ニート「キャンピングカー娘なんて嫌いだ!……」(1000)

それは、突然の出来事だった。

こいつさえ家に来なければ、俺はまだニート生活を満喫出来ただろう。

キャピ娘「本日からお世話になります、キャンピングカー娘です!」

キャピ娘「私、皆様の為に精一杯頑張ります!」

キャピ娘「ですので、どうか宜しくお願い致します!」ペコッ

ワーーーーッ、ワーーーーッ……

パチパチパチパチッ、パチパチパチパチッ……

ニート「……」

後に、俺は何故か擬人化していたこいつと入れ替わりに家を追い出され……

気が付いた時には、全てを失った後だったのだった。

~ニートの自宅前~

主婦「……」クスクス

老婆「……」クスクス

老人「……」クスクス

介護士「……」クスクス

ニート「……」

主婦「……」クスクス

老婆「……」クスクス

老人「……」クスクス

介護士「……」クスクス

ニート「……」

スッ、ガチャ……

キャピ娘「あら、まだいらしたんですか?」

キャピ娘「本当に、往生際が悪いですね」ニッコリ

ニート「……」

キャピ娘「ここは、もう貴方のお自宅ではありません」

キャピ娘「早々に、どこか遠くへと移動して下さい」

ニート「……」

キャピ娘「ほらっ、早く動いて下さい」

キャピ娘「ご近所の方達も、ご注目していますよ」

キャピ娘「今まで、貴方は散々ニート生活を満喫してきたんですし」

キャピ娘「最初から、真面目に就職とかをしていたら、こんな事にはならなかったんですからね」

ニート「……うるさい!」

キャピ娘「……」

キャピ娘「じゃあ、ここでずっとゴミ箱の隣で座り込んでいたらどうですか?」

キャピ娘「貴方、確か高校ですら行ってないんでしょ?」

キャピ娘「それから丸五年、ニート生活を満喫していたのにまだ不満なんですか?」

キャピ娘「はっきり言って、貴方みたいな人は迷惑です」

キャピ娘「よくここまで、ご家族の皆様が我慢されていた方が奇跡に近いですよ」

ニート「うるさい!」ギロッ

キャピ娘「とにかく、もう二度と貴方はここには入れません」

キャピ娘「これから先、この私が貴方の代わりに貴方のご両親の子供を演じます」

キャピ娘「今まで、散々迷惑を掛けといてその態度ですか」

キャピ娘「本当に、貴方は図々しい人ですね」

キャピ娘「さぁ、早くどこか遠くへと移動して下さい」

ニート「うるさい!」ムクッ

「キャピ娘。何騒いでんの?」

「あの子、まだここにいるの?」

キャピ娘「はい。そうみたいです」クルッ

ニート「……母さん」

「そう。それは、困ったわね」

「本当に、何でこんな子にまで育っちゃったんだか」

ニート「母さん。とにかく入れてくれよ!」

ニート「それで、早くこいつを追い出してくれ!」

キャピ娘「……」

「いえ、それは出来ないわね!」

「もうこれ以上、貴方の様な穀潰しの面倒なんてみたくないわよ!」

ニート「!?」ガーーン

「とりあえず、貴方どこかへと住み込みで働きに出掛けたら?」

「ウチは、もうキャピ娘ちゃんだけで十分です!」

「その子、貴方と違って凄く役に立つのよ!」

「もうすぐ、お父さんも定年を迎えるし!」

「こんな事なら、あの時に流産した子が生まれてれば良かったわ!」

ニート「……」ウルッ

キャピ娘「まぁ、そう言う事です」

キャピ娘「早く、貴方もどこか遠くにまで移動して下さい」

ニート「……」ウルウルッ

キャピ娘「あの、私の話を聞いてくれていますか?」

キャピ娘「貴方は、実のご両親からはもう不要だとおっしゃられているのですよ!」

ニート「……」ポロポロッ

「ニート。早くどこか行きなさい!」

「お前は、もうウチの子ではない!」

ニート「父さん……」ポロポロッ

「ニート。早くどこか行け!」

「早く行かなければ、警察呼ぶぞ!」

ニート「!?」ガーーン

「キャピ娘。後で、貴女の服を買いに行くわよ」

「私、前から女の子が欲しかったから」

「ちなみに、私が一度流産した時に出来たのは女の子だった」

「まるで、あの時に駄目だった娘が生まれてるみたいで、私はとても嬉しい」

「だから、貴女も早く支度してね」

キャピ娘「はい。お母様」ニッコリ

スッ、バタン……

主婦「……」クスクス

老婆「……」クスクス

老人「……」クスクス

介護士「……」クスクス

ニート「……」ポロポロッ

主婦「……」クスクス

老婆「……」クスクス

老人「……」クスクス

介護士「……」クスクス

ニート「……」ポロポロッ

クルッ、スタスタスタッ……

~登場人物~

ニート:年齢は20歳。黒の短髪。眼鏡を掛けた細身で童貞のブサメン。高校受験に失敗し、ニートになる。突如やってきたキャピ娘と入れ替わりに家を追い出された。

キャピ娘:キャンピングカーが擬人化した姿。必要に応じて、人と車の姿を使い分けている。車の時の姿は、ハイエースをベースにしたキャブコン。人の姿の時は年齢は18歳くらいの黒の長髪の爆乳美少女であり、ニートの両親に購入をされてからは、実の娘の様に可愛がられている。

本日はこれにて終了。

ありそうでなかったから作ってみました。

~キャピ娘用品店・衣服コーナー~

1時間後――

ニート母「う~~ん。この服も良いわねぇ!」

ニート母「やっぱり、こっちも良い!」

ニート母「この子、元から胸が大きいし……」

ニート母「本当に、どっちにしようか迷うわねぇ!」

ニート父「キャピ娘。こっちの服なんてどうだ?」

ニート父「これは、やっぱり露出が多すぎるか?」スッ

キャピ娘「はい」

ニート母「貴方、それは無理があるわ!」

ニート母「この子が、変な人に襲われたらどうするのよ!」イラッ

キャピ娘「ええ、そうですね」

ニート父「う~~ん。俺は良いと思うんだがなぁ」

ニート父「なら、こっちなんかどうだ?」スッ

キャピ娘「……」

ニート母「これも、ちょっと露出がキツ過ぎるわねぇ」

ニート母「貴方は、向こうでキャンプ用品でも見といて頂戴」プイッ

ニート父「……ああ、了解した」

ニート父「とりあえず、水や食料とかで良いか?」

ニート父「それも、一応見ておくが」

キャピ娘「はい。それで構いません」

キャピ娘「ガソリンやバッテリー等に関しては、もう既に満タンですので」

ニート父「うむ。そうか」

クルッ、スタスタスタッ……

ニート母「あの人、服持ってっちゃった」

ニート母「あれ、あのまま買うつもりなのかしら?」

キャピ娘「ええ、そうみたいですね」

ニート母「まぁ、どの道お金出すのはあの人なんだし」

ニート母「あの人が、一番貴方が来るのを待ち望んでいたからね」

キャピ娘「……へぇ、そうなんですか」

「お客様。何か私にお手伝い出来る事はございますか?」

「もしお有りでしたら、遠慮なく申して下さい」

ニート母「……」

「ああ、丁度良かった。君、キャピ娘専用の18禁グッズはどこにあるかね?」

「出来れば、妻に内緒で購入したいんだが」

「はい。かしこまりました。ご案内致します」

ニート母「ごめん。ちょっと見てくるわ」

ニート母「キャピ娘。適当に、気に入った服を籠の中に入れといて」

キャピ娘「はい」

ニート母「……」スッ

キャピ娘「……」スッ

クルッ、スタスタスタッ……

キャピ娘(……今度の私の所有者は、本当に大丈夫なのかしら?)

キャピ娘(なんか、不安になってきたなぁ……)

クルッ、スッ……

キャピ娘(でも、あの奥さんがいるから大丈夫だと思うけど……)

キャピ娘(男って、結局は皆考える事は同じなのね……)

キャピ娘「はぁ……」ガクッ

「あれ? ハイエースのキャピ娘じゃない」

「君も、今日は買い物なのかな?」

キャピ娘「え?」クルッ

キャピ娘B「……」ニッコリ

キャピ娘「何だ。カムロードのキャピ娘Bか」

キャピ娘「貴女も、ここには買い物に来てる訳?」ニッコリ

キャピ娘B「うん。そうだよ」

キャピ娘B「君と同じで、僕も新しい所有者と一緒にね」

キャピ娘「へぇ、そうなんだ。貴女も新しい人に買って貰えたんだ」

キャピ娘「お互い、これからは季節的にも忙しくなるわね」

キャピ娘「私の新しい所有者、早速18禁コーナーに向かっちゃったわ」

キャピ娘B「うん。僕の所もだよ」アハハ……

キャピ娘B「でも、本当に僕で良かったのかなぁ?」

キャピ娘B「僕の新しい所有者の家には、またニートがいたんだよ」

キャピ娘B「けど、そのニート自体は何故かすぐに家を追い出されちゃってね」

キャピ娘B「君の所はどうだい?」

キャピ娘B「やっぱり、君の所もまた同じなのかな?」

キャピ娘「ええ、そうよ……」アハハ……

キャピ娘「とりあえず、お互い頑張りましょ」

キャピ娘「また、以前みたいな様な事にはならない様に」

キャピ娘「本当に、ニートって害でしかないわね」

キャピ娘「何で、私達の買われる先にはニートが多いのかしらねぇ?」

キャピ娘B「さ、さあねぇ……」

キャピ娘達「あはははははははっ……」

ピンボンパンポーーン……

「お客様に、お願い申し上げます!」

「店内での夫婦喧嘩は、ご遠慮下さい!」

「他のお客様にも、ご迷惑が掛かります!」

「ですので、店内での夫婦喧嘩はご遠慮頂きますようお願い申し上げます!」

ピンボンパンポーーン……

キャピ娘B「とりあえず、お互いに頑張ろうね……」

キャピ娘B「たとえ、何が起きたとしても……」

キャピ娘「ええ、そうね。貴女の言う通りね……」

キャピ娘「本当に、男って馬鹿なんだから……」

キャピ娘B「うん。そうだね……」

キャピ娘達「はぁ……」ガクッ

本日の分、終了。

~とある川原・橋の下~

その日の夕方――

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ピピピピッ、ピピピピッ……

スッ、バシン……

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

「あの、目覚ましがなりましたけど……」

「起きなくても宜しいのですか?……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

「これ、明らかにもう死んでるわね……」

「このまま、火葬場にまで送ってあげようかしら?……」

ニート「……」パチッ

ニート「……」シャキン

ニート「……」ムクッ

ニート「ふぁ~~~~っ……」

キャピ娘「あら、起きてたんですか」

キャピ娘「起きてるなら起きてるって、そう言ってほしかったです」

ニート「……」ギロッ

キャピ娘「何も、こんな場所でホームレスみたいな事をしなくても」

キャピ娘「ちゃんと、貴方が真面目に働いてさえいれば、こんな事にはならなかったのに」

ニート「うるさい!」ムカッ

キャピ娘「それで、夕食の方はどうなさいますか?」

キャピ娘「一応、私の方で用意してきていますが」スッ

ニート「いらん!」

キャピ娘「なら、私はもうこれで失礼しますね」

キャピ娘「私も、今の貴方と違って忙しい身なので」

ニート「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

スッ、キュルキュル……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ニート「ふぅ……」

スッ、キュルキュル……

ニート「あいつ、何しに来た?……」

ニート「これで、勝ったつもりなんだろうな……」

ニート「けど、今の俺には食料はない……」

ニート「所持金も、もう既にゼロだ……」

ニート「あいつ、一体何を持ってきてたんだ?……」

ニート「意地なんか張らずに、ちゃんと中身を確認さえすれば良かった……」

ニート「はぁ……」

スッ、ムクッ……

ニート「とりあえず、トイレにまで行くか」

ニート「あいつ、もうあんな所まで歩いてやがる」

ニート「元はと言えば、全てあいつの所為なのに……」

ニート「あいつさえいなければ、俺はまだあの家で暮らせたのになぁ……」

ニート「ん?」クルッ

ホームレス「……」モグモグ

ホームレス「……」モグモグ

ホームレス「……」モグモグ

ホームレス「……」モグモグ

ホームレス「……」モグモグ

野良犬「……」ムシャムシャ

ニート「……え? どう言う事?」

ホームレス「おう、兄ちゃん。これ代わりに貰ってるぞ」

ホームレス「何ヵ月振りに、良いものを食わせて貰ってるよ」

ホームレス「あの嬢ちゃん。かなり親切だな」

ホームレス「こんなワシみたいな者にも、笑顔で兄ちゃんが寝てる間に施しをしてくれるんだから」ニッコリ

野良犬「……」ムシャムシャ

ニート「……」

ホームレス「けどよ、何でお前さんはあの嬢ちゃんからの施しを受けねぇ?」

ホームレス「あの嬢ちゃんは、美人でナイスバディなのに」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ホームレス「お前さん。あの嬢ちゃんと知り合いなんだろ?」

ホームレス「せっかく、ああやって差し入れをしてくれたのに、かなり勿体ねぇな」

ニート「……」

ホームレス「それで、本当の所はどうなんだ?」

ホームレス「あの嬢ちゃんとは、一体どこで知り合ったんだ?」

ホームレス「まぁ、話したくなければそれでも構わん」

ホームレス「今のワシは、あの嬢ちゃんのおかげで久方ぶりにまともな食事が出来るだけでも有り難いからな」

野良犬「……」ムシャムシャ

ニート「……」ブチッ

20分後――

警官「君、駄目だよ。ホームレスのお爺さんを殴っちゃったら」

警官「君が殴ったホームレスのお爺さんも、一生懸命生きてるんだから殴っちゃ駄目」

警官「今さっき、君がした事については立派な犯罪」

警官「もういい大人なんだから、少しは物事の分別くらいはつけた方が良いよ」

ニート「はい……」

警官「それで、君は何でホームレスのお爺さんを殴ったの?」

警官「ここ最近は、本当にモラルのない若者が多くて困るんだよ」

警官「そう。今の君みたいな若い子達が」

警官「本当に、ここ最近の若者はモラルがないねぇ」

ニート「……」

キャピ娘「……」ニヤニヤ

警官「とりあえず、これから署の方でもゆっくりと事情を聞くね」

警官「あのホームレスのお爺さん、君に対して被害届を出すみたいだから」

警官「君、ニートなんだし、時間なんてたっぷりとあるでしょ?」

警官「僕らの感覚からしたら、ニートなんてただのキチガイ」

警官「若くて健康そうなのに、何で社会に出て働こうとしないなんて、全く理解できないね」

ニート「……」ムカッ

警官「後、他に余罪とかある?」

警官「この際だから、一応聞いとくけど」

ニート「いえ、ありません」

警官「ちなみに、二年前からニート歴4年以上は処罰の対象だよ」

警官「これについても、君にちゃんと前科が付くからね」

ニート「!?」ガーーン

ニート「あの、今のどう言う事ですか?」

ニート「俺、このまま逮捕されちゃうんですか?」

警官「うん。そうだよ」

ニート「!?」ガーーン

警官「あれ? 君はニートなんだし、ネットとかよくしてるでしょ?」

警官「去年から刑法が改正されて、4年以上ニートしてたら処罰の対象だよ」

ニート「いや、ちょっと待って、ちょっと待って、ちょっと待って」

ニート「たかが、4年以上ニートしてただけで?」

ニート「今の世の中、そんな事くらいで逮捕されるの?」

ニート「それ、何かおかしくない?」

警官「ううん。全然、おかしくない」

ニート「そんな……」

警官「まぁ、怪我や病気や障害等がある場合は仕方ないんだけど」

警官「ごく普通の一般人からしてみたら、君らの方がおかしいんだよ」

警官「それなのに、まだ若くて働き盛りの世代が何故かニートしてる」

警官「これ、どこかおかしくない?」

警官「もし仮に、何か反論があるのなら言ってみて?」

ニート「……」

警官「……」

ニート「……」

警官「……」

ニート「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタピタッ……

婦警「あの、すみません。ちょっと宜しいですか?」

婦警「こちらの方が、この男性の身内だと申しておられるのですが」

警官「ん?」クルッ

ニート「……」ハッ

キャピ娘「……」ペコッ

ニート「てめぇ……」ギロッ

警官「へぇ、君が身内ねぇ……」

警官「本当に、君も大変だね。こんな頭のおかしい身内を持って……」

キャピ娘「はい。そうなんです……」

キャピ娘「その所為で、義理の母が不憫で仕方なくって」ウルッ

婦警「……」

ニート「……」ギリッ

警官「でも、もうそれも心配ないよ」

警官「彼、もう二度と君の前には現れずに済むから」

警官「だから、君はもう安心して」

警官「君のご家族も、ようやく癌細胞を切除出来たから」

キャピ娘「はい……」ウルウルッ

ニート「……」ギリギリッ

婦警「本当に、可哀想にねぇ……」

婦警「貴女、長いこと苦労してきたんでしょ?……」

婦警「本当に、気の毒過ぎて涙が出てくるわ……」

婦警「何で、こんな“いたいけなキャンピングカー娘”が、こんな屑野郎と一緒に暮らしてるんだか……」ウルッ

ニート「は?」ムカッ

キャピ娘「……」ウルウルッ

警官「ともかく、君はもう安心して!」

警官「こんな屑野郎は、すぐさま地獄に送ってあげるから!」

警官「本当に、ニート対策基本法が出来て良かったよ!」

警官「所詮、ニートなんてただのキチガイ!」

警官「ろくに働きもせず、税金すら納めない穀潰しなんて、生きる価値すらないんだからね!」ニッコリ

キャピ娘「はい。そうですね!」ウルウルッ

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」ブチッ

キャピ娘「あっ……」ハッ

スッ、バシコーーーーン!

その後、俺は力の限りキャピ娘を殴った。

周りの警官達が止めるにも関わらず、執拗にキャピ娘を狙い続けた。

スッ、バシバシッ……

バシバシッ、バシバシッ……

キャピ娘「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ポロポロッ

警官「確保――――――――っ!!」ダッ

ニート「うおおおおおおおお――――――――っ!!」ジタバタッ

キャピ娘「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

その結果、俺はしっかりとすぐさま前科が付いてしまい……

キャピ娘の所為で、余計に自身の立場を悪くしてしまったのだった。

本日の分、終了。

~拘置所前~

数ヵ月後――

ガチャ、キキィーーーーッ……

ダン、カシャン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、クルッ……

ニート「短い間でしたが、お世話になりました」ペコッ

刑務官「うむ。気を付けて帰りなさい」ニッコリ

ニート「はい」ニッコリ

クルッ、スタスタスタッ……

ガチャ、キキィーーーーッ……

ダン、カシャン……

ニート(ふぅ、酷い目に遭った……)

ニート(まさか、俺に前科が付くとはな……)

ニート(でも、なんとか執行猶予が付いてくれたし、刑務所に入らずに済んでくた……)

ニート(後は、再び自宅に戻るだけ……)

ニート(ああ、久し振りに自宅でのんびりとしたい……)

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート(けど、今の自宅にはあいつがいるんだよなぁ……)

ニート(あいつの所為で、俺は前科が付いたんだ……)

ニート(結局、世の中全てが完全に俺の敵だ……)

ニート(父さん達すらも、完全にあいつの味方なんだよなぁ……)

ニート(はぁ……)

スッ、ガサッ……

スッ、パカッ……

パカッ、パカッ……

ニート「……」

ニート「……」

ニート「はぁ……」

スッ、ゴソッ……

ニート「今の俺、完全に金ないなぁ……」

ニート「ここから、どうやって帰ろうか?……」

ニート「とりあえず、まずは銀行に行こう……」

ニート「今の俺の預金残高、一体いくらあったかなぁ?……」

ニート「はぁ……」

クルッ、スタスタスタッ……

~銀行前~

10分後――

ニート(おっ、あったあった)

ニート(ここなら、俺の預金もすぐ下ろせるだろう)

ニート(確か、預金残高は千円くらいか……)

ニート(それさえあれば、何とか自宅付近にまで帰る事が出来る……)

更に数分後――

ニート「……」ウルウルッ

ニート「……」ウルウルッ

ニート「……預金残高ゼロ」ウルウルッ

ニート「何故だ!?」ウルウルッ

「……ん?」ジーーッ

「あれ? ニートじゃねぇか」

「お前、もう出てこれたのか?」

ニート「え?」クルッ

スタスタスタッ、ピタッ

ニート友「よっ!」ニッコリ

ニート「ニート友?」ポロポロッ

ニート友「よう。久し振りだな!」

ニート友「中学卒業以来だったか?」

ニート「ああ、そうだ……」ポロポロッ

ニート友「お前、こんな所で何してる?」

ニート友「つうか、何で泣いてんだよ?」

ニート「ああ、ちょっとな……」スッ、フキフキッ

ニート友「それで、お前どうした?」

ニート友「もう、裁判は終わったのか?」

ニート「ああ、まあな……」

ニート友「つうか、お前が人を殴って捕まるなんて未だに信じられねぇ……」

ニート友「一体、中学を卒業してからのお前の身に何があったんだよ?……」

ニート「ああ、ちょっとな……」

「あら? もう出所されたのですか?」

「私としては、あのままずっと入っていてくれた方が良かったです」

ニート友「ん?」クルッ

ニート「!?」ハッ

「それで? 今後はどうなさるおつもりで?」

「まさか、このまま実家にまでお戻りになるとはおっしゃいませんよね?」

ニート友「ん? 知り合いか?」

ニート友「お前、どこでこんな可愛い子と知り合ったんだよ?」

キャピ娘「……」ペコッ

ニート「てめぇ、何しに来た?」

ニート「俺は、お前の顔を見るだけでも嫌なんだが!」ギロッ

ニート友「……え?」

キャピ娘「何って、貴方の事を迎えに来たんですよ」

キャピ娘「貴方のご両親が、『私達の代わりに行ってきてほしい』とおっしゃって」

ニート「!?」

キャピ娘「今の貴方、お金持ってないでしょう?」

キャピ娘「だから、私はそれを渡しにここまで来たと言う訳です」スッ

ニート「……」スッ

キャピ娘「そこに、現金とご自宅の鍵が入っています」

キャピ娘「それを使って、ご自宅にまで帰宅して下さい」

キャピ娘「どうやら、貴方は私と一緒にいるのはお嫌みたいですし」

キャピ娘「それでは、私はこれで失礼致しますね」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ……

ニート「……」

スッ、パカッ……

ニート「……」

ニート友「……」

ニート「あいつ、千円しか入れてなかった」

ニート「これじゃあ、帰りの電車賃にぐらいにしかならねぇよ」

ニート友「ああ、そうだな」

ニート友「でも、何でお前はあの子の事を嫌ってんだ?」

ニート友「せっかく、わざわざここまで来てくれたのに」

ニート「……」

ニート友「ははん。じゃあ、あの子がお前を家から追い出すきっかけとなったキャピ娘だな」

ニート友「案外、あの子もえげつねぇ事するんだな」

ニート「ああ、まあな……」

ニート友「そんじゃあ、俺も失礼させて貰う」

ニート友「これから、バイト行かなきゃなんねぇから」

ニート「ああ、そうか……」

ニート友「ニート。元気でな」

ニート友「機会があれば、また会おうぜ!」ニッコリ

ニート「ああ、了解した!」ニッコリ

ニート友「あっ、そうそう」

ニート友「お前ん家、何か引っ越したみたいだぞ」

ニート友「ついこの間、お前ん家の前を通ったら引っ越し屋の車が止まってたんだ」

ニート「!?」

ニート友「だから、早く追いかけた方がいいんじゃねぇか?」

ニート友「あの子、もしかしたら新居の場所を知ってるかも知れねぇし」

ニート「……それ、マジな話なのか?」

ニート「まさか、いくら何でもそこまではしねぇだろ」

ニート友「ああ、多分な」

ニート「いや、あいつなら有り得る……」

ニート「そんじゃあ、これはその新居の鍵と言う訳か」

スッ……

ニート友「そんじゃ、俺はもうこれで」

ニート友「お前も、元気でな」

ニート「ああ、またな……」

ニート友「ニート。とにかく頑張れ」

ニート友「無責任かもしれないが、今の俺にはそう言ってやるしか出来ねぇよ」

ニート「ああ、ありがとな……」ウルッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート友(あいつ、本当に大丈夫なのか?……)

ニート友(よっぽど、今のあいつは運がないんだろうな……)

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

本日の分、終了。

~旧ニートの自宅前~

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

旗「入居者募集中 ?鰍wXホーム」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

キャピ娘C「……」ピコピコッ

キャピ娘C「……」ピコピコッ

ニート「俺の家がない……」

ニート「何で?……」

キャピ娘C「……ん?」ピタッ

ニート「あいつ、本当にやりやがった……」

ニート「何も、ここまでする必要はないだろ?……」ウルッ

キャピ娘C「……ほえっ?」クルッ

ニート「俺、これからどうすれば良いんだよ?……」ウルウルッ

ニート「あの鍵は、一体何の意味があるんだよ?……」ウルウルッ

ニート「本当に、何でここまでするんだよ?……」ウルウルッ

ニート「一体、この俺に何の恨みがあるって言うんだよ?……」ウルウルッ

ニート「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

ニート「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

キャピ娘C「あの、大丈夫ですか?……」

キャピ娘C「もしかして、つい最近になって引っ越された方のご家族の方ですか?……」

ニート「……」ポロポロッ

キャピ娘C「ああ、やっぱりそうなんですか……」

キャピ娘C「あの子、昔からやる事がかなり大胆だったからねぇ」ハァ……

ニート「……」ピクッ

キャピ娘C「でも、携帯くらいはお持ちでしょ?」

キャピ娘C「まさか、携帯もお金もなかったりします?」

ニート「……」コクン

キャピ娘C「ああ、この分だと貴方は住所不定無職にまでされてますね……」

キャピ娘C「貴方のご家族、貴方の所為でどこか遠くにまで引っ越されたそうですから……」

ニート「!?」ガーーン

キャピ娘C「まぁ、とりあえずは頑張って下さい」

キャピ娘C「あの子、昔からニートに対してはかなり手厳しい子ですから」

キャピ娘C「今の貴方に、あの子はストレートに『死ね!』と言っているみたいですけど、まだまだ希望はございます」

キャピ娘C「まずは、ニート達が集まるニート村に向かって下さい」

キャピ娘C「そこなら、当面の食事やお金等には困る事がないですからね!」ニッコリ

ニート「……はい」ポロポロッ

ニート「ちなみに、そのニート村は一体どこに?……」ポロポロッ

ニート「一体、ここからどれくらいの距離があるんですか?……」ポロポロッ

キャピ娘C「ええ、ちょっと待って下さいね」スッ、パラッ

キャピ娘C「ニート村は、XXXキャンプ場の中にあります」

キャピ娘C「ここからですと、私鉄の3駅先の距離にありますね」

ニート「ぐずっ、どうも……」ポロポロッ

キャピ娘C「でも、まだ行かない方が良いと思いますよ」

キャピ娘C「あそこ、つい最近になってニートの数がかなり増え過ぎていますから」

ニート「……え?」ポロポロッ

キャピ娘C「まぁ、どうしても行き場がない場合は、そこに行って下さい」

キャピ娘C「全ては、貴方自身が撒いた種なんですからね」ニッコリ

ニート「……はい」ポロポロッ

ルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

キャピ娘C「本当に、あの子はニートに対して残酷になるわね……」

キャピ娘C「まぁ、前の持ち主には余程酷い目に遭わされてたから、仕方ないんだけど……」

キャピ娘C「とりあえず、久し振りにあの子にメールしとこ……」

キャピ娘C「あの子、つい最近は色々と忙しいみたいだからなぁ……」

~登場人物2~

ニート父:年齢は55。会社員。高校受験に失敗したニートの事を疎ましく思っている。二年前に施行されたニート対策基本法を利用し、ニートの事を排除しようと考えていた。

ニート母:年齢は50。介護福祉士。過去に一度流産をした経験があり、夫が購入したキャピ娘を夫と供に実の娘の様に可愛がっている。キャピ娘が家に来てからは、キャピ娘の事をよく買い物等に連れ回している。

ニート友:年齢は21。フリーター。ニートとは中学時代の友人。ニートが高校受験に失敗し、ニートになってからは関係を絶つ。

キャピ娘B:キャピ娘の友人。カムロードベースのキャピ娘。見た目はボーイッシュで、一人称は「僕」のロリ巨乳。キャピ娘とは、販売店で知り合って以来仲が良く、現在も交流が続いている。つい最近、髪の色を茶から黒に戻し、セミロングにしだた。


キャピ娘C:キャピ娘の友人。シビリアンベースのキャンピングカー。見た目は知的で眼鏡を掛けた黒の長髪の爆乳美少女。キャピ娘とは、販売店で知り合って以来仲が良く、現在もキャピ娘Bと供に交流が続いている。

~キャンプ場・入口~

その日の昼――

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

ニートの群れ「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

ニート「なんか、やけに多いな……」

ニート「これ、一体何が起きてんだ?……」

ニート「まさか、これ全てが俺と全く同じニート?……」

ニート「もしそうだとしたら、かなり多過ぎるだろ……」

ニートの群れ「……」

警備員「……」

ニート「いや、それは有り得ない……」

ニート「こんなの、認めたくはない……」

ニート「もし仮に、これが本当だとしたらどんだけいるんだ!?……」

ニート「一体、これは何の集まりなんだよ!?……」

ニートの群れ「……」

警備員「……」

ピンポンパンポーーン!

「ニートの皆様に、ご連絡申し上げます!」

「ただ今より、当キャンプ場内を解放致します!」

「キャンプ場内は大変混み合っております」

「危ないですので、係員の誘導に従いゆっくりとお進み頂ける様、お願い申し上げます!」

ピンポンパンポーーン……

係員「ええっ、これより、当キャンプ場を解放致します!」

係員「危ないですから、我々係員の誘導に従って下さい!」

ニートの群れ「……」ザワザワッ

係員「キャンプ場内は、大変混雑しています!」

係員「どうか、押さず走らず焦らず、ゆっくりと入って下さい!」

ニートの群れ「……」ザワザワッ

ガチャ、キキィーーーー----ッ!

ダン、カシャ----ン!

ニートの群れ「……」ザワザワッ

ニートの群れ「……」ザワザワッ

係員「では、これより誘導致します!」

係員「繰り返し申し上げますが、ゆっくりと係員の誘導に従って入って下さい!」

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

係員「はい。押さないで、押さないで!」

ピーーッ、ピーーッ、ピーーッ!

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニート「凄い光景だな……」

警備員「……」

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

係員「はい。ゆっくりと進んで下さ――――い!」

ピーーッ、ピーーッ、ピーーッ!

ニート(とりあえず、俺も入るか……)

ニート(皆、何か入ってるみたいだし……)

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

係員2「はい。ゆっくりとね――――っ!」

ピーーッ、ピーーッ、ピーーッ!

ニート(まずは、ここで昼食を取ろう)

ニート(それに、ずっと歩きっぱなしだったからトイレに行きたいからな)

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニート「よしっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~キャンプ場内・管理棟前~

ニート「ふぅん。ここがキャンプ場か……」

ニート「思えば、キャンプ場って初めて来たな……」

ニート「それより、トイレはどこにあるんだ?……」

ニート「一体、どこにあるんだよ?」

キョロキョロ、キョロキョロ……

ニート「ん? もしかしてあれか?……」

ニート「えらく、混雑してるみたいだな……」

ニート「そりゃあ、数百人を越えるニートが押し寄せてきたんだ……」

ニート「さすがに、すぐには空かないか……」

ニートの群れ「……」

スタスタスタッ、ピタッ……

「あら、もうお着きになったのですか?」

「相変わらず、運だけは強い様ですね」

ニート「ん?」クルッ

キャピ娘「……」ニッコリ

ニート「お前、何でここにいる?」

ニート「と言うか、その服装は何だ?」

キャピ娘「何って、ここは私の勤め先なんですよ」

キャピ娘「私達キャピ娘は、こう言った場所で働いているんです」

キャピ娘「後、キャンプ用品のレンタルはもう済まされましたか?」

キャピ娘「それがないと、当面の生活が出来なくなってしまいますよ」

ニート「……何?」

キャピ娘「……」

ニート「お前、本当に俺をここで生活させるつもりのか?」

ニート「一体、何でこんな事をわざわざするんだよ?」

キャピ娘「何か、問題でも?」

ニート「お前、そこまで俺の事が嫌いなのか」

ニート「俺の事が嫌いだから、あそこまでしていたのか?」

キャピ娘「はい。そうですよ!」ニッコリ

ニート「俺は、ただ自由に暮らしていたかっただけだ!」

ニート「俺の好きな事をやって、普通に子供みたいにいつまでものんびりと暮らしていたかった!」

ニート「それなのに、お前や親はいつもそれを邪魔してくる!」

ニート「大体、何故俺まで社会に出て働かなければならない?」

ニート「それが、どうしても今の俺には全く分からないんだ!」

ニートの群れ「……」ピクッ

キャピ娘「じゃあ、これまでは欲しい物があった時はどうしていたんですか?」

キャピ娘「まさか、今までずっとご両親に買って貰っていたとか言いませんよね?」

ニート「ああ、勿論。何か問題でもあるか?」

ニート「親なんだから、それくらい当然だろ?」

ニートの群れ「……」コクンコクン

キャピ娘「……」

キャピ娘「でも、さすがにそればっかりは申し訳なく思わなかったんですか?」

キャピ娘「貴方、もう成人してるんでしょ?」

キャピ娘「今の貴方は、勤労をする義務も税金を納める義務も全く果たしてはいません!」

キャピ娘「ただただ、誰かに買って貰ったり恵んで貰ったりしているだけ!」

キャピ娘「ここでは、それは一切通用しなくなりますよ!」

キャピ娘「貴方のご両親は、貴方に改心をして貰う為に自らの心を鬼にされたのです!」

ニート「じゃあ、改心したら帰っても良いのか?」

ニート「まずは、そこら辺の事を聞いておきたい」

ニートの群れ「……」ゴクリ

キャピ娘「ええ、そうですよ」

キャピ娘「貴方が改心をした場合は、ご両親の待つ新居と職安にまで向かって頂きます」ニッコリ

ニート「え?」

キャピ娘「それに、貴方もう前科が付いちゃってますよ!」

キャピ娘「ニート対策基本法にも、『最低でも週に一度は職安に行け!』と書かれてはいます!」

キャピ娘「それに違反する場合は、ニート対策基本法に則り厳重な罰を下す!」

キャピ娘「貴方も、少しは噂には聞いた事があるでしょ? 謎のニートの大量失踪事件については……」

キャピ娘「それが嫌なら、暫くの間はここで過ごして自身の頭を冷やして下さい!」

キャピ娘「貴方がここで改心をして下さらないのなら、貴方のご両親は本格的に貴方の事を排除するでしょう!」

キャピ娘「まぁ、私との無駄話もこれくらいにして、早めにキャンプ用品を借りといた方が良いですよ」

キャピ娘「それがないと、貴方はテントも寝袋も何もない状態での生活となります」

キャピ娘「確か、レンタル出来るキャンプ用品の数も残り少なくなってきていますね」

キャピ娘「そこには、早い者勝ちで水や食料等も入っています」

キャピ娘「ですから、早く貴方も急いで下さい」

キャピ娘「今はまだ執行猶予期間中ですし、また何か問題を起こしたらすぐさま貴方は刑務所行きになりますから」ニッコリ

ニート「お前、また俺に殴られたいのか?」

ニート「何で、お前はいつもいつも俺の邪魔をしてくるんだよ?」

ニート「大体、何でお前みたいな奴が可愛がられているんだ?」

ニート「元々、人間でもない癖に!」

ニート「キャピ娘ならキャピ娘らしく、人間の言う事を聞いとけ!」

キャピ娘「はい。嫌です!」ニッコリ

ニート「じゃあ、俺に今すぐキャンプ用品を渡せよ!」イライラッ

ニート「お前ここのスタッフなんだから、すぐに渡せるんだろ?」イライラッ

ニートの群れ「……」ジーーッ

キャピ娘「これでも、私は貴方と違って全うに働いてますし!」ニコニコ

キャピ娘「とりあえず、用意するんでちょっと待ってて下さいね」ニコニコ

ニート「ああ、了解した」イライラッ

ダッ、ダダッ……

ダダッ、ダダダダダダッ……

ニート「!?」ビクッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

キャピ娘「ああっ、あらあら……」ニコニコ

ニートB「すみません。キャンプ用品を貸して下さい!」

ニートB「俺、何も持ってきてないんです!」

係員3「はい。かしこまりました!」

ニートC「すみません。俺も!」

ニートC「水や食料とかも、一緒にお願いします!」

係員4「はい。ちょっと待って下さいね!」

ニートD「すみません。テントって、後どれぐらいあるんですか?」

ニートD「一回、自宅に戻っての持ち込みは可能ですか?」

キャピ娘「はい。大丈夫ですよ」ニコニコ

ニートD「じゃあ、俺ちょっと取ってきます!」

ニートD「すみません。通して下さい!」

ザワザワッ、ザワザワッ……

ニート「これ、大丈夫なのか?……」

ニート「完全に、今の俺は出遅れているな……」

ニート「はぁ……またしてもあいつにしてやられた」

ニート「あいつ、本当に俺の邪魔ばっかするんだな……」

ニートの群れ「……」ザワザワッ

係員達「はい。次の方!」テキパキ

ニート「とりあえず、先にトイレ行くか……」

ニート「何か、トイレが急に空きだしたし……」

ニート「俺、もしかして運に見放されてる?……」

ニート「もしかしなくても、これは完全に運に見放されているよな?……」

ニート「はぁ……」

キャピ娘「……」ニヤリ

~キャンプ場内・管理棟~

数十分後――

キャピ娘(結局、彼は何も得られませんでしたか)

キャピ娘(まぁ、あれだけの数じゃ当然の結果でしょう)

キャピ娘(所詮、ニートなんて生きる価値なし)

キャピ娘(特に、このキャンプ場内に集まってきたニートに関してはね)

キャピ娘(後は、様子見といきましょうか)

キャピ娘(彼らは、本当に改心をしてくださるのでしょうか?)

キャピ娘(さて、私も私で振り分けられた仕事をこなしましょう)

キャピ娘(一体、何故彼らは働かないのでしょうね?)

キャピ娘(まぁ、例えここから逃げたとしても、すぐさま指名手配されるだけなんですけどね)

キャピ娘(うふふっ……)ニヤリ

~キャンプ場内・公衆トイレ前~

更に数分後――

ニート(結局、テントは借りられなかったな)

ニート(あいつ、本当に頭おかしいぜ)

ニート(俺、本当にどうやって寝ようかな?)

ニート(テントも寝袋もなしに、一体どうやって寝るんだよ?)

ニート(あいつ、一体何がしたいんだ?)

ニート(それもわざわざ、俺に前科がある事を言わなくても)

ニート(おかげで、周囲の目線が痛い……)

ニート(皆、俺の事を露骨に避けてやがる……)

警備員「……」ジロッ

ニートの群れ「……」ゾロゾロッ

ニート(はぁ……)

ニート(これなら、まだ向こうに入ってた方がマシだったかな?……)

ニート(執行猶予が付いたからって浮かれてたが、これじゃあ何の意味も持たないな……)

ニート(おまけに、何故か警備員の数が増えてきた……)

ニート(警備員どころか、係員の数すら多くなってねぇか?)

警備員達「……」ゾロゾロッ

ニート(ああ、一部の警備員達が入口付近に向かいやがった……)

ニート(あれ、完全に封鎖するつもりだろ?……)

ニート(他は、各区画の警備巡回か……)

ニート(皆、本当に仕事熱心だねぇ……)

ニート(まぁ、今の俺には全く縁のない事だけど……)

スッ、ガチャ……

「あら、まだこんな所にいらしたんですか?」

「結局、自力では手に入れられなかった様ですね」

ニート「ん?」クルッ

キャピ娘「……」ヌッ

ニート「……何だ、お前か」

ニート「その手にあるのは、俺が頼んどいたキャンプ用品か?」

キャピ娘「ええ、そうですよ」

キャピ娘「倉庫の中にあった使える用品を集めて、ちゃんと持ってきましたよ」ニッコリ

キャピ娘「でも、その割りにはあまり嬉しそうではありませんね」

キャピ娘「まぁ、今の貴方はただの前科持ち」

キャピ娘「今更、周囲の目線に耐えられないでいるのですか?」

ニート「……ああ、まあな」

キャピ娘「とりあえず、これを貴方に渡しておきますね」

キャピ娘「後、夕方には特別にニートの皆様に対して食料の提供を開始します」スッ

キャピ娘「と言っても、賞味期限がギリギリのレトルト食品等ですが」

キャピ娘「今度は、自力で食料等をなんとかして下さい!」

キャピ娘「じゃないと、貴方はずっと誰かに恵んで貰ってばかりですからね!」ニッコリ

ニート「……ああ、そうだな」ムカッ

スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

キャピ娘「……」

警備員「……」

係員2「キャピ娘。本当に良かったの?」

係員2「あの人と、あんまり関わり合いを持たない方が良いんじゃないかしら?」

キャピ娘「ええ、構いませんよ」

キャピ娘「いずれ、彼は死んでしまうんですから」

係員2「え?」

キャピ娘「それに、彼はもう二度と自宅には戻れません!」

キャピ娘「ここが、彼の墓場になるんですから!」ニッコリ

係員2「……キャピ娘」

警備員「まぁ、何かあった時は俺らで何とかする」

警備員「君達も、早く持ち場に戻るんだな」

キャピ娘「はい。かしこまりました」

係員2「失礼します」

クルッ、スタスタスタッ……

ニート「……」ウルッ

ニート(あいつら、本当に言いたい放題だな……)

ニート(余程、俺の事が嫌いと見た……)

ニート(俺だって、好きで前科持ちなんかになった訳じゃないのに……)

ニート(本当に、あいつらムカつくぜ……)

警備員「……」ニヤニヤ

ニートの群れ「……」ソソソッ

ニート(とりあえず、テント張ろう……)

ニート(確か、案内図ではこっちだったよな?……)

ニート(絶対、今度あいつの事を泣かせてやる……)

ニート(それか、もうあいつの事を本気で始末してしまえば良いかもしれないな……)

スッ、フキフキッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~キャンプ場内・管理棟~

その日の夕方――

キャピ娘「は? 奪われた?」

キャピ娘「彼、私が渡したキャンプ用品を奪われたんですか?」

管理人「うん。そうみたい」

ニート「……」

キャピ娘「いや、それありえないでしょ?」

キャピ娘「彼、私の事を執拗に何度も殴ってきたのに?」

ニート「……」

管理人「でも、実際に奪われたのは事実よ」

管理人「おまけに、自身の割り当てられていた区画からも追い出されちゃってた」

キャピ娘「そんな……」

管理人「だから、もう彼の寝床がないのよね?」

管理人「その上、せっかく配布した食料品すらも奪われている」

管理人「一応、空いている小屋に彼を入れようと思ってるんだけど」

管理人「貴女としては、彼にどうして貰いたい?」

キャピ娘「……」

ニート「……」

キャピ娘「出来る事なら、ここにいて貰いたいです」

キャピ娘「また、外で犯罪に手を染められても困りますし」

管理人「……」

キャピ娘「けど、今のままではとても生活なんか出来ませんね」

キャピ娘「結局、彼は自分よりも弱いと感じた者にしか強く出れない」

キャピ娘「そうじゃなきゃ、彼は今みたいな感じにまではなってはいませんね」

管理人「じゃあ、君はどうしたいの?」

管理人「君は、まだここでキャンプを続けていたい?」

ニート「……いいえ」

管理人「けど、今の君にはもう帰る場所がないよ」

管理人「それは、君も分かってるでしょ?」

ニート「……」

管理人「今まで、君は何をして来たのかな?」

管理人「まだ若いのに、何で自宅に引き籠っていたのかな?」

ニート「……」

管理人「まぁ、今となってはもう手遅れね」

管理人「そんなんだから、君はご両親にすら捨てられてしまうのよ」

ニート「……」

管理人「とりあえず、彼はまだ空いている場所に入れておきましょ」

管理人「まだ、オートもバンガローも空いていたわよね?」

キャピ娘「はい」

管理人「場合によっては、貴女が彼を収容して」

管理人「彼、貴女とは知り合いみたいだし、それぐらいの事なら構わないわよね?」

キャピ娘「……はい」

~キャンプ場内・通り道~

ニート「なぁ? どこまで行くんだよ?」スタスタッ

ニート「俺、今日はどこで寝れるんだ?」スタスタッ

キャピ娘「……」スタスタッ

ニート「ああ、なんか視線が痛い……」スタスタッ

ニート「お前、本当に余計な事をしてくれるよなぁ……」スタスタッ

ニート「それで、俺の本日の寝床はどこだ?」スタスタッ

ニート「バンガローとは一体なんなんだ?」スタスタッ

キャピ娘「……」スタスタッ

ニート「お前、さっきから無視してないで答えろよ」スタスタッ

ニート「また、お前は殴られたいのか?」スタスタッ

キャピ娘「……」スタスタッ

ニート「なぁ、キャピ娘。俺の質問に答えろよ!」スタスタッ

ニート「お前、よっぽど俺に殴られたいらしいな?」スタスタッ

キャピ娘「……」

ニート「ああ、そうか。そんなに殴られたいか……」スタスタッ

ニート「全ては、お前が悪いんだからな!」ダッ

スッ、バシーーーーン!

~キャンプ場内・テント区画~

ニートD「あの、こんな感じで良いですか?」

ニートD「上手く設置出来てますか?」

係員「ええ、そんな感じで構いませんよ」

ニートD「じゃあ、後は夕食の支度だけか」

ニートD「炊事場って、借りれるんですか?」

係員「ええ、大丈夫ですよ」

係員「炊事場は、共用スペースとなっております」

ニートD「へぇ、そうなんですか」

「いやああああああああ――――――――っ!?」

ニートD「!?」

係員「!?」クルッ

「おいっ、何かまたあの前科者がやってるぞ!?」

「あの野郎、若い女のスタッフに殴り掛かりやがった!」

ニートD「ああっ……」

係員「おいっ、今すぐ止めに行くぞ!」

係員「あの野郎、そう簡単には許してはおけねぇ!」ダッ

ニートD「はっ、はい!」ダッ

~キャンプ場内・通り道~

ドゴドゴッ、ドゴドゴッ!

キャピ娘「だ、だれか……!」ポロポロッ

ドゴドゴッ、ドゴドゴッ!

キャピ娘「うぇっぷ……」ポロポロッ

ニート「はぁ、はぁ、はぁ……」

キャピ娘「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

キャピ娘「ううっ、ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

ニート「はぁ、はぁ、はぁ……」

スッ、ムギュッ……

キャピ娘「!?」ビクッ

ムギュッ、ムギュッ……

ムギュッ、ムギュッ……

ムギュッ、ムギュッ……

キャピ娘「……」ビクビクッ

ムギュッ、ムギュッ……

ムギュッ、ムギュッ……

キャピ娘「いっ、いやああああああああ――――――――っ!?」ポロポロッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ!

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ!

ニート「……?」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ!

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ!

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ!

係員「てめぇ、何してる!?」

係員「本当に、てめぇはどうしようもないな!?」ギロッ

ニート「ちっ……」

ニートD「ああっ!? てめぇ、弱い者いじめしか出来ねぇのか!?」

ニートD「そんなんだから、てめぇは前科が付くんだよ!?」

キャピ娘「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

係員「キャピ娘、無事か?」

係員「そのまま、すぐ立てるか?」

キャピ娘「……」ビクビクッ

係員「てめぇ、キャピ娘を殴った上に今度は強制ワイセツか!?」ギロッ

係員「そんなにしたいなら、俺が代わりにお前の相手してやるよ!」

スッ、バシーーーーン!

ニート「ぐっ……ぐおっ!?」

ニート「ぐううっ、ううっ……」ウルッ

スッ、ドサッ……

係員「……」

スッ、ドゴッ!

ニート「ぐええええ――――っ!?」ポロポロッ

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ストッ……

係員2「……キャピ娘。立てる?」ムカムカッ

係員2「だから私は、こんな人には関わらない方が言ったのに!」ムカムカッ

係員2「今からでも、まだ遅くないわ!」ムカムカッ

係員2「こんな奴、すぐにまた訴えてやれば良いのよ!」ムカムカッ

係員「まぁ、どの道こいつは逮捕確定だがな!」

係員「今度は、例の無人島送りらしい!」

係員2「え?」

係員「こいつ、何故か執行猶予が付いてるんだわ」

係員「暴行だけでなく、ニート対策でも執行猶予期間中なんだと」

ニート「……」ビクビクッ

係員「だから、こいつはもう終わりだ!」

係員「これから、今まで以上の生き地獄を味わう事になる!」

係員「キャピ娘。痛みが収まったら被害届出しに行くぞ!」

係員「今度は、暴行だけでなく強制わいせつもプラスになったからな!」

キャピ娘「……はい。かしこまりました」ビクビクッ

ニート「うぐううっ……」ビクビクッ

~キャンプ場内・管理棟前~

しばらくして――

ニート「……」

キャピ娘「……」

管理人「……」

警備員達「……」

ニート「……」

キャピ娘「……」

管理人「……」

警備員達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

刑事「すみません。XX署の者です」

刑事「ここの管理人さんは、いらっしゃいますでしょうか?」

管理人「はい。私です」

刑事「ええ、今から、皆様には事情聴取をさせて頂きます」

刑事「お手数をお掛け致しますが、どうかご協力の程を」

管理人「はい。かしこまりました」

刑事「それで、被害に遭われたキャピ娘と言うのは?」

刑事「彼女は、今管理棟の中なのでしょうか?」

管理人「いいえ」

キャピ娘「私なら、ここにいますよ」

キャピ娘「出来れば、極刑をお願いしたいのですが」

刑事「うむ。君か……」

刑事「では、これより事情聴取を始めます」

刑事「刑事2は、被害者の方を頼む」

刑事2「はっ!」

刑事「他の者は、係員達から事情を聞け」

刑事「私が加害者から事情を聞く」

警官達「はっ!」

警官「では、管理人さんはこちらへ」

警官「私が、貴女の話を聞かせて頂きます」

管理人「はい。かしこまりました」

婦警「あら? 貴女、あの時の……」

婦警「どうやら、また同じ人からの被害に遭っちゃったみたい……」

キャピ娘「はい。そうなんです」シュン

刑事「それで、君は何でまたキャピ娘を殴ったのかね?」

刑事「しかも、同じ相手を執拗に二度も」

刑事「君、報告によれば執行猶予が付いてるね」

刑事「一体、何で君はまたこんな事をしたのかな?」

ニート「……」

キャピ娘「……」

刑事「君、何か言いたまえ」

刑事「そのまま黙っていても、君の為にはならないぞ」

刑事「君、口はあるのか?」

刑事「そのまま黙秘を続けても、君の刑は軽くはならない」

ニート「……」

キャピ娘「……」

キャピ娘「ただ単に、この私が気に入らないだけでしょ?」

キャピ娘「前も、同じ理由で私の事を殴り続けていたから」

ニート「……」ギロッ

キャピ娘「そんなに、悔しかったの?」

キャピ娘「私はただ、本当の事を言ったまでなんだけど」

ニート「煩い!」ギリッ

刑事「ほう。ようやく、口を開いたか」

刑事「君は、そんなくだらない理由で彼女を殴ったのか?」

刑事「それで、他に動機は?」

刑事「彼女が気に入らない以外に、他に理由はあるのかね?」

ニート「……」コクン

刑事「なら、それを早く言いたまえ」

ニート「遡る事、数ヵ月前……」

ニート「こいつが家に来たおかげで、俺は家を追い出された……」

ニート「その上、俺の親達はこいつの事を可愛がってやがる……」

ニート「俺は自分の親から、『俺なんかが家にいるより、そいつの方が家にいる方が断然良いって』言われたからだ……」ウルッ

刑事「……ふむ」

キャピ娘「そりゃあ、当然の事でしょうが」

ニート「俺は、ただ自宅でのんびりと暮らしたかっただけだ!」

ニート「ただちょっと高校受験に失敗して自宅で五年もニートしてたら、突然、こいつの所為で家を追い出されたんだ!」

ニート「だから、俺はこいつの事を何度も殴っただけだ!」

ニート「今まで溜まりに溜まった鬱憤を、こいつで晴らしただけなんだよ!」

刑事「は?」

刑事2「頭、大丈夫なのか? こいつ」

ニート「それなのに、こいつはいつもいつも俺の邪魔をしてくる!」

ニート「全ては、こいつが悪いんだよ!」

ニート「一体、何で俺だけがこんな目に!」

ニート「こいつの所為で、俺にまた前科が付いちまったんだよ!」ウルウルッ

刑事「……」

キャピ娘「……」

刑事「とりあえず、君の動機は分かった……」

刑事「彼女が原因で、君は彼女を殴ったんだね?……」

ニート「ああ、そうだけど……」

刑事「君、少しは大人になりなよ」

刑事「もう既に、二十歳過ぎてんでしょ?」

ニート「煩い!」ギロッ

刑事「とりあえず、話の続きは署の方で」

刑事「署の方で、ゆっくりと話を聞くからね」

ニート「……はい」ウルッ

刑事「刑事2、早く事情聴取を始めろ」

刑事「何さっきから、そこで突っ立ったままなんだ」

刑事2「はっ、すいません……」

刑事「では、車の方に向かおうか」

刑事「と言うか、今の君は酷い顔をしているな」

ニート「……」ウルウルッ

刑事「まぁ、今の君ならそれくらいされた当然だろ」

刑事「今回は、強制わいせつも付いてくるんだからな」

ニート「くっ……」ポロポロッ

キャピ娘(こうして、彼はまた再び逮捕された)

キャピ娘(また私は、彼を社会的に抹殺をした)

キャピ娘(その後、彼を待ち受けているのはただの“生き地獄”だけ!)

キャピ娘(所詮、ニートなんて生きる価値なんかないんだし!)

キャピ娘(これはもう当然の結果だわ!)ニヤリ

ニート「……」ポロポロッ

キャピ娘(とりあえず、後はどうしようかな?)

キャピ娘(また、彼を使って遊ぼうかな)

キャピ娘(後で、お母様達にこの件を伝えておこう)

キャピ娘(今の私は、彼のご両親にとってはとても可愛らしい義理の娘)

キャピ娘(あんなのと比べたら、天と地の差があるんだからね!)ニヤリ

ニート「……」ポロポロッ

支援ありがとうございます。

~ニートの両親の自宅・リビング~

その日の夜――

ニート母「そう。また捕まったの……」

ニート母「本当に、あの子はどうしようもないわねぇ……」

ニート父「ああ、全くだ……」

キャピ娘「……」

ニート母「キャピ娘。体の具合は大丈夫?」

ニート母「今の貴女、どこか悪い所はある?」

キャピ娘「いいえ」

ニート母「でも、何であの子が貴女の勤め先に?」

ニート母「あの子、貴女の勤め先は知らないはずなのよね?」

キャピ娘「はい。そうです」

ニート父「まぁ、それももう終わりになるな!」

ニート父「俺はもう、あいつの事を完全に切り捨てる事にした!」

キャピ娘「え?」

ニート母「貴方?」

ニート父「妻よ。少し、電話帳を取ってくれ」

ニート父「俺は、もう既に覚悟を決めている!」

ニート母「貴方、一体何をするつもりなの?」

ニート母「まさか、例の手続きを?」

ニート父「ああ、そのまさかだ」

ニート母「それをすれば、あの子は本当にこの世から消えてなくなってしまう」

ニート母「いざ、その手続きをするとなると、まだ少し覚悟を決めきれないわ」

キャピ娘「……」

ニート父「だが、もうこれ以上はどうしようもない!」

ニート父「現に、キャピ娘が二度も被害に遭っている!」

ニート母「……」

ニート父「あいつ、キャピ娘の胸を何度も何度も揉みやがった!」ムカッ

ニート父「この俺ですら、一度もキャピ娘の胸を揉んだ事はないのに!」ムカムカッ

ニート母「……は?」

ニート父「ともかく、俺はもうあいつの事を本当に切り捨てるぞ!」ムカムカッ

ニート父「二人も、今すぐその覚悟を決めてくれ!」ムカムカッ

ニート母「……」

キャピ娘「……」

ニート父「俺も、キャピ娘の胸を揉みたかった!」ムカムカッ

ニート父「たかが能無し中卒ニートの分際で、俺のキャピ娘に手を出してんじゃねぇ!」ムカムカッ

ニート母「貴方、もしかしてキャピ娘の胸を揉みたかったの?」

ニート母「そういう事をしたいなら、風俗にでも行ってきて」ギロッ

キャピ娘「ええ、そうですね……」ソソッ

ニート父「……」ハッ

ニート母「キャピ娘。この人に何かされてない?」

ニート母「もしされてるんなら、今すぐ正直に言って」

キャピ娘「いえ、何もされてはいませんよ!」

キャピ娘「前のご主人様に比べたら、遥かに可愛がって貰ってます!」ニッコリ

ニート父「……」ホッ

ニート母「けど、何回か私に隠れて際どい服とか着せてなかった?」

ニート母「私、自宅に設置しておいた隠しカメラで、その時の様子を何度も確認した事があるんだけど」

ニート父「!?」ガーーン

キャピ娘「ああ、あれはですね……」タジタジ

キャピ娘「ただ単に、私がその服に興味を持ってしまっただけの事です……」タジタジ

ニート母「……へぇ、それで?」ジーーッ

キャピ娘「ですから、特にやましい事は……」タジタジ

キャピ娘「前のご主人様に比べたら、遥かにマシな待遇にして貰っています……」タジタジ

ニート父「……」

ニート母「まぁ、特にやましい事がないのなら別に良いわ」

ニート母「今更、浮気の一つや二つはこの際どうでも良いわよ」

ニート父「……」

ニート母「とりあえず、例の給付金は全額私ね!」

ニート母「それで、私に隠れてキャピ娘にセクハラしていた事については、全部許してあげるわ!」ニッコリ

ニート父「……はい」ガクッ

ニート母「それで、電話帳を持ってきたら良いの?」

ニート母「あれ、手続きとか面倒じゃない?」

ニート父「いや、特に問題はないな」

ニート父「次は、一緒にお風呂に入らせて貰う」ニッコリ

キャピ娘「え?」

ニート母「貴方?」

ニート父「ああ、すまんすまん。今のは無しだ」

ニート父「少し、別の世界に旅出ってしまっていてな」

ニート父「キャピ娘。どこか良い温泉はないか?」

ニート父「今度の連休には、是非ともキャピ娘に乗って温泉に行きたい」

ニート母「あら、良いわね」ニッコリ

キャピ娘(それで、誤魔化したつもりなんだ……)

ニート母「貴方、私に遠慮なんかせずに風俗にでも行ってきても良いわよ」ニコニコ

ニート母「ここ最近、ずっと溜まってるんでしょ?」ニコニコ

ニート父「!?」ビクッ

ニート母「キャピ娘。出きれば混浴のない温泉にね!」ニコニコ

ニート母「私、下手したらこの人を崖の上から突き落としたくなるから!」ニコニコ

キャピ娘「はっ、はい……」ビクッ

ニート母「後、キャピ娘にこれ以上変な事をしないでね!」ニコニコ

ニート母「キャピ娘は、私達の大事な大事な一人娘なんだから!」ニコニコ

ニート母「これ以上、キャピ娘に変な事をするつもりなら、緑の紙を召喚するわよ!」ニコニコ

ニート母「貴方も、あの子みたいになりたい?」ニコニコ

ニート母「それが嫌なら、もうこれ以上キャピ娘には変な事をしたりさせたりはしないでよね!」ニコニコ

ニート父「……はい。かしこまりました」ビクビクッ

~無人島・砂浜~

餓死者A「……」

餓死者B「……」

餓死者C「……」

餓死者D「……」

ザザーーン、ザザーーン……

餓死者E「……」

餓死者F「……」

餓死者G「……」

餓死者H「……」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

シュン、シュタッ……

巨大猫「……」パチッ

巨大猫「……」シャキン

餓死者A「……」

餓死者B「……」

餓死者C「……」

餓死者D「……」

スッ、キョロキョロ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

餓死者E「……」

餓死者F「……」

餓死者G「……」

餓死者H「……」

巨大猫「また、死者が増えたみたいじゃな」

巨大猫「あそこにおれば、何不自由なく過ごせたものを」

巨大猫「じゃが、今となってはもう仕方あるまい」

巨大猫「こ奴等は、もう既に死んでおるのじゃからな」

「うん、そうだね」

巨大猫「む?」クルッ

「お帰り、巨大猫。もう用事は済んだんだ?」

巨大猫「ああ、まあな」

「この人達、皆、餓死しちゃったみたいだよ」

「本当に、人間っていとも簡単に死んじゃうんだね」

巨大猫「ああ、そうじゃな。死神達」

ザザーーン、ザザーーン……

死神「けど、何で今日は用事で出掛けていたの?」

死神「てっきり、巨大猫には友達とかいないと思ってた」

巨大猫「悪いが、妾にもちゃんと友がおる」

巨大猫「少し、今日は友と語らいたかっただけじゃ」

死神「ふぅん。そうなんだ……」

死神「おかげで、こっちは作業がなかなか進まなかったよ……」ハァ……

巨大猫「それで、今日は何人死んだのじゃ?」

巨大猫「見た所、妾の近くには八人はいるみたいじゃが」

餓死者達「……」

死神「うん。今日だけでも八人だね……」

死神「明日になったら、まだまだ沢山死ぬみたいだけど……」

巨大猫「うむ。そうか」

死神「だから、あんまり外出をしないでね」

死神「おかげで、ボクの仕事が増えちゃうんだから」

死神「おまけに、前任は前任でボク達を後任に指名しちゃうし」

死神「その上、あまりの死者の魂の多さに皆が疲労困憊になっちゃったんだからね!」ギロッ

巨大猫「ああ、すまなかった」

死神達「……」ヌッ

巨大猫「とりあえず、そなたらはもう休め」

巨大猫「後は、妾が島の様子を見ておく」

巨大猫「あ奴曰く、またここにニートの大群がやって来るぞ」

巨大猫「しかも、今度は前科持ちの連中ですらもまた、数多く送り込むみたいなのじゃ」

死神「ええ~~~~っ!?」ガーーン

死神達「……」ガクッ

死神「ちょっと、それどう言う事!?」

死神「ボク達、このままだと過労死しちゃうでしょ!?」

巨大猫「まぁ、こんなにも人数がおるんじゃからなんとかなる」

巨大猫「そなたらの前任は、たった二人で事にあたっていた」

巨大猫「じゃから、そなたらも精々頑張る事じゃ」

死神「そ、そんな……」ウルッ

巨大猫「では、妾はこれにて失礼する」

巨大猫「そなたらも、よく休んでおくのじゃぞ」

死神「うん。お休みなさい……」ウルウルッ

巨大猫「まぁ、この人数でもなんとかなるじゃろ」

巨大猫「そなたらは、もう立派な死神なのじゃからな」ニッコリ

ザザーーン、ザザーーン……

スッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

死神「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

死神「……」

死神「巨大猫。行っちゃったね……」

死神「ボク達、本当に大丈夫なのかな?……」

死神B「さぁ、分からんな……」

死神C「けど、何で前任達はたった二人で出来たのよ?……」

死神C「ここ、いくら何でもハード過ぎるでしょ?……」

死神B「ああ、そうだな……」

死神D「だが、今の俺達にはそれをするしかないみたいだぞ……」

死神D「ここ、俺達の様な新米にはかなりキツ過ぎるのだが……」

死神C「……」

死神E「本当に、前任達って何なんだろうね?……」

死神E「いきなり、何の説明もなしに新米だけであれだけの量の魂を狩るなんて無茶過ぎるわよ……」ハァ……

死神「うん。そうだね……」

死神D「とりあえず、明日に備えてもう休むぞ……」

死神D「今日は、皆がここに泊まり込みだ……」

死神C「え~~~~っ!?」ガーーン

死神D「そうしなきゃ、とても無理な数だ……」

死神D「ここの送られてくるニート達の魂、完全に負のオーラが強過ぎるんだよ……」

死神C「そ、そんな……」ウルッ

死神D「さぁ、文句言ってないでテント張るぞ……」

死神D「男女別のテントを、皆で今から張るんだ……」

死神「は~~い……」

死神E「全く、何で私達がこんな目に……」

死神E「これも、私達に課せられた試練なのかしら?……」ハァ……

死神F「さあね……」

死神B「死神。お前も早く手伝え!」

死神B「お前も、俺達と同じ男だろ!」

死神「は~~い……」

死神(全く、ニートって死んだ後も誰かに迷惑を掛けるんだね……)

死神(本当に、少しはボク達の身にもなってほしいものだよ……)ハァ……

ザザーーン、ザザーーン……

~登場人物3~

巨大猫:無人島に住む巨大なメスの三毛猫。無人島に捨てられて死んでいった野良猫達の成の果て。古風な話し方をし、無人島に連れてこられたニート達に対して、監視や状況の説明等をしている。

死神達:無人島で死んだニート達の魂を回収に来た新米の死神達。見た目は、高校生ぐらいの容姿。巨大猫とは協力体制にあり、無人島で死んでいったニート達の魂の回収に悪戦苦闘している。

エルフ:無人島の所有者。金の長髪で爆乳の白人美女。巨大猫と共に無人島に送られてきたニート達の監視等をしている。元アメリカ兵であり、見た目は美人なのだが性格や言動等に問題がある。よく自分から周囲に敵を作っており、無人島内ではペットである巨大猫ぐらいしか、まともな話し相手がいなくなってしまった。

ニートの群れ:キャンプ場にいたニートの群れ。ニート対策基本法に引っ掛かり、更正や社会復帰等を兼ねて最寄りのキャンプ場にキャンプをしに来ていた。皆、ニート歴が4年以上ある若い男性達ばかりでり、このキャンプが終われば自動的に職業訓練を受講する予定である。

~無人島・簡易ヘリポート~

数ヵ月後――

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

巨大猫「……」

エルフ「……」

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

スッ、ダンダン……

ウィーーーーーーーーン、ダン……

巨大猫「……」

エルフ「……」

スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、クルッ……

兵士達「ほらっ、歩け!」

兵士達「お前らも、早くさっさと出ろ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

スッ、ビシッ!

陸軍士官「失礼ですが、この島の管理人のエルフさんですね?」

陸軍士官「自分は、日本陸軍の者です」

陸軍士官「本日1000時、予定通りに人員を輸送しました」

陸軍士官「お手数ですが、こちらの書類にサイン願います」スッ

エルフ「ええ、ご苦労様」スッ

巨大猫「それで、本日は何人おる?」

巨大猫「見た所、かなり多いようじゃな」

陸軍士官「はっ、本日輸送した人員の数は全部で30名」

陸軍士官「全て、国内では数々の犯罪に手を染めてきた前科者達でございます」

巨大猫「うむ。そうか」

エルフ「……」カキカキ

巨大猫「では、別に殺してしまっても構わないのだな?」

巨大猫「あ奴等、本当に哀れな奴等じゃ」

陸軍士官「はい。結構です」

エルフ「巨大猫。あんな奴等に同情しないの」

エルフ「どうせ、あいつらなんかすぐに死ぬんだから」スッ

陸軍士官「……」スッ

陸軍士官「では、私はこれで」

陸軍士官「失礼致します!」ビシッ

エルフ「ええ、ご苦労様」ビシッ

巨大猫「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「さて、今回は何人が生き残るかのぅ?」

巨大猫「そなたの事じゃから、またえげつない余興を考えておるのじゃろう」チラッ

エルフ「……」

巨大猫「エルフ。聞いておるのか?」

巨大猫「今回は、あ奴等を使って一体何をするつもりなのじゃ?」クルッ

エルフ「……うん。秘密」ニヤリ

エルフ「でも、ただ一つ確実に言えるとしたら、あいつらは死ぬわ」

エルフ「私、今回もまた容赦なく殺しちゃうかも」

巨大猫「……」

エルフ「ねぇ、巨大猫。あんたはこんな暮らしもう嫌?」

エルフ「今のあんたは、もうこんな暮らしをするのは嫌なのかしら?」クルッ

巨大猫「いいや、別に」プイッ

エルフ「なら、今回も手伝ってくれる?」

エルフ「私、ちょっと面白い事を考えちゃった」ニッコリ

巨大猫「……」

エルフ「もう、そんなすぐ顔を反らさないでよ……」

エルフ「あんた、ついさっき手伝ってくれるって言ったじゃん……」

巨大猫「まぁ、そうなんじゃが……」ハァ……

巨大猫「とりあえず、その話は後に」

巨大猫「まずは、あ奴等の事を上手く誘導しなくてはならぬ」

巨大猫「エルフよ。ほれ行くぞ」

巨大猫「そなたも、早ようあ奴等の後を追うのじゃ」スッ、ムクッ

エルフ「ああ、はいはい……」

クルッ、スタスタスタッ……

ニート(全く、何で俺がこんな目に……)スタスタスタッ

ニート(と言うか、何で俺までこんな場所に送られるんだよ……)スタスタスタッ

ニート(全ては、本当にあいつの所為だ……)スタスタスタッ

ニート(あいつさえいなければ、俺はまだ自宅でのんびりとニート生活が出来ていたのになぁ……)スタスタスタッ

ニート(はぁ……)スタスタスタッ

前科者達「……」スタスタスタッ

~無人島・砂浜~

エルフ「……」ザッザッ

巨大猫「……」ザッザッ

兵士達「……」ザッザッ

前科者達「……」ザッザッ

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「……」ザッザッ

巨大猫「……」ザッザッ

ニート「……」ザッザッ

兵士達「……」ザッザッ

前科者達「……」ザッザッ

ニート(まだ歩くのかよ……)ザッザッ

ニート「あの、これどこに向かってるんですか?……」ザッザッ

ニート「まだ、着かないんですか?……」ザッザッ

兵長「黙って歩け!」ザッザッ

ニート「……」ザッザッ

前科者「なぁ、まだ着かないのかよ?……」ザッザッ

前科者「俺、今すぐトイレに行きたいんだが……」ザッザッ

兵長「安心しろ。もうすぐ着く」ザッザッ

兵長「今は、お前らの寝床にまで案内してやってるんだ」ザッザッ

兵長「そこに着いたら、お前達の両手に填めている手錠等を外してやる」ザッザッ

兵長「だから、黙ってさっさと歩け!」ザッザッ

前科者「へいへい……」ザッザッ

ニート「……」ザッザッ

ニート(ん? 何か見えてきたな……)ザッザッ

ニート(あの建物が、俺達の今後の寝床なのか……)ザッザッ

ニート(でも、あの建物はどっかで見た事がある……)ザッザッ

ニート(つうかここ、やけに小さくないか?……)ザッザッ

エルフ「……は?」ザッザッ

巨大猫「……」ザッザッ

ニート(う~~ん、何かどっかで見た事があるんだよな……)ザッザッ

ニート(この島の形状、どこだったかなぁ……)ザッザッ

ニート(まぁ、後で島の全体図を見せて貰おう……)ザッザッ

ニート(それを見たら、ここがどこだかがすぐに分かるからな……)ザッザッ

エルフ「……」ザッザッ

ザザーーン、ザザーーン……

~無人島・アパート前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

ニート「……」

前科者達「……」

兵士達「……」

エルフ「……」ザッザッ

巨大猫「……」ザッザッ

クルッ、ピタタッ……

エルフ「皆様、ようこそ。XXX島へ」

エルフ「私、この島の管理人を勤めます。エルフと申します」ペコッ

エルフ「この度は、わざわざ遠いところから足をお運び、誠にありがとうございました」

エルフ「皆様には、ここで残念ながらも死んで貰います」ニッコリ

ニート「!?」

前科者達「なん……だと……!?」

エルフ「今の貴方達には、もう戸籍がないのです!」

エルフ「今の貴方達は、もう死んだも同然なのです!」

エルフ「ですから、貴方達はここで無惨な末路を迎えて下さい!」

エルフ「今の貴方達は、永遠に祖国の土を踏む事が出来ないのですから!」ニッコリ

ニート「……」ポカーーン

前科者達「……」ザワザワ

前科者「おいっ、今のどう言う事だ!?」

前科者「俺達は、もう祖国には帰れないのか!?」

エルフ「はい。そうです!」ニッコリ

前科者「いや、そんなのおかしいだろ!?」

前科者「俺達が、一体何をしたと言うんだ!?」

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「何って、貴方達に前科があるからですよ」

エルフ「確か、貴方は同級生をレ〇プした挙げ句に、その日の内に自殺にまで追いやってしまったんでしたね」

エルフ「その上、懲りずに他の生徒達に対して脅迫に窃盗ですか」

エルフ「それだけ罪を犯しといて、今の自分自身には何の落ち度がないと?」

エルフ「今の貴方は、本当に救いのないバカなんですね」

前科者「くっ……」ギロッ

前科者B「じゃあ、俺がここに連れてこられた意味は?……」

前科者B「俺、少し現実にいる妹を殴っただけじゃないか?……」

エルフ「貴方の場合は、ご家族からの強い要望があったからです」

エルフ「ろくに学校にも行かずに、ずっと家でネットやゲームしてばかり」

エルフ「だから、貴方はここに送られて来たんですよ」

前科者B「そ、そんな……」

巨大猫「まぁ、そう言う訳じゃからそなたらは観念せぇ」

巨大猫「ここに送られて来たそたな達は、死ぬまでここを出る事が出来ぬ」

前科者達「!?」

巨大猫「皆、ここへ送られてきた理由については、もう存じておるはずじゃ」

巨大猫「じゃから、皆はここで大人しくしてるが良い」

前科者達「……しゃっ、喋った!?」

エルフ「ああ、紹介が遅れたわね」

エルフ「この子は、私のペットの巨大猫よ」

エルフ「ここでは、私達が監視者として滞在してるわ」

エルフ「たとえ、あんた達がここから逃げようとしてもすぐ捕まる!」

エルフ「いや、場合によってはすぐさま巡回中の兵士達によって射殺されてしまうかもね!」ニッコリ

前科者達「!?」ガーーン

エルフ「他に、質問とかある?」

エルフ「もしあるんなら、聞いとくけど」

前科者達「……」

エルフ「どうやら、もう無いみたいね」

エルフ「それじゃあ、今貴方達の手足に填めている手錠を外しましょうか」

ザザーーン、ザザーーン……

ニート「ん? これ外すの?……」

ニート「これ外した後、俺達どうしたら良いんですか?……」スッ

前科者達「……」

エルフ「それ外した後は、自由行動よ」

エルフ「まぁ、適当に自分達の寝床で楽にしといて」

兵士達「……」スッ、チャラチャラ

エルフ「じゃあ、今から手錠を外していって下さい」

エルフ「あっ、それとすぐそこの建物の中には水や食料等もあるから、あんた達は好きに食べてても良いわよ」

エルフ「皆、出来る限り苦しみながら死んでいってね!」

エルフ「あんた達、ここに来る前の間に数々の罪を犯してきたんだし!」

エルフ「だから、その報いを必ず受けてよね!」ニッコリ

前科者達「……」ガクッ

スッ、カチャ、カチャ……

カチャ、カチャ、カチャ……

前科者「おっ……」

スッ、カチャ、カチャ……

カチャ、カチャ、カチャ……

前科者B「ふぅ……」

ニート(はぁ、参ったなぁ……)

ニート(これなら、まだ向こうでキャンプしてた方がマシだったかな……)

ニート(くそっ、絶対、いつか必ずあいつにも報いを受けさせてやる!……)

ニート(今頃、俺の両親達と仲良く暮らしてるはずだが、所詮はただのキャピ娘なんだからな!)

スッ、カチャ、カチャ……

カチャ、カチャ、カチャ……

ニート(とりあえず、先に食事とかを済まそう……)

ニート(ここ、よく見たらすぐそこに海があるじゃないか……)

ニート(後で、島を一周してボートでも探そう……)

ニート(絶対、いつか必ず生きてここから出てやるんだからな!……)

スッ、カチャ、カチャ……

ザザーーン、ザザーーン……

はい、書いてました。
今回のは、それに繋がってません。

~ニートの両親の自宅・キャピ娘の部屋~

その頃――

キャピ娘B「ふぅん。結構綺麗な部屋なんだね」

キャピ娘B「なんか、キャピ娘っぽい」

キャピ娘B「やっぱ、僕も女の子っぽくした方が良いかな?」

キャピ娘B「なんか、この部屋を見てたら、僕もそんな風にした方が良いんじゃないかと思えてくるよ」

キャピ娘「いや、そんな事はないって」

キャピ娘「つい最近になってから、小物とかを買いだしたんだけど」

キャピ娘「特に、このマンボウのぬいぐるみとか」

キャピ娘「これらのぬいぐるみとかも、つい最近になってからよ」

キャピ娘B「へぇ、そうなんだ……」

キャピ娘C「……」カチカチッ

キャピ娘B「けど、キャピ娘はこの中で一番恵まれてるかも」

キャピ娘B「僕、つい最近まで駐車場で寝てたんだけど」

キャピ娘「え?」

キャピ娘B「それに、僕もキャピ娘Cもようやく自室を貰えたし」

キャピ娘B「なんか、僕達の中では一番キャピ娘がマシな扱いなんだよね」ハァ……

キャピ娘C「ええ、そうね……」カチカチッ

キャピ娘「じゃあ、今までずっと車モードで寝てたの?」

キャピ娘「私、ここ最近はずっと車モードにはなっていないなぁ」

キャピ娘B「え?」クルッ

キャピ娘C「は?」ムクッ

キャピ娘「……」ビクッ

キャピ娘達「……」

キャピ娘B「キャピ娘。なんか、今回は大当たりみたいだね……」

キャピ娘B「最初から、自室を与えられただけでなく、常日頃から実の娘の様に可愛がられる……」

キャピ娘B「僕達とは、なんか格差があるみたい……」

キャピ娘B「なんで、こんなにも格差が出てくるんだろうね?……」ムカッ

キャピ娘C「ええ、そうね……」ムカッ

キャピ娘「……」

キャピ娘C「それに、月々のお給料も全部好きに使える?」ムカムカッ

キャピ娘C「私達、必要最低限の金額以外は、常に所有者から引かれてるのよ!」ムカムカッ

キャピ娘C「この私の持ってる携帯も、毎月自費で支払ってるし!」ムカムカッ

キャピ娘C「と言うか、何で今回はキャピ娘一人だけが、こんな良い思いをしている訳?」ギロッ

キャピ娘B「うん。そうだよ!」ギロッ

キャピ娘「いや、それは……」タジタジッ

キャピ娘B「はぁ、僕もこの家の人に買われたら良かったなぁ……」

キャピ娘B「そしたら、今のキャピ娘みたいになれたのに……」スッ、ゴクゴクッ

キャピ娘C「キャピ娘。貴女の運をこっちにも回して!」ムカムカッ

キャピ娘C「そうじゃなきゃ、私達は納得が出来ないんだから!」ムカムカッ

キャピ娘B「……うん。そうだよ!」ギロッ

キャピ娘「……」タジタジッ

キャピ娘B「それで、どうしたらそんなに運が良くなるの?……」

キャピ娘B「僕も、それに今すぐ肖りたい!……」ジーーッ

キャピ娘「……」タジタジッ

キャピ娘C「キャピ娘B、後で二人でパワースポット巡りしない?」

キャピ娘C「私、今さっきまでそれを検索してたから」スッ

キャピ娘B「うん。そうだね……」チラッ

キャピ娘「ああ、それだったら、私が今から案内してあげるけど……」

キャピ娘「この近くだと、XX神社になるかな……」

キャピ娘C「ええ、そうね……」クルッ

キャピ娘B「キャピ娘。貴女、そこに行った事があるの?……」

キャピ娘B「そこ、金運上昇にご利益がある神社なんだけど……」

キャピ娘「うん。まあね……」

キャピ娘C「まぁ、今の私にはそれが必要かな!」

キャピ娘C「私達、今のキャピ娘みたいにお金持ってないし!」

キャピ娘C「とりあえず、気分直しに皆でそこに行きましょ!」

キャピ娘C「なんだか、室内にはとても悪い空気が流れてるみたいだから!」ニッコリ

キャピ娘「ええ、そうね……」

キャピ娘B「じゃあ、今から行こうか!」ニッコリ

キャピ娘「でも、時間とか大丈夫なの?」

キャピ娘「今日は、珍しく三人ともお休みみたいだけど」

キャピ娘C「まぁ、今日は偶々休みなだけだったけどね」

キャピ娘C「そうじゃなきゃ、私は今この場にいないわよ」

キャピ娘B「うん。そうだね」

キャピ娘「……」

キャピ娘B「あっ、後、金運以外にもご利益があるパワースポットってないかな?」

キャピ娘B「僕、今日は色々と回りたいなぁ」

キャピ娘C「ええ、ちょっと待ってね」スッ、カチカチッ

キャピ娘「そう言えば、この辺だとXXX神社も良いわね」

キャピ娘「あそこは、諸願成就にご利益があったわ」

キャピ娘B「へぇ、そうなんだ」

キャピ娘C「とりあえず、今日行く所の案内はキャピ娘に任せるわ」

キャピ娘C「なんか、キャピ娘の部屋をよく見たら、複数の達磨やとても可愛らしい招き猫とかも沢山あるみたいだし」カチカチッ

キャピ娘B「ああ、本当だ……」

キャピ娘「まぁ、後で売ってる場所を教えてあげるから、早く行きましょう」

キャピ娘「ほらっ、善は急げって言うでしょ?」

キャピ娘C「ええ、そうね」スッ、パン

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

ニート母「キャピ娘。出掛けるの?」

ニート母「私も今から出掛けるから、ちゃんと鍵をしめておきなさい」

キャピ娘「はい。お母様」ニッコリ

スッ、バタン……

キャピ娘「皆、ちょっと先に家の前で待っててくれる?」

キャピ娘「着替え後、すぐに合流するから」

キャピ娘C「了解」ムクッ

キャピ娘B「うん。また後でね」ムクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ガチャ……

キャピ娘(とりあえず、今日は多目に持ってっとこ……)

キャピ娘(なんか、あの二人には悪い事をしちゃったからねぇ……)

キャピ娘(今まで、結構皆で酷い扱いをされてきたし……)

キャピ娘(それを考えたら、今の状態は遥かにマシな方なんだけどなぁ……)

キャピ娘「ん?」ハッ

カレンダー「……」

キャピ娘(あっ、そう言えば、今日はあいつが向こうに送られる日か……)

キャピ娘(あいつ、早く死んでくれないかしら?……)

キャピ娘(まぁ、今のあいつにはもう帰る場所すらないんだし……)

キャピ娘(あいつがいなくなった分、今の私が良い思いを出来るんなら、それでも良いかな……)

キャピ娘「うふふっ……」ニヤリ

カレンダー「……」

~アパート内・ニートの個室~

その日の昼――

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

ニート「……」ポリポリッ

スッ、ゴクゴクッ……

スッ、ストン……

ニート(ここに来てから、早2時間……)

ニート(室内にあった食事は、乾パンとペットボトルに入った水くらいか……)

ニート(それに、室内には他に何もなく、ただ六畳一間の和室が広がっているだけ……)

ニート(他の個室の中には、腐敗がかなり進んだ死体が多数あったそうだ……)

スッ、ガサガサッ……

ガサガサッ、ピタッ……

ニート(ちっ、もうないのか……)

ニート(この乾パン、やけに量が少ないな……)

ニート(おまけに、トイレは何故か共用だし、風呂に入りたくても風呂すらない……)

ニート(こんな事なら、まだあそこの方が遥かにマシだった……)

ニート(あのまま、素直にキャンプしてた方が良かったな……)ガクッ

ニート(はぁ……)ウルッ

ニート(ああ、早く帰りたい……)

ニート(家に帰って、ゆっくりとネットとゲームがしたい……)

ニート(ちくしょう、何で俺がこんな目に……)

ニート(あいつ、今度会ったら絶対にぶっ殺してやる……)ウルウルッ

スッ、ゴクゴクッ……

ゴクゴクッ、ゴクゴクッ……

ニート(ああ、水もなくなっちまった……)

ニート(元々、500mlしかなかったからな……)

ニート(しかし、あの押し入れの中にあったのは何だったんだろう?……)

ニート(あれ、何かの道具か何かか?……)

ニート(まさか、自決用の手榴弾だったとか?……)

ニート(はぁ……)スッ、フキフキッ

トントン、トントン……

スッ、ガラガラガラッ……

前科者「おいっ、ちょっと良いか?」

ニート「ああ、良いけど……」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

前科者「お前、室内に何かなかったか?」

前科者「もしあったのなら、今すぐ出して貰いたい」

ニート「何故?」

前科者「実は、このアパート内から死体以外にも武器らしき物が見つかったんだ!」

前科者「それを使って、俺達のいるグループはここを出るつもりなんだよ!」

ニート「何!?」

前科者「だから、お前は何か見つけなかったか?」

前科者「何か見つけたんなら、今すぐ出して貰いたい」

ニート「……ああ、ちょっと待て」スッ、ムクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ガラッ……

ニート(おっ、あったあった……)

ニート(これ、上手く使えそうだな……)

ニート(とりあえず、押し入れの中にあったこれで良いだろ)

ニート(後は、あいつに任せれたらそれで良いか)スッ

ニート「ほれ」クルッ

前科者「おっ、何だそれ?」

ニート「とりあえず、俺が見つけたのはこれくらいだ……」

ニート「これ、何かに使えるのか?……」

前科者「さぁ、何も解らんな……」ジーーッ

「そいつは、今は使われていない手榴弾だ」

「間違っても、そのピンを絶対に抜くなよ」ヌッ

ニート達「え?」ハッ

前科者「何だ、前科者Cか……」

前科者「全く、脅かすなよ……」

前科者C「ああ、すまんすまん」

前科者「それで、何か収穫はあったか?」

前科者「他に、一体何があった?」

ニート「……」

前科者C「残念だが、あまり良いものは見つかってはいない」

前科者C「ただ、いつのか解らないレーションがあっただけだ」

前科者「ああ、そうか……」

前科者C「おまけに、そいつは威力が低いぞ」

前科者C「だが、危険なのには変わりないから、持ってるだけでも十分に威嚇にもなる」

ニート「へぇ~っ……」

前科者「まぁ、そう言う事だ」

前科者「お前も、俺達と一緒に来るか?」

ニート「ああ、行くよ」

前科者C「じゃあ、今から俺達に付いてきてくれ」

前科者C「そこで、早速作戦会議をするからよ」

ニート「ああ、了解した」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

「よしっ、大丈夫だ」

「お前も、早く来い」

ニート「おう」

クルッ、スタスタスタッ……

ニート(とりあえず、あいつらに付いてくか)

ニート(上手くいけば、ここを出る事が出来るかもしれないし……)

ニート(待ってろよ、キャピ娘。いつか必ず報いを受けさせてやる!)

ニート(前回はそれに失敗したが、お前の事を絶対に最後まで犯してやるからな!)

スッ、ガラガラガラッ……

ガチャ、カシャン……

~アパート内・共用トイレ~

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

前科者B「……」ガクガク

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ、ムシャ……

半魚人「うっ……ふぅ……」ゲップ

前科者B「……」ガクガク

スッ、ガチャ……

キキィーーッ、ダン……

前科者「おっ、食い終わってたか」

前科者「あんた、よく魚食うんだな」

半魚人「ああ、まあな……」

前科者B「……」ガクガク

半魚人「それで、何か見つかったか?……」

半魚人「何か見つかったのなら、早く見せてほしい……」

スタスタスタッ、ピタッ……

前科者「ほれ」スッ

半魚人「ん? 第二次大戦中の日本の手榴弾……」

半魚人「こんなの、まだない方がマシだ……」

前科者「ああ、そうか……」

前科者「やっぱ、あんたの前職が兵士だけあって、こいつは無理みたいだな……」

前科者「でも、少しは威嚇くらいにはなるだろ?」

前科者「これぶん投げたら、少しは役に立つんじゃねぇか?」

前科者C「ああ、そうだな……」

ニート「……」ハッ

半魚人「だが、第二次大戦中の手榴弾は不発が多いんだ……」

半魚人「せめて、アメリカ軍のだったらまだマシな方だった……」

半魚人「後、その手に持っているレーションらしき物を見せてみろ……」

半魚人「それ、ひょっとしたらMREレーションかもしれねぇから……」

前科者C「ああ、ほらよ……」スッ

半魚人「……」スッ

ニート「なぁ、前科者……」ガクガク

ニート「今目の前にいるチ〇ノザウルスは、何なんだ?……」ガクガク

前科者「ん?」

ニート「これ、本当に現実か?……」ガクガク

ニート「今の俺、とうとう幻覚すら見えてきたらしい……」ガクガク

前科者「ああ……」

半魚人「いや、これは現実だぞ……」

半魚人「俺も、元はと言えばお前達と同じ人間だった……」

ニート「え?」ガクガク

半魚人「だが、俺はあの女の所為でこんな姿にまで変えられた……」

半魚人「あの消えた中隊の謎が、ようやく解った様な感じがしてしまったよ……」

ニート「……」ガクガク

前科者「でも、あんた兵士だったんだろ?」

前科者「兵士なら、無線とかで仲間に連絡を取る様な事は出来なかったのか?」

半魚人「……」

前科者C「いや、それは出来なかったんだろ」

前科者C「そうじゃなきゃ、こいつはこんな所に隠れてない」

半魚人「ああ、そうだ……」

前科者「じゃあ、あのエルフとか言う女は敵なのか?」

前科者「俺達、どうやったらここを出れるんだ?」

半魚人「ここを出るには、いくつもの難関がある……」

半魚人「たとえ、船で脱出できたとしても、すぐさま通報を受けた警備挺が俺達の事を射殺しにくるんだよ……」

前科者「……ああ、そうか」ガクッ

前科者C「他に、方法は?」

半魚人「他の方法だと、ヘリを使うか泳いで渡るしかない……」

半魚人「だが、奴等は衛星でこの島自体を24時間体制で監視してやがる……」

半魚人「あのエルフとか言う女、元アメリカ兵なんだわ……」

半魚人「その上、日米の両政府や軍当局と通じて、この島で何かやってやがる……」

半魚人「あいつ、かなり危険だぞ……」

半魚人「こんな事なら、あのクソ女の口車に乗せられて、伍長になるんじゃなかった……」

前科者C「じゃあ、他は死ぬしかないと言う事か……」

前科者C「たとえ、あの女を殺したとしても、すぐにバレちまうか……」

前科者「……」

半魚人「まぁ、すぐにバレちまうな……」

半魚人「お前らが死なんと、家族に給付金が支払われなくなっちまうから……」

ニート「!?」ガーーン

前科者「おいっ、今のどう言う事だ!?」

前科者「俺達、給付金の為にここへ送られたのか!?」

半魚人「ああ、そうだ……」

前科者C「ちなみに、俺達の価値はいくら?……」

前科者C「一体、いくら家族に給付金が支払われるんだ?……」

ニート「……」ガクガク

半魚人「たしか、俺の弟の時は一千万だった……」

半魚人「あのクソ女が言うには、あいつが死んですぐ支払われたらしい……」

前科者「……」

前科者C「おいおいっ、たった一千万かよ……」

前科者C「まぁ、高校を卒業するくらいまでなら、このくらいの額が妥当かもな……」

半魚人「ああ、そうだな……」

半魚人「とりあえず、お前達も気を付けろよ……」

半魚人「あの女、つい最近までニート同士で殺し合いもさせてやがる……」

半魚人「後、本当に困った時には巨大猫を頼れ……」

半魚人「あいつは、まだあの女と違って話が分かる奴だ……」

半魚人「今は、あの女のペットみたいだが、この島には長年住んでるみたいだからな……」

前科者「ああ、了解した」

前科者C「じゃあ、俺達も仕切り直しだな」

前科者C「次は、巨大猫に会いに行く」

前科者C「ニート、前科者B。ここを頼む」

前科者C「俺達は、今から巨大猫に会ってくるから」

ニート「ああ、気を付けてな……」ガクガク

前科者B「うん。行ってらっしゃい……」ガクガク

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

ニート「……」ガクガク

前科者B「……」ガクガク

半魚人「……」

ニート(結局、俺はたった一千万の価値か……)ガクガク

ニート(それなら、キャピ娘を買って少しはおつりが出るくらいだな……)ガクガク

ニート(本当に、この島は狂ってやがる……)

ニート(今の俺達は、ここから出る事が出来るんだろうか?……)

ニート「はぁ……」ガクガク

前科者B「……」ガクガク

~アパート内・屋上~

前科者D「……」

前科者E「……」

前科者F「……」

女性の死体「……」

ザザーーン、ザザーーン……

前科者E「なぁ、こいつどう思う?」

前科者E「明らかに、レ〇プされた挙げ句に殺されてるよな?」

前科者E「大体、死語一週間ぐらい」

前科者E「本当に、酷い事をしやがるぜ」

前科者D「ああ、そうだな」

前科者F「一体、誰がこんな事を?」

前科者D「けどよ。前科のある俺達がこんな事を言うのも、何かおかしくないか?」

前科者D「そう言った台詞は、前科がない奴の言う台詞だぜ」

前科者E「だが、俺が犯したのはただの窃盗だ」

前科者E「だから、何も問題はねぇよ」

前科者D「へぇ、そうなのか」

前科者F「実は、俺もなんだ」

前科者F「じゃあ、前科者D。お前は何をやった?」

前科者F「俺達と同じ窃盗か?」

前科者D「いや、俺は窃盗じゃねぇよ」

前科者D「浮気ばっかしてて、死んだ母さんの見舞いや葬式すら来なかったクソ親父の事を刺しただけだ」

前科者F「ああ、そうか……」

前科者E「お前の親父さん。屑だったのか……」

「じゃあ、レ〇プは俺だけか」

「他の奴等は、窃盗だとか傷害だとか言う奴が多いみたいだし」

前科者E「え?」クルッ

スタスタスタッ、ピタッ……

前科者「よう。何か、見つかったか?」

前科者E「いや、死体が見つかっただけだ」

前科者「ふぅん。またか……」

前科者「このアパート、死体が多いな……」

前科者「それで、元警察官だったあんたの見解は?……」

前科者「大体、死後どれくらいなんだ? 前科者E……」

前科者E「大体、死後一週間だ」

ザザーーン、ザザーーン……

前科者F「そんで、そっちの収穫は?」

前科者F「あの半魚人からは、何か聞けたのか?」

前科者「ああ、まあな……」

前科者E「一体、どうしちまったんだよ?」

前科者E「何か、収穫くらいはあったんだろ?……」

前科者「いや、それが……」

前科者C「前科者。俺が話す」

前科者C「どうやら、この島を抜け出すには、相当難しいらしい」

前科者F「何?」

前科者E「本当なのか? それ?」

前科者「ああ、そうだ……」

前科者E「一体、どうすんだよ?……」

前科者C「いや、まだ方法はある」

前科者C「鍵を握るのは、あのエルフとか言う女と一緒にいた巨大猫だ」

前科者C「あいつは、元々この島に済む先住民らしく、この島の事にはかなり詳しい」

前科者C「どうやら、ここは日米両政府及び軍当局者が何かする為の島らしく、24時間体制で俺達の事を監視してる」

前科者C「それに、あの半魚人はこの島の警備をしていた元兵士だ」

前科者C「ごくごく普通の方法では、すぐに軍当局に見つかって俺達全員が射殺されてしまうらしい」

前科者「それに加え、もう一つ最悪な情報があるぞ……」

前科者「俺達が死ねば、家族に国から給付金が支払われる……」

前科者「あの半魚人が言うには、俺達の価値はたった一千万だ……」

前科者「過去には、この島に送られてきたニート同士での殺し合いすら行われていたらしい……」

前科者D「なん……だと……!?」

前科者F「俺達に救いはないのか!?」

前科者E「ああ、それでか……」

前科者E「通りで、奴等の監視が厳しい訳だ……」

前科者E「とりあえず、出来るだけ情報等を集めよう……」

前科者E「皆、良いな?……」

前科者E以外ああ、了解した」

ザザーーン、ザザーーン……

~無人島・キャンピングカー前~

エルフ「ええ、ご心配なく(英語)」

エルフ「順調に、島内にいるニートは死んでいっております(英語)」

エルフ「ですが、本当に宜しいのですか?(英語)」

エルフ「アレを、この島で使用してしまって(英語)」

巨大猫「……」ムシャムシャ

エルフ「ええ、そうですか(英語)」

エルフ「では、遠慮なく使用させて頂きます(英語)」

エルフ「それで得られたデータは、すぐにそちらにお送り致します(英語)」

エルフ「どうか、吉報をお待ち下さいませ(英語)」

エルフ「それでは(英語)」

スッ、ピッ……

スッ、パタン……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

エルフ「ふぅ……」

スッ、ストン……

エルフ「ああ、すっかり冷めちゃったわ……」

エルフ「もう一度、コレ暖め直そうかしら?……」

巨大猫「む? 終わったのか?」

巨大猫「そなた、それを暖め直すのか?」

エルフ「ええ、そうよ」

巨大猫「なら、妾にも何か持ってきてくれ」

巨大猫「今日は、まだ満腹にはならない様じゃ」

エルフ「はいはい」

巨大猫「あっ、後、この変に複数のニート達がおるぞ」

巨大猫「あ奴等、今のそなたの食事を狙っている様じゃ」

エルフ「へぇ……」

巨大猫「じゃが、今のあ奴等には誰も食料を恵まん」

巨大猫「この島では、全て自力にて食料を得なければならないからな」

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「巨大猫。ここ頼める?」

エルフ「私、ちょっとコレを暖め直してくるわ」

巨大猫「ああ、了解した」

エルフ「それと、今度はマグロのお刺身にする?」

エルフ「今、あんたが食べていたのはカツオのたたきだったから、今度はマグロのお刺身にしてあげるね」

巨大猫「ああ、了解した」

エルフ「いや、やっぱまだ止めとこ?」

エルフ「その辺にいる奴等、ちょっと蹴散らしてからにしましょ」

スッ、カチャ……

巨大猫「うむ。そうなのか……」

エルフ「大体、あそこら辺かしら」

エルフ「う~~ん。久し振りだから、急所外しちゃうかも」

前科者G「やべっ、バレた逃げろ!」

前科者G「皆、退却、退却!」サッ

エルフ「あっ……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

エルフ「……」チッ

エルフ「ああ、逃げちゃった……」

エルフ「私、久し振りに撃ちたかったのになぁ……」ガクッ

巨大猫「……」

エルフ「ねぇ、巨大猫。あのまま、射殺してしまっても良かったわよね?」

エルフ「そしたら、あいつらの遺族に給付金が支払われる!」

エルフ「所詮、ニートになんて生きる価値すら全くないのよ!」ムクッ

巨大猫「まぁ、とりあえずは落ち着け」

巨大猫「時期に、あ奴等もすぐ死による」

巨大猫「適当に、今は好きに生きさせてやるがよい」

巨大猫「今のあ奴等には、それが良いみたいじゃからな」

エルフ「ええ、そうね……」

ザザーーン、ザザーーン……

~アパート内・屋上~

その日の夕方――

ニート「そう言えば、俺達の晩飯ってどうなるんだ」

ニート「ちゃんと、管理人さんが出してくれるのか?」

前科者B「さぁ、わからないよ」

前科者「そう言えば、どうなんだろうな?」

前科者C「もし出してくれるんなら、管理人が言いに来るんじゃねぇか?」

前科者C「俺達、ここに来てから乾パンしか食ってねぇし」

前科者C「偶々、こうやって暇潰しにトランプしているが、そろそろ飽きてきたな」

前科者「ああ、まあな」

ニート「同じく」

前科者B「僕も」

前科者「けど、俺達の親や家族も薄情だよな……」

前科者「金の為に、俺達の事を売るなんて……」

前科者「やっぱ、俺が置いてきたゲーム類は処分したのかな?……」

前科者「今の俺は、そればかり心配しちまうよ……」

ニート「ああ、そうだな……」

前科者達「……」

前科者B「それ言ったら、僕も心配になってきたよ……」

前科者B「せっかく、あそこまで育ててたのに……」

ニート「……」

前科者「ああ、早く戻ってゲームしてぇ……」

前科者「物凄く久し振りに、女犯してぇ……」

前科者B「うん。僕も……」

前科者C「なら、今からあの管理人を襲ってこいよ」

前科者C「それで、お前の気が済むんじゃねぇか?」

前科者D「ああ、全くだ」

前科者「いや、あのおばさんだけは抱きたくねぇ……」

前科者「あのおばさん、絶対30は越えてるだろ……」

ザザーーン、ザザーーン……

前科者C「ああ、やっぱそれぐらいか」

前科者C「あの管理人、金髪の白人だからなぁ」

前科者C「それに、外人って老けるの早ぇじゃん」

前科者C「だから、あの管理人も大体それぐらいの年齢だろう」

前科者「ああ、そうだ……」

前科者「せめて、抱くんなら若い方が良い……」

前科者G「それに、あのおばさん俺達に銃を向けて来たぞ」

前科者G「あのまま、俺達の事を殺そうとしたんじゃねぇか?」

前科者H「ああ、多分な……」

前科者F「けど、ここにいる俺達の内の三人が、もう既にこの世を去った……」

前科者F「いくら、あの管理人が食事を出したとしても、少なからずは警戒しといた方が良いんじゃねぇか?……」

前科者「ああ、そうだな……」

ニート「じゃあ、あの管理人からが無理じゃ、俺達どうするんだよ?」

ニート「そしたら、自力で食料を手に入れるしかねぇじゃん」

前科者達「……」

ニート「今まで、やけに死体が多いのってそれが原因なんじゃ?」

ニート「あのおばさん、もしかして俺達の事を餓死させるつもりなのか?」

前科者「ああ、多分な……」ガクッ

前科者C「とりあえず、俺達の手で出来る限り食料を手に入れよう」

前科者C「今あるのは、いつのか分からないレーションが一つだけだ」

ニート達「……」コクン

前科者C「皆、もう一度室内を捜索するぞ」

前科者C「とくに、死体が出てきた部屋を中心的にな」

ニート「え?」ビクッ

前科者E「いや、それはもう無理だろ……」

前科者E「死体があった部屋は、俺達の手で出来る限り捜索したぞ……」

前科者C「だが、ここは日本では大変珍しいロ型のアパートだ」

前科者C「全部で7階140室もあるんだし、死体を退かせば何か出てくるんじゃねぇか?」

前科者B「え~~~~っ!?」ビクッ

ザザーーン、ザザーーン……

前科者G「確かに、それも一理あるな……」

前科者G「けど、もう既に俺達以外の奴等が手に入れてるかもな……」

ニート「ああ……」

前科者「実際、ここにいる九人以外は連携が取れてねぇだろ……」

前科者「他の奴等は、俺達と組むのが嫌みたいだからな」

ニート「ああ、そうだな……」

前科者C「まぁ、今はそんな事よりも食料を入手するのが先決だ」

前科者C「早速、班を決めて別れて行動をしよう」

前科者C「まず、俺と前科者と前科者Eで死体のあった部屋の捜索」

前科者C「他の奴等は、死体のない部屋を捜索してくれ」

ニート「ああ、了解した」

前科者「あの半魚人は、どうすんだよ?」

前科者C「あいつは、基本的には夜しか行動出来ない」

前科者C「まぁ、あいつが昼間も行動出来んなら、一緒に魚取りとかも出来たんだろうが」

前科者C「あいつ、ここでは一番の長老だからな」

前科者「あの兵士達さえいなければ、一緒に行動出来たんだけどなぁ」

前科者E「ああ、全くだ……」

前科者B「僕、未だにあの人の事が怖い……」

前科者C「とにかく、早く皆で食料を手に入れるぞ!」

前科者C「そろそろ、日も暮れてきやがった!」

前科者C「よしっ、皆今から行くぞ!」

前科者C「全ては、ここを出る為なんだからな!」

前科者達「お――――――――っ!」

スッ、ムクッ……

~アパート内・共用トイレ~

半魚人(あいつら、本当に大丈夫なのか?……)

半魚人(何か、やけに威勢の良い掛け声が聞こえてきたが……)

半魚人(まぁ、自力で食料を手に入れなければ、ここでは到底生きてはいけない……)

半魚人(前にここに連れてこられた数多くのニート達は、全くそれが出来ずに死んでいったからな……)

ザザーーン、ザザーーン……

~アパート内・吹き抜け~

前科者I「……」

前科者J「……」

前科者K「……」

前科者L「……」

段ボール箱X2「……」

前科者I「……」

前科者J「……」

前科者K「……」

前科者L「……」

段ボール箱X2「……」

前科者達「はぁ……」

前科者I「なぁ、これどうする?……」

前科者I「なんか気がついたら、ここに置いてあったんだが……」

前科者J「ああ、どうしようか……」

前科者I「これ、もしかして俺達の晩飯だとか?……」

前科者I「だとしたら、試しに開けてみようぜ……」

前科者J「ああ、そうだな……」

スッ、ジーーーーーーーーッ……

スッ、パカッ、パカッ……

前科者I「……」

前科者J「……」

前科者K「……」

前科者L「……」

スッ、スッ……

前科者I「……」

前科者J「……」

前科者K「……」

前科者L「……」

前科者I「フードバー?」

前科者J「これって、確か災害救助用の?……」

前科者J「俺の記憶が正しければ、一人で一週間は持つセット品だったはずだ……」

前科者I「ああ、そうだな……」

前科者J「それで、どうする?……」

前科者J「このまま、持ち帰るか?……」

前科者I「ああ、今すぐにな……」

前科者I「……」キョロキョロ

前科者J「……」キョロキョロ

前科者K「……」キョロキョロ

前科者L「……」キョロキョロ

前科者J「よし、誰もいないな……」

前科者J「皆、急げよ!」

スッ、スッ……

前科者I「よいしょっと……」

前科者J「さぁ、行くぞ……」

前科者K「今はまだ、周囲には誰もいない……」

前科者K「とりあえず、俺の部屋にまで運べ……」

前科者I「ああ、了解した……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

前科者K「……」キョロキョロ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

~アパート内・2F廊下~

前科者M「あの、管理人さん。これ貰ってって良いですか?」

前科者M「そろそろ、夕食の時間なんで」

エルフ「ええ、構わないわよ」テキパキ

前科者M「ちなみに、これどれくらい入ってるんですか?」

前科者M「一応、箱の中身を確認したいんですが」

エルフ「その箱の中には、一週間分の水とフードバーが入っているわ」テキパキ

エルフ「誰かに取られたくなかったら、早めに隠しておくことね」テキパキ

前科者M「はい」

エルフ「後、ここの食料に関しては早い者勝ちよ」テキパキ

エルフ「あんた達、本当に運が良いわね」テキパキ

前科者達「……」

エルフ「とりあえず、今のあんたにソレあげるわ」テキパキ

エルフ「早く持ってかないと、他の奴等に見つかっちゃうわよ」テキパキ

前科者M「はい。わかりました」

前科者N「前科者M。早く持ってくぞ」

前科者N「他の奴等も、嗅ぎ付けてきやがった」

前科者M「ああ、そうみたいだな」

スッ、スッ……

前科者M「うおっ……」

前科者N「よいしょっと……」

エルフ「……」テキパキ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

前科者O「ん? 今あいつら、何か持ってなかったか?」

前科者O「おまけに、あのエルフとか言う管理人も居やがる」

前科者P「あっ、本当だ」

前科者O「すいません。今の何なんですか?」

前科者O「もしかして、本日の夕食ですか?」

エルフ「ええ、そうよ」テキパキ

エルフ「とりあえず、あんた達も早く持ってきなさい」テキパキ

エルフ「ここに置いてあるの、全部早い者勝ちだから」テキパキ

前科者O「はい!」ダッ

前科者P「急げ!」ダッ

「ん? 何だ?」ワラワラッ

「あいつら、一体何やってんだ?」ワラワラッ

エルフ「しっ、静かに!」ヒソヒソッ

エルフ「今私が食料を配布しているから、早く持ってきなさい!」ヒソヒソッ

前科者達「はっ、はい……」ピカァッ

エルフ「特に、あの前科者A~Hのグループには内密にね!」ヒソヒソッ

エルフ「あいつら、この島を無理に出ようとしてるから、早く気付かれる前に持ってきなさい!」ヒソヒソッ

前科者達「はい。わかりました!」ヒソヒソッ

前科者Q「……」スッ

前科者R「……」スッ

前科者S「……」スッ

前科者T「……」スッ

前科者U「……」スッ

クルッ、スタスタスタッ……

前科者V「……」スッ

前科者W「……」スッ

前科者X「……」スッ

前科者Y「……」スッ

前科者Z「……」スッ

クルッ、スタスタスタッ……

エルフ(ふぅ、これで本日の食料の配布は全て完了)

エルフ(後は、前科者達全員の様子を見ておくだけか)

エルフ(あいつら、見事にグループごとにバラついてくれたし……)

エルフ(島を出る派と島を出ない派……)

エルフ(さてさてっ、一体どちらが勝つのやら?……)ニヤリ

クルッ、スタスタスタッ……

~アパート内・前科者Kの個室~

前科者K「ふ~~ん。結構入ってるな」

前科者K「1.5Lの水が12本に、フードバー8本入りが20袋」

前科者K「これ、どう分ける?」

前科者K「やっぱ、四人ではきついかな?」

前科者J「ああ、そうだな」

前科者L「でも、無いよりはマシだろ?」

前科者L「今の俺達、マジでサバイバルしてんだし」

前科者K「ああ、そうなんだが」

前科者I「とりあえず、これを今から四人で分けるぞ」

前科者I「皆、均等にな」

前科者達「……」コクン

前科者I「……」スッ

前科者J「……」スッ

前科者K「……」スッ

前科者L「……」スッ

スッ、ガラガラガラッ……

前科者達「!?」ビクッ

エルフ「ああ、ごめんなさいね」

エルフ「ちゃんと、あそこに置いといた箱が行き届いたどうかを見に来たのよ」

エルフ「ここは、四人で均等に分けあっているのね」

エルフ「良かったわ。前科者Aのグループに渡ってなかって」

スッ、ガラガラガラッ……

前科者達「……」

エルフ「とりあえず、それはあんた達が持ってても良いわよ」

エルフ「明日の朝には、ちゃんとしたのをあげるから」

エルフ「だから、前科者Aのグループには内緒にね!」

エルフ「ここを無理に出ないでくれるのなら、ちゃんと衣食住の保証はしてあげるから!」ニッコリ

前科者達「はっ、はい……」

エルフ「……」ニコニコ

前科者K「あの、エルフさん。質問があります……」

前科者K「他に、この箱を持ってたグループはいるのですか?……」

エルフ「ええ、いるわ」ニコニコ

前科者「それ、もしかして前科者Vのグループですか?……」

前科者「後は、前科者Sや前科者Oに前科者Mのグループもあった様な気がしたんですが……」

エルフ「ええ、そうよ」ニコニコ

エルフ「彼らにも、ついさっき食料を配布したわ」ニコニコ

エルフ「今の貴方達と、全く同じ内容よ」ニコニコ

前科者K「……」

エルフ「だから、前科者Aのグループ以外とは争わないでね!」ニコニコ

エルフ「彼ら、ここの階の共用トイレに隠れてる半魚人と手を組んでるから!」ニコニコ

前科者達「!?」

エルフ「じゃあ、そう言う事だから、また今度ね」ニコニコ

エルフ「ちゃんと、上手くAのグループには誤魔化しておくのよ」ニコニコ

エルフ「ここ、今は全くもって何にもないんだけど……」ニコニコ

エルフ「今のあんた達次第では、ここでの生活環境がどんどん上がってくからね!」ニコニコ

前科者達「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

ガラガラガラッ、ダン……

前科者I「……」

前科者J「……」

前科者K「……」

前科者L「……」

前科者I「とりあえず、Aのグループには何も言うな……」

前科者I「あの人の言う事を聞いてたら、ここでの環境がマシになるみたいだし……」

前科者K「ああ、そうだな……」

前科者L「皆、上手く誤魔化さないとな……」

前科者L「明日の朝、また回収するぞ……」

前科者L以外「おう……」コクン

~アパート内・入口前~

その日の夜――

ニート(結局、食料は手に入らなかったな……)

ニート(やっぱり、他の連中が持ってった後なのか?……)

ニート(ここで、俺はあのエルフとか言うおばさんを待っているけど……)

ニート(本当に、あのおばさんは来るのだろうか?……)

ニート(まぁ、あんな死体ばかりの部屋にいとくよりはマシか……)

ニート(あいつら、よくあんな場所に入れるよな……)

ニート(ああ、早く帰りてぇ……)

ニート(早く、帰ってゲームしてぇ……)

ニート(キャピ娘。いつか必ず、ぶん殴ってやる……)

ニート(いや、あいつは人間じゃねぇんだから、最後まで犯しても何も問題はねぇんだよな?……)

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

前科者B「ニート。誰か来たか?」

前科者B「まだ、誰も来てないのか?」

ニート「ああ、まあな」クルッ

前科者B「……」

ニート「それで、そっちは?」

ニート「やっぱり、収穫はなかったか?」

前科者B「……」コクン

ニート「……」

前科者B「俺達、このままどうなるんだろうな?……」

前科者B「水も食料も手に入らないんなら、どうしようもねぇよ……」

ニート「だが、希望を持たなきゃ何も始まらない」

ニート「そうじゃなきゃ、今の俺達は皆死んじまう」

前科者B「……」

ニート「だから、お前もまだ希望を捨てるな」

ニート「ここを出る手段は、必ずあるんだからな」

前科者B「……ああ、そうだな」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

前科者「ニート。管理人は来たか?」

前科者「まだ、来ないのか?」

ニート「ああ、まあな」

前科者B「まだ、ここには来てないらしい……」クルッ

前科者「くそっ、まだ来ないのか!」

前科者「俺達、これからどうすれば良いんだよ!」

ニート「……」

前科者B「……」

前科者「今さっき、俺達は各階の空き部屋を探しに探し回った……」

前科者「その結果、ろくに何も見つからなかったとはな……」ウルッ

ニート「じゃあ、次は管理人の元に行くしかねぇな」

ニート「管理人が来ないなら、俺達が行くしかないだろう」

前科者B「ああ、そうだな」

前科者「でも、この暗さじゃとても歩きづらいぞ……」

前科者「辺りはすっかり真っ暗じゃないか……」

ニート「……」

ニート「それでも、あの管理人の元にいくしかねぇよ」

ニート「他の皆は、今どの辺にいる?」

前科者「他の奴等は、今半魚人と一緒だ……」

前科者「そこで、今後どうするかについてを協議している……」

前科者「俺の勘が正しければ、もう既にここの食料は奪われた後だな……」

前科者「本当に、今の俺達は運かねぇぜ……」

ニート「……」

前科者「……」

前科者B「……」

ニート「……」

前科者「……」

前科者B「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ニート「……ん?」クルッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ニート「誰か来た」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ニート達「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ……

エルフ「あら? こんな所で何してるの?」

エルフ「早く部屋に戻りなさい」

ニート達「……」

エルフ「あんた達、私の話を聞いてる?」

エルフ「早く、自室に戻りなさい」

ニート達「……」

前科者「エルフさん。ちょっと良いっすか?……」

前科者「俺達、晩飯がまだなんですけど……」

エルフ「え?」

前科者「俺達、晩飯がまだなんです……」

前科者「ですから、俺達に晩飯を下さい……」

前科者B「お願い致します!」ペコッ

エルフ「悪いけど、あんた達の夕飯はもうないわ」

エルフ「私、ちゃんと置いといたんだけどなぁ」

ニート達「!?」ガーーン

エルフ「今日の夕方、ここに置いといたわよ」

エルフ「だから、明日の朝まで我慢しなさい」

ニート達「そ、そんな……」ガクッ

エルフ「とりあえず、そこ退いてくれる?」

エルフ「私、ここを通りたいんだけど」

ニート達「……」

エルフ「後、あんた達は早く部屋に戻りなさい」

エルフ「ここにいても、何も起きないわ」

ニート達「……」ササッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート「……」ウルッ

前科者「……」ウルッ

前科者B「……」ウルッ

巨大猫「……」ニヤリ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート「……」ウルウルッ

前科者「……」ウルウルッ

前科者B「……」ウルウルッ

ニート達「はぁ……」ポロポロッ

~アパート内・共用トイレ~

半魚人「そうか。もう既に食料がか……」

半魚人「この分だと、あの女は俺達の事を兵糧攻めにしてくるだろう……」

半魚人「残念だが、今日の夕食はなしになるな……」

半魚人「本当に、あいつはよく余計な事をしてくれる……」

ニート達「……」

半魚人「だが、今の俺達に手はない訳ではない」

半魚人「幸い、今の俺達には武器がある」

半魚人「それを使って、食料を手に入れるんだ」

半魚人「だから、そんな風に気を落とすな」

ニート達「……」

半魚人「……」

前科者C「なぁ、半魚人。いくつか質問がある……」

前科者C「もし仮に、今から食料を奪いに行くとして、誰が行くんだよ?……」

半魚人「それについては、俺も手伝ってやる」

半魚人「俺自身が全面に出て、奴等から食料を奪うんだ」

前科者C「……そ、そうか」

半魚人「他に、質問は?」

前科者C「じゃあ、その時に必要なメンバーは?」

前科者C「半魚人と俺以外に、他は誰を出すんだよ?」

ニート「え?」

半魚人「戦力的には、元警官の前科者Eが必須となる」

半魚人「他は、ニートと前科者Bを除いた残りのメンバー」

半魚人「ニートと前科者Bには、ここで待機しといて貰う」

前科者C「ふぅん。そう言った選定になるか」

前科者C「俺は、ニートの持つ手榴弾が役立つと思っていたんだが」

半魚人「お前、それやったら食料まで被害出るだろ」

半魚人「そんな誰かの返り血浴びた血生臭い食料を、誰が食いたいんだ?」

前科者C「ああ、そうだな……」

ニート「俺も食いたくない……」

前科者「けど、ニートの持つ手榴弾は役に立つだろ?」

前科者「ドア開けてすぐ投げて閉じたら、なんとかなるんじゃないか?」

前科者C「ああ、そうだな……」

半魚人「だが、それは奴等がどこに置いていたかによる」

半魚人「それに、部屋の引き戸は内側にもあるんだし、下手したらこっちにまで跳ね返ってくるだろ」

前科者「ああ、そうだった……」

ニート「じゃあ、やっぱあんたが出てくれるしかないか……」

ニート「誰か、他に武器とかないのか?……」

前科者「ああ、俺持ってるぞ」スッ

ニート「ん? 果物ナイフ」

ニート「他に、誰か持ってないのか?」

前科者C「すまん。さっき使い終えた所なんだ……」

ニート「ちなみに、何持ってたんだ?」

ニート「俺、まだ聞いていなかったが」

前科者C「俺が持ってたのは、殺虫剤だ」

前科者C「例の死体があった部屋に使い過ぎて、もう使えないんだ」

ニート「……そうか」

前科者「後は、お前の持つ手榴弾だけだな……」

半魚人「まぁ、そう言う事だ」

半魚人「早速、食料を奪いに行くぞ」

半魚人「皆、俺に続け」

半魚人「ニート、前科者B。ここを頼むぞ」

ニート「ああ、了解した」

前科者B「ま、任せてくれ……」

スッ、ムクムクムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

前科者B「なぁ、大丈夫かな?……」

前科者「俺、めっさ不安なんだけど……」

ニート「大丈夫。いざとなれば、これを使うだけだ」

ニート「だから、何も心配するな」スッ

前科者B「ああ、了解した」

スッ、コトッ……

~アパート内・廊下~

「どうやら、皆持ってったみたいね」

「この分だと、次の設置は明日の朝で良いかしら?」

「ああ、そうじゃな」

「巨大猫。もう帰るわよ」

「明日の朝、またここに持って来なくちゃいけないんだから」

「ん? どうかしたの?」

「巨大猫。そっちには、何もないわよ」

前科者達「……」

「……巨大猫。あんたまさか」

「今のあんたは、もしかして霊的な物を見ちゃってるとか?」

「ああ、そうじゃよ」

前科者「おいっ、どうすんだ?」ヒソヒソ

前科者「今あそこに、例の管理人がいるんだが」ヒソヒソ

前科者「このまま、ここに隠れとく訳にはいかないだろう」ヒソヒソ

前科者「このまま、管理人と直接話でもするか?」ヒソヒソ

半魚人「……」

前科者「半魚人」ヒソヒソ

「エルフ。こ奴等はどうすべきか?」

「ここにおる奴等、皆そなたに恨みを抱いておるが」

前科者達「え?」

「このまま、ここでさ迷わせたままでは不憫じゃろう」

「後で、死神達にこ奴等の事を狩らせておくぞ」

「ええ、そうしてくれる」

「けど、そこにいる連中も不憫にね」

「私なんか恨んでも、どうにもならないのに」

「恨むべきは、これまで他人に迷惑ばっか掛けてきた自分自身でしょ?」

「そうじゃなきゃ、ここに送られてくる事もなかったのに」

「まぁ、そうなんじゃが」

前科者達「……」

「それで、彼らは何て言ってるの?」

「あんた、翻訳くらいは出来るでしょ?」

「いや、こ奴等は何も言ってこない」

「ただただ、今のそなたの事を睨んでおるだけじゃ」

「そう」

前科者達「……」

「とりあえず、もう帰るわよ」

「今日は引き潮で、特に夜間の警戒とかしなくちゃいけないんだから」

「まぁ、ここを出ようにも肝心の船がない」

「あいつら馬鹿だから、それを狙ってここを出ようとしてたみたいだけど、それ自体も無理になったわね」

「ああ、そうじゃな」

前科者達「……」ムカッ

「後、ここ最近は例の半魚人を見かけた?」

「私、ここ最近は見てないなぁ」

「いや、見とらん」

「じゃあ、明日の朝にでも探しに行こうかしら?」

「今からだと、確実にバ〇オハザードみたいな展開が目に見えているからね」

「ああ、そうじゃな」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

前科者「……」チラッ

前科者「よしっ、行ったぞ」ヒソヒソ

前科者C「そもそも、隠れる必要があったのか?」ヒソヒソ

半魚人「ああ、確かに……」ヒソヒソ

前科者「いや、あるだろ」ヒソヒソ

前科者「あんた、あの管理人に見つかったらかなりマズイだろ」ヒソヒソ

前科者「あの管理人、どうやら俺達の事を色々と探ってるみたいだし」ヒソヒソ

前科者「ここで、あんたの事がバレたらかなりマズイんだからな」ヒソヒソ

半魚人「まぁ、そうなんだが……」

エルフ「もう既に、手遅れよ」ヌッ

半魚人「なっ、お前いつの間に!?」

半魚人「俺達の事、大分前から気づいてたのか!?」

エルフ「ええ、まあね」ニッコリ

前科者達「!?」ガーーン

エルフ「そりゃあ、あんだけ普通にトイレからゾロゾロと出てきたら、誰だって気づくでしょ?」

エルフ「今のあんた達、ここに来てから色々と機能とかが落ちてきたんじゃない?」

巨大猫「それで、そなた達はここで何をしておる?」

巨大猫「もう既に、夕食の時間は終わったぞ」ヌッ

前科者達「……」ムカッ

エルフ「あんた達、まさか夕食を食べてないの?」

エルフ「私、ちゃんと人数分を置いといたんだけどなぁ」

半魚人「ああ、悪いか?」ムカッ

エルフ「じゃあ、明日の朝までは我慢しといて」

エルフ「明日の朝、再び私はここに食料とかを持って来るから」

半魚人「ああ、了解した」

エルフ「じゃあ、私はこれで」

エルフ「巨大猫。もう行くわよ」チラッ

巨大猫「ああ、了解した」チラッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「……」

前科者「……」

前科者C「……」

前科者D「……」

前科者「おいっ、あいつら行かせて良かったのか?……」

前科者「あの管理人、完全に俺達の事をコケにしやがったが……」

半魚人「……」

前科者E「その割りには、誰一人として動かなかったな……」

前科者E「あの管理人、見ただけでもかなりの実力者だぞ……」

前科者C「へぇ、そうなのか……」

半魚人「まぁ、あのままあいつと戦ったとしても、今の俺達には勝ち目なんかねぇよ」

半魚人「あいつは、俺と同じで兵士だった」

半魚人「この分だと、他の奴等にも手が回っている可能性がある」

半魚人「皆、気を引き締めていけよ」

半魚人「俺達の敵は、あいつ一人じゃなくなっちまったみたいだからな」

前科者E「ああ、そうみたいだな」

前科者「じゃあ、食料はどうすんだ?」

前科者「このまま、朝まで待つしかねぇのか?」

前科者C「とりあえず、一旦は退却だ」

前科者C「明日の朝、再び食料を手に入れる」

前科者C「それに、なんだか嫌な予感がしてきたぜ……」

前科者C「特に、死体があった部屋とかはな……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「……」

前科者「……」

「おいっ、何やってんだ?」

「お前らも、早く来いよ!」

半魚人(あいつ、今度は何をする気なんだ?)

半魚人(今まで、あいつはニートに食料を恵んでやる事はなかったはずなのに……)

半魚人(まぁ、明日になれば解る事か……)

半魚人(それまで、ゆっくりと体を休めるとしよう……)

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~無人島・アパート前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

クルッ、ピタッ……

エルフ「……」

巨大猫「む? どうした?」

エルフ「いや、なんでもないわ」

エルフ「明日の朝、一体何人が死んでるかどうかが気になっただけよ」

巨大猫「ふむ。そうか……」

エルフ「巨大猫。もう行きましょ」

エルフ「所詮、あいつらは生きてちゃいけない存在なんだから」

クルッ、ザッザッザッ……

~アパート内・入口前~

翌朝――

ニート「……」

前科者「……」

前科者B「……」

前科者C「……」

前科者D「……」

前科者E「……」

前科者F「……」

前科者G「……」

前科者H「……」

半魚人「……」

~アパート内・廊下~

前科者K「なぁ、あいつら反則だよな?……」

前科者K「何で、あんな化け物まで連れてきてんだ?……」

前科者K「このままだと、管理人からの補給が受けられないぞ……」

前科者K「あいつら、本当に卑怯だぜ……」

前科者J「ああ、そうだな……」

前科者I「けど、どうすんだよ?……」

前科者I「あのまま、あいつらの一人勝ちを許しちまうのか?……」

前科者I「他のグループの奴等も、あいつらの所為で近づけずにいる……」

前科者I「ここは、管理人にこの事を今すぐ伝えた方が良いんじゃねぇか?……」

前科者L「ああ、そうだな……」

前科者達「……」

「おいっ、管理人が来たぞ!」

「しかも、多数の段ボール箱をこっちに運んで来てる!」

前科者K「何?」ハッ

「おおっ、今回はかなり多いな!」

「やっぱ段ボールの数だけ、スタッフの数も多いんだな!」

「ああ、そうだな!」

前科者M「くそっ、このままだと、あいつらに全部奪われる!」

前科者M「他のグループの奴等、ここは一時同盟を組もう!」

前科者M「俺達、あいつらと違ってここを出る意思はない!」

前科者M「だから、ここは同盟を組むんだ!」

前科者K「ああ、了解した!」

前科者S「俺達も組むぜ!」

前科者K「ちなみに、今ここに何人いる?」

前科者K「他のグループの奴等も、俺達と同盟を組まないか?」

前科者V「ああ、組ませて貰う!」

前科者O「全部で18人だ!」

前科者K「おおっ、そうか!」

前科者達「……」ゾロゾロッ

前科者K「よしっ、後は管理人と接触して食料を貰おう!」

前科者K「管理人は、この島を出ようとしない者には優しくしてくれる!」

前科者K「だから、ここは同盟だ!」

前科者K「あいつらの好き勝手なんか、絶対にさせるな!」

前科者達「お――――――――っ!」ビシッ

ギュッ、ギュッ……

~アパート内・入口前~

ニート「なぁ、あいつら同盟を組んだみたいだぞ」

ニート「良いのか? あのまま放置しといて」

前科者「ああ、まあな」

前科者C「それについては、もう想定内だ」

ニート「そ、そうか……」

半魚人「だが、念の為お前は手榴弾を構えておけ」

半魚人「それを、あいつらに見せつけておくんだ」

ニート「ああ、了解した」スッ、クルッ

前科者C「ニート。しっかりと頼むぞ!」

前科者C「今のお前は、半魚人と並んで貴重な戦力なんだからな!」

ニート「ああ、了解した!」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「あんた達、そこ邪魔」

エルフ「ちょっと、退いてほしいんだけど」

半魚人「ああ? 無理だな」

エルフ「全員、今すぐそこを退きなさい!」

エルフ「じゃないと、食料はあげないわ!」

ニート達「……」ササッ

エルフ「よしっ、皆入って!」

エルフ「少しでも、おかしな真似をしたら容赦なく殺してしまっても構わないから!」

スタッフ達「はっ!」

兵士達「……」スチャ

ニート達「!?」ガーーン

半魚人「おいっ、ちょっと待て!?」

エルフ「ん? 何か問題でも?」

エルフ「今さっきの私、何かおかしな事でも言ったのかしら?」

半魚人「ああ、そうだ!」

エルフ「じゃあ、最初から邪魔なんかしないの!」

エルフ「今日の朝食も、あんた達は無しにされたい訳?」

ニート「いや、それは……」

エルフ「まぁ、あんた達もそれだけは嫌でしょ?」

エルフ「次、何か邪魔する様な事をしてきたら、容赦なくその場にて殺す!」

エルフ「私、今日は予定がギッシリつまってるのよね……」

エルフ「本当に、これだからニートは……」

ニート「……」

半魚人「ああ、すまんかった……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート達「……」

ザザーーン、ザザーーン……

~アパート内・吹き抜け~

スッ、ジーーーーーーーーッ……

ジーーーーーーーーッ、ジーーーーーーーーッ……

スッ、パカッ……

パカッ、パカッ、パカッ……

スッ、スッ……

エルフ「ふ~~ん。今日は和食か(英語)」

エルフ「これ、かなり前のやつよね?(英語)」

エルフ「もしかして、賞味期限とか切れてる?(英語)」

エルフ「まぁ、ちゃんと中を確認してなかった私自身も悪いんだけど(英語)」

スタッフ「ええ、そうですよ(英語)」

スタッフ2「あんな奴等に渡すくらいなら、これでも十分でしょ(英語)」

スタッフ「個人的には、シュールストレミングでも良かったと思います(英語)」

スタッフ「もしくは、MREレーションでも良かったですね(英語)」

スタッフ「それ、一応ヘリに積んできてますけど、持ってきましょうか?(英語)」

スタッフ「一部の缶詰を除いて、賞味期限が一週間ほど切れています(英語)」

エルフ「そう。お願いするわ(英語)」

スタッフ「はい。かしこまりました(英語)」

スタッフ4「おいっ、誰か食器類を知らないか?」

スタッフ4「まだ、ヘリに残してきたか?」

スタッフ3「いや、ちゃんと持ってきたはずだろ」

スタッフ3「スタッフ5、そっちにないか?」

スタッフ5「ああ、あったぞ」

スタッフ4「じゃあ、配っていってくれ」

エルフ「前科者Iから前科者Zのグループ、スタッフから食器を受け取って」

エルフ「まずは、食器を渡してくから」

前科者I~Z「はい」

エルフ「それが終わったら、次は食料よ」

エルフ「今からメニューを見せるから、それを好きに持って行ってね」

前科者I~Z「はい」

前科者「ん? 何か配り始めたぞ」

前科者「あいつら、何貰ってんだ?」

ニート「さぁ」

前科者「ああ、あれは食器だな」

前科者「あれないと、俺達食い辛いからな」

ニート「ああ、そうだな」

ニート「なぁ、前科者。俺達も、貰いに行くか?」

ニート「皆、取りに行ってるし」

前科者「……」

半魚人「ニート。俺達は最後みたいだ」

半魚人「あいつらが終わるのを、ここでじっと待つんだ」

ニート「ま、まじか……」ガクッ

数分後――

前科者I「おっ、今日は和食か」

前科者I「これ、皆持ってって良いんだ」

前科者I「前科者K。お前何持ってく?」

前科者I「おでん缶や味噌汁缶なんかもあるぞ」

前科者K「ああ、本当だな」

前科者M「前科者M、牛丼とカレーいるか?」

前科者M「牛丼とカレーは量が少なく、早いもん勝ちだぜ」

前科者N「ああ、俺のも頼む」

前科者O「前科者M、俺んとこも二つ取ってくれ」

前科者O「こっちは、エビピラフにドライカレーもあるぞ」

前科者M「おおっ、すまん」

ニート「くそっ、あいつら良いのばっか取ってやがる……」

ニート「このままだと、俺達の分が……」

前科者「……」

半魚人「ニート。落ち着け」ヒソヒソ

半魚人「あれを食われる前に、エルフ達がここを去った後に奪うんだ」ヒソヒソ

ニート「……ああ、了解した」

スタッフ「じゃあ、エルフさん。取りに行ってきます(英語)」

スタッフ「すぐに、戻ってきますんで(英語)」

エルフ「ええ、お願い(英語)」

クルッ、スタスタスタッ……

兵士達「……」

クルッ、スタスタスタッ……

ニート「ん? あいつら、こっち来たぞ」

ニート「もしかして、もう終わりなのか?」

前科者「さっ、さあな……」

スタッフ「君達、今から追加の箱をここに持ってくるから、そこで待ってて」スタスタスタッ

スタッフ「まだまだ沢山、食料をヘリに積んできてるから」スタスタスタッ

ニート達「!?」

ニート「おいっ、今の聞いたか?」

ニート「めっさ、流暢な日本語で声を掛けられたよな?」

ニート「と言う事は、あれはあいつら用か」

ニート「まだまだ、沢山あるんだから大丈夫だよな?」

前科者「ああ、多分な……」

半魚人(なんとなく、オチが分かる……)

前科者C「ニート。手榴弾は奪われてないよな?」

前科者C「と言うか、何でまだそれを奪われてないんだ?」

ニート「え?」

半魚人「どうせ、その手榴弾はあの女が置いといたんだろう」

半魚人「まぁ、たとえ爆発しなくても、あそこの連中に対する威嚇に使えるのなら、それで良いしな」

前科者C「ああ、そうだな……」

数十分後――

エルフ「はい。そこの半魚人グループお待たせ」

エルフ「これ、後は好きに持ってっても構わないから」

ニート達「……」

エルフ「ああ、やっぱり、なんか、ちょっと量が足りないかな」

エルフ「まぁ、今のあんた達からしてみたら、無いよりはマシでしょ?」

スタッフ「エルフさん。もう撤収しますか?(英語)」

スタッフ「他のグループは、もう取り終えたみたいですし(英語)」

エルフ「ええ、もう皆は撤収して(英語)」

エルフ「私も、まだ車内で作業が残ってるから(英語)」

スタッフ「はい。かしこまりました(英語)」

兵士達「……」

スタッフ「後、エルフさんはいつ頃戻ってくるんです?(英語)」

スタッフ「そろそろ、ここの管理人なんか止めて、向こうに戻ってきたら良いのに(英語)」

エルフ「でも、私以外にここの管理人なんかする人いるの?(英語)」

エルフ「それさえいれば、私はいつでもこの島を出るんだけどなぁ(英語)」

スタッフ「ああ、確かに……(英語)」

スタッフ2「いる方が珍しいですよ……(英語)」

エルフ「とりあえず、もう戻りましょ(英語)」

エルフ「あんた達、次に行くところがあるんでしょ?(英語)」

エルフ「まぁ、当分はまだ帰れそうにないわ(英語)」

エルフ「私自身も、ここにいるニート達なんかよりは、子供達と触れ合っている方が断然良いからね(英語)」ニッコリ

スタッフ達「……はい(英語)」ニッコリ

ニート達「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート達「……」

半魚人「とりあえず、俺達も回収をするぞ」

半魚人「今は、有る物だけでも何か口の中に入れておくんだ」

前科者「ああ、了解した……」ゴゴゴゴッ

前科者C「あいつら、絶対後で覚えておけ!……」ゴゴゴゴッ

半魚人「まぁ、まずは腹ごしらいだ」

半魚人「一体、何が残ってるんだ?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

半魚人「……」

半魚人「……」

ニート「どうだ? どんな感じだ?」

ニート「一体、何が残ってるんだよ?」

半魚人「ええっ、まずはシュールストレミングが一個」

半魚人「次に、MREレーションが12個」

半魚人「後は、食器類10人分だな」

半魚人「これが、俺達の得た食料になる」

ニート「……」

前科者B「もう終わりだ……」ウルッ

前科者G「けど、最近のは美味くなってんだろ?……」

前科者G「俺、ネットとかでそう見た記憶がある……」

半魚人「まぁ、確かにそうなんだが……」

前科者C「特に、シュールストレミングは何の嫌がらせだよ……」ゴゴゴゴッ

前科者C「それ、俺達の代わりにアンタが食ってくれ……」ゴゴゴゴッ

半魚人「ああ、了解した……」

前科者H「皆、とりあえず食料を持ってくぞ」

前科者H「ただここに集まってても、本当にどうしようもない」

前科者「ああ、そうなんだが……」ゴゴゴゴッ

前科者D「けど、肝心の水はどうすんだよ?」

前科者D「また、ここのトイレの水か?」

前科者E「ああ、そうだな……」ガクッ

前科者D「とにかく、もう持ってくぞ」

前科者D「今のままじゃ、本当にどうしようもない」

前科者「もうこうなったら、あいつら全員を殺すしかねぇようだな……」ゴゴゴゴッ

前科者「特に、あの管理人に懐柔されたあいつらをな……」ゴゴゴゴッ

前科者C「ああ、そうだな……」ゴゴゴゴッ

前科者F「もう耐えきれねぇよ……」

半魚人「皆、まずは食事からだ!」

半魚人「これを食ったら、すぐ行動に移す!」

半魚人「皆、気を付けろよ!」

半魚人「特に、このシュールストレミングを所持した俺とかはな!」

前科者「ああ、了解した……」ゴゴゴゴッ

ニート(あれ、もう武器なんじゃね?……)

ニート「けど、あいつら何持ってったんだ?」

ニート「そこんとこ、気になるなぁ」

半魚人「ああ、それならリストが置いてあったぞ」

半魚人「ほれっ、これがそのリストだ」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

半魚人「……」スッ

~ご飯類(袋に水や湯を入れて使用)~
安心米X50
きのこご飯X50
エビピラフX50
ドライカレーX50
カレーセットX12
牛丼セットX12

~缶詰~
味付け鰯X60
鰯の蒲焼きX60
コンビーフX48
ウインナーX48
牛肉大和煮X48
味噌汁X30
おでんX15
きんぴらX48
たけのこX48
切り干し大根X48
ひじきX48
豆昆布X48
ごもく豆X48
かぼちゃ煮X48
里芋煮X48
ポテトサラダX24

~水(保存水)~
500mlX24
1LX12
1.5LX12

ニート「……」

ニート「……」

半魚人「とりあえず、早く運ぶぞ」

半魚人「皆、何度も言わせるな」

ニート「ああ、悪かったよ……」

スッ、スッ……

~無人島・キャンピングカー前~

その日の昼――

エルフ「はい。今日のお昼ご飯」

エルフ「あんた、本当に鯖の味噌煮なんて食べれるの?」

巨大猫「ああ、まあな」

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「あんた、本当に変わってるわね」

エルフ「そんなの食べて、本当に大丈夫なの?」

巨大猫「ああ、大丈夫じゃ」

エルフ「……」

巨大猫「うむ。良い匂い……」

巨大猫「エルフ。ついでに、白米と味噌汁も着けてくれ」

エルフ「いや、あんたそれ無理でしょ」

エルフ「どこの世界に、白米と味噌汁を食べる猫がいるのよ」

巨大猫「ああ、ここにおる」

エルフ「でも、味噌汁缶は余ってたかな?」

エルフ「白米と一緒に、全部あいつらにあげちゃったからさぁ」

巨大猫「おおっ、そうなのか……」

巨大猫「じゃが、あやつらは大丈夫なのか?」

巨大猫「あれ、賞味期限とかは大丈夫なのかのぅ?」

エルフ「……」

巨大猫「まぁ、あやつらの胃は大丈夫じゃろうな」

巨大猫「いずれ、あやつらも全て半魚人と化してしまうのじゃから」

エルフ「ええ、そうね」

巨大猫「エルフ。白米と味噌汁が無理なら、何が残っとる?」

巨大猫「と言うか、そなたは白人じゃから和食には縁がないか」

エルフ「ええ、ちょっと待ってね……」

巨大猫「妾、さすがにキャットフードは嫌じゃぞ」

巨大猫「出来れば、キャットフード以外が良い」

エルフ「はいはい」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ピタッ……

「エルフさん。失礼します」

「少し、宜しいでしょうか?」

エルフ「ほえっ?」クルッ

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「貴女、どうしてここに?……」

エルフ「と言うか、今日は一体どうしたのよ?……」

巨大猫「む?」クルッ

衛生士官「お久し振りです。エルフさん」

衛生士官「今日は、例の半魚人の件で参りました」ニッコリ

エルフ「へぇ、そうなの……」

衛生士官「それで、例の半魚人は今どこに?」ニコニコ

衛生士官「彼、まだ自我とかは残っているのでしょうか?」ニコニコ

エルフ「ええ、まあね」

衛生士官「……そうですか、まだ彼には自我が……」

衛生士官「本当に、彼はしぶといですね」

衛生士官「もうこの際ですから、私自らの手で葬ってさしあげましょうか?」ニッコリ

エルフ「貴女、わざわざそれをしに来なくても……」

エルフ「ここのニート達の処理等は、私達の担当ですよ……」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

衛生士官「ですが、実際に今日私はここに来ていますよ」ニコニコ

衛生士官「私がここに来た理由は、まだ別にありますから」ニコニコ

エルフ「……」

巨大猫「では、そなたは何をしに来た?」

巨大猫「ここへは、軍務で来たのじゃろ?」

衛生士官「はい」ニコニコ

エルフ「でしたら、詳しい話は車の中で」

エルフ「外で話していては、いつどこで何があるかが分かりませんからね」

衛生士官「はい。お邪魔致します」ニコニコ

トゥルルルルルッ、トゥルルルルルッ……

トゥルルルルルッ、トゥルルルルルッ……

スッ、ピッ……

エルフ「はい。こちら、エルフ(英語)」

エルフ「何か、トラブルでもあった?(英語)」

ザザーーン、ザザーーン……

エルフ「ああ、その件?(英語)」

エルフ「その件なら、もう既に終わったわよ(英語)」

エルフ「あいつら、半魚人化するのも時間の問題だわ(英語)」

エルフ「データに関しては、後でそっちに送るから(英語)」

巨大猫「……」チラッ

衛生士官「……」

エルフ「まぁ、私の場合は大丈夫よ(英語)」

エルフ「あの子のおかげで、私は大丈夫だから(英語)」

エルフ「ここ当分、子供達と触れ合えないのが残念だけどね(英語)」

エルフ「私の方は大丈夫だから、あんた達も安心しなさい(英語)」ニッコリ

エルフ「それじゃあ(英語)」

スッ、ピッ……

スッ、パタン……

スッ、ゴソッ……

エルフ「では、衛生士官さんは中に」ニッコリ

エルフ「巨大猫。ここお願いね」ニコニコ

巨大猫「ああ、了解した」

クルッ、ピタッ……

スッ、ガチャ……

エルフ「どうぞ」ニコニコ

衛生士官「……」ペコッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、スタッ……

エルフ「……」キョロキョロ

クルッ、ザッザッザッ……

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、スタッ……

スッ、パタン……

巨大猫「……」

ザザーーン、ザザーーン……

~無人島・簡易ヘリポート~

機長「なぁ、お前さっきの女どう思う?」

機長「あれ、かなり訳有りって感じだよな?」

副操縦士「ええ、そうですね」

機長「あの女、確かXX准尉の娘さんだったな」

機長「わざわざ、こんな所にまで何しに来たんだよ」

副操縦士「機長。あの女士官の噂をご存じないんですか?」

副操縦士「あの女士官、どうやら身内を二人も半魚人にしてるらしいんですけど」

機長「何?」

整備士「ああ、その噂なら自分も聞いた事があります」

整備士「何でも、消えた中隊事件にも関与してるとかしていないとか」

副操縦士「へぇ……」

機長「じゃあ、今回もその半魚人絡みか」

機長「あの女士官、俺の娘と同じくらいなのにかなり危険なんだな」

副操縦士「ええ、そうみたいですね」

整備士「以前、自分はその女士官の兄に会った事があります」

整備士「その女士官の兄も、俺達と同じ陸軍の兵士でした」

整備士「ですが、去年の春頃から所属している中隊ごと姿を消してしまっているようなんです」

副操縦士「じゃあ、今回も半魚人絡みで決定だな」

副操縦士「あの女士官、本当に恐ろしいぜ」

機長「ああ、そうだな……」

整備士「おいっ、整備士2。煙草ないか?」

整備士「なんか、タバコでも吸ってないと気分が落ち着かねぇぜ」

整備士2「すまん。駐屯地に全部置いてきちまった」

機長「とりあえず、早く帰ってきてくれよ!」

機長「下手したら、俺達まで半魚人にされちまう!」

機長「総員、周囲をよく警戒しろ!」

機長「いつ、どこで、半魚人が襲いかかってくるかが全く解らないからな!」

部下達「はっ! 了解しました!」

機長「おう、頼む!」

~無人島・陸軍キャンプ~

兵士「なぁ、俺達はいつ戻れるんだろうな?」

兵士「このまま、俺達も一緒に半魚人になっちまうんだろうか?」

兵士2「さぁ、今の俺達には何も分からねぇよ」

兵士「けど、すぐ横のヘリポートにいる連中はすぐに帰れる」

兵士「俺達も、早くヘリに乗って帰りてぇぜ」

兵長「まぁ、そうぼやくな」

兵長「俺達がここにいるのは、ほんの一週間だけだ」

兵士「しかし……」クルッ

兵長「去年、ここで俺の兄貴が死んだよ」

兵長「しかも、半魚人になるのが嫌で自ら命を絶ったみたいだが」

兵士「……え?」

兵長「だから、お前らも気を付けるんだな!」

兵長「聞いた話だと、今さっきここに降り立った女の衛生士官も、それに関わっているらしい!」

兵士達「!?」ゾクッ

兵長「あの女、ここで何が行われているかを知ってて、自分の兄と弟を半魚人にしたんだ!」

兵長「その半魚人と化したニートを鎮圧する為に派遣されていた兵士達の中に、俺の兄貴も含まれていたんだからな!」

兵士達「!?」ガーーン

兵長「ああ、すまんすまん……」

兵長「少し、感情的になっちまったな……」

兵長「俺と違って、出来の良い兄貴は士官だった……」

兵長「あの女は、俺の兄貴が昔おもちゃにして捨てた元カノの一人なんだよ……」

兵士「ああ、そうなんですか……」

兵士2「そりゃあ、ここで半魚人にされても文句言えないでしょ……」

兵長「とにかく、ここを生きて人間のまま出たかったら、半魚人にだけは注意しろ!」

兵長「いつ、どこで何があるかが全く解らない!」

兵長「お前達も、俺の兄貴と全く同じ末路を辿りたくなかったら、今みたいにダラダラせずきっちりとやれ!」

兵長「良いな! 分かったな?」

兵士達「はっ!」ビシッ

下士官(なんか、気合い入ってんなぁ、あいつ……)スタスタスタッ

~アパート内・吹き抜け~

前科者「はぁ、酷い目にあった……」

前科者「あれ、確実に賞味期限が切れてただろ?……」

前科者「一体、何であんなのが入ってたんだ?……」

前科者「このまま、俺達に死ねってか?……」

ニート「……」

前科者「なぁ、お前ら昼飯どうする?……」

前科者「このまま、食う気あるか?……」

ニート「いやねぇよ……」

前科者C「俺、今日は何も食いたくはない……」

前科者「ああ、そうか……」

ニート「シュールストレミング……」

前科者「ニート。シュールストレミングは、まだ開けてないぞ……」

前科者「あれはまだ、半魚人が開けてねぇじゃねぇか……」

ニート「ああ、そうだったっけ?……」

前科者C「俺も覚えてねぇ……」

前科者「まぁ、賞味期限切れてるやつにトイレの水なんか入れたらああなるわな……」

前科者「出来れば、普通の飯が食いたかったなぁ……」

ニート「けど、他の奴等は大丈夫かな?……」

ニート「前科者Bなんて、精神崩壊してたじゃねぇか……」

前科者「ああ……」

前科者C「おまけに、前科者GとHとFが気絶……」

前科者C「前科者DとEは、ついさっきまで気分悪そうに吐いてたからな……」

前科者「ああ、そうだったな……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

半魚人「ニート。ここにいたか」

半魚人「そろそろ、昼飯の時間だぞ」

ニート「ああ、そうだな……」

前科者「どうしたんだよ? その段ボール……」

半魚人「何って、お前らの昼飯だ」

半魚人「他の階の奴等に、事情を話して分けて貰ってきた」

ニート達「え?」キョトン

スッ、ストン……

ニート達「……」

段ボール箱「……」

スッ、ジーーーーッ……

スッ、パカッ……

パカッ、パカッ、パカッ……

スッ、ガサッ……

半魚人「ほれ」

ニート達「おおっ……」

半魚人「お前ら、今日はこれ食え」

半魚人「ここに、水と食料が入ってる」

半魚人「ちなみに、例のシュールストレミングはかなり役に立ったな」

半魚人「あれ持って、他の階の奴等の部屋を回ったら、喜んですぐに食料を出してくれたぞ」

ニート「ああ、そうか……」

前科者「あれ、やっぱお前が武器にしてたのか……」

半魚人「ん? どうかしたか?」

半魚人「お前ら、少しは喜べよ」

前科者「ああ、すまんすまん……」

前科者「ありがとう。半魚人……」

半魚人「いえ、どういたしまして」

ニート「ほぼ、無理矢理言わしたな……」

ニート「けど、他の階の奴等には何もされなかったのか?……」

ニート「俺達、あれからずっとここにいたが、悲鳴一つすら聞こえなかったんだが……」

前科者「ああ、そう言えば……」

半魚人「実は、他の階の奴等はもう既に手遅れだった」

半魚人「他の階の奴等も、高熱出したり腹壊したりして倒れてたよ」

ニート達「!?」

半魚人「それに加えて、今さっき前科者FとGとHの死亡を確認!」

半魚人「前科者BとDとEは、今も意識不明の重体だ!」

半魚人「だから、お前らも早く昼飯を食え!」

半魚人「このままいけば、お前らまで俺と同じ半魚人になっちまう!」

半魚人「実際、俺の仲間も全て半魚人になった!」

半魚人「半魚人化を遅らせるには、普通の食事をすれば大丈夫なんだ!」

前科者「じゃあ、俺達は今のあんたと同じになるのか!?」

前科者「俺達、もう既に手遅れなのか!?」

半魚人「いや、まだ大丈夫だと思う!」

半魚人「俺と同じ半魚人になるには、最低でも一週間程度は掛かるんだ!」

前科者「え?」

ニート「俺達に救いはないのか!?」

半魚人「まぁ、そう諦めるな」

半魚人「半魚人になりたくなかったら、抗ウイルス剤を打つか普通の食事を続けていたら大丈夫なんだ」

ニート「へ、へぇ~~っ……」

前科者「ちなみに、その抗ウイルス剤は!?」

前科者「それさえあれば、俺達なんとかなるんだろ!?」

半魚人「ああ、まあな」

半魚人「だが、その抗ウイルス剤は全て軍が管理してる!」

半魚人「ここの管理人のエルフも、その抗ウイルス剤は一切所持していない!」

半魚人「後、この島にいる兵士達すら持ってないぞ!」

半魚人「今現在、ここに派遣されてきた全ての兵士達は、皆半魚人化しない様に抗ウイルス剤を打たれてる!」

半魚人「特に、この島では二つも中隊が消失した!」

半魚人「俺のいた中隊が消えてから、抗ウイルス剤は徹底的に打たれる様になったんだからな!」

ニート「じゃあ、俺達はどの道みんな半魚人になるのか……」

ニート「結局、俺達には一切の救いがないんだな……」ウルッ

前科者「……」

前科者C「なら、今後も定期的に食料を手に入れねぇと……」

前科者C「前科者FとGとHは、運良く難を逃れたか……」

ニート「ああ、そうだな……」ウルウルッ

前科者C「なら、前科者F達が死んだのは何故なんだ?」

前科者C「あいつら、ひょっとして自殺したとか?」

半魚人「いや、あいつらは半魚人になれなかっただけだ」

半魚人「半魚人になれなかった奴等は、変異する前に突然死する」

半魚人「だから、あいつらは本当に運が良かった」

半魚人「半魚人になるには、人間の体が適合しないと駄目なんだ」

前科者C「ああ、そうか」

前科者C「俺ら、ひょっとして今のあんたと一緒にいたら、余計に半魚人になると言う訳か?」

半魚人「いや、それも関係ないぞ」

半魚人「お前ら、ここに来る時注射か何か打たれなかったか?」

半魚人「この島に入るには、予め抗ウイルス剤を打つ必要がある」

半魚人「その注射がお前らに打たれてたら、前科者F達と同じ様に半魚人にならずに済むんだ」

前科者「ほっ……」

前科者C「ほっ……」

ニート「え?」キョトン

半魚人「……」

ニート「俺、ここに来る時注射なんて打たれてねぇ……」

ニート「今の話が本当なら、何で俺は打たれてねぇんだよ?……」

~無人島・砂浜~

その日の夕方――

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ザザーーン、ザザーーン……

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ピタッ……

巨大猫「うむ。ここにおったか」

巨大猫「ニート。大丈夫か?」

巨大猫「何やら、色々と思い詰めている様じゃが」

巨大猫「そなた、このまま死ぬつもりじゃろ?」

巨大猫「たとえ、このまま海に飛び込んだとしても、そなたを捨てた両親達が喜ぶだけじゃぞ」

ニート「ああ、そうだな……」

スッ、スタタッ……

巨大猫「それで、そなたはどうするつもりじゃ?」

巨大猫「ここで死んで、1000万もの大金に化けるのか?」

巨大猫「今まで、妾はそなたの様なニート達を沢山見てきた」

巨大猫「皆、ここでもがき苦しみながらも死んでいったがな」

ニート「……」

巨大猫「……」

ニート「なぁ、巨大猫……」

ニート「俺は、これからどうなるんだ?……」

ニート「ここは、ニート達が送られてくる生き地獄……」

ニート「ここで、死んでいった数多くのニート達が死んだ……」

ニート「一体、彼らはどんな末路を迎えたんだ?……」

巨大猫「……」

ニート「俺は、ただのんびりと暮らしたかっただけだ……」

ニート「高校受験に失敗して、ちょっと五年くらいニートしてたら、ここに送られてた……」ウルッ

ニート「両親も両親で、そんな俺の事を見捨てる始末……」ウルウルッ

ニート「それに加えて、キャピ娘なんかに現を抜かし……」ウルウルッ

ニートを「この俺の事を、“完全に不要な存在だと”言い切りやがったんだ!……」ウルウルッ

ザザーーン、ザザーーン……

巨大猫「それで、そなたはなんと返した?」

巨大猫「そなたは、何故やり直すチャンスを全て棒に振ったのじゃ?」

巨大猫「余程の事がない限りは、そなたはここには送られてこん」

巨大猫「どうせ、そなたの事じゃから出来の良いキャピ娘に嫉妬しておったのじゃろ?」

巨大猫「以前、ここにそなたの様なニートがここに送られてきた」

巨大猫「其奴も、今のそなたの様にキャピ娘が原因で、ここに送られてきたんじゃがな」

ニート「ふぅん。そうなのか……」ウルウルッ

ニート「俺と全く同じ様な奴って、過去にいたんだな?……」ウルウルッ

ニート「それで、そいつはどうなった?……」ウルウルッ

ニート「そいつも、ここで半魚人になっちまったのか?……」ウルウルッ

巨大猫「ああ、そうじゃ」

ニート「……」ガクッ

巨大猫「とりあえず、何か困った事があれば妾に伝えよ」

巨大猫「妾は、最初にここへ降り立ったヘリポートの近くにおる」

巨大猫「ニート。そう気を落とすな」

巨大猫「神は、まだそなたを見捨ててはおらぬ」

巨大猫「ほれ、昔から“捨てる神あれば、拾う神あり”と言うじゃろ」

巨大猫「今のそなたは、まだまだそう簡単には死ねぬ様じゃからな」

スッ、ムクッ……

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ピタッ……

ニート「……」ポロポロッ

巨大猫「では、妾はこれで失礼する」

巨大猫「そなたも、そう気を落とすでないぞ」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ニート「……本当に、こんな俺の事を拾ってくれる神はいるのか?」ポロポロッ

ニート「もし本当にいるのなら、是非とも見てみたいものだよ……」ポロポロッ

兵士達「……」ニヤニヤ

ザザーーン、ザザーーン……

~アパート内・共用トイレ~

パシャ、パシャ、パシャ……

パシャ、パシャ、パシャ……

前科者達の死体「……」

パシャ、パシャ、パシャ……

パシャ、パシャ、パシャ……

エルフ「所詮、ニートってこんなものなのね」

エルフ「今日だけでも、六人が死んでったわ」

エルフ「あんた、こいつらはどんな風に死んでいった?」

エルフ「やっぱり、こいつらはもがき苦しみながらも死んでいったのかしら?」

半魚人「ああ、まあな」

前科者達の死体「……」

エルフ「そう。なら、報告書を書かないと」

エルフ「こいつらが死んだ事を、すぐに遺族に伝えないといけないから」

エルフ「本当に、ニートになんて生きる価値すらない!」

エルフ「こいつら見てると、そうは思わない? 半魚人」

半魚人「ああ、そうだな」

前科者達の死体「……」

エルフ「とりあえず、こいつらの死体はこのままで」

エルフ「私、今から上の方も見てくるわ」

エルフ「あんた、ここ頼める?」

エルフ「なるべく、遺体の状態はこのままにしといてね」

半魚人「ああ、了解した」

前科者達の死体「……」

~アパート内・共用トイレ前~

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

エルフ「……ん?」クルッ

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」フラフラッ

エルフ「……」

フラッ、バタバタン……

エルフ「あんた達、そこで何してるの?」

エルフ「どこか、具合でも悪いの?」

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

エルフ「これ、見た所かなり重症よね?……(英語)」

エルフ「ここ最近、やけに半魚人化するのが早いなぁ……(英語)」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ「……ん?」

下士官「ああ、こいつらここにいたか」

下士官「この分だと、上の方もこんな感じだろうな」スッ、スタッ

前科者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

下士官「エルフ。上に行くんなら俺らも着いてくぞ」

下士官「ひょっとしたら、上の階の奴等は全て死んでるかもしれないからな」

下士官「それに、こいつらはもう既に手遅れ」

下士官「本当に、何でこんなにも半魚人化が早くなったんだ?」

前科者C「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

兵士達「……」ジーーッ

エルフ「そんなの私に聞かないでよ!」

エルフ「私はただ、雇われてここの仕事をしてるんだから!」ギロッ

エルフ「だから、私にこの件についてで文句言わないで!」

エルフ「この島で起きている事、全部私の所為だとは限らないんだから!」フン

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

下士官(あいつ、何もあそこまでヒステリックにならなくても……)

下士官(誰も、全部あいつの所為だとは言ってないんだが……)

下士官(とりあえず、あいつの後を追うか……)

下士官(本当に、あんな所もあいつ似なんだよなぁ……)スッ、ムクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~アパート内・2F階段前~

前科者M「……」ピクピクッ

前科者N「……」ピクピクッ

前科者O「……」ピクピクッ

前科者P「……」ピクピクッ

前科者I「……」ボーーッ

前科者M「……」ピクピクッ

前科者N「……」ピクピクッ

前科者O「……」ピクピクッ

前科者P「……」ピクピクッ

前科者I「……」ボーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

前科者I「……ん?」ムクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「うわっ、何この臭い?……」ピタッ

エルフ「あんた、大丈夫なの?……」

エルフ「この惨状は、一体何?……」

前科者I「……」

エルフ「あんた、私の言っている事が分かる?……」

エルフ「もしかして、もう言葉すら話せなくなってしまったのかしら?……」

前科者I「……いいえ」

エルフ「じゃあ、この惨状は一体何?……」

エルフ「と言うか、この臭いは、まさかシュールストレミング?……」

エルフ「一体、誰がそんなのここで開けたのよ?……」

エルフ「私、なんだか気分が悪くなってきたわ……」

前科者I「ええ、そうなんです……」

前科者「出来れば、早くなんとかして下さい……」ウルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「あっ……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

下士官「ん? 何だこの臭い?」ピタッ

下士官「エルフ。何があった?……」

下士官「と言うか、この異臭は何なんだ?……」

エルフ「私に聞かないで……」ウルッ

下士官「これ、もう明らかに腐敗臭も出てるだろ?……」

下士官「一体、何人ここで死んでんだ?……」

エルフ「さぁ、何も分からないわ……」ウルウルッ

前科者I「エルフさん。お願いします……」ポロポロッ

前科者I「今すぐ、なんとかして下さい……」ポロポロッ

前科者I「どっかのバカが、シュールストレミングを開封しました……」ポロポロッ

前科者I「おまけに、死体のあった部屋すらドア全開にしてるんです……」ポロポロッ

エルフ「……は?」ウルウルッ

下士官「なんだと?」

前科者I「このまま行くと、確実に俺らは死んでしまいますよ……」ポロポロッ

前科者I「本当に、あいつらと一緒にいた半魚人だけは、どうしても許せません……」ポロポロッ

前科者I「お願いです、エルフさん。早くなんとかして下さい……」ポロポロッ

前科者I「実際、俺達は各階のドアを閉じる為に動いていましたが、もう既に限界です……」ポロポロッ

前科者I「ですから、早くなんとかして下さい……」ポロポロッ

エルフ「……」ポロポロッ

下士官「エルフ。ここはもう俺らに任せろ……」

下士官「お前は、今すぐ半魚人をなんとかしてこい……」

下士官「総員、防護マスクを着用……」

下士官「これより、建物内の捜索に入る……」

兵士達「はっ……」スッ

下士官「……」スッ

エルフ「じゃあ、私は先に下がらせて貰うわ……」ポロポロッ

エルフ「と言うか、何で一階までこの臭いが降りてこなかったかしら?……」ポロポロッ

下士官「さぁ、そこはお前の得意分野だろ?」

下士官「エルフ。もう下がれ」

下士官「ここでお前が倒れたら、上に文句言われるのが俺らなんだからな」

エルフ「そう。了解したわ……」クルッ、スタスタスタッ

下士官「よしっ、皆行くぞ!」

下士官「特に、建物内にいる生存者達は放置するんだ!」

下士官「皆、気を付けていけよ!」

下士官「ここにいる連中は、全て半魚人化が進み出しているからな!」

兵士達「はっ!」

エルフ「……」スタスタスタッ

~アパート内・共用トイレ~

半魚人(う~~ん。どうするか……)

半魚人(なんか、あいつらにばれたっぽいな……)

半魚人(善かれと思って、各階の全部屋ドア全開にしといたんだけど……)

半魚人(これ、やっぱマズかったかなぁ?……)

前科者達の死体「……」

半魚人(けど、他に方法とかはなかったし……)

半魚人(ああでもしねぇと、ろくに食料すら手に入れれなかった……)

半魚人(とにかく、後でエルフに適当な理由を付けて、上手く誤魔化さねぇと……)

半魚人(そうじゃなきゃ、あの女をこの手でぶっ殺す事が出来ねぇからな……)

半魚人「……ん?」ハッ

前科者達の死体「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「誰か来た?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタッ……

半魚人「何だ、エルフか……」

半魚人「もう二階の確認は、終わったのか?」

半魚人「それにしては、お前の顔色がかなり悪いぞ」

半魚人「さすがのお前も、あの惨状を見たら自身のこれまでの過ちについてを気づけたか?」

エルフ「ええ、そうね……」スッ、スチャ

半魚人「!?」

エルフ「とりあえず、あんたにも死んで貰うわ……」

エルフ「もうこれ以上、私の精神を病ませたくないから……」

エルフ「さよなら、半魚人……」

エルフ「あんたの死骸は、アメリカの某研究施設にまで送らせて貰うからね……」

エルフ「それじゃあ……」ニッコリ

スッ、ダーーン!

プシューーッ、プシューーッ……

プシューーッ、プシューーッ……

グラッ、バタッ……

半魚人「……」ダラダラッ

半魚人「……」ダラダラッ

半魚人「……」ガクッ

半魚人の死体「……」ダラダラッ

半魚人の死体「……」ダラダラッ

半魚人の死体「……」ダラダラッ

エルフ「ふぅ……」

スッ、スチャ……

前科者達の死体「……」

スッ、カチッ……

エルフ「こちら、エルフ。半魚人の駆除を完了」

エルフ「死骸の回収については、アメリカ軍が行うものとする」

エルフ「それに加え、先日移送されてきたニート達の死体を6体発見」

エルフ「後の21人の安否については、現在確認作業中」

スッ、カチッ……

ザーーッ……

無線「こちら、日本陸軍キャンプ。了解した」

無線「建物内にいる捜索班は、捜索活動を継続せよ」

無線「エルフ管理人も、捜索活動を継続されたし」

無線「以上で、通信を終了とする」

プチッ……

エルフ「ふ~~ん。継続か……(英語)」

エルフ「まぁ、私がいないとダメな部分が結構あるからなぁ……(英語)」

エルフ「にしては、たった一発で仕留められるとはね……(英語)」

エルフ「案外、半魚人もすぐ死んじゃう存在なのかしら?……(英語)」

巨大猫「ああ、そうみたいじゃな」

エルフ「ほえっ?」クルッ

エルフ「あんた、一体いつのまに……」

エルフ「それに、あんたの知り合いの死神達まで一緒じゃないの……」

エルフ「このまま、あんた達も魂を狩りに来たとか?……」

エルフ「本当に、あんた達も真面目で仕事熱心なのね……」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

死神「それが、僕達の仕事なんで」ニッコリ

死神「とりあえず、ここは僕達に任せて下さい!」

死神「まずは、ここにさ迷う魂達を送らないといけないので!」

死神「巨大猫。いつもみたいにお願い!」

死神「今度は、ちゃんと手伝ってよね!」チラッ

巨大猫「ああ、了解した」チラッ

エルフ「じゃあ、後お願いね」ニッコリ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「では、早速始めるぞ!」

巨大猫「皆、心して掛かるのじゃ!」

死神達「お~~っ!」

前科者達の死体「……」

~アパート内・ニートの個室~

その日の夜ーー

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

スッ、ムクッ……

ニート「はぁ……」

ニート「やっぱ、ここじゃ寝にくいな……」

ニート「俺の知らない間に、皆死体になっちまったんだから……」

ニート「おまけに、食料ですら賞味期限切れ……」

ニート「頼りがいのある半魚人すら、死んじまってたからなぁ……」

ニート「はぁ……」

ニート「……」

ニート「ちょっと、少し出掛けるか……」

ニート「トイレに行きたいが、トイレにはまだ死体が沢山ある……」

ニート「一体、何でこんな風になっちまったんだよ?……」

ニート「こんなの、絶対間違ってるだろ?……」ウルッ

ニート「……」ウルウルッ

スッ、フキフキッ……

スッ、ムクッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、クルッ……

ガラガラガラッ、バタン……

~アパート内・廊下~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「む?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

ニート「巨大猫。何してんだ?」

ニート「お前、ここで一体何してるんだよ?」

巨大猫「いや、ちょっとな」

ニート「巨大猫。やっぱ、ここでは寝にくい」

ニート「今すぐ、別の寝床を用意してくれ」

巨大猫「……」

ニート「巨大猫。聞いてるか?」

ニート「俺、今すぐ違う場所で寝たいんだが」

巨大猫「なら、早速エルフの元に向かえ」

巨大猫「エルフに事情さえ話せば、せめてテントくらいは借りれそうじゃからな」

ニート「ああ、了解した」

巨大猫「気を付けてな」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、クルッ……

ニート「……」

巨大猫「……」

ニート「……」

巨大猫「……」

ニート(こいつ、さっきから何してんだ?……)

ニート(何で、ずっと廊下で箱座りをしてるんだ?……)

ニート(まぁ、昔から猫ってこんなもんだし……)

ニート(よく意味もなく、壁の方をじっと見つめてる事もあるからな……)

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~無人島・砂浜~

下士官「……」スタスタスタッ

兵士「……」スタスタスタッ

兵士2「……」スタスタスタッ

兵士3「……」スタスタスタッ

ザザーーン、ザザーーン……

下士官「……」スタスタスタッ

兵士「……」スタスタスタッ

兵士2「……」スタスタスタッ

兵士3「……」スタスタスタッ

ポチャ、ドボーーン……

兵士達「!?」ピタッ

兵士「班長。何かが水中で爆発」

兵士「敵による攻撃でしょうか?」

下士官「さぁ、暗くて良く分からんな」

兵士「班長。今から、確認に行ってきます」

兵士「もしもの時は、援護をお願いしますね」

下士官「ああ、了解した」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、カチッ……

下士官「こちら巡回班。水中で何かが爆発」

下士官「現在、確認作業中」

兵士達「……」

ザーーッ……

無線「こちら本部。了解した」

無線「現在地を報告せよ」

ザーーッ……

下士官「こちら巡回班。現在地は砂浜」

下士官「爆発の規模は、手榴弾又は軽迫撃砲クラス」

ザーーッ……

無線「こちら本部。了解した」

無線「周囲に人影はあるか?」

ザーーッ……

下士官「こちら巡回班。周囲に人影はなし」

ザザーーン、ザザーーン……

ザーーッ……

無線「こちら灯台前。犯人らしき人影を発見」

無線「例のアパートから出てきたニートと思われる」

ザーーッ……

無線「こちら本部。了解した」

無線「巡回班は、確認作業を急げ」

ザーーッ……

下士官「こちら巡回班。了解」

下士官「確認作業を継続する」

スッ、カチッ……

下士官「行くぞ!」

兵士達「はっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

「誰だ?」

下士官「……」スタスタスタッ

兵士達「……」スタスタスタッ

「誰だ?」

「ちょっ、撃たないでくれ……」

「俺は、あのアパートの生存者だ!」

兵士達「……」スタスタスタッ

スッ、カチッ……

下士官「本部。こちら、巡回班」スタスタスタッ

下士官「ニートと接触。現在、兵士1名が尋問中」スタスタスタッ

ザーーッ……

無線「こちら本部。了解した」

無線「尋問を終え次第、ニートを拘束せよ」

無線「全く、これだからニートは……」

無線「奴が半魚人化してないかどうか、確認を怠るな」

ザザーーン、ザザーーン……

~無人島・灯台前~

下士官2「ふん。やっぱ、ただのニートだったか……」

下士官2「あいつ、まだ生きていたとはな……」

下士官2「兵士5。ニートはどうなってる?」

下士官2「奴は、まだ尋問中か?」

兵士5「ええ、そうみたいです」ジーーッ

下士官2「全く、これだからニートは……」

下士官2「半魚人なんかにならずとも、今すぐこの場で射殺してしまった方が早いだろ……」

兵士6「ですが、上からはまだ命令は出ていませんよ」

兵士6「俺らが直接手を下さなくても、あいつはいずれ死んでしまうんです」

下士官2「ああ、分かってるが……」

兵士5「……」ジーーッ

ザーーッ……

無線「こちら巡回班。本部応答せよ!」

無線「繰り返す。本部、応答せよ!」

下士官2「ん?」

兵士6「どうしたんでしょうか?」

兵士5「……」ジーーッ

ザーーッ……

無線「こちら本部。巡回班どうぞ」

ザーーッ……

無線「本部。こちら、巡回班!」

無線「海に爆発物を投擲したのは、ニートと判明!」

無線「指示を願う!」

ザーーッ……

無線「こちら本部。ニートを拘束せよ」

無線「ニートは拘束次第、アパート内に放置しとけ」

下士官2「ああ……」

兵士5「お気の毒に……」

ザザーーン、ザザーーン……

ザーーッ……

無線「こちら巡回班。了解した」

無線「これより、ニートを拘束する」

ザーーッ……

無線「巡回班。気を付けろよ」

無線「奴は、まだ何を仕出かすかが分からないからな」

スッ、キュルキュル……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

下士官2「ふぅ……」

兵士5「班長。ニートの拘束を完了」ジーーッ

兵士5「あいつ、下の奴等にその場で殴り倒されました」ジーーッ

兵長2「ああ、了解した」

ザーーッ……

無線「こちら巡回班。灯台前の奴等、今の見てたか?」

無線「良い感じに、俺の右ストレートが決まってただろ?」

スッ、カチッ……

下士官2「ああ、良い感じだったよ」

兵士5(ちゃんと、見てない癖に……)ジーーッ

ザーーッ……

無線「こちら本部。私語を慎め」

無線「至急、ニートをアパート内に放置してこい」

下士官2「ああ……」

兵士5(ほら、言わんこっちゃない……)ジーーッ

下士官2「……」スッ、キュルキュル

ザーーッ……

無線「こちら巡回班。了解した」

無線「これより、ニートを移送を開始する」

無線「後、ニートの所持品は一切なし」

無線「どうやら、あそこのアパートが死体だらけで、ろくに夜も眠れねぇらしいです」

ザザーーン、ザザーーン……

ザーーッ……

無線「こちら本部。そんなの知るか!」

無線「さっさと、そいつをアパート内に放置してこい!」

ザーーッ……

無線「了解しました」

下士官2「……小隊長」

兵士5「班長。巡回班が動きました」ジーーッ

兵士5「ゆっくりとしながら、アパートの方に向かっております」ジーーッ

下士官2「ああ、了解した」

兵士5「しかし、兵長はどうしたんでしょう?」ジーーッ

兵士5「今日の巡回に、兵長の姿が見えないんですが」ジーーッ

兵士6「え? あいついないのか?」

兵士7「ああ、あいつなら例の衛生士官をぶん殴りやがった」

兵士7「それが原因で、今は他の奴等と共に謹慎してる」

兵士5「へぇ……」ジーーッ

下士官2「本当に、あいつは何やってんだか」

下士官2「ウチのもウチのだが、ここ最近の兵長は少し弛んどるな」

兵士6「ええ、そうみたいですね……」ガクッ

兵士8「けど、何でぶん殴ったんだ?」

兵士8「あの人、兵長達になんかしたのか?」

下士官2「ああ、それがだな……」

兵士7「あの女士官、兵長の兄貴が昔おもちゃにして捨てた元カノなんだと」

兵士7「それが原因で、兵長の兄貴がここで半魚人にされた」

兵士7「今回、兵長達がその女士官を殴ったのは、その為の報復らしい」

下士官2「とりあえず、お前らも注意しろよ!」

下士官2「いつ、どこで、どこぞの馬鹿の兄貴みたいに半魚人にされるかが全く解らない!」

下士官2「それが嫌なら、真面目に任務に励め!」

下士官2「下手したら、次は俺らが半魚人なるかもしれないからな!」

兵士達「はっ!」ビシッ

ザザーーン、ザザーーン……

~無人島・キャンピングカー内~

その頃ーー

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

スッ、カチッ……

エルフ「……」

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

カタカタカタッ、カタカタカタッ……

スッ、カチッ、カチッ……

エルフ「ふぅ……」

エルフ「やっぱ、26人分は疲れるわね……(英語)」

エルフ「休むまもなく、バタバタと死んでくんだから……(英語)」

エルフ「まぁ、それに関してはもうお似合いかも……(英語)」

エルフ「あいつらは、所詮生きてる価値すらないんだし……(英語)」

スッ、ゴクゴクッ……

スッ、コトッ……

エルフ「そう言えば、巨大猫はどこに行ったのかしら?(英語)」

エルフ「あんた、どの辺に行ったか知らない?(英語)」

幼女「いや、知らないわ(英語)」

エルフ「ああっ、あんた、何勝手に私のジュース飲んでるのよ?……(英語)」

エルフ「それ、まだ開けてなかったのになぁ……(英語)」

幼女「ああ、悪かったわね(英語)」

エルフ「それで、今日はどうしたのよ?(英語)」

エルフ「あんた、こっちに来てて良いの?(英語)」

幼女「ええ、まあね(英語)」

エルフ「全く、あんたは本当に自分勝手なんだから……(英語)」

エルフ「何も、わざわざこっちまで来る必要はなかったんじゃない?……(英語)」クルッ

幼女「いや、あるわ(英語)」キッパリ

エルフ「それで、本日の用件は?(英語)」

エルフ「今の私、色々と忙しいんだけど(英語)」

幼女「う~~ん。ちょっとした暇潰しに(英語)」

エルフ「……は?(英語)」イラッ

幼女「冗談、冗談よ(英語)」

幼女「今日ここに来たのは、何か良い感じの白人の死体がないか探しに来た訳(英語)」

エルフ「残念だけど、ここ最近は死体すら出てないわ(英語)」

エルフ「場所が場所なだけに、黄色人種の死体が多いのよ(英語)」

幼女「ああ、そうなんだ(英語)」

エルフ「それを使って、あんたはまた自分の私兵とかを増やしたいんでしょ?(英語)」

エルフ「相変わらず、平行世界にいる私はやる事が残酷だわね(英語)」ジトッ

幼女「ええ、まあね(英語)」ニヤリ

幼女「じゃあ、今日は何もないんだ……(英語)」

幼女「せっかく、ここまで来たんだけどなぁ……(英語)」シュン

エルフ「ちなみに、私を殺して向こうに持ち帰るってのは、なしにしてよね(英語)」

エルフ「それやったら、私化けて出るわよ(英語)」

エルフ「あんたの事、再び不幸のどん底に突き落としちゃうかも(英語)」ニッコリ

幼女「いや、しないってば……(英語)」アセアセッ

エルフ「とりあえず、あんたの用事も済んだ事だし、早く帰って!(英語)」

エルフ「私、まだまだ仕事が山の様にあるんだけど!(英語)」

エルフ「あんた、まだ向こうでやりたい事とかあるんでしょ?(英語)」

エルフ「私も、まだまだやりたい事が沢山ある!(英語)」

エルフ「だから、早く帰って頂戴!(英語)」

エルフ「お互い、今は色々と忙しい身なんだから!(英語)」ニッコリ

幼女「うん。分かった(英語)」

幼女「今回は、もう帰らせて貰う(英語)」

幼女「けど、ちゃんと今度からは白人の死体を用意しといてよね!(英語)」

幼女「この間貰った白人の少年少女達は、すぐに向こうで死んじゃったんだから!(英語)」ジトッ

エルフ「あら、そうなの……(英語)」

エルフ「私なりに、あの子達の事を鍛えておいたんだけどなぁ……(英語)」シュン

幼女「とりあえず、また機会があったら会いましょ!(英語)」

幼女「私、今はお母様と一緒に本来の場所で、のんびりと時間を過ごしてるから!(英語)」ニッコリ

幼女「だから、貴女も気を付けてね!(英語)」ニコニコ

幼女「私、貴女がここで死んだら、向こうで蘇生くらいはしてあげるからね!(英語)」ニコニコ

エルフ「はいはい」

スッ、ヌポッ……

シュン、シュタッ……

ガチャ、ギィーー--ッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ギィーー--ッ、バタン……

シューーーーーーーーッ、シュン……

エルフ「ふぅ……」

エルフ「あの子、結構飲んじゃってるわ……(英語)」

エルフ「今度会ったら、確実にぶん殴ってやる……(英語)」

エルフ「まぁ、私自身も人の事を言えないし……(英語)」

エルフ「これ、結構高かったのになぁ……(英語)」

エルフ「はぁ……」

スッ、コトッ……

エルフ「でも、あの子はあの子で本当に苦労してたのよね……(英語)」

エルフ「この世界にいる私よりは、遥かに色々な面で苦労してしまってる……(英語)」

エルフ「私、どうすれば?……(英語)」

エルフ「どうやったら、あの子の様にお母様とは和解が出来るのかしら?……(英語)」

エルフ「いや、そんなのあり得ない……(英語)」

エルフ「私を捨てたあの糞ババアと、誰が好き好んで和解なんてするものですか……(英語)」

エルフ「とりあえず、作業にでも戻ろうかしら?……(英語)」

エルフ「でも、何だかやる気すらなくなっちゃったなぁ……(英語)」

エルフ「はぁ、私もキャピ娘タイプのにしとけば良かった……(英語)」

エルフ「ここ最近、独り言ばっか言ってるし……(英語)」

エルフ「皆、私の事を怖がって、巨大猫くらいしかまともに話してはくれないのよね……(英語)」

エルフ「はぁ……」ガクッ

エルフ「……」ウツロ

エルフ「……」ウツロ

エルフ「……」ウツロ

エルフ「……」ムクッ

エルフ「今度、手頃なキャピ娘がいたら購入しよう……(英語)」ピカァ

エルフ「そうじゃなきゃ、私の精神衛生上にも良くないからね……(英語)」シャキン

~アパート内・吹き抜け~

翌朝ーー

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ「あんた、生きてる?」

エルフ「もしかして、もう死んだのかしら?」

ニート「……」

エルフ「ああ、こりゃあもう死んでるわね」

エルフ「それじゃあ、今日の食事はいらないんだ?」

ニート「……」パチッ

エルフ「とりあえず、報告書を書かないと」

エルフ「あんた、もう既に法的には死んでるもの」

エルフ「今更、そんな風に目を開けたとしても、もう遅いわよ」

エルフ「今のあんた、もう既に半魚人化しだしてるんだから」

ニート「……何?」ムクッ

エルフ「……」

ニート「お前、何しにきた?……」

ニート「もう俺は、人間じゃなくなってきているのか?……」

エルフ「ええ、そうよ」

ニート「じゃあ、今の俺は何なんだ?……」

ニート「俺は、今からお前に処分されるのか?……」

エルフ「いいえ」

「君の処遇は、我々が決める」

「君は、生きたままここを出る事になるだろう」

ニート「……え?」

エルフ「……」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

ニート「あんた、一体何者だ?……」

ニート「見た所、軍人みたいだが……」

エルフ「隊長。ご苦労様です!(英語)」

エルフ「遠い所、わざわざお越し頂き有り難うございます!(英語)」ビシッ

米軍士官「うむ。ご苦労(英語)」ビシッ

ニート「……」

米軍士官「ああ、紹介が遅れたね」

米軍士官「私の名はXXXX。アメリカ陸軍の者だ」

米軍士官「君は、この島でとある特殊な細菌に感染をし、見事それに適合した」

米軍士官「それと同時に、我々は生きた実験台を取得」

米軍士官「今まで、我々は君の様な生きた実験台を手に入れる事が出来なかった」

米軍士官「だが、君がこうして適合してくれたおかけで、我々は君を得る事が出来たのだよ」

米軍士官「それで、今の君はどれだけ変異しだした?」

米軍士官「見た所、まだ君は人の姿をしているな」

ニート「……」

米軍士官「エルフ。彼はコミュ障なのか?(英語)」

米軍士官「あまり、人と目を会わして話すのが苦手みたいだが(英語)」チラッ

エルフ「ええ、その様です(英語)」

米軍士官「まぁ、それも今はどうでも良い事だろう(英語)」

米軍士官「ようやく、我々は生きた実験台を手に入れる事が出来た(英語)」

米軍士官「彼の身柄は、昨日君が射殺した半魚人と共に、軍の極秘施設に送られる事になる(英語)」

米軍士官「エルフ。君には、本当に感謝している(英語)」

米軍士官「君が良ければ、またウチに戻ってきてほしいぐらいだよ(英語)」

エルフ「はっ、勿体ないお言葉です!(英語)」

米軍士官「では、そろそろ始めるか(英語)」

米軍士官「エルフ。君は、下がっていたまえ(英語)」

エルフ「はっ!(英語)」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

米軍士官「……」スッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

ニート「……」

米軍士官「では、搬出作業を始めよ!(英語)」

米軍士官「掛かれ!(英語)」

米兵達「はっ!(英語)」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ガシッ……

ニート「くっ、離せ……」ジタバタッ

ニート「離せ、離せよ……」ジタバタッ

米兵「こらっ、大人しくしろ!(英語)」

ニート「おいっ、エルフ。今すぐ何とかしろ!」ジタバタッ

ニート「こんなの、絶対におかしいだろ!」ジタバタッ

米兵「黙れ、黙れ!(英語)」

ニート「エルフ。この性悪女!」ジタバタッ

ニート「てめぇみたいのは、今すぐ地獄に落ちろ!」ジタバタッ

ニート「俺は、絶対に貴様の事を許さない!」ジタバタッ

ニート「絶対に、化けて出てやるからな!」ジタバタッ

米兵「黙れーーーーっ!(英語)」

ニート「!?」ビクッ

エルフ「ああ、本当にお気の毒に……」ニヤニヤ

エルフ「あのまま適合さえしなければ、こんな事にはならなかったものを……」ニヤニヤ

エルフ「今の私、ただの雇われの管理人だもの……」ニヤニヤ

エルフ「だから、今の私には何も出来ないわ……」ニヤニヤ

ニート「何~~~~っ!?」ギロッ

米軍士官「……」ニヤニヤ

米軍士官2「隊長。このまま搬出致しますか?」

米軍士官2「こいつ、やけに活きが良いみたいですが」

米軍士官「いや、ちゃんと麻酔掛けてから搬出しろ!」ニヤニヤ

米軍士官「下手したら、我々にも被害が及ぶからな!」ニヤニヤ

米軍士官2「はっ!」

エルフ「……」ニヤニヤ

ニート「くっ、離せ、離せ!……」ジタバタッ

ニート「離せ、離せ~~~~っ!」ジタバタッ

ニート「お前ら、それでも人間か!?」ジタバタッ

ニート「一体、何で俺ばっかりがこんな目に遭うんだ!?」ジタバタッ

スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

ニート「くそっ、キャピ娘の野郎、絶対にぶっ殺す!」ジタバタッ

ニート「あいつさえいなければ、俺は絶対にこんな目には遭わなかったんだ!」ジタバタッ

ニート「くそっ、キャピ娘の馬鹿野郎!」ジタバタッ

ニート「馬鹿野郎、馬鹿野郎、馬鹿野郎!」ジタバタッ

ニート「あいつ、まさか全部分かってて、俺をここに送りやがったのか!?」ジタバタッ

ニート「俺がこんな目に遭うのは、全部キャピ娘が悪いんだ!」ジタバタッ

米軍士官「おいっ、誰かさっさと麻酔打て!(英語)」

米軍士官「ついさっきから、煩くて敵わん!(英語)」

米軍士官「それ打ったら、こいつ搬出するぞ!(英語)」

米軍士官「さぁ、早く急ぐんだ!(英語)」

米兵達「はっ!(英語)」

エルフ「……」シャキン

スッ、ブスッ……

ニート「いたっ!?」

シューーーーッ、シュン……

ニート「くっ、くそっ……」

衛生兵「隊長。麻酔を打ちました(英語)」

衛生兵「時期に、彼は大人しくなるでしょう(英語)」

ニート「……」グラグラッ

ニート「……」グラグラッ

ニート「……」グラグラッ

ニート「……」ガクッ

米軍士官「ふぅ、ようやく静かになった(英語)」

スッ、カチャカチャ……

米軍士官2「では、次は半魚人の死体の方ですね(英語)」

米軍士官2「エルフ。案内の方を頼む(英語)」

エルフ「はっ!(英語)」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート「……」

トゥルルルルルッ、トゥルルルルルッ……

米軍士官「ん?(英語)」

トゥルルルルルッ、トゥルルルルルッ……

スッ、ピッ……

米軍士官「はい。XXXXです(英語)」

米軍士官「作業に関しては、順調に進んでいますよ(英語)」

米軍士官「はい、はいはい(英語)」

米軍士官「では、すぐに国外へと輸送致します(英語)」

米軍士官「それで、エルフについては?(英語)」

米軍士官「彼女に関しましては、今後どう致しますか?(英語)」

スッ、ドサッ……

米軍下士官「よし、運ぶぞ(英語)」

米軍士官「……そうですか(英語)」

米軍士官「彼女は、今後も島に残留と言う事で(英語)」

米軍士官「この件につきましては、私の方で彼女に伝えておきます(英語)」

米軍士官「それでは、また後日(英語)」

米軍士官「失礼致します(英語)」

スッ、ピッ……

米軍士官「……」

米軍士官「……」

米軍士官「……」

米軍士官「……」ガクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ「隊長。どうかされたのですか?(英語)」

エルフ「何やら、あまり顔色が宜しくはない様ですが(英語)」

米軍士官「ああ、エルフ。丁度良かった(英語)」

米軍士官「今さっき、上から連絡が入ってきた!(英語)」

米軍士官「上が言うには、“君はまだこの島に引き続き残留!”(英語)」

米軍士官「“今後も、ここで任務を継続せよ!”との事だ!(英語)」ムクッ

エルフ「ああ、そうなんですか……(英語)」

エルフ「そろそろ、ここを出て子供達の元に戻りたかったんですが……(英語)」シュン

米軍士官「……」

エルフ「ですが、命令とあれば仕方ないですよね……(英語)」

エルフ「私が今お仕えしているのは、アメリカ合衆国なのですから!(英語)」

米軍士官「ああ、その通りだ!(英語)」

米軍士官「エルフ。今私が言った様に、この島での任務を継続せよ!(英語)」

米軍士官「これは、合衆国からの命令だ!(英語)」

エルフ「はっ!(英語)」

米軍士官「君の希望は、なるべく通して貰う様にしてみる!(英語)」

米軍士官「だから、まだもう少し辛抱をしてくれ!(英語)」

エルフ「はっ、了解致しました!(英語)」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

米軍士官2「隊長。これより、半魚人の死体の搬出致します(英語)」

米軍士官2「それが終わり次第、撤収致しますか?(英語)」

米軍士官「ああ、頼む(英語)」

米軍士官2「はっ!(英語)」

エルフ「隊長。ここの除染は結構です(英語)」

エルフ「後は、私の方で上手く処理致しますから(英語)」

米軍士官「ああ、了解した(英語)」

米軍士官2「エルフ。後の事を頼むぞ!(英語)」

米軍士官2「では、私は失礼ふる!(英語)」

エルフ「はっ、お疲れ様です!(英語)」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「……」クルッ

米軍士官「……」

エルフ「さよなら。名も無きニート達……(英語)」

エルフ「たとえ、貴方達がここで死んでも、誰一人として悲しまないからね……(英語)」ニヤリ

~無人島・簡易ヘリポート~

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「……」

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

米軍士官「ん?(英語)」ハッ

巨大猫「……」

米軍士官「君は、確かエルフの……(英語)」

米軍士官「そうか、今の君はエルフのペットだったな……(英語)」

巨大猫「ああ、そうじゃ(英語)」

米軍士官2「!?」ビクッ

米軍士官「それで、今日はどうした?(英語)」

米軍士官「このまま、君もヘリに乗ってくか?(英語)」

巨大猫「いや、妾は遠慮しておく(英語)」

巨大猫「妾は、ここを出ぬ訳には行かないからな(英語)」

米軍士官「ああ、そうか……(英語)」

巨大猫「それで、あ奴の事をどうするつもりじゃ?(英語)」

巨大猫「このまま、実験台にでもするのかのぅ?(英語)」

米軍士官「ああ、そのつもりだが(英語)」

米軍士官2「隊長。この猫の様化け物は一体?……(英語)」ビクビクッ

米軍士官2「軽く、ライオンぐらいの大きさがあるのですが……(英語)」ビシッ

巨大猫「妾は、昔からこの島に住む化け猫の一種じゃ(英語)」

巨大猫「今は、この島の管理人を勤めるエルフに飼われとる(英語)」

巨大猫「そなた、もしや過去に猫を捨てたか?(英語)」

巨大猫「もしそうならば、それなりの代償を払って貰う事になるぞ(英語)」ニヤリ

米軍士官「巨大猫。そう彼を怯えさせるな(英語)」

米軍士官「彼は、どちらかと言うと猫好きな方なのだ(英語)」

米軍士官「それに、彼のスマホの中には常に猫の画像が一杯(英語)」

米軍士官「君が心の底から憎む嫌う様な人間ではないぞ(英語)」

巨大猫「おおっ、そうなのか(英語)」

米軍士官2「……」ビクビクッ

巨大猫「その割りには、かなり顔が青いのぅ(英語)」

巨大猫「何か、思い当たる節でもあるのではないか?(英語)」

米軍士官「……」チラッ

米軍士官2「……」ビクビクッ

米軍士官「特に、そう言った事は聞いていない(英語)」

米軍士官「それは、君の思い過ごしだろう(英語)」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

米軍下士官「隊長。収容作業が完了しました!(英語)」

米軍下士官「後は、離陸するだけです!(英語)」

米軍士官「ああ、了解した(英語)」

米軍士官2「……」ビクビクッ

米軍士官「では、我々はこれで失礼する(英語)」

米軍士官「君も達者でな(英語)」

巨大猫「ああ、そなたもな(英語)」

米軍士官「行くぞ(英語)」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ウィーーーーーーーーン、ダン……

巨大猫「……」

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

巨大猫「おおっ、浮いた浮いた……」

巨大猫「これで、当分は静かになるな……」

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

バリバリバリバリッ、バリバリバリバリッ……

巨大猫「さてっ、少し昼寝でもするか」

巨大猫「ヘリも飛んで行った事じゃし、ようやく静かに昼寝が出来る事じゃろう」

「いや、そこで昼寝をされても困るんだが」

「次、またヘリが何機も来るぞ」

巨大猫「む? そうなのか?」

陸軍士官「ああ、そうだ」ヌッ

巨大猫「では、仕方なく移動するとしよう」

巨大猫「そなた達も、少しは妾の昼寝の時間には配慮してくれ」

スッ、ムクッ……

スッ、ノビーーーーッ……

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

陸軍士官「ふぅ……」

上級下士官「小隊長。やっと出て行きましたね」

上級下士官「あの巨大猫、ここをよく昼寝スペースにしてしまってるみたいですから」

陸軍士官「ああ、そうなんだが」

上級下士官「ですが、何故あの巨大猫はまだここにいるんです?」

上級下士官「どっちかと言うと、あのまま捕獲して貰った方が良かったのですが」

陸軍士官「ああ、そうなんだが」

エルフ「いや、ちょっとそれ困るから……」

エルフ「勝手に人ん家の猫を殺処分されても困るんだけど……」ヌッ

陸軍士官「げっ!?」ビクッ

上級下士官「と言うか、いたのかよ!?」ビクッ

エルフ「ええ、いたわ……」

エルフ「ちょっと久し振りに、軍服も来ちゃってるけど……」

上級下士官「それで、何しに来た?」

上級下士官「まさか、今度は俺達の事を半魚人にしに来たのか?」

エルフ「ええ、そうよ!」ニッコリ

上級下士官「!?」ガーーン

陸軍士官「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

エルフ「冗談よ!」ジトッ

エルフ「小隊長。ちょっと暫くの間は、あのアパートの周りには近づかないで下さい」

エルフ「あのアパート、後で私が掃除致しますから」

陸軍士官「あっ、ああ、了解した……」

エルフ「後、掃除する時は結構派手に行きます!」

エルフ「私の掃除が終わるまでは、全員キャンプの中にいて下さいね!」

陸軍士官「ああ、了解した……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

陸軍士官「ふぅ……」

上級下士官「はぁ……」

兵士達「……」ザワザワッ

兵士達「……」ザワザワッ

陸軍士官「上級下士官。全隊に下令!」

陸軍士官「絶対に、あのアパートには近づくな!」

上級下士官「はっ!」

陸軍士官「特に、あの管理人が派手に掃除をしてる間は!」

陸軍士官「下手したら、我々までミンチにされるからな!」

上級下士官「はっ!」ビシッ

~ニートの両親の自宅前~

その日の昼ーー

引き籠り「嫌だ、行きたくない!」

引き籠り「一体、何で俺が逮捕されなきゃいけないんだ!」

警官「はい、乗った乗った」

ニート母「……」

引き籠り「誰か、誰か助けてくれ!」

引き籠り「こんなの、こんなの絶対に間違ってる!」

婦警「ああ、もう煩いわね……」

警官「早く、車に乗るんだ!」

引き籠り「絶対に嫌だ!」

ニート母「……」

婦警「ほらっ、近所迷惑でしょ」

婦警「早く、君も乗りなさい」

引き籠り「嫌だ!」

婦警「ああ、もう煩い煩い……」

婦警「先輩、この子なんとかして下さい……」

婦警「ついさっきから、煩くて堪らないんですよ……」

警官「君、いい加減にしなさい!」

警官「今回、君が逮捕されたのはニート歴が4年以上もあるから!」

警官「だから、君は逮捕されるんだよ!」

警官「そう法律で、何年も前から決まってるんだからね!」

引き籠り「絶対に、おかしい!」

婦警「……」

警官「君、駄々捏ねないの」

警官「そんなんじゃ、自立して生活する事すら出来なくなるよ」

婦警「ええ、そうね」

警官「だから、君も早く車に乗りなさい」

警官「そうしてくれなきゃ、こっちが困るんだから」

引き籠り「え~~~~っ!?」

引き籠り「そんなの、絶対におかしいだろ?」

引き籠り「俺は、絶対に無実に決まってる!」

引き籠り母「……」

引き籠り「だから、俺は車になんか乗りたくない!」

引き籠り「俺がこうなった理由は、全て社会が悪いんだ!」

警官「は? 社会が悪い?」

警官「お前、本当にそう思ってんのか?」

引き籠り「!?」ビクッ

警官「言っとくがな、お前みたいな奴等が世の中の事を語る自体がおかしいんだよ!」

警官「ろくに働きもせず、税金も納めず選挙にすら行かない!」

警官「そんな奴等に、世の中を批判する資格なんてねぇんだよ!」

引き籠り「けど、社会が悪いのは事実じゃねぇか……」

引き籠り「結局は、俺みたいな奴等が全部被害者なんじゃねぇか……」

警官「あ?」

引き籠り「……」ビクッ

引き籠り母「引き籠り、早く車に乗りなさい!」

引き籠り母「あんたなんか、もう家の子供じゃありません!」

引き籠り「母さん。俺を見捨てるのか?……」

引き籠り「やっぱり、出来の良い妹達の方が良いのか?……」クルッ

警官「ん?」

引き籠り母「ええ、そうよ」

引き籠り母「そりゃあ、当然でしょ」

引き籠り母「一体、何勘違いしてるの? あんた」

引き籠り母「とにかく、あんたはもう家の子じゃありません!」

引き籠り母「元々、あんたは私の産んだ子供じゃなかった!」

引き籠り母「あんたの本当の母親は、あんたを産んですぐに事故で亡くなった!」

引き籠り母「せっかく、実の妹の代わりにあんたの事を育ててきたけど、それも全て無駄だったみたいね!」

引き籠り「!?」ガーーン

ニート母「あらあら……」

「そう、そうだったんだ……」

「だから、何か兄さんだけが似てないなぁと思ってたんだ……」

引き籠り「え?」クルッ

引き籠り母「あら、もう帰ってきたの」

引き籠り母「ごめんなさい。まだもう少し、時間が掛かるかもね」

「……そう。分かったわ」

引き籠り「妹、お前知ってたのか?……」

引き籠り「と言うか、そんなの全部嘘だと言ってくれ………」

引き籠り妹「……」

引き籠り「なぁ、全部嘘だと言ってくれよ……」

引き籠り「俺、これから一体どうなるんだよ?……」

引き籠り妹「さぁ、何も分からないわ……」

婦警「ともかく、君は早く車に乗って」

婦警「そうしないと、今の君自身がますます不利になってしまうのよ」

引き籠り「え?」

婦警「君、たとえこのまま捕まったとしても、すぐ出てこれるわよ」

婦警「今回は、君の今後の社会復帰の為に逮捕するんだから」

引き籠り「……は?」

引き籠り妹「あの、つまりどう言う事なんですか?」

引き籠り妹「ウチの兄は、今後どうなるんですか?」

引き籠り「……」

警官「君のお兄さんには、この後すぐ署の方まで連行させて貰う」

警官「そこで、ちゃんと取り調べ等も行ってね」

警官「君のお兄さんを逮捕した後は、きっちりと裁判を受けて貰う訳」

引き籠り妹「ああ、そうなんですか……」

引き籠り妹「私、警察官志望だったのになぁ……」

引き籠り妹「本当に、ウチの兄は迷惑ですね……」

引き籠り妹「何で、こんな人をウチの母は引き取ったんだか……」

引き籠り「……」

引き籠り母「ああ、ごめんなさいね、娘……」

引き籠り「その後、俺はどうなるんだ?……」

引き籠り「裁判を受けた後に、一体どうなるんだよ?……」

引き籠り妹「……」

警官「残念だけど、そこからは俺達の仕事じゃない」

警官「俺達の仕事は、犯人を逮捕する事」

警官「君にどんな判決が下るかについては、全て司法が決める事なんだよ」

引き籠り「じゃあ、俺が無罪になる確率は?」

引き籠り「腕の良い弁護士が付いたら、俺の無罪は証明されるんだよな?」

引き籠り妹「……」

警官「ああ、そうだよ」

警官「まぁ、それ自体は全て君の運次第だけどね」

引き籠り妹「……」チッ

引き籠り母「引き籠り。早く車に乗りなさい!」

引き籠り母「あんたみたいな子は、もう二度と顔すら見たくないわ!」

引き籠り「……」

引き籠り妹「あの、早くこの人を連れてって下さい」

引き籠り妹「ここにいつまでも居られたら、近隣の方達にも迷惑がかかるので」

婦警「ええ、了解したわ」

ニート母「ああ、ウチに関しては大丈夫ですよ」

ニート母「ウチも、今の貴方達とは全く同じ体験をしてますから」ニッコリ

引き籠り妹「え?」

引き籠り母「あら、そうでしたの」

引き籠り母「本当に、こんな子が身内にいたら苦労致しますわね」ニッコリ

ニート母「ええ、そうなんですよ」ニコニコ

婦警「あっ、貴女、確か前に被害に遭っていたキャピ娘の……」

婦警「あれから、あの娘は元気にしていますか?」

ニート母「ええ、元気にしてますよ」ニコニコ

引き籠り母「へぇ、XXさんとこもキャピ娘を?」ニコニコ

引き籠り母「ウチも、もうすぐ納車されるんです」ニコニコ

ニート母「あら、そうなかんですか」ニコニコ

警官「とりあえず、早く君は乗りなさい」

警官「ここにいても、誰かの迷惑になるだけなんだから」

引き籠り「……はい」

警官「警官2、警官3頼むぞ」

警官「早く、こいつを連れてってくれ」

警官2「ああ、了解した」

スッ、ムクッ……

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、スタッ……

スッ、バタン……

引き籠り妹「……」

スッ、ギュルルルッ……

ギュルルルルルッ、ギュルルルルルッ……

ジリジリジリッ、ジリジリジリッ……

ブロロロロロッ、ブロロロロロッ……

ブロロロロロッ、ブロロロロロッ……

引き籠り妹「ふぅ、行っちゃったね」

引き籠り母「娘、貴女どうする?」

引き籠り母「私、XXさんともう少し話しとくわ」

引き籠り妹「うん。分かった」

警官「では、私達もこれで」

警官「本当に、色々とご迷惑をお掛け致しました」ペコッ

婦警「失礼致します」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート母「では、XXXさん。ここでは何ですからウチの方へ」

ニート母「ウチのキャピ娘、今日はお休みでしてね」

ニート母「もう暫くしたら、戻ってきますので」

引き籠り母「はい。お邪魔致します」

引き籠り妹(ふぅ、これで安心した……)

引き籠り妹(本当は、警官志望でも何でもないんだけど……)

引き籠り妹(先輩、良い事教えてくれたわ……)

引き籠り妹(後は、1000万が入るだけね……)

スッ、カチッ……

スッ、スッ……

スッ、ガチャ……

引き籠り妹(けど、先輩の方は大丈夫なのかな?……)

引き籠り妹(つい最近、お兄さんまで半魚人になっちゃってたけど……)

引き籠り妹(まぁ、先輩なら大丈夫でしょ……)

引き籠り妹(あの人、本当に強い人だからね……)

スッ、バタン……

~ニートの両親の自宅・リビング~

しばらくしてーー

ニート母「はい、はいはい」ニコニコ

ニート母「はい、本当に有り難うございます!」ニコニコ

ニート母「おかげで助かりました!」ニコニコ

引き籠り母「……」

ニート母「では、遺体の方はそちらで処分して下さい」ニコニコ

ニート母「ウチはもう要りませんので、そちらの方も宜しくお願い致します」ニコニコ

ニート母「本当に、有り難うございました!」ニコニコ

ニート母「それでは、失礼致します!」ニコニコ

スッ、カタッ……

ニート母「ふぅ……」

ニート母「ああ、すいませんね」ニッコリ

ニート母「少し、行政の方から電話がありまして」ニコニコ

ニート母「つい最近、処分したばかりの元息子がやっと消えたんですよ」ニコニコ

ニート母「これで、ようやくながらも元息子からの柵から解放されましたわ」ニコニコ

引き籠り母「あら、そうなんですか」ニッコリ

引き籠り母「お互い身内に厄介者を抱えていると、色々と大変ですね」ニコニコ

ニート母「ええ、そうなんですよ」ニコニコ

ニート母「でも、それももう終わった事なんです」ニコニコ

ニート母「後は、行政から給付金が振り込まれるのを待つだけですね」ニコニコ

ニート母「あの子がいなくなってから、あまりストレスも溜まる事なく快適に過ごしてますよ」ニコニコ

引き籠り母「へぇ~~っ」ニコニコ

スッ、ゴクッ……

ガチャ、キキィーーッ……

スタスタスタッ、クルッ……

スッ、バタン……

キャピ娘「お母様。ただいま戻りました」

キャピ娘「本日は、お客様とご一緒だったみたいですね」ニッコリ

ニート母「ええ、そうよ」クルッ

ニート母「キャピ娘。外の方はどうだった?」ニコニコ

ニート母「今日もまた、色々と警察の方達が来てたでしょ?」ニコニコ

キャピ娘「はい」ニコニコ

ニート母「それと、ついさっき行政から連絡があったわ!」ニコニコ

ニート母「ようやく、あの子が死んでくれたみたいよ!」ニコニコ

キャピ娘「え?」キョトン

ニート母「だから、貴女ももう安心をしなさい!」ニコニコ

ニート母「もうあの子は、もう二度とここには戻っては来ないから!」ニコニコ

ニート母「これで、ようやくながらも私自身も平穏無事な毎日を過ごす事が出来るわ!」ニコニコ

ニート母「あんな問題ばかり起こしてくる息子なんか、今の私達には必要はないのよ!」ニコニコ

キャピ娘「……ええ、そうですね!」ニッコリ

引き籠り母「……」ジーーッ

引き籠り母「あの、XXさん。まさかこの子が?……」ジーーッ

引き籠り母「私、この子がキャピ娘だって信じられないんですけど……」ジーーッ

キャピ娘「……」ペコッ

ニート母「そりゃあ、私だって最初は信じられませんでしたよ!」ニコニコ

ニート母「この娘は、今ではもう私の大切な娘なんです!」ニコニコ

キャピ娘「……お母様」ウルッ

引き籠り母「貴女、お名前は?」

引き籠り母「その様子だと、XXさんに名前を付けて貰ってるんでしょ?」

キャピ娘「ええ、付けて貰ってますよ」ニコニコ

キャピ娘「今は、XXXと名乗ってます」ニコニコ

引き籠り母「あら、良い名前ね」ニッコリ

キャピ娘「有り難うございます」ニコニコ

ニート母「キャピ娘。お茶のお代わりを貰えるかしら?」

ニート母「ついでに、この間買ってきたクッキーも持ってきて」

キャピ娘「はい。かしこまりました」

クルッ、スタスタスタッ……

引き籠り母「XXさん。本当に、良いお買い物をされましたね」ニコニコ

引き籠り母「ウチも、早くあの娘の様な新しい娘がほしいですわ」ニコニコ

ニート母「でも、所有者によっては色々と大変みたいですよ」ニッコリ

ニート母「あの子が言うには、所有者によって待遇の差があるみたいですし」ニコニコ

引き籠り母「え?」

ニート母「あの娘、以前いた所ではよく所有者の人達に乱暴をされていました」ニコニコ

ニート母「それで、あの娘が元の所有者達から離れた後に、ウチですぐ引き取ったんです」ニコニコ

キャピ娘「……」テキパキ

引き籠り母「じゃあ、ウチも気を付けないといけませんね」

引き籠り母「ついさっき、ウチも馬鹿息子を処分した所ですし」

引き籠り母「ああ、後で主人にもきつく言っておかないと」

引き籠り母「ウチの旦那は、購入前からキャピ娘の事を性的な目で見ていましたから」

ニート母「あら、お宅もですか」

キャピ娘「え?」ピタッ

引き籠り母「けど、何で男の人って考える事が同じなんでしょうね?」

引き籠り母「そう言う事がしたいなら、そう言ったお店にまで行けば良いのに」

引き籠り母「ああ、だからウチの馬鹿息子が無職で引き籠りなってしまうのかしら?」

引き籠り母「あれ、確実にウチの主人の影響でしょうね」

ニート母「ええ、そうみたいですね」

キャピ娘「……」テキパキ

ニート母「あら、そう言えばアレはもう処分したのかしら?」

ニート母「ねぇ、キャピ娘。あのやたらと露出の多い服は処分した?」

ニート母「まだ処分してないなら、後でごみ袋にでも入れといて」

ニート母「なんか、貴女の過去の話をしてたら、それを思い出しちゃったわ」

ニート母「本当に、いくらキャピ娘が人間じゃないからって、何でそんな事をするのかしらね?」

キャピ娘「はい。お母様」テキパキ

引き籠り母「ええ、そうですね」

引き籠り母「と言うか、実の娘と同じぐらいのキャピ娘にそう言う事をするなんて、かなり頭おかしいですよ!」

引き籠り母「まぁ、それを言ったら、『如何わしい夜の店に行けば良いって』と言う発言にも問題がありますよね!」

引き籠り母「“人によっては、キャピ娘は人間じゃない!”」

引き籠り母「“だから、キャピ娘にそう言った事をしても問題はないだろう!”と言う人もいるくらいですからね!」

ニート母「ええ、本当に」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

キャピ娘「お母様。お茶のお代わりをお持ち致しました」ニッコリ

ニート母「ええ、有り難う。キャピ娘」ニッコリ

スッ、コトッ……

スッ、コトッ、コトッ……

ニート母「キャピ娘。今の貴女はもう大丈夫?」

ニート母「もう以前みたいな目には、貴女遭っていないわよね?」

キャピ娘「はい」ニッコリ

ニート母「なら、もう貴女の事は問題はないわね」

ニート母「貴女の前の所有者達も、お金目当てで逆に身内から処分されちゃったんだから」

スッ、ゴクゴクッ……

キャピ娘「お母様。私は、お母様には感謝してますよ」

キャピ娘「あの時、お母様に見つけて頂けなければ、あの後どうなっていた事やら」ウルッ

キャピ娘「本当に、お母様には感謝しきれません!」

キャピ娘「あの時、私の事をを助けて頂き本当に有り難うございます!」ペコッ

ニート母「いえいえ」ニッコリ

引き籠り母「……」

ニート母「キャピ娘。もう下がって良いわ」ニコニコ

ニート母「次は、色々と家事の方をお願いね」ニコニコ

ニート母「後、貴女が持ってる防災食とかも出しといて」ニコニコ

ニート母「あれ、後でXXXさんにも見せてあげたいから」ニコニコ

キャピ娘「はい。お母様」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

引き籠り母(なんか、この二人は本当の親子みたいね……)

引き籠り母(自身の目の前にいるのは、キャピ娘とその所有者なのに……)

引き籠り母(ここまで見せつけられたら、ウチは大丈夫かどうかが不安になってきたわ……)

引き籠り母(本当に、後でウチの主人に注意しとかないと……)

スッ、ゴクゴクッ……

スッ、ポリポリポリッ……

引き籠り母(下手したら、定年前にウチの主人が娘によって、すぐさま処分される……)

引き籠り母(ここ最近のあの子、やけに病んでいたから……)

引き籠り母(それに、ウチもあの子の口車に乗せられて、馬鹿息子の事を処分しちゃったし……)

引き籠り母(本当に、キャピ娘って所有者の事を惑わす存在なのね……)

スッ、ゴクゴクッ……

スッ、ポリポリポリッ……

~旧ニートの自宅前~

その日の夕方ーー

ニート友「……」

ニート友「……」

ニート友「……」

旗「入居者募集中 (株)XXホーム」

ニート友「……」

ニート友「……」

ニート友「……」

ニート友「……」

ニート友「はぁ、もう既に引っ越した後だったか……」

ニート友「この香典、どうすっかな?……」スッ

ニート友(けど、やけに急な話だったな……)

ニート友(あいつ、確か出所してからすぐ自宅に戻ったはずなのに……)

ニート友(まさか、例のキャピ娘が?……)

ニート友(あの時は何とも感じなかったが、今となっては少なからずは切ねぇな……)

スッ、ガチャ……

キャピ娘C「ん?」ヒョイ

ニート友(う~~ん。どうすっかなぁ~~っ?)

ニート友(このまま、帰るとなってはなぁ……)

ニート友(おばさん、何も急に引っ越さなくても……)

ニート友(やっぱ、あいつに前科付いたから、ここに住むのが無理になったんだな……)

ニート友「はぁ……」ガクッ

スタスタスタッ、ピタッ……

キャピ娘C「あの、もしかしてXXさんのお知り合いの方ですか?」

キャピ娘C「XXさんなら、数ヵ月前に引っ越されましたよ」

ニート友「え?」クルッ

キャピ娘C「ああ、やっぱXXさんのお知り合いでしたか」

キャピ娘C「XXさん。息子さんが問題ばっか起こしてて、ここに住みにくくなってしまって引っ越されてしまったんです」

ニート友「そっ、そうなんですか」

ニート友「ちなみに、今どの辺にお住みになられているかご存じですか?」

ニート友「つい最近、そこの息子さんがお亡くなりになったとお聞きしたもので」

キャピ娘C「え?」

老婆「あんた、XXさんとこの息子さんと知り合いか?」ヌッ

老婆「あの子、本当に死んだんか?」

ニート友「はい。そうみたいです」クルッ

老婆「そうか、本当に死んだんか……」

老婆「ありゃあ、死んで当然な人間なのかもしれねぇな」

老婆「あの子、一度も働いた事なくずっと自室に籠りっきり」

老婆「その上、自分よりも年下で弱い娘に幾度もなく暴力を振るう」

老婆「XXさんとこの娘さんも、あの子の被害に遭っとった」

老婆「あんな屑みたいな男は、死んで当然なんじゃ!」

老婆「そんで、あんた何しに来たえ?」

老婆「XXさんなら、ここに居ずらぁなってしもうて、どこか遠くにまで引っ越された」

老婆「本当に、あの子はろくでもねぇ息子やねぇ!」

老婆「私の前の主人はだいぶ前に戦地で亡くなったんじゃが、あんな子の為に死んだんじゃねぇ!」

ニート友「はっ、はぁ……?」

キャピ娘C「あの、お婆ちゃん?……」

「ああ、お義母さんここにいた……」

「もう、駄目じゃないですか、突然いなくなって……」

老婆「む? XX子さんか?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ガシッ……

介護士「お義母さん。そろそろ透析のお時間ですよ」

介護士「早く支度して、病院に向かいましょ」

老婆「ほぅ、もうそんな時間ね?」

介護士「お義母さん。今日はデイの日じゃありません」

介護士「デイの日は、明日ですよ」

老婆「おおっ、そうだったか、そうだったか」

介護士「キャピ娘C。お婆ちゃん大丈夫だった?」

介護士「こちらの方に、何かご迷惑をお掛けしてなかった?」

キャピ娘C「はい。大丈夫でしたよ」

介護士「そう。本当に申し訳ありませんね」

介護士「ウチの義理の母は、若干認知症も患っていますから」ペコッ

ニート友「あっ、いえ、本当に大丈夫ですから……」

老婆「XX子さん。今日はデイの日じゃないのかえ?」

老婆「私としては、デイの日の方がよか」

介護士「お義理さん。わざと地方弁をごちゃまぜにして話さないで下さい」

介護士「今お義母さんがお使いになっている地方弁、ついこの間テレビを見て覚えてただけでしょうが」

ニート友「え?」

老婆「おおっ、バレとったか」

介護士「はぁ、お義理さん……」

介護士「早く支度して病院に行きますよ……」

介護士「もう時期、迎えの車がここに到着致します……」

介護士「ですから、早くお義理さんも着替えて下さい……」

老婆「うむ、さよか」

クルッ、スタスタスタッ………

キャピ娘C「あの、貴方息子さんとはどう言ったお知り合いで?」

キャピ娘C「息子さん。XXXキャンプ場に向かったんじゃなかったんですか?」

ニート友「え?」クルッ

キャピ娘C「ああ、その様子だとご存じなかったみたいですね」

キャピ娘C「あそこのキャンプ場に行く様に勧めたのは、この私ですから」

ニート友「!?」

ニート友「あんた、それいつの話だ?」

ニート友「ニートは、一体いつそこに向かったんだ?」

キャピ娘C「確か、XXさんが引っ越されてからすぐの事ですね」

キャピ娘C「息子さん、多分出所してからすぐここに戻ってきたと思うんです」

キャピ娘C「その後、私は息子さんにXXXキャンプ場に向かうように勧めました」

キャピ娘C「偶々、そこでニートに対する支援活動等が行われていて、当面の暮らしも保証されていたからです」

ニート友「ああ、そうなのか……」

ニート友「ニートの奴、キャンプ場に向かってたのか……」

ニート友「けど、何であいつはまた捕まる様な事をしたんだ?」

ニート友「おまけに、何故か死んでしまってるし」

キャピ娘C「さぁ、その辺については何も解りません」

ニート友「……」

キャピ娘C「とりあえず、息子さんの足取りをお知りになりたいのでしたら、警察にでも問い合わせてみて下さい」

キャピ娘C「その方が、確実に正確に情報が入ると思うんです」

キャピ娘C「それじゃあ、私はもうこれで」

キャピ娘C「この辺、送迎用の介護支援車がよく止まりますから、もう移動されといた方がよろしいですよ」

ニート友「ああ、すまなかったな」

キャピ娘C「いえいえ」ニッコリ

ニート友(ふぅん、XXXキャンプ場か……)

ニート友(あそこ、何でニートなんかを支援してるんだ?……)

ニート友(噂では、そこで何かが起こってニートの野郎が捕まってた……)

ニート友(確か、あいつの罪状ってホームレスに対する暴行だったよな?……)

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

ニート友(とりあえず、XXXキャンプ場に行ってみるか……)

ニート友(ひょっとしたら、あの時に会ったキャピ娘が関わっているかもしれん……)

ニート友(でも、今から行っても夜になるな……)

ニート友(だったら、明日にでもしとくか……)

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~ニート友の自宅前~

その数十分後ーー

プー太郎「頼む。話だけでも聞いてくれ!」アセアセッ

プー太郎「今の俺、本当にヤバイんだ!」アセアセッ

ニート友父「お前の話なんぞ聞く必要はない!」ムカムカッ

ニート友父「いいから、今すぐ出てけ!」ムカムカッ

ニート友父「お前、今更何の用だ?」ムカムカッ

ニート友父「お前なんか、ウチの息子でも何でもない!」ムカムカッ

ニート友父「そもそも、DNA鑑定の結果お前は俺の子供じゃなかった!」ムカムカッ

ニート友父「もう既に、お前の籍は抜いてある!」ムカムカッ

プー太郎「嘘だ!?」ガーーン

ニート友「……」ポカーーン

プー太郎「親父、俺の話を聞いてくれ!」アセアセッ

プー太郎「母さんも本当にヤバイんだ!」アセアセッ

ニート友父「黙れ!」ムカムカッ

ニート友「……親父?」ハッ

プー太郎「なぁ、母さんの事を助けてくれよ!」アセアセッ

プー太郎「たった五年とは言え、親父は俺の親父でもあったんだから!」アセアセッ

ニート友父「は? お前が俺の息子?」ムカムカッ

ニート友父「第一、お前は托卵されて出来た子供だろ!」ムカムカッ

ニート友父「それに、あいつは何も悪びれる事なく俺を騙してた!」ムカムカッ

ニート友父「そんなにあの屑女の事を助けたいのなら、本当のお前の親父の元に行け!」ムカムカッ

プー太郎「だが、断られたんだ!」ウルッ

ニート友父「何ーーーーっ!?」ムカムカッ

ニート友「親父、さっきから何してんだ?」

ニート友「つうか、昼ドラなら別の場所でやってくれ」

プー太郎「!?」クルッ

ニート友父「おおっ、早かったな」

ニート友父「もう今日は、仕事終ったなのか?」ニッコリ

ニート友「ああ、まあな」

ニート友「それで、こちらのおっさんは誰だ?」

ニート友「つうか、俺に兄なんていたのか?」

ニート友父「いや、違う!」ギロッ

プー太郎「お前、一体何者だ?」

プー太郎「俺の親父に何の様だ!」ギロッ

ニート友「は?」

ニート友父「ニート友、そいつの事は気にするな!」ムカムカッ

ニート友父「そいつは、昔俺が騙された女が作った息子なんだ!」ムカムカッ

ニート友父「そもそも、俺の息子はお前一人だ!」ムカムカッ

ニート友父「だから、そいつの事は気にしなくて良い!」ムカムカッ

ニート友「へぇ」チラッ

プー太郎「なん……だと……!?」ガーーン

ニート友父「プー太郎、お前は早く出てけ!」ムカムカッ

ニート友父「もう二度と、俺達の前に顔を出すな!」ムカムカッ

プー太郎「……」

ニート友父「プー太郎、聞こえなかったか?」ムカムカッ

ニート友父「さっさと早く、ここから出てけ!」ムカムカッ

プー太郎「……」

ニート友「……」ジーーッ

ニート友父「……」ムカムカッ

近所の奥様方「……」ザワザワ

プー太郎「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート友父「ふぅ、やっといったな……」

ニート友父「後で塩撒かないと……」

ニート友父「全く、せっかくの有給が台無しだ……」

ニート友父「俺は、先に入っとく……」

ニート友「ああ、了解した」

近所の奥様達「……」ザワザワ

「ん? 何だこの騒ぎ?」

「誰か、何かあったのか?」

ニート友「ん?」クルッ

ニートD「おっ」

ニートC「よう、ニート友じゃん」ニッコリ

ニート友「おおっ、久し振りだな」ニッコリ

ニートD「そんで、この騒ぎは何だ?」

ニートD「一体、何があったんだよ?」

ニート友「実は、俺にもよく分からねぇ」

ニート友「俺も、ついさっき帰ってきたばかりだからよ」

ニートD「ああ、そうなのか」

ニートC「大変だな。お前も」

ニート友「ああ、そうそう」

ニート友「お前ら、この男を見なかったか?」

ニート友「お前らがキャンプに行っていた日に、多分行ってるはずなんだが」スッ

ニートD「ん?」

ニートC「どんな奴だ?」

ニート友「ああ、ちょっと待て」スッ、スッ

ニート友「ほらっ、こんな奴だ」

ニート友「俺のスマホにあったの昔のしかないが、こんな奴キャンプ場にいなかったか?」スッ

ニートD「あっ!」

ニートC「いたな、こいつ!」

ニート友「何!?」

ニートC「こいつがどうかしたのかよ?」

ニート友「実は、つい最近になってこいつが死んだんだ」

ニート友「そんで、それを確かめにそいつの自宅に行ったんだが、もう既に自宅が売り払われていた後だった」

ニート友「俺が最後にそいつを見たのは、お前らが丁度キャンプに行っていた日」

ニート友「そいつ、ちょっと人殴って前科が付いた後でな」

ニート友「お前らが見たのは、確かにこの男だったんだな?」

ニートD「ああ、そうだ」

ニートD「けど、何でお前こいつの事を探してんだよ?」

ニートD「こいつ、結構最低な奴だぞ!」

ニート友「え?」

ニートC「ああ、確かにこいつは最低な奴だった!」

ニートC「俺達がいたキャンプ場の女係員を殴り倒した後に、胸揉んでやがった!」

ニート友「え?」

ニートD「だから、こいつ死んで当然な奴かもしれねぇな!」

ニートD「あの殴り倒されていた女の係員、めちゃくちゃ可愛かったから!」

ニートD「俺達の様な奴にも、常に優しく接してくれたとても良い人!」

ニートD「俺達が本当に変われたのは、あの人がいたおかげ!」

ニートD「だから、こんな奴は死んで当然な奴なんだよ!」

ニートC「ああ、そうだな!」

ニート友「ふぅん、あいつがな……」

ニート友「あいつ、今度はそんな事をしてたのか……」

ニート友「と言うか、お前らもう良いのか?」

ニート友「次、お前らは何させられてんだよ?」

ニートD「職業訓練だ」

ニート友「は? 職業訓練?」キョトン

ニートD「ああ、そうだ」

ニートD「あれが終わった後、今度はそれに出なくちゃならねぇ!」

ニートD「そいつに無遅刻無欠席で出たら、国から給付金が貰える!」

ニートD「だから、俺達はそれにも出てんだよ!」

ニートD「それをちゃんと修了して就職したら、親に勘当を解いてやるって言われたからな」

ニート友「ああ、そうだったのか?」スッ、ゴソッ

ニートD「だから、俺達もこれからは頑張るわ」

ニートD「お前も、これから頑張っていけよ」

ニート友「ああ、お互いにな」

ニートD「そんじゃ、俺達はもうこれで」

ニートD「また機会が会ったら、皆であの時の様にまた会おうぜ!」ニッコリ

ニート友「ああ、了解した!」ニッコリ

スッ、ガチャ……

ニート友父「ん? 何やってんだ? お前」

ニート友父「と言うか、ニートD君にニートC君じゃないか」

ニート友父「君達、もうキャンプは終わったのかい?」ニッコリ

ニート友父「以前会った時とは、完全に見違えたな」ニコニコ

ニート達「はい。お久し振りです。おじさん」ペコッ

ニート友「親父、その手に持ってんの何だ?」

ニート友「まさか、本当に塩撒くのか?」

ニート友父「ああ、そうだ」

ニート友「親父、俺が代わりに撒いといてやる」

ニート友「まだ、この辺には近所の奥様方もいらっしゃるからな」スッ

ニート友父「ああ、了解した」スッ

ニート友父「とりあえず、お前はこれ撒いとけ!」

ニート友父「今から、俺はお袋を病院にまで運びに行く!」

ニート友父「あいつ、完全に呆け出していたお袋に上手く取り入ろうとしていた!」

ニート友父「今度会ったら、絶対に警察に突き出してやるよ!」

ニート友「ああ、了解した」

スッ、バタン……

スッ、ガチャ……

ニート友父「ああ、ニート友。これをあの子達にも渡しときなさい」

ニート友父「この間、お袋の妹さんから送られてきた果物だ」

ニート友父「これを、ニートD君達にもあげといてくれ」

ニート友「おおっ、果物か」

ニート達「ありがとうございます。おじさん」ニッコリ

ニート友父「いや、どういたしまして!」ニッコリ

ニート友父「君達も、これからは真面目に頑張っていきなさい!」ニコニコ

ニート友父「君達も、まだまだ若いんだ!」ニコニコ

ニート友父「今度は、自分の歩むべき道を間違えない様にな!」ニコニコ

ニート達「はい!」ニコニコ

ニート友(何だこれ?)

ニート友父「では、これで失礼する」ニコニコ

ニート友父「ニート友、絶対に人に当たらない様にな」チラッ

ニート友「ああ、了解した」

スッ、バタン……

ニート友「ふぅ……」スッ

ニートD「おおっ、すまんな」

ニートD「じゃあ、俺達はもうこれで」ニッコリ

ニートD「また今度な、ニート友」ニコニコ

ニート友「ああ、気を付けてな」ニッコリ

ニートC「ニート友、また携帯の番号とかを教えてくれ」ニッコリ

ニートC「今度、俺達もスマホにしてくるから」ニコニコ

ニート友「ああ、了解した」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート友「さて、俺も塩を撒くか……」

ニート友「あのキモイおっさん、本当に良い迷惑だぜ……」

スッ、スッ……

近所の奥様方「……」ヒソヒソ

~登場人物4~

衛生士官:無人島にいるエルフを訪ねに来た20代後半の女性。黒の短髪の巨乳。エルフとは一年前に知り合い、腹違いの兄と弟を半魚人にした。

陸軍士官:無人島の警備任務に来た歩兵小隊長。下士官上がりで、無人島の管理人であるエルフや巨大猫の事をあまりよく思っていない。

米軍士官:エルフの元上官。エルフが軍を除隊した後も唯一接点を持っている。エルフが無人島の所有者兼管理人になった事を知り、一番誰よりも残念そうにしていた。

半魚人:衛生士官の腹違いの兄。去年の春、衛生士官の策略により実の弟共と共に半魚人と化す。前職は日本陸軍の兵士であり、無人島の警備任務に就いていた。

スタッフ達:エルフが所属するNGOのスタッフ達。去年までは無人島内で活動をしていたが、現在はアメリカに戻っている。定期的にエルフの元に顔を見せに来て、エルフが必要な補給物資を輸送している。

前科者達:ニート対策基本法に引っ掛かり、無人島に送られてきた若者達。裁判の結果悪質と判断され、無人島にまとめて送られた。

~登場人物5~

警官:やたらとニートやキャピ娘と縁のある20代後半のイケメン警官。後輩の婦警と共に、何度もニートに乱暴されているキャピ娘と遭遇をする。独自の価値観を持ち、ニートの事を毛嫌いしている。

婦警:キャピ娘の事を気に掛けている20代前半の婦警。先輩である警官と共に、よくキャピ娘絡みの事件に遭遇をする。

幼女:平行世界に存在しているもう一人のエルフ。見た目は幼稚園児。向こうの世界では色々とあったみたいだが、「今現在は、母と共に母の実家でのんびりと暮らしている」と、わざわざ別世界にいるエルフに伝えに来た。

管理人:キャピ娘が勤めるキャンプ場の管理人。ニート母とは昔からの知り合いのおばさん。その縁でキャピ娘の過去を知り、キャピ娘を実の両親が経営しているキャンプ場の係員として迎え入れた。

係員達:キャピ娘が勤めるキャンプ場の係員達。男女問わず、キャピ娘の事を可愛がっている。

~極秘施設・隔離実験室~

数日後ーー

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」パチッ

ニート「……」シャキン

スッ、ムクッ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

ニート「ここ、どこだ?……」

ニート「俺は、あの後どうなったんだ?……」

ニート「くそっ、何も思い出せねぇ……」

ニート「本当に、何でこうなっちまったんだか……」

スッ、ムクッ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

「あら、もう起きたのですか?」

「本当に、貴方は良いご身分ですね」

ニート「!?」ビクッ

「ここで、貴方には実験台となって貰います」

「あの時、貴方も彼らと共に死んでいたら、こんな事にはならずに済んだのに」

ニート「……」ギリッ

ニート「お前、もしかしてキャピ娘か?……」

ニート「最初から、こうなるって分かってたのか?……」

ニート「一体、お前はどこにいる?……」

ニート「それより、何なんだ? この何もない真っ白い空間は?……」

「さぁ、一体何でしょうね?」

スッ、シュン……

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

ニート「……」キョロキョロ

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

ニート「……」ハッ

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

ニート「……ソリットビジョンだと!?」

キャピ娘?「お久し振りです。ニートさん」ニヤニヤ

キャピ娘?「例の無人島生活はどうでしたか?」ニヤニヤ

キャピ娘?「その様子だと、色々とお楽しみだった様ですね」ニヤニヤ

キャピ娘?「今あそこで生き残っているのは、貴方一人だけなんですから……」ニヤニヤ

ニート「……」ギリッ

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

キャピ娘?「それで、貴方はどうしたいです?」ニヤニヤ

キャピ娘?「ここから、早く出たいですか?」ニヤニヤ

キャピ娘?「ですが、貴方は一生ここから出る事が出来ません!」ニヤニヤ

キャピ娘?「今の貴方は、とある特殊な細菌に感染をしています!」ニヤニヤ

キャピ娘?「ですから、ここを出るのは一生不可能!」ニヤニヤ

キャピ娘?「たとえ、ここで死んでも、今の貴方はここから出る事が出来ないのですよ!」ニヤニヤ

ニート「お前、何が目的だ?……」

ニート「こんなの、本当に許されると思っているのか?……」

ニート「普通、こんなの絶対に許されないだろ?……」

ニート「本当に、何で俺ばっかりがこんな目に遭っているんだ?……」

キャピ娘?「さぁ、何ででしょうね」ニヤニヤ

ニート「……」ブチッ

スッ、スカッ……

スカッ、スカッ……

ニート「このっ、このっ!」ブンブン

キャピ娘?「うふふっ……」ニヤニヤ

ニート「このっ、このっ!」ブンブン

キャピ娘?「うふふっ……」ニヤニヤ

「ニート君、もうその辺にしたまえ!」

「その子の言う通り、君は一生ここから出る事が出来ないのだからな!」

ニート「!?」ピタッ

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

「そうだ。それで良い!」

「君も少しは冷静になりたまえ!」

ニート「あんた、一体何者だ?」

ニート「この俺の事をどうするつもりなんだ?」

「君には、ここで実験台となって貰う!」

「我々には、今の君が必要だ!」

「だから、君をここに連れてきたのだ!」

ニート「!?」

ニート「じゃあ何か、俺は本当にここから出れねぇのか?」

「だから、何度もそう言っている」

ニート「一体、何で俺なんだよ!?」

ニート「つうか、こんな事するなら他の奴にしろよ!?」

「……もう既に、それについては説明した」

キャピ娘?「……」ニヤニヤ

キャピ娘?「ニートさん。もう足掻くのは止めたらどうですか?」ニヤニヤ

キャピ娘?「いくら貴方がそう足掻いたって、この状況を変える事は出来ないのですから」ニヤニヤ

ニート「煩い!」イラッ

キャピ娘?「あんた、本当に人の話を聞かないのねぇ……」ニヤニヤ

キャピ娘?「そんなんだから、親にすら捨てられるのよ……」ニヤニヤ

ニート「煩い!」イライラッ

「では、早速ながらも始めるとしようか」

「今の君の体は、どんな風に変異しているのかね?」

ニート「え?」

キャピ娘?「まだ、彼の体は半魚人化してません」

キャピ娘?「感染してから変異するまで、まだまだ時間が掛かる様ですね」

「うむ。そうか」

ニート「じゃあ、早く今の内にワクチンとかを打てよ!」

ニート「確か、抗ウイルス剤があるんだろ?」

「何故、その事を知っている?」

ニート「俺は、例の無人島でその事を知った!」

ニート「だから、早く抗ウイルス剤を打て!」

「それは出来ん!」

ニート「は? 出来ないだと?」

ニート「このまま、俺に半魚人になれと言うのか?」

「だから、何度もそう言っている!」

ニート「俺は、ここで半魚人なんかにはなりたくない!」

ニート「早く、俺をここから出してくれ!」

「くどい!」

キャピ娘?「あの、ここは私に任せては貰えませんか?」

キャピ娘?「彼、まだ冷静な対応等が出来ないみたいですから!」

「うむ、構わんが」

キャピ娘?「ニートさん。少し、休憩にしましょうか?」

キャピ娘?「今のニートさんも、少し頭を冷やさないといけませんし」

ニート「何!?」

スッ、ズド----ン!

ニート「!?」ビクッ

段ボール×2「……」

ニート「……」

ニート「……」クルッ

段ボール×2「……」

キャピ娘?「それ、あげますから、少し頭を冷やして下さい」

キャピ娘?「そこに、沢山の水と食料が入っています」

キャピ娘?「では、また会いましょうね。ニートさん」ニヤリ

キャピ娘?「少しは、ご自分の定めについてを受け入れて下さいね!」ニヤニヤ

キャピ娘?「それじゃあ……」ニヤニヤ

シュン、プツン……

ニート「……」

ニート「……」

段ボール×2「……」

ニート「……」

ニート「はぁ……」

段ボール×2「……」

ニート「これ、もう無理なのかな?……」

ニート「明らかに、あいつが殺しにきたし……」

ニート「本当に、何でこうなったんだよ?……」ウルッ

ニート「俺は、ただのんびりと自宅で暮らしたかっただけなのになぁ……」ウルウルッ

ニート「はぁ……」ガクッ

段ボール×2「……」

数十分後ーー

スッ、ジーーーーッ……

スッ、パカッ、パカッ……

パカッ、パカッ、パカッ……

スッ、スッ……

ニート「……」

スッ、プシュッ……

キュルキュル、キュルキュル……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ニート「ふぅ……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ニート「ふぅ……」

スッ、ビリッ……

ビリビリッ、ビリビリッ……

スッ、グチャ……

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

ニート「……」

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

ニート(ここ、本当にどこなんだろうな?)

ニート(あのエルフ、何考えてんだか?)

ニート(皆、ここで実験台にされているのか?)

ニート(俺の服も、気がついたら全部脱がされていたからな)

スッ、ポリポリポリッ……

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

ニート(ああ、さすがにフードバーだけではきついな……)

ニート(1.5Lの水が12本にフードバー8本入りが20袋……)

ニート(俺、もう半魚人化してるのか?……)

ニート(と言うか、久しぶりの食事がフードバーって言うのも嫌なもんだな……)

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

ニート(実際、何故か今の俺は恥ずかしくない)

ニート(こうやって、全裸のままでいても恥ずかしくない)

ニート(確か、獣人は裸に対する羞恥心がないんだったな?)

ニート(その定義で行くと、今の俺もいずれは半魚人化すると言う訳か)

スッ、ビリビリッ……

ビリビリッ、ビリビリッ……

「あらっ、ようやく貴方は食事を始めたのね」

「てっきり、そのまま餓死するかと思ってたわ」

ニート「!?」ビクッ

「ああ、驚かしてごめんなさいね」

「私、あの子と違ってまだ遥かにマシな方だから」

スッ、シュン……

マンボウ「……」

ニート「……」

マンボウ「……」

ニート「……」

マンボウ「うふっ♪」

ニート「……」ビクッ

ニート「……お前、一体何者だ?」

ニート「まさか、新しい監視なのか?」

マンボウ「ええ、そうよ」

ニート「ああ、なんか嫌な気分だな……」

ニート「お前見てると、なんか無性に殴りたくなる……」

マンボウ「え~~~~っ!?」ガーーン

マンボウ「貴方、私の事を殴りたいの?」

マンボウ「私、ただのお魚なのに」

マンボウ「本当に、男ってイヤ~~ネ」

マンボウ「結局、暴力でしか訴えれなくて」

ニート「は?」スッ、ブン

ヒュン、バシャ……

マンボウ「もう、そんな物投げないでよ」

マンボウ「と言うか、私も立体映像なのよ」

マンボウ「普段、私は海の中にいるわ」

マンボウ「そこで、ゆったりと海の中を泳いでてね」

マンボウ「何も考えずに、ただただ海を泳いでいれば良い訳」

ニート「……」イラッ

マンボウ「だから、貴方もここでのんびりしてて」

マンボウ「例の特殊な細菌に感染したら、一週間で変異するから」

マンボウ「貴方もいずれ半魚人になる」

マンボウ「例の半魚人の死体は、ここの研究者達が今解剖してるわ」

マンボウ「貴方も死んだら、いずれ彼らによってここで解剖をされちゃう訳」

ニート「!?」ガーーン

マンボウ「それで、何か質問とかある?」

マンボウ「この際だから、何でも質問をして良いわよ」

マンボウ「ちなみに、ここを出るのは完全に不可能」

マンボウ「ここは、どこかの国の地下にある極秘施設」

マンボウ「だから、貴方はもう一生ここから出る事は出来ないわ」

マンボウ「所詮、世間からその存在を消された人間の迎える末路なんて、こんなものでしょ?」

マンボウ「それで、質問は?」

マンボウ「もし質問がないんなら、私はもう帰るわよ」

ニート「……」

マンボウ「どうやら、質問はないみたいね」

マンボウ「それじゃあ、私はこれでさようなら♪」

シュン、プツン……

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

ニート「……」

スッ、ブシュッ……

キュルキュル、キュルキュル……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

ニート「ふぅ……」

スッ、ストッ……

ニート(くそっ、本当にもう無理なのか?……)

ニート(俺は、ここで半魚人にされるのか?……)

ニート(ああ、本当に恨めしい……)

ニート(自分自身の無力さだけでなく、自分自身の頭の悪さまでもが恨めしい……)

スッ、ポリポリポリッ……

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

ニート(ああ、今頃あいつはどうしてるのかな?……)

ニート(あいつ、俺の代わりに本来生まれるはずだった姉の代わりでも果たしてるのか?……)

ニート(結局、今の俺には何も出来ない……)

ニート(本当に、俺って運がねぇなぁ……)

スッ、ポリポリポリッ……

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

感染8日目ーー

ニート「……」イライラ

ニート「……」イライラ

ニート「……」イライラ

シュン、スタッ……

マンボウ「どうしたの?」

ニート「なぁ、マンボウ……」イライラ

ニート「何で、この箱の中には魚が入ってないんだよ……」イライラ

ニート「いい加減、水とフードバーは飽きたんだよ……」イライラ

ニート「俺、今すぐ魚が食いたい……」イライラ

ニート「魚が食いたい、魚が食いたい……」イライラ

マンボウ「……あらあら」

マンボウ「じゃあ、今から投下して貰うわ」

マンボウ「と言っても、それは缶詰とかになるんだけど、それでも構わない?」

ニート「ああ、構わない……」イライラ

マンボウ「研究主任、彼に魚を与えて下さい」

マンボウ「彼、無性に魚が食べたいらしいですから」

「ああ、了解した」

スッ、ドシーーーーン!

ニート「!?」ビクッ

段ボール箱「……」

マンボウ「投下完了」

「そこに、君が希望した魚が入っている」

「さぁ、遠慮なくそれを食べたまえ」

スッ、ムクッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、スタッ……

スッ、ジーーーーッ……

スッ、パカッ、パカッ……

ニート「ん? 鯖の味噌煮?」

ニート「ここでは、意外に和食が出るんだな」

マンボウ「ええ、まあね」

ニート「けど、せめて食器類とかも投下してほしかったな」

ニート「この間、ポータブルトイレを設置して貰ったけど、今は食器類もほしい」

マンボウ「ええ、ちょっと待ってね」

「む? 食器か……」

「今の君には、まだ人間としての習性があるみたいだな」

「良いだろう。食器を今から投下する」

「マンボウ、彼に食器を与えてやれ」

マンボウ「はっ!」

スッ、ドシーーン!

ニート「おっ、何かまた段ボール箱が落ちてきた……」

ニート「と言うか、そんなに物を落としてて大丈夫なのか?……」

マンボウ「ええ、大丈夫よ」

マンボウ「ここは、衝撃にさえも強くしてあるから」

ニート「へぇ、そうなのか」

スッ、ムクッ……

マンボウ「ちなみに、今投下した段ボール箱の中は全て使い捨て」

マンボウ「そこに、カップ、先割れスプーン、丼、お皿、割り箸が100個ずつ入っているわ」

ニート「おおっ、そうなのか」

マンボウ「後、鯖の味噌煮は50パックしか入ってないから、すぐに食べきらないでね」

マンボウ「貴方が、ついさっき投下した鯖の味噌煮を全部食べきってしまったら、また当分はフードバー」

マンボウ「いくら貴方が泣こうが喚こうが、また再びフードバー生活になってしまうわ」

ニート「ああ、了解した」

ニート「これについては、ちゃんと考えて食う」

ニート「だから、お前も俺の事を信じろ」

ニート「今の俺は、まだ人間なんだからな」

マンボウ「ええ、了解したわ」

シュン、ブチッ……

ニート「さてっ、鯖の味噌煮を頂きますか」

ニート「今の俺は、まだ人間みたいだし」

ニート「でも、何で急に魚が食いたくなったんだろうな?」

ニート「やっぱ、フードバー生活が長かった所為かな?」

ニート「あはははははっ……」

ニート「あはははははははっ……」

感染15日目ーー

ニート「……」シクシク

ニート「……」シクシク

ニート「……」シクシク

シュン、スタッ……

マンボウ「どうしたの?」

ニート「なぁ、マンボウ……」シクシク

ニート「俺の股間が、かなりおかしいんだけど……」シクシク

ニート「俺の股間、こんな鱗みたいの付いてたかな?……」シクシク

ニート「これ、明らかに半魚化してきてるよな?……」シクシク

マンボウ「……ええ、そうね」

ニート「……」シクシク

ニート「じゃあ、俺はもう半魚人化してきてるのか?……」シクシク

ニート「これ、今からワクチンとか打っても間に合うかな?……」シクシク

マンボウ「もう手遅れよ」

ニート「!?」ガーーン

マンボウ「人間が半魚人化する場合は、まずは生殖器から」

マンボウ「何故かって言うと、半魚人化する前にS〇Xさえしてれば不特定多数に感染させる事が出来るからよ」

ニート「じゃあ、何で俺は感染したんだ?……」シクシク

ニート「俺、S〇Xなんて一度もした事がないんだけど……」シクシク

マンボウ「え?」

「君の場合は、他の感染ルートが考えられる」

「あくまで、S〇Xは不特定多数に感染させる為の手段の一つなのだ」

マンボウ「だそうよ」

ニート「ああ、そうなのか……」シクシク

ニート「と言う事は、やっぱあの半魚人の所為なのか……」シクシク

ニート「俺、よくあの半魚人の近くにいたわ……」シクシク

ニート「あの半魚人がくれた食料、普通に皆で食っちまってたわ……」シクシク

マンボウ「ああ……」

「それは、お気の毒に」

マンボウ「主任、彼の変異自体はまだ初期の段階です」

マンボウ「今現在の彼の血液サンプル等、また採取しときますか?」

「ああ、そうだな」

ニート「……」シクシク

マンボウ「では、早速採取の方を」

マンボウ「出来れば、彼がまだ精神的にも安定してる内に採取しといた方が良さそうですからね」

シュン、プシューーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュン、プシューーーーッ……

マンボウ「あら?」

ニート「……」シクシク

シュン、プシューーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ、ピタピタピタッ……

シュン、プシューーーーッ……

研究者達「……」

マンボウ「意外に、お早いご到着ですね」

マンボウ「まさか、扉の前でずっと待機されていたとか?」

研究主任「ああ、そうだ」

研究主任「ニート君。こうして君に会うのは初めてだね」

研究主任「私の名はXXXXXX」

研究主任「主に、ここで生物兵器の使用や防護に関する研究をしている」

研究主任「君は、今の我々にとってはとても貴重な存在なのだ!」

研究主任「どうか、君も我々の研究に協力をしてくれたまえ!」

研究主任「研究が進めば、君を元の人間に戻す事も可能だ!」

研究主任「君のおかげで、全世界にいる70億の人間達が半魚人にならずに済む!」

研究主任「だから、君も我々の研究に協力をしてくれたまえ!」

研究主任「今の君自身は、今の我々にとっては唯一の希望なのだよ!」

ニート「じゃあ、早く俺を人間に戻してくれ……」シクシク

ニート「あんた、その為に俺をここに連れてきたんだろ?……」シクシク

研究主任「ああ、その通りだ」

ニート「はぁ、これで俺も人間に戻れる……」シクシク

ニート「あんたらの研究とやらに協力をするから、早く俺を人間に戻してくれ……」シクシク

研究主任「ああ、了解した」ニヤリ

感染22日目ーー

ニート?「……」

ニート?「……」

ニート?「……」

シュン、スタッ……

マンボウ「あらあら……」

マンボウ「ねぇ、貴方。私の言葉は分かる?」

マンボウ「まだ、人間の知能は残ってる?」

ニート?「ああ、まあな……」

マンボウ「今の貴方、見ててかなり痛々しいわ」

マンボウ「もう既に下半身が、半魚人化してきてるわよ」

ニート?「ああ、そうなのか……」

ニート?「なぁ、マンボウ。坑ウイルス剤は?……」

ニート?「坑ウイルス剤は、まだ完成しないのか?……」

マンボウ「ええ、まだよ」

ニート?「じゃあ、坑ウイルス剤はいつ出来るんだよ?……」

ニート?「今の俺、ますます身体が半魚人化してきてるんだが……」

マンボウ「ええ、そうね……」

「ん? もうここまで来てるのか?」

「君の身体の半分は、もう既に半魚人化してしまっているな!」

ニート?「!?」ガーーン

マンボウ「主任。なんとかしてあげれないのですか?」

マンボウ「彼、もう二度と戻れないのですか?」

「いや、戻れるよ」

ニート?「じゃあ、早く元に戻してくれ……」

ニート?「あんた、俺の事を元の姿に戻してくれるんだろ?……」

「ああ、今それに関する薬品等を開発中だ!」

「少し時間が掛かるが、いずれ君にも投与させて貰う!」

マンボウ「ちなみに、それはいつ出来るんです?」

マンボウ「彼、かなり待ちわびていますよ」

「大体、新薬の開発は10年から20年だ」

「費用面を見ても、数十億から数百億が掛かる」

ニート「!?」ガーーン

「だから、君はまだ辛抱してくれ!」

「必ず、我々の手で君を人間に戻してみせる!」

ニート「……ああ、頼むぞ」ガクッ

マンボウ「主任、それまで彼はどうするんです?」

マンボウ「このまま、ここに収容しておくのですか?」

「ああ、そうだ」

ニート?「じゃあ、俺はここに当分お世話になるのか……」

ニート?「それまでは、俺は生きているのかな?……」

「ああ、大丈夫だ!」

マンボウ「ちなみに、半魚人になってから10年以上も生きている人もいるのよ」

マンボウ「その人、今は日本のとある研究機関にいるわ」

ニート?「!?」

「我々としては、彼をここに連れてきたかった!」

「だが、それが叶わず、君をここに連れてきたのだ!」

ニート?「……」

「だから、君も安心したまえ!」

「彼の協力により、日本側が坑ウイルス剤を完成させた!」

「次は、半魚人化した人間を元に戻す為の新薬の開発をしている!」

「君にも、いずれ非臨床試験に協力をして貰う事になる!」

「一からやれば、かなり時間も予算も膨大な物になるが、日本側との協力を取り付けたから君も安心したまえ!」

ニート?「ああ、了解した……」

「では、本日の尿や便等を回収させて貰おうか」

「この後すぐ、私の部下が君の元に行く」

「ニート君、もう暫く君には辛抱をして貰う!」

「決して、君は希望を捨てるな!」

「君が諦めたその時点で、人間としての君自身は完全に消えてなくなるのだからな!」

ニート?「ああ、了解した……」

感染29日目ーー

半魚人?T号「……」

半魚人?T号「……」

半魚人?T号「……」

シュン、スタッ……

マンボウ「あらあら……」

マンボウ「ねぇ、貴方。私の言葉は分かる?」

マンボウ「まだ、人間の知能は残ってるのかしら?」

半魚人1号「ああ、まあな……」

マンボウ「今の貴方、もうすっかり半魚人ね」

マンボウ「これから、貴方は『半魚人1号』と呼ばれるわ」

半魚人1号「ああ、そうなのか……」

「おはよう、半魚人1号君。ご機嫌は如何かな?」

「君に、今日はとても嬉しい知らせがある」

「日本側から、“君を元の人間に戻す為の薬の試作品”が届いた」

「早速、君に投与させてくれたまえ!」

半魚人1号「!?」

マンボウ「あら、良かったわね」

「ん? どうかしたかね?」

「今の君の様子では、あまり読み取り辛いのだが」

半魚人1号「ああ、何も問題はない……」

半魚人1号「やっと、今の俺からしてみたら、強い希望を持てるニュースが届いたからな……」

「ああ、そうなのか」

マンボウ「……」

半魚人1号「それで、その試作品は?……」

半魚人1号「今から、俺に投与するんだよな?……」

「ああ、その通りだ」

半魚人1号「じゃあ、他の奴には試したのか?」

半魚人1号「確か、俺の他にも半魚人化した奴がいたんだよな?」

「ああ、その通りだよ」

マンボウ「その試作品については、今から主任の部下が貴方に投与するわ」

マンボウ「貴方は、そこで大人しく待機しといて」

半魚人1号「ああ、了解した」

マンボウ「これが成功すれば、貴方は確実に人間に戻れる」

マンボウ「貴方一人だけでなく、世界中で苦しむ全ての人間達がね」

半魚人1号「……」ドキドキッ

シュン、プシューーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュン、プシューーーーッ……

マンボウ「……」

半魚人1号「……」ドキドキッ

シュン、プシューーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ、ピタピタピタッ……

シュン、プシューーーーッ……

研究者達「……」

「では、早速投与を開始してくれ」

「半魚人1号君は、そこで大人しくしておく様に」

半魚人1号「はい」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ、ピタピタピタッ……

研究者「君、右腕を出してくれるないか?」

研究者「今から、この注射を君に打つから」

半魚人1号「あっ、はい……」スッ

研究者「うむ。完全に今の君は半魚人化しているね」

研究者「だが心配はいらないよ。今の我々には、この試作品があるのだからね」スッ

半魚人1号「ああ、そうなんですか……」

スッ、パカッ、パカッ……

スッ、カシャ、カシャ……

カシャ、カシャ、シャキン……

半魚人1号「……」ビクッ

研究者「なぁに、心配はいらない」

研究者「痛いのは、一瞬だけだからね」ニコッ

半魚人1号(なんか、バイ〇ハザードみたいになってきたな……)

半魚人1号(元々、今の俺自身がまるでバイ〇ハザードみたいになっちまってるが……)

半魚人1号(ふぅ、これで俺も人間に戻れる……)

半魚人1号(ここに来て、早三週間ちょっと……)

半魚人1号(結構、長く感じたな……)

研究者「では行くよ」

スッ、ブスッ……

半魚人1号「!?」ビクン

研究者「はい。動かないで!」

半魚人1号「……」

スッ、チューーーーッ……

チューーーーッ、チューーーーッ……

スッ、カチャ……

スッ、ヌポッ……

研究者「はい。これで終了だよ」

研究者「後は、君の身体の様子を見たいから、まだ暫くの間はここにいといてね」

半魚人1号「はい。分かりました」

「うむ。終了した様だな」

「では、君達はもう戻ってくれ!」

「早速、次の研究に役立てたい!」

「半魚人1号君。お疲れ様!」

「君が無事に元の姿に戻れたら、君の事をここから出してあげよう!」

「これについては、私の方で政府の方に掛け合っているのだからな!」

「だから、君もまだ暫くの間は我々の研究に付き合って貰うよ!」

半魚人1号「ああ、了解した……」

半魚人1号「これが、ちゃんと効けばの話だけどな……」

半魚人1号「ああ、なんか急に目眩がしてきた……」

半魚人1号「おまけに、身体もフラフラだ……」

マンボウ「え?」

スッ、ストン……

マンボウ「ちょっと、少し休んだら?」

マンボウ「多分、薬の効果でそうなってるんでしょう」

マンボウ「だから、今日はもう休みなさい」

マンボウ「次に貴方が目を醒ました時には、必ず元の姿に戻れてるからね」

半魚人1号「ああ、了解した……」

スッ、バタッ……

半魚人1号「なぁ、マンボウ……」

半魚人1号「ちゃんと俺、明日戻れてるかな?……」

半魚人1号「もし仮に、それが無理だったら別のを試してくれ……」

半魚人1号「もうこれ以上、こんな姿で暮らすのだけはもう嫌だ……」

半魚人1号「一生、こんな化け物になりながら余生を過ごすなんて、絶対に嫌だからな……」ガクッ

マンボウ「ええ、了解したわ……」

半魚人1号「ZZZZZZ……、ZZZZZZ……」

半魚人1号「ZZZZZZ……、ZZZZZZ……」

半魚人1号「ZZZZZZ……、ZZZZZZ……」

半魚人1号「ZZZZZZ……、ZZZZZZ……」

マンボウ「あらあら、本当に良く眠ってるわね……」

マンボウ「今さっきの試作品、本当に効くかどうかまだ分からないのに」

マンボウ「主任。半魚人1号が眠りにつきました」

マンボウ「引き続き、私は監視任務を続行致します」

「うむ。ご苦労」

マンボウ「半魚人1号、お休みなさい」

マンボウ「次に貴方が目を覚ます時には、完全に貴方の中から過去の記憶が全て無くなっている頃だけどね」

シュン、ブチッ……

~登場人物6~

研究主任:極秘施設に勤務するベテラン研究者。主に、生物兵器の使用や防護に関する研究等を行っている。ニートに直接会う時には部下と共に防護服を着用し、それ以外では別室からスピーカーを通してニートに呼び掛けている。

研究者達:極秘施設に勤務する研究者達。研究主任の下、半魚人化したニートの事を利用している。ニートが収容されてからは、主にニートの血液サンプル等の回収を行い、場合によってはニートが必要としている日用品等を運び入れている。

マンボウ:極秘施設に収容されたニートを監視している最新の人工知能。立体映像を出し、ニートに接触をしている。

半魚人1号:半魚人化したニートの姿。魚類と人間の中間的な身体の特徴を持っている。見た目は頭部が魚、全身が鱗に覆われていて、手足にヒレや水掻き等がある。まだ人間としての知能等は残っていて、普通に誰かとの意思疏通が出来ている。

支援ありがとうございます。

~キャピ娘用品店・駐車場~

キャピ娘B「最近、僕達の仲間がまた増えてきてるね」

キャピ娘B「僕の近所にも何人かのキャピ娘が納車されてきたんだよ」

キャピ娘(車)「へぇ~っ、そうなんだ」

キャピ娘B「でも、僕はちょっと心配かな」

キャピ娘B「あの子達も、昔の僕達の様な目に遭っていなかったら良いんだけど」

キャピ娘C「それ言ったら、元も子もないでしょ?」

キャピ娘C「これ、中に入れれば良いんだよね?」

キャピ娘(車)「ええ、そうよ」

キャピ娘B「近頃は、僕達の事を性的な目で見る人が増えてきてる」

キャピ娘B「皆、必ず一度は犯されてるからね……」

キャピ娘B「僕の近所にいる仲間達も、もう既にそんな風になっちゃってるのかな?……」

キャピ娘(車)「キャピ娘B、心配しすぎよ」

キャピ娘(車)「貴女も、早く積んでくれる?」

キャピ娘B「でも……」

キャピ娘(車)「キャピ娘B、大丈夫だから」

キャピ娘(車)「私達は最初から子供なんか作れないし、キャピ娘に性的暴行等をした場合にはすぐさま警察に逮捕される仕組みなんだからね」

キャピ娘B「……うん。そうだね」

キャピ娘C「キャピ娘。この段ボールの山、かなり多くない?」

キャピ娘C「こんなに非常食積んで、一体何するつもりの?」

キャピ娘(車)「ああ、それは私の職場で使う奴よ」

キャピ娘(車)「今の私の職場、ニートに対する社会復帰事業に参加してるから」

キャピ娘C「へぇ~~っ……」

キャピ娘B「何か、意外だね……」

キャピ娘(車)「まぁ、それについては仕方ないのよ」

キャピ娘(車)「私の職場、昨年から経営が傾いてきてたから」

キャピ娘C「ああ、そうなんだ……」



キャピ娘(車)「だから、国から多額の補助金とかも貰えるから、ニートを受け入れているのよ」

キャピ娘(車)「それで、ニートを更生させて社会復帰させる」

キャピ娘(車)「そうすれば、人手不足とかも解消されるみたいだからね」

キャピ娘B「ふぅん。そうなんだ……」

キャピ娘B「それで、最近はやけにニートの数が減ってんだ……」

キャピ娘B「けど、それはニートにとっては一時的な時間稼ぎでしかない?……」

キャピ娘「僕、その事についてがかなり不安なんだけど……」

キャピ娘C「ええ、そうね」

キャピ娘(車)「……」

「あら、皆珍しい所で会うのね」

「今日は、皆で買い物でもしてるのかしら?」

キャピ娘達「え?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ「……」ニッコリ

キャピ娘(車)「あっ、貴女はこの間の……」

キャピ娘(車)「確か、例の無人島の管理人さんでしたよね?……」

エルフ「ええ、そうよ」ニコニコ

エルフ「今日は、偶々仕事がお休みでね」ニコニコ

エルフ「だから、手頃なキャピ娘がいないか探しに来たの」ニコニコ

キャピ娘(車)「へぇ、そうなんですか……」

キャピ娘C「ああ、それでしたら隣の方が宜しいですよ」

キャピ娘C「隣の方が、買い手を待つキャピ娘が待機してますし」

エルフ「ええ、もう既に行ってきたわ」ニコニコ

エルフ「けど、私の好みの娘がなかなかいなくてね」ニコニコ

エルフ「気がついた時には、全てのキャピ娘達からお断りされてしまっている……」シュン

エルフ「一体、どこをどうしたらキャピ娘の方からお断りされてしまうのかしらね?……」ガクッ

キャピ娘(車)「ああ、それはお気の毒に……」

キャピ娘(車)「エルフさん。何で私達の仲間に拒否されてるんですか?……」

キャピ娘B「うん。そうだね……」

キャピ娘C「まさか、私達の仲間に体でも要求したとか?……」

キャピ娘C「もしそうだとしたら、誰だって拒否したりしますよ……」

キャピ娘(車)「ええ、そうね……」

エルフ「いや、そんな事してないから……」

エルフ「私、ちょっとあの子達の事を抱き締めて、あの子達の体の感触とかを確かめてただけだから……」ウルッ

キャピ娘達「え?」

エルフ「だから、私は拒否されたの?……」ウルウルッ

エルフ「海外では、自然とハグするのが当たり前なのに……」ウルウルッ

キャピ娘達「……」

キャピ娘(車)「……それで、もう終わったんですか?」

キャピ娘(車)「と言うか、あそこで待っている子はエルフさんのお知り合いですか?」

エルフ「……え?」クルッ

キャピ娘D「……」ズーーン

エルフ「ちょっと、何でそんな離れた距離にいるのよ?」

エルフ「貴女、私のキャピ娘でしょ!?」

トボトボトボッ、トボトボトボッ……

トボトボトボッ、ピタッ……

キャピ娘D「……」ズーーン

エルフ「あんた、私に何か不満でもあるの?」

エルフ「貴女はもう、私のキャピ娘なんだからね!」

キャピ娘D「……はい。申し訳ありません」ウルッ

キャピ娘(車)「あの、一体何があったんですか?……」

キャピ娘(車)「その子、かなり沈んでますけど……」

エルフ「ああ、この子?」

エルフ「この子は、元々私が持っていたキャンピングカー」

エルフ「ついさっき、仕方ないからこの子をキャピ娘仕様に改造して貰ってね」

エルフ「そしたら、何故かずっとこんな感じになってしまったのよ」

キャピ娘(車)「いや、たったそれだけの事でこんな風にならないでしょ?……」

キャピ娘(車)「一体、どこをどうしたら、そんな風になるんですか?……」

キャピ娘C「ええ、そうですね……」

エルフ「う~~ん。やっぱずっとあの無人島に籠りっ切りになるからかな……」

エルフ「あそこ、よく死人とかもすぐ出ちゃうし」

キャピ娘達「!?」

キャピ娘(車)「いや、それは明らかに待遇が悪いでしょ?……」

キャピ娘(車)「と言うか、貴女一体どこで何してるんですか?……」

エルフ「うん。秘密♪」ニッコリ

キャピ娘達「!?」ビクッ

エルフ「私、仕事上の都合で世界中を飛び回っているの!」ニコニコ

エルフ「まぁ、そう言う事だから、これは仕方ないかなぁ」ニコニコ

キャピ娘(車)「ああ、そうなんですか……」

キャピ娘(車)「そりゃあ、仕方ないですね……」

キャピ娘(車)「ちなみに、エルフさんは何をベースにしたんです?……」

キャピ娘(車)「私、この子を初めて見ましたから……」

キャピ娘C「ええ、そうね……」

キャピ娘D「……」ズーーン

エルフ「とりあえず、ここで会ったのも何かの縁だから、今すぐ抱き締めさせて!」ニッコリ

エルフ「私、今後は貴女三人の事も抱き締めてみたい!」ニコニコ

キャピ娘達「!?」ビクビクッ

エルフ「一応、すぐ終わるから!」ニコニコ

エルフ「私の事、そんなに怖がらなくても良いから!」ニコニコ

キャピ娘達「……」ビクビクッ

キャピ娘D「あの、エルフさん。今日はもうこの辺で……」

キャピ娘D「そう言った事は、全部私が受け入れてあげますから……」ウルッ

エルフ「あら、そうなんだ♪」クルッ

キャピ娘D「ですから、もう今日の所は帰りましょうよ……」ウルウルッ

キャピ娘D「私、もうこれ以上目の前で仲間達が本気で泣き怯える姿なんて、絶対に見たくないですから……」ウルウルッ

キャピ娘達「……」ビクビクッ

エルフ「もう仕方ないわねぇ……」ニコニコ

エルフ「帰ったら、後でたっぷりと抱き締めてあげる……」ニコニコ

エルフ「だから、貴女は絶対に逃げないでよね……」ニコニコ

エルフ「貴女が逃げたら、確実に他の子が犠牲になっちゃうんだから……」ニコニコ

キャピ娘D「はい。エルフさん……」ウルウルッ

キャピ娘達「……」ビクビクッ

エルフ「さてっ、次はここで買い物よ!」

エルフ「あんたも、着替えなしでは過ごしにくいでしょ?」ニッコリ

キャピ娘D「ええ、そうなんですが……」

エルフ「それじゃあ、私達はもうこれで!」ニコニコ

エルフ「次会う時は、ちゃんと私に逃げる事なく抱き締められてね!」ニコニコ

エルフ「それじゃあ!」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

キャピ娘(車)「……」

キャピ娘B「……」

キャピ娘C「……」

キャピ娘D「ううっ、ぐすん……」トボトボッ

キャピ娘(車)「なんか、あの子可哀想ね……」

キャピ娘(車)「あれ、確実に持ち主が原因で苦労しちゃうタイプだわ……」

キャピ娘C「ええ、そうね……」

キャピ娘B「ちょっと、僕見てこようか?」

キャピ娘B「あの持ち主、別の意味で物凄く怖いから」

キャピ娘C「ええ、お願いね……」

キャピ娘C「とりあえず、残りの段ボール箱を全て片付けたら私達も合流よ」

キャピ娘「あの子一人じゃとても不安だし、あの子が何をされるかが全く解らないからね」

キャピ娘(車)「ええ、了解したわ」

キャピ娘B「キャピ娘C。じゃあ、早くしようよ!」

キャピ娘B「あの子、違う意味で物凄く可哀想だからさ!」

キャピ娘C「ええ、了解したわ!」

キャピ娘B「それで、次は何を運ぶの?……」

キャピ娘B「一応、ここに置いてあるリストを確認させて貰っても良い?……」スッ

キャピ娘(車)「ええ、構わないわ……」

キャピ娘C「……」

キャピ娘B「なんか、かなり多いね……」

キャピ娘B「これ、全部ニート何かにあげるんだ……」

キャピ娘(車)「とりあえず、文句言ってないで早く積んで……」

キャピ娘(車)「じゃないと、あのこが何されるかが全く解らないわよ……」

キャピ娘B「……」

キャピ娘(車)「とりあえず、早くそれ全部積んでね……」

キャピ娘(車)「ああ言った子は、誰か一人でも味方がいないとダメなんだから……」

キャピ娘B「うん。分かった……」

~ニート友の自宅前~

ニート友「あんた、また来てたのか?」

ニート友「そんな所で土下座されてても困るんだけど」

プー太郎「……」

ニート友「親父、朝から不機嫌だったのはその所為か」

ニート友「今更、昔騙された男の元に何の用なんだよ?」

ニート友「おいっ、何か言えよ」

ニート友「おかげで、こっちが迷惑してるんだから」

ニート友「あんた、聞く所によるともう30なんだろ?」

ニート友「そんな所で無意味な土下座なんてしてないで、さっさと仕事に行けよ」

プー太郎「……」

近所の奥様方「……」ヒソヒソ

「ニート友、どうかしたのかい?」

「もうヘルパーさんが来たのかい?」

プー太郎「……」ピクッ

ニート友「いや、まだ来てないよ」

ニート友「ちょっと、外にコジキがいたから対処してたとこだ」

「へぇ~っ、そうなのかい……」

プー太郎「婆ちゃん、婆ちゃんに今すぐ会わせてくれ……」

プー太郎「今の俺には、婆ちゃんの力が必要なんだ……」

ニート友「残念だが、それは無理だな!」

ニート友「あれは、あんたの婆ちゃんなんかじゃない!」

ニート友「はっきり言って、ウチの婆ちゃんとあんたは赤の他人なんだ!」

プー太郎「!?」ガーーン

ニート友「だから、あんたもさっさと仕事行けよ!」

ニート友「ほらっ、明らかに近所迷惑だろ?」

ニート友「ああ、また近所の奥様方が集まってきた……」

ニート友「おかげで、またウチの家族が変な目で見られる……」

ニート友「あんたのおかげで、ウチは大いに迷惑してるんだ!」

ニート友「これ以上ウチに来ると、警察呼ぶぞ!」ギロッ

「ニート友、何を騒いでるんだい?」

「まさか、またあの子がここに来たんかい?」

ニート友「ああ、そうだ」

「本当に、あの子は懲りないねぇ……」

「今更、ウチの孫でもない子に付き纏われてもねぇ……」

ニート友「ああ、そうだな……」

プー太郎「婆ちゃん、婆ちゃん!」

プー太郎「頼む、俺と母さんの事を助けてくれ!」

プー太郎「俺の母さん、今病気なんだ!」

プー太郎「母さんの入院費用とか、かなり掛かるんだ!」

ニート友「……」

近所の奥様方「……」ヒソヒソ

プー太郎「頼む、婆ちゃん。助けてくれ!」

プー太郎「今の俺、本当に金がないんだよ!」

プー太郎「このままだと、本当に俺達が危ない!」

プー太郎「母さんが死んだら、俺も首を吊らなきゃいけないんだよ!」

ニート友「……」

近所の奥様方「……」ヒソヒソ

「残念だけど、ウチの孫でもない子にあげるお金はないね!」

「あんた、そうやって私の孫を偽って詐欺でもしてるのかい?」

プー太郎「!?」ガーーン

「プー太郎。私は何度も言うけど、あんたはウチの孫でもない!」

「所詮、あんたは不倫の際に出来た他所の子!」

「今のあんたは、あんたのお母さんが不倫して出来た子供なんだよ!」

プー太郎「でも、法律上は俺は婆ちゃんの孫じゃないか?……」

プー太郎「俺が幼稚園を卒業するまでは、あんだけ可愛がってくれたのに……」

「あれは、あんたが私達の孫だと信じてからよ!」

「けど、最近出来たDNA鑑定とか言う物で完全にそれが覆されたわ!」

プー太郎「!?」

ニート友「ああ……」

「だから、あんたはもうウチの孫じゃない!」

「ニート友。早く、その子をどこかにやって!」

「本当に、あのアバズレの血は争えないわねぇ!」

「今更のこのこと、親子揃って何度も何度もお金を集りに来ちゃうんだから!」

ニート友「ああ、そうだな……」

ニート友「本当に、いい迷惑だよ……」ガクッ

ニート友「とりあえず、あんたもさっさと仕事行け」

ニート友「そんで、自分の母親の入院費用くらい、自分で稼げ」

プー太郎「……」

ニート友「あんた、本当に邪魔なんだよ!」

ニート友「ほらっ、さっさとここから仕事行けよ!」

プー太郎「……」

「プー太郎。早くさっさと行きなさい!」

「あんたのおかげで、私も外に出歩けやしないわ!」

「ニート友、早く警察を呼んで!」

「これは、今流行りの何とか詐欺よ!」

「私のお金が、今そこにいるコジキなんかにむしり取られる!」

「だから、早く警察を呼んで!」

ニート友「ああ、分かった。今から呼ぶよ」

ニート友「だから、婆ちゃんは絶対に外に出てくるなよ」スッ

プー太郎「……」ハッ

ニート友「ええっと、警察は110番だったな……」スッ、スッ

ニート友「さて、今から電話するか」スッ、スッ

近所の奥様方「……」ヒソヒソ

スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ニート友(おっ、あいつ逃げた逃げた……)チラッ

ニート友(まぁ、一応は警察に電話しとくか……)

ツツツツ、ツツツツ……

~無人島・簡易ヘリポート~

不良達「……」ビクビクッ

ストーカー達「……」ビクビクッ

勘違い男達「……」ビクビクッ

レイプ魔達「……」ビクビクッ

巨大猫「……」ジーーッ

引き籠り女達「……」ビクビクッ

手癖の悪い女達「……」ビクビクッ

ストーカー女達「……」ビクビクッ

キチガイ女達「……」ビクビクッ

DV男達「……」ビクビクッ

兵士達「……」ジーーッ

陸軍士官「はぁ、何でまた俺達はこの島にいるんだろうな?……」

陸軍士官「ついこの間、この島を出たばかりだと言うのに……」

機長「さぁ、何でだろうな?」

陸軍士官「おまけに、今日はあの管理人は休みだと?」

陸軍士官「と言うか、こいつらの面倒は一体誰が見るんだよ?」

機長「さぁ、俺に言われても何も解らんな」

上級下士官「小隊長。良いんですか?」

上級下士官「ずっと、あいつらあそこで待機させたままですが」

陸軍士官「ああ、別に構わんさ」

機長「どの道、あの管理人がいねぇんだから仕方ねぇだろ」

機長「あそこにいる巨大猫曰く、今日は元々は休みを取ってたみたいなんだからな」

陸軍士官「ああ、そうだな」

陸軍士官「けど、お前は上手い事昇進したよな?」

陸軍士官「俺と同期だった癖に、航空科に転属したら俺より上になっちまったんだから」

陸軍士官「俺なんて、つい最近になってようやく小隊長だぜ」

陸軍士官「軍隊生活35年、もうすぐ俺達も退役か」

機長「ああ、そうだな」

機長「思えば軍を退役した後の事なんて、全く考えてねぇよ」

機長「そう言えば、例の女士官を殴った連中はどうなったんだ?」

機長「あの女士官、気がついたら元の勤務先の病院に戻ってるみたいなんだが」

陸軍士官「……」

機長「まさか、もう既にあの娘さんによって半魚人にでもされちまったか?」

機長「なんとなく今のお前の顔を見てたら、そんな顔をしてしまってるぞ」

陸軍士官「ああ、実はそうなんだ……」

上級下士官「小隊長。あまりその話を例の猫の近くでするのはどうかと……」

上級下士官「あの巨大猫は、あの管理人のペットです」

上級下士官「下手したら、我々まで半魚人にされてしまいますよ」

陸軍士官「ああ、すまんすまん」

機長「出来れば、そんな風にだけはなりたくないねぇ」

陸軍士官「うむ。同感だな」

陸軍士官「とりあえず、お前らもう帰って良いぞ」

陸軍士官「どの道、明日もまた何人か連れてくんだろ?」

機長「ああ、まあな」

陸軍士官「基地に戻ったら、管理人呼び出してサインして貰え」

陸軍士官「あの管理人の事だから、どうせ基地近くのデカイ車屋にでも行ってると思うしな」

機長「ああ、了解した」

ツーツー、ツーツー……

スッ、カチッ……

機長「ん? 何だ?」

無線「機長。本部からの通信です!」

無線「エルフさんからの強い要望で、第二陣の輸送が急遽決まった!」

無線「至急、XX航空基地にまで帰還せよとの事です!」

機長「ああ、了解した」

機長「本当に、あのクソ女は……」

機長「どうせ第二陣って言っても、あの女の新しく買った車だろ?」

機長「もしくは、別に人や荷物でも運ぶ必要が出来ちまったのか?」

無線「ええ、多分その様です」

陸軍士官「ん? どうかしたのか?」

機長「はぁ、とりあえず俺らは基地に戻るわ」

機長「あのクソ女が、俺達の事を図々しくも足にしやがったから」

陸軍士官「ああ、そうか……」

機長「……副操縦士、離陸準備」

機長「今から、俺達は基地に戻るぞ」

通信「はっ!」

スッ、ムクッ……

スッ、ポトッ……

スッ、スッ……

機長「小隊長、後で煙草返すわ」

機長「基地に戻ったら、購買でカートン買って返してやるからよ」

陸軍士官「ああ、了解した」

上級下士官「じゃあ、俺の分もお願いします」

上級下士官「お代は、後日払いますんで」

機長「ああ、了解した」

陸軍士官「気を付けていけよ」

機長「ああ、お前達もな」

クルッ、スタスタスタッ……

陸軍士官「さてっ、俺達も作業に戻るか」

陸軍士官「と言うか、いつのまにか長い休憩になっちまってたな」

陸軍士官「後で、あの管理人には嫌でも顔を会わす事になるんだし」

陸軍士官「あの巨大猫には、適当にマグロの刺身でもやっといてくれ」

上級下士官「はっ!」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

~キャピ娘用品店・衣服コーナー~

衛生士官「意外ですね。貴女とここでお会いするなんて」

衛生士官「今日は、そちらにいらっしゃる女の子と買い物でもしに来たんですか?」

エルフ「ええ、そうなんです」

衛生士官「その割りには、何でこの子はこんなにも暗そうな顔をされているのですか?」

衛生士官「明らかに、体調すら悪そうな様子なんですけど?」

エルフ「ああ、ちょっとここに来る前に色々とありましてね」

エルフ「この娘、ついさっきキャピ娘仕様に改造して貰ったばかりなんです」

衛生士官「ああ、そうなんですか」

エルフ「それからすぐ、この子はずっとこんな調子でしてね」

エルフ「一体、今の私に何の不満があるのやら」

キャピ娘D「……」ズーーン

衛生士官「ねぇ、君。お名前は?」

衛生士官「君の名前は、何て言うのかな?」

キャピ娘D「……レンジャー」ズーーン

衛生士官「レンジャー?」

衛生士官「と言う事は、レンジャーベースのキャピ娘と言う訳なんですね?」

エルフ「ええ、そうなんです」

衛生士官「君、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」

衛生士官「お姉さんは、君の味方だから」ニッコリ

キャピ娘D「!?」ビクッ

衛生士官「もう、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」ニコニコ

衛生士官「もしかして、この間の事を気にしてるのかな?」ニコニコ

キャピ娘D「……」ビクビクッ

エルフ「ふぅん。そうなの……」

エルフ「あんた、この間の事を気にしてたんだ……」

エルフ「そりゃあ、あそこにいたら嫌でも知っちゃうわね……」

エルフ「通りで、私だけでなく衛生士官さんにすら怯えている訳なんだ……」

衛生士官「……」

キャピ娘D「……」ビクビクッ

エルフ「それで、あんたはどうするの?」

エルフ「私達の秘密とか、ちゃんと全部黙っておくのよね?」ニッコリ

キャピ娘D「!?」ビクビクッ

衛生士官「大丈夫。大丈夫だよ」ニコニコ

衛生士官「貴女が全部黙ってさえいてくれるのならば、私達は何もしないから」ニコニコ

キャピ娘D「……ひぃぃっ」ビクビクッ

エルフ「うふふっ、良い悲鳴だわ……」ニコニコ

エルフ「やっぱり、あんた可愛いわね……」ニコニコ

エルフ「特に、その今の泣き怯えた表情とか……」ニコニコ

エルフ「後で帰ったら、たっぷりと可愛がってあげる……」ニコニコ

衛生士官「あら、良かったわね」ニコニコ

キャピ娘D「……」ビクビクッ

「あの、ちょっとその辺にしておいてあげた方が……」

「さすがに、その子がずっと泣き怯えたままですし……」

衛生士官「え?」クルッ

エルフ「誰?」ハッ

キャピ娘「……」

キャピ娘D「あっ……」ビクビクッ

キャピ娘「レンジャー、大丈夫?」

キャピ娘「精神安定剤、飲む?」

キャピ娘D「……うん」ビクビクッ

キャピ娘「もう、本当に手の掛かる妹ね……」

キャピ娘「ちゃんと、精神的に不安定な時にはこの安定剤を飲まなきゃ駄目でしょ……」スッ

キャピ娘D「うん。ごめん……」ビクビクッ

エルフ「ふぅん。精神安定剤……」

エルフ「そう言えば、そんな物を渡されてたわねぇ……」

エルフ「ああ、それでこの子はずっとこんな感じだったんだ……」

エルフ「あのディーラーさん。ちゃんと私にも分かる様に説明しといてよね……」

衛生士官(ちゃんと聞いてなかったんだ……)

店員達「……」ソワソワッ

キャピ娘「エルフさん。またこの子が精神的にも不安定な時には、この安定剤を飲ませてあげて下さい」

キャピ娘「この子、見た所出来て間もないみたいですね」

キャピ娘「まぁ、最初からキャピ娘として製造されている場合には、メーカーの方で色々とキャピ娘としての教育等が行われています」

キャピ娘「ですが、この子は途中からキャピ娘仕様に改造されたので、キャピ娘としての教育等は必要最低限でしか行われてはいません」

キャピ娘「ですから、まだもう暫くの間は赴任先に連れていくのはどうかと……」

キャピ娘「このまま赴任先にまで連れて行きますと、この子自身が自ら廃車になろうとしてしまいますから……」

エルフ「あら、そうなの……」

エルフ「この子自身が、私を置いて身投げしちゃうんだ……」

エルフ「私の今の赴任先、丁度良い感じの高さの崖があるわ……」

エルフ「いや、山の方に登ってから飛び降りられても困るわね……」

店員達「!?」ビクッ

キャピ娘D「……」スッ、ゴクン

エルフ「とりあえず、まだこの子は連れて行かない方が良いの?」

エルフ「キャピ娘を教育出来る場所って、一体どこにあるの?」

キャピ娘「それでしたら、ここの隣にあります専門の販売所に」

キャピ娘「そこで、途中からキャピ娘に改造された子達を教育出来る施設がございます」

キャピ娘「そこで、この子の入園させる手続き等を今すぐ取って下さい!」

キャピ娘「キャピ娘としての教育期間は、たったの三ヶ月間ですから!」

エルフ「……」

衛生士官「……」

キャピ娘達「……」

店員「……」

エルフ「はぁ、分かったわ……」

エルフ「暫くの間は、予備のキャンピングカーを使用しとくわよ……」

エルフ「けど、私の前からは絶対に逃げないでよね……」

エルフ「あんたが逃げたら、次はローザの身が危ないんだから……」

キャピ娘D「……はい。エルフさん」

エルフ「後、ちゃんとキャピ娘としての教育を受けてくるのよ!」

エルフ「よく私は周囲の人達には誤解されているけど、私の本業は世界中の恵まれない子供達を支援するNGOのスタッフなんだから!」ニッコリ

エルフ以外「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

キャピ娘「え? 今私の目の前にいるエルフさんがNGOのスタッフ!?」

キャピ娘「てっきり、私は血も涙もない冷徹な司法関係者だとばかり思ってました!」

衛生士官「うん。私も……」

エルフ「いや、私はちゃんとしたNGOのスタッフだから……」

エルフ「ほらっ、この私の写真入りのIDカードを見りゃ分かるでしょ?……」スッ

キャピ娘「……そ、そんな……」ガーーン

キャピ娘D「姉さん。私大丈夫かな?……」

キャピ娘D「私、エルフさんに買われてから丸4年、常に泣き叫ぶ子供達の姿しか見てないよ……」

キャピ娘「!?」

キャピ娘D「思えば、私エルフさんに買われてから、ずっとろくな光景を見てこなかった……」

キャピ娘D「場所が場所なだけに、未だにあの泣き叫んだりしている子供達の顔等が脳裏に浮かんでくるんだけど……」

キャピ娘「ああ、そうなんだ……」

エルフ「あんた、あんたも誤解させる様な事を言わないの!」

エルフ「あれは、私の仕事の都合でアフリカの内戦地に行った時の事でしょ?」

エルフ「そりゃあ、ずっと内戦が続く場所に行ったら、そんな光景なんか嫌でも見てしまうわよ!」

エルフ「あんた、まさか私が泣き叫ぶ子供達に対して、すぐさま非人道的な事をしていたとか考えていない?」

エルフ「もしそうならば、あんたの事もしっかりと体で分からせないといけないわね……」スッ、ムンズ

エルフ「今からローザの方も、キャピ娘仕様に改造して貰おうかしら?……」ニッコリ

キャピ娘D「も、申し訳ありません。エルフさん……」

キャピ娘D「どうか、それだけは許して下さい!……」ウルッ

キャピ娘D「そう言う事をされるのは、常に私だけで十分です!……」ウルウルッ

キャピ娘D「どうか、ローザの事だけは見逃してあげて下さい!……」ウルウルッ

エルフ「もう仕方ないわねぇ……」スッ

キャピ娘D「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

エルフ「はぁ、もうなんか疲れた……」

エルフ「あんたの所為で、今日は余計に疲れちゃった……」

エルフ「とりあえず、今籠に入れた衣服等はレジに通すわよ……」

エルフ「ほらっ、あんた達その籠二つ持ちなさいよね……」

キャピ娘「キャピ娘。ついでにあんたも手伝って」

キャピ娘「はい。エルフさん……」

衛生士官「では、私はもうこれで」

衛生士官「私も、なんかキャピ娘を持つのが怖くなってきましたわ」ニッコリ

エルフ「ええ、そうですね……」ガクッ

衛生士官「じゃあ、キャピ娘ちゃん達。また今度ね」ニコニコ

衛生士官「今度会う時には、私もキャピ娘買っているかどうかはまだ未定だけど」ニコニコ

キャピ娘「……はい。さようなら」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「……」

キャピ娘「……」

キャピ娘D「……」

店員達「ふぅ……」

エルフ「すみません。お会計お願いします」

エルフ「そこで、盗み聞きとかしてないで早く会計お願いしますね」ギロッ

店員達「はっ、はい……」ビクッ

店長「では、こちらにどうぞ……」ビクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~キャピ娘用品店・食料品コーナー

~キャピ娘B「ふぅ、キャピ娘、上手く行ったみたいだね……」

キャピ娘B「だから、僕達でもすぐに分からなかったんだ……」ヒョコッ

キャピ娘C「ええ、そうね……」ヒョコッ

キャピ娘B「キャピ娘C、ローザの事が気になるの?」

キャピ娘B「僕も、なんかローザの事が凄く気になるんだよね」

キャピ娘C「ローザは、私の後に出来たキャンピングカーなのよ」

キャピ娘C「キャピ娘が、あの子の事を妹と呼んだ様に私も製造元が同じだから便宜上は妹と呼んでる」

キャピ娘C「だから、私も気にはなるかな」

キャピ娘C「特に、あの衛生士官さんも全く同じタイプ」

キャピ娘C「彼女も、エルフさんと同じでよく周囲に誤解を招く様な言動等をよくしてるみたいね」

キャピ娘B「うん。そうだね……」

「じゃあ、あの人は子供産んだばかりのヤンママかな?」

「あの人、子供相手でも容赦ない時があるからね」

キャピ娘B「うん。そうだね」

「ふぅん。そうなんだ……」

「君達、エルフさんの事をそんな風に思ってたんだ?……」

キャピ娘達「!?」クルッ

衛生士官「君達、見かけによらず結構酷いのね……」

衛生士官「私、そんなに害とかないのになぁ……」ウルッ

キャピ娘達「……」ビクビクッ

衛生士官「私、何でそんなにも誤解されてるの?……」ウルウルッ

衛生士官「やっぱり、今さっきのレンジャーちゃんの事が原因なのかな?……」ウルウルッ

キャピ娘達「ひぃぃっ……」ブンブン

衛生士官「ねぇ、君達。ちょっと時間とかある?」

衛生士官「別に、君達の口からはないとか言わせないからね!」ニッコリ

衛生士官「とりあえず、今から近くの公園にでも行こうか?」ニコニコ

衛生士官「もし来なかったら、エルフさんに頼んでローザの事もキャピ娘にして貰うからね!」ニコニコ

キャピ娘C「はっ、はい……」ビクビクッ

キャピ娘B「是非とも、ご一緒させて頂きます……」ビクビクッ

~キャピ娘用品店・レジカウンター~

キャピ娘(うっ、キャピ娘B達が捕まってる……)

キャピ娘(あの人、やっぱりエルフさんみたいに怖い人なんだなぁ……)

キャピ娘(そりゃあ、今のエルフさん見てたら、どう見てもネグレクトしてる元ヤンの母親でしょ……)

キャピ娘(私だってレンジャーがキャピ娘じゃなかったら、確実にそう見えちゃうもん……)

ピッ、ピッ、ピッ……

キャピ娘(まぁ、後はあの二人次第かなぁ……)

キャピ娘(私、今はレンジャーの方が気になるし……)

キャピ娘(レンジャー、本当に可哀想に……)

キャピ娘(キャピ娘B達も可哀想だけど、ちゃんとお葬式くらいには出てあげるからね……)クルッ

エルフ「……」

ピッ、ピッ、ピッ……

~登場人物7~

プー太郎:ニート友の父親の元妻の息子。幼稚園まではニート友父と暮らしていた。現在は失業中であり、色々と金銭面で苦しい様子。

キャピ娘D:レンジャーベースのキャピ娘。黒の長髪の爆乳。途中から所有者の個人的な都合によりキャピ娘仕様に改造され、キャピ娘とは製造元が同じであり便宜上は姉と呼んでいる。色々とキャピ娘仕様に改造されてから精神的に不安定。

ローザ:エルフが所有しているキャンピングカー。まだキャピ娘には改造されてはおらず、キャンピングカー専用の駐車場に放置されている。元々はキャピ娘D(レンジャー)が使用不可能になった時の予備であり、キャピ娘をほしくなったエルフがキャピ娘仕様に改造しようと考えていたが、キャピ娘Dによって事なきを得た。

~極秘施設・隔離実験室~

感染30日目ーー

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」パチッ

半魚人1号「……」シャキン

スッ、ムクッ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

シュン、スタッ……

マンボウ「あら、目が覚めたみたいね」

マンボウ「私の今の言葉、ちゃんと理解してる?」

半魚人1号「ああ、まあな……」

マンボウ「じゃあ、まずは自分の名前を言ってみて」

マンボウ「貴方の名前は、何なのかしら?」

半魚人1号「……名前? 俺の名前……」

半魚人1号「悪い。俺の名前は思い出せそうにない……」

半魚人1号「俺は、一体何者なんだ?……」

マンボウ「さぁ、私にもよく解らないわ」

半魚人1号「……」

マンボウ「……」

半魚人1号「それで、ここはどこなんだ?……」

半魚人1号「俺の事を、一体どうするつもりなんだ?……」

マンボウ「貴方は、今私達の監視下に置かれているの」

マンボウ「貴方は、砂浜に打ち上げられていた所を私達に救助された」

マンボウ「便宜上、私達は貴方の事を半魚人1号と命名」

マンボウ「もう暫くの間は、貴方はここで私達の監視下に置かせて貰うわよ」

半魚人1号「じゃあ、今の俺は半魚人なのか?……」

半魚人1号「何で今の俺は、半魚人なんかになってしまってるんだ?……」

マンボウ「え?」

半魚人1号「俺は、最初から半魚人なんかじゃない……」

半魚人1号「元々の俺は、どこにでもいるごくごく普通の人間だったはずだ……」

マンボウ「あら、そうだったの……」

半魚人1号「なぁ、お前俺の事を知らないか?……」

半魚人1号「俺は、最初から半魚人じゃなかったはずなんだが……」

マンボウ「いいえ」

半魚人1号「ああ、そうなのか……」

半魚人1号「過去の俺自身は、何でこんな醜い姿になっちまったんだが……」

マンボウ「……」

マンボウ「ねぇ、半魚人1号。今何か食べたい物とかある?」

マンボウ「もしあるんなら、今すぐ出してあげるけど」

半魚人1号「……」

マンボウ「半魚人1号。私の話聞いてる?」

マンボウ「今私の目の前にいる貴方が、半魚人1号なのよ」

半魚人1号「ああ、そうなのか……」

半魚人1号「じゃあ、何か適当に魚とかくれ……」

半魚人1号「早く、俺は家に帰ってゲームとかしたい……」

マンボウ「ええ、了解したわ」

半魚人1号「ん? ゲーム……」

半魚人1号「ゲームって、一体何なんだ?……」

半魚人1号「それも、俺が好きな魚の一種なのか?……」

ヒュン、ドシーーン……

半魚人1号「!?」ビクッ

マンボウ「投下完了」

鮪の切り身「……」

マンボウ「さぁ、遠慮なく食べて良いわよ」

マンボウ「お醤油や山葵とかも、一緒に付けた方が良かったかしら?」

スッ、ムクッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ストン……

スッ、ジーーーーーーーーッ……

スッ、パカッ、パカッ……

半魚人1号「ん? ペットボトル入りか……」

半魚人1号「ここに、海水が入ってるんだな……」

半魚人1号「俺、本当に半魚人になっちまってる……」

半魚人1号「わざわざ、ご親切に鏡すら入れておかなくても……」

スッ、ポイッ……

ポトッ、バリン……

半魚人1号「はぁ、これからどうするかな……」

半魚人1号「本当に、俺自身は半魚人になっちまってた……」

半魚人1号「とりあえず、食事でもするか……」

半魚人1号「なんか、無性に魚が食いたくなったからな……」

スッ、モグモグモグッ……

モグモグモグッ、モグモグモグッ……

~極秘施設・管理制御室~

米軍高官「ほう、彼は目を覚ましたのか(英語)」

米軍高官「まだ少し、過去の記憶が混在している様だが(英語)」

米軍高官「それで、彼はいつ使える?(英語)」

米軍高官「私としては、早くこれを仮想敵国に送り込みたいのだが(英語)」

米軍高官「どうなのかね? 所長(英語)」

所長「残念ですが、まだ彼を実戦に出す訳にはいきません(英語)」

所長「半魚人化した後の対処法等に関しては、まだ確立していないからです(英語)」

米軍高官「うむ。そうなのか(英語)」

所長「今のままでは、逆にそれを使用された場合でも対処出来ませんね(英語)」

所長「今の我々が出来る事は、感染から一時間以内に坑ウイルス剤を打つだけです(英語)」

米軍高官「……」

米軍高官「では、まだもう少し時間が掛かるのか……(英語)」

米軍高官「私が現役でいる間は、彼を使うのは無理と言う訳か……(英語)」

所長「はい。残念ですが(英語)」

米軍高官「研究主任、君も同意見なのかね?(英語)」

米軍高官「この中では、一番君が彼と接していたのだろ?(英語)」

研究主任「はい。その通りです(英語)」

所長「閣下。改めて申し上げます!(英語)」

所長「このまま、もう少しこの研究をさせて下さい!(英語)」

所長「今のままでは、日本側に大きく遅れを取ってしまいます!(英語)」

所長「今回の坑ウイルス剤の件も、日本側に大きく遅れを取ってしまっているからです!(英語)」

米軍高官「うむ、構わんが(英語)」

研究主任「ほっ……(英語)」

米軍高官「だが、もうこれ以上の予算は割けないそうだ!(英語)」

米軍高官「半魚人研究を始めてから早14年、君達が早期に結果を出さなければ、この研究自体も全て中止となるだろう!(英語)」

研究主任「!?」ガーーン

米軍高官「だから、君達もこれが最後のチャンスと思って頑張りたまえ!(英語)」

米軍高官「君達の健闘を祈ってるよ!(英語)」ビシッ

研究主任「はっ、有り難う御座います!(英語)」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュン、プシューーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュン、プシューーーーッ……

研究者達「……」

所長「主任、今の我々には勝機はあるか?(英語)」

所長「我々は、本当に日本側に勝てるのか?(英語)」

研究主任「いいえ(英語)」

所長「どう言う訳か、日本側は半魚人研究の過程でキャンピングカー娘とか言う物を開発した……(英語)」

所長「そのキャンピングカー娘が開発されたおかげで、我々の研究自体が窮地に立たされた……(英語)」ガクッ

研究者達「……」

所長「主任。今の我々にはもう時間があまり残されていないぞ……(英語)」

所長「もうこうなったら、無理にでも時間と予算を作る……(英語)」

所長「おのれ、日本側め!……(英語)」

所長「何がキャピ娘だ!? 何が萌えは世界を救うだ!?(英語)」

所長「あれはあれで、特殊な細菌に感染していた人間達を、別の形態に変異や融合等をさせていただけではないか!(英語)」

研究者達「……」

研究主任「所長、私はその所長のやり方には賛成しかねます!……(英語)」

研究主任「たとえ、彼を野に放したとしても、我々が余計に窮地に立たされるだけです!……(英語)」

所長「しかし!(英語)」プルプルッ

研究主任「ここは、これまで通りに真面目に研究を継続致しましょう!(英語)」

研究主任「下手したら、我々までもが某ゲームに出てくる様な大災害を引き起こしかねないのですよ!(英語)」

所長「くっ!……(英語)」プルプルッ

シュン、スタッ……

マンボウ「所長、私からもお願い致します!(英語)」

マンボウ「もう少し、このまま研究を続けましょうよ!(英語)」

マンボウ「でなければ、私は貴方の事を告発しなければなりません!(英語)」

マンボウ「私としても、所長やこの施設自体をそんな形にて失いたくはないのです!(英語)」

所長「マンボウ……(英語)」プルプルッ

ピーーッ、ピーーッ、ピーーッ……

ピーーッ、ピーーッ、ピーーッ……

所長「む? どうした?(英語)」

マンボウ「所長、半魚人が消えました!(英語)」

マンボウ「半魚人が、隔離実験室から消えました!(英語)」

所長「何!?(英語)」

所長「そんな訳があるか!?(英語)」

所長「カメラの死角にでも入り込んだんではないのか!?(英語)」

マンボウ「いえ、本当に彼がいないのです!(英語)」

マンボウ「まさか、例のエルフが!?(英語)」

マンボウ「こんな芸当が出きるのは、彼女くらいにしか考えられません!(英語)」

研究者達「……」ザワザワッ

ツーツー、ツーツー……

スッ、ピッ……

研究主任「どうした?(英語)」

無線「警備室より管理制御室、警備室より管理制御室!(英語)」

無線「隔離実験室から半魚人が脱走!(英語)」

無線「今現在、その行方を捜索中!(英語)」

研究主任「大至急、半魚人を見つけ次第捕獲せよ!(英語)」

研究主任「まだ施設内にいるはずだ! 絶対に逃がすな!(英語)」

無線「はっ!(英語)」ブチッ

所長「……」

研究主任「……」

マンボウ「……」

所長「諸君、どうやら我々にもツキが回ってきたな!(英語)」

所長「まさか、こんな形になろうとは……(英語)」

所長「この施設は、レベル4に対応出来る様に設計されている!(英語)」

所長「たとえ、我々が死んでもこの研究自体は第三者が引き継がれるぞ!(英語)」

マンボウ「……」

研究者達「……」

所長「各員、防護服を速やかに着用!(英語)」

所長「これより、当施設は非常事態体制を発令する!(英語)」

所長「主任。大至急、ペンタゴンに連絡!(英語)」

所長「バ〇オハザード発生、大至急増援を求むとな!(英語)」

所長「さぁ、急げ!(英語)」バッ

研究主任「はっ!(英語)」ビシッ

~無人島・キャンピングカー内~

エルフ「こちらエルフ。ターゲットの移送を完了!(英語)」

エルフ「指示を待つ!(英語)」

携帯電話「ーーーー、ーーーー(英語)」

エルフ「はっ、了解しました!(英語)」

エルフ「遠慮なく、それを使わせて頂きますね!(英語)」ニヤリ

スッ、ピッ……

スッ、パタン……

エルフ「ふぅ……(英語)」ニヤニヤ

エルフ「これで、また実験体が増えるわね(英語)」ニヤニヤ

エルフ「半魚人とキャピ娘、今度はどっちが増えるのかしら?(英語)」ニヤニヤ

エルフ「うふふっ……(英語)」スッ、ゴクゴクゴ

~旧ニートの自宅前~

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

旗「入居者募集中 (株)XXホーム」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

半魚人1号「……」

老婆「……」ガクガクッ

介護士「……」ガクガクッ

シャーーーーッ、シャーーーーッ……

シャーーーーッ、キキィーーーーッ……

スッ、ドサッ……

警官「なっ、化け物!?」

キキィーーーーッ、ドサッ……

婦警「い、いやああああーーーーっ!?」

スッ、カチッ……

警官「こ、こちらXX町12 -16……緊急事態!」

警官「とても不審な化け物が住宅街に出現!」

警官「今現在、化け物は住宅街にある空き家前で停止中!」

警官「まるで、バ〇オハザードの様だ!」

半魚人1号「……」クルッ

警官「頼む、早く応援に来てくれ!」

警官「今の俺達だけでは、とても手に負えん!」

警官「奴は、まだXX町の住宅街にいる!」

警官「頼むから、早く来てくれ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ジャキン……

スッ、グサッ……

警官「!?」ゴハッ

婦警「先輩!?」ハッ

老婆「ぎゃああああああああーーーーーーーーっ!?」

介護士「い、いやああああああああーーーーーーーーっ!?」

スッ、ヌポッ……

スッ、ドサッ……

警官「ぶっ、ぶはっ……」ダラダラッ

半魚人1号「……」

婦警「こ、こちらXX町12-16、警察官1名負傷」ガクガクッ

婦警「化け物が、先輩の腹部を刃物の様な物で刺したーーーーっ!」ガクガクッ

無線「こちら本部、一体何があった?」

無線「悪ふざけなら、程々にしとけ!」

半魚人「……」ポタポタッ

婦警「べっ、別に悪ふざけなんてしてません!……」ガクガクッ

婦警「いいから、早く来て下さい!」ガクガクッ

警官「……」ガクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

婦警「ひ、ひいいいいーーーーっ!?」

スッ、グサッ……

婦警「!?」

グサッ、グサッ……

スッ、ヌポッ……

スッ、ドサッ……

半魚人1号「……」

婦警「……」ダラダラッ

半魚人「どうして? 俺の家がないんだ?……」

半魚人「俺の家は、ここじゃなかったのか?……」

半魚人。

俺は、絶対に半魚人にだけはなりたくなかった。

だが、運命とは時には残酷なもの。

天は俺の事を完全に見捨て、俺の事を半魚人にした。

俺は、どこで間違っていたのだろうか?

もしくは、この世に生まれてきた事なのだろうか?

気が付いた時には、俺はとても懐かしい場所の前にいて、そんな俺の姿を見るやいなやすぐさま人々が逃げ惑う。

それを聞き付けた警察官二名が俺の目の前に現れたが、そいつら二人ともこの俺の持つ鋭い爪で突き刺してやった。

俺は、本当にストレスが溜まっていた。

何となく目の前にいた警官二人には見覚えがあり、ストレス発散の為にそいつら二人の事をすぐに突き刺してやった。

けれど、俺のストレスは完全に発散する事が出来ず、偶々近くにいた老婆達の体も突き刺してみる。

そしたら、二人共すぐに死んでしまい、嫌でも泣き叫ぶ子供達の声が住宅街に響き渡った。

俺は、どこか間違っていたのか?

俺はただ、自分の家に帰りたかっただけだ。

そこで、ゆっくりと俺は自宅で過ごす。

俺の家族に囲まれ、俺の家族は死ぬまで俺の面倒を見る。

ああ、なんかまたイライラしてきた。

何で、ここは俺の自宅なのに入れないんだ?

と言うか、俺の家族はどこに行った?

暇潰しに、逃げ遅れた子供達でも狙おうか?

もしくは、俺の事を常日頃から馬鹿にしていた連中の事を突き刺してやるのも良いな。

あいつら、本当に俺ばかりを馬鹿にしていたからな。

そう、俺が人としてどうかと思いを巡らしていると、誰かの通報で駆けつけた警官達が多数駆けつける。

皆、俺に向けてすぐさま銃を向け、俺が少しでも動こうとすると威嚇射撃を開始した。

パン、パーーーーン……

警官2「動くな!」

警官3「それ以上動いたら、撃つぞ!」

半魚人1号「……」

警官4「……」スッ、チャキッ

警官5「……」スッ、チャキッ

警官2「お前、一体何なんだ!?」

警官2「何でお前みたいなのが、この世に存在してるんだ!?」

半魚人1号「……」ムカッ

警官6「おいっ、早く射殺しろよ!」

警官6「こいつ、もう四人も殺ってるぞ!」

警官2「何!?」

スッ、スタッ……

警官2「動くな!」

パーーーーン……

半魚人1号「……」ピタッ

警官3「おいっ、ちゃんと狙えよ……」

警官3「こいつ、化け物なんだぞ……」

半魚人1号(くっ、まずいな……)

半魚人1号(俺の人生は、こんな所で終わるのか?……)

半魚人1号(こっちも、好きで半魚人なんかにはなりたくなかったのに……)

半魚人1号(一体、何で俺ばっかりがこんな目に遭うんだよ?……)

半魚人1号「……ん?」ハッ

キャピ娘達「……」ガクガクッ

半魚人1号「あいつ、確かどこかで……」

半魚人1号「お前、どこかで会った事はないか?……」

警官達「!?」

半魚人1号「ああ、お前達じゃない。その後ろにいる奴だ……」

半魚人1号「そこの逃げ遅れた娘達、お前達とはどこかで会った事がなかったか?……」

キャピ娘達「ほえっ!?」ビクッ

警官2「お前、人語が話せるのか?……」

警官2「だったら、何でこんな事をしたんだよ!?」

キャピ娘達「……」ガクガクッ

半魚人1号「特に、理由なんてねぇよ……」

半魚人1号「俺はただ、自宅に入れなかったからイラついてただけだ……」

警官2「……は?」

半魚人1号「とりあえず、次はお前達だ……」

半魚人1号「俺は、今からお前達の事を殺す……」

半魚人1号「おいっ、お前らそこどけ……」

半魚人1号「どかないと、この俺の爪で突き刺してやるかな!……」スッ

キャピ娘達「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

パン、パーーーーン……

半魚人1号「うっ、ぐはっ……」ダラダラッ

パン、パーーーーン……

半魚人1号「うげっ、ぶほっ……」ダラダラッ

スッ、ドサッ……

半魚人の死体「……」

警官2「ふぅ……」

警官2「皆、怪我はないか?……」

警官2「こいつ、もう少し尋問しとくべきだったな……」スッ、カポッ……

半魚人の死体「……」ダラダラッ

警官7「お嬢ちゃん。怪我はないかい?」

警官7「そこに隠れてる子達も怪我はないかい?」

キャピ娘「はい。大丈夫です……」ガクガクッ

キャピ娘「一体、あれは何だったんですか?……」ガクガクッ

半魚人の死体「……」

警官7「さぁ、まだ何も解らないよ」

警官7「お嬢ちゃん達は、あれに狙われる覚えはないかい?」

キャピ娘達「いいえ……」フリフリ

スッ、カチッ……

警官2「こちらXX署警ら01、通報にあった化け物を射殺!」

警官2「なお、警察官2名及び民間人2名が化け物による攻撃により死亡!」

警官2「大至急、化学防護隊の出動を要請されたし!」

無線「こちら本部。了解した」

無線「現場にいる警察官は、生存者の救出を急げ!」

警官2「こちらXX署警ら01、了解した」

警官2「生存者は、発見次第救助する」

スッ、カチッ……

警官7「皆、付近を捜索しろ!」

警官7「まだ、どこに化け物がいるかが分からないからな!」

警官達「おう!」

キャピ娘(結局、あれは何だったの?……)ガクガクッ

キャピ娘(何で、あいつは私達の事を狙うの?……)ガクガクッ

キャピ娘(まぁ、それももう知る手掛かりすらないか……)ガクガクッ

キャピ娘(あいつは、もう既に射殺されちゃったし……)ガクガクッ

キャピ娘(これで、もう本当に大丈夫なのよね?……)ガクガクッ

キャピ娘C「……お婆ちゃん」ガクガクッ

半魚人。

それが私に向かって、突如襲いかかってきた。

私は、偶々友人の自宅を訪ねた後に帰宅しようとした直後。

ドアを開けてみたら、辺り一面に血の海が出来てしまっている。

私は、その時に何も出来ずにいた。

私だけでなく、私の友人ですら一歩も動けずにいた。

すぐに、誰が通報をしたか分からないが、通報を受けた警察官達が多数駆けつけてくる。

最初に駆けつけた警察官2名は私の顔見知りであり、その二人までもが私の目の前で血を流して倒れてもいた。

その後、私の目の前で起きた悪夢はすぐに終わった。

これが、どれだけ夢であってほしいと願った事か。

しかし、現実は常に非常なもの。

私だけでなく、私の側にいた友人にとっては大事な人すらその場で倒れてもいた。

そこから、私達はよく覚えてはいない。

私も友人も、あまり他人にはこの件の事を話したくはない。

皆、あの事件の事はすぐに忘れたがっていて、なかなか普段通りの日常を取り戻す事が出来ずにもいた。

そしたら、私の前にあのエルフさんが再び現れ、私達の事をどこかへと連れていく。

何でも、例の化け物に何かされてないかどうかの精密検査。

その検査は、現場となった住宅街に住む全てを対象とし、何故かその検査の現場では衛生士官さんの姿もあった。

そして、私はエルフさんからある事を教えて貰った。

内密にだと言われたが、それを聞いた時に私は本気でどうしたら良いのかが全く解らずにいた。

ただいくつか言えるとしたら、ニートは世の中に害をもたらすというもの。

結局、ニートは誰からも必要とはされず、常に周りに存在しているだけで迷惑。

私は、そう思いながら今日もまた平穏な日常を送っていき……

エルフさんが赴任している無人島の中では、今日もまた多数のニート達がもがき苦しみながらも死んでいったのだった。

(完)

これで、この物語は終わりです。

この物語を読んで頂き、誠にありがとうございました。

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