アティ「秘密結社ズヴィズダー?」 (51)

アティ「へっくしゅ…あ、鼻水がずびずば?」

星宮ケイト「とんだかん違いだ!」



的なズヴィズダー×サモンナイトのクロスを
前編がありますが別段読まなくても
やることは同じです

辻褄のあってないところは、目逸らしで

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前回までのヴィニエイラ様の偉業!


突如として謎の島に召喚されてしまったヴィニエイラ様

星宮ケイト「こ、ここはいったい!?」

出会った縦セタ女教師とツインテールを従えて異世界"リィンバウム"征服へと乗り出す!

アティ「…縦セタ?」


ケイト「お前は今日からノルマとして1日ツンデレ千回、だ!」

アリーゼ「は、はい!…こ、この駄犬!役立たず、恥を知りなさい…!」

アリーゼ「…でも…い、いなくなったりしたら…承知しないんだからね!///」

ケイト「よーし!いいちょうしだ!」


ヴィニエイラ様の計画は順調そのものにみえた

しかし!その前に帝国軍の軍人どもが立ちはだかる!

アズリア「貴様をほろぼす!」

アティ「やめてアズリア!」


ケイト「ふん!」

これを我らがヴィニエイラ様、パンチ一発でなんなく解決!


ヴィニエイラ「征服実行!」ばしんっ

アズリア「やられたーっ降参しますー…」

その勢いのまま帝国を征服、ついでに他の2国も征服ッ!!


皇帝とか偉い人たち「「ははーっ…」」土下座

ケイト「ふっはっはっは!幼女の前に跪いて恥ずかしくないのかーっ!」

偉い人「…くやしい、でもっ!」ビクビクンッ


そうして世界は平和になり、ヴィニエイラ様のまばたき一つで

鳥は歌い、蝶は舞い、
魚は踊り、稲穂は実り、
空は晴れて、太陽燦々、
人々は笑い、街は活気付きました


ヴィニエイラ様はズヴィズダーの光をリィンバウムにあまねく広めたのです

ケイト「こうして、役目を終えたヴィニエイラ様はリィンバウムを去り、元の世界へと還っていったのでした…めでたしめでたし」


アティ「わー…」ちぱちぱ

明日汰「ちょ!?大ウソだらけだろそれ!ていうかこの人も信じちゃってるし!」


アティ「そういえば、そんなこともありましたっけ…?」

ケイト「まあな、だいぶ前だから覚えてないかもしれないが」

アティ「そうですね、もう随分と昔のことですもんね…以前お会いしたのは」


逸花「あン?」

ナターシャ「?」

~しばらく前~


ヤス「…うぇぇ、腹が空いたでヤス……もう限界でヤス…」

ヤス「い、いかんいかん、腹減りすぎてなんだか口調が…

ぐぅ~ぐきゅるるるるるるぅ~


ヤス「……うぅ、いくら裏切り者とはいえ5年間飯抜きだなんて、無理でヤスよ!」

逸花『あァ?てめぇ知らねえのか、グソクムシは4,5年食わなくたって死にゃしねーんだぞ?』


ヤス「…って言いますけど、あっしは人間でヤスよ~っ」

ガチャン

-倉庫-

ヤス「なにか食えるもんでも…この際生ウドを齧ってでも飢えを誤魔化すしか…」ゴソゴソ

ポロッ

ヤス「ん?…おっほぉ!これはウド饅頭の詰め合わせ!こいつぁまたおあつらえ向きな」

ずるっ ガタタッ

ヤス「ヤバッ!?手が滑って…!?…あーあ落としちまって、まあ食えねことはねえか」


ヤス「…ん?…こりゃなん、石?」

>サモナイト石 ?

ヤス「なかなか綺麗だけど、石は食えねえ

カッ どぉぉぉぉぉおおおおおおおおんっっ!!

ギャーーーーーーデヤスーーーー????


逸花「な、なんだ?!」

ナターシャ「倉庫の方じゃ!」


明日汰「い、今なんか聞き覚えのある悲鳴が聞こえたような…」



ーーー

ヤス「…というわけなんでヤス、はい」


逸花「…ほぉ?空腹に耐えかねて盗みを働いた、と?」

ヤス「ひぃっ!?ど、どうか寛大なお裁きをーっ!」


逸花「問答無用だ!この

ケイト「待て逸花、今話すべきはそこではないだろう」

アティ「……ふむふむ」


逸花「…ちっ、命拾いしたなヤス」

ヤス「へいっ!ありがとうごじゃいやす!」

ナターシャ「ヤス、そない腹がすいとるんやったらバイトでもすりゃあえかろうに」

ヤス「…へっ、俺のようなビッグな男にはコンビニのレジ打ちなんてちっぽけな仕事、にあわねーのさ」

逸花「言ってろ」

アティ「…話を聞く限りでは、そのウド饅頭とこのサモナイト石が反応して私が召喚されたようですけど」

ケイト「うむ、しかしわが本部にどうしてこのような石が…ナターシャか?」


ナターシャ「ああ、それはウチが研究用に取り寄せた火成岩の一種じゃ」

ナターシャ「どうやら図らずも、そいつがお姉さんのいう石と同様の反応を起こしてしまったらしいのお」

アティ「なるほど、確かに触った感じは似ているような気がします、ちょっと荒削りな感じですね」


ケイト「荒削りな分、石として粗悪ということか…どれもこれも割れてしまっているな」

アティ「はい、そうですね…」



明日汰「あの、それってマズイんじゃ…話の通りなら、このままだと帰れないってことに…」

アティ「………」

ケイト「…ふむ」

ナターシャ「こりゃあっ明日汰!おどれはデリカシーちゅうもんを知らんのんか?」

明日汰「えっ!?いやその、そうでした…すいません」

アティ「ああっ、いえいいんですよ、そのことなら気にしないでください」

明日汰「…はぁ」

ケイト「とはいえ、元の世界に還れぬいじょう、こちらで過ごさねばならぬのだろう?」

アティ「あはは、そうですね…どうしましょうか」

明日汰(なんか、見た目通りおっとりした人だなぁ)


ケイト「もしよければ、我が結社の客分として迎え入れさせてくれはくれないか?アティ」

アティ「…え、えぇ?いいんですか?ケイトちゃん」

ケイト「かまわぬ、何せ責を負うべきはこちら側だからな…いかようにでも償いはさせてもらう」


アティ「…ふふ、それじゃあお言葉に甘えてお泊まりさせてもらいましょうか」

ケイト「ああ、どうぞくつろいでくれ」

逸花「しかしまぁ、客にしとくには惜しい人材だなこりゃ」

アティ「あははは、そうですか?そう見えますかね…」

逸花「ああ、あんた見かけよりも随分手練れな感じだ…何かやってたのか?」

アティ「一応、元軍人ですけど…もうずっと前に退役して今はただの学校の先生ですよ」


逸花「…ふぅん、そうかい…まぁ興味があったら言ってくれ、丁度"主任戦闘員"のイスも空いてることだしよ」

アティ「ええ、考えておきますね」

ヤス「…………あれぇ?もしかして俺ってば、降格?」

ナターシャ「当たり前じゃ、ボケヤス」


ケイト「こらこらお前たち、今日はもう遅い…わたしも積もる話があるが…今日はもう寝る時間だぞ」

逸花「ああ、ごめんなケイト」


ケイト「うむ、では明日汰…後片付けは任せたぞ…」

明日汰「はいはい、皿洗いと…あとあの倉庫の掃除もしなくちゃなぁ」

ケイト「ナターシャはアティに客室を用意してやってくれ…逸花は寝支度を手伝ってくれ…」

ナターシャ「了解じゃ」

逸花「おう」


ケイト「アティよ、後のことは何か用があれば明日汰かロボ子にでも…気軽に言いつけてくれればよい、からな」ウトウト

アティ「はい、わかりましたケイトちゃん」


ケイト「…うむ、では…コホン…我らがズヴィズダーの光を~」

「「あまねく世界に!!」」


アティ「わー…」パチパチ

ケイト「…うー、むにゃむにゃ…」

逸花「ほーらケイト~、寝る前にちゃんと歯みがいてお着替えしなくちゃな~」


明日汰「箒とちりとりと…ヤスさんも手伝ってくださいよ~」

ヤス「へいへい、わーってるよ」


ナターシャ「ほいじゃあ、お客人を案内するかの…こっちじゃ、ついてきんさい」

アティ「はい、よろしくお願いします」

-中庭-

ナターシャ「いま用意するけぇ、ちょっと待っときんさい…ロボ子ーっ」


ロボ子「はい、教授…今準備しますね」

アティ「へえ、これがケイトちゃんの言ってたこっちの世界の自動人形かぁ」

ロボ子「…えっと、あまりそうやって見られると…その、恥ずかしいです///」

アティ「…うん、確かにクノンと同じくらい性能が…でも外観は少し機械よりかな?でも女性的なラインが特に」マジマジ

ロボ子「…////」


ナターシャ「これ、あまりロボ子のことジロジロと見んでやってつかぁさい、今日は恥ずかしがり屋なようじゃから」

アティ「あ、すみません…珍しくてつい」

ロボ子「いえ、その…準備できました、えいっ」

ガシャン!

ゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ


アティ「わっ!庭から建物が生えてきて、どういう仕組みなんでしょう」

ナターシャ「ふっふっふ、急な来客にも対応できる特製の可動式客間じゃ!居住性抜群、電気ガス水道完備の優れもんじゃぞ!」

アティ「へぇ~」


ロボ子「オマケにお客様を不穏分子と認識した場合は建物ごと大気圏まで発射できる安全装置付きです」

アティ「?…タイキケン?」

ナターシャ「あ!こらロボ子!余計なことは言わんでええ!」

ロボ子「あ!すみません教授!」

アティ「?」

ナターシャ「ま、まあほいじゃあの、今晩はもうゆっくり休みんさい、うん」

ロボ子「御用の際は、壁に取り付けてあるロボ子スイッチを押していただければ、すぐに参りますので」

アティ「これはこれは、何から何まで…ありがとうございます」


ナターシャ「ええんじゃよ、んじゃあおやすみ…また明日の」

ロボ子「おやすみなさい」

アティ「はい、おやすみなさい」


ガチャ バタン

アティ「…あれ?そういえば自動人形って眠るんだっけ?…スリープモードってのかな」


アティ「…はぁ、それにしても…なんだか不思議なことになっちゃったなぁ…うん、長生きはするものだね、まだまだこういうことが起こるんだから…」


アティ「……ふぅ、あっ…お風呂とかは備え付けなんだ」

アティ(…さてと、それでこれからどうなるのかな…もう元の世界には戻れないのかな?…なんて)

アティ(そういう不安は、不思議とないなぁ…なんだかケイトちゃん達だったらなんとか出来そうだもんね、うん)


アティ「…問題はそれよりも」


すべては星の巡り合わせだ…アティ


アティ「私にもあるのかな、ここに呼ばれた意味が…」

アティ「…………」

アティ「……」

アティ「…zzz」スヤスヤ







ヤス「おおっ!戸棚の奥にウドの漬物が…!」

明日汰「もう!ちゃんと掃除してくださいって!」


アンアンアン トッテモダイスキ


あす汰「あれ?れんげちゃんにみきちゃん、どこかにおでかけ?」

れんげ「うん、これからみき様の別荘に行くんだよっ」

あす汰「へえ、ボクも行きたいなぁ」

みき「あら?でもごめんあそばせ~、残念ながらこのリムジンは2人乗りですから、あす汰は無理ですわ」

れんげ「ごめんね、あす汰くん…」




あす汰「うわーん!!」


あす汰「きいてよ~ヴィニえもーん!」

ヴィニえもん「どうしたというのだ、あす汰くんよ」

あす汰「また近所の白鷺さんちのみきちゃんにいじわるなこと言われたんだよ~」

ヴィニえもん「あす汰くんはあいかわらずメンタルが弱いなぁ」


あす汰「そうなこと言わないで、何か道具出してよヴィニえも~ん…」

ヴィニえもん「しょうがないなぁあす汰くんは……」ゴソゴソ

ヴィニえもん「てれれれってれ~!っと」

あす汰「くちでいうんだ…」


ヴィニえもん「ほい、どこでもウド~」

あす汰「…って、これ普通のウドじゃないかー!ちゃんとしてよヴィニえもん!」

ヴィニえもん「ちっちっち、このウドはただのウドではないぞ、あす汰よ」

あす汰「へ?」

ヴィニえもん「場所を考えながらこのウドをかじるとな、その場所に瞬間移動できるすぐれものなのだ!」

あす汰「な、なんだってー!」


ヴィニえもん「これでもって相手の行く場所に先回りして、ヤツらの首を絞めてやるのだ!」

あす汰「そんな物騒なことしないよ!」


あす汰「…でもまぁ、せっかくだから使ってみるよ」

ヴィニえもん「そのいきだ!首のな、ココ!ここを指で押さえてやれば…」

あす汰「だからしないって!!」


あす汰「…それでは」ゴクリ

あす汰「……えいっ!」シャクッ

ぼふんっ!


ヴィニえもん「お、おおっ!成功したぞ!あす汰よ」

あす汰「げほ、げほげほっ…ほ、本当に瞬間移動し

シャワーーーーーー

逸花「…………」

あす汰「…た?」

逸花「…おいガキ、てめェ…JKのシャワーシーン覗こうなんざ、いい度胸してんじゃねーか…あ?」


あす汰「…え?えっと」ダラダラ

ヴィニえもん「きゃー、あす汰さんのえっち~!」


逸花「[ピーーー]ぇぇぇぇええええっ!!!」ドゴォオッ

あす汰「ぎぇぇぇぇええええええっ!!!」


ホンワカパッパ ホンワカパッパ



アティ「………う~ん…う~ん」


アティ「……はっ!…夢か」

アティ「…変な夢だったなぁ」



ロボ子「…あ、おはようございますアティさん」

アティ「はい…ロボ子さん?でしたっけ、おはようございます」

アティ「えっと、ケイトちゃんはもう起きてますか?」

ロボ子「はい、食堂で既に朝食を召し上がってますよ、アティさんもどうですか?」

アティ「ありがとうございますっ、では…お言葉に甘えて」


ロボ子「…ではこちらへ、昨日集まっていたのが食堂です」


ケイト「……来たかアティ」

アティ「はい、おはようございますケイトちゃん」

ケイト「うむ、明日汰よ、アティの分も朝食を用意してくれ」

明日汰「はいよ、すぐ用意しますから」

アティ「お願いしますね、明日汰さん」


明日汰「はい~、そりゃあもう~」

ケイト「……む」

逸花「分かりやすいな、お前」

明日汰「目玉焼きにはなにをかけますか?」

アティ「では……ケチャップを」


ケイト「うむ!アティは分かっているな、目玉焼きにはケチャップだ、オムライスがそうだからな」

アティ「確かにそうですね」

ケイト「世の中ソースだ醤油だと議論するが…わたしはいつだってケチャップ派だ」

明日汰「そうだったかな…」



ケイト「だいたい世の中まちがってる、あのとろふわオムライスとかいうやつだが、なんなのだアレは、アレが美味いというのか?」

明日汰「…まぁ、流行りだからな」

ケイト「わけの分からん味のするライスに、ドロドロの気持ち悪い卵をかけて…"でみぐらす"だとか気取ったソースをかけおってからに」

アティ「…は、はぁ」

ケイト「オムライスは、チキンライスをちゃんとした薄焼き卵で包んで、ケチャップをかければそれでいいのだ、ウサギが描かれていればなおよしだが…」


アティ「…はぁ」

ケイト「だが…ああスマンなアティ、どうもグチっぽくなってしまって」

明日汰「…まるで酔った年寄りだな」

ケイト「何か言ったか?明日汰」

明日汰「いいえ、何も」


アティ「あはは、2人は仲がいいんですね」

逸花「…そうかもな」


ナターシャ「おはよぉさぁん…みなの衆…」

明日汰「暗っ!?どうしたんですかいったい」

アティ「大丈夫ですか?!ナターシャさん」


ナターシャ「いやぁ、ちょっと寝とらんだけじゃ、心配せんでよか」

アティ「…はぁ」

ケイト「それで?…調べた結果はどうだった?ナターシャ」


ナターシャ「…むぅ、それがな…あれは術の作用する向きといえばいいのか…難しいのぅ」

アティ「…というと?」

ナターシャ「…あぁ、術の構造がこう、漏斗のような形をしていてな…口の向きによって歪みをこじ開ける手間というかなんというか…」

アティ「………」

ケイト「…では、帰るのは難しいと?」

ナターシャ「まあ比較的な、それでも手間と時間さえくれれば…どうとでもなるわい」クラクラ


ケイト「なるほど、ご苦労だったな教授…さっそく手間をかけさせた」

アティ「ありがとうございます、ナターシャさん」

ナターシャ「…うむ…ドヴァー、紅茶を一杯、砂糖多めで」

明日汰「わかりましたっ、すぐ淹れますよ」

ナターシャ「…たのむ」


ケイト「よし、これで当面の心配ごとはなくなったな!アティ」

アティ「ええ」

ケイト「あとはその時間までどうするかだが…しばらくここにいるか、それか外にでも出てみるか?町へくりだして、こちらの世界のあり様を見るのもいいが…どうする?」


アティ「……そうですね、それじゃあせっかくですし」


ケイト「うむ!」


逸花「それじゃあ、ナターシャもこんなだし、アタシとロボ子は残るから、明日汰…ついてってやれ」

ナターシャ「…うぃ~」

明日汰「は、はいっ」

逸花「ったく、親父め…いつまで留守にする気だ?いったい」


ケイト「…まああっちの世界ほどキレイではないが、まあアティの目には何かしら珍しく映るものもあるかもしれないな」

アティ「そうですね、このお家を見ててもとても興味深いところが多いですよ」

明日汰「いやまあ、この家は結構特殊なんですが…」


ケイト「よしっ!それではここで、久々に緊急経費を発動しよう!」ドバーンッ

アティ「なんだかよくわかりませんが、おー!」

明日汰「……」

明日汰(前みたいに、妙なことにならなきゃいいんだけど…)

-ファミリーレストラン-


アティ「……」ゴクリ
ケイト「……っ」


スッ
オムライス「」トロ~リ

ケイト「…こ、これは」

アティ「見事ですね…」


ケイト「…」パク
アティ「…」パク

明日汰「……」


「「…う、美味い!」」

ケイト「このトロッとまろやかなタマゴがなんともいえん風味をかもしだし、濃厚なソースと絶妙なハーモニーを

明日汰「結局食べてるし!とろふわオムライス!」

ケイト「なんだ明日汰、大きな声を出すな…ご飯が不味くなるだろ」

明日汰「えぇ~、あんだけ文句言っといてなに平然と何事もなかったかのように食ってんだよお前…」

ケイト「それはそれ、これはこれだ…うまければなんでもよかろうなのだ!」


アティ「この、上でオムレツを切り開いてのせる感じがオシャレですね」

ケイト「うむ、目でも料理を楽しませようという料理人のショーマンシップを感じるなっ」

明日汰「それ、使い方あってんのか?」


ケイト「ふぅ、満腹だ…ごちそうさま!」

アティ「ごちそうさまでした」


ケイト「さてと、そこそこ街は見て回ったが…どうだった?」

アティ「そうですね、建築技術はとても進んでいると思います…でも時折シルターンらしさも垣間見えて、なんというか珍しい国ですね、ここは」

明日汰「…?」

アティ「料理も美味しいし、なんというか…合理的な味?がします」

明日汰「合理的って…それ褒めてるんですか?」

アティ「え?…えと、はい一応」

ケイト「ふむ、合理的とは…まあ言い得て妙かもしれんな、この国は狭いからな…何をやるにも合理的だのコスパだのと、うるさいうるさい」

アティ(…コスパ?ってなんだろう)


ケイト「…ではそろそろ行くとするか、明日汰よ、支払っておいてくれ!ちゃんと領収書ももらっておけよ!」

明日汰「はいはい、じゃあ2人は先に行っててください」

アティ「はい、わかりました」


ケイト「んーっ…さてと、次はどこを見て回ろうか…」

アティ「……」

ケイト「?…アティ?どうかしたのか?」

アティ「あっ、いえ…このあたりは、小綺麗ですけど…こうして観察すると、思ったよりも空気が淀んでいるな、と思いまして」


ケイト「…あぁ、仕方のないことだ…この世界の人間はマナの力を借りることもウドの力を用いることもできんのだからな」

ケイト「これでもな、一昔前よりは幾分マシになったのだぞ?昔はもっと酷かった、公害やそれに伴う病がな…まぁ最近はまたどうも空気が汚れているきらいがあるが」クンクン

アティ「…そうだったんですか、大変ですね…こっちの世界も」


ケイト「あぁ…それでなアティ、こういう歌もあるのだ…コホン」

ケイト「鳥も 魚も どこへいったの~…トンボも 蝶も どこへいったの~」


明日汰(なに歌ってんだ?アイツ…)

ケイト「水銀ッコバルト カドミウムっ!なまり硫酸オキシダン!しあん まんがんバナジウム!クロム カリウム すとろんちゅーむ!」

アティ「なんだかノリのいい、それでいて悲しげな歌ですね…昔の流行歌ですか?」

明日汰「流行ってません…!」

アティ「…そうなんですか」シュン

明日汰「何でちょっと残念そうなの?!」


ケイト「おお来たか明日汰、では出発するか!」

アティ「はい!」

明日汰「……はぁ」

-中学校 校門前-

蓮華「…あれ?あれってもしかして明日汰くんじゃ」

美酒「え?…」

蓮華「おーい!明日汰くーん!」


アティ「?」
ケイト「…ほほぅ」

明日汰「えぇっ?駒鳥さん?!…と白鷺美酒」


美酒「…ごきげんよう、地紋明日汰…相変わらず不躾な顔ですわね」

明日汰「…へ、お前こそな」

蓮華「ケイトちゃんも久しぶりー…っと、そちらの美人さんは?」

明日汰「ぉあっ!えっと…こちらの方はですね」


アティ「初めまして、私はこの子の叔母で星宮アティといいます…今日は姪っ子達の案内でこの辺りの観光をしているんですよ」

蓮華「そうなんですか~」

明日汰「ええっ!?」

明日汰(あんな嘘、よく即座にペラペラと話せるなぁ…)

ケイト(ふ、この程度のことはすでに打ち合わせ済みだ!)


美酒「……………」

美酒(…嘘ですね、これは)

蓮華「私は駒鳥蓮華、明日汰くんの同級生なんです…こちらは友達の白鷺美酒さま」

美酒「!?」

アティ「…さま?様?」

美酒「ちょっと、そういう様付けはもうやめて欲しいって言ってるじゃありませんか…!」

蓮華「ご、ごめんなさいつい…でも美酒さんもたまに私のこと隊長っていうし…」

美酒「あ、あれはごく稀に気が抜けた時にしか言い間違えませんし…」


アティ「まさか2人は、女王様と奴隷的な関係?…さあ、わたくし様の靴をお舐めなさい的な?」

ケイト「絶対にちがうぞ、それは」

明日汰「なんか、仲良さそうだなぁ…やりづらいなぁ…トホホ…」


ケイト「ところで2人は何をしているのだ?…まさか、秘密の作戦行動中か?」

蓮華「あはは、今日は違うようケイトちゃん」

美酒「だったとしても、あなた達には言いませんけどね…」

蓮華「今日は美酒さんが学校でやることがあるから、手伝いに来ただけだよ」

明日汰「…そうだったんだ、駒鳥さんも大変だね」

蓮華「そうかな?でも

美酒「私ほどになると、休日でも色々と大変なのでしてよ?あなたのような人とは違って…」

明日汰「く、ぐぬぬぬ…白鷺美酒め」

美酒「ふん」ジロリ

蓮華「あ、あの…2人とも、今は仲良くしようよ!」


ケイト「こいつらも、飽きもせずに相変わらずだな」

アティ「…?」


美酒「…それでは、行きましょうか蓮華さん」

蓮華「う、うん…またね明日汰くん」

明日汰「うぅ、また学校で…」


…………ぅ………ァァ…ェ…


美酒「…?」

蓮華「あれ?美酒さん、どうかしたの?」

美酒「いえ、今なにか声がしたような…」


アティ「………」

明日汰「…アティさん?」


ケイト「…むぅ、この気配は…!?」


…………ォォォ……ォォォ…!


ドゴオオオッ ォォォォォォ

ピェーペル「ぬぉぉぉおおおおおっ!?やめろ香織!!俺が悪かったって!!」

ファルコン「問答無用!待ちなさい吾郎…いえ、ピェーペル将軍!!」

ドゴオオオォォォォン


美酒「あれは!?総司令?と…ズヴィズダーのピェーペル将軍?!」

ケイト「街中で何を暴れとるんだ、あいつらは」

アティ「痴話喧嘩ですかね…」

明日汰「ちょ!?しっぽりしてたんじゃなかったのかよ!あの2人!」

蓮華「し、しっぽりって…///」


ケイト「こらー将軍!それにそこの白いの!お前ら一体なにやってるんだ!」

ピェーペル「お、お嬢!?それに坊主と…あと、誰だ?」

ケイト「こいつはいわゆる助っ人外国人のアティだ!」

アティ「アティです、昨晩からお世話になっています」

ピェーペル「おぉ、こりゃどうも」


明日汰「吾郎さん、いったい何があったんですか!なんであの人あんなに怒って…」

ピェーペル「…いや、まあな…その」

ファルコン「吾郎ったら、事あるごとに椿椿って!私のことを姉さんと間違えるのも大概にしなさいっての!」

美酒「は…はぁ、もう私情を隠す気とかまるでありませんね、司令」

ファルコン「オマケに一緒に寝てる時まで寝言で私のことを…キーーーっ!!」

蓮華「お、落ち着いてください!暴れちゃダメですよ!」


明日汰「はぁ、それであの人あんなにキレてるんですか…」

ケイト「ダメだめだな吾郎!キチンと夫婦円満にすごさんと逸花に顔向けできんぞ」

ピェーペル「し、仕方ねえんだよ、どうしても姉妹だからこう、顔立ちというか雰囲気というか、似てきちまって…」

アティ「それでも、女性は年を取るとると嫉妬深くなってくるのもですから、注意しないといけません」


ファルコン「ちょっと!今なにか聞こえましたよ!」


ピェーペル「…あんた…はは、見ず知らずの奴にまで説教されちゃ、元総長も形無しだな…」


ファルコン「今度はなにやら見知らぬ女と、何話してるのよ…!」

ファルコン「…2人とも、今より指令を言い渡します!」

「「は、はい!」」

ファルコン「あそこにいるズヴィズダーとその関係者らしき物どもを…一匹残らずふん縛って!生け捕りにして!私の前に連れてきなさーい!!」

蓮華「…えぇ~」
美酒「了解しました…」


明日汰「な、なんか向こうめちゃめちゃヤル気なんですけどぉ…!」

ピェーペル「…むぅ」


美酒「…はあっ!」

ボフンッ モクモクモク

アティ「ごほ!?…けほっけほって、煙が…」

ケイト「くっ…何も見えん…が、丁度いい!」

明日汰「え、えーっ?そんなーっ!」


アティ「ケイトちゃん、明日汰くん?」

ギィィインッ


アティ「っ!?」


ファルコン「ヴィニエイラ様?これは夫婦間の問題です…邪魔しないでいただけます?」

ヴィニエイラ「そういうわけにはいかん、部下を世話するのは上司の仕事だからな!」

ロビン「ごめんね、あ…ドヴァーさん!これも命令だから…」

ドヴァー「そ、そんな…くっそぅ…!」

アティ「ふ、2人とも…いつの間に着替えたの?」


ピェーペル「ちっ、今度はテメエが相手かよ…」

イーグレット「そうですわね、しかし…」


ロビン「ゴメンね、ちゃんと手加減するから…この!えーいっ!」ブンッブン

ドヴァー「どわはーっ!?ぎゃーっ!」

イーグレット「………」

ピェーペル「…?…どした?おめえさん」

~美酒視点~

蓮華「このーっ、まてまて~!」ルンルンッ

明日汰「あっははは~、捕まえてごら~ん」ルンルンッ


イーグレット「………」

~現実~

ロビン「てぇいっ!因果応報ビーム!」ビビビー

ドヴァー「ぬがぁっ!?死ぬう!どこが手加減だよっ!!」ドカーン


イーグレット「…ちっ!!」バッ

ピェーペル「あっ!?おいコラ!どこへ」


ロビン(と、とりあえず格好だけでも、派手に戦ってる風に…ゴメンね明日汰くん!)

ドヴァー「ひーっ!」

イーグレット「…隊長!助太刀します!」

ドヴァー「え!?な、なんでぇ!?」

ロビン「イーグレット?!そんな、必要ありません!」

イーグレット「……念には念のためです!」ブンッ


ドヴァー「ひ、ひいっ!?どういうつもりだ!ホワイトイーグレット!」

イーグレット(この機に乗じて、隊長に近づくこの不穏な虫ケラを亡き者に…っ!」ブンッブンッ

ドヴァー「てめぇえっ!ちきしょう!そういう魂胆かよ!!」

ロビン「ちょ、そんな本気でやったらダメだよ!」


ヴィニエイラ「ドヴァー!」

ピェーペル「坊主っ!」


イーグレット「…覚悟っ!!」

ドヴァー「ひいっ!?」


アティ「……っ、はぁあ!」


キィインッ

イーグレット「…なっ!?」


アティ「…やめてください、あなた達…全員武器を下ろしてください」

ヴィニエイラ「アティ!」

ドヴァー「アティさん!」


ファルコン「へぇ、生身でイーグレットの攻撃をいなすなんて…やっぱり只者じゃなかったわけね」

イーグレット「い、いったい!あなたは」

アティ「私は、訳あってズヴィズダー方達のお世話になっている者です」

アティ「この方達に危害をくわえるというのなら、私が相手になります!」

ロビン「えっ?…あなた、ケイトちゃんのご家族の方じゃ…?」

イーグレット「なんですって、この…舐めた口を…」バッ

アティ「…っ!」

キィンッ ガッ!

イーグレット「きゃあっ!」ドサッ

ロビン「い、イーグレット?!」

ファルコン「…ほう」

イーグレット「こ、この私が…ここまで圧倒されるなんて…」

アティ「…引いてください…お願いします、私だってこんなことは不本意なんです」


イーグレット「んなっ!?…ざ、戯言を!」

ロビン「イーグレット、待って!」バッ

アティ「…っ!」

ガガガガガガガガッ????

イーグレット「然しもの貴方でも、2対1ならば!」

ロビン「くぅ!えいっえいっ!」

アティ「…いいコンビネーションです、でもっ!」

キキィインッ

イーグレット「あっ!剣が…!?」

ファルコン「2人の剣を、同時に弾き飛ばすか…」

ロビン「こ、こまどりく~ん!」

アティ「練度が足りません、もう少し練習が必要ですね…」


ドヴァー「…つ、強い」

ピェーペル「2人を同時に相手にしても、なお圧倒するか…あの女」

ヴィニエイラ「……ふっ…ふふふ、いいぞ…彼女は、彼女がいれば我が組織はさらに強くなる!」


ファルコン「…どうやら、分が悪そうですねイーグレット、ロビン」

イーグレット「…し、司令」


ヴィニエイラ「ふっふっふ、参ったか!ホライトライトの者共よ!我らの力思い知ったか!」

ドヴァー「いやいやいや、こっち何もしてないし!アティさんは部外者だから!」

アティ「…んー、でも一応お世話になってるし…組織の助っ人ってことになってるのかな?…うん」

ヴィニエイラ「どうした?もうかかってこないのか?腰抜け達よ!貴様らの羽も鉤爪もただの飾りかぁ?」


アティ「こらっ!そんな風に相手を煽っちゃいけません!争いは極力避けないとだめです…」

ヴィニエイラ「うぐっ、ご…ごめんなさい」シュンッ


アティ「あなた達も、そちらが矛を収めるというのなら私たちは手を出しません…どうですか?」


イーグレット「…ちっ!」

ファルコン(随分な手練れかと思いきや、中身はてんで甘ちゃんのようですね…ふむ)

ファルコン「…ではその提案通り、引くとしましょうか」

ロビン「…ほっ」

イーグレット「………」


ドヴァー「すごい、1人でホライトライトを撤退させるなんて…」

ピェーペル「こいつは堅気じゃねえな、いったいどうすりゃあ…こんなに強く…」


アティ「ふぅ、これにて一件落着です!」

ヴィニエイラ「うむっ!よくやってくれた、アティよ!実にみごとな働きだった!」

アティ「そうですか?…これでケイトちゃんに恩返しができたのなら幸いです」


ヴィニエイラ「充分すぎる、逆にお釣りをまた返さねばならぬほどにな!」

アティ「ふふ、いいですよ別に」


ヴィニエイラ「ところで、その力量を見込んで…図々しくも頼みがあるのだが」

アティ「はい?…なんでしょうか」


ヴィニエイラ「アティ、我が組織ズヴィズダーに正式に入る気はないか?今なら主任どころか、私の副官の地位を約束してもよいが…」

ドヴァー「え、ええっ!?」

ピェーペル「急にか、まあ…あの働きっぷりをみたら…納得できないこともないが…」


アティ「……う~ん」

ヴィニエイラ「…どうだ?やってもらえないだろうか?」

アティ「…そう、ですね…それもいいかもしれません、元の世界に帰れない内はお世話になっている身ですし」

ヴィニエイラ「…うむ、そうか!この話受けてくれるか!」

アティ「…はい」


ドヴァー「えー、ホントにいいんですか?アティさん…コイツは」

ヴィニエイラ「こら明日汰!余計な口をはさむんじゃない!」

アティ「構いませんよ、これくらいはお安い御用ですから」

アジーン「俺の名はアジーン、女の願いを叶える男…」

アジーン「少女の願いっていうのは大人からしてみれば、その通り児戯にも等しいが…中には時として、この世のどんな宝石も敵わないほど、煌めく願いが眠っていることを俺は知っている…」

アジーン「俺の仕事は、そんな思いの原石達を…この手で、1人の女に目覚めさせてやること…かな」


アティ「さあ君も、夢限少女を目指して!」

ケイト「バトル!バトル~!」


第X話 その願い 凶暴につき
(嘘)

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