モバP「欄外のピース」 (100)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399036432

こんばんは。古典シリーズです。
まぁ、前回言った通り、外伝なのですが。

事務所
ちひろ「プロデューサーさん」

P「なんですか?」

ちひろ「封筒です」

P「はい。どうも」

ちひろ「なんですかね」

P「履歴書ではなさそうですね…あ、これか」

ちひろ「なんです?」

P「アイドルライブの誘いですね」

ちひろ「えっ、凄いじゃないですか」

P「えーと、何々、三人組のユニットを二組まで作って参加してください…か」

ちひろ「ライブをやってお客さんの投票で順位を決めるって感じですか?」

P「そんな感じみたいですね」

ちひろ「へぇ、そんなものがあるんですね」

P「ちなみに一曲だけだそうです」

ちひろ「尺の関係ですかね?」

P「そこら辺は何とも」

ちひろ「絶対出れない人って誰かいましたっけ?」

P「美嘉と莉嘉と夕美ですかね」

ちひろ「あぁ、そう言えばロケに行ってましたね」

P「えぇ、自然が一杯で莉嘉と夕美は楽しいみたいですよ。美嘉は苦手らしいですけど」

ちひろ「あぁ、そんな気がします」

P「とりあえず、愚痴は昨日一通り聞いたんで頑張ってくれると思います」

ちひろ「マメですね」

P「電話掛かってきたから話しただけですよ」

ちひろ「またまたー♪」

P「あ、そうだ」ポチッ

ちひろ「あ、頼子ちゃんが出てますね」

頼子『毛利元就が伝えたと言われていますが――』

P「解説が板に付いてきていますよね」

ちひろ「えぇ、落ち着いた雰囲気でいい感じです」

P「ちなみに文香も次のコーナーで出ます」

ちひろ「深窓の令嬢コンビですね」

P「初めて聞きましたけど、合ってますねソレ。この二人も忙しいと思います」

ちひろ「それを言っちゃったら皆忙しいですよね」

P「嬉しい悲鳴です」

ちひろ「プロデューサーさん的には決まってるんですか?」

P「えぇ、実は」

ちひろ「誰なんですか?」

P「一つは、杏と幸子と小梅ですかね」

ちひろ「もう片方は?」

P「凛と卯月と…」

ちひろ「卯月ちゃんと?」

P「まだ決まってないんですよね」

ちひろ「そうなんですか」

P「とりあえず、その五人には話しておきたいと思います」

ちひろ「あとで呼んでおきますね」

杏「んで」

幸子「どうかしたんですか?」

小梅「……?」

卯月「五人で戦隊モノでもやるんですか?」

凛「私は蒼がいいな…」ボソッ

P「いや、実はな――…」

卯月「なるほど…」

幸子「ユニットですか」

杏「こっちのユニットのリーダーは幸子ね」

幸子「えっ、なんでですか…」

杏「責任感強いし、適任じゃない?」

幸子「そうですかね…」ポリポリ

小梅「私も…いいの?」

P「あぁ、勿論」

小梅「…やった♪」

卯月「あと一人誰になるんだろうね?」

凛「プロデューサー次第だね」

神社

P「さて…」

茄子「珍しいですねー」

P「いや、ちょっと神様にでもお願いしたい気分でさ」

茄子「私もお願いした方がいいですか?」

P「他にあればそっちでもいいけど」

茄子「いえいえ、一緒にお願いしますよ」

P「ありがとな」

茄子「あなたの幸せが私の幸せですから」

P「…そうか」

茄子「はい♪」

チャリーン

「しぶりんとうづきんが成功しますように~」

P(しぶりんとうづきん?)

P(どう考えてもあの二人だよな…)

P「あの…」

「は、はいっ!」

P「渋谷と島村と知り合いか何かですか?」

「そうで…い、いえっ、違います!それじゃっ!」

P「あ…」

茄子「行っちゃいましたね…」

P「名前だけ知ってるファンの子かな」

茄子「それもそれで嬉しいですねー」

P「そうだな」

しぶりんと来たらしまむー

事務所
凛「へぇ、そんな子に会ったんだ」

卯月「そんなあだ名で呼ぶ人なんて未央ちゃんくらいしか知らないけど、ファンの人もそう呼んでるんですねー」

P「未央ちゃん?」

凛「私達の友達だよ」

卯月「この子です」

P「あぁ、この子か」

茄子「さっきの子ですね」

凛「未央に会ったんだ」

卯月「未央ちゃんが私たちの為にそんなことを…」ジーン

P「いい子だな」

凛「そうだね」

>>12
そう言われればそうですね

神社

茄子「あ、またいますね」

未央「んー、今日は奮発して50円入れちゃおう!」チャリーン

P「こんにちは」

未央「へ?あ、昨日の…あっ、わ、私は別にしぶりん、渋谷さんの知り合いとかじゃ…」

P「本田未央さんですね」

未央「へ?そうですけど」

P「私、渋谷凛と、島村卯月のプロデューサーをしている者です」

未央「あ、そうなんだー。二人から聞いたのかな?」

P「はい」

未央「二人共元気でやってる?」

P「えぇ。そうですね。見てみますか?」

未央「え、いいの?」

P「まぁ、いいでしょう」

茄子「いいんじゃないですか」

レッスン場

未央「うわー、凄いね」

P「そうですか?」

未央「うん。なんかアイドルって感じ」

P「ちょっと私は仕事があるので、事務所の方に戻ってますので何かありましたら」

未央「あ、どうもー」

>>15
あ、ここで神社に行っているのは、翌日の話です。

事務所

P「どうしたもんかね…」

ちひろ「ユニットの件ですか?」

P「えぇ、美嘉とだったら、ラジオもやってますしいいかなとも思いましたけど」

P「今いる子で何でも出来そうなのは、楓さんとか菜々さんですけど、方向性がちょっと…」

ちひろ「凛ちゃんのウサミン♪ってのは見たいですけどね」

P「それは俺も見たいですけどね」

ちひろ「そう言えば、周子ちゃんと泰葉ちゃんもドラマの方が…」

P「でしたね。嬉しい悲鳴です」

P「もの凄いファジイなこと言っていいですか?」

ちひろ「どうぞ」

P「まだ欠けたピースが見つかってないんですよ」

ちひろ「……はい?」

P「あ、いえ、凛と卯月を補えるようなアイドルが思いつかなくてってことです」

ちひろ「あぁ、なるほど。それは技術的にですか?」


P「そこら辺は何とも言えないんですけどね」

ちひろ「そうですか…」

ガチャ

小梅「また…人増えるの?」

P「そんなことはないと思うけど」

幸子「あ、Pさんっ!」ギュ

P「どうした?」

杏「ん?映画見てた」

幸子「こ、小梅さんがですね、仲良くするには、一緒に何かするのがいいって」

小梅「だから…映画見てたの」キラキラ

P「その感じからしてホラーか」

小梅「うん…」

杏「まぁ、面白かったっちゃ面白かったけどね」

ちひろ(でも、ちゃっかりプロデューサーさんの袖握ってますね)

幸子「も、もう、夜一人で寝れません!」

杏「杏は寝れるけど」

P「二人で寝たらどうだ」

小梅「私も…一緒に」

杏「え、杏の部屋に来るの?家事して貰うけどいい?」

幸子「そ、それでもいいですからっ!」

杏「交渉成立だね」

小梅「…だね」

レッスン場

凛「どうしたの未央?」

未央「あ、バレてた」

卯月「さっき来てたよねー」

未央「そうなんですよー」

凛「何しに来たの?」

未央「ん?えっと、プロデューサーさんが、練習でも見てたら?って言ってくれたから」

卯月「あ、私達のことお参りしてくれたって聞いたよ、ありがとねー」

未央「べ、別にそんなの大したことじゃないって」

未央「応援するのは当然のことでしょ。もう、しまむーったらー」

凛「あ、この後事務所に寄る用事があるんだけどどうする?」

未央「えっと、それは私がいていいのかな?」

卯月「なんかビデオを見るとか言ってたから平気じゃないかなー」

未央「それならご一緒させて貰おうかなー」

事務所

蓮実「あ。お帰りなさい」

凛「ただいま」

泰葉「おかえりなさい」

未央「あ、岡崎泰葉ちゃんだー可愛いなぁ」

泰葉「えっ、あ、どうも…」

泰葉(誰だろう…?)

凛「どうしたの?」

P「ん?対戦する相手の映像をゲットしたから見ようと思ってな」

卯月「そんなのゲット出来るんですね」

P「まぁ、前も出場してたしな。あと、こっちにはちひろさんもいるし」

ちひろ「いい商売になりました」

幸子「ふ、深くは聞かないことにします」

P「それじゃ、流すな」ポチッ

P「あ、杏たちの相手は別のこっちのディスクに入ってる」

杏「はい。幸子」

幸子「む、向こうで見ましょうか」

P「――っと以上だ」

蓮実「…あ、私練習してきますね」

ちひろ「あんまり遅くならないで下さいね」

蓮実「はい。分かってます。健康管理もアイドルの仕事ですから」

ガチャ

幸子「終わりました…」

P「幸子たちは帰るか?」

杏「そうだね」

幸子「えっ、ええ?」

P「凛たちは?」

凛「未央と帰るから送ってくれなくていいよ。ありがと」

P「分かった。気を付けろよ」

車内

幸子「ど、どうしましょう」アタフタ

P「何がだ…」

幸子「だって、見ましたよね?あの人達完成度凄いですよ」

幸子「踊りだって、歌だって」

小梅「……?」

杏「焦りすぎだって」

幸子「そ、そうでしょうか…」

杏「リーダーだからって気負いすぎだって」

幸子「杏さんが気負わな過ぎじゃないんですか…?」

杏「杏はほら、そういう柄じゃないから」

幸子「だ、だって、事務所の代表として出るんですから…」

P「幸子、まだ時間はあるから、安心しろ。な?」

幸子「は、はい…」

杏「……」

未央「いやー、凄かったね」

凛「……」

卯月「そ、そうだねー」アハハ

未央「ん?どうしたのしぶりん?元気ないねー」

凛「別にそんなことはないけど…」

未央「この未央ちゃんに隠し事なんて無駄だぞー」

卯月「あはは…」

未央「よし、決めた。今日はしぶりんの家でご飯食べよう」

凛「え…」

卯月「あ、いいねそれっ!」

未央「でしょでしょ」

凛「…家に確認してみるね」

凛の家

凛「なんで、泊まることになってるの?」

卯月「あははー、ごめんね」

未央「なんか、元気なさそうだったし」

凛「…ありがと」

卯月「でも、さっきの人達凄かったね」

未央「そうだねー。でも、しまむー達だってきっとあれくらいは出来るって」

凛「ありがと」

卯月「未央ちゃんありがとね」

未央「な、なにさ、二人して、照れるじゃんかー」

未央「あ、見て見て」

凛「…なに?」

未央「二人が躍ってた踊りの真似」

卯月「上手だねー」

未央「ふふーん。この未央ちゃんを舐めちゃいけませんよ」

未央「と、とにかく、二人共頑張ってね!グッズでも作ろうか?」

未央「こう団扇とか、半被とか…」

卯月「そこまではいいよ…でも、嬉しいなー」

凛「ありがと、未央」

未央「気にしないでって、私達の仲じゃん」

卯月「いつか三人で何か出来たらいいねー♪」

凛「…そうだね」

未央「そう言えば、プロデューサーさんってなんかお兄さんみたいだよね」

卯月「あ、分かるかもー」

凛「そうかな」

未央「ありゃ、違った?」

凛「まぁ、確かに頼りになるし、っぽいと言えばっぽいか」

未央「しぶりんがそこまで信頼してるのを見ると良い人なんだねぇ…」

凛「いい人って、別に…」ゴニョゴニョ

未央「ん?どうかしたの?」

凛「…なんでもない」

翌日
事務所

杏「また見てんの」

P「ん?あぁ、杏か。昨日はどうだった?」

杏「平和だったよ。ただ、小梅の目覚ましがホラーチックで幸子が飛び起きたくらい」

P「一発で目が醒めそうだな」

杏「本人曰く、地獄に引きずり込まれる夢を見たらしいけど」

P「気持ちは分からなくない」

杏「そう言えばさ」

P「どうした?」

杏「勝って欲しいの?」

P「ん?あぁ、ライブか。そりゃな、勝って欲しいさ」

杏「ふーん」

P「幸子は負けるって焦ってたけど、杏はどうなんだ?」

杏「別に。飴貰った分は頑張るけど」

P「そうか…」

杏「幸子ほど、悲観的じゃないんだけどね杏は」

P「どういうことだ?」

杏「幸子はさ、責任感が強すぎるんだよね、なんでも抱え込んで。だから杏と組ませたのかもしれないけど」

P「どうだかな」

杏「そこははぐらかすんだ。…まぁ、実際杏は負ける気はないんだけどね」

P「珍しく熱い意見だな」

杏「熱くなんかないよ。事実なだけ」

P「そうか。流石だな」

杏「そう言えば、凛の方ってもう一人決まったの?」

P「それが…まだなんだ」

杏「ちひろさんにでも頼んだら?」

P「頼んだけど断られた」

杏「もう頼んでたんだ…」

P「まぁ、半分くらい冗談だったからいいんだけど」

杏「半分は本気だったんだね」

P「勿論」

P「ユニットってやっぱりお互いの欠点を補っていきたいよな」

杏「そりゃね」

杏「弱点があるとは思えないけど」

P「ほとんどないと俺も思う」

P「ただ…ない訳じゃないんだ」

杏「なに?」

P「卯月は優しすぎて人の上に立って引っ張っていくタイプじゃない」

杏「あー、それは分かるけど。それは欠点?」

P「いや、補佐役としてはいいと思う」

杏「だよね」

P「それで凛は幸子と同じで焦り過ぎる気がある」

杏「あーそれは分かる。何でも抱え込みそうだよね」

P「そうだよな」

杏「二人共一番長くこの事務所いるし…」

P「あぁ、事務所を代表してるって気負いがあるかもしれない」

杏「そんなこと幸子も言ってた」

P「もしもの時は頼んだぞ」

杏「飴分だけならいいよ」

ちひろ「あ、思いついたんですけど…」

P「はい」

ちひろ「加蓮ちゃんはどうですか?」

P「ちょっと体力面に不安が」

P「熱気と独特の雰囲気がよく作用する可能性はありますが、体調を悪くする可能性があります。体が丈夫になってきたとは言え、まだ不安が残ります」

P「同じ理由で蓮実も厳しいですね。ま、あくまで可能性なんですけどね」

ちひろ「なるほど…」

P「一応、数人に打診してみます」

レッスン場

卯月「り、凛ちゃん…」

凛「…なに?」

卯月「ちょっと休もうよぉ」

凛「卯月は休んでていいよ。私はやらなきゃ」

卯月「倒れちゃうよ…?」

凛「でも、私が頑張らないと…」

加蓮「はい、きゅうけーい」ガシッ

凛「か、加蓮?」

加蓮「とりあえず、今の凛は怪我の恐れがあるから休憩」

凛「平気だって」ムッ

加蓮「プロデューサー命令でも逆らう?」

凛「そうなの?」

加蓮「あの人、凛の性格よく知ってるよねぇ。絶対無理するから休ませろって」

凛「でも…」

加蓮「でも、何もない。休むことも仕事だ。だって」

凛「……分かった」

加蓮「うん。頭撫でてあげようか?」

凛「いらない」

幸子「……」ゼェゼェ

杏「お、頑張ってー」

小梅「……げふ」

幸子「だ、大丈夫ですか?」

杏「今、変な声が聞こえたけど」

小梅「だ、大丈夫…」

幸子「今回、中々難しいですね…」

杏「だから、ここで、こうやって、こうしてこんな感じだって」

幸子「ちゅ、抽象的過ぎですよ…」

小梅(なんで、あんな感じで出来るんだろう…?)

幸子「あーもう、頭がこんがらがってきました」

小梅「……」ジー

杏「ん?どしたの?」

小梅「…なんでもない、よ?」

小梅(なんで、あんなに靴が汚れてるんだろ…洗濯してないのかな?)

杏「そ。てなわけで、皆休憩」

未央「今日も頑張ってたねー」

卯月「体が痛いよー」

未央「この未央ちゃんに任せなさーい」モミモミ

卯月「あー、効くー」

蓮実「大丈夫ですか?」

卯月「うん。気持ちいいだけ」

未央「長富さんは真面目だねー」

蓮実「い、いえ、そんなことは…私は、私の出来ることをやってるだけですし」

未央「偉いよね?しまむー?」

卯月「うんっ、凄いと思う」

蓮実「早く島村さんに追いつけるように頑張りたいと思います」

卯月「あれ、凛ちゃんは…?」

蓮実「まだ…」

未央「え、ホント?」

卯月「一応加蓮ちゃんが見てるから無理はしてないと思うけど…」

レッスン場

加蓮「帰るよー」

凛「あと…一回」

加蓮「ダメ。帰る」

凛「お願い」

加蓮「だめ」

凛「ケチ」

加蓮「凛の為だからしょうがないよ」

凛「加蓮って私が入った時のことって知ってる?」

加蓮「いや、聴いてないけど」

凛「私の口からは言う気はないけど、今度誰かに聞いてみて」

加蓮「うん?」

凛「私は絶対に負けちゃいけないの」

加蓮「それでも、休憩しないと倒れるって。あの人に電話するよ?」

凛「…分かった。止める」

加蓮「うん、あ、そうだ。新作のハンバーガーが出たっぽいから一緒に食べにいかない?」

凛「油ものはちょっと…」

事務所

ピリリリ

P「はい。なんだ、幸子か」

幸子『な、なんだじゃないでしょう』

P「悪い悪い。どうした」

幸子『ど、どうすれば勝てるでしょうか』

P「ん?」

幸子『ボ、ボクがリーダーなんか務めて勝てるでしょうか…』

P「自信がないのか?」

幸子『そ、そんなわけないじゃないですかっ!』

幸子『メンバーの中で一番古くからいるボクがリーダーなのは当たり前ですっ!』

幸子『でも…』

P「でも、不安か?」

幸子『ボクのせいで、負けたら…』グスッ

P「幸子」

幸子『はい』

P「今まで、空から落ちたり、色々な仕事をしたよな」

幸子『は、はい…。もう飛びたくないですが』

P「それ以外も色々仕事したな」

幸子『は、はい…』

P「それは間違いなく幸子の力になってるんだ」

幸子『……』

P「自分がリーダーじゃダメかも? 誰が選んだと思ってるんだ」

P「幸子、幸子が幸子自身を信じられないなら俺を信じろ」

幸子『…はいっ!』

P「幸子が信じている俺が幸子を選んだんだ。即決で。何も恐れるな。ステージでは、堂々と振る舞え。傲慢と思えるくらい自分が一番、世界で一番カワイイ。それが、輿水幸子だろ?」

幸子『……ふふふ。よく分かってますねPさんは!』

幸子『本当はPさんが不安でしょうがないだろうなーって思って電話したんですが、杞憂だったようですね!』

幸子『それでこそボクのプロデューサーにふさわしい人です。ファンの方が担ぐ神輿の上で華麗に舞ってみせますよ』

幸子『それじゃ…おやすみなさい』

P「あぁ、おやすみ」

ちひろ「誰からですか?」

P「プレッシャーに潰されそうな人の一人からです」

ちひろ「幸子ちゃんですか」

P「よく分かりましたね」

ちひろ「もう一人は凛ちゃんですね」

P「一応監視役は付けたんですけど…」

ちひろ「加蓮ちゃんですね」

P「えぇ」

ちひろ「一緒に練習してなきゃいいですけど…」

ガチャ

凛「あ、お疲れ」

P「お疲れ」

凛「帰るね」

P「送ろうか?」

加蓮「アタシと出かけるからいいよ。凛は渡さないから」

P「そうか。気を付けてな」

凛「うん。ありがと」

数日後

レッスン場

未央「頑張れー」

蓮実「こんにちは」

未央「あ、こんにちはー」

蓮実「熱心ですね」

未央「私に出来るのはこれくらいしかないからねー」

蓮実「良ければ、一緒に踊りません?」

未央「ん?」

蓮実「一人であの中には入るのはちょっと…って感じでして」

未央「なるほどねー。オッケーオッケー」

ちひろ「あ、本田さーん」

未央「はい?」

ちひろ「ちょっと、プロデューサーさんが呼んでるんで事務所まで来て貰っていいですか?」

未央「はーい」

未央(やっぱり不味かったかな…)

蓮実「私も一緒に行きます。言い出したのは私ですから」

ちひろ「あ、いえ、怒るとかじゃないみたいですよ」

未央「え?」

事務所

P「あ、どうも」

未央「どうも。あ、勝手に練習入っちゃってすみません」

P「蓮実から連絡来ましたけど、そこまで気にしなくていいですよ」

未央「それじゃ、なんで」

P「最近の凛はどうだ?」

未央「しぶりん?」

P「気負い過ぎてないか?」

未央「あー、その気はあるかも。しまむーとも話してたけどそんな感じはするね」

P「そうか…。まぁ、俺があと一人を決めかねてるせいもあるんだろうなぁ」

未央「そんなことを聞きたかったの?」

P「えぇ、仲が良い人から見てどうなのかなって」

未央「まぁ、しぶりんだから平気でしょ」

P「あ、俺が心配してたってことは言わないで下さい」

未央「了解。それじゃー」

ちひろ「不思議な子ですね」

P「えぇ、元気を貰った気分です」

ちひろ「それじゃ、お仕事頑張りますか」

P「仕事と言えば、テレビの仕事がこの間入りまして」

ちひろ「そうなんですか?」

P「えぇ、丁度今やるんじゃないかな」ポチ

ちひろ「あ、まゆちゃんですね」

まゆ『今日のコーデは大切なあなたを虜にしちゃう。そんなコーデです♪』

ちひろ「お昼のバラエティですか」

P「えぇ、知名度的にもお願いするのは余裕でした」

P「演技も上手いですねぇ、まるで自分に言われてるような気分になりますよ」

ちひろ「そうですねー」

P「あと、これですね」

ちひろ「あ、志希ちゃん」

P「堅いってイメージを払拭するために向こうからオファーがありました」

ちひろ「確かに志希ちゃんがいるだけで華やかになりますね」

P「この後若干一悶着あるんですよね」

ちひろ「そうなんですか?」

教授『なので、この公式が――』

志希『いや、多分これより、こっちの方が』カリカリ

ちひろ「あ、教授さんのチョークを…」

P「なんだかんだで我慢出来なかったんでしょうね」

志希『こっちの方が早いし、正確でしょ?』

教授『……』

ちひろ「こ、これ、大丈夫ですか?」

P「平気ですよ。だから俺はここでゆっくりと仕事が出来るんですから」

ちひろ「ま、まぁ、そうですけど」

教授『参りました…。いや、凄いですね』

志希『それほどでもないですけど。てっきり怒られると思ってました』

教授『これだけ理路整然と見せつけられては感服するしかありませんよ』

ちひろ「あ、笑ってる」

P「最近、あの教授も退屈していたらしくて、良い話相手が出来たって喜んでましたよ」

ちひろ「そういう可能性もあるんですね…」

P「ちなみににこやかに談笑してる当人の周りは全員ヒヤヒヤしながら見てました」

ちひろ「でしょうねぇ…」

神社

P「お願いします」パンパン

茄子「割とマメですよね~」

P「無理に付き合わなくていいぞ?」

茄子「好きでやってるんですから」

P「ならいいけど…」

茄子「決まりそうですか?ユニット」

P「どうだろうな」

茄子「Pさんは、立体パズルとかってやりますか?」

P「名前だけしか知らないな」

茄子「中々難しいんですよね」

P「そうなのか」

茄子「はい。平面じゃないんで」

P「確かに難しそうだ」

茄子「パズルのピースってそこにしかハマらないから大変なんですよね」

P「いや、そうじゃないとパズルじゃないし…」

茄子「あ、確かにそうですね~」

茄子「…偶然って信じますか?」

P「偶然ですか?」

茄子「はい」

P「信じますよ。じゃないと茄子にも会えなかったわけだし」

茄子「あっ、そうですね~」

茄子「なら、盲亀浮木って言う言葉は知ってますか?」

P「知りませんね…」

茄子「目の見えなくなった亀さんが、百年に一度浮き上がった時に、偶然浮き木の穴にハマってしまうってことがあったらしいんですよ」

茄子「そこから転じて、出会ったり、物事が実現したりすることがきわめて難しいって言葉だそうです」

P「確かに、それは、凄い偶然ですね」

茄子「私は計算したことないですけど、それこそ天文学的な確率なんでしょうね」

P「でしょうね」

茄子「穴にぴったりとハマっちゃうってことは、パズルの欠けたピースがその頭だったんですかね?」

P「木の穴を埋めるのは亀の頭だったってことですか?」

茄子「なんか偶然かもしれませんけど、そんな気がしませんか?」

P「夢のある回答です」

茄子「ですよね。それに難しいって言っても起きなくはないって、ことですよね」

P「そうですね」

P「しかし、そんな話をなんで?」

茄子「欠けたパズルのピースは意外な所から現れるかもしれませんよ?手持ちのピース以外の所から」

P「どういうことですか?」

茄子「本当はもう決まってるんじゃないんですか?ユニットに入れる人」

P「……さぁ?」

茄子「ふふふ。とぼけるのもあなたらしいです。それじゃ、一緒に事務所に行きましょうか」

P「そうですね」

茄子「あ、途中でお茶でもしていきますか?」

P「いえ、流石に時間が…」

茄子「あら、残念です~」

茄子(ま、今はこれで満足です…)

事務所

P「欠けたピースねぇ…」

ちひろ「どうかしましたか?」

P「いえ、幸運の女神からご神託を賜りましてね」

ちひろ「…はい?」

P「久々に直感を信じてみようと思います」

事務所

未央「こ、今度はなんですか?」

P「ちょっとだけ質問が」

未央「しぶりんもしまむー元気だよ?」

P「今、凛たちが踊ってる曲は踊れますか?」

ちひろ「え、何言ってるんですか…?」

P「いいからいいから」

未央「ま、まぁ、できなくはないかなーって」

P「そうですか。それじゃ、もう一つ」

未央「は、はい…」

P「アイドルになって、凛と卯月を支える気はないか?」

未央「…はい?」

P「それが出来るのはキミしかいない気がするんだ」

ちひろ(え…本気ですか?)

未央「で、でも、私よりも他の人がいるじゃないですか。蓮実ちゃんとか」

P「勿論そうだ。だけど、直感的にね」

未央「で、でも、私のせいでダメになったら…」

P「そこはほら、凛と卯月と頑張ろう。三本の矢は折れないさ」

未央「そこまで言うなら…今回だけ」

ちひろ「いいんですか?」

P「何がです?」

ちひろ「今のですよ」

P「今回のユニットに必要だと思ったんですよね…ダメですかね」

ちひろ「プロデューサーさんの手腕と直感は信じていますが…」

ちひろ「ここで、本田さんが二人にカッチリハマったら凄い偶然ですよね」

P「そうですね。でも、その偶然が起こる可能性はゼロじゃないと思いますよ」

レッスン場

蓮実「才能って存在するんですね…」ボソッ

未央「ほらほら~」

卯月「ちょ、ちょっと休憩」

未央「いえーい!」

ちひろ「元々運動が得意だったらしいですからね」

ちひろ(それでも、凄いなぁ…プロデューサーさんの言った通りになりそう)

蓮実「そうなんですね…」ハァ

ちひろ「…蓮実ちゃんちょっとこっちに来て貰っていい?」

蓮実「…はい?」

事務所

ちひろ「プロデューサーさんは…よし、いない」

蓮実「あの…何が?」

ちひろ「いいからいいから」

蓮実「は、はぁ…」

ちひろ「ウチのホームページがあるのは知ってますよね?」

蓮実「はい」

ちひろ「あれの更新は私の担当なんですよ」

蓮実「そうなんですね…」

ちひろ「それで、実は次回更新用のページなんですけど…」

蓮実「……」ジー

ちひろ「まぁ、定期更新って訳じゃないんで、いつになるか分からないんですけど」

蓮実「…あっ」

ちひろ「プロデューサーさんの指示でこんなものを作ったんです」

蓮実「私の紹介…ですか?所属アイドルとしての」

ちひろ「えぇ」

蓮実「……私も頑張ります」

ちひろ「あの人は厳しい所もありますけど、蓮実ちゃんに期待してなくはないんですよ」

ちひろ「見せるなって言われてた気もしますけど、特別ですよ」

蓮実「はい。私頑張ります。今は本田さんのサポートを全力でしたいと思いますっ!」

ガチャ

P「今、蓮実が元気よく出て行きましたけど何かありましたか?」

ちひろ「い、いえ、なんでもないですよ」

P「ならいいですけど」

ちひろ「えぇ、何もありません!」

レッスン場

凛「今日はいいかな…」ハァ

卯月「いきなり飛ばしすぎだよー…」

未央「なんかさ、嬉しくて」

凛「嬉しい?」

未央「私じゃないとダメって言われてさ、私なんかじゃダメだと思ってたのに」

未央「必要とされるのが嬉しいって感じ?」

凛「ふふ…そっか」

未央「あ、やっと笑った」

凛「え…そうかな」

未央「ずっと最近笑ってなかったよ」

卯月「うんうんっ!」

凛「そ、そうかな…」ポリポリ

小梅「――♪」

幸子「歌上手いですね」

小梅「そ、そうかな…」

杏「もう、杏の代わりに歌ってよー」

小梅「え、えっと…無理…かな」

杏「だよねー。知ってた」

幸子「…ん?その袋はなんですか?」

杏「飴。前払いだってさ」

幸子「結構な量がありますね」

杏「だよねぇ…」

杏(杏に何をさせる気なんだか…)

幸子「まっ、ボク達は出来ることをするだけなんですが」

小梅「…元気になった?」

幸子「ボクは元々元気ですよ?」

杏(なにかしたなPさん…)

自分で書いておきながら長いなコレ…。

数日後

ライブ会場

ちひろ「それじゃ、皆さん頑張って下さいね」

凛「うん。ありがと」

P「頑張れよ」

幸子「当たり前じゃないですか。Pさんはボクを見てればいいんですよ」

小梅「…頑張ろう、ね?」

ちひろ「始まりますね。あ、鍵どうしましょう?」

P「そっちの車の鍵はそっちで持っていて下さい」

ちひろ「分かりました。どっちも一位になれるといいですね」

P「それなりにグループがいますからね…どうなることやら」

ちひろ「アイドルの皆を信じるしかありませんね」

凛「行くよ」

卯月「うん」

未央「ここまで来たら腹括るしかないかー!」

卯月「大丈夫だよ。一曲だけなら踊れるって」

未央「だよね、だよね!」



幸子「さっ、行きますよ」

杏「んー」

小梅「…うん。負けない」

ワーワーワー

ちひろ「上手に踊ってますね」

P「声もよく通ってます」

P(本田って子もよく踊ってる…緊張しない質なのかな)

ちひろ「皆とっても輝いてます」

P「そうですね」

加蓮「お、始まったんだ」

P「お、加蓮」

加蓮「アタシも早くこんな熱気の中で踊ってみたいなぁ」

P「今回はごめんな」

加蓮「ん。謝ることはないって。アタシも体力的に、正直自信なかったし」

ちひろ「小梅ちゃんと杏ちゃんって歌上手いんですね」

P「小梅は知ってましたが、杏もここまでとは…」

加蓮「皆、歌上手いねー」

ちひろ「なんか気合いが入ってますよね」

P「飴を前払いで渡しましたから」

ちひろ「げ、現金ですね…」

ちひろ「あっ!」

P「凛…」

ちひろ「持ち直して…!あ、大丈夫ですかね?」

P「平気みたいですよ」

ちひろ「え…?あ、二人が」

P「直感は間違ってなかったみたいですね」

ちひろ「ビビっときました。って奴ですね」

P「そうです」

加蓮「頑張れー」

P「お疲れ」

卯月「ありがとうございまーす」

未央「楽しかったー」

凛「…お疲れ」

ちひろ「お疲れ様です」

幸子「ま、まぁ、ボクにかかれば」ゼェゼェ

小梅「……♪」

杏「後で飴追加で貰わないとやってられないね…」ハァ

ちひろ「あとは結果発表を待つだけですね…」ゴクリ

司会「それでは、発表致します。プロダクション対抗ライブAグループ優勝は……」

ワーワーワー

幸子「やったぁ!やりましたよ!」

P「おめでとう幸子」

幸子「あ、あれ…」ペタン

P「緊張が解けて腰が抜けたか。よいしょ」

幸子「わっ、わっ、何するんですか。おろして下さいよ」ジタバタ

P「今くらい甘えてもいいぞ」

幸子「…はい」ギュ

小梅(いいなぁ…)

P「小梅もよく頑張ったね」ナデナデ

小梅「…うん」

P「声とっても綺麗だった」

小梅「……」カァァ

杏「飴頂戴」

P「あとでな」

司会「それでは、続いてBグループ優勝は……」

ワーワーワー

ちひろ「え…?」

凛「嘘…?」

加蓮「…え?」

P「そうか……」

卯月「ざ、残念だったねー」

未央「やっぱり、私の努力が足りなかったかー」アチャー

杏「……」チラッ

P「……」

杏「あ、小梅ー」

小梅「…なに?」

杏「今日優勝したお祝いで、事務所の大きいテレビでホラー映画見ていいってさっきPさんが言ってたよ」

小梅「…ホント?」キラキラ

杏「うん。幸子とちひろさんも見るって」

小梅「…やった♪」

ちひろ「えっ」

幸子「えっ…」ヒクッ

P「ちひろさん、お願いします」

ちひろ「…分かりました」

小梅「早く、早く…」ワクワク

幸子(流石に耐性が付いてきた気がします)

杏(この疲れ方からして寝るかも…)

ちひろ「そ、それじゃ、皆行きましょうか」

加蓮「あ、ちひろさん。アタシも事務所に忘れ物しちゃったから送っていってくれない?」

ちひろ「分かりましたー」

車内

P「さ、皆どこかでご飯食べるか?」

凛「今日はいいや」

卯月「…うん」

未央「そうだね」

P「分かった。それじゃ、家に送るな」

未央「あ、私はしまむーと同じ所でいいよ」

P「そうか分かった」

ヒックヒック

P(誰か泣いてるな…)

未央「もう、しまむーったら…」

卯月「だ、だって、私のせいで…」ボロボロ

未央「そんなことないって。どちらかというと私だって」

卯月「ち、違うもん。未央ちゃんは頑張ってたもん…!」

P「着いたぞ」

未央「あ、着いたよ。帰ろ」

卯月「うん。そ、それじゃ、まだ、あじだ…」

P「あぁ」

未央「もう、泣きやも。ね?」

卯月「だって、折角三人で出来たのに…」ヒック

未央「……」ジワァ

未央「し、しまむーの家寄っていい?」

卯月「うん…うん…」コクコク

未央「わ、私もね、実を言うと…凄い、悔し…」ヒック

未央「私のせいで…」ヒック

車内

P「大丈夫か?」

凛「二人はあんなこと言ってたけどさ」

P「うん」

凛「多分私のせいだよね」

P「さぁな」

凛「見てたなら分かるでしょ?センターで体勢崩したんだから目立つよ」

P「……」

凛「二人は歌も踊りもほとんど出来てた。音程がちょっとズレてたかもだけど、全然許容範囲だったし」

P「そうか」

凛「だから、ごめん」

P「なんで、謝る」

凛「だって、だっ…て」ヒック

凛「止まって」

P「ん?どうかしたか?」

凛「いいから」

凛「ごめん、ごめんなさい……」ポロポロ

P「なんでそんなに謝るんだ」

凛「だって、だって…」

P「だって?」

凛「嘘になっちゃうから…」

P「嘘?」

凛「わ、私を、見つげで、くれだ、人の言葉が…」

凛「ぜっだい、アイドルとして…ががやげるって」ボロボロ

P「一度の失敗で嘘になるわけないじゃないか」

凛「……ホント?」チラッ

P「あぁ」

凛「隣…来て」

P「分かった」


凛「ホントに幻滅したりしない?」

P「あぁ」

凛「まだ…私が、輝いでる姿はみえる?」

P「あぁ」

凛「……」ギュウ

P「どうした?」

凛「私、頑張るから…もっどがんばるがら…」

P「あぁ、分かった」

凛「だがら、見捨てないで…」

P「見捨てるわけないだろ。ちょっと落ち着こうな」

凛「……うん」

P「折角の顔が台無しだろ?」

凛「……」コクリ

P「何か飲むか。なにがいい?」

凛「やだ…一緒に行きたい」

P「そんな泣きはらした顔で行くのは流石に…」

凛「…それじゃ、甘いコーヒー」

P「分かった」

P(やっぱり、責任に感じてたんだな)

P(それも俺の予想以上に)

P「言ったセリフが嘘になる?一回程度でそんな訳ないだろ…」

P「凛は、十分よくやってるよ」



P「ただい――」

凛「……」スゥ

P「寝ちゃったか…」

P「送って帰るか」

凛の家

P「おー、ハナコ元気か?」

ハナコ「ワンワンっ!」

P「そうか元気か」

凛母「こんばんは」

P「こんばんは。送ってる途中に寝ちゃったので…」

凛母「あら、すみません」

P「いえいえ。部屋まで、運びましょうか?」

凛母「いえ、居間で寝かせておくんでそちらに出来たら…」

P「分かりました」

凛「……ん」

P「それでは失礼します」

凛母「お茶でもどうですか?」

P「まだ、仕事が残ってますから」



P「ん?張り紙?」

P(絶対勝つ。か…。その気持ちがまだあるなら十分だな)

P「それでは失礼します」

事務所

P「おぉ、結構見たんだな」

ちひろ「い、いきなり入ってこないで下さいよ!」ビクッ

小梅「あ、お帰り。…大迫力♪」

幸子「耐性が付いたとは言え怖い物は怖いです!」

杏「……」スー

P「もう遅いから帰るぞー」

幸子「えっと、渋谷さん達は…」

P「送ってきた」

幸子「ならいいですけど…」

P「それじゃ、帰るか」ヒョイ

杏「…ん?こらー、杏は持ち物じゃなーい」

P「自分で歩くか?」

杏「…いいやこのままで」

車内

幸子「いつかお祝いしましょうね!」

P「そうだな」

小梅「…なにしよう?」

ちひろ「出来たら、映画鑑賞以外でお願いします」

杏「飴が食べたい」

P(さっきとは雰囲気が真逆だな…)

翌日

事務所

卯月「おはようございまーす!」

P「お、元気だな」

卯月「はいっ!。昨日ずっと未央ちゃんと泣いてましたから」

P「ずっと泣いてたのか…」

卯月「もう、体中の水分が抜けちゃいました!」

P「今日のレッスンは軽めにしておくか?」

卯月「いえ、頑張ります!」

ガチャ

未央「えーと、こんにちは?」

P「どうかしましたか?」

未央「えっと、質問があるんですけど、いいですか?」

P「はい」

未央「プロデューサーさんの直感は当たってたの?外れてたの?」

P「どういうことですか?」

未央「あ、いや、あのね。結局勝てなかったから、私なんて要らなかったんじゃないかな…って」

未央「支えられなかったんじゃ…って」

未央「えっと、私は、その直感を言われたことを本当にする為に頑張りたいんですけど…?」

P「それは本田さん次第ですね」

卯月「未央ちゃん?」

未央「だから、これからもお願いしますっ! 三人で頑張らせてくださいっ!」

頼子「渋谷さんは平気でしょうか…?」

P「どうだろうなぁ」

頼子「先程、お見受けした本田さんは島村さんと渋谷さんの知り合いですか?」

P「前から仲が良かったらしい」

頼子「三本の矢は折れてしまいましたか?」

P「どうだろうな」

頼子「どう…とは?」

P「まだ、三本重なってなかったんじゃないかってことだ」

頼子「バラバラの三本だったということですか」

P「可能性だけどな。それに一度負けたら強くなるって言うじゃないか」

頼子「言いますか…?」

P「すまん、漫画の話だ」

頼子「この間、テレビで解説を担当しましたが、3という数字は人にとって重要な数字ですね」

P「そうだな。一番安定してるし」

頼子「えぇ、それに無限の可能性を持つと」

ガチャ

凛「…おはよ」

P「おはよう」

凛「…うん」

P「来たのか」

凛「まぁね。目が腫れぼったいんだけど」

凛「加蓮にさ、Pさんが言ったセリフあるじゃん」

P「どれだ?」

加蓮「一流は…ってやつ」

P「あぁ、あれか」

凛「それ思い出したら事務所に行くしかないって思ってね」

P「そうか」

凛「それじゃ、今度こそ、負けないから」

P「分かった」

凛「それと…」

P「ん?」

凛「その、たまには…あんな風に慰めてくれると嬉しいんだけど」ポリポリ

頼子「……?」

凛「それじゃ」

頼子「何かしたんですか?」ジー

P「特別なことは何も」

頼子「その言葉信じますよ」

P「あぁ」

ピリリリ

P「すまん。電話だ。はい、こちら――」

P「え、あ、はい。分かりました。それではまた後日そちらに伺わさせていただきます。はい。それでは」

頼子「どちらからですか?」

P「昨日の三人を使いたいって電話だな。朝も数件あったんだ」

頼子「なるほど」

ガチャ

莉嘉「ただいまー」

夕美「ただいま」

美嘉「……ま」

P「お帰り」

莉嘉「すっごい楽しかったよ!」

夕美「うーん。もうちょっといてもよかったなぁ…」

美嘉「都会っていいなぁ…」ホロリ

P「よっぽど辛かったんだな美嘉…」

ちひろ「みたいですね…」

終わりです。
長々と読んで下さった方、ありがとうございました。

今回、書くのに半日ほどかかりましたが、気づいたら、その間に西武の岸投手がノーヒットノーランしてましたね。
おめでとうございます。

さて、解説。
盲亀浮木と言うのは、作中にも出てきたような内容です。解釈こそ若干変えてありますが、大まかな内容は変わってません。

千載一遇という意味にも近いかもしれません。ちなみに、出典は雑阿含経になります。

三本の矢 特に解説する必要はなさそうなので、割愛します。毛利家での逸話が有名ですが、諸外国で使われてきた話なので、毛利家オリジナルではないかもしれません。

おつでした

後半のライブの練習あたりから未央の話というより、しぶりんの話に未央が加わった感じがする

あとこれはNGのことで良いのかな?>昨日の三人を使いたい
2グループあって幸子達は優勝してるから一瞬どっちのことを指してるのか迷った

番外的な解説です。

幸子に発破を掛ける時に言った言葉は、前回の解説にチラっと出てきた堀内恒夫氏のエピソードを参考にさせていただきました。

以下引用

使い続けてくれた監督の期待に応えられなかった内海は、辞任する堀内のもとへ謝罪に訪れた。

そんな内海に堀内は「謝る必要なんてない。俺はお前に夢を見たんだ。巨人軍を再建するには若き柱が絶対に必要なんだ。

お前にはその資質がある。自信が持てない?そんなのは当たり前だろ。お前みたいな何の実績もない奴が自信なんか持てるわけがない。

お前は自分を信頼する必要なんてないんだ。200勝投手の俺を信頼すればいいだけなんだよ

お前には凄い素質がある。俺が言うんだから間違ないよ。申し訳ない気持ちがあるなら、お前の左腕で俺の判断が間違ってなかった事を証明してくれ」

そう言われた内海は号泣し、飛躍することを心に誓った。

この他にも野球の名セリフはありますが、それはこっちの方ではないので、ここら辺で留めておきたいと思います。

>>91
あ、そうです。NGの方ですね。分かり辛くてすみません。

>>86 訂正

頼子「何かしたんですか?」ジー

P「特別なことは何も」

頼子「その言葉信じますよ」

P「あぁ」

ピリリリ

P「すまん。電話だ。はい、こちら――」

P「え、あ、はい。分かりました。えぇ、渋谷凛の方ですね。それではまた後日そちらに伺わさせていただきます。はい。それでは」

頼子「どちらからですか?」

P「昨日の三人を使いたいって電話だな。朝も数件あったんだ」

頼子「なるほど」

P「勿論、幸子たちの方もオファーがあるんだが、凛たちの方もそれなりにあるんだよ」

頼子「良いことですね」

番外と言うか、外伝のキャラ。
鷹富士茄子
白坂小梅
イヴサンタクロース
佐久間まゆ
一ノ瀬志希
長富蓮実
北条加蓮
本田未央

とかだったと思います。一応番外の時はこういうアイドルを意識的に出そうとしてます。
抜けがあったらすみません。

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