春香「プロデューサーさんがオバケ屋敷にさらわれた」 (186)

初投稿
アイマスと某ゲームのクロスです
一応書き溜め
それでは投下していきます

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P「さて、今日もそろそろ事務所に行くか」

P「行ってきまーす……ん?」

P「ポストに何か入ってるぞ?何々……」



事務所

P「おはようございまーす」

春香「おはようございます、プロデューサーさん!」

P「おお春香、もう来てたのか」

春香「今日は久しぶりにプロデューサーさんとお仕事ですから、何だか張り切っちゃって」

P「そうか、今日は頑張ろうな春香。

……と、言いたいところだが……」

春香「え?」

春香「新しい事務所?」

P「ああ、今朝ポストにこんなものが入ってたんだ」ペラッ

春香「えーと……」


『拝啓 P殿

ご注文されていた新しい事務所が完成いたしました。

お引き渡しをするので、こちらの住所までお越しください』


春香「ほんとだ、住所も入ってる……」

P「で、これがその写真らしい」

春香「へえ、大きなマンションみたいですね」

P「建物もいいし、話自体はおいしい話なんだが……」

掃除機で吸い込むアレですか

緑の弟かな?

春香「でも、事務所を移るなんて話聞いたことないですよ?」

P「そこなんだよな、俺も今日初めて知ったんだよ」

春香「プロデューサーさんも知らなかったんですか?それっておかしいんじゃ……」

P「ああ。しかしあの社長のことだ。
俺も最初はサプライズか何かかと思ったが、それなら何で俺に連絡が来るんだって話だしな」

春香「ミスにしても凡ミス過ぎますよね。

ますます怪しい……誰かのイタズラなんじゃないですか?」

P「イタズラにしても何で犯人が俺の本名と俺がプロデューサーやってること知ってるんだって話だ」

春香「たしかに……」

P「確認しようと思ったけど、今ちょうど社長も音無さんも大事な会議の最中らしい、電話をかけるわけにもいかんしな」

>>4>>5
まあわかりますよね

P「ただ、名指しで呼ばれた以上無視するわけにもいかない。

春香、悪いが今日の仕事一緒には行けない」

春香「ええっ!?」

P「仕方ないだろ、もしかしたら本当に大事な話かもしれないんだから」

春香「そんなぁ、楽しみにしてたのに……」

P「悪いな、今度必ず埋め合わせはするから」

春香「うー…プロデューサーさんのうそつき……」

P「そうは言ってもなぁ……

……よし、それじゃこうしよう、今日の仕事を頑張れたら、今晩一緒に飯食いに行く!」

春香「!」

P「だから機嫌直してくれよ、俺だって一緒にいてやりたいのはやまやまなんだ」

春香「………しょうがないですね、約束ですよ?プロデューサーさん」

P「春香!」

春香「分かってますって、プロデューサーさんは皆のこと面倒見てるから私たちよりずっと忙しいことくらい」

P「本当にすまない、久しぶりの一緒の仕事だったのに」

春香「謝らないでくださいよぅ、プロデューサーさんは悪くないんですから。ちょっと意地悪言いたくなっちゃっただけです。

でも、詐欺とかに引っかかっちゃ嫌ですよ?」

P「その点は安心しろ、一人暮らしだと何かと知恵がついてな。もし俺たちを騙そうなんてふてえ野郎だったらとっちめて警察に突き出してやる!」

春香「あはは、頼もしいですプロデューサーさん」

P「それじゃ、ちょっと行ってくるよ。今日は頑張れな」

春香「任せてください!やるからにはやりきってみせますよ!」

P「それは心強いな。一応俺から連絡はしとくが、手紙のコピー置いとくからもし音無さんか社長が帰ってきたら伝えてくれ。

じゃ、仕事に遅れるなよ」ガチャ

バタン

春香「行ってらっしゃーい!


…………」シュン

雪歩「おはようございます」

春香「あ、雪歩おはよー」

雪歩「おはよう春香ちゃん。

あれ、プロデューサーは?今日は春香ちゃんと一緒なんじゃ……」

春香「それがね……」

~~~~~

雪歩「そっか……それは残念だったね」

春香「せっかく久しぶりに一緒だと思ったんだけどなぁ……」ハァ

雪歩「でも、一緒にご飯食べに行く約束したんでしょ?羨ましいなぁ」

春香「まあ、それはそうだけど……」

雪歩「私も一緒に行っていいかな?」

春香「えっ?」

雪歩「なんてね。うそうそ、冗談だよ」

春香「う、うん……」

春香「………はぁ」シュン

雪歩「……くすっ」

春香「?」

雪歩「ああごめんね、笑うつもりなんかないんだ。

ただ春香ちゃんが目に見えて落ち込んでたから……」

春香「そ、そうかな」

雪歩「そんな暗い顔の春香ちゃんは誰も見たくないと思うけどなぁ。ファンの皆も私も、プロデューサーも」

春香「……やっぱり、そうかな?

そうだよね、プロデューサーさんと約束したんだから!今日もお仕事頑張らなきゃ!」フンス

雪歩「ふふっ、それでこそ春香ちゃんだね。

ところでお仕事の時間は大丈夫なの?」

春香「え?

ああっ、もうこんな時間!?もう行かなきゃ!」バタバタ

雪歩「もう、春香ちゃんたら………」アハハ

春香「それじゃ行ってくるね!雪歩もお仕事頑張ってね!」

雪歩「うん、行ってらっしゃい!」


雪歩(……何だか嫌な予感がするなぁ……

プロデューサー大丈夫かなぁ……)


<ウワァッ!?
<ドンガラガッシャーン

雪歩「春香ちゃん!?」

仕事後

<ハイオッケーデース
<オツカレサマデシター

春香「お疲れ様でしたー!」

春香「やったね、今日は完璧に出来ちゃった!」

春香「ファンの皆もすっごく喜んでくれてたし!」

春香「プロデューサーさんに褒めてもらえるかなあ……」エヘヘ

春香「もう夕方だけど、思ったより早く終わったな」

春香「よし、事務所に帰ろっと」

事務所

春香「ただいま帰りましたー!」

小鳥「あら春香ちゃん、おかえりなさい」

小鳥「さっきテレビ局から連絡を頂いたわよ、今日はすごく良い出来だったらしいわね」

春香「えへへ、頑張っちゃいました!」

小鳥「わざわざ連絡を下さるということは、それほどよかったのかしらね。これで事務所全体も勢いに乗れるといいわね」

春香「だといいですねー」

小鳥「私もテレビの放送を楽しみにしてるわ。

ところで、プロデューサーさんは一緒じゃないの?」

春香「え?」

春香「まだ帰ってないんですか?」

小鳥「まだ、って今日は春香ちゃんと一緒にお仕事じゃなかったの?」

春香「そのはずだったんですけど……連絡するって言ってたのに」

小鳥「連絡?」

春香「実は……」

?????

小鳥「うーん、そんな連絡は貰ってないわね。社長はどうですか?」

社長「私も貰っていないよ。そもそも新しい事務所の話なんて聞いたことがない」

春香「社長も小鳥さんも知らないなんて……やっぱり詐欺だったんじゃ……」

社長「だとしても、少し遅すぎるな。連絡してみるか……」ポパピプペ


ツーツーツー

社長「……む?圏外だと?」

春香「え?」

小鳥「そんなに遠くまで行ったのかしら……」

春香「……私、ちょっと行ってきます!」

小鳥「え?」
社長「何?」

春香「何でもないとは思いますけど、もしプロデューサーさんに何かあったなら大変なので!」

小鳥「でも、何も春香ちゃんが行かなくても……もしかしたら危ないかもしれないのよ?」

春香「でも、もしプロデューサーさんがその危ない目に遭ってるんだったら、誰かが助けに行かないと!」

小鳥「でも……」

社長「……うむ、わかった。春香君に頼もう。世話のかかるプロデューサー君を探してきてやってくれないか?」

春香「!」

小鳥「ちょ、ちょっと社長!」

社長「まあ待て音無君。ここは彼女達に任せてみようじゃないか」

小鳥「でも……」

社長「仲間の為ならどんな特殊部隊よりも凄い力を発揮する、それが765プロなんじゃないかい?」

春香「社長……」

小鳥「……はぁ、わかりました。

それじゃあ春香ちゃん、私からもお願いするわ」

社長「というわけだ。春香君、よろしく頼むよ。
もし春香君が帰って来る前にプロデューサー君が帰ってきたらこちらから連絡するからね」

春香「はいっ!」

社長「ただし、くれぐれも無理はしないことだ。危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ。私達は事務所にいるからね」

春香「はい、わかりました!それじゃ、行ってきます!」

山中


春香「すっかり夜になっちゃったな……」

春香「しかもすっごい山の中……」


春香「あっ、この建物かな?」

春香「うわぁ、大きい。けど……」

春香「それ以上に、不気味だな……」

春香「この中にプロデューサーさんが……」

春香「……懐中電灯よし」カチッ

春香「携帯電話……あれ?圏外になってる……」

春香「ここってそんなに山奥なのかな?

それとも………」

春香「……………」ゴクッ

春香「……よし、行こう」

ギイィィ……

春香「お、お邪魔しまーす……」ソローリ

春香「うわ、真っ暗だ」カチッ

春香「ここは……玄関かな?向こうに階段があるし、あそこには扉がある……」

春香「とりあえず、真ん中の扉から行ってみよう」

ガチャガチャ

春香「……あれ?鍵がかかってる。

それじゃあ、先に上に行ってみようかな」タタタ

ガチャガチャ

春香「ええ、こっちも鍵が……これじゃ先に進めないよ……」



ケケケケ………

春香「!?」

春香「な、なに?今の声……」

春香「………え?何だろうあれ……オレンジ色の、もや?」

春香「あっ、鍵が……?」


ケケケ……

ケケケケ……


春香「な、なに……まさかオバケ……?」


フワッ

ポトッ


春香「あっ、消えた……」

春香「……鍵、落として行ったよね?」

春香「それより、今のもやみたいなの……何だったんだろう……」

春香「もしかして、本当にオバケとか……?」

春香「ま、まさかね!そんなものがいるわけ……」

春香「……………」

春香「………この鍵……」

春香「こっちの鍵、かな?」


ガチャッ


春香「あっ、開いた」

春香「この部屋の中に、プロデューサーさんはいるのかな?」

春香「もし、さっきのもやみたいなのがいたら……」

春香「……ううん、いたら何だって言うの。私はプロデューサーさんを探しに来たんだから!」

春香「よし!」ガチャッ

春香「……………」ソロソロ

春香「ぷ、プロデューサーさーん……?どこですかー……?」


ギシッ

春香「ひぅ!?」

春香「……な、何だ、床が軋んだだけか……」

春香「プロデューサーさぁん、出てきてくださいよぅ……」


ボワン


オバケ「……………」

春香「………へ?」



オバケ「バアーッ!!」

春香「いやあああああああ!!!」

春香「なになになになに!?オバケ!?」

オバケ「ギャハハハハ!」ケタケタ

春香「こ、来ないで!こっちに来ないで!!」ブンブン

オバケ「ケケケケ……!!」ジリジリ

春香「い、いや……来ないでぇ……!!」ジワァ


オバケ「ケケケ……ギャアッ!?」

春香「……?」


??「そりゃーっ!!」

オバケ「ギエエエ!!」

春香「ええっ!?」

春香(お、お爺さんが掃除機でオバケを吸い込んでる……!?

な、何がどうなってるのー!?)

オバケ「グゲゲ……ガアッ!」グイッ

??「ぬっ!?」

ドテッ

??「ぐわっ!」

春香(あっ、転んだ!)

オバケ「ギャハハハハ!キエーッ!!」

??「ぐわわわわ!」ズザザザ

春香(思いっきり引きずられてるよ!)

オバケ「ケケケケ……ケエエッ!!」バコーン

??「あぐぁ!!」

春香「うわ、殴られた!」

オバケ「ギャハハハハ……」


フッ

春香「き、消えちゃった……」

春香「だ、大丈夫ですか!?」タタッ

??「おー、いてて……すっ転ぶわ、殴られるわ、酷い目にあったわい。

お嬢さん、怪我はないかの?」

春香「あ、はい。私は大丈夫ですけど……」

??「なに、ワシのことなら心配はいらん。オバケ研究にはこれくらい付き物じゃ」

春香「オバケ研究……?」

??「おっと、自己紹介が遅れたな。ワシは……」


ケケケ……

ケケケケ……


??「むむ、オバケの予感……

お嬢さん、一旦逃げるぞい!」

春香「は、はい!」

??「ふう、危ないところじゃったな」

春香「あの、助けていただいてありがとうございました」

??「なんのなんの。では改めて自己紹介をしよう。

ワシの名はオヤマー。ここでオバケの研究をしているオバケ研究家じゃ」

春香「オバケって、さっきのオレンジ色の?」

オヤマー「きゃつらもあるが、それだけではないぞい。

お嬢さんの名前も教えてくれんかの?」

春香「あっ、私は天海春香っていいます。アイドルやってます」

オヤマー「アイドルか!ワシは年中こんなところにこもってるから外の世界のことはよう知らんが、さぞかし人気なんじゃろうな」

春香「いえいえ、人気だなんてそんな」エヘヘ

オヤマー「ところで、そんなアイドルのお嬢さんがあんなオバケ屋敷に何の用じゃ?」

春香「実は……」

~~~~~

オヤマー「ふむふむ。そりゃその兄ちゃん騙されとるな」

春香「えっ!?」

オヤマー「ワシは長いことここに住んどるが、あんな建物は最近まで……いや、つい昨日までなかったぞ」

春香「そんなことが……」

オヤマー「恐らく、オバケ共にどうにかされたか……
春香くんのプロデューサーとやらがたとえどんなに腕っ節が強くても、オバケ共とまともに戦うのは無理じゃ」

春香「そんな……じゃあプロデューサーさんは……」

オヤマー「しかし、いきなりとっ捕まえて食ってしまうなんてことはなかろう。基本的にはイタズラ好きなだけな奴らだからの。

それで、春香くんはそのプロデューサーを助ける為に一人でこんなオバケ屋敷くんだりまで来たのか」

春香「はい」

オヤマー「若いのに大したもんだ。よし、気に入った。ワシが一肌脱いでやろう」

春香「え?」

オヤマー「お前さんにこれを貸してやろう」

春香「これは?」

オヤマー「オバケを吸い込む掃除機、名付けて『オバキューム』じゃ!」

春香「オバキューム?」

オヤマー「さっきお前さんも見てたじゃろ?この掃除機は、さっきみたいにオバケをシュルシュルスポンと吸い込んでしまう代物なんじゃ」

春香「これでオバケを……」

オヤマー「さっきはワシも歳のせいか情けないところを見せてしもうたが……

お前さんのような若くてしかもしっかり身体を動かしとる者なら使いこなせるじゃろ」

春香「でもどうやって?」

オヤマー「オバケ共は暗い部屋にはいきなり現れる。初めはビックリするじゃろうが、そこで怯むことなくオバケをライトで照らしてやれ。

そうすればオバケは驚いて動きが止まる。そこを一気に吸い込むんじゃ!」

春香「じゃあ、これがあればプロデューサーさんを助けられるんですね?」

オヤマー「そのオバキュームはワシの発明品、性能は保障するわい。あとはお前さんの頑張り次第じゃ」

春香「ありがとうございます、それじゃ早速……」


♪?♪?

春香「ん?

あれ、圏外じゃなくなってる……小鳥さんから?

もしもし?」ピッ

小鳥『春香ちゃん?よかった、やっと繋がったわ』

春香「すいません、ずっと圏外だったんです。どうかしたんですか?」

小鳥『春香ちゃんが出てから少し後に、雪歩ちゃんが事務所に帰って来たんだけど……

プロデューサーさんの話をしたら、慌てて飛び出して行っちゃって……』

春香「ええ!?雪歩が!?」

小鳥『多分、春香ちゃんと同じところに向かったと思うんだけど、会ってない?』

春香「いえ、見てないですね……」

小鳥『そう、心配ね……。

もしプロデューサーさんか雪歩ちゃんと合流できたら、また連絡を頂戴。それじゃ』

春香「はい、わかりました」ピッ

春香「……雪歩……」

オヤマー「どうかしたのか?」

春香「私の友達もここに来たみたいなんですけど……」

オヤマー「なんと、友達が?

そういえば、ここに帰って来る少し前に誰かが屋敷に入っていったような……」

春香「ええっ!?どうして言ってくれなかったんですか!」

オヤマー「まさかお前さんの友達だったとはのー……

オバケに対抗できるのはそのオバキュームだけ、丸腰であの屋敷に入るのは危険極まりないわい。早く助けに行ってあげなさい」

春香「は、はい!」

オヤマー「ああそうじゃ、それからこれも貸してやろう」

春香「何ですか?」

オヤマー「これはゲームボーイホラーといってな、通信機能やマップ機能、サーチ機能と色々ついた優れものなんじゃ」

春香「へえー」

オヤマー「他にも隠された機能もあるが、それはまあおいおい説明していくわい。
ついでにもう一つ渡しておく。もし友達に会えたら渡してやればいい。
それじゃあの、プロデューサーと友達が無事だといいの」

春香「はい、行ってきます!」

屋敷


ギイィィ……

春香「……あれ?エントランスが明るくなってる……」

春香「とりあえずはさっきの部屋だ」

春香「……さっきは怖がって泣いてただけだけど……」

春香「今度は負けないんだから!プロデューサーさんも雪歩も私が助けるもんね!」

春香「……よし、行こう!」

2階 居間


春香「………」ゴクッ

春香「そろそろ何か出てきそう……」


オバケ「バアーッ!!」

春香「っ!?

で、出た!ライトで照らして!」カッ

オバケ「!?」ドッキリ

春香「一気に吸い込む!!」ギュイイイン

オバケ「ギャアアアア……」


スポッ

春香「や、やった!これで……」


オバケ「バアーッ!!」

春香「まだいるの!?」

オバケ「ギャアアアア……」


スポッ

春香「はぁはぁ、これで3匹目……」


パッ

春香「?部屋が明るくなった……?」

春香「何匹かオバケを吸い込んだら部屋が明るくなるのかな?」

春香「よかった、とりあえずは一安心かな……」

春香「でも、これからどうしよう?」

春香「……あれ、部屋の真ん中に何か落ちてる」

春香「これは……鍵?」

春香「どこの鍵だろう……そうだ、さっき博士に貰ったマップを使って……」

春香「えーと……なんだ、すぐ隣の部屋か」

春香「でも何でいきなり鍵なんか出てきたんだろう?」

春香「もしかして、部屋のオバケを全部吸い込んだら部屋が明るくなって鍵が出てくるとか?」

春香「なるほど、そういうことか」

春香「それなら話が早いや、明るくしていった方が皆を探しやすいしね」

春香「よーし、そうと決まればどんどん進もう!」

オバケ「ギャアアアア……」スポッ

春香「よし!これでそろそろ……」


パッ

春香「この部屋も明るくなったね」

春香「鍵もゲット!えーと次の部屋は……」

春香「あ、いったん戻らないといけないのか」


春香「えーと、この扉かな?」


ツーツーツー

春香「あれ、博士から通信が……」ピッ

春香「もしもし?」

オヤマー『聞こえるか春香くん?ワシじゃ、オヤマーじゃ』

春香「聞こえますよー。どうしたんですか?」

オヤマー『その扉の先から強い霊力を感じたんじゃ。恐らくその先にワシのコレクションの絵から抜け出したオバケがおる』

春香「絵、ですか?オバケの?」

オヤマー『うむ。ワシが長年をかけて発明した『オバケ絵になるマシーン』で捕まえたオバケを絵にして飾っとったんじゃが……』

春香(何て安直なネーミング)

オヤマー『何者かがその絵からオバケを解放してしまったらしい。そしてそのオバケ共はその屋敷に隠れておるようじゃ』

春香「それで、その絵のオバケってどんなオバケなんですか?」

オヤマー『捕まえるのに一工夫いる、一筋縄ではいかん手強い奴らじゃ』

春香「…………」ゴクッ

オヤマー『その辺の弱いオバケと違って、ちゃんとスキを見つけてライトで照らさんと効果がない。動きを止めた後も簡単には……』

春香「…………」タラー

オヤマー『……どうした?反応がないぞ』

春香「えっあっ、だ、大丈夫です」

オヤマー『まあ、そういうわけじゃ、気をつけるんじゃぞ。また何かあればこっちから連絡するわい』

春香「はい、わかりました……」ピッ


春香「えぇー……?」

春香「さっきまでのその辺のオバケにも手こずってるのに……」

春香「もっと手強いのがいるなんて聞いてないよー……」

春香「……でも、ここまで来て逃げるわけにもいかないし」

春香「私がやるしかないんだよね」

春香「……よしっ!」パンパン

春香「覚悟決めて、行きますか!」

春香「待っててください、プロデューサーさん!」

書斎


ギイィィ……

春香「…………」ソロリ

春香(……イスに誰か座ってる……

あれがオバケなのかな?)

春香(スキだらけに見えるけど……一旦試してみよう)

春香(えいっ)ピカッ

「……………」

春香(……全然効いてないや、やっぱり簡単にはいかないのかな……)


『その程度で私たちを捕えられると思うな……』

春香(!?)

春香(い、今喋った……!?)

「……………」

春香(ま、まあオバケだし、テレパシーとかそんなのも使えるのかな……)

春香(でも、どうやって捕まえるんだろう……)


「………ふあーあ」

春香(……え?)

「……………」

春香(今の、あくび?)

春香(……!もしかして……!)


「………ふあーあ」

春香「それっ!」ピカッ

「!?」ドッキリ

春香「やっぱり!今だ、えーいっ!!」ギュイーン

「グオオオオ!!」ジタバタ

春香「っ!?」

春香(さっきまでのオバケより力が強い……!)

春香「でも、私だって足腰は鍛えてるんだから!」

「オオオオ!!」ジタバタ

春香「うぐぐぐ……!」

春香「でえーい!!」ギュン


「オオオオ……」スポッ

春香「や、やった!」

幼児部屋


「ギャアアアア……」スポッ

春香「はぁ、はぁ……まさか小さくされちゃうなんて……」

春香「けっこう引きずられちゃったし……いたた」スリスリ

春香「でも、何とか勝ててよかった」

春香「これでまた鍵が……え?何だろうこの鍵……?」

春香「ハート型だ。ちょっとかわいいかも」

春香「えっとこの鍵は……

あっ、一階の大きな扉の鍵だ!」

春香「やったね、これで探せる場所が広がる!」

春香「よーし、さっそく行こう!」

一階

春香「えーと、どこかに鍵の空いてる部屋は……」

春香「この部屋はどうかな?」ガチャガチャ

春香「開いてない……じゃあこっちはどうだろう?」ガチャガチャ

ギィ

春香「へ?」


バァン!

春香「ぶっ!」

春香「ーーーっ!!(鼻が!鼻がぁ!)」


<ギャハハハハ!!

春香「笑うなぁー!!もー、こんなくだらないイタズラに引っかかるなんて……」

春香「……あ、この部屋開いてる」ギィ

春香「ここは……倉庫かな?」

倉庫


「ギャアアアア……」スポッ

春香「これでどうかな?」


パッ

春香「明るくなったね。えーと……」

春香「あれ?鍵が出てこない?」

春香「どうしよう、これじゃ先に進めないよ……」

春香「どこか他に鍵のかかってない部屋が……」

春香「……ん?何だろうこれ、スイッチ?」

春香「これを押したら鍵が出てきたりして」

春香「うーん、でもむやみに押すのも怖いなぁ……」

春香「……まあ、今更何が出てきたっておかしくないよね」

春香「そりゃ」ポチットナ


ズゴゴゴゴ

春香「!?」

春香「な、何!?

壁が動いて……?」

ズズズズ

春香「部屋が広がっていく……」

ズズズズ……

ピタッ

春香「止まった……部屋が広くなるスイッチだったのかな?でも結局鍵は出てきてないなぁ……」

春香「……むむ、広くなった部分の床に怪しい入り口が」

春香「何だろうこれ、どうにかしてあけられないかな」

春香「えーと………

むむむ、こんどは壁にあからさまに怪しいポスターが」

春香「えい」ベリッ

春香「やっぱり。ポスターの下にスイッチ発見!」

春香「これを押せばあそこの入り口が開いたりしてね」

春香「てい」ポチットナ


パカッ

春香「開いた!中には何が……」



「「「「「バアァ?ッ!!!」」」」」

春香「ううわあああああっ!!?」

ピタッ

春香「止まった……部屋が広くなるスイッチだったのかな?でも結局鍵は出てきてないなぁ……」

春香「……むむ、広くなった部分の床に怪しい入り口が」

春香「何だろうこれ、どうにかしてあけられないかな」

春香「えーと………

むむむ、こんどは壁にあからさまに怪しいポスターが」

春香「えい」ベリッ

春香「やっぱり。ポスターの下にスイッチ発見!」

春香「これを押せばあそこの入り口が開いたりしてね」

春香「てい」ポチットナ


パカッ

春香「開いた!中には何が……」



「「「「「バアァーッ!!!」」」」」

春香「ううわあああああっ!!?」

「誰だい!せっかく気持ちよく寝てたのに」

「んん?おーい、次の獲物がのこのこやってきたよ」

「こいつもこないだのスーツの男みたいにしてやろうぜ!」

「……ん?ちょっと待て」

「ゲゲッ、その背中にあるのは……博士のオバキューム!?」

「やばい、皆逃げろーっ!!」


春香「ひ、ひぃ…………」ガクガク

春香「………?た、助かった……のかな?」

春香「こ、怖かったぁ……まさかあんなにたくさんオバケが出てくるなんて……」


ツーツーツー

春香「?……博士から通信だ」

春香「もしもし?」ピッ

オヤマー『大丈夫か春香くん!そいつらじゃ!ワシのコレクションを台無しにしてしまったのは!』

春香「ええっ!?」

オヤマー『今の白いオバケはテレサというオバケたちじゃ。その辺のオバケとも絵のオバケとも違う』

春香「テレサ、ですか?」

オヤマー『そうじゃ。きゃつらは不思議な力を持っていてのう。しかもテレサが集まれば集まるほどその不思議な力は強力になる』

春香「その不思議な力で、博士の絵を台無しに?」

オヤマー『ワシの絵もそうじゃが、恐らくはお前さんのプロデューサーや友達もその不思議な力にやられたか……』

春香「プロデューサーさんと雪歩が!?」

オヤマー『恐らくは、じゃがの。お前さんらのことに関してはワシから確信を持っては言えんが……

今回の事件に多少なりともテレサ達が関わっていることは十中八九確実じゃ』

春香「でも、みんな逃げちゃいましたよ……」

オヤマー『うーむ、見つけるまではよかったんじゃが、逃がしてしまったのはすこしマズかったかの。

しかし心配は無用、こんなこともあろうかとゲームボーイホラーにとある機能をつけておいたんじゃ』

春香「え?」

オヤマー『その名もテレサレーダー!』

春香「テレサレーダー?」

オヤマー『テレサといえどもオバケはオバケ。
暗がりではなかなか姿を見せんが、明るくなった部屋では動きが鈍る。
そういう部屋では、きゃつらは家具の中に隠れるんじゃ。

そのテレサレーダーは、テレサがいる部屋に入ると黄色く点滅し、テレサが隠れておる家具に近づくと赤く点滅するようになっておる』

春香「隠れてるテレサはどうすれば出てくるんですか?」

オヤマー『ちょっと家具を揺すってやれば飛び出してくる。そこを一気に吸い込んでやればいい』

春香「なるほど……」

オヤマー『テレサが集まれば集まるほど力が大きくなるなら、一匹ずつ捕まえて数を減らして、力を小さくしてやればいい。

地道じゃが、これが一番確実な方法じゃ』

春香「そうですね」

オヤマー『ふむ、まずはこれまで明るくした部屋を見て回るのがいいんでないか?』

春香「わかりました、行ってみます!ありがとうございます!」

オヤマー『気をつけるんじゃぞ、健闘を祈るぞい』ピッ

春香「はい、わかりました」ピッ


春香「テレサか……さっきの白いオバケ達がプロデューサーさん達を……?

そう考えたら腹が立ってきた!絶対捕まえてやるんだから!」

居間


春香「ここはさっき明るくした部屋だよね……」ガチャ

ピコーン

春香「反応した!ということはこの部屋にテレサがいるんだな」

春香「家具の中に隠れてるって言ってたよね……?」ウロウロ

ピコーンピコーン

ピコココココ

春香「あっ、赤くなった!

ということは……このタンスかな?」ユサユサ

ボワワン

テレサ「うわっ、何でばれたんだ!?」

春香「で、出たっ!」

テレサ「ゲゲッ、さっきのオバキューム女!」

春香「一気に吸い込んでやるー!」ギュイーン

テレサ「うわあああ……」スポッ

春香「やったぁ!」


シーン……

春香「レーダーが反応しなくなった……一つの部屋には一匹しかいないのかな?」

春香「それなら次の部屋だね」

テレサ「いやあああ……」スポッ

春香「よし!これで5匹……いや6匹かな?」

春香「順調順調!この調子ならすぐ見つかるかも!」

春香「……と、言いたいところだけど……」

春香「……………」






春香(トイレ行きたい)

春香「考えてみたら、夕方からずっとプロデューサーさんを探してるんだし……」

春香「当たり前と言っちゃ当たり前なんだけど……」

春香「……………」

春香(ダメだ、考えれば考えるほど……)

春香(うう、おしっこしたい……)


春香「……そうだ、この屋敷にはトイレあるのかな?」

春香「えーと……よかった、あるみたいだ」

春香「正直気は進まないけど……背に腹は変えられないよね」

春香「よし、一旦捜索中断」

廊下


春香(うう、結構限界近いかも……今おどかされたりしたら……)

春香(でも、流石に廊下にオバケはいないよね?うん、何とか大丈夫……?)


オバケ「バアァ?ッ!!」ブラーン

春香「うぎゃああああああ!!?」


オバケ「ギャハハハハ!」バシバシ

春香「……ーーーっ!!

バカバカバカバカバカァ!!!」

オバケ「!?」

春香「最悪!!あっち行け!!このこのこのぉ!!」ブンブン

オバケ「オ、オゥ……?」フッ

春香「はぁ、はぁ、何なの今のオバケ!」

春香「脅かすだけなんてタイミング悪すぎるよ!」

春香「何とかギリギリ我慢できたけど……」

春香「も、もう限界……!」


春香(……ちょっと待って)

春香(トイレの鍵もかかってる……なんてことはないよね?)


春香「……………」サァーッ

春香「お、お願いだから鍵開いてて……!!」


ガチャ

「ひっ!?」

春香「あ、開いてる!間にあった……!!」

春香「………ふう」

春香「危ないところだった……」

春香「……そういえば、さっき誰かの声が聞こえたような……?」


「………春香……ちゃん?」


春香「!?」ビクッ

春香「だ、誰?」


「春香ちゃん!春香ちゃんだ!よかったぁ……!!」グスン

春香「あ、その声は!」

雪歩「私だよ、雪歩だよぉ!」

春香「雪歩!こんなところにいたんだ!」

雪歩「ここにはオバケがいないから、ここに隠れてたの……」グス

春香「無事でよかった、てっきりオバケに捕まったのかと……」

雪歩「何度も捕まりそうになったけど、なんとか逃げ切って……」

春香「それにしても、よく雪歩がこんなところに来たね。貴音さんの次ぐらいにオバケとか苦手なのに」

雪歩「こんな怖いところだとは思わなかったんだよぅ……

というか、春香ちゃんもオバケは苦手だったんじゃ」

春香「あーあー聞こえない聞こえない

……まあ、私もこんなところだとは思ってなかったんだけどね」

春香「でも、プロデューサーさんに何かあったなら、私たちが助けてあげなきゃ」

雪歩「春香ちゃんらしいね。

それで、プロデューサーは見つかったの?」

春香「ううん、まだ手がかりも見つかってないんだ……」

雪歩「そっか……プロデューサー、大丈夫かなぁ……

あっ、そういえば!」

春香「?」

雪歩「手がかりになるかはわからないけど、こんなものを拾ったんだ」

春香「なになに……

あ、これ!」

雪歩「うん、プロデューサーの手袋だよ」

雪歩「大きくPって刺繍されてるからプロデューサーのってわかったけど、手作りなのかな?

……どうしたの春香ちゃん?」

春香「……これ、私がプレゼントしたやつなんだ……」

雪歩「え、そうなの?」

春香「うん、先月プロデューサーさんの誕生日だったでしょ?

だから誕生日プレゼントに手編みであげようと思って、響ちゃんに教えてもらいながら作ってたんだけど、なかなか上手く行かなくて……」

雪歩「で、結局プレゼントできたのは……」

春香「………先週」

雪歩「ありゃ」

春香「もう手袋なんて季節外れだし、プロデューサーさんもあんまり嬉しくないだろうなと思ってたのに……」

雪歩「季節外れでも、プロデューサーはちゃんと使ってくれてるみたいだね」

春香「えへへ……嬉しいな……」テレテレ

雪歩「ふふ。

でも、手袋だけ落ちてるってことは……」

春香「うん。プロデューサーさんに、何かあったのかもしれない。早く助けてあげなきゃ」

雪歩「そうだね、私も手伝うよ。

あっ、そうだ。手袋とは別の場所で見つけたんだけど……」チャリン

春香「あっ鍵!ナイスだよ雪歩!

えっと、この鍵は……」


春香「………占い部屋?」

占い部屋


春香「ここが占い部屋……」

雪歩「お、オバケはいないのかな……?」

春香「あ、水晶玉だ。本格的だなぁ」

雪歩「そうだね……って春香ちゃん、何かこの水晶玉光ってない?」

春香「え?

ほ、ホントだ……このライトの光に反応するのかな?」カッ

雪歩「だ、大丈夫なの?」

春香「多分……」


ボワワン

二人「!?」


『……………』

春香(お、オバケが出てきた!?)

雪歩(だからやめようって言ったのに!)

春香「え、えっと……」


『……妾に何用じゃ?』

二人「!」

春香(え、今喋ったのかな?)

雪歩(もしかしたら、話が通じるかもしれないよ)

春香「あ、あなたは?」

『妾は落し物占いを生業としているミエールと申す者。』

春香「占い師?」

雪歩「あの、あなたはオバケなんですか?」

ミエール『オバケはオバケだが、別にお主らをとって食おうなんてことはせん。妾はここで占いができれば満足じゃ。』

雪歩(わ、悪いオバケじゃないのかな……?)

春香「あの、落し物占いっていうのは?」

ミエール『名の通りじゃ。落し物からその持ち主やその周りに関するいろいろなことを読み取ることができる。

誰かの落し物でも拾ったらここへ持ってくるが良い。妾の占いの実力、とくと見せてやろう。』

春香「はぁ」

雪歩「春香ちゃん、落し物なら……」

春香「え?……あっ

あの、それじゃあこれ、占ってもらえませんか?」

ミエール『ほう、よいぞ。

むむ、これは……プロデューサーの手袋か。手編みのようじゃな、丁寧さもさることながら、作り手の愛情がよく篭っておる。』

春香「………///」カァ

雪歩「春香ちゃん……」ハハ

ミエール『……ん?プロデューサー?妾は今プロデューサーと言ったのか?』

春香「え?」

ミエール『プロデューサーとは何ぞや。そもそもお主らはこんなオバケ屋敷に何をしに来たんじゃ?』

雪歩「えっと、プロデューサーっていうのは……」


?????


ミエール『ほう。つまりお主らはアイドルで、そのお主らの面倒を見ているプロデューサーとやらがこの屋敷で行方不明となったと。』

春香「はい。私たちはそのプロデューサーさんを捜しに来たんです」

ミエール『オバケに囚われたか、ただ単に屋敷の奥に進んだだけか……。

しかしお主ら、まだ若いのに感心なこと。気に入った、プロデューサーの落し物を拾ったらここへ持ってくるがよい。妾も占いで手助けをしてやろう。』

春香「あ、ありがとうございます!」

ミエール『さて、それでは早速この手袋を占ってみせよう。

………はぁ!!』カッ

春香「……………」

ミエール『……むむ、見えた。お主らのプロデューサーは……死んではおらぬ。』

春香「!」

ミエール『死んではおらぬが、生きているとも言い難い……どこかに閉じ込められてでもいるのだろうか、何やら生気が感じられぬ……。』

雪歩「え……」

ミエール『……うっ、力が足りんか……。

この落し物でわかるのはここまでのようじゃ。もっと知りたくば、他の落し物を持ってくるといい。』

春香「はっ、はい、わかりました」

雪歩「ありがとうございますぅ」

雪歩「悪いオバケじゃないみたいだね」

春香「そうだね……。

プロデューサーさん、どこかに閉じ込められてるんだってね……」

雪歩「で、でも死んではないって言ってたし、それって閉じ込められてるだけで無事だってことなんじゃないかな?」

春香「そうだね。それなら大丈夫だね」

雪歩「それで、これからどうするの?」

春香「うーん、どうしようかなぁ……

……落し物、探してみてもいいかもね」

雪歩「落し物かぁ……確かに、それが今の1番の手がかりになりそうだしね」

春香「じゃあ、私はテレサとかオバケを捕まえながら屋敷を明るくしていくから、
雪歩は明るくなったところを探してくれないかな?」

雪歩「うん、わかった」

春香「一人で大丈夫?怖くない?」

雪歩「む、心外だなぁ。
怖くないわけじゃないけど、明るいところを探すぐらいなら大丈夫だよぅ」プンプン

春香「あはは、確かにね」

雪歩「それに、春香ちゃんだって本当は……」

春香「……はは、そうだね。

本当は足だって震えてるし、今すぐにでも逃げ出したいくらい怖い……」

雪歩「……………」

春香「……でも、だからって逃げ出すわけにはいかないんだ」

雪歩「……そうだね。プロデューサーが待ってるもんね」

春香「それに、雪歩と会えたから怖いのもいくらか紛れたし」

雪歩「それは偶然なような……」

春香「偶然でも、私にとっては嬉しかったんだよ」

雪歩「ふふ、それはお互い様だよ。

よーし!そうと決まれば、二人でプロデューサーを見つけるぞー!」

春香「おー!」

裏庭


春香「雪歩と別れたはいいけど……」

春香「やっぱり、暗いところはまだ怖いなぁ……」ビクビク

春香「早く通っちゃおう……」


ガチャガチャ

春香「え、ここも鍵いるの?」

春香「ということは、この裏庭のどこかに鍵があるのかな……?」


春香「………あの井戸、何か怪しいな……」

春香「降りて行ったらいきなり襲われる、なんてことはない……よね?」

春香「……よし、降りてみよう」

井戸の底


春香「降りてみたはいいけど……」

春香「オバケもいないし鍵もない」

春香「ここじゃなかったのかな……」

春香「……ん?何かあっちから光が……?」

春香「行ってみよう」


????


春香「この穴から光が……どこかに繋がってるのかな」

春香「ちょっと覗いてみよう、よいしょ」

春香(一応声は出さないように……)

春香(うわ、すごく綺麗)

春香(ここって、屋敷の地下なのかな?)

春香(屋敷の地下にこんな豪華な祭壇があるなんて……)

春香(でも、何のための祭壇なんだろう?

………ん?部屋の奥に何か……?)

春香(……え?……えっ!?

うそ、そんなことって……!でも、見間違えるはずないよ!だって、だってあれ……!!)




P(絵)『出ーしてくれーー!!!』


春香(プロデューサーさん!!)

春香(何あれ!どういうこと!?何でプロデューサーさんが絵の中に!?)

春香(それにプロデューサーさんの前にいる大きな白いオバケ……もしかしてあいつが親玉!?)

春香(プロデューサーさんをあんな風にしちゃうなんて……許せない!)

春香(プロデューサーさん、今助けますからね!)


ぐっ ぐぐっ

春香(うそ、ここ通れない……!)

春香(目の前にプロデューサーさんがいるのに……!!)


P『助けてくれーー!!』

春香(プロデューサーさんっ……!!)グググ

春香「……………」

春香「プロデューサーさんは見つかったけど……」

春香「まさかあんな風にされてるなんて……」

春香「……でも、場所はわかったんだ。あの部屋に行く方法を探そう」

春香「そのためにもまず、先に進まなきゃ!」

春香「……あっ、何か落ちてる」

春香「これは……携帯電話?」

春香「あっ、もしかしてプロデューサーさんのかな?」

春香「これも落し物にだよね。あとでミエールさんに占ってもらおう」

春香「……あれ、何かメッセージが残ってる?

どれどれ……」


『テレサに気をつけろ春香』

雪歩「何かないかな……」

雪歩「あっ、この黒カバンは……」

雪歩「えっと、中身を見てもいいよね?」

雪歩「どれどれ……何これ、765プロ全国ライブツアー企画書……!?」

雪歩「こ、これ、まだみんな知らされてない企画なんじゃ……!」

雪歩「どうしよう、勝手に見ちゃった……」

雪歩「と、とにかくこれはプロデューサーのだね」

雪歩「あっ、春香ちゃん!」

春香「雪歩。どうだった?何か見つかった?」

雪歩「うん、二つも見つけちゃった。このカバンと、こっちの名刺」

春香「私も二つ見つけたよ。携帯電話とこの靴かな」

雪歩「すごいすごい、四つも見つかったんだ。これならミエールさんも何かわかるかもしれないね」

春香「そうだね。私も今行ける部屋は大体探してみたし、ちょっと見てもらいに行こうか」

雪歩「うん」

春香「………あのさ、プロデューサーさんのことなんだけど……」

雪歩「え、何かわかったの?」

春香「実は………」

雪歩「え!?絵!?」

春香「ベタ」

雪歩「ご、ごめん春香ちゃん。

でも、絵の中に閉じ込められてるなんて……」

春香「わからないよ。
あれが本物のプロデューサーさんかもわからないし、そもそもあの時私が見た光景が本物なのかもわからない。
でも、地下に何かがあるのは確かな気がするんだ。だから地下に行く方法を探さないと」

雪歩「そうだね。ミエールさんにも聞いてみよう」


占い部屋

ミエール『何?地下へ行く方法とな?』

春香「はい」

ミエール『ううむ、妾はずっとこの部屋におるからのう。正直なところ、屋敷のちゃんとした構造もわからんのじゃ。』

春香「そうなんですか……」

ミエール『すまぬな、そこでは力にはなれぬ。』

雪歩「いえ、いいんです。それは自分達で何とかします」

ミエール『しかし、占いなら力を貸せるぞ。落し物は持ってきたか?』

雪歩「あっ、はい。えーと、これです」ドサッ

ミエール『ほう、四つもか。靴にカバンに電話に……名刺か。』

春香「あのもしかして、いっぺんに持って来すぎちゃいましたか?」

ミエール『なんの、これくらいの方が占いがいがあるというもの。少し待っていろ……。


………はぁ!!』カッ

春香「……………」

雪歩「……………」


ミエール『………見えた。が、お主らが既に知っている情報もいくらかある。
それらを改めて説明してやってもよいが、どうする?』

春香「いえ、私たちが知らないことを先に」

ミエール『ふむ、では話そう。
お主らが見たように、お主らのプロデューサーは絵の中に閉じ込められておる。
にわかには信じられんかもしれんが、それはまやかしでも幻でもない本物じゃ。

そのプロデューサーを絵の中に閉じ込めたのはテレサ達、そしてそのテレサ達の親玉キングテレサじゃ。
キングテレサは通常のテレサより大きく、赤い王冠を被っている。』

春香(あの祭壇にいたテレサだ……!)

ミエール『知っているようじゃな。
そしてそのテレサ達はオバキュームなるものを恐れている。
春香殿、お主が背負っておるその掃除機のことじゃ。
春香殿は既に何匹かのテレサを捕らえたようじゃな。』

春香「えっと、23……いや、4かな?それくらいです」

ミエール『それだけ吸い込めば、既にテレサの不思議な力もいくらかは弱っているだろうて。
しかし気をつけるのじゃ。お主らを恐れたテレサ達が、ここらで徒党を組んで反撃して来るやもしれん。』

春香「……………」ゴクッ

ミエール『最後に、今プロデューサーが見ている光景を。
今プロデューサーの前には、キングテレサの他に大魔王クッパがおる。』

雪歩「大魔王……クッパ?」

ミエール『知らんのも無理はない。クッパは以前、マリオという英雄に倒されたはず。
そもそも妾達とお主らは住んでいる世界線が少し違うようじゃ。』

雪歩「??」

ミエール『あまり深く考えるでない。これ以上は知らぬとも良いことじゃ。』

ミエール『それよりも、妾も驚いた。まさかクッパが復活しておるとは……キングテレサが復活させたとでもいうのか?
信じられんが、もしクッパがこの屋敷のどこかに存在しているというのならば、それはお主らのみではなく、こちらの世界全体への脅威になりかねん。』

春香「そんなに強いんですか?」

ミエール『少なくとも、大魔王の名に恥じない程度の実力はある。
まあ、あのクッパが本物という保障はないんだがな。

……ふう。今の占いで力を使いすぎたようじゃ……力が抜けて行く……。』

雪歩「だ、大丈夫ですか!?」

ミエール『心配は無用。妾とて元よりオバケ、既にこの世から消えた身。
それに、占いの中で力を使い果たすなど、占い師の最期としては本望なり。』

春香(そんなもんなのかなぁ……)

ミエール『礼を言うぞ、春香殿、雪歩殿。最後にこれを渡しておこう。』

春香「これは……鍵?」

ミエール『どこの鍵かは知らんが、お主らの助けになるじゃろう。
それでは、妾も絵の中に戻るとしよう。久しぶりに占いができて楽しかったぞ。
春香殿、遠慮なく吸い込んでくだされ。』

春香「は、はい。ありがとうございました、ミエールさん」

ミエール『キョーッホッホッホ……。』


スポッ


春香「……何だか、悪いことしちゃったみたい」

雪歩「優しいオバケもいるんだね。オバケがみんなこうならいいのに」

春香「そうだね」

春香「ところで、この鍵はどこの鍵だろう?」

雪歩「地下の鍵だといいね」

春香「ちょっと調べてみるね……何だ、地下の鍵じゃないのか。えっと……3階?」

雪歩「3階は初めてなんじゃない?」

春香「そういえばそうだね。

3階かぁ……うぅ、何か嫌な予感がするなぁ」

雪歩「え?」

春香「さっきミエールさんが言ってたでしょ?テレサが反撃してくるかもしれないって」

雪歩「うん」

春香「もしかしたら、3階で待ち構えてるとかじゃ……」

雪歩「あー、あり得るかも」

春香「でしょ?そう考えたら、さ。

何だか今になって、急に怖くなってきちゃって……」プルプル

雪歩「春香ちゃん……」

春香「えへへ、ごめんね。私しかオバケとは戦えないのに、その私がこんな風になっちゃって……」

雪歩「……………」

春香「でも、行かないわけにはいかないよね。
雪歩に危ない目にあわせるわけにはいかないから、雪歩はどこか安全なところで待ってて。
それじゃ、ちょっと行ってくるね……」



雪歩「……ねえ、春香ちゃんって」

春香「?」




雪歩「プロデューサー、大好きなんだね」



春香「うん…………

え?



えええええ!!?」

雪歩「やっぱり」

春香「やっぱり、じゃないよ!何言い出すの急に!」

雪歩「何って、別に深い意味は……」

春香「タイミングおかしいでしょ!何でこのタイミングなの!?」

雪歩「それより、やっぱりプロデューサーのこと好きなんだね」

春香「すっ……!?……え、えっと、まぁ……少し、は?」

雪歩「少し?」

春香「………結構………」

雪歩「ん?」ニヤニヤ

春香「…………大……す……

………にゃー!!」

雪歩「!?」

春香「うるさいうるさいうるさい!雪歩には関係ないじゃん!」ポカポカ

雪歩「い、痛いよ春香ちゃん痛い!」

春香「うぅ、酷いよこんな誘導尋問……」グスッ

雪歩「あ、あはは……」

春香「大体雪歩普段こんなこと言わないじゃん!どうしちゃったの急に!」プンスカ

雪歩「だ、だって、春香ちゃんが元気無かったから……」

春香「!」

雪歩「こんな元気のないままじゃ、もしかしたらオバケにやられちゃうかもと思って……」

春香(……そういえば、いつの間にか足の震えが止まってる……)

雪歩「だから、ちょっとからかうと言うか、励ましてあげようと思ったんだけど……」

春香「雪歩……」

雪歩「ちょ、ちょっと見当違いだったかな?やっぱり慣れないことは……」

春香「………雪歩」

雪歩「ふぇ?……ふぁ」ムニュ

春香「………いじわる」ムィーッ

雪歩「い、いひゃいいひゃいなんへつねるの!」パタパタ

春香「はい、おしまい」パッ

雪歩「ふえぇ、痛いよぉ…」ヒリヒリ

春香「私だって恥ずかしかったんだからね!お返しだよ!」

雪歩「そんなぁ……」ヒリヒリ

春香「……でも………

それ以上に、元気出たよ。ありがと雪歩」

雪歩「!……えへへ、役に立ててよかった。

でも、強くつねりすぎだよぅ!」ビシッ

春香「ご、ごめん。

……それじゃ、行ってくるね!」

雪歩「うん、頑張ってね!」

3階 バルコニー


春香「バルコニーかぁ……何がいるんだろ」ガチャ


ビココココココココ!

春香「!?」ビクッ

春香「れ、レーダーが……」

春香「このバルコニーにもテレサが?」キョロキョロ

春香「……っ!!

バルコニーの真ん中に……白いのがいっぱい……?」

春香「もしかして……あれ全部テレサなのかな……?」

春香「……………」ゴクッ

春香「……こ、ここまで来て引き下がらないよ!」

テレサ「ケケケ……ん?」

テレサ「おい、何か来たぞ」


春香「…………!」


テレサ「ケケケ、オバキューム女がのこのこやって来たよ」

テレサ「ようやく私たちの出番ってわけね」

テレサ「よし皆、元の姿に戻るんだ」

テレサ「その前にちょっと怖がらせてやろうよ!」


フッ

春香「……あれ、消えた?」



テレサ「「「「「バアァーッ!!!」」」」」

春香「いやああああああ!!?」

春香(い、いつの間に囲まれ……!?)


「ケケケ」「ケケケケ」「グゲゲ」「キャハハハ」「ゴガゲゲゲ」「カカカカ」

ぐるぐる
ぐるぐる



春香「ひ、ひぃ……!!」ガタガタ

テレサ(ケケケ、ビビってるビビってる!)

テレサ(もうそろそろいいんじゃない?)

テレサ(そうだな。じゃあ皆、今度こそ元の姿に戻るぞ!)


テレサ「「「「「ケケーッ!!!」」」」」

春香「ひやあああ!!」ガバッ

春香「…………はれ?」

春香「いなくなった……わけないよね……?」


『ギャハハハハ!』

春香「!」

春香「今の声……どこ!?」


『よお、後ろには気をつけろよ?』

春香(後ろ!?ううん違う!今の声は……)


『まあオレたちは……』


春香(上!?)


『ここだけどなぁーっ!!』

春香「う、うわわわわわ!!」


ズウゥゥン……

春香「あ、危なかった……!」

テレサ『ケケッ、よくかわしたな!』

春香「で……でか……!」

テレサ『んん?オレたちテレサってのはたくさん集まれば色んなことができるんだ。
こんな風に合体してでかくなることもな!
そうだな……ジャンボテレサとでも言っておくか!』

春香(こんなのどうやって吸い込めば……)

テレサ『おっと、吸い込もうったって無駄だぞ!こんな大きな体を吸い込むなんて無理な話だからな!』

春香(……ううん、諦めちゃダメだ!きっと何か方法はあるはず!)キッ

テレサ『お?』

春香「さ、さあ、かかってきなさい!絶対負けないんだから!」

テレサ『ケケケ、言うじゃねえか!それじゃあ一思いに潰してやるぜ!』

春香(来るっ!)

テレサ『おらぁ!』

春香「!」サッ

ズウゥゥン

テレサ『外したか、もう一度だ!』

春香「わっ!」サッ

ズウゥゥン

テレサ『このぉ、ちょこまかすんじゃねえ!』

春香「そんなゆっくりな攻撃当たらないよ!今度はこっちからだ!」

テレサ『へえ、どうするつもりだ?』

春香「こうするんだよっ!!」ギュイーン

テレサ『お、おおお!?』

春香「えぇーいっ!!」

テレサ『なんの、吸い込まれてたまるか!』

春香「…くぅ……!

(動きを止めるのが精一杯……やっぱりこのままじゃ吸い込めないか……)

うぬぬぬ……!」

テレサ『いい加減に……しやがれ!』グイッ

春香「うわっ!」

テレサ『だから言ったろ無理だって!諦めるんだな!』

春香(大きいままじゃ勝ち目がない……何とかしてあいつを小さくしないと!)

春香「うわわっ!」

テレサ『ほらほら、まだまだ行くぜ!』

春香(あいつを小さくする方法……何か……)


ゴンッ

春香「痛っ!何かにぶつかった……石像?

これ、何の像かな?……ユニコーン?」

テレサ『もう逃がさねーぞ!そこで大人しく潰れな!』

春香「!?(やば、逃げ遅れた!)」

テレサ『くらえーっ!!』

春香「う、うわわわ!!」ギュッ


ブスッ

春香「………え?」


ぽんっ

テレサ「「「「「うわあああっ!!」」」」」


春香「!?」

テレサ「何やってんだお前!周り見てつっこめよ!」

テレサ「だからユニコーンのツノには気をつけろって言ったじゃねーか!」

テレサ「ご、ごめん!」

春香「え、え!?何があったの!?

(何か刺さった音がしたと思ったら、テレサが小さく……?

何だかわからないけど、これってもしかして……)

チャンス!!」

テレサ「ゲッ!?」

春香「どりゃーっ!!」ギュイーン

テレサ「ひええええ……」スポッ
テレサ「やめろおおお……」スポッ

春香「よっしゃ!!」

テレサ「お前のせいで仲間が吸い込まれたじゃねーか!それも2人も!」

テレサ「お前もうユニコーンに絶対近づくなよ!」

テレサ「ごめん、次から本当に気をつけるから!」

テレサ「ねえ、それより早く元の姿に戻らないと!」

テレサ「そ、そうだな!よし、お前ら元に戻るぞ!」

「「「「「ケーッ!!」」」」」


ボワワワン………

ズウゥゥン

テレサ『ケケケケ!!』

春香「あぁ、元に戻っちゃった……」

テレサ『さっきのはちょーっと油断しただけだ!もうお前に勝ち目はなーい!』

春香「(さっきあいつら、何て言ってた……?ユニコーンの……ツノ?)

あっ、もしかして!!」

テレサ『ああ?』

春香「えーい!」ギュイーン

テレサ『うお!?』

春香「うぐぐ……」

テレサ『だからさっきも言っただろ!オレたちを吸い込むのは無理だって!』

春香「吸い込めなくても……こうやって引っ張って動かすことはできるよ!」ズルズル

テレサ『それがどうしたって……』

春香「そうして、あなたたちを……」ズルズル

テレサ『……ん?』

春香「こうやって、ユニコーンのツノに……」

テレサ『おい、まさか……!』

春香「ぶつけてやれば!!」グイッ

テレサ『やめろおおお!!』


ブスッ

ぽんっ


テレサ「「「「「うわあああっ!!」」」」」

春香「やっぱり!尖ったものに弱いんだ!」


テレサ「お前のせいで完全にバレてるじゃねーか!」

テレサ「全部オレのせいかよ!」

テレサ「お前のせいだから言ってんだよ!」

テレサ「ケンカしてる場合じゃないでしょ!」


春香「何かケンカしてるけど……さあ、反撃開始だよ!!」

テレサ「うわあああ……」スポッ
テレサ「いやあああ……」スポッ

春香「よし!こっちも!」

テレサ「くそおおお……」スポッ
テレサ「あーれー……」スポッ


テレサ「どうすんだよ!どんどん吸い込まれてるじゃねーか!」

テレサ「うわあああ全部オレのせいだー!」

テレサ「落ち着け!」

テレサ「逃げ回ってるだけじゃダメだ、こっちからも攻撃するんだ!」

テレサ「オー!」

春香「次はこっち……」

テレサ「いい加減にしやがれ!!」ドカッ

春香「ふぎゃ!」


テレサ「いい気になってんじゃねーぞ!」

春香「痛たた……」

テレサ「スポスポスポスポ仲間を吸い込んでくれやがって!」

テレサ「そろそろオレたちも本気出すからな!」

テレサ「後悔してももう遅いわよ!」

春香「フンだ!私だって、あなた達なんかには絶対負けないんだから!」

雪歩「春香ちゃん大丈夫かな……」

雪歩「私も何か手がかりを探さなきゃ」


1階 廊下


雪歩「もうこの辺りは明るくなってるね」

雪歩「まるっきり怖くない、ってわけじゃないけど、明るいだけでだいぶ気持ちが落ち着くなぁ……」

雪歩「あれ、あんなところに扉あったんだ」

雪歩「……そういえば、あっちの方ってまだ見てなかったような……」

雪歩「よし、いってみよう」

雪歩「……………」ドキドキ

ガチャ

雪歩「うわっ、暗い……」

雪歩「……オバケはいないみたいだね」

雪歩「よ、よし」ギイィ


雪歩「あっ、下に降りる階段だ」

雪歩「ここから地下に進めるのかぁ……」

雪歩「……こっちの扉は開いてないみたい……こっちはどうかな?」ガチャ

雪歩「あっ、開いてる!」ギイィ

雪歩「……これは……何だろう、ブレーカーかな……?」

3階 バルコニー


テレサ「うわあああ……」スポッ

春香「はぁ……はぁ……あと3匹……!」

テレサ「おい、もうこれだけしか残ってないのか!?」

テレサ「何だよこいつ、おどかしても全然ビビらねーぞ!」

テレサ「うぅ……うわああ!!」

テレサ「あっ、バカ!」

春香「いただきっ!」ギュイーン

テレサ「やっぱりいいい……」スポッ

春香「あと2匹……」

テレサ「おらぁ!!」ドカッ

春香「っ……!!」ドサッ

テレサ「いい加減に……!?」

春香「……ま、まだまだぁ……!!」グググ

テレサ「な、何なんだよ……!?」

春香「ぜ、全然効いてないよ!」

テレサ「ウソつけ!フラフラじゃねーか!」

テレサ「今ならオレでも……」

テレサ「あっ、おい!」

春香「でぇーい!!」ギュイーン

テレサ「何でえええ……」スポッ

春香「よぉし!ラスト一匹!!」

テレサ「な、何だってんだよこの野郎!とっとと諦めちまえよ!」

春香「最初に言ったよ、私は絶対絶対諦めないって!」

テレサ「うぐぐ……」

春香「私を信じて待ってくれてる人が、

私の助けを待ってる人がいるんだ!

その人たちに応えるまで、

私は絶対、負けられないんだから!!」

テレサ「う……うるせー!こうなりゃヤケだ!うりゃー!!」

春香「えーいっ!!!」ギュイーン

テレサ「ちくしょおおお……」スポッ


春香「はぁ……はぁ……


やっ……たーーっ!!」

春香「ぷはっ」ドサッ

春香「はぁー……流石に疲れたな……」


コツン

春香「あ痛っ」

春香「ん、鍵だ。えーと、ダイヤの形……あっ、すぐそこの鍵か」

春香「でも流石にちょっと休憩……そうだ、雪歩に連絡しとこう」ピッ


雪歩『春香ちゃん?どうしたの?』

春香「あ、雪歩。そっちは大丈夫?」

雪歩「うん、襲われたりはしてないよ。春香ちゃんは?」

春香「やっぱりミエールさんの言う通りだったね。3階にどえらいオバケがいたよ」

雪歩「ええっ!?大丈夫だったの!?」

春香「結構やられちゃったけど、なんとかね」

雪歩「よかったぁ、何かあったらどうしようかと……」

春香「そんな大げさだよ。でも、流石に疲れたからちょっと休憩。
雪歩は何か見つけた?」

雪歩「あっ、そうだった。春香ちゃん、地下に行く扉を見つけたよ」

春香「えっ、本当!?」

雪歩「うん、まだ地下の奥に進む扉の鍵はかかってるけどね」

春香「そっか……でもよかった、こっちが終わったら合流……」


ゴロゴロゴロ……

春香「え?」


ピシャアーン!!!

春香「うわあああ!!?」

雪歩『なになに!?雷!?』

フッ

春香「あっ、電気が……!」

雪歩『は、春香ちゃん!電気が!電気が消えちゃったよぉ!!』

春香「雪歩落ち着いて、大丈夫だから!」

雪歩『どうしよう春香ちゃ……

ひっ、お、オバケ……!!』

春香「!?」

雪歩『いやぁーーーっ!!!』ダダダダ


ブツッ

春香「あっ、雪歩!雪歩!?」

春香「そんな……」

ツーツーツー

春香「!?」

春香「博士からだ!」ピッ


オヤマー『大変じゃ春香くん!今の雷で屋敷が停電してしまったようじゃ!』

春香「ええっ!?」

オヤマー『うむ……今までに明るくした部屋もまた暗くなってしまったようだわい。
しかも停電中は部屋のオバケを全部吸い込んだとしても明かりはつかんようじゃ……』

春香「何でまたタイミングの悪い……」

オヤマー『加えて、今までに明るくした部屋にも再びオバケが出るようになっとる。
暗闇はきゃつらの独壇場、気をつけるんじゃぞ』

春香「何か方法は無いんですか?」

オヤマー『オバキュームが無い以上、ワシが動くことはできん。
ただ、その屋敷のどこかに配電室があったはずじゃ』

春香「配電室?」

オヤマー『うむ。そこにあるブレーカーでもあげてやれば、停電も直るじゃろうて』

春香「配電室ですか……ありがとうございます」

オヤマー『うむ。
ところで、友達とは合流できたのか?』

春香「え?……あっ、雪歩!!」

オヤマー『!?』

春香「すいません、また後で連絡します!」

オヤマー『お、おう、気をつけるんじゃぞ』ピッ

春香「こうしちゃいられない、早く雪歩を探しに行かないと……」


ツーツーツー

春香「!」ピッ


雪歩『……春香ちゃん……?』

春香「雪歩!大丈夫なの!?」

雪歩『うん、最初に隠れてたトイレに逃げて何とか……』

春香「よかった……」

雪歩『どうして急に電気が消えちゃったんだろう……』

春香「さっきの雷で、屋敷が停電しちゃったらしいんだ」

雪歩『停電?』

春香「うん、だから今から配電室を探して、ブレーカーを上げないと」

1階 トイレ


雪歩「配電室かぁ……あっ、もしかして」

春香『えっ、知ってるの?』

雪歩「うん、さっき見つけたんだ」

春香『じゃあ、場所教えてくれないかな?今から行ってくる……うわ、わっ!』ドテ

雪歩「春香ちゃん!?」

春香『ご、ごめんごめん、何でもないよ。それじゃあ場所を……』


雪歩(……春香ちゃん……きっと疲れてるんだろうな……

……よし)

春香『……雪歩?』

雪歩「春香ちゃん、今3階のバルコニーにいるんだよね?」

春香『え?うん、そうだけど……』

雪歩「そこにはオバケは出てくる?」

春香『いや、今はいないけど……どうしたの?』

雪歩「じゃあ、春香ちゃんはそこで休んでて。

私が配電室まで行ってくるよ」

春香『えっ!?危ないよ雪歩!』

雪歩「大丈夫。そこから行くより私が行った方が断然近いから」

春香『でも……』

雪歩「それに、春香ちゃんさっきまでオバケと戦ってて疲れてるでしょ?」

春香『そ、そんなことないよ!私なら大丈夫だし……』

雪歩「いいからいいから、春香ちゃんはちょっと休憩!

プロデューサーを助けたいのは、春香ちゃんだけじゃないしね」

春香『雪歩……』

雪歩「それじゃ、ちょっと待っててね。すぐ明るくしてくるから!」

春香『……わかった、ありがとう。

でも、気をつけてね?』

雪歩「任せて!」ピッ

雪歩「……さて」

雪歩「春香ちゃんは、廊下には大したオバケは出てこないって言ってたし……」

雪歩「私でもきっと……!」ガチャ


チューチュー
バサバサ

雪歩「ひぅん!?」ビクッ

雪歩「……な、何だ、ネズミとコウモリか……」

雪歩「…………」ビクビク

雪歩「えっと、こっち……」


オバケ「バァーッ!!」

雪歩「ひゃあああああ!!!」

オバケ「ケケケケ!ケケケケ!」

雪歩「ひ、ひぃぃ……あ、穴掘って……

埋まっちゃ……ダメッ!!」キッ

オバケ「?」

雪歩「えいっ!」ピカッ

オバケ「!?」ドッキリ

雪歩「えーーーいっ!!」

ダダダダ……


雪歩「……はぁ、はぁ……こ、怖かったぁ……」

雪歩「でも、やっつけられなくても、ああやって動きを止められれば……」


オバケ「バァーッ!!」

雪歩「ひいぃぃん!!」

雪歩「はぁ、はぁ、はぁ……

な、何とか着いた……」

雪歩「ここのブレーカーを上げればいいんだよね?」


ガチャガチャ

雪歩「……あれ?鍵がかかってる……」

雪歩「さっき来た時は開いてたなのに……」

雪歩「間違えたのかな……?ううん、たしかにここだったはず……」

雪歩「どうしよう、鍵なんて持ってないし……」

雪歩「……しょうがない、かくなる上は……」ゴソゴソ

雪歩「てやあっ!」


バキャッ

春香「……………」

春香「雪歩……明るく振舞ってはいたけど……声震えてたな……」

春香「大丈夫かなぁ……」


パッ

春香「!」


?????


雪歩「これで……大丈夫かな?」


パッ

雪歩「やった、明るくなった!」

雪歩「これでオバケもいなくなるかな」

雪歩「……でも……」


扉「」ボロー

雪歩「スコップで扉壊しちゃうのは、ちょっと乱暴だったかな……?」

春香「よかった、雪歩大丈夫だったんだ」

春香「……ところで、今何時くらいなんだろう……」

春香「……………」ウトウト


雪歩「春香ちゃん!」タタタ

春香「……はっ、雪歩?」

雪歩「大丈夫だった?」

春香「うん、何とかね。雪歩こそ大丈夫だったの?」

雪歩「もちろん!鍵だってほら!」

春香「おお!ありがとう雪歩!」

雪歩「えっへん!

……って、ああ!」

春香「!?」

春香「ど、どうしたの?」

雪歩「春香ちゃん怪我してる!腕も、足も!」

春香「なぁんだ、そんなことか」

雪歩「そんなことなんかじゃないよ!
えっと……そうだ、私救急箱持ってきてるんだ」

春香「何でまたそんなものを……」

雪歩「プロデューサーや春香ちゃんが怪我してるかもしれないと思って、慌てて詰め込んできたんだ。

ほら、ちょっと見せてみて」

春香「あ、うん。

……ありがとね、雪歩」

雪歩「ふふ、お安い御用だよ」

雪歩「……はい、これでよし」パン

春香「おお、痛くない」クイクイ

雪歩「ふふ。それで、これからどうするの?」

春香「んーと、こっちのダイヤの鍵がすぐそこで、雪歩が持ってきてくれた鍵が……屋上?」

雪歩「このお屋敷屋上なんてあったんだね」

春香「うーん、屋上かぁ……屋上も何かありそうだなぁ……」

屋上


オバケ「ギャアアアア……」スポッ


パッ

春香「……というわけで特に何もありませんでした」

雪歩「何もないに越したことはないんだけどね」

春香「それもそうだね。でもこの屋上結構広いなぁ」


ツーツーツー

春香「あっ、博士からだ」ピッ

オヤマー『やぁ春香くん。お友達は無事だったかの?』

春香「はい、二人とも大丈夫でした」

オヤマー『それはよかったわい』

オヤマー『ところでお前さん達、なかなか順調なようじゃの。

ここらで一つ、ワシから耳寄りな情報を教えてやろう』

春香「え、何ですか?」

オヤマー『絵のオバケやテレサの他に、弱いオバケがウヨウヨおるじゃろ?
きゃつらはみんなセニョール・プジィというオバケが生み出しておるんじゃ』

春香「オバケがオバケを?」

オヤマー『セニョール・プジィは画家のオバケなんじゃ。
きゃつがキャンパスに描いたオバケが絵から抜け出して屋敷中をウロウロしておる』

春香「そうだったんだ……」

オヤマー『画家は絵に命を吹き込むというが、オバケの画家はオバケを生み出す。
ワシがかつてきゃつを捕らえた時はどこかのアトリエだったぞい。その屋敷にもアトリエがあるなら、恐らくそこにおるじゃろ。
では、頑張るんじゃぞ!』

春香「わかりました、ありがとうございます!」ピッ

雪歩「アトリエかぁ……この屋敷のどこかにもあるかもね」

春香「どうしよう、先にアトリエを探してもいいかな?」

雪歩「でも、鍵がないと開かないんじゃ……」

春香「そうだった……まずはこの屋上でゲットした鍵を……」


3階 アトリエの鍵


2人「」

春香「そ、そんなことってあるんだねー……」

雪歩「で、でもラッキーだよ!これで屋敷のオバケがいなくなるよ!」

春香「そ、そうだね!よし、そうとわかれば早速向かおう!」

アトリエ


2人「……………」


『…………』

春香(……あの絵を描いてるのがオバケなのかな?)

雪歩(多分、そうじゃないかな)


『キミ達かね!私の生み出したオバケを好き勝手に吸い込んでいるのは!』

2人「!?」

春香(思いっきりバレてるよ!)

雪歩(ど、どうしよう……!?)


プジィ『どうやら私の芸術が理解出来ないようだな……

そんな奴らはこうしてやる!キエーッ!!』

プジィ『ノオオォォ……』スポッ


春香「……なんか、思ったより大したことなかったね」

雪歩「で、でも、これで屋敷のオバケがいなくなる……」


コツン

雪歩「痛い!」

春香「?」

雪歩「何か飛んできた……あっ、鍵だ」

春香「ほんとだ、今度はスペードの形してるね。

これはどこの鍵なのかな……!!」

雪歩「え?」


地下 秘密の祭壇の鍵

雪歩「……いよいよだね」

春香「そうだね」

雪歩「私はここで待ってるよ。多分行っても足手まといになっちゃうし」

春香「足手まといなんかじゃないよ。さっきまで何回も助けてくれたじゃん」

雪歩「春香ちゃん……」

春香「……でも、確かに雪歩が来たら危ない目にあっちゃうかもしれないね。

わかった、やっぱり雪歩はここで待ってて。すぐにプロデューサーさんを助けて戻ってくるからね」

雪歩「くれぐれも無茶はしないでね?」

春香「心配しなくてもわかってるよ、大丈夫」

雪歩「って言っても、春香ちゃんのことだから無茶しちゃうんだろうなぁ……」

春香「うぐ」

地下 秘密の祭壇


春香「……………」

春香「ここに、プロデューサーさんが……」

春香「……よし」


ギイィ……


春香(うわぁ……やっぱりすごく豪華)

春香(何だってこんな豪華な祭壇を……)

春香(………プロデューサーさんの絵の前に、白いオバケがいる)

春香(あれが、キングテレサ……今回の元凶……!)

キングテレサ「……いつ見てもいいねぇ、人間の絵は」

キングテレサ「適当な嘘言って騙して、浮かれた顔してやってきた人間を」

キングテレサ「一気に取り囲んで絵の中に閉じ込める!」

キングテレサ「その時の人間の慌てた顔ったらないね、最高だな」



春香(適当な嘘……?)


キングテレサ「……まぁ、この人間も運が悪かったな。オレ様の気まぐれに巻き込まれちまうなんてよ」

キングテレサ「しかしまぁ、おふざけのつもりで出した手紙にまんまと引っかかるとはな。
恨むなら自分の馬鹿さ加減を恨むんだな!ギャハハハハ!」



春香(気まぐれ……?……おふざけ……?)




春香「……そんな理由でプロデューサーさんをこんな目にあわせたって言うの……?」

キングテレサ「……あ?誰か何か言ったか?」

春香「……私だよ」

キングテレサ「誰だ?

……へぇ、誰かと思えばオバキューム女じゃねえか。もうこんなところまで来たのか」

春香「うん、プロデューサーさんを助けにね」

キングテレサ「知ってるぜ、この人間がお前のプロデューサーなんだろ?」

春香「よく知ってるじゃない。その通りだよ」

キングテレサ「お前もバカな奴だな。こんな男ほっとけば、痛い目も見なくて済んだのによ」

春香「……………」

キングテレサ「バレバレの嘘に引っかかって、呆気なく絵の中に閉じ込められてるようなバカな男……」

春香「……やめて」

キングテレサ「あぁ?」


春香「……それ以上プロデューサーさんのことを悪く言ったら、絶対許さないから……!!」ギリッ

キングテレサ「……フン、許せねえのはこっちのセリフだ」

キングテレサ「いいか?オレ様達が恐れてたのはお前じゃねえ、その背中のオバキュームだ!」

キングテレサ「だがオレ様もテレサの王、ビビってばかりでもいられねえ」

キングテレサ「スポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポ仲間を吸い込まれて黙ってるわけもいかねえ」

キングテレサ「逃げられると思うなよ、本気出すからな」

キングテレサ「2人仲良く……

額縁に収まりやがれ!!」グワッ

春香(な、何?プロデューサーさんの絵が……化け物の絵に……!?)


ギュオオオオ……

春香「(いや、絵に吸い込まれ……!)

うわああああ!!」


……スッ

???


春香「いたたた……あれ?ここ……」

春香「……屋上?」

春香「それより、キングテレサは……」


ヒュー……

春香「……え?」




ズウゥゥゥン!!!

春香「いやああああああ!!?」

春香「な、何々!?何が降ってきたの!?」


クッパ『ガオオオオオオオ!!!』


春香「……ば、化け物……!?」ガタガタ

クッパ『……ム?何だ、こいつが相手なのか?』

クッパ『キング以外のテレサを全て倒したというから、どんな大男かと思っていたら……』


春香「……あ、あ………」ガタガタ

クッパ『拍子抜けだ、こんな小娘だったとは』

クッパ『しかし安心しろ、ワガハイはいたぶる趣味はないからな』

クッパ『一思いに楽にしてやろう……』

クッパ『グオオオオオオオ!!!』ゴオォォ

クッパ『ム……首の調子が悪いな……』グリグリ


春香「ひ、ひいぃ……!」

春香(……こんな、こんなの聞いてないよ……!

火まで吹くなんて、本物の化け物じゃない……!

こんな掃除機でどうこうできる相手にも見えないし……

こんなの、勝てっこない……殺されちゃうよ……!!)ガタガタ




『春香、春香!』


春香(……え?)


『春香、俺の声が聞こえるか?』


春香(この声、まさか……プロデューサーさん!?)

P『そうだ、俺だ!聞こえたか!』

春香(プロデューサーさん、今どこにいるんですか!?)

P『今は春香からは見えないところにいるが、声は聞こえるみたいだな!』

春香(はい、聞こえます!)

P『ならよかった、ひとまずここからは俺の指示に従って動いてくれ!』

春香(は、はい!)

クッパ『覚悟はいいか?では行くぞ……』

P『春香、来るぞ!』

春香「はい!」

クッパ『まずはこいつだ!』ポイポイ

春香「わわっ、鉄球!」

P『慌てるな、落ち着いてよけろ!』

春香「は、はい!」ササッ

クッパ『フン、まあこのくらいはかわせるか。

次はワガハイ自ら行くぞ!!』

ドドドド……

春香「うわわわ、き、来たぁ!!」

P『落ち着け春香!とにかく敵の正面から離れろ!』

春香「ひゃ、ひゃい!!」

クッパ『グオオオオオオオ!!!』ゴオォォ

春香「あ、危なかった……」

P『間一髪、だったな』

クッパ『ぬぅ、なかなかすばしっこい……』


ピピピピ……


P『ん?……!!

春香、鉄球から離れろ!!』

春香「えっ?」


ドカァーン!!

春香「うわああ!?」ドテッ

P『どうやらこの鉄球は時間が経つと爆発するらしい!気をつけろ春香!』

春香「は、はい!」

クッパ『ところで、貴様はさっきから誰と話しているのだ?』

春香「フンだ!あなたなんかには教えないよ!」

クッパ『ほう、言ってくれる。まあどうでもいいがな』

春香「…………」

P(あの掃除機があるとはいえ、ほとんど生身の春香がまともにやってあの化け物にダメージを与えられるとは思えない。

何か方法はないか……?)


クッパ『しかし首の調子が悪い……しっかりはめたはずなんだがな』ゴリゴリ

春香「?」

P(……さっきからしきりに首を気にしてるな……何かあるのか?

そういえば、キングテレサとやらはどこに行ったんだ?

………!もしかしたら……)

クッパ『さて、まだまだ終わらんぞ!』

春香「く、来る!」

クッパ『そらっ!』ポイポイ

春香「これならかわせる……」

P『春香!その鉄球を吸い込めるか!?』

春香「えっ、これをですか!?」

P『そうだ!もしかしたら、反撃できるかもしれない!』

春香「わ、わかりました、やってみます!えい!」ギュイーン

キュポッ

春香「ダメです、大きすぎて吸い込めません!」

P『いや、それでいい!そのまま先っぽに吸い付けておけ!』

春香「え?」

クッパ『何をゴチャゴチャと……』

P『来るぞ春香、構えろ!』

春香「か、構えろって……」

クッパ『オオオオオオオ!!』ドドドド

春香「き、来ましたよプロデューサーさん!?」

P『まだだ、まだ引きつけろ……!』

春香「え、えぇ!?」

クッパ『グオオオオオオ!!!』ガバッ

春香「ひ、ぃ……!」

P『今だ!奴が炎を吐こうとしたら……』

春香「!」


P『顔面に鉄球ぶつけてやれ!!』

春香「でぇーい!!!」ドンッ

クッパ『!?』


ボカァーン!!

クッパ『グワアアアア!!』

春香『や、やった!』

P『いや、まだだ!』

春香「えっ」


クッパ『……………』ポロッ

春香「く、首が取れて……!?」

P『しきりに首を気にしてたし、あのどこからともなく現れたクッパは多分着ぐるみか何かだ!

そしてその着ぐるみを操ってるのは……』

キングテレサ「グゲゲェ!?」ヨタヨタ

春香「キングテレサ!!」

P『そして一人の男はお前の番だ、行け春香!!』

春香「任せてくださいプロデューサーさん!!」

キングテレサ「うおォ!?何でバレたんだ!?」

春香「ようやく出たなキングテレサ!一気に吸い込んでやる!」ギュイーン

キングテレサ「ぐおおお!す、吸われてたまるか!

おいクッパ、クッパ!何とかしろ!」

春香「着ぐるみが動くわけないでしょ、大人しく吸い込まれなさい!」

キングテレサ「ぐぐぐ……油断は禁物だぜぇ……?」


P『春香危ない!!』

春香「えっ」


パキーン

春香「」カチコチ

キングテレサ「油断は禁物だって言っただろ?ギャハハハハ!」

パキパキパキ
パリーン

春香「……は、はっくしゅ!」

P『大丈夫か春香!?』

春香「急に寒くなったような……な、何があったんですか……?」ブルブル

P『クッパの着ぐるみの頭だけが動いて、春香に向かって冷気みたいなもんをぶつけてきたみたいだ』

春香「そんな魔法みたいなことが……」

P『ここはキングテレサの絵の中、何があったっておかしくはないんだ。

何をしてくるかわからんが、俺も出来る限りはサポートする!

気をつけろ、次が来るぞ!』

春香「は、はい!」

春香「くらえっ!!」ドンッ


ボカァーン!!

クッパ『グワアアアア!!』

春香「さぁ、出てきなさいキングテレサ!」

キングテレサ「グゲゲ、しつこい奴だ!」

春香「しつこくて結構!今度こそ吸い込まれなさい!」グググ

キングテレサ「負けるかぁーっ!!」グググ


P『春香、後ろだ!』

春香「はい!」スッ

P『次は左!』

春香「はいっ!」ススッ


P(キングテレサの力が大分弱まってきてる……これならあと少しで……!)

キングテレサ(まずいな……流石のオレ様も疲れてきたし、
攻撃だって何回も当たってるはずなのに全然効いてる素振りも見せねえ……
……よし、かくなる上は!)


キングテレサ「一旦逃げるぞ!」

春香「あっ、また逃げる気!?」

キングテレサ「ケケッ、逃げるだけだと思うなよ!?こっちには秘策があるんだ!」

春香「秘策……?」

P『これ以上何をしてくるって言うんだ……?』


キングテレサ「よーし、戻ってこい頭!」

ガポッ


クッパ『ワガハイの出番……んん?』


春香「……あれ?あれって……」

P『……着ぐるみの顔が前後反対だな』

春香「……もしかして、秘策失敗?」

P『いやちょっと待て、一旦様子を……』


クッパ『グオオオオオオオ!!?』

2人「!?」

クッパ『見えん!!前が見えんぞ!!どうなっている!?』

春香(やっぱり前見えてないんじゃ……)

クッパ『グオオオオオオオ!!何も見えんぞオオオオ!!!』ドドドド

春香「うわっ、暴れ出した!?」

クッパ『グオオオオオオオ!!!』バキベキ

春香(柱もお構い無しに粉々に……に、逃げなきゃ!)

P『混乱してるぞ、気をつけろ春香!』

クッパ『グオオオオオオオ!!誰だ!!何故見えん!!』ドドドド

春香「あ、あわわわ……!」


バキッ


春香「えっ?」



ゴギッ


春香「ぎっ………!!?」

P「春香!!!!」


春香「あぐ……ぁ……!!」

春香(あ、足が……!!)


P「春香、しっかりしろ春香!!」

P(砕けた柱の塊が足に……しかもこれまでだって相当なダメージを受けてるはず……

あんな風に倒れたんじゃ、もう……)


クッパ『グオオオオ……お?何だ、首が前後逆だったのか!

これで……よし!』グリン


春香「っ………あ、足……!!」


クッパ『……む、何があった?何故そんなところに小娘が倒れている倒れている』

春香「っ………!」

クッパ『……まあいいわ。このまま踏み潰してくれるわ』

春香(……もう、ここまでなのかな……)

春香(あと少し、だったのに……)


『あと少しだと思ったら、少しぐらい無茶しても、バチは当たらないと思うよ?』


春香(!!)

春香(……そうだよね……じゃあ、ちょっと無理しちゃうね、雪歩……)


春香「諦めて……たまるもんかぁ!!!」

P『春香……?』

クッパ『何?』

春香「う……ぐ………!!」グググ

P『よ、よせ!無茶はするな春香!』

春香「……私は、諦めませんよ」

P『!』

春香「うあ……あああああああっ!!!」

春香「はぁ……はぁ……」

クッパ『フン、大人しくやられておけばいいものを』

P『は、春香……』

春香(痛い……痛くて叫んじゃいそうくらい痛いけど……立てる、歩ける……!)

春香「……さぁ、来なさい!」

クッパ『フン!言われなくとも!これで終わらせてやるわ!!』

春香「っ!」ザッ

ズキン

春香「んぎっ……!!」

クッパ『そらっ!』ポイポイ

春香「来た!」

春香「んぐっ……これで……!」

クッパ『ウオオオオオオ!!』ドドドド

春香「最後……っ!!」グググ


ゴキッ


春香「!!!!!」

P(今の音……折れたか……!!

待ってろ、春香……!!)


春香「う……ぁ……!!」フラッ

P「春香ぁ!!!!」


春香「………っ!!!」ググッ

春香「あああああああああああっ!!!!!」ドンッ


ボカァーン!!

クッパ『グワアアアア!!』

キングテレサ「グエエエ!」

春香「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」

キングテレサ「な、何なんだよ……何なんだよお前は!

そんなにボロボロになってまで、あんな男を助けたいってのかよ!」

春香「……そうだよ……だってあの人は、私の……私たちの、大切な、プロデューサーさんだから……!!」

キングテレサ「わからねえ!わからねえな!あんな男ほっとけば、お前だってそんなにボロボロにならずに済んだってのによ!」




「あんな男で悪かったな」




キングテレサ「!?」

春香「……え………?」


P「待たせたな、春香」


春香「ぷ……プロデューサーさん……!?」

キングテレサ「な、何でお前がここにいるんだ!?お前はまだ閉じ込められてたはず……」

P「ああ、確かに閉じ込められてた。少なくともお前が春香を絵の中に引き込むまではな」

P「だが、春香がお前と戦って、お前の力が弱まってきたんだ」

P「そこで俺を閉じ込めてた壁を無理矢理突き破って来たんだ」

P「お陰様で身体中ボロボロだ。おーいてて」

キングテレサ「そ……そんなバカな話があるか!こうなったら2人まとめて……」

P「出来ると思うか?今のお前に」

キングテレサ「んぐっ……」

P「……春香」

春香「……はい」

P「……頑張ったな」

春香「……えへへ、ちょっと無茶しちゃいました」

P「なら俺が支えてやる。俺が春香の足になる」

春香「……………」

P「……最後、決めてやれ」

春香「……はいっ!」


春香「キングテレサ、覚悟ぉ!!」

キングテレサ「うおおおおおお………」


スポッ

春香「……は、ははは……

やった……やった!!」

春香「やりましたよプロデューサーさん!」


……………


春香「……あれ?プロデューサーさん?」

春香「さっきまでここにいたのに……?」


クラッ

春香「あ………」

春香(……もうダメだ……立ってられないや……)

春香(……プロデューサーさん……)フラッ




ドサッ

…………………

……………

………



春香「………んぅ……」

春香「…………はっ」


雪歩「あっ、起きた?」

春香「……あれ、ここは……?」

雪歩「屋敷の外だよ。もうオバケはいないよ」

春香「……何で私、雪歩におんぶされてるのかな……?」

雪歩「……さっき、すごい音がしたから慌てて祭壇に行ったんだけど」

雪歩「そしたら、祭壇の真ん中で春香ちゃんが倒れてたんだよ」

春香「……………」

雪歩「すごくビックリしたけど、疲れて寝てるだけだってわかったら安心したよ」

春香「………ごめん」

雪歩「ううん、春香ちゃんが謝ることじゃないよ。疲れて眠っちゃうくらい頑張ったってことなんだから」

春香「……うん、ありがと。

……重くない、かな」

雪歩「ふふ、気にしなくても大丈夫、春香ちゃんは重くなんかないよ。
それに私も普段穴掘りで鍛えてるから、春香ちゃんくらい簡単におんぶ出来ちゃうんだから」ニコッ

春香「……ありがと」

雪歩「ところで、その足は大丈夫なの?な、何か不気味な色になっちゃってるけど……」

春香「……多分折れてる」

雪歩「え、えええ!?」

春香「あはは、ちょっと無茶しちゃった」

雪歩「む、無茶しすぎだよぉ!骨折するまでなんて……」

春香「でも、雪歩の言う通りだったよ。バチは当たらなかったし、むしろ……」

雪歩「?」

春香「……相手はすごく強くて、最初は勝てるわけない、殺されちゃうとか思ってたんだけど……

もうダメだって思った時にね、プロデューサーさんが来てくれたんだ」

雪歩「えっ、プロデューサーが?」

春香「うん、プロデューサーさんが……


プロデューサーさん!?」

雪歩「ど、どうしたの?」

春香「雪歩、プロデューサーさん見てない!?」

雪歩「え、え?」

春香「さっきだって、一緒にいたはずなのに、いつの間にかいなくなってるし……!」


雪歩「……くすっ」

春香「え……?」

雪歩「何があったのかは知らないけど、プロデューサーなら今、春香ちゃんがしっかり持ってるじゃない」

春香「?………あっ」


P『………Zzz』

春香「……プロデューサーさんの絵……」

雪歩「安心して寝ちゃったみたいだね。
春香ちゃんてば、この絵を抱きしめたまま倒れてたから何事かと思ったよ」

春香「……………」

雪歩「ふふ、お疲れ様。

さあ、もうすぐ着くよ」

春香「……うん」ギュッ

研究所


オヤマー「なんと!キングテレサを倒したとな!?」

雪歩「は、はい、春香ちゃんが頑張って……」

雪歩(お、男の人だなんて聞いてないよ……!)

春香(こんなおじいちゃんでもダメなの!?)

オヤマー「しかし、春香くんを見るに、その代償は大きかったみたいじゃの……」

春香「あはは……」

オヤマー「しかしまぁ、いくらワシの発明したものとはいえ、掃除機一つで良くぞここまで。よくやったぞ、春香くん!」

春香「はい!」

オヤマー「それでは、この『オバケ絵になるマシーン』の実力を見せてやるとしよう。

オバキュームの先っぽをそこに差し込んでくれ」

雪歩「ここですか?」カポッ

オヤマー「そこじゃそこじゃ。

よしよし、それではスイッチオン!」


ウィーン……
ギュオオオオ
バリバリ
バンバン
ドッスン

春香「うわぁ……」

雪歩「本当にオバケが絵になってる……」

オヤマー「どうじゃ?思ったよりは芸術的じゃろうて」

春香「確かに」

雪歩「恐るべしオバケの絵」

オヤマー「これで……よし。さて、逃げたオバケはこれで全部じゃわい。ありがとう2人とも」

春香「いえいえ」

オヤマー「よし、それじゃあその絵を貸してみなさい」

春香「え?」

オヤマー「オバケを絵にすることが出来るこのマシーン。すなわちその逆も然り」

オヤマー「その絵から君たちのプロデューサーを元に戻してやろう」

春香「ほ、本当ですか!?」

オヤマー「ああ本当じゃとも。オバケを捕まえてくれたせめてもの礼じゃ。
まあそうでなくとも、こんな若い嬢ちゃん達がこれほど頑張ったんじゃったらワシも何かしてやりたいしの」

雪歩「ありがとうございます!」

オヤマー「この絵をここにセットして、と。

では、スイッチオン!」

ウィーン……

ン?ナ、ナンダコリャ

ウオッ、ナンダコレドウナッテル!?

ドッスン

ウグォ!?

バンバン

ウギャアアアア

バリバリ

アバババババ

ギュオオオオ

メ、メガマワルー

雪歩「だ、大丈夫なのかな……?」

春香「……………」


ドタンバタンドスン

イテ、チョッ、マテッテ


ドンッ

P「うわぁっ!?」ドサッ

春香「………!!!」

P「いててて……あれ、何だこれ首になんかハマって」

春香「……ぷ、プロ……!!

……み、見てよ雪歩、あれ……」

雪歩「……そうだね、プロデューサーだね……!」

P「ん?おお春香、雪歩!悪いがこれ外すの手伝ってくれないか?」

春香「……あは、あはは、プロデューサーさん、可笑しい……!」ズルズル

P「……春香?どうした、足引きずって……」

春香「……ぷろ……ぷろでゅ……!!」ポロポロ

P「は、春香?」


春香「ぷろでゅーざーざああああん!!!!」ブワッ

P「うおっ!?」

ドンガラガッシャーン

P「お、おい!どうした春香!?」

春香「ばか!!ばか!!ぷろでゅーさーさんの、ばかばかばかばかばかぁーっ!!!

ほんとに!!ほんとに、ほんとにこわかったんですからぁ!!!」

P「は、春香……」

春香「ほんとにこわくて、ふあんで、さみしくて……うっ、うええええ……!!」ボロボロ

P「よ、よしよし……

お、おい雪歩、どうなってるんだ?」

雪歩「……ぐすっ……よかったね、春香ちゃん……!」ポロ

P「って、何で雪歩も泣いてるんだ……?」

オヤマー「感動の再会じゃのお……ハンカチがビショビショじゃわい」ブワッ

P「……あんた誰だ?」

春香「ひっく……ぷろでゅーさーさん……」ギュッ

P「よしよし。

で、何か?つまり俺はあの屋敷に閉じ込められてたってことか?」

雪歩「正しくはあの屋敷の絵の中に、です。そこを春香ちゃんが頑張って、プロデューサーを奪い返したんです」

P「そうだったのか……すまんが、何も覚えてないんだ。この屋敷に入って、真っ暗だなと思ったらそこから先の記憶がない」

オヤマー「オバケに襲われたのなら無理もないわい。それよりもお前さん、ケガがなくてよかったのう」

P「いえ、あなたこそ手助けいただいてありがとうございます。えーと、大山博士?」

オヤマー「オヤマーじゃ。

しかしお前さん、いたいけなかわい子ちゃん達にこんなにも信頼されとるとはなかなかやるのう」

P「お、俺はそんなつもりは……」

雪歩「……ふふ」

春香「……………」ギュッ

P「……なぁ春香、そろそろ…」

春香「……やです」ギュウ

P「嫌ってったってお前……」

春香「……やです……やですぅ……!」ウル

P「……春香………」

オヤマー「あー、オホン」

P「?」

オヤマー「こんな少女がこんな大怪我を負いながらも助けてくれたというのに、そんな風にあしらうのは酷だとは思わんかね」

P「う」

雪歩「そうですよプロデューサー。それに、まだ1番大事なことを言ってないじゃないですか」

P「大事なこと?」

P「……ああ、そうだったな」


春香「……………」


P「春香」

春香「………?」



P「……助けてくれて、ありがとな」

春香「………!


ぷろ…でゅー……さ………う、うええ……!」ボロボロ

P「な、何でまた泣くんだ!」

春香「う゛え゛え゛ええん…!!」ギュウウ


雪歩「……春香ちゃん……」ホロリ

オヤマー「フェッフェッフェッ!」

プップー

P「!」

雪歩「あっ、来たみたいです!」

P「何が来たんだ?」

雪歩「さっき社長に連絡したら、すぐに迎えに行くって」

P「社長って、こんな時間に電話したのか?」

雪歩「はい、誰かが帰ってくるか何か連絡があるまでは起きて待ってるって仰ってたので」

P「社長……大事な会議があるはずなのに……

俺、色んな人に迷惑かけてたんだな……」

雪歩「それでもみんながみんなプロデューサーを助けようとしてたのは、普段からプロデューサーが私たちのことを第一に行動してくれてるからですよ」

P「そう言ってくれるとありがたいよ」

P「よし、そろそろ行こうか。しゃちを待たせちゃ悪い。

春香、歩けるか……ありゃ」

雪歩「?」


春香「……すぅ………」


P「……寝てるよ」

雪歩「ふふ、それじゃ運んであげないとですね」

P「仕方ないな……よっと」ヒョイ

春香「んむ……」

P「それじゃ、お世話になりました」

オヤマー「それじゃあの。またオバケの絵が見たくなったら来ても構わんからの」

雪歩「はい、ありがとうございました」

春香「……むにゃ………」

社長「……そうか、そんなおとぎ話のようなことが……」

雪歩「はい、私も最初は自分がおかしくなったんじゃないかと……」

社長「はっはっは、世の中何があるかわからないものだね」

雪歩「そうですね」

社長「ふむ、幸い萩原君は明日は一日オフのようだね。しっかり休んで今日の疲れを取ってくれたまえ」

雪歩「ありがとうございます」

社長「しかし、春香君はケガの程度によってはしばらく活動を控えなければいけないかも知れないね」

雪歩「そうですね……今、事務所で1番人気なのは春香ちゃんなのに」

社長「まあ仕方あるまい。それに、うちの事務所のアイドルは一人ではないだろう?」

雪歩「はい、私たちが春香ちゃんの分まで頑張らないとですね!」

社長「はっは、頼もしいねぇ。それにうちには、優秀なプロデューサー君がいるからね。そうだろうキミィ」


……………


社長「……ん?」

雪歩「プロデューサー?」

P「………Zzz……」

春香「………すぴー……」


雪歩「……2人とも寝ちゃったみたいです」

社長「はは、仕方あるまい。2人とも疲れているんだろう。

萩原君も、疲れたのなら眠っていいよ。私が責任を持って事務所まで送ってあげよう」

雪歩「ありがとうございます……」

雪歩(そういえば、私も疲れたなぁ……)

雪歩(……でも、春香ちゃんは私よりもずっとずっと疲れてるんだろうな……)

雪歩(お疲れ様、春香ちゃん)

雪歩(それから、お帰りなさい、プロデューサー)


雪歩(……そういえば、春香ちゃんはプロデューサーが助けに来てくれたって言ってたけど……プロデューサーはそんなこと一言も言ってなかったような……?)

雪歩(プロデューサーは覚えてなかったのかな?

……それとも………)

雪歩(………まあ、いいか)



雪歩(……長い夜、だったな………)


というわけでアイマス×ルイージマンションでしたとさ
正直最後の方の泣いてる春香が書きたかっただけなのは秘密です

お粗末様でした

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