穂乃果「私は」 (55)

結構暗い話になると思う

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 きっかけささいなことだった

 
~放課後~

女の子「あ、あのっ! いつも応援しています! 頑張ってください!」

海未「は、はい」カァァ

キャーキャー

ことり「今日も海未ちゃん凄いね」

穂乃果「海未ちゃんモテモテだー」

海未「も、もうっからかわないでください! 早く帰りますよ!」

穂乃果「はーい」


 今日も海未ちゃんは出待ちの子たちに絡まれていた
海未ちゃんだけじゃなくて皆にも出待ちがある。凄いと思う。それだけ人気があるってことだし、私も嬉しい
正直こんな子達が私の友達だなんて信じられない

なんだか自分が凄くなった気がした

きっかけはささいなことだったに修正

~翌朝~

穂乃果「おはよ~……ふわあ」


海未「ふふっ」

ことり「も、もう海未ちゃんってばー」


穂乃果「……?」

海未「あっ、おはようございます穂乃果」

ことり「おはよ穂乃果ちゃん」

穂乃果「あ、うん、おはよ」

穂乃果「何話してたの?」

海未「え、な、なんでもないです!」

ことり「大した話じゃないから早くいこ?」

穂乃果「……うん」


 嫉妬した。どちらに嫉妬したのかはわからない
最近なんだか、海未ちゃんとことりちゃんが二人でいるのが嫌だ。秘密があるのも嫌だ
それに、高校に入ってから二人の距離がさらに縮まったように思える。嫌だ
魅力的な二人と平凡な私。不釣り合いなのかもしれない
そっか、私は何にもないんだ。顔も人気も学力も……

 こんな事を考える私が嫌になった

~部室~

穂乃果「はぁー今日も疲れたー」グデー

絵里「だらしないわよ」

ことり「穂乃果ちゃん汗ふかなきゃ。風邪引いちゃうよ?」

穂乃果「……ありがと」

ことり「……?」

海未「なんですかさっきの間」

穂乃果「えっ? なんでもないよー」

海未「……だといいですが」

凛「早くお家に帰るにゃー」

希「そうやね。もうそろそろ暗くなるし。帰ろか」

凛「いっちばーん!」ダダッ

花陽「あっ、まってよりんちゃーん!」

~校門~

キャーキャー

真姫「うわっ、今日は凄いわね」

穂乃果「わぁ……!」キラキラ

にこ「凛と花陽は捕まってるみたいね」

「サインお願いします!」

にこ「ありがとぉ~♡」

にこ「じゃ、いってくるわね」ボソッ

穂乃果「あ、うん!」

海未「すみません穂乃果、私も行ってきます」

キャー

ことり「バラバラになっちゃったね」アハハ

ことり「もし穂乃果ちゃんが早く済んだら先に帰ってていいからね」

穂乃果「ううん! みんな待ってるね!」

穂乃果「……」ソワソワ

キャーキャーザワザワ

穂乃果「……あれ?」

キャーキャーザワザワ

穂乃果「……そっか、そうだよね。ふふっ……」


 期待していた。そんな私が憎く思える
どれだけ待っても誰も来ない。皆には来ているのに。そんな騒音と熱気の中、私は一人でぽつんと立っていた
恥ずかしくなった。それと同時に死にたい位気分が落ち込んだ


 私は人知れず帰路に就いた

ごはん

~自宅~

ガチャ

母「穂乃果ーごはんよー」

 私は自分と外の世界を遮断するようにベッドに潜りこんでいた
どうも最近の自分はどこかおかしいだとか色んなことを柄にもなく考えていた

穂乃果「……うん!」

 お母さんを心配させたくない。そう思い、無理矢理笑顔を作ってベッドを出た


 今日は私の好きな物ばかりだった。だけど喉を通らない。なんでだろう


母「……穂乃果」

穂乃果「なに?」

母「何かあったらお母さんに言いなさいよ?」

穂乃果「……なにもないよ」

母「嘘。全然ご飯食べてないじゃない」

母「それに雰囲気でわかるわよ。何年あんたの親やってると思ってるの」

穂乃果「本当に、なんでもないよ」ニコ

穂乃果「もう、お腹いっぱい。ごちそうさま。お風呂入ってくるね」タタッ


母「……本当かしら」

雪穂「……お姉ちゃん……」

父「……」

~翌朝~

 私は今皆に会いたくない。もちろんあの二人にも
だから今日はいつもより三十分も早くに家を出た。いつもの通学路。だけど隣に二人はいない
一人で歩く道。澄んだ空気、小鳥の鳴き声、楽しそうな小学生達。そしてなによりも、空が綺麗だった。
 
 涙が頬を伝った


~教室~

 珍しく二人が遅刻した。私が悪い。全部、何もかも私が悪い
海未ちゃんが私をにらむ。ことりちゃんは心配そうに私を見つめる

 休み時間、二人はすぐ私の所に来た

海未「穂乃果っ!」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……ごめんね」

海未「……?」

ことり「穂乃果ちゃん何かあった……?」

穂乃果「ううん……何でもない!」

海未「……」ホッ

穂乃果「ちょっと、トイレ行ってくるね」

ことり「あっ、穂乃果ちゃん待って! ことりも!」

~昼休み~

穂乃果「パンおいしー」

海未「もう……何個目ですか」ハァ

ことり「ふふ。パンを食べてる穂乃果ちゃんかわいい」ニコニコ

穂乃果「あむあむ」

 ちょっと気分が良くなった。やっぱり二人は私の大切な人だ
二人といると落ち着くし元気になれる。馬鹿なことを考えていた私に怒りたい

穂乃果「……二人が幼馴染で良かった」ニコッ

海未「な、なんですか急に///」

穂乃果「んふふー何となくだよ」

ことり「穂乃果ちゃん……///」

~放課後~

 おかしい。二人の姿が見当たらない
先に行っててと言われた私は気になって二人を探している。なんだか嫌な予感がしたからでもある

「――ください!」
「海未ちゃん……!」

 あ、二人の声が教室から。灯台下暗しとはこのことだったんだね、なんて思いながら教室のドアを開けた


 二人の抱き合っている姿が視界に飛び込んできた


穂乃果「ぁ……」


 私に気付いた二人は慌てだす。お互い腕を離してこちらを向いている



海未「ほ、穂乃果……!」

ことり「ほのかちゃん、あ、あのね……これは違くて……!」


 嘘だと思った。それと同時にあの感覚が戻った。それは前よりも強くなって帰ってきた


穂乃果「……おめでとう。幸せになってね」ニコ


海未「え、は、はい」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「あ、今日家の手伝いするんだった。皆に言っといてね。じゃあね」


 私はドアを閉め、廊下を歩いて、階段を下りて、靴を履いて、校門を出て、夢中で駆け出した
誰かにぶつかったが気にしない。今、何も考えたくない。ただただ死にたい気分だ

お互い腕を離してこちらを向いたに修正

休憩

~夕食~

 あの後家に帰って、すぐ部屋に駆け込んだ。雪穂に心配されたけど調子が悪いとだけ言っておいた


穂乃果「……ごちそうさま」

母「……」

穂乃果「お風呂行ってくる」

母「あ、うん」


父「……雪穂」

雪穂「……何?」

父「穂乃果と話して来い。お前になら話しやすいだろう」

雪穂「うん……わかった」

~自室~

 お風呂をあがってからは、ベッドで仰向けになってただぼーっとしていた
考えるだけ無駄だ。疲れた。もういっそ皆と縁を切ろうかな。アイドル、やめようかな……

 ドアがノックされる音。なんとなく雪穂だと思った

穂乃果「……いいよ」

 雪穂は心配そうな顔で入ってきた。こんなに心配させるなんて姉失格だ

雪穂「お姉ちゃん……大丈夫?」

穂乃果「ふふっ……大丈夫じゃないかも」

雪穂「お姉ちゃん……」

雪穂「何かあったの? 私に話してみて? 誰にも言わないから」


 雪穂なら雪穂だけは私の事を理解してくれると思った。私はためらいながらも出待ちの事を話した


雪穂「え……それだけ? っていうか嘘でしょ?」

穂乃果「嘘じゃないよ。ほんと」

 本当はそれだけじゃない。だけど二人の事を話すとさらに心配させてしまう
嘘をつくと胸が痛くなる。ごめんね、雪穂

雪穂「ありえないよ」

雪穂「だって、私の学年の子、お姉ちゃん推しが多いもん」

穂乃果「雪穂……」

雪穂「いっつもお姉ちゃんに会わせて会わせてうるさいもん」

穂乃果「……」ギュ

雪穂「お姉ちゃんが、一番だよ」

穂乃果「いいんだよ、もう」ナデナデ

雪穂「お姉ちゃんが、いち、ばん……だもん」ギュッ

穂乃果「ごめんね。ありがとう雪穂」

雪穂「お、おねっ……ちゃんが……いちばん……かわ、いいもん……」

 雪穂は疲れて眠るまで大声で泣き続けた

休憩

ほんわかにするかダークにするか
どっちがいい?

じゃあダークからほんわかにしようかな

~リビング・深夜~

母「……穂乃果、話って何?」


 雪穂のおかげで、私はこの感情をやっつけようと思う意志を持つことができた
寝る準備をしていたお母さんをリビングに呼んだ


穂乃果「……あのね」

母「……うん」

穂乃果「……穂乃果、心のどこかがおかしいみたい」

母「……え?」

穂乃果「何があったかは言えないけど……」

穂乃果「それで、今、すご、く、くるしいの……」ポロポロ

母「……穂乃果……!」ギュッ


 お母さんは堰を切ったように泣き始めた。「ごめんねごめんね」と崩れるように呟きながら
そんなお母さんの涙を目にした私は、ただただお母さんに申し訳ないと思った
 
 ひとしきり泣いた後、お母さんは涙を拭いて優しく言った


母「……うん。穂乃果のためならどんな病院にでも連れってあげる」

穂乃果「うん……ありがとうお母さん」ギュ


 雪穂のおかげでこの感情をやっつけようと思う意志を持つことができたので
まずお母さんに打ち明けようと思い、寝る準備をしていたお母さんをリビングに呼んだ

に修正

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