千早「透明な雪」 (30)

初SSですので、不手際が多いかと思います
「こうした方が良い」という意見等ありましたらレスをくださると助かります

稚拙な文章であること、ご了承ください
また読点が多いので、苦手な方はそっとじで

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398935119

雪歩「ふんふふふん、ふふん、ふふーん♪」


萩原雪歩、17歳。アイドルやってます。

レッスンはダメダメ、オーディションは落ち続け、お仕事なんて一つもなく、スケジュール帳は真っ白…だったのはもう過去の話。

レッスンはなんとかこなせるし、オーディションも受かるようになってきました。
最近はお仕事も増えてきて嬉しいかぎりです。

ただそのせいで、お仕事終わりに事務所に寄ることがなかなか出来ません。
事務所の皆ともなかなか会えなくて…。

…はっ。

…だめだめ。皆が忙しいのは良い事です。永遠に会えないわけじゃありません。
一緒にお仕事をする時もあるし、全員でのライブだってあります。

落ち込むことなんか、ありません。

今日のお仕事が終わったのは夕方ごろ。
いつもより少し早かったので、事務所に顔出しだけしておこうかな、と思い階段を上っているところです。

きっと今日も、音無さんは残業中だと思います。お疲れ様です、いつもありがとうございます。


ちなみに私が鼻歌を歌っている理由は特に無いです。
暗い階段を一人で上るのが怖いとか、そういうのじゃありません。ぜったい。

がちゃ

雪歩「こんばんは、お仕事終わりましたぁ」

小鳥「あら、雪歩ちゃん。お疲れさま」

雪歩「音無さんも、いつもお疲れ様です」

小鳥「いえいえ。お茶、淹れてくるわね」

雪歩「あ、あの、顔を出そうと思ってただけなので、大丈夫ですぅ」

小鳥「そう?あ、そういえば…」

雪歩「?」


音無さん、ちょっとだけ悪い顔をしています…何を企んでいるのでしょうか。


小鳥「奥、もう一人いるわよ」

雪歩「え?」


言われて目を凝らしてみると、確かに、ソファの辺りに人影が見えます。誰でしょう?

本日はここまでとさせてください
書き溜めはありますので、3日以内に投下できるかと

sageじゃなくてsagaだったことに気付いてのたうち回ってます
すみませんでした
以後気を付けます



意見って程じゃないけど相手は誰かまで書いて欲しいな~

待ってる間のモチベーションが変わるし

>>9
なるほど
タイトルで分かるかなぁと思っていましたが、確かに相手が登場するまでの方が良かったですね
ありがとうございます

少し先を変えるか悩みましたが、このまま続けさせていただきます
夕方ごろ投下できるかと

のんびり投下していきます

「……」


さらさら流れるような青みがかった黒髪。
青色が多めの、シンプルなパンツスタイル。


「……あら」


その手には楽譜。


千早「こんばんは、萩原さん」


千早ちゃんです。
楽譜とにらめっこしていて、私に気付かなかったみたい。ふふ、とっても千早ちゃんらしいです。

雪歩「こんばんは、千早ちゃん。こんな時間なのに、どうしたの?」

千早「別に、何がというわけでもないのだけれど。少し寄ってみたくなって」

雪歩「この時間に?」

千早「この時間に」

雪歩「音無さん以外、誰もいないとは思わなかったのかな…?」

千早「すっかり失念していたわ」

雪歩「あ、あはは…」


千早ちゃんはしっかりしているように見えて、案外抜けていたりします。
独特なマイペースさに、律子さんが振り回されているところをよく見ます。

雪歩「ということは、この後、用事はないんだよね」

千早「ええ、何も」

雪歩「じゃあ、駅まで一緒に帰らない?」


我ながら、少し大胆です。


千早「駅までなら」

雪歩「それじゃ駅まで」


音無さんに挨拶をして、事務所を出ました。
まだ書類整理があって、帰るのは当分後になるらしいです。
お仕事を増やしているのは私たちなんですけど、たまには休んでくださいね。

駅に向かう道には、たくさんの樹が植えてあります。
桜、ハナミズキ、銀杏、クヌギ……など、など。

今は白と赤のハナミズキが見事に花咲かせています。
紅白幕みたいで、なんだかおめでたそうです。


千早「ハナミズキ、綺麗に咲いてるわね」

雪歩「うん、本当にきれい。桜は散っちゃったけど……一年中綺麗なものを見られるなんて、素敵だよね」


桜の次はハナミズキや芝桜、ツツジ。その次はフジやショウブ、アヤメといったように、次から次へと季節は移り変わります。

一年中、何かしらの華が見られるんですね。

千早「……ハナミズキが散ってしまう頃は、何が見頃かしら?」

雪歩「え?うーん…ちょっとあやふやだけど……フジとか、アヤメとか…?」


頭をフル回転させて、朧げな記憶を引っ張り出します。

たぶん間違っていないと思うんですけど、何しろお花に詳しいわけじゃないので、いくらか適当です。


千早「へぇ…萩原さん、よく知っているわね」


そういうのに全然詳しくなさそうな千早ちゃんにはバレていません。
どころか、褒められてしまうと少し罪悪感が出てきました。

雪歩「そ、そんなコトないよぅ。ただ、季節を感じられるものが好きなだけで…昔、ちょっとだけ調べたことがあったから」

千早「…萩原さんは、どの季節が好き?」

雪歩「へっ?んー……。冬、かなぁ」

千早「雪、だから?」


それは私の名前に“雪”が含まれているから、という意味なんだよね、千早ちゃん。

残念。違います。

雪歩「ふふ、どうだろ。それも少しあるかなぁ。でも、一番の理由はね」

千早「……」

雪歩「雪の降っている光景がね、好きなの」

千早「…降った後じゃなくて?」

雪歩「じゃなくて」


ちゃんとツッコんでくれる辺り、いつも「へーそうなんだー」でさらっと流す春香ちゃんとは違いますぅ。
春香ちゃんとの会話も、それはそれで、楽しいんですけどね。


千早「ふぅん……」

雪歩「……」

千早「……」


じー、と、見つめられてます。

雪歩「……?」

千早「……」


あ。
これ、先を言えという目なんですね。


千早ちゃんって何を考えてるのか、少し分かり辛くて…。
けど、よーく見てみると、こっちをじーっと見てきたり、顔に疑問符が浮かんでいたり、結構分かりやすい…?

まあ、仕草があるのが分かっても、仕草の意味が分からないと今までと一緒なんですけど…。
そこはやっぱり、時間が必要かなぁ。

…あ、でも、仕草があるというのが分かったのは進歩です。えへへ。

雪歩「えっと、ね。雪って、すごく綺麗で。雪が降り積もった後って、銀世界とか言われるくらい、真っ白に輝いてるでしょ?」

千早「えぇ。雪で何も見えなくなることもあるわね」

雪歩「うん。まるで、魔法にかけられたみたいに…けどね」

千早「?」


あ、少し首を傾げてます。可愛い……。


雪歩「私以外誰もいないような、夢かなぁって思っちゃうくらい真っ白で綺麗なのも好きなんだけど」

雪歩「街が白く染まり始めた……魔法で現実から夢に旅立つみたいな、瞬間。それが大好きなの」


上手く伝わっているでしょうか。

千早「…異次元に今からスリップする、わくわく。みたいな感じかしら?」

雪歩「え、えーっと、ちょっと、違うと思う……」

千早「そうかしら…」

雪歩「あ、そうだ、千早ちゃんの」

千早「私、萩原さんの歌声はとても綺麗だと思うの」

雪歩「はい?」


いきなりすぎて、頭が追い付きません。

千早「とても透明感のある……ガラス細工というより、それこそ雪のようで。慎重に扱う以前に、触れただけで消えてしまいそうな……」


消えてしまいそう、というのは褒められているのでしょうか?
私には判断が付きません。


千早「そうね、響くのではなく、沁みる」


…………あ。


千早「ゆっくりと時間をかけて、心に溶けていく。そんな感じがするわ」

雪歩「な、なんだか照れちゃいますぅ…」


どうやら、褒められていたようです。

千早「カバーの『恋』、あれは特に素晴らしかったわ……」

雪歩「ほ、本当?」


ストレートに褒められると、照れる前に嬉しさが先回りします。


千早「えぇ、自分の事じゃないのに、何故か責められてる気がして」

雪歩「えっ」

千早「猛烈に謝り倒したくなったわね」

雪歩「え、ええぇえぇ……」


……なんでしょう、この複雑な気持ち。
やっぱり千早ちゃん、どこかズレてます。

千早「あら」

雪歩「?」

千早「もうここまで来ていたのね。すっかり話に夢中になってたわ」


気付けば、駅。
千早ちゃんの言う通り、結構話してましたぁ…。

千早「今日は楽しかったわ。それじゃ、また」

雪歩「私も、すごく楽しかったですぅ。またね、千早ちゃん」


手を振り、千早ちゃんを見送ります。


雪歩「……」


最近、千早ちゃんは笑顔を見せてくれるようになりました。

雪歩「……氷ったものは、いつか溶けます」


雪も、いつか溶けます。

雪が溶けるのは、春が来たからです。

ずっと溶けずにいてとまでは、言いません。

けれど。


雪歩「……」


けれど……。

雪歩「雪解け水は、大地に沁みていきますか」


ゆっくり、時間をかけて。


雪歩「心に滲みて、いきますか」

お粗末さまでした

拙いところが多々あったと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございます
『雪の魔法』『透明な折』という候補もあったタイトルは、「とうめいなせつ」と読んでいただければ嬉しいですが、「ゆき」でも何でも構いません


雪解け水はいったん大地に滲みるも、様々な栄養分を吸収した後、そのまま地下へ通り抜けて川などに流れてしまい、大地に留まるのは僅かだそうで
きれいな雪解け水・地下水はミネラルウォーターとして販売されていたりしますが、では雪は雪解け水とならねば価値はないのでしょうか
そんなことはありません。雪の下で越冬し美味しくなる野菜などもありますから、雪は決して無駄ではないです
冬を雪の中で越した人参は甘くとても美味です。冬のお鍋は格別に美味しいですね。完全に茹だってない人参をぽりぽり食べるのが近年のマイブームです

季節感など放り投げた蛇足話、失礼いたしました

それでは


ちなみに、千早視点も書いていましたが挫折しました

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