春香「プロデューサーさん、コールドケースって何ですか?」(77)


 『呼び出し』2000年

 765プロのプロデューサーが橋の下で射殺された。彼はアイドルからも信頼されている好青年だった。

2000年 6月

 楽屋

 p『美希、入るぞ』ガチャ 

 美希『ハニィーッ!!』

 p『美希、撮影おつかれさん。』

 美希『ぶー、その言葉は聞き飽きたの』

 p『じゃあ、どうすればいいんだよ』

 美希『チュ~して』

 p『はいはい、ちゅうちゅうたこかいな』

 美希『もぉー、そんなんじゃないの!』

 p『あのなぁ、プロデューサーがアイドルに手を出せるわけないだろ』

 美希『美希はいいよ』

 p『お前は良くても世間が許さないんだよ、ほら早く着替えて帰るぞ。おれは春香の方も見てくる』

 美希『はいなの~』

***

 p『まったく、美希の奴にも困ったな・・・あ』

 冬馬『あ・・・・なんだ、お前か』

 p『俺で悪かったな』

 冬馬『ほんとだぜ・・・』

 p『そっちも順調みたいだな』

 冬馬『当たり前だ。お前らなんかに負けてられないんだよ。』

 p『そっか、そういうことならこっちも全力でいく』

 冬馬『望むところだ』

 冬馬『そういえば、お前のところのリボンがまたスッ転んでたから早く行ってやった方がいいぞ』

 p『親切にどうも、冬馬』

 冬馬『ったく、なれなれしいんだよ・・・』スタスタスタ

 p『素直じゃないなあいつも・・・』

 p『さて、春香を助けに行くか!』タッタッタッタッタ

 アイドル全盛期、765プロは多くの人気アイドルを輩出していた。歌に限らず芝居やグルメなど多岐に

わたってその人気をはびこらせていた。そんな中・・・・彼女たちを率いていた担当プロデューサーが橋

の下で射殺されているのが発見される。事件は、大々的に報道・捜査がなされたが有力な情報が見つからず、迷宮入りとなった。

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2013年

 ヴァレンズ「ねぇ、きさ・・・・」

 リリー「知らん!」

 ヴァレンズ「いや、さすがに知ってるだろ。この前だってシングル出してたじゃないか」

 リリー「あぁ、そう言われれば知ってたわ。でも、どちらかというと私、真美派なのよ」

 ヴァレンズ「なるほど、双子のかわいい方ね」

 リリー「ちょっと待って、亜美だってかわいいわ」

 ヴァレンズ「じゃあ、何で真美だけ?」

 リリー「それは・・・・」

ヴァレンズ「ほら、そういうこった」

 ヴェラ「何の話してんだ?」

 ヴァレンズ「リリーが真美派だって」

 ヴェラ「なるほどな。でも、ここ何年間はtvにも出てないんじゃないか」

 リリー「そうなのよね・・・765もそろそろ潮時かしらね」

 ヴァレンズ「今現役で、安定しているのは如月千早と天海春香、星井美希ってとこか」

 ヴェラ「プロデューサーが変われば、売れ行きも変わる。もう13年も経つのか」

リリー「あの頃が全盛期だったわね」

 ヴァレンズ「たしか、橋の下で撃たれたんだっけ」

 ヴェラ「当時は強盗ってことで調べられてたが、結局なにも分からずじまい」

 リリー「コールドケースね」

 ボス「お前たち、その事件について新たな情報がでたぞ」

 ヴァレンズ「どういうことですか」

 ウィル「当時、橋の下でホームレスやってたって言う男が話があるんだと」

 リリー「で、その男は?」

 ウィル「今は刑務所。すい臓癌に罹ったらしくて、もう長くないらしい。」

 ボス「余生は外で過ごしたいそうだ。」

 リリー「有益な情報だったらね」

***

  刑務所


 男「なあ、あんたタバコ持ってないか」

 リリー「それより、情報が先よ」

 ヴァレンズ「橋の下で何を見たんだ?」

 男「正確には、拾ったんだよ。携帯電話をな」

 男「しかるべきところに売れば、それなりのお金になったからな。」

 男「んで、画面を見たらある番号が映ってた、直前にかかってきた奴だった」

 リリー「おぼえてる?」

男「番号自体は覚えてねぇけど、あとで調べたらたしか・・・なんとかっていう事務所の番号だった」

 リリー「!」

 ヴァレンズ「それってもしかして、765プロじゃなかったか」

 男「そう、それだ。もしかして、あいつはプロデューサーか何かか?」

 リリー「えぇ、そうよ。」

 ヴァレンズ「てことは、事務所はpが橋の下にいたことを知っていたのか・・・」

 リリー「そういうことになるわね・・・・」

 op:http://www.youtube.com/watch?v=f0nvaswnsn4


***

 資料室

 ボス「事件当日は、休日でだれも事務所にはいないはずだった。」

 リリー「だれかが、橋の下に呼びだして、撃った」

 ウィル「でも、それじゃ、せっかくのプロデューサーがいなくなってしまう。当時は人が少なかったそうだからな」

 ボス「その一人を殺してまで、もみ消したかったことがあるのか・・・それとも」

 ウィル「961プロの仕業かもしれないな。あの頃はライバル関係にあったからな」

 リリー「そうですね、社長の黒井は他の事務所への嫌がらせでなんども捕まってるみたいですし。」

 ボス「ついに、手が出たってわけか。」

 リリー「じゃあ、私は黒井の方に行って来ます。」

 ボス「なら、ウィルとヴェラで765に行って来い。社長に話を聞いてくるんだ」

 ***

 961プロ

 黒井「何かと思えば、765プロの事とはな」

 リリー「あなたは当時、765プロに嫌がらせをしてましたよね。」

 黒井「ふんっ、だからと言ってうちがあの事件と関係があるとは限らんだろ」

 ヴァレンズ「前科もちが言っても説得力がないな」

 黒井「たしかに、嫌がらせはしたし、逮捕もされたが・・・殺しはしてない。」

 リリー「でも、当時アイドル全盛期だったにも関わらず、売れて行くのは765プロばっかり、自分の・・・冥王星でしたっけ?」

 黒井「ジュピターだ!」

 リリー「そのジュピターもなかなか売れない。いやがらせだけじゃ、止められないと思ったんじゃないの」

 黒井「馬鹿言え、確かにあいつらは売れっ子だった。だが、問題もあったみたいだった」

 ヴァレンズ「というと?」

 黒井「仕事量の差、765だって全員が売れっ子じゃなかったんだ」

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 あれは、俺が直々に嫌がらせをしてやろうと思って、あいつらの楽屋前に来た時のことだった。

 楽屋前

 黒井『軽くメイク道具でも荒らしてやるか・・・ん』

 黒井『なにやら、騒がしいな・・・』

 ***

 楽屋

 ?『兄ちゃん!なんで真美だけこんな仕事しか来ないのさ!バンジージャンプなんて嫌だよ!』

 ??『真美……こういうにやってみたいって言ってたじゃないか』

 ?『言ってたよ!でも、あのときは売れてなかったから・・・つい』

 ?『真美だって、亜美みたいに歌番組に出たりしたいんだよ!』

 ??『歌なら、この前歌ったじゃないか』

?『真美は替え歌なんて歌いたくない!』

 ??『でも、おまえは今までそういう路線で推して来たんだ、波もきているしここで路線変更はできない』

 ?『もういいよっ!兄ちゃんなんかしらない!パパに言いつけてやる!』

 ??『真美・・・』


 ***

黒井『……今日はやめておいてやるか』

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黒井『気持ちはよくわかった。』

 黒井「だから、嫌がらせはせずに帰った」

 リリー「パパに言ってやるって、言ったのね」

 黒井「そうだ。あの双子の親父は医者だからな。金でも積ませるように頼んだのかもな」

 リリー「かわいい娘が芸人みたいなことをさせられてたら・・・」

 ヴァレンズ「親父なら、黙ってないだろうな」

 ***

 双海家

 双海父「今日は珍しく、2人で仕事が入ったんで、あの子たちはいませんよ」

 父「なんでも、歌番組の本人役らしくてね・・・・まだ26なのにもう、過去の人扱いだ」

 リリー「……13年前に彼女たちのpが殺された事件について、今再捜査しているんです」

 父「あぁ、プロデューサー君か。彼のおかげでうちの子たちは楽しくアイドルが出来てたんだ」

 ヴァレンズ「でも、せっかく売れてきたのに、お姉ちゃんのほうは芸人みたいな仕事しかさせてもらえなかった」

 リリー「お父さんとしては、かなり不満だったんじゃないんですか」

 父「たしかに、なかなかアイドルっぽい仕事をさせてもらえなくて、複雑だったよ」

 リリー「ですよね。で、娘さんに言われたんじゃないんですか、パパなんとかして、って」

 父「まさか、それで私が彼を殺したとでも言うんですか。冗談じゃない。確かに、文句を言ってやったが、それだけだ。そのあとは体を張る仕事も少なくなったし、真美も何も言わなくなった。」

 父「それだけだ」

 リリー「わかりました。お時間どうも」

 ***

 765プロ

 社長室

 高木(社長)「彼を失ったことは非常に、残念だった」

 ウィル「一時代をつくりあげた、功労者の一人ですからね」

 ヴェラ「他のアイドルにも悪影響がでる」

 社長「もちろんだ。」

 ウィル「事件当日、だれか彼の携帯に電話をかけているみたいなんです」

 社長「ほう、誰からかね」

 ヴェラ「おたくの事務所からだそうだ」

 ウィル「事件当日、誰か事務所にいましたか」

 社長「さぁねぇ・・・私も休みで来ていなかったからね・・・」

ヴェラ「pには誰か敵はいましたか」

 ウィル「殺されるほど恨まれるような」

 社長「彼は好青年だったしなぁ・・・まてよ、そういえばよく961プロの子と喧嘩していたと聞いてた」

 ウィル「ジュピターですか」

 社長「そうだ。当時はライバルだったからねぇ」 

 社長「確か名前は・・・天ヶ崎冬馬君だっけな」

 ウィル「今でもたまにテレビにて出るな」

 ヴェラ「そうだな、dvで捕まってたっけな」

***

刑務所

 冬馬(30)『何の用だよ……』

 冬馬「こっから出してくれるのかよ」

 ヴェラ「正直に言うこといったらな」

 冬馬「何についてだ」

 ウィル「13年前、765のプロデューサーが殺された事件についてだ」

 冬馬「あぁ・・・あいつのことか」

 ヴェラ「お前たち、よく喧嘩してたんだってな。」

 冬馬「ふんっ、あいつらのなれ合いが気に食わなかったんだよ」

 ウィル「自分がなかなか売れないから嫉妬してたわけか」

 ヴェラ「殺したいほどにな」

 冬馬「ふざけるな!そんなことで、殺すわけないだろ!」ドンッ

 冬馬「何かあるとすれば、あっちの社長にきまってる」

 ウィル「どういうことだ」

 冬馬「2人が口論してたんだよ」

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   tv局内

 冬馬『ったく、何でおれがこんな芸人見たいな仕事しなきゃ・・・ん』

 冬馬『あれって、765プロの・・・何電話してんだ』

 ***

 p『お願いです社長、それだけは・・・』

 p『自分の方からも彼女を説得します。だから・・・・』

 p『はい……』

 p『わかりました。ありがとうございます』

   ***

 冬馬『…………』

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 冬馬『相当焦ってたなあれは』

 ウィル「彼女を説得するって言ったのか」

 冬馬「あぁ、誰だかしらねぇけど問題児でもいたんだろ」

 ヴェラ「その問題児をめぐって社長と対立か」

 ウィル「大事な時に下手なことさせられないからな」

   ***

 取り調室

 リリー「ここまで来るのに随分と苦労したんじゃないの」

 社長「当たり前だ。現役の時はもっと大変だったさ。だが、そういうことがあってこその今だ。宝物だよ」

 ヴァレンズ「じゃあ、その宝物を踏みにじろうとするやつは厄介だよな」

 社長「どういう意味だね」

 リリー「普通、ああいうアイドルって売れてきたころに何かしらのトラブルとかスキャンダルがあるものよね」

 ヴァレンズ「でも、おたくはそんなことなかった」

 社長「うちのスタッフは優秀だったからね。」

 リリー「プロデューサーはどうだった?」

 社長「もちろん、彼も優秀だったさ。」

 ヴァレンズ「彼ともめたことは?」

 社長「何が言いたいんだね」

 リリー「あなたが彼とアイドルの今後についてもめているのを聞いた人がいる」

 社長「…………」

 ヴァレンズ「大事な時に、問題を起こしたアイドルがいる。それで、そいつを処分しようとしたらプロデューサーに止められた」

 リリー「自分の宝物をないがしろにする問題児をかばった彼に腹が立った……」

 社長『確かに、問題はあったよ・・・・処分も考えた』

 社長「だがね、責任の一端は彼にもあったんだ」

 リリー「どういうこと?」

 社長「アイドルと・・・・できていたんだよ。」

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 社長室

 社長『君がいながら、どうしてこんなことに……』

 p『すみません……拒めば、彼女のモチベーションに影響すると思ったので』

 社長『だからといってだな……もっと、他のやり方があったんじゃないのか』

 p『……すみません……断れば事務所を辞めると言われたんです』

 p『まだ、のびしろはたくさんあるし、彼女自身もまだ輝きたいと思っているはずなんです』

 p『私一人なんかの為に夢をあきらめてほしくなかったんです』

 社長『他に知られたら、それこそ本当に終わりなんだぞ』

 p『分かっています、それにもう……終わりにしようと思います』

 社長『彼女を説得出来るのかね』

 p『します。彼女だって分かってくれるはずです』

 社長『そうか……』

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 社長「アイドルとプロデューサーが恋に落ちるなんて……」

 ヴァレンズ「その……彼女っていうのは」

 社長「捜査以外でこのことを口外しない様にしてくれ」

 リリー「もちろんです」

 社長「……星井美希君だ」

 ヴァレンズ「まじか……あの星井美希が」

 リリー「ばれたら大事ね」

 ヴァレンズ「それで、pは終わりにすると言ったんですよね」

 社長「そうだ」

 リリー「当時の彼女は、素直に聞いてくれそうでしたか」

 社長「正直なところ、彼女は相当彼に惚れこんでいたみたいだった」

 社長「彼とのことで他のアイドルとももめたこともあった」

 社長「実を言うと、うちの事務所はその色恋沙汰でめちゃくちゃだったんだ」

 リリー「他のアイドルもpと・・・」

 社長「戦争だよ、まさに」

 リリー「美希ともめていたアイドルは?」

 社長「言いたくないが、天海春香君はよく口論をしていた」

 リリー「プロデューサーとできてたアイドル・・・・」

 ヴァレンズ「別れろって言われて素直に聞けなかった」

 リリー「別れ話のもつれはよくあることね」

 ヴァレンズ「もしくは、嫉妬した他のアイドルにやられたか」

 リリー「女の嫉妬は怖いからね」

***

 ボス「それは本当なのか」

 リリー「えぇ、星井美希は当時、pと出来ていたようです」

 ボス「俺はずっと騙されていたのか・・・・ミキミキに」ガックリ

 リリー「は・・・?」

 ウィル(リリー、ボスは星井美希の大ファンなんだそうだ)ヒソヒソ

 リリー「なるほどね……とにかく、当時の765は色恋でめちゃくちゃだったみたいね」

 ヴェラ「女の嫉妬って怖いもんな」

 ウィル「それも、年頃の女の子だからなおさらだな」

 ヴァレンズ「社長によると、星井美希と天海春香が特に好意を持っていたみたい」

 リリー「とはいっても、2人ともまだ現役でそれなりの有名人」

 ウィル「どうしたものか・・・」

 ボス「当時の事務員に話を聞きに行け、彼女なら何か知っているかもしれん」

 リリー(立ち直ったのね)

 ヴァレンズ「音無小鳥ですね、たしかbl作家になってた」

 ボス「残りの2人は社長に問い合わせてなんとか話を聞くんだ」

  ***
 小鳥 自宅

 小鳥(4x)「春香ちゃんと美希ちゃんですか・・・」

 ヴェラ「その2人がよくpをめぐって喧嘩してたらしい」

 ウィル「他にも好意を持っていたアイドル同士で喧嘩とかありましたか」

 小鳥「そうねぇ・・・確かに、プロデューサーさんのことで良く喧嘩してましたね」

 小鳥「だって、彼かっこいいもの」

 ヴェラ「今の発言で、あんたも容疑者リスト入りだ」

 小鳥「ちょっとー、そりゃ彼のことはかっこいいって思ってたし、誰とのカップリングがいいとかよく考えてましたよ」

 小鳥「でも、私なんかじゃ歯が立たなかったんです」

 ウィル「若いパワーにはかなわないか」

 小鳥「うっ・・・ですかね」

 ヴェラ「pが殺される前のアイドルの様子はどうでしたか」

 小鳥「そういえば、やけに大人しかったわ。というか、あきらめムードが漂ってたの」

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 事務所

 美希『はぁ・・・・』

 春香『はぁ・・・・』

 小鳥『2人ともため息なんかついちゃってどうしたの?』

 美希『小鳥、この際だから教えてあげるの、ハニーは・・・・』

 p『おはようぎざいます』ガチャ

 p『なんだお前たちもう来てたのか、美希、春香』

 美希『美希、ちょっとおなか減ったからコンビニ行ってくるの』

 p『なら、俺も一緒に行くよ』

 美希『結構なの。ハニーと一緒にいると病気がうつるの』

 p『どういうことだ、美希』

 美希『自分の胸に聞いてみろなの、春香も行こ』

 春香『うん』

 春香『プロデュサーさん、私たちをもてあそんだ罪は重いですよ』

 p『春香まで・・・』

 小鳥『……』


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 小鳥『何があったか知らないけど、あの子たちがあそこまで怒るなんて・・・』

 小鳥「プロデューサーさんはその月に死んだわ」

 ヴェラ「もてあそんだ罪か・・・・765のアイドル以外に女がいたってことか」

 ウィル「その女も気になるな。だれか、他に彼女候補はいましたかあと、病気のことも」

 小鳥「さぁ、どうでしょうね。そこまでプライベートなことは」

 ***

 ドラマの撮影現場


 春香(30)『もしかして、ファンの方ですか?』

 美希(28)『美希、休憩中はしっかり休みたいの』

 リリー「いいえ、殺人課のラッシュです、っこっちはヴァレンズ」

 ヴァレンズ「どうも」

 美希「殺人課?美希、誰も殺してないよ」

 春香「もう美希、そういうこといわないの」

 春香「それで、殺人課の刑事さんが何の用ですか?」

 リリー「13年前にあなたたちのプロデューサーが殺された事件について再捜査してるの」

 ヴァレンズ「なんでも、君たちはプロデューサーに好意をもっていたとか」

 美希「それが、何の関係があるんですか」

 リリー「あなたたち、彼が死んだ月に彼に『もてあそんだ罪は重い』って言ったそうじゃない」

 春香「あぁ……あの事ですか。確かに言いましたし、冷たくしました」

 美希「でも、殺してはいないよ。そうしたら、アイドルできなくなっちゃうから」

 ヴァレンズ「じゃあ、病気がうつるってどういことだ」

 美希「あれは・・・その・・・ねぇ、春香」

 春香「私に振らないでよ!」

 リリー「何があったの」

 春香「いや……え~っとですね……」

 ヴァレンズ「ここで話さないって言うなら、残念だけど署まで来てもらうことになるな」  

 美希「それは、や!春香、もう話してもいいんじゃないの」

 春香「美希がそういうなら……はぁ」

 リリー「よっぼど酷い事なの?」

 春香「当時の私たちには衝撃でしたね」

 美希「出来ることなら、知りたくなかったの」

 春香「あれは、美希との仕事が終わって楽屋に戻ろうとした時だったわ」

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 春香『ぬあああああん疲れたもおおおん』

 美希『春香っていつも疲れてるの、今日だって転んでただけじゃん』

 春香『いやいや、他にもトークしたり歌ったりしてたじゃん!?』

 美希『そうだっけ……あれ、あそこの喫煙所にいるのってハニーじゃない?』

 春香『ほんとだ、でもプロデューサーさんって吸わないよね』

 美希『怪しいの、春香、ちょっと覗きに行くの!』

 春香『そ、そうだね……』

  喫煙所

 美希『ハニー誰かと一緒にいるみたい』

 春香『う~んとね・・・・あれってジュピターの冬馬くんじゃないの』

 美希『確かに、そうなの・・・何してるんだろ』

 春香『もうちょっと近づいて聞こう』

 ****

 p『また、うちのアイドルに嫌がらせをしたみたいだな』

 冬馬『言っただろ、お前らの姿勢がむかつくんだよ』

 冬馬『幼稚園のお遊戯じゃないんだ、なかよしこよしで行けるほど甘くねェんだよ』

 p『嘘だな、おまえも仲間がいるならそんなことは言えないはずだぞ』

 p『もっと、素直になれ』

 冬馬『黙れよ!!』ドンッ

 p『っ……』


 春香(うわぁ、ちょっとこれやばいんじゃないの)

 美希(ハニーに暴力振るうなんてあいつ絶対将来dvするの!)

 p『気が済んだか、冬馬』

 冬馬『だから、黙れって言ってんだろ』グイッ

 春香(うわうわ、胸倉つかんでるよ……てか、顔近っ!?)

 美希(てか、何で2人ともその状態で見つめあってるの・・・・あ)

 春香(あ……)

 私たちは絶句した……

 チュッ

 冬馬『////』

 p『お前なぁ・・・・やっぱ素直じゃないな』

 冬馬『うるせぇ……したかったんだよ、悪いか』

 p『だったら、うちのアイドルに突っかからずに俺のとこに来いよ』

 冬馬『で、できるわけねぇじゃん……恥ずかしい』

 p『かわいいやつめ』

 冬馬『////』

 p『しょうがない奴だ』ギュッ

 冬馬『あっ……』

  ***

 美希『』 

 春香『』


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 美希『……』

 春香『……』

 春香「これが真実です」

 リリー「……つまり、2人は……」

 美希「そういう関係だったってわけなの」

 ヴァレンズ「たしかに、絶句もんだ」

 春香「ほんと……」

 リリー「このことは誰か他には?」

 春香「多分、私達だけかと」

 リリー「そう、ありがとう」

 美希「はぁ……休憩あと10分もないの」

 ***

 署内

 ヴェラ「・・・・・」

 ウィル「・・・・・」

 ボス「・・・・・・」

 リリー「天ヶ崎冬馬とpはそういう、関係にあったみたいです」

 ヴェラ「・・・・・」

 ウィル「・・・・・」

 ボス「・・・・・・」

 リリー「何でそのことを隠してたか、明日聞いてこようと思います」

 ヴェラ「・・・・・」

 ウィル「・・・・・」

 ボス「・・・・・・」

 リリー「何か反応しなさいよ!」ドンッ

 ****
 刑務所

 冬馬「なぁ、ちゃんと話したんだから減刑のほうはしっかりやってくれよ」

 ヴァレンズ「話してないだろ」

 冬馬「何のことだよ」

 リリー「ねぇ、教えてくれない、あなたって受けと攻めのどっちなわけ?」

 冬馬「はぁ?」

 ヴァレンズ「とぼけるなよ、お前pと出来てたんだろ」

 リリー「喫煙所でキスまでするほど、熱い仲だったんですってね」

 冬馬「…………」

 リリー「何で黙ってたの?」

 冬馬「別に関係ないだろ」

 リリー「なら、なおさら言えるでしょ、それとも彼とのことは話せないような爛れた関係だったの?」

 冬馬『何も知らない癖に勝手なこと言うな!』

 冬馬「俺たちは本気で……愛し合ってた。男同士だろうが関係ねぇよ」

 冬馬「でも、現実はそんなに簡単じゃなかった」



 リリー「今ほど同性愛に寛容じゃなかったものね」

 ヴァレンズ「何かあったのか?」

 冬馬「誰かにゆすられてるみたいだった」

 冬馬「あいつ、金は持ってるはずなんだ、でもよく俺にせびって来たんだ」

 リリー「心当たりは?」

 冬馬「さぁあな。でも、銀行口座がどうとかいってたから口座を調べれば分かるかもな」

 ***

 小鳥宅

 リリー「本の売り上げは上々みたいですね」

 小鳥「えぇ、ようやく安定してきました。日ごろの妄想がこれほどまでに身を助けるなんて」

 ヴァレンズ「いつ頃から書き始めてたんですか」

 小鳥「実は、765プロの事務員時代から書き始めてて、でも当時はお金がなくてなかなか思うように行かなかったんですよ」

 リリー「へぇ、それは大変でしたね」

 小鳥「ですね……それで、今日はどんな御用でしょうか?」

 ヴァレンズ「例のプロデューサー殺しの犯人のことで」

 小鳥「そうですか、見つかったんですか?」

 リリー「いいえ、まだ。でも、彼について調べてたらちょっと面白いことが分かったんです」

 ヴァレンズ「この資料見てください」

 小鳥「こ、これって……」

 リリー「そうです、彼の銀行口座の記録です。」

 ヴァレンズ「これによると、どうやら彼は誰かに大金を送ってたみたいなんですよ」

 リリー「一体誰だと思います?」

 小鳥「えっと……誰ですかね・・・」

 リリー「あなたよ、小鳥」

 小鳥『!?』

 小鳥「あはははは、何のことですか・・・??」

 ヴァレンズ「良く見るんだ!これによると10万円以上は一度に振り込まれている」

 リリー「どうみても、同僚にあげるような額じゃないわよね」

 ヴァレンズ「もしかして、何か弱みでも握っていたんじゃないのか?」

 小鳥「うぅ……そ、それは・・・・」

 リリー「ねぇ、小鳥。昔に出本だけど……この表紙の2人って誰かに似てない?」

 小鳥「分かったわ……分かったわよ……はぁ」

 小鳥「そうよ、私はプロデューサーさんのあの事を知ってしまったわ。」

 小鳥「たまたま、覗いた携帯の待ち受けが2人のプリクラだったの……」

 小鳥「それを見てビビッときたわ。今の私なら、すごいものが作れるって」

 リリー「でも、そんなお金はない」

 ヴァレンズ「そこで、最高のカモが来たってわけだ」

 小鳥「魔がさしてしまったの……ほんとに悪かったと思ってる」

 小鳥「でも、殺してなんかいないわ。何度か送ってもらってそれっきりよ」

 リリー「このことを誰かに話した?」

 小鳥「いいえ、全盛期のあの頃にそんなこと漏らせないわ」

 小鳥「そうだ、そういえば、プロデュサーサーんが死ぬ1週間前、亜美真美ちゃんのお父さんが訪ねてきたの」

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  事務所

 双海父『おい!あのプロデューサーはどこにいるんだ!』バァンッ!

 小鳥『ちょっと、どうされたんですか双海さん!?』

 父『どうしたもこうもない、事務所は知ってたんだろ!どうなんだ!!』

 小鳥『一体何のことでしょうか……』オロオロ

 美希『んもう~、お昼寝の邪魔しないでほしいの』ムクリ

 美希『もうちょっと、静かにしてほしいの』

 父『なぁ、君も知ってるだろ、プロデュサーのこと!』

 美希『ハニーがどうしたの?』

 父『君のプロデューサーは同性愛者なんだ』

 美希『知ってるよ』

 父『へ?』

 美希『すっごくショックだった。美希、ハニーのこと好きだったから。』

 父『そっか、君もか……くっ』

 父『なあ、あいつを恨んでるか?』

 美希『ちょっとだけ……だって騙されてたからずっと……』

 父『そうだよな、君だってあいつに弄ばれてたんだ、仕返ししてやりたいよな?』

 美希『うん……』

 父『そうかそうか……わかった、邪魔して悪かったな、帰るよ』スタスタ

 小鳥『双海さん……』

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小鳥「今思えば、あれを止めておけば・・・」

 リリー「双海父のいっていた、『君も弄ばれた』・・・」

 ヴァレンズ「まさか、またあっちの展開かな」

 小鳥「たぶん、真美ちゃん達のことだと思いますよ。あの2人もプロデューサーさんのこと好きみたいでしたし。」

 リリー「娘を裏切られた男と」

 ヴァレンズ「純情を裏切られた女……」

 リリー「ちょっと、仕返しがきつかったみたいね」

  ****

 取り調べ室a

 美希「人気芸能人の美希を来んなところに連れてくるなんて、どうことなの」

 リリー「あなたも警察に嘘つくことなんてどういうことかしら」

 美希「何のことかわからない」

 ***

 取り調べ室b

 父「一体どういうことだ」

 ヴァレンズ「お前嘘ついただろ」

 父「だから、何のことだ」

 ボス「双海さん、あんたはpが死ぬちょっと前に事務所にきたそうじゃないか」

 父「っ……」

 ヴァレンズ「知ってしまったんだろ、pのこと」

 ボス「娘が大好きだったあいつのこと」

 父「それは・・・」

  ***

 リリー「pの死ぬっちょっと前に亜美真美のお父さんが事務所に乗りこんできたらしいわね」

 美希「だからなんなの」

 リリー「彼は知ってしまったの、pがホモだってこと。彼の娘、亜美真美もあなたと同じように彼のことが好きだった、でも彼はそれを裏切った。」

 美希「最低なの……」

 リリー「怒った彼は彼に仕返しをしようとしたんじゃない?」

 リリー「あなたを誘って」

 美希「……」

 ***

 父「それは……くっ……」

 ボス「自分の娘が嫌な気持ちにさせられて怒らない親はいない」

 ヴァレンズ「信用して、娘を預けていたならなおさらだ」

 父『当たり前だ!』

 父「あんな男を好きになってしまったせいでうちの娘たちは心に傷を負った。まだ12歳だったんだぞ!」

 父「許せるわけがない……」

 ****

 美希「美希はただ……元のハニーに戻ってほしかっただけなの」

 美希『美希をキラキラさせてくれたあのハニーに』

 美希「でも、駄目だったの」

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  事務所

 美希『もしもし、ハニー?』

 p<美希か……どうしたんだ、今日は休みだろ。それにこれって事務所の電話じゃ・・・ 

 美希『ねぇ、美希のこと好き?』

 p<な、何を急に!?

 美希『ねぇ、答えて』

 p<……好きだよ

 美希『それはアイドルとしてって意味それとも女として?』

 p<もちろん、女としてだ

 美希『うそ、なの』

 美希『ハニー、本当は冬馬くんの方が好きなんでしょ』

 p<美希……知ってたのか

 美希『ねぇ、やっぱおかしいよハニー。なんで、美希じゃなくて男の人なんかと……やっぱハニーは病気だね』

 p<美希……すまない

 美希『もういいよ、ハニー。最後に美希の頼みを聞いて』

 p<あぁいいよ

 美希『今から、橋の下に来て。』

 p<橋?何があるんだ?

 美希『……それは言えないの。』

 p<わかった。お前が言うなら行くよ。じゃあな、美希

 美希『さよなら……ハニー』

 p<?

 ****

 橋の下

 p『双海さん……どうして、あなたがここに』

 父『自分の胸に聞いてみるんだな、ゲイ野郎』

 p『あなたも知ってたんですか……』

 父『娘を預けているやつの身辺調査は父親の義務だ』

 p『うちのアイドル使って俺をおびき寄せるのも?』

 父『黙れ!』

 父『お前は娘を裏切った』チャキッ

 p『俺を撃つ気ですか、いいんですか。俺がいなくなれば亜美たちの仕事がどうなるか……』

 父『うるさい!おまえみたいなのといっしょにはさせておけない』

 父『お前のせいで娘は泣く羽目になったんだ……これはその報いだ!』

  パァン!

 p『うがっ……うぅ……』 

 父『今のは美希ちゃんの分だ。』

 父『そして、これは娘の分だ……』

 パァン!パァン!

 p『』

 父『はぁはぁ……これで良かったんだ……』

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 参考ed http://www.youtube.com/watch?v=afdi9wo8f40


 2人の証言により、pは美希に電話で呼び出され、双海父に射殺ということが分かった。

 これにより、プロデューサー射殺事件は解決した。

 人気芸能人の星井美希が逮捕されたとあって、それは盛大に報じられた。

  ***

 小鳥『今度の新作はズバリ、刑事ものよ!』

 編集「なるほど、いいですねぇ!」

 小鳥「イケメン刑事とその同僚の恋……」

 小鳥「いいわね!」


 ***

 tv<13年前に殺された765プロのプロデューサーの事件ですが……

 tv<星井美希、双海父の2人が犯人だということで……

 tv<とくに星井美希は人気タレントということで、今後の芸能界にどのような影響を……

 社長<この度はわが765プロのアイドルが……

 春香『美希……』

 春香「……」

 ***

 社長<これからの我々の活動と致しましては……

 社長<まだ、検討の最中でありまして……今後は……

 黒井『ふんっ……馬鹿め』

 黒井「はぁ……」

 ***

 橋の下

 冬馬「別にこんなとこに連れて来いとはいってねぇぞ」

 リリー「あら、そうだったかしら」

 リリー「車の中でソワソワしてたのは誰かしら?」

 冬馬「くっ……あ、ありがとうな」

 p『素直じゃないなぁ、お前って』

 冬馬『う、うるせぇ!』

 p『はいはい、かわいいかわいい』

 冬馬『か、勝手に言ってろ///』

リリー「…………」



 end

半端な投稿間隔でしたが、終わりです。

ありがとうございました。

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