幼剣士「待っていて下さい・・僕が必ず・・!」(613)

【過去作品】
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上記シリーズの正式な続編ですが、
全く読んでいない方でも楽しめるような内容を目指しています。
よろしくお願いいたします。


 
――――――山奥村


・・・・・・キャー!!
・・タスケテェ・・・・コロサナイデ・・・!



幼剣士「・・・何、これ?」



山賊長「ハーハッハッハ・・・・奪え!犯せ!殺せ!!」

村人女「嫌ぁぁぁ・・・やめてください・・・!」ビリビリ

村人父「そ、その子だけは・・・!」

山賊a「ああ!?うるせえんだよ!!」

・・・・ザシュッ

・・・イヤァァァ!!!!
・・・・・・・・・・・・・・

 
幼剣士「・・・あ、お母さん・・・。お母さん・・・、どこ・・・?」フラフラ


・・・・パチッ・・・・パチパチッ・・・・ゴオオオッ

 
 
幼剣士「・・・火が、熱い・・」ハァハァ


山賊a「・・・お・・・、へへ。ガキはいい値段で売れるんだよな・・・」グッ

幼剣士「・・・!」

山賊a「おっと、暴れるなよ?」チャキッ

幼剣士「は・・・離せぇ!」ジタバタ


山賊a「ははは、無駄だ無駄無駄っ!」

 
・・・・・・ヒュッ・・・ゴツッ!!!


山賊a「いてっ・・・・石・・?っ痛ぇな・・・誰だ・・・・」タラッ

親父「そ、その子を離せ!」

母親「・・・・離してください・・・」

幼剣士「お、お父さん!お母さん!」
 
 
山賊a「てめえ・・・人の顔に傷つけといて、覚悟はできてんだな?」イラッ

親父「・・・・くっ」

 
山賊a「・・・」ポイッ

幼剣士「う、うわっ!」ドサッ

 
山賊a「覚悟しろや!」ダダダダッ

親父「・・・・!」


・・・・ザシュッ!!


山賊a「・・・・何・・だと・・・」ブルブル


親父「はは・・・ざ、ざまあ見ろ・・・」


幼剣士「・・・お父さん・・」ホッ

 
山賊a「・・・くそが・・・」ドサッ


親父「お前らの思い通りになんかさせな・・・・ふぐっ!」ドスッ

 
幼剣士「え・・・、お父さん・・・?」

母親「あ・・あなたぁぁ!」


山賊b「おい、人の仲間やっちゃってんの?」グリグリ


親父「な・・・、よ・・・・・・、幼剣士っ・・・!」ブルブル


山賊b「死ねよ」ザシュッ


親父「・・・」ドサッ・・


山賊b「で、こっちは・・お前の母親?」

幼剣士「・・・」ガクガク

 
母親「・・・・あなた・・・あなたぁ・・・」

山賊b「・・・お前も仲良く逝くんだな!!」ザシュッ

母親「・・・・・あ・・・」ドロッ・・


・・・・ドサッ


幼剣士「お父さん・・・お、お母さん・・・」グスッ

山賊b「・・・お前もだよ・・・ひひ・・・」ユラッ

・・・ザッ・・・ザッ・・・・・ザッ・・


山賊b「あの世でママとパパと遊んでな!!」チャキッ

 
山賊b「死ねやっ!」ヒュッ

・・・ググッ

山賊b「ん・・剣が振り下ろせねぇ・・・くっ、このっ!」ググッ



軍服の男「お前が・・・・あの世でその子のママとパパに懺悔するといいんじゃないかな」

山賊b「・・・へ?何だてめぇ、人の剣を・・・離せ・・・・!」スパッ

・・・ドサッ



軍服の男「かっこいい事言ったけど・・・ま。峰打ちだよ。どうせ防衛隊に引き渡さないといけないしね」


幼剣士「・・・・ひっ」ガクガク

軍服の男「・・・・!」

 
幼剣士「・・・お母さん・・・お父さん・・・」グスッグスッ

軍服の男「・・・大丈夫かい?ごめん、来るのが遅すぎた・・・」スッ
 
 
 
幼剣士「・・・助けて・・くれたの?」グスッグスッ

軍服の男「・・・・うん」


幼剣士「・・・僕、僕・・・・・・」


軍服の男「・・・・」

幼剣士「これから・・・どうしたらいいの・・・?」

軍服の男「・・・・」

幼剣士「お母さん・・・お父さん・・・いなくな・・・ちゃ・・・ったよ・・」

 
軍服の男「・・・」

幼剣士「・・・・ううう」グスッ

軍服の男「・・・こんな時、どう言えばいいか俺には分からない。
      だけど、お父さんとお母さんが君を守った分、君は強く生きなくちゃいけない」


軍服の男「・・・無理・・・・・だよ・・・」


・・・・スタッ


軍人「・・・中尉殿!こちらの制圧は終わりました。ひどいものです・・・」

軍服の男「ありがとう。村の被害は?」

軍人「・・・・、最悪です。その・・・、そこの子を除いて・・・・・」

軍服の男「・・・本当に・・遅すぎたね・・・」

 
軍人「・・・中尉殿が悔やむことはありません。情報が来るのが遅すぎたのです」

軍服の男「・・・・」


幼剣士「・・・」グスッグスッ

軍人「・・・どうしますか?この子。養護施設に送るしかないですよね」


軍服の男「・・・、君の名前は?」

幼剣士「よ・・・幼剣士・・・」


軍服の男「いい名前だ。・・・・俺の知り合いに親のない子を預かる僧侶がいる。そこに送ろう」

幼剣士「そこで・・・僕はどうなるの・・・?」


軍服の男「生きる意味を見つけさせてあげるよ」

幼剣士「・・・生きる・・・意味?」

軍服の男「あぁ。世界はこんなにも広いんだって・・・さ。
     こうなってしまったのは俺のせいでもある。君を強くして・・・、世界を見せてあげるよ」ニコッ

 
軍人「し、しかしそれでは・・・・!中尉殿が背負い込む問題ではありません!」

軍服の男「はは、いいんだよ」


軍人「まったく・・・あなたはいつもそうだ。色々と巻き込み、背負いこんでしまう・・・」


軍服の男「・・・母さんにも一緒のことを言われたよ。すぐに面倒事に巻き込まれる体質だってね」ハハ


幼剣士「・・ねえ・・僕・・、そこに・・・行けば・・・・・・何か変わるの・・・?」


軍服の男「お。泣き止んだか・・・強い子だね。ああ、変えてみせるさ」ハハ

 
幼剣士「あの・・・名前・・・」


「ああ・・・・そうか・・・俺はね・・・」



青年剣士「青年剣士。中央軍で働いている一介の剣士さ」ニコッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・・
・・


 

・・
・・・
・・・・ 
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
―――【数日後、大聖堂】


幼剣士「大きい・・・」


青年剣士「・・・じゃ、乙女僧侶。頼んだよ」

乙女僧侶「分かりましたです!しっかり面倒を見させていただきますよ!」

青年剣士「それと・・・、幼剣士」


幼剣士「・・・?」

青年剣士「約束どおり、俺が・・君を強くしてあげよう。強くなれば、冒険・・・
       世界に旅立つ勇気を持てる。世界に興味を持てれば、君の中の世界が変わるんだ」

幼剣士「・・・んー・・わかんない・・」


  
青年剣士「はは、そうか。今日は時間があるし・・・、アレも渡しておこう」ゴソゴソ

・・・チャキッ


幼剣士「・・・これって?」

青年剣士「プレゼント。君のために買ってきた、初心者向けの剣だよ」ニコッ

幼剣士「・・・いいの!?」

青年剣士「うん。大事にしてね」

幼剣士「あ・・・ありがとう・・・」ヘヘ


乙女僧侶「・・・ふふ」
 
 
青年剣士「よし、幼剣士!それで僕に本気で攻撃してくるんだ」

幼剣士「え・・・」

 
乙女僧侶「大丈夫ですよ。あのお兄ちゃん、強いんですよ!」

幼剣士「・・・わかった」チャキッ


青年剣士「おっしゃこーい!」



・・・ダダダッ、ブンッ!


青年剣士「・・・お」キィン

幼剣士「えぇいっ!」


・・・キィン!キィンキィン!!


青年剣士「・・・へえ。基本の型がしっかりしてるね」

幼剣士「・・・ぜ、全然当たらない・・・」ハァハァ

 
青年剣士「・・・幼剣士。もしかして、剣術を誰かに習ってたりした?」

幼剣士「う・・・うん。お父さんが剣の先生だったから・・・」

青年剣士「そうなのか・・・。荒削りな部分もあるけどしっかりと基本ができてるね・・・」


乙女僧侶「よく分からないけど、すごいってことですね!」


青年剣士「基本を教えつつ、発展した技術面もしっかり教えていけば・・・
       冒険学校に入学できるようになったら・・・だいぶ役立つしね」


乙女僧侶「そうですねえ。北西冒険学校ならここから近いですし」

青年剣士「ここから通えるしちょうどいいね」


幼剣士「・・・?」


 
青年剣士「ま、今はまだ色々気にしなくてもいいよ」ポスッ

幼剣士「あう・・・・・、う、うん・・・」モジモジ


青年剣士「ん?・・・どうしたの?」


幼剣士「その・・・どう呼べばいいかなって・・・」

青年剣士「ああ、俺のこと?」

幼剣士「うん」

 
青年剣士「お父さんっていう歳じゃないし・・・そこまでの貫禄もないし・・・」


乙女僧侶「やっぱり、お兄ちゃんじゃないでしょうか?」

青年剣士「うん・・・・お兄ちゃん、でどうだろ?」


幼剣士「お、お兄ちゃん!・・・お兄ちゃんが・・・できた・・・えへへ」

青年剣士「・・・」ニコッ

 
幼剣士「お兄ちゃん・・・」ヘヘ

青年剣士「ふふ、君にはお姉ちゃんもいることになっちゃうけどね」

幼剣士「お姉ちゃん・・?」


青年剣士「ずっと遠い世界だけど、俺にはもう1人、妹がいるんだよ」ハハ


幼剣士「・・・遠い世界?」

青年剣士「そう。ここではない・・・ずっと遠い、遠い・・・。
       けどね・・・どんなに離れていても、お互い想いあえば、本当の家族なんだ」

幼剣士「・・・」

青年剣士「幼剣士と俺は・・お互い知らない事も多いけど、一緒にゆっくり、仲良くなっていこう」ニコッ

幼剣士「・・・うん!」


 
乙女僧侶「それで、これからどうします?」

青年剣士「さっきも言ったけど、休みだから近くの森で色々見てあげようと思う」サスサス

幼剣士「・・・強くなれる?」

青年剣士「ああ。強くしてみせるよ」ハハ


乙女僧侶「今日の夜は、幼剣士くんを皆に紹介しないといけないので、早めに帰ってきてくださいね?」


青年剣士「分かった。じゃ、行こうか」

幼剣士「うん!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
――【近くの森】


・・・キィン!!

青年剣士「脇をもっと締めて・・・力いっぱい振り下ろすんじゃなくて・・・・」

幼剣士「・・・えぇいっ!」

青年剣士「そうそう。飲み込みが早くていいね」

幼剣士「・・・」ハァハァ



青年剣士「ちょっと休憩しようか」

幼剣士「疲れたぁ」ハァハァ

 
青年剣士(思った以上の素質だよ・・・って、未熟な俺が言える事じゃあないよね・・・はは)

幼剣士「・・・」ジー

青年剣士「・・・ん?どうしたの?」


幼剣士「お兄ちゃんって、やっぱ凄い人?強いんだよね?」

 
青年剣士「うーん、どうだろう。中央軍に入って日も浅いし・・・」

幼剣士「でも、あの・・・あ・・あの日・・・、さ、山賊・・を・・・一撃で・・・」


青年剣士「・・・、大丈夫。今は俺がいる」ギュッ

幼剣士「・・・」ブルブル

 
青年剣士「ちょっと休憩がてら、俺の見てきた世界をお話しよっか」

幼剣士「・・・うん」


青年剣士「・・・魔法の国ではオーガを倒したり、太陽の祭壇っていう所でバンシーっていう
       凄い強い魔物と戦ったりしたんだ。アイスタイガーに殺されかけたことも・・・」アハハ


幼剣士「いっぱい色んな所に行ってるんだ・・。殺されかけた・・・の・・?」

青年剣士「うん。雪山に登って倒れた時、仲間が支えてくれて助かったんだ」

幼剣士「・・・怖かった?」

青年剣士「その時は、仲間がやられるのを見ていられなくて・・・
       無我夢中だったから、怖いっていうより"守ってやる"って気持ちでいっぱいだったよ」

幼剣士「・・・」


 
青年剣士「そのときだよ。妹・・・、君のお姉ちゃんが・・一生懸命、俺を助けてくれたんだ」

幼剣士「お姉ちゃん・・」


青年剣士「そう。いつか、幼剣士も強くなって、俺を助けてくれるようになるかもね」ナデナデ

幼剣士「うん・・・僕、強くなる・・・」


青年剣士「よっしゃ!そう決まったら、あるのは修行のみ!」

幼剣士「よおーし!」チャキッ


青年剣士「・・かかってこいっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【夕方・大聖堂】


乙女僧侶「あ・・・お帰りなさい・・・って、ドロドロじゃないですか!」


青年剣士「あ・・・あはは、ちょっとハリキリすぎちゃったかなって」ドロドロ

幼剣士「疲れたぁぁ・・・」ドロドロ


乙女僧侶「あーあー・・・、洗濯するので脱いで下さいよ・・・」ハァ


青年剣士「あー・・・うん、なんかゴメン」

乙女僧侶「お風呂沸かしといて正解でした。ご飯も用意するので、先に入ってきてください」


青年剣士「はは・・・ありがと。幼剣士、お風呂行こうかー」

幼剣士「うん~!」

 
乙女僧侶(あっという間に仲良しさんですね。男の子同士って、何かうらやましいです)

 
・・・・・・・・・・・・・・

・・・カポーン・・・

青年剣士「・・・ふうー。疲れた体にお風呂は気持ちいいなあ」

幼剣士「・・・お兄ちゃん、凄い傷・・・」


青年剣士「・・・そうだね。たくさん戦ってきたからね・・・、でも、これが俺の証にもなってるんだ」

幼剣士「証?」

青年剣士「それを忘れてはいけないという心。それと仲間との絆・・かな」

幼剣士「傷がないと絆・・・にはならないの?」

青年剣士「ううん、そういうことじゃないよ。ただ、俺はずっと戦う日々を送ってきたからさ・・・。
       僕にもネックレスや指輪っていう形に残るのもあるけど、やっぱり傷が一番の思い出ってことだよ」


 
幼剣士「・・・難しいね・・・」
 
 
青年剣士「・・・そうだね。俺も難しいと思うよ」

幼剣士「・・・ねえ、僕、強くなれるかな?」


青年剣士「なれるさ。大丈夫・・・、きっとね」ニコッ

幼剣士「がんばる・・・」


青年剣士「よしっ、そろそろあがろうか。ご飯も待ってるしね!」ザバッ
      (気づかなかったみたいだけど、昔話をすると・・つい"俺"じゃなくて"僕"って言っちゃうのは・・・抜けないクセだな・・・)

幼剣士「うん・・お腹も空いた・・・」グゥゥゥ

 
青年剣士「よっと・・・これに着替えればいいのかな・・・」ゴソゴソ


・・・・・ガチャッ


乙女僧侶「いつまで入ってるんですかー。もう他の子もまってますよ・・・」

青年剣士「・・・あ」

乙女僧侶「あ・・・」


幼剣士「?」


乙女僧侶「きゃああああっ、ごめんなさいですーーー!」カァァ

青年剣士「わ、わあああ!な、なんかこっちこそごめんーー!」

乙女僧侶「ま、待ってますので早くしてくださいね!」

青年剣士「わ、わかった!」


幼剣士「・・あはは、お兄ちゃん変なのっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【大聖堂・食堂】


乙女僧侶「・・・遅いですよ!」

青年剣士「ごめんごめん」アセアセ


乙女僧侶「皆さん、今日は新しい友達が来てくれました」

幼剣士「・・・」ドキドキ


乙女僧侶「幼剣士くんです。仲良くしてくださいね」

子供たち「はい」

 
青年剣士「幼剣士、ここの子供たちはね・・・みんな親がいなかったり、色々複雑な事情を持った子たちなんだ」

幼剣士「・・・」

青年剣士「・・・仲良くしような」

幼剣士「うん・・」



乙女僧侶「では・・・・・父と子の聖霊のみ名によって、主願わくは我らを祝し、
       我らの食せんとする賜物を祝したまえ・・・」


全員「いただきます」


 
・・・・・・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・・・・


青年剣士「・・・ふわぁ」

乙女僧侶「お疲れ様でした」

青年剣士「・・・うん」

乙女僧侶「・・・」


青年剣士「あの子、馴染めそうかな?」

乙女僧侶「えぇ・・大丈夫だと思います」


青年剣士「そっか・・・良かった」

乙女僧侶「そういや、今、幼馴染さんは元気ですか?」

 
青年剣士「魔法研究部でがんばってるよ。期待のエースだってさ」ハハ

乙女僧侶「さすがですね。私はここで子供の面倒を見てるだけなのに・・」


青年剣士「だけ・・・なんて言っちゃだめだ。乙女僧侶のおかげで、
       子供たちはもう1度、幸せってのを手に入れたんだし・・・さ」

乙女僧侶「幸せ・・になってくれているんでしょうか?」


青年剣士「うん。あの子たちの笑顔は本物だよ」ニコッ


乙女僧侶「青年剣士さん・・・」


青年剣士「さてと、明日は早く出発しないと・・・軍の仕事があるし・・・」

乙女僧侶「そうですね、今日は寝ましょうか」

青年剣士「・・・うん。お休み、乙女僧侶」

 
乙女僧侶「おやすみなさい・・」


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【次の日】


青年剣士「よし、じゃあ・・行ってくるよ」

幼剣士「また、すぐに来る?」


青年剣士「もちろん。強くするのは約束だ。休みの時は一緒に修行をしよう」

幼剣士「・・・わかった。待ってるねお兄ちゃん」

青年剣士「うん。じゃ、行ってきます」


幼剣士「行ってらっしゃい」

乙女僧侶「お気をつけて・・・」


・・・・タッタッタッタ・・

 
幼剣士「・・行っちゃった」

乙女僧侶「ふふ、青年剣士さんに負けないように、頑張って強くなりましょうね」

幼剣士「・・・うん!」

乙女僧侶「じゃあ、私はちょっと晩御飯の買い物に行ってきますね」パタパタ

幼剣士「いってらっしゃい!」


・・・・ザッ


???「おい、そこの新入り!」

幼剣士「・・・?」

???「お前だよ!」
 
幼剣士「あ・・・僕か」


童子騎士「俺は童子騎士。確か、お前は幼剣士とかいったな!」

 
幼剣士「う・・うん?・・・うん」

童子騎士「いいか、ここでは俺がルールなんだ、覚えておけ!」

幼剣士「よ、よくわかんないけど・・・そうなの?」

童子騎士「ああ。俺に逆らうんじゃないぞ。俺はリーダーなんだ」


幼剣士「・・・わ、わかった」


童子騎士「ところで、青年剣士を兄貴とか言ってたけど・・お前、青年剣士さんの弟なのか?」

幼剣士「そう・・・だと思う」

童子士「どういうことだ?」

 
幼剣士「ん・・・うんとね・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・


幼剣士「っていう・・・わけ・・・」

童子騎士「そうか・・。お前も親がいないんだな」

幼剣士「・・・も?」

童子騎士「ああ。俺も親がいないんだ・・・。流行り病っていうので死んじゃったんだ・・」


幼剣士「・・・そうなんだ」


童子騎士「・・・まあいいよ。そんなことより、お前・・・青年剣士の弟にもなるってことは、強いんだろうな?」

幼剣士「?」

童子騎士「あの人はな、この世界中を冒険して、人々を助けるスーパーマンなんだ!
       って、乙女僧侶が言っていた」

 
幼剣士「・・・強くなりたいとは思う」

童子騎士「・・・へへ、じゃあ俺が強さを見てやるよ」


幼剣士「・・・?」


童子騎士「ちょっと待ってろ」ヘヘ


 
・・・・・・・・・・・・・

めがね魔道「・・・俺が審判すればいいんだね?この武器重いんだよ・・・」ハァ

・・・ドサドサッ



童子騎士「ああ。頼むぜ」

幼剣士「えーっと・・・これは?」


めがね魔道「実戦形式の試合だよ。一本いれたら勝ち。
        そこにある擬似武器から選んで戦い合うんだよ」


童子騎士「俺は使いなれた槍がいいな・・・」ゴソゴソ

幼剣士「・・・」

童子騎士「お前は?やっぱこの剣でいいか?」チャキッ


幼剣士「うーん、僕はじゃあ・・・この、お兄ちゃんから貰った剣がいいかな」チャキッ

 
童子騎士「ば、ばかやろう!本物で斬ったら大怪我しちゃうだろ!」

めがね魔道「だめだよ・・・幼剣士くん。この擬似武器でやらないと・・・」


幼剣士「あ・・・ごめん。じゃあえっと・・この剣でいいかな」ヨイショ

 
童子騎士「へへ、じゃあルールは簡単。相手に一回でも攻撃を入れたら勝ちな」

幼剣士「う、うん」


めがね魔道「ようし・・・じゃあ、準備はいい?」


童子騎士「おう」スチャッ

幼剣士「うん」チャキッ


めがね魔道「ようし・・・はじめっ!」

 
童子騎士「行くぞっ!」ブゥン

・・・ヒュッ


幼剣士「わわっ」

童子騎士「どうした!それでもあの人の弟かよ!」ブゥンブゥン

 
・・・ヒュッヒュッ

幼剣士「くっ・・・ええいっ!」ブン

 
・・・・カンッ

童子騎士「そんな大振りじゃあ当たらないぜっ」

 
幼剣士「・・・・くぅっ」ブウン

童子騎士「甘い甘い!」カンッ


・・・・・・・・・・・
青年剣士「脇をもっと締めて・・・力任せに振るんじゃない・・・・」
・・・・・・・・・・・


幼剣士(そうだ・・・こうだっ!)ブオンッ!!

童子騎士「うおっ」カァン!!


幼剣士「・・・へへ」

童子騎士「いいね・・・、楽しくなってきた!」

 
・・・・カァン!!
・・ヒュッ・・・・・ヒュッ・・・・ブォン!!
・・・ダダダッ・・・・・カァン!!


幼剣士(つ・・・強い・・・)ハァハァ

童子騎士「やるじゃないか・・・」ハァハァ

めがね魔道「・・・」ゴクリ


童子騎士「だけど・・・これで終わりだっ!」ブォン!

幼剣士「・・・ええいっ!」ブンッ!!



乙女僧侶「こらーーーーーーっ!!!!」
 
・・・・・ピタッ

 
童子騎士「わわっ、乙女僧侶!」


乙女僧侶「こら!乙女僧侶さんでしょ!」コンッ

童子騎士「いたいっ!・・・ごめんなさい」
 
 
乙女僧侶「めがね魔道くんも・・・何やってるんですか・・・」ハァ 


めがね魔道「あの・・・童子騎士くんに審判をやれって・・・」

乙女僧侶「両成敗ですっ」コツンッ

めがね魔道「いたいっ!」

 
乙女僧侶「幼剣士くんも・・・初日からこんなことしてっ」

幼剣士「う・・・ごめんなさい・・」

 
乙女僧侶「こういうことは大人がいるところじゃないと、やっちゃだめっていってるでしょ!」


幼剣士「・・・」ショボーン


乙女僧侶「でもま・・・仲良くやってるみたいだからいいですけどね」フフ

童子騎士「・・・むう」

めがね魔道「・・・」グスン

幼剣士「・・・」ショボーン


乙女僧侶「全く・・遊ぶのもいいですけど、怪我だけはしないようにしてくださいね?」

3人「はーい・・・」

 
乙女僧侶「もうすぐ、お昼ご飯を作りますよ。手伝ってくれますか?」ニコッ

童子騎士「任せろー!」

めがね魔道「今日のお昼はなんだろう・・・グラタンがいいなあ」

幼剣士「・・・料理したことない・・」


乙女僧侶「今日はカレーですよ♪さ、中に入ってください・・・手洗ってくださいねー」

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【それから数時間後・寝室】


童子騎士「ふー・・・疲れた・・・」

めがね魔道「・・・さすがにちょっと眠いよ」

幼剣士「うん・・」フワァ



童子騎士「幼剣士、俺らと一緒の部屋でよかったな」

幼剣士「・・・うん」

 
童子騎士「・・・それにしても、お前・・・意外と強いんだな」

幼剣士「へへ・・・そんなこと・・」

めがね魔道「ううん。童子騎士と打ち合うなんて凄いよ」


幼剣士「そ・・そうかな」


童子騎士「これなら、あの計画を進められそうじゃないか?」

めがね魔道「・・うーん・・・・」

 
幼剣士「計画?」

童子騎士「・・・ここの大聖堂の経営が最近・・・圧迫してるんだ」

幼剣士「・・・?」

めがね魔道「・・・簡単にいえば、大聖堂がなくなっちゃうかもしれないんだ」

幼剣士「・・・え?」

 
童子騎士「近くに、この大聖堂の土地代を管理してる地主がいるんだけど、
       その人に、交渉にしに行くんだ・・・秘密だぜ?」ヘヘ


めがね魔道「前、行ったんだけど・・・門番に帰れっていわれたんだ・・・」

幼剣士「・・・うん」


童子騎士「だから、門番をやっつけて地主に直接交渉するんだ!」


 
幼剣士「で、でも危ないんじゃ・・・」

童子騎士「だから強いお前と俺がいれば!突破できるわけだ!」

幼剣士「・・・うーん・・・」


めがね魔道「僕もここがなくなるのは嫌だから・・・」


幼剣士「・・・わ、わかった。僕も手伝うよ!」

童子騎士「へへ、そうこなくっちゃ」

めがね魔道「大丈夫かなあ・・・」


童子騎士「大丈夫だって!俺とコイツがいれば・・・、いくら大人でも倒せるって!」

 
幼剣士「・・・それで、いつ行くの?」


童子騎士「乙女僧侶・・・・さん、がいる日は怒られるからダメだったんだけど・・・」

めがね魔道「明日、冒険学校に用事があるからいないハズですなんですよ」

童子騎士「ってわけ。明日の朝、乙女僧侶・・・・さん・・・が出かけたら、すぐ出発だ」


幼剣士「う、うん」

 
めがね魔道「なんで素直に乙女僧侶さんって言えないのさ」

童子騎士「う、うるせー!」

幼剣士「?」

 
めがね魔道「好きな人を下に見たい気持ちは分かるけどさ・・・」

童子騎士「う、うっせうっせ!」

幼剣士「あ、童子騎士くん・・・乙女僧侶さんのこと好きなの?」

童子騎士「それ以上いうんじゃねー!うがーー!」


・・・・ガチャッ


乙女僧侶「こーら・・・また童子騎士くんたちですか・・・。もう夜なんですから静かにですよ!」


めがね魔道「あ・・・ごめんなさい」

童子騎士「ごめんなさい・・・」

幼剣士「ごめんなさい・・・・」

 
乙女僧侶「早く寝てくださいね?消灯は夜9時なんですから・・・寝る子は育つです」ニコッ


童子騎士「はーい・・」

乙女僧侶「では、おやすみなさい」


・・・・・ガチャン

 
 
めがね魔道「ま・・まあ、明日もあるし早く寝ようか」

童子騎士「そうだな・・・」

幼剣士「ふああ・・・眠いもんね・・・」

 
童子騎士「・・・電気消すぞ」

めがね魔道「・・・おっけー・・」

幼剣士「うん・・・」


・・・・・・・・・・・・パチッ

 
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


 

・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・

 
・・コケコッコー!!
・・・・チュンチュン


「・・・きろ」

「・・・・・おきろ」


童子騎士「起きろー!」


幼剣士「わあっ!」

 
めがね魔道「あ・・・起きた」

幼剣士「お・・・おはよう・・・」キーン

童子騎士「さっき乙女僧侶が出かけたから、チャンスだぞ!」


めがね魔道「・・・本当に行くの?」

童子騎士「ここまでやって引き返したら男が廃る!」

幼剣士「・・・わ、わかった」
 
 
童子騎士「めがね魔道、言ってたのは持ってきただろ?」

めがね魔道「ほら・・・昨日使ってた擬似武器でしょ」カチャカチャ

童子騎士「へへ・・これがないとな」

 
めがね魔道「はい・・・幼剣士くんの」チャキッ

幼剣士「あ、ありがとう」
 
 
童子騎士「おっしゃ!じゃあ行こうか!」スチャッ

めがね魔道「なんか・・・凄い不安だ・・」

童子騎士「出発だ!」


幼剣士「お、おー!」

 
・・・・・・・・・・・・・・

童子騎士「あそこに見えるのが地主の家だ」コソコソ

めがね魔道「相変わらず門番がいるね」コソコソ

幼剣士「強そうだね・・・」

 
童子騎士「なあに、一発殴れば気絶するさ」ヘヘ

幼剣士「・・・」

めがね魔道「・・・」


童子騎士「よし・・・じゃあ突撃だ・・・!」スチャッ

めがね魔道「わかったよ・・・」スッ

幼剣士「・・・うん」チャキッ

 
・・・・・・ダダダッ!!

童子騎士「うわあああっ!」


門番a「な、なんだ!」

門番b「あいつら!この間のガキ共じゃねーか!」

 

童子騎士「覚悟ぉぉぉっ!」ブウン

幼剣士「え、えぇいっ!」ブンッ

めがね魔道「・・・・し、小火炎魔法っ!」ボワッ

 
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・

トコトコ・・・


乙女僧侶「まったく・・・、届け物を忘れるなんて・・・バカですね私も・・・」ハァ


・・・・ザワザワ
・・ナニシタンダ・・・?コドモガ・・・


乙女僧侶「・・・何か騒がしいですね?あそこは確か地主さんの家のはず・・・」


・・・トコトコ・・・チラッ

乙女僧侶「よいしょ・・・何でしょうか・・・。って、童子騎士くんたち!」

 
門番a「くっ・・・このガキ・・・防衛隊に突き出してやる!」

童子騎士「離せぇぇ!地主に合わせろ!」ジタバタ


門番b「ああ、会わせてやるよ!ただし縛られた状態でな・・・!」

童子騎士「く、くそぉぉ・・・」

めがね魔道「ごめんなさい!ごめんなさい!!」グスッグスッ

 
乙女僧侶「・・・な、何してるんですか!」


門番a「アァ・・・?おお、そこの大聖堂の僧侶さんですか」

門番b「いや・・・このガキ共が突然殴りかかってきたんですよ。全く・・・しつけがなってないですな!」

 
乙女僧侶「ご・・・ごめんなさい・・・」


童子騎士「お、乙女僧侶が謝ることじゃねーよ!こいつらのせいで大聖堂が潰れそうなんだろ!」

門番a「戯言を・・・・」


・・・・・ギィィィ・・・


地主「朝からやかましい声がすると思ったら・・・・」


門番a「じ、地主様!」ビシッ

地主「一体どうしたというのだ・・・」

門番a「いえ・・・実はこのガキ共が・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・

地主「なるほどな」

乙女僧侶「ほ・・・本当に申し訳ないです・・・・」


門番a「どうしますか?このガキ共。防衛隊に逮捕してもらおうと思いまして」

乙女僧侶「そ・・それだけは!」


地主「・・・いやでもねえ、こんなことする子供たちですよ?未来のためにもねえ・・・」

乙女僧侶「私から・・・よく言い聞かせるので・・許してもらえませんか・・・」
 
 
地主「それに、ワシが土地代を値上げたことを、よく思ってないそうじゃないか・・・?」

 
乙女僧侶「い・・・いえ・・確かにうちも経営は厳しいと言っておりましたが・・・・地主様も大変なんだろうと・・」


地主「大変?違うな・・・。もう時代遅れの聖堂なんていらないんだよ」

乙女僧侶「そ・・・そんな・・・」

地主「あそこを潰して、貸し地にすればもっといい金になるかもしれんからな」ハハハ

 
幼剣士「そ、そんなことをしたら僕たちは・・・」


地主「そんなもん知らん。ワシはワシの金になればいいのだ!」

乙女僧侶「・・・」ギリッ

 
地主「とっととガキ共を防衛隊に引き渡せ!」

門番a「はっ!」


乙女僧侶「・・・待ってください・・・、何でもしますから・・・・その子たちだけは・・・」


地主「・・・ほう?」


乙女僧侶「お願いします・・・」

地主「何でもするのか?」クイッ

乙女僧侶「あっ・・・」

 
童子騎士「この・・・離せぇぇ!」

乙女僧侶「・・・」


地主「ひひ・・・若い娘は嫌いじゃないぞ・・・」ペロッ

乙女僧侶「・・・くっ・・・」ゾワッ


幼剣士「お・・・乙女僧侶さん・・・・!」ググッ


乙女僧侶「・・あ・・・・」


地主「・・・・ひひ・・・ひひひ・・・、部屋に来てもらおうか・・・・」ハァハァ

乙女僧侶「・・・・あ・・・あぁ・・」

地主「・・・さあ、さあ・・・!」グッ

 
 
「・・・・そこまでにしてもらえませんか?」


乙女僧侶「あ・・・」

童子騎士「・・・・あぁ!」

幼剣士「あ・・・お兄ちゃん・・・!」


青年剣士「俺の大事な仲間を、離してやってくれませんか?」


地主「ああん・・・?なんだぁ・・お前は?」

 
青年剣士「・・・まあ、そういう横暴も今日まででしょうが・・・」

地主「・・・どういうことだ?」

青年剣士「・・・・」ゴソゴソ・・・ペラッ


乙女僧侶「そ・・それって・・・」

地主「た、逮捕状!?」


青年剣士「防衛隊の皆さん、お願いします」

防衛隊「はっ!」

 
・・・・タッタッタ・・・ガシッ


地主「は・・・離せ!!何でワシが逮捕なんだ!」

青年剣士「不当な値上げ、それを脅しとした売春行為。他の人たちからの立証です」

 
地主「ぐ・・・・」

防衛隊「ほら!きりきり歩け!」

地主「覚えてろよ・・・貴様らぁぁ!」


・・・・タッタッタッタ・・・



乙女僧侶「う・・・うぇええん・・・青年剣士さんっ・・・・!」ダキッ

青年剣士「おっとっと・・・」ハハ


童子騎士「・・・あ、あの・・・ありがとうございました・・」

幼剣士「お・・お兄ちゃん・・・」

めがね魔道「・・・ありがとうです・・・」


青年剣士「これがどういう状況なのか・・・説明してもらおうかな?」

 
・・・・・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・・・

童子騎士「・・・・・ということです・・・」


青年剣士「・・・・」

乙女僧侶「・・・」ハァ


青年剣士「・・・・いいかい。皆。確かに君たちは強いかもしれない。 けど、こういう事をしてはいけないよ」


童子騎士「で・・・でも、守るために・・・」


青年剣士「その結果が乙女僧侶を危険に巻き込んでしまった。
       もしかしたら、俺がここにこなかったら君たちは牢屋の中だったかもしれない」

幼剣士「・・・ごめんなさい」


 
乙女僧侶「・・・」


青年剣士「・・・でも。君たちは、正義から・・行動を起こしたんだ。そこは褒めないとね」ハハ

幼剣士「お兄ちゃん・・・」


青年剣士「たーだーし。乙女剣士には後でたっぷり怒られてもらうよ。ちゃんと謝るんだ」


童子騎士「・・・ごめんなさい・・・」
 
幼剣士「・・・・ごめん・・・なさい・・・・」

めがね魔道「・・・ごめんなさい・・・」

 
青年剣士「・・・よく謝れました。あとは乙女僧侶、頼んだよ」
 
乙女僧侶「そうですね・・・。部屋に戻っておいてください。後でしっかり叱りますよ・・・」


3人「はーい・・・」

トボトボ・・・


 
青年剣士「でも、無事でよかったよ・・・」

乙女僧侶「本当にありがとうございました・・・。でも、何であなたが逮捕状を?」

青年剣士「・・・結構前から、あの地主が不当な値上げをしていたのは知っていたんだけど・・」

乙女僧侶「そうなんですか・・」

青年剣士「どうしても実証を得られなくて、見てることしかできなかったんだ。
       だけど昨日、急に訴えた人がいて、証拠をつかんだから・・仕事で行ってきたんだ」

乙女僧侶「そういうことでしたか・・・。わざわざ・・・ありがとう・・・です・・・本当に・・・」グスッ


 
青年剣士「はは、別に仕事をきちんとやってるだけだよ。雑務も多いしね」ニコッ

乙女僧侶「・・・」グスッ

青年剣士「・・・しばらくは暇だから、ここで弟の面倒を見てみようかなって思ったり」ハハ


乙女僧侶「・・・色々お世話になってしまいますね・・・」


青年剣士「気にしないで。俺も子供たちが可愛いとは思っているんだから」ハハ

乙女僧侶「・・・ふふ」


青年剣士「それに、幼馴染にこの事を話したら"しっかり面倒見なさいよ"だってさ」

乙女僧侶「・・・幼馴染さんらしいですね」フフ

 
青年剣士「よしっ、じゃあ俺はちょっとだけ町にいってくるよ」

乙女僧侶「わかりました。では、たっぷり叱っておきますよ」フフ

青年剣士「はは、よろしくお願いするよ」


・・・・タッタッタッタ


乙女僧侶(・・・私も・・幼馴染さんのように・・・青年剣士さんの
       心の寄り処になってあげたいです・・・。恋・・なんでしょうか・・・)ハァ


一旦終了です。

>>10 軍服の男「・・・無理・・・・・だよ・・・」 ⇒ 幼剣士「・・・無理・・・・・だよ・・・」 です。修正です。

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・


童子騎士「あーーーー・・・たっぷり怒られた・・・」

めがね魔道「で・・・でも、何だかんだで助かってよかった・・・」

幼剣士「なんか僕ら謝ってばっかだったね」ハハ

 

童子騎士「でもなんだその・・・、手伝ってくれてありがとよ」ポリポリ

幼剣士「ううん・・・。で、でも・・あの・・」


童子騎士「なんだ?」

幼剣士「と・・・友達・・・なのかな・・・?」エヘヘ

童子騎士「・・・」

めがね魔道「・・・」

 
幼剣士「え・・あれ・・・」オドオド


童子騎士「ぷ・・・ははっ!当たり前だろー!!俺らは友達だぜ!」ガシッ

幼剣士「え、えへへ・・・ありがとう・・」


めがね魔道「それと・・・なんか、僕らもまだまだ弱かったね・・」

童子騎士「はぁ・・・そうだな。大人にゃ全然敵わないってことか・・・」


幼剣士「じ、実践あるのみ!」

童子騎士「そうだな!」

 
めがね魔道「また擬似武器持ち出して実践やるの?怒られるよ~・・・」


幼剣士「う・・・」

童子騎士「うーん。俺らも青年剣士さんに教えてもらいたいんだけどなあ・・・」

幼剣士「後でお願い・・してみようかな?」

童子騎士「お、マジか!頼むぜぇ~」

めがね魔道「それなら、乙女僧侶さんにも怒られないもんね・・・」ハハ

 
・・・・ガチャッ


青年剣士「・・・や。たっぷり怒られたみたいだな」ハハ

幼剣士「お兄ちゃん!」


青年剣士「全く・・・俺はあんな事させるために、強くするんじゃないからな?」

幼剣士「う・・・」

童子騎士「・・・」


青年剣士「ま、今日も修行付き合おうか」

 
幼剣士「あ・・・お兄ちゃん。童子騎士くんと、めがね魔道くんも修行・・・いい?」

青年剣士「・・・お?」


童子騎士「俺も・・・もっと強くなりたいんです・・・。で、でも!
       もう、あんな事をしたりしません!だから・・・お願いします!」

めがね魔道「ぼ、僕も!」


青年剣士「・・・2人の夢は何か教えてくれないかな?」 


童子騎士「ゆ・・・夢ですか・・・?」


 
青年剣士「うん。夢」


童子騎士「お・・・俺は、強くなって・・・あの・・・この大聖堂を・・・守りたいです・・・」

めがね魔道「・・・僕は、いつか軍に入って立派な魔法使いになりたいです!」


青年剣士「・・・うん、わかった。立派だね2人とも・・・。そんなこと言われたら、修行しない訳にはいかないね」ハハ

幼剣士「じ・・じゃあ・・・」


青年剣士「おっけい!修行をつけてあげよう!」


童子騎士「や、やったぁ!」

めがね魔道「やった!」

 
青年剣士「乙女僧侶に先に断りいれておくから、外で準備しときなよ」ヨイショ

幼剣士「わかった!」

 
・・・・ガチャッ・・・バタン・・

 
 
童子騎士「やったやった!うれしすぎるぜ!」

めがね魔道「うん・・・!」

幼剣士「みんなで強くなろうね!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
――【近くの森】


青年剣士「よしっと・・・じゃあ何から始めようかな・・」

童子騎士「あの・・その前にちょっといいですか?」

青年剣士「うん?」


童子騎士「師匠の夢って、何か教えてくれませんか?」


青年剣士「し、師匠?」


めがね魔道「僕らにとっては師匠なんですよ!」

青年剣士「そ、そうか・・・何か恥ずかしいな・・・」

 
童子騎士「師匠・・・!」

青年剣士「それにしても夢、か・・・。うーん、英雄剣士になることだね」ハハ


めがね魔道「さ、さすが師匠・・・夢も大きい!」


青年剣士「俺はまだまだ、この広い世界では"ただの剣士"に過ぎないんだ」

幼剣士「・・・?」


青年剣士「・・・俺より、強い人らはいっぱいいる。
       俺はその人たちに追いつけるように、毎日を頑張っているんだ」

めがね魔道「・・・」


青年剣士「だから、君たちも日々の鍛錬を怠らずに頑張れよ」ニコッ


3人「・・・はい!」「はい!」「うん!」


 
青年剣士「よし・・じゃあ修行・・始めようっか」


幼剣士「うん・・、僕も早く凄い技とか・・思い切り使いたいなあ」

童子騎士「なんだ、幼剣士は技使えないのか?」

めがね魔道「僕は小火炎魔法と、小水流魔法が使えるよ!」ヘヘン


幼剣士「・・・基本ばっかやってたから、技とか全然わからないや・・」

童子騎士「へへ、俺は色々使えるぞ」


青年剣士「・・・ほう、俺に向かってやってみるかい?」


童子騎士「びっくりしないでくださいね!」スチャッ

 
青年剣士「んじゃ一応・・・抵抗魔法!」パァッ


童子騎士「・・・よおし!小突!!」ヒュッ


・・・・ヒュウッ!


幼剣士「わっ、早い!」

青年剣士「おっ・・・と」カァン!



童子騎士「小突連弾!」ヒュヒュヒュッ

・・・カァンカァン!!


青年剣士「おっ・・・おぉ・・・・、いい踏み込みだ」

 
童子騎士「・・・・はあはあ、そんなあ・・・連弾でも当たらないなんて・・」ガックシ



青年剣士「はは、でもいい感じだったよ。さ、次は・・・めがね魔道だったかな?」

めがね魔道「は、はい!」ビシッ

青年剣士「君は魔法だったね。思いっきりきていいよ」


めがね魔道「わかりました・・・」スッ

青年剣士「・・・」


めがね魔道「小火炎魔法っ!」ボワッ

 
青年剣士(へえ、意外と密度が高いな)


ヒュッ・・
・・・・シュバッ!


めがね魔道「ああ!剣だけでかき消すなんて・・・」


青年剣士「魔力を練りこむ速度はかなり速いね。いいと思うよ」

めがね魔道「くぅ~・・ありがとうございます」

 
青年剣士「さて、最後は幼剣士だけど・・・」

幼剣士「う、うん」ゴクリ

 
青年剣士「この間教えた、力を抜いた一撃。あれは小斬の基本なんだ」


幼剣士「小斬?」


青年剣士「ああ。さっきの槍でやった"小突"みたいな・・剣術の基本だよ」

幼剣士「この間のをやればいいの?」

青年剣士「ああ。アドバイス通りにやれば自然と"技"には近づくよ」ニコッ


幼剣士「わかった・・・えぇいっ!」

青年剣士「・・・・!」


・・・キィン!!キィン!!
・・・ズサッ・・・・・・・・キィン!!

 
幼剣士「・・・くっそぉ、やっぱ・・お兄ちゃんは強いな・・・」ハァハァ

青年剣士「うん・・・この間の練習を生かしてるね。いい感じだ」

幼剣士「あ、ありがとう!」


青年剣士「さて、これからの教えることは決まったよ」ハハ

幼剣士「・・・!」ゴクッ


青年剣士「走りこみだ。体力が足りなすぎる・・・、基本の基本から」ハァ


童子騎士「えぇ・・・凄い技教えてくれるんじゃないんですか・・・?」


青年剣士「何ごとも基本が出来てないと・・な」

 
幼剣士「じ・・じゃあ、やる気が出るように、凄い技を見せて!」

童子騎士「お、おお!そうですよ師匠!」

めがね魔道「見てみたいです・・・!」


青年剣士「そ、そうか?うーん・・・じゃあ、あそこに巨大な岩が2つあるだろ?」


童子騎士「はい・・・ありますね」


青年剣士「・・・・大攻撃増大魔法!火炎装っ!」パァッ・・ボゥッ


めがね魔道「・・・!武器に火がついた!」

 
青年剣士「・・・火炎刃っ!!」 ヒュッ・・
 
 
・・・ドゴォォォンン!!!バラッ・・


青年剣士「2つの岩を破壊・・・こんくらいでどうかな?」ハハ



幼剣士「す・・・・・」

童子騎士「凄いです!!!師匠!!!!」

めがね魔道「け、剣術だけじゃなく魔法も凄いんですね!」

 
青年剣士「まあこれも全部、基本が出来てこそだからね。走りこみ・・・するよね?」ハハ


3人「当然!!」

青年剣士「じゃ、修行スタートだ。はじめっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【それから幾日が過ぎて】


幼剣士「えぇいっ!」ブォンッ

童子騎士「くっ・・・」カァン!

めがね魔道「・・・小火炎魔法っ!」ボワッ


・・・ヒュッ


幼剣士「あぶなっ!」ボォン!!

童子騎士「へへ、チャンス!」ブォンッ

幼剣士「くそぉっ!」ヒュッ

めがね魔道「わわっ!えいっ!」スッ


・・・・・シーン

 
幼剣士「僕は・・めがね魔道を・・今ので倒したよっ!」ヘヘン

童子騎士「そ、その前に俺が幼剣士の首をとってるぞ!」クワッ

めがね魔道「・・・僕の魔法でいつでも童子騎士を吹き飛ばせるよ?」キリッ

 
・・・・・シーン


童子騎士「あああ、もう!また引き分けかよ!」

幼剣士「えへへ・・でも、何か強くなってる感じがするよね」


めがね魔道「体力もしっかりついてるって実感もあるし・・基本は大事だね」

童子騎士「あったりまえだろ!師匠がいうことに間違いなんてねーよ!」

 
幼剣士「でも、数日前から・・・お兄ちゃんあんまり来なくなっちゃったね」

童子騎士「軍の仕事が忙しくなるからって言ってたけど・・・やっぱ寂しいよな」

めがね魔道「戻ってきたら、僕らの強さをしっかり見せてやろうよ!」

童子騎士「ああ、そうだな!」


・・・・ガサッ


青年剣士「誰が、強さを見せるだって?」ハハ



幼剣士「お兄ちゃん!!」ダキッ

青年剣士「っと・・・、相手してやれなくて悪かったね。やっと少し落ち着いたんだ」


童子騎士「いえ、大変なのはわかってますから・・・」

 
青年剣士「で、ちょっとだけいい話を持ってきた」

幼剣士「いい・・お話?」


青年剣士「来週、中央国で武道大会が開かれることになったんだ。
       子供の部、大人の部とそれぞれ違うけど・・、力試しで出てみないかい?」

 
童子騎士「おおおお!出たい!出たいです!」

幼剣士「ぼ、僕らで大丈夫かな?でもやってみたい・・」

めがね魔道「緊張するよ・・・」


青年剣士「そういうと思って、エントリーをしてきたよ」ハハ

童子騎士「やったあ!」

幼剣士「頑張るぞ・・・」

めがね魔道「うう・・・」


 
幼剣士「お兄ちゃんは大人の部にでるんでしょ?」

青年剣士「え、俺?・・・俺は出ないかなあ」

幼剣士「ええ!なんで・・・?」


青年剣士「俺は何ていうか・・うん。3人の成長を見れるだけで幸せっていうかさ」ハハ


童子騎士「っちぇ・・出てほしかったなあ・・・」

めがね魔道「そ、それより・・・、来週だったらもっと強くならないと!」

 
幼剣士「そ、そうだね!お兄ちゃん、しっかり修行お願い!」

童子騎士「師匠、お願いします!」


青年剣士「うんうん、厳しくいくよ!」


童子騎士「やっぱ目指すなら優勝だろ!頑張ろうぜ!」


幼剣士「おー!」

めがね魔道「おおー!」

 
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【更に1週間後】


青年剣士「よし、準備はいいかい?出発するよ」


乙女僧侶「皆さん気をつけていってきてくださいね」


幼剣士「いってきまーす!」

めがね魔道「中央国なんて初めてだ・・・緊張するよう・・・」

童子騎士「わくわく・・・するぜえええ!」

 
 
青年剣士「よし、出発!」

 
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・
――【中央国】


めがね魔道「大きいぃぃぃ!!」

童子騎士「凄い!何だこれ!・・・ここが中央国かぁ!」

幼剣士「人がいっぱい・・・」


青年剣士「はは、迷子になるなよー。先に泊めてくれる人のところに行くよ」

幼剣士「泊めてもらう場所?」


青年剣士「あぁ。俺の知り合いで、この国で喫茶店やってるんだ」

幼剣士「・・・!中央国の喫茶店!」パァッ

 
青年剣士「どうしたんだ?」

幼剣士「本で読んだことあるよ!パフェがおいしいって・・・!」


青年剣士「あー・・・結構前に雑誌に取り上げられてたもんね」


めがね魔道「パフェ食べてみたいです!」

童子騎士「ったく子供だなぁお前ら・・・」


青年剣士「?、なんだ、童子騎士は食べたくないのか?」


童子騎士「・・・・少しだけ食べたいです」


青年剣士「はは、遠慮しなくてもいいよ」

 
・・・・・・・・・・・・・

・・・ギィ・・ガランガラン!


マスター「はい、いらっしゃい・・・と、おぉ!来たか!」


青年剣士「来ましたよ!」

マスター「えっと・・・後ろの子たちが・・・言っていた・・・」



幼剣士「僕は・・・幼剣士!」

童子騎士「あ・・童子騎士です」

めがね魔道「僕はめがね魔道といいます」


マスター「かわいい弟子たちだな、青年剣士!」

青年剣士「えぇ・・・かわいいですよ」ハハ

 
マスター「とりあえず席に座ってくれ」

青年剣士「わかりました」ヨイショ


マスター「で、この3人を大会の間預かればいいんだな?」

青年剣士「はい、お願いします」


マスター「3人とも、裏にある家で今日から・・・約3日か?大会終了まで寝泊りしていいからな」

童子騎士「お、お願いします!」


青年剣士「はは、一応俺もついてるから安心はしていいよ」


幼剣士「お兄ちゃんと一緒、えへへ」

 
マスター「お、その幼剣士が・・・例の?」


青年剣士「そうですね・・・」

幼剣士「?」


マスター「まーでも、なんかコイツラ見てると・・・"お前ら"の事思い出すな」

青年剣士「あー・・・いつもここにいましたもんね」


童子騎士「"お前ら"?」


マスター「ああ。青年剣士がまだ小さい頃、友達らとな・・よく遊びに来てたんだよ」

 
青年剣士「懐かしいですね。まだ学生の頃でしたから」


マスター「俺から見たらまだまだ、お前も子供だけどな」ハハ

青年剣士「そうですよね、これからも頑張りますよ」

 

マスター「で、まあ思い出話もいいが・・・お前ら腹ぁ減ってるだろ?」

幼剣士「あ・・・」グゥゥ

マスター「よっしゃ!パフェと美味いパスタを作ってやろう!」

童子騎士「わあい!やった!」


めがね魔道「・・・」ジー


童子騎士「・・・あ、なんだよ!うれしくて悪いかよ!」ゲシッ

めがね魔道「痛いっ!何も言ってないのに!」

幼剣士「あはは」

 
・・・・・・・・・・・・

幼剣士「うわああっ・・おいしかったぁぁ」マンプク

童子騎士「本当に美味しかった・・・」

めがね魔道「感動・・・」

 
 
マスター「うはは、そこまで喜んでもらったらオジさんもうれしいぜ」

青年剣士「本当に美味しいですからね」アハハ

 
マスター「で、大会は明日の朝一番からなんだろ?」

青年剣士「はい。朝早いらしいですね・・・」


マスター「お前も出るんだろ?」


青年剣士「あ、いえ。自分は出ませんよ」

マスター「なんでだ?」

青年剣士「あー・・・やっぱり弟子の成長を見守るだけでもいいというか・・」


マスター「・・・言うようになったなこのやろう!」バンバン

青年剣士「いたた・・・、それだけで充分なんですよ」ハハ

 
幼剣士「じゃあ、今日はもう休憩?」

童子騎士「前準備で修行とかすると思ってたんだけどな」


青年剣士「体を癒すのも立派な修行!今日は家でゆっくりしよう」

めがね魔道「はーいっ」

幼剣士「わかった!」

 
 
マスター「ほら、鍵。あとは2階の余り部屋、自由に使ってくれ」チャリッ

青年剣士「ありがとうございます。じゃ、みんな行こうか」


幼剣士「はーい!」 
 
 
・・・・・・タッタッタッタ・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・・・
――【夜・寝室】


童子騎士「へへっ、いよいよ明日か・・・」

めがね魔道「うう・・緊張が解けないよ・・」


幼剣士「どんなに強い人たちがいるんだろうね・・・」

童子騎士「ばか、俺らの師匠は青年剣士さんだぞ?そう簡単に負けねーよ!」

幼剣士「そ、そうだよね!」


めがね魔道「とにかく頑張るしかないね!」

童子騎士「おうよ!」

幼剣士「うん、頑張ろう!」

 
・・・・ガチャッ


青年剣士「お、まだ起きてたのか。明日は一番で動きまわるんだから、早く寝るんだぞ」

幼剣士「・・・あ、うん」アセアセ


童子騎士「わかりました・・・明日、絶対勝ちますね!」


青年剣士「うん・・・その意気だ。じゃ、お休み、皆・・・。明かり・・消すよ」


幼剣士「おやすみなさい・・」


・・・・・・・・・・パチッ
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


 

・・ 
・・・
・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
――――【朝】


・・・ドォーーーン!!!


童子騎士「ななな、なんだ!?爆発!?」ガバッ

幼剣士「・・・どうしたの!?」ガバッ

めがね魔道「・・・」グーグー

 
・・・・・ガチャッ


青年剣士「おはよう!起きたかな皆!」


幼剣士「な、なんか爆発みたいな音で目が覚めたよ・・・」

青年剣士「大会を告げる花火だよ」ハハ


童子騎士「び、びっくりした・・・」

幼剣士「そうだったんだ・・・」


青年剣士「うっしゃ!もうすぐ始まるから、朝ご飯食べて出発だぞ!」

幼剣士「うん!」


めがね魔道「・・・」グーグー

 
・・・・・・・・・・・・

幼剣士「ご馳走様でしたっ!」

マスター「あいよ、お粗末さんでした」


童子騎士「朝からこんな美味しいご飯を食べれるなんて・・・幸せだあ」

めがね魔道「・・・」グーグー

幼剣士「って、めがね魔道くん寝てるよ!!」


童子騎士「・・・おい!めがね魔道!起きろ!」


めがね魔道「・・・」ハッ

 
青年剣士「・・・どうしたんだ?眠いのか?」

めがね魔道「ん・・実は緊張しすぎて全然眠れなくて・・・今頃・・眠気が・・」


マスター「おいおい、大丈夫かよそんなんで」

童子騎士「しっかりしろよ・・・」


青年剣士「・・・辛いならキャンセルしてもいいよ?」

めがね魔道「いえ・・せっかく師匠が連れてきてくれたので・・・頑張ります・・・!」

青年剣士「そっか、無理だけはダメだよ?」


めがね魔道「・・・ふぁい」

 
青年剣士「ま・・・とにかく行こうか」

マスター「ああ、気をつけてな」


幼剣士「いってきまーす!」


・・・・ガチャッ
・・・・・・・・・・タッタッタッタ・・・


マスター「さて、俺もイベント日でお客が沢山くるだろうし・・・頑張らねーとな・・・!」


・・・コンコン

マスター「ん?」

 
・・・・ガチャッ・・・ガランガラン!


???「おひさしぶりです」

???「久々だなあここも!」


マスター「お・・・お前ら・・・久しぶりだな!全然顔を見せないでよう!」


???「申し訳ないです。青年剣士のやつとか、最近来てますか?」


マスター「おお、さっきまでここにいた・・っていうか、入れ違いだぞ?」


???「本当ですか・・・、久しぶりに挨拶したかったんですが・・・」


マスター「武道大会に、弟子たちを参加させるからな・・・、広場にいるはずだ」

 
???「え、武道大会・・・・ですか?」

???「で・・・弟子?アイツに弟子!?」


マスター「ああ、お前ら帰ってきたばっかで分からないのか」


???「あー・・・そうですね」

???「そして、なんだよその興味の出そうな大会は!!」ワクワク


マスター「子供の部と大人の部に分かれてトーナメントで戦うんだと。今日まで受付してるぞ」

???「じゃあ挨拶がてら追いかけます」

マスター「あとでコーヒーでも飲みにこいよ」ハッハッハ


???「えぇ、お願いします。では失礼します」

マスター「おう」

 
・・・・・バタン

 
・・・・・・・・・・・
――【広 場】


・・・・ガヤガヤ・・・
ワイワイ・・・


童子騎士「すげえ・・・めちゃくちゃ人がいる・・・」

幼剣士「こ、こんな凄い舞台で戦うのかあ」

めがね魔道「観客もいっぱいだ・・・」


青年剣士「午前中が子供の部だね、トーナメント表はええと・・・あれか」


幼剣士「えっと・・・、予選と本戦に分かれてるのか・・・」

青年剣士「1,2,3・・・、3回勝てば本戦に参加できるね」

 
めがね魔道「結構、参加者多いんだなあ・・・」


青年剣士「結構大規模だからね。大陸全土を巻き込んでるって言っても過言じゃないかも」ハハ


幼剣士「大陸全土・・・」ゴクリ

童子騎士「・・・・もも、盛り上がってきたぁ!!」ゾクゾクッ


青年剣士「やる気があるのはいい事だね」ハハ


幼剣士「よし・・・・!」



アナウンス「えー・・・マイクテス・・・マイクテスト・・・・」ザザ・・

 
青年剣士「お、始まるんじゃないか?」


アナウンス「えー・・お知らせ致します。これより・・武道大会予選を・・開始致します!!」


・・・ウワアアアアアッ!!
ガヤガヤ・・・ザワザワ・・・



童子騎士「きたきたああ!」

幼剣士「・・・!」ワクワク

 
青年剣士「えっと・・・大会の参加者控え室は・・・あっちだな・・・」

 
童子騎士「そういや、ルールとかどんな感じなんでしたっけ?」


青年剣士「危険を伴わないために、擬似武器で相手に一本入れれば勝ち。
       魔法使い系も一緒だけど、魔法で攻撃が入ったと思われれば審判の判断で勝ちになるよ」


幼剣士「武器はいいけど、魔法は危ないような気が・・・」

青年剣士「この会場全体に、保護魔法がかかってるからね。よっぽどじゃない限りは怪我しないよ」ハハ

幼剣士「そっか!じゃあ全力でやってもいいんだ?」

青年剣士「そうだね、全力だ!」


童子騎士「早く戦いたいぜ・・・!」


 
・・・・・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・・・
――【控え室】


幼剣士「えーっと・・・それで僕たちの出番はいつだろう?」


青年剣士「んとな・・・、最初にめがね魔道。次に童子騎士。最後に幼剣士の順だな」


めがね魔道「ええ・・・僕が最初かあ・・・」

童子騎士「がんばってこいよ!」

青年剣士「順番が呼ばれたらアナウンスがかかるはず・・・」


アナウンス「えー・・・、次の試合は"めがね魔道"くんと"三流魔法使い"さんです」


めがね魔道「って、早速きたああ!」ウワアア

 
幼剣士「が、がんばって!」グッ

青年剣士「いつものように、リラックスしていけば大丈夫だよ」ニコッ

めがね魔道「は、はい!」


・・・・・タッタッタッタ・・・コケッ


童子騎士「あ・・・転んだ・・・」

幼剣士「だ・・・大丈夫かな・・・?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ワァァァ!!!


めがね魔道「す・・・すごい人・・・」

三流魔法使い「・・・うう」ソワソワ


審判「・・・準備はいいかな?」


2人「は、はい!」


審判「では・・・はじめっ!」

 
めがね魔道「し、小火炎魔法!」ボワッ

・・・ヒュッ・・・ボン!!


三流魔法使い「う、うう・・・小水流魔法!」バシャッ

・・・ビシャッ!


観客a「どうしたどうしたぁ!お互い攻撃当たってないぞー!!」ハハハ

観客b「集中しろー!」ハハハ

 
青年剣士「落ち着けー!いつものように体全体を使うんだ!」


めがね魔道「・・・」ボー・・・


童子騎士「だ・・・だめだ・・・まるで聞いてないよ・・・」

幼剣士「やっぱ寝不足とかも影響してるのかな・・・」

青年剣士「めがね魔道ー!」



三流魔法使い「し・・・小水流魔法っ!」バシャッ


・・・・・バシャッ!!!ドタッ

めがね魔道「痛いっ!・・・・あ」

 
審判「それまでー!三流魔法使いの勝利!」


幼剣士「あ・・・負けちゃった・・・」

童子騎士「寝不足と緊張が原因だな・・・」


・・・トボトボ

めがね魔道「あの・・・師匠・・・僕・・・・・・ごめんなさい・・・・」グスッ


青年剣士「はは、緊張とかは誰にでもあることだよ。次に生かせばいい」ポンッ

めがね魔道「は・・・はい・・・」グスッ


青年剣士「・・・次は童子騎士だ。応援してあげような」ニコッ

めがね魔道「はい・・・」

 
童子騎士「おっしゃ!いって来るでぇ!」バリバリー


アナウンス「続いては・・・童子騎士くんと・・・・貴族賢者くんです!」

・・・・・ワァァァァ!!!!!
キゾクケンジャサーーーーン!!!!カッコイイイイイ!!!


童子騎士「な、なんだ!?この歓声は!?」


貴族賢者「・・・・まあまあ・・・みんな落ち着いてくれよ・・・・」サラァ

童子騎士「う・・・うわあ・・・」

 
貴族賢者「おやおや・・・、君が対戦相手だね・・・・?」サラサラァ

童子騎士「お・・おう・・・」


貴族賢者「悪いけど・・・僕の前に・・・ひれ伏して貰うよ・・・」サラサラサラァ

 
童子騎士「・・・お、おう・・・」


幼剣士「童子騎士がんばれー!」

青年剣士「あー・・・貴族の子か・・。道理で歓声が凄いわけだ・・・雰囲気に飲まれなけりゃいいんだけど・・」

めがね魔道「・・・大丈夫ですよ師匠。童子騎士はこの程度じゃ・・・ね」



審判「それでは・・・開始っ!」


貴族賢者「ふふ・・・それではいきまs・・・」

童子騎士「おりゃあああ!小突連弾!」ズバババババッ 
 

・・・ボコボコボコボコッ!!


貴族賢者「・・・・ごふっ」

 
・・・・・バタッ
 
 
審判「そ、そこまで!」

童子騎士「へへ、貴族がどうとか知ったこっちゃねーんだよ!」


観客a「おお、結構スゲーなあの子供!」

観客b「いいぞボウズー!貴族なんてぶっ倒してやれーーー!」ハハハ

 
 
青年剣士「・・・いらぬ心配だったな」

幼剣士「すごーい童子騎士くん!」

  
童子騎士「へへ、どうよ師匠!」


青年剣士「おお、見直したよ。さすがだね」

幼剣士「おめでとう~!」

童子騎士「・・・へへ」

めがね魔道「いいなあ、僕も・・もっと頑張りたかった」


童子騎士「さ・・・次は幼剣士の番だぜ?頑張ってこいよ?」

幼剣士「・・・うん!」

青年剣士「いつも通りやれば大丈夫だ」ポンッ

幼剣士「・・・いってきます!」

 
アナウンス「えー・・・次は、幼剣士くんと・・・下級魔法使いくんです!」


幼剣士「・・へへ、よろしくね」チャキッ

下級魔法使い「・・・負けないよ!」スッ


審判「それでは・・・はじめっ!」


幼剣士「ええい!」ブォン

下級魔法使い「おっと・・・!」ヒュッ


幼剣士「まだまだあ!」

下級魔法使い「くっ・・・、小火炎魔法っ!」ボワッ

 
・・・・キィン!ボン!

 
下級魔法使い「え・・・剣で炎を弾いた!?」


幼剣士「へへ・・・めがね魔道くんと練習しといて良かった・・・」

・・・・・ダダダッ


下級魔法使い「そんなに近づかれたら魔法が・・・・!」


幼剣士「・・・・小斬っ!!」ブゥン!


・・・・ボコッ!!!


下級魔法使い「痛いっ!」

幼剣士「や・・・やった?」

 
審判「そこまでー!」
 

・・・・・ワァァァ!!

青年剣士「おお、よくやったぞ!」

めがね魔道「凄いよ幼剣士くん!」

童子騎士「さすがだぜ!」


下級魔法使い「いたた・・負けちゃった・・・」

幼剣士「・・またやろうね!」

下級魔法使い「次は負けないからね!」

 
・・・・・トコトコ

幼剣士「えへへ、勝てちゃった」


童子騎士「さすがだぜー!」

めがね魔道「おめでとう!」

青年剣士「はは、喜ぶのは早いけどな。今日は2回戦まであるはずだ」


童子騎士「すぐにあるんですかね?」

幼剣士「早くやりたいなあ・・・」


青年剣士「アナウンスで呼び出しがかかるだろう・・・」


めがね魔道「それまで休憩ですかね?」

 
青年剣士「うーん、いつ呼び出しかかるかが分からないからなあ」


幼剣士「そっか、じゃあここで他の人の試合見たりしてたほうがいいのかな?」

童子騎士「そっちのほうが俺らも勉強になるかもしれねーぜ?」

めがね魔道「そうだね・・」


青年剣士「じゃ、ちょっと俺は何か飲み物でも買ってくるから待ってて」


幼剣士「僕はブドウジュースがいいな!」

童子騎士「オレンジジュースが好きです!」

めがね魔道「アップルジュースがいいです」
 

青年剣士「はは、わかったわかった。待っててね」

 
・・・・・タッタッタ・・・

 
・・・・・・・・・・・・

飲み物屋「へい、らっしゃいませー」

青年剣士「えーと・・・ブドウ、オレンジ、アップル、それとジンジャエールお願いします」


飲み物屋「はいよ!480ゴールドになります」

青年剣士「・・・ふぅ」


???「ああ、オッチャン。それと生ビール2つ、コイツの支払いでお願いします」


飲み物屋「お、追加だね!はいよ!」


青年剣士「・・・え?」


???「久しぶりだな」

???「よう!お久しぶり!」

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・


・・・・・ワァァァ!!!


審判「そこまでぇー!」


子供戦士「く・・・くそう・・・」ガクッ

幼剣士「へへ・・・やったやった!」


めがね魔道「やった!2回戦突破だね!」

童子騎士「さすがだな!」

 
幼剣士「これであと1回勝てば・・・本選だ!」

童子騎士「おっしゃあ、俺ら二人で勝ちあがろうな!」

幼剣士「うん!」


めがね魔道「ってかさ・・・、師匠遅すぎ・・・」

童子騎士「どこまでジュース買いにいったんだろ・・・、2回戦見ててほしかったんだけど・・・」

幼剣士「何かあったのかな?」


・・・・トコトコ


幼剣士「あ、戻ってきた・・・・!けど、誰かと一緒・・・みたい?」

 
青年剣士「・・・・はー・・・びっくりした・・・」 

???「ははは、驚かせようと思ってこっそりな」



・・・・タッタッタッタ

童子騎士「・・・師匠!遅いですよ!」

幼剣士「・・・お兄ちゃん遅い!」

めがね魔道「もう2回戦終わっちゃいましたよ!どっちも勝ちましたけど!」


青年剣士「あー・・・ごめんね。ちょっと久々に友人に会ってね・・・」

 
???「ああ、これがさっき言ってた弟と弟子か」

???「よ、初めまして」


幼剣士「あの・・・えっと・・・」


僧侶戦士(少尉)「あ、悪い・・・俺は僧侶戦士。青年剣士の同期だ」

武道家(少尉)「俺は武道家。同じく同期だ。よろしくな」


童子騎士「は、初めまして!」

めがね魔道「つ・・強そう・・・初めまして・・・」

 
幼剣士「あ・・・そうだ。お兄ちゃん、2回戦勝ったよ!」

青年剣士「おお・・・見れなくてごめんよ。おめでとう!」ナデナデ

幼剣士「えへへ、ありがとう」


武道家「ま、元気な姿見れてよかったよ」


青年剣士「何?もうどっか行くの?」

僧侶戦士「ああ、今回のクエストの報告で1回本部にね。あとで酒場でも行こうぜ」


青年剣士「・・・あ、わかった。俺らはこれで終わりだから、喫茶店で待ってるよ」

武道家「はいよ~」


タッタッタッタ・・・

 
青年剣士「よっしゃ、夜になるまで・・あとは自由時間だ!」

幼剣士「じゃあ、屋台で遊べる!?」

めがね魔道「・・・!」ワクワク



青年剣士「ああ・・・・頑張ったみんなに・・ご褒美だ!遊ぶか!」

幼剣士「・・・わぁい!」

童子騎士「クレープに・・・アイス・・・」ゴクリ

めがね魔道「早く行こう!師匠!」


青年剣士「ははは、あわてるなって」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【そして夜・寝室】


童子騎士「あーあ、師匠は今頃・・友達と酒場かあ」

幼剣士「あの人たちも、僕らみたいな感じだったのかな?」

めがね魔道「マスターが言ってた、お前らっていうのは・・・あの人たちと師匠なんだね」


幼剣士「僕たちもいつか、あんな風に立派な人になれるのかなあ」

童子騎士「なれるのかなあ・・・じゃない!なるんだよ!」


幼剣士「う、うん。そうだね!」

童子騎士「それよか・・・明日はついに本選に出れるかどうか決まるんだ・・・」

 
幼剣士「さすがに少し緊張するね・・・」

めがね魔道「君たちを見ている僕のほうが緊張するよ・・・」ブルブル

童子騎士「なんでだよ!」


幼剣士「またあまり遅くまで起きてると怒られるから・・・・、そろそろ寝る?」

童子騎士「そうだなあ、明日はもっと頑張らないといけないしな・・」


幼剣士「よし、じゃあ明かり消して寝る?」

童子騎士「そうだな・・・おやすみ・・・」モゾモゾ

めがね魔道「おやすみー・・・」モゾモゾ


・・・・・・パチッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【一方・酒場】


武道家「カンパーイ!!」ワハハ

僧侶戦士「おう、乾杯」

青年剣士「かんぱい!」


・・・カチャカチャ・・・
・・・モグモグ・・


武道家「いやーしかし・・・まじひっさしぶりだな・・・」

青年剣士「一緒の軍部なのに、結局、一緒にあんまり行動してないよねー」グビグビ

僧侶戦士「そうだな・・・、まあ思った以上に軍本部からのクエストが多すぎるんだよ」

 
青年剣士「だねえ・・・、ま、でも楽しくやってるよ」

武道家「俺らは少尉で、お前は中尉。やっぱ一歩先いってるよなあ」

青年剣士「たまたまだよ」ハハ


僧侶戦士「・・・・、で、お前は弟子と弟ができたって言った時ビックリしたぜ」


青年剣士「ああ・・成り行きっていうかね・・・」ヒック

武道家「妹もいるし、ちょっとした大所帯だな」ハハ


青年剣士「そうだね・・・、今日は久々集まれたし・・・じっくり語り合いましょうー!!」エヘヘ

 
武道家「な、なんだそのテンション」モグモグ


僧侶戦士「・・・あれ?俺の頼んだウォッカは?」


武道家「・・・そこにあったコップなら、青年剣士が一気飲みしてたぞ」


僧侶戦士「お、おい、お前のはこっちだ!お前・・・酒苦手だろうが!」


青年剣士「えへへ・・・武道家ぁ・・・・僧侶戦士ぃぃぃぃ!!!」ベロンベロン


武道家  「」
僧侶戦士「」


青年剣士「今夜は飲み明かすぞーーーーー!」ヒャッハー


 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【次の日・喫茶店】


・・・・ガチャッ・・・ガランガラン!!


マスター「お、帰ってきたか・・・って、酒くさっ!」

青年剣士「おはよう・・ございぁす・・・」


幼剣士「お兄ちゃんお酒くさーーーい!」

 
青年剣士「・・・・!」キーン・・ズキズキ


マスター「あーあー・・・張り切って飲みまくっただろう?完全な二日酔いだよ」


青年剣士「・・・いえ・・自分酒ほとんど・・飲めないんですが・・・」

マスター「じゃあどうしたんだよ」


青年剣士「間違って・・・、ウォッカを一気飲みしちゃいまして・・・そこからはもう・・・」ズキズキ


童子騎士「えぇー!それじゃあ・・・今日の試合はどうするんだよ!」


青年剣士「声高いっ!頭痛いっ!・・・・いや勿論見に行くよ・・・」グワングワン

 
マスター「ったく・・・ほら、ハチミツとチョコレートのキャンディでも舐めろ」ポイッ

青年剣士「わわっ・・・ありがとうございます」ズキズキ


幼剣士「それで試合は見にこれるの?」

青年剣士「おおう・・任せてください・・・」ペロペロ


マスター「無理だけはするなよ?」

青年剣士「えぇ・・・大丈夫です。行こうか皆・・・・」フラフラ


めがね魔道「足元ふらついてますよ・・・しっかりしてください師匠・・・」


青年剣士「・・・いってきまーす」ガランガラン


マスター「ったく、あんなんだから・・・お前も、いつまでたっても子供なんだよ」ハハハ

 
・・・・・・・・・・・
――【広場】


アナウンス「えー・・・皆様・・・・・、おはようございます。今日は午前中に子供の部・・・
        3回戦。そのまま本選を開始致します」



青年剣士「・・・えーと・・・今日の予選の3回戦は・・・・・えっ・・・あー・・・」


幼剣士「・・・あれ・・・これって・・・」

童子騎士「はは・・・まじかよ・・・・」

めがね魔道「そういう・・・ことになるんですか・・・」


・・・・ザザ・・・・ザ・・・

アナウンス「・・・・・予選の決勝戦・・・、"幼剣士くん"と"童子騎士くん"は・・・準備をしてください・・・・」ザザ・・・


本日の投稿は終了です。ありがとうございました。

 
・・・・・・・・・・・・・・ 
 
・・・・・ワァァァッ!!


童子騎士「はは、まさかこんなに早く手合わせすることになるとは・・思わなかったぜ」

幼剣士「・・・負けないからね!」


童子騎士「俺のセリフだ・・・あの時の決着をつけるにはいい舞台だ!」

幼剣士「・・うん!」



審判「よし・・・・準備は・・・いいかい?」

幼剣士「・・・」ゴクッ

童子騎士「・・・」ゴクッ


審判「試合、はじめぇっ!」

 
幼剣士「・・・最初から全力で!小斬!」ブォン!

 
童子騎士「おっと・・当たるかよ!」ヒュッ

幼剣士「くっ・・・」


童子騎士「槍術・・・・見せてやる!・・・小突っ!」ヒュッ

・・・・カツン!


幼剣士「あぶなっ!一旦離れないと・・・・」スッ

童子騎士「ばかめ・・・」ボソッ

 
・・・・ヒュオッ!!!


幼剣士「うわっ!伸びてきた!」


童子騎士「槍の間合いは離れれば離れるほど有利になるんだ!」ヒュッヒュッヒュッ!


幼剣士「れ、連弾・・・!」

・・・カァン!カァン!カァン!!


幼剣士「くっ・・・早い・・・」

童子騎士「防いでくるか・・・・、やるな!」

幼剣士「・・・童子騎士くんこそ!」

  
・・・・・・・・ワァァァ!!!

観客a「おいおい、いい勝負だな!」

観客b「あっちの剣士のほうがちょっと引け腰だな・・・頑張れよぉ!」



幼剣士「・・・」チャキッ

童子騎士「・・・」スチャッ


幼剣士「・・・へへ、行くよ!ええいっ!」ヒュンッ

童子騎士「また懲りもせず攻め入りか!こんなもん・・・こうしてくれる!」


・・・・カァン!

幼剣士「くっ・・・」クルッ!!


青年剣士「弾かれたのを利用して体を回した・・・!?」

 
童子騎士「・・・うおっ」

幼剣士「回転斬りぃっ!」

ブォン!!!・・・・ヒュッ


童子騎士「あぶな・・・・!」

幼剣士「・・・・ここだっ!」ダダダッ


めがね魔道「急接近した!でも、近づきすぎだよ・・・剣も槍も振れない!」 


童子騎士「・・・お互いこの距離じゃ攻撃できないぞ?どうする?」

幼剣士「・・・とっておきの技、覚えておいてよかった」

童子騎士「・・・・何?」

  
幼剣士「・・・・小火炎魔法っ!」ピカッ


青年剣士「!」
童子騎士「!」
めがね魔道「!」

 

童子騎士「しまっ・・・・!」


ボワッ・・・・ドォン!!!
・・・・・・・・・・ドサッ・・・


審判「そ・・・・そこまでえ!勝負あり!」

 
・・・・ウ、ウォオオオオオオオ!!!!

 
童子騎士「いってて・・・、してやられたぜ・・・」ムクッ

幼剣士「・・・えへへ、上手くいってよかった」


青年剣士「いつの間にそんな技を覚えてたんだ・・・、全くわからなかったよ」

幼剣士「こっそり練習してたんだ!」

めがね魔道「凄い・・・、完璧だったよ今の立ち回り!」


童子騎士「くそー・・・悔しいなあ」ポリポリ

幼剣士「・・・へへ」


童子騎士「次は負けないからな!」ビシッ

幼剣士「うん・・、僕も負けないように修行するよ!」

 
青年剣士「ま・・二人ともお疲れ様。幼剣士は本選出場おめでとう」ニコッ

幼剣士「うん・・・ありがとうっ!」


童子騎士「それじゃ本選が始まるまでは・・しっかり他人の動きでも研究するか・・・」

幼剣士「そうだね・・・!」


青年剣士「それじゃ、また飲み物をかってくるよ」


幼剣士「今日は早く帰ってきてね・・・」ジー

童子騎士「師匠・・・」ジー

めがね魔道「・・・・」ジー


青年剣士「わ、わかったわかった!すぐ戻るよ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
――【3時間後】


アナウンス「それでは・・・これより・・・・子供の部・・・本選をはじめます!」ザザ・・・


幼剣士「・・・・始まる!」

青年剣士「えーっと・・・準決勝から始まるんだな。2回勝てば優勝だ」

めがね魔道「はやいですね!」

青年剣士「予選と本選に分かれてるといっても、合計で5回連勝だ。結構なものだよ」

めがね魔道「確かに・・・言われればそうですね・・」

 
アナウンス「それでは・・・準決勝・・・。幼剣士くんと・・・エルフ射手くんは準備をしてください・・・・」


幼剣士「わわ・・・いきなり僕か・・行ってくる!」

・・・・タッタッタ


エルフ射手「・・・・よろしく」スチャッ

幼剣士「よろしく!」



青年剣士「珍しい・・・弓使いか・・・」

めがね魔道「確かに珍しいですね」

青年剣士「錬金術の発展で、銃が主流となってるからな・・・・。弓は少ないんだ」

 
審判「準備はいいかい・・・?はじめっ!」


・・・・・ワァァァッ!!


エルフ射手「・・・・」ググッ・・・ビュオン!!

幼剣士「・・・・わ!」

・・・ヒュンッ!!


エルフ射手「・・・」



童子騎士「な、なんか弓矢・・・卑怯じゃねえ!?」

めがね魔道「あれじゃ近づけない!」

青年剣士「・・・」

 
エルフ射手「・・・・」ググッ

幼剣士「させないっ!」ダダダッ


童子騎士「よし!そうだ・・・突っ込め!」


エルフ射手「・・・」スッ

幼剣士「・・・えっ、何かを取り出し・・・」


・・・ヒュオン!!


幼剣士「うわっ!た、短剣!?」

エルフ射手「・・・よく、よけましたね」

 
童子騎士「き、汚ねぇ!2つも武器もってんのかよ!」

めがね魔道「どうするの・・・遠距離も近距離もあれじゃあ・・・」

青年剣士「いや・・・」



幼剣士「・・・小火炎魔法!」ボワッ

エルフ射手「・・・」ヒュッ


童子騎士「だめだ!よけられた!」


幼剣士「・・・やぁっっ!!」ブォン!!


・・・キィン!!
・・・・クルクル・・・ザシュッ!


エルフ射手「・・・・短剣が」

 
幼剣士「へへ、短剣を剥がせばもう、近くじゃ何もできないよね」

エルフ射手「・・・くっ」ダッ


幼剣士「・・・距離は・・離さない!」ダダダッ


エルフ射手「・・・こっちに・・来るな!」


幼剣士「えええいっ!小斬っ!!!」


・・・・・バキィ!!・・・・ドサッ


幼剣士「・・・ふぅ」


審判「勝負あり!」


・・・・・・ワァァァァァッ!!!!!

 
青年剣士「よ、よし・・やった!あと1回で優勝だ!」

幼剣士「・・・勝ってきたよ!」


童子騎士「やるじゃん!」

めがね魔道「うん・・凄いよ!でも、これで準優勝は決まりだね!」

青年剣士「狙うは優勝だからな・・・次の相手はどんなやつか・・しっかり見ておこう」

幼剣士「う、うん」
 
 

アナウンス「・・・・次の準決勝は・・・吟遊詩人くんと・・・・、黒髪侍くんです」ザザ・・・


青年剣士「お・・・早速、始まるぞ・・・」

 
黒髪侍「・・・宜しくでござる」

吟遊詩人「よろしくね」

黒髪侍「な、何という美しい声・・・」

吟遊詩人「ありがとう・・・でも、手は抜かないよ・・・」

黒髪侍「望むところでござる・・・」



青年剣士(あの口調・・・色々思い出すな・・・東方の子なのか・・・)

 
審判「それでは・・・はじめっ!」


黒髪侍「先手必勝!燕落とし!」ブワッ

吟遊詩人「・・・・」スッ



童子騎士「な、なんだ?あいつの武器は楽器なのか?」

幼剣士「ギター・・・?」


吟遊詩人「・・・波動音!」ギュィィィィン


・・・・ブワッ!!!


黒髪侍「ぬあっ・・・何だこれはっ・・・!近づけぬ・・・」

 
吟遊詩人「・・・水波動!」ギュィィィイン!!

・・・ブシャアアアッ!!


幼剣士「な、何!?魔法・・・じゃないよね・・・」


青年剣士「マナを操るのは一緒だが・・・それを楽器の波長音で更に強化してるんだ・・・」

めがね魔道「そんなのあり・・・?」

青年剣士「もちろん、そこまで操る技術と、それ相応のマナ、魔力も必要になるよ」


 
黒髪侍「ぐ・・・この程度の水圧・・・・切り裂く!はぁっ!」

・・・・・ダダダダダッ


吟遊詩人「・・・火波動!」ギュィィィィン!!!

・・・・ピカッ
・・・・・・・・・・ドゴォォォォン!!!

 
幼剣士「吟遊詩人くんの周りが爆発したー!?」ガビーン



黒髪侍「・・・・ぐっ・・・無念・・・」ドサッ・・・


吟遊詩人「ふう・・最後の突撃は少しびっくりしたよ・・」

審判「そ、そこまで!」


・・・・ワァァァァァ!!!


幼剣士「・・・つ、強い・・・・」ゴクッ

吟遊詩人「・・・」チラッ

幼剣士「・・・?」

吟遊詩人「・・・」プイッ

 
幼剣士「な・・何・・・?」

童子騎士「意識されてるんじゃねーいか?」

めがね魔道「決勝はあの子と戦うのかあ・・・頑張ってね・・・」

幼剣士「う・・・うん・・・」



青年剣士「・・・決勝はすぐだ。落ち着いていけよ・・・」

幼剣士「か・・勝てるかな・・・?」

青年剣士「大丈夫さ。とにかく自分の力を出し切って、悔いのないように戦うようにしよう」ニコッ

幼剣士「わかった・・・!」

本日終了です。ちょっと事情でベース遅くなります(´・ω・`)

乙乙*
追いついた

やっぱおもれー

(十分早いが)

>>191 ありがとうございます(a´ω`)

 
童子騎士「な、なぁ・・なんか勝てる未来が見えないんだけど、弱点とかないんですか?」


青年剣士「見たところ、技術面は彼らの世代の中じゃかなり優れてるからね・・・・。ただ、
       自分の技術に過信してるようなところがあるから、そこを突くしかないかな」


幼剣士「どういうこと?」


青年剣士「さっきの水波動で倒しきれたと思って、余裕を見せただろう?ああいうところだよ」

めがね魔道「じゃあ、チャンスはあるんですね?」

青年剣士「充分に・・・とはいえないけど、勝機はなくはないね」


 
童子騎士「おっしゃあ・・・・頑張れよ!」

幼剣士「うん・・・!」



アナウンス「・・・それでは・・・・、これより武道大会・・・子供の部、決勝戦を始めます・・・」ザザ・・・


青年剣士「お・・・」


幼剣士「・・・・よおし!行ってきます!」

童子騎士「いってこい!」

めがね魔道「いってらっしゃい!」

 
・・・・・・ワァァァッ!


観客a「やっぱ吟遊詩人が有利すぎるよなー」

観客b「いやいや、幼剣士の意外な判断力の高さも凄いだろ」



審判「それでは・・・・2人とも・・・準備はいいね?」


幼剣士「・・・うん」コクン

吟遊詩人「いつでも大丈夫だよ」


審判「それでは・・・・決勝戦・・・・・・、始めっ!!」クワッ

 
幼剣士(まずは様子を見て・・・・・)チャキッ


吟遊詩人「・・・・水波動!」ギュイン!!

幼剣士「・・・・え?」



・・・・・バシャアァァンッ!!!


童子騎士「うおおおおいっ!?」

めがね魔道「水しぶきで見えないけど・・・今のは・・・・」

青年剣士「や・・・・やられたかもしれないな・・・」

 
吟遊詩人「・・・・」


童子騎士「・・・・み、水が吹き上がってよく見えねぇ・・・」

めがね魔道「どうなったんだろ・・・」アセアセ

審判「・・・・」



青年剣士「お・・・視界が晴れていくぞ・・・・」

・・・・サァァッ・・


童子騎士「あ・・・・!」

めがね魔道「・・・!」

 
吟遊詩人「・・・・やるね」

幼剣士「ちょっとびっくりしたけど・・・間に合ったよ・・・」チャキッ


・・・・・ウォォォォッ!!!
・・・ガードシテタノカ!!アブネエナ!!!!


観客a「おお、やられちまったのかと思ったぞ!」

観客b「とっさに防いだのか・・・凄いな!」


幼剣士「まだ始まったばかりでしょ・・・ここからだよ!」スッ

吟遊詩人「・・・・そうだね」スッ

 
幼剣士「やぁぁっ!小ざn・・・・」ヒュッ

吟遊詩人「させない!波動音!」ギュィィィィン!!!

幼剣士「・・・・!」



童子騎士「あれズルくないですか!?っていうか何ですかあの技!」

青年剣士「簡単に言えば・・・音の振動を利用して相手の動きを一時的に止めるんだ」

めがね魔道「えぇ・・・・」


幼剣士「・・・動けない・・・・・・!」

吟遊詩人「・・・火波ど・・・」

幼剣士(ま、まずい・・・!)

 
吟遊詩人「・・・う!(火波動!)」ギュィィィィン!!
 

・・・・ドゴォォォン!!!


童子騎士「よ、幼剣士ーっ!」


観客a「今のは・・・さすがにやられただろ・・・・」

観客b「動き止めるなんて卑怯くせーが・・・技は技か・・・」

・・・・ザワザワ・・・


青年剣士「さすがにダメか・・・・」

めがね魔道「・・・・幼剣士・・・」

 
吟遊詩人「これで・・さすがに終わったね・・・」

審判「・・・・・、この勝負!吟遊詩人の・・・」



幼剣士「・・・へへ・・待ってよ・・・まだ終わってないよ・・・」


・・・・ザワザワ・・・
ド、ドウシテタッテルンダ・・・、ヨケタノカ・・・?
イヤデモヤケドシテルミタイダゾ・・・


童子騎士「幼剣士!?」


吟遊詩人「ばかな!今のは確実に当たったはずだ!」

審判「・・・確かに君の防具は火傷痕を帯びている。幼剣士くん・・・言い訳は・・・」

 
幼剣士「ち・・違うよ・・・・これは、自分でやったんだよ・・・」

吟遊詩人「・・・何?」

幼剣士「動きが止まってたなら、詠唱できる魔法で自分を吹き飛ばせばいい。・・・でしょ?」ヘヘ


青年剣士「そ、そうか!幼剣士は自分の体に向かって・・・火炎魔法で自らを吹き飛ばしたのか・・・!」


幼剣士「・・・セーフだよね・・・審判員さん・・・。防具の火傷痕が足にしか付いてないのが証拠だよ・・・」


審判「・・・・」


吟遊詩人「ば、バカげてる!そんなの認められないでしょ・・・審判!」


審判「・・・・」


・・・・・シーン・・・・

 
審判「試合・・・・続行!!」


・・・・ワァァァァッ!!!!
 
 
幼剣士「続行だって・・・吟遊詩人くん・・・」

吟遊詩人「・・・・もう容赦しない・・・火波動!」ギュィィィン!!

幼剣士「うわっ!また・・・いきなり!」


・・・・ドゴォン!!


吟遊詩人「・・・水波動!」ギュゥゥゥン!!・・・バシャァッ!

幼剣士「・・くっ・・・・ち、近づけない!」ヒュッ


吟遊詩人「・・・波動音!」ギュゥゥゥン!

 
幼剣士「ま、また動けな・・・」


・・・・・ダダダダッ!!

吟遊詩人「・・・この位置なら絶対に当たる・・・」


幼剣士「・・・小火炎まほ・・・」

吟遊詩人「火波動!!!」ギュィィィィン!!!



・・・・ドゴォォォン!!!


・・・・ドサッ・・・

 
 
幼剣士「・・・」

吟遊詩人「・・・・」ハァ・・ハァ・・・


審判「そこまで!!吟遊詩人の勝利!!!」

 
・・・ウオォォォォ!!!
オモシロカッタゾーー!!!ヨクガンバッター!!!


童子騎士「あぁ・・・負けた・・・」

めがね魔道「・・・最後は凄い鬼気迫ってたね・・・あいつ・・・」

青年剣士「最初の時点の失敗で、自分の過信という点に気づいたんだ。そこからは詠唱速度とかの技術面の勝負。
       さすがに・・・それでは分が悪すぎた・・・・」

 
童子騎士「・・・そっか。でも、幼剣士のやつ・・・何だかんだでも準優勝だぜ!?」

めがね魔道「う、うん!そうだよね・・・凄いよ!」

青年剣士「あぁ。褒めてやろう・・・もちろん、みんなね」ニコッ


 
・・・・トボトボ


幼剣士「ごめん皆・・・負けちゃった・・・。あっという間だったね・・・粘ったんだけど・・・」イソイソ

青年剣士「何・・よくがんばったと思うよ。色々と成長を得られたんじゃないかな?」ニコッ

幼剣士「う・・うん。僕の中でも・・・何か、変わった・・気がする」

青年剣士「成長してるってことだよ」ナデナデ

幼剣士「成長・・・えへへ」


童子騎士「この・・・やっろー!」ドゴォン!!

幼剣士「あいたぁー!」

 
童子騎士「負けやがってー!だが・・・よく頑張った!褒めてつかわす!」

めがね魔道「・・・おつかれ様!」

幼剣士「うん、ありがとう皆!」


観客a「おー子供たちの試合も楽しめたぞ!お疲れさん!」ワイワイ

観客b「精進しろよー!ははは!」ガヤガヤ



青年剣士「・・・一応、見てくれた皆にも軽く挨拶しとこう」


幼剣士「皆さん・・・・ありがとごうございましたっ!」ペコッ

 
・・・・・ワァァァ!!・・・・・
・オツカレー!!・・・
・ワァァ・・
・・・
・・


今日の投稿は終了です。ありがとうございました。
>>192それならいいのですが(;a´ω`)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・【その後、喫茶店】

 
マスター「・・・で、表彰式も終わったのか?」

青年剣士「はい。副賞で10万ゴールドを頂いたのですが、幼剣士がどうしてもというので、
       めがね魔道と童子騎士の分の武器を買ってあげました」


童子騎士「へへ・・・ありがとうな幼剣士」

めがね魔道「ありがとう!」


マスター「友達想いだな」ハハ

幼剣士「えへへ・・・」


 
マスター「っていうことは、これで予定は終わりだし・・・北西の大聖堂に戻るのか?」

青年剣士「そうです・・・ね。明日から一度、幼剣士らを送ってからココに仕事があるので戻ってきます」


幼剣士「えぇ・・・お兄ちゃんまたどっか行っちゃうの?」

青年剣士「うん、ちょっと色々仕事があってね・・・、すぐに戻って修行の続きはするよ」ニコッ

幼剣士「約束だよ!」

青年剣士「はは・・・約束は守るよ。久々の遠征の仕事になりそうだから、ちょっと遅くなるかもしれないけどね」


めがね魔道「どこに行くんですか?」

青年剣士「星屑の国・・・・、ずっと西にある小さな国だよ」

 
童子騎士「・・・聞いたことないなぁ」


マスター「・・・スターダスト。星屑の町・・・か」

童子騎士「マスター・・・知ってるの?」


マスター「あぁ。正式名称は、星降る町・・・。そりゃあもう世界でも最高と呼ばれた星を眺められる丘があるんだ」

青年剣士「・・・・」

めがね魔道「それが何で・・・星屑の町・・・?」

 
マスター「30年前に起きた、魔王との戦争が引き金になってな。とある理由で内戦が勃発したんだ」

幼剣士「ない・・・せん?」

マスター「あぁ。それが原因で、皮肉をこめられた名前で呼ばれるようになった。
      それが"星屑の国"、スターダストだ」


幼剣士「うーん・・・?」

童子騎士「ね、ねぇ師匠。それって危険じゃないんですか?」


青年剣士「はは、大丈夫だよ。内戦が最近終結してね・・・それの復興支援に向かうんだ」

幼剣士「・・・ぜったい?」

青年剣士「あぁ、絶対だよ」


 
マスター「ま、心配ないだろ。よっぽどじゃない限りは問題ない」

青年剣士「そうですね・・・。それに、危険というほどの事はたくさん経験してきましたので」ハハ

幼剣士「・・・じゃあ、修行しながら待ってるからね!」


青年剣士「あぁ。たーだし、乙女僧侶からは怒られないようにな?」ポンッ

幼剣士「うぅ・・・わかってるよ!」


童子騎士「し、精進します・・・」

めがね魔道「同じく・・・」

 
マスター「はは・・・じゃ、今日は今まで以上に旨いモン作って元気に送り出してやるか!」


幼剣士「わぁい!」

童子騎士「パ・・・パフェを・・・っ」ボソッ

めがね魔道「・・・」ジー


童子騎士「な、なんだよこっち見るんじゃねー!」ゲシッ

めがね魔道「痛いってばぁ!」


全員「ははは・・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

マスター「ふぅ、最後の最後まで騒いでたが・・・やっと寝たみたいだな」

青年剣士「えぇ・・・この数日間、お世話になりました」ペコッ


マスター「あぁいやいい・・・堅苦しい挨拶とかはいらねえよ」

青年剣士「迷惑でしたよね」ハァ

マスター「そんなことはねえさ。むしろ久々に賑わってて楽しかったぜ」

青年剣士「そう言っていただけると有難いです」ハハ


マスター「ま・・・ちょっと付き合えよ。少しだけなら、呑めるんだろ?」ドン

青年剣士「・・・少しだけですよ」

 
・・・・・・・・・・・・・・

幼剣士「・・・」ハッ


童子騎士「・・・」グーグー

めがね魔道「・・・」スゥスゥ


幼剣士「・・・おしっこ・・」

 
・・・・・トコトコ・・・・
ガチャッ・・・・ギィ・・・


幼剣士「あ・・・お兄ちゃんたちまだ起きてるんだ・・・。何話してるんだろ・・・」ネムネム

 
青年剣士「・・・・というわけです」

マスター「おい・・・本当かよそれは・・・」


青年剣士「えぇ・・マスターには伝えておかないといけないと思いまして・・・」

マスター「・・・万が一、それが本当だったらどうなる?」

青年剣士「もしかしたらですよ?本当にもしかしたらですが・・・・、その時の再来になるかもしれません・・・」


マスター「・・・そんなことになったら・・・」

青年剣士「まだどのような存在かは把握しきれてないようなんです」

 
幼剣士「・・・?」



マスター「そのなんだ・・・ってことは・・・・その紛争も・・・・ソイツの・・・?」

青年剣士「暴走、塔。そしてその紛争・・・・、確証に近いものもあります」

マスター「最悪、亀裂が開いたら・・・」

青年剣士「・・・再来になると思います」

マスター「・・・・ざっけんじゃねえぞ!!!」ガチャン!!


幼剣士「・・・ひっ!」ビクッ


青年剣士「よ・・・幼剣士・・・!」ハッ

本日はここまでです。ありがとうございました。

携帯書き込みで、酉をそのまま書き込みしてしまったので酉変更致します。
レス流ししてしまいました申し訳ないです。

あと、忙しさにひと段落ついたので明日からは今まで通り更新致します。

 
マスター「お・・おい・・・、幼剣士、いつからそこにいた?」

幼剣士「え・・・その・・・僕・・・・」ビクビク


青年剣士「・・・」スッ

幼剣士「・・・!!」ビクッ


青年剣士「・・・・大丈夫」ダキッ

幼剣士「おにいちゃ・・・」


青年剣士「ただ、今の話は忘れて・・・ね?みんなにも秘密だよ・・・いいかな・・・?」ニコッ

 
幼剣士「う・・・・・うん・・・」グスッ

青年剣士「・・・大丈夫だからね」ポンポン

幼剣士「うん・・・・うん・・・・・・」エグッ


マスター「何だ・・その、悪かった・・」


青年剣士「仕方ないですよ・・・」

幼剣士「あの・・・お・・・・兄ちゃん・・・・」

青年剣士「・・・うん?」


幼剣士「・・・本当に・・・大丈夫な・・・の・・・?その・・・今回の、お仕事・・」

 
青年剣士「あぁ・・・大丈夫だよ・・・。俺は幼剣士のお兄ちゃんだよ?・・・大丈夫・・・」ポンポン

幼剣士「・・・うん・・・」

青年剣士「・・・さ、部屋に戻って寝よう・・・」

幼剣士「あ・・・おしっこ・・・」

青年剣士「そっか、それで起きてきたんだね・・・一緒に行って、一緒に寝ようか?」ニコッ

幼剣士「・・・うんっ」


マスター「しゃあないわな」ハハ


青年剣士「・・・じゃ、マスター・・・おやすみなさい」

マスター「・・・あぁ」

 
 
・・・・・・・ギィ・・・


・・・・・バタン・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
――【朝】


・・・チュンチュン・・


幼剣士「・・・う~ん・・?」モゾッ


童子騎士「あ、起きた」

めがね魔道「おはよ~」


幼剣士「・・・あ、お兄ちゃんは・・・!?」ハッ

 
童子騎士「師匠なら喫茶店側で朝の支度の手伝いしてるよ」

めがね魔道「もうすぐ帰るから、準備だけはしておけだって」


幼剣士「・・・そっか」

童子騎士「何かあったのか?」

幼剣士「あ・・・ううん。何でもない・・・」

童子騎士「・・・?」


幼剣士(昨晩のことは・・・今は忘れよう・・・大丈夫だよね・・・)ウン

 
・・・・ガチャッ


青年剣士「おはよう皆!・・・全員起きたかな?」


幼剣士「・・・お兄ちゃん」

青年剣士「お、幼剣士も起きたね。じゃ・・・朝ご飯食べて、マスターに挨拶して帰ろうっか」

幼剣士「うん・・・」


童子騎士「分かりました!」

めがね魔道「じゃ、みんな行こうっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・


マスター「じゃ、この数日お疲れ様だったな」ニカッ

青年剣士「はい、本当にお世話になりました。最後に美味しい朝ご飯も・・ありがとうございました」ペコッ

マスター「おう、いつでも来いよ」


幼剣士「ありがとう・・・マスター!」

童子騎士「ありがとうございましたぁっ!」

めがね魔道「お世話になりました!」

 
マスター「じゃ、気をつけてな」

青年剣士「はい。では、また・・・」

マスター「うんむ」


・・・・・ギィ・・・ガランガラン・・・


マスター「嵐のように去っていったな。ま、俺はいつも通り頑張りますかっ!」・・・フゥ

 
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・


新酉がてら、一旦終了です。明日からまた再更新致しますので、よろしくお願いいたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・
――【大聖堂】
 

青年剣士「・・・ふぅ~・・やっと着いたね」

幼剣士「なんか、すっごい久々な気がする」


童子騎士「本当にそう思うよ」

めがね魔道「今日はなんだかよく眠れそう」フワァ

 
乙女僧侶「あ・・・皆さん!お帰りなさいです!」

幼剣士「ただいまー!」

童子騎士「ただいま!」

めがね魔道「ただいま!」

青年剣士「・・・ただいま」ニコッ

 
乙女僧侶「それで、結果はどうだったんですか?」

青年剣士「童子騎士とめがね魔道は予選で負けたけど、幼剣士は準優勝だったよ」ハハ

幼剣士「へへーん!」


乙女僧侶「わぁっ!すごいですねえ・・・偉いですよ!」ナデナデ

幼剣士「えへへ・・・」


童子騎士「乙女僧侶さん!俺は!?」

乙女僧侶「さ、皆帰ってきたことだし・・・おいしい晩御飯の支度でもしますかね!」パタパタ


童子騎士「・・・」デデーン

めがね魔道「・・・ドンマイ」ポンッ

 
青年剣士「あ、乙女僧侶・・・ごめん。すぐに今から本部に戻らないといけないんだ」

乙女僧侶「ええ・・・そうなんですか・・・」ショボン


青年剣士「次戻ってきたら、ご馳走になるよ」ハハ

乙女僧侶「次はいつ帰ってくるんですか?」

青年剣士「ちょっとした遠征だから・・・未定っていえば未定かな?」

乙女僧侶「そうなんですかあ・・・残念です」

青年剣士「それまで、弟子と弟のこと・・頼んだよ」ハハ

 
乙女僧侶「ええ、任せてください」

青年剣士「・・・さて。それじゃあ行こうかな」

乙女僧侶「本当に忙しいんですね・・・休む暇もないなんて」

青年剣士「ま、これはこれで楽しいからいいんだけどね」ハハ


幼剣士「・・・行ってらっしゃい」

青年剣士「あぁ。行ってくるよ」


童子騎士「行ってらっしゃい!」

めがね魔道「いってらっしゃい師匠!」

 
タッタッタッタ・・・・

 
童子騎士「・・・・あーあ、行っちゃったか・・・師匠」

幼剣士「・・・」

めがね魔道「何か、夢みたいな数日だったなぁ・・・色々遊べたし・・・」

童子騎士「そうだなあ・・・」


乙女僧侶「ほーら、いいから早く中に入って掃除を手伝ってください」


童子騎士「えぇー!」

乙女僧侶「・・・」ニッコリ

童子騎士「は、はい!手伝います!」


パタパタ・・・・タッタッタッタ・・

 
乙女僧侶「全く・・・。ま、あれはれで可愛いとは思いますけどね」


・・・ゴロゴロ・・・


乙女僧侶「・・・・う~ん、雷雲ですね・・・・一雨きますかね・・・。洗濯物しまっちゃいましょう!」

タッタッタ・・・


・・ゴロ・・・・ゴロゴロ・・・・


ポツッ・・・
ポツッポツポツ・・・・・・・

サァァァァ―――――・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・




・・
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【それから20日後・修行場所】



童子騎士「・・・あれから師匠ぜんぜん帰ってこないな」

幼剣士「うん・・・」


めがね魔道「せっかく中級魔法も使えるようになったのに・・」

童子騎士「お、俺だって大突に近いことできるようになったし!?」

幼剣士「ぼ、僕だって水流魔法も使えるようになったもん!」

 
3人「・・・・」


童子騎士「はぁーーあーーーー」

幼剣士「やっぱり・・お兄ちゃんがいないと何かしまらないよね・・はは」

めがね魔道「そうだね・・・でもさ・・・」

童子騎士「何だ?」


めがね魔道「前も、こうやってしゃべってたら、ひょっこり・・・」



・・・・・・・ガサッ・・ガサガサ・・・


幼剣士「・・・・!」

 
童子騎士「し、師匠ですか!?」


スライム『・・・』


童子騎士「ってなんだよ!スライムかよ!」

めがね魔道「たはは・・・スライムか・・・」

幼剣士「・・・・?」


めがね魔道「じゃあ今日はさっさと帰ろうかぁ」

童子騎士「そうだなあ」


幼剣士「ね・・ねえ2人とも・・・」

童子騎士「どうした?」

 
幼剣士「こんなところに、スライムっていたっけ?」

めがね魔道「・・・あ、そういえばいないよね?」

童子騎士「もっと森の奥から降りてきたんじゃねーの?」


スライム『・・・』


幼剣士「っていうか・・・スライムの様子・・・何か変・・・」ゾクッ

童子騎士「・・・何が?」

めがね魔道「・・・・」

幼剣士「あの・・・眼が・・・・」


スライム『ビキ・・・・』

 
幼剣士「眼が・・・赤い!」


スライム『ビキィィィ!!』ヒュッ


童子騎士「うおっ!」スッ

めがね魔道「危ない・・・!スライムから攻撃をしかけてくるなんて・・」

幼剣士「興奮状態なんだ・・・」

童子騎士「なんでだよ!」

幼剣士「わからないよ!」


スライム『ビキィィ!』ヒュッ

 
童子騎士「く・・・小突っ!!」ヒュッ


・・・・グシャッ

スライム『』

 
 
めがね魔道「いったいなんで・・・?」

幼剣士「・・・、って!後ろ!」



ウルフ『・・・グルル』

スライム『ピキ・・・』

ベア『ガァ・・・・』

インプ『・・・キュ・・・・・』


童子騎士「な、なんだぁ!?」

 
幼剣士「全部・・・眼が赤い・・・」

めがね魔道「こいつら、もっと奥にいる魔獣たちだよ!何でここに!」

童子騎士「わかんないけど・・・さすがに・・・こりゃ・・・」

幼剣士「逃げよう!」


・・・・・ダッ


魔獣たち「ガアアアアッ!!」ダッ



めがね魔道「・・・うわあああ!」ダダダダッ

幼剣士「追いかけてくるっ!」ダダダダッ

童子騎士「くそおお!」ダダダダダッ

 
幼剣士「あ・・・向こう側に誰かがいるよ!」ダダダッ

童子騎士「わかんねーよ!師匠か!?魔獣か!?」ダダッ

めがね魔道「こんな状況で立ち止まれないし・・・!」ダダダッ


 
???「・・・・中火炎魔法っ!!」

・・・ドゴォォォン!!!!

 

幼剣士「う、うわぁぁっ!」ゴロゴロ

童子騎士「い・・・いてぇ・・・」ドサッ

めがね魔道「あ・・・魔獣たちが!」


魔獣たち『』ブスブス

 
幼剣士「た、助かった・・・・?」

童子騎士「はぁ・・・はぁ・・・」


乙女僧侶「大丈夫ですか!?やっぱりここにいると思ってました。間に合ってよかったです」


めがね魔道「お、乙女僧侶さん!」

童子騎士「・・・何でここに・・・?」

幼剣士「はぁ・・・はぁ・・・」


乙女僧侶「話はあとでにしましょう・・・ここは危ないです!戻りますよ!」

童子騎士「・・・・お、おう・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・


幼剣士「一体どうしたの・・・?」

乙女僧侶「ついさっき、町人が暴走した魔獣が森にいるのを見つけたと報告してきたんです」

童子騎士「暴走?」


乙女僧侶「我を失った、つまり好戦状態、興奮状態になってる魔獣たちのことです」

めがね魔道「・・・なんでだろう」

乙女僧侶「さあ・・・そこまでは。だから、森にいる3人を心配して見に行ったんですよ」

 
幼剣士「本当に・・・やられたと思った・・・」ハァ

乙女僧侶「無事で何よりです」

めがね魔道「・・・」ハァ



コンコン・・・・ガチャッ!!!


町人a「大変だ!町に魔獣たちが降りてきてる!手が空いてる大人は撃退を手伝ってくれ!」

乙女僧侶「・・・!」


童子騎士「どうなってるんだよ!」

幼剣士「・・・」

めがね魔道「・・・何か起きてるのかな・・・」

 
乙女僧侶「仕方ないです・・・、私は行ってくるのでココで待っていてくださいね?」

童子騎士「・・・」

めがね魔道「・・・」

幼剣士「・・・」


乙女僧侶「いい、ですね?」

童子騎士「・・・・お、俺も行きたい!俺も町を守りたい!」

めがね魔道「・・・ぼ、僕も・・」

幼剣士「僕たちだってやれるよ!こうみえても強いんだから!」

 
乙女僧侶「・・・」ハァ


幼剣士「武器を準備して・・・」チャキッ

童子騎士「・・・へへ」スチャッ

めがね魔道「・・・・」チャキッ



乙女僧侶「この・・・・・バカッ!」ビリビリ

 
幼剣士「・・・え」


乙女僧侶「子供は子供・・・、大人は大人。いい加減にしなさい!またそうやって、他の人に迷惑をかけるの?」

童子騎士「で、でも・・・」


乙女僧侶「でもじゃないの。あなたたちの気持ちは凄いわかる。けど、これは大人たちの仕事なの。
       危険なことはさせたくないし、みんなは私の大事な大事な子供たちなんだから・・・・、ケガさせたくないの」

めがね魔道「・・・」


乙女僧侶「さっきだってそう。私がいなかったら、もうここには・・・いなかったかもしれない。
       私が一番怖いのは、そうやって・・・無茶をして大怪我をしたり・・・何かあったりしないか・・・そういうこと・・・」


 
幼剣士「乙女僧侶さん・・・」

乙女僧侶「でも、気持ちは凄い嬉しい。だからこそ、子供は子供らしく大人に任せて・・・・ね?」ニコッ


童子騎士「・・・はい」

めがね魔道「わかりました・・」

幼剣士「ごめんなさい・・・」


乙女僧侶「ふふ、わかればいいんですよ!では・・・行ってきます」ダッ


幼剣士「き・・・気をつけて!」

 
・・・・バタン・・

 
童子騎士「でもさ・・・町まで魔獣が降りてくるなんて・・・どうしたんだろうな」

めがね魔道「聞いたことないよ・・・」

幼剣士(暴走・・・)


・・・・・・・・・・・・・・・・・
青年剣士「暴走、塔。そしてその紛争・・・・、確証に近いものもあります」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
幼剣士(そうだ・・・あの夜、お兄ちゃんが言ってた・・・)

童子騎士「・・・」

めがね魔道「ま・・・今はここで待ってるしかないね・・・」


幼剣士「・・・だね・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
――【そして夜】


・・・・ギィ・・・


童子騎士「あ・・・帰ってきた!」


乙女僧侶「だ、大丈夫ですか・・・?」

町人a「ごほっ・・・」

町人b「・・・・しっかりしろ!」


幼剣士「・・・!」

 
童子騎士「乙女僧侶さん、これは・・・?」


乙女僧侶「参りました。今もずっと魔獣たちが町に攻め続けてるんです・・・」


町人b「もう20年以上もココに住んでるが・・・こんなの初めてだよ・・・」

乙女僧侶「軍の人たちも応援にかけてつけてくれてますしね・・・」


町人a「・・・ごほっ・・」

乙女僧侶「あ・・・回復魔法!」パァァ


町人b「・・・こっちで寝かせといてやろう。けが人はまだ運ばれてくるぞ・・」

支援

 
乙女僧侶「大聖堂がとても広くてよかったです・・」


幼剣士「・・・手伝えることは・・・何もないの・・?」

乙女僧侶「・・・」


町人b「・・・あんちゃん達、もし、ここに魔獣がきたら追い払ってくれ、な?」ニカッ


童子騎士「ま、任せてくれ!」

めがね魔道「うん!」

町人b「いい笑顔だ・・・、それじゃ乙女僧侶さん、もう1度いきますか!」

乙女僧侶「そうですね・・・!」


・・・・・タッタッタッタ・・・

 
 
童子騎士「マジで何がどうなってるんだよ・・・」

めがね魔道「こういうときに師匠がいてくれれば・・・」

幼剣士「お兄ちゃん・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・


乙女僧侶「そっち!敵がいきました!」

軍人a「任せてくれ!ハァッ!」ザシュッ

軍人b「ナイスナイス!」


町人c「しかし暗くなってきやがったな・・・こっち側の手が足りないぞ!」バァン!!

町人d「こっちも手いっぱいだ!」ドゴォン・・・!


乙女僧侶「・・・くっ」


医療班「軍の支部はもうケガ人運べないぞ!」

乙女僧侶「大聖堂を使ってください!」

医療班「わかった!」

 
軍人a「終わりが見えない戦いだな」

軍人b「まさか一般人に手伝われるとは・・・軍の名が泣くぞ」ハハ


町人d「なあに、いつも軍はお世話になってるからな。緊急事態だ、手伝わせてくれ」

軍人a「ハハハ」



乙女僧侶「それにしても、これはどうなってるんですかね・・・」

軍人a「わからない。俺らも緊急招集と同時に支部に飛ばされたんだ」

乙女僧侶「ここだけなんですか?」

軍人a「・・・いや。実は大陸各地で同じようなことが起こってるらしいんだ」

 
乙女僧侶「・・・魔獣たちに何かあったんでしょうか」

軍人a「さあな・・・ま、この辺はまだマシだと思うよ。祭壇や大型魔獣が住み着いているところじゃ・・・」

乙女僧侶「・・・」

軍人b「ま、そういう場所には少佐らの実力者が送られてるし大丈夫だろう」


町人c「じゃあこの辺はまだまだマシってことなんだな・・・」

軍人a「あぁそうだな。軍の機密にもなるから大声じゃいえないが・・・・ね」


乙女僧侶「でも、このままだといつかはこちら側がダウンしてしまうんじゃ・・・」


軍人a「できる限りの支援は、支部の冒険の扉(※)を通して送られてくるから大丈夫だろう」
※瞬間移動の技術
※著しく、あらゆる場面に影響を与えやすい技術なので基本的には軍関係専用

 
乙女僧侶「・・・それならいいんですが・・」

軍人a「それに、俺らみたいな等兵だけじゃなくて立派な大尉様が支部を守ってる。大丈夫だ」

乙女僧侶「そ、それなら安心ですね」


町人c「よし・・・じゃあ、期待してるぞ軍人さんたち!」

軍人b「任せてくれ!」


乙女僧侶「町を守るために・・・頑張りますよ!」

 
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【更に数時間後】


童子騎士「・・・」



町人e「うう・・・」

軍人c「くそ・・・」

軍人d「いてえ・・・」

町人f「・・・くっ」


めがね魔道「一体何人いるんだろ・・・」

幼剣士「ひどい・・・」

 
乙女僧侶「大聖堂はまだ入りますが・・・けが人が多すぎます・・・」

幼剣士「何でこんなに・・・」

乙女僧侶「終わりが見えない・・んです。次から次に山や森から魔獣たちが・・・」


童子騎士「・・・」ギリッ


めがね魔道「ほんの少し前まで楽しく修行してたっていうのに・・・」

幼剣士「・・・」

童子騎士「あっという間にこんな・・・」

 
・・・・・ドゴォォン・・・
バゴォン・・・ザワザワ・・・・


めがね魔道「攻撃音が鳴り止まないね・・・」

村人g「・・・こんな夜は・・30年前の魔王の攻めてきた時・・依頼だよ・・・」ゴホッ


童子騎士「魔王・・・」


村人h「あぁ・・・。ちょうどこんな感じだったな・・・」

幼剣士「まさか、また魔王が復活した・・・とか・・・?」

村人g「滅多なこと言うんじゃない!」

幼剣士「・・・!」ビクッ

 
乙女僧侶「・・・大丈夫ですよね。きっと」

軍人c「あぁ・・・、きっと大丈夫だよ」

 
 
・・・・ガチャッ!!


村人i「大変だ!森側の防衛が破られた!」


・・・・ザワザワ・・・!!


童子騎士「・・・!」

幼剣士「森の近くって・・・軍の支部があったところ・・・?」


軍人c「ごほっ・・・待て・・・、それじゃ・・・支部は・・・」

村人i「・・・中にいた人々は逃げたが、建物は襲撃を受けてボロボロだ・・・」

 
軍人c「な・・・なんで!そう簡単にはやられないはずだ!」

村人i「森の奥からアラクネが現れたんだ・・・。それで一瞬だった・・・」
 
軍人c「アラクネ・・・、魔獣の上位種・・・魔物か。そ、それで・・・大尉殿はどうなったんだ!」


村人i「大尉さんは、襲撃前に冒険の扉から来た援軍ら数人と共にまだ戦ってる!」

軍人c「くっ・・・」


村人g「・・大陸戦争・・・そのまんまだよ・・・」

 
乙女僧侶「・・・どうすれば・・・・・・」


・・・・ガチャッ!!


軍人e「・・・軍支部からの緊急命令です!明かりを完全に消し、地区毎の建物に集まり避難をしろ、だそうです!」

軍人c「魔獣、魔物は・・・明かりに群がる。ここの明かりを最小限にして・・・、窓をしっかりカーテンで隠すんだ・・」


・・・・ザワザワ・・・

 
幼剣士「・・・」

童子騎士「・・・」



軍人c「それで、今の前線の状況の詳細は?」

軍人e「大尉殿、援軍の少尉らが合流。アラクネと、その取り巻きと交戦中です。
     一般人は極力近くの建物に避難してます。大聖堂が一応、緊急避難場所の1つに指定されました」

軍人c「・・・わかった」

 
 
乙女僧侶「・・・それでは皆さん、明かり、消しますよ。大丈夫ですか?」


・・・・ワカッタ・・
クラヤミカ・・・、コワイナ・・・


乙女僧侶「・・・・」パチッ


 
幼剣士「・・・」

童子騎士「・・・」

めがね魔道「・・・」



・・・・ドォー・・・ン・・
ドゴォン・・・・

・・・・・・バァン・・・ダダダダッ・・・・

・・・・カサカサ・・・・・・・
 


童子騎士「遠くて・・・戦う音が・・・ずっと響いてるな・・・」

めがね魔道「・・・近くでもカサカサ音がする。魔獣がうろついてるのかな」

幼剣士「・・・」

 
乙女僧侶「・・・大丈夫ですよ。しっかり今は寝てください・・・。きっと大丈夫です」ナデナデ


幼剣士「・・・」ギュッ

童子騎士「・・・」

めがね魔道「・・・」

 
乙女僧侶「・・・おやすみなさい・・・」

幼剣士「おやすみなさい・・」

童子騎士「・・・おやすみなさい」

めがね魔道「おやすみなさい・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・


一旦終了です。お疲れ様でした

>>272 支援感謝します

 
・・・・・・・・・・・
―――【朝】


・・・・ドン・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・ドン

・・・ドンドン

・・・・・・・・・・・・・・・ダァァァァァン!!!


???「・・・・どんだけドア固めてあるんだよ!」

???「・・・・おい、無理やり開けたら壊れるだろうが」


幼剣士「・・・!」ビクッ

乙女僧侶「な、何事ですか・・・!?」ガバッ

 
童子騎士「な・・・何の音・・・!」ガバッ

めがね魔道「・・・」グゥグゥ


幼剣士「・・・扉が、開いてる・・・?」マブシイ


童子騎士「て、敵!?」

幼剣士「・・・ううん・・・人がたってる・・・2人・・・」


乙女僧侶「だ、誰ですか!?」


???「・・・誰ですか、だってさ」

???「ひでぇなおい・・・」

 
乙女僧侶「・・・・あぁっ!」



僧侶戦士「久しぶりだな」

武道家「よっ、無事だったか!」



乙女僧侶「・・・・武道家さん!僧侶戦士さん!」


僧侶戦士「アラクネの討伐完了だ。ひとまずちょっとだけ落ち着いたぞ」

武道家「へへ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・

僧侶戦士「・・・・町はひどい有様だった」

武道家「あんま言いたくないが・・・、あまりにも犠牲が多すぎる・・・」

乙女僧侶「・・・」


童子騎士「そんな・・・」

幼剣士「・・・」ブルッ

めがね魔道「なんで・・・こんなことに・・・」グスッ

 
僧侶戦士「軍に魔獣の異変が届いたのは約3週間前。パニックを恐れて非公開にしてたんだ」

乙女僧侶「そ、そんな前から・・・?」

僧侶戦士「あぁ。だが・・・それは逆効果になってな・・魔獣たちの赤眼・・・感染速度が尋常じゃなかったんだ」



幼剣士「感染・・・もしかして・・・塔・・?」ボソッ


武道家「ん・・・・お前・・・、弟クン・・・幼剣士だったか・・・?なんで塔のことを知ってる?」ピクッ

幼剣士「前、お兄ちゃんが話したのを聞いたから・・・」


乙女僧侶「塔ってなんですか?」

 
武道家「・・・・僧侶戦士、いいのか?」

僧侶戦士「・・・身内だ。多少の話は仕方ないだろう」


武道家「いいか・・・、30年前の魔王との戦いは知っているな?」

幼剣士「・・・」コクン


武道家「その時に魔王軍が建てた負の遺産・・・、「魔法の塔」が星降町があるんだ」

乙女僧侶「あ、聞いたことがあります」

武道家「そのテッペンに真っ黒な純粋な魔法石があるんだが・・・それを巡って、その周辺で戦いが起きた」


童子騎士「それが・・紛争?」

 
武道家「アレがあると、元々貧乏だった村ですら巨大な産業国になりうるくらいの価値があったんだ」

幼剣士「・・・」


武道家「その紛争は地区同士の潰し合いから、どんどん肥大化していった。やがて・・その周辺全体が紛争地帯となっていったんだ」

僧侶戦士「それが星屑と呼ばれるようになった全貌だ」


幼剣士「で、でも・・・それが今回の襲撃と何か関係が?」


武道家「問題っつーのは、その負の遺産・・・"塔"の存在だ」

乙女僧侶「・・・?」

 
僧侶戦士「機密事項なんだがな・・・その"塔"の魔石ってのは、元々、魔力が宿ってなかったんだよ」

乙女僧侶「・・どういうことですか?」

僧侶戦士「単純にいえば、他の周囲の魔力を吸い取ることで力を発揮する物だったんだ」

乙女僧侶「周りの・・・ってことは・・・」


武道家「その通り。紛争は元々仕込まれたものだった可能性が高い。あの塔だってそういうのを見越してたのかもしれない」


幼剣士「・・・・!」


武道家「紛争が終了したっていうのも、その塔の周辺から"赤眼"が出たからだ」

 
乙女僧侶「・・・」

幼剣士「ち、ちょっと待ってよ!じゃあ・・・お兄ちゃんは!?お兄ちゃんはその星屑の町に向かったんだよ!」


武道家「・・・」

僧侶戦士「そのことなんだけどな・・・」


武道家「実は・・・、青年剣士が向かった理由は・・・その塔の調査だったんだ」

幼剣士「・・・お、お兄ちゃんは大丈夫なの・・・?」


僧侶戦士「約2週間前。最後に塔の中枢から連絡が入った日だ」

乙女僧侶「え・・・・じゃ、じゃあ・・」

武道家「行方不明・・・になってる」

 
幼剣士「・・・嘘だよ!!!絶対!!!お兄ちゃんがそんなわけない!!」

乙女僧侶「・・・青年剣士さん・・・が・・・・」


僧侶戦士「・・・」

武道家「・・・」


童子騎士「その・・・、師匠は・・・・、そんな重要な事を任される立場の人・・・だったんです・・か・・・?」

僧侶戦士「あいつはな・・・人以上の力を持ってる上に、成果をあげてる軍のエースなんだ」

武道家「実力だけでいえば、世界でも指折りになるかもしれないな」


童子騎士「・・・・師匠・・・」

 
乙女僧侶「・・・・それで、これからどうなるんですか・・・?」

武道家「・・・・、ここは大尉殿がいる限り安泰だから安心していい。あと問題は・・・・青年剣士だな・・・」


童子騎士「昨日から、大尉殿、大尉殿って皆言ってるけど・・・そんな・・・凄いんですか・・・?」



僧侶戦士「ああ強いぞ。なんて言っても、俺らの恩師だからな」

乙女僧侶「恩師?」

武道家「あ、そうか・・・おい!それ言っちゃだめだろ!」

僧侶戦士「あ・・・、悪い!何でもない!」


乙女僧侶「・・・・ま、まさか・・・」

 
・・・・・・・ガチャッ・・・・ギィィィ・・・


幼剣士「ま、また誰か来た?」


???「・・・ここも大丈夫みたいだな」


僧侶戦士「た、大尉ど・・・」

武道家「ば、ばかっ!」ビシッ

乙女僧侶「・・・・や、やっぱり・・・」



戦士先生「・・・・ん?」

 
乙女僧侶「よ、良かった!戦士先生・・・無事だったんですねっ・・・」ダキッ

戦士先生「お、おいおい、若い娘に抱きつかれたら・・・いくら俺でも甲斐なく照れるぞ」ハハ


幼剣士「だ・・・誰?」


武道家「俺、青年剣士、幼馴染、僧侶戦士・・・、その冒険学校時代の恩師だ」

僧侶戦士「・・・1年前に軍にスカウトされて、光の速さで大尉まで上り詰めたんだ」


戦士先生「ったく・・・バラしちゃったのか」

乙女僧侶「どうして隠しているんですか・・・?」

戦士先生「知られないで行動するっていうのも、また1つの仕事だったんだ」ハハ

 
僧侶戦士「・・・ま、どのみちココを中心に護衛にあたるし・・いつか気付かれるじゃないですか」

戦士先生「そりゃ・・そうなんだけどな・・」

武道家「でも、これで俺らは俺らの事できるな」


幼剣士「俺らの・・事?」

武道家「そっ。青年剣士の後を追いかけて、救出に向かう」ニヤッ


乙女僧侶「そ、そんな・・・危険すぎますよ!」

僧侶戦士「だけどな、俺もあいつも・・・そんな単純な仲間じゃないんだ・・・だろ?」

乙女僧侶「・・・・」

 
戦士先生「星降町は今、暴走化した魔獣の巣窟だが・・・止めたって無駄だろう?」

僧侶戦士「・・・申し訳ないです」

武道家「物分りがいい上司殿でよかったよ」ハハ


戦士先生「特別に眼ぇつむるけどな・・・、道中は今まで以上に危険だし、どこもかしこも・・町は交戦中だぞ・・・」


僧侶戦士「何とかなりますよ多分」

戦士先生「楽観的な・・・。ま、昔からそれで何もかも解決してきたんだろうしな」ハハ


武道家「冒険の扉はやっぱもう使えないよな・・・」

 
戦士先生「あぁ。ダメだ・・・。中央国まで行けば動いてるのもあるかもしれん・・・・が・・・」

武道家「・・・何か?」


戦士先生「中央国にはかなりの冒険の扉があるだろう?」

僧侶戦士「・・・ありますね」

戦士先生「そこを逆に通って、魔獣たちが姿を現して、大規模な戦闘状態に陥ってるらしい」


幼剣士「中央国・・・そ、それじゃマスターは!?」


戦士先生「懐かしい名前だな、はは。あの人なら大丈夫だろ、よっぽどじゃない限り倒れないさ」

 
武道家「はぁ、それじゃあやっぱり歩きで星屑まで行かないといけないのか・・・・」

戦士先生「海はどうするんだ?」

僧侶戦士「あ・・・」

乙女僧侶「そこ考えてなかったんですか・・・?」


武道家「港まで歩きで4日、そこから船で最速2日・・・か。船・・・動いてっかなぁ・・・」


戦士先生「・・・動いてないだろう・・・この状況じゃ・・・」

武道家「ど、どうしよう・・・」

 
乙女僧侶「ちょっと強くなりましたけど、何か色々と昔と変わってないのは安心します」ヘヘ

 
武道家「・・・・乙女僧侶、さりげなくバカのまんまだなって意味で言っただろ・・」

乙女僧侶「い、いえそんな!」アセアセ


童子騎士「・・・あの」


武道家「どうした?えーっと・・・名前なんだっけか・・・」


童子騎士「・・・童子騎士です。その、船って"動けば"いいんですか?」

僧侶戦士「・・・どういうことだ?」


童子騎士「西の港ですよね?さすがに最新の魔動力船は無理ですが・・・・、 旧式であれば使える場所、知ってますよ」


武道家「・・・・何?本当か!?」

 
童子騎士「・・・はい。亡くなった親父が、よく船旅をしてたので、その周辺で昔よく着いてって遊んでたんです。
       そこの港では、いらなくなった旧式とかの船を貸し出し、していたので・・・大丈夫だと思います」

武道家「船の操作をできるやつは?」


童子騎士「本来ならサポーターがつくんですが、多分今はないないですよね?俺、できます」

幼剣士「・・・童子騎士くん、凄い・・」


 
僧侶戦士「・・・・だけどな、さすがに子供を連れてくわけには・・」


乙女僧侶「・・・そうですよ!ダメです!」


 
武道家「・・・・」

童子騎士「じゃあ・・・それ以外に方法・・・あるんですか?」

乙女僧侶「そんなの・・・いくらでもありますよ!・・・ね?」


戦士先生「・・・」グヌヌ

武道家「・・・」ウーン

僧侶戦士「・・・」アルカナ・・



童子騎士「・・・」

乙女僧侶「・・・・・」

 
 
僧侶戦士「・・・・西の海を越えた後に、すぐに大きな漁港村がある。そこも交戦中だが、他の場所よりは安全だ」

武道家「だな・・・」

僧侶戦士「そこまでの案内、頼めるか?」

童子騎士「・・・大丈夫です」コクン

乙女僧侶「で、でも・・・!」



戦士先生「確かに危険だけどな、道が他にないんだろう・・。それとも、青年剣士のピンチを何もせず見ているか?」

乙女僧侶「それは・・・そうです・・・が・・」

 
僧侶戦士「『犠牲とか、俺のこととかはどうでもいい・・・チャンスを目の前にして逃げてみろ、俺が殴り飛ばす』」


乙女僧侶「・・・え?」


僧侶戦士「子供のとき、俺に人生の英断をさせてくれたヤツの言葉。それ以来、チャンスには必ず手を出すよう
       にしてる。もちろん、それが俺自身が犠牲になろうとも」

乙女僧侶「・・・」


僧侶戦士「俺が英断をしたのは、ちょうど童子騎士くらいの歳だったな・・・・。危険だが・・・頼めるか?童子騎士」

童子騎士「は、はいっ!」


 
幼剣士「・・・」


僧侶戦士「じゃあ1時間後には出発するか。準備はしておけよ」

童子騎士「わかりました!」


幼剣士「ぼ・・・僕も・・・ダメ、ですか・・・・!?」ブルブル

めがね魔道「よ、幼剣士くん・・・」


乙女僧侶「・・・」

  
武道家「・・・お前も、行きたいのか?」

幼剣士「ぼ・・・僕の家族は・・・、家族は・・・・・・・・山賊に・・・殺されて・・・」


僧侶戦士「・・・」


幼剣士「だ、だから・・・、お兄ちゃんになるって・・・言われた時・・凄い嬉しくて・・・」ヒグッ

武道家「・・・」


幼剣士「・・・だけど、今、お兄ちゃんはピンチで・・・僕は・・・何も出来なくて・・・」グスッ

 
乙女僧侶「幼剣士くん・・・」


幼剣士「・・・待ってようと思ったけど、童子騎士くんが一緒に行く事になって・・・なんか・・凄い悔しくて・・・」ポロポロ

童子騎士「・・・幼剣士・・」


幼剣士「だから・・・無理だってわかってるけど・・・お願い・・したかった・・・・・」グスッグスッ


僧侶戦士「・・・」


幼剣士「わがまま言って・・ごめん・・・・なさい・・・・」

 
武道家「・・・幼剣士。言っとくが、人のこと構えるほどの状況じゃないかもしれん。危険は必ず伴う」
 
僧侶戦士「痛いし、辛いし、もしかしたら最悪の結末だってあるかもしれない」

武道家「それでも・・・・」

僧侶戦士「我慢、出来るか?」


乙女僧侶「・・・・」


幼剣士「我慢・・・する・・・・・。だから・・・・僕も・・・連れてってっ!!」

 
戦士先生「はっは・・・お前ら、いっぱし言うようになったな」

武道家「へへ、でしょ。・・・これで4人パーティだな」ハハ

僧侶戦士「・・・多少の面倒はお前も見ろよ?」


童子騎士「そ、それじゃ・・・」

幼剣士「いいの・・・?」


武道家「男の決断を無碍にしたら、俺らの男が下がっちまうだろ」ハハ

僧侶戦士「無理だけはすんなよ。無理だと思ったらすぐに、そこで待機だからな?」


幼剣士「・・・うん!!」


乙女僧侶(何を言っても・・無駄ですね。頑張ってください・・・皆さん)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

 
乙女僧侶「その・・・必ず・・・無事に戻ってきてくださいね・・・。本当にお気をつけて・・・」

武道家「もちろんよ!」


めがね魔道「る、留守の間は僕がここを守ります!」


僧侶戦士「おう、乙女僧侶のことしっかり守れよ?」

戦士先生「・・・気をつけてな」

武道家「・・・もちろん!」


幼剣士(待ってて・・・・お兄ちゃん・・僕が、必ず・・・!)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・トコトコ・・・


武道家「それにしても・・・弟クン、さっきはよく男らしく言ったな。勇気があってよかったぜ」ハハハ

幼剣士「そ、そんな・・・必死だったっていうか・・」

僧侶戦士「いや、凄いと思うぜ。勇気と行動力は、青年剣士の子供のころソックリだな」ハハ

幼剣士「そうかな・・」テレッ

 
 
童子騎士「師匠はやっぱり、子供のころから強かったんですか?」


武道家「んー・・・アイツはやっぱ少し秀でてた」

僧侶戦士「冒険学校に入学した最初の試験で、キングゴブリン倒したのも実質アイツだったしな」


童子騎士「き、キングゴブリンを!?」

幼剣士「凄い・・」


武道家「あの時は童子騎士と一緒くらいの歳だったはず」

僧侶戦士「・・・その後はトントン拍子に色々あって、妹まで出来たりして・・・」


幼剣士「あ・・・僕のお姉ちゃん?確か、凄い遠い場所にいるって・・・」

 
僧侶戦士「あーあの子は・・・お姉ちゃんになるな。遠い場所で、今は王女になる特訓でもしてるんじゃないか」

武道家「・・・かもな」


幼剣士「ど、どんだけ凄い人が・・・・。いつか会えるかなあ」


僧侶戦士「ああ。いつか会えると思うぞ・・・きっとな」

幼剣士「・・・うんっ」


・・・・ガサッ


アウルベア『・・・・グルル・・・』

 
武道家「うは、早速かよ・・・!」スッ


僧侶戦士「遅れるなよ、2人とも!」チャキッ


幼剣士「も、もちろん!」チャキッ


童子騎士「任せてくださいよ!」スチャッ

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【夜・道中の村】


・・・・・ホゥ・・・ホゥ・・・


武道家「交易に使われる村だが・・・・、見事に真っ暗だな」ハァ

僧侶戦士「・・・血の痕がひどい。全員やられたか、逃げたか・・・」

武道家「逃げた・・・と願うよ」


幼剣士「・・・凄い怖い・・」ガクガク

童子騎士「・・・」ブルッ

 
武道家「しかし参った・・・ココに泊まる予定だったんだが・・・」


僧侶戦士「宿も宿番もいないだろうしな・・・、勝手に借りるか?」

武道家「緊急事態だしいいんじゃねーか?」

僧侶戦士「じゃ、行ってみるか・・・」


トコトコ・・・・


幼剣士「あの・・・2人はこういう場所・・・怖くないの・・・?」

童子騎士「平然と・・・してて凄いとは思いますが・・」


武道家「ん?あぁ・・・怖いっていうか・・・」

 
僧侶戦士「慣れてるってのもあるけど、怖くないわけじゃない」

武道家「だな。それ以上に悲しいって思いが大きい」

僧侶戦士「・・・そうだな・・」


童子騎士「・・・」


・・・・ザッザッザ・・・トコトコ・・・


僧侶戦士「お、あったあった。やっぱココも真っ暗・・・か」

武道家「魔獣は・・・ない。一応安全だ」

僧侶戦士「・・・失礼しますよっと」


・・・・・ギィ・・・

 
幼剣士「・・・・うっ・・・」


宿番「・・・」

客「・・・」


僧侶戦士「ひ、ひでぇ・・・」

武道家「血だらけじゃないか・・・、こりゃアウルベアのやり方だ・・・」ドロッ

僧侶戦士「・・・とりあえず2階で休もう・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・


幼剣士「・・・何で、ここは・・・こんなに・・被害がひどいの・・・?」

僧侶戦士「交易の休憩所って呼ばれる村でな、見てわかると思うが凄い小さい村なんだ。
       だから、軍の支部を置くには経費問題もあるし、村人自体の戦闘知識も少なかったんだ」

武道家「・・・」


幼剣士「そ・・そうなんだ・・・」


僧侶戦士「・・・」

武道家「・・・」

童子騎士「・・・」

幼剣士「・・・」


 
童子騎士「そ、そういや・・・、魔物とか魔獣とか言ってましたが・・・どんな意味があるんですか?詳しくわからなくて・・」

武道家「ん・・・あぁ。魔獣とか魔物っていうのはいわゆる区分だ」

童子騎士「・・・区分?」


僧侶戦士「魔獣は下位。スライムやウルフとか、弱めの奴の全般をそう呼んでいるんだ」

幼剣士「へえ・・・」

武道家「まあ、魔獣でも上級や下級、亜種や異種なんてのもあるから、一概に弱いとは言えないけどな」


童子騎士「じゃあ、さきほど僧侶戦士さんたちが倒したアラクネっていうのは・・・」

 
僧侶戦士「蜘蛛の女王で、魔物では割と有名なほうだ」

童子騎士「・・そうなんですね」


幼剣士「じゃあ、魔物って呼ばれるのが一番強いの?」


僧侶戦士「いや、一番上には神獣っていう更に上位種がいる」

幼剣士「神獣・・・」

僧侶戦士「ま、その辺までいくと・・・ほぼ伝説的なのが多い」


武道家「ちなみに、竜族、神族、魔族、巨人族。それが神獣の中でも四天王って呼ばれてるワケだ」


幼剣士「す、凄い・・・」

 
僧侶戦士「ま、一生かかっても会えるかどうかって話だけどな」ハハ

武道家「・・・そうだな」ハァ


童子騎士「・・・色々聞けて本当に勉強になります」

幼剣士「だねっ」


武道家「ま、明日も早いし今日はさっさと寝るか」

僧侶戦士「そうだな」


幼剣士「うん・・・」

童子騎士「・・・」

 
僧侶戦士「よっしゃ、休むことも大事だ。おやすみ・・」ゴソゴソ


童子騎士「はい・・・おやすみなさい」モゾモゾ

幼剣士「・・・おやすみなさい」


武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・」


幼剣士「・・・」

童子騎士「・・・」

 
武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・」


幼剣士「・・・」スゥ・・・

童子騎士「・・・」グゥ・・・


武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・」


幼剣士「・・・」スゥ・・・スゥ・・・

童子騎士「・・・」グゥ・・・グゥ・・・

 
武道家「・・・寝たか?」

僧侶戦士「みたいだ・・・じゃ、行くか?」

武道家「面倒くせー・・・魔力プンプン放ちやがって・・・」

僧侶戦士「起こさないようにな」



・・・・・ギシッ・・・トコトコ・・
・・バタン・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【2日目の朝】


・・・チュンチュン・・


幼剣士「・・・ふわぁ・・・!」

童子騎士「ん・・・」ムクッ


僧侶戦士「お、やっと2人とも起きたか」

武道家「よ、おはよう」


幼剣士「!」ガバッ

 
童子騎士「ふ、二人とも早いですね・・」

僧侶戦士「まあな、こういう早起き習慣が身についてるからな」

幼剣士「・・むにゅむにゅ・・・・ちょっと眠い・・」


武道家「ほらほら、眼覚ませー。これでも食って」ポイッ


幼剣士「わわっ・・・これは?」トスッ

武道家「アウルベアの肉を焼いといた。外に倒れてた」モグモグ

幼剣士「あ、ありがとう・・・」モニュ

童子騎士「・・・美味しい」モグモグ

 
僧侶戦士「おっしゃ、とりあえず外に出ようか」

幼剣士「うん」モグモグ

童子騎士「はい」モグモグ



・・・・ガチャッ・・・バタン
・・ギシッ・・・ギシ・・・


幼剣士「あれ・・・ココに倒れてた宿番さんたちは・・?」

 
僧侶戦士「俺らが早く起きて埋めといてやったよ。ここも後で軍本部に報告せにゃいかんけどな」

武道家「・・・」


童子騎士「・・・」ハァ


・・・ギィ・・


幼剣士「うわっ!!」

童子騎士「うおっ!!なんじゃこりゃ!」


異種アウルベア『』

 
幼剣士「大きい・・・もしかして、このアウルベアがこの村を・・・?」


僧侶戦士「ああ。昨日は気づかなかったけど、朝外に出たら近くに倒れてたんだ」

武道家「さっきの肉はこいつから採ったから、新鮮そのものってわけ」ハハ

幼剣士「ほえー・・・」


童子騎士(新鮮って・・・、そんなこと分かるのか?もしかして、この2人が倒したんじゃ・・・)


武道家「ん?どうした?」

童子騎士「あ、いえ!何でもありません!」

 
武道家「それならいいんだけどな。おっしゃ、とりあえず出発すっかぁ!」

僧侶戦士「このペースで歩けばすぐ着くからな、どんどんいくぞ」


幼剣士「うんっ!」

童子騎士「はい!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【4日目・西の港】


武道家「ふぅ、やっと着いたな」

僧侶戦士「・・・思ったよりは早い段階で着けたが・・」

幼剣士「港町だぁ・・・海の匂い・・・」クンクン

童子騎士「懐かしい匂いだな・・・」


武道家「んー・・・それにしても、この港は思ったより・・あまり襲撃され・・・・」


・・・・ドゴォォォン!!!
・・・コッチニキタゾ!!ニゲロ!!


武道家「てるみたいね・・・」


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・


マーマン『ゲヘ・・・・』

武道家「・・・掌底波ァっ!!」ヒュッ


・・・グシャッ!!

マーマン『』


僧侶戦士「えと・・・これで結構倒したよな・・・だいぶ少なくなったか」

武道家「ふむ・・・、だけど何だ。ここは軍人の援軍がいないのか?」

僧侶戦士「んー・・・」


・・・・トコトコ・・

村人a「あの、軍人さんたちですか?」

 
僧侶戦士「あぁ、そうだが」

村人b「た、助けに来てくれたんでしょうか?」

武道家「いや、ちょっと海を渡りたくてね・・・援軍じゃないんだ・・・」


村人a「そ、そうですか・・・。いた軍人さんたちは今、集会所にいる人たちを守るために・・・そこにいます」

村人b「ずっと戦ってくれてるんですが、みんな衰弱が激しくて・・・」


僧侶戦士「そうか・・・もうあれから5日目だもんな」

幼剣士「どこも・・一緒なんだね・・・」

 
村人a「そ、それより・・・海を渡るって・・・いってましたよね?」

僧侶戦士「そうだが?」

村人b「や、やめといたほうがいいかと」

僧侶戦士「なんでだ?」


村人a「海のクラーケンが赤眼で暴れて、その時出てた組合の船が全滅しまして・・」


武道家「また・・面倒な・・・・・」ハァ

僧侶戦士「あー・・・」

童子騎士「クラー・・・ケン?」

 
武道家「海も魔物だ。そいつ自体は強いわけじゃないんだが、海の上っていうステージだと向こうが有利でな」

僧侶戦士「昔から船の天敵と呼ばれてきた最悪の種でもある」


童子騎士「じゃあ、渡れないんですか?」


武道家「うーん、僧侶戦士は確か、軍のクエストでクラーケンと戦ったことあったよな・・・?」

僧侶戦士「あの時は強い味方メンバーが一緒だったから何とか、だ」

武道家「行動の特徴は?」


僧侶戦士「触手で船が沈められないように、けん制しながら本体の出現待ちだな」

武道家「・・・・いけるか?」

 
僧侶戦士「いや無理だろ。俺らが触手を担当しても、本体を叩く火力役がいない」

武道家「そうか・・どうするか・・」

僧侶戦士「・・・」


幼剣士「出会っても、逃げるとか・・・!」


童子騎士「あのな・・・」

武道家「・・・そんな簡単にいったら、どれだけうれしいことか」ハァ


童子騎士「・・・あ」

武道家「ん?」

 
童子騎士「・・逃げる手立て、あるかもしれません!」

武道家「マジで・・・?」


村人a「ク、クラーケンから逃げる船なんて・・・」


童子騎士「こっちです!」


・・・・タッタッタッタ

 
・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ガラガラッ!!


村人a「おいおい・・・ここは古くなった帆船やらを置く・・・貸し出し広場だぞ?」

童子騎士「えっと・・・ちょっと待っててください」タッタッタ 


村人a「・・・」

僧侶戦士「ここじゃ最新の魔動船とかは貸してもらえないのか?」

村人a「本来ならあるんですが・・・、クラーケンと遭遇した時に一気に畳み掛けられて・・・」

 
武道家「・・・そうか。やっぱアイツ頼るしかねーな・・」

 
童子騎士「みなさーん!こっちです!」


僧侶戦士「・・・お、なんか有ったみたいだぞ」

・・・・タッタッタ・・


幼剣士「童子騎士くん、あったの?」

童子騎士「あぁ・・あったよ。旧式だけど、魔法動力船では最高速度を誇ったことがある船・・・だったはず」

村人a「・・・おいおい・・こんなところに・・・こんなもんあったのか・・・」


武道家「・・ちっちゃいな」

童子騎士「速度のみに特化してる船ですからね・・・、だけどこれなら普通の船の数倍の速度で走れますよ」

 
幼剣士「じゃあ・・・いけるんだね・・・?」

童子騎士「昔、親父とココに来た時に話をしてたのを思い出したんだ。海の魔物だろうが、振り切れる船だって」

武道家「・・・運ぶのはいいとして、問題は・・・動くのか?」


村人a「あ、たぶん動くと思います。ここは貸し出し用の旧式の船置き場で、廃船したのはありませんし・・・」


僧侶戦士「そ、そうか・・・!よし、これで海を渡れるな!」

童子騎士「よし・・・それじゃ、海に出しましょう」


武道家「運ぶぞ・・・、みんな手伝え!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・ザバァン!!



武道家「よしっと・・・」

村人a「こ・・腰が・・・」イタタ

僧侶戦士「ご協力感謝します」


武道家「・・・で、船の調子は?」

幼剣士「童子騎士くん、エンジンはかかるの?」

 
童子騎士「慌てなさんな・・・、えと・・」カチャカチャ


幼剣士「・・・」ワクワク


童子騎士「・・・あ!」

武道家「な、なんだ?」


童子騎士「・・・あの、緑の魔石ありますか?」

僧侶戦士「・・・一応これだけな」ゴソゴソ・・・ポイッ


童子騎士「わわっ、ありがとうございます。充分な大きさです・・・よし・・・!」カチャッ

 
・・・・・ブルッ・・・ブォン!!!
ブルッブルッ・・・ブォォォォン!!!


武道家「おぉ!」

僧侶戦士「やるな。大丈夫そうか?」

童子騎士「えぇ・・たぶん大丈夫だと思います。思った以上にいい状態で放置されてたみたいです」


幼剣士「やった!」

童子騎士「それじゃ、行きますか?」


武道家「・・・すぐ出発できるのか」

童子騎士「問題ないですね。コレの速さなら1日で着くと思います」

 
僧侶戦士「疲れをとる為に大型船でのんびり・・って訳にはいかなくなったな」

武道家「あ、そういやさ。方角とかどうすんだ?わかるのか?」

童子騎士「あ・・・」


村人a「それなら大丈夫かと思いますよ。錬金術か何か忘れましたが、設定すれば自動で着くはずです」ヨイショ

・・・ピッピ・・・ピッ・・・


武道家「・・・便利なもんだな」

僧侶戦士「軍もこんくらい便利で簡単なシステムにならないかな」

武道家「全くだ。クエスト報告だの、上位下位関係だの、内部派閥抗争だの勘弁してくれ・・・」ハァ

 
村人a「あはは・・・よし!これで後は行き先を入力するだけです。どこですか?」


武道家「海を渡った先の西の漁港だ」

村人a「・・・漁港・・・っと・・・」ピッ・・


僧侶戦士「出来たか?」

村人a「はい、出来ました!」

僧侶戦士「ありがとう」


童子騎士「よし、それじゃ・・・乗ってください」

 
・・・トコトコ・・・ユラッ


幼剣士「よいしょ・・・とと、揺れるね・・・」ユラユラ

童子騎士「この揺れから慣れないと、船酔いするかもしれないぜ・・・」

幼剣士「初めてだから・・・するかも・・・」


村人a「では、気をつけてくださいね・・・」


僧侶戦士「・・・そちらこそ。この港に幸運を・・・」

武道家「・・・」ペコッ


童子騎士「では、今度こそ準備はいいですね?」

 
僧侶戦士「問題ない」


武道家「オッケーだぜ」


幼剣士「・・・いいよ!」


童子騎士「それでは・・・出発します!」カチャッ



ブルン・・・ブルンブルン・・・

 
 
ブォン!!!!! 
 
ブォォォォォン・・・!!!ブォォォォォォ・・・・・・・・・・・・!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ココまでで本日は終了です。ありがとうございました。

 
・・・・・・ゴォォォォ!!

 
武道家「うひょー!はえぇ!」

幼剣士「み、水しぶきが・・・・」バシャバシャ


童子騎士「・・・あとは操作はいりませんね。いい船ですよこれ・・・」


僧侶戦士「そんなイイモンなのか?・・・なんでそれが旧式だったんだろうな」

童子騎士「あそこの貸し出しは結構いい船置いてましたし・・・、最新のどんどん導入してるのかもしれませんね」



武道家「つか、これならクラーケンでも何でも振り切れるのか?」

 
僧侶戦士「ああ、大丈夫だと思うぜ」

武道家「それならいいんだがな」

僧侶戦士「・・・ん?」


幼剣士「・・・」ウプッ


武道家「・・・酔ったか?」ククク

僧侶戦士「あーあー大丈夫か?」ハハ


幼剣士「・・らいじょうぶ・・・・・」ウプッ

 
童子騎士「酔うのはええよ!」


幼剣士「・・・」オエッ


童子騎士「あーあー・・・もう、このペースだと結構早く着くから我慢するか・・・慣れろ」サスサス

幼剣士「うう・・・ありがとう・・・」


僧侶戦士「ま、空とか海眺めながらのんびり行こうぜ」

童子騎士「そうですね・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・ブォォォォ・・・!!!


童子騎士「3分の2地点通りすぎました。あと少しで着きますよ」

武道家「幼剣士、ちょっとは慣れたか?」

幼剣士「ふぁい・・・」

僧侶戦士「ダメだなこりゃ・・・」ハハ



童子騎士「それにしても、暗くなってきましたね」


僧侶戦士「魔獣たちが一番活発になる時間帯だな・・・・」



・・・・・・・ブォォ・・・・・

 
 
武道家「・・・何の音だ?」

童子騎士「?」

僧侶戦士「・・・おい、皆。一応武器構えとけ。童子騎士は全速力で舵を頼む」


武道家「まさか・・・」


僧侶戦士「気のせいだといいんだが・・・、全員聞いたって事は気のせいじゃない・・・からな」

武道家「・・・」スッ

僧侶戦士「・・・」チャキッ

幼剣士「・・・」フラフラ

童子騎士「・・・」ググッ

 
・・・・ドォン!!
・・グラッ!!


武道家「うお、揺れる!」

幼剣士「・・・」ウプッ


・・・ドォン!!ドォン!!!


幼剣士「・・・揺れるぅぅぅ」

僧侶戦士「やはりな。いいか、船の下見てろ・・・中火炎魔法!」ボワッ

 
武道家「・・・・なんじゃこりゃあ!!!」


・・・・ユラユラ・・・


僧侶戦士「クラーケンの触手の影だ・・・でっけえな・・・」ハハ

童子騎士「ス、スピードをあげます!」

・・・グォォォォン!!!!


武道家「どうすりゃいいんだ?」

僧侶戦士「本体は俺らに追いつけないみたいだな。触手を叩く!」

 
・・・・ザバァ・・・・・・・!!

武道家「しょ、触手でけぇ!船を叩き割る気か!?」



ヒュンッ・・・!!

僧侶戦士「はぁっ!」ビュッ

・・・・ズバァッ!!・・・ドシャァッ・・・


武道家「おお、簡単に意外と切れるんだな!」

僧侶戦士「触手だけの相手ならワケないな。船に攻撃がくる前にドンドン落とせ!」

 
・・・・ザバァ・・・
・・ザバァ・・ザバァ・・・・・ザバァ・・・・!!


武道家「よ、4本か・・・」

僧侶戦士「お前3本な。俺だるいから」

武道家「・・・なんでだよ!?」


・・・・ビュビュビュビュッ!!

武道家「早いが・・・対処できねェ速度じゃねぇ!!」ダダダァン!!

僧侶戦士「大斬っ!」ズバァ!!


・・・・ドサッ・・・ドサドサドサッ・・・

 
ザバァ・・・ザバァ・・・・・・ザバァ・・・ザバ・・ザバ・・・


武道家「な、何本でてくんだよ!」

僧侶戦士「もっとスピード上げられないか!?」


童子騎士「無理です!メーターいっぱいです!」グ゙ォォォン!!


武道家「掌低波ァ!連弾!!」ズバババァ

僧侶戦士「武道家・・・攻撃増大魔法!」パァッ


幼剣士「ふ・・船が揺れる・・・」オエッ・・

 
僧侶戦士「よっしゃ・・・、触手がひるんだ!」

武道家「このペースで走り続けられるか!?」

童子騎士「大丈夫です!」


・・・グォォォォン!!


武道家「おっしゃぁ!触手が離れていく!」

僧侶戦士「・・・さすがに俺も少し焦ったぜ・・。本体が出てきてたら対処仕切れなかった」


幼剣士「何もできず・・・ごめんなさい・・・」オエッ

 
武道家「あぁ気にすんな。仕方ねーことだ」

僧侶戦士「そうだな・・・ひとまず安心していい。漁港まではあとどんくらいだ?」


童子騎士「えーと・・・、あと本当に少しで着くと思います」


武道家「オーケー・・・じゃあ俺もちょっと休憩しよう」ハァ

僧侶戦士「漁港についたら、童子騎士はそこで待機・・・でいいんだな?」

童子騎士「はい・・・、大丈夫です。そういう約束ですから・・・」

 
武道家「・・・幼剣士はどうする?無理だけはするんじゃないぞ?」

幼剣士「ぼ・・僕は・・・、最後まで着いていく・・・着いて・・・行きたい・・・」ゴホッゴホッ


僧侶戦士「・・・・いい覚悟だ。港についたら、漁港から星屑までは歩いて半日もかからないだろう」


童子騎士「もう夜になりますしね、漁港でひとまず泊まりますよね?」

武道家「真夜中に、前線付近を歩くバカがどこにいるんだよ・・・」


童子騎士「ですね・・はは」


僧侶戦士「とにかく、漁港についたら周辺の様子にもよるけどな」

 
幼剣士「とりあえず着いたら・・・寝ましょう・・・」グッタリ

僧侶戦士「まあお前はそうだな・・・。お、灯台が見えたぞ!」


武道家「こんな時でも灯台は点いてるのか?魔獣近づいて来るんじゃねーの?」

僧侶戦士「魔石の自動点灯だと思うぜ」

武道家「そ、そうか・・・」


童子騎士「比較的、ポツポツと薄い明かりは見えますね?」


武道家「あそこには軍の支部があるからな、警戒にあたってるんだろう」


童子騎士「なるほど・・・じゃ、もうすぐ着くので準備してくださいね・・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【西の漁港】

幼剣士「・・・」フラフラ

童子騎士「ほら・・・肩。しっかりしろ・・・」

幼剣士「あうう・・・ごめん・・・」


武道家「ほう、思ったよりもきちんと体制保ててるな」

僧侶戦士「・・・ん?」



・・・・タッタッタ・・・ビシッ!!

軍人「住民の方から不信な船が着港したと聞き、一応見に来ましたが・・・・、軍の少尉殿らとお見受け致します!」

 
武道家「わざわざご苦労様です!」ビシッ

僧侶戦士「わざわざお手数をお掛けしました」ビシッ


軍人「それで、この漁港に何用があって参られたのでしょうか?」


僧侶戦士「星屑・・・いえ、星降町の調査です」

軍人「え・・・ほ、星降町ですか!?し、しかしあそこは今危険で・・・・」

武道家「どうしても行かねばならないんです」


軍人「そうですか・・・ですが、今日はもう陽が傾いていますし、ここで休憩なさっていってはいかがですか?」

 
僧侶戦士「ええ、どこも今は大変な時期ですが・・・・、そちらがご迷惑でなければ泊めさせていただければ・・・」


軍人「主要の宿泊施設はすべて避難民でいっぱいですが・・・、軍支部で良ければいかがですか?」

武道家「あー・・・そうですね。一般人の子供2人もいるのですがよろしいですか?」


軍人「身内という事ならば大丈夫だと思います」


僧侶戦士「ありがとうございます」

 
・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・カツ・・・カツ・・・

童子騎士「ここが・・・軍の支部か・・・」キョロキョロ

幼剣士「初めて入ったけど、キレイだね」キラキラ


僧侶戦士「お、少しは気分良くなったのか?」

幼剣士「うん、迷惑かけてごめんなさい・・・」

武道家「気にスンナってば」


軍人「あ、着きました」

・・・コンコン

「"入っていいぞ"」

 
・・・・ガチャッ・・・ギィ・・・


軍人「調査隊の方々をお連れ致しました」

少佐「ありがとう、下がっていい」

軍人「はっ!」ススッ



僧侶戦士「今日だけお世話になります、僧侶戦士少尉です。中央国のほうから海を渡ってきました」

武道家「・・・武道家少尉です」


少佐「・・・なんと・・・海を渡ってきたのかね?」

僧侶戦士「はい」

少佐「よくクラーケンの海を渡ってきたね?」

武道家「く、クラーケンの海ですか?」

 
少佐「今回の騒動で・・海に大量のクラーケンがウヨウヨしていてね・・・、迂闊に海に近づけないんだ」


武道家「・・・」タラッ

僧侶戦士「・・・本当ですか・・・・」

童子騎士「は・・・あはは・・・・」


少佐「それで、何の用でココに来たんだったかな?」


僧侶戦士「えと・・、塔の調査関連で訪れました」

少佐「許可は?」

僧侶戦士「ありません」

少佐「・・・何?」

 
武道家「独自の判断です。ある理由で塔を登らなければなりません」

少佐「・・・無断で行けると思っているのか?」

僧侶戦士「・・・」


少佐「あそこは今・・・この暴走した魔獣を解く鍵を握る、最重要地点だ。下手に塔に近づくことは許されないぞ?」


武道家「ですが・・・行かなければならない理由があります・・・」

僧侶戦士「・・・」コクン


少佐「・・・」

 
武道家「許可、出来ませんか?」

少佐「・・・何か訳ありだな?」

僧侶戦士「・・・はい」


少佐「・・・」

僧侶戦士「・・・」ゴクッ

少佐「・・・・真剣な眼差しか・・・、問題だけは起こすんじゃないぞ・・・?」


武道家「で・・では・・・!・・・ありがとうございます!」

僧侶戦士「・・・感謝致します」

 
幼剣士「・・・!」パァァ

童子騎士「・・・良かったな!」


少佐「・・・して、この2人の子供はなんだ?」


僧侶戦士「軍に所属する中尉殿の弟と、その友人です。ちょっとした理由で同行させています」

少佐「ここから先の前線は危険だぞ?」

僧侶戦士「そのことなんですが、片方の童子騎士という子を預かってほしいのですが・・・」

少佐「ずいぶんと、ワシにお願いごとをしてくるな」

僧侶戦士「ご迷惑だとは分かっておりますが・・・どうか・・・」

 
少佐「・・・ま、一般人の保護もワシらの仕事だ。受け入れよう」

僧侶戦士「ありがとうございます!」

少佐「そっちのもう1人は連れて行くのか?」

僧侶戦士「え、えぇ・・・はい」


少佐「・・・」


僧侶戦士「・・・」


少佐「はて、思い出したぞ」ポン

 
僧侶戦士「・・・?」

少佐「中尉の弟と言ったな。確か、先発部隊で・・・塔の中途で行方不明になったのも中尉だったな・・・?」

僧侶戦士「は・・・はい・・・」

少佐「・・・そういうことか」


武道家(トボけた顔して・・・、このオッサン食えねえ洞察力もってやがる・・・)


僧侶戦士「・・・」


少佐「・・・そういうのは嫌いではない。餞別だ・・・、今の前線の状態を教えてやろう」

僧侶戦士「ほ・・・本当ですか!?」

 
少佐「・・・半日も歩けば星降町に着くが、今はほぼ9割が壊滅状態になっている」

僧侶戦士「・・・」

少佐「だが、集会所にはまだ住民らが待機して必死の抵抗をしているはずだ」

武道家「保護はしないんですか?」

少佐「元々、紛争を長く繰り返してた住民らだからな・・・下手な軍人よりも武力はある」


僧侶戦士「・・・ですね」


少佐「まぁ長話はこの辺にしておこう。少し疲れただろう・・・?ゆっくり休むといい」

僧侶戦士「ありがとうございます!」

少佐「全員、下がっていいぞ」

2人「はっ!」ビシッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【軍支部・客室】
 

武道家「何が、下がっていいぞ・・だよ!あのジジィ!」

僧侶戦士「この辺を仕切ってる少佐だぞ・・・。壁に耳ありって言うだろ・・・・あまりそういう事は言うな」

武道家「だけどよ・・・」


幼剣士「でも、これで塔に登れるんだ・・・?」

僧侶戦士「・・・そうだ」


武道家「無事でいるといいんだがな・・・・」

 
・・・・コンコン・・・ガチャッ


軍人「失礼します。少佐殿から、長旅の疲れを癒すよう"入浴"の準備をしておいたそうです」

武道家「まじかよ!風呂なんて久しぶりだぜ・・・いい少佐殿だ!」

僧侶戦士「・・・おい」


幼剣士「お風呂か・・・」


僧侶戦士「俺と武道家は後でいいから、お前ら入ってきたらどうだ?」

童子騎士「あ、いえ俺は水洗魔法で既に体を流したので・・・」

幼剣士「ええ・・僕1人・・・・?」


軍人「いかがなさいます?」

 
幼剣士「・・・入る」

軍人「わかりました、ではご案内いたしますのでこちらにお願いします」


僧侶戦士「おぼれるなよー」

武道家「お前それ何気にひどいぞ・・・」


・・・・・ガチャッ・・・

・・・・トコトコ・・・

  
軍人「・・・あそこの扉です。ごゆっくりなさってください」

幼剣士「・・・ありがとう」



トコトコ・・・・・ガチャッ
 
 

幼剣士(お風呂か・・・お兄ちゃんと入った時・・・楽しかったな)

・・・ゴソゴソ・・ヌギヌギ
・・・パサッ


・・・・ガラッ

 
幼剣士「わぁ・・・広い・・・・」

・・・シャァァァ


幼剣士「・・・・シャワーの音?誰か先に入ってる人でもいるのかな?」

・・・ペタペタ・・


幼剣士「・・・湯気でよく見えないけど・・・、こんにちわっ!」


???「・・・えっ!だ、誰!?」


幼剣士「・・・あ、ココで一晩お世話になってるんだけど・・・それで風呂に入れって・・」


???「そ、そうじゃなくて・・・・」

 
幼剣士(あ・・・・湯気が晴れて・・・)

・・・・サァァァッ・・・


幼剣士「・・・えっ?」

吟遊詩人「・・・き、君は・・・・」

 
幼剣士「確か・・・吟遊詩人くん!?」

吟遊詩人「な、何でここに・・・?」

幼剣士「僕ら、ちょっと用事があって・・・」


吟遊詩人「そ、そうなんだ・・・・」

幼剣士「・・・うん」


吟遊詩人「・・・」

幼剣士「・・・」


吟遊詩人「・・・って、きゃあああっ!」ガバッ

幼剣士「えっ、えっ!?」ビクッ

 
吟遊詩人「ま、前隠してよ!っていうか、こっち見るなぁー!」

幼剣士「ど、どういうこと?湯気であまり見えないよ・・・?」


吟遊詩人「そ、そういう問題じゃ・・・いくら私でも男子の裸を見るのも、自分の裸を見せるのも恥ずかしい!」


幼剣士「・・・も、もしかして・・・・・女の子・・・」

吟遊詩人「い、今頃!?はっ・・・そういえばずっと吟遊詩人くんって・・・」


幼剣士「ご、ごめんね」トコトコ


吟遊詩人「こ・・・こここ・・・・こっちに来るなぁ~っっ!!!」

本日の投稿はここまでです。お疲れ様でした。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・


吟遊詩人「・・・・」ハァハァ・・

幼剣士「ご・・ごめん・・・・・」


吟遊詩人「いくら僕でも・・・ああいうのは苦手なんだ・・・勘弁してくれ・・・」


幼剣士「僕?さっきは私って・・・」

吟遊詩人「そ、それは忘れてくれ・・・」

 
幼剣士「う、うん・・・でも、なんでココに?」

吟遊詩人「それは僕のセリフ。なんで君がココにいるんだ?」


幼剣士「ちょっと星降町に用事があって来たんだ・・・」

吟遊詩人「あ、あそこに?なんでまた・・・」

幼剣士「そ・・それは・・」


吟遊詩人「・・・・ま、いいよ。僕はここにお爺ちゃんが支部長やっててね、こんな状況だからお世話になってるんだ」

幼剣士「へえー」

 
吟遊詩人「それより・・・さっき、僕の・・・見た?」

幼剣士「え?」

 
吟遊詩人「だから・・・見た・・・?」

幼剣士「何を?」

吟遊詩人「・・・言わせるなっ!」


幼剣士「・・・・ああ!裸!?」

吟遊詩人「大声で言うなっ!」


幼剣士「だ、大丈夫だよ・・・湯気であんま見えなかったから!」

吟遊詩人「・・・本当か?」ジー

幼剣士「本当だよ・・・本当本当!」


吟遊詩人「それならいいけど・・・」ハァ

 
幼剣士「?」

吟遊詩人「それにしても、僕ってそんな男っぽいかなぁ・・・。ずっと間違われてたなんて・・・」

幼剣士「あの大会でもアナウンスで"吟遊詩人クン"って呼ばれてたし・・」

吟遊詩人「・・・あー・・」


幼剣士「でも初めて見た時も思ったけど、凄いキレイな声で、顔もキレイで・・・」

吟遊詩人「・・・」グヌッ


幼剣士「女の子って髪の毛が長いイメージあったから・・・そういうのもあるかも・・・」


吟遊詩人「あぁこれはね・・・」シュルッ


・・・・フワッ

 
幼剣士「わっ・・・」

吟遊詩人「僕は動きまわるほうだからね・・・、髪の毛はいつも結って短くしてるんだよ」

幼剣士「すごーい!!綺麗!さらっさらだぁ・・・!長いほうが可愛いよ!」ワイワイ


吟遊詩人「そ、そうかな・・・ありがと」テレッ
 


・・・・コツ・・・コツ・・・

武道家「おーおー・・・騒がしいと思ったらナンパか幼剣士は」

僧侶戦士「女ったらしの所もアイツに似なくていいんだぞ」ハハ

 
幼剣士「ナ、ナンパなんかじゃないよ!」

吟遊詩人「もしかして・・・ナ、ナンパだったのか?そういうの疎くて・・・気づかなかった・・・ごめん・・・」

幼剣士「違うってばぁ!!」
 

武道家「はっはっは・・・ん?お前、どっかで見たことあるな?」

吟遊詩人「僕ですか?」

武道家「んー・・・どこかで・・・」


吟遊詩人「もしかして・・・・、髪の毛結べば・・・」ヨイショ


武道家「あぁぁ!思い出した!中央国で大会に出てただろ!」

 
吟遊詩人「あ、はい・・・」

武道家「なんだよ女の子だったのか・・・」

吟遊詩人(・・・)ビクッ


幼剣士「・・・うーん、女の子かもしれないけど・・・、僕と戦った時は凄い強くて・・・、尊敬したよ!」

吟遊詩人「・・・!」


武道家「あー・・・まあな。女子でも強いやつ知ってるわ・・・」

僧侶戦士「俺らの周りって、考えたら強い女子ばっかしかいないんじゃねーか?」


吟遊詩人「強い・・?」

 
武道家「おうよ、一緒に冒険をしてきた仲間は結構女の子いてな・・・」


幼剣士「でしょ?だから、"なんだよ女の子かよ"とかはダメだよ!」

武道家「はは・・・怒られちまった。悪かったな・・・えーと・・」

吟遊詩人「吟遊詩人です」

武道家「そうそう・・・すまんな、吟遊詩人」

吟遊詩人「・・・いえ」アセッ



僧侶戦士「だからお前は口に気をつけろってーの。俺らは風呂いってくるわ」

武道家「部屋に後きちんと戻っておけよ」

幼剣士「あ・・・うん」


・・・カツカツ・・カツ・・・・
ガラッ・・・

 
幼剣士「・・・」

吟遊詩人「・・・」

幼剣士「・・・」

吟遊詩人「その・・・何か、ありがと・・」


幼剣士「・・・何が?」

 
吟遊詩人「僕のことを尊敬するとか・・・女が関係ないとか・・・さ」

幼剣士「え?当然だよ・・僕は負けたし、あの時も凄いと思ったし、そういうの気にしなくていいと思う!」

吟遊詩人「・・・そういうの嬉しいな」


幼剣士「・・・えへへ、当たり前のことだってば!」

吟遊詩人「・・・僕さ、冒険とか・・・戦ったりすることが好きなんだけど・・・」

幼剣士「うん」


吟遊詩人「やっぱり、友達とか親とかからは"女の子なんだから"とかばっかで・・・」

幼剣士「・・・」

 
吟遊詩人「でも・・・初めてだよ。そんな風に言われたの・・」

幼剣士「少しでも元気になってくれたなら良かった・・・えへへ」


吟遊詩人「・・・」テレッ


幼剣士「あ、いけない・・・童子騎士くん部屋で1人だよ・・・」

吟遊詩人「あぁ・・・、あの時一緒にいた子?」


幼剣士「うん・・・ごめんね、また今度お話しよう!」ダッ


吟遊詩人「あ・・・またね・・・」

 
・・・・ガチャッ!


童子騎士「おぉ、遅かったな?」

幼剣士「ごめんごめん、ちょっと色々あって・・・」

童子騎士「なんだかよくわかんねーけど、お・・おう・・・」

 
幼剣士「・・・・?、何してたの?」

童子騎士「これ、あの2人の軍服と少尉のエンブレム・・・かっけえよな」キラキラ

幼剣士「そうだね・・・やっぱり、ココまで来るのに努力したんだろうなあ・・・」

童子騎士「俺・・・軍人目指そうかな・・・」

 
幼剣士「軍人?」

童子騎士「今回の旅っていうか、師匠とか、あの2人とか、軍の人たち見るとさ・・・何かやっぱ・・・憧れないか?」

幼剣士「・・・うん、憧れる・・」


童子騎士「本当は強くなって、乙女僧侶を守りたかったんだけど・・・、軍に入れば一緒のことは出来る・・よな?」

幼剣士「うん」


童子騎士「よっしゃ!俺は軍に入って、師匠みたいな立派に国のために尽くす軍人になるぞ!」

幼剣士「・・・僕はどうしよ・・」

童子騎士「軍人を目指さないのか?」

 
幼剣士「僕は、お兄ちゃんに"お前を強くして、世界を見せてやる"って言われたんだ・・・」

童子騎士「おぉ・・・」

幼剣士「でも・・・お兄ちゃん・・・こんな事になって・・・、僕・・・」

童子騎士「まーたすぐ泣く!師匠に何かその事で言われたことなかったのか!?」


幼剣士「あ・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青年剣士「泣き止んだか・・・強い子だね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


幼剣士「うん・・僕、強くなる・・・」

 
童子騎士「その意気だ!」

幼剣士「・・・うん!」


・・・ガチャッ


僧侶戦士「なんだ、まだ起きてたのか」

武道家「童子騎士はともかく・・・幼剣士は早く寝ておけよ?」


幼剣士「あ、ごめんなさい」アセアセ


僧侶戦士「早く休むことも修行であり、仕事の1つ!って似たようなこと、兄ちゃんいってただろ?」ハハ

 
幼剣士「そうだった・・・じゃ、僕は寝るね」

童子騎士「俺だって疲れたから寝るよ・・・」


僧侶戦士「俺らは、一応・・・風呂のお礼言ってくるから・・・明かり消しておくぞ?」

武道家「おやすみ」モゾモゾ


僧侶戦士「うおい!お前も行くんだよ!」

武道家「えー・・・眠いのに・・・しゃあないな・・・」ガバッ


僧侶戦士「じゃ、おやすみ」

幼剣士「・・・おやすみ~」

童子騎士「おやすみなさい」
 

・・・・・・・・パチッ・・

 
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【次の日の朝】


・・・・パンパン

僧侶戦士「ほらー、朝だぞー」


幼剣士「・・・んにゅ・・・・、おはようございます・・・」ボサボサ

童子騎士「・・・おはよ・・」ネムイ



武道家「戦士たるもの朝にも強くないとダメだぞ」

幼剣士「・・・ふぁい・・」

 
僧侶戦士「んじゃ、少佐殿に挨拶に行くぞ」

幼剣士「・・・ふぁーい・・」
 
武道家「童子騎士も世話になるんだから、一緒に頭下げるぞ」

童子騎士「もちろんです」


僧侶戦士「じゃあ行こうか・・・ほらしっかり立って」


幼剣士「・・・」ムニュムニュ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・


・・・・コンコン
・・・ガチャッ


僧侶戦士「失礼します。昨晩はありがとうございました」ペコッ


少佐「おぉ・・もう起きたのか。疲れはとれたかね?」


僧侶戦士「おかげさまで・・・本当に感謝します」

武道家「ありがとうございました」

幼剣士「ありがとう!」

 
僧侶戦士「ですが、あと数日だけ身内の子を預かっていただくので・・何かこちらからもお礼を・・・」

少佐「ふむ・・・気にしなくていいのだが・・・」

僧侶戦士「しかし・・・」


少佐「お互い軍仲間だろう?困った時はお互い様だ・・・気にするんじゃない」

僧侶戦士「・・・感謝致します」



吟遊詩人(あ・・幼剣士くんたち・・・。今日どっか行くみたいの言ってたけど・・・なんの話してるんだろ)コッソリ

 
少佐「本当に行くのかね?」

僧侶戦士「はい、決めたことですので・・・」

少佐「・・・そうか。止めても無駄だな・・・武運を祈るぞ」

武道家「この時期に塔に登るなんて・・・よっぽどですよね」ハハ・・


吟遊詩人(!)


少佐「全くだ・・・」


・・・ガチャッ!!!

吟遊詩人「い、今・・・塔に調査に行くって・・・!」ドタドタ

 
少佐「ぎ、吟遊詩人・・・今の話を・・・」

幼剣士「吟遊詩人くん・・・?」

武道家「・・・ん?」

童子騎士「・・・あれ、お前は・・」



吟遊詩人「ぼ、僕も連れてって下さいませんか!?」



幼剣士「・・・え?」

一旦終了です。有難うございました。

皆さん有難うございます。
モチベがとても上がります!

 
少佐「・・・」ハァ

武道家「いきなりなんだぁ・・・?」

幼剣士「・・・」


吟遊詩人「お願いします!足手まといにはなりません・・・だからっ!」


僧侶戦士「ちょっと待て。整理がつかない。一個一個分かるように説明してくれ」


吟遊詩人「あ・・・あの・・その・・・」

 
少佐「・・・その子の親父が、先発調査隊の1人なんだ」

幼剣士「え!?」

少佐「そして・・・、ワシの孫でもある。こんな状況だからな・・・ここで保護をしているんだ」


僧侶戦士「じゃあ・・・もしかして、先発隊のその人は・・・」

少佐「左様。ワシの息子・・・だ」


吟遊詩人「・・・」


武道家「・・・」

幼剣士「・・・」

童子騎士「・・・」

 
少佐「実は、もう1つお願いしたい事があったんだ・・。その子の親父で、ワシの息子の"伶人"を探してもらいたい・・」

僧侶戦士「・・・」

少佐「あいつはワシがやった銀色のペンダントをしているはず。見たらわかる・・・はずだ」

僧侶戦士「銀色のペンダントですね・・・了解しました」



吟遊詩人「僕も・・・お願いします・・・連れてって下さい!」

少佐「ダメだ!」

吟遊詩人「ダメでも・・・行きたい!!」

少佐「分かってくれ・・・ワシにはもう・・もしかしたら・・家族はお前しかいないかもしれないんだ・・・」

吟遊詩人「お父さんは・・きっと生きてる・・・だから・・・」

 
武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・」


吟遊詩人「僕だって戦える!」

少佐「・・・危険なんだ!女が行く場所ではない!」

吟遊詩人「・・・」ギリッ


幼剣士「そ、それは・・・!」

・・・・スッ


武道家「幼剣士、やめとけ・・・・少佐殿、ちょっといいですか?」

幼剣士「・・・武道家さん」

 
僧侶戦士「お前・・・また余計なことを・・・」

武道家「いいからいいから」ニヤッ

少佐「なんだ?言ってみろ」


武道家「あのー、俺頭悪いんで良く分からないんですけど・・・、女が・・とか、男が・・とかは戦いの場では関係ないと思います」

少佐「・・・何だと?」 

武道家「出すぎかもしれませんが、自分の周りは強い女がたくさんいますし・・・」

少佐「それはお前の環境が、だろう?吟遊詩人はそういう人間ではないのだ」


武道家「・・・吟遊詩人が、中央国の武道大会で優勝したの知ってますよね?」

少佐「・・・」

武道家「それで、戦える証は充分だと思うんです」

少佐「そういう問題ではな・・」

 
武道家「いや何も、今一緒に行こうって言ってるわけじゃなくて。女だから・・とかの差別は・・苦しい人には苦しいモンだと思います」


僧侶戦士「・・・」ッフ


武道家「ましてや、戦うという意思を持った人間や、家族を失いかけてる前で"お前は見ていろ"は酷すぎませんか?」

少佐「・・・」

武道家「俺も昨日、傷つけた言い方しちゃいましたので・・・。そこだけは言っときたかったんです」ペコッ

少佐「・・・ふん」



武道家「以上です。・・・出過ぎたマネして本当すいませんでした。罰なら受けます」

僧侶戦士「仲間の罰は連帯責任、自分も受けます」

武道家「・・・お前」

 
幼剣士「ぼ、僕も!」

童子騎士「俺も!」


吟遊詩人「みんな・・・・」


少佐「・・・そこまで言われて、断ったらワシの器の小ささがバレてしまうじゃないか・・・仕方ない・・・」

吟遊詩人「え・・・じゃあ!?」

少佐「武道家、僧侶戦士だったな・・・危険だと思ったらすぐに引き返せ。それが条件だ、いいか?」

吟遊詩人「お爺ちゃん・・・!」ダキッ

少佐「むおっ・・・わかったわかった・・・」


武道家「へへ」チラッ

僧侶戦士「・・・・やるじゃん」

 
少佐「・・・頼んだぞ」

童子騎士「皆・・・気をつけて・・・」


僧侶戦士「任せてください!」ビシッ

武道家「行って参ります!」ビシッ

幼剣士「行ってきます!」ビシッ

吟遊詩人「いってきます!」ビシッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【星降町付近の道中】 


・・・ザッ・・・ザッ・・・


吟遊詩人「あの・・ありがとうございました」ペコッ

武道家「いいよ気にスンナ。昨日の詫びの代わりだ」

吟遊詩人「・・・」


僧侶戦士「つか、童子騎士のやつ何言ってるか分かってなかったみたいだったぞ」

幼剣士「あぁ・・・吟遊詩人さんが、女の子だったって知らないんだ・・・」

 
吟遊詩人「それはそれでちょっとショックなんだけどな・・・」ハァ

幼剣士「まあ僕らが、吟遊詩人さんは可愛くてキレイな女の子って知ってるから大丈夫!」ヘヘ


吟遊詩人「なっ・・・」カァッ


幼剣士「どうしたの?」チラッ

吟遊詩人「な、なんでもない!」プイッ


僧侶戦士「・・間違いなく青年剣士の弟だわ」

武道家「全くだ」

 
僧侶戦士「お・・・、あそこに見えるのが星降町だぞ」

武道家「おーおー久々だ」


幼剣士「で・・・あそこの山沿いに建っているのが・・・」

吟遊詩人「"塔"・・・・!!!」


武道家「気をつけろよ。もうこの辺からは何が出ても不思議じゃない・・・ハァッ!!!」ブォッ


・・・・グシャッ!!

グール『』ピクピク


武道家「こんな風にな?」

 
幼剣士「わ・・・ゾンビ・・・?」ビクッ

僧侶戦士「この辺の地中は紛争や、今回の騒動の死体が埋まってるんだろう。それを喰ってるんだ」

吟遊詩人「・・・」ゴクッ


武道家「お前らもこうなりたくなかったら、充分気をつけることだ」


吟遊詩人「も、もちろんです!」

幼剣士「当たり前だよ!返り討ちにしてやる!」


僧侶戦士「・・・ははは・・、お!あそこが町の入り口だ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
――【星降町】 


武道家「・・・ひでぇ・・・・・・」


若い男「・・・」

軍人「・・・」

若い女「・・・」

老いた爺「・・・」


僧侶戦士「血だらけ・・・死体だらけじゃねーか・・・大丈夫か2人とも?」

 
幼剣士「・・・あの時・・みたい・・・だ」

吟遊詩人「大丈夫です・・・」


武道家「合掌・・・。本当に世界一の星の町だったのか・・・疑いたくなるな」

僧侶戦士「人が足りなすぎる上に、冒険の扉が使えないから回収もできないんだ・・・」

武道家「そして放置された死体は・・・、グールに喰われ・・・感染するわけか・・」


・・・・モゾモゾ・・

軍人(グール)『・・・ウゥ』ムクッ

若い女(グール)『・・・グッ・・』ムクッ

爺(グール)『・・・』ガバッ

若い男(グール)『・・・・ガ・・』スッ

 
武道家「すんませんが、まだ死にたくないので・・・成仏してよ!掌底波ァ!」ブワッ!!!


・・・・グシャグシャグシャア!!!

武道家「ひぃぃこの感触は嫌だぁぁ」



吟遊詩人「うっ・・・」

幼剣士「だめだ・・・僕、見てられないよ・・・」



僧侶戦士「しっかりしろって言われたばっかだろ!喰われてーのか!?」チャキッ

 
幼剣士「・・・くそっ・・」

吟遊詩人「・・・うぅ・・」


武道家「そういう覚悟で来たんじゃねーのか!相手は人だが・・人じゃねえ!そんな生半可な覚悟なら、家に帰すぞ!」

・・・ブシャァッ!!
・・・・・・・グシャァ!!!!


僧侶戦士(酷だが・・・、武道家は正論だ・・・。あいつらのトラウマにならなきゃいいが・・・帰すべきか・・・?)

 
 
幼剣士「う、うわぁぁっ!」チャキッ

吟遊詩人「・・・・ああああっ!」スッ

 
幼剣士「小斬っ!!」ブォッ!

吟遊詩人「・・・・火波動ぅっ!!!」ギュィィィン!!!


・・・ブシャッ!!!・・・ドゴォォォォン!!!


町人(グール)『・・・グ・・・』

・・・ドサッ


幼剣士「ごめんなさい・・・」

吟遊詩人「・・・ごめん」

 
武道家「はっは!上等・・・!このまま一度・・・集会場まで突っ切るぞ!」

僧侶戦士「しっかり着いてこいよ・・お前ら!」

幼剣士「・・・うん!」

吟遊詩人「・・・行きます!」



・・・・・・・タタタタッ!!
・・・ブシャッ・・・

ドサッ・・・ドゴォォン!!・・・グシャッ・・・


・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・


武道家「あった・・・あそこが集会場だろ!」

僧侶戦士「人らしいのが戦ってるな・・・おっしゃ、大丈夫かお前ら!」

幼剣士「大丈夫!」

吟遊詩人「大丈夫です!」

・・・・タッタッタッタ・・



軍人a「くっ・・・今日の相手は数が多い・・・もっと支援をよこせ!」

軍人b「限界です!」

軍人a「マナが持たない!」

 
軍人a「・・・お、おい!なんだあれは!誰か来る・・?」


・・・・タタタタタッ


武道家「大丈夫か!掌底波連弾!!」ダダダッ

幼剣士「小斬っ!!」ブォン

僧侶戦士「大火炎魔法!」ボワッ

吟遊詩人「火波動!!」ギュィィィン!!


・・・ドドドド・・・・ドゴォォン!!!


グール達『・・・グァ・・』


・・・・ドサッ・・ドサドサドサッ・・・

 
軍人a「はぁ・・・はぁ・・・、助かった・・・あんた達は一体・・・?」

僧侶戦士「援軍・・・だったらいいんだろうが、ちょっと訳ありの旅の軍人とその仲間です」

軍人b「それは少尉のエンブレム・・・、軍の少尉殿ですか?」


武道家「いかにも。中央軍所属、武道家少尉です」

僧侶戦士「同じく、軍所属の僧侶戦士少尉です」

 
軍人a「はっ・・・!自分は軍所属の一等兵です!」

軍人b「同じく、軍に所属する一等兵です。よろしくお願いします!」


僧侶戦士「本当は、休みたいところなんだが時間がないんだ・・・協力してほしいことがある」

軍人a「・・・協力ですか?」


僧侶戦士「ここから塔までは走りで20分かからないだろう?そこまでの安全なルートを教えてほしい」

軍人a「と、塔!?」

 
武道家「あぁ。ちょっと行かなければならないんだ」

僧侶戦士「この付近で滞在している君たちなら、多少の安全ルートは分かるよな?」


軍人a「一応分かりますが・・・今は、塔の付近に魔物や魔獣が多く・・・行くのは危険かと・・・」

武道家「魔物?確認されているのは何だ?」

軍人a「どこから現れたか分からないのですが・・・、この付近にはいるはずのないモノでして・・・」


武道家「だから、何が出るんだっての」


軍人a「グレンデル、キマイラ、サラマンダー、ショゴス・・・、いずれも上級と認知される厄介な奴らですよ・・」

 
僧侶戦士「ふぅむ・・・武道家、お前どれ倒せる?」

武道家「どれも戦ったことあるけど、そんな強くないぜ。サラマンダーの大火炎が厄介なくらいだ」


僧侶戦士「抵抗魔法で何とかなるか?」

武道家「お前のならダメージ通らないだろうし大丈夫だろ」


軍人a「・・・凄いですね・・お二方・・」


僧侶戦士「慣れだよ慣れ。塔の中の情報もあればありがたいんだが・・・何か知らないか?」

軍人a「あ・・それなら、先発部隊の方がこの集会所で療養してますよ」


武道家「・・・何?」


軍人a「先発部隊の中尉殿が、大怪我を負いながらも・・・ここに辿り着き、その後、ここで休んでおられます」


幼剣士「ち、中尉!?お兄ちゃん・・・・?」

僧侶戦士「まさか・・・」

武道家「い、今そいつと会えるか!?」


軍人a「・・・大丈夫だと思いますよ。前と比べて元気にもなりましたし」


・・・・ガチャッ・・


軍人b「と、噂をすれば。中尉殿、ご苦労さまです!」ビシッ


幼剣士「・・・・!」

 
中尉「・・・塔の中の話だと聞こえたが・・・何モンだてめぇら・・・」


幼剣士「違う・・・」

僧侶戦士「・・・青年剣士じゃ・・ないか・・・」

武道家「ぬか・・喜びだったな」


中尉「アァ!?人のことなんだと思ってやがる・・・お前ら少尉だろ!敬えよコラァ!」


武道家「申し訳ありません!」ビシッ

僧侶戦士「く、口が出過ぎました!」ビシッ

 
中尉「チッ・・・。んで、何しにあの塔行くんだよ」

武道家「それは・・・」

僧侶戦士「機密です!口にすることができません!」


中尉「上官命令だ!言え!」


僧侶戦士「言えません!」

中尉「・・・殺すぞ」

僧侶戦士「・・・」クッ

 
吟遊詩人「あ、あの!僕の御爺ちゃんが、軍の少佐です。それで・・・いいですか?」

中尉「何だと?」


僧侶戦士「・・・自分の口からは言えませんが、上官が絡んでいるのは確かです。それでいいですか?」

中尉「・・・っち」

武道家(・・・クソ野郎が)


僧侶戦士「協力してほしいことがあります。塔の内部と、先発部隊はどうなったか・・・教えていただけませんか?」

 
中尉「・・・」

僧侶戦士「・・・お願いします」ペコッ


中尉「・・俺は、今・・・お前らの塔の話で虫の居所がわりぃ。一発殴らせろ、それでいい」


武道家「てめっ・・・!」クワッ

僧侶戦士「やめろ!武道家!」ガシッ


中尉「アァ?教えてほしくなけりゃ別にいいぜ?勝手にいって勝手に死ねばいいだろ・・・」ハハハ

 
僧侶戦士「・・わかりました。お好きにしてください・・・」スッ

中尉「・・・お前じゃねえ」

僧侶戦士「・・?」

中尉「そっちの生意気な方だ」

武道家「・・・俺・・・ですか・・・・?」ピクピク


中尉「そうだ。殴らせろ」


僧侶戦士「いえ・・・だったら自分が2発殴られますので!」

武道家「いやいいよ・・・・俺が1発殴られりゃいいんだ・・・、わかりましたよ・・・」

 
僧侶戦士「お・・おい・・・」


幼剣士「・・・」ゴクッ

吟遊詩人「・・・」


武道家「ど・・・どうぞ・・・・?」ピクピク


中尉「・・・・オラァッ!!」ブォン!!

・・・・・・・・スッ・・ピタッ


武道家「・・・・あん?」

僧侶戦士「・・・え?」

中尉「・・・っち、本当に殴るわけねえだろ・・・、教えてやる・・・中ぁ入れ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


中尉「で、何が聞きたい」

僧侶戦士「本当にありがとうございます・・・では、塔の先発部隊はどうなったんでしょうか・・?」


中尉「俺を除いて全滅した」



幼剣士「・・・・え?」

吟遊詩人「・・・・え・・・」

僧侶戦士「・・・・は?」

武道家「・・・・何?」

ここで一旦終了です。皆さんコメントありがとうございます。
本当にモチベが上がります。ではっ(;a´ω`)

ちょっと事情があるので、もしかしたら夜中に再投稿するかもしれないので
宜しくお願いします

皆さんありがとうございます

 
中尉「聞こえなかったのか?俺を除いて全滅だよ。塔の9層目でな」


僧侶戦士「冗談です・・よね?」

中尉「冗談言うかよ。最後のテッペンの前に、デュラハンが現れやがったんだ」

武道家「デ・・デュラハン・・」


中尉「そこから最初は部隊長を筆頭にしてな、有利な戦いを繰り広げたんだ」

僧侶戦士「・・・」

中尉「だがな、アイツは自分が不利だと思った時に建物を崩しやがったんだ」

僧侶戦士「た、建物ごと?」

 
中尉「モロくなってたのもあるけどな、あの塔は純粋な魔力が打ち込まれた建物でな・・・?」

僧侶戦士「そうですね・・」


中尉「普通の瓦礫ならワケないが、部隊のほとんどがソレの下敷きになっちまった」

僧侶戦士「そ・・・そんな・・・」


中尉「そこからはアイツの有利よ。ぼんぼん攻撃してきて、阿鼻叫喚とはよく言ったもんだ」

武道家「・・・」

 
中尉「だけど、そこに2人の軍人が立ち向かったんだよ。名前は忘れたが、片方は俺と一緒の中尉だったはずだ」

 
僧侶戦士「青年剣士・・・ですか?」


中尉「そうそう!それと、もう1人は銀のアクセサリーをぶっらぶらさせてたな」

吟遊詩人「・・・!れ・・・伶人って名前・・・じゃないですか?」


中尉「そう!そんな名前・・・って、なんだお前ら知り合いか?」

吟遊詩人「・・・」


中尉「ハハーン、分かったぞ・・・」


武道家「・・・」


中尉「お前ら、中にそいつらがどうなってるか見に行くんだろう?」カッカッカ

僧侶戦士「それで・・・どうなったんですか?」


 
中尉「スゲー技ぶっぱなして、今度は逆に建物を崩しを逆手にとって、デュラハンを下敷きにして倒しちまったよ」

幼剣士「・・・!」

僧侶戦士「じゃあ、生き残ったのでは?」


中尉「いや。その下敷きに巻き込まれちまった」


吟遊詩人「・・・・!!!」

幼剣士「・・・・そん・・な・・」


武道家「う、ウソつくなよ!」ガバッ

中尉「ウソはつかねーよ!座れや!」


僧侶戦士「落ち着け・・・武道家」

 
中尉「状況が状況だったからな・・・それしかなかったんだ」


幼剣士「・・・お兄ちゃん・・・」

吟遊詩人「お父さん・・・」


中尉「たまたま生き残った俺だったが、片脚、腕は潰されたが・・何とかギリギリここまで逃げてきたんだ」


武道家「そんな・・・訳ねえだろ・・・・あいつらが死ぬわけ・・・」


僧侶戦士「・・・なあ、アイツは魔力の瓦礫に埋もれて死ぬほど・・柔な人間か?」

武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・俺は信じない。自分の目で確かめるまでは・・・な。俺らが諦めて・・・どうする?」

武道家「そう・・・だよな・・」

 
吟遊詩人「お父さん・・・」

幼剣士「・・・」


僧侶戦士「・・・・吟遊詩人。お前が落ち込んでたら、親父さんは本当に死んだことになってしまうぞ」

吟遊詩人「・・・」

僧侶戦士「俺らの目でしっかり見に行くんだ。それが今の俺たちにできることだ」


吟遊詩人「・・・はい」コクン

幼剣士「・・・うん」コクン

 
僧侶戦士「中尉殿、お話ありがとうございました」スタッ

中尉「お、おいお前ら・・・本当に塔に行くのかよ・・・、俺があいつら下敷きになったの見たっつーの!」


僧侶戦士「ですが・・・"亡骸"は見てないんですよね?」

中尉「そりゃ・・・」


僧侶戦士「なら・・・、その1%にも賭けます」


中尉「・・・っち、面倒なやつらだ・・」ハァ


武道家「さっさと行こうぜ!あいつらも俺らのこと待ちわびてるかもしれねーぜ?」ハハ

幼剣士「・・・うん」スタッ

吟遊詩人「・・行きましょう」スタッ

 
・・・・・・・ガチャッ


軍人a「お話、終わりましたか?」

僧侶戦士「あぁ・・・終わったよ」


軍人a「実は、わずかながら聞こえてしまいました・・・がんばって下さい」


僧侶戦士「あぁ・・ありがとう」

武道家「ありがとうな」

幼剣士「・・・」

 
武道家「おっしゃゴールは目の前だ!気張っていくぞ!」


僧侶戦士「張り切りすぎるなよ」ッフ

幼剣士「・・・うん」チャキッ

吟遊詩人「・・・はい」スッ
 
 

僧侶戦士「・・・出発だ」



・・・・タッタッタッタッタ・・・・


軍人a「・・皆様に、幸運があらんことを願います・・・」ビシッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
――【魔法の塔】



・・・・ゴォォォ・・・
ヒュウウゥ・・・ウゥゥ・・・・



武道家「ここか・・・」

僧侶戦士「・・・」


吟遊詩人「凄い・・・」

幼剣士「・・・」ゴクッ

 
武道家「ドアもでけえな・・・おらっ!」


・・・・ギィィィィ・・・



僧侶戦士「広いな・・・奥の階段から上に行けるみたいだな」

幼剣士「ここを・・お兄ちゃんが通っていったんだ・・」

僧侶戦士「そこら中に転がってる肉塊は、先発部隊のモンだな。切り傷が大斬の切り口だ」


武道家「あがるのだけは簡単そうだ。確か10層のはず・・・9層目にデュラハンがいたって言ってたな?」

僧侶戦士「とりあえず・・・行くか」


武道家「お前ら、何か異変に気づいたら必ず言うんだぞ」


幼剣士「うん」

吟遊詩人「はい」

 
・・・・・カツ・・・カツ・・・

・・・カツ・・・・・カツカツ・・・・・


武道家「・・・」キョロキョロ

僧侶戦士「・・・」


・・・カツ・・カツ・・

カツ・・・カツカツ・・・カツ・・・


幼剣士「・・・」

吟遊詩人「・・・」


僧侶戦士「魔獣の気配はないな。外にうじゃうじゃいるっていうのに・・・中はいないのか?」

武道家「別に変な感じもしねーし・・・、何の変哲もない塔って感じだぜ」

 
幼剣士「静か過ぎるくらい・・・でちょっと怖いかな・・」

吟遊詩人「相変わらず魔獣の死体がゴロゴロしてるけど・・・目立ったのもないね・・」

武道家「おいおい、次で8階目か。マジで何も起きないで・・9階目まで行っちまうぞ?」


・・・・ギィィィ・・・


???「・・・」ニタッ



武道家「っと・・・フロアの真ん中に・・・何かいるぜ」


???「・・・」チャキッ


僧侶戦士「・・・何もない訳じゃなかったな」

 
武道家「おっしゃ・・・全員準備しろ」スッ

僧侶戦士「・・・」チャキッ

吟遊詩人「・・・」スッ

幼剣士「・・・」チャキッ



・・・・トコトコ

???「・・・」



僧侶戦士「よく見えないが・・・、魔獣か・・魔物か・・?」ググッ


幼剣士「・・・」ググッ

 
???「・・・」ピタッ



幼剣士「・・・え?」

僧侶戦士「なに・・・・!?」

武道家「おま・・・え・・・」

吟遊詩人「・・・?」



"青年剣士"「・・・・」

 
幼剣士「お・・・お兄ちゃんっっっっ!!!!!」
 
ガランガラン!・・・タッタッタッタ・・


青年剣士「・・・」ニコッ


幼剣士「お兄ちゃん・・・お兄ちゃんっ!!」タタタタッ

・・・・ダキッ!!


幼剣士「お兄ちゃん・・・無事だったんだね・・・怪我ない?大丈夫!?」グスッグスッ

 
青年剣士「・・・」


武道家「お、おい・・・」

僧侶戦士「無事だったのか・・・」

吟遊詩人「あれが、幼剣士のお兄さん・・・」

 
青年剣士「・・・」ニタッ

・・・ドシュッ・・!!!


幼剣士「・・・えぐっ・・・・・・」ガクッ


・・・・ポタッ・・



武道家「・・・は?」

僧侶戦士「・・・おい・・」

 
青年剣士「・・・」


・・・ズリュッ・・・・・シャキン・・

・・・・ドサッ・・


幼剣士「・・・ひぐっ・・お兄ちゃ・・ん・・・?」ビクッ・・ビクッ・・



僧侶戦士「よ、幼剣士っ!」ダダダダッ

武道家「てめえ、青年剣士!何してんだコラァ!」



青年剣士「・・・大斬・・」ブォン!!!


僧侶戦士「うおっ!」キィン!!

武道家「ぐっ!」キン!!

 
僧侶戦士「・・・くっ、何なんだよ・・・一体!」

武道家「て・・め・・・・、血迷ったのかよ青年剣士!」

吟遊詩人「それより・・・幼剣士くんが!」


青年剣士「・・・」ググッ

幼剣士「・・・ごほっ・・」


武道家「やべえぞ!トドメ刺す気だ!」


吟遊詩人「・・・波動音っ!」ギュゥゥゥン・・・

青年剣士「・・・」ピタッ・・


吟遊詩人「今のうちです!」


僧侶戦士「ナイス!・・・中火炎!」ボワッ

 
・・・・・ドゴォォォン!!

青年剣士「・・・く」



武道家「よっしゃチャンスだ!」ダダダダッ

幼剣士「・・・う・・」ダラダラ・・


青年剣士「・・・大斬」ブォン!!

武道家「見切った!」

・・・・キィン!!


僧侶戦士「くっ・・・・幼剣士!回復魔法!」パァッ


幼剣士「・・・はぁ・・はぁ・・・」

吟遊詩人「血が止まった・・・良かった・・」

 
青年剣士「・・・」


武道家「・・・一体どういうことだよコレは・・」

幼剣士「お兄ちゃん・・」ハァハァ

僧侶戦士「なんでお前が・・俺らを攻撃してくるんだ!」

吟遊詩人「・・・仲間、弟クンのこと、忘れちゃったんですか!?」



青年剣士「・・・」チャキッ


武道家「聞く耳持たずかよ・・・肉体鋼鉄化!抵抗魔法!」パァッ

 
青年剣士「・・・火炎装」ボワッ!


武道家「げっ・・・それはやべぇ・・」


青年剣士「火炎斬り」ボゥッ

僧侶戦士「・・・中水流魔法!」ザバッ!!


・・・・ドォォォン!!!
・・・サァァァ・・・


吟遊詩人「相殺して・・霧が・・・・」

武道家「くっ・・・」

僧侶戦士「・・・」

 
青年剣士「・・・」


武道家「ちくしょお・・・」

僧侶戦士「・・・青年剣士!どうしたんだよ・・・しっかりしろよ!」

幼剣士「お兄ちゃん・・・」



青年剣士「・・・」ニヘラッ


 
武道家「・・・」ゾクッ

僧侶戦士「何だよ・・その笑みは・・・」

幼剣士「・・・」

 
青年剣士「は・・・ハはハハハははハ!!」ビリビリ


僧侶戦士「・・・なんだ・・?」

武道家「何かに触れておかしくなったんじゃねーのか・・・?」

僧侶戦士「つーか、俺・・・まともにアイツと戦い合って勝てる気しねーんだけど」

武道家「奇遇だな・・・俺もだ」


幼剣士「・・・」


青年剣士「・・・」ニタッ

一旦ここまでです。少し遅くなりましたが、ありがとうございました。

皆さんありがとうございます

 
僧侶戦士「どうすりゃいいんだよ・・・」

吟遊詩人「ほ、本当にアレは青年剣士さんなんですか?」

武道家「・・・紛れもねえよ」

吟遊詩人「何か・・特徴とか、ないんでしょうか!?」

武道家「・・・特徴っていってもよ・・」


僧侶戦士「・・・待て。アイツ・・、いつも着けてるネックレスと指輪はどうした・・・?」


幼剣士「あ・・・着けてない・・?」

僧侶戦士「もしかしてこりゃ・・・」

武道家「何かわかったのか!?」

 
僧侶戦士「・・・・光波動ォ!!」ピカッ


・・・パァァァ!!

青年剣士「・・・ぐ!やめ・・」



僧侶戦士「ち・・・やっぱりか・・・・」パァァッ


幼剣士「く、苦しんでる?」

吟遊詩人「・・・あれは"ドッペルゲンガー"だね」


幼剣士「どっぺる・・げんがー?」

吟遊詩人「・・魔物。それ自体の力は弱いけど、姿や力を写し取るっていう厄介な魔物だよ・・」

 
幼剣士「何で・・・それがお兄ちゃんに・・・?」

吟遊詩人「あれはね・・心の中で最も人が人に対して、強い想いを抱く人間に化けるんだ」

幼剣士「・・・?」

吟遊詩人「簡単に言えば・・僧侶戦士さん、武道家さん、幼剣士くんの3人が想ってる青年剣士さんに化けたってことだよ」

幼剣士「そ・・・そうなんだ・・・」



僧侶戦士「く・・・・」ビリビリ

・・・・パァァァ・・

青年剣士『ヴァァァァ・・・ア・・・アアアァァァ!!ヤメロ・・・・!』


僧侶戦士「人の気持ち踏み躙りやがって・・・・、消えうせろ!」カァァッ!!!


・・・パァァァァ!!!・・・・

ドッペルゲンガー『ァ・・・・』ドロッ


・・・ドロッ・・・・・・・・ドロドロ・・・
ドロッ・・・・・・・・トプンッ・・

 
幼剣士「真っ黒になって・・・溶けた?」


僧侶戦士「・・・はぁっ・・・はぁはぁ・・・」ガクッ


幼剣士「僧侶戦士さん!?」

僧侶戦士「魔力を放出しすぎた・・・、大丈夫だ・・・マナポーションを飲めば治まる・・」グビッ


武道家「・・・ドッペルゲンガー、死んだのか?」


僧侶戦士「いや・・・ドッペルゲンガーは心を映し出す鏡だ・・・。いなくなりはしないさ・・」

武道家「・・・」


僧侶戦士「俺もお前も・・・幼剣士も、心の奥底では青年剣士と"本気で戦いたい"って心が見透かされたんだろう・・」

武道家「なるほど・・・」


幼剣士「僕が刺されたのも・・ちょっとした自業自得なのかな・・・」

 
僧侶戦士「そういうことじゃねえよ。あ、そうそう・・・お前、キズ痕は後で消してやるからな?」

幼剣士「え?」

僧侶戦士「子供のうちからそんな大きな切り傷、刺し傷があったら・・・かわいそうだろ?」

幼剣士「あ・・・ううん、消さなくていい・・」

僧侶戦士「ん?」


幼剣士「お兄ちゃんも、凄い傷が多くて・・・、それが自分の歴史だ、思い出だって言ってた」

吟遊詩人「思い出・・・か」

幼剣士「自分はそれくらいでしか語れないって・・・。だから、僕もこのまま傷を残したい!」

 
武道家「ハハ、男だな!」

幼剣士「えへへ・・」

僧侶戦士「ったく・・・変な所まで青年剣士と本当に似てるよ・・お前は・・・」ハハ 

吟遊詩人「あはは・・」

 
 
武道家「おっしゃ・・・!僧侶戦士、少しは休めたか?」

僧侶戦士「・・・鬼畜だなおい。ま、行こうか」ヨイショ


幼剣士「え、無理しちゃだめだよ・・・?」


僧侶戦士「大丈夫さ、俺らはこういうの日常茶飯事だからな。息を整えるのは慣れてるんだ」

 
幼剣士「僕もそのくらい強くなりたいなぁ・・」

武道家「人の心配より自分の心配だぞ」


僧侶戦士「・・・次はいよいよ問題の9層目だ。お前ら・・・いいんだな?」

幼剣士「・・・」コクン

吟遊詩人「どんな結末でも・・・受け入れます」コクン


武道家「よし・・・行くぞ・・・・」



・・・・・ギィィィィ・・・
カツ・・・カツ・・・カツ・・・カツ・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・


ギィィィ・・・・


僧侶戦士「さて9層目のドアを開き・・・・・・うっ・・・」


武道家「っ・・・・!」

僧侶戦士「こいつは・・・酷い・・・」


幼剣士「軍人さんたち・・・みんな・・・倒れてる・・・」

吟遊詩人「・・・」

 
武道家「・・・先発部隊って言っても、一応軍のエース達なんだぜ・・・」

僧侶戦士「部隊長は中佐だったはずだよな・・・。それもこんな簡単に・・・」

幼剣士「・・・お兄ちゃんと、吟遊詩人さんのお父さんは・・・?」

吟遊詩人「・・・」


武道家「そうだったな・・・中尉の話だと、壁だか建物崩壊させたって・・・あそこか」

僧侶戦士「見事に崩れてやがる・・・あの黒いのががデュラハンだな」


幼剣士「・・・ってことは・・・」

吟遊詩人「あそこに・・・お父さんが・・・いる・・・?」

 
幼剣士「・・・」ゴクッ

吟遊詩人「・・・」ブルッ


武道家「・・・俺らが、見てくるか?」

僧侶戦士「そこで待ってても・・・いいぞ」


吟遊詩人「・・・行きます・・。その為に・・・ココまで来たんですから・・・」ハァハァ

幼剣士「・・・僕も」


武道家「・・・わかった。着いて来い」

 
・・・タッ・・・タッ・・・・タッ・・・


武道家「・・・見事にデュラハンも息絶えてるな」

僧侶戦士「このでっけー瓦礫を、ひっくり返せばいいんだよな?」

武道家「あぁ・・・」


僧侶戦士「・・・正直、怖い」

武道家「当たり前だろ・・・俺も同じだ」


幼剣士「・・・」ガクガク

吟遊詩人「・・・」ハァ・・ハァ・・・

 
武道家「やるぞ・・・・そっち持て・・・準備いいか?」

僧侶戦士「・・・ちょっと待ってくれ・・・・・・、手に・・力が入らない・・・」ブルブル


武道家「・・・・」


僧侶戦士「俺の・・・足元にな・・・血だまりが・・、流れてきてる跡があるんだ・・・」ゴホッ

武道家「・・・気づいてた。俺の足元もだからな・・・。それに、乾ききっていない・・・」


・・・ドロッ・・


僧侶戦士「幼剣士、吟遊詩人・・・偉いように言ってきたが・・・、俺もこうなっちまうとは・・・すまん・・」ブルブル

 
幼剣士「・・・・」ガシッ


僧侶戦士「お前・・・手伝ってくれるのか?」

 
吟遊詩人「・・・」ガシッ

武道家「お前ら・・・・」



幼剣士「最後まで来て・・・逃げてたら・・・・・、お兄ちゃんも・・・悲しむよね・・・」

吟遊詩人「うん・・・そうだよね。手伝わせてください・・・」


僧侶戦士「よっしゃ・・・ありがとうよ・・・持ち上げるぞ・・」

武道家「・・・」

 
全員「イチ・・・ニの・・・・サンッ!!」


・・・・ガラガラッ!!!
・・・ドシャァン・・・・・モクモク・・・


僧侶戦士「ごほっ・・・土煙が・・・」


武道家「・・・うっぷ・・」

幼剣士「・・見えないや・・・ごほっ・・」

吟遊詩人「ごほっごほっ・・・」

 
僧侶戦士「小風刃魔法!」

ビュウゥゥ・・・フワァ・・・


僧侶戦士「よし、これで見え・・・・たが・・・・」


武道家「おい・・・」
 
幼剣士「そ、そんな・・・」

吟遊詩人「・・・」

僧侶戦士「・・・・!」

終了です。明日には今回のは最後の更新になると思いますので、
よろしくお願いします。ありがとうございました。

 
僧侶戦士「残ってるのは血だけ・・・。遺体も・・・デュラハンのしかない・・・」

幼剣士「ってことは・・」

僧侶戦士「アイツは・・・生きてる。いや、生きてた・・のかもしれない。いずれにせよ・・・」


吟遊詩人「この・・・上のフロア、最上階・・・・・になりますよね・・」


武道家「今までで一番緊張した瞬間が・・・また変わるのかよ・・・勘弁してくれ・・」

僧侶戦士「・・・行くか?」

武道家「当たり前だろ・・・」

 
・・・・・カツ・・・カツ・・
カツカツカツ・・カツ・・・・・・ピタッ


武道家「さて・・・最後のドアの訳だが・・」

僧侶戦士「・・・あぁいいぞ」

幼剣士「開けて・・」

吟遊詩人「お願いします」


武道家「ちくしょうが・・・おらぁっ!」


・・・ギィィィィ・・・・・

 
僧侶戦士「・・・・なんじゃこりゃ」

幼剣士「魔石・・・・・大きい・・・」

吟遊詩人「フロア全体を覆う・・大きな魔石、こんなの初めて見た・・・」


武道家「これが話に聞いてた吸収する魔石か・・・って、それより青年剣士は!?」


・・・タタタタタッ


僧侶戦士「人の気配、魔獣の気配すらない・・・」

武道家「今までよりは狭い部屋なんだぞ?あいつら消えちまったっていうのか?」

僧侶戦士「・・・」


幼剣士「・・・・あ・・、あぁぁ!」

 
武道家「ど、どうした!?」


幼剣士「あぁぁ・・・・、ま・・・」ブルッ

僧侶戦士「どうした?落ち着け・・・・」

幼剣士「あ・・・あれ・・・あれっ!魔石の・・・」


武道家「ん・・・?」

吟遊詩人「あれ?」

僧侶戦士「・・・・?」

 
青年剣士「・・・」

伶人「・・・」



僧侶戦士「ま・・・魔石の中に・・・・・」

武道家「何だ・・・あれは・・・」


吟遊詩人「お、お父さん!お父さん・・・お父さん、お父さんっ!!」

幼剣士「お兄ちゃん!!!」

僧侶戦士「魔石の中に・・・・・、2人が・・・・・取り込まれている?」


青年剣士「・・・」

伶人「・・・」

 
武道家「おい!青年剣士!どういうことだこれは・・・返事しろ!」

僧侶戦士「聞こえてるのか!」

幼剣士「お兄ちゃん!!」

吟遊詩人「お父さんっ!!!」


青年剣士「・・・」

伶人「・・・」


武道家「くっ・・・どけお前ら!僧侶戦士、俺に増大魔法かけてくれ!」

僧侶戦士「・・・攻撃増大魔法!」ピカッ

 
武道家「掌底波ァァァ!!!」ブォッ!!!

・・・・キィン!!!


僧侶戦士「・・・大斬っ!!」ビュンッ!!

・・・・キィン!!


武道家「ってぇ・・・何て硬さだ・・・傷一つ・・付かねぇ」

僧侶戦士「・・・・何なんだよ・・・」



青年剣士「・・・音・・?」


幼剣士「!!!」

 
僧侶戦士「せ、青年剣士!!」 


青年剣士「あぁ・・・俺・・眠ってたのか・・・」


武道家「き、聞こえるのか!?青年剣士!?」


青年剣士「・・・、武道家?その声は武道家か?」

幼剣士「お兄ちゃん!!」

青年剣士「幼剣士・・・?どこだ?どこにいる?」


幼剣士「・・・ここだよ!目の前っっ!!!!」

  
青年剣士「すまない・・・何も見えない・・・」

武道家「な、なんでこんな事になってるんだよ!」

青年剣士「こんな事・・・?俺は今どうなってるんだ?」

武道家「巨大な魔石の中に取り込まれてるんだよ!」


青年剣士「・・・・、思い出した・・・そうだったね・・」

幼剣士「なんで・・・こんなことに!?」


青年剣士「扉・・・」

僧侶戦士「・・・扉?」

 
青年剣士「俺らが・・ココに辿りついた時、魔界との扉、亀裂が開く寸前だったんだ・・・」

僧侶戦士「何だと・・・」

青年剣士「この魔石は暴走の為なんかじゃない・・・、魔界との扉だった・・」


武道家「それで・・・どうしたんだ」


青年剣士「俺と、伶人さんは・・・自らを犠牲にして、魔石の魔力と相殺させたんだ・・・」

幼剣士「そんな・・」


青年剣士「その後、魔力枯渇で急な眠気に襲われて・・・気づいたら・・・この有様みたいだね・・・」

 
武道家「助けだす手立てはないのか!?」


青年剣士「・・・俺らが魔力の相殺をやめれば、この世は魔界と繋がってしまう・・・」

吟遊詩人「・・・ここまで来て・・」ヒグッ


青年剣士「・・・その声、あの時の大会の吟遊詩人の女の子かな・・・?」


吟遊詩人「え・・・は、はい!」


青年剣士「君までココに・・・、そうか、伶人さんの娘さん・・・だったって聞いたよ」


吟遊詩人「・・・はい・・」

 
青年剣士「・・・お父さんも助けられず・・こんな結果にしてしまった・・・、ごめんよ」

吟遊詩人「いえ・・・お父さんと、青年剣士さんは・・・、私たちを守ってくれました・・・」


青年剣士「・・・」ニコッ


僧侶戦士「どうすりゃいいんだよ・・・」


青年剣士「・・・・、だめだ・・・そろそ・・・ろ・・別れの時かも・・・しれ・・な・・・」

武道家「どうした!?」

青年剣士「意識が・・保てない・・・・・・、魔・・石に・・飲みこ・・・る・・・」


幼剣士「お兄ちゃんしっかりして!だめだよ!だめ!!」

青年剣士「・・・・幼・・・士・・」

  
青年剣士「・・・」ニコッ

幼剣士「僕を強くしてくれるって・・・約束忘れないでよ!何で!!目覚ましてよぉぉぉ!」


青年剣士「・・・」


武道家「・・・」

僧侶戦士「・・・冗談じゃないぞ。これで全部終わりか・・・・」

吟遊詩人「・・・」グスッ・・

幼剣士「・・・」

 
僧侶戦士「・・・動く気力もない・・」


幼剣士「だめだよ・・・諦めたら・・・・・・、うわぁぁっ!」チャキッ


・・・・キィン!!!
・・キィン!!

・・・キィンキィン!!・・・キィン!!!

キィン!!・・キィンキィン!!!!


幼剣士「はぁ・・・はぁ・・・・必ず・・・助けるから・・・・・!」


吟遊詩人「幼剣士くん・・・・」

武道家「幼剣士・・・、アイツはもう・・・」

 
・・・・ビキッ・・
ビキビキッ・・


僧侶戦士「何の・・・音だ・・・・?」

武道家「何かが割れてる音・・・か?・・魔石ってわけじゃなさそうだ・・・が」



・・・・ビキビキビキ・・・


・・・・バリィィン!!!
・・・ギュゥゥゥゥゥン!!!!!


幼剣士「何これ・・・・空中に・・・渦が巻いてる?」

僧侶戦士「なっ・・・近づくな!それは冒険の扉だ!」

武道家「何で急に・・・まさか魔界の亀裂が開いたのか!?」

 
・・・ゴゴゴゴゴ・・!!


僧侶戦士「な、何か通ってくる・・」チャキッ

武道家「変なの出てこなきゃいいんだが・・・・」スッ

吟遊詩人「・・・」

幼剣士「・・・」



・・・・ギュゥゥゥゥン!!!・・・ドサッ!!


???「痛いっ!もう・・・やっぱ慣れないなぁ・・・」


武道家「お・・・お前・・・」

僧侶戦士「なん・・・で、どうしてここに!」

 
幼剣士「・・・誰?」

僧侶戦士「・・・赤髪少女。前言ってた、お前の姉さんだよ・・」


赤髪少女「お姉さんって・・・、その子私の弟・・・?」


僧侶戦士「そ、そうだけどよ・・・・、それよりなんで・・・」


赤髪少女「可愛いっ!名前は何ていうの?」

幼剣士「その・・幼剣士・・・」アセアセ

赤髪少女「そっかぁ、宜しくねっ!」

幼剣士「う、うん・・・」


僧侶戦士「だから、説明しろっての!お前どっから現れた!つーかその冒険の扉なんだ!」

 
赤髪少女「これは魔界の亀裂。昔、みんなで通ったやつと一緒のね」

武道家「で、どうした」


赤髪少女「魔王が残した塔のせいで、また魔界との亀裂が入っちゃって・・・」

僧侶戦士「めちゃくちゃな迷惑だ。こっちじゃ戦争状態だぞ」

赤髪少女「またそれを巡ってこっちで戦争起きて・・・、ようやく収拾がついて・・・」


武道家「・・・」


赤髪少女「完全に閉じる前、お兄ちゃんの魔力を渦の前から感じとってね・・」

幼剣士「お兄ちゃんの・・」

赤髪少女「それがドンドン薄くなってって、助けに行かないと・・って思ったんだけど・・」

 
僧侶戦士「扉が完全に閉じてしまった、と」

赤髪少女「うん。本当にわずかな亀裂しかなくなって、もうダメだって思った時・・・・。
       大声と、魔石を叩く音が鳴り響いて、それが共鳴してまた少し亀裂が広がったの」


幼剣士「・・・!」

赤髪少女「それをちょっと無理やり広げて・・・ココにきたって・・こと」


僧侶戦士「お前の叫びが届いたんだよ・・・幼剣士」

幼剣士「じゃ・・・助かるの・・・お兄ちゃん・・・?」


 
赤髪少女「・・・・見事に魔石に取り込まれてるけど・・・」

幼剣士「・・・」

赤髪少女「この魔石はね、元々魔界にあるもので・・・こっちの世界にはない物質なの」

僧侶戦士「なるほどな・・・、だからキズ一つ付かなかったわけか」


赤髪少女「だからね・・・、私が・・・・竜波動っ!」ブワッ!!


幼剣士「え・・・竜?」

赤髪少女「へへ、私、竜族なんだよ?」グググッ


幼剣士「えぇっ!」

吟遊詩人「り・・・竜族って・・・」

 
僧侶戦士「それはまぁ気にするな・・・・」

赤髪少女「・・・・」ググッ 
 

・・・ビキッ・・


武道家「・・・魔石にヒビが!」


赤髪少女「これ・・は・・・私でもちょっとキツイかな・・・」ビリビリ・・

幼剣士「頑張って・・・お、お姉ちゃんっ!」

赤髪少女「お姉ちゃんか・・・嬉しいな・・・頑張るよ!」グググッ・・・



・・・ビキビキッ・・・・・・ビキッ・・・


・・・・・・・・バキャアアアンッ!!!!・・・サラサラ・・・・

 
・・・ドサドサッ 


青年剣士「・・・」

伶人「・・・」


幼剣士「割れた・・・・!お兄ちゃん!」タタタタッ

吟遊詩人「お父さん!!」タタタタッ


赤髪少女「・・・」ガクッ・・・ハァハァ・・・


武道家「大丈夫か!?」

赤髪少女「うん・・大丈夫・・・」

 
武道家「・・・ってか、ここの魔石壊していいのか・・・?」

赤髪少女「まだ亀裂は開いてるし、向こう側からまた封印するから大丈夫・・・うん」

武道家「そか・・・」


僧侶戦士「おい、青年剣士!しっかりしろ!」


青年剣士「・・・う・・」

伶人「・・・ごほっ・・」


吟遊詩人「い・・・生きてる・・・お父さんっ!!!」

 
赤髪少女「良かった・・・」


青年剣士「・・・」ハッ


赤髪少女「えへへ、お兄ちゃん久しぶり」

青年剣士「・・・あ、赤髪少女・・・?どう・・・して・・ここに・・・?」


武道家「・・・元気そうで何よりだ」

幼剣士「・・・お兄ちゃん」グスッ

僧侶戦士「・・・ふ」


伶人「・・・、ココは・・・・?確か、魔法封印をしたはずじゃ・・・・」

 
吟遊詩人「・・・お父さん、お父さん!」ダキッ


伶人「うおっとと・・・、吟遊詩人・・・・どうしてここに・・・・」


青年剣士「・・・みんなのお陰で助かったようですよ」

伶人「青年剣士くん・・・、みんなのお陰・・・?」

 
武道家「どもっす」

僧侶戦士「無事で何よりです」

幼剣士「へへ」

吟遊詩人「・・・」ニコッ

赤髪少女「・・・えへへ」

 
伶人「そうか・・・君たちが・・・・」

青年剣士「お礼、しなくちゃいけませんね・・・」

伶人「そうだな・・・。そういや、魔界の亀裂はどうなったんだ?」

青年剣士「俺の妹が抑えてくれました」

伶人「亀裂を抑える・・・とは、どうやったんだ・・・?」


赤髪少女「へへん、それはね私が・・・・」モガモガ


僧侶戦士「ああ、いえ!この娘は博学で、魔力と動力を応用した技術を生かしたんですよ!」

 
赤髪少女「何するのー!」

僧侶戦士「ば、バカ!お前が竜族だとか・・ほいほい言うと、立場が色々やばいんだよ!」ボソボソ

赤髪少女「・・・うー、それじゃ仕方ない・・」ボソボソ


伶人「そうだったのか・・・感謝するよ赤髪少女ちゃん」


赤髪少女「うん!」


青年剣士「さて・・・と。魔石も破壊したし、これで暴走もじき収まるだろうね」

 
僧侶戦士「今回の一件は、報告できる部分で全部報告しないといけないな・・・」

武道家「そうだな・・・」


・・・カタッ・・


青年剣士「それじゃ・・・帰ろうか・・」

幼剣士「また、修行一緒にできる?」

青年剣士「ああ、できるよ」ニコッ

幼剣士「えへへ・・・」


・・・カタカタッ・・・

 
武道家「・・・?」


カタカタカタ・・・カタカタ・・・・・・・・・


僧侶戦士「ん?地震か・・・?」


ガタガタガタガタ!!!!


青年剣士「な、なんだ!?」

赤髪少女「・・・これは魔力による微振動・・・、いけない!魔石から離れて!!!」

 
武道家「なんだ!?どうなる!?」

赤髪少女「魔石を壊したから、急激な魔力の放出が始まった!何が起きるかわからない!」

僧侶戦士「まだこれで終わりじゃないってか・・・・!」
 
 
 
・・・・ガタガタガタガタ・・・バリッ・・・・バリバリ・・・!!
・・スゥゥゥゥ・・・・・


武道家「な、なんか・・・空気が・・・吸い込まれてないか・・・?」

青年剣士「・・・」


・・・・スゥゥゥゥゥ・・・・

 
赤髪少女「・・・・魔力の暴走による亀裂・・!みんな、何かに掴まって!!吸い込まれる!!」


・・・・ビュウウウウウウ!!!!!


武道家「・・・・ぐっ!」ガシッ

青年剣士「・・・幼剣士!手を!」ガシッ

幼剣士「・・・!」ガシッ

吟遊詩人「・・・!」

伶人「・・・くっ」

僧侶戦士「・・・・・うおおっ!」

 
・・・・・・ビュオオオオオオッ!!!
・・・ギュゥゥゥン!!!


青年剣士「この感じ・・・冒険の扉か!?」

赤髪少女「どこに飛ばされるか分からない・・・!絶対に放しちゃダメだよ!」


吟遊詩人「・・・・ち・・力が・・・」ズルズル


幼剣士「吟遊詩人さん!」

伶人「俺の腕につかまれ!」スッ


吟遊詩人「ダメ・・・届かない・・・・・!」


伶人「ぎ・・・吟遊詩人!!」

 
青年剣士「・・・みんな・・、弟と、妹・・・・幼馴染のこと・・・頼んだよ」


武道家「な・・・」

僧侶戦士「お前、まさか!」


青年剣士「武道家、幼剣士を支えてくれ!」スッ

武道家「・・・おい!」ガシッ

幼剣士「・・・お兄ちゃん・・・ダメだよ・・・ダメ・・・・」


青年剣士「・・・」ニコッ


・・・・・パッ・・・

 
・・・・ゴォォォォ!!!
 

幼剣士「お兄ちゃぁぁぁん!!」


青年剣士「吟遊詩人・・・・それっ!」

・・・ドンッ!!


吟遊詩人「きゃあっ!」フワッ

伶人「つ、つかんだ!」ギュッ


青年剣士「良かった・・・」


・・・ゴォォォォ!!!!
・・・・・ギュゥゥゥゥン!!!!

青年剣士「み・・・な・・げん・・で・・・」

「・・た・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・」

 
武道家「青年剣士ぃぃ!」

赤髪少女「お、お兄ちゃん・・・!!!」

幼剣士「・・・・」

僧侶戦士「・・・・青年剣士・・ダメだ・・・」



・・・・スゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・チャリンッ・・


伶人「吸引が・・収まった」ハァ・・ハァ・・・


武道家「・・・なんだよこれ・・」

僧侶戦士「夢・・・だろ?」

 
赤髪少女「・・・」ヘナッ

幼剣士「・・・」


武道家「お、おい赤髪少女、あの暴走の渦はどこに繋がってるんだ!?」

赤髪少女「わからない・・・よ・・・」

武道家「魔界とかじゃねーのか!?」

赤髪少女「魔界とは違う・・・、まったく違う感じだった・・・・。普通の扉とも違う・・・どう言えばいいか・・」


僧侶戦士「どうしたらいいんだ・・・よ・・」


吟遊詩人「・・・みんな・・私のせいで・・・」

伶人「・・・」

 
武道家「お前のせいじゃない。気にするな・・・」

吟遊詩人「でも・・・・でも・・・・!!!!」


僧侶戦士「俺らは・・・こういう事になるかもしれないっていうのはいつでも思って戦っている」

武道家「そうだな・・・、きっとアイツの事だ。どこか、世界の片隅に放り投げられて笑ってるかもしれないしな」ハハ

僧侶戦士「あぁそうだな。一度戻って、捜索隊にお願いしに行こう」ハハハ


幼剣士「・・・笑ってる・・・・・おかしいよ!お兄ちゃんが・・・あんなことになったのに・・・笑ってるなんて!」

 
僧侶戦士「・・・笑ってるように見えるか?」

武道家「俺らだって・・哀しいんだ・・・」


幼剣士「泣い・・・てる・・・?」


吟遊詩人「・・・」


僧侶戦士「伶人さん、すいません。一度先に星降村で休んでてくれませんか?」

武道家「俺たちはやる事あるんで・・・、お願いします」


伶人「・・・わかった。行こう、吟遊詩人」

吟遊詩人「・・・うん。肩、使って」

伶人「ありがとう・・・」


・・・・ザッ・・・ザッ・・・・・ギィィ・・・・

 
武道家「・・・赤髪少女、お前は一度帰っておけ。こっちの亀裂も閉じかかってる」

赤髪少女「・・・」ヒグッ

幼剣士「お姉ちゃん・・・」


赤髪少女「・・・わかった。また、何かあったら・・・」

僧侶戦士「あぁ・・・。こっちはこっちで探しておく。お前らのほうにいたら、そっちで預かっててくれ・・・」

赤髪少女「・・・うん・・」


幼剣士「バイバイ、お姉ちゃん・・・・・・・また、会える?」

赤髪少女「・・・もちろん。君は大事な弟だもん」ギュッ

幼剣士「うん・・・」

 
赤髪少女「またね・・・・」


・・・・・・ギュゥゥゥゥン・・・

・・・・・スゥゥ・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


僧侶戦士「こっちも閉じたか・・・・」

幼剣士「これから、どうするの?」

武道家「あいつは最後まで笑顔で、人の為に尽くした。それなのに、俺らが悲しんでたらあいつが笑えないよな」

僧侶戦士「そうだな・・・」

 
武道家「一度俺らも戻って、救援隊、捜索隊に話をつける。暴走は収まっただろうし、今回のことを軍に報告する」

僧侶戦士「・・・青年剣士の最期を、あいつらに伝えるのか・・・?」


幼剣士「幼馴染さんと、乙女僧侶さん・・・?」


武道家「・・・・辛いな」

僧侶戦士「・・・・・俺は乙女僧侶に伝えよう。お前は幼馴染に頼む」

武道家「分かった。学校時代の友達、先生、教官たちにも伝えないとな・・・・・」

僧侶戦士「・・・・」

 
武道家「・・・・戻るか・・」

僧侶戦士「あぁ・・・」

幼剣士「うん」


武道家「幼剣士、疲れたろ。背負ってやるよ」


幼剣士「ううん、自分の足で歩く」

武道家「そうか・・・はは」ワシャワシャ

幼剣士「うにゅ・・・」

 
武道家「っと・・・青年剣士のやつ、ネックレス落としていきやがった」チャリッ

僧侶戦士「形見の・・つもりだったのか?」


武道家「幼剣士、ほら・・・お前が持っておけ」チャリッ

幼剣士「僕でいいの・・?」

武道家「あぁ・・・。大事にしろよ」

幼剣士「うん・・・」


僧侶戦士「じゃ、帰るか」

武道家「そうだな・・・」


カツ・・・カツ・・・・・カツ・・・・

・・・・・・ギィィィ・・・・
バタン・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
・・・・・・・シーン・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・スゥッ・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・スゥゥゥゥ・・・バリッ・・・・・・バリバリッ・・・・・!!


・・・・・・・ギュゥゥゥゥン!!!!・・・・・・・・・


・・・・・・ドサッ・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【1週間後・大聖堂】


僧侶戦士「・・・っていう訳だ・・」


乙女僧侶「・・・・」ヒグッ・・

戦士先生「・・・・」


めがね魔道「師匠が・・・」ウルッ

童子騎士「・・・」

僧侶戦士「・・・」



乙女僧侶「・・・・青年剣士さぁん・・・」ヒグッ・・グスッ・・・

戦士先生「・・・本当に立派で誇れる生徒だよ・・」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【軍部・魔法研究所】


武道家「・・・・すまなかった・・」


幼馴染「アイツが・・・」

・・・パリンッ!!


武道家「おいおい・・・ケガするぜ・・・・」

・・ポタッ


幼馴染「ひぐっ・・・、青年剣士ィ・・・・・」

・・・ポタポタッ・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――【1ヶ月後・中央国】


ザヷ・・・ザワザワ・・・
コンカイノコトノハナシラシイ・・・・・


元帥「今回の・・・暴走騒動は、鎮火しつつある!」


・・・ウォォォ!!


元帥「そして、この暴走事件を抑える鍵となった、数名の勇敢なる戦士たちがいる!」


・・・・ウォォォォォ!!!!


元帥「壇上に、上りたまえ!」

 
僧侶戦士「・・・」

武道家「・・・」

吟遊詩人「・・・」

幼剣士「・・・」

伶人「・・・」

童子騎士「・・・」


元帥「この7人は、塔の頂上にあった暴走の原因となる魔石を破壊し、世界に平和をもたらした!」

・・・・・・ウォォォォォォ!!!
カッコイイ!!!スゴイ!!!!

デモ、7ニンジャナクネ・・・?6ニンシカイナイゾ・・・

 
元帥「子供たちには大陸名誉賞を・・・・、軍に所属する4人には加えて特別な賞与を与える!」


幼剣士「・・・」


元帥「僧侶戦士、武道家、伶人は二階級特進を与える!」


僧侶戦士「いきなり、俺らが大尉かよ・・・はは」

武道家「あいつを抜いちまったな」

 
元帥「そして、最後の1人・・・青年剣士!ここにはいない彼は、自らの命を張って、世界を救った勇者である!」


・・・ザワ・・
セカイヲスクッタッテイウ・・・ケンシカ・・・


元帥「彼には、三階級特進と・・・・、名誉称号である・・・・"英雄剣士"の称号を授与する!」


・・・・・ウワァァァ!!!!!!
・・・・ウオォォォォォォォ!!!!


僧侶戦士「・・・・!」

武道家「・・元帥殿・・・・・」


元帥「世界を救った最高の剣士だ。30年ぶりとなる英雄称号の授与なんて・・・二度とないと思っていたがね」フフ

 
武道家「おい・・結局、俺らは永遠にあいつに追いつけなくなったってことじゃねーか」

僧侶戦士「一瞬だけの追い越しだったな」


武道家「っちぇ、やっぱアイツはスゲーやつだな」

僧侶戦士「はは、俺らも英雄になればいいんだろ?」

武道家「そうか・・・そうだな」ハハ



幼剣士「お兄ちゃんが・・・英雄剣士に・・・」



幼馴染「青年剣士・・・見てる?あなた・・・英雄剣士になったんだって・・・」

乙女僧侶「・・・」グスッ

童子騎士「俺の師匠は・・・英雄剣士・・・」

めがね魔道「僕の師匠だってだよ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
―――【3日後】


捜索隊「それでは、出発しますが・・・準備はよろしいですか?大尉殿」


武道家「いつでもいいぜ」

僧侶戦士「あぁ・・・、じゃ行ってくるよ」



幼剣士「気をつけてね・・・・」

幼馴染「2人まで行方不明にならないでね?」

乙女僧侶「そうです・・・気をつけて行ってきて下さい」

 
武道家「それじゃ・・・青年剣士捜索隊、1番部隊、行ってくるぜ」

僧侶戦士「同じく2番部隊、出発だ」



幼剣士「・・・・行ってらっしゃい」



・・・・ザッザッザッザ・・・
・・ザッザ・・・

・・・・・・・・・・・・

 
幼馴染「あーあ、アイツらも行っちゃったわね」ハァ

乙女僧侶「ですねえ」

幼剣士「・・・」


幼馴染「それで・・・あなたが幼剣士くん、青年剣士の弟クンね?」


幼剣士「あ・・うん」


幼馴染「もしかしたら・・・君・・・叔父さんになっちゃうかもよ」アハハ

 
乙女僧侶「そ、それって・・・・・・・・まさか・・・」


幼馴染「んふふー・・・♪」

乙女僧侶「き、聞いてないですよう!いつの間にですか!!!」

幼馴染「秘密ー♪」


・・・キャー!キャー!!


幼剣士「あはは・・・・・」

 

・・・・・サァァッ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・チュン・・・チュンチュン・・・

 
・・・・空が・・・・・蒼い・・・・



幼剣士「・・・・きっと、どこかでお兄ちゃんは生きてる・・・」



・・・この空の下のどこかで・・・きっと貴方は笑ってる・・・・・・



幼剣士「・・・・だから、僕は・・・・」



・・・・・・・いつか、また・・・貴方と笑いあいたい・・・



幼剣士「・・もし・・見つからなくても・・僕は世界に出ます・・貴方を探して」



・・・・そう・・・・僕は・・・・信じてる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから・・・・・

 
 
 
 
幼剣士「待っていて下さい・・僕が・・必ず・・!」

 
【to be continued】

 
ここまで読んでくれた方、有難うございました。
今までよりも長めで、ちょっと面倒で長い件などでダラダラしてしまいましたが・・・
これで新シリーズの最初の作品は〆で、第二作目は既に考案してますがまだ形にしていません。

多少、次回に繋がるものも含めて回収していない部分も多くあります。

もし、今回のが少しでも面白いと思ってくれたなら、もう少しだけ・・・このシリーズにお付き合い頂ければ嬉しいです。
次の目処が立ち次第、こちらにurlを貼らせていただきます。

ありがとうございました(a´ω`)

 
p.sこの後、ちょっとした読み物(暇つぶし程度で勉強できるファンタジーの世界・他)を書き溜めたのを貼っておきます

乙!!


次回作も期待してる

 
【ファンタジー辞典】
実際に、色々なゲームで使われたり歴史の中で登場しているモンスターを使っています。
それをちょっとした感じでご案内。実際の伝承に伝わっているものをわかり易くしているので楽しめると思います。
過去に登場させたものもあるので、よければ読んでいってください。


■アウルベア(魔獣)
フクロウのような頭を持ち、熊のような姿をした魔獣。何かしらで見たことがあるのではないでしょうか。
通常のクマよりも凶暴で、作品によっては魔術によって生み出されたモンスターともされています。


■アラクネ(魔獣)
本作品では上位クラスの魔物として登場させました。
実際は魔獣で、ギリシャ神話に登場します。少女が蜘蛛にされてしまい、人間だった頃は織物が得意でした。
そのため、蜘蛛になった後は多様な蜘蛛の糸を使ったりしました。


■ドッペルゲンガー(魔物)
実際は、アンデッド族の仲間です。
生き写しの存在、またはその人物に変身する魔物といわれています。実はドイツに古くから伝わる伝承に出てくる魔物です。

 
■アイスタイガー(魔物)
前作に出しましたが、実際は"アイスタイガー"という魔獣、魔物は基本的に出典先がありません。
近代になって、ファンタジー系のオリジナル要素として描かれる部分があります。
作品によってまちまちですが、基本的には巨大でライオンまたは、そのまま水色のタイガーとして描かれる事が多いです。


■バンシー(妖精)
2作品前に登場。割りと好きな子です。
結構このキャラも有名ですが、実はアイルランドの伝承に出てくる妖精が元々のネタ(スコットランドという話もある)です。
色々と能力差は作品によってまちまちですが、キャラクターとしては、馴染み深いので『死神』といえばわかりやすいと思います。


■オーガ(巨人)
2作品前に登場。ヨーロッパの伝承に登場する怪物として伝わっています。
子供をさらい食べたり、オーガはオーガ同士(女性はオーガスという)で子供を生む1つの種族です。
特に北ヨーロッパでは凶暴ですが、化け物というより・・・どちらかというと巨大な人間のような描写です。

 
★蛍石(フローライト)
作品のほとんどの要になっているといえる、実在する鉱石です。
普通のものは無色ですが、不純物により黄、緑、青、紫、灰色、褐色など多種多様なカラーバリエーションがあります。

更にこの石の最大の特徴として"加熱すると発光する"という、不思議な鉱石です。
黒い魔石(塔の頂上)や、青年剣士の持つ剣(熱を帯びたりするのに向いている)などは、これがモチーフになっています。


★ミスリル(架空)
2作品前に登場した鉱石で、青年剣士の持つミスリルソードのネタになっています。
ミスリル自体は有名だと思いますが、実在せず、j・r・r・トールキンという作者の世界に登場する架空の金属が元ネタです。
その作者の最大の有名作品で、"ロードオブザリング"で一躍有名になったのではないでしょうか。


★太陽の祭壇(マヤ神話)
1,2年ほど前に騒がれた地球滅亡説でも有名になった"マヤ神話"に登場し、実際に存在するアステカの祭壇が元ネタです。
アステカの祭壇は呪われの祭壇としても知名度はかなり高いと思います。

また、生贄の祭壇としても有名で、生贄がなければ太陽が消滅すると信じられていました。
作中では、太陽(昼は魂の昇華)で、月(夜は生贄の怨念)としてバンシーなどの登場に一役買っています。


★小ネタ
ロードオブザリングは、今日という日のファンタジー作品の始祖とも呼ばれています。
なぜかというと、指輪物語は世界的なヒットを生んだことで、古代神話や伝説という存在が認知され始めたとも言われています。
文学史(歴史)の中の起源とすれば、やはり有名なギルガメッシュや聖書(キリスト)などが有名ではないでしょうか。

 
●伶人(レイト)
なぜかココに書きますw
実は、伶人は"吟遊詩人"を別名称の呼び方で存在します。実際に伶人というのは様々な部分で使われてたりします。
この作品は名前という名前を出さないのですが、知らない方は"伶人"というのにギョっとしたものあるかもしれませんが・・・。
吟遊詩人の父親として伶人(レイト)というのを使わせていただきました。(本来はレイジンと読みます)

 
【secret story?】
 

・・・・・ドサッ

青年剣士「・・・・・いてっ・・!助かった・・のか?」



・・・ザワ・・・ザワザワ・・

青年剣士「ここ・・・どこだ・・・・・・?」


・・・ワァァァァッ!!!

アナウンス「おぉぉっと!?こ、これは・・・・・!!!乱入者かぁ!?」



王様「あやつは・・・・まさか・・・・」



【don't miss it !!!】

 
以上で今回は本当に終了です。読んで下さった方々、応援コメントの数々を下さった方々、ありがとうございました。
後々に修正部分をアップなどいたします。

>>589 >>590
素早い乙ありがとうございます!(;a´ω`)嬉しい限りです

>>596
と、思いましたが大きな変更点もないので、最後のシーンのズレ以外は自己申告してきます。

早い段階で目処がたったので、今夜か明日の朝あたりに投稿しますね

能力高杉ww

女たちの戦いが起こらないまま
フェドアウトした空気女が勝利した・・・だと?

次回作「僕には夢が出来ました」
幼剣士「僕には夢が出来ました」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1373284710/)


>>610 そうですかねw
>>611 (ノд`)残念ながら


>>10
軍服の男「・・・無理・・・・・だよ・・・」

幼剣士「・・・無理・・・・・だよ・・・」

でしたね

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