草加「強くて…ニューゲーム?」 (466)

草加(……ここはどこだ?なぜ俺はここにいる?)

??「気がついたようですね」

草加「誰だ!?」(くそっ、暗くて何も見えない!)

??「ここに来る前の出来事を、君は覚えていないのですか」

草加「キサマッ!何を言って……」

??「否、君は確かに覚えているはずです。君自身の……」





「最期を」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399254451

草加「!!」

??「思い出したようですね」

草加(そうだ……俺は確か木場に……!)



草加「……う、うわああああああああああああああああああああああああああっ!!」



??「落ち着いたら、また話をしましょうか」

数十分後



草加「はあっ……はあっ……!」

??「……それでは話の続きをしましょう」

草加「だがもし俺が、本当に死んだのなら、なぜ今こうしてここにいる……?」



??「君は……オルフェノクを憎んでいる」

草加「当たり前だ!!俺自身や真理の仇であり、流星塾をバラバラにした奴らが憎くない訳ないだろ!」



??「……それは、私が望む、人間の姿だ」

草加「!?」

??「オルフェノク……。彼らは、人間を超え、人間を襲い、他の人間までも変えてしまう」



??「それは私が愛する人間の、正しい姿ではない」

??「故に、君のように、異形を排除しようとする人間は、逆に、正しい者だ」

草加「つまり……何が言いたい?」



??「君にもう一度、チャンスを与えましょう」

草加「どういうことだ……!」

??「君を蘇らせると、言っている」

草加「キサマ、ふざけるのも大概に……!」

??「死んだはずの君がこうして私と話をできている。それが全てです」

草加「……」

??「あまり、このようなやり方は好きではありません。しかし、興味がある」



??「人間は、自らの手で、『人間である』ことを守れるのか……」



草加「……一つ聞きたい」

??「いいでしょう」

草加「真理は……園田真理はどうなった?」

??「……君は、彼女を守り抜けなかった。それが答えです」

草加「……」

??「しかし私が与えるチャンスで、彼女を救うことが、君にはできる」

??「君は物語の初めに還り、再び戦う」

草加「物語……?」

??「安心しなさい。君は物語を通じて、確かに強くなった。厳しい戦いではないはずです」

??「それでも終わりが近づき、苦しくなった時は、これを使いなさい」

草加(……暗いのに、視える。これは……)

??「一つは君を強くするが、同時に君の負担を増やす物。もう一つは、君の戦う意志を貫くための物」

草加(薬品の入った瓶と、ファイズアクセル……いや、少し違う、これは……)

草加(カイザのマーク!)

??「使う時に知ることになるでしょう。その力の名前と、威力を」

??「あとは、これを渡しておきます」

草加「……カイザポインター」

??「これで君は最初から、全力で戦うことができる」

草加「……ふっ、いいだろう。やってやる」



「今度こそ真理を救い、オルフェノクを……」



??「再び始めましょう、草加雅人。君の、戦いを」





「この、小さな星の話を」

今日はここまで

これは仮面ライダー555の二次創作SSです
??があのお方っぽいのは井上脚本繋がりってことで

本当に丁寧なコラですよねwwwwww

投下します。






草加「……ここは」



草加は目を覚ました。

周りには、彼にとっては見慣れた顔が横たわる多数のベッドがある。



草加「スマートブレインの……!」



草加(どうやらあの時と同じく、記憶を改竄される前か)

草加(そうと解れば逃げるのみ……ん?)



草加の目に止まったのは多数のベッドの内の一つ。



そこには三原修二が寝ていた。

草加(三原もまた俺と同じ……オルフェノクの記号の適合者)

草加(早い内から場数を踏ませれば少しはマシな戦力に……)



草加(真理も助け出したいが、今連れ出せば記憶はそのまま……都合が悪い)

草加(すまない、真理!)



草加は三原に肩を貸し、脱出した。

数分後



研究所の外に出た草加は、追っ手から隠れるための場所を見つけ、



ドサッ



乱雑に三原を肩から落とした。



草加(変身できるかどうかなら沙耶でも良かったんだが、三原の方が御しやすいからな)

草加(折角だ。俺の負担を減らす為に、時々代わりにカイザとして戦ってもらう)

草加「ふっふっふ……」



三原「…………」

三原「……ん……俺は……」

草加「目を覚ましたか、三原」

三原「俺は……助かったのか……?」

草加「……何処まで覚えている」

三原「青沼が、灰色の怪物になって……俺たちに襲いかかって……それで俺は……」



三原は震えながら、最後の単語を濁した。



草加(そうか、三原は北崎が来る前に青沼にやられたんだったな)

三原「でも今の俺は……こうしてピンピンしている……。あれは夢だったのか……」

草加「いや、夢じゃない。現実に起きたんだよ。同窓会でな」

三原「……」



事態を呑み込めない三原は、明らかに動揺している。



草加「俺たちは……一度殺されたんだ。オルフェノクにな」

三原「オル……フェノク?」

草加「怪物の名前だ。力に溺れ……人を殺す魔物」

草加「君も憎いだろ……オルフェノクが」

三原「憎いというより……怖いんだ。関わりたくない」

草加「それは無理な相談だな。俺たちは狙われている。だから現にこうして殺されたんだ」

三原「……俺はどうすればいいんだ。俺は嫌だ、また殺されるなんて……」



草加「なら俺と一緒に戦うんだ。オルフェノクと……スマートブレインとな!」

三原「スマートブレインって、父さんの……」

草加「あの会社は既にオルフェノクに乗っ取られている。父さんの立場も危ない」

草加(父さんが……オルフェノクだというのは、まだ伏せておこう)

草加「今回は奴らの罠だったんだ……スマートブレインの」

三原「……」

草加「戦う術なら、もうすぐ手に入る。俺を信じてくれ」

三原「……考え、させてくれないか?」

草加「ああ、君にも事情があるだろうからな。今日のところは帰ってもらっても構わない」

三原「ところで、俺たち2人以外はどうなったんだ?無事なのか?」

草加「恐らく無事だ。そのうち研究所から解放される……今回の記憶を消されてな」

草加「すまない、三原。君1人しか助ける余裕がなかったんだ」

三原「いや、いいんだ。ありがとう草加」

草加「君を選んだのも、俺が君を仲間として信頼してるからだ。だから君も、俺を信用してほしい」

三原「……ああ」

草加の家



草加(とりあえず三原は引き込めそうだ。記憶がある分、弱気を治すのも幾分楽かもしれない)

草加(カイザギアの確保は……真理と再開した日まで待てば確実だ)

草加(デルタギアを最初に持つのが沙耶なのは既に分かっている。早めに接触しよう)





草加「……!?」



思案を終えた草加は、突然体を走った違和感に震撼した。



草加(く、首が……!?)



自らの首をまさぐる草加。

その表情は、焦りと恐怖を混ぜたようなものであった。



草加(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)



第三者から見れば至って普通の首を、何かから守るかのように押さえている。

草加「はあっ……はあっ……」



パニックが収まったあとも、草加はしばらく呼吸を荒くしている。



草加(……おのれ)



草加「……木場勇治ぃ!!」



バアン!!



草加は、机に拳を叩きつけた。





草加「滅ぼしてやる……オルフェノクめ」



草加「……今度こそなぁ!!」

投下終了。
やったね草加さん!トラウマが増えたよ!

投下させてもらう…俺自身のSSをな!




数日後 草加の家



~♪

~♪



草加の携帯の着信音が鳴る。



草加(……三原からか。まだ答えを聞いていなかったが……さてどうなる)



草加は携帯を開き、通話を始めた。

三原『草加か。聞いてくれ!大変なんだ!』

草加(予想とは話題が違うな……)

草加「どうした?一体何があったんだ?」





三原『父さんから、送られてきたんだ……!』



三原『『これを使って戦え』って……!』

草加「!?」

草加(どういうことだ?確かベルトは真理、里奈、沙耶の処に送られる筈……!)

草加(俺の知っている『今』と違う!)



三原『と、とにかくすぐに来てくれ!』

草加「……分かった。すぐ行く」



パタン



草加は携帯を閉じた。





草加「……何かが、おかしい」





バー『クローバー』





冴子「……あら、珍しいお客様ね。村上君」

村上「はい、随分と久しぶりですね。……どうです?しばらくぶりの日本は」



??「……悪くない。こうして親睦のある君たちに会えて、嬉しいよ。サエコ、Mr.ムラカミ」



冴子「日本語、上手になったわね」

??「これから日本にいることが多くなるからな。話せないと少し不便だろう?」

村上「殊勝な心がけですね……上の上だ」

??「……例のベルトは?」

村上「ええ、予定より早く、既に完成していますよ。ただ……」

??「ただ?」

村上「……残念なことに、裏切り者の手により盗み出されてしまったのですよ。他のベルトと共に」

??「Oh...」

村上「出来るだけ早く、取り返しますよ。相手の戦力もたかが知れている」

村上「上の上のオルフェノクである『ラッキークローバー』の方々の協力さえあれば、すぐに取り戻せるでしょう」

??「大船に乗ったつもり……で待ってるよ」

冴子「そうよ、安心なさい」





冴子「『天のベルト』は、あなたのものよ」





村上「レオ、貴方もまた上の上のオルフェノク……」



村上「貴方こそが、『帝王のベルト』に相応しい」

三原の家



三原「これなんだが……」

草加(間違いない、これは……)



草加(カイザのベルト!)

三原「どうやら、『カイザ』っていうらしい」

草加(だが何故三原に……)

三原「お前が言ってた『戦う力』って、これのことか?」



草加「……ああ、間違いない。父さんが、俺たちの為にくれた物だ」

三原「やっぱり、父さんが……」

草加「だが、スマートブレインはこのベルトも狙っている」

三原「……」

草加「オルフェノクも、恐らく奪いに来るだろう」

草加「だからこそ三原、君がそれを使って戦うんだ」

三原「!?」

草加「そのための力だ、カイザの力はな」

三原「でも俺、やっぱり……」

草加「戦うのが怖いのか?」

三原「……」

草加「自分に自信が無いのは別にいい。だがな、意味を考えろ。ベルトを貰った意味をな」

草加「父さんは君を信じてベルトを送ったんだ。だから君も信じろ、父さんを」



草加「君を信じた父さんを、信じてくれ」

三原「……とりあえず、これは俺が預かっておくよ」

草加「頼んだぞ、三原」

三原「……」



草加(これで、しばらく戦いは避けられる。記号の摩耗も防げるだろう)

草加(俺には倒さなくちゃならないオルフェノクがいる……!)

草加(それまで、死ぬ訳には……)

スマートブレイン本社の一室



レオ「……少し違うな。本来の『物語』と」

レオ「サイガの完成に関しては嬉しい誤算だが」





レオ「不都合なことには、『矯正が』必要だ」

レオ「『物語』の結末も、変える必要がある」



レオはポケットから携帯電話を取り出すと、番号を入力し、電話をかけた。



男『レオ様、ご用件はなんでしょう』

レオ「消して欲しい人間がいる。……三原修二という男だ」

男『はっ、直ちに』

レオ「もしかしたらベルトを持ってるかもしれないからな。気をつけろ」

男『了解しました』



パタン





レオ「さて、どうなるかな……フン」

どこかの道路



三原はバイクでバイト先に向かっている。



三原(受け取ったはいいものの、これからどうすれば……)



その時であった。



バイクの前にスーツ姿の男が飛び出したのだ。



三原「!?」

キキィーッ



三原は慌ててブレーキをかける。



三原「い、いきなり出てきて、危ないだろ!」

スーツの男「貴方、三原修二さんですね?」

三原「どうして俺の名前を……」



スーツの男「私の仕事は……」



スーツの男「貴方を消すことだ!」



スーツの男はそう言って自らの姿を



灰色の怪物へと変えた。

イノシシ型の、ワイルドボアオルフェノクである。



三原「う、うわあっ!!」



ドシャッ



三原は驚きと恐怖のあまりバイクから慌てて降りようとして、転げ落ちてしまった。



三原「く、来るな!」

ワイルドボアオルフェノク「諦めてください。貴方はここで死ぬ運命にある」



余裕からか、オルフェノクはゆっくりと三原に迫っていく。

三原「……嫌だ!」



三原は必死に立ち上がると、敵を背に逃げ出そうとするが、





『父さんは君を信じてベルトを送ったんだ』



三原(!?)



思いとどまり、カイザギアのケースに手をかけた。



三原「……そうだ」

『君を信じた父さんを、信じてくれ』



三原(父さんが、このベルトを……俺に!)



ケースを開けて、ベルトを装着する。



三原(戦わなくちゃ、また…… !)



変身コード『913』を入力し、



『Standing by...』



三原「変身!!」



ガシャッ



ドライバーにはめ込む。



『Complete!』

全身に黄色のフォトンストリームが広がり、さらに装甲が残りを覆った。



三原はその瞬間、カイザとなった。





三原「これがベルトの……」



ワイルドボアオルフェノク「……やはり持っていたか、人間!」





三原はファイティングポーズをとり、オルフェノクは、猪らしい、突進用の構えをとった。



ワイルドボアオルフェノク「うおおおおおおおおおおおおお!!!」



雄叫びと共に突進するオルフェノク。



ガキィン!



ワイルドボアオルフェノク「何だと!?」



しかしそれは、カイザのパワーの前に、止められてしまった。

三原「はあああっ!」



ドガッ!

ドゴッ!



ワイルドボアオルフェノク「ぐっ、ぐわあっ!!」



腰にしがみついている格好となった敵に、三原は膝蹴りを入れて引き剥がした。



そしてベルトについている、草加に渡されたカイザポインターにミッションメモリーを付け、足に装着する。



カシャッ

『Ready』

ガチャッ



三原(『ENTER』!)



『Exceed Charge』



三原は敵に組みかかり、右、左とパンチを繰り出す。



ドカッ!

バキィッ!



そしてガラ空きになった胴体に、



ドゴォッ!



鋭い右脚の蹴りが炸裂。



そしてポインターからは光の錐が放たれ、直接敵に突き刺さり、敵を後ろへ押し戻した。






ワイルドボアオルフェノク「ぐおおおおおおおおおおっ!!!」



そしてカイザはジャンプ、その片足の飛び蹴りで、






オルフェノクを錐と共に貫いた。

青い炎と共に、



ワイルドボアオルフェノク「あ、ああ……」



ザサーーッ



オルフェノクは灰となり、崩れ落ちた。





三原はそれを確認すると変身を解除し、草加に電話を入れた。





三原「……分かったよ草加、俺も戦う。オルフェノクと。スマートブレインと」

投下完了。
やっぱ三原修二でも大丈夫~♪

なら投下すればいい…俺の手で…SSを…!




トレーニングジム



レオ「Hello..., Mr.J」

ジェイ「...Hello」



トレーニング中のジェイに、レオは慣れ親しんだ様子で話しかけた。



レオ「今日はラッキークローバーの一員である君に、一つ、依頼があって来たんだ」

ジェイ「What?」

レオ「……カイザのベルトを奪還して欲しい」

レオ「本当はサイガのベルトを優先的に取り返して貰いたいんだが、いかんせん行方がまだわからないからな」

レオ「まずは既に所在が分かっているカイザのベルトから……という訳だ。引き受けてくれるか?」



ジェイ「Of course. It's so easy」

レオ「それはよかった。今度、バーで飲もう。チャコも連れて来るといい」

ジェイ「Sounds good...」





どこかのレストラン



三原「草加、話があるとか言ってたけど、何かな」

草加「……取り敢えず、君が戦う決意をしてくれたのは嬉しい

草加「そのことに関して、今後重要になることを話そうと思ってな」

三原「ああ、分かったよ」

草加(……というのは建前だ)

草加(あれから、何回かオルフェノクを退けたという話は聞いたが)

草加(三原のことだ。またいつ弱気になるか分からない)

草加(今日は取り敢えず監察という訳だ)

草加(オルフェノクが現れるなら好都合だ。この目で確かめてやる)



草加「まずはベルトのことだが……、君と俺以外の人間に絶対に着けさせるな」

三原「どうしてだ?」

草加「君と俺はスマートブレインの実験の影響で、変身しても問題は無いが、普通の人間が装着すれば……命に関わる」

三原「!?」

草加「あの実験は、俺たちにオルフェノクの記号を埋め込み、人工的にオルフェノクを生み出すためのもの」

草加「生憎俺と君に関しては実験失敗だ。だから人間のままに留まっている」

草加「その影響で、俺たち2人は問題なく変身できる。……本来はオルフェノクにしか装着不可能なベルトをな」

三原「……奴らがベルトを狙っている理由って、まさか」

草加「……恐らく、君が考えている通りだ。人間でありながらベルトを使える俺たちの存在が、都合の悪いものらしい」



~♪



話を遮って、三原の携帯が鳴る。



三原「ご、ごめん草加」



三原は電話に出た。





三原「えっ、何だって、急に行けなくなったからバイト代わって欲しい?」



三原は仕方がなくなり、草加に目配せした。



草加「……いや、別に構わないさ」

三原「ああ……分かった。すぐ行く」



三原は電話を切り、草加に無言の礼をしたあと、席をあとにした。




三原はいつものように、バイト先へバイクを走らせていた。



三原「……ん?」



三原が反応したのは、車線を遮るよう、横向きに止められた車。



三原(邪魔くさいな……。どうしたんだ?)



その車から降りたのは、屈強な黒人の男。



ジェイ「……」



三原「な、何だ?」



ジェイ「……ウオオオオオオオオオオオオ!!!!」

三原「!?」



クロコダイルオルフェノク「オオオオオオオオオオオオ!!!!」

三原「お、オルフェノク!!」

三原は慌ててカイザギアを取り出して装着する。



三原(『9、1、3』……!)

『Standing by...』

三原「変身!」

ガシャッ



『Complete!』





カイザとなった三原は、ジェイに向かって挑みかかる。



三原「うおおおおおおおおおお!!」

ドカッ

ドゴッ



クロコダイルオルフェノク「フン!!」



三原は次々とパンチを繰り出すが、ジェイはそれを容易くボディで受け止める。



三原(き、効いてないのか!?)



クロコダイルオルフェノク「……ハアッ!!」



ズバアン!!



三原「うわあああっ!!」



ドタン



三原はバックラーの爪により、斬りつけられ、弾き飛ばされた。

クロコダイルオルフェノク「ウォアアア!!」



ジェイは追撃を加えようと、ダッシュで詰め寄る。



三原(ま、不味い!!)



三原が起き上がった頃には、再びジェイの間合い。



ズバッ!

バチィン!

ズバアン!!!



ガシャアン!



三原「ぐあああああああっ!」



三原は再び弾き飛ばされた。衝撃でベルトが外れ、変身が解除される。



三原「くっ、強い……」

外れたベルトは、カイザフォンとともに、三原よりジェイにとって遠い位置に落ちた。





三原(ひ、拾わなきゃ……殺される)



三原は何とか起き上がろうとするが、ダメージ故に上手くいかない。



何とか倒れ方を変え、ベルトが落ちた方向を向く三原。





「……かっこ悪いねぇ。ま、そんなものか」

三原にとって、聞き覚えのある声であった。



カイザギアの位置は、声の主の足元。



改めてその方向をよく見る。





三原「くっ、草加……」



草加「……休んでろ三原。ここからは俺がやる」



草加はベルトを拾い上げ、装着する。





草加(『9、1、3』)

『Standing by...』



草加「変身!!」

ガシャッ!



『Complete!』

クロコダイルオルフェノク恰好良いよな 凶暴態に変身する夢見た事あるよ

草加「ハァッ!!」



ズダァン



シュタッ



草加は飛び上がり、颯爽と三原とジェイの間に踊り出た。



クロコダイルオルフェノク「……ウォアアアアア!!」



ターゲットを変更したジェイは、すぐさま迫り、爪を用いて斬りかかる。



フッ

サッ

シュッ



草加「フン……」



だがその全てを草加は見切り、攻撃をいなしていく。

そして逆に



ズガァン!

バキィ!



クロコダイルオルフェノク「ウガアアッ……!!」



敵の怪力を利用したカウンターを叩き込む。



更にジェイが怯んだ隙を見逃さず、



草加「セェヤアッ!!」



バゴォン!!



クロコダイルオルフェノク「ガアアァッ!!」



ドサァッ



渾身の蹴りで突き飛ばす。

草加はカイザフォンからミッションメモリーを抜き取り、カイザブレイガンに差し込んだ。



『Ready』



フォトンブラッドの刃が伸びる。



草加「ハァッ!」



ザッザッザッザッ



走って一気に距離を詰め



ズバァン!

ズバァン!!

バチィイン!!!



クロコダイルオルフェノク「グオアアアア!!」



連続で斬りつけた。

草加(『ENTER』)

『Exceed Charge』



バシュウン!



クロコダイルオルフェノク「!!!?」



放たれたマーカー弾はジェイに命中し、格子状の光がジェイを拘束する。



草加「はあああああっ……!」



草加は眼前に現れたフォトンブラッドの錐と共に、



草加「せぇやああああああ!!!」



敵に突進し、斬り裂いた。

敵に現れるΧの光。



クロコダイルオルフェノク「……」



ザサーーッ




クロコダイルオルフェノクは、灰と化して崩れた。

今回はここまで。

>>120
かっこいいですよね
いかにも強そうなビジュアルで

投下してみるさ、俺に何が書けるかわからないけど




三原「ありがとう草加、助かったよ」



三原はバイトを終えたあと、草加と話をしていた。



草加「……敵はこれからますます強くなる。腕を磨いておくことだ」

三原「……なあ草加、やっぱりベルトは君が持っていた方が……」



ベルトは戦闘ののち、再び三原に返されている。



草加「いずれベルトはもう一つ手に入る。その時まで、君が持っておくんだ」

三原「……」

草加「君に足りないのは経験だ。今は少しでも多くのオルフェノクを倒し、強くなることが大切だ」

草加(ふっ……デルタのベルトが手に入った暁には、それを三原に押し付けて、俺はカイザのベルトを貰う……!)

草加(それまでは、精々俺の代わりに頑張ってもらわないとな)



三原「……分かった。できる限りはやってみるさ」

草加「それはよかった。それじゃあ、また今度」

三原「ああ」



草加と三原は別れ、帰路についた。




草加たちが去った、戦いの跡。



ジェイの骸である灰が散らばっていた。



そこに来たのは一匹のチワワ。





その時であった。



散らばった灰が、オルフェノクの形を成し、蘇ったのは。

復活したオルフェノクは、人間へと姿を変え、チワワを愛でる。



ジェイ「Hey, Chaco...」





そこに近づくもう一つの影。



レオ「災難だったな、Mr. J」

ジェイ「……」

レオ「そう落ち込むことはない。不幸なのは突然現れた彼が、思いの外強かった点だ」

レオ「安心しろMr. J。君は蘇るほど強くなるオルフェノクだ。雪辱の時は近い」

ジェイ「...Leave it to me」





レオ(……草加、雅人)



レオ(……『こっちの方』は、もう少し楽しめそうだな)

翌日 三原の家



~♪



三原「……里奈から?」



同じ流星塾生の、阿部里奈からの電話であった。



同窓会以来である。



三原(……草加の言った通り、他のみんなも無事らしいな)



三原「もしもし、三原だけど」



里奈『三原君!?』



電話から聞こえたのは、ただごとではないような声。



三原「ど、どうしたんだ里奈。何かあったのか?」

里奈『父さんから私たち宛にベルトが届いたんだけど、それについて大変なことになってて』

三原「ベルトなら……俺の所にも来たけど」

里奈「三原くんにも?」

三原「ああ」

里奈「じゃあ、真理がベルトを持ってるのは知ってる?」

三原「いや、初耳だ」

里奈「真理はもう呼びきけてあるから、三原君も来てくれる?」

三原「……分かった。すぐ行く」



電話を切る。



三原(まさか真理がベルトを……。草加に教えたら心配するだろうな)

>>142
>里奈「真理はもう呼びきけてあるから、三原君も来てくれる?」

×呼びきけて
○呼びかけて

三原は草加に電話をかけ、知っている事情を説明した。



三原「……というわけで、流星塾のみんなが大変らしい。草加、一緒に来てくれないか?」

草加『……分かった。俺も行く』



草加の家



草加(……恐らく里奈たちのもとには、カイザではなくデルタのベルトが届いたらしい)

草加(『大変なこと』の内容も、大方察しがつく)

草加(早めにベルトを手に入れたいが、今回は様子見程度だろう)

キャンピングカーの傍



里奈「久しぶりね、2人とも」

三原(久しぶり?……ああ、記憶を操作されたとか言ってたな)

草加「元気そうで何よりだ。……ところで真理は?」

里奈「ああ、それが……」



里奈はキャンピングカーの方へ目をみやった。



高宮「デルタの力は俺のものだ。絶対に渡すかよ!」

新井「ふざけるな!お前如きにデルタは相応しくない!」



キャンピングカーの前では流星塾生の高宮と新井が、デルタギアを巡って激しく争っていた。



三原「お、おい!やめろよ!」



三原は慌てて止めに入るが



高宮「うるせえ!」



バキィッ!



三原「うわっ!」



逆に殴られてしまう。

>>148
高宮じゃなくて恭輔だったごめんなさい

新井「どういうことだ里奈!真理といい、俺たち以外に声をかけやがって!」

里奈「何を言ってるの!?仲間は多い方が……」

恭輔「余計なことを!戦力は俺の変身するデルタだけで十分だ!」

新井「お前、ふざけたことを言うな!デルタは俺だ!」





2人の、醜い争いが続く。





里奈たちは、更に距離をおいてから再び話し始めた。

里奈「……さっきからずっとこんな感じで、真理はもう一つのベルトの使用者の乾さんと一緒に席を外したわ」

草加「……無理もないな」

三原「どうしてこんなことに……」

里奈「2人とも、一度デルタのベルトを使ってから何だかおかしくなっちゃって……」

草加「力に、溺れたという訳だな」

三原「他のみんなは?」

里奈「私たち一行がオルフェノクに追われている間に、私とあの2人以外みんな……」

三原「そんな……」

草加「……」

里奈「真理と乾さんは、もう少ししたら戻ってくると言ってたけれど……」

草加「……俺も、席を外させてもらおう。用事があるんでな」

里奈「雅人にも、聞きたいことがあるんだけど……」

草加「なにかな?」

里奈「同窓会……雅人、来てなかったわよね?」

草加「……ああ、俺は同窓会には出ていない」

三原「……」

里奈「でもこの寄せ書きには、雅人の名前が……」

草加「誰かの、悪戯じゃないのか?」

里奈「……これでまた、先生の言葉の意味がわからなくなっちゃったわね」

三原「何のことだ?」

里奈「先生が言ってたの。同窓会のあの日、私たちが知らないところで何かが起きたらしいんだけど……」

三原「……」



草加は三原に耳打ちした。



草加「いいか、あの日の真実は絶対に口外するな。余計な混乱を招くからな」

三原「……わ、分かった」



草加「俺たちにも、さっぱりだ」

三原「……ああ」

里奈「そう……」

草加「じゃあ、俺はこれで」

里奈「……うん、分かった」



草加は、その場をあとにした。





ジェイ「……」



ジェイが、一行を眺めているのも知らずに。

ズズズ……



クロコダイルオルフェノク「ウオオオオオオオオオオオ!!!」



恭輔・新井「「!!!??」」



クロコダイルオルフェノク「ウォアアア!」



シュルルッ



グサッ



使徒再生の触手が、新井を突き刺した。



新井「あっ、あああ……」



バタン



恭輔「で、出たなオルフェノクめ!変身!」

『Standing by...』

カシャッ

『Complete!』

恭輔「やああああっ!」



デルタに変身した恭輔は、その勢いのまま敵に突っ込んで行く。



しかし



ブゥン



クロコダイルオルフェノク「!!」



スッ



初撃のパンチを避けられ、



クロコダイルオルフェノク「ウォオオオオオオアア!!」



ズバァアアアン!!



恭輔「ぐわあああっ!!」



鰐の顎を模した武器に強く斬りつけられた。

クロコダイルオルフェノク「ウォアアッ!」

ズバッ!

ズバアン!!



恭輔「くっ、舐めるな!」



恭輔は再びパンチを繰り出すが



クロコダイルオルフェノク「ウオオア!!」



バキィイッ!!



恭輔「があっ……!!」



逆に頭部に左のカウンターパンチをもらってしまう。

クロコダイルオルフェノク「ウオオオッ!!」



頭部への一撃でフラフラしている恭輔を見逃すジェイではなく



バチィイイイン!!!

ガシャン!



ベルトを狙った一撃で、見事それを弾き飛ばした。




変身解除された恭輔は



恭輔「ひっ、ひいいいい!!」



慌てて逃げ出した。

三原「待て!!」



恭輔を追わんとする敵の道を塞ぐ三原。



三原(『9、1、3』)

『Standing by...』

三原「変身!」

ガシャッ

『Complete!』



三原「うおおおっ!!」



カイザになった三原はジェイに組みかかるが、



ガシッ



クロコダイルオルフェノク「ウォアッ!」



ヒョイッ



三原「うわあああああっ!」



ズシャア!!



力負けして投げとばされる。



三原(やっぱり俺じゃ、駄目なのか……)

わからない、いきなり睡魔君が殴りかかってきて…。

再開します。

だがその時だった。



三原の視界に、バイクに乗る2人が映る。



三原(あれは真理と……)



同窓会で見た顔の少女と、初めて見る顔の青年。



三原(彼が、乾……!)





乾巧はバイクから降りると



巧(『5…5…5』)



ファイズフォンにコードを入力する。



『Standing by...』



巧「変身!!」



ガシャッ



『Complete!』





仮面ライダーファイズが、そこに現れた。



巧はミッションメモリーを差し込み、バイクからファイズエッジを引き抜いた。



そしてジェイの背後に近づき、



クロコダイルオルフェノク「!?」



気配に気づいて振り向いたジェイを、



巧「うらぁ!!」



ズバァン!!



クロコダイルオルフェノク「ウガァア!?」



斬りつけた。



しかし決定打にはならない。



ブゥン!



すぐにジェイは反撃しようと、その特殊な武器を振り回す。

巧「!?」



ガキィン!



咄嗟に巧は反応し、ファイズエッジで防いだ。



しかし



グググッ……



巧「くっ……」



鍔迫り合いでは、力に勝るジェイが有利である。

三原(まずい……俺も……戦わなきゃ……!)



三原はなんとか起き上がると、ベルトからブレイガンを手にし、コッキングレバーを引いた。



『Burst mode』



三原(これでも、くらえ!)



バシュン!

バシュン!

バシュン!



バチィン!

バチィン!

バチィン!



クロコダイルオルフェノク「ウゴォア!?」



放たれたフォトンブラッドの光弾は、全てジェイに命中した。



鍔迫り合いどころではなくなったジェイは、堪らず後退し、隙を晒す。



巧「うおらぁ!!」



ズバァン!



クロコダイルオルフェノク「ゴァアアア!!?」



ドサァッ!



巧の鋭い突きが、ジェイを吹き飛ばした。

『Ready』



三原もミッションメモリーをブレイガンに移し、帯剣する。



ジェイが起き上がると同時に、2人はダッシュで詰め寄り、



巧「おらぁっ!!」

三原「はあああっ!!」



左右両側から斬り払った。



クロコダイルオルフェノク「!!?」



声をあげることも叶わず、再び大きく吹き飛ばされるジェイ。

吹き飛ばされた先は深い茂み。



巧「……」

三原「……」





しばらく様子を見たが、敵が茂みから出てくる様子がないので、2人は変身を解除した。





キャンピングカー内



三原「ありがとう、助かったよ」

巧「よせよ、礼を言うのはこっちの方だ」



キャンピングカーの中には、巧、三原、真理、里奈の4人がおり、逃げ出した恭輔はまだ戻っていない。

真理「まさか三原君がベルトを持っていたなんて……」

三原「ああ、自分でも驚いてるよ……」

里奈「三原君があんな風に戦えると分かって……頼もしい仲間が増えたわね」

三原「いや、そんな……。それに、このベルトは草加の方が上手に使えるんだ」

真理「えっ!?草加君が?」



真理は昔自分が助けた友人を思い出し、そのギャップに驚いた。



三原「ああ、俺なんかより何倍も強いんだ。本当はこのベルトも、草加が持つべきだと思ってる」

里奈「……雅人に直接聞いたんだけど、寄せ書きの件は知らないって言ってたわ」

真理「……」

三原「会いたければ、大学に来いって言ってた。一度、会ってみた方がいい」

真理「うん、わかった」



巧「……話は変わるけどよ、このベルトどうするんだ」



巧が指差したのは、デルタギアのケース。



巧「争ってた片方は死んじまって、片方はどっかいっちまったんだろ」

里奈「……隠した方がいいかもしれないわ。このベルトは、人をおかしくする」

三原「草加も言ってた、あの2人は力に溺れた……って。恭輔だけになったとはいえ、これ以上デルタの力を覚えたら……」



巧「三原……だったな」

三原「ああ、三原修二だ」

巧「俺は乾……乾巧だ。デルタギアは……お前が持った方がいいと思ってる」

三原「お、俺が……?」

巧「なんとなくなんだが……お前なら大丈夫そうな気がしてな」

里奈「私も……乾さんがそう言うんだったら」

三原「……わかった。とりあえず家に持って帰るよ」

今回は投下終了。

三原の経験値がマッハ

久々に投下します。




巧、真理、三原はそれぞれ去り、またしばらくしてから恭輔が戻って来た。





恭輔「おい里奈、デルタギアはどうした」



語気を強める恭輔。



里奈「……ごめんなさい。オルフェノクに奪われてしまったの」



里奈(本当のことを言えば、三原君や乾さんも争いに巻き込まれてしまう……)



恭輔「何だと……。くそっ!」



里奈の回答に、恭輔は苛立ちを隠せない。



恭輔(俺の、デルタギアが……!)

数日後 三原のバイト先



~♪



この日のバイトを終えて間もない三原に、電話がかかる。



三原(……恭輔からか。無事だったんだな)



三原「もしもし、三原だけど」

恭輔『たっ、助けてくれ!』

三原「!?どうしたんだ恭輔?」

恭輔『お、オルフェノクが出たんだ!』

三原「なんだって!?わかった、すぐ行く」



電話を切ると、三原は恭輔が指定する場所へ向かった。

寝落ちしました。
再開します。

三原(流石にデルタのベルトを持って行くのはまずい……)

三原(カイザの方を持って行こう)



大学



草加「……また君か」



巧「あっ、痛っ」



後輩に掴みかかる巧の腕を、草加は逆に捻る。



草加(ここで真理に気づいてやってもいいが……以前と同じく乾巧を懲らしめるのも一興だな)



草加は、巧の手を離した。



巧「!……いってえな……!」



草加「君も、ケンカはよくないな。スポーツマンとして」

後輩「……すいません」

巧「……続きはスポーツで、ってことか」



睨み合う草加と巧。

川沿いのどこか



三原「恭輔!大丈夫か!?」



三原はカイザギアのケースを手に持ち、恭輔の前に現れた。



恭輔「……」

三原(……オルフェノクはどこだ?)



三原は辺りを見回すが、オルフェノクは見つからない。



恭輔「……くっくっく」

三原「恭輔……?」





恭輔「……そのベルトをよこせ!」



バチィン!



三原「うわぁっ!!」



突然恭輔は手から赤い電撃を放ち、三原を吹き飛ばした。

三原「き……恭輔、何を……」

恭輔「言った通りだ。そのベルトの力を、俺によこせと言っている」



三原は衝撃でケースを手放してしまい、恭輔はそれを拾う。



恭輔「本当はデルタのベルトが良かったが……オルフェノクに奪われた以上仕方がない」

恭輔「力が手に入るなら、この際これで我慢してやる」



三原「や、やめろ!そのベルトは……!」



草加から聞いたベルトの危険性を覚えている三原は、恭輔からベルトを取り返そうと接近する。



恭輔「……邪魔だ!」



バチチィ!!



ドシャァッ!



三原「がっ……がはっ」



ガクッ



再び吹き飛ばされた三原は、そのまま気絶してしまった。



恭輔「……ふっふっふ、はっはっはっはっは!!」

フェンシング部



ピー



巧「くそっ」



巧の負けを告げる電子音が響く。



巧「もう一回だ!」



ピー



草加(相変わらず単調な動きだ……フンッ)



ピー





真理「草加くんも変わったよね。昔はあんなに仲良かったのに」

後輩「だから知らねえよ」

真理「最っ低。私の記憶から草加雅人という名前を消してやるんだから」

後輩「……何言ってるんだよ。俺は草加一郎だぜ」

真理「……え?」

後輩「草加雅人といえば……あの」





後輩は、他でもない草加雅人を指してそう言った。

巧「うわあぁっ!!」



巧は苛立ちのあまり、草加に飛びかかるが



ガシッ



草加「ふんっ」



ヒョイッ



巧「うあっ!?」



ドサッ



あっさり受け流され、投げられた。





~♪



真理の携帯が鳴る。



パカッ



真理「はい」

里奈『オルフェノクが出たの!今すぐ来て!』



電話の向こうからは、焦った声が聞こえる。



真理「巧!オルフェノクが!」

巧「何!?」



真理と啓太郎は急いで場を後にしようとする。

草加「……もう勝負はついてる。行けよ」

巧「……っ!!」



巧も後を追った。





キャンピングカー前



里奈「……!?」



クロコダイルオルフェノク「……」



里奈とジェイの間にはまだ距離があるが、それも徐々に詰まっていく。





恭輔「里奈!下がってろ!」

里奈「恭輔!?」



突然現れた恭輔は、里奈を乱暴に押しのけると、ベルトを装着した。



恭輔(『9、1、3』)

『Standing by...』

恭輔「変身!」



ガシャッ

『Complete!』



恭輔「はあああっ!」



カイザへと姿を変えた恭輔は、ジェイへと向かっていく。

恭輔「おらぁ!」



バキッ



恭輔「うらぁっ!!」



ドゴッ



恭輔は次から次へと打撃を繰り出すが



クロコダイルオルフェノク「……」



ジェイは持ち前の屈強さでそれを受け止める。



クロコダイルオルフェノク「フン!」



バキィッ!



恭輔「ぐあっ!?」



ドサッ



ジェイに手で払われた恭輔は、吹き飛ばされ、倒れた。



恭輔「くっ、まだだ!」



立ち上がろうとする恭輔。



しかし



バチバチバチバチィッ!!



恭輔「!?」



カイザのボディに電流のようなものが走る。



恭輔「ぐああああっ!!」



苦しむ恭輔。

そこに近づくジェイ。



ジェイ「ウオアアッ!!」



バシィン!!



恭輔「うわああああっ!!!」



会心の一撃を受け、弾き飛ばされる恭輔。



ドサッ!

ガシャン!



ベルトは外れ、恭輔のすぐそばに落ちた。



恭輔「くっ……。まだ……!?」



恭輔は自らの体の異変に気がつく。





手が灰化していることに。





恭輔「うわあああああああああああ!!!!!!!!」

それは、手だけではなく全身に広がる。



恭輔「あ、あああ……」



サラサラサラ……



恭輔は、すぐに完全な灰となり、命を落とした。



里奈「恭輔!!」





キキィーッ!



遅れて巧たちが到着した。



巧(『5...5...5』)

『Standing by...』

巧「変身!!」



ガシャッ



『Complete!』

続きは今日のよる投下します。
すいませんgdgdで。
最近眠りが早くなっちゃって。

村上社長は首だけになる前に、自分がオーガに変身しようとは思わなかったのかな?

小説仮面ライダーWの「Zを継ぐ者」は面白かったぞ
龍騎は「金返せ」って思ったけど

昨日投下できなくて申し訳ない。
投下します。

手首をスナップさせた巧は、ジェイに駆け寄る。



ジェイもファイズを視認すると、同じく向かっていく。



クロコダイルオルフェノク「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」



ブォン



ジェイの一撃は躱されて空を切る。



巧「はっ!」



バコン!



巧がカウンター気味に放った右フックはジェイのボディに命中。



クロコダイルオルフェノク「ウウッ……オオオアアアア!!」



ガシッ



巧「!?」



怯んだジェイだったが、直ぐに立ち直り、逆に巧の腕を掴む。



ブォン……



そして前回使用した武器を具現化すると



クロコダイルオルフェノク「ウオアアアアッ!!!」



巧を目掛けて振り下ろした。



ズバアアン!!



巧「ぐあっ!!」



吹き飛ばされる巧。

苦戦する巧。



エキセタムオルフェノク「はああっ!!」



そしてジェイに加勢せんと、もう一体のオルフェノクが現れる。



巧「くっ……」



真理「巧!!」



戦況は、明らかに不利である。



里奈「三原君も電話に出ないし、どうすれば……」

しかし巧は奮戦する。



巧「はっ!おらあっ!」



エキセタムオルフェノク「ぐっ……」

クロコダイルオルフェノク「ウゥ……」



オルフェノク側は有利ではあったものの、決定打を加えるには至らない。





そこに一人の男が現れた。





位置は真理とカイザギアの丁度中間にあたる場所。





草加「久しぶりだな、みんな」



里奈「雅人……」

真理「……草加君」





草加はベルトを手にする。

草加「真理……」

真理「……?」



草加「俺は今度こそ……」





草加「真理を守ってみせる!」



(『9…1…3』!!)

『Standing by...』



草加「……変身!!!!」



ガシャッッ!





『Complete!』




草加の全身にフォトンストリームが走り、走行がそれを補完する。



里奈「雅人、そのベルトは……」



里奈は恭輔のことを思い出し、草加に声をかけるが、



草加「……」



草加は答えない。



ジャキッ

ジャキッ



カイザブレイガンを手にとり、レバーを引き、再び戻した。



『Burst Mode』



銃口を的に向け、引き金を引く。



バシュン!

バシュン!

バシュン!



エキセタムオルフェノク「!!?」



放たれた全ての光弾はオルフェノクの一体に命中し、青い炎を上げ始めた。



エキセタムオルフェノク「あ、ああああ……」



サラサラ……





草加(まずは一体……)

クロコダイルオルフェノク「!?」



巧「!?」



巧とジェイも驚き、思わず攻撃の手を止めてしまう。



草加「……せあっ!!」



草加はお構いなしに距離を詰める。



クロコダイルオルフェノク「……ウオアアアッ!!」



我を取り戻したジェイも、戦闘体制に入る。



草加はミッションメモリーをブレイガンに付ける。



『Ready』



銃口から光の刃が伸びる。

>>252
刃が出るのは銃口じゃありませんでしたすみません。

脳内補完してくれると助かります。

草加「はあっ!!」

クロコダイルオルフェノク「ウオアアアッ!!」



ガキィン!!



振り下ろされるジェイの剣と、振り上げられるカイザブレイガンがぶつかり、鍔迫り合いが起きる。



クロコダイルオルフェノク「ウオオ……」

草加「……」



パワーなら当然ジェイが有利である。



草加「せやあっ!!」



ドゴォッ!



クロコダイルオルフェノク「!?」



ガラ空きのジェイの鳩尾に、カイザの鋭い蹴りが炸裂した。



クロコダイルオルフェノク「ゴハッ……」

ダメージによる怯みは、大きな隙を生む。



草加「はあっ!せやあっ!」



ズバアン!

バシイン!

ズバアン!!



それを見逃す草加ではなく、怒涛の斬撃を加える。



クロコダイルオルフェノク「グアアアッ!!!」



草加「……終わりだ!」



『Exceed Charge』



草加はブレイガンのレバーを引き、マーカーを発射する。



クロコダイルオルフェノク「!!!」



格子状の光が、ジェイを捕捉する。






前方に現れた光の錐とともに、草加は突進し、剣を振り抜く。





Χの光とともに、ジェイの体は崩れ落ちた。

今回はここまで。

投下を繰り返し、SSはどこへ行くのだろう

投下します。




里奈「……本当になんともないの?」

草加「ああ」



戦いを終えた草加たち。



真理「……ねえ、草加君」

草加「何かな?」

真理「本当に、これのこと知らないの?」



真理が手に持っているのは件の寄せ書きである。



草加「……やっぱり分からないな。誰かの悪戯だろう」

巧(……)



三原「おーい、みんな」



そこに三原もやって来た。

里奈「三原君!?」

巧「お前、どこに行ってたんだよ」

三原「恭輔に呼び出されたと思ったら、気絶させられて……。目が覚めたらいなかったもんだから、捜しに来たんだ」



草加「……三原、少しこっちに来い」

三原「あ、ああ」





草加「恭輔は……オルフェノクにやられた」

三原「!?」

草加「君から奪ったベルトを使って挑み、負けてな」

三原「そ、そんな……」



三原は驚きを隠せない。



草加「君にも責任がある……。戦う力を持っている以上、人間としてオルフェノクを倒す責任がな」





草加「……わかるか、俺たちが迷えば、オルフェノクに人の命が奪われるんだ……!」



草加は語気を強めた。

ちょっと野暮用が入ったので中断。

随分長い中断になってしまいました。
再開します。

しばらくして草加と三原は巧たちのもとへ戻った。



草加「すまない。少し話があって」

真理「……あっそうだ」

啓太郎「どうしたの真理ちゃん?」

真理「草加君、久しぶりに会ったんだから、私の家で少し話そうよ」

巧「おい、勝手にお前の家にすんなよ。あれは啓太郎の家だぞ」

真理「いいよね、啓太郎」

啓太郎「うん。これから草加さんも一緒に戦っていくかもしれないからね」

草加「ああ。喜んで」

巧「……」

真理「よかったら三原君も……」



草加「……」



草加は鋭い目つきで三原を睨む。



三原「……嬉しいけど、この後バイトがあるから行けないな」

真理「じゃあまたの機会に」



三原(草加ってあんな怖かったっけ)

草加「……ふっふっふ」

啓太郎の家



しばらく全員と話をしていた草加だったが、啓太郎の気遣いで真理と2人になった。



草加「さっき俺が思わず変身したのは、君の為だったんだ、真理」

真理「えっ……?」

草加「俺はいつも君に助けられてきた。だから今度は俺が君を守る」



真理「……うん」



真理は少し、嬉しそうな笑みを浮かべた。





啓太郎「いい話だな~」

巧「あー、おケツが痒い痒い」

啓太郎「」




後日



三原の家



三原(カイザのベルトは草加が持っていった。今俺が持っているのは)



三原(デルタの……ベルト)



三原(また、オルフェノクが襲ってくるかもしれない)

三原(でも恭輔は、このベルトに振り回されて……)



三原(俺に、これが扱えるのか……?)

~♪



三原(……電話?里奈からか)



三原「はい。……何だって!?……いや、なんでもない。すぐ行くよ」





草加の家



~♪



草加(里奈からの電話……。おそらく流星塾絡みだろう)



草加「はい。……何!?」





スルッ



カシャーン!



草加は、里奈から発せられた言葉に驚き、
電話を落としてしまった。



里奈『もしもし?草加くん?』





草加「……青沼が、生きているだと?」

某所



里奈「来たのね三原君」

三原「里奈」

里奈「草加君と青沼君はまだ来てないわ。それに真理も」





三原が辺りを見回すと、ある人影が視認できた。





三原「青沼……!」



青沼「久しぶり。2人とも」



里奈「青沼君!」



流星塾の仲間との再開に、嬉しげな里奈とは対照的に、三原の表情は厳しいものであった。



三原(里奈たちはやはり覚えてないのか……!)



青沼「今回は君たちに相談があるんだ。同じ流星塾の仲間として」

里奈「何かしら?できる限り協力させてもらうけど……」







スロースオルフェノク「ベルトを残して死んでくれ」

里奈「う、嘘……」

三原「里奈、逃げろ!」



三原はケースからベルトを取り出すと、それを腰に巻いた。



三原「……」



デルタフォンを手にする三原だが、その表情は躊躇いを含んでいる。



だが、里奈に迫る青沼を見て、それを振り切る。



三原「……変身!」



『Stanging by...』



カシャッ



『Complete!』



白のフォトンストリームが全身に走った。

三原「青沼!!」



デルタとなった三原は、青沼に詰め寄る。



スロースオルフェノク「うらぁっ!」



ブオン!



青沼は鉤爪を振るったが、



ガシィ!



根本の部分を三原に受け止められた。



三原「はあっ!!」



ドゴッ!



スロースオルフェノク「がはっ!?」



空いたボディにデルタの蹴りが入る。



三原「はあっ!せやあっ!」



バキィッ!



ドゴン!



ファイズやカイザを上回るパワーが、殴打となって青沼に降りかかる。



スロースオルフェノク「ぐっ……」



鉤爪でガードを試みるも、それでも防ぎきれない衝撃が、ダメージになっていた。

三原「うおりゃあっ!」



バキィッ!



スロースオルフェノク「ぐあっ!!」



ドシャアッ



ついには、ガードごと青沼を吹き飛ばした。





スロースオルフェノク「ぐっ……失敗作の分際で……」



呟きながら、青沼は起き上がる。





三原「……」



スチャッ



三原もまた銃を抜き



カシャッ

『Ready』



ミッションメモリーを入れた。

三原「『Check』!」



『Exceed Charge』





スロースオルフェノク「……くっくっく」



三原が引き鉄を引こうとしたその時である。



ズズズ……





青沼「……」



青沼が人間の姿に戻ったのは。



三原「?!」



指が、止まる。

三原(打たなきゃ……。あいつは、俺たちを殺したオルフェノクだ……!)



自分に言い聞かせる三原。しかし、目に映るのはかつての仲間の姿である。







青沼「……やっぱりな」



青沼は、ニヤリと笑った。



青沼「どうした?折角手に入れた力だぞ?できないのか?」

青沼「……思った通りだ。失敗作のお前には撃てない」

三原「黙れ!」



真実を晒しかねない青沼の言霊を掻き消すように、三原は叫んだ。

里奈「三原君……?」



下がって見ている里奈にも、三原の動揺が伝わった。





青沼「俺はお前とは違う。俺はこの力を」



スロースオルフェノク「楽しんでいるからな!!」



三原「!?」



青沼は再び変化すると、三原に急接近する。



ブゥン!



ズバーン!



三原「ぐあっ!」



先程避けた一撃を、今度は躱せなかった。



スロースオルフェノク「やっぱりお前は……」

スロースオルフェノク「甘ちゃんだぜ!」



バジィン!



三原「うわあっ!」

三原の動揺は、有利だった形勢を変えてしまった。



三原「くっ……うおおおっ!」



反撃しようと、拳を振りかぶるデルタだが



三原(!?)



かつての仲間の残像が目の前で揺れ、攻撃を止めてしまう。



スロースオルフェノク「はあっ!」



ズバーン!



三原「うわっ!?」



ドサッ!



隙をついた一撃に吹き飛ばされる三原。

スロースオルフェノク「お前には、デルタの力は勿体無いな……」



倒れたデルタに迫らんとする青沼。



スロースオルフェノク「……ん?」



目線を遠くに移すと、バイクに乗ってやってくる草加が目に入った。



草加「……」



スロースオルフェノク「……不味いな」



ザッザッザッ



流石に2対1は不利だと感じた青沼は、その場を去った。

キキーィッ



草加「三原!」



草加はバイクを停め、三原に駆け寄る。



三原は変身を解除し、草加の方を向いた。



三原「草加……俺は……」

草加「……何故青沼を倒さなかった」

三原「……」



黙って俯く三原。



三原「……やっぱり俺は、戦いに向いていないのかもしれない」

草加「何を言っている三原!しっかりしろ!」

三原「……これ、俺には荷が重いみたいだ」



三原はデルタのベルトを突き出してそう言った。



草加「ちっ……」



草加はベルトを受け取らず、そのままバイクへ向かう。





草加「……俺は、君を買い被り過ぎていたみたいだな」



そう吐き捨て、バイクを走らせた。




>>325はミスです




一方、真理一行も呼ばれた場所へ向かっていたのだが、



啓太郎「た、たっくん」



巧「またお前か……」



クロコダイルオルフェノク「……」





ジェイと遭遇していた。

『Standing by...』



巧「変身!」



『Complete!』



巧「うらぁっ!」



巧の変身するファイズと、クロコダイルオルフェノクの戦闘が始まった。

戦況は一方的であった。



かつてのジェイに苦戦していた巧と、更にパワーアップしたジェイ。



クロコダイルオルフェノク「ウォアッ!」



ジェイが大剣を振り下ろす。



ズバーン!



巧「ぐあっ!!」



真理「巧!!」

啓太郎「たっくん!」

真理「啓太郎、草加君に……」

啓太郎「わ、わかったよ」



草加を呼ぼうとする2人。



巧「くそっ、こうなりゃ……」



巧が手にとったのはファイズショット。



『Ready』

『Exceed Charge』



クロコダイルオルフェノク「ウオオオオオオオオオオ!!!!」



ジェイもまた、大剣を構えて力を溜める。

巧「やああああっ!!!」



クロコダイルオルフェノク「ガアアアアアアッ!!!」





両者の必殺技が交差する。





ズガアアアアアン!!!

巧「うわああああっ!!」



ドボーン!



真理「巧!」

啓太郎「たっくーーん!!」



競り合いに負けた巧は、橋の下にある川に転落してしまった。





クロコダイルオルフェノク「グッ……」



ジェイもまたフォトンブラッドによるダメージを受けており、撤退の構えを見せている。






啓太郎「く、草加さん?たっくんが!」

草加(まったく、どいつもこいつも。乾が川に落ちるのは予定通りだがな)



啓太郎からの電話を受け、草加はバイクを現場に走らせた。





数日前 スマートブレインの研究所



研究所らしい、無機質なデザインのベッドが並ぶ一室。

そこに1人の青年が横たわっていた。

詰め入りに似た白い服を着ている。



青年「……ここは?」



目を覚ました青年は辺りを見回す。





レオ「お目覚めかい。同胞」

青年「同胞……?まさかお前も……」

レオ「ああ、オルフェノクだ」

青年「僕はどうしてここに……」



青年は自らの記憶を振り返る。



青年「……駄目だ。どうしても思い出せない」



青年は記憶が乱れているようだ。



レオ「落ち着くんだ。まずは自分の情報から思い出せばいい」



青年「そうだ、僕は……オルフェノクの支配を目指していた」

レオ「やはり、我が同胞だ」

青年「僕の力は、オルフェノクに命をもたらす」

青年「だが、奴は僕を、仲間たちを……!」



青年「今度こそ、雪辱の時だ……」



青年「奴を……倒す」





レオ「奴……か」

青年「まだ、奴について詳しく思い出せないが、まあいい」





レオ「君もまた、僕と同じ……イレギュラーだ」

『Open your eyes for the next χ!』

投下します。

啓太郎「たっくーーん!たっくーーーん!」

草加「……」



啓太郎と合流した草加は、共に巧を探していた。



草加「ちっ……」



草加は小さく舌打ちをした。理由は簡単である。



草加(どうせ見つかるのは……!)



啓太郎「あっ!草加さん、あれ!」



啓太郎が川に流される人影を発見した。

急いで駆け寄る啓太郎と、嫌々歩いてついて行く草加。



啓太郎「たっく……木場さん!?」



草加「……!」



草加の脳裏に、あの記憶が蘇った。



草加「……うぅっ!」



苦しげに頭を抑える草加。



草加(何故だ……。分かっていた筈なのに……!)



啓太郎「木場さん!しっかり!」



木場を引き上げようとする啓太郎。



草加(やめろ、そいつは――)



恐怖と憎悪が入り混じった感情が、草加の中に渦巻いている。



啓太郎「草加……さん?」



手助けを求めようと草加を見た啓太郎も、その異変に気づく。

啓太郎「草加さん、どうかしました?」

草加「……いや別に。少し体調が優れないだけだ」



適当に見繕う草加。



草加(そうだ……普通に振る舞わなければ)

草加「その人は……君の知り合いかな?」

啓太郎「はい。急いで助けなくちゃ……」

草加「……俺も手伝おう」



自分の中にある感情を悟られないよう、本心を飲み込んで木場を引き上げた。



啓太郎「ありがとう、草加さん」

草加「……ああ」

渦巻く感情の中、草加はある結論に至った。



草加(怖い……?憎い……?)



草加「なら……」



草加(所詮こいつはオルフェノク……。なら初めから俺の選択肢は1つ……)







草加(殺られる前に……殺る)

木場の首に手を伸ばす。



草加(こいつはオルフェノク……人間じゃない。俺たちの敵)



自らに言い聞かせ、覚悟を決めようとする。





草加(……俺は、生きる!)






「Stop it. 無駄なことだ」





草加「!?」





手をかけるまさにその時であった。



男の声が、草加を止めた。





振り向く草加。



草加(誰だ……?こんな奴はいなかった筈だが)



レオ「……そうか、君は僕のことを知らないのか」



立っていたのは、レオ。



草加「……何を言っている?」

レオ「……1つ、君に教えたいことがある」





レオ「『君の死の運命は、絶対だ』と」

その言葉を聞いて、草加は表情をより厳しいものにした。



草加「……キサマ、何者だ」

レオ「いずれ分かるさ。取り敢えず、ここはお引き取り願いたい」

草加「何……?」

レオ「ここでは君と争うつもりは無いからだ。キバユウジの身柄を渡してもらいたい」

草加(こいつ、木場のことまで……)



レオ「どうした?渡さないのか?」

草加「……貴様、オルフェノクか?」

レオ「ああ、その通りだ。……隠すつもりも無かったが」



草加「……なら従えないな。俺はオルフェノクを信用していない」

レオ「そうか、なら仕方が無い……ハッ!!」



バシュン!



レオは手から青白い光弾を放った。



草加「ぐあっ!?」



急な攻撃。草加は避けられずに、直撃を受けてしまった。



ドサッ!



草加は吹き飛ばされ、気絶してしまった。




海堂「木場ー!木場ーー!」



河岸に響く青年の声。



海堂は仲間を探している。





海堂「ったく、どこだ……ん?」



茂みの奥に、影を見つけた。



海堂「まさか……」

見知った顔の青年が、そこに倒れている。



海堂「……おいっ、木場!」



駆け寄る海堂。体を揺するが反応は無い。意識を失っている。



海堂(まずはさっさと連れ帰らねえと……)



海堂は木場に肩を貸し、そのまま場を離れた。





遠くから見つめる影。



レオ「君が死ぬのはまだ早い……。新たな役割もあるのだから」




草加「……!」



気絶していた草加が目を覚ます。



草加「……ッ!」



身体を起こす。



草加(木場も、あの男もいない……)

草加(チッ……まんまとやられた訳か)





~♪



カイザフォンの着信音が鳴る。



草加(啓太郎からか)



草加「はい」

啓太郎『草加さん、たっくんが見つかったよ!』

草加「へぇ……それはよかった」

啓太郎『で、木場さんは……』

草加「……彼なら途中で目を覚まして、自分の足で帰っていったよ」

啓太郎『本当!?よかった……』

草加「じゃあ、また後で」

啓太郎『はーい』



草加(つまり明日ごろには乾がオルフェノクへの情を捨てきれない姿を見るわけだが)

草加(……奴がオルフェノクとわかった今では、何も驚くことは無いな)

草加(だが妙だ。あの後乾は結局ファイズとしての戦いをやめなかった)



草加(……オルフェノクの思考を深く考えたところで、得るものがあるとは考えにくいがな)

翌朝



朝食のテーブルを囲む啓太郎たち。いつもの三人に加え、この日は草加の姿もあった。



木場を心配する旨の会話が続いたのち、黙っていた巧が口を開いた。





巧「啓太郎、長田とかいう女の事……諦めろ」

草加(ふっ……やっぱりな)



啓太郎「!?」



ガシャン



ショックで食器を落とす啓太郎。

啓太郎「……ひどいよたっくん!!そんなこと言うなんて!」

巧「お前にはメル友の結花ちゃんがいるだろ!」

啓太郎「なんでそんなこと言われなきゃなんないのさ!」

真理「そうよ巧、二股してたら最低だけど、どっちを選ぶかは啓太郎の自由でしょ」

草加「……」



前回とは異なり、草加は口論に参加しなかった。



草加(まあ、今回ばかりは乾の言い分が正しかったかな)



草加(人間とオルフェノクは、共存できない。戦う運命にあるんだからなぁ)




数時間後のことである。



スネークオルフェノク「はあっ……はっ……」



焦りを見せながら走るオルフェノクの姿。



それを追う者もまた、オルフェノクであった。



センチピードオルフェノク「……」



ラッキークローバーのメンバー・琢磨逸郎である。

「海堂さん!!」



スネークオルフェノク「!?」



自分の名を呼ぶ声に、思わず反応するスネークオルフェノク――海堂直也。



長田「はあっ!」



駆けつけた少女の姿もまた、オルフェノクのものに変容する。



クレインオルフェノク「はあっ!」



ツル型としての能力を活かして、飛びかかる長田結花――クレインオルフェノク。



ガシイッ



センチピードオルフェノクと組み合う。



センチピードオルフェノク「……ふんっ!!」



しかし、そのまま投げられてしまう。



クレインオルフェノク「うあっ!」



ガアン!



スネークオルフェノク「……!」



ダッダッダッ



海堂は、逃げ出してしまった。

センチピードオルフェノク「……」



投げ飛ばされた長田をよそに、琢磨は海堂を追った。



クレインオルフェノク(海堂さんを……助けなきゃ……)



立ち上がるクレインオルフェノク。



ブロロロ……



キキィーッ!



2台のバイクが、クレインオルフェノクを前にして止まった。



巧(あいつは……昨日の……!)



動揺する巧。



草加(やはりな……顔に出ている)



草加は不敵な笑みを浮かべながら、



『Standing by...』

草加「変身!」

『Complete!』



カイザに変身した。



草加「どうしたんだ、変身しないのか?」

巧「……」

草加「……まあいいさ、この前は休ませてもらったしな」



草加「オルフェノクは俺たち人間の敵だ……」



草加「俺は人間を守る……オルフェノクを倒すことによってな!」

巧「……」



草加「……はっ!」



ザッ

ザッ

ザッ



草加は一気に敵との距離をつめる。



草加「はっ!せやぁっ!!」



バキッ!

ドカッ!



クレインオルフェノク「ぐっ!ああっ!」



草加の容赦無い打撃が、長田を襲う。

ドゴッ!

バキイッ!



戦いは一方的だ。



草加が格闘で圧倒している。



タッタッタッ



そこへ真理、啓太郎が駆けつけた。

2人とも戦うカイザと、傍観している巧の対照的な姿を目にする。



啓太郎「たっくん……?」

真理「巧!」

巧「!」



仲間の呼びかけ。

ようやく巧は行動を起こす。



ガチャガチャ



『Standing by...』

巧「変身!」

『Complete!』




―――



真理「巧、どうしてあんなことしたの?」

啓太郎「どうしちゃったのさたっくん!」

巧「……」

草加(……フッ)



史実通り、草加は巧にオルフェノク――長田結花を逃がされてしまう。



真理「……黙っててもわからないでしょ」

巧「……」



オルフェノクの正体を知っての行為である。当然言えるわけもない。
しかしその黙秘が巧の立場を悪化させる。

草加「……いや、悪いのは俺だ。きっと俺が何か、気に障ることでもしたんだろう」



白々しく、擁護する体をとる。



真理「でも……」



巧「……っ!」



巧はバイクで走り去って行った。



草加(前回はしれっと立ち直っていたが、今回はどうかな……?)




琢磨から逃げ果せた海堂は、林の中で休んでいた。



海堂(ちゅーか、強過ぎだろ…… あいつ)



ガサッ



ザッ

ドサッ



ザッ



海堂「……?」



市街地に近い林には珍しい、騒がしい音が、海堂の耳に入る。

フライングフィッシュオルフェノク「……」



音の主は移動するオルフェノクと、



三原「くっ……」



逃げる三原だった。

その片手にはデルタギアのケースがぶら下がっている。



三原(変身するか……いや、今の俺は……)



かつての友人を前にして戦えなかった自分の姿が、三原の脳裏に浮かぶ。



フライングフィッシュオルフェノク「ハアッ!」



バシュゥン!



放たれたのは青白い光の矢。



三原「うわっ!!」



危機一髪、なんとか当たらずに済んだ。

生身である今の三原にとって、当たれば命はなかった。

三原(ここで俺がやられたら、ベルトを敵に奪われてしまう……)

三原(やはり、俺が持つべきじゃ……)



三原はデルタギアを目をやった。



近づいてくるフライングフィッシュオルフェノク。



フライングフィッシュオルフェノク「フッフッフッ……」



三原に弩のような武器を向けた、その時だった。



スネークオルフェノク「おらぁっ!」

フライングフィッシュオルフェノク「!?」



海堂が、フライングフィッシュオルフェノクに飛びかかった。

バキイッ!



スネークオルフェノクの蹴りが直撃し、相手を吹き飛ばした。



フライングフィッシュオルフェノク「ウッ!」



三原「!?」



三原は状況を把握しかねていたが



スネークオルフェノク(おう、逃げろ逃げろ)



手で追い払う仕草をする海堂。



三原(オルフェノク同士の争い?……どういうことかわからないが、今は……)



海堂に目を配ったあと、三原は走り去った。

フライングフィッシュオルフェノク「……何の真似だ……?」



同胞に横槍を入れられたフライングフィッシュオルフェノクは、海堂を問い質す。



スネークオルフェノク「……俺はな、人間として、恋に生きるって決めたわけよ」

フライングフィッシュオルフェノク「……?」

スネークオルフェノク「人を襲うのは趣味じゃないっちゅーか……気分が良くないっちゅーか……」

フライングフィッシュオルフェノク「……何が言いたい?」




海堂は、頭を掻きながら先程の事を想起していた。



強かった敵。逃げた自分。また襲ってくるかもしれない。



自分は夢を諦めて、新たな道を歩もうとしているが、それを邪魔するものがいる。



そんなこと、あってたまるか。



スネークオルフェノク「……予行演習」



自分が辛酸を舐めさせられた、センチピードオルフェノクの。



フライングフィッシュオルフェノク「何……?」



スネークオルフェノク「……俺様が本気を出せば、お前らみたいな奴は一発なんだよ!!俺様はすげー……」



ダッ!



海堂は、突然敵の方向に駆け出した。



フライングフィッシュオルフェノク「!?」



予想外のことに、固まるフライングフィッシュオルフェノク。



海堂はそのまま拳を握り、



スネークオルフェノク「強えーんだよ!!!」



振りかぶった。



バキィィッ!!!



フライングフィッシュオルフェノク「グアアッ!!?」



敵は茂みの中へ吹き飛んでいった。





力任せに振ったお陰で痛む拳を見ながら呟く。

海堂「……痛たた」

走って、幾分離れた場所に辿り着いた三原。



三原「はあっ、はあっ、助かった……」

三原(それにしてもさっきのオルフェノク……どういうことなんだ?)

三原(俺は……助けられたのか?)



状況が飲み込めない。



三原(……まあ、いずれにしろ)



三原の右手にはデルタギアのケース。



三原「……俺はこのベルトに相応しくない」



そう言って三原は、啓太郎の洗濯店に歩を進めた。

相応しいと思われる草加以外の人物――乾巧に、ベルトを渡すために。

草加「なんだ。戻ってきたのか」



洗濯店に戻ってきた巧、既にそこにいた草加。



草加「飲むか?……フーフーしてやってもいいけど?」

巧「……ふざけんな」

草加「ふざけてるのは君の方だろ?……わかってるさ。君はカイザを襲ったんじゃない」

草加「あのオルフェノクを庇ったんだ」

巧「……」

草加「甘いなぁ、君は。オルフェノクに人の心を持った奴がいるとか言ってたけど、まさかこんなアマちゃんだったとは」

草加「まあ、都合のいい展開になってきたけどね」

草加「真理も啓太郎くんも、俺の方に傾いている」

巧「……何考えてんだ、お前」

草加「ずっとここにいたいんだよ。……君の代わりにね。君は邪魔なんだ」

草加「わかるか?」



草加「俺のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ!」

草加「何ならさっきの続きをやってもいい。負けた方がここから出て行くんだ」



巧に掴みかかる草加。



巧「怪我してんじゃなかったのかよ」

草加「あの程度で怪我なんてするかよ……!」




ピンポーン♪



呼び鈴の音が鳴る。



草加(……真理達か?)

草加(……予定より少し早いな)



巧「……おい、チャイム鳴ってるぞ」

草加「……」



草加は掴みかかったままである。



ピンポーン♪



再び鳴り響く。



草加(……妙だな、啓太郎なら鍵を使って鳴らすまでもなく入ってくる筈だ)

巧「おい聞いてんのか」

草加「……チッ」



バッ



巧を漸く放すと、草加は渋々玄関まで出向いた。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月24日 (土) 19:00:18   ID: SaWssONX

自分は全ライダーの中で一番草加カイザが好きです。
このssもとても面白かったので是非続きを書いてください。よろしくお願いします。

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