蒼星石「ひとりエッチにはまってるんだ」(34)

jum「ふーん」

蒼星石「つれない返事だね、ジュンくん」

jum「まあな。知っている事を聞かされた所で、な」

蒼星石「はまってるのは翠星石なんだけどね」

jum「そうか。知っている事を聞かせてもらおうか」

蒼星石「知っているんじゃなかったのかい?」

jum「蒼星石」

蒼星石「知っている事をわざわざ言う事はないよね」

jum「蒼星石」

蒼星石「? なんだいジュンくん?」

jum「僕もひとりエッチにはまってるんだ」

蒼星石「うん、知ってるよ」

蒼星石「それにしても、最近暑くなってきたよね」

jum「そうだな。僕も、一部がにわかに熱くなった」

蒼星石「それはまた、どうしてだい?」

jum「蒼星石」

蒼星石「冷たい麦茶があれば、舌の渇きが癒せるだろうなぁ」

jum「よし、そこで待ってろ」

jum「待たせたな」

蒼星石「いや、10秒も待ってないよ」

jum「それで、誰がひとりエッチにはまってるって?」

蒼星石「僕、この時期に食べる和菓子では水ようかんが好きだな」

jum「蒼星石」

蒼星石「甘く、それでいて水々しさを感じるから」

jum「よし、そこで待ってろ」

jum「さあ、これで十分だろう」

蒼星石「待ってよジュンくん、僕はまだ手をつけてないんだよ?」

jum「水ようかんを食べたないなら……わかってるだろ?」

蒼星石「水ようかんには、ね」

jum「ほら、あーん」

蒼星石「あーん」モグモグ

蒼星石「うん、凄く美味しいや」

jum「そうか、それでだ」

蒼星石「これ、どこのお店で買ったやつなんだい?」

jum「僕が作ったんだよ」

蒼星石「あらかじめ作っていたのかな」

jum「いや、たった今だ」

蒼星石「それにしては早いし、買った方が楽なのに」

jum「おいおい、僕は引きこもりだぞ?」

蒼星石「確かに」

蒼星石「もしかして、ジュンくんに食べさせて貰ったからかな」

jum「そうだな、そういう事にしておこう」

蒼星石「あーん、ってする僕は可愛かったかい?」

jum「ああ、まあな」

蒼星石「でも、あの時の翠星石も可愛かったなぁ」

jum「おい、あんまり焦らすなよな」

青星石「あはは、ごめんごめん」

蒼星石「そうだね、どこから話せばいいかな」

jum「はじめから、お前が知る全てをだ」

蒼星石「汁? もう、急がないでよ」

jum「急いでいるのは僕じゃない」

蒼星石「……この前、ジュンくんは図書館に出かけたよね?」

jum「ああ、勉強をしに……――っ!?」

蒼星石「そう、あれは、その時に起こったんだ」

蒼星石「ジュンくんが出かけて、僕達ドールズは暇を持て余していたんだ」

jum「お前が持て余していたのは暇だけじゃないだろ」

蒼星石「勿論、性欲もだよ」

jum「言わずもがなだったな」

蒼星石「お互い様さ」

jum「しかし……本当に翠星石がひとりエッチにはまってるのか?」

蒼星石「? 彼女は僕の双子の姉だよ?」

jum「納得した」

jum「しかし、僕が勉強をしているってのにアイツめ」

蒼星石「なんだ、僕はてっきり」

jum「てっきり?」

蒼星石「いや、翠星石のひとりエッチを見つけたのに」

jum「ああ、知らせなかった事を怒ると思ったのか」

蒼星石「そうだね、その通りだよ」

jum「ひとりエッチは、ひとりでするから、ひとりエッチっていうんだ」

蒼星石「成る程」

jum「僕が怒ったのは、家に居ない間に翠星石がひとりエッチをした、って事にだ」

蒼星石「それはまたどうしてだい?」

jum「隠れてコソコソと、まるで悪い事をしているみたいじゃないか」

蒼星石「悪くは無いけど、普通は隠れてするよね」

jum「見つかるか見つからないか、そのギリギリを楽しんでこそだろ?」

蒼星石「ジュンくん、それはまだ彼女には難易度が高すぎるよ」

jum「……確かにな。easyな自慰から始めるべきか」

蒼星石「自慰だなんて、下品だよジュンくん」

jum「悪い、つい」

蒼星石「それで、どこまで話したっけ?」

jum「僕が図書館に出かけた所までだ」

蒼星石「なんだ、まだ全然じゃないか」

jum「だけど、もうギンギンなんだ」

蒼星石「水銀燈の話はしてないよ」

jum「蒼星石」

蒼星石「あはは、ごめんごめん」

蒼星石「あれは、ジュンくんが図書館に出かけた時の事」

jum「だとすると……お前らはリビングでテレビを見てたのか」

蒼星石「テレビと言っても、録画しておいたくんくんだけどね」

jum「お前ら、本当に好きだよな」

蒼星石「だけど、浮かない顔をしている姉妹が一人」

jum「今のお前、本当に浮かれた顔をしてるぞ」

蒼星石「くんくんを見ていても、彼女は寂しげだったよ」

jum「仕方ないだろ」

蒼星石「僕は君を責めているんじゃないよ」

jum「? だとしたら何なんだ」

蒼星石「寂しげな翠星石の表情もそそったよ、凄くね」

jum「だろうな」

jum「皆がくんくんに目を向けているのに一人だけ目をふせている翠星石」

蒼星石「彼女はきっと、ジュンくんの事を考えていたんだろうね」

jum「チビ人間、どうして翠星石を置いていくですか! ってな」

蒼星石「ジュンくん?」

jum「悪い、つい」

蒼星石「……早く帰ってくるですぅ」

jum「と、怒りが悲しみに移り変わる流れ……いや、モノマネ上手いな」

蒼星石「伊達に双子じゃないよ」

蒼星石「けれど、他の皆は平気そうにしている」

jum「そんな中、自分一人だけ落ち込む姿を見せる訳にはいかない」

蒼星石「寂しがり屋だけど、そんな強がる所も可愛いよね」

jum「だけど」

蒼星石「僕にはバレバレだったよ。そして、興奮したね」

jum「優しさと判断するかは微妙なところだな」

蒼星石「やらしさ、かな」

蒼星石「そんな調子では、いつ皆に寂しいがっているか知られてしまうかわからない」

jum「そう思った翠星石は……あくびをしたんだな」

蒼星石「そこまでわかるのかい?」

jum「おいおい、ここは僕の家だぞ」

蒼星石「?」

jum「長年使ってきた道具は体の一部のように感じるっていうだろ」

蒼星石「ふむ、長年引きこもってきたこの家も体の一部、ってことかな?」

jum「せめて、住んできた、っていうオブラートに包んで欲しいな」

jum「あくびをするっていう事は、眠いという体の信号だ」

蒼星石「心に問題があるんじゃなく、体のせいにしたんだよね」

jum「そういう所は、気遣いが出来るよな」

蒼星石「僕は、それがわかっていたから二階で休むように言ったんだ」

jum「ちなみに、真紅と雛苺は?」

蒼星石「くんくんに夢中だったよ」

jum「まあ、そうだろうな。一応聞いてみただけだ」

蒼星石「僕の提案に、翠星石はこくりと頷いた」

jum「蒼星石に余計な心配をかけたくないから、か」

蒼星石「本当、妬けちゃうよ」

jum「よせよ。それに、今はそんな話をしているんじゃあない」

蒼星石「そんな話だなんて、随分とつれないじゃないか」

jum「目的を見つけたら、それに向かって突き進む」

jum「それが――……引きこもりだ」

蒼星石「突き進むのは自分の部屋だけどね」

jum「言うなよ」

蒼星石「彼女の思いやりを無駄にするわけにはいなかった。だから……」

jum「お前は、その場で翠星石を送り出した」

蒼星石「まあ、別にそれだけが理由じゃないさ」

jum「階段を登る翠星石のスカートを下から覗くためだろ」

蒼星石「流石ジュンくん、わかってるじゃないか」

jum「当然だろ。僕も、機会があったら毎回狙ってるからな」

蒼星石「でも、スカートの丈を考えると絶対に見えないよね」

jum「だけど、それでも……」

蒼星石「……覗きこんでしまう」

jum「別に、スカートの中が見たいわけじゃないんだよな」

蒼星石「本音は?」

jum「超見たいよ、聞くなよ」

蒼星石「もしかしたら、奇跡が起こるかもしれない」

jum「奇跡が起こるよう、毎回祈ってるさ」

蒼星石「何にだい?」

jum「ローゼンに」

蒼星石「凄く複雑な気持ちだけど、納得出来るのが嫌だね」

jum「でも、僕は翠星石に意識されながら階段を登ってるからな」

蒼星石「やっぱり、あまり無理は出来ないよね」

jum「ああ。強引に覗き込もうとするのは紳士的とは言えない」

蒼星石「優雅さに欠けるもんね」

jum「僕も、引きこもってるとはいえ中学生。大人としてn」

蒼星石「スカートめくりは?」

jum「僕は、中学生とはいえ引きこもり。まだまだ子供さ」

jum「……おい、お前、まさか」

蒼星石「ジュンくん、僕をみくびらないで貰えるかな」

jum「でも、だな」

蒼星石「せっかく翠星石に気づかれないように気配を消しているんだよ?」

jum「まあ、確かにな。スカートめくりをしたら、そこで全て終わりだ」

蒼星石「打ち上げ花火も綺麗だけど、僕は手持ちの花火が好きなんだよ」

jum「じゃあ、どうしてスカートめくりって言ったんだ?」

蒼星石「口をついて出ただけさ」

jum「ほぼ無意識でか。関心するよ」

蒼星石「翠星石は落ち込んでいたからね」

jum「お前なら、気取られないようにするのは簡単だっただろ」

蒼星石「それは普段からでもそうだよ」

jum「つまり……気づかれないよう下からスカートの中を覗きこんだ上――」

蒼星石「――こっそりレンピカを翠星石のスカートの中に忍び込ませていたのさ」

jum「……人口精霊ってのも大変だな」

蒼星石「変態だけに、かい?」

jum「ああ。本当、大した変態だよ」

蒼星石「ありがとう」

蒼星石「普段と同じ場所でも、夜景っていうのは良いよね」

jum「僕は基本的に夜景中心の生活だけどな」

蒼星石「もう、ジュンくん?」

jum「悪い、横槍を入れた」

蒼星石「いくら気配を消して、すぐ真後ろで覗きこんでもスカートの中は見えなかったよ」

jum「近い」

蒼星石「けれど、翠星石のスカートの中は凄く遠かったよ」

jum「そんな中でも、レンピカの光が翠星石のスカートの中をはっきりと意識させてくれる」

蒼星石「夜の海の灯台の頼もしさっていうのは、きっとあれに近い感覚だと思うな」

蒼星石「人って、夢が叶った時よりも追いかけている時の方が輝いてるよね」

jum「スカートの中を見ようとするのを大袈裟な表現にしたもんだ」

蒼星石「けれど、夢には終わりが来る……」

jum「ああ、階段を登り終えそうになったんだな」

蒼星石「そこで僕は考えたんだ」

jum「このまま進むか、戻るか……か」

蒼星石「落ち込んでいる翠星石をそっとしておいてあげたかった、ていう気持ちもあったしね」

jum「ちなみに、スカートの中身を追っている時の気持ちは?」

蒼星石「ほとんどそうだよ」

jum「だよな」

蒼星石「普段の僕だったら、そこで引き返してただろうね」

jum「進んだ……のか……?」

蒼星石「今でも信じられないよ」

jum「すぐ真後ろで、気付かれずに階段という段差から平坦な廊下に移る……」

蒼星石「普段と違うのは、レンピカが翠星石のスカートの中にいた事、さ」

jum「!? お前、まさか……!」

蒼星石「そう……僕は、気付かれないように翠星石のスカートの中に侵入したんだ」

蒼星石「あの時は、そうするのが最善だと思えたんだ」

jum「何がどう最善なのか判断に困るな」

蒼星石「ありがとうレンピカ。君がいなかったら、翠星石に見つかっていたかもしれない」

jum「レンピカの誘導があったからこそ、か」

蒼星石「それに、スカート中でもずっと光を放ち視界を確保してくれていたからね」

jum「しかし、よく気付かれなかったな」

蒼星石「僕も本気をだしたからね。マスターには悪いことをしちゃったよ」

jum「本気すぎるだろ。ただ、気持ちはわかる」

寝る

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月23日 (月) 01:48:07   ID: 3dHeJtFx

なんだこれwwwwwww

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