初音ミク「ボーカロイドのいる生活」 (52)


男「うーむ……」

男「激辛ペヤングにするべきか一平ちゃんにするべきか」

男「それが問題だ」

男「どちらもメシのおかずにするには最適……」

男「卵もマグカップでレンチンして温泉卵化に成功」

男「久し振りの国産米だ、ミスは許されない」

男「いや待て、両方と言うセレブな選択肢もあるか……?」


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ピンポーン

男「……なんだこの大事な時に」

男「はいはーい」ガラッ

ミク「こんにちわ!」

男「あ、ああ、こんにちわ」

男(誰この可愛い子)

ミク「今日から隣に引っ越してきました、VOCALOIDの初音ミクです」ペコリ

男「これはどうもご丁寧に」ペコ

ミク「こちら引越しソバです」

ミク「インスタントで申し訳ありませんが」

男「いやいや、そんな」

男「わざわざありがとう」

ミク「はいっ、では今後ともよろしくお願いしますね、お兄さん」

男(VOCALOID……ね)

男「とりあえず蕎麦食うか」


男「ふう……やはりどん兵衛の天ぷらそばはカップ麺界の安打製造機だぜ」

男「温泉卵とネギも刻んで入れて滋養もたっぷり。俺ってばリッチ!」

男「ごちそうさまでした」パンッ

ミク『あのことこのこがこいをしたーあーああー♪』

男(VOCALOID……歌を歌うのが仕事の生物……だっけか)

ミク『ゆーな♪ ゆーな♪ みなまで……』

男(うん、悪くないな)

ミク『うやーーーーーーーーっ!?』

男「!?」ダッ


男「ミクちゃん!」バンッ

ミク「お、お、おおおお兄さん」

男「……何してんの、ネギなんて構えて」

ミク「む、むむむむしががががが」

男「虫?」

男「ああ、ムカデか……多いんだよな、ここ」ポイッ

ミク「あ、ありがとうごじゃいます……」

男「虫、苦手なの?」

ミク「はひ……特に群れを為したりうじゃうじゃしてるのはショッキングです……」ガタガタ

男「だったらちゃんと噴射式の殺虫剤でも焚いた方がいいよ」

男「ここ、蜘蛛やらムカデやら多いからーー」

ミク「 」フラッ

男「ミクちゃーーーーーん!」


男「噴射式のに粘着シートに殺虫剤……こんなもんでいい?」

ミク「ありがとうございます、わざわざ店にまで付き合っていただいて……」

男「困っている女の子を放ってはおけないたちなんでね」キラッ

ミク(うわぁ……)

ミク「そ、そうですか」

ミク「ところでお兄さんは彼女とかいらっしゃらないんですか?」

男「…………」

ミク「…………」

男「…………」

ミク「すいませんでした……」


ミク「あますぎーてとろけーるきゃらめるへぶーん♪」

ミク「にーっちもさっちもたってもいられなーい♪」

男「おーい、ミクちゃーん」

ミク「あや、これはこれは」

男「こんなところで会うなんて珍しいね」

男「夕飯のお買物?」

男「偉いね、自炊するなんて」

ミク「お恥ずかしながらミクはまったく料理出来ませんでして……」

ミク「今日からお兄ちゃんとお姉ちゃんが来るんです」

ミク「その準備もかねて生活用品を買いに来ました」


男「お兄ちゃんとお姉ちゃん?」

ミク「ええ、実際の血のつながりはないんですが、兄妹のようなものでして」

ミク「そちらにも夜に挨拶に向かうかと思いますよ」

男「へえ……」

ミク「お兄さんもご飯を買いに来たんですか?」

男「俺は半額シール貼られるの待ってんの」

男「貧乏学生で金ないからね」

ミク「半額ですか! そんな便利なシールが!?」

男「閉店間際だけね」

ミク「これはいい秘密情報です、ありがとうございました!」


ミク「きょおはーどこへでかけようー♪」

ミク「ごきげんなかぜがふいてー♪」

男「無事着いたな」

ミク「はいっ、色々とありがとうございました!」

男「じゃ、俺はこれで」

ミク「あっ」

カイト「ミクうううぅぅぅ!」ダダダダダ

メイコ「そいつから離れて!」バッ

男「ん?」

ミク「すごいっ、ダブルドロップキックですっ!」キラキラ

男「ふげっ!?」ゲシッ


……
…………
………………

男「なるほど、妹想いな方々だ」ボロ

カイト「申し訳ない……」

メイコ「不審者かと思って……」

男「や、あまり気になさらずに」

ミク「お兄さんはミクに良くしてくれてるんですよ」

カイト「カイトです、よろしくね」

メイコ「メイコよ、よろしく」

男「よろしくお願いします」

メイコ「いいわよ、そんな畏まらなくて。普通に話してよ」


カイト「あ、引越しそばを持ってきたんだ」ゴソゴソ

男「いやいやそんな、お構いなく」

カイト「初めて作るからあんまり自信はないんだけど」ドン

男「手作り!?」

ミク「カイトは料理が得意なんですよー」

メイコ「男のくせに器用なのよねえ」

カイト「茹でてくるねー」スック

ミク「カイトの料理も久し振りですー」

メイコ「しかし、ボロいわねこのアパート……」

男「築何年か知らないけど、かなり古いからね」

ミク「それなりに広いんですけどねえ」

メイコ「救いは風呂があってトイレが共用じゃないくらいね……」


カイト「誰でもいいから付き合いたーい♪」

カイト「誰でもいいからー♪ ……と」ガチャ

男「あ、おはよう」ガチャ

カイト「おはよう、昨日はごめんね」

男「いいよいいよ、昨日のそば、ご馳走様」

カイト「口に合えば良かったけど」

男「いや、予想以上に美味くてビックリした」

カイト「それは良かった」

カイト「君は今から学校?」

男「そうだね、カイトは今から仕事?」

カイト「いや、俺は買い出し」

男「買い出し?」


カイト「ミクのやつ、ゴミ袋とか鍋とか基本的な生活用品を買うの忘れてたから」

男「何と言うか……しっかりしてるよね、カイト」

カイト「まあ……ミクはあの通り天然だし、メイコはぐうたらだしね」

男「ぐうたら? 昨日はそんな感じしなかったけど」

カイト「初対面相手には猫被ってるからな。昨晩も引越しパーティとか言って酒飲んで爆睡してるよ」

カイト「ミクに酒飲ますしな……その内酒瓶持って突っ込んで来るから気をつけろよ」

男「あー、そりゃいいや。美人と酒ならいくらでも飲める」

カイト「レンは男の子だからまだしも、リンは花より団子だし……」

男「レン?」

カイト「ああごめん、ミクより年下のVOCALOIDがいるんだ」

カイト「そのうち二人とも来るんじゃないかな」

男(まだ増えるのか……)

男「なんと言うか……大変だね、カイト」

カイト「……わかってくれるか」


メイコ「かーこい込んでーしーあわせーでー♪」

メイコ「しーびーれーてー往っちゃってー♪」

男「ようメイコ」

メイコ「あらこんにちは」

男「歌、上手いね」

メイコ「まあ、これが仕事だからね」

メイコ「あんたは今から夕飯?」

男「ああ」

メイコ「偉いわね、一人暮らしで自炊なんて」

男「金が無いから身についただけだよ。褒められるほどのもんじゃないって」

メイコ「ふうん、私料理できないからさ、ちょっと羨ましいな」

メイコ「やっぱり家庭的な女性って憧れるじゃない?」

男「カイトが作ってるって聞いたけど……」

メイコ「うん、あいつが男とは思えないほど上手いから余計にね」

男「いいよなあ、カイトは……料理もできてイケメンだし、もてそうだもんなぁ」

メイコ「そうでもないわよ、あいつ超絶ニブいから」

男「そうなの?」

メイコ「うん、ラノベの主人公並」

男「それは相当だな……」


メイコ「ま、そこがいいんだけどね……」

男「え?」

メイコ「よし、今日は飲もう!」

男「あんまり飲みすぎると明日が辛いぞ?」

メイコ「なに言ってんの、あんたも飲むのよ」

男「へっ?」

メイコ「今夜は寝かさないわよ?」ガッシ

男「ちょ、ちょっと俺明日学校ーーーー」

メイコ「さあ行こうそら行こうー」

男「あああぁぁぁ!!」ズルズル


ミク「ああーそんなのー♪」

ミク「きいちゃいーなーいーぜにゅーすきゃすたー♪」

男「おは……よう……」フラッ

ミク「な、なんだか調子が悪そうですね……大丈夫ですか?」

男「メイコに散々飲まされたよ……蟒蛇だな彼女……何とかギリギリ勝ったけど」

ミク「あ、それでメイコは今朝玄関で寝てたんですね……」

男「俺は大丈夫だよ……ミクちゃんはご機嫌だけど、何かいい事でもあったの?」

ミク「はい! 今日新しいVOCALOIDの二人が来るんです!」

男「ああ、そう言えば年下の子がいるってカイトが言ってたな」

ミク「ええ、リンとレンって言って、双子なんですよ」

ミク「二人ともまだ生意気盛りですけど、良い子ですから大目に見てあげてください」

カイト「おいミク、液キャベ買ってきてくれ。メイコが逝きそうだ」ガチャ

男「おはようさん、カイト」

カイト「おっ、おはよう。飲み勝負でメイコに勝つとは恐れ入ったよ」

男「不良学生だから飲み明かすのには慣れてるだけだよ」

男「それじゃ、学校行ってくる」

ミク「行ってらっしゃーい」フリフリ


ミク「あーいしてっもこーいしてっもだめだめよー♪」

ミク「それがーあたいーのいきーるーさーだめー♪」

カイト「そうだ、ゆっくり慎重にやるんだ!」

ミク「よいしょー!」ニュニュニュ

カイト「よっしゃ、よくやったミク!」

ミク「うわー! おいしそうなケーキ!」

メイコ「三段ケーキなんて作る奴初めて見たわ……器用すぎでしょあんた」

カイト「リンとレンはいつ来るんだ?」

ミク「一応、地図は渡してあるけど……」

カイト「あいつらこの辺の地理わかるの?」

ミク「……あっ」

メイコ「……」

カイト「……おい」


男「……」

リン「ここどこ?」

レン「さあ?」

レン「地図には北って書いてあるけど」

リン「北ってどっちだっけ……」

レン「上……だよね、確か」

リン「上? まっすぐってことかな」

レン「多分そうじゃない?」

男「…………」

リン「って言うかミク姉がくれたこの地……図……?」ガサ

レン「地図と言うよりは前衛芸術?」

リン「えーと、駅西口から三匹目の犬を左折?」

レン「犬なんていたっけ……」

リン「いなかったと思うけど」

レン「とりあえずこの地図?でわかるのは方向は北、ってことだけだね……」

リン「じゃあこっちかな」

レン「うん、行ってみよう」


男「あの、そこなお二人さん」

リン「ロ⚪︎コンはお断りです」

レン「男の娘もお断りです」

男「いや違うから」

男「もしかしてリンとレンって君達のこと?」

リン(どうしようレン、この人私たちの名前までリサーチしてるよ)ヒソヒソ

レン(まずいね、今流行りの変質者かな)ヒソソソ

リン(私が急所に真天地覇煌拳を叩き込むから、レンはその隙に)ヒソヒソ

レン(わかった、息の根止めればいいんだね)ヒソヒソ

男「……思いっきり聞こえてるぞ。こえーよ」

男「君達、VOCALOIDだろ?」

リン「え?」

男「ミクやカイト達に会いにきたならそっちは逆方向だよ」


カイト「ああ、どうしよう……二人とも迷子になって泣いてないかな」オロオロ

ミク「さすがに遅いね……」

カイト「うーん……」ウロウロ

メイコ「あんたは落ち着きなさいよカイト」

メイコ「リンとレンだってもういい歳なんだから自分で何とかするわよ」

カイト「いや、でもさ……やっぱり俺探しに行く!」ダッ

ミク「あっ」

レン「ぼくはげんがーいつもこうやってえー♪」

リン「うっしろゆびーさされわらわれてー♪」

リン「あ、ミクだ!」

レン「カイトとメイコもいる!」

カイト「リン! レン!」ガバッ

リン「きゃぁ!?」

レン「うわぁ!?」


男「ただいま」

ミク「あや、お兄さん。お帰りなさい」

メイコ「二人を連れてきてくれたの?」

男「偶然な、なんか迷ってたから」

ミク「ありがとうございますっ」

カイト「心配させやがってこのやろう!」グリグリ

リン「暑い! はーなーれーてー!」ジタバタ

レン「それに僕達のせいじゃないしー!」ギュムムム

メイコ「まあいいわ、カイトがケーキ作ったから食べましょ」

リン「ケーキ!」キラキラ

レン「ケーキ!」キラキラ

ミク「お兄さんも食べて行ってくださいっ」

男「あ、そう? じゃあ遠慮なくいただこうかな」

カイト「まずはロウソク吹き消しとクラッカー鳴らしからだ!」

カイト「失敗したら命はないと思え新兵ども!」

リンレン「ブラジャー!」ビシッ

男「でっか! 器用だなぁカイト……」


リン「どーだいげんじょーのぼーくはーそーかいどーしーよーもないなー♪」

レン「うるさいなおーまえなーんてーだーいきらーいだー♪」

リン「ただーいまー」ガチャ

カイト「お帰りー」トントントン

レン「ビデオ借りて来たよー」

ミク「なに借りて来たの?」

レン「怖いやつ!」

メイコ「ええー、私アクションがよかったな」

ミク「私も怖いのは苦手だよ……」

カイト「なんだ、何の話?」カチャカチャ

リン「メイコが怖いのは苦手なんだって」

メイコ「な、そんな訳ないじゃない、このメイコ様が!」

レン「じゃあ一緒に見ようよ」

メイコ「望むところよ!」

カイト「はいはい、飯食ってからにしようなー」

カイト「ミクー、器出して」

ミク「はーい」

メイコ「レン、お酒ー」

カイト「飲むなら自分で買ってこいよ、亭主関白かお前は」


男「……で、なにコレ」

メイコ「……何よ」ピト

ミク「……なんでもありませんよ」ベター

カイト「さっきホラー映画を皆で見てね……」

男「なるほど……で」

男「メイコとミクちゃんにひっつかれるのは男としてまだ本望なんだが」

男「俺は男にベタベタされて喜ぶ趣味はないぞカイト」

カイト「……」ギュ

メイコ「べ、別に怖い訳じゃ……」

バタン!

メイコ「きゃああああ!?」ビクッ

ミク「ひゃああああ!?」ガシッ

カイト「いやああああ!!」ギュー


男「風でドアが閉まっただけだろ……」

男「リンちゃんとレンくんは?」

ミク「ふ、二人はもう寝ました」ガタガタ

男「肝っ玉で子供に負けるなよ……」

カイト「いやもう幽霊とか無理! 絶対無理!」

メイコ「だってあいつら殴っても効かないのよ!?」

カイト「頼む! 今日だけでいいから一緒に寝てくれぇ!」

ミク「お願いします!」

メイコ「何もしないから!」

男「それ普通逆じゃね?」

男「なんだろう、この嬉しいのに負けた気がする複雑な気分……」


リン「ほーらーあーぶなーいおーもちゃーにてーをかーけーてー♪」

リン「みにくーいかーらーだーをうちぬーいてーやーれー♪」

リン「おっ、あれは隣のお兄ちゃん」

リン「お兄ちゃーん」

男「ん? あれ、リンちゃん」

男「一人とは珍しいね、仕事?」

リン「うん! あと双子だからっていつもレンと一緒にいるわけじゃないよ」

男「それは失礼」

男「どう? 折角だしお詫びもかねてお茶でもしませんかフロイライン?」

リン「奢りなら付き合ってあげてもいいかなー」

男「ああいいよ、バイト代入ったしね」

リン「やったあ!」


男「注文決まった? 好きなもの頼んでいいぜ」

リン「うん、太っ腹だねお兄ちゃん」

男「今月は稼いだからなー。はっはっは、良きにはからえ」

男「すいませーん」

ハク「は、はいぃ、少々お待ちください」

ハク「ご、ご注文をどうぞ」

リン「カルボナーラとペペロンチーノとたらこスパゲティとナポリタン、全部大盛りで。あと若鶏のソテーと本格ハンバーグ」

男「ちょ、ちょっとリン……さん?」

ハク「え、えっと」

リン「スナック盛り合わせに鴨南蛮、マグロ丼にちらし寿司、味噌汁代わりに味噌煮込みうどん、あとデザートにストロベリーパフェとプリンパフェとわらび餅」

男「 」

ハク「ご、ご注文を繰り返せません!」



……
…………
………………



ハク「えっと……ご注文は?」

男「……………………ドリンクバー」


リン「あー、お腹いっぱーい」ゲフー

男「よく食ったな……気持ちいいくらいに……」

男「腹が妊婦みたいになってるぞ……」

リン「こんなに食べたの久しぶりだよ。ごちそうさま!」

男「ああ……そこまでやられちゃ逆に清々しいよ……」

リン「ただいまー」

カイト「おう、おかえ……り……」

メイコ「り、リン……そのお腹……?」

ミク「 」ガチャーン

リン「…………」ニマリ

リン「お兄ちゃん……責任取ってね」///ギュッ

男「へ?」

カイト「 」

メイコ「 」


ミク「ためこんだーそのかんじょうをーぶーちかまーせーあーあー♪」

カイト「ミク! ミクが壊れた!」

メイコ「見損なったわ……!」ワナワナ

男「おいちょっと待て!」

ミク「たまにーはーろりろりこんもーいーいーよねっねっねっおーいぇー♪」

メイコ「底辺×高さ÷2=破壊力……」グググググ

カイト「ミクうううぅぅぅ!」

メイコ「この外道があああ!」ブオン

男「ぎゃあああぁぁぁ!!」バチコーン

レン「何だよ、うるさいなぁ」

リン「あ、レンおはよう」

レン「おはよ……また食べ過ぎたの?」

リン「うん、お兄ちゃんがおごってくれた」

レン「いいなぁ、僕も行きたかったなー」

男「 」チーン


リン「じかんよとーまーれーうーつーすからー♪」

リン「きみのーゆめをかなえましょー♪」

ミク「あはは」

メイコ「リーン、お酒持ってきてー」

リン「やだよ、自分で行ってよ」

カイト「……」ソロー

リン「あれカイト、どっか行くの?」

レン「もう十時だよ?」

カイト「ああ、いや……その、ちょっと散歩でもしようかと」

レン「じゃあ僕も行く!」

カイト「ダメだ!」

レン「!?」

カイト「子供はもう寝る時間だ……!」

メイコ「なにあれ……」

ミク「何かたくらんでるね……」

カイト「じゃあ、そういうことで」シュタ

リン「あやしい……」

レン「あやしいね」


???「よくぞ現れた、我が敬虔たる使徒カイトよ」

カイト「はい」

???「では今より儀式を始める」

カイト「はっ!」

ウィーン

ガチャ

男「やっぱりAVは野郎二人で見るに限るな……」

カイト「助かるよ、うちじゃ女の子の比率が多くて見れないし」

男「レンはまだ子供だしな……」

カイト「あと五年もしたらレンも仲間に入れてやろう」

男「うおっ、すげえ乳……」

カイト「まったくもってけしからんですな!」

男「ええ、けしからんですよ!」


メイコ「けしからんのはアンタらでしょうが……」

カイト「いっ!?」

ミク「うわぁ……」///

男「み、皆さん!?」

リン「男って……」

メイコ「くだらないわねー……」

カイト「い、いやいやいやちょっと待ってくれ諸君……そ、そうだレン! 助けて!」

レン「いや、僕あんまりそういうの興味ないし」

カイト「レーーーーン!」

男「終わった……お終いだ……」ガク

リン「行こ、レン」

レン「うん」

ミク「うわぁ……うわぁ……」///

メイコ「ほら、いつまでも見てないで帰るわよミク」


リン「だからきばつなおしゃれでいばりましょー♪」カチャ

リン「さあたくさんころしてわらいましょー♪」ヌギヌギ

リン「……お?」チャプ

リン「きゃああああぁぁぁぁ!」

カイト「どうしたリン!?」バンッ

ミク「だいじょうぶ!?」

リン「あ……」スポーン

カイト「あ……」

リン「いやあああぁぁぁ!?」ブンッ

カイト「痛い!」パンッ

ミク「ほらリン、服着て」

カイト「す、す、すまんっ!」バタン


メイコ「風呂が壊れた?」

リン「うん……ずっと水」

カイト「仕方ない、銭湯でも行くか」

ミク「うわー、ミク銭湯はじめてです!」

レン「なんでカイトはほっぺが赤いの?」

カイト「名誉の負傷だ」


カポーン

ミク「うーん」

リン「どうしたのミク姉」

ミク「やっぱり男の人はぼいんぼいんが好きなのかな……って」

リン「何を急に……ああ、男二人が見てたえっちなビデオ?」

ミク「…………」ツルーン

リン「…………」ペターン

ミク「どうやったら大きくなるのかな……」

リン「ねーメイコ、どうしたらいいの?」

メイコ「好きな人に揉んでもらえば大きくなるわよ」

ミク「え……あ……」///

リン「……メイコはもう誰かに揉んでもらったって訳ね、あーやらしいー」

ミク「もしかして……カイトとか?」

メイコ「ばっ……そ、そんな訳ないでしょうが! これは自前!」

リン「赤くなっちゃって、怪しいなー」

メイコ「こんのぉ……!」プルプル

ミク「でも嫌いじゃないんだよね?」

メイコ「そりゃ……嫌いじゃないけど、そういうことはまた違うわよ」


レン「めーにーもとーまーらぬー♪」

レン「かみーわーざーでーしょーたーい♪」

カイト「はいこちら男湯です」

男「女湯と違って夢も希望もありません」

レン「わーい♪」バチャバチャ

カイト「おいレン、湯舟で泳ぐなー」

男「しかしアパート全部ガスが飛ぶとはな……」

カイト「まあいいっしょ、たまには裸の付き合いも」

男「……なあ、実際どうなの?」

カイト「何が?」

男「その……メイコとか」

カイト「メイコ?」

男「いや、あいつ美人だしそういうのはないのかなーって」

カイト「ははは、ないない。あんな暴力女に男なんて出来た日には世界が――ヘブッ!?」

男「女湯からたわしが飛んできた……」

メイコ『聞こえてるわよ!』

男(メイコ……いじらしいわ)


ミク「きみっはーなんでないていーるのかにゃー♪」

ミク「どーおっしてないていーるのかにゃー♪」

男「ミクちゃん、お掃除ご苦労さん」

ミク「こんにちはお兄さん」

ミク「あ、そう言えばお兄さんって料理できるんですよね?」

男「え? うん、まあ普通程度には」

ミク「今日カイトが仕事でいないので、皆で作ろう、という話になったんですが……」

ミク「よかったら指導してもらえませんか?」

男「いいけど」

ミク「やったあ! ではまた出来たらお呼びしますね」パタン

男(女の子の手作り料理……しかも三人?)

男(あれ? 俺ひょっとしてモテ期?)

男「フフハハ! ついに俺にも春が来よったわ!」

レン「……玄関先で魔王みたいなキメ顔してどうしたの?」


男「…………」

ミク「ミク謹製ネギオムライスです」ズォォ

男(オムライスって紫色だっけ……)

リン「カレーライスだよ」ボコボコボコ

男(地獄の釜のような有様だ……お菓子とか見えるし)

メイコ「ハンバーグ……かな?」ボロ

男(炭?)

男(いかん……どいつもこいつも壊れてやがる……遅すぎたんだ)

男(全部もれなく瘴気が出てるし)

ミク「?」

リン「……」ジー

メイコ「……」プイ

男(食べない……? いやッ、しかし……死……ッ!? 避け……ダメだッ……!)

男「据え膳食わぬは男の恥」

男「いただきます!」パンッ



……。
…………。
………………。



男「 」チーン

レン「おにぎり食べる?」モグモグ


ミク『いーつーのーひーかーきーっとーわすーれるーだろーおー♪』

ミク『ゆめのーあきーちでーみーたーけーしーきをー♪』

男「……ん」パチ

男「ふわぁ……眠て」

男「朝七時か……なんか静かすぎるぞ」

男「……」ゴソ

男「ごめんくださーい」ピンポーン

男「…………」シーン

男「留守か……全員いないなんて珍しいな」


二日目

ミク『ばいばーいすーぱーすーたーなーんだかなー♪』

ミク『いつからだろーおーどーでーもーよくなってしまったーのーはー♪』

男「…………」

男「どっか旅行でも行ったのか?」

男「ま、いいか。メシ食おうメシ」


三日目

ミク『ないちゃだめー、ないちゃだめー♪』

ミク『でもほんとはいいたいよー♪』

男「…………」モグモグ

男「……静かだな」

男「こんなに静かだっけ、このアパート」


一週間後

ミク『はやーくしねーといいーってくれーたー♪』

ミク『じぶんじしんをーうーらぎりたいからー♪』

『音声合成総合ソフト、VOCALOIDによる作曲が可能になったことにより、音楽の門戸が大きく開かれることとなり――』

男「VOCALOID……?」

男「待てよおい、そう言えば俺……あいつらが他の誰かと一緒にいるところを見たこと無いぞ……!?」

男「どういう……ことだよ」


一ヶ月後

男「……う……」

医者「おはようございます、私の声が聞こえますか?」

男「……ここは」

医者「病院です。貴方は実に一年間も昏睡していたんですよ」

男「一年……!?」

医者「ええ、医者として失格ですが、正直申しますと匙を投げたくらいです」

医者「それがここ数か月で奇跡的な快復を見せまして」

男「……そうですか」

男「そっか」



俺の住居だったボロアパートに、やっぱり居住者はいなかった。


ミク『ありがとおーそしーてーさーよーなーらはー♪』


カイト『よう、お帰り。元気そうじゃん』


本当の記憶にある一年前の部屋と、全く同じで。


ミク『きみはーどーおかーそのーままでーいてほーしいんだー♪』


メイコ『あら、久し振りじゃない。またお酒飲みましょうよ』



軋む部屋を歩き、埃を被ったパソコンの電源を入れる。


ミク『しあわーせをーねがーあってーいますー♪』


リン『お兄ちゃん、なんかおごってー』


彼女たちは、俺のために歌ってくれた。


ミク『またあうひまーでー♪』


レン『兄ちゃん、オレ新しいゲーム買ったんだ、対戦しようよ!』



だから。


男「ただいま」


ミク「おかえりなさい!」





END


誰も見てねえかもだけど勢いで書きました。
拙文失礼しました。以上。

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