桃子「お兄ちゃんって友達いるの?」 P「なぬーっ!?」 (79)

P「お疲れ桃子!春香達の前座とはいえ、よく頑張った!」ナデナデ

桃子「頭撫でないで。…はぁ。お兄ちゃん、桃子ってこのくらいのステージでもまだ足りないのかな?」

P「足りないって、何が?」

桃子「今の桃子なら、このくらいの箱ならメインを張って満員に出来るのに!……何が桃子に足りないの?」

P「んー……。…それは、今ここで話すようなことではないなぁ」

桃子「なに?出し惜しみしてないで、正直に言ってよ」

P「まあまあ。とりあえず、今はしっかり休んで春香達のステージを見てなよ。その話はライブが終わってからにしような」

桃子「…はーい」

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P「やー、良かった良かった!5千人クラスの会場とはいえ、入りは満員、客にも大ウケ!今回もしてやったりって感じだな!」

アイドル一同「はいっ!ありがとうございます!」

P「うんうん。…さて、明日の予定についてだが……皆分かってるな?」

アイドル一同「はいっ!」

P「うん。今日の録画は明日事務所で渡すから、各自トレーナーさんたちと反省会しとけよー。…ミーティングは以上!お疲れ様でした!」

アイドル一同「お疲れ様でしたーっ!!」





P(あー…、終わった終わった……)

P「~♪~~♪……おっ。どした、桃子?分からないことでもあったか?」

桃子「もう、お兄ちゃんてば…。…さっきの話の続き!逃がさないからね!」

P「え~!やだ~!俺帰りた~い!」

桃子「ふざけないで!こっちは真剣なんだから!」

P「なんでやねん!仕事終わった後くらいゆっくりさせろっちゅうのに何があかんのや!?」

桃子「そういう態度がいけないの!桃子だってすぐに帰りたいんだから、少しくらい付き合ってよ…」

P「…しゃーないな。じゃあ桃子、ちょっとついて来な」

桃子「…うん」

桃子「(言われるままについて来ちゃったけど…)…お兄ちゃん、なんでわざわざ移動したの?」

P「ん?そりゃー、他のアイドルに聞かれたらちょっと困ること話すからだよ。分かってるだろうけど、今から話すことは口外しないようにな」

桃子「……一応訊くけど、どういう内容なの?もしかして、桃子の活動方針とかに関わる話?」

P「ちゃうちゃう。なんと言うか、これから話すことを聞かせた場合、要らん事考える奴が出るかもってこと。そこまで重い話ではないよ」

桃子「ん。じゃあ、勿体ぶってないで早く聞かせて。今の桃子に、足りないもの…」

P「分かった。けどその前に、今日のメインが桃子じゃない訳を話そうか。どっちかというと、こっちの方が桃子の知りたいことなんだろ?」

桃子「…好きにすれば?」

P「うん、好きにする。…まず、なんで桃子が今日のライブでメインじゃなかったかって話だけど…」

桃子「…………」

P「超簡単に言うとね。春香達がいたからってこと」

桃子「……はぁ?」

P「前提条件から話すけどな?実際、今の桃子なら今日くらいの大きさのステージは埋めつくせると思うんだ。IMCとかで実績もあるわけだし」

桃子「…………続けて」

P「あの時はエレナ・やよいと桃子・ロコのユニット対決って形で売り出してて……要するに桃子一人の実力では無かったけど、箱自体は今日のそれより何倍も大きかった」

P「だからまあ、桃子が本当に一人だけでやるのならともかく、複数人で出て桃子がメインって形なら客は入ったと思う。少なくとも、俺はね」

P「ただ運が悪い…ってわけじゃないけど、ここ最近は春香達の予定が空いてたんだ。つまり…」

桃子「ライブの出演者枠が『詰まった』ってことでしょ?桃子の入る可能性のあった、メインの枠が!!」

P「さっすがー。話が分かるぅー!」

桃子「茶化さないでっ!……それで、何でそんなことしたの?ヒイキって言うんじゃないよね?」

P「贔屓とは別。この所の春香達は、ライブでの目立った仕事が無かったからさ。レッスンも大事だけど、実戦を怠ると勘が鈍るしな」

桃子「『遊ばせない』ために今日のメインにあてがったってこと?」

P「そそ。桃子が弾かれたのは、言ってしまえばそれだけのことさ。その中で、自分の仕事を果たしたのは偉かったけどな!」

桃子「…あのくらい、当然だよ。別に、褒められるほどのことじゃないもん」

P「そう言うなって。上を向いた姿勢も大事だけど、地に足着けて今を見ていくのも結構楽しいもんだぞ」

桃子「……それじゃお兄ちゃん、もう一個質問」

P「?」

桃子「今日春香さんと組んでたの…可憐さんでしょ?あの人と桃子の差は何?何が足りないの?」

P「えー?差はそんなないんじゃないかな?むしろ、全体的な仕事の量だと桃子の方が勝ってない?」

桃子「じゃあどうして桃子がメインじゃないの!それも桃子の運!?それとも、可憐さんの方が春香さんと仲が良いから!?」

P「今言ったじゃん。『春香達を遊ばせないように』って。可憐も一緒だよ」

桃子「…でも、分かんないよ。桃子も可憐さんも同期じゃん。勘が鈍らないようにって言うなら桃子と替わってもいい筈なのに、なんで…?」

P「それはそうだな…。……可憐と春香が、仲が良いからかな?」

桃子「……っ!」

桃子「…呆れた。そんなに仲良しごっこがウケるなら、初めから……!」

P「人の話を聞きなさい。いいか?語弊のある言い方になるが、春香達は練習の一環……いや、『リハビリ』と言ってもいいか。その為に今日のライブに臨んだ。ここまでは話したな?」

桃子「…………」

P「そこで何かトラブルでもあったらどうする。桃子もだが、シアター組の可憐はこれから売り出すって所なんだぞ。今更だけど、万が一…」

桃子「…ステージでアクシデントがあったら、いつもより大変なことになる?」

P「その通り。何より、『この程度の箱』で失敗するとなると本人達の自信が崩れる。最悪、可憐なんかはスランプに陥るかもしれない」

桃子「だから、春香さんと可憐さんがまた組んだってこと?」

P「そういうこと」

P「要は『おさまりが良い』ってことだ。そういう意味で話は戻るが、桃子には器や経験が足りないってことになるかなー」

桃子「…よく分かんないんだけど。単に皆と仲良くするのじゃダメなの?」

P「間違ってはないけど…。…単純に、桃子には幅が足りない。技術的なことも、精神的なことも含めて」

桃子「…逆に言えば。それさえ克服してれば桃子は今日のメインになれたの?」

P「可能性は高くなっただろうな。相方が戸惑った時に上手く対応出来る器や、アクシデントにも動じない経験があったなら」

桃子「………………」

P「………………」

桃子「……やっぱり、分かんない」

P「……はぁ」

桃子「理屈では分かるよ。桃子だって、そういう器?の違う人がいるっていうのはなんとなく知ってるし」

桃子「でもそういうのって、凄く曖昧で全然アテになんないじゃん!足りないって言われたってどうすればいいの?」

桃子「『器』なんて色んな人が主観で言ってるだけだし、『経験』で言うなら、桃子は俳優してた分だけシアター組の誰よりも上だよ?違う?」

P「ち、が、う。客観でも器の狭い大きいはそれなりに差が見えるし、経験は時間的なキャリアだけを指すもんじゃありません」

桃子「何よ…。…お兄ちゃんは、桃子の俳優経験が無駄だって言うの!?」

P「そうじゃないよ。何より…」





P「自分から質問しといて、逆切れしちゃうのが器と経験の足りない一番の証拠でしょ。俺は桃子に怒られるほど的外れな答え方をしたか?」



桃子「…………!」

桃子「……怒って、ないもん………」

P「そうか。まあ、まだ年の浅い桃子にはちょっと早かったかもだしな。気持ちは分かるよ」

桃子「早くない!そういう風に訳知り顔で分かったふりしないで!」

P「そっか、それはごめんな。……で、桃子。そろそろ帰りたいんだけど、いいかな?」

桃子「……待って。最後に一つだけ…」

P「はいはい。本当にそれだけで終わりだからな?」

桃子「その、器とか経験とか……桃子に足りないものって、どうすれば手に入るの…?」

P「…………」



(桃子宅)



桃子「……はぁ。お兄ちゃんのバカ。それだけじゃ、物足りないっていうのに…」ゴロン



桃子「そりゃすぐに克服出来るとは思わなかったけどさ……何よ、あの答え…」ゴロン



桃子「大体あんなことくらい、桃子だって……」ゴロン



桃子「………………」ゴロゴロ



桃子「…………もういいや。寝よ…」

一旦終わり。今回だけアナウンスしますが、基本不定期でだらだら更新するので完結するまでは脈絡なく投下したり切ったりするので一応ご了承ください



(翌日)



小鳥「プロデューサーさん。ちょっとあれ、見てみてくださいよ」ツンツン

P「んん?一体なんなんですか?」クルッ






桃子「…………はぁ」







P「桃子の奴、あんな所で体育座りを……。なんだか桃子らしからぬアピールですね」

小鳥「そうですよ!今日一日、事務所に来てからぼーっとしてることが多くて…。昨日のライブの疲れがあるんでしょうか?」

P「どうかな…。……心当たりはあるので、ちょっと話してきますよ」スクッ

小鳥「お願いします、プロデューサーさん!」

P「よう!どうした桃子…。難しい~顔しちゃって~~」

桃子「…何でもないよ。ほっといて、お兄ちゃん」

P「何でもじゃないでしょ~~。アイドルの悩みを聞くのもプロデューサーの仕事だよ~」

桃子「……昨日さ、お兄ちゃん言ってたよね?『経験を積むのに焦る必要はない。確実に一歩ずつ進んでいこう』って」

P「うん」

桃子「…それとさ、『友達でも作れば?』って言ったよね?色々な人と仲良くなれば、その分発見することも増えるからって」

P「うん」

桃子「…それさ、どうやってやればいいの?」

P「……うん?」

P「『それ』の意味がよく分かんないんだけど、つまり、どうやって友達作ればいいかってこと?」

桃子「…うん」

P「言った俺が言うのもなんだけど、俺に聞かない方が良いよ。今の小学生のことなんてよく分からないし、多分参考にすらならないぞ?」

桃子「でも…こういう相談出来るのって、お兄ちゃんか事務所の皆くらいだもん」

P「それなら俺よりアイドルの皆に聞けばいいじゃん。桃子と性別一緒で、年齢も多様だしさ」

桃子「…何人かに聞いたけど、あまり参考にならなかったの」

P「ふーん?どんなこと言われたのか、覚えてる分でいいから言ってみそ」

桃子「えーっと……」



~~~~~



桃子「ねえ響さん。友達子を増やすのって、どうすればいいの?」

響「そんなの簡単だよ!一緒に色んな所に行ったり、楽しい事をすれば友達いーっぱい出来るぞ!桃子だって、お仕事してる内に自分たちと仲良くなったもんな!」

ハム蔵「ヂュイッ!」

桃子「あ、その…学校の子とか、そういう……アイドルのお仕事に関係ない子達と仲良くするのってどうすれば…」

響「ん~?自分、アイドルのお仕事増えたら、学校でも話題が増えて友達ともっと仲良くなれたぞ?『昨日の番組見たよー』とか言われない?」

桃子「……たまには、言われるかも…」

響「だったらきっと学校の子とも仲良くなれるさー!桃子、ファイトだぞ!」

ハム蔵「チュチュイ!」

桃子「う、うん…」



~~~~~



P「まともなアドバイスじゃないか。どの辺が参考にならなかった?」

桃子「んーと…」

桃子「あのね。桃子、遠足とか社会科見学とか…あまり行ったことないの。だから、その……」

P「ふんふむ。まあ、子役時代もそうだけど今も仕事あるし仕方ないか。…で?」

桃子「え?」

P「だからさぁ。響みたいに、仕事やアイドル関係の話題とかで仲良くなれないの?声かけられることくらいはあるだろうに」

桃子「でも……桃子、話の広げ方良く分からないもん。皆も、桃子より芸能界の話とかそっちの方に興味があるだけだし」

P「むむむ…。他にアドバイスしたアイドルはなんて言ってた?」

桃子「えっと……」



~~~~~



桃子「ねえ百合子さん。いきなりだけど、学校で友達作るのに良いやり方ってないかなぁ?」

百合子「んーと……友達作るなら、やっぱり楽しく話が出来るようになるのが一番だよね。授業とか行事とか、皆が共有しやすい話題で話しかけてみるのとかはどう?」

桃子「えっ……と。…桃子以外でグループとか出来てるし、ちょっと難しい、かも」

百合子「それなら共通の趣味を持つのが一番よ。クラスの間で流行ってる本とか、ドラマとか調べてみたらどう?」

桃子「そういうのを勉強して話題にするってこと?」

百合子「そうよ。ちなみに私のおすすめは沼井戸潤先生の作品ね!この人の作品は重厚なストーリーと時代劇的な気持ちいい展開、登場人物の熱さがポイントなんだけど金融や産業に目を向けた話が多くて、勉強にもなるし凄く面白いの!桃子ちゃんの学校で流行ってるかどうかは微妙だけど……ううん!流行ってないなら桃子ちゃんが流行らせればいいのよ!ドラマで有名になった『所沢直太朗シリーズ』の原作もこの人だし、例えば桃子ちゃんが『ねえ。ちょっと前に流行った「倍返しだ!」のドラマの原作って読んだ事ある?』みたいにクラスに広めていけば桃子ちゃん自身の頭脳や大人びた面もアピール出来るし沼井戸先生のファンも増えて正に一石二鳥の……」



~~~~~



P「途中までまともじゃん。これも参考にならないの?」

桃子「参考にならなくもないけど…」

桃子「一応ね。桃子も、クラスの間でどういうのが流行ってるのか調べてみたの。皆の会話を聞いてみたり、読書感想文にどういうのがあったか思い出してみたりね」

P「ほほう。どう?『はだしのゲソ』とかまだ流行ってた?」

桃子「なんかね、ボオカロイド?の小説とかジャソプ漫画の小説版とか、そういうのが流行ってるみたいだったよ」

P「ふーん。そういうのって学校の図書室に置いてたりするのか?」

桃子「何冊かは置いてあったよ。ちょっと調べたけど、今出てるのに比べたら結構古い奴みたいだった」

P「そうかぁ…。俺もジャソプ漫画のノベライズとかよく読んだなぁ」

桃子「ふーん…」

P「まあアレじゃない?わざわざ買うほどじゃないと思うけど、話題作りのついでにクラスの奴に借りて読んでみれば…」

桃子「やだ!」

P「なんで!?」

桃子「ちょっと読んだけどつまんなかったんだもん!桃子ボカロの曲とかジャソプの漫画とかよく分かんないし、そんなの勉強してまで友達欲しいなんて思わないよ」

P「いや~……桃子が知らないだけで、普通に面白いものもあるんじゃないかなぁ?」

桃子「そんなのタカが知れてるよ。少しだけ聞いてみたけど、歌詞も曲も無理にカッコよくしようとしてよく分からないやつばっかりじゃん」

P「ん、まあ、桃子の感性に合わないなら仕方ないが…」

桃子「ジャソプの漫画だってそう。あれ、人気あるやつは絵がごちゃごちゃし過ぎてて読みにくいか、絵がスカスカで読みにくいかのどっちかしかないじゃん。面白いかどうか判断すら出来ないよ」

P「ん、まあ……絵の上手い人皆青年誌に行っちゃったからな…」

P「でもさぁ。やっぱそれ、食わず嫌い入ってると思うぞ?カッコつけないボカロ曲だっていっぱいあるだろうし、人気は微妙でも面白い漫画も沢山あるし」

桃子「ん……」

P「むしろそれはチャンスだろ。『○○みたいなやつより××みたいのが好きなんだけど、良いの知らない?』みたいに話題にもなるし」

桃子「んー……」

P「てか、そういう固定観念を崩すために『友達を作れ』って言ったんだよ。そうやって自分にない考え方を知ることが『経験を積む』って事でもあるんだからさ」

桃子「……ねえお兄ちゃん。基本的なことなんだけど、一つ聞いていいかな?」

P「何だ?」

我那覇響(16) Dance 
http://i.imgur.com/tPbCiFm.jpg
http://i.imgur.com/z83gLxt.jpg

七尾百合子(15) Visual
http://i.imgur.com/Y4HWHGZ.jpg
http://i.imgur.com/7x2tjH7.jpg




桃子「友達って、そこまでして作る必要ある?育みたいに事務所の友達だっているんだし、桃子がそこまでしなくたって良くない?」



P「………………」


P(…参ったな。今の桃子みたいに知った風な感じになるのが嫌だったから『焦るな』って言ったんだが)

P(一般論で桃子を説き伏せることは出来そうだけど、納得するかどうかで言うと明らかに分が悪いし…)

P(つっても、小学生の友達の作り方を教えるのなんて無理だし……どう納得させるか…)

P(しかし…んー……)





P「……………………」


桃子「…お兄ちゃん、大丈夫?具合悪くない?」

P「…いや、大丈夫だ。それより桃子、今の話なんだけどな」

桃子「うん」

P「正直な所、今は一般論以上の事を言える気がしないんだ。だからちょっと時間くれないか?」

桃子「……どのくらい?」

P「んと…明日!明日までに色々考えてくるから、そしたら話の続きしよう。それでいいか?」

桃子「うん。お兄ちゃんも仕事あるもんね。…じゃあまた明日!ちゃんと考えてきてね!」

P「おっ、おう!任せとけ!」

P「ふぅ、何とか先送り出来たか…」

小鳥「ご苦労様でした。お茶、冷めちゃったので淹れ直しておきましたよ」

P「ああ、こりゃどうも。……しかしこれでいいんですかね?ぶっちゃけ、気の利いた答えなんて思いつく気がしませんよ…」

小鳥「まぁ、無理に気負わず楽に考えたらどうです?考えた結果が『ダメでした』ってなっても、桃子ちゃんならちゃんと聞いてくれますよ」

P「だといいですけどねぇ。小鳥さんってこういう…人間関係に関する相談って受けたことあります?」

小鳥「そりゃありますよ。こう見えてこの業界では長いですし、今も付き合ってる友達だっているんですから!」

P「へぇ…」

小鳥「それに私……こう見えて、恋愛面ではかなり頼られたりするんですよ?」

P「えぇっ!…あ、いや、こういう言い方は失礼かもですけど、凄い意外ですね…」

小鳥「ふふふ…。会話・デート・接し方・告白・夜の……と数あるシミュレートをこなしてきた私の話す内容は、結構役に立つらしいんですよ」

P「そういうのは全部独学で?」

小鳥「そう…ですね。一応、他人の経験談を聞くこともありますが」

P「へぇ。ちなみに、何を参考にシミュレートしてるんですか?」

小鳥「………………」

P「…小鳥さん?」







小鳥「…………本当に、知りたいですか?」

P「…スイマセン。やっぱいいです…」

P「ところで、人って恋愛相談となると無責任になりがちだと思いません?とにかく告白させたがったり、略奪愛を推奨したり…」

小鳥「さぁ…。学生の頃とかは、そういう空気はあると思いますけど」

P「小鳥さんはどうなんです?ぶっちゃけ、相談相手のことよりも状況を面白くすることを考えたり…」

小鳥「ありませんね。全くないです」

P「……全く、ですか…」

小鳥「ええ。絶対ないです。社会人になってからは、特に」

P「はぁ…」

P「でも小鳥さん。『他人の不幸は蜜の味』じゃないですけど、正直たまには意地悪になったりしません?」

小鳥「…プロデューサーさんは、そういう姿勢であの子達の相談に乗ってるんですか?」

P「………まぁ、相談の内容によっては……いや、あくまで軽い話題の時だけですけど…」

小鳥「……プロデューサーさん?」ガッ

P「はっ!?こ、小鳥さん!何故俺の肩を掴むんです!?)

小鳥「…いいから聞いてください、プロデューサーさん…」ヌッ

P「はっ、はひぃぃぃっ!!な、なんでしょう小鳥さん!?」

小鳥「いいですかプロデューサーさん…」

P「はい…」

小鳥「今、プロデューサーさんには好きな人がいるとします。綺麗で可愛い、一日中その人のことを考えちゃうくらいに素敵な人です」

P「はい……好きな人がいます…」

小鳥「ところが、その人は近くにいるというのに、愛を伝えるチャンスは中々回ってきません。どうしてだと思います?」

P「…行動を起こす勇気が無いから、でしょうか…?」

小鳥「その通り。だから、恋愛相談の得意な友人の所へ行くんです。ここまではいいですね?」

P「はい…」

小鳥「…ところでプロデューサーさん!!?」ガッ!

P「はぃっ!?」

小鳥「貴方さっき、『他人の不幸は蜜の味』なんて言ってましたよねぇ…?」

P「は、はぃぃ……」ガタガタ

小鳥「言っておきますがね、プロデューサーさん…」

P「…………!」ガクガク





小鳥「『そんな』のどーでもいいんです」

小鳥「ただ、ここで貴方が何もせず帰ったとしましょう…」

小鳥「そしたら妄想しますよね?」

小鳥「そしたらどーでもよくなりますよね?」

小鳥「そしたら後々後悔しますよね?」

小鳥「そんな思いをするのは   私   だ   け   で   い   い   ん   で   す」


小鳥「お話しは以上です♪どんな内容でも、女の子からの相談を軽々しく扱っちゃダメですよ、プロデューサーさん?」

P「はい…」

小鳥「今回の件、どうしても駄目なら無理せず言ってくださいね?私も出来る範囲で相談に乗りますから!」

P「はい…」

小鳥「特に桃子ちゃんは、頭は良いけど難しい子ですからね……もっとも、プロデューサーさんなら大丈夫だと思いますけど!」

P「はい…」

小鳥「さぁさぁ、お仕事お仕事!桃子ちゃんの相談で押した分、頑張ってくださいね!」

P「はい…」



(翌日)



P「…………」

桃子「…お兄ちゃん大丈夫?なんか、今日はいつにも増して大変そうな…」

P「…ああ、桃子か。いや大丈夫大丈夫。ちょっと、昨日あれから色々あってさ…」

桃子「本当に平気?桃子、お兄ちゃんにそこまでして質問の答えを考えてもらわなくても…」

P「いや平気だから。それよかさっさと話の続きしようよ」

桃子「うん…」

P「まず話を整理するぞ。最初に、仕事の割り当てに不満のあった桃子が改善点を俺に訊ねた。器や経験が足りない、と俺は桃子に言った」

桃子「うん。それを直すために、友達作ったり色々新しいことにチャレンジしたり……そーいう抽象的なアドバイスをお兄ちゃんはしたよね」

P「器と経験って、要するに他人との付き合い方だったり判断力だったりと…そういうメンタル的な話だからさ。そこは許してくれよ」

桃子「そのくらいは別にいいよ…。…それで、とりあえず桃子は友達を作ろうとしたんだよ?でも…」

P「作れなかったんだよな。趣味合わないとか話が合わないとか色々言ってさ」

桃子「違うよ!作れないんじゃなくて、面倒くさそうなだけ!桃子が本気になれば、みーんな桃子にデレデレしちゃうよ!きっと!」

P「それはどっちでもいい。大事なのは、桃子に現時点で友達が出来なさそうだってことだから」

桃子「う…」

桃子「…でも、劇場の皆がいるよ?アイドルの皆と、お兄ちゃんや小鳥さん達も含めて、50人以上の仲間と友達が……今の桃子には、いるもん」

P「それで桃子はこう言ったわけだ。『自分にはもう友達がいる。だから、無理して新しい友達作らなくていいんじゃない?』とな」

桃子「…で、お兄ちゃんはそれに対してなんて言うわけ?桃子の言ってる事、間違っては無いと思うけど?」

P「俺の言う事というか……ひとまず、結論としてだな」

桃子「うん」





P「桃子、お前は友達を作れ。それも今までみたいに受け身の姿勢じゃなくて、積極的にだ」





桃子「…………はぁ?」

桃子「全然答えになってない!桃子、友達作るの面倒くさいって言ったよね?なのに『友達作れ』ってだけ言われても納得できないんだけど?」

P「いや、友達じゃなくてもいいよ」

桃子「え?」

P「友達じゃなくても、莉緒さんみたいに相談相手になってくれる人とかさ。とにかく親しい人を増やせばいいよ。そんで、その人達から色んな事を学んでいけばいい」

桃子「……言ってる事が変わってないんだけど」

P「単純な話だよ。知ってる人が多ければ多いほど多様な考え方を知ることが出来るし、それに応じて知識や経験も蓄積され、ついでに処世術も鍛えられていくってワケ」

桃子「…だからさぁ、そうじゃないんだけど?」

P「ん?」

桃子「桃子が知りたいのは、友達が多い事のメリットじゃないの。言ってる意味分かる?」

桃子「とりあえずさ…知らない人と親しくなるのって疲れるでしょ?お兄ちゃんは違うかもだけど、少なくとも桃子はそう感じるの」

桃子「それにお兄ちゃんは、知ってる人が多ければ多いほど良いみたいな……そういう事言うけど、本当にそうなのかな?」

桃子「単純にさ、他人と付き合いを続けるってそれだけで疲れない?話合わせたり、あれやこれやで時間とられたり……はぁ」

桃子「お兄ちゃんだって分かるでしょ?忙しいのに、仕事で一緒だっただけの大人達に、飲み会とかいうのに誘われたりして…」

桃子「桃子だって分かるよ。そうやって嫌な事も我慢しないと、ニンゲン関係が崩れちゃうもんね?そしたらこの業界で上手くやってけないし」

桃子「でも、桃子にはそういうのムリ。だから、友達出来るのは嬉しいけどそこまでして欲しくはないかなー…って感じ!」



桃子「どう!?これでも桃子に反論出来る?」



P「………………」

P「……桃子。お前、よくもこんな…小学生らしからぬことを言えるなぁ、おい」

桃子「年は関係なくない?…とにかく、桃子はそういう風に考えてるってこと。お兄ちゃん、それでも桃子に言う事あるの?」

P「言う事っつか……別に、そこまで人付き合いが面倒くさいなら無理しなくていいよ。ただ、友達は作った方がいいぞ。うん」

桃子「またそれ?いい加減そういう……ど、ど、どう…」

P「『堂々巡り』?」

桃子「…それ!堂々巡りはやめてよ!桃子、こうなったらテコでも動かないからね!」

P「そう言われてもなぁ。付き合いが面倒なのはともかくとして、友達や知人が増えることのメリットは桃子も理解してるんだろ?」

桃子「うん…」

P「…ところで、大分話が長引いちゃったけど疲れてないか?なんか飲み物でも飲むか?」

桃子「……平気だよ。それより、お兄ちゃん」

P「ん?」

桃子「続き、話してよ。お兄ちゃん、まだ桃子に言う事あるんでしょ?」

P「あぁ。とりあえず、桃子が誤解してるっぽいからその辺りから話そうと思う」

桃子「誤解?」

P「うん。なんか話聞く限り、俺と桃子で『友達作り』のイメージが大分違う気がしてさ…」

桃子「……えっ?」

P「多分、桃子の中の『友達作り』ってのは普段の『営業』と大差ないと思うんだ。なんかこう、色んな人に挨拶して、名前覚えてもらって、自分を印象付けて……ってさ」

桃子「違うの?自然にっていうのじゃなくて、自分から友達増やすのってそういう感じじゃ…」

P「それも少しは合ってるが…。…それより桃子。今お前、『自然に』って言ったよな?」

桃子「うん。お仕事とかレッスンとか一緒にやってる内に、なんとなく仲良くなったりとか?」

P「俺が言いたいのはそこだよ。桃子にはもっとこう…自然に友達を増やしてって欲しいんだ。しかも積極的にな」

桃子「……うん?なんかおかしくない?」

P「どこが?」

桃子「だって、自分から友達増やすのに『自然に』って……そんなの、ムジュンしてるじゃん」

P「それが矛盾してないんだな、これが。いいか桃子。今から言うのは大事な話だから、よく聞いてくれよ…?」

桃子「……う、うん…」

ウオオオン予想外に話長い&説教臭い&眠くなっちまったよぉぉぉ。俺、このss書き終わったら大谷×藤浪×濱田の絡みを妄想するんだ……zzz

P「さっきから『自然に』って何度も言ってるけどさ…なんであれ、友達になるにはそれなりのきっかけがあるだろ?」

桃子「きっかけって言っても……レッスンの途中に話し合ったりとか、お仕事中の空き時間で声かけられたりとか、そのくらいだよ?」

P「うん、まぁ…いずれにせよ、話しかけたり話しかけられたりっていうのがあるわけじゃん。じゃなきゃコミュニケーションとれないし」

桃子「うん。それは分かるよ」

P「そう考えると、『お互いに近づいている状態で声をかける/かけられる』事が『自然』な交友関係の始まり方だって事になるだろ?」

桃子「桃子にとってはね。……それでお兄ちゃん。今の話とさっきの話と、どこがつながってるの?」

P「簡単だよ。俺が言いたいのは、桃子に「声をかける」側の人間になって欲しいって事だよ!」

桃子「声を…かける…?」





P「ああ。24時間ずっとじゃないけど、俺はアイドルの皆のことを見てきたからさ。だから、桃子と皆の関係だって分かってるつもりだ」

桃子「む…!」

P「例えば、皆で仕事をしてる時。桃子は子供なのに、仕事となると周囲に遠慮せず、自分の気になる所や他の人のミスを伝えてくれてたよな」

桃子「当たり前じゃん!プロなんだから、年齢なんてカンケーないもんね!」

P「……まぁ、そのせいでちょっと周りとギスギスしたこともあったけどな…」

桃子「…別にいいじゃん、そんなの…。お仕事が上手くいく方が大事だし…」

P「うん。だから何だかんだで皆が桃子を頼りにしてた面もあったし、その意味では桃子は凄く積極的に周囲とコミュニケーションが出来てたと思う」

桃子「…………」

P「ただ、それ以外のシチュエーションとなると話が変わってくるんだよなぁ~…」

桃子「……!」ムッ

P「仕事やレッスンとなると周りに遠慮なく口出しするのに、いざそれが終わると途端に口数が少なくなるんだよな。自分でも分かるだろ?」

桃子「……」

P「仲間がさっきまでやってた事をあれこれ話してる間に、桃子は独りで適当な場所に落ち着いてるんだよな。この間のライブでもそうだった」

桃子「…それが何か、悪いの?」

P「どうかな。…ただ、ステージに立った他のアイドル達のリアルタイムで率直な感想を聞けないなんて、勿体ないと思わないか?」

桃子「でも、反省とかならミーティングでも聞けるよ!?」

P「ミーティングで話を聞くのと、相手と顔突き合せて聞くのとでは結構違うと思うけどな。ま、桃子が平気ならそれでもいいんだけど」

桃子「それは…!」

P「一番の問題はそこじゃないんだ。今言った通り、俺は皆のアイドル活動を近くでずっと見てきた。そこで気になったんだが…」

桃子「……何?勿体付けてないで、早く言ってよ」

P「桃子って、自分からアイドルの皆に話しかけることが殆ど無かったよな?仕事やレッスン時は別としても、仲間に対していつも無愛想にしてた」

桃子「…否定はしないよ。あの頃の桃子はアイドルに慣れてなくて余裕もなかったしね」

P「去年の夏頃だったかな?皆で合宿に行った頃から表情が明るくなってきたんだよ。育たちとも友達になれたみたいだったしね」

桃子「…………」

P「色々言ったけど、桃子は事務所にかなり馴染んできたと思う。無愛想な表情も少なくなったし、仕事以外でも他の子と話すようになったし」

桃子「…当たり前じゃん。皆、優しいし桃子の話を聞いてくれるんだもん…」

P「しかし、だ」

P「それは、事務所内での話に過ぎない。もっと言うと、それだけで完結しちゃってるから広がりが無い、と言うべきかな」

桃子「そんなこと言われても…。…桃子、よく分かんない」

P「…んーと、『内弁慶』って言葉知ってるか?家の中では偉そうにしてて、外だと気弱そうにしてる奴のことを指した言葉なんだが」

桃子「…それ桃子のこと?」

P「うん。話を聞いてる限り『事務所内ではのびのび、事務所の外では緊張』、それが今の桃子って感じだな」

桃子「きんちょ……う…」

P「多分だけど、事務所以外…仲間たちがいない所では、ウチに来たばかりの時と同じようなカタい表情になってるんじゃないか?」

桃子「…………」

P「いっつもニコニコして~…っていうのは無理だとしても、少しくらい力抜いてかないともたないぞ?まあ、これは言い過ぎかもしんないが…」

桃子「…うーん」

P「なんて言うかさ……あまり知らない相手を警戒すんのは分かるけど、ピリピリしてるよりは自然体でリラックスした方がいいだろ。桃子は可愛いんだし、普通にしてれば周りから話しかけてくれるさ」

桃子「……!」

P「その上で、俺が言ったみたいにちょっとでも自分から歩み寄っていければ友達の1人や2人くらい、余裕で出来るよ!桃子なら大丈夫!」

桃子「ま、まぁ、桃子が周りに合わせてあげればね!……うん。桃子くらい可愛ければ、そのくらい楽勝だよね!?」

P「…は?桃子、今なんて…」

桃子「お兄ちゃんが言ったんでしょ?『桃子は可愛いから友達なんてすぐ出来る』って!だから大丈夫なんでしょ!?」

P「お、おう…」

桃子「……!」フフーン


桃子「…ま、お兄ちゃんがそこまで言うなら仕方ないね。ちょっと疲れるけど、「友達作り」頑張ってあげる!」

P「おっ、そうか。やる気になってくれて俺としても何よりだよ」

桃子「ふふーん♪桃子的には事務所の皆がいれば別にいいかなって思ったけど、お兄ちゃんがどうしてもって言うからやるんだからね?」

P「いや、そこまでしてやれとは言ってな…『お兄ちゃん!』







桃子「桃子、頑張るよ。もっと他の人に話しかけて、いっぱいいっぱい友達作って見せるからね!」



桃子「本当の事言うと、ちょっと怖いけど……でも、新しい友達が出来て、桃子の世界がもっともっと広がってくれるなら…」



桃子「…だからね、お兄ちゃん。約束して? もし、桃子にもっと友達が出来て、色んな経験も積んで…」



桃子「……アイドルとしても、女の子としても、桃子が沢山成長出来たっていう、その時は……」



桃子「今よりキラッキラに輝く桃子のコト、一番近くで見ててよね!?」







P「……桃子」

P「分かった。その時は俺が桃子のそばにいてやる。約束だ、桃子!」

桃子「…うんっ♪ホゴにしちゃ駄目だからね、お兄ちゃん!」

P「ああ。桃子こそ、怖がらないでどんどん話しかけてけよ。学校内だけの友達作りに留まらないようにな」

桃子「それって……お仕事で一緒になるスタッフさんとか?」

P「そうだな。他にも、別の事務所のタレントとか、劇場の裏方さんとか、親しくなって損は無い人は沢山いるからな!性別も年齢も関係なしに、遠慮なく仲良くなってきな!」

桃子「う…うん!いきなりは無理かもだけど、ちょっとずつ頑張ってみる!」

P「その意気だ、桃子。……さ、これで相談の答えは十分だったか?他に何かあれば…」

桃子「んと…………あっ、そうだ!」

P「なんだ?」

桃子「お兄ちゃん。桃子の相談に、こんなに時間とらせちゃってゴメンね?お兄ちゃんもお仕事あるのに…」

P「いやいやいや。桃子が真剣に聞いてきたんだから、真剣に答えるのが俺の役目だよ」

桃子「あ、ありがと。……それでね、お兄ちゃん。気になったんだけど…」

P「うん?」

桃子「今のは『友達が少ない=経験が少ない』みたいな話になってたけど、別に桃子より経験積んでる人が皆友達多いわけじゃないでしょ?」

P「そりゃそうさ。あくまで経験を積む手段の一つとして、友達作るのが云々って話なんだから」

桃子「…つまり、桃子よりは人生経験の多いお兄ちゃんが、桃子より友達多いとは限らないってことだよね?」

P「なんだよ桃子。結局何が聞きたいんだ?」

桃子「……あのさ、お兄ちゃん。一ついい?」

P「おう。どうした?」

桃子「お兄ちゃんって、友達いるの?」

P「なぬーっ!?何を根拠にそんなことを!」

桃子「あのさ。今のお兄ちゃんていつも以上に親身になってくれてるけど、それだけ桃子に友達の大事さを教えたかったって事なんでしょ?」

P「そうだよ。でもなんでそれが俺に友達いないって事になる?」

桃子「だって…こういう人間関係の相談に親身になってくれる人って、実際に色んな後悔を経験したことある人が多い気がしない?」

P「いや桃子、それは決めつけ過ぎ……はっ!」





~~~~~





小鳥「『そんな』のどーでもいいんです」

小鳥「ただ、ここで貴方が何もせず帰ったとしましょう…」

小鳥「そしたら妄想しますよね?」

小鳥「そしたらどーでもよくなりますよね?」

小鳥「そしたら後々後悔しますよね?」

小鳥「そんな思いをするのは   私   だ   け   で   い   い   ん   で   す」





~~~~~





P「……悔しいが、今の桃子の言葉は間違っちゃいないよ…」

桃子「…お兄ちゃん?」

P「でも一応言っとくと、俺には友達いるから。同窓会とか呼ばれるし、TV局の人とか劇場の裏方さんとかと飲みに行ったりもするし」

桃子「ホントに~?接待とかじゃなくて?」

P「違うわ!というか、なんで俺に友達いないことにしたいんだ?桃子に得はないだろ?」

桃子「…まぁ、そーだけど……」

P「言っとくけど、さっき話した事は一般論の延長みたいなもんだからな。ぼっちなプロデューサーが自分をアイドルに投影してたとか、そういうことは一切ありません」

桃子「むぅ……」

P「そう露骨に機嫌損ねるなよ…。俺に友達いると、何か都合でも悪いのか?」

桃子「…………」



桃子「…………」





~~~~~



桃子『えっ?お兄ちゃんって、さっきまで桃子にお説教してたクセに友達いないの?』


桃子『仕方ないなぁ~……特別に、友達作りの練習も兼ねて桃子が友達になってあげる!』


桃子『なに?アイドルとプロデューサーが友達同士なのは、おかしいって?』


桃子『もう!桃子がいいって言ったらいいの!今から桃子とお兄ちゃんは友達だからね!決定!』


桃子『……ふふ。まずは「友達から」だよね、お兄ちゃん♪』



~~~~~





桃子「…………」ムスッ

P「おい桃子、なんか言ってくれよ。せめて怒ってる理由だけでも…」

桃子「…別に。お兄ちゃんにも友達がいるんでしょ?それだけのことに怒ったりなんてしないよ?」

P「いや怒ってるだろ。頼むから俺に分かるように言ってくれよ…」

桃子「もーっ!とにかく、あそこまで言っておいて本当は友達いなかったりしたら怒るからね!分かった!?」

P「分からないって!なにか?俺に友達がいるってことを証明すればいいのか?」

桃子「違うよ!」

P「じゃあなんだよ……何が悪いんだ…?」

桃子「……しょうがないね。お兄ちゃんには相談してもらったんだし、桃子が今、何を考えてるか特別に教えてあげる!その代わり……」

P「その代わりに?」








桃子「桃子のこと、これからずっとずーっと見てなくちゃダメだよ、お兄ちゃん!!」






説教臭い内容になってしまいすいません。でも友達や親しい他人は作らないと色々しんどいですよね



というわけで終わり!桃子パイセンちょーかわいーよー!

桃子「ね、お兄ちゃん」

P「んー?」

桃子「友達がいると、本当に視野が広くなったり考え方が変わったりするの?」

P「そりゃ勿論人によるけど…俺はそういう経験あるよ。何回かあったけど、今思い出せるのは…………」

桃子「どんな話?長くなりそう?」

P「えと……そうだな、俺が高校の時の話をするよ!それなら簡潔ですぐ終わるしな」

桃子「なにそれ?お兄ちゃん、早く聞かせて!」

P「分かった分かった。…そうだな、あれは俺が親友だったHと廊下で歩いてた時の話だ…」




~~~~~



高校生P『なーH!今思いついたけど、全世界の人間が日高舞のファンになれば世界平和確定じゃね!?』


高校生P『宗教上の神と違って日高舞は実体あるし、音源や映像のテープさえ残せばいつまでも日高舞の声や姿を楽しめるし、ダンスや歌なら言葉通じない相手にもある程度は通じるし!全員が日高舞ファンてことでまとまれば争いもなくなるだろ!!』


高校生P『一見バカみてーだけど、実際日高舞のカリスマと人気ありゃ余裕だべ!?どうよH、このアイディア!!』

 
H『……仮にそうなっても、曲やライブ毎についた信者が争って結局戦争起こるんじゃない?』


高校生P『――!』



~~~~~






P「…この会話で俺は自分の視野の狭さを知ったよ。そして、一時の感情に流されず冷静に物事を分析することの大切さを……」クドクド



桃子「…………お兄ちゃんて、すっごくバカだったんだね!」


おまけ終わり。html化依頼投げてきます

いるかどうか分かりませんが、ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございました!

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