上嬢「色と色とで繋ぐ絆」土御門「カミやん…。俺は、お前と…」 (138)

落ちちゃったので立てました

前スレ

土御門「今度こそ…カミやんを守ってみせる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368348958/)



ごめんなさい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398698987

そうでした…。ちょっとだけですけど少し時間置いたら一度投下します。


今までのあらすじ(という名のキャラ紹介)


上条当麻
戦争終了後、数多くの事件にかり出され、疲れがピークに達してしまい、脳に深刻なダメージを受け、2度目の記憶喪失を経験する。
そしてその時の二次被害により、身体の細胞が変化。女性になってしまう。
現在は退院し、元気に学校に通っている。幻想殺しは現在封印状態。右手には発現せず。
その影響か、上条当麻に能力が発現。能力名は未だ不明。


土御門元春
上条当麻が変わってしまった事に衝撃を受け、考え方を改める。
今まで守られてきた分を、女性となってしまった彼を今度は自分が守る事を決めた。
そのため、上条当麻に一番近くにいる事を良しとし、告白をするが、上条自身によって拒絶される。


青髪ピアス
上条当麻のクラスメイト。
事情を知り、いつも通りに接しようとする、が、相手が女性という事でたまに暴走する事も。


食蜂操祈
上条当麻の事情を詳しく知った数少ない一人。
上条当麻の意識の中に入り、幻想殺しと名乗る人物とコンタクトを交わす。


御坂美琴 ・白井黒子
同じく事情を知った数少ない人たち。
美琴は彼女と会話を交わすうちに本人と確定。新しく友人としての一歩を踏み出す。


前方のヴェント
アレイスターによって送り込まれた上条当麻の護衛。
上条たちの学校に編入する。


吹寄制理、姫神秋沙、月詠小萌、以下クラスメイト
上条当麻の友人であり、良き理解者である。

投下します

舞夏に言われたことを一晩考えてみた。

何故俺は上条当麻に告白したのか。何故、恋人になるという選択肢が一番に思い浮かんだのか。

上条当麻は大切な存在だ。それは変えようもない事実だ。

だから告白した。

なのに何故、俺は上条当麻に、拒絶されたのか…。








…………………分からない…。

翌日、土御門は重い足取りで学校への道を歩いていた。

屋上での、彼女の表情が頭から離れず、ちゃんとした睡眠を取る事が出来なかったのだ。

しかも昨日の今日である。顔を合わせ辛いのが土御門の足取りをより一層重くする。

だが何も考えが出ず、結局そのまま学校にたどり着いてしまった。

教室に行ったら既に彼女の姿はあった。

けれど、こっちを見ようともしない。ただ彼女は顔を横に向け、窓からの景色をずっと眺めているだけだった。

そんな様子に気がついたのか、クラスの男子がからかうように土御門を小突くが、土御門は何の反応を示さない。

男子も黙っているのが面白くないのか、冗談のつもりで軽口を叩く。

が、その軽口がいけなかった。




「なんだよ、お前、失恋でもしたか」

その言葉を聞いた瞬間、大きな音をたてながら土御門はその男子の胸ぐらを掴み上げた。

クラス中がどよめく。土御門の豹変ぶりに、クラスメイトは同様を隠せない。

しかし、そんな騒ぎが起こっている中、やはり彼女、上条当麻だけは外を見ているだけだった。

土御門はその後頭が冷えたのか、一言悪い、と男子に告げ、席に着く。

掴まれた男子は咽せていたが、それ以上に土御門の豹変ぶりに驚きの方が上回ったようだ。

咽せながらも呆然とその様子を見ているだけだった。

クラス中が沈黙する。いつもは賑やかな話し声が絶えないのだが、今はその面影もない。

幸運だったのは、いつもより早く小萌先生がホームルームに来てくれた事だろう。

その小萌先生も、今日の様子には戸惑いを隠せなかったが、徐々にその空気は回復していき、ホームルームが終わる頃にはいつものクラスに戻っていた。

約数人を除いて。

その日は結局、土御門と上条当麻の会話は無かった。

さすがのクラスメイトもおかしいと思ったのか、彼女の所に事情を聞きに行くが、彼女は「何でもない」の一点張りの様だ。

これでは埒が明かないと思ったのか、土御門の所にも聞きに行ったが、「悪い」と一言だけ残し、すぐに姿をくらました。

寮が隣同士、以前は共闘関係だったという事もあり、ヴェントもそれなりに聞き出そうと思ったのだが、結局何の話も聞けなかった。

そして放課後…。

ホームルームが終わり、さっさと帰ろうとしていた土御門の前に二人の人物が壁を作る。吹寄制理と姫神秋沙である。

「…何の用だ」

「上条くんのことを。聞きに来た」

土御門の問いに姫神が答える。またか…、と土御門は小声でそう漏らしながら溜め息をつく。その姿に怒りを覚えたのか

「答えて」

姫神の口調が少し強くなる。

「悪いが、何も答える気は無い。いいからそこをどいてくれ」

「こっちとしても悪いけど、そう言うわけにはいかないの」

土御門の言葉に応えたのは吹寄だった。

「上条に聞いても、何でもないしか答えないし、心ここに在らずって感じだし。たまに土御門の方を向いては外に視線を向けることしかしないし」

「…何故、そこまで俺たちに構う」

「そんなの決まってるじゃない。私たちが友達だからよ」

その言葉に思わず土御門は笑いをこぼす。

「何が可笑しい!」

その態度に吹寄は怒りをぶつける。

「友達だから相談にしろってか?笑わせるな。これは俺とカミやんの問題だ。関係無いオマエらが口出しするな」

その言葉に吹寄は怒りをつのらせ言葉をぶつける。

「関係ない…ですってぇ…!もう一度言って…」

だがその言葉を言う前に、吹寄の目の前に何かが来た。

そして次の瞬間、バシンッ!と音と共に、土御門の顔が動く。

吹寄も土御門も、目の前の状況に目を丸くする。

音の正体は、吹寄の隣で話を聞いてた姫神が、思いきり土御門の頬をはたいた音だった。

その姫神の目には、大量の涙を溜めていた。

「関係ない…?それは。本気で言ってるの?」

「…」

「だったら。土御門くん。キミは上条くんよりよっぽどバカだね」

最後は涙声になりながらもそう告げた。そして姫神は、隣にいた吹寄に顔を埋めてただ肩を震わせていた。

「土御門…」

静かな廊下に、吹寄の声が響く。

「話、聞かせてもらえるわよね?」




「………ああ。分かった」

投下終わりっ。


教えてくれた人ありがとうございます。
ではまた

生存報告、と、保守的レス

あとは少し質問したいのですが…皆さん的にはオリキャラは有り?無し?

出すか出さないかはまだ分かりませんが、一応お聞きしたいのですが

てす

お、書き込めた

少ないけど投下しますー

放課後、誰もいない教室。いや、今は吹寄制理と姫神秋沙、土御門元春の3人だけしかいなかった。既に陽は傾き、空を茜色に染めている。

教室の電灯は教卓前しかついておらず、3人の顔は夕日が照らしてかろうじて表情が読み取れると言った所か。

そこで3人は一つの机を挟むように、2人と1人に別れて座っている。もちろん1人は土御門だ。

「さて、話してもらおうかしら」

吹寄が口を開く。土御門は最初は黙ってはいたが、ポツリポツリと事の顛末を話し始める。もちろん、深い所は伏せて。

今まで、上条に守ってもらってきた。その所為で、上条に大きな負担を強いてしまった。何度も何度も、怪我をしながら戦ってきた。その度に入院して、けれどその度に上条は、『よかった』と…。問題が解決した事に心からの笑顔を見せて。

まるで、それが当たり前のように…。土御門は、そんな当たり前が許せなかった。いくら上条が異能に対して無敵の幻想殺しを持っていたとしても、その器はただの一人の高校生だ。少しくらい、幸せがあってもいいじゃないか。普通の高校生なら、友達と遊んで、くだらない話をして、お互い笑い合って…。

それが普通の幸せってモノじゃないのか…。

なのに、上条は…戦って、傷ついて、でも笑ってて、まるで…それが上条にとっての当たり前の幸せのように…。

土御門は許せなかった。そんな考え方をしてしまう上条に、なにより、そう言う考え方にさせてしまった自分自身を、許せなかった。

だから、俺はアイツを…今度は俺が上条当麻を守ってやると決めたんだ。
そのために、上条当麻と、もっと深い関係になりたかったんだ。

なのに…。

「…」

話し終わった後は、静かだった。
吹寄は少し驚いたような表情。姫神は、驚きと、やっぱりといった感じの表情をしていた。

沈黙が続く中、先に口を開いたのは姫神だった。

「上条くんは。ずっと。戦っていたんだね」

姫神の言葉に土御門は微かにだが頷く。

「土御門くんは。上条くんに何がしたいの?何をしたいの?」

その言葉に土御門は初めて目線を上げる。

「土御門くんは。上条くんに借りを返したいの?だから守りたいの?」

「それは…違う…」

「違うよね…?じゃあ。なんで土御門くんは上条くんと。深い関係になりたいと思ったの?」

その質問に、土御門は答えられなかった。

「…答えられないの?」

土御門は反応を示さない。

「はぁ…。さっきから聞いてれば…」

そこで吹寄が口を挟む。

「私は、今まで上条のこと、鈍感って言ってたけど訂正するわ。上条は鈍感だけど、土御門、アンタはそれ以上に鈍感ね」

「土御門、アンタにいくつか質問するわ。それにちゃんと答えてもらうわよ」

「ああ、分かった」

「じゃあ一つ目、アンタにとって上条はどんな存在?」

「俺にとって…大切な存在だ」

「じゃあ…」

吹寄の質問がいくつか進む。

「じゃあ、もし上条が土御門じゃない、他の男と一緒に歩いていたら?」

その質問に、土御門は目の色を変えた。

「答えて」

「…考えたくないな」

「そう」

その答えに満足したのか吹寄は質問を続ける。

「じゃあこれが最後の質問。土御門は、上条の事をどう思ってるの?ちゃんと、自分の気持ちを教えて。大切なのは聞いた。大切に思って、その上で上条の事をどう思ってるのか、ちゃんと答えて」

「俺の、気持ち…」

俺の気持ちって何だ?上条は大切な存在。ただそれだけで守ることは出来るではないか。それとも、もっといい答えがあるのか?

答えあぐねている土御門を見かねたのか、吹寄がアドバイスを送る。

「難しく考えないで、簡単に答えれば良いのよ。例えば、上条と一緒にいて土御門はどう感じるのか。上条が笑ったとき、土御門はどんな気持ちになるのか」

簡単に、考える…。カミやん、もとい、上条当麻が笑ったのを見たとき…。俺は、その笑顔がとても愛おしく見える。

愛おしい、確かに俺はそう思った。

ああ…やっと分かった。俺が、俺が何故、上条当麻と一緒にいたいのか。

土御門元春にとって、上条当麻はかけがえのない存在であり、土御門が妹以外で初めて誰にも渡したくないと、そう思った存在だった。

「…どうやら、自分の本当の気持ちに気付いたようね」

土御門の顔を見て、そう確信する吹寄制理。

「ああ、お前たちのおかげで、大切なことに気がついたよ。ありがとう」

そう言い、土御門は二人に頭を下げる。吹寄と姫神の顔は心なしか満足しているように見える。

「それじゃ、このあと何をするべきか、分かってるわよね?」

「ああ、もちろんだ」

「…頑張りなさいよ」

静かに激励の言葉を与える。その言葉に土御門は答えない。だが、二人は分かっている。今の土御門なら行動で答えてくれる、そう思ったからだ。

土御門は走る。愛しの人の元へ…。

土御門と姫神、吹寄がコンタクトをとっていた、同時刻。

イギリス清教。

イギリス清教内のとある部屋。そこでは、二人の人物が赤い水の上で倒れていた。

一人は炎の魔術師、魔法名に『Fortis931』の名を持つ人物、ステイル=マグヌス。

もう一人は世界に20人しかいないと言われている聖人の一人、魔法名に『Salvare000』の名を持つ人物、神裂火織。

ステイルは完全に意識を手放しているが、神裂はまだ辛うじて意識を保っていた。

「…ッ、っは…」

意識を保ってはいるが、既にかなりの重傷を負い、呼吸するので精一杯の状態まで追い込まれている。

「くっ…、まさか…こんな、事になっているとは…」

神裂が視線を上げる。その視線の先には一枚の紙。



上条当麻及び、幻想殺しについて。

現在、上条当麻はなんらかの力により、記憶を失い、またその体を女性と変え、一時的に幻想殺しが封印されている現状である。

この状態は非常に不安定であり、話を手に入れた他の魔術勢力にわたると非常に危険である。

よって、イギリス清教は、上条当麻を保護し、監視することを決定した。

ローラ=スチュアート

「まさか、イギリス清教が…何故…。早く、このことを土御門に伝えなければ…っ」

一刻も早く伝えなければ、上条当麻が危ない。

だが、扉の外には複数の足音が聞こえてくる。時間が無い。

神裂は痛む体を無理矢理動かし、気絶しているステイルを担ぎ、その場から離れる。先ずは日本に、学園都市に戻らなければ…。




上条当麻に、危険が迫っている。

学園都市。とある商店街で、前方のヴェントは頭を抱えていた。

「…?何だこれは…。風がなんで出てる?あーもう、科学ってのは慣れないわね…」

そう。ヴェントが見ているのは羽を必要としない扇風機である。

我々日本人から見たら、あまり不思議な光景には思えないが、科学に触れる機会が少ないヴェントからすれば、摩訶不思議にしか思えないのだろう。

しばらく商店街で頭を悩ませていたヴェントだったが、ふと、一人の女生徒の姿を見つける。

普段なら気にしない所なのだが、その女生徒が上条当麻だったのなら話は別である。

ただ、上条当麻を見つけるだけならまだいい。しかし今回、その姿は異様に見えた。

目は虚ろで、その足取りはふらふらとしている。まるで生気が抜けているよな状態に、ヴェントは気になってしょうがなかった。

ヴェントは静かに上条当麻の後をつける。上条当麻は依然としてふらふらと歩道を歩き、時折通行人とぶつかりそうになりながらも歩いていた。

およそ20分ほどその姿を尾行していたとき、ふと、周りに人が殆どいない事に気付く。まだ時間は18時、人がいなくなるには早すぎる時間だ。

そこでヴェントは初めて、これが人払いの魔術であると気付く。

「ーーッ!!」

迂闊だった。上条当麻をつける事だけに集中し、魔術の反応に遅れてしまった。ヴェントは懐からハンマーを取り出し、一気に上条当麻の元へ走る。その瞬間に正面から一つの炎の塊が上条当麻に向かって放たれる。

「ちぃっ!」

ガァンッ!!

ハンマーと炎がぶつかり、大きな音をたてながら炎が消滅する。

「隠れてないで出てきな!」

その言葉には答えない。ヴェントが出てきたと同時に、相手も姿をくらました様だ。

「ちっ、逃げやがったか…。ん、これは…?」

その場に、一枚のルーンを残して。

「…一体、何が起ころうとしてやがる…」

ここまで

展開の仕方がががが…

ではでは

保守&生存報告だけしておきます

すまぬ…すまぬ…

もう少し…もう少しだけ待って下さい…

さっさとみさきちと(性的に)絡めてください
彼女だって上嬢さんが心配なんですよ

真面目な話さあ書き溜めてからスレ立て直せよ

>>53
需要があれば…

>>54
耳が痛いです…
マジで申し訳ないです

来週の水曜日に一度投下したいと思います。

それまでに少しは書き溜めてきます。

もう少ししたら投下します。

9回に5点差逆転で大歓喜
やきうってやっぱり面白い!

お久しぶりです
投下します

上条当麻が襲われた日、前方のヴェントと土御門元春はとある学校の屋上に集まっていた。

「上条当麻が…襲われた…ね…」

土御門は落ち着いているように見える。だが、先程から常に目線を動かし、落ち着きが無い事から、彼にしては珍しく焦っている様子が見て取れる。

「ああ。しかも、気になるものを残してな」

そう言い、ヴェントは現場で拾った一枚のルーンを取り出した。

「これは…ステイルのルーン…!」

ルーン自体が残っている事は決して珍しくはない。だが、今回はそのルーンが問題だった。

ルーンを使う魔術師は数多く居る。だがその魔術師一人一人で、使うルーンの絵柄は異なるのだ。

しかし今回ばかりは勝手が違う。現場に残っているのはステイル=マグヌスが使う炎のルーン。

この事から察するに、上条当麻を襲った犯人はステイル=マグヌスで100%間違いないだろう。

だが、土御門は知っている。上条当麻が変わってしまった時、彼は彼なりに、負い目を感じていた事を。そして、その事を悔いているという事を。

だから尚更分からない。土御門にとってここ最近はイレギュラーな事ばかり起こるのだ。

「とりあえず…神裂に連絡を取ってみたらどうだ?」

見かねたのかヴェントはそう土御門にアドバイスを送る。

「そうだな…。神裂と連絡が取れれば、少しは何か分かるかもしれん…」

結局、それ以外で良い案は出ず、その日は解散となった。

その日の夜、土御門は神裂に電話をかけていた。が、神裂が出る様子は無い。

(出ない…?神裂にしては珍しいな)

結局その日、神裂が電話に応じる事は無かった。

(明日は、きっと…)

土御門は、今日伝えられなかった想いをその胸にしまい、眠りに落ちた。

少女は、夢を見る。

右手に特異な能力を持った少年は人としての扱いを受けなかった。

ある日は妖怪。ある日は疫病神。そしてある日は、バケモノ。

それでも、その少年の両親だけは味方だった。

両親はいつでも、その少年の事を想っていた。

住む場所が変わって、自分を友達だと言ってくれる人が居て、他の人と変わらず接してくれる人が居た。

だから少年は幸せだった。

どれだけ周りが酷くても、どれだけ自分が傷ついても、最後には帰る場所が、自分の居場所があったから。

けれど、その居場所にさえ、その少年はいられなくなってしまう。

まるで妖怪だな…こっち見るなよ…気持ち悪い…吐き気がするぜ…

やめて

周りの心にも無い中傷が、少年の心に傷をつける。

近づくな…お前と居ると不幸になる…この疫病神め…死ねばいいのに…

やめて…!

少年は、少女は助けを求め、手を伸ばす。

誰か!誰か助けて!

伸ばした先には一つの光。少女は必死に手を伸ばす。

しかし…












「お前、バケモノだにゃー」





























その光すら、少年を、少女を、救いから、見捨てた…

夢から覚めた少女は、当然のように飛び起きる。

呼吸は荒れ、動悸も激しく、大量に汗をかいていた。

「っ…!ハァッ…ハァッ…!っぐ…!」

同時に吐き気を催したのか、洗面所に駆け込み、胃の中の物を吐き出した。

「ゲホッゲホッ!うぅ…っ!うぉぇっ…!」

気持ち悪い。

先程みた悪夢の所為なのか。彼女の身体の中から不快感が消えない。

結局その後数分にわたり、吐き続けた。

「随分辛そうね」

嘔吐し続けたため壁に身体を預けぐったりしていた上条に暗闇から声がかけられる。

その姿はまだはっきりと見えないが、女性という事だけは分かった。

「大丈夫…。少し、気持ち悪くなっただけ…。少し休めば大丈…」

「噓ね」

上条の言葉が遮られる。

「隠しても無駄よ。私には貴女の考えてる事なんか簡単に分かるんだから」

徐々に照明のついている洗面所にその人影が姿を表す。

腰まで伸ばした金色に染めた髪。見慣れた常盤台中学の制服。

そして片手に持っている一つのリモコンの様な物。

食蜂操祈。彼女がそこにいた。

「ねえ上条さん。私の能力覚えているかしら」

「メンタル…アウト…」

「そう。忘れた訳じゃないわよね。貴女の心なんて丸裸にしちゃうから」

上条にとって彼女の能力なんて今はどうでもいい事だった。

むしろ何故彼女が今ここにいるということについて問いただしたかった。

「ゲホッ…どうして、食蜂さんがここに…?」

「そんなの…貴女が心配だからに決まってるじゃない」

「心配…してくれたんだ…」

「……ダメかしら?」

そんな事は無い、と言いたかった。でも、先程見た夢の所為なのか、純粋に心配してくれている言葉にも、何か裏があるのではと疑ってしまう自分が嫌になった。

「何か、怖い夢を見たのね」

「っ…」

その言葉に悲しげな表情を見せた上条に食蜂は優しく抱きついた。

「食蜂…さん…?」

「大丈夫よ…。ここには私しか、いないから」

その言葉に不覚にも安心してしまい、目頭が熱くなって涙が抑えきれず、上条は女性になってから初めて、声を上げて泣いた。

「ごめんね、つい思いっきり泣いちゃった」

「抱え込むのもいいけど、たまには発散させないといつか壊れちゃうわよ」

「胸に刻んでおきます…」

「でも、無事で良かったわ」

そういって、もう一度抱きしめる。今度は上条も抱き返してくれた。

「うん…。ありがとう」

「落ち着いた?」

「うん」

「もう、夢は大丈夫?」

「多分。でも…食蜂さん、隣にいてくれる?」

「操祈」

「え?」

「操祈って呼んで欲しいかな。当麻さん」

「あ、うん。操祈ちゃん!」

「よろしい。じゃ早く寝ましょう?」

そういって、食蜂は彼女の手を握る。上条はそれに握り返す形で返す。

「そうだね。おやすみなさい」

「おやすみ」

そうして二人でベッドに寝そべり、眠りに落ちて行った。その繋がれた手は離さず、まるで姉妹のように寄り添っていた。



ここまで


食蜂さんとの性的な絡みはストーリーに組み込むかサイドストーリー的な物にするか悩んでます
こんな稚拙な文章でも見てくれてる人がいるという事はホントありがたいです。

必ずや完結まではやりますので長い目でおつきあいお願い致します。

生存報告です。
昨晩のお楽しみは…一応今書き溜めてる途中です。
近いうちに投下にまた来ます。

お久しぶりです。
投下いきます。

上条が食蜂の胸の中で泣いた日の朝。

窓から差し込む朝日によって食蜂は目を覚ます。隣にはまだ眠っている上条の姿。その頭を、食蜂は優しく撫でる。
上条の目にはまだ泣いた痕が残っている。けれど今の寝顔は安らかに、まるで天使の寝顔のように食蜂には見えていた。

食蜂と上条は学園都市に来て間もなくの頃に少しの交流があった。
初めて自分で思い通りに出来ない相手。
気持ちは読めても、それを操作、掌握出来ないのはあの頃の食蜂にとっては気に入らなかった。

何度も喧嘩をした。何度も言い合った。

けれど、幾度となく言葉を交わしていって、食蜂は初めて上条当麻と言う人間を理解した。

自らを『偽善使い』と称する上条当麻は、誰よりも優しく、そして、誰よりも悲しい人だった。

今、隣で安らかに寝息を立てて寝ている少女。

最初はこんな娘が上条さんなんて信じられなかったけど、でも、上条の心を覗き、幻想殺しと言葉を交わした今なら、信じられる。

どんな手を使ってでも、この娘を助けられる。

しばらく撫で続けていたら、上条の起きる気配がした。

軽く身じろぎをして、薄く目が開き体を起こす。

そして寝ぼけているのか、昨日の夜の所為なのか、寝間着が肩の下まで落ち、綺麗でなだらかな鎖骨が覗いている。
さらに視線を下に下げるとその豊満な胸から生み出される、いわゆる谷間と言うものが無防備にさらけ出されている。

寝起きからか上条は未だ覚醒しておらず、ぼうっとしており、その服装を直そうとしない。

「あれぇ…、みさきちゃん、おはよぉ…」

その上、寝起きでぽわっとしてる声で挨拶をされたら、大抵の男性は前屈みになってしまうだろう。
そしてそれは女性でも例外ではない。
上条の目の前にいる食蜂も例外ではなかった。

乱れた服装、少し赤みがかかった顔、寝起きでとろんとした表情。
今直ぐにでも襲ってしまいたいと思っていた。









というより、既に襲っていた。

ここから18禁展開入ります。
苦手な人は読み飛ばして下さい。

食蜂は気がついたら上条を押し倒していた。

上条はまだ何が起こったのか理解しておらず、きょとんとした顔をしている。
それがまた食蜂の肉欲を増していく。

食蜂の手が寝間着の上から上条の体を撫で回す。撫で回すたびに上条の口から艶やかな声が漏れ、それがさらに食蜂の欲を増幅させる。

肩から腹、腹から腰、腰から脚。上から下に、下から上に。ゆっくりと、ガラス細工を扱うように優しく撫で回していく。

そして、食蜂の手がついに、寝間着の下から素肌に触れた。
そのとき、初めて上条から抵抗があった。しかし、寝起きの状態での抵抗はたかがしれている。食蜂は、上条のお腹をこれまたゆっくりと撫で回していく。

その肌はまるで、つきたてのお餅の様に柔らかく、雪の様に白かった。

上条の声からは抵抗の声も漏れるが、上条の体に夢中になってしまっている食蜂の耳には届かない。

食蜂の手によって上の寝間着のボタンが一つずつ丁寧に外されていく。そしてついにそのボタンが全て外された。

まだその豊満な二つの乳房は露になってない。けれどすでに寝間着などもうあってない様なものだった。

上条の抵抗は既にない。食蜂はそれを好機と捉え、上の寝間着をめくる。

露になる二つの乳房。食蜂にも劣らない大きさを持った乳房と、ツンと上を向いている乳首を目の前に、食蜂は生唾を飲み込む。

そしてその乳房に食蜂の両手が伸び、下から上に撫でる様に触れる。

手を動かすたびに、彼女の手の中で形を変える乳房を前に、食蜂はどんどん息が荒くなり理性を失っていく。

上条も最初にあった抵抗の声は既になく、なすがままにされ、食蜂が手を動かすたびに小さく喘ぎ声が口から漏れる。

既に快楽に負けたのか、全てを食蜂に任せ快楽を求めるようになる。

しばらく乳房を弄ったあと、乳房の上に存在する二つの突起。

食蜂はこの二つの突起を同時に指で弾く。その瞬間、上条から少し大きな嬌声が上がり、体を大きく震わせる。食蜂はその後も乳首を摘んだり、または捏ねくり回したり、または引っぱったりしてみた。その度に上条は嬌声を上げ、体を震わせる。

そしてついに食蜂の口が乳首を咥え、思いっきり吸い上げられる。

その姿はまるでお腹を減らした赤児のようである。

上条は吸い上げられるという初めての感覚に、今まで以上に体を震わせる。そして食蜂が口にくわえたまま乳首を歯で軽く噛む。

その瞬間、上条の体がはね、口から大きく嬌声が漏れる。その後、何度か体を震わせた後、ベッドの上にその体を預ける様に落ちた。

露になった上半身、酷く荒れた息、紅潮した顔、目にきらりと光る若干の涙、そして口から垂れる涎。

食蜂は乳首から口を離し、手を自らの寝間着に伸ばし、そのまま寝間着を脱いだ。

女性なら誰もが憧れる様なプロポーションをした食蜂の体が、ショーツ一枚まで外に晒される。

しかしそのショーツは既に下着としての役割は果たしておらず、食蜂の膣口から漏れる愛液によって既に水浸しになっていた。

食蜂は上条の下の寝間着に手をかける。ショーツは下ろさず、寝間着のみをするすると脱がしていく。上条も既に完全に力を抜き、食蜂に預けていた。

上条も食蜂と同じくショーツ一枚のみの姿になる。また上条のショーツも食蜂と同じく愛液によって濡れ、既に下着としての役割を果たしてはいなかった。

食蜂が股間に手を伸ばし、触れる。触れただけなのに先程絶頂を迎えた上条の体は快楽に震えていた。

指が触れ、動くたびに粘り気のある水音が部屋に響く。

布越しで上条の陰核にも触れていく。少し固くなった陰核は、上条を快楽に震わせるには十分だった。

しばらく食蜂は下着越しに上条の膣口を弄っていたが、ここで思わぬ反撃が来た。

されるがままだった上条だったが、ここで上条の手が食蜂の股間に伸び、指で食蜂の膣口刺激していた。

油断していたのか食蜂は予想外の快楽に思いきり嬌声を上げ、体を震わせる。

そして上条の指が下着の下にまで侵入してきた。負けじと食蜂も下着の下に指を伸ばす。

お互い愛液で濡れていて簡単に指の侵入を許す。動き続ける二人の指。

部屋中に響き渡る二人の女性の嬌声。

先程絶頂に達した所為か、上条はすぐに二回目の絶頂が近づいている。

ただ食蜂も絶頂が近かった。絶頂が近づくにつれ、激しくなる指の動き。

二人で四つの乳房が押し合う形で形を変え、乳首同士でこすり合い、それによりさらに快楽が募っていく。

そしてお互いの指が膣の奥に入った瞬間、二人同時に絶頂を迎える。

二人分の大きな嬌声。弓なりに逸らしながら絶頂に震える上条。体全体をピンと伸ばしながら絶頂を迎える食蜂。

そしてお互いに吹き出した潮の所為でベッドは水浸しになり、濡れていない所を探す方が難しかった。

絶頂を迎え、食蜂は上条の上に体を倒す。そして二人は見合わせ、示し合わせたかの様にお互いの最後の下着を同時に脱がす。

二人ともに何も着ていない裸の状態になり、露になったソコからは今までの情事の様子を示す様に濡れそぼっていた。

上条はゆっくりと片方の脚を広げる。食蜂も両足を広げていく。

そしてゆっくりと濡れた陰核を近づけお互いの陰核が触れ、それだけでも二人の体に快楽が走っていく。

だが今の二人にはそれだけでは満足は出来ない。

先に動いたのは食蜂だった。もっとこの快楽を求め、腰を上下に動かしていく。

上条も腰を左右に動かし、獣の様に快楽を求めていた。

お互いの陰核が擦れ合い、二人の嬌声が部屋中にまた響き渡る。

二人の口からはだらしなく涎が垂れ、快楽に溺れていく。髪を振り乱しながら一心不乱に腰を動かす二人。

汗によってところどころに髪が張り付いている様がまたその姿を淫らに変える。

そして、今日一番の絶頂を二人は迎えた。

お互いの陰核が擦れ合った瞬間、二人の体は大きくはね、痺れる様な快楽が全身を駆け巡る。

上条は全身を弓の様に反らし、食蜂も同様、体を反らしながら絶頂に震える。

3回の絶頂を迎えた上条。2回の絶頂を迎えた食蜂。

反らした体がベッドに沈みこむ。

二人は複数回の絶頂の所為か体全体の筋肉が弛緩し、二人の膣口から思わず尿が漏れ出す。

しかし二人には既にそれを止める程の力も残っておらず、ベッドを黄色く変えていった。

 

今、上条と食蜂は二人で風呂に入っている。

先程の情事の所為で、汗をかいたり粗相をしてしまったので、体を流そうとしていたのだ。

今は上条が体を洗っている。食蜂は既に済ませ、湯船につかっていた。

「(なんて事をしてしまったのか…)」

食蜂は湯船につかりながら頭を抱えていた。

いくら寝起きが色っぽかったからと言って、襲ってしまったのは流石にやりすぎてしまった。

あの情事の後、上条はずっと無言だった。食蜂も話しかけようとしたが襲ってしまったという罪悪感から上手く話しかける事が出来なかった。

洗い終わったのか、足音がこちらに向かっている。

そのまま湯船に入り、食蜂の隣に収まった。二人の間には沈黙が続く。

食蜂には上条が怒っているのか、それとも悲しんでいるのか分からない。能力を使えば分かるのかもしれないが、上条に対して能力は使い辛かった。

そのまましばらくは沈黙状態が続いたが、ついに食蜂が口を開いた。

「あの…当麻さん…」

「ん?なに?」

上条の返事はあっさりしたものだった。まるで先程の情事が無かったかの様に。

「途中で、抵抗をやめたでしょ?あれは…どうして?」

そう。最初は抵抗していた上条だった。抵抗をやめた時は諦めたのかと思っていた。けれど、最後には求める様に動いていた。

「え?ああ、それはね…実は私、色が見えるの」

「色?」

「うん、色」

上条の説明はこうだった。

感情には様々な色がある。

例えば怒りだったら赤。悲しみなら青。警戒なら黄色。純粋なら白といったように、感情の色が見える様になったという事。

最初は言葉だけであったが、目を合わす事が出来れば、その時の相手の感情の色を見る事が出来るというのだ。

「で、操祈ちゃんの色は深い青色だった。青色には色々な感情があるけど、さっきの操祈ちゃんの場合、不安や焦りといった感情かな。あの状況で悲しみの感情を抱く事はあんまり無いと思うから」

「だから、不安はもう大丈夫かな?」

なんて人だろう。

確かに、食蜂は不安を抱いていた。

襲われたと聞いて、いてもたってもいられなくなって、悪夢に魘される貴女を見て、酷い嘔吐感に襲われる貴女を見て…。

何も上条当麻に出来ないのか。

ただ襲われるのを黙って見ているだけになってしまうのか。

上条の不安を受け止められても、自分の不安を解消する事は出来ない。

誰かに受け止めてもらう事が必要だった。それを上条は見破った。

だから受け入れた。だから食蜂を求めた。少しでも、食蜂の不安が解消される様に…。

「操祈ちゃん?」

何も言わない食蜂に上条は首を傾げる。

本当にこの人は、先ず人の事を考えるのか。自分の事は後回しで、人のために動く。

そんな優しい人が、どうして不幸な目に遭わなければならないのか。

「私のために、ありがとう。ねえ、当麻さん…」

そんな優しい人のために食蜂は動く。














「私と、学園都市を抜け出さない?」

投下終わり。

ではまたのちほど

感想とかあれば是非

生存報告と保守します

11月中に一度投下を予定してます。
ので、もうすこしだけ待ってください。

投下しま

「抜け、出す…?」

「そう。学園都市を抜け出すの」

食蜂から出た提案は思っていた以上に斜め上の提案だった。

記憶喪失とはいえ、上条自身、学園都市を出ることがいかに大変か理解しているつもりだ。

少なくともレベル5にもなると出る日の1週間前には上層部にかけあわないとまず不可能である。

「悪いけど、あなたの記憶を少し覗かせてもらったわ。もちろん、記憶を失う前のあなたの記憶もね」

その言葉を聞いて、上条の目の色が変わる。明らかに纏う雰囲気が変わった。

「大分、大変な出来事に巻き込まれてきたみたいね」

「そう、みたいだね…」

「だから、こんな非日常から抜け出しましょう。あなたの身が滅んでしまう前に」

その言葉に思わず身構えた上条。

「滅、ぶ…?」

「ええ、滅ぶわ。すでにあなたの身体はボロボロの状態なの。そんな状態でまた今までみたいに厄介ごとに巻き込まれると、今度は確実に死ぬわ」

食蜂の『死ぬ』という言葉。不思議とこの言葉に上条は恐怖を感じなかった。

過去、何度も死ぬ間際まで追い詰められた経験のある上条は感覚が少々麻痺してしまっていたのだ。

「死が怖くないって顔してるわね」

その言葉につい顔を強張らせてしまう。

「やっぱり。まああれだけの体験をしたあとじゃそうなるのも無理ないわ。でもね、それは普通じゃない。普通じゃないのよ」

普通。

意味:特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま

学園都市にいるというだけで、すでに普通からは遠く離れている様ではある。

だが、学園都市にいるだけで何度も殺し合いをするようなことはまずありえないのである。それこそまさに異常である。

「…どうして、抜け出そうって、思ったの?」

「…もう、あなたには傷ついてほしくないのよ」

思い返せば中学一年の時、かつてデッドロックという集団に襲われた際にも、上条当麻には見えない傷を負わせてしまっていた。そう、食蜂のことを二度と認識できないほどまでに。

だが今目の前にいる上条当麻は違う。確実に上条は食蜂を認識できている。

何故なら、女性になる際、上条当麻の細胞が1から書き換えられた今の上条当麻だからこそ、正常に食蜂を認識出来るのである。

食蜂はまず歓喜した。それと同時に落胆もした。

出来ることなら、男性のまま認識して欲しかったと思っていた。だが、認識出来ること自体まず奇蹟だったのだ。

「誰にも言わず、誰にも知らせず、ひっそりと、学園都市を出ましょう。そうすればあなたは普通の生活に戻れる。身勝手な大人に振り回されず、普通に学校に行き、普通に恋をして、普通に幸せな生活を送る。私はあなたにそんな日々を過ごして欲しいの」

「操祈ちゃん…」

「お願い、私と一緒に、普通に暮らしましょう」

上条は考えた。確かに今の現状、どこから何が来るかわからない。

もしかしたら明日死ぬかもしれない。誰にも見つからずに抜け出せれば、食蜂の言う通り普通の生活を送れるかもしれない。

でも、その選択は、今の生活を捨てるということだ。

それは今まで出会った人との決別を意味している。

怪我した彼女を治療してくれた冥土帰し。

女性となった彼を受け入れてくれた青髪ピアスや姫神、吹寄といった学校の生徒達。

親身になって話をしてくれる小萌先生。

お見舞いに来てくれて、友達になった一方通行とラストオーダー。

護衛という名目だが側にいてくれるヴェント。

かつて上条当麻に恋心を抱いていた少女であり、いまや親友にもなった御坂美琴。




そして…土御門元春。




全部、掛け替えのない出会いだった。

修正



上条は考えた。確かに今の現状、どこから何が来るかわからない。

もしかしたら明日死ぬかもしれない。誰にも見つからずに抜け出せれば、食蜂の言う通り普通の生活を送れるかもしれない。

でも、その選択は、今の生活を捨てるということだ。

それは今まで出会った人との決別を意味している。

怪我した彼女を治療してくれた冥土帰し。

女性となった彼を受け入れてくれた青髪ピアスや姫神、吹寄といった学校の生徒達。

同じく、女性という変異を受け入れてくれた神裂火織、ステイル、インデックス。

親身になって話をしてくれる小萌先生。

お見舞いに来てくれて、友達になった一方通行とラストオーダー。

護衛という名目だが側にいてくれるヴェント。

かつて上条当麻に恋心を抱いていた少女であり、いまや親友にもなった御坂美琴。




そして…土御門元春。




全部、掛け替えのない出会いだった。

「とても、魅力的な話だと思うよ」

「でしょう?なら、私と…」

「でも、ごめん。私はその話は受けれない」

「…どうして?」

「確かに、その方法なら私は幸せになれるかもしれない。普通に戻れるかもしれない。でも、その選択をしてしまったら、私は、今の日常を全部否定することになっちゃう」

「それは…」

「それに、私がいなくなったら、多分みんなが不幸になる。きっと、私が捨てた選択のツケが、全部みんなに降りかかっちゃう」

何も言えなかった。それは確かに可能性があった話だった。

「確かに私は幸せになりたいよ。でも、それが誰かの不幸の上で成り立つ幸せなら…」



上条は食蜂の目を見据える。



『私(俺)は、そんな幸せ(不幸)はいらないよ』



声が、重なった。

まるで、今までの上条当麻が戻っていたように。

その言葉に、食蜂は思わず笑みがこぼれる。

「ふふ、さすが当麻さんというべきかしらね。性別は変わっても、その性質は変わってないみたいね」

「操祈ちゃん…」

「そろそろ上がるわ、学校へ行く準備をしないと」

水音を立てながら立ち上がる。露わになる美しい肢体を隠すことなく脱衣所へ向かう。

「あ、じゃあ私もそろそろ…」

「当麻さんはダメ」

「え?」

「病み上がりだし、今日はまず安静にすること。ね?」

「あ、うん…」

有無を言わせない食蜂の雰囲気に思わず頷いてしまう。

上条は一度は立ち上がったが、また湯船に体を戻す。

「じゃあ、また夕方に会いましょう」

「うん、またね」

手を振る上条。その姿を、扉が閉まり見えなくなるまでじっと食蜂は見つめていた。

着替えを済ませ、脱衣所を出る食蜂。

すでに窓を開けていたため、室内には爽やかな空気が流れていた。

彼女はまずベッドのシーツを乱暴に剥がし、洗濯籠の中にぶち込む。

上条との情事の所為でいろいろと湿ってしまっていたからだ。

それを確認すると、いつもの手提げかばんを持って部屋を出る。

「勝手な行動は困るぞ、食蜂操祈」

扉を閉め、鍵をかけたところで突然声がかけられた。

食蜂はその声に驚くこともなく歩き出す。声をかけた人物もそれに続く。

「あら、私が何をしようと勝手じゃないかしらね。それに、ここは一応女子寮で、普通男性の人は入れないはずなんだけど?」

声をかけた人物は土御門元春だった。

「少し、寮母さんには眠ってもらった。しばらくは目を覚まさないだろう」

「あら、怖い。やっぱり男性の人ってみんな野蛮なのね。今まで当麻さんにしてきたみたいに」

その言葉に土御門は無言で返事をする。

「お前は…食蜂はこれからどうするつもりだ?」

「私は、私なりの方法をとらせてもらうわ。もう二度とあんな思いはしたくないから」

「そうか」

「あなたも、守りたいならしっかり答えを出しなさい」

「……ああ」

「でないと…」










「でないと、私、何するかわからないから」








投下終わりです

超スローペースですが一応最後までの構想はあるので、それを文章にするのに手間取ってます。

ではまた次の投下までに

生存報告と保守です

まだ残します…!

お久しぶりです。いろいろと事情でできませんでした。
生存報告させていただきます。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月21日 (土) 14:44:18   ID: L6M0gGuz

ずっと待ってますの!

2 :  SS好きの774さん   2014年06月22日 (日) 22:55:34   ID: FoypwL6j

生きてたーーー!!
早く続き読みたいな

3 :  SS好きの774さん   2014年09月27日 (土) 00:31:29   ID: I9ktO__e

続きみてー!!                         期待してます!

4 :  土上嬢が最高過ぎる件   2014年10月17日 (金) 01:19:18   ID: uYgtzZm-

上嬢のss初めて見ましたが、とても面白いです!
土御門とのカップリング最高です
続き楽しみにしてます!完成、頑張って下さいね!

5 :  SS好きの774さん   2014年11月18日 (火) 20:53:56   ID: __Al9Z1M

凄く面白いです!
まだまだ読みたいので続き待ってます

6 :  SS好きの774さん   2015年03月08日 (日) 18:47:24   ID: ycFkV3Rq

続き待ってます!

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