこ「それじゃあ着替え取ってくるけぇね。これ、うちのルールだから目を通しておいてくれるかのう」

京太郎「あ、はい」

京太郎(ノーレート…お金賭けないなら取りあえずは安心だな…)

京太郎(…切り上げ満貫?嶺上解花の責任払いは無し…って咲じゃあるまいし関係ないかな?)

京太郎(…夏は何がなんだかよくわからないうちに終わっちゃったし知らない人と打つの、少し緊張するなぁ)

京太郎(お客さんは大人が多いし…煙草の臭いとか、部活とはやっぱり違う感じがする…)

まこ「待たせたの。ルールの方は平気かのう?」

京太郎「あ、はい!だい、じょ…ぶ、です」

まこ「ん?どうした?」


京太郎「あ、いや…先輩も着るんですね、メイド服」

まこ「そりゃあ着るが……あー、もしかして変かのう?」

京太郎「ち、違っ!その、よく似合ってると!か、かわっ!かわ…い、い…です」カァァ

まこ「っ!あ、う…そ、そう…かのう?ありが…とう、な」カァァ

京太郎「い、いえ…その、はい…」

まこ「お、おう…」

京太郎「……」モジモジ

まこ「……」モジモジ

京太郎まこ「「あ、あのっ!」」

まこ「…な、なんじゃ!?」

京太郎「あ、いえ!先輩がお先にどうぞっ!」


まこ「そ、その…」

京太郎「は、はい…」

まこ「えっと…は、早く着替えてきんさい!これ!服!」

京太郎「あ、はい!そ、そうですね!早く準備してお手伝いしないと!麻雀打たなきゃですよね!」

まこ「そ、そうじゃ!早く店出んとな!忙しいし!」

京太郎「えっと、じゃあ着替えて来ます!」バタバタ



まこ「うぅ…かわ、かわいいって」カァァ

まこ(昔から店には顔出しとるし、お客さんにかわいいなんてよく言われとるが…)

まこ(やっぱり、この、娘や孫に言う感じのとは違うニュアンスのが来ると…)

まこ(ぅあー……恥ずかしぃ)プシュー


京太郎(あぁぁぁ!ビビった!なんだよいきなり!メイド服って!かわいいじゃないか!)

京太郎(咲と和はフリフリの着たって言ってたし…まぁ少なくともあと二着はあるんだよな…メイド服)

京太郎(フリフリの…うん、結構いいんじゃないか?先輩は今着てるやつの方が似合いそうだけど…)

京太郎(つーかどんなの持ってんだろう…趣味で集めてるって言ってたし三着ってことはないよな?)

京太郎(色んなのあるんだろうなぁ…もっとこう、際どいのとか…)

京太郎「…いや、いやいやいや!」

京太郎「…今日は真面目に麻雀しに来たんだし!そういう…ふ、不埒なことは」

京太郎(…帰ってから考えよう、うん)


………

京太郎「よろしくお願いします!」

「お、まこちゃん新しいバイトいれたのかい?」

まこ「部活の後輩なんです。麻雀始めて半年なんで秋の大会前に場数踏ませてやろうと思いまして」

「それじゃあ、いっちょ揉んでやるか」

「夏はまこちゃんたち優勝してるし、兄ちゃんも頑張らなきゃなぁ」

京太郎「…はい!頑張ります!よろしくお願いします!」


………

京太郎(しばらく打ってみたけど…)

京太郎(東場から攻めるタイミングが来ることに違和感が…)

京太郎(んー…行ってみるか?)

京太郎「えっと、リーチです!」

「おー、兄ちゃんはえーな」

京太郎(…リーチしないほうが良かったか?でもあまり回りに高い手の気配はしないんだよな)

京太郎「あ…ツモです。一発ついて3000・6000でお願いします」

「ハハ、流れ来てるね兄ちゃん。その調子で大会も頑張りなよ」

京太郎「うっす!ありがとうございます!」

京太郎(…跳満なんてリアルで和了ったの初めてだな)

京太郎(…なんかアレだな、普通に和了れてもちょっと怖いな)


………

靖子「よっ、カツ丼特盛お願いね」

まこ「うぉっ!藤田プロ!?いつの間に…」

靖子「あんたが出てくるちょっと前にね。久から連絡来てさ」

まこ「…プロ雀士って案外暇なんですか?」

靖子「…この前試合あったし、たまたま時間があったんだよ」

靖子「で…あの子?あんたの彼氏」

まこ「かっ、彼氏って!」

靖子「ん?違うのか?」

まこ「あ、いや……まぁ、そう、なんですけど…」

靖子「へぇ…あんたってさ」

まこ「…なんですか?」

靖子「結構面食いだったんだね」ニヤニヤ

まこ「なっ!いや、別にそういうわけじゃ…!」

まこ「そりゃ外見もそこそこ整ってるとは思いますけど、ちゃんと中身も…ぁ」


靖子「はいはい、ごちそうさま~」ニヤニヤ

まこ「ううぅ…藤田プロ」マッカッカ-

靖子「いちいち赤くなっちゃって…可愛いやつめ」

まこ「あーもう…勘弁してくださいよ…」

靖子「まぁちょっとぐらいからかわせてもらわないと割に合わないからね」フフッ

靖子「…それじゃあ、どんな感じか」

靖子「ちょっと見せてもらおうかしら…?」ゴッ


京太郎「っ!?」ビクッ

「ん?どうした兄ちゃん」

京太郎「あ、えっと…なんでもないです」

京太郎(なんだ…今の……?)キョロキョロ

靖子「あ、一応感じるみたいね」

まこ「…いきなりそんな殺気飛ばさんで下さいよ」

靖子「ごめんごめん…まぁ反応してたし、見込みはあるんじゃない?」

靖子「彼、どんな打ち手なの?」

まこ「部員と打っとるとこしか見たこと無いですけど…最近はダマにもほとんど振らずにオリられるようになりましたし、気配を感じる力は強いと思います」

靖子「んー…まぁ普段からあんたたちみたいなのと打ってたらしっかりオリれないとすぐにトビだもんねぇ」


………

靖子「ここ、入っていいかな?」

京太郎「ふ、藤田プロ!?」

「藤田プロ!どうぞどうぞ!よろしくお願いします」

まこ「カツ丼でーす」

靖子「ありがと。えーと、須賀くん?夏…県大会でちょろっと会ったよね?」ガツガツ

京太郎「うぇ!?あ、は、はい!お昼に少し…直接お話はしてないですけど」

靖子「そうだよね…顔見たら思い出したよ」ガツガツ

京太郎「…えっと、咲や和がお世話になったみたいで!あー部長の知り合いでここの常連さんだとか…」

靖子「そんな緊張しなくていいよ。…普通に打ってくれればいい、そのために来たんだからね」ガツガツ

京太郎「え?…ってことは、俺を?」

靖子「そうそう…ここの看板娘が自分の彼氏を見てほしいって言うからさぁ」ニヤニヤ

まこ「ふ、藤田プロ!」

「なんだ兄ちゃん!まこちゃんと付き合ってんのか!」

京太郎「え!?ぅわ、は、はい!えっと、その、先輩とは健全なお付き合いを…」


ザワザワ

「そうか…まこちゃんも男作る年かぁ…」

まこ「あ、いやその…」カァァ

「わしらのアイドルに手を出すたぁふてぇ野郎だ!」

京太郎「あ、うわ、す、すいません!」

「くたばったじいさんの分も殴ってやらねぇといかんなぁ」

京太郎「え!?あの、お、お手柔らかに!?」

ザワザワ

靖子「いやーやっぱり人気者だねぇ、あんた」

まこ「ちょっと!別にそんな…言わんでもええでしょう!?」

靖子「須賀くんも早くここに慣れた方がいいんじゃない?ここに永久就職でしょ?」ニヤニヤ

まこ「ぅあーもう!こっちのことより自分の事気にしたらどうです!?」


靖子「わ、私はまだプロ雀士としてもこれからだし…時間は全然あるし…そんな、必死にならなくても大丈夫、な筈…」ブツブツ

「見合い相手の紹介でもしましょうか?」ハハハ

靖子「え、あー…いや、まだ、まだ大丈夫です…」

まこ「ほれ!京太郎もいつまでも騒いどらんで!せっかく藤田プロ来てくださったんだから打ちんさい!」

京太郎「は、はい!すいません!」

「なんだ兄ちゃんもう尻に敷かれてんのか!」

京太郎「あーまぁ頭上がらないですね…惚れた弱味と言いますか…」

「ほら、藤田プロ…小鍛治プロや瑞原プロみたいな例もありますし…」

靖子「ぐぅ…それを言われると…たしかにちょっと不安はあるんですけど…」


………

京太郎「いやぁ…結局ほとんど打てませんでしたね」ハハハ

まこ「何を笑っとるんじゃ!藤田プロだって毎日暇なわけじゃないんじゃぞ!?」

靖子「まあ落ち着けって。少しは打ったし、だいたいわかったよ」

京太郎「…!」

まこ「どうですかね?京太郎は…」

靖子「危機察知能力が高い。何度か意地悪な待ちに取ってみたりもしたが、しっかり回避してたな…どの程度感じるんだ?」

京太郎「えっと…張ったかなーと思ったらだいたい当たってると思います…危険牌はなんとなく、こう、寒気がするというか…」

靖子「ふむ、精度もかなり高い、と……まぁ、今のままでもそこそこの成績が出ると思うぞ?」

まこ「本当ですか!?」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

靖子「でも、今のままじゃそこそこ止まり…上位入賞は無理だな」

京太郎まこ「……!」


靖子「今日は一回もトップなかったよね?」

京太郎「は、はい…二位は多かったんですけど」

靖子「なんというか…勝ち方を知らないのかな?攻めるときもなんだか…おっかなびっくりというかさ」

京太郎「……」

靖子「そういう攻め方じゃ牌は応えてくれないよ。勝って結果を出したいんだろう?」

京太郎「それは!当然、勝ちたいです!」

靖子「そういう気迫がもっと欲しいかな…部活内で打ってる時は実力差や経験差もあって、負けても仕方ない、なんて思うこともあっただろう」

靖子「でも、真剣勝負の場ではそんな甘えは許されない…気持ちで負けた奴は絶対に勝てない」

靖子「どんなに絶望的な状況でも、決して諦めないこと、それが"まくり"の、そして勝利の条件だ」


まこ「……」

京太郎「……」

靖子「…なんだよ、なんか言えよ」

まこ「あ、いや藤田プロなのにちょっとかっこよかったんで…」

靖子「ちょっと!どういう意味!?」

まこ「なんか、久にやり込められてる印象が強いというか…」

京太郎「せんべい買うと出てくる印象が強いというか…」

靖子「失礼な奴等だな…つーかプロ麻雀せんべいのは気のせいだって!封入率操作の事実はないから!」

靖子「なんで私のブログに『また藤田プロのカード出たんですけど…』とかコメントすんだよ!しかも週に二、三回も!メーカーに言えよ!」


靖子「…まぁとにかくだ。守備に関しては問題は無いだろう。」

靖子「もっと気持ちを強く持って打ちなさい。絶対に勝つって気持ちがないと、大事な場面で競り負ける」

京太郎「…はい!肝に銘じておきます」

まこ「今日は、ありがとうございました」

靖子「気にすんなって。立場上あんまり表立って応援出来ないけど、期待してるよ」

京太郎「ありがとうございます!頑張ります!」

靖子「じゃ、またカツ丼食べに来るから」

カランカラン

京太郎「……あの、先輩」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「ここって雀荘じゃ…」

まこ「…もうカツ丼屋でええよ」

とりあえずここまでで

闘牌描写は自信ないので…。ここの京太郎は「みんなと麻雀打つため」に潜在能力4は回避に全振りです

この間ウィンターソルジャー見てきたんですけど「キャプテン・カゼコシ」とか「超人滝見春ク」とか「マイティ・爽」とかありませんかね?

京ちゃんがハンドやってたって設定が出てきて京咲捗ると見せかけて

京太郎「日曜試合なんだ」

咲「へー、頑張ってね京ちゃん」or咲「応援行けたら行くよ」(行くとは言ってない)なイメージ

はやりんはおばあちゃん絡みなのか慕絡みなのかまふふ絡みなのかむしろオカルト研究の道だったのか

穏乃→山×久とかどっかでやろうかと思ってたんですけどネタにしにくくなっちゃいましたね…

投下じゃないのにすいません。テンション上がったのでつい

京太郎の話は本編に挿入するタイミングがなさそうだし特典にするなら他の高校でやれよって話になりそうだし…

咲さんの過去回想とかにちょろっと描写できるかなぐらいでしょうね。ラブじゃん二巻とか出たらワンチャンあるかな?

今日は金曜ロードショー見てから投下します。月末からのX-MEN楽しみです

マグニートー超かっこいい。あのだっさいメット装着してもかっこよく見えるからイケメンってずるい

投下します


キーンコーンカーンコーン

京太郎「よっしゃ!咲、学食行こうぜ」

咲「ん、いいけど…」

京太郎「なんだよ?」

咲「…たまには染谷先輩と二人で食べたら?」

京太郎「いいんだよ。最近放課後は『Roof-top』だから、昼飯時ぐらいしかみんなと会えないだろ」

京太郎「それに、優希にタコスやらなきゃだしな」フフッ

咲「その顔…今日は自信作みたいだね」

京太郎「おう!今回は素材にもこだわってみてな?」


咲「もう…タコス作りよりも麻雀の練習頑張りなよ」

京太郎「タコスだって重要だろ?うちのエース様のコンディションを大きく左右するんだからさ」

咲「まぁそうなんだけど…実際麻雀の方はどうなの?成果は出てる?」

京太郎「ん…まあまあかな?前よりは自信あるよ」

咲「そっか…よかったよ」

京太郎(実際、『Roof-top』に通いはじめて一週間程経ったが…かなり自分に自信を持てるようになった)

京太郎(大きく勝つことはないけど、守備に関しては藤田プロの御墨付きをもらったことで、自分の感覚をかなり信頼できるようになったし…)

京太郎(…ただ、やっぱりなかなかトップを取れない)

京太郎(部活で打つ時は基本攻めない…攻めれない、が正しいか)

京太郎(…つまり攻撃の練習不足なんだよな。だから自信を持って攻めれない…今は色々試してみてるけど…)

咲「京ちゃん、どこまで行くの?」

京太郎「どこまでって…学食に決まってんだろ」

咲「…通りすぎてるよ」

京太郎「…わりぃ、考え事してた」


京太郎「まさか咲に道について言われる日が来るとは…」

咲「さすがにもう校舎内じゃ迷わないよ!」プクー

京太郎「…この前、図書室探してさまよってるの見たって奴がいたけど」

咲「ち、違うもん!あの時は一階多く昇っちゃっただけで…」

「よっ!相変わらずの仲良し夫婦だな」クックックッ

咲「嫁さん違います!」

京太郎「俺も恋人できたっつーの!誤解を招くからやめろって!」

「わりぃわりぃ、もう癖でよ…お前ら見るとついな。麻雀部のみんな、あっちの奥の方に居たぞ」

咲「…ほんとだ!ありがとう」

「いえいえ。…にしても今日も弁当箱二つ持ってたぜ?いい嫁さんだなぁ」クックックッ

京太郎「まあな!いやあ染谷先輩マジで料理上手くてさ…この前も…」

「……」ゲシッ

京太郎「痛っ!なんだよ!?」

「いや、ノロケられるのはそれはそれでウザくて…」

咲「先輩いるときはヘタレてるくせに…いないときは全力でノロケるよね」


京太郎「だ、だって染谷先輩に直接「可愛いです」って言うのと、お前らに「染谷先輩可愛いよな」って言うのじゃなんというか、消費エネルギーにかなりの差があるだろ!?」

京太郎「つーか聞いてくれよ…この前さ、帰りに夕飯頂いたんだけどな?それがもう美味しいのなんのって!やっぱアレかな?愛情が籠ってると違うよな?あ、先輩のお母さんも先輩に似て美人でさ…「まこをよろしくね?」とか笑顔で言われちゃって!いやもう任せてくださいってかこちらこそよろしくお願いしますっていうかさ!つーか将来先輩もこんな感じになるのかなーとか思ったらちょっとドキドキしちゃって…」

「俺もうパン買ったし行くわ」

咲「うん、ありがとねー」

京太郎「って聞けよ!?」


………

咲「こんにちはー…すいません待たせちゃいましたか?」

久「ぜーんぜん?面白いもの見れたし」

京太郎「え?なんかあったんですか?」

優希「なかなかのショーだったじぇ」

和「えっと、その、微笑ましかったと言いますか…」ポッ

まこ「……」ツップシー

京太郎「染谷先輩?いったい何が…」

まこ「…うっさい、あほ」

咲「あー…聞こえてましたか」

優希「あんな大声じゃ聞かない方が難しいじぇ」

久「お昼時の食堂であれだけ盛大にノロケたらしばらくネタにされるわね」ニヤニヤ

京太郎「あ…っ!す、すいません…」カァァ


和「それでは…みんな揃いましたし、お昼にしましょうか?」

優希「うむ!もう腹ペコだじぇ~」

久「ほら、まこ?須賀くんにお弁当渡さないと」

まこ「…ああ、そうじゃな」ムクッ

久「羨ましいわね~…愛情たっぷりの愛妻弁当」

まこ「…ぅあー」ツップシー

咲「ほら、京ちゃんが自重しないから…」

京太郎「今後気を付けます…」

和「それに、やっぱり好意は直接お伝えした方がいいと思いますよ」

京太郎「…努力します」


京太郎「優希、ほれ、タコス…今日のは自信作だからさ!食べてくれよ!」

優希「お…うん。いただくじぇ」

まこ「咲、京太郎。さっきまで他校と練習試合したいって話をしとったんだがな?」

咲「練習試合…ですか?」

久「そ!夏の大会終わってから結構他校から申し込みも来てるのよね…ただ」

京太郎「ただ?」

久「んー、やっぱり相手は女子部ばっかりでね…うちは他校を招待できる設備が無いし…」

京太郎「…なんなら女子だけでも」

まこ「それじゃあ意味ないじゃろ?うちとしては京太郎に打たせたいんじゃし…」

久「同じ麻雀部の仲間なんだし、またお留守番ってのもね」

和「夏ほど緊急の状況ではないですし、須賀くんも打てる条件で相手を選ぶべきだと思いますよ」

京太郎「みんな…ありがとうございます!」ジーン

優希「…なぁ、京太郎」

京太郎「あ、どうだ?タコスなかなかうまくできてるだろ?」

優希「タコス、明日から作ってこなくていいぞ」

京太郎「」


和「ゆ、ゆーき!?どうしたんですか!?えっと、救急車呼びますか!?」

咲「きょ、京ちゃん塩と砂糖間違えたとかやってない!?優希ちゃんがタコス要らないなんて…」

まこ「ちょ、優希…ダメじゃ!京太郎のダメージがでかすぎる!」

久「どうしたの!?まさか間違って食品サンプル持ってきたとか…」

京太郎「部長と一緒にしないでくださいよ!」

咲「あ、復活した」


久「な、なによ…そんなに言わなくたっていいじゃない…」イジイジ

まこ「…あー、うん、ドンマイ」

京太郎「ゆ、優希?待ってくれよ…何がいけなかったんだ?トルティーヤには健康を気遣って玄米とか使ったし、水だって自然回帰水に変えた…もちろんこのタコスに電子レンジは使用していない!」

京太郎「な、何が…うぅ…俺を捨てないでくれぇ…」ポロポロ

咲「な、泣いてる…」ヒキッ

和「…修羅場ですね」ドキドキ

優希「あ、いや、タコスはおいしいじょ?文句なしだじぇ!」

京太郎「じゃ、じゃあどうして!?」

優希「だって…染谷先輩に悪いじぇ…」


まこ「…わしか?」

京太郎「どういうことだ?」

優希「…京太郎だって染谷先輩が毎日別の男にお弁当作ってたら嫌だろ?」

京太郎「……想像したら死にたくなった」ズーン

まこ「…わしは気にしとらんぞ?優希はタコスを食べて頑張れるんじゃし、京太郎も趣味で作ってるところあるし…」

優希「でも…やっぱりこういうことはしっかりするべきだと思うじぇ」

久「優希はいい子ねぇ」ナデナデ

京太郎「でも、それじゃあタコスはどうするんだよ?」

優希「…しばらくは自作と学食ので食いつなぐつもりだ」

咲「優希ちゃんのタコス、おいしいもんね」

和「でも、朝とか起きれるんですか?お寝坊さんですし、お昼の分は作るの大変なんじゃ…?」


優希「う…それを言われると…でも、自分で決めたことだしな」

京太郎「…わかった。それでも、せめて大会の時とか、大事な日にはタコス作らせてくれないか?やっぱほら、俺もみんなに世話になりっぱなしじゃさ」

優希「だけど…」

まこ「まあ、そこら辺をおとしどころにしてええじゃろ。京太郎もこう言っとるし、優希だってわしには大切な後輩じゃ」

優希「…うん!ありがとう染谷先輩!」

まこ「こっちこそ、気ぃ遣ってくれてありがとな」

久「あっさり修羅場終わっちゃって残念ね?和」

和「はい…って何を言わせるんですか!丸く収まってよかったですよ!」

咲「和ちゃん、最近こう…なんというか、元気だよね」


優希「しかし、専属シェフを失ったのは痛いじぇ…」

京太郎「お前がクビにしたんだろ?」

優希「いや、わたし的には寿退職だと思っているんだが…」

京太郎「ま、まだ結婚してねぇよ!」

久「良かったわねまこ!須賀くんが将来もらってくれるってよ?」

まこ「…もう知らん。勝手にやっとれ」カァァ

優希「やはりタコス職人を育成していくしかないか…」

咲「育成って言ってもタコス作り覚えて毎日作ってくれる人なんてそういないんじゃ…」

和「そういう意味では須賀くんはかなり稀少な存在ですね」

優希「ふぅむ……よし!京太郎!誰かいい男紹介しろ!」

京太郎「はぁ!?」


優希「いや、実際染谷先輩と京太郎が付き合い始めたしみんなもちょっと気になるだろ?」

和「こ、恋バナですか!?」ドキドキ

咲「わ、私は特にそういう相手はいないけど…たしかにちょっとは考えたよ」

久「んー、私は今はみんなと一緒に麻雀打ったりが楽しいし卒業するまではいいかなー」

優希「まぁそこそこ興味あるだろ?私はセクシーでキュートだから男子からのお誘いも多いのだが…」

京太郎「ハッどの口が言ってんだよ」

咲「でも、実際優希ちゃん人気あるよ?元気いっぱいでかわいいし…」

和「その、男子のお友達も多いですよね」

優希「まぁな!…だがしかし、私にも選ぶ権利はある!どうせならスペック高いほうがいいじぇ!」

京太郎「正々堂々そういうこと言っちゃうか…」


京太郎「…一応聞くけど、どういう相手がいいんだ?」

優希「まず、タコスが作れること!」

まこ「いきなり範囲を狭めすぎじゃないかのう」

優希「む…じゃあ、タコス作りは後々仕込むとして…」

優希「んー、私の身近な男と言えば同じ部活の京太郎だしな…じゃあ京太郎より背が高くて」

咲「京ちゃん180越えてるよ…?」

優希「京太郎よりイケメンで」

久「須賀くんも一応平均以上じゃない?」

優希「京太郎より優しく、気配りができて」

和「須賀くんは毎日タコス作ってくれるほどには優しくて、気も遣える方だと思いますが…」

優希「えーと…じゃあ京太郎より運動神経抜群で100mを6秒で走り、170キロの豪速球を投げるとか」

久「唐突に人間から離れたわね」

優希「言うだけタダだじぇ!」


優希「まぁそんな人間いるはずがないし…」

京太郎「いや、紹介できるけど…」

優希「はぁ!?」

和「そんなオカルトあり得ません!」

咲「えっと、それは…実在する人物なのかな?」

京太郎「いやいや!さすがに実在の人物しか挙げねぇよ!?」

久「中学生の頃に考えた設定とか?」

京太郎「違いますよ!俺中二病とかなってませんし!絶対になってませんし!!そういう黒歴史とかないですから!!!」

京太郎「ちゃんと実在の…みんなも知ってる人ですよ!」

まこ「ん…?もしかして」

京太郎「ハギヨシさんです」


咲「えっと…?」

和「…ああ、龍門渕の執事さんですね」

久「…まぁたしかにだいたい当てはまりそうだけど…170キロの豪速球投げるの?」

京太郎「いや、さすがにそれはわからないですけど…少なくとも170キロのボールより速く動けると思いますよ、ハギヨシさん」

まこ「…出たり消えたりするって話じゃしのう」

優希「ふむ…じゃあとりあえずアタックしてみるじぇ!」

京太郎「マジで!?ハギヨシさん紹介って…冗談だったんだけど」

咲「その、年の差もあるし…ハードル高くないかな?」

久「いいんじゃない?面白そうだし」ワクワク

和「恋愛は障害が多い方が燃えるって言いますし…」ドキドキ

まこ「…なんかするにしても迷惑かけん程度にな?」

優希「わかってるじぇ!」

京太郎「…え?本気なのか?えっと、じゃあとりあえず電話とかするか?」

優希「…いや、私も龍門渕にはつてがあるしな!ここは自分で行くじぇ!」サッ


プルルル

純『もひもひ?』ングング

優希「ノッポ!久しぶりだな!」

純『んぐっ…おう、タコス娘!元気そうだな』

優希「元気は私の数多い長所のひとつだからな!…ところで今週末は暇か?」

純『んーどうした?新しいタコス屋でもできたのか?』

優希「秋の大会前に練習試合でもどうだ?前哨戦といこうじぇ!」

純『へぇ…いい度胸してるじゃねぇか?ちょっと待ってな……おーい!透華ー!?』



和「執事さんのお話ではないのですか…?」

優希「まぁ、物事には順番と言うものがあるじぇ」

京太郎「いきなり練習試合申し込むのもどうなんだ?」

優希「…それは,ほら!私とあいつの仲だしな!…練習試合の相手探してたし…ダメでしたか?」

久「良いに決まってるでしょ!龍門渕が相手してくれるならみんなにとってもいい練習になるしね」

咲「衣ちゃんたちと打つの久しぶりだね」

まこ「優希、京太郎のことは…」

優希「私にお任せだじぇ!」


………

純『わりぃ、待たせたな』

優希「いや、こっちもいきなりで悪かったじぇ…で、どうだ?」

純『透華に言ったら二つ返事でオーケー出たよ。衣も楽しみにしてる。で、場所はとかは…』

優希「もちろんこちらから出向かせてもらうじぇ!…というか、うちは卓も一つしかないしあまり環境が…」

純『ん、わかった…っておい、透華!なんだよその荷物!?は?今から?違ぇよ週末だって!…』

優希「…あー、大丈夫か?」

純『ああ、わりぃ…何を勘違いしたのか今からそっち行くとか言い出して…ちょ、おい!衣!泣くなって!違う違う中止じゃなくて日程が…』

優希「……大丈夫か?」

純『……おう、智紀と国広くんに任せてきたしたぶん大丈夫』

優希「あ、でな?うちには男子部員が一人いるんだけど…」

純『…あー、須賀だっけ?夏にハギヨシさんとタコス作ってた奴だよな?それがどうしたんだ?』

優希「あいつも秋の大会出るから連れていきたいんだけど…」

純『別に連れて来ればいいんじゃ…ああ、そっか。待ってろ…透華!ちょっと…』


………

純『学校じゃなくて龍門渕の屋敷で打てば問題ないってよ』

優希「龍門渕のお屋敷!?お邪魔していいのか…?」

純『おう、普通に遊びに来ればいいよ。無駄に広いし五人くらいたいした問題じゃねぇってよ』

優希「…京太郎も連れてくから六人だぞ?」

純『ん?部員増えたのか?』

優希「何をいってるんだ?私とのどちゃん、咲ちゃんに染谷先輩、部長に京太郎で六人だじぇ!」

純『あぁ、竹井も来るのか。もう引退してるんじゃないのか?受験の準備とか大丈夫なのか?』

優希「あ」

純『ん?』

咲「…もう十月になるのに部長毎日部活に来てますね」

和「そういえば、他の部活は引退や引き継ぎがあったとかって聞きましたが…」

久「…私は生徒議会長で内申もいいし、勉強もできるし、インハイで優勝してる上にかわいいから推薦とかで楽勝だし…」

まこ「あんた結構本番弱いし心配じゃのう…」

京太郎「一応染谷先輩に部長職引き継いで準備しといた方が…」

久「別にいいでしょー!?私はみんなと麻雀したいのー!」バタバタ


純『…どうした?大丈夫か?』

優希「あ、悪い悪い!大丈夫だじぇ…あ、そういえばその京太郎が最近染谷先輩と付き合いはじめてなー」

まこ「ちょ!優希!」

久「いいじゃないのよ、事実なんだし」

純『お、なんだよ染谷の奴やるじゃねぇか』

優希「そっちはそういう話はないのか?ノッポも男一人だしモテるだろ?」

純『俺は女だ!…まあ、男はハギヨシさん一人だけどよ」

優希「京太郎が世話になったようだし私からも礼を言わねばな!…しかしそれならハギヨシさんとやらはかなりモテるんじゃないのか?」

純『屋敷のメイドに大人気だな…でも職場で恋愛する気は無さそうだし、休暇取ってるのも見たことないし…そういう相手はいねぇんじゃねぇの?』

優希「ってことは女子の人気はノッポが独り占めかー」

純『だから俺は女だ!だいたい女に言い寄られてもどうすりゃいいんだよ…そりゃ食い物はもらうけどよ…』

優希「やっぱり人気なのか…というか自慢か?」

純『自慢じゃねぇって!どうせなら俺だってちゃんと男と…』


………

純『あ、それで日曜な?透華が清澄まで迎え出すってよ。』

優希「え?でもそこまでしてもらうのも悪いし…」

純『いいから。透華も言い出したら聞かねぇし…ハギヨシさんが車で行くって言ってたから通常の半分ぐらいでこっち着くだろ』

優希「…いやいや、今の発言はおかしくないか?」

純『いや、でもハギヨシさんだし…そういうもんなんだよ』

優希「…それじゃあ仕方ないな、うん」

純『じゃあまたな。週末楽しみにしてるぜ?ぼろ負けしても泣くなよ?』

優希「フッ…誰に物を言っているんだ?そっちこそ覚悟しておけ!またな!」プツッ



優希「お昼前にお迎え出してくれるそうです。お昼となんなら夕飯も準備しておくって言ってましたけど…」

和「さすがにそこまでしてもらうのは悪いのでは…」

久「まぁいいじゃない!龍門渕のお屋敷で食事なんて…相当良いもの出てくるわよ」

まこ「恥ずかしいからあんまがっつかんでよ?」

咲「…私もちょっと楽しみかも。お父さんに晩御飯用意しといてあげなきゃ」


京太郎「…で、どうすんだよ?ハギヨシさんのことは」

優希「とりあえず恋人はいなそうって話だじぇ」

京太郎「いやだから…本気なのか?」

優希「とりあえずタコスのこととか世話になってるしちゃんと挨拶しようとは思ってるけど…話したこともないしなんとも言えんなー」

京太郎「あー、俺も改めてお礼言っとかなきゃな。にしてもノリでハギヨシさんにアタックとか言うからマジでビビったわ…」

優希「まぁ本当にいい人で好きになっちゃったらアタックするけどなー」

京太郎「…まじか」

とりあえずここまで

誰得のタコハギ展開だけどいいよね…?相性はわりといいと思うんですが

立の更新で一番嬉しかったのって実は純くん掘り下げる、でした。ドイツの話って世界編だろうからあと何年かかるんだって話ですけど

忙しくて一週間経っちゃいましたしとりあえず出来てるとこまで投下します


翌日

久「緊急女子会召集!」

京太郎「へ?」

優希「ほんとに急だじぇ」

咲「いきなりですね…何かありましたか?」

和「女子会って、あの女子会ですか!?」ドキドキ

久「というわけで須賀くん今日はお昼別でよろしく!」

京太郎「え?え?」

久「まこの作ったお弁当も私がもらいます!」

まこ「京太郎、ほれ弁当」

京太郎「あ、ありがとうございます」

久「ちょっと!どうしてそうなるのよ!」


まこ「こっちの台詞じゃ!女子会うんぬんはともかく…京太郎の弁当取り上げる意味がわからん」

久「だって、私が食べたいから…」

京太郎「あまりにも理不尽ではないでしょうか!?」

咲「でも、京ちゃんだけ毎日染谷先輩のお弁当食べててるのはずるいよね」

和「それこそ理不尽なのでは…」

京太郎「別にいいだろ!?その、付き合ってるんだから!」

まこ「…とりあえず食べたいんならわしのわけちゃるから」

優希「染谷先輩ちょっと照れたじぇ?」

まこ「そ、そういうんは口にせんでええから!」

和「とにかく、女子会だそうですので須賀くんは早くどこかへ行ってください!」ワクワク

京太郎「和さん酷い!」


優希「ほら、のどちゃんはちょっと、そういうのに憧れが強いだけだから…」

京太郎「いや、うん、いいけどね?ちょっと傷つくっていうか…」

久「そんなことより!まこは早く私に玉子焼きちょうだいよ!」

咲「そんなことだって」アハハ

京太郎「かなり傷ついたんですけど!」

まこ「あーもう…じゃあ取り分けてやるから」

久「やだ!食べさせて!」アーン

まこ「はぁ?阿呆なこと言っとらんで…」

久「はーやーくー」アーン

まこ「…ほれ」

久「あーん」モグモグ

京太郎「……」

久「お~い~し~い~」フフン

京太郎「こっち見て勝ち誇った顔すんのやめてくれません?」イラッ


久「ほら、須賀くんは早くどっか行って!私はまこと食べさせ合いとかしちゃうけど!」

京太郎「…ずるいですよ!俺だって染谷先輩とやりたいのに!」

咲「京ちゃん、その言い方だとちょっと…」

和「須賀くん早く!女子会!女子会しますから!」ワクワク

京太郎「わかったよちくしょう!」ダッ

優希「のどちゃん…なんというかこう、もう少し手心というか…」

まこ「あんま苛めんでやれよ…で、今回は急にどうしたんじゃ?」

久「いやーまこってさ」

まこ「わしか?なんじゃ?」

久「実際どれくらい須賀くんのこと好きなわけ?」

まこ「はぁ!?」


まこ「い、いきなり何を言っとるんじゃ!?」

久「いやー須賀くんは分かりやすいし結構好き好きアピールしてるけど…まこってそうでもないじゃない?」

咲「最近の京ちゃんの話題、半分ぐらい染谷先輩ですよ」

まこ「え、その……ふ、普通に好きじゃけど…?」

和「普通…ですか?」

優希「染谷先輩も照れ屋だからなー」

久「照れないで好きって言いなさいよー!もうちゅっちゅしてるんだし」

まこ「な、な!?ちゅっちゅて!それにそんなんまだ一回しかしとらんし…」

久「え!?最初に一回キスしただけなの?普段何してるのよ!?」

まこ「その、うちに行くときに…て、手ぇ繋いだり、とか?」カァァ

和「そんな、男の子と手を繋ぐだなんて…」ポッ

咲「京ちゃんヘタレだから当分それ以上は無理なんじゃ…」

優希「一回ちゅーしちゃったんだからもっと頑張ればいいのになー」


久「…このままだと不味いわよ」

まこ「な、なにがじゃ?」

久「須賀くんとの関係よ!このままじゃ破局の可能性があるわ!」

まこ「!?」

咲「部長…また適当なこと言って煽って…」

久「適当じゃないわよ!っていうかまたって何よ!?」

和「でも、客観的に見ても須賀くんは染谷先輩のこと大好きなように見えますが…」

久「いい?男子なんてどうせいやらしいことしか考えてないんだから手を繋ぐだけ、なんて関係を続けていたら須賀くんだって心変わりしてもおかしくないわ!」

優希「また偏見たっぷりの意見が出てきたじぇ…」

和「…まぁ、一部は同意しますが」


久「とにかく、今週末までにステップアップ…もしくはしっかりまこからも好意を伝えられるようにならないと危険よ!」

まこ「…週末?」

久「そう、今週末には龍門渕との練習試合が入ったのよ?あそこは魅力的な娘が多いからね!」

咲「たしかに…えっと、あの眼鏡の…」

和「沢村さんですか?」

咲「うん。ほら…おっぱい大きいし」

優希「京太郎は巨乳好きだからなー」

久「ほら、もうピンチよ!?一週間じゃ胸は大きくならないし!」

まこ「大きなお世話じゃ!」


久「でも、真面目な話須賀くんって天江さんとか結構好きそうじゃない?咲や優希みればわかるけど世話好きだし」

咲「なんですか?その私が世話焼かれてるみたいな…」ムッ

優希「むしろ私たちが世話してやってるじぇ!」

久「天江さんも同じような反応しそうよねー」ケタケタ

咲「…でも、胸という観点から見ると衣ちゃんや国広さんは除外されるんじゃないかな?」

優希「その基準なら龍門渕のおねーさんもだな」

和「…あの、井上さんは」

優希「ノッポは流石にないだろ!」

久「須賀くんの趣味には合わないんじゃない?」

咲「…いや、意外とアリかも」

まこ「…!?井上がか?」


咲「その、京ちゃんが昔言ってた好みのタイプって、かわいい、優しい、家庭的で、巨乳、なんですけど…」

久「凄く分かりやすいわねー」

優希「…ノッポの奴、料理はかなりの腕だし、実はおっぱい大きいじぇ」

久「え?そうなの?」

咲「合宿のとき温泉で一緒になったんですけど…どうやらかなり着痩せするタイプみたいで…」

優希「あの身長、足の長さ、細さで実は胸もあるとか…」

咲「敵だよね」チッ

優希「許されないじぇ」ケッ

和「えーと、でもかわいいというより美人というか、かっこいい系とかそういう感じじゃないですか?」


咲「むしろそこだよ!ほら、昨日優希ちゃんが電話でそれをネタにからかったときも『俺は女だ!』って大声で言ってたしそれを気にしてるんだよ!?」

久「つまりアレね?ギャップ萌えってやつね」

咲「そうです!普段男らしい井上さんのふと見せる女性らしい一面に京ちゃんもドキッとしちゃうかも…!」

和「ギャップ…アレですね?不良の男の子が雨の中捨て猫を拾うアレですね!?」

優希「一昔前の少女漫画みたいなシチュエーションだな…まぁのどちゃんらしいか。でもそれだと男女逆じゃないか?」

咲「昔から使われてる手法だと思えば不自然じゃないよ」

久「なるほど…つまりこういうことね!」


………

ザァァァ

純「」テクテク

純(…あ、捨て猫)

子猫「」ニャー

純「…お前も、一人ぼっちなのか…?」

子猫「」ニャー

純「……来いよ、ミルクぐらいやるからさ」

子猫「」ニャー

ザァァァ


久「これを見て須賀くんが惚れちゃう…って井上さんテンプレ台詞めっちゃハマってない!?」

和「アリですね」ドキドキ

咲「これは女子にモテるっていうのも納得しちゃいますね…」ドキドキ

優希「染谷先輩ヤバイじょ!ノッポに京太郎取られちゃうかも…!」

まこ「いやいや!完全に井上が男役になっとるじゃろ!?なんじゃ!?次の日から京太郎が弁当でも作って持ってくんか!?」

咲「あ、京ちゃんそれやりそう」

優希「ノッポはかなり食べる方だし有効な攻め手かも…」

久「…ちょっと待って!井上さんが男役に…もしかしたら例の執事さんと須賀くんがくっついちゃうって可能性は…」

咲「そ、そんな展開が…!?」

和「だ、男性同士なんてそんなオカルト…!」

まこ「待て待て待て!アンタやっぱ煽っとるだけじゃろ!?」


久「……いや、執事さんはさすがに冗談よ?」

和「…今の間はなんなんでしょうか」

久「と、とにかく!龍門渕には強敵がいっぱいいるんだからまこもしっかり須賀くんの心を掴んでおかないと駄目よ!」

まこ「…で、結局何を企んどるんじゃ?」ジトッ

久「企むって…まぁいいわ、じゃあヒント!前にまこの家の雀荘が生き残るために、って会議をしたわよね?」

咲「えーと、京ちゃんは本や植物にはあまり関心はないと思いますよ?」

久「いや、もっと色々話し合ったでしょ?」

優希「なるほど!風船で気を引くのか!」

まこ「いや、風船で男女の仲は深まらんじゃろ…」

和「あ!今ちょうど話題に挙がった猫でしょうか?」

久「惜しい!前回とは違って今回は本物の猫ではなくこちらを使います!」サッ

まこ「……なんで懐から猫耳と尻尾が出てくるんじゃ?」


久「こんなこともあろうかと!ドンキで見つけたから買っておいたのよ、何かに使えると思って」

和「かわいいですね、猫耳」

優希「咲ちゃんちょっと付けてみたらどうだ?」

咲「ええ!?さすがに恥ずかしいよ…」

まこ「…さっき、今回使うって言ったかのう?」

久「その通り!猫耳メイド誘惑大作戦よ!」

まこ「…一応聞いとくが、もしかしてわしがそれ付けるんか?」

久「そりゃ私がやったって意味無いでしょ?」

まこ「そりゃまあその通りじゃが…」

久「それじゃあまこが納得したところで明日のお昼に部室で決行ね」

まこ「あ、明日!?部室で!?」


まこ「おかしいじゃろ!なんで部室で」

久「だって放課後雀荘行ってからとかじゃあ私が見れないじゃないのよ」

まこ「なんでアンタに見られながらそんな恥ずかしいことしないといかんのじゃ!だいたい学校でなんて誰かに見られたら…」

優希「でも、旧校舎には余程じゃないと人なんて来ませんよ?」

まこ「優希!?」

和「それもそうですね…他人に見られることはないですから頑張ってください!」

まこ「え、あ、いや…」

まこ(…和は善意で言っとるだけに言い返し辛いのう)

咲「あ、あの…」

久「ほらほら、咲も言ってやんなさい!」

咲「別にその…猫耳?とかそういうのにこだわらなくても、染谷先輩がなにかしてあげれば京ちゃんは喜ぶと思いますよ?」


まこ「…そうかのう」

咲「そうですよ!」

まこ「……じゃあとりあえず猫耳は却下で別の考えるかのう」

久「なんでよ!一生懸命考えて準備までしてきたのに!」

まこ「うっさいわ!なんか別にやれることはあるじゃろ!」

久「…じゃあなにか案のある人!」

和「……えーと」

優希「……急に言われても難しいじぇ」

咲「……あはは」

久「はい、決定!じゃあまこは明日メイド服持ってきてね!萌え萌えキュンな奴!」

まこ「待ちんさい!」


まこ「もうちょっと考えてる時間取ってもいいじゃろ!?」

久「でもほら、明日決行だし」

まこ「別に明日じゃなくても…」

優希「でも早くやらないと龍門渕との練習試合になっちゃうじぇ」

まこ「……わかった。明日服持って来ればええんじゃな」ハァ

まこ(こうなったら久は話聞かんし適当に話合わせておいて明日衣装忘れたとか言って話をうやむやに…)

和「でも明日いきなりだと衣装の準備とかきっちりできるでしょうか?」

久「あ、それじゃあ今日は放課後まこの家行ってみんなで準備しましょうか。そのまま本番でいいでしょ」

まこ「え」

優希「それは良い考えだじぇ!善は急げと言うしな!」

咲「それじゃあ今日は部活は…」

久「準備終わったらそのまま雀荘で打てばいいのよ!」

和「それなら問題はないですね!」

久「じゃあ、そういうことで!頑張りましょうね、まこ!」ニヤニヤ

まこ「」


まこ「……あー、店でやるんはお客さんもおるし恥ずかしいんでさすがに」

久「別に実家なんだからまこの部屋でやればいいんじゃない?」

優希「さすが部長だじぇ!」

久「それにほら、自室ならそのままニャンニャンできるし…」

和「なるほど、猫だけに…」

まこ「阿呆か!あんたらが見とる前でんなことするわけが」

咲「つ、つまり見ていなければ…」カァァ

まこ「ま、まだ早いわ!こ、今後どうなるかはともかく今いきなりそんなんは無理じゃ!」

久「じゃあそこら辺は今後須賀くんに頑張ってもらうとして…」

和「今日は染谷先輩が頑張りましょう!」

まこ「……はい」

とりあえずここまでで

麻雀の話出したのに一切触れないのも…と思って一旦カン後も続けてますが今度はまこの話しないのも…ってことで龍門渕前にエピソード挿入。文章書くのって難しい

ほのぼのする女子会だなぁ。知り合いから聞いた限りではかなりえげつないこと話してるらしいからなんか安心するね

おつおつ
振り回されるまこかわいいよまこ

京まこ(猫耳&尻尾付き)といえばGSスレの続きも待たれるところだ

>>232咲世界の女子会はお菓子と電池を買ってきて駄弁るのが主流らしいです。えげつなかったり暗かったりドロドロしてたりは挑戦したいけどこのスレでは無理ですね

>>233貴重なまこヒロインスレですしとても楽しみに待ってます

投下します。探すの辛くなってきたので一旦age


………

京太郎「あれ?今日はみんなも『Roof-top』行くんですか?」

まこ「…おう」

久「準備があるから須賀くんはしばらく一人で雀荘の方出ててね」

京太郎「準備…ですか?」

咲「色々あるんだよ」

優希「レディは準備に時間がかかるものだじぇ!」

和「楽しみにしていてくださいね」

京太郎「?」


京太郎「…それにしても、今日は久しぶりにみんなと打てるかもな」

咲「うん、なんだか久しぶりだね。最近は京ちゃんずっと雀荘だったから」

和「毎日かなりの局数をこなしているそうですね」

優希「どの程度腕を上げたか見てやるじぇ!」

久「いろんな人と打ってみてどう?」

京太郎「新鮮で楽しいですよ。戦績はまあ、そこそこですけど…」

まこ「安手で隙を突く和了が多いから大きく稼げず…ってのが多いかのう」

久「部内で打つときも須賀くんは安手で和了ることが多かったわね…まあゆっくり手作りしてたら和了れないんだけど」

和「ちゃんと勝つための手作りをしないとダメですよ?」

優希「いいか?東場は手が入ってくるから…」

咲「嶺上牌に合わせて手作りを…」

京太郎「無茶言うなって!」


京太郎「ったく、これだからオカルト麻雀な奴は…」ハァ

優希「冗談にきまってるだろー?なぁ咲ちゃん」

咲「え?…あ、うん!冗談だよ冗談!」

久「咲も優希も、すぐに後輩が入ってくるんだからちゃんと教えてあげられるようにならないとダメよ?」

優希「……技術的なことは染谷先輩とのどちゃんに任せるじぇ!」

和「丸投げですか」

咲「わ、私もちょっと…」

京太郎「いい加減人見知り治せよ…」

まこ「夏以来雑誌やらの取材も来とるのにちっとも改善せんのう」

久「大会の時は結構マイペースだったのにねぇ」

咲「麻雀打つのとお話するのじゃ違いますよぅ…」


まこ「まあ咲の人見知りは少しずつ治してくとして、京太郎も後輩に指導できるようになってもらわんとのう」

京太郎「俺もですか!?…ってそれが当然ですよね。でも未経験者はともかく、経験者相手には余計なお世話なんじゃ…」

久「須賀くんはちゃんと打てるようになったんだし、みんなに教わったようにしてあげれば大丈夫よ」

和「でも、私は部長にエトペンを抱いて打て、とかツモ切りの練習をしろって言われたときは驚きました…」

優希「私も麻雀の合宿で算数ドリルをやることになるとはおもわなかったじぇ」

まこ「それはアンタがあまりにもアレじゃったからなぁ…」

咲「でも、いろんなことしたけど部長に言われてやったことで無駄だったことなんてないよね」

京太郎「ああ!俺も効率的な荷物の纏め方とか掃除のテクニックとか教えてもらったのすげぇ助かったし」

久「やぁねーもう!今は麻雀の話でしょ!」

京太郎「……」

久「なんで目をそらすのよ!?」


咲「……私、部長が京ちゃんに麻雀教えてるの見たことないような」

久「気のせいよ!?そりゃたしかにインハイ前は放置気味だったかもしれないけど!人数揃う前に基本ルールとか教えたのは私でしょ!?」

京太郎「……?」キョトン

久「なんでキョトンとしてるのよ!?」

咲「……」

和「……」

まこ「……」

優希「タコスうま~」モグモグ

久「え?え?」ジワッ


京太郎「やだなぁ冗談ですよ冗談!いつもお世話になってますし部長には凄く感謝してますよ!」

咲「部長が慌てるのって珍しいですね」

和「四月から一緒にやってるんですから、ちゃんとわかってますよ?」フフッ

まこ「アンタはすぐに調子乗るんじゃからたまには痛い目見た方がええわ」ヤレヤレ

優希「……タコス食べますか?」

久「……食べる」モグモグ


………

久「……もう!須賀くんのくせに生意気よ!さては、お昼にまこ取ったの根に持ってるわね!」

京太郎「はぁ!?ななななに言ってんですか!?」

和「根に持ってたんですか…」

優希「器の小さい奴だなー」

京太郎「はぁ!?ちげーし!別に根に持ったりしてねーし!」

咲「京ちゃん分かりやすすぎるよ…」

京太郎「ちげーし!染谷先輩とお弁当食べさせあったのとか妬いてないし!羨ましくないし!」

まこ(……結局そんなことせんかったがのう)

久「ほら、悔しかったら別にいつも通りまこと手を繋いでもいいのよー?」

京太郎「なんで知ってるんですか!?つ、繋ぎませんよ!みんなもいますし!」

久「じゃああたしがまこと手ぇつーなごっ!」ギュッ

京太郎「あ…」


まこ「……なんじゃ急に」

久「えー?だってほら、須賀くんは遠慮するみたいだから」

まこ「……まぁええけど」

久「やった!」

京太郎「くっ…!」

咲「悔しがるくらいなら最初から素直にしてれば…」

優希「というか人間には手が二つあるじぇ」

京太郎「染谷先輩!逆側!逆側いいですか!?」

まこ「ん、まあ別に…」

久「残念!もう片手は鞄持ってます~」フフン

京太郎「ぐぅぅぅ~!」ダンダン

咲「地団駄踏むのやめてよ…」

和「あの、鞄持ってあげればいいのでは…」

京太郎「染谷先輩!鞄持ちます!」


京太郎「~♪」

久「むぅ…」

まこ「あんたらは何を張り合っとるんじゃ…?」

京太郎「だって部長が…」
久「だって須賀くんが…」

京太郎「……さては、部長の方こそ俺に染谷先輩とられて妬いてますね?」

久「……何のことかしら?そういう須賀くんこそ私とまこの積み重ねた絆に嫉妬してるんでしょう?」

京太郎「べ、別に?これからまだまだ時間ありますし?部長は一足先に卒業ですけど」

久「は?別に学校離れたぐらいで私たちの友情は揺るぎませんけど?」

まこ「……わしを挟んで喧嘩すんのやめてくれんかのう」



和「……」ソワソワ

優希「……のどちゃん!私たちも手ぇ繋ぐじぇ!咲ちゃんも!」ギュッ

咲「わわわっ」

和「…ふふふっ」ニコニコ


まこ「あーお二人さん?もうすぐ店に着くことだし、恥ずかしいからせめてあっちの三人みたいに仲良くしてくれんかのう?」

京太郎「あっ!部長のせいで染谷先輩と全然お話できなかったじゃないですか!」

久「こっちの台詞よ!」

まこ「……京太郎!」

京太郎「はい!なんですか?」

まこ「アンタは先に行って店出とれ」

京太郎「そんな!俺も先輩と一緒に…」

まこ「行きんさい」

京太郎「……行ってきます」シュン

久「いってらっしゃ~い」フフン

京太郎「……勝ったと思うなぁ!」ダッ


まこ「……アンタもいちいち京太郎煽らんくてもええじゃろ」

久「だって私もまこのこと好きだし」

まこ「……」

久「なに照れてるのよ?」ニヤニヤ

まこ「…照れとらんし」

咲「……今回の企画は京ちゃんのためみたいなところもありますけど」

久「ええ、須賀くんにまこを取られちゃって少し寂しいけど…まこが幸せならそれでいいのよ」

まこ「久、あんた…」

久「ついでに面白ければ面白いほどいい!」

和「台無しですね」

優希「部長らしいじぇ」


………

咲「あ、見えてきましたね」

まこ「今日は店じゃなくて裏の方から入りんさい」

咲「はい…お邪魔します」

優希「お邪魔しまーす!」

和「失礼します」

久「お邪魔します……それじゃあ始めましょうか」

優希「先輩の部屋どっこだー!」バタバタ

まこ「走るなって!そこの右の部屋じゃ」

………

和「……素敵な服がいっぱい」パァァ

優希「…本当にメイド服集めてるんですね」

まこ「雀荘のために、って集めてたら半ば趣味になってもうて…まあ、わしには似合わんし集めとるだけじゃが」


久「そんなことないわよ?もっと自信を持ちなさいって!」

和「あ、あの…いくつか試着してみてもいいでしょうか?」ワクワク

まこ「構わんよ。和ならどれでも似合うじゃろ」

優希「のどちゃん、その前に染谷先輩の衣装選びだじぇ!」

和「あ、そうですね!すいません、つい…」

咲「相手は京ちゃんだし…こう、胸元の開いたやつとか?」

まこ「……わしには見せるほどの胸が無いんじゃが」

咲「私よりはあるじゃないですか!」ゴッ

優希「やめろ咲ちゃん!落ち着いて!」

久「…じゃあとりあえず胸は盛るとして」

和「盛るって……パンとか詰め込むんですか?」

久「いや、こう…脇とか背中の方から肉を寄せて…」

咲「なるほど」フムフム

優希「咲ちゃん目がマジだじぇ…」


久「というわけでまこはとりあえず脱ぎなさい!」

まこ「……あいよ」

久「勝負下着とか持ってる?」

まこ「し、下着見せるようなとこまでやらんわ!」

久「それは残念!…あ、本番で失敗したら困るし、まこは今から語尾に『にゃー』ね」

まこ「…やっぱりそれは恥ずかしいんじゃけど」

久「にゃーは?」

まこ「いや、だから…」

久「にゃーは?」

まこ「…やっぱりそれは恥ずかしいにゃ」

久「やだもう!まこったらかわいい!」

和「アリですね」

咲「染谷先輩かわいいです」

優希「かわいいじぇ!」

まこ「うぅ……」カァァ


久「じゃあ、こうぐいっと寄せて…下着に詰め込んで…」

まこ「…ちょっとそんな無理せんでも……いいんじゃにゃいか?」

久「いやいや、須賀くんもでかい方が喜ぶって!」

まこ「にしても胸元の違和感が……凄いにゃ」

久(まこったら律儀ねぇ)

咲「……優希ちゃん、私たちも谷間ぐらい作れちゃうんじゃないかな?」

和「あ、あの…咲さん?染谷先輩の衣装を」

咲「ちょっとおっぱい大きい人は黙ってて!」

和「す、すいません…」シュン

優希「咲ちゃんちょっと!のどちゃん元気だして!大丈夫だから!」


………

久「とりあえずメイドだしやっぱり『お帰りなさいませ、ご主人様』かしら?」

まこ「……お帰りなさいませ、ご主人様」

優希「先輩、にゃを忘れてるじぇ」

まこ「……お帰りにゃさいませ、ご主人様」

久「その調子よ!和、衣装の方は?」

和「これでどうでしょうか?」フリフリー

まこ「……いや、ちょっとフリフリしすぎじゃないかのう。スカートも短すぎる気が………するにゃ」

咲「とりあえず着てみましょうよ、きっと似合いますから!今の染谷先輩は巨乳だから大丈夫ですって!」

優希「……咲ちゃん、そんなに胸のこと気にしてたのか」

咲「うちの家系を見るに絶望的なんだよ!お姉ちゃんも記者さんに『これは鉄板だろ!』とか言われてたし!」

和「それは胸のことではないと思うんですが…」


久「っていうか優希はそれほど気にしてない感じね?」

優希「私だって気になりますけど…いつも隣にのどちゃんいるからちょっと大きくなったぐらいじゃ」

まこ「たしかにのう…」

優希「私の体型で胸だけでかくなってもバランス悪くないかなーとか」

久「インハイで戦った北海道の子とか凄かったわねぇ…」

優希「それに、これはこれで需要あるはずだし…」

咲「まって!優希ちゃん!」

優希「咲ちゃん…?」

咲「優希ちゃんは嘘をついてるよ!本当に…心からそう思ってるの!?」

優希「……咲ちゃん」

咲「諦めていいの!?私たちだってまだチャンスはあるはずだよ!」ポロポロ

優希「咲ちゃん…」ポロポロ

和「あ、あの…」オロオロ

久「和がなに言っても逆効果だからこっち来ましょうねー」


優希「私…嘘ついてたじぇ…本当はおっぱいほしいじょ……」ポロポロ

咲「いいんだよ…それが当然なんだよ……この際偽物でもいいんだよ」ポロポロ

まこ「おう、偽物でも乳は乳じゃ!!」

優希「いいこと言うじぇ!!」ダキッ

咲「染谷先輩!」ダキッ

久「一件落着ね!」

和「……落着したならよかったです」

………

咲「……すいません染谷先輩、取り乱してしまって」

優希「申し訳ないじぇ…」

まこ「気にせんでええ…あんたらが元気になってよかったにゃ」

和「みんな着替えたことですし、須賀くん呼んできましょうか?」

久「心の準備はいいかしら?」

まこ「……あ、ちょっと待ってくれるか?」スッ


咲「眼鏡、外しちゃうんですか?」

久「イメチェンもいいけど…須賀くんが眼鏡っ娘萌えの可能性もあるわよ?」

まこ「いや、この眼鏡な?……元は、おじいちゃんの形見なんじゃ」

和「…大切なものなんですね」

まこ「ん…この眼鏡で自分の分までいろんな景色を見てこい、って言われてな」

優希「……?それが眼鏡外すのとどう繋がるんですか?」

まこ「……なんか、こんなことやってるのをおじいちゃんに見られてるみたいで恥ずかしいっちゅうか…」

久「まこって本当かわいいわね…」

咲「その、コンタクトとかあるんですか?」

まこ「コンタクトは持っとらんのう…そのうち作っとくか」

和「ちゃんと見えてますか?」

まこ「ん、みんなの顔は一応見えとるし大丈夫じゃ」

久「よし!それじゃあ作戦開始ね!」

優希「咲ちゃん!京太郎呼びにいくじぇ!」

咲「うん!」


………

「今日は兄ちゃんだけかい?」

京太郎「いや、むしろ部活のみんなが来てるんですよ。準備するから先に出てろって言われまして…」

「インターハイ優勝チームと打てるなんて楽しみだねぇ」

「俺は女子高生と打てるだけで楽しみだよ」ハハハ

「まったくだ」ハハハ

咲「京ちゃん!」トテトテ

優希「交代するじぇ!奥で休んでていいぞ」

京太郎「おー、さん、きゅ…」

咲「…どうしたの?」

優希「さては見とれてしまったかー?」

京太郎「あ、いや…」

京太郎(……お前らがどうした)

咲「?」ボイーン

優希「?」バイーン


京太郎(なんだこれ…明らかにおかしいだろ!?突っ込み待ちか!?)

「おー嬢ちゃんたち、よろしくなー」デレデレ

「秋の大会も清澄応援してるよ」デレデレ

咲「ありがとうございます!」ボイーン

優希「よろしくお願いします!」バイーン

京太郎(客のおっちゃん達デレデレなんだけど!?え、なんだ?俺がおかしいのか?)

咲「ほら、京ちゃん?奥で染谷先輩待ってるよ」

優希「後で打ってやるからとりあえず一旦下がるじぇ」

京太郎「お、おう…よろしく…」


………

和「あ、須賀くん!こっちの部屋です」

京太郎「え?でもそっちって染谷先輩の部屋じゃ…?」

久「今日は特別に入れてあげるわ」

京太郎「いや、部長の部屋じゃないでしょ…和、すげぇ似合ってるな」

和「ありがとうございます!この前来たときはフリフリのだったので今回は普段染谷先輩が来てらっしゃるタイプのをお借りしたんですよ」ウキウキ

久「ちょっと?私は無視?」

京太郎「あーいや、部長って美人ですし、似合ってるんですけど…なんか違和感というか」

久「まぁ私はどちらかというと奉仕される側だしね」

京太郎「なるほど」

久「ちょっと!?冗談だから納得しないでよ!」

京太郎「……つーか、なんなんですか?咲と優希のアレは…」

久「……メロンパンとか、いろいろよ」

和「ゆーきと咲さんが今日は限界に挑戦すると……」

京太郎「何やってんだあいつらは…」


久「なんというかアレよ、一日巨乳体験?」

京太郎「後で余計に惨めな気持ちになるんじゃ…」

和「二人ともすごく楽しそうでしたが…」

久「外から見てわからなきゃ本物と変わらないのよ!」

京太郎「いや、アレは正直バレバレ…うん、まあいいか」

久「そんなことより!ほら、中入って!」

和「染谷先輩がお茶用意してくれてますよ」

京太郎「それじゃあ…失礼しまーす」ガチャ



まこ「お、お帰りにゃさいませ、ご主人様」マッカッカー

京太郎「」


まこ「あの、その…お茶の準備ができてますにゃ」

久「まこ!もっと元気に!かわいらしく!」

まこ「お茶の準備ができてますにゃんっ♪」マッカッカー

和「どうですか!?須賀くん!完璧ですよね!?」

京太郎(なんだ…なんだこれ…染谷先輩がメイド服に猫耳尻尾つけて俺をご主人様って呼んでる…?)

京太郎(あ、眼鏡かけてない…それでも美人だけど!スカート短っ!つか先輩こんなにおっぱいでかかったっけおっぱいおっぱい)

まこ「うぅ…反応無いしやっぱり失敗だったんじゃ…わし似合っとらんしこんな恥ずかしい格好…」ジワッ

久「大丈夫よ!とりあえずその恥ずかしさを全力で表現して!」

まこ「うぅ…こ、こんな格好…は、恥ずかしいにゃ…」

和「涙目!上目遣い!紅潮した頬!完璧です!素敵です染谷先輩!」パシャパシャ

まこ「ちょ!写メとるんはやめんさい!」

久「ちょっと須賀くんなんとか言いなさいよ!」

京太郎「って部長!染谷先輩に何やらせてんですか!?そりゃかわいいですけど!最高ですけど!」

久「!?ブフォッちょ、須賀くんブフッ何やって…!」

京太郎「こっちの台詞ですよ!何笑ってんですか!?」

和「大変!須賀くん鼻血出てますよ!?」

京太郎「え?」タラー


………

まこ「ティッシュまだいるか?」

京太郎「……すいません、もう大丈夫です」

久「ブフッわ、私、初めて興奮してフヒッ鼻血出す人見たわ…」

和「そんなに笑ったら須賀くんがかわいそうですよ、部長」

久「ご、ごめんなさフヒッ…なんかもうブフッ…ツボっちゃって」

和「…私は部長と一緒にお店の方に出ますので!染谷先輩は須賀くんの看病をお願いします!」グイッ

久「ちょっと引っ張らなブフッは、鼻血出してる…」

ガチャ バタン

まこ「……気にせんでええよ?」

京太郎「……すいません」ズーン


京太郎「でも、その…今日はどうしたんですか?すごく、かわいいですけど」

まこ「ん…今日の昼にみんなと話してな」

京太郎「また部長ですか?俺は嬉しいですけど…その、無理しなくていいですよ?」

まこ「……いいや、たしかに言い出したのは久じゃけど…やるって決めたんはわしじゃしな」

まこ「京太郎は…その、わかりやすく好意を示してくれるけど…わしはそういうの苦手で、あまり…好き、って言えてないじゃろ?」

まこ「だからどんな形にせよ…ちゃんとそういう気持ちが伝えられたらって前から思ってて…まあちょうどよかったから久に乗せられてみたんじゃ」

京太郎「……先輩、俺すごく嬉しいです」


まこ「でも、これはさすがにないじゃろ?フリフリも似合っとらんし耳やらにゃーやら自分でやってて恥ずかしかったわ」

京太郎「そんなことないで すよ!いつものも良いですけどフリフリも似合ってます!ミニスカートも眼鏡外したのも新鮮でいいです!」

京太郎「猫も良いですよ!っていうか全部良かったですよ!?少なくとも俺は鼻血出ましたよ!」

まこ「そ、そうか?……喜んでもらえたなら良かったわ」

京太郎「ありがとうございます…その、俺、先輩のこと好きですから」

まこ「ん…わしも、京太郎のこと好きじゃよ」

京太郎「……」テレテレ

まこ「……ふふっ」テレテレ


京太郎「それにしても…」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「そりゃあ、たしかに大きいのは好きですけど…咲や優希みたいにパン詰めたんですか、それ?」

まこ「それ…?…ってどこ見とんじゃこの助平め」カァァ

京太郎「しょうがないじゃないですか!そんなに胸元開いてたら見ちゃいますって!いつもよりでかいですし!」

まこ「ったく……でも、わしはパンとかは詰めとらんぞ?」

京太郎「そうなんですか?」

まこ「ん、まぁいわゆる…寄せて上げてってやつじゃな」

京太郎「……そんなに変わるもんなんですねぇ」

まこ「だからまじまじと見るなって!…そんなに信用できんなら確かめてみるか?」

京太郎「え?」



まこ「だから……ちょっと、触ってみる、か?」






京太郎(このあと滅茶苦茶鼻血出して触る前に貧血で倒れた)


ここまでで

三日おきぐらいの投下ペース維持したいなぁ

せっかくのチャンスを……

なにこの清澄ぐう聖なんだけど
全員かわいい(こなみ)

乙感謝です
>>265京ちゃんはなんとなくチャンスに弱そうなイメージ
>>266そう言っていただけると嬉しいですが、むしろSS界隈に鬼畜清澄多すぎじゃないですかね…?

早ければ早いほど偉いって兄貴も言ってたし、投下します


週末

京太郎「おはようございます!すいません遅くなりました」

まこ「ん、おはよ」

久「まだ時間あるからブフッ…大丈夫、よ?」

京太郎「もう勘弁してくださいよ!いつまで笑ってるんですか!?」

久「だってあのだらしない顔ブフッ…しかも、その後でまたフヒッ…鼻血出して倒れるとかもう」プルプル

優希「面白い場面を見逃して残念だじぇ」

咲「興奮して鼻血ってよほどだよね…」

和「ちゃんと止まってなかったんですか?それとも何かあったとか…?」

まこ「…ちゃんと止まってなかったんじゃろ」

京太郎「うん…何もなかったよ……何も…」ズーン


京太郎(本当になんて勿体ないことを…あんなチャンス当分来ないぞ!?)

京太郎(…この際言ってみるか?『染谷先輩!おっぱい触らせてください!』)

京太郎(……いや、無理!ビンタで済めばいいけど嫌われたくないし!)

京太郎(……それにしても良かったな、この前の染谷先輩のコスプレ)

久「……須賀くん今やらしいこと考えてたでしょ?」

京太郎「え?あ、いやそんなことないですよ!?」

久「だって今ブフッ…この前と同じ顔して…ま、また鼻血出さないでよ…?」

京太郎「だ、出しませんよ!」

まこ「……京太郎」

京太郎「ち、違いますよ!ちょっと染谷先輩のこと考えてただけで…」

優希「朝っぱらから染谷先輩でやらしいこと考えてたのかー」

咲「時と場所をわきまえなよ…」

和「須賀くん…は、破廉恥ですよ?」


京太郎「……えーと、俺!今日はタコス一杯作ってきたんだけどみんな食べませんか?」

咲「あからさまに話しそらしたね」

久「図星なのね」

優希「む…しかし、たしかにおいしそうなタコスの匂いが…」

和「おひとつ頂いたらどうですか?」

優希「いやいや、この前少し遠慮するって決めたし…」

まこ「どうせ沢山あるんだから食べときんさい。試合でちゃんと打てなくても困るじゃろ?」

京太郎「つーかお前が食べる計算で作ってるし食べてもらえないと困るって」

優希「…それじゃあ、少しだけ」モグモグ

優希「タコスうま~」フニャ

和「ゆーきは本当に美味しそうに食べますね」フフッ

咲「…なんだか私もお腹すいてきたよ」

京太郎「咲も食べてくれよ!先輩方もどうぞ」

まこ「ありがとな…うん、またおいしくなっとる」モグモグ

久「ありがと!…でも龍門渕さんがお昼ご飯用意してくれてるんでしょ?食べ過ぎると後悔するわよ~」


京太郎「って噂をすれば…あれじゃないですか?」

咲「……黒塗りのリムジンなんて初めて見たよ」

キキッ ガチャ

ハギヨシ「おはようございます。お待たせいたしました」

京太郎「ハギヨシさん!お久しぶりです!」

ハギヨシ「お久しぶりですね、お元気そうでなによりです」

久「わざわざお迎えまで出していただいてありがとうございます」

ハギヨシ「いえ、透華お嬢様の御下命ですので……皆様どうぞお乗りください」


………

京太郎「ハギヨシさん!今日タコス作ってきたんで後で食べてみてもらえますか?」

ハギヨシ「ええ、もちろん。お手並み拝見といきましょうか」フフッ

優希「夏からうちの京太郎が世話になってたみたいで…」

ハギヨシ「いえいえ、私も須賀くんに教えることで改めてタコスについて造詣を深めることができましたから」

京太郎「……俺、ハギヨシさんに教わったのにいまだに優希よりおいしく作れないんですよね…タコス」

ハギヨシ「おや…私が言うのもなんですが、須賀くんはかなりの腕前だと思うのですが」

優希「年季が違うじぇ!私は昔からタコスに情熱を注いで来たからなー」

京太郎「もしかしたら、タコスに関しては優希の方がハギヨシさんより上かもしれませんよ…?」

ハギヨシ「おや、それは聞き捨てなりませんね…透華お嬢様の執事として負けるわけにはいきません」

優希「タコスに関しては私も負けられないじぇ!」

京太郎「それじゃあ今度みんなでタコス作って…」

ハギヨシ「それなら今日、御屋敷の厨房を…」


ワイワイ

咲「京ちゃんたち楽しそうだね」

和「タコスの話題だけでよく会話途切れませんね…」

まこ「優希は結局どうするんかいのう」

久「タコスについて存分に語り合ってるわね…まあなにかあっても須賀くんがフォローするでしょ」

咲「……もっとお堅い感じの人かと思ってたけどかなりフレンドリーな感じですね」

和「身元もしっかりした方ですしこれならゆーきを任せられますね!」

まこ「いろいろ気が早すぎるわ」

ハギヨシ「あ、そろそろ到着しますよ」

久「嘘!?さっき乗り込んだばかりじゃ…」

咲「車の速度と移動時間がどうやっても計算合いませんよ!?」

和「距離的にあり得ないのでは…」

まこ「……時間を縮める能力でもあるんかのう」


………

透華「ようこそいらっ「咲ー!ののかー!待ちわびたぞー!」パタパタ

和「お久しぶりです」

咲「衣ちゃん!」

衣「ちゃんではなく」

透華「……ようこ「ノッポー!今日はボッコボコにしてやるじぇ!」

純「はっ!今から大口叩いてっと後で恥かくぜ?」

透華「……よ「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」

智紀「……ああ、染谷さんの彼氏の」

まこ「な、なんで知っとるんじゃ」

一「この前片岡さんから電話来たときに純くんがねー」

透華「……なんなんですの!?私の出番が…」

久「あ、龍門渕さん、本日はお招きいただきありがとうございます」ペッコリン


透華「……ようこそいらっしゃいましたわ!本日は我々龍門渕高校麻雀部がお相手しますわ!」

衣「衣は咲とののかと打ちたい!」

まこ「とりあえずお昼頃まで打とうかのう?」

智紀「…二人ずつで三卓たてられる」

和「こちらは六人いますがそちらは…」

ハギヨシ「及ばずながら私が参加させていただきます」

久「それじゃあとりあえず咲、和に天江さんと…」

透華「私が入りますわ!……原村和!今日こそ真のアイド「わーい!咲、ののか!最初っから本気で行くぞー!!」

咲「うん、私も負けないよっ!」

和「私も全力を尽くさせていただきます」

透華「……ええ、別に構いませんわ…本番は大会なのですから今日少しぐらい目立たなくとも…」ブツブツ


一「それじゃあボクたちは…」

純「とりあえずタコス娘と…須賀、打ってみるか?」

京太郎「いいんですか?」

純「今日はそのために来たんだろ?…ハギヨシさん入ってもらえます?」

ハギヨシ「ええ、それでは遠慮なく」

優希「よろしく頼むじぇ!」

久「じゃあ国広さんに沢村さんよろしくね」

智紀「よろしく…」

一「身内以外の人と打つの久々だし楽しみだなー」

まこ「わしも最近打っとらんかったから久しぶりじゃなぁ」


………

純「須賀はどの程度打てんの?」

優希「攻撃はまだまだだが普段私たちと打ってるし、なかなかだと思うぞ!…ハギヨシさんは結構打たれるんですか?」

ハギヨシ「私はなかなか牌に触る機会が無いもので…透華お嬢様のお相手をすることもありますが、皆様ほどの力は…」

京太郎「って言ってもハギヨシさん何やっても高水準だからなあ…」

ハギヨシ「ふふ…龍門渕の名に傷がつかないように頑張ります」

京太郎「それじゃあ、よろ―っ!?」ビクッ



咲「いくよ、衣ちゃん」ゴッ

衣「負けないぞー!」ゴッ



京太郎「――うぇ…っぷ…」

優希「どうした?大丈夫か!?」

ハギヨシ「体調が優れないようでしたら部屋を用意しますが…」

京太郎「あ、いえ…大丈夫、です」

優希「大丈夫って顔色じゃないぞ!?」

純「……あいつらにあてられたのか」

京太郎「……あんな強い気配を間近で感じたのははじめてで…すい、ません」

純「いや、気にすんな…衣も宮永も怪物の頂点みたいなやつらだし…つかはじめてってあいつとあんま打たないのか?」

優希「部室で打つときは咲ちゃんはあんな風にトップギアに入れることは滅多にないじぇ」

純「…まぁ普通はそうか。衣は結構フルパワーで来るからさ」


ハギヨシ「須賀くん、無理せずに少し休まれたら…」

京太郎「いえ、せっかく龍門渕の方と打てるのに…」

ハギヨシ「……あまり無理をしないでくださいね」

純「……ハギヨシさん、とりあえず部屋移しましょう。あいつらと同じ部屋じゃ須賀が持たねぇや」

ハギヨシ「では、隣の部屋に卓を用意しておきます」スッ

優希「消えた!?」

純「いつものことだから気にすんな……大丈夫か?歩けるか?」

京太郎「は、はい…」

純「透華、わりぃ俺ら隣の部屋で…」

透華「……」シーン

純「うわ…もう冷えてやがる」

優希「っておい!京太郎!」

京太郎「」バタッ


………

京太郎「………あ、れ?」

ハギヨシ「須賀くん!…大丈夫ですか?」

京太郎「あ、はい…俺って……」

ハギヨシ「はい、あのまま倒れてしまって…今、皆さんに声をかけてきます。心配しておられましたから」スッ

京太郎「うぇ…だる……ってもう16時!?一局も打ってねぇのに!」

ガチャ

まこ「京太郎!大丈夫か!?」

京太郎「あ、先輩……もうこんな時間じゃないですか!?俺も打ちたいんですけど!!」

まこ「いきなり倒れたやつがなに言うとんじゃ!」

久「みんな心配したのよ?」

優希「結構元気そうじゃないか…安心したじぇ」

咲「ごめんね京ちゃん…」

京太郎「いや、咲のせいじゃないだろ?気にすんなよ」

和「もう起きても大丈夫なんですか?」

京太郎「あー……ちょっとだるいけど問題ないよ」


京太郎「っていうか!せっかく龍門渕さんに招待してもらったのにすいません!」

透華「お気になさらず…大事なくてなによりですわ」

一「こっちこそちょっと迂闊だったから…ごめんね?」

智紀「私たちの感覚が麻痺していた。いきなり衣と宮永さんの気を受けたら体調崩すのも当然…」

衣「まあ有象無象には耐えれずとも仕方がない」フフン

純「謝るとこだろ…勝ち誇った顔やめろよ」

衣「ごめんなさい……」グスッ

純「リクエストに応えないでください」

一「……で、どうする?須賀くんは打ちたいみたいだし、またみんなで打とっか?」

京太郎「打ちたいです!お願いします!」

まこ「本当に大丈夫なんか?無理せんでも…」

京太郎「大会前ですしこの機会に何か掴みたいんです!」

久「…まぁこう言ってることだし、そんなに心配ならまこがついててあげなさい」

まこ「…ん、そうじゃな」


………

智紀「そういうわけで私たちが相手する…」

純「話しを聞いた感じじゃ、俺たちが一番力になってやれそうだしな」

京太郎「ありがとうございます!…でも、いいんですか?お二人が俺と打つメリットって…」

智紀「私たちは須賀くんが倒れてる間に結構打った」

純「もう時間もないし自分のことだけ考えろって」

京太郎「……はい!よろしくお願いします!」

まこ「すまんのう…助かるわ」


………

純「チー……だいたい気配がわかるって聞いたけど?」タンッ

京太郎「はい……えっと、今のチーで手、進んでませんよね?」

純「おう……なんで鳴いたかわかるか?」

京太郎「……えっと、染谷先輩の気配が強まってた気がしたんですけど…」

純「うん、今の鳴きで染谷の流れを切ったわけだ」

まこ「それポンじゃ…京太郎、わかるか?」タンッ

京太郎「えっと…今のでたぶん先輩の手かなり安くなってますよね?ってことは…」

まこ「ん、このままだと井上が和了るように見えたんじゃが…」

京太郎「……あれ、これもしかして沢村さん和了ります?」タンッ

純「わかってんなら鳴かせてくれよ…」タンッ

智紀「ツモ…1000・2000」


智紀「安目だと感じ辛い…?」

京太郎「そう、ですね……うちは高火力選手が多いんで…安いのって言うと、咲がいきなり嶺上ツモのみとか和了るんで察知前に速攻喰らったりとか…」

純「まあ仕方ないか……とりあえず気配が見えて、自分でどうにもできないときは他家利用も考えて…」

まこ「……わしは記憶と照らし合わせて判断してるから感性で見てる京太郎には説明し辛くてな…井上が指導してくれて助かるわ」

智紀「須賀くんも攻撃に関しては基本デジタルだしそっちで力になればいい…」

まこ「……そうじゃな。秋はなんとか勝たせてやりたいんじゃがのう」

純「鳴きで他家の流れを切るんだよ……さっきから見せてるしなんとなくわかるだろ?」

京太郎「はい、たぶん…?」

純「頼りねぇ返事だな……まぁいいや、染谷んちの雀荘で打ってるって聞いたし大会までそっちで練習しときな」

京太郎「はい!頑張ります!」


純「あとさ、さっきから気になってたんだが……お前他家の気配はだいたい察知できてるっぽいけど、もしかして自分に来てる流れとか全然見えてないのか?」

京太郎「あー……正直、全然わからないです」

智紀「須賀くんは防御の意識が高いみたいだから内側にセンサーが向いてないのかな…?」

まこ「やっぱり初心者のうちからわしらと打ち続けたのが原因かのう…攻めるよりも振らない、トバないことに重点を置く形になっとったから…」

純「こういうのは本人の意識の影響が強いって言うしな…」

京太郎「……藤田プロにも言われました…心を強く持て、勝利への気持ちが大事だって」

純「結局そこだよな、俺だって端から見たら変な鳴きしてんのはわかってるが…それが正しいと思ってるし牌も応えてくれてる……清澄で言うなら竹井の悪待ちもその類いだろ?」

智紀「須賀くんがこれだ、っていう攻め手がないならやっぱり基本的なことから…定石なら自信持てるでしょ?」

京太郎「基本から……」

智紀「ここまで見た印象では、攻めるときにどうも和了りを急ぎすぎる傾向にある」

純「自分の流れが見えてないから無理に急いで手が安くなったりしてたんだろうな」

まこ「そうじゃな、無理せずに定石通り…それなら信頼できるじゃろ?」

京太郎「……そうですね、俺にできることからしっかりやってけば自信に繋がりますよね」

純「よし!それじゃあ次が今日最後の授業だな」


………

純「今日須賀が倒れたことからも、強い気配に敏感すぎることがわかった」

智紀「耐性をつけておかないと、大会本番で倒れる可能性がある」

京太郎「……なるほど」

純「ってわけで、先生方よろしく!」



透華「さあ、私が指導して差し上げますわ!」

咲「せ、先生って言われても…」

衣「なんでも聞きなさい」キラキラ



京太郎「……なんか、俺死ぬんじゃないですかね?」

一「普段清澄の人と打ってるんなら大丈夫だと思うよ?……ボクは耐性ないところにいきなり衣と打たされたときは暫く牌触れなくなったけど」

京太郎「いやそれ大丈夫じゃないような…」

ハギヨシ「万一倒れてしまっても龍門渕の医療スタッフは優秀ですから、ご安心ください」ニコッ

京太郎「麻雀打つのになんで医療スタッフが待機してるんですか!?」


………

京太郎(なんだこれ吐きそう…つか気配が強すぎてどこがどうなってんのか全然わからねぇ…!)タンッ

衣「ロン!24000!」

京太郎(まだ三巡目なんですけど!?つーか東一局で残り1000点しかねぇ!)

透華「……須賀さんの特訓ということですし、とりあえずトビ無しで半荘打ちましょうか」

咲「そうですね…京ちゃん、頑張って!」

京太郎(あ、これ死んだな)


まこ「……京太郎、大丈夫じゃろうか」

一「やっぱり彼氏が心配?」

和「染谷先輩と須賀くんはとても仲がよろしいですから」

久「この前なんかメイド服で…」

智紀「興味深い」

まこ「ちょ!余計なことは言わんでええから!」



ハギヨシ「む……このタコスは」

優希「どうですか?」

ハギヨシ「いや、これは…私の負けですね…是非ご指導いただきたく…」

優希「そんな、ハギヨシさんのタコスも相当の…」

純「どっちもうまいけどなぁ」モグモグ

優希「こらノッポ!どうしてお前が食べてるんだ!」

純「俺はやっぱり作るより食べる方が好きなんだよね」モグモグ


………

京太郎「お、終わった…」フラフラ

まこ「京太郎!無事じゃったか…」

ハギヨシ「お疲れさまでした」

京太郎「なんとか最後まで打ちましたよ…」

久「かなり時間かかったわねぇ」

京太郎「天江さんが海底何度も和了ったり咲が連荘して…後半龍門渕さんが豹変してからまた連荘して…って感じで」

優希「さすがの私も同情するじぇ…」

純「……和了れたか?」

京太郎「……焼き鳥っす」ハハハ

一「……よく心折れないね」

京太郎「麻雀ってそういうゲームですし…」

和「聴牌すらできないこともままある競技ですからね」

智紀「……須賀くんも違う意味で感覚が麻痺しているだけな気がする」


衣「楽しかったー!衣は満足だ!」パタパタ

咲「また一緒に打とうね」

衣「うん!約束だー!」ワーイ!

京太郎「ありがとうございました、天江さん…龍門渕さんは?」

衣「ハギヨシが寝室につれてったぞ?」

咲「だいぶ疲れちゃったみたいで…京ちゃんよりもフラフラしてたよ」

京太郎「……ハギヨシさん、今ここにいませんでした?」

一「?だってハギヨシさんだよ?…ボク、透華の様子見てくるよ」タタタ

ハギヨシ「清澄の皆様、本日はお疲れさまでした。よろしければディナーの準備をいたしますが…」スッ

和「!?」ビクッ ダキッ

優希「ぐぇっ!?……の、のどちゃん…乳圧でし、死ぬ……」ジタバタ

まこ「あ、そんなこれ以上ご迷惑おかけするわけにも…」

久「……まぁ須賀くんが倒れたり色々迷惑かけちゃったし、今日は遠慮しておきましょうか」

ハギヨシ「それでは、お帰りの準備ができましたら声をおかけください」


………

京太郎「今日は本当にありがとうございました!」

智紀「気にしないで。こちらも清澄のみんなと打てて勉強になった」

純「男子は直接の敵にならないしな。大会も応援してるぜ」

久「私も大会には出れないし龍門渕の応援もさせてもらうわ。清澄の次に、だけど」

和「次に会うのは秋の大会ですね」

一「その時は手加減しないよ?全力で相手してよね」

優希「もちろんだじぇ!」

咲「ありがとうございました…衣ちゃんは?」

純「……ウトウトしてたから寝かしてきた」

一「ちゃんと挨拶できなくてごめんね?」

智紀「透華も謝っていた…」

まこ「こちらこそ、今日はお世話になってばかりで申し訳ない…龍門渕さんにもよろしく伝えてくれ」

ハギヨシ「では、帰りも私が送らせていただきます」


………

久「すいません、自宅まで送ってもらってしまって…」

ハギヨシ「いえ、もう日も沈んでしまっていますしお気になさらず」

久「ありがとうございました。じゃあみんな、また学校で!」

………

まこ「みんなお疲れさん。今日は…京太郎は特に、しっかり休んでな」

京太郎「はは…心配かけてしまってすいませんでした」

まこ「ハギヨシさん、今日はありがとうございました」

ハギヨシ「いえ、本日はお疲れさまでした」

………

和「本日はどうもありがとうございました」

ハギヨシ「こちらこそありがとうございました。透華お嬢様たちも今日を大変楽しみにしていましたので…」

咲「あ、私もここで降ります、夕飯の材料買っていかなきゃ…」

ハギヨシ「よろしければお近くのスーパーまでお送りしますが…」

咲「いえ、すぐ近くなので大丈夫です。今日はありがとうございました」ペッコリン

和「ゆーき、須賀くん、おやすみなさい」

咲「また明日ね」

京太郎「お疲れ様!」

優希「のどちゃん、咲ちゃん、また明日!」


………

優希「今日はありがとうございました!」ペッコリン

ハギヨシ「こちらこそ。大変興味深いお話を…」

京太郎「……俺が寝てる間に何の話してたんですか?」

優希「主にタコスの話を…」

ハギヨシ「タコスに関しては私が学ばせていただくところが多く、大変有意義な時間を…」

京太郎「あ!そういや俺のタコス…」

ハギヨシ「須賀くんが倒れている間にいただきましたよ。ダメにしてしまうのも忍びなかったので…」

京太郎「その、どうでした…?」

ハギヨシ「おいしかったですが…やはり、片岡さんのものを食べてしまうと…」

京太郎「……ですよね」

ハギヨシ「私からアドバイスできそうなところは後ほどメールをお送りしますので…」

京太郎「ありがとうございます!……いつになったら優希以上のタコスを作れるんだか」

優希「まあ今後も精進するがいい!」


優希「あ、そういえば…」

ハギヨシ「どうかされましたか?」

優希「ハギヨシさん!今度デートしましょう!」

ハギヨシ「!?……その、いつ休暇をとれるか、わかりませんので…」

優希「おおう、フラれてしまったじぇ……それじゃあな京太郎!また明日!」パタパタ

京太郎「あ、おい!」

………

京太郎「すいません、優希が変なこと言って…」

ハギヨシ「あ、いえ…その、驚きました。あのようなお誘いを受けることは普段無いので…」

京太郎「珍しく動揺してますね……っていうか本当に無いんですか?そういう話は」

ハギヨシ「普段は常に透華お嬢様か衣様のお側に控えていますし……周囲の女性と言えばお屋敷のメイド達しかおりませんので…」

京太郎(……いくらハギヨシさんがかっこよくても職場の上司、しかも龍門渕の屋敷って狭いコミュニティの中じゃ誘い辛いのかな?)


京太郎「……龍門渕さんの側に控えてたら、こう、お偉いさんの娘さんとかと知り合う機会もあるんじゃ…?」

ハギヨシ「職務中に取引先の方に個人的にお声をかけることなどできませんよ…あくまでも執事として付き添っているわけですから」

京太郎「難しいですね…ハギヨシさんほどの人でも恋人できないんですか……」

ハギヨシ「……そういえば、須賀くんは染谷さんとお付き合いをはじめたとか」

京太郎「……ぅあ、その!今のは別に嫌味とかじゃなくて…」アタフタ

ハギヨシ「ふふ…わかっていますよ。おめでとうございます」

京太郎「あ、ありがとうございます…」


ハギヨシ「しかし、私もそろそろ焦ってしまいますね…このまま龍門渕家に、透華お嬢様に一生を捧げるのもやぶさかではないのですが」

京太郎「ハギヨシさんでも焦ったりするんですね……でも、結婚を焦るような年齢なんですか?」

ハギヨシ「どうでしょう?……幾つに見えますか?」

京太郎「えーと……」

京太郎(二十代半ばぐらいだと思ってたんだけど…結婚を焦るなら実は童顔のアラサーだったとか?)

京太郎(さすがに十代の線は無いだろうけど…三十代?微妙だな……いっそ数百年龍門渕に仕えてるとか言われてもハギヨシさんだし…で納得しちゃいそうだ)

ハギヨシ「おっと須賀くん、それ以上は……」

京太郎「!?!?!?」

ハギヨシ「ふふふ…」ニコニコ

京太郎(……うん、ハギヨシさんだしな。深く考えちゃいけない)


ハギヨシ「まあとにかくそういうわけで……片岡さんに声をかけていただいたことは、とても驚きましたが正直嬉しいですね」

京太郎「そうですか……でも、優希ですよ?」

ハギヨシ「その言い方はどうかと思いますが……片岡さん、とても元気で可愛らしいじゃないですか」

ハギヨシ「……というか、女子高生の時点でウェルカムですね」

京太郎「……」

ハギヨシ「……どうしました?」

京太郎「ハギヨシさんもそういう…俗っぽいこと言うんですね」

ハギヨシ「私だって男ですから……まあ、かなり自制の効く方だとは思っていますが」


京太郎「え、その……優希が本気だったらどうするんです?」

ハギヨシ「……どうもしませんよ?女子高生に手を出したら犯罪です」

京太郎「ですよねー……って、それはもしかして…」

ハギヨシ「……いやいや、わかりませんよ?未来のことは」

京太郎「ハギヨシさん……も、もしかしてロリコンなんじゃ」

ハギヨシ「はは、まさか」

京太郎「そんなに軽く流されるとそれはそれで不安になるんですけど……」

ハギヨシ「……そうですね…片岡さんに関して言えばタコスで完敗してしまいましたし、そういう点でとても興味がありますし、またお話ししたいですね」

京太郎「つまり……好敵手的な?」

ハギヨシ「まあ、そんな雰囲気で捉えていただければ結構です」


京太郎「……あ、そこの角までで結構です。今日はありがとうございました」

ハギヨシ「こちらこそ、私もとても楽しませていただきましたから」

ハギヨシ「秋の大会では私も会場に足を運びますので、良ろしければその時にまたタコスの交換をしましょう」

京太郎「はい!楽しみにしてます」

ハギヨシ「大会、頑張ってくださいね。私も応援していますから」

京太郎「頑張ります!今の目標は男女で全国ですからね!……秋大会で結果出して勢いに乗りますよ!」

ハギヨシ「おや、来年の夏は我が龍門渕が女子の代表をいただきますから……目標達成は再来年になってしまいますね」

京太郎「……清澄は負けませんよ?」

ハギヨシ「それは、龍門渕もです」

京太郎「……それじゃあ、また」フフッ

ハギヨシ「ええ、失礼します」フフッ


………

京太郎(龍門渕との練習試合……最初に倒れちゃったのは勿体なかったけど、沢山ヒントをもらえた)

京太郎(龍門渕の皆さん……特に、沢村さんと井上さんには感謝だな)

京太郎(井上さんに教わった鳴きは攻撃に防御にも使える……練習して早くモノにしないと)

京太郎(ハギヨシさんにも迷惑かけちゃったな……いや、優希の件は迷惑じゃなかったのか?)

京太郎(……まあいいか、今日はとにかく)

京太郎「つかれた……」ドサッ

ここまでで

ハギヨシさんは万能キャラなおかげでどう扱っていくか難しいですね

あと、清澄のみんなの自宅の位置関係ってどうなってんですかね?京太郎と咲は同じ中学、優希と和が同じ中学なのにアニメだと帰り道で咲和、京太郎優希で別れて帰るシーンがありましたが…
まあアニメ一期のオリは色々怪しいところが多いんですけども

和気藹々おつー
ハギーがロリコンだったら衣の世話なんてさせられやしないからね
その点は安心

衣はババア

>>305>>306つまり、ロリコンのハギヨシさんが「高校生はババア」って自分に言い聞かせながらドキドキムラムラしつつ衣の世話するSSください

本日10日は国広くんフィギュアの受注締め切り日ですね、予約しよう!

投下します


………

京太郎(基本に忠実に……2-5-8索待ちの三面張!)

京太郎「リーチです!」

「お、早いな」

京太郎「はい!このまま大会に向けて調子上げてきますよ!」

「だんだん兄ちゃんに勝てなくなってきたなぁ…やっぱり腕上がってるよ」

京太郎「本当ですか!?よっし、このままの勢いで来年は清澄高校麻雀部、男女で全国制覇しますよ!」

「いいぞいいぞ!こりゃ来年は東京まで応援行こうかな」

「Roof-top常連で清澄応援団でも結成するか!」


ワイワイ

まこ「……京太郎もすっかり常連さんと仲良くなったのう」

靖子「仲良いなら良いじゃないか。応援団組んでくれるらしいぞ?」

まこ「……藤田プロ最近うち来すぎじゃないですか?仕事の方は大丈夫なんです?」

靖子「せいぜい週一ぐらいだしいいだろ?上客は大事にしろよ」

靖子「……にしてもちょっと見ない間に変わったんじゃないか?彼は」

まこ「この前龍門渕まで行って打ってきたんですよ。その時にいろいろ掴めたみたいで…」

靖子「龍門渕?なんで私を呼ばないんだよ…私も衣で遊びたかったのに」

まこ「いやいや!無理言わんでくださいよ」


靖子「…にしても、なんというか気持ちのいい打牌をするようになったじゃないか」

まこ「龍門渕でなんか吹っ切れたみたいで……最近は真っ直ぐな打牌で楽しそうです」

靖子「うん、元々素直なやつなんだろうな…麻雀を楽しんでるのがわかる」

靖子「……なあ、たまに見せる変な鳴きはもしかして…?」

まこ「はい、龍門渕で井上にちょっと見てもらって…武器にできんか試してるみたいです」

靖子「ふーん…まあ修行中みたいだし、私もちょっと打ってやるかな」

まこ「見てやってください…最近藤田プロの試合見てるみたいですよ?かっこよくて憧れるとか言ってましたわ」ハハ


靖子「お、そりゃ嬉しいね…最近は三尋木プロや新人王の戒能プロに人気流れてるからなぁ」

まこ「藤田プロのスタイルは一般受けいいし人気もある方じゃないですか?」

靖子「んー地元は良いんだけどね…もうちょっと実績ついてこないと看板にはなれないかな」

靖子「……なんかプロ麻雀せんべいのカードコレクターには理不尽に叩かれるし…」

まこ「そういうネタになるのも愛されてる証拠ですって」

靖子「……たしかに、カードに収録されてから名前売れはじめたっぽいんだよな」

靖子「……まあいい、ここで気にしても仕方ないか。ちょっと打ってくる…いつものよろしく」

まこ「はい、カツ丼特盛ですね」


………

靖子「よっ、須賀くん。龍門渕で打ってきたって?」

京太郎「藤田プロ!はい、いろいろ面倒見てもらっちゃって…」

靖子「あそこはみんな実力あるしいい経験になったろ?」

京太郎「すごく勉強になりました!今はいろいろ試してるんですけど……」

靖子「うん、その調子で頑張りな…じゃ、レベルアップしたところを見せてもらおうかな……?」ゴッ

京太郎「……っ!よろしく、お願いします!」

靖子「お?かなり動じなくなったね」

京太郎「……咲と天江さんと龍門渕さんと卓囲んで来たんで」

靖子「……そりゃご愁傷さま。って顔色悪いぞ?大丈夫か?」

京太郎「……ちょっと地獄を思い出しただけです」


………

京太郎(藤田プロの気配が強い…ここは)

京太郎「チー!」タンッ

靖子「うん、しっかり気配感じてるみたいだね…でも」

靖子「ツモだ。4000オール」

京太郎「ズラしても和了られちゃいますか…」

靖子「んー…井上の技術は私には扱えないし、はっきりしたことは言えないが…」

靖子「そうだな……清澄で言うなら片岡はノッてきたらズラしたところで上がるだろ?」

京太郎「あー……なんと言うか、流れにノられる前に……気配が見えたらすぐに鳴くぐらいでいいんですかね?」

靖子「たぶんね……聞くなら私より井上本人に聞いた方がいい。それに、自分のモノにする気なら自分で打ちながら確かめなさい」

京太郎「……そうですね、もう一局お願いします!」


………

京太郎「リーチ!」タンッ

靖子「……これかな?」タンッ

京太郎「それです!12000お願いします!」

靖子「うん、やっぱり前より素直に打つようになったね」

京太郎「……本気の咲や天江さんと打って、やっぱり同じことはできないと思ったんです」

京太郎「そりゃあいつかは俺も、って思いますけど……まずは基本から、自分にできることからって」

京太郎「そしたら…今まですごく焦って空回ってたのが無くなってきて改めて気づいたんですよね」

京太郎「俺、麻雀好きだって…麻雀って楽しいよなって」


靖子「うん、前よりいい表情するようになったね……これは大会の方も期待できるかもな」フフッ

京太郎「……藤田プロにそう言ってもらえると自嬉しいです!俺、頑張りますから!」

京太郎「……ん?今、なんでわざわざ振り込んだんですか?」

靖子「そりゃあ、君に成長してほしいからさ」

靖子「衣や宮永と打ってるとはいえ…経験は多く積んだ方がいい」

京太郎「それって……」

靖子「知ってるだろ?私のスタイルだと……少し場を整えなきゃいけないからさ」

靖子「オーラス、私の親番だ……勉強していきなさい」ゴッ


………

京太郎(すげぇ……さっきから流れが途切れない)

京太郎(もう三本場……これ以上連荘されたらまくられちまう)

京太郎「っ!それ、ポンで!」タンッ

靖子「ふふっ……頑張れ頑張れ」タンッ

京太郎(流れを止められない…!むしろ足掻けば足掻くほど引っ張られてる……!?)

まこ(随分とギャラリーが集まっとるが……)ヒョコッ

まこ「うお……」

靖子「ん?……まあほら、私もプロらしく魅せなきゃね」

靖子「ツモ。国士無双十三面待ち……ここではダブルだっけ?」

まこ「あ、はい……三家ともトビですね」


ワイワイガヤガヤ

「さすがまくりの女王…」

「ダブル役満和了ったって!?」

靖子「いやぁどーもどーも……どうだ?」

京太郎「ぅあー……ヤバイっす。止められる気がしなかった……」グデー

靖子「今の私みたいに特殊な条件下で力を発揮する奴もいるからね……大会では気を付けなさい」

京太郎「はい……ってそうだ!藤田プロ!」

靖子「ん?どうした?」

京太郎「あの、その……さ、サインとかいただけないでしょうか……?」

靖子「なんだ、そんなことか」フフッ

靖子「わかった、それじゃあ今……」

靖子「……いや、そうだな、須賀くんが秋の大会で個人戦十位以内に入ったらプレゼントしようかな?」


京太郎「そんな!この前は他のお客さんに渡してたじゃないですか!」

靖子「でも、なんかあった方が大会もやる気が出るだろ?」

京太郎「そりゃそうですけど…!」

京太郎(……藤田プロに言われたんだよな、勝利への気持ちを強く持て、って……つまり応援してくれてるんだよな?)

京太郎「……ありがとうございます!励みにして頑張ります!」

靖子「ああ、モチベーション上げる要素になったなら私も嬉しいよ」

靖子「……って言うか私より、あんたから何かあげたら?」

まこ「え?わしですか?」

靖子「そそ、彼氏になんかご褒美用意してやんなよ」

まこ「……京太郎、なんか欲しいもんでもあるか?」

京太郎「えっと……」


京太郎(正直、染谷先輩からもらえるならなんでも嬉しいけど……)

京太郎「あ!俺だけなんかもらうのもアレですし、先輩も何か欲しいもの考えておいてくださいよ」

まこ「ん?わしももらってええのか?」

京太郎「もちろん!個人戦で十位以内で…って先輩普通に入っちゃいそうですね……」

まこ「もちろん上位を目指すがどこまで行けるか……まあ、あまり負担にならんのを考えておくかのう」

京太郎「いやいや!染谷先輩の欲しいものならなんでも用意しますから!」

まこ「……あんま調子ええことばっか言わんでな」

靖子「後先考えずにそういうこと言うなよ。将来詐欺とか引っ掛かりそうで心配だ」

京太郎「えぇ……なんかすいません」


靖子「しかし、週末には団体戦だが……清澄は不参加だよな?」

まこ「残念ながら……鶴賀の方も人数揃わなかったみたいですね」

京太郎「龍門渕はフルメンバーのままですし風越も福路さん以外は残ってますから、偵察には行きますけど……」

靖子「夏の上位四校以外にも千曲東とかにもいい選手はいたからな……男子の方もしっかりチェックしておくといい」

京太郎「そうですね……夏はみんなの試合見てるばっかで男子の方あんまチェックしてなかったのは失敗だったかなぁ」

靖子「県内の選手ぐらいは見といた方が良かったかもな……しかし、伸びるやつは短期で伸びるからね」

まこ「……風越の文堂は二ヶ月で校内ランク78位から5位まで上げたって聞いたのう」

京太郎「は!?二ヶ月で73人抜き……しかも風越でですか!?」

まこ「そういう例もあるってことじゃな。京太郎も四月に初めて麻雀に触れて、今は夏の優勝チームと打っとるじゃろ?」

靖子「まあ秋の結果もインハイ予選のシード権なんかに関わったりするからね…ヤバイやつは団体から多少はその片鱗を見せるはずだよ」


京太郎「……なんか、楽しくなってきましたね」ソワソワ

靖子「ああ、その意気だ」フフッ

まこ「うん、今みたいにリラックスして打てればきっと結果もついてくるはずじゃ」

靖子「……それじゃ、今日はここで失礼しようかな」

京太郎「帰っちゃうんですか?」

まこ「試合ありましたっけ?」

靖子「……カードの撮影で」

京太郎「あ、カード入れ替わるんですか?」

靖子「もうちょい先になるみたいだけどね…次に会うのは大会会場かな?」

まこ「…ああ、藤田プロが解説されるんですか」

靖子「うん、会場ではよろしく頼むよ……じゃ、また。カツ丼おいしかったよ」


まこ「……カツ丼は出前でうちで作っとるわけじゃないんじゃが」

京太郎「もういっそ先輩が軽食作って出しちゃえばいいんじゃないですか?」ハハハ

まこ「そうするとまた資格やら許可やら必要になるはずじゃし……」

京太郎「ああ、そうか……もったいないですね、先輩料理上手なのに」

まこ「そう言ってくれるのは嬉しいが、さすがに金取ってお客さんに出すんはな……」

京太郎「俺は毎日お金払ってでも先輩の作るお弁当食べたいですけどね!」

まこ「わしが好きで作っとるんだから金なんかいらんわ」

京太郎「うぇ!?あ、ええと…その」カァァ

まこ「……?あ、違う!いや、違わないけど、その……」カァァ

「おーい!」

京太郎「うわぁ!?」

「いちゃついてるとこ悪いんだけど、卓入ってくれんかねぇ」

京太郎「す、すいません!今入ります!」

まこ(うぅ……お客さんの前で、なにやっとんじゃわしは……)カァァ


………

まこ「今日もお疲れさん」

京太郎「はい、お疲れさまです」

京太郎「……酷いじゃないですか、一人だけ下がって!俺お客さんに散々からかわれたんですよ!?」

まこ「……知らん。元はといえばそっちがいきなり……」

京太郎「先輩が先に恥ずかしいこと言ったんじゃないですか!」

まこ「別にたいしたこと言っとらんじゃろ!?そっちがいちいち意識しすぎなんじゃ!」

京太郎「好きとか言われたら意識しますよ!」

まこ「さっきのは弁当にかかってたんじゃ!」

京太郎「え!?じゃあ俺のこと嫌いなんですか!?」

まこ「いや、そりゃその、好きじゃけども……」


京太郎「ぅへへ……」デレッ

まこ「あ、今のはちょっと無いわ」

京太郎「すいません今の無しで!」キリッ

まこ「……いつもそうしてりゃ男前なんじゃがのう」

京太郎「……そうですかぁ?」デレッ

まこ「うん、あんたはやっぱり三枚目じゃな」

まこ「……そういや、明日の弁当のおかず、なんかリクエストはあるか?」

京太郎「玉子焼き!食べたいです!」

まこ「毎日食べとるじゃろ?」

京太郎「毎日食べたいんですよ!先輩の作った玉子焼きで俺は人生変わりましたね!」

まこ「そりゃ言いすぎじゃって……あと、なんか欲しいもん考えといてな?」

京太郎「はい!先輩もですよ?それじゃ、失礼します!」

まこ「おう、また明日な」


………

翌日

京太郎(……一晩考えてみたけど、案外思い付かないもんだなぁ)

京太郎(麻雀の実力……あげるあげないの問題じゃないし、そもそもそれは大会前に身に付けないと意味ないし……)

咲「おはよー京ちゃん」トテトテ

京太郎「おっす……あ、お前今なんか欲しいもんとかある?」

咲「え?えーとね…最近好きな作家さんの新作が出たの!あとは洋書の原本とか……買ってくれるの!?」パァァ

京太郎「なんで俺が買わなきゃなんねーんだよ」

咲「じゃあ聞かないでよ!期待させないでよね…」プクー


………

和「咲さん、須賀くん、おはようございます」

優希「おっはよー!今日も天気でタコスがうまいじぇ!」

咲「おはよう、和ちゃん、優希ちゃん」

京太郎「おはよ……二人は今欲しいものとかあるか?」

優希「私は常に最高のタコスを追い求めているが?」

京太郎「ブレないなお前は……和は?」

和「それがですね!」

咲「うわっ!」ビクッ

京太郎「ど、どうした和?」


和「今度エトペンの新しいグッズが出るんですよ!」キラキラ

咲「そ、そうなんだ…」

和「ゲームセンターのクレーンゲームの限定品だそうです!」

優希「クレーンゲームかー……私は所持金のほとんどをタコスにつぎ込んでるからあまりやったことないなぁ」

和「私もゲームセンターには行ったことがないですし……手に入れることができるかどうか……」シュン

京太郎「それじゃあ今度放課後にでもみんなで行くか?俺は少しやったことあるし力になれるかも……」

和「本当ですか!?」パァァ

優希「たまにはそういうのも良いな!」

咲「今の時期だと……大会が終わってからかな?」

和「寄り道なんて……ちょっと不良っぽくてドキドキしますね」ワクワク

京太郎「和はなんというか……本当にいい子だなぁ」


京太郎(……とりあえず聞いてみたがいまいち参考にならなかったぞ)

京太郎(趣味のものだと……調理器具?って言っても料理はタコスしかできないしなー)

京太郎(あ、古くなった麻雀牌でもおろしてもらうか…?でもどうせなら新品が欲しいしなぁ)

久「あら、おはよう……みんな揃って何のお話?」

咲「あ、おはようございます部長」

優希「秋の大会が終わったらみんなでゲーセン行こうって話を……」

和「エトペンが出るんです!」

久「え!?ずるいじゃない!私も行く!」

京太郎「……部長、マジで受験とか大丈夫なんですか?」

久「大丈夫よ!なに?私を仲間外れにする気!?酷いじゃない!」

京太郎「いや、そんなこと言ってませんよ……あ、部長って今欲しいものとかあります?」


久「え?そうね……愛が欲しいわ!」

京太郎「は?なに言ってんすか?」

久「それよ!さっきから須賀くんなんか冷たいし!」

京太郎「いや、気のせいですって!」

優希「ぶちょー!」ダキッ

久「優希!?」

優希「私は部長のこと大好きだじぇ!」ギュー

久「……優希ー!」ギュー

優希「ヘイ!のどちゃん、咲ちゃんカモン!」

咲「え?え?」

和「部長っ!ゆーきっ!」ギュー

咲「えっと……わー!」ギュー

久「和っ!咲っ!」ギュー


キャッキャ

まこ「おはよ。なにやっとんじゃ?アレは……」

京太郎「おはようございます!……いや、なんかまた部長が」

久「あ、まこ!こっち来て!早く!」ギュー

優希「染谷せんぱ~い!」ギュー

まこ「……あそこに混ざるの恥ずかしいんじゃけど」

京太郎「かまってあげないとまた部長が拗ねますよ」ハハハ

まこ「……仕方ないのう」ハァ

まこ「あ、京太郎……今日のお昼、屋上で食べんか?」

京太郎「天気もいいし気持ち良さそうですね!それじゃみんなで……」

まこ「いや、その……たまには二人でどうじゃ?」

京太郎「二人で!?」

まこ「みんなにはわしから話しとくから……嫌か?」

京太郎「いえ、そんな!」

まこ「ん、それじゃまたお昼にな……こら!校門の前でなにやっとんじゃあんたらは!」


………

キーンコーンカーンコーン

咲「じゃあ、私は食堂行くから!」バッ

京太郎「うおっ!?どうした?そんな急いで?」

咲「染谷先輩が今日は別で食べるからみんなで食べてくれ、っておかずいっぱいのお弁当箱くれたの!早く行かないと部長に全部食べられちゃう!」

京太郎「お、おう……いってらっしゃい」

咲「いってきます!」トテトテ

京太郎「……みんなすっかり胃袋を掌握されてるな」


屋上

京太郎「先輩!」

まこ「おう、来たか……ほれ、弁当」

京太郎「ありがとうございます!……でも今日はどうしたんですか?」

まこ「ん?ほれ、昨日話したじゃろ?個人戦上位入ったらって……その事でな」

京太郎「ああ……別にその話ならみんなと一緒でもよかったんじゃないですか?」

まこ「あー……まぁほれ、わしらの個人的な約束だし…久なんか便乗して吹っ掛けてきそうじゃし……」

京太郎「…なるほど」

京太郎(咲なんかに個人戦優勝したら本買って!とか言われたら確実に財布トバされるし……)

京太郎(残念ながら優希の期待以上のタコスはまだ作れないし、和のエトペンも取るまでにいくらかかるか……)

京太郎(部長は応援頑張ったから!とかなんとか言ってなんか奢らされそうだし……それに)


京太郎「まあ、たまには二人もいいですよね!誘ってくれて嬉しかったです!」

まこ「そ、そうか?……そりゃ、良かったわ」

京太郎「……?あ、そうだ先輩」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「どうぞ!あーんしてください!」

まこ「え」

京太郎「いいじゃないですか、二人きりですし」

まこ「……そうじゃな」アーン

京太郎「どうです?おいしいですか?」

まこ「わしが作ってきた弁当じゃし……」

京太郎「それならおいしいに決まってますね!」

まこ「ぅ……ありがとな」


京太郎「あ、それで…先輩は考えてきたんですよね?なにが欲しいんですか?」

まこ「う、あー、その、だな……モノではないんじゃが」

京太郎「モノじゃない?」

まこ「あ、うん…だから……わしらは、付き合っとるわけじゃろ?」

京太郎「はい!先輩好きです!」

まこ「あー…だから、それじゃ」

京太郎「それ?」

まこ「付き合っとるんじゃから……その、いつまでも……」

京太郎「?……どういうことですか?」

まこ「ぅう……だからな?」カァァ

まこ「個人戦十位以内に入ったら……名前で、呼んで?」


京太郎「――!」

まこ「……ダメか?」

京太郎「ちょっ!ちょっと、待ってください……」カァァ

京太郎(あぶねぇぇぇ!また鼻血出るとこだった!最近鼻弱すぎ!)

京太郎「えっと、いいんですか……?」

まこ「良いも悪いも、一晩考えて……これが良いなって思ったんじゃけども……」

京太郎「そしたら、えっと……先輩が十位以内に入ったら」

京太郎「まこ……さんって呼びます」


まこ「……うん」カァァ

京太郎「……はい」カァァ

京太郎(……あーもう!なんで今ヘタレたんだよ!呼び捨てで良いじゃんか!)

京太郎「……あ、でも本当にいいんですか?なんなら呼び方はすぐに……慣れるまで無理かもしれませんけど、変えれますし……」

まこ「……やっぱり急に呼び方変えたら変じゃと思うし、何かきっかけがあった方がええじゃろ?」

まこ「それに、わしも特別なご褒美があった方が、大会頑張れると思うし……」カァァ

京太郎「ぅ……そう、ですね」カァァ

まこ「ぅあー……と、とりあえず弁当食うか!昼休み終わってもうたら困るし!」


まこ「……」モグモグ

京太郎「……」モグモグ

京太郎(……くっそー染谷先輩かわいいなもう!まだ顔赤いし照れてるのか)

京太郎(……にしても、モノにこだわる必要は無かったのか、盲点だった)

京太郎(……き、きす、してもらうとか?)カァァ

京太郎(い、いや!告白したときにできたんだし!俺がヘタレなければチャンスはあるはずだ!何か別の……)

京太郎(……この前の猫耳メイドは良かったよな!)

京太郎(めっちゃかわいかったし……なんかそういう感じの服着てもらうとか)

京太郎(でも、一番良かったのは……逃したとはいえ、む、胸を)

京太郎(いやいやいや!だからそれを言ったらさすがにダメだって!)

まこ「あ、そういや……京太郎は何がいいんじゃ?その、ご褒美は……?」

京太郎「……!」


京太郎「え、えっとですね……」

まこ「……うん」

京太郎(どうする?なんかいろいろ夢が広がりつつあるけど!)

京太郎(……やっぱりきききキスしてもらうか!?俺の勝利の女神に!勝ったあとになっちゃうけど!)

まこ「あ、その……まだ決まっとらんなら無理に今決めんでもええぞ?」

まこ「まだお昼の時間だし……えっと、その、あーん…して?玉子焼き、好きじゃろ?」

京太郎「あ、あーん……」モグモグ

まこ「やっぱこれ、恥ずかしいのう……」カァァ

まこ「……あー、だから、その、わしからのご褒美は……決まったら言ってくれればいいからな?」

京太郎「じゃあおっぱい触らせてください!」

まこ「――!?」

京太郎(あああああまりのおいしさに口が勝手にぃぃぃぃ!?)


まこ「えっ……な、なななな!?」

京太郎「あっ……いや、その……」

まこ「あ!そ、そういやちょっと前になんかそんな映画やっとらんかったか?大会勝ったら……みたいな」

京太郎「!?そ、そうですね!だから、その……ジョーク!そういうジョークですよ!?」

まこ「あ……そういやこの前、久も言っとったわ」

京太郎「……何をですか?」

まこ「男子は、やらしいことしか考えとらんって……」

京太郎(うわぁぁぁぁぁぁぁ!!)


京太郎(ちくしょう!部長はなんてこと言ってんだ!おおむね正しいけど!クラスの男子とか日に一回は原村の乳揉みてぇとか言ってる奴いるけど!!)

まこ「……」

京太郎「あ、あの……先輩?」

まこ「……わしの胸なんか触っても、大きくないし、つまらんじゃろ?」

京太郎「そ、そんなことないと思いますよ!?つーかおっぱい触ったこと無いからわからないですけど!それでもおっぱいには夢が詰まってるんですよ!おっぱいいっぱい僕元気ですよ!?」

まこ「……」

京太郎(何を言ってんだ俺はぁぁぁ!?引かれてるじゃねぇか!!)

まこ「……わかった」

京太郎「え?」

まこ「……だから、それでええよ?京太郎が個人戦で良い結果残せたら、わ、わしの胸……触ってええよ?」カァァ


京太郎「え」

まこ「あ、でも!……そうじゃな、えっと、五位!五位以内に入ったらじゃ!」

京太郎「え、その……それは、つまり……?」

まこ「な、何回も言わせるつもりか?」

京太郎「え?おっぱい触ってもいいんですか!?」

まこ「大声で何を言っとるんじゃ!よかないわ!……だから大会で上位五位に入れたら!」

京太郎「……マジですか?」

まこ「……嫌なら別にええけど」

京太郎「違います嬉しいですやったぁぁぁうわぁぁぁ!!」


京太郎「五位……五位ですか」

まこ「う……ちょっとぐらい厳しくして当然じゃろ?長野男子は人数多いから……五位までは入賞扱いだったはずじゃろ?」

京太郎「上位入賞ですね!俺はもとよりそこを目標にしてますから!」

まこ「京太郎にはやっぱり頑張って欲しいから……これでやる気が出るんなら良かったわ」

京太郎(やる気っつーかヤル気が出てきて立てないんですけど……)

まこ「それに、わしは京太郎なら……身内の贔屓目もあると思うが、優勝だって狙えると思っとる」

京太郎「え……」


まこ「京太郎がちゃんと努力しとるのわしは見てきてるし……清澄や龍門渕のみんな、藤田プロ……色んな人と打って多くのものを吸収してきたと思う」

まこ「だから、わしは京太郎がしっかり結果出せるって、信じとるよ」

京太郎「先輩……」

まこ「それに、このご褒美は……この前も、やろうとしたやつじゃしな?」

京太郎「あ……」

まこ「……今度は鼻血で中断せんようにな?」



京太郎(良い匂いがした。近づいてくる染谷先輩の頬は林檎のように真っ赤で)


京太郎(触れた唇は柔らかくて、今回も甘い玉子焼きの味がした)


京太郎(あと、やっぱり少し鼻血出た)

今回はここまでで。土日にしっかり書ききれないのは良くないなぁ…

本編は中堅戦終わったことだしダヴァンの出番が楽しみです

くぁーなんなんだこの甘酸っぱさは!前半のプロ麻雀カードで叩かれる藤田プロのひと笑いをあっちゅーまに吹き飛ばしやがってこのwwww
京まこ以外もみんな活き活きしてていいな乙乙!

藤田プロのキャラがいいなぁ

乙ー
京ちゃんもまこさんもかわいいよー
それにSSでは淫ピばっかりの原村さんが普通に天使なのもうれしい

>>347感想いただけると励みになります。今後もよろしくお願いします

>>348藤田プロに関しては凄い好きなんですけど滅多に見れないので自給自足の形に……藤田プロSS増えろ!

>>349淫ピやプロ勢の男に飢えた魔物化、他にもいわゆるチームiPSとかは定番化してますからね…すこやんやはやりん普通に可愛いと思うんですけど

投下します。

今更ながら気づいたんですが京ちゃんの(しっかりした闘牌ではないにしろ)麻雀を取り扱うということで今回、まだ名無しの体ですが男子のオリキャラが登場してしまうことになったので苦手な方は注意してください。例の「お友達」は世界観を著しく破壊してしまいますし、そもそもあちらの原作しっかり読んでないんですよね…


………

団体戦 予選日

久「みんな揃ったわね?電車乗るわよー」

咲「ふぁーい……」

まこ「……大会会場まで時間あるから電車で寝ててええよ」

和「ちゃんと起こしてあげますから」

咲「ありがとぅ……」

京太郎「……とりあえず会場着く前に行方不明者が出ないで済みそうだな」

優希「咲ちゃんは会場まで寝てた方が安心だじぇ」

京太郎「お前は元気そうだな?寝ててもいいんだぞ?」

優希「私は昨日のどちゃんのおっぱい枕で快眠したからな!」

京太郎「マジで!?」ガタッ

和「ありえませんっ!」


まこ「……ほれ、遊んどらんで行くぞ」

優希「はーい!」

和「あっ!ちょっとゆーき!」

久「咲~?大丈夫?こっちよ」

咲「あぃ……」フラフラ

京太郎「……せ、先輩」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「あ、足踏んでます……」

まこ「すまんな、わざとじゃ」グリグリ

京太郎「痛い痛い痛いっ!」

まこ「……行くぞ」スタスタ

京太郎「はい……すいません……」


………

咲「」ムニャムニャ

優希「」クークー

久「あら、結局優希も寝ちゃったわね」

和「昨日の夜楽しみで眠れないってメール来ましたから……」

京太郎「自分の試合じゃねぇのに……まあ、らしいっちゃらしいけど」

まこ「……」

まこ(そんなにでかいのがええんかいのう……いや、あれだけでかけりゃ気になるのはわかるがそれでも……)

まこ(……食生活とか見直せば多少は変わるんじゃろうか?今まであんま気にしとらんかったが)

まこ(この前咲がいろいろ言ってたし話を聞いてみて……効果無かったみたいだしあんま意味ないかのう?なんにせよ……)

まこ「うらやましい…」ボソッ

和「えっ?」


まこ「あ、いやなんでも……」

久「ほほぅ?……なるほどね!たしかに気持ちはわかるわ」

まこ「いや、だから……」

久「私もちょっと気になってたのよね!とんでもないことになってるし……」

和「?……なんのお話でしょうか?」

久「そりゃ和のパイの話よ」

和「牌?私の部屋のは市販の物ですが……」

久「そうじゃなくて……あ、須賀くんちょっと離れてなさい!うちの最高機密情報なんだから!」

京太郎「……了解でーす」


京太郎(パイってつまり……)

久「で?実際……」

和「え?ですからなんの……」

まこ「だから……」

和「ええっ!?……それは、その……」

久「ほら、恥ずかしがらずに……」

和「……」

久「はぁ!?」

まこ「なっ!?」

久「え、ちょっと……ABCD……」

和「か、数えないでくださいっ!」カァァ

まこ「な、なんつー……咲が寝てて良かったわ……」

京太郎(気になる)


和「でも……服とか…」

久「…たしかに、……」

まこ「でも……る程度……」

和「それは……でも…すぎても……」

久「……!」

まこ「……!」

和「……!」

京太郎(ありゃ…少し落ち着いたら本格的にひそひそ話になっちまった)

京太郎(……暇だな)

京太郎(咲と優希の様子でも見てるか)


優希「」スヤスヤ

咲「」グデー

京太郎(って咲よだれ垂れてるし……拭いといてやるか)フキフキ

咲「ん……おね、ちゃ……」

京太郎(……!)

京太郎(仲直りできたって言ってたけど……やっぱり別居中だし寂しいのか?)

咲「うへへ……ボインボインだ~……もうまな板姉妹とは……うへへ……」

京太郎(……聞かなかったことにしよう)


優希「待って!」ガバッ

京太郎「うおっ!?どうした!?」

優希「……あれ?グレートおいしくちからもまんてんまぼろしのタコスは……?」

京太郎「なんだそれは!?」

優希「……なんだ、夢か」

京太郎「……どんなタコスの夢だったんだ?」

優希「いや、私は世界を救うために仲間と旅をしていたのだが……」

京太郎「予想の斜め上だった!?」

優希「魔王の城の扉を開けるのに必要なまぼろしのタコスを池田が食べてしまったのだ……!」

京太郎「どんな扉だよ!?つーかお前の中の池田さんどうなってんだよ……」

優希「私が後で食べようと思ってたのに……!許さんぞ池田ァ!」

京太郎「食べるのかよ!?世界はどうなっちゃうんだよ!?」


………

京太郎「……お、そろそろ着くな」

優希「む、今から光のタコスと闇のタコスが交わり最強に見えるところなんだが……」

京太郎「世界の構成要素がほぼタコスってどうなってんだお前の夢は?……おい咲、そろそろ着くぞ?起きろ」

咲「……ふぇ?」

優希「咲ちゃん起きたか~?」

咲「っ!」ガバッ

咲「……」ペタペタ

咲「……」ガックシ

優希「どうしたんだ?」

京太郎「……そっとしておいてやれ」


………

まこ「みんな……つーか咲はちゃんといるか?」

咲「いますよ!私だってそんな毎回迷子になるわけじゃ……!」

京太郎「待て待て」ガシッ

咲「きゃっ!……なぁに京ちゃん?」

京太郎「……今どこ行こうとした?」

咲「Aブロックの観戦はあっちだよ?」ドヤッ

京太郎「……」ハァ

久「……不安だから私が手を繋いでおくわね」ギュッ

咲「え?そんな、大丈夫ですよ!私だって子供じゃないんですから……ねぇ?」

和「一人でお手洗い行ったらダメですよ、咲さん」

優希「今日の咲ちゃん係決めとかないと……」

咲「……あれー?」


睦月「あ、清澄のみなさん」

佳織「おはようございます」

まこ「お、鶴賀の……」

和「おはようございます……東横さん?どうかされましたか?」

桃子「!?おっぱいさんやっぱり私が見えるっすか?」

京太郎「うわっ!?」ビクッ

優希「おおぅ……モモちゃんいたのかー」

和「おっぱ…!?……見えるとか見えないとかどういう意味でしょうか?」

桃子「うおぉぉぉ!やっぱりすごいっす!連絡先交換してなかったっすよね?教えてほしいっす!!友達になるっすよ!むしろもう親友でお願いするっす!」

和「し、親友ですか!?は、はい…こちらこそよろしくお願いします……」テレテレ

優希「むぅ……タコスぢから満点なら私もちゃんと見えるんだが」

桃子「マジっすか!?タコスなんかいくらでもご馳走するっすよ!タコスさん!」

優希「……タコスさんだなんて照れるじぇ」テレテレ

京太郎「どこに照れる要素が!?」


久「……あれ?ゆみと蒲原さんは来てないの?」

佳織「智美ちゃんが……その、受験勉強の方が危なくて……」

睦月「シードの龍門渕と風越が出てくるお昼過ぎに来るそうです……」

久「あらら……大変ねぇ」

まこ「なに他人事みたいに言っとんじゃ……」

京太郎「部長本当に大丈夫なんですか?」

久「……大丈夫よ?あんまり言わないでよ!不安になるから!」

睦月「あれ?まだ竹井さんが部長なんですか?」

まこ「ああ、この前一応わしが引き継いだんじゃが……」

京太郎「この人毎日部活来るんで……」


京太郎「あ、つーか俺ちゃんと話すの始めてですよね?須賀です、よろしくお願いします」

睦月「そうだね、インハイの時東京で顔は合わせたけど……津山です、よろしく」

佳織「妹尾です、よろしくね……えーと、染谷さんとお付き合いしてるって聞いてるけど」

まこ「なんで鶴賀にまで広まっとるんじゃ!?」

睦月「この前文堂さんと電話したときに聞いて……」

まこ「って風越にも広まっとるんかい!」

佳織「池田さんが天江さんに聞いたらしいですよ」

久「いつの間にか有名カップルねぇ」

睦月「……あれ?そういえばそちらも咲ちゃん来てないんですか?」

まこ「なに言ってんじゃそこに……」

久「……あれ?」


まこ「ちょ!あんた手ぇ繋いどったんじゃないんか!?」

久「繋いでたわよ!なんで居なくなってんの!?」

京太郎「あー、とりあえず男子の会場の方探してきます……そのまま予選見てますね」

和「さすがにそこまでは行かないんじゃ……」

京太郎「あいつはどこに行っててもおかしくないって……見つけたら連絡しますんで」

久「とりあえず私も男子の方見に行くから……まこ、そっちはよろしくね」

まこ「あいよ!すまん、もし咲見つけたら…」

桃子「捕まえるっす!」

睦月「うむ……見つけたら清澄の誰かに連絡します」

優希「タコスの買い出しついでに会場の外も見てくるじぇ!」

佳織「それじゃあ私も一緒に飲み物とか買いに行こうかな……」


………

久「どうしてちゃんと手握ってたのにいなくなったのかしら……」

京太郎「……迷子の達人なんで仕方ないですね」

久「そろそろ第一試合始まっちゃうけど……」

京太郎「あー……でもほっとくのも心配ですし」

久「運営に頼んで迷子の放送でもしてもらう?」アハハ

京太郎「……さすがに恥ずかしいしそれは最後の手段にしましょうか」

久「うーん……とりあえず須賀くんはそこの試合見ときなさい。私ももう少し探したら別ブロックの試合見とくから」

京太郎「了解っす」


………

京太郎(……思ってたより化物じみたやつはいなそうだな)

京太郎(……いやいや!シード校は午後からの登場だし、まだ力を温存しているのかもしれない)

京太郎(……にしても、やっぱり清澄や龍門渕のみんなって凄いんだな)

京太郎(咲や天江さんレベルの雀士はほとんど見ないし……デジタル打ちも和レベルの雀士は……ん?)

京太郎「部長からメールだ……咲、見つかったのか」

京太郎「会場外の公園で風越の部員に拾われた?なんで外に……って考えるだけ無駄か」

京太郎「とりあえず昼に合流すりゃ良さそうだな……大将戦までじっくり見てくか」


………

京太郎「どこの学校もやっぱり先鋒や大将をチェックしといた方が良さそうだけど……」

京太郎「勝ち目がないって感じではなかった、かな?」

久「あ、須賀くん!どうだった?」

京太郎「部長!そうですね……手強そうですけど勝てなくはないと思います」

久「私の見てた試合でも上手い選手はいたけど……歯が立たないってことはないと思うわよ?」

京太郎「本当ですか?もしかして俺って結構強いんですかね!?」

久「あんまり調子にのらない!シード校が出てくるのは午後からなのよ?……とりあえずみんなと合流しましょうか」


久「あ、いたいた」

まこ「お、男子の方はどうじゃった?」

京太郎「一応なんとかなりそうです……女子の方はどうですか?」

優希「夏に対戦した今宮女子や去年の夏に県三位だった城山商業なんかが勝ってるじょ」

和「午後からは風越と龍門渕が出てきますから別れてそれぞれ観戦する予定です」

まこ「ほれ、トーナメント表じゃ」

久「ふーん……まぁ結構順当な感じね……で、咲はしっかり捕まえたのね」

咲「和ちゃんと優希ちゃんが手離してくれなくて……」

京太郎「いや、それは仕方ないだろ……風越の人に拾われたって?」

咲「ちょうど会場に到着したところだったらしくて……さっきまで一緒に試合見てたんだけど」

まこ「風越はこれから試合あるしミーティングだそうじゃ」


京太郎「そうですか……ちゃんとお礼言ったか?」

咲「言ったけど……別に迷子になったわけじゃないんだから!」プンプン

京太郎「はいはい」

咲「なにその適当な返事は!?」プクー

和「……あ、あちらにいるの龍門渕さんたちじゃないですか?」

純「お、清澄じゃんか。試合ないのに来てたのか?」

まこ「今日は応援兼偵察じゃ」

久「お昼過ぎに登場とは余裕ね?」

智紀「衣がなかなか起きてくれなくて……」

一「そっちこそ宮永さんが迷子で半泣きになってたって吉留さんに聞いたけど大丈夫?」クスクス

衣「咲は泣き虫だなー」

咲「な、泣いてないもんっ!」


京太郎「ハギヨシさんっ!」

優希「こんにちはっ!」

ハギヨシ「こんにちは」ニコッ

京太郎「こんにちは!タコス作ってきたんでよかったらお昼にでもどうですか?龍門渕さんもよかったら……」

透華「タコス……?」

優希「世界一の料理だじぇ!知りませんか?」

透華「せ、世界一…?し、知ってますわ!ええ、もちろん知ってますとも!あ、あの、えっと、タコの……」

ハギヨシ「たしか、トルティーヤという生地に肉や野菜等を挟んだメキシコの料理でしたね?透華お嬢様」

透華「え、ええ!その通りですわ!当然知ってましてよ!?」

久「あ、龍門渕さん」

透華「な、なんですの!?私は本当に――!」

久「?……鶴賀の人たちも来てるからよかったらお昼一緒にどう?」

透華「ゴホンッ……それでは、ご一緒させていただきますわ」


………

京太郎「前より良くなってると思うんですけど……」

ハギヨシ「それではいただきましょうか……私もタコスを準備してきましたので、よろしかったら……」

優希「いいんですか!?」パァァ

優希「タコスうま~」モグモグ

透華「あら、なかなかおいしいですわね」モグモグ

衣「ふむ……これは優希が世界一と評するのもうなずける」モグモグ

咲「京ちゃんだんだん上手になってるよ」モグモグ

京太郎「いや、でもやっぱりハギヨシさんにはかないませんね……」モグモグ

ハギヨシ「私も片岡さんにはかないませんし、まだまだ精進しないといけませんね……」

ハギヨシ「……須賀くんはタコスよりもそちらのお弁当を食べた方がよろしいのでは?」

京太郎「え!?あ、いや、食べますけど……」

ハギヨシ「いいですね、手作りのお弁当」フフッ

京太郎「……はい」カァァ


睦月「染谷さん、彼氏にお弁当作ってあげてるんだ……」

まこ「う……まあ」

佳織「いいですねぇ、ラブラブで」

まこ「ら、らぶらぶって……」カァァ

和「染谷先輩はお料理とても上手なんですよ」

一「あ、でもそんな感じするよね……うちだとハギヨシさんを除けば純くんが一番かな」

桃子「それは意外っすね」

純「まあ俺は食べる方が好きだけどな」モグモグ

智紀「一回戦はどうでした?」

久「私は男子の方見てたから……明日の決勝は確実に龍門渕と風越は出てくる組み合わせだと思うけどね」

一「あ、そういえば風越のみんなは?会場来たときにすれ違ってちょっと話したけど……」


和「試合前のミーティングだそうです」

まこ「名門風越としては二連続でインハイ出場逃しとるし磐石を期したいんじゃろ」

佳織「お昼休みまでミーティングなんて大変だよね……」

純「こわ~いコーチが怒鳴り散らしてるらしいぜ?」

和「そうなんですか?夏に会ったときはそんな怖そうな人ではありませんでしたけど……」

智紀「名門校らしく部活は結構体育会系みたいで……普段はともかく麻雀に関しては熱血指導らしい……」

久「うちは人数もギリギリだし顧問もいるかいないかわからない状態だから気楽でいいけどねぇ」

睦月「そんな状態で全国制覇しちゃうんだからすごいですよね……」

久「ま、実力ね!」フフン

まこ「あんまり調子にのらんの」ペシッ


ハギヨシ「ところで、男子の方の試合はどうでしたか?私は女子の試合の牌譜をとっていたので……」

優希「え?ハギヨシさんさっき龍門渕のみんなと会場来たばっかりなんじゃ……?」

ハギヨシ「ええ、そうですよ?」

京太郎「……あー、まあ男子もシード校は午後からですしまだこれからって感じですかね」

久「あ、須賀くんこれさっきとっといた牌譜ね」

京太郎「あ、ありがとうございます」

まこ「油断せんでな……団体戦に参加してなくても強い選手はいるもんじゃし」

睦月「私も夏はそういう人にやられちゃったし……平滝の……」

和「南浦さんですね。個人戦五位だった……」

京太郎「ああ、そっか……シード校の選手だけじゃなくて団体戦に出てない選手もいるんですよね」

ハギヨシ「個人戦のみの参加なのは須賀くんも同じでしょう?」

智紀「情報面でのアドバンテージもある」

透華「何よりこの私が指導したのですから!自信を持って打てばいいのですわ!」

京太郎「はい!ありがとうございます!……そろそろ二回戦の観戦席とってきますね」


一「……それじゃあボクらもそろそろ準備しよっか?」

佳織「頑張ってくださいね!」

咲「頑張ってね、衣ちゃん」

衣「うん!頑張ってくるぞ!」

まこ「天江さんまで回るかのう?」

透華「なんにせよ目立ってなんぼですわ!純、わかってますわね?」

智紀「早いうちに風越のチェックもしたい……」

純「ああ、わかってるって……みんな、せっかく見に来てくれたのに申し訳ないけどよ」



純「今日打つのは、俺だけだ……!」ゴッ



………

京太郎「……はい、もしもし?染谷先輩?」

まこ『どうじゃ?そっちは?』

京太郎「そろそろ次鋒戦終わるとこです。順当にシード校が勝ってますね……そっちはどうですか?」

まこ『……ついさっき井上が他校トバして龍門渕が勝ち上がったとこじゃ』

京太郎「はぁ!?……相変わらずデタラメですね龍門渕は」

まこ『優希に聞いたら風越はもう副将戦半ばらしいわ』

京太郎「早っ!?どうなってんすか……?」

まこ『龍門渕とは逆に速攻でガンガン回して手の内を見せないつもりじゃな』

京太郎「さすがですね……その調子じゃ風越もやっぱり勝ち上がりますね」

まこ『ああ……とりあえずわしも男子の試合見に行っとくわ』

京太郎「ありがとうございます!お願いします!」


……

…………

京太郎(初日は順当にシード校が勝ち抜きを決め、清澄のみんなの協力もあって有力選手の牌譜もかなり集めることができた)

京太郎(やっぱり県上位の雀士ともなると地力が高い……押し引きの判断も早いし火力も高いし……)

京太郎(まあ、そういう雀士の弱点というか癖というか……勝機を探すためにこの決勝戦も偵察に来たわけだけど……)

ザワザワ ワーワー

京太郎「決勝ともなると人も多いな……それぞれのモニターに別れてたのが集まるからか」

京太郎「女子は個人戦あるし、仕方ないんだけれども」

京太郎「……二日連続一人で観戦って寂しいなぁ」ハァ

京太郎「あー、馬鹿なこと言ってないで席探すか」


………

京太郎(どこかに空席は……っと)

京太郎「すいません、隣いいですか?」

「あ、どうぞ……今日は混んでて大変っすね」

京太郎「そうっすね……こんなに混むと思ってませんでしたよ」

「ま、基本女子の方に観客流れてますからね……男子の試合見に来てるのはだいたい身内か偵察か、ってね」

京太郎「はあ、そういうもんなんすか」

「どうせ知らない奴の試合見るなら可愛い女の子を見たいっしょ?」ハハハ

京太郎「たしかに!」ハハハ

「……試合自体も女子のが面白いですしね」

京太郎「え?」

「あ、いやなんでも……試合、始まりますよ」

京太郎「おっと、牌譜とる準備しないと……」


「……今日はお一人で偵察っすか?」

京太郎「あ、はい。うちの部活人数少なくて……男子も俺一人ですし」

「道理で……予選じゃ見なかった顔だなーと」

京太郎「そっちも偵察ですか?」

「うん。うちも男女一人ずつにコーチが一人でまともに卓も囲めない部活なんで……個人戦は出るんで偵察に」

京太郎「生徒二人に指導者って……大変そうっすね。うちも女子が団体ギリギリで……三年が引退して今回は参加できなかったんですけど」

「そりゃ残念っすね……女子団体と言えば昨日龍門渕がアホみたいなことやってましたけど」

京太郎「風越もすごい勢いで大将戦まで回して勝負つけちゃいましたしねー」

「……男子の方はどこも堅実で、実力はあるんですけど…まあ、あそこまであからさまなことは滅多に起こりませんからね」


………

京太郎「北家、押し引きの判断が的確で早いですね」

「かなり堅いっすね……昨日も振り込みなかったと思います」

京太郎「……あ、本当だ。っと、親が和了った!」

「あいつ、流れに乗ると止まらないタイプっすから……この先鋒戦、かなり稼ぐと思いますよ」

京太郎「……詳しいですね?」

「敵を知り己を知れば……って言うじゃないですか。夏も男女の有力選手は見に来てたんで」

京太郎「へぇ……個人戦は出場したんですか?」

「いや、麻雀は昔からやってんだけど……うちの学校に麻雀部あるの知らなくてさ、県予選終わってから……夏休み前ギリギリで部活入ったんすよ」ハハハ

「そちらはどうだったんです?個人戦の方は?」

京太郎「……俺、麻雀始めたの今年の春で……初日の午前で」

「ありゃ……なんか、すいません……」


……

…………

京太郎「決勝戦、いい勝負でしたね」

「そうっすね……先鋒戦でつけた差が活かしきれなかったのがもったいなかったなぁ」

京太郎「あそこ前半は良かったんですけどね……」

「前半はバカヅキして稼ぐ形にはなりましたけど……他校の守りが固かった!直撃とって大きく削れなかったのがね」

京太郎「そのまま次鋒から徐々に流れ持ってかれてあっちの大将が一気にひっくり返して差をつけたからなぁ」

京太郎「まあ、全体的に見てもレベル高くてよかったですよね」

「そうっすね……でも」



「……つまんねぇよな」


京太郎「え?……つまんないって、そんな」

「……だってさ」

「例えば……極端な話、今打ってた連中が宮永照に勝てると思うか?」

京太郎「それは……」

「まぁ宮永照は極端過ぎるかもしれないけどさ……長野で言えば天江衣や宮永咲、東京の辻垣内や大星、大阪の愛宕や江口、荒川とか挙げればいくらでも出てくるけど」

「最近の雀士は女子が強すぎるんだよな」

京太郎「……まあ、たしかに」

「男子は競技人口は多いしレベルも高い。下の方は女子より力あるけど……それでも女子の最上位クラスの雀士と戦える男はほとんどいない」

「プロ雀士も……小鍛治健夜が出た辺りからかな?男子の勢いは落ちるばっかでさ」

京太郎「……そうなのか?」


「あぁ、今年麻雀始めたって言ってたっけ……小鍛治健夜が出てきたのが十年前ぐらいなんだけど」

「……うちはじいさんが麻雀好きでさ、ガキの頃から麻雀一緒に見たり打ったりしててさ」

「だから俺もじいさんが若い頃から応援してた……今はシニアリーグで打ってる大沼プロとか南浦プロとかのファンなんだよね」

「昔の映像とかも残っててさ……今みたいなデジタル理論もなくて泥臭いけど、熱気というか、殺気というか……とにかく激しいんだよな。見てるこっちまで熱くなっちまうほどにさ」

「女子が強くなってくるとだんだん男子は勢いなくなってきて……インハイも女子のが試合見てて面白いだろ?男子より熱くて、気持ちの入った闘牌をしてる」

京太郎「……たしかに全国の試合は凄かった……見てて圧倒されたよ」

「じいさんもいわゆる…最近の若いやつは、的な?ガキの頃からずっと最近の男子は情けないって言い聞かされ続けてさ……」

「実際、ちょっと感じるだろ?男子連中の……女子には勝てない、みたいな空気」

京太郎「……ああ」

「だから、俺は元々インハイ出る気は無かったんだよ……男子は弛んでるから面白くないし、アマでも参加できる男女混合の大会ならモチベ高い奴らが出てくるし…そっちで結果出そうと思ってたからさ」

京太郎「じゃあ、どうして夏から麻雀部に……?」


「まあ、入る理由ができた……というよりあったんだよな、気付いてなかっただけで」

京太郎「……唯一の女子部員が可愛かったとか?」

「それもある!」

京太郎「あるのかよ!?邪な理由だな!?」

「いや、あくまでも理由の一つだから!ほかにもいろいろあるの!」

「……まあ、とにかく俺の目標はただ勝つことじゃない」

「男子麻雀界の復活……女子にも負けない…じいさんの、俺の好きな、熱くて楽しい麻雀を取り戻す!」

京太郎「――!!」

「……夢はでかいほうがいいだろ?」

京太郎「……ちょっとかっこいいと思った」グヌヌ

「だろ?まっ、そういうわけでお前も頑張ってくれよ?男子全体のレベル上げて女子とも対等に…それ以上に打ちたいんだよ、俺は!」

京太郎「言われなくても!今回だって、俺は上位入賞狙ってるんだぜ?」

「……午前敗退がでかい口叩くなよな!」ハハハ

京太郎「うっせ!そっちも実績無いんだろうが!」ハハハ


………

「――やっと見つけた。ほら、帰るわよ」

「あ、数絵さん!師匠は?」

数絵「……気安く名前で呼ばないでって言ってるでしょう?」ツーン

「す、すいません……」

京太郎「……例の女子部員か。脈なしっぽいな」ボソッ

「うるせー!照れ屋なんだよ!これからデレんだよ!俺は後半勝負なの!」ヒソヒソ

数絵「……?とにかく、お祖父様は車で待ってるわ……早く準備しないと先に帰るわよ?」スタスタ

「ちょっ!勘弁してくれよ!……じゃ、またな!来週の予選で会おうぜ!」

京太郎「おう、負けねぇぞ!」


京太郎「……なんだあれ、面白い奴だな」フフッ

京太郎「男子麻雀界の復活……か」

京太郎「たしかに……昨日今日の試合を見てる限り、咲や天江さんに勝てる雀士ってのは……」

京太郎「いや、それこそあいつの言う通り……俺だって、今すぐは無理でも……みんなと打ちたい……勝ちたいんだ!」

京太郎「自信満々だったけど……どの程度打てるんだろうな、あいつ」

京太郎「ネットで牌譜とか探して……あ」

京太郎「名前、聞くの忘れてた……」

ここまでで

オリキャラに関しては苦手な人が多いと思いますが適当な名無しと適当に麻雀やって勝った負けた言っても面白味ないと思うんで苦渋の決断。
原作にいないので>>1の脳内で補完されてしまっている部分もあると思いますので批判等あればどうぞ……

投下します

あ、書き込めた
すいません30分後くらいから出来てるとこまで投下してきます


………

まこ「ほう、男子麻雀界の復活……」

久「結構面白い子じゃない?」

優希「名前を聞き忘れるってのが京太郎らしいじぇ」

咲「中学の時も公園で知らない人とサッカーしたりバスケしたりしてたよね」

京太郎「……いいだろ別に!なんかこう、通じ合うものがあったんだよ!」

咲「また適当なこと言って……」ハァ

和「……もしかしたら平滝高校の方かもしれませんね」

京太郎「え?もしかして知ってるやつか?」

和「いえ……ただ、夏に個人戦に参加されていた南浦さんの下の名前がたしか数絵さんだったかと……」

久「部活に入った理由、って言うのも夏の大会で尊敬する南浦プロが自分の学校の生徒に指導をしていることに気づいた、ってことかもね」

京太郎「なるほど……」


京太郎「あ、ところで女子の方はどうだったんですか?決勝戦!」

和「龍門渕が優勝しました」

まこ「次いで風越、城山商業、今宮女子じゃ」

咲「やっぱり衣ちゃんが凄かったよ」

久「池田さんかなり頑張ったんだけどねぇ」

優希「池田は勝負になってたからともかく……残りの二校は気の毒だったじぇ……」


………

先鋒戦

葉子(昨日は龍門渕が先鋒でトバすとかバカみたいなことやってたけど……)

葉子(所詮は雑魚相手!最速と呼ばれた私のスピードについてこれるかしら…!?)

葉子「リーチ!」タンッ

純「チー!」タンッ

葉子(チッ!一発消されたか!)

純(ったく調子づいてめんどくせぇな……)

純(まだ俺に流れは無い……無理するよりここは…)チラッ

星夏(……井上さんが鳴いたってことは今宮女子は恐らく和了りが遠のいたはず)フム

星夏(リーチすればまたズラされる可能性があるしここはダマで…)タンッ

葉子(くそっ!和了れないか…)タンッ

星夏「ロンです!3900!」

葉子「……はい」


………

京太郎「風越は文堂さんが先鋒になったんですか?」

久「まだ一年生だし経験を積ませる意味もあるんでしょうね。美穂子の穴を埋めるにはまだまだだけど……真っ直ぐな打ち手で好感あるわね。努力家だし伸びると思うわよ?」

まこ「夏はその真っ直ぐなところが災いして性悪のあんたに喰われたんだったのう…」

咲「気の毒に……」

久「ちょっと、なによその言い方!拗ねるわよ!?」

優希「まぁ半荘一回目はそのまま風越が稼いだんだけど……」

和「後半は井上さんが攻勢に出て取り返しましたね」

まこ「そこら辺はやっぱり経験の差かのう……変則的な打ち手じゃし、文堂は手こずっとったわ」


咲「次鋒、中堅は風越が上手だったね」

優希「新しい人も結構落ち着いて打ってたじぇ」

久「天江さん対策でしょうね……安手で早めに場を流しながら差を詰めてったわ」

京太郎「……ああ、天江さん素であれだけ強いのに夜になるとさらに強くなるんでしたっけ?」

和「夜になったら麻雀が強くなるなんて、そんなオカルトありえません!」

まこ「……各校速度を合わせざるをえなくなって中盤はかなり早く場が流れたんじゃ」

咲「あ、これ牌譜ね」

京太郎「さんきゅ……ここら辺はわりと点数平らなんだな」

優希「風越が次鋒戦でかなり取り返したからな…吉留さんの華麗な打ち回しはまさしく銀色の風!って感じで沢村さんはキツそうだったじょ」

京太郎「なんだそりゃ……ちょっとかっこいいけど」


京太郎「副将戦は……うお!?これは……」

久「いやー最っ高に目立ってたわよ?龍門渕さん」

和「なかなかお目にかかれないものが見れましたね」

京太郎「つ……つーいーそーだいさんげん……?」

まこ「ダブル有りじゃったらここで勝負は決まっとったのう」

優希「試合後のインタビューもご満悦な様子だったじぇ」

咲「今日一番目立ってたからね」

久「勢いに乗ってそのまま高い手をいくつか和了って……」

まこ「リーチした後にでかいの振って終わったんじゃったな」

京太郎「…で、大将戦でトビ終了っすか」


………

「」チーン

「もう麻雀やめる…ッ!!」ダッ

華菜「……あの子、夏も同じこと言ってたし」

衣「ふむ、なかなか図太い奴のようだな」

華菜「……今回は負けたが、次はあたしが勝つし!」

衣「華菜も夏に同じこと言ってたな?」

華菜「うっさいし!あたしは図々しいんだ!来年の夏こそ真の勝負だし!……また打とうな、衣!」

衣「……うんっ!」


………

美穂子「お疲れさま、華菜」

未春「惜しかったね、華菜ちゃん」

華菜「キャプテン!みはるん!」

星夏「キャプテンは池田先輩ですよ」

華菜「……美穂子先輩!」

美穂子「なぁに、華菜?」フフッ

華菜「あ、いや……惜しかったとはいえ、負けは負けだし……」

純代「まだ、全部終わったわけじゃないよ」

華菜「……もちろん次こそ勝ってみせるし!相手が龍門渕だろうと清す「池田ァァッ!!」

華菜「」ビクッ


華菜「は、はい……」ビクビク

貴子「あ、いや…うん、その意気だぞ」

華菜「……ほめるならいちいち怒鳴らないでほしいし!」

貴子「あ…悪いな、つい……」

華菜「つい、で怒鳴られるこっちの気持ちになってほしいし!だいたい、いい年した大人が…」グチグチ

貴子「わ、悪かったって……」イラッ

美穂子「華菜…?少し落ち着いて……」

華菜「悪かった?それが人に謝る態度とかなってないし!そんなんだから彼氏の一人もできないんだし!ちょっとは女らしく……」グチグチ

貴子「……」イライラ

未春「か、華菜ちゃん…そこら辺で……」

星夏「あ、ミーティングに備えて今の試合の牌譜準備しないと……」ソソクサ

純代「私も手伝うよ」ソソクサ

華菜「あ、なんならあたしが料理とか教えてやっても「調子にのってんじゃねぇぞ池田ァァッ!!目上の人間に対する口の聞き方も知らねぇのかッ!!」

華菜「ひぃっ!す、すいません!!」


………

久「そんな感じでさっきまで風越はじゃれてたけど……さっき帰っちゃったわね」

京太郎「……池田さんって残念な人なんですか?」

優希「知らなかったのか?」

和「ゆーき、あまり失礼なことを言っては……」

京太郎「あ、そういえば龍門渕の人たちも帰っちゃったんですか?ハギヨシさんにも挨拶してないし……」

咲「さっきまでずっと記者さんに囲まれてたけど……」

まこ「帰って牌譜の検討するって言ってたから……ハギヨシさんおるし、もう屋敷に着いとるんじゃないのかのう」

和「鶴賀の方たちも蒲原さんの車で帰って行きましたよ」

咲「みんな顔色悪かったけど大丈夫かな?何かあったんじゃ…」

久「蒲原さんの運転を考えると……まぁいいわ、私たちも帰りましょうか」

まこ「そうじゃな……これ以上遅くなるとさすがにまずいじゃろ」


京太郎(団体戦が終わって、個人戦まであと一週間)

京太郎(……団体戦、"あいつ"はつまんない、なんて言ってたけど試合を観る限り実力のある雀士たちが揃ってることに間違いはない)

京太郎(……麻雀は人気競技だ。はじめて半年の俺は圧倒的に経験で負けてる)

京太郎(残された時間は短いけど……出来る限りの事をして大会に臨むぞ!)


………

雀荘『Roof-top』

靖子「やあ、いつもの頼むよ」

まこ「いらっしゃいませ!カツ丼特盛で…」

京太郎「藤田プロ!会場では会えなくて残念でした…」

靖子「私は女子の解説で呼ばれてたからね……男子の方の観戦をしてたなら仕方がないさ」

まこ「龍門渕が優勝しましたが……」

靖子「んー、まあ順当だろう……風越も力はあるが、やはり福路が抜けたのは痛い」

靖子「……衣が変わったのもあるかな。今年の夏は……遊んでいるようなところがあったが、今回は最初から全力で周りをトバしにかかったからな」

京太郎「俺も牌譜は見ましたよ……風越の池田さんが何回か和了ってましたけどすごい勢いで天江さんが勝負決めちゃいましたね」

靖子「去年のインターハイとか……元々高火力で叩き潰すスタイルだからね。最初からそのつもりで打てばああもなる」


靖子「……で?さっきから誰の牌譜見てるんだ?男子の方はあまり詳しくないんだが……」

京太郎「あ、これは大会の選手じゃなくて……今はシニアリーグで打ってる南浦プロのなんですけど」

靖子「南浦プロの?なんでまたこのタイミングで……いや、そりゃいい勉強になると思うが」

まこ「確実ではないんですけど……もしかしたら南浦プロの弟子が大会に出てくるかもしれないんですわ」

靖子「ん?平滝の南浦数絵とは夏にも個人戦で打ってるだろ?それに須賀くんには関係ないんじゃ…」

京太郎「実は……」



………

靖子「なるほど……」

京太郎「本当に南浦プロの指導を受けているなら……いや、受けてなくても憧れているプロの打ち筋に似てるってことはあり得ますよね?」

靖子「まあ、勉強しておいて損は無いだろう。南浦プロは長い間プロの世界で打ってる人だしな」

靖子「南浦プロは南場になると強い力を発揮する……片岡の後半強い版だな、そいつが同じような特性の打ち手なら経験が活きるかもしれないな」

京太郎「……前半勝負の方がいいんですかね?」

靖子「一応警戒した方がいいかもね。それより…詳細のわからない相手の対策を考えるよりも、確実に当たるであろう大会決勝参加チームの選手の勉強をした方がいいんじゃないか?」

京太郎「う…まあそうなんですけど……つい気になっちゃって」


靖子「とりあえず打とっか?っていうか打ちたいから相手してよ」

京太郎「もちろんです!いつもありがとうございます」

靖子「いや、私も打つのは楽しいし…優秀な学生には唾つけときたいし……」

京太郎「え」

まこ「な!?い、いくら彼氏いないからって……!」

靖子「違うよ!伸びるようなら卒業後うちのチームにスカウトすることもあるかもしれないし……だから!私はまだ大丈夫だって言ってるだろ!?」

まこ「あ……すいません、その、そういうつもりじゃ」

靖子「くっそープロになった途端に親も友達も私の結婚気にしはじめるし……やっぱり小鍛治さんたちがさっさと結婚しないから私まで……だいたいあっちが結婚してくれないと下の世代も遠慮しちゃうというか……」ブツブツ

まこ「……女子雀士界に負の連鎖が起こっとるのう」

京太郎「やっぱりプロ雀士にこの手の話題はNGなんですかね……」


………

靖子「……また少し、打ち方が変わったかな?」

京太郎「そうですか?」

靖子「心境に変化があったのかな?」

京太郎「……そうかもしれません。俺、大会参加者に知り合いがいるわけじゃなかったから、対戦相手のイメージとかあんまりできてなくて」

京太郎「そこであいつと話して……麻雀の腕の方はわかりませんけど、なんつーかライバル的な?そういう奴が出てきて…」

京太郎「そいつがでっかい 目標を、夢を持って麻雀打ってることが……なんと言えばいいのか、刺激になったんですかね?」

京太郎「共通する部分もあって……俺も清澄のみんなと対等に打ちたい、勝ちたいって思ってるから」

京太郎「うーん……あいつの方が視点が大きかったですけど、同じ目標を持ってる奴がいて嬉しかったのかな……すいません、まとまってなくて」

靖子「……ライバルや目標ってのは成長する大きな原動力になる。大会前に会えて良かったと思うよ」

京太郎「……はい!上位入賞目指して頑張ります!」


………

部室

京太郎「くそっ!またラスか……!」

優希「まだまだ京太郎には負けられないじぇ!」

まこ「咲、こっちは終わったが卓に入るか?」

咲「は、入りたいです…」

久「だめ!咲はもう少しネト麻打つ!……っていうかなんで今こっちきったのよ?」

咲「え、あの…操作を間違えちゃって……」

和「まだちゃんとPC使えないんですか…?」

京太郎「いくらなんでもそろそろ使い方覚えろよ……」

まこ「……とりあえず予選に備えて東風でもう何回か打つかいのう」

優希「予選は相変わらずのボーナスステージだじぇ!」

和「油断しちゃダメですよ、ゆーきはもともと集中力にムラがあるんですから……」

優希「ちゃんとタコスも準備しておくし心配無用!片っ端から薙ぎ倒すじぇ!」


まこ「みんな予選に向けて準備はできとるか?」タンッ

久「咲は対局室行き来するのに迷子にならないように対策を考えなきゃね…」

咲「大丈夫ですよ!いざとなったら回りの人に聞いて…」

久「人見知りの咲がちゃんとできるか心配だわ…」

和「私はいつでもベストを尽くすだけです」タンッ

優希「帰ってタコスを作るぐらいだじぇ!ダブルリーチ!」タンッ

京太郎「ダブリーされても当然な感覚の自分が怖いわ……大丈夫だと思います。ちょっと緊張してるぐらいですかね」タンッ

まこ「あんまり固くならんでな。落ち着いて打てば予選突破は確実じゃ」タンッ

和「まったく緊張感が無いよりはいいですよ」タンッ

京太郎「それポン!あー、東場は優希の気配が強すぎてキツいな…」タンッ

優希「むっ、小癪な真似を…」

まこ「しかしズラしても東場の優希は和了るからのう…」タンッ

和「そうですね……どうでしょうか?」タンッ

京太郎「おう、それポンな。優希にツモ番回さなきゃいいわけで…」タンッ

優希「それだ!18000!」

京太郎「嘘だろ!?……って何切っても当たるじゃねぇか!こっちは気配薄いと思ったのに……」

優希「東場の私と勝負するにはまだ早いじぇ!」


………

京太郎「結局東風は全部優希の圧勝か……」

咲「優希ちゃんはまた予選の記録塗り替えちゃいそうだね」

和「むぅ……大会本番では私が勝ちますから!」

優希「かかってくるがいいじぇ!のどちゃん相手にも勝って見せるじょ!」

久「……大会前に部員みんなで打ってよかったでしょ?」

まこ「お客さんたちはどちらかと言うと大会前のお祭りムードだったからのう……改めて気合い入ったわ」

京太郎「結局負けましたけど……みんなと打って少し落ち着きました」

久「どう?自信のほどは?」

京太郎「これで負けたらみんなに合わせる顔がないですし……取りあえず予選突破することを考えますよ」

まこ「それでええ。目の前のことからしっかりこなしてけば結果もついてくるじゃろ」

京太郎「はい!それで上位入賞して……」

久「……上位入賞して?」

京太郎「あ、いや……みんなと肩を並べる雀士になりますんで!」

久「その調子!明日はみんなで予選突破するのよ!」

京太郎(余計なこと言うとこだった……煩悩は消して試合に集中しなきゃな)


………

個人戦 予選日

京太郎「じゃあ、俺は男子の方の会場行きますんで…」

咲「頑張ってね、京ちゃん」

京太郎「おう、咲も対局室間違えるなよ」

和「第一試合は私が送り届けるので……」

久「それ以降は私が送り迎えするし安心して…頑張ってきなさい」

咲「そんなに心配しなくても大丈夫って言ってるのに…」ムスッ

優希「お前ならやれる!蹴散らしてこい!」

京太郎「予選の記録塗り替え期待してるぜ!これ、タコスな…午前分ぐらいはあるから……」

優希「……私が遠慮するって言ったのに構わず作ってくるな、京太郎…」

京太郎「なんかタコス作ってると落ち着くんだよな…」

和「すっかりタコス作りが習慣になってしまいましたね……」

まこ「……せっかくの大会じゃ、楽しんでこい」

京太郎「はい!いってきます!」


………

京太郎(予選では南北ブロックに別れて東風戦を20回、上位80人が明日の本選に勝ち残る)

京太郎(女子との違いは……参加人数が多いために午前の試合終了時点で敗退者が出ること)

京太郎(……大丈夫だ、夏とは……夏とは違うんだ!)

「あ、いたいた!須賀京太郎?」

京太郎「へ?ってこの前の……」

「やっぱりか……一週間ぶりだな」

京太郎「え、ちょっと待てよ……俺この前名乗らなかったろ!?」

「いや、どっかで見た顔だなーと思ってインハイの映像見返してたら女子団体の控え室前で映ってたからさ……まさか清澄の奴だとは思わなかったぜ」

京太郎「いやいや!女子団体の映像に俺の名前は出ねぇだろ!?」

「そこの電工掲示板の組み合わせ表に名前と高校出てるだろ?清澄高校の所属は一人だったからさ」

京太郎「わざわざ探したのかよ…」

「今夏に初出場してそのまま優勝した清澄の生徒を警戒すんのは不思議じゃないだろ?」

京太郎「……俺、夏は午前敗退だぞ?」

「お前が夏から成長してないってんなら気にしないことにするけど?」

京太郎「まさか!とりあえず絶対予選は抜けるぞ!」


「んじゃ楽しみにしとくよ……互いに手の内がわからないんだから条件は五分だ」

京太郎「予選では当たらないし、本選が楽しみだな」

「……なんで予選で当たらないってわかるんだよ?」

京太郎「とぼけんなよな……清澄は南ブロックで平滝は北ブロックだから予選じゃ当たらないだろ」

「……なんで俺が平滝の生徒だと思った?」

京太郎「この前の女子、夏の個人戦五位の南浦数絵だろ?部活に入ったのは南浦プロが指導してるからだな?」

「へー……ちゃんと話も聞いてるし、頭も意外と回るみたいだな」

京太郎「意外と、って失礼なやつだな……」

京太郎(まあ、和と部長が言ってたんだけど)


「そんじゃ自己紹介……俺は平滝高校一年、真田虎侍だ。よろしくな」

京太郎「あ、俺は清澄一年須賀京太郎…よろしく」

虎侍「京太郎って……サスペンス臭がすごいよな」

京太郎「それはよく言われる……虎侍なんて字もかっこいいしめっちゃ強そうじゃん」

虎侍「名前負けしないよう必死ですよ……まあじいさんがつけてくれた名前だし気に入ってるけどさ」

京太郎「このおじいちゃんっ子め」

虎侍「……悪いかよ」

京太郎「いや、俺の彼女もおじいちゃんっ子だから親近感が…」

虎侍「なっ!?貴様彼女持ちかっ!?」


京太郎「あ、いや別に?自慢するつもりじゃなかったんだけどな~」ニヤニヤ

虎侍「くっ!俺が数絵さんに軽くあしらわれてるのを知ってて…!くそっ!聞いてやるよ!どんな子だよ!?」

京太郎「ひとつ年上で眼鏡っ子、しかも方言っ子で料理上手!毎日手作り弁当食べてます!」

虎侍「うらやましね!……って方言に眼鏡ってもしかして」

京太郎「……うちの次鋒の染谷まこ先輩です」

虎侍「麻雀上手い上にかわいいじゃねぇか!普通に羨ましいぞ……」

京太郎「」ブワッ

虎侍「なんで泣くんだよ!?」

京太郎「学校のやつとかみんな『麻雀部なら原村か竹井先輩だろ!』みたいなこと言ってきたから……」

虎侍「清澄の麻雀部ってみんなかわいいじゃねぇか……それもただの嫉妬混じりのやっかみだろ」

京太郎「……そうかな?」

虎侍「たぶんな……ほら、そろそろ第一試合だぞ?予選落ちすんなよ」

京太郎「そっちこそ公式戦デビューだろ?しっかりやれよ」

虎侍「ちゃんと余裕を持って予選は抜けるって!じゃ、あとでな」


………

京太郎(対局室C、ここだな……って、もう揃ってるじゃないか!)

京太郎「すいません、遅れました!」

「まだ時間ありますよ」

「どーも、よろしく」

京太郎「よろしくお願いします!」

「……清澄の須賀?なんか見たことあんだけど…どっかで会ったか?」

京太郎「え?えーと……」

京太郎(麻雀の大会で会うような知り合いはいないと思うんだけど……ん?こいつ…)

「あ!夏に打ったあの……」

京太郎「……なんだよ?」

「いや……思い出した、清澄が強いのは女子だけだったな」ニヤニヤ

京太郎「……夏とは違うってことを、教えてやるよ」


京太郎(夏の大会を思い出して少しビビっちまったけど……卓に着いたら大分落ち着いた)

京太郎(咲や天江さん、龍門渕さんと打ったときのプレッシャーに比べたら……)

京太郎(こいつは、ビビるような相手じゃない……前回よくわからないうちに終わったのが信じられないくらいだ)

京太郎(速くもないし手も高くない……こっちを舐めてるな?気が緩んでるのがわかる……)

京太郎(回りの二人はさっきので少し迷いがある……警戒してた清澄の俺が暗に弱いって言われて判断に困ってるんだろうな)

京太郎(迷いがあれば流れも希薄になる……回りの三人に流れがないってことはつまり…)

京太郎(……前に部長に言われたな、『稼げるときに稼げ』って……今がその時だ!)

京太郎「リーチ!」


………

京太郎「お疲れさまでした!」

「お疲れさまでーす」

「あざーっした」

「……おつかれ」チッ

京太郎(よし!出だしは好調だ!夏のリベンジも果たしたし……)

京太郎(試合開始前にあった不安もかなり薄れてきた…今回は上位の雀士と当たらなかったにしても、俺は十分に…打てる!打てるんだ!)

京太郎(優希にあやかってタコス食べてきたのも良かったかな…気力が充実してる)

京太郎(とにかく、午前中の八試合…きっちり勝って午後に繋ぐぞ!)


………

昼休み

京太郎(……午前中組み合わせに恵まれたとはいえ、現在23位?俺が?出来すぎじゃないのか?)

京太郎(序盤かなり稼げたからな……これならかなり余裕を持って本選まで行けそうだ)

京太郎(みんなが上手くなった、って言ってくれるのも正直自信つけさせるためなんじゃないかってちょっと疑ってたけど……本気で上位狙えそうだな)

虎侍「23位か……なかなかやるじゃん」

京太郎「お、真田…そっちは今何位なんだ?」

虎侍「俺?今は……見つけた、96位だな」

京太郎「……大丈夫なのかよ?勝ち残りは80位までだろ?」

虎侍「いやー組み合わせに恵まれてな…毎度毎度本選確実な奴と当たるもんだからデータ収集が捗るのなんのって」

京太郎「データ収集って…手を抜いてたのか?」

虎侍「勘弁してくれよ…この前も言ったろ?」

虎侍「孫子曰く、『敵を知り己を知れば百戦危うからず。敵を知らずして己を知れば一勝一負す。敵を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず危うし』だ」


京太郎「……つまり何が言いたいんだよ?」

虎侍「だから、俺はちゃんと本気で打ってるの!手の内を見せずにデータ収集してんだぜ?……予選を一位で抜けても本選で勝たなきゃ意味ないだろ?」

虎侍「あいつらは俺の手の内を知らないけど、俺はあいつらのことを知ってる……つまり本選では俺が勝つってことだ」

京太郎「……ん?相手も手の内を明かしてない可能性は考えないのかよ?」

虎侍「団体戦で打ってるのに手を抜いてるってことは基本ないだろ?」

虎侍「それに、手の内を隠すのも戦術のひとつ…徐かなること林の如く、知り難きこと陰の如く……ってやつだな。そういう駆け引きも俺は好きだし、打ってて楽しいぜ」

京太郎「えっと、武田信玄だっけ?風林火山ってやつ」

虎侍「その通り!まぁこれも元は孫子なんだけどな」


虎侍「ま、午後はギア入れ換えてくさ……予選落ちなんて洒落にならんし40位くらい狙ってくかな」

京太郎「余裕だねぇ……俺はこのまま全力で行くぜ!できるだけ高い順位で勝ち抜けて染谷先輩に良いとこ見せたいし」

虎侍「!?その手があったか!予選上位で抜けて数絵さんに実力アピール……!」

京太郎「……96位からまくれんのか?」

虎侍「……東風だとキツいし午前中潜んでた意味がなくなるから無しだな」ガクッ

京太郎「ざまぁ」ハッ

虎侍「うっせ!本選で優勝するからいいんだよ!」

京太郎「どこから来んだよその自信は……あ、俺は清澄のみんなと飯食うけどお前は?一緒に来るか?」

虎侍「いや、俺も師匠と数絵さんとミーティング兼ねて飯食うから……ま、そのうち清澄の子紹介してくれよ、直接打ってみたいし」

京太郎「あいよー……つか師匠の孫狙いってどうなのよ?部員二人でコーチだとずっと一緒だろ?気まずくないか?」

虎侍「……押し掛けて弟子入りした頃は手ぇ出したらわかってんな?オーラ全開だったんだけどな」

京太郎「けどって、もしかして南浦プロは応援してくれてんの!?」

虎侍「……俺があまりにも相手にされないんで最近は同情オーラ全開で慰められたり…」

京太郎「あー……それはそれで辛い……」


………

久「須賀くん、順位見たわよ!凄いじゃないの!」

京太郎「自分でも驚いてますけど…まだまだ上を目指しますよ!……みんなの調子はどうですか?」

まこ「このまま行けば予選はみんな通るじゃろうな」

咲「優希ちゃんが凄い勢いで稼いでるよ」

和「北ブロックも天江さんが大暴れしてますし対局した方はボロボロですね……」

優希「今日は最高にノッてるじぇ!タコスもおいしいしこのまま一位キープで新記録だじょ!」モグモグ

久「まあ…優希と天江さんはすっかり天災みたいなものね。当たったら事故、予選突破はほぼ無理って状況だから」

まこ「ほんとに酷いもんじゃ…優希は東一で何度も三人同時にトバしとるし天江さんも毎回誰かしらトバしとるし…」

京太郎「うげ……」


久「今の順位は優希がトップで和が5位、咲が7位でまこが11位ね」

京太郎「みんな流石だな……って龍門渕は全員トップ10入りですか」

和「それと上位は風越の方も多いですね」

優希「鶴賀のみんなも予選突破圏内だな」

京太郎「……なあ、16位の妹尾さんって前に俺より初心者だって言ってたよな?」

咲「……第一、第二試合と役満和了ってトバしてるんだよ」

京太郎「はぁ!?」

まこ「北ブロックに龍門渕と風越がおるから南ブロックは比較的安全だと思われとったんじゃが…」

久「連続で役満出したから……夏にも役満和了ってるでしょ?すっかり警戒されて安手で逃げる子続出よ」

京太郎「それでプラスが残ったと……」


咲「京ちゃんはどう?順位はすごくいいみたいだけど」

京太郎「調子いいぜ!初戦で夏に打った相手にもリベンジできたし、すっげー気分いいわ」

和「その調子で予選突破しましょうね!」

優希「回りの順位はどうだ?」

京太郎「上位は女子と同じで団体決勝メンバーが多いな……男子は人数多いからそこら辺とほとんど当たらないですんでるのがラッキーっちゃラッキーかな」

まこ「例の相手はどうなんじゃ?」

京太郎「あ、やっぱり平滝でした。真田ってやつで…今96位でしたけどかなり自信あるみたいですね……40位ぐらいで予選抜けて本選は優勝するとか言ってましたし…」

久「ふーん……じゃあ午後はその子の試合見ておいてあげるわ」

京太郎「いいんですか?」

久「午前中女子のみんなの応援してたしね。それにプロの指導受けてて自信満々ならやっぱり気になるじゃないの」

まこ「残りの12試合で一気に順位を伸ばすってことなら、何かしら仕掛けていくだろうしのう」


………

京太郎「あ、染谷先輩…ちょっと時間もらっていいですか?」

まこ「ん?ええけど……」

久「ちょっと?恥ずかしいからイチャイチャするならよそでやってね」

まこ「何言うとんじゃ……大会中にそんな」

京太郎「わかりました!じゃあ先輩行きましょうか」グイッ

まこ「は?ちょっ!」

咲「……京ちゃんも積極的になったね」

和「大会中ですよ?もう少しTPOをわきまえるべきでは…」

優希「まあ、京太郎も男子一人で頑張ってるんだし多目に見てやってほしいじぇ」モグモグ

久「優希?さっきからちょっとタコス食べ過ぎなんじゃ……ってなんか朝より増えてない!?」

優希「さっきハギヨシさんが差し入れてくれたじぇ!」モグモグ

和「……いつの間にかすっかり仲良しなんですね」

咲「和ちゃん、そんなにムスッとしなくても……」

和「な!べ、別にムスッとなんてしてません!」

久「和はやきもちやきねぇ」

優希「ふっ、かわいいやつめ」

和「だ、だから違いますってば!」カァァ


………

京太郎「お茶でいいですか?」

まこ「ん、ありがとな……で?どうしたんじゃ?」

京太郎「いや、特にどうしたってことは無いんですけど……」

まこ「……うん」

京太郎「なんか俺、勝ってるじゃないですか」

まこ「そうじゃな。よく頑張ってるのう」ナデナデ

京太郎「へへ……でもやっぱり雀荘でお客さんと打って、勝ってても…大会は不安だったんですよね、前回ボロボロでしたし」

まこ「誰だって不安はあるもんじゃ…今回は勝っとるじゃろ?自信持ちんさい」

京太郎「はい……でも、うまく行きすぎですし…俺、勝負どころでダメっていうか…」

まこ「そうかのう?」

京太郎「……この前だっていいところで鼻血出したり」

まこ「……」ジトッ

京太郎「すいません睨まないでください」


まこ「……そ、そういうことは終わってから…大会中に余計なこと考えてると勝てるもんも勝てんぞ?」

京太郎「はーい……」

まこ「今のところは実際に勝ってるんじゃ、わしもみんなも京太郎は勝てると思っとる……だからあんまりネガティブなことは言わんの」

京太郎「……やっぱりあんまり自信ないんでもっと元気づけてくださいよ…ま、まこさん?」

まこ「っ!?」ガッ

京太郎「いっ!?……す、脛はヤバいですって…いたぁ……」

まこ「あ…すまん、つい……で、でも!急にあんたが……!」

京太郎「ほら、先輩頑張ってたから…前借り?的な…」

まこ「う……わ、わしは前借りなんてさせてやらんぞ!?」

京太郎「それは残ね痛っ!すいません!蹴らないでください!」


京太郎「……酷いじゃないですかぁ」

まこ「うっさいわ、すけべ」

京太郎「少しぐらいいいじゃないですか……先輩らしく広い度量で許してくださいよ」

まこ「……仕方のないやつじゃ」ハァ

京太郎「俺、先輩のそういう優しいところ好きですよ」ハハッ

まこ「そりゃあよかった……あ、京太郎ちょっと」

京太郎「はい?そろそろ午後の部が…」

まこ「いいから、こっち来んさい」

京太郎「……?」

まこ「……」ジッ

京太郎「……な、なんてすか?」


まこ「……元気づけちゃろうと思って」

京太郎「あ、ありがとうございます…?」

まこ「あー……あのな?」

京太郎「はい」

まこ「その……少し、屈んでくれんと…届かんわ」カァァ

京太郎「え、その、それって…」カァァ

まこ「うっさい!あ、あんたちょっとでかすぎじゃ…」

京太郎「す、すいません……」

まこ「……京太郎」ドキドキ

京太郎「……染谷先輩」ドキドキ





衣「こらっ!やめろフジタ!はーなーせー!!」


京太郎「」ビクッ

まこ「」ビクッ


靖子「こら、衣!大声出すなって!邪魔しちゃダメだろ!」

京太郎「な、ななななにやってんですか!?こんなところで!?」

靖子「いや、会場は学生でいっぱいだし外の自販機は人いないからいつもこっちで煙管を……」

衣「衣は散歩中だったんだ!それをフジタに捕まって…」

靖子「なんだ、散歩中だったのか?てっきり迷子かと…」

衣「違う!衣は子供じゃないから迷子になんかならないの!」

まこ「の、覗いてたんですか?」

靖子「ん?衣が覗いてたから連れてこうと思って…」

衣「ち、違う!たまたま見ちゃっただけだ!帰ろうとしたらフジタに捕まったんだ!」


靖子「そうは見えなかったけど……すまなかったな、お邪魔して」

まこ「あ、いや……」カァァ

靖子「とにかくああいうのは衣にはまだ早い、会場まで連れてってやるから……」

衣「衣は迷子じゃない!それに衣はもう大人だからせ、接吻ぐらい見たって平気だ!」

衣「だいたい!テレビを見ててもそういうシーンになると透華はいっつも変えちゃうんだ!『衣にはまだ早いですわ!』なんて言って!衣の方がお姉さんなのに!」

靖子「……きっとあっちの方が子供だから見るのが恥ずかしいんだな。衣はお姉さんなんだから番組変えられても我慢してあげないと」

衣「……!」

靖子「ほら、衣はお姉さんなんだから邪魔しちゃダメだぞ?会場に戻ろうか」

衣「うん!衣はお姉さんだからな!もう戻るから気の済むまで続きをするがいいぞ!」

京太郎「あ、ありがとうございます……衣お姉さん?」

衣「うむ!行くぞフジタ!」

靖子「……あーもう!かわいーなーおまえはー!そろそろうちの子にならないか?」ナデナデ

衣「ふわ…!なでるなーっ!かかえるなーっ!」


京太郎「……行っちゃいましたね」

まこ「……おう」

京太郎「あの、先輩?」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「その……ほら、ね?」

まこ「……ん?」

京太郎「だから、続きを……」

まこ「……」




京太郎(染谷先輩は笑顔でビンタをくれた。気合いが入った。ちょっと泣いた)



ここまでで

オリキャラは懲りすぎてもアレだし、名前は信州の武将とその主君の異名。ついでに漫画を描く狸の代表作から
能力的なのも具体的な牌の描写なくてもわかりやすい言葉のものでと思ってそのまま……書いた後に恐竜を絶滅させたり空飛んだり対戦相手を磔にする球技の漫画と被ってることに気づいた

神の子すこやんが赤土さんイップスで動けないしてるし元から被ってますよね!(暴論)


………

久「みんな予選突破おめでとう!今日は私の奢りよ!」

咲「いただきます」

和「ラーメン……夏以来です」ドキドキ

まこ「大会の後はここで打ち上げが定番になっとるのう」

優希「おやじ!タコスラーメンを頼むじぇ!」

「あいよ!任せときな!」

京太郎「本当に作ったんですね、タコスラーメン…」


咲「それにしても、みんなで勝ち残れてよかったよ」

まこ「優希もまた記録更新したしのう」

優希「タコスの力は偉大だじぇ!」

和「須賀くんも9位での突破おめでとうございます」

京太郎「おう!サンキューな」

優希「午後は更に調子良くなってたんじゃないのか?タコスのおかげだな!」

京太郎「わりとそんな気がしてくるから不思議だ……それに、染谷先輩に気合入れてもらったしな」

咲「気合?」

まこ「……こう、バチーンと」


和「頬を張ったんですか!?」

まこ「あー……まあ、基本じゃろ?」

久「えー?せっかく二人になったんだからもっと優しく励ましてあげれば良かったのに…」

京太郎「そうですよね!?俺もそう思うんですけど!」

まこ「……知らんわ、そんなん」プイッ

咲「う~ん……たぶん京ちゃんが悪いよ」

京太郎「なんでだよ!?」

優希「染谷先輩が悪いわけないじぇ」

京太郎「……なるほど」

和「そこは納得しちゃうんですね…」


京太郎「あ、そういえば部長、真田のやつどうでした?」

久「牌譜取ってあるけど…なんと言うか、見てる限り結構普通なのよね」

京太郎「普通?」

和「牌譜いいですか?……振り込みもなく、安定してますね」

咲「んー…こっちのを見る限り手作りの早いタイプかな?速攻で一気に流して勝負を決めてるよ」

優希「こっちは高い手を連続で和了ってトバしてるぞ?高火力で勢いに乗る私に似た雀士かも…」

まこ「つまり……普通に強い、高いレベルでなんでもこなせる雀士ってことじゃろ?」

久「外から見た感じはね……直に打ってみないとわからないこともあるわ」

京太郎「……とりあえず普通に強そうってことしかわからないんですね?」

久「まあ、ぶっちゃけそういうことね」


京太郎「うーん……あれだけ自信満々だったしなんもないってことはないと思うんですけど」

優希「じゃあ、やっぱり南浦さんみたいに南場に強いんじゃないか?」

久「南浦プロの指導を受けてるからその可能性もあると思うけど……そのまま過ぎない?」

和「相手のことを気にしても仕方がありませんよ。須賀くんの打ち方でベストを尽くせばきっと結果がついてきます」

まこ「この際、和の言う通りかもしれんのう…わからんことを考えても仕方ないわ」

咲「それに、話を聞く限り…力を隠してるんでしょ?わからなくても仕方ないよ」

京太郎「……それもそうか!とりあえずやれるだけやってやるぜ!」

「その調子だ兄ちゃん!よっしゃチャーシューサービスしてやるわ!」

優希「おやじ!私もタコスラーメンおかわりだ!」

「おうよ!どんどん食って明日も頑張りな!」

まこ「……久?どうした?」

久「いや、真田くん?力を隠すわりには須賀くんには色々話してるなーって」

久「詰めが甘いのか、舐められてるのか……どうなのかしらね?」


………

翌日 個人戦 本選

ゆみ「やあ、おはよう」

久「あら、みなさんお揃いで」

華菜「お、来たな清澄!何を企もうがあたしたちには通用しないし!」

和「た、企むって……なんのことですか?」

華菜「あたしを甘く見るなよ?昨日試合が終わる度にそっちの竹井が宮永の所に行ってたのはわかってるし!」

透華「秘策を授けてるってもっぱらの噂ですわ!この私の目を欺くことはできませんわよ!」

まこ「……ああ」

京太郎「たしかに部長が毎回顔だしてたらいかにもって感じですよね…」


久「……ばれてしまってはしょうがないわね!しかしそれがわかったところでその策を破ることができるかしら?」フフン

透華「くっ!たしかに詳細がわからなければ対策は不可能…」グヌヌ

華菜「これは一本とられたし……!」グヌヌ

睦月「……咲ちゃんの方向音痴ってそんなに酷いの?」

咲「そ、そんなことないですよ?」

優希「まあ、察してほしいじぇ……」

未春「会場の外で泣いてるのを見つけたときは驚きましたよ……」

一「対局室間の移動でも心配なレベルなんだね…」

純「……竹井に遊ばれてる透華と池田は放っといていいのか?」

智美「楽しそうだからいいんじゃないか~」ワハハ


ハギヨシ「おはようございます」

京太郎「ハギヨシさん!おはようございます!」

優希「おはようございます!……もしかしてそれは」

ハギヨシ「ええ、どうぞ。差し入れです」

優希「タコスだじぇ!」パァァ

京太郎「……その、いいんですか?優希にタコス渡すと龍門渕の人にマイナスなんじゃ…」

衣「衣は力を十全に発揮した優希と戦いたいからな!それに、従者が友人に差し入れをすることを許す度量ぐらいは持っているぞ!」

京太郎「……さすがの余裕ですね」

衣「衣はお姉さんだからな」フフン

優希「友人だなんて……素直に恋人って言ってもいいのよ?ア・ナ・タ」

京太郎「ハギヨシさん!?ま、まさか…」

ハギヨシ「誤解です!……何もしてませんよ?」

優希「ハギヨシさんってばつれないじぇ……」


ハギヨシ「冗談はさておき……須賀くんも上位での予選突破おめでとうございます。本選も応援してますよ」

優希「むぅ…冗談とは……」

京太郎「頑張ります!勝ってきますよ!」

ハギヨシ「おや、自信があるようですね」

京太郎「いやまぁ…強がってるだけですよ」ハハッ

京太郎「っと、そろそろ時間だな……行ってきます!みんなも頑張ってな!」

ハギヨシ「試合、見に行きますよ」

咲「頑張って、京ちゃん!」

和「何度も言いますが……ベストを尽くせばきっと結果がついてきます。頑張ってください!」

優希「大会上位を清澄で埋め尽くすじぇ!頑張って来い!」

久「私も見てくるから…みんな頑張ってね!まこ、よろしく頼むわよ!」

まこ「ん、そっちの方は頼んだわ……京太郎、しっかりな」


………

京太郎「……部長、女子の方見たいんじゃないですか?知り合いも沢山いますし…」

久「そりゃ気になるけど……途中経過はゆみに逐一情報送ってもらうし大丈夫よ」

久「だいたい、須賀くんだって真田くん気になるでしょ?本選は半荘10回……当たらない可能性もあるけど、今後の事を考えれば手の内をある程度知っておかないとね」

京太郎「ありがとうございます……部長って実は俺のこと結構好きですよね?」ハハッ

久「当然でしょ?須賀くんだって大切な後輩だもの」

久「私はみんなに全国まで連れていってもらったからね……今度は私がみんなで全国に行く手伝いをしたいのよ」

京太郎「……俺も清澄の名に泥を塗りたくないですし、次の夏は選手として全国に行くって決めてますから……今回だって勝ってみせます!」


……

…………

『第九試合D卓終了ー!各選手は指定された卓へ……』

京太郎「っし!ありがとうございました!」

京太郎(昨日の予選、上位で抜けられたのが自信に繋がった)

京太郎(調子良く勝ち星を重ねて、あと一試合を残した現在の順位は……ん?)

京太郎「もしもし?」

まこ『京太郎、次で最後じゃな……どうじゃ?調子の方は』

京太郎「すこぶる良いですよ!今、六位です!約束、忘れないでくださいよ?」

まこ『はぁ……ま、それでやる気が出るならええがのう』

京太郎「どうですか?女子の方は」

まこ『今は天江さんと咲でトップ争いしとるよ…そのすぐ下に和と龍門渕さん…それに平滝の南浦やらがくっついとる』

まこ『んで優希は八位、わしが九位じゃ』

京太郎「みんな凄いじゃないですか!先輩も十位以内入れそうですね!」

まこ『まだもう一戦あるしわからんよ……もちろん、勝つ気じゃけどな』


久「あ、須賀くん!次の組み合わせ……って、お取り込み中?」

京太郎「あ、部長……」

まこ『……すまんな、試合前にちょっと声が聞きたかったんじゃ。しっかり対策して最後まで油断せんでな』

京太郎「あ、先輩!……って切れてるし…」

久「……ごめんね、邪魔しちゃって」

京太郎「あ、いえ!そんな!……組み合わせって、じゃあ」

久「ええ……これ、本選の牌譜。手牌には特別な偏りがあるわけではないけど……彼、予選に比べて速度と火力がかなり高いわ…しかも、ここまでのプラスはほとんど南場に入ってからのものよ」

京太郎「……!それじゃあ、やっぱり前半勝負ですかね?」

久「その方かいいと思うわ…でも、まだ何か切り札を持っている可能性もあるから警戒は怠らないでね……それじゃ頑張って、応援してるわ!」

京太郎「はい……行ってきます!」


………

虎侍「よっ!よかったぜ……直接打てなかったらどうしようかと思ってたんだ」

京太郎「真田……!」

虎侍「今、六位だったよな?」

京太郎「ああ……お前をトバせば優勝も見えるぜ?」

虎侍「ふん……それくらい言ってくれなきゃ面白くねぇや」

『最終試合を開始します!各選手は指定の卓について――』

京太郎「始まるな…」

虎侍「せっかくの大会だ、楽しもうぜ?……最後に勝つのは俺だけどな!」


京太郎(真田は現在総合一位、俺の上家だ……鳴きでツモ順を回さないこともできるし、直接鳴いて流れを乱せればチャンスは作れる……席順は悪くない)

京太郎(対面は起家、現在三位の村上さんは団体戦決勝の先鋒戦で区間トップを取った人だ。高火力が売りの流れに乗って攻める……優希に似たタイプだな)

京太郎(下家は現在八位、団体戦優勝校中堅の小笠原さん……団体では確実な和了りで差を詰めてたっけ。和に似てるけど……どちらかと言うと守備の雀士で攻めには少し消極的かな)

村上「ツモ!4000オールでよろしく!」

京太郎(……気配でわかっちゃいたが、速いな)

京太郎(余りノらせたくない……少し流れを乱しに行くか)

………

村上「……」タンッ

京太郎「ポン」タンッ

虎侍「それポンで」タンッ

京太郎(鳴かれた?部長に貰った牌譜では余り鳴いてなかったけど……)タンッ

小笠原「……」タンッ

村上「……」タンッ

虎侍「それだ、1000点に一本付けで」

村上「あーあ…親流されちまったか……」

京太郎(安くて速い……流れを切りに行ったのか)

京太郎(牌譜でも東場は安手で回してたし……早期の南入が狙いか)


………

虎侍「ロン、1500」

村上「はいよ」

………

虎侍「ロン、3900に一本」

村上「……了解」

………

虎侍「それだ、2900に二本で3500」

村上「……はい」

京太郎(四連続で同じ相手から…!?狙ってんのか?たしかに流れを絶っておきたい相手ではあるが……)

京太郎(つか、それ以上に真田を止めないとヤバい!東場のうちからこの勢いだと!?)

京太郎(南場からエンジンをかける……女子の南浦さんと同じタイプだと思ってたのに…無理矢理にでも流れを変えて東場のうちに削らないと……!)


虎侍(其の疾きこと風の如く……いきなり親満和了られてちょっと焦ったが、速度で取り返せたか)

虎侍(流れを切りたかったのはあるが……意図せずしてこいつから連続で出和了りしちまった)チラッ

村上「……」

虎侍(ちょっとイラついてるか?予選で直接打ったときはそこそこ差をつけた俺に連続で直撃とられりゃいい気はしないか……)

虎侍(打点も高いし面倒な相手なんだよな…ここは……)

………

京太郎「チー!」

虎侍(……流れを喰われた?牌譜を見ると手の進まない鳴きも多かったが、鳴かれた相手は流れを乱されていたな)

虎侍(そういや、会場で清澄と龍門渕のメンバーが話してたって聞いたな。交流かあるなら龍門渕の井上に鳴きの指導を受けている可能性があるか)

虎侍(もう少し気を付けるべきか……いや、しばらく鳴かせてどの程度流れを操るのか見るか?)

京太郎「ポンだ!」

虎侍(また鳴かれたか…だが風は俺に吹いてる……いや、俺こそが『風』だ!その程度じゃ止まらねぇぞ!)

虎侍(侵掠すること火の如く……燃え盛る炎のように激しく、勢いに乗じて攻める!)

虎侍「ロン!7700に三本付いて8600だ!」

村上「くっ……ほらよ」

虎侍「どうも」ニヤッ

村上「……!?」


村上「くっそ……!」

虎侍(あー怒ってる怒ってる……ちょっと煽っただけなのに…もう少し冷静な奴だったら強敵なんだけど)

虎侍(この様子じゃまともに駆け引きできねぇだろ……頭冷えるまでしばらく置物になっててくれよ)

虎侍(それとも……勿体無いがこのままトバして終わらせちまうか?)

………

京太郎(このままの勢いを維持されたら東場で終わってもおかしくない……南入前にここまで乗られちまうとは……!)

京太郎(俺の鳴きだけじゃ勢いを止めきれない……ここは)チラッ

小笠原「……」チラッ

京太郎(……あっちも同じ考えか?他家を使ってでもとにかくこの親を流さないと……!)


………

虎侍(今は完全に俺の流れだ……手も入ってきてる)

京太郎「チー!」

虎侍(……須賀のやつ、少し焦ってるな)

虎侍(ここまでの試合、南場で纏めて稼いでたのが効いてるな……俺には師匠や数絵さんと同じ力は無いんだが……対局開始時の警戒が薄かった)

虎侍(東場の内は多少辛い形になっても攻めてくるだろうし……今大会振り込みの無い須賀を削るチャンスが出てくる筈だ……ここは一気呵成に攻め立てる!)

虎侍「リーチ!」

京太郎「くっ……ポン!」

小笠原「……これはどうかな?」

京太郎「それもポンで!」

虎侍(む……こいつは)

小笠原「じゃ、こっちだ」

京太郎「ロン!1000点の四本場で2200、お願いします!」

小笠原「はい、どうぞ」

虎侍(協力してこっちを止めに来たか……だが、風で燃え広がった火は簡単には消せないぜ?)


………

京太郎「サイコロ回します」

虎侍(……火力のあるタイプでもないし特別速いってわけじゃないんだが……親番では予選、本選共に細かく刻んで稼いでたな)

虎侍(お、配牌はいい……俺の『火』は消えてない……ならさ!)

京太郎「ポン」

京太郎「ポン」

京太郎「ポン」

京太郎「ツモ、500オールで」

虎侍(……まぁ、ツモ番が回ってこなけりゃ和了れないわな)

虎侍(勢いが殺された…火は消えちまったかな?少し様子を見て機を待つか)


京太郎(よし、なんとか真田の勢いを止めれた!村上さんの気配も沈みっぱなしだし、親の間に稼いで引き離す!)

小笠原「……」タンッ

京太郎「ポン!」

京太郎(真田を止めるのに差し込んで貰ったけど…あいつの気配が大人しくなった今、この人の流れを奪えば俺のターンだ!)

京太郎「ツモ…1000オールは1100オール!」

………

虎侍(やはり速度重視……須賀に稼がれ過ぎても面倒だ……早めに叩きたいが、流れを切られちまったからな)

虎侍(『風』の速度で先手を取って『火』の勢いで押し潰す……これまでと違ってそれじゃ済まないか…楽しいねぇ)

虎侍(焦ることはない、流れを切られたなら……作戦変更だ。攻めてくるならここはいっそ稼がれてもいい)

虎侍(動かざること山の如し……ここは好きに動かせる…そして来るべき時のために準備をする)

京太郎「ツモ、で1300オールは1500オール!」


………

京太郎(行ける!あと一歩で逆転だ!総合三位の村上さんが沈んでるし……他の卓でよほどの事が起きてなければ総合成績もひっくり返せる!)

小笠原「チー」

京太郎(攻めてきたか…!)

村上「ポン」

京太郎(役牌……!聴牌したか……少し落ち着いたのか?安くても和了って流れを取り戻したいんだろうが…)

京太郎(二人が前に出てきた…俺に流れが来てるうちに稼がないと……)

村上「ロンだっ!2000に四本!」

虎侍「……はいよ」

京太郎(真田が振った!?)

村上「どうもっ!」

京太郎(……言い返したかったんだろうな)


京太郎(真田の気配、だんだん薄くなっていたけど……今ので完全に途切れた)

京太郎(聴牌が見えてなかったのか?……いや、俺の親を流したかったのか?でもこの差し込みで俺に逆転されてるし……)

京太郎(やっぱり早期の南入が狙いか?ここで点数を失っても後で取り返せば問題はないけど……)

京太郎(……って親に聴牌気配!)

小笠原「ロンです、5800で」

虎侍「……あいよ」

京太郎(また振った!?このタイミングで親に差し込む意味はない……さっきのもただのミスだったのか?流れと一緒に集中も切れたのか?)

京太郎(いや……まだ見せてない力があるのか?例えば藤田プロのような……)

京太郎(くそっ!全然わかんねぇ……とにかく、まだ奥の手があるならこの東4局で和了って他家の流れを切っておきたい)

京太郎(……ドラ筋の三面張、他家に聴牌気配は無い…ここは当然攻めるっ!)

京太郎「リーチだ!」


………

小笠原「ツモ!4100オール!」

京太郎(先制したのに引きで負けるなんて……いや、麻雀はそういう競技だ…よくあることだ、仕方ない)

京太郎(……つーか逆転された!シャレになんねぇぞ!上位入賞するにはここでマイナスはつけられねぇ…)

京太郎(攻めないと……いや、鳴きで流れを切りに行くのが先か?)

小笠原「リーチ!」

京太郎「あっ」

村上「……ツモっていいすか?」

京太郎「…すいません、鳴きます」

京太郎(あーもう!何やってんだ俺は!)

京太郎(落ち着いて打てば大丈夫……落ち着け)

京太郎(ここで迷ってたら勝てるものも勝てない……総合一位の真田が勝手に落ちてくれたんだ!チャンスなんだし冷静になれ!)


村上「ツモ!1000・2000に二本で!」

小笠原「あらら……どうぞ」

京太郎(これで南入……和了れなかったのは痛いな)

京太郎(村上さんもズタズタにされた流れを二回の和了りで修復したか?)

京太郎(ここでまたノられたら……トップとの差も僅かだ、とにかく和了って親までに俺の流れを作らないと…)

………

京太郎「ポン!」

京太郎(……南入しても真田に動きは無い、気配も無い、どうなってるんだ?)

京太郎(南浦プロと優希の特性は似てる……東場の優希から感じるようなでかい気を感じないってことは)

京太郎(……もしかして南場に強いってのはブラフか?)

京太郎(予選で力を隠す戦い方をしてたんだから本選でも同じことをしていてもおかしくない……)

京太郎(南浦プロの情報を開示してこっちの思考を誘導された?今回前半に親で連荘した速度と火力を今までの対局では集中的に南場に回してたとか……)

京太郎(まあ、たしかに指導を受けたからってその全てが受け継がれるわけじゃないよな……)

京太郎(もしそうなるんだとしたら、俺は東場で大暴れしつつ、過去の記憶から場、他家の手牌の状況を察知、完全なデジタル打ちを行いつつ、悪待ちに取っても和了れる……その上に点数調整も自由自在、嶺上牌も見えるようになってる筈だしな)

京太郎(…何だこれ?清澄って色々おかしいな)


村上「リーチ!」

京太郎「くっ…それ、ポン!」

京太郎(……だから、試合に集中しろって!真田には流れもないし手の気配も全く無い!)

京太郎(今は村上さんが親で流れを引っ張り始めたんだからこっちをなんとかしないと…)

京太郎(この気配は……跳ねるか?和了らせるわけには……!)

小笠原「……」タンッ

京太郎「それもポン!」

京太郎(小笠原さんも張ったか?ここに来て二人ともしっかり立て直して来たな……)

京太郎「っし!ツモ、300・500!」

京太郎(よし!鳴きで場を乱して安手で和了る……予選からこれで勝ってきたんだ!)

京太郎(いわば勝ちパターン…!火力はなくてもこのまま和了りを積み重ねて勝つ!)


………

京太郎(この気配は…村上さんは次巡あたりで張るかな?性格的にもスタイル的にもおそらく即リーで来る)

京太郎(小笠原さんは手が重そうだな……ここは速度で競り勝てるはず)

村上「リーチでっ!」

京太郎(来た!でも周囲の流れは希薄なんだ……俺はたしかに自分に来る流れが読みきれてない、けどっ!)

京太郎(聴牌行くとこまで建て直したのは流石だけどさ!俺以外の全員に流れが来てないなら……それは俺の流れってことだろうが!)

京太郎「ポンです!」

京太郎(勘が冴え渡ってる……察知できる範囲が広がってる?危険牌がどこにあるのか感じる…)

京太郎(そして……あんたに流れは無い!それならここで掴むのは…!)

村上「……来い!」

京太郎(俺の和了牌だろっ!)

京太郎「ロン!3900です!」

村上「だぁっ!……どうぞっ」


京太郎(よし!いいぞ!行けるぞ!これで俺の親だ!)

京太郎(これなら優勝も見える……これで俺も、清澄高校麻雀部の一員として胸を張れる…!)

京太郎(一瞬で終わった夏……見てるだけだったインターハイ……)

京太郎(今度は違う!俺も一人の雀士として…咲と、優希と、和と、染谷先輩と……みんなと一緒にあの舞台に上るんだ!)

京太郎(そのためには秋大会とはいえ、ここで負けるわけにはいかないっ!)

京太郎(引退した部長だって応援に来てくれてる、龍門渕の人達だって練習に付き合ってくれた……みんなの期待に応えてみせる!)

京太郎(……張った、2-4-5-7-8萬待ちの五面張…!)

京太郎(みんなと練習した通り……基本に忠実に…手作りは速く!待ちは広く!)

京太郎「リーチッ!」


小笠原「!……失礼」

京太郎(少し悩んで現物……無理はしない人だ、最後の親も残ってるしやっぱり前には出てこないか…)

村上「……」タンッ

京太郎(村上さんは攻めてくるな……総合順位的にもやっぱり一位狙いだな…性格的にも引かないだろう)

虎侍「……」タンッ

京太郎(生牌の發!?ここでいきなり切る牌じゃ無いだろ…?)

京太郎(……まあいい、真田は完全に崩れてる…このまま押し込む!)

京太郎(一発来い!……九筒…そう上手くいかないか)タンッ



虎侍「それ、ロンだ」



京太郎「え?」




「平和」  「一気通貫」  「一盃口」  「清一色」  「赤2」



虎侍「24000……!」





……

…………

虎侍(須賀はこの大会振り込みがない……鳴きでのズラしのタイミングを見ても、危険察知能力の高い敵の手に関して異常に嗅覚の効くタイプだ)

虎侍(だからこそ奴から直撃を取りに行く!……清澄のメンバー達と鍛えた能力のはずだ、自信も持っているだろう…だからこそ、そこに油断が生まれる)

虎侍(幸い、須賀の鳴きと小笠原の差し込みで俺の流れは消えかかっている……この事は全員感じているはずだ)

虎侍(知り難きこと陰のごとく……敵に策を、動きを悟られてはならない)

虎侍(まずは俺自身の気配を絶ち、卓上の陰に潜み隙を窺う)

虎侍(今、場の流れは須賀に向いている……その流れの陰で攻撃の手を作り込む)

虎侍(徐かなること林の如く……周囲の流れ、気配…その木々の陰に潜み、やがては同化し、相手の意識の外で静かに刃を研ぐ……)

虎侍(そして、研ぎ澄まされた刃は――)

京太郎「リーチッ!」

虎侍(その一瞬の隙を衝く!)

虎侍(動くこと雷霆の如く……攻撃の瞬間は相手の虚を衝き、光速で撃ち貫くっ!)

虎侍「それ、ロンだ」

京太郎「え?」

虎侍「24000……!」

虎侍(どうだっ!この和了りは……痺れただろう?)



京太郎「な……そんな、馬鹿な…」

京太郎(どうして!?全然気配も無かったのに!?)

京太郎(この巡目で三倍満!?速すぎる……しかし何故、どうして気づけなかった!?)

虎侍「……」ゴッ

京太郎「あ……」ビクッ

京太郎(俺は、あいつの掌の上で踊らされていただけだったのか……)

京太郎(真田は今、その力を隠そうともしていない……格が、違う)

京太郎(まるで…そびえ立つ『山』のように、越えられない高みに居るんだ……)

京太郎(これで、俺と真田の点差は37200……次の南四局で役満をツモるか、三倍満を直撃で返さないと逆転できない……)

京太郎(でも、今は……本当の流れは真田にあったんだ……もうあいつは振ってなんかくれない…それに、役満手を作る前にあいつが和了って試合終了だ)

京太郎(……やっぱり、天才ってやつには敵わないのか?……この際安くてもいいから和了って村上さんだけでも捲って……)

京太郎(……このタイミングで配牌にドラの六萬が二枚に赤五索か……でも、どうする?さっさと和了らないと……真田にトバされる……)

京太郎(そんなのは嫌だ!トビだなんて惨めすぎる!……この圧倒的なオーラ…あいつには勝てない……逃げるしか、ないんだ……)


『辞めちまうのかよ、ハンドボール』

京太郎『仕方ないだろ?……脚、痛めちまったんだから』

『いいのかよ!?……本当はたいしたこと、ないんだろ?高校からも幾つか勧誘来てたじゃねぇか』

京太郎『……見てただろ?県決勝……ああいう奴等が上に行くんだよ』

京太郎『天才さ……格が違う…俺なんかが努力したからってなんとかなるもんじゃないのさ』

『……後悔はないのかよ?』

京太郎『もういいんだ……高校に上がったら今度はもっとメジャーな競技でもやるさ』

『……お前がいいなら止めはしないけどよ……咲ちゃん、心配してたぞ?ちゃんとフォローしとけよ』

京太郎『……わかってるよ』



京太郎(――なんで!あの時のことを思い出すんだ!?……前に逃げ出した、あの時のことなんか…!)

京太郎(ハンドが好きだった…未練も後悔もあったけど……それでも!あんな化け物達と戦って勝てるわけ無いだろ!?仕方なかったんだ!)

京太郎(それに、ハンドを離れたから麻雀に出会えたんだ……麻雀部に入って、染谷先輩と出会って…部長や優希、和にも……)

京太郎(……あの頃は、可愛い女の子に囲まれて適当に楽しんで……それで良かったんだ)

京太郎(負けても平気だった……俺は初心者だから仕方ない、運の絡むゲームだから仕方ない、このゲームは女子の方が強いから負けても仕方ない……いくらでも言い訳ができた)

京太郎(そうやって言い訳して、誤魔化しながら過ごして……なのに)

京太郎(インハイで戦うみんなを見て……憧れてしまった、みんなのように打ちたいと思ってしまった)

京太郎(――いつの間にか麻雀が好きになってたんだ)


京太郎(みんなは明らかに普通じゃない……牌に愛されてる人種だった)

京太郎(だから……俺の危険牌察知…力があるって言われたときは嬉しかったんだ)

京太郎(今度は……俺も、壁の向こう側に行けたんだって)

京太郎(でも…今、気づいてしまった……井上さんや沢村さんが言ってたっけ…『力には本人の意識の影響が強い』って)

京太郎(俺の危険牌察知は……つまりただの、臆病者の証なんだ……)

京太郎(……負けるのが惨めで、悔しくて、恥ずかしくて……散々自分に言い訳して外面を取り繕って)

京太郎(その結果が危険牌察知……俺は勝ちたくて練習してきた……それでも!本当は、心の底では…たとえ勝てなくても、負けなければいいって……そんな風に思ってたのが顕れた結果だ……!)

京太郎(ハンドから逃げて…今また麻雀から逃げようとしてる……口だけの、情けない俺に相応しい力だよな……)

京太郎(……真田の奴、強烈な気配だ……俺をトバせる打点がある手が確実に入ってる)

京太郎(……本当に、このまま逃げていいのか?)

京太郎(敗北と向き合えずにハンドから逃げたときのように、今までみたいに……言い訳して、誤魔化して…それでみんなと一緒に居られるのか?)

京太郎(……無理に決まってるだろ!自分で気づいちまった以上、ここで逃げ出したら……みんなに顔向けできねぇ!)

京太郎(インターハイの戦い……どんな状況でも、優希も、染谷先輩も、部長も、和も、咲だって……誰も試合を投げなかった!最後まで諦めずに戦った!)

京太郎(俺は、その姿に憧れたんだ!)

京太郎(逃げずに戦う……!どんなに絶望的な状況でも決して諦めない……それがまくりの、勝利の条件なんだっ!)


………

京太郎(……赤牌が、真ん中の牌が馬鹿みたいに入って来るな)

京太郎(……想いに牌が応えてくれる……か)

京太郎(それなら俺は今、はじめて本当に勝ちたいと思ったのかもしれない……)

京太郎(勝負手……張った!五萬、五筒、五索、が暗刻…ドラの六萬と四筒が対子)

京太郎(逆転の四暗刻……真田から直撃を取れればタンヤオ、三暗刻、三色同刻、対々和、ドラ2、赤3の三倍満でこれも逆転……!)

京太郎(……俺は、馬鹿なんだろうな)

京太郎(でも、これは俺の決意の証……もう、逃げない!)

京太郎「リーチッ!」

京太郎(勝負だ、真田!……お前を越えて俺は今度こそ……本当に、清澄高校麻雀部の一員になるっ!)


虎侍(さっきまで死にそうな顔をしてたが……表情が変わった)

虎侍(雰囲気がまるで違う……戦う気概が戻ったか?……それでこそだ!)

虎侍(疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、知り難きこと陰のごとく、動かざること山の如く、動くこと雷霆の如し……)

虎侍(『風林火陰山雷』……今回、俺の全てをぶつけた)

虎侍(それを受けてなお……須賀は一度折れた心をしっかり立て直して攻めてきた)

虎侍(この状況でリーチ?……熱くなりやがって……馬鹿かよ、お前は?)

虎侍(須賀も、村上もすぐに熱くなって……冷静に打てないでどうする?駆け引きを楽しむのが麻雀だろ?……でもさ!)

虎侍(わかったよ!……俺も馬鹿だ!好きで麻雀やってんだ!……熱くなんなきゃ嘘ってもんだろ!)

虎侍(行くぞ須賀!駆け引きもいいけど……)

虎侍「追っかけリーチだっ!」

虎侍(俺は!殴り合いも大好きなんだよっ!)


京太郎(追っかけ?この状況でどうしてそんなリスクを……)

虎侍「……」ニヤッ

京太郎(……あいつも、馬鹿だな)

京太郎(負けねぇ…!絶対に勝つ!牌は、その想いが強い方に応えるんだろ!?なら……俺に応えてくれっ!)

虎侍(俺は勝つ!ここで負けられるか!……じいさんがくたばる前に強い男子の麻雀を取り戻す!)

虎侍(負けるはずがない……!俺は須賀よりも俺自身のことをよく知っているし、須賀よりもあいつのことを知っている!)

虎侍(お前は気づいてないだろう?須賀…!最初に会ったときに俺はお前が『持ってる』側だとわかった!)

虎侍(牌譜を見て、今こうして直接打って……俺は確信した!お前は危機察知をするだけじゃない……もうひとつ特別な力がある……!)

虎侍(俺に振り込んだ南三局はともかく……今回の東四局一本場、それに予選でも!本選でも!)

虎侍(ある程度以上の流れを纏っていてもお前は何故か和了れない……和了れて然るべき場面でだ!)

虎侍(『持ってる』側なら普通は牌に愛されてるもんだ……だが、お前は何故かそうじゃない!必ず大事な場面で不要牌を掴む!)

虎侍(俺は麻雀か好きだ!牌にも愛されてる!俺の方が麻雀にかける想いが強い!負けるはずがない!)

虎侍(……見えた!次の巡でツモる!俺の勝ちだ!須賀!!)


京太郎(見えた……!次の巡で真田がツモる……)

京太郎(けど……絶対に諦めない…!この牌でツモれば俺の勝ちだ!)

京太郎(――行くぞっ!)



虎侍「……どうした?早く切れよ……引いただろ?不要牌をさ」

京太郎「……たしかにこれじゃ和了れ無いけどさ……牌が想いに応えるってのは、本当かもな」

虎侍「……なにを言ってる?」



京太郎「最後の勝負だ……!」



京太郎「――カンッ!」




虎侍(――なんだと!?)

虎侍(いや、落ち着け…たしかにズラされたしあっちのチャンスは広がったが、不要牌を引いてきたことに変わりはない…!)

虎侍(流れは俺にある……ここで和了られなければ俺が勝つ……!)

虎侍(嶺上開花なんて……俺の相手は宮永咲じゃない!須賀京太郎だ!このタイミングで……引けるものかっ!)


京太郎(ここで和了れなければ確実に負ける……)

京太郎(……たしかに、俺には優希みたいに東場に速度や火力を上げるような力はない)

京太郎(染谷先輩みたいに記憶と卓の情報を組み合わせて場の流れを読むこともできない)

京太郎(部長みたいに悪待ちに取って和了ることもできないし……)

京太郎(和みたいに完全なデジタル打ちもできない)

京太郎(咲みたいな点数調整や……嶺上牌が見えるなんてこともない)

京太郎(ただ逃げ回るだけの雀士だったけど……もう、違う!)

京太郎(咲が、優希が、和が、部長が、……染谷先輩が!みんなのことが好きだ!)

京太郎(――麻雀が、好きだ!)

京太郎(胸を張ってみんなと一緒に立つために……ここは負けられない!いや、絶対に勝つ!!)





京太郎「来いっ!俺に応えろっ!嶺上――」



ここまでで
怒涛のキンクリからボス戦、勢いで誤魔化すスタイル
勝負手で真ん中の牌が集まったのは中心を意味する「京」から…とか言って一応ちょっとは考えてるアピール

次は今週中に来たいな…

シリアス気味だったのから頭を元に戻したいので今日中に短めのですが投下します

………

まこ「京太郎……ここにおったんか」

京太郎「先輩……いや、自販機見つかんなくて外まで来ちゃいました」

京太郎「あ、女子の方はどうでした?」

まこ「龍門渕さんが優勝じゃったよ」

京太郎「え……咲と天江さんで優勝争いだったんじゃないですか?」

まこ「最終戦のA卓が咲、天江さん、龍門渕さん、池田さんでのう……」

まこ「龍門渕さんが……国広さんが言うところの『冷え』て……全員優勝圏内だったのにガリガリ削られて大きく順位を落としてしまってのう」

京太郎「あー……あれ、凄いですよね……本当に何もできなくなっちゃうし…」

まこ「結構順位が入れ替わってな……上から龍門渕さん、和、南浦さんの順じゃ」

京太郎「龍門渕さんは流石ですね……咲と天江さんまくって優勝、昼まで勝ってた和も逆転されちゃいましたか…」

まこ「本人は納得しとらんかったよ……こんなのは自分の麻雀じゃない、ってのう」

京太郎「……龍門渕さんはかっこいいですよね、そういうとこ」


まこ「龍門渕さんは才能もあるが向上心の高い努力家じゃ……見習わんとのう」

京太郎「そうですね……俺も、まだまだ強くなりたいです……!それで、みんなの順位はどうでしたか?」

まこ「咲は六位、わしが七位、優希が九位で……女子の目標だったみんなで上位は達成できたのう」

京太郎「おお!やりましたね!そめっ……まこさん!」

まこ「……っ!きょ、京太郎…あの、ちょっと待って……」

京太郎「え?何をですか?」

まこ「わしが言っといてなんだが…やっぱ、ちょっと恥ずいわ……」

京太郎「そんな!照れずに言えるように練習してたのに!」

まこ「れ、練習?」

京太郎「はい!部屋でカピを抱きしめながらまこさんまこさん言って……ニヤニヤしてるの親に見られたんですよ……見られたんですよ……はは……」

まこ「お、親に……わ、わかった!その話はもうええ……今日は打ってみて、どうじゃった?」

京太郎「打てて良かったです…いろいろ、大事なことに気づけましたから」

京太郎「……負けちゃいましたけど」


………

京太郎(……駄目、か)



虎侍「ツモ……4000・8000」

『A卓試合終了――!!』

虎侍「……お疲れっした!」

村上「だぁー!あざーしたっ!」

小笠原「お疲れさまでした」

京太郎「……ありがとう、ございました」

京太郎(終わってみれば……真田の一人浮き、か…)

虎侍「……須賀」

京太郎「真田……これだけ稼げば万が一もないだろ…優勝おめでとうな」

虎侍「おう…さんきゅな」

京太郎「……まあ、お前にとってはたいした大会じゃなかったかもしれないけどさ」

虎侍「……そんなことねぇよ」


虎侍「今日はここで打てて良かった……やっぱり実際に打ってみなきゃわからないことは多いな…」

虎侍「思ってたよりも全然熱気があったよ……麻雀好きな奴が集まって打って…楽しかった」

虎侍「今は後悔してる……外から見てつまんねぇ奴らのお遊戯みたいなもんだって決めつけててさ」

京太郎「じいさんの言うことが全てじゃなかったろ?」

虎侍「ホントにな」ハハッ

京太郎「……じゃあ、俺は順位確認してくるよ…削られたんでかなり落ちてるだろうけどさ」

虎侍「……須賀、一応言っとくけどよ」

京太郎「なんだよ?」

虎侍「順位は関係ねぇ…俺はお前のこと、ライバルで同志だと思ってるからな!……俺たちで男子麻雀盛り上げてこうぜ」

京太郎「……当然!次は負けねぇからな!」


………

京太郎「負けた…負けたけど、これでちゃんと麻雀打てると思うんです……やっと、前に進めるって言うか……」

京太郎「本当に、打てて良かったです……」

まこ「ん……そっか」

京太郎「……でも、やっぱりみんなが十位以内入ったのに俺だけ枠外ってのもかっこわるいですよね」アハハ

まこ「……十位も十一位もそんなに変わらんじゃろ」

京太郎「その一位の差は大きいですよ!くっそー……まこさんにいいとこ見せたかったんだけどなー」

京太郎「上位に入ってまこさんに惚れ直してもらう予定だったんですよ?素敵!抱いて!みたいな……くっそー」

京太郎「くっそ……悔しいなぁ…ちくしょ……」

まこ「……京太郎」

京太郎「すいません、ほんと、なんでもないんで……見ないでください…かっこ、わるいですから……」


まこ「……京太郎、恥ずかしがることじゃないんだから、隠さなくてもええんよ?」

京太郎「恥ずかしいですよ……あんな負け方して…こんなの」

まこ「悔しいっていうのはそれだけ本気で打ち込んで、頑張った証じゃよ」

まこ「牌譜、久にもらって見たわ……最後まで諦めずに戦って、立派じゃった……かっこよかったよ、京太郎」

京太郎「……まこさん」

まこ「……ほれ、こっち来んさい」

京太郎「まこさん……俺、おれっ!悔しいです……!」

まこ「うん…」ギュッ

京太郎「おれ、こんなに勝ちたい、って…おもったの、初っ…めて、で……!」

京太郎「ま…負けてっ、こんなに、悔しいのも…おれ…くそっ!ちくしょう……」

まこ「うん……頑張ったな、京太郎」


……

…………

京太郎(……結構長いこと泣き続けてしまった……恥ずかしいな、さすがに)

京太郎(まこさんはずっと優しく抱きしめて、頭を撫でてくれて……これまたすげぇ恥ずかしいけど…凄く、落ち着いた)

京太郎(で、落ち着いてみると……)

まこ「……」ギュッ

京太郎(……か、顔の辺りに…こう、フニッと、柔らかい感触が……)

京太郎(これは、あれだよな?今、俺の頭は…まこさんの控えめなおっぱいに包まれている!?)

京太郎(しかもまこさんめっちゃいい匂いするし!こ、これはヤバい……どうすれば…)ギュッ

まこ「んっ……どうした?」

京太郎「あ……その、すいません…もう少し、いいですか?」

まこ「ふふっ……京太郎は甘えん坊じゃのう」ナデナデ

京太郎(……負けたのはすっげぇ悔しいけど…それはそれ、これはこれだよな!)ギュー


………

京太郎「あ」

まこ「今度はなんじゃ?」

京太郎「で、電車!時間大丈夫ですか!?っていうかみんな待ってるんじゃ…」

まこ「今日は現地解散じゃ…みんな先に帰っとるから心配せんでええよ」

京太郎「え……って俺のせいか……すいません電話も出なかったし…」

まこ「ええから…みんなと一緒だと無理したじゃろ?……わしより付き合いの長い咲の方がいいかとも思ったんじゃが…」

京太郎「……咲にはさっきみたいなとこ見せれませんから」

まこ「わしもあんたが誰かにあんな風に甘えてたら流石に妬くわ」

京太郎「……妬いてくれるんですか?」

まこ「何を今さら…当然じゃろ」

京太郎「……」

まこ「ニヤニヤしとらんで帰るぞ?そろそろ時間もギリギリだしのう」

京太郎「……うす」


………

京太郎「そういや、ラーメン屋のおやじさんにも悪いことしちゃったな…打ち上げ行くって話だったのに……」

まこ「ま、しょうがないじゃろ……また食べに行けばええ」

まこ「あと打ち上げは来週末にうちの店にみんなで集まってやろうって話が出とるわ」

京太郎「お、いいですね!でも、一日とはいえ休業していいんですか?」

まこ「この前龍門渕さんとこ行ったじゃろ?今度はこっちで…って話をしたら、うちを貸し切りって形にしてやろうって」

京太郎「ああ…Roof-topなら卓も沢山あるから20人前後集まっても余裕で打てますしね」

京太郎「あ…まこさん!人数、増えてもいいですか?」

まこ「ん?誰か呼ぶんか?」

京太郎「真田のやつ、みんなと打ちたいって言ってましたし……そうすればたぶん南浦さんも来ますよね?いい練習になるんじゃないですか?」

まこ「そうじゃな…男子も京太郎一人じゃ居づらいじゃろうし……天江さんなんかも実力者が増えれば喜ぶじゃろ」

まこ「みんなにも聞いてからになるが…大丈夫じゃと思うぞ」

京太郎「ありがとうございます!連絡してみますね」


………

京太郎「……あの、まこさん」

まこ「どうかしたか?」

京太郎「えっと、その……電車、全然人いないですね」

まこ「この時間ならこんなもんじゃろ?」

京太郎「あ、そうですよね!……あの、だから…」

まこ「言いたいことがあるならはっきり言ってくれんかのう?」

京太郎「その、人いないし……もうちょっと、くっついていいですか?」

まこ「……いちいち聞かんでもええのに」

京太郎「普段くっつくの嫌そうなんで……」

まこ「そりゃあんたが人前でベタベタするから……!恥ずかしいだけで、嫌ってわけじゃないんじゃぞ?」


京太郎「ぅえへへ……まーこーさぁーん!」

まこ「あっ!こら!急に抱きつくなって!」

京太郎「じゃあ抱きつきますね!」

まこ「そういう話じゃ…ったくもう」

京太郎「いいじゃないですか……ボコボコにされて落ち込んでるんですよ?慰めてくださいよぉ」

まこ「なんじゃ…さっきのじゃ足りんかったか?」

京太郎「そりゃあ……約束の五位以内も見えてたのに、十位からも弾かれちゃいましたからね……やっぱへこみますよ」

まこ「約束……逃したわりには、わしの胸の感触楽しんどったのう?」

京太郎「……………あの、バレてました?」

まこ「途中からぐいぐい頭押しつけてきたからのう……流石に気づいたわ」


京太郎「すいませんでしたっ!つ、つい出来心で……」

まこ「別に怒っとらんよ?」

京太郎「え?」

まこ「本当に悔しかったのもわかっとるし、今日は頑張っとったからのう……元気出してくれるんなら、まあご褒美ってことで…」

京太郎「……それじゃあ触らせて「それはダメじゃ」

京太郎「いいじゃないですか!元気になりますから!いろいろ!」

まこ「わしは約束の守れん男は嫌いじゃ」

京太郎「……次は絶対に勝ちます!」

まこ「ん、頑張ってな……次の大会はいつだったかのう…」

京太郎「ちょ!もしかして次の大会で五位入るまでお預けですか!?」

まこ「約束したしのう?」

京太郎「そ、そんな……秋大会終わっちゃったし最低でもあと二、三ヶ月は…」

まこ「まあ、この話には京太郎も得する要素があるんじゃぞ?」

京太郎「……なんですか?俺は今すぐにでもおっぱいを手にしたいんですけど…」


まこ「おっぱいおっぱいうるさいのう…このすけべめ」

京太郎「世の中の男はだいたいスケベでおっぱい大好きなんですよ!?」

まこ「はぁ……まぁええわ、京太郎は……巨乳好きじゃろ?」

京太郎「それは……まぁ、否定することはできませんね」

まこ「……二、三ヶ月もあれば、わしだって少しぐらい大きくなるかもしれんし……」

京太郎「……!?」

まこ「まぁ、その……京太郎が大きい方が良いのはわかっとるし……わしも少しは、努力というか…」

京太郎「……まこさんかわいすぎて俺死にそうなんですけど!」

まこ「う、うっさいわ!わしだって……好きな男のために、頑張ろうかなって…思ったりもするんじゃぞ?」

京太郎「好きです!付き合ってください!」

まこ「もう付き合っとるじゃろ!?」


京太郎「……具体的にはどうすると大きくなるんです?」

まこ「わしもあんまり詳しくないから……とりあえず食生活の見直しとかそういうとこから始めとるけど……」

まこ「……咲に聞いたのは効かなそうじゃし」

京太郎「……そっとしといてやりましょう」

まこ「あ、あとは……」

京太郎「あとは?」

まこ「……揉むと大きくなるって言うけど、どうなんかいのう?」

京太郎「試してみましょう!俺に任せてください!」

まこ「だから駄目だっちゅうに!」

京太郎「いやいや!ここは俺以上の適任はいませんよ!俺はまこさんもおっぱいも巨乳も好きですから!一石二鳥どころじゃないですよ!?」

まこ「うっさい!ばか!すけべ!抱きつくな!じゃれるなって!」



………

まこ「すまんのう……わざわざ送ってもらって」

京太郎「いえ、当然ですよ!もうかなり遅い時間ですし……」

まこ「大丈夫か?ボロボロじゃけど……」

京太郎「まこさんがやったんじゃないですか……」ボロッ

まこ「……あれはあんたが悪いわ!…もう遅いし自転車貸してやるから乗ってきんさい」

京太郎「ありがとうございます…明日学校乗ってって返しますね」

京太郎「あ、そしたら明日帰り送るんで二人乗りしましょうよ!青春っぽくてよくないですか?」

まこ「はいはい……危ないからあんまよくないんじゃぞ?……それじゃ、また明日な」

京太郎「はい!また明日……あ、まこさん」

まこ「どうし……んっ」

京太郎「……おやすみのちゅーです」

まこ「……急に何すんじゃ…ばか」

京太郎「えっへへへへ……やってみたかったんですよ、これ」

京太郎「……今日はありがとうございました!俺、明日からまた麻雀頑張りますから!」

まこ「ん……また、明日な」

とりあえずここまでで
引き際がわからなくなりそうなのでおそらく次かその次で締めます
京まこで書きたいことは色々あるけどこのまま続けるとたぶん枠足りなくて

夏大会
京太郎「俺たちの戦いはこれからだ!」

になるので…


打ち上げ日

ガチャ

京太郎「おはようございまーす」

まこ「おう、おはよう」

優希「京太郎!遅かったな!」

京太郎「優希!?……テレビつけたら仮面ライダーやってる時間だぞ?お前が早すぎんだよ!」

優希「あんまり楽しみで朝五時に目が覚めてしまったのだ!」

京太郎「……まさかその時間に来たんじゃないだろうな?」

優希「そんなわけないだろ?七時頃に来たじぇ」

京太郎「十分早いっつーの!」

まこ「まあ、その時間には店の前掃除しとったし問題はないけぇの」

まこ「それじゃあ準備手伝ってくれるかのう?」


京太郎「俺、ケーキなんて焼くの初めてなんですけど……」

まこ「分量ミスんなきゃ平気じゃよ」

優希「のどちゃんのバースデーケーキだからな?絶対に失敗するなよ?」

京太郎「プレッシャーかけんなって!」

まこ「誕生日は風越の深堀さんもじゃからな」

京太郎「二人分のバースデーだからますます失敗できませんね……あー、やっぱり咲が来てからにしません?」

優希「咲ちゃんはまだおねむなんじゃないか?」

まこ「咲には和と一緒に来るように言ってあるわ……一応サプライズじゃから内密に準備したいし、咲が一人で来れるかも怪しいからのう」

京太郎「料理できる二人が途中参加ってのもなかなかキツいですね……」

優希「染谷先輩がいるし、ケーキ以外の準備はみんなでやるんだから大丈夫!というか、私も料理ぐらいできるじょ!」

京太郎「タコス限定だろうが!俺もタコスしか作れないしこの面子は尖りすぎだろ…」

ガチャ

久「おっはよーみんな!」

京太郎「料理できないのが増えたぞ…」

優希「やはりタコスを作るしか…」

久「なによ急に!?」


………

久「……とにかく、書いてある通りにやればいいんでしょ?」

まこ「余計なことやらなきゃおいしくできるはずじゃよ」

京太郎「部長って突拍子もないアレンジしてしかも味見しないタイプっぽいですよね」

久「失礼ね!私だってあんまり料理とかやったことないだけで…ちゃんとできるわよ!たぶん!」

優希「あ!むっきー先輩からメール来たじぇ!鶴賀の人たちはお昼ごろに着くって!」

まこ「ほうか……それじゃあ到着に合わせて料理の準備をしとくかのう」

久「あ、風越の子達は午前中は部活あるからお昼過ぎに来るって!美穂子は午前中に池田さんの妹達連れて手伝いに来るって言ってたけど」

まこ「風越は大会終わっても忙しいのう……」

優希「イケダの妹達?何人か来るんですか?」

久「そう!ちっちゃい三つ子だって!楽しみね~」

京太郎「あ、それじゃあお菓子とかもっと買ってきた方がいいですかね?ケーキもいっそ沢山焼いちゃいます?」

まこ「そうじゃな……材料も買い込んであるし多目に準備しとくかの」


………

ガチャ

咲「おはようございます」

和「すいません…遅くなりました……」

優希「おっはよー!……のどちゃん大丈夫か?ずいぶん疲れてるみたいだけど……」

和「……咲さんが」

咲「違うよ!迷子になったのは和ちゃんで……!」

京太郎「またか……咲、フラフラしないでちゃんと一緒に行動しろよ」

久「咲は手を繋いでても消えちゃうからね……」

まこ「ほれ、お茶淹れたぞ…少し休んどれ」

和「すいません…ありがとうございます」

咲「だから、いなくなったのは和ちゃんが先で……」

京太郎「はいはい」

優希「そういうことにしておくじぇ」


ガチャ

美穂子「おはようございます」

まこ「おお、福路さんいらっしゃい」

美穂子「本日はお招きいただきどうもありがとうございます……さあ、お姉ちゃん達に挨拶して?」

緋菜「緋菜だし!」
菜沙「菜沙だし!」
城菜「城菜だし!」

「「「こーんーにーちーわー」」」

久「かーわーいーいー!池田さんの妹ね?」

城菜「そうだし!」

緋菜「いけだせんぱいの妹だし!!」

京太郎「い、池田先輩?」

美穂子「ふふっ…文堂さんと仲良しでね?真似してるみたいなのよ」

菜沙「あ!おいしそうな食べ物があるし!」

優希「私の特製タコスに目をつけるとはなかなかやるじぇ!食べるか?えっと……菜沙ちゃん?」

菜沙「食べるし!」モグモグ

菜沙「!」パァァ

城菜「あたしも食べるし!」

緋菜「あたしも!!」


美穂子「……あの子達は片岡さんに任せても大丈夫そうね。染谷さん、それじゃあお料理の準備手伝いますね」

まこ「すいません助かります」

久「……あたしは料理じゃ役に立たないし池田三姉妹と遊んでても良いかしら?」

和「自分で言いますか」

まこ「はいはい行ってきんさい……京太郎も休んでていいぞ、咲と和も来たし手は足りとるからのう」

京太郎「え……でも俺だけ休んでるのも……」

咲「たぶん準備より大変だと思うよ?休憩」

ワーワー ギャーギャー

京太郎「まあ子供は結構好きだしな……じゃあ準備は任せますね」

和「……染谷先輩も少し休まれたらどうですか?私と咲さんはかなり遅刻してしまいましたし……」

まこ「いやいや、うちの店を使う以上わしが動かんわけにもいかんじゃろ?」

咲「それじゃあ、遅れた分頑張ります!」

まこ「ん、頼むな咲」


………

久「頑張って!悪のデスアーマーを倒すのよ!」

城菜「アトミック・ファイヤー・ブレード!」ブンッ
緋菜「アトミック・ファイヤー・ブレード!!」ブンッ
菜沙「アトミック・ファイヤー・ブレード!」ブンッ

京太郎「全員レッドかよ!?……ぐわぁぁあ!!」バタッ

優希「ふふん…チビッ子の元気を甘く見たな?」

京太郎「ああ……け、結構キツいぞこれ…」

菜沙「まだ息があるし!」
緋菜「やっつけるし!!」
城菜「ボコボコにするし!」

京太郎「えっ、ちょ、待っぐぇっ!タンマタンマあっ痛っ!髪引っ張るのは止めてっ!」

美穂子「あらあら……須賀くんはいいお父さんになりそうね」

まこ「……っ!?なっ、なな、何をいきなり」

美穂子「あら?だって子供達と一緒に遊んで…みんな楽しそうよ?」

和「須賀くんは子供が好きなようですし、もともと世話焼きな方ですから…将来も休日は家族と一緒に過ごしてくださるのではないでしょうか」

咲「私もそう思うけど……なんで私を見ながら言うのかな?」

和「いえ、他意はありませんが……」

咲「私は京ちゃんに世話されてないよ!」プンプン


ガチャ

靖子「どーもー……って騒がしいな」

京太郎「…っと、藤田プロも来てくださったんですか?」

久「私が呼んだのよ…須賀くんも世話になったし、今日も麻雀打つでしょ?こんなんでも一応プロだし」

靖子「なんだよ、こんなんって……私にもプロの威厳ってもんが…」

菜沙「あっ!ふじたぷろ!」
城菜「ふじたぷろだ!」
緋菜「ふじたぷろだー!!」

咲「カツ丼さんって子供にも人気なんだ」

和「地元チームの所属ですし子供達も試合を見る機会も多いのでは?」

靖子「おお…かわいい子供が…こんにちは」ニコッ

緋菜「でてけー!!」パンチ!
城菜「かえれー!」キック!
菜沙「たおせー!」チョップ!

靖子「えっ!?なに?何で!?」ガーン

美穂子「こらっ!人をぶったら駄目でしょ?」

菜沙「でも……」


………

星夏『緋菜ちゃん、城菜ちゃん、菜沙ちゃんこんにちは』

城菜『せーかおねーちゃん!』
菜沙『こんにちはー!』
緋菜『いらっしゃいませ!』

星夏『はい、これ今日のお菓子だよ』

菜沙『おせんべいだし!』
緋菜『ありがとうせーかおねーちゃん!』
城菜『おいしそー!』

星夏『今日のカードは…あ、また藤田プロか……』

星夏『藤田プロ……嫌いなわけじゃないんだけどこんなに当たると流石になぁ……』シュン

………

緋菜「せーかおねーちゃんをいじめるなー!」フシャー
城菜「こいつはわるいやつだし!」フシャー
菜沙「はんにんはヤスコ!」フシャー

靖子「ま、またしてもカード……子供に嫌われるぐらいならいっそカードの仕事断ろうかな……」ズーン

久「いじめは良くないわよ?」プークスクス

京太郎「俺!俺は藤田プロ当たったら嬉しいですから!」


ガチャ

一「こんにちはー」

透華「来ましたわ!本日の主役が!」

靖子「あ、衣!傷心なんだちょっと撫でさせろよ」

衣「ふわ……!フジタ!?貴様何故ここに!」

靖子「招待されたんだから問題ないだろ?ほら、今日は衣よりちっちゃい子がいるぞ」ナデナデ

衣「む……」

緋菜「?」
菜沙「?」
城菜「?」

衣「……衣おねえさんと呼びなさい!」

城菜「ころもおねえさん!」
緋菜「こももおねえさん!」
菜沙「こどもおねえさん!」

衣「子供じゃない、衣だ!」



久「やだもう!この子達かわいい!」

靖子「かわいいなぁ……」


智紀「お菓子や飲み物とか買ってきたから…」ドッサリ

京太郎「うわ、大丈夫ですか!?俺持ちますよ!」

ハギヨシ「よろしければなにかお手伝いを…」

まこ「そんな、今日はお客さんですしゆっくりしてください」

咲「準備もほとんどできてますから…」

純「どれ……うん、うまいな」モグモグ

一「純くん行儀悪いよ?」

優希「そろそろ鶴賀のみんなも来るから我慢しろノッポ!」モグモグ

和「タコスを食べながらじゃ説得力がありませんよ、ゆーき」

透華「そういえば、風越の方は福路さんだけですの?平滝の方も参加されると聞いていましたが……?」

美穂子「午前中は部活があるんです。私だけ先に来てお手伝いを…到着はお昼過ぎになるので先に始めていて欲しいと……」

京太郎「平滝の真田と南浦さんは……そうですね、鶴賀の人達と同じぐらいに来ると思いますよ」

純「平滝の真田と言えば…残念だったな、負けちまって」


一「ちょっと純くん!少し言い方を考えてさ…」

京太郎「いや、実際負けたんで……俺的には色々と切っ掛けになったんでそんなに気にしてない…ってことはないんですけど」

京太郎「なんというか……俺は、あの試合で強くなれたと思うんで」

京太郎「あ…練習付き合っていただいたのに負けちゃってすいません……」

智紀「勝負には時の運というものもある……須賀くんは頑張ったと思うよ」

一「まだ一年生の半ばだし、結果だけが全てじゃないよね……なにか掴めたのなら良かったんじゃないかな」

純「仕方ないって!ま、すまないと思うなら次は勝ってくれよ」

透華「純の言う通りですわ!今日いらっしゃるのならリベンジすればよいのです!」

京太郎「そうですね……今日は勝ちますよ!負けっぱなしじゃいられませんからね!」



バターン


虎侍「よく言った!勝負だ須賀!」



京太郎「真田!来やがったな!」

まこ「真田くん、よく来たのう」

虎侍「あ、染谷さんはじめまして!真田です、本日はお招きいただきましてどうもありがとうございます!」

まこ「そんな固くならんでええよ…適当に食べて、打って、楽しんでいってな」

虎侍「いやーどうもすいません!おいしそうな料理も並んで…」

数絵「ちょっといいかしら?」

虎侍「ん?どうかした?」

数絵「あなた、練習試合って言ってなかったかしら?私には、ここはパーティー会場に見えるのだけど」

虎侍「麻雀は打てるし、嘘は言ってないっしょ?」

数絵「……あなたねぇ」


優希「まあまあ、落ち着いて落ち着いて……せっかく来たんだから楽しんでいくといいじぇ!麻雀も打てるしおいしいご飯も食べれて言うことなしだじょ!」

数絵「……片岡さん、私は…」

優希「優希でいいじょ?数絵ちゃん!」

数絵「え、ちょっと…か、かか、数絵ちゃんって…」

優希「同い年だし、夏に秋にと戦った仲じゃないか!''強敵''と書いて''とも''と読むんだじぇ?」

数絵「でも、えっと……そんな、急に」

優希「……だめか?」

数絵「……よ、よろしく…ゆ、優希」

優希「よろしく頼むじぇ!」

虎侍「友達増えて良かったじゃん、数絵さん!」ポンッ

数絵「肩に手を置かないでくれる?名前で呼ぶのもやめてって言ってるでしょ」パシッ

虎侍「」


虎侍「何故だ……この扱いの差はおかしい……」

京太郎「うん、もう諦めたらいいんじゃないか?」

虎侍「うるせー!俺は諦めないぞ……数絵さんはツンデレなんだよ!たぶん、きっと……」



咲「よろしくね、数絵ちゃん」

和「よろしくお願いします、数絵さん」

数絵「よ、よろしく……咲、和」テレテレ



京太郎「……お前にツンツンした分、あっちでデレてるようだな」

虎侍「……いいんだよ、うん。数絵さんのツンデレが証明されただけだから……そのうち俺にもデレるはずだから……」


聡「よう、久しぶりだな靖子……いつの間に子供産んだんだ?つーか結婚してたっけか?」

靖子「お久しぶりです南浦プロ……あの子達は風越の池田の妹で…私の子供じゃないですよ」

久「はじめまして、清澄の竹井です。まさか南浦プロまで来ていただけるとは……」

聡「いや、こちらこそどうも……俺の伝手じゃ数絵達に同世代の強い相手とあんまり打たせてやれなかったからね……ありがたいことだよ」

ガチャ

智美「お邪魔するぞー」ワハハ

まこ「蒲原さん、いらっしゃい……運転大変だったじゃろ?食事の用意もできてるんでゆっくり休んでな」

智美「おお、お気遣い感謝するぞ……ほら、新部長もちゃんと挨拶しなきゃなー」ワハハ

睦月「えっと、本日はどうも……う、む、むっ…う…」

睦月「…うっ」オエップ

ゆみ「む、無理するな……」フラフラ

まこ「……ゆっくり休んでな」


聡「……どうしたんだあの子達」

久「蒲原さんの運転にちょっと問題が……」

睦月「あっ!な、南浦プロ!?」

聡「ん?どうも」

睦月「あ、あのっ!よ、よろしければ、このカードにサインとかいただけませんかっ!?」

聡「構わないよ……俺がプロ麻雀カードの仕事受けたのってだいぶ前だったがよく持ってるなぁ」

睦月「私昔から麻雀好きで、カードも集めてて……」

靖子「……おい、私もいるぞ」

睦月「あっ、藤田プロこんにちは」

靖子「なんで私にはぞんざいな反応なんだよ!?」

睦月「それは、藤田プロのカードがしょっちゅう出てくるから……あ!そう、その、身近な感じがすると言うか…」

靖子「なんでちょっと言葉を選ぶんだよ!今絶対珍しくもなんともないから嬉しくないとか思っただろ!?」

睦月「そ、そんなことないですよ?……あ、それじゃあ藤田プロもカードにサインくださいよ」

靖子「なんで仕方ないからサイン貰ってやるか、みたいな感じなんだよ!?おかしいだろ!?」


睦月「プロの直筆サイン入りカード……」キラキラ

桃子「むっきー先輩よかったっすね!」

キャッキャッ

虎侍「師匠が女子高生に人気あるとは……おっさんのファンしかいないのかと思ってた」

聡「失礼な弟子だな?俺だって若い頃は……」

数絵「いかにも年寄りな自慢話はやめてください、お祖父様……見苦しい」

聡「」

京太郎「なあ、南浦さんって結構キツくないか?」

虎侍「……いや、優しくていい子ですよ?うん、たぶん」

聡「……おう、虎!せっかく来たんだから勉強してこい!」

虎侍「あ、はい!打ってきます!」

京太郎「よっしゃ打とうぜ!面子は……」

虎侍「あ、俺打ちたい相手いるんで交渉してくるわ」


虎侍「あ!秋大会で一番目立ってた龍門渕さんだ!良かったら一局お相手して貰えませんか?」

透華「っ!よろしい!お相手して差し上げますわ!」

虎侍「天江先輩も!一局お相手して貰えませんか?」

衣「せ、先輩?」

虎侍「はい!お願いします天江先輩!」

衣「よし!先輩が胸を貸してやろう!」



一「透華も衣も……」ハァ

純「あいつらチョロいなぁ……いろいろ心配だ」

智紀「聞いてた通り……よく研究されてる」



虎侍「というわけでよろしくお願いします!」

衣「衣を楽しませてみよ!」

透華「お勉強させてさしあげますわ!」

京太郎「よ、よろしく……」

京太郎(よりにもよっていきなり龍門渕さんと天江さんかよ!?)



………

虎侍「あっははは!なんだあれ!?予想以上にヤバイな!」

京太郎「あの人達と打ってなんで笑ってられんだよ!?めっちゃ疲れた……つか、お前ラスじゃねぇか」

虎侍「いやーいくら情報として知っててもアレを初対局で破るのは無理だね!負けた負けた!これだから麻雀は面白い!」

京太郎「ま、それは同意するけどさ……」

虎侍「俺、宮永さんとかとも打ちたいし声かけて来るわ!」

京太郎「ちょ、待って!休憩させてくれって!」

虎侍「なんだよだらしねぇな……そんなんじゃ将来キツいぞ?」

京太郎「将来?」

虎侍「プロになったらああいう人達との連戦だろ?つーか世代も重なるんだし今のうちに対戦経験積んである程度データも取っとかないと……まぁプロになる頃には今よりも強くなってるだろうけどさ」

京太郎「プロ……」

虎侍「なんだよ?お前もプロ目指してんじゃねぇのか?」

京太郎「あ、いや……あんま考えたことなかったな…強くなりたいって思ったのも元はと言えばみんなと打ちたかったからだし」

虎侍「ふーん……ま、そんなもんだよな…学生の内から本気でプロ行き考えてるのなんて全国上位の常連と馬鹿ぐらいか」

京太郎「……お前は馬鹿の方か」

虎侍「麻雀馬鹿なもんでして」


虎侍「でもさ、清澄のメンバーなら来年再来年も全国狙えるし……個人戦だって宮永、原村がいて…再来年は女子三枠清澄だってあり得るぜ?」

虎侍「そういうやつらと対等に打とうってんならお前だって同じレベルの……プロ並みの力が必要になってくるだろ?」

京太郎「……たしかに、そうなるな」

虎侍「前にも言ったろ?夢は大きく持った方が楽しいぜ?それにお前も麻雀好きだろ?」

京太郎「とーぜん!」

虎侍「だったら……」

ガチャ

華菜「来たし!」

美穂子「みんな、お疲れさま!」

睦月「文堂さん!これ見て!カードにサインもらっちゃった!」

星夏「嘘っ!?凄い!これは欲しい!!」

「「「せーかおねーちゃーん!!」」」

星夏「緋菜ちゃん、菜沙ちゃん、城菜ちゃん、こんにちは」

華菜「真っ先に文堂に!?……姉として複雑だし」



京太郎「あ、悪い……風越の人達来たから少し準備してこなきゃ……」

虎侍「ホスト側は大変だねぇ……じゃ、俺はまたあっちで打ってもらうかな」



京太郎(……プロ、か)

ここまでで。もっと書ける予定だったので気づいたら今回カツ丼さんばっかになってしまった…

宥姉と姫子でロボ物ってどうでしょう?

灼「クリスマスプレゼントだろ!カードもだ!ハルちゃんのクリスマス休暇だって待ってた!」みたいなやつで…ネリーもいるし

「ごめん、覚えてない」の会話は宮永姉妹めっちゃハマってると思います

投下します



まこ「ほんじゃ、風越のみんなも来たことじゃし改めて挨拶を……」

純「おっ!いいぞーなんかやれー!」ヒューヒュー

久「よっ!日本一!」ピュイピュイ

靖子「……お前ら酒とか持ち込んでないだろうな?」

まこ「……えー、秋大会お疲れさまでした。結果は……」

菜沙「おにいちゃんなにしてんのー?」

京太郎「あっ!ちょっと待って!」

緋菜「ケーキだ!ケーキ持ってるし!」

城菜「ケーキだー!!」

華菜「こらっ!お前ら少しおとなしくして……!」

まこ「……あー、龍門渕が」

緋菜「たんじょうびってかいてあるし!」

城菜「だれのたんじょうびだし?」

京太郎「ちょ、待って!静かに!静かにして!」

菜沙「どうしてー?」

華菜「どうしてもなにも……!」


未春「……もう諦めて始めていいんじゃないかな?」

まこ「あー……じゃあ、結果良かったところはおめでとうってことで」

まこ「で、うちの和と風越の深堀さんが誕生日近いってことでケーキを準備させていただきました」

ワーワー オメデトー!

和「みなさん……ありがとうございますっ!」

純代「あ、ありがとう…嬉しいです」

睦月「咲ちゃんも十月じゃなかったっけ?」

咲「私はほとんど十一月でまだ先ですから……」

透華「私も僭越ながらお二人のためにバースデーソングを作詞作曲して参りましたわ!」

純代「えっ」

智美「おお、それは凄いなー」ワハハ

和「……私、歌まで作っていただいたのは初めてです!ありがとうございます!」ウルウル

純「……おい、誰か止めなかったのかよ」

一「透華に言って聞くと思う?」

純「……仕方ないか」

透華「では、既にバックコーラスとオーケストラの手配も済んでいるので……」

純「ちょっと待て!」


透華「なんですの?もう歌詞カードも作ってありますし……」

純「そっちも見せろっ!」バッ

一「とりあえずコーラスとオーケストラの人達には帰ってもらって……」

透華「どうしてですの?せっかく来ていただいたのに……」

智紀「Roof-topに入りきれないし……」

………

純「すまん、迷惑をかけた」

まこ「あ、いや……問題はないと思うが……」

透華「では、楽器はなしで…噛み砕いた歌詞にしてみましたがどうでしょう?」

ハギヨシ「歌詞カードの準備ができました」スッ

一「いったいどんな感じに……」

純代(オーケストラにバックコーラスがつくようなバースデーソングってそれはそれで気になるけど……)ヒソヒソ

未春(しかもサクッと噛み砕いた歌詞に変更できるっていったいどういう……)ヒソヒソ

純代「……ん?カード?」

『のどっちとすーみんのおたんじょうびですわ
とてもめでたいのでわたくしたちもせいいっぱいいわいたいのですわ
(以下略)』

純代「えっ!?……ああ……えっ!?」

一「もうちょっと短く……」

透華「では、『のどたんイェイ~♪』『すみたんイェイ~♪』で」

衣「いい歌だ!衣は気に入ったぞ!」


ノドタンイェイー スミタンイェイー

純代「ありがとう、みんな」

和「ありがとうございます!」

「「「ケーキ食べていい!?」」」

京太郎「あ、三人用にひとつ作っといたからこっちを食べてね」

華菜「わざわざ悪いな、須賀くん」

まこ「お菓子や飲み物はみんなが買ってきてくれたし、軽く食べれるもんも作ってあるんで適当につまんでな」

優希「このタコス私が作ったんだじぇ?良かったら食べてくれ、数絵ちゃん!」

数絵「ありがとう優希、いただくわ」

和「ゆーきのタコス作りの腕は達人級なんですよっ」

優希「のどちゃんも料理上手だけどタコスだけは負けないじぇ!」

数絵「……おいしい」

和「でしょう?」エッヘン

京太郎「なぜ和が誇らし気に……まあ優希のタコスはハギヨシさんも負けを認める程だしな」

数絵「ハギヨシさん?」

京太郎「あ、龍門渕の執事さんで……」

ハギヨシ「お呼びですか?」スッ

数絵「!?」ビクッ


京太郎「ハギヨシさん!」

ハギヨシ「こんにちは、お茶を淹れましたのでよろしければどうぞ」

数絵「え、あ、ありがとうございます」

優希「ハギヨシさんもタコスいかがですか?自信作だじぇ!」

ハギヨシ「では、いただきます……やはり、おいしいですね」

優希「今日は隠し味が違いますから!」

ハギヨシ「隠し味……ですか?ふむ……舌には自信があったのですが、いったい何が…」

優希「愛情たっぷりよ?ア・ナ・タ!」

ハギヨシ「ふふふ…なるほど、料理は愛情ですよね」ニコニコ

数絵「えっ、なに?どういうこと……?」

和「愛に年の差は関係ありませんよっ!」

京太郎「……ハギヨシさんもよくあれを軽々と受け流せるよなぁ」

ハギヨシ「そういえば、早くから準備されていたようですが須賀くんも何か作られたのですか?」

京太郎「あ、俺が手伝った料理はタコスとケーキだけなんですよ……恥ずかしながらみんなにほとんど任せっきりで」

優希「福路さんも来てくれたし……のどちゃんも咲ちゃんも染谷先輩も料理上手だからなー」

京太郎「あっ!俺のおすすめは染谷先輩の作った玉子焼きですよ!」

和「料理には自信がありますがゆーきのタコスと染谷先輩の玉子焼きには勝てませんね……」

ハギヨシ「ほう……それは興味深いですね」


優希「とってきたじぇ!染谷先輩の玉子焼き!」

数絵「あの、私もいただいていいかしら?」

優希「もちろん!あまりのおいしさに普段は争奪戦になるほどだじょ?期待して食べて欲しいじぇ!」

ハギヨシ「では、私も……」

優希「はい、あーん!」

ハギヨシ「……片岡さん、それは流石に…」

和「いいじゃないですか、今日は……ほら、パーティーですし!」

京太郎(……和はフォロー下手くそだなぁ)

ハギヨシ「いや、しかしですね……」

和「えっと、ほら!誰も見てませんし!」チラッチラッ

京太郎(助けを求められても……つか俺たちがバッチリ見てるじゃねぇか)

数絵「あの、その……問題はないですよ……?今日はパーティーですし…誰も見てませんから!」

京太郎(南浦さんが助け船……になってないぞ!?和と言ってること同じじゃねぇか!?)

優希「照れなくてもいいじょ?」

ハギヨシ「……それでは、いただきましょうか」


京太郎(結局ハギヨシさんが折れたか……まあこれだけ騒がしければたしかに誰も気づかないか)

優希「やっと素直になってくれたわね、ア・ナ・タ!実際満更でもないくせにぃ!」

ハギヨシ「それはそうですが私にも一応立場と言うものがありまして……」モグモグ

優希「えっ」

和「えっ」

数絵「えっ」

京太郎「あっ」

ハギヨシ「?……あっ」モグモグ

ハギヨシ(あ、あまりのおいしさに口が勝手に……!)


優希「え……その、それって……つ、つつ、つまり」カァァ

ハギヨシ「……えっとその、すいません!業務に戻りますので!」フッ

数絵「消えた!?」

和「ゆーき!行けますよ!このまま押せ押せです!」

優希「おおう……悪いが少々混乱しているじぇ…ま、まじか……?」カァァ

京太郎(まさかあのハギヨシさんすら口を割るとは……恐るべし玉子焼き……!)

………

純「ポン!」タンッ

虎侍「ねーねー、井上さん」タンッ

純「ん?なんだ?」

虎侍「おたくの執事さんってロリコンなの?」←見てた

ゆみ「」ブフォッ

咲「ろっ、ろりっ!?」

純「まさか……いや、あの人は得体の知れないところがあるし…どんな特殊な性癖でもある意味納得できるような……」ブツブツ

衣「……とーか、ろりこんってなんだ?ハギヨシはろりこんなのか?」

透華「!?!?!?」


透華(ハ、ハギヨシがロリコン!?衣に付けたのは失敗だったのですか!?いや、そんなまさか……ハギヨシに限って)

衣「どうなんだ?智美は知ってるか?」

智美「佳織、知ってるかー?」ワハハ

佳織「えっ!?あの、その……つ、津山さん!」

睦月「ウムァ!?……う、うむ…えっと、ぶ、文堂さん、お願い!」

星夏「わ、私ですか!?……あ、あの…い、池田先輩!」

華菜「んー?ロリコンって言うのは例えば衣みたいな「知らなくて結構!衣にはまだ早いですわっ!」

衣「む……また子供扱いしてっ!衣のほうがお姉さんなのにっ!」プンスコ

純「……え?衣ってロリコンも知らないの?お姉さんなのになー」

衣「っ!?」

純「それくらい知ってて当然だよなー?」チラッ

智紀「……常識」コクコク

衣「あっ……その、当然衣も知ってたぞ!皆の知識を試しただけだっ!」

透華「え、あ……まったく衣もいじわるですわねっ!」

ゆみ「……後で聞かれるから適当に誤魔化しておけよ」タンッ

華菜「……わかったし」

咲「あ、それカンです」

ゆみ「あっ」

咲「嶺上ツモ!12000です」

虎侍「また嶺上開花……」スゲェ

純「集中途切れたか?」ハハッ

ゆみ「流石に今のはインパクトが強すぎて……」


………

京太郎「ハギヨシさん、どこ行っちまったんだ……?まさか帰ったりはしないと思うけど」

京太郎「……あの人のことだから高速移動してて目に見えないとか、天井裏にいたりしてな」

天井「」ガタッ

京太郎「!?」ビクッ

京太郎「……と、とりあえず手も空いたし俺もなにか…」キョロキョロ

久「ツモッ!」ヒュッ バシーン

緋菜「すごいし!」
菜沙「かっこいー!」
城菜「あたしもやりたい!」

久「うふふ…よし!お姉さんが教えてあげるわ!」

京太郎「……あれは教育に悪いんじゃ」

靖子「私もああいうの覚えた方がいいのかなぁ」ハァ

京太郎「いや、プロがアレやってたら問題になりますよ!?」

靖子「でも子供受け良いみたいだし……」

京太郎「いやいや!藤田プロのプレイスタイルだってかっこいいですって!代打の切り札!大逆転の魅せる打牌!」

靖子「私は須賀くん百人に好かれるよりあの子達三人に好かれた方が嬉しいんだよ!」クワッ

京太郎「ファンを大事にしろよ!?あんたプロだろ!?」


靖子「あ、いや、うん……冗談だ冗談」フイッ

京太郎「目をそらさないでくださいよ……」

靖子「……私だってさ、子供好きなのにあんな扱いされたらちょっとへこむって言うか」

京太郎「まあ、それはわかりますけど……藤田プロは結構人気ある方じゃないですか?」

靖子「須賀くんは地元に住んでるからそう感じるだけで……全国区で話題になるのはカード入れ換えの時ぐらいじゃないかな?」ハハハ

靖子「私は……試合に出るのはチームが負けてるときだから、ひっくり返せなきゃ居場所が無くなるし……そもそも確実に勝てるチームになると私は要らないんだよなぁ」

京太郎「……そういうものですか?」

靖子「極論ね……実際のところうちのチームは凄く強い訳じゃないし、私自身カードネタで他所でも客引けるから切られはしないだろうけど」

京太郎「……お客さん呼べるんならそれは人気あるって言うんじゃないですか?」

靖子「それはそうだが……私としてはやっぱり麻雀の実力でお客さん呼びたいんだよな……麻雀プロだしね」

京太郎「プロの矜持ってやつですか」

靖子「まぁね……んー、須賀くんはまだ高一だし今後インハイで活躍するとか、プロになるなら道はたくさんあると思うぞ?」

京太郎「え……っと、あの」

靖子「ん?そういう話がしたいんだろ?」

京太郎「……その、俺、プロになれるんですかね?」


靖子「インハイで活躍するとか、前に私と衣が出てたようなプロアマ交流戦は規模が小さかったが……そういう形の大きな大会は結構やってるしそういうところでスカウトの目に留まるのが一番早いんじゃないか?」

靖子「いわゆる奨励会に入ると学生の大会には出れなくなるしそれは嫌だろ?大学行ってインカレで結果出したり…私みたいに実業団リーグから引っ張ってもらう場合もあるし……」

京太郎「……やっぱりインハイに出て結果出すのが一番ですかね?」

靖子「結局ね……インハイで話題になってればすぐにお客さん引けるからすぐに試合でも使ってもらえるだろうし……宮永照なんかはプロ入りしたらすぐ活躍すると思うよ」

靖子「あ、もしインハイで活躍できなくてもちゃんと成長してれば私が口聞いてうちのチームで拾ってやるぞ?二軍スタートになるけどね」フフッ

京太郎「ありがとうございます……でも俺はプロになるならちゃんと実力で、って思ってますから」

靖子「その意気だ!まあ、結局は頑張り次第じゃないか?私も一度は諦めたけど…実業団からプロになったわけだしね」

靖子「あ、南浦プロはどうですか?」

聡「ん?俺の頃とはいろいろ違うからなぁ……ま、弟子のライバルだし修行ぐらいつけてやるぞ」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

聡「まあプロになるのも考えものだぞ?結局俺の人生麻雀だけでいろいろ失敗もあったからなぁ」

京太郎「失敗?」

聡「ん……まあ、高一から急いで進路決めるこたぁないよ……これからやりたいことができるかもしれんしな」

靖子「あ、それでもやっぱりプロになりたいならしっかり覚悟決めて練習しといたほうがいいとは思うぞ?」


………

まこ「京太郎、ちょっと手伝ってもらってええか?」

京太郎「……あ、はい!今行きます!」



京太郎「まこさん、ずっと働いてますけど少し休んだらどうですか?みんなと打ってきてもいいですよ?」

まこ「ん……そうじゃな、せっかくみんな来とるんじゃし、これだけ出したら打ってくるかのう」

まこ「で、どうした?難しい顔して」

京太郎「……ちょっと、いろいろ考えてて」

まこ「ほうか……わしで良ければ聞くぞ?」

京太郎「……将来のこととか考えてます?」

まこ「ん……わしはこの店を続けるつもりじゃぞ?おじいちゃんの店を潰したくないしのう」

まこ「とりあえず……店の手伝いしながら大学は出ようかと思っとるが」

京太郎「麻雀プロとかは興味あったりします?」

まこ「ふむ……麻雀は好きだし興味無いとは言わんが」

まこ「わしは派手な活躍をする雀士じゃ無いしのう……む、プロ雀士の経営する雀荘ともなれば客引きにはなりそうじゃな」

京太郎「ああ、芸能人の出してるお店的な……」

まこ「しかしわしが店を離れたら人手も足りんし……あ」

京太郎「どうしました?」



まこ「京太郎がプロになってうちに婿入りするってのはどうじゃ?」




京太郎「!?!?!?」

まこ「なんて……冗談じゃよ」

京太郎「じょ、冗談ですか!?冗談ですよね!あは、あははは!!」

まこ「……京太郎は、プロになりたいんか?」

京太郎「あーいや……さっき真田と話して、当然のように将来はプロ、って言うもんだからちょっと考えちゃって」

京太郎「それでさっき藤田プロや南浦プロの話も聞いてみたんですけど……」

まこ「うん……それで、どうじゃった?」

京太郎「……俺、麻雀好きです。強くなりたい……でも、それってやっぱりみんなと一緒に麻雀したいからなんですよね 」

まこ「うん……でも、将来も今みたいにしとるのは流石に無理じゃのう」

京太郎「そうなんですよねー……みんなはプロになったりするのかなぁ?」

まこ「実力で言えば狙えるじゃろうが……久はとりあえず大学行くみたいじゃが……将来的には選択肢のひとつに考えとるんじゃないかのう」

京太郎「そうですよね……みんな実力あるし、今年のインハイで結果も出して……俺はプロになる自信も無いんですよね」

まこ「まだ、自分に自信が持てんか?」

京太郎「ちゃんと努力はしますよ?でも……この前も結局入賞逃して、みんなにもまだ勝ててないですしね……プロってやっぱり、特別な人達だと思うんで…いまいち、そこにいる自分がイメージできないと言うか」

まこ「……わしは、京太郎がプロになりたいと思うんなら応援するぞ?」


京太郎「でも……そう簡単になれるものでもないじゃないですか」

まこ「そりゃそうじゃがのう……でも、やってみる前から諦めてたら何もできんぞ?」

まこ「麻雀だって一緒じゃろ?……京太郎は、本当はどう思っとるんじゃ?」

京太郎「……俺は」

京太郎「俺は、もう逃げたくないです……もっと強くなりたい、もっと麻雀を打ちたい……!」

まこ「うん……それなら、京太郎はそのためにしっかり頑張らんとな」

まこ「わしもちゃんと応援してやるから……男の夢を支えられるのがいい女ってもんじゃろ?」

京太郎「……じゃあ、俺、必ずプロになるんで……プロになったら婿にもらってくださいよ!」

まこ「え、あ……そ、そんな約束すると後悔するかもしれんぞ?あんたまだ十五じゃろうが」

京太郎「正直、もう毎日まこさんのごはん食べないと生きてける気がしないっす」

まこ「……そりゃあ、料理できて良かったわ」


京太郎「まこさんの料理は絶品ですって!さっきなんてハギヨシさんも」

天井「」ガタガタッ

京太郎「……絶賛してましたよ!」

まこ「そりゃあ嬉しいのう…!あのハギヨシさんに褒められたとなれば自信になるわ」

京太郎「凄いおいしいですもん……あの玉子焼き」

まこ「ふふっ……ちょうど作りたてのがあるけど、食べるか?」

京太郎「あ、食べたいです!」

まこ「んじゃあ、ほれ……あーん」

京太郎「へへ……あーん」

京太郎(考えてみれば……まこさんとは、この玉子焼きがきっかけだったな)

まこ「……どうじゃ?よく出来てると思うんじゃが」

京太郎「結婚してください」

まこ「なっ……ま、また……!わ、わしは味を聞いたんであって……」

京太郎「あ、いや…違うんです!結婚はしてほしいですけど!じゃなくて……だから…その!」



京太郎「あまりのおいしさに口が勝手に……!」


カン!

今度こそ終わり
不慣れ故に拙いところも多々ありましたがお付き合いいただきありがとうございました
少々人を選ぶものになってしまいましたがまこ好きな人が増えてくれたらいいな

乙乙
個人的にはイチャイチャパートよりも進路というか京太郎が進む将来を考えるパートが楽しかった
オリキャラも嫌味にならない感じで悪くなかった

自スレに乙誤爆した上にsageも忘れてクソ恥ずかしい死にたい

>>565感想ありがとうございます!書いて初めてわかる乙の嬉しさ…

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