久「これから、最近恋人が冷たい理由について考える会を始めるわ」 (141)

咲-saki-のssです。
辻褄が合わないところは脳内補完でお願いします。
※百合です

前作 美穂子「これから、第15回へタレな恋人をどうにかしようの会を始めます」
美穂子「これから、第15回ヘタレな恋人をどうにかしようの会を始めます」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398070372/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398492587

久「菫も竜華も、遠くから来てもらっちゃって悪いわね」

菫「気にしないでくれ、私自身進んでこの会に参加しているんだからな」

竜華「私もや、堅っ苦しい挨拶は久には似合わんで?」フフッ

久「ふふ、そうかもしれないわね。ゆみも和も、来てくれて嬉しいわ」

ゆみ「むしろ私は心待ちにしていたからな」

和「私もです。自分と同じような人がいると思うと安心しますしね」

久「そう言ってもらえると助かるわ……じゃ、始めましょうか。みんな知っていると思うけど、一応言っておくわね。清澄高校三年、竹井久です。この会の進行役を務めさせていただくわ」

菫「白糸台高校三年、弘世菫だ。よろしく頼む」

竜華「千里山女子三年、清水谷竜華です、よろしゅうな」

和「清澄高校一年、原村和です。よろしくお願いします」

ゆみ「鶴賀学園高校三年、加治木ゆみだ。よろしく」

久「今回集まってもらったのは名前通り、最近私達の恋人がつめたい理由を考え、できれば解決策を導き出すためよ」

菫「まさか同じような状況に陥っている奴が他にもいるとは思っていなかったな」

竜華「私もや。おまけに冷たくなった時期もほぼ同じ。不思議なこともあるもんやなぁ」

和「オカルトは信じませんが、確かに不思議ですね」

ゆみ「一体何があったというんだ……」

久「みんなはどんな感じなの?口聞いてもらえないとか?」

菫「いや、日常生活では普通なんだが……その、なんと言うか甘い雰囲気になったときの押し具合が弱くなっているというか……」

竜華「いつもはぐいぐいくるのに、最近は逆に引いてるって感じやなぁ」

ゆみ「ずっと私にべったりだったのに……少し前からあまりくっついてこなくなったんだ」

和「私もです。咲さん……私のことを嫌いになってしまったんでしょうか」

久「驚いたわ……そこまで一緒だなんて……菫から順に、具体的な話を聞いてもいいかしら?」

菫「ああ。私はこの間……」

~~

宥の部屋
菫「宥、今日は世間で面白いと話題の映画を借りてきたんだ。一緒に見ないか?」

宥「うん、見たいな。映画なんて久しぶりかも~」

菫「気に入ってもらえるかは分からないが……つまらなかったらいつでも言ってくれ、何か他のことをしよう」

宥「うん、わかった」

~映画視聴中~

菫(いつもはテレビを見るときは私の肩に頭を預けながら見るのに……珍しいな)

菫(まぁそういうこともある、のか?)

菫(……うん、手を重ねるくらいなら罰は当たらないだろ)スッ

宥「……」サッ

菫「!?」

菫(避けられた……?)

菫「ゆ、宥……?」

宥「? どうしたの菫ちゃん」

菫「い、いや。なんでもない。気にしないでくれ」

宥「変な菫ちゃん」フフ

菫(いや気のせいだ。多分。きっと)

宥「あ、菫ちゃん。ちょっとトイレ行ってくるね」

菫「ああ、一時停止しておく」ピッ

宥「ごめんね~」タタッ

菫(ほら、別に何ともない。宥はいつも通りじゃないか。さっきのはたまたまだ。それか今日はあまりべたべたしたい気分ではないんだろう。無理強いは良くないし、こちらからはあまり手を出さないようにしよう)

宥「ただいま~」

菫「おかえり、じゃあ続きから見るか」ピッ

宥「この映画面白いね」

菫「!?」

菫(どうして……)

菫(どうして私の隣に座らないんだ!!?)

菫(こ、これは気のせいじゃない)

菫(でも聞きづらい!!!!!)

菫(宥、一体何があったんだ……?)

~~

菫「ということがあった」

竜華「なるほどな……」

久「これはきついわね……」

和「たまたま、とは言えないかもしれません」

ゆみ「私なら耐えられない……」

久「いきなり強烈なのがきたけど……じゃあ次は竜華、頼むわね」

竜華「了解や。私はな……」

~~

竜華の部屋
怜「お邪魔するで~」

竜華「邪魔するなら帰ってやー」

怜「ほんなら帰るわ」スタスタ

竜華「……」ワクワク

怜「……」ガチャ

竜華「と、怜ぃ!」

怜「冗談やで。さ、何しよか」

竜華「疲れたやろ?膝枕しよか?」ポンポン

怜「あー、今日はええわ」

竜華「!?」

竜華(怜が私の膝枕を断ったのなんて初めてや……)

竜華「と、怜?私のこと嫌いになったん……?」

怜「そんなわけないやろ。今日はたまたまそういう気分やないだけ」

竜華「熱でもあるん!?」

怜「竜華は大袈裟やなぁ。見ての通りうちはぴんぴんしとるで~。ほら、確かめてみ」

竜華「……熱はないみたいやな」

怜「あったらこんな元気やないで」

竜華「……っ怜!」ギュッ

怜「わっ、なんや竜華。甘えん坊さんやなぁ」

竜華「怜、私のこと嫌いにならんといて……?」

怜「なるわけないやろ、世界で一番好きや」ナデナデ

竜華「私もや!!……怜、キス、してもええ?」

怜「いちいち聞くことやないやろ」

竜華「また断られたら嫌やもん。怜、愛しとるで」チュッ

怜「ん……うちも愛しとるよ、竜華」

竜華「……」

怜「……」

怜「あ、この時間っていつもめっちゃおもろいテレビやってるんやで」ピッ

怜「竜華も見たほうがええで」

竜華「え、あ、うん」

竜華(いつもならこんなはやく引き下がらないはずや……私の顔が真っ赤になるまで色々言ってくるんに……)

竜華(膝枕のことかてそうやし……なんか今日の怜、変やなぁ)

竜華(怜、一体何があったん?)

~~

竜華「ちゅうことがあったわ」

久「怜が竜華の膝枕を断るなんて……」

菫「キスの後にあった間も妙だな」

和「言ってることはいつもとあまり変わらないみたいですけど……」

ゆみ「これは不安になるな……」

久「次は和、お願いね」

和「はい、分かりました。私は……」

~~

和の部屋
咲「お邪魔します」

和「いらっしゃい、咲さん」

咲「あれ?今日は和ちゃんのお父さんとお母さんいないの?」

和「はい、どちらも仕事です。と言うより、いる方が珍しいんですけどね」

咲「そうなんだ」

和「この間と同じ、二人きりです」テレッ

咲「そうだね~」

和(そ、それだけですか。なんだか悲しいです……)ショボーン

咲「和ちゃん、どうかした?」

和「あっ、いえ、なんでもないんです」

咲「? そっか」

和「はい、今日は何をしますか?」

咲「んー、誰か呼ぶ?」

和「え?」

和(私と二人でいるときに『誰かを呼ぶ』なんて……初めて言われました)

咲「優希ちゃんとか……暇かなぁ」

和「ま、待ってください」

咲「ん?」

和「わ、私は……」

和(言うんです私。こんなことくらい言えなくてどうするんですか!)

和「咲さんと二人きりがいいんです!!!!」ギュッ

咲「っそ、そっか。じゃあ呼ばなくていいよね」

和「はい、咲さんは私と二人きりは嫌ですか?」

咲「ううん、そんなことない。和ちゃんのこと大好きだもん」

和(咲さん……さっきから顔をあげてくれないし腕も回してくれません)

和(咲さん、一体何があったんですか?)

~~

和「ということがありました」

久「家デート中に誰か呼ぼうは痛いわね」

菫「よく耐えられたな……」

竜華「私、そんなこと言われたら泣いてまうわ……」

ゆみ「私は一生立ち直れないな……」

久「次はゆみね」

ゆみ「ああ、私は……」

~~

ゆみの部屋
モモ「先輩の部屋っすー!」

ゆみ「自分の家だと思ってくつろいでくれ」

モモ「ありがたいっす。それにしても綺麗っすね」

ゆみ「モモが来るからな、綺麗にしておいたんだ」

モモ「そういうことっすか」

ゆみ(いつもなら嬉しいっすー!とか言いながら抱きついてくるんだが……いや、自惚れは良くないな)

モモ「先輩、この梨?みたいなやつのぬいぐるみ、なんすか?」

ゆみ「ああ、それは後輩から貰ったんだ……っ」ハッ

ゆみ(モモが麻雀部の女子以外の話をすると機嫌が悪くなることを完全に忘れていた……!)

ゆみ「あ、いや、これはだなその」

モモ「可愛いっすねぇこれ」ヒョイ

ゆみ(態度が変わらない……?どういうことだ)

モモ「先輩?どうしたっすか?怖い顔してるっすよ」

ゆみ「な、何でもない。気に入ったならあげるぞ、それ」

モモ「ほんとっすか!?」

ゆみ「ああ」

モモ「嬉しいっすー!」

ゆみ(全く不機嫌になっていない……それどころか今日、一回もくっついてきていない……?)

ゆみ(いや、今日だけではない。思えばここ最近、モモが引っ付いてくる頻度が極端に減っているんじゃないのか?)

ゆみ(何故だ?分からない)

ゆみ(一体何があったんだ、モモ)

~~

ゆみ「ということがあったんだ」

久「ゆみにしか分からない微妙な違い、ね」

菫「私と似ているな」

竜華「心境の変化とかでもなさそうやな」

和「合宿のときもべったりでしたもんね……」

菫「さて、最後はお前のを聞かせてもらうぞ、竹井」

久「ええ、私は……」

~~

美穂子の部屋
久「それにしても、あんなに美味しい料理久しぶりに食べたわ」

美穂子「気に入ってもらえたみたいで良かった」ニコッ

久「あれ全部美穂子が作ったんでしょ?本当に何でもできるのね」

美穂子「何でもじゃないわ。できることだけ」

久「あはは、何それ。あ、そう言えば泊まりに来たのなんて久しぶりね」

美穂子「お互い部活が忙しかったから仕方ないわ」

久「そうね、でも今日はすごく楽しかったわ。ありがとね」

美穂子「私もすごく楽しかったわ。……時間も時間だし、そろそろ寝ましょうか」

久「ええ、明日に響くしね」

美穂子「じゃあ布団持ってくるわね」

久「え?」

美穂子「? どうかした?」

久「な、なんでもないわ」

久(ベッドで二人で寝ればいいのに……現に今までだってそうだったじゃない。だけどそれを言うってことは二人で寝たいって言うのと同じよね……?)

久(そ、そんなこと……恥ずかしくてできない……!)

美穂子「よしっと。じゃあ久、おやすみなさい」

久「ええ、おやすみ……」

久(一人で布団で寝ちゃった……えっと、私はベッドで寝ろってこと、よね)

久「美穂子ー?」コゴエ

美穂子「すぅ、すぅ……」

久「寝てる……」

久(思い返せば今日、友達とのお泊りとあまり変わらなかったわね……)

久(……寝ぼけて落っこちちゃったってことにすればいいや)

久「よいしょっ……と」

久「おやすみ、美穂子」ギュッ

久「愛してる」ボソッ

久(返事がないのって、案外寂しいわね)

久(……美穂子、一体何があったの?)

~~

久「ということがあったわ」

菫「辛いな……」

竜華「折角久しぶりに泊まりに来たんだから一緒に寝たいに決まっとるよなぁ」

和「今までは一緒に寝ていたのに、何故なんでしょうか……」

ゆみ「分からないな……」ウーン

久「ということで全員の話が終わったわね。ここで一度共通点をまとめてみましょう」

菫「共通点……まずは冷たくなり始めた時期が皆ほとんど一緒というところだろうか」

竜華「根本から考えて、全員が全員冷たいところやろ」

和「何となく、身体に関する接触を避けられることが多いというところでしょうか」

ゆみ「あとは、恋人でなければ気づかないような以前との微妙な違い……か」

久「そうね、そしてここから導き出される答えは……」

久「分からないわ」

菫「分からないな」

竜華「さっぱりやな」

和「全くもってわかりませんね」

ゆみ「謎だな……」

久「そもそも、どうして突然冷たくなり始めたのかしら?」

菫「考えたくはないが、他に好きな奴がいるとかか?」

竜華「ありえへんとは言い切れんな」

和「そんなオカルトありえません!」バンッ

ゆみ「落ち着け原村、弘世はあくまで可能性の一つとして言っているんだ」

和「あ、私……すいませんでした」ペコリ

菫「いや、気にしないでくれ。怒りたくなるのも当たり前だからな」

久「理由が分からないんじゃ解決策なんて到底無理よね……」

ゆみ「本人たちに聞いてみる、か?」

久「……聞ける?」

ゆみ「……無理だ」

竜華「共通点、もう一個あったわ」

和「何です?」

竜華「私達、みんなヘタレやん」

4人「」

久「な、なかなか痛いところを突くわね……」

菫「薄々気づいてはいたが……」

和「改めて言われると辛いです……」

ゆみ「ヘタレな私達に愛想を尽かしたとも考えられるな」

竜華「ヘタレのせいで捨てられるなんて嫌やぁ……」

久「私だって絶対嫌だわ……」

和「そう考えると、向こうから積極的に来てくれるのって幸せなことだったんですね」

菫「ああ……突然接触が減ると恋しくなるな……」

久「失って初めて気づくってやつね」

ゆみ「モモ……」

和「咲さん……」

竜華「怜……」

久「美穂子……」

菫「宥……」

5人(寂しい……)

久「仮に美穂子たちが私達のヘタレが原因で冷たくなったんだとしたら、解決方法は一つね」

菫「ヘタレじゃなくなること、か」

竜華「そんなこと言われてもなぁ……直そうとして直せるもんやないで」

和「でも、このままじゃ嫌です……」

ゆみ「もしもずっとこのままで破局につながったりしたら、私は一生後悔するだろうな」

久「向こうから来ない以上、こっちから行くしかないわね」

菫「……できるのか?」

久「できるできないじゃなくて、やるのよ。菫はこのままでいいの?」

菫「私は……嫌だ。もっと宥といちゃいちゃしたい!!」

久「そうよ、私だって美穂子ともっといちゃいちゃいたいわ!」

竜華「私も怜といちゃいちゃするんや!!」

和「私も咲さんと……!」

ゆみ「待っていてくれ、モモ……!」

久「ヘタレはヘタレなりにやってやろうじゃないの。みんな、今日から出来る限り攻めに回るのよ」

菫「ああ」

竜華「もちろんや!」

和「はい!」

ゆみ「分かった」

久「そうね、一ヶ月後にまた集まりましょう。この作戦……『ヘタレの逆襲大作戦』を、成功させるのよ!!」

4人「おー!!!」

久「みんな、良い報告を……待っているわ」

ーヘタレの逆襲大作戦、スタートー

To be continued...

取り敢えず終了です。
書き溜めが溜まったら第16回の方を投稿しようと思います。
読んでくださった方、ありがとうございました。

書き溜めが溜まってきたのでそろそろ再開しようと思います

一話が短く、いちいちスレを建てるのが手間なのでこれからはこのスレを使っていきたいと思います。

美穂子「これから、第16回ヘタレな恋人をどうにかしようの会を始めます」

ぼちぼち投下していきます。

美穂子「前回から一か月……誰も欠けることなく集まることができて嬉しく思います。松実さん、園城寺さん、宮永さん、東横さん。来てくれてありがとう」

宥「こちらこそ、毎回開いてくれてありがとう」

怜「作戦の結果報告会……欠席するわけないやろ」

咲「むしろこの日を心待ちにしていました」

モモ「みなさんの結果も気になるっすからね」

美穂子「みんな前回よりも晴れ晴れとした顔をしているわね……早速一人一人結果を聞いてもいいかしら?」

宥「うん、大丈夫だよ」

怜「順番的に言うと松実からか?」

美穂子「そうね、松実さん、お願いします」

宥「うん、私はこの間二人で映画を見たんだけど、私がいつもみたいに菫ちゃんの肩を借りないで黙って見てたら、菫ちゃんから私の手を握ろうとしてくれたの~」

怜「あのドヘタレ弘世が……信じられへん!」

宥「ほんとはすごーく握り返したかったけど、作戦のために我慢したよ。菫ちゃんの落ち込んだ顔をみるのは可哀想だったけど……」ホンワカ

モモ「その割には嬉しそうな顔してるっすよ」

咲「そ、それから……?」ゴクリ

宥「私がトイレに行って帰ってきたあと、菫ちゃんから少し離れたところに座ったの。そのときの菫ちゃんの悲しそうな顔ときたらもう……」アッタカーイ

美穂子「だいぶ引いたわね……」

怜「弘世の顔が容易に浮かんでくるわ……」

宥「無理矢理にでも私を隣に座らせなかったのは残念だけど、手を握ろうとしてくれただけでも大きな進歩かな」

咲「確かに菫さんは一番ヘタレですもんね。宥さんと付き合い始めてから最初の方はまともに目も合わせられなかったし」

宥「そうなの。きっと勇気を出してくれたんだなって思うと嬉しくなっちゃう」

美穂子「押してダメなら引いてみろ作戦……効果は絶大なようね。じゃあ次は園城寺さん、お願いします」

怜「はいな。えーっと、うちは竜華の膝枕を拒否してみたんや」

モモ「あの園城寺先輩が膝枕を拒否っすか!?」

怜「せや。竜華にはかなりショックだったらしくてな、涙目になりながら怜は私のこと嫌いになったん……?って聞いてきてん」

怜「そんで嫌いじゃないでーって答えたらキスしていいかって聞かれたんよ」

美穂子「清水谷さんはキスならできるのね……」

宥「羨ましいなぁ……」

怜「竜華の顔見てたらうちも我慢できなくてなって、そのままキスして終わりや。まぁいつもよりは早く引いたけどな~」

咲「竜華さんは小さな違いにも気づける人……それを逆手に取ったんですね」

怜「ちゅうわけで、竜華には弘世ほどの効果はなかったわ」

美穂子「なるほど、成果の程は人にもよるのね。じゃあ次は宮永さん、よろしくね」

咲「はい。私は和ちゃんの家に行ったときに作戦を実行しました。まず、和ちゃんの今日は家に二人っきり発言をスルーしたんです。和ちゃんは目に見えて落ち込んでました」

怜「恋人には少しは意識してもらいたいもんやからな」

咲「それでその後何をするかって聞かれたので、誰か呼ぶ?って言ってやったんです!!」

モモ「これは酷いっす……!」

宥「菫ちゃんに言ったらどうなるかなぁ」

咲「そしたら和ちゃんったら……私を抱きしめて二人っきりがいいって……//」

美穂子「す、すごい成果だわ……!」

怜「うちも言われてみたいわそんなこと!!」

咲「それが嬉しくて嬉しくて……それからはあまり引けなかったです……和ちゃん、かっこ良かったなぁ」テレッ

美穂子「それは無理もないわね……宮永さんはかなりの成果が出たようだけど、東横さんはどうだった?」

モモ「はい、私はしばらく先輩へのスキンシップを自重してみたっす」

咲「よく我慢できたね……」

モモ「辛かったけど頑張ったっす。そしてこの間先輩の家に行ったとき、先輩が他の女から貰ったというマスコットを見つけたっす……」

宥「私だったらその場で燃やすなぁ」

モモ「本当はそうしたかったっすけど、作戦のために我慢したっす」

美穂子「それでそのマスコットはどうしたの?」

モモ「気に入ったふりをして貰ってきたっすよ。先輩は私が怒らなかったことに対して違和感を覚えたっぽいっす」

怜「嫉妬してくれないっちゅうのはなかなかのダメージになるんやな……」

モモ「それからは目立ったことはなかったっすかねぇ……スキンシップが減ったことには気づいているみたいっすけど、それに対するアクションはなしっす」

美穂子「様子を窺っているのかしらね」

宥「もう少しって感じかな?」

怜「最後は福路やな」

美穂子「ええ、私はこの間久が泊まりに来た時に作戦を実行したわ」

美穂子「あまり恋人らしいことをしないようにと意識はしたのだけど、大きな勝負をかけたのは寝るときね」

モモ「な、何をしたっすか……?」ドキドキ

美穂子「久と別の場所で寝るという手段に出たわ」

宥「付き合ってるのに別の場所で寝るなんて……」

咲「ぶ、部長はそれに対して何も言わなかったんですか!?」

美穂子「驚いた顔はしていたけど……そのときは何もなかったわ。だけど30分くらいたった頃だったかしら。久が私を呼ぶ声が聞こえたの」

美穂子「私が寝た振りをしていたらベッドから降りてくる音がして……久が私の布団に入ってきて、しかも抱きしめてくれたのよ!!」

怜「なんやそのドキムネ展開!!」

美穂子「微かに愛してるわって聞こえてきて……心臓がドキドキしすぎて久に聞こえてしまうんじゃないかと思ったわ//」

モモ「なかなかやるっすね」

宥「菫ちゃんもそれくらいやってくれたらなぁ」

美穂子「……というわけで、全員の報告が終わったわね。この結果についてどう思う?」

宥「私はもう少し続けてみてもいいと思うなぁ」

怜「うちもや。竜華も効果なしってわけやないし」

モモ「私もっす。先輩はもうひと押しって感じっすね」

咲「私も続行でいいと思います。和ちゃんがこのまま積極的になってくれれば……//」

美穂子「満場一致ね。私もそれでいいと思うわ。じゃあ次は計画を……」

ピンポーン

美穂子「? 誰かしら。ごめんなさい、ちょっと出てくるわね」

宥「お構いなく~」

怜「ごゆっくりー」

美穂子「はい」ガチャ

菫「久しぶりだな、福路」

美穂子「ひ、弘世さん!?」

宥「菫ちゃん!?」ガタッ

怜「落ち着き!ここで出て行ったら不審に思われるで!!」ガシッ

美穂子「ご、ごめんなさい。今部屋の中がすごく汚くて……片付けてくるわ!!」

菫「いや、突然押しかけてしまったし迷惑なら……行ってしまった」


美穂子「大変!弘世さんが来たわ!!」

咲「どどどどうしよう!」

モモ「と、とりあえず隠れるっす!」

美穂子「この押し入れなら全員入るはずよ!」

怜「なんで弘世がこんなところに……」

宥「私何も聞いてない……」

美穂子「詳しい話は私が聞くわ」

宥「ありがとう」

美穂子「ごめんなさい、待たせてしまって」

菫「こちらこそ気を遣わせてしまってすまない」

美穂子「いえいえ。お茶とお菓子、置いておきますね。それで今日はどういうご用件で……?」

菫「ありがとう。実はこの辺に用事があるんだが、早く着きすぎてしまってな。それで確か近くに福路の家があったと思い出したから来てみた、という訳だ」

菫(少し苦しかったか……だが久に自分のことをどう思っているか聞いて欲しいと頼まれたなんて言えないしな……)

美穂子「そういうことですか。それで、用事というのは?」

菫「っ、そ、それはだなその……まぁ集会のようなものだ。……あまり詳しいことは話せない」

バキィ!

菫「!? な、なんの音だ……あの押入れからか?」ビクッ

美穂子「えーと、多分何かが落ちたんだと思います。気にしないでくださいね」

菫「あ、ああ……」


押入れの中
宥「詳しいことは話せないって……」

咲「お、落ち着いてください」

モモ(破損は……ないみたいっすね……良かった)

怜「何を隠してるんや……?」

菫「で、だ」

美穂子「はい?」

菫「福路に一つ聞きたいことがある」

美穂子「なんですか?」

菫「正直に答えて欲しい、お前の恋人……竹井のこと、どう思っている?」

美穂子「愛しています」

菫「即答だな」

美穂子「勿論です。久は目標であり、恋人でもある、私にとって一番大切な存在ですから」

菫「そうか、それだけ聞けたら私は満足だ。突然変なことを聞いてしまってすまないな」

~~メールを受信しました~~
from:松実 肴
sub:菫ちゃんに

菫ちゃんに、私のことをどう思っているのか聞いてもらえますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

美穂子「いえ……あら?メールが届いたみたい。ごめんなさい話の途中で」

菫「いや、気にしないでくれ」

美穂子「……弘世さん」

菫「何だ?」

美穂子「弘世さんは松実さんのこと、どう思っているんですか?」

菫「もちろん、愛している。今となっては宥以外考えられないほどにな。宥のことで一喜一憂する毎日だよ」

押入れの中
怜(宥のことで一喜一憂……)

宥「……」


美穂子「そうですか……松実さんは愛されているのね」

菫「竹井もな。まぁ私は宥に直接こういうことを言わないから、不安に思われてしまっているかもしれないが」

美穂子「久もなかなか言ってくれません……」

菫「竹井だって福路のことを何よりも大切に思っているさ」

美穂子「そう、ですね。そう信じています」

菫「ああ。……そろそろ時間か」

美穂子「集会のですか?」

菫「そうだ。今日はここで失礼するよ。長居してしまって申し訳ない。お茶とお菓子までご馳走になってしまったし」

美穂子「いえいえ、また是非いらしてください」ニコッ

菫「ああ、今度は四人でゆっくり話でもしよう」

美穂子「それは楽しそうですね」

菫「それじゃあな」バタン

美穂子「はい、また」

美穂子「みんな、出てきていいわよ」

咲「突然でびっくりしました……」

モモ「間一髪だったっす……」

怜「それにしても、用事っちゅうのは一体何なんや?」

宥「私にも何も言ってくれないなんて……まさか浮気、とか……?」

美穂子「それはないと思うわ。弘世さんの目、嘘をついているようには見えなかったもの」

宥「じゃあどうして……」

美穂子「……分からないわ。だけど、きっと何か言えない理由があるのよ」

モモ「例えばこの会と同じようなもの……とかっすか?」

咲「確かに、この会のことはいくら恋人だからと言っても言えないよね」

美穂子「だとしたら、弘世さんも同じような会を……?」

宥「……」

怜「……」

咲「……」

モモ「……」

宥「ない、んじゃないかなぁ」

怜「ないわ」

咲「ないですね」

モモ「ないっすね」

美穂子「そうよね、考えすぎだわ」


美穂子「とりあえず今は作戦を続行しつつ、様子見といったところかしら……」

怜「弘世に関してもノータッチやな」

咲「その場にいなかったはずの宥さんが知っていたら不審に思われますからね」

モモ「きっといつかわかるっす。それまでの辛抱っすよ」

宥「うん、ありがとうみんな」

美穂子「……弘世さんを信じてあげてね」

宥「……そう、だね。菫ちゃんのことは私が一番知ってるから」

怜「……」

モモ「……」

咲「……えっと、どこか遊びに行きませんか?気分転換も大事だと思います!」

美穂子「そ、そうね!折角来てもらったんだもの。案内するわ!」

モモ「私もこの辺にはあまり来たことないっすね」

怜「うんうん、うちも賛成や。な、松実!」

宥「そうだね、私も行きたいな」

美穂子「決まりね、じゃあ行きましょう」

咲「いい気分転換になるといいですね」

ーーそして五人は、長野の街に繰り出した

To be continued...

次回はヘタレサイドの話を投下したいと思います。
読んでくださりありがとうございました。

続き投下しようと思ったらいつの間にか他のss書いてました
投下します

久「これから、第二回最近恋人が冷たい理由について考える会を始めるわ」

久「みんなこんにちは。またここで集まれたこと、感謝しているわ」

菫「直接顔を合わせるのは久しぶりだな」

竜華「連絡は頻繁に取ってたけどなぁ」

和「でもやっぱり会って話すのも大切ですよね」

ゆみ「表情や声のトーンで解釈の仕方なども違ってくるからな」

久「それで、最近はどう?前回よりは清々しい顔をしているように見えるけど」

菫「聞いて驚くなよ。私は、自分から宥と手を繋げるようになった!!!」ドヤァ

久「……ええと、すごいわ」

竜華「まぁ菫にしては、なぁ?」

和「頑張ったと思います」

ゆみ「昔に比べたら成長したんじゃないか、うん」

菫「くっ、哀れみの視線を感じる……そういうお前らはどうなんだ?」

竜華「私はもう攻めまくりやで。ぎゅーしてちゅーしてラブラブや」

和「私はこの間咲さんの家に泊まって、くっついて一緒に寝ました。キスも何度かしましたね」

ゆみ「私も同じようなものだ。キスくらいならできるようになってきたな」

久「私もよ。慣れれば案外平気なのね。ドキドキはするけど」

菫「わ、私だけ遅れているということか……?」

竜華「ゆっくりでええんとちゃう?」

久「そうよ、こういうのは他人と競うものじゃないわ」

和「弘世さんが飛び抜けてヘタレというのは周知の事実ですし」

ゆみ「落ち込むことはないと思うぞ」

菫「うぐ、私も宥といちゃいちゃしたい……」

竜華「宥ちゃんも相変わらず冷たいんやろ?」

菫「そうだな……」

久「でも、私から攻めて拒否されたことはないわね」

和「私も同じです。それどころか少し嬉しそうな顔をしてくれるので、私も嬉しくなります」

ゆみ「効果に差はあれど、一応全員作戦の効果はあったようだな」

竜華「このままいけば、私達もヘタレ卒できるかもしれんな」

久「ということは、作戦はこのまま続行ということでいいかしら?」

菫「異論はない」

竜華「同じく」

和「賛成です」

ゆみ「私もだ」

久「……それにしても、やっぱり気になるわね、理由」

菫「ああ……何故いきなり冷たくなったのか……」

竜華「こっちからいって拒否されることはないっちゅうことは、嫌われてるわけでもないみたいやし」

久「誰か、何か思い当たる節はない?」

菫「ないな」

竜華「ないわ」

和「ないです」

ゆみ「さっぱりだ」

久「そうよね……私もよ」

菫「もしかしたら、自分では気づかないだけかもしれないな」

久「どういうこと?」

菫「客観的に見れば何かがわかるかもしれないということだ」

和「灯台下暗し、というやつですね」

菫「そういうことだ」

ゆみ「じゃあ、最近あった恋人との出来事を一人一人話していくというのはどうだ?」

久「いいわね、それ。全員で考えれば何かが見えてくるかも」

菫「順番は……この間と同じでいいか」

久「となると菫からね」

菫「そうだな。私はこの間……」

~~

東京 デート中
宥「わぁ、おっきい建物がいっぱい!」

菫「奈良に比べると狭く感じるな……」

宥「私達が住んでるところは山が多くてこんな建物ないから、なんだか新鮮な気分」

菫「そう言えば宥が東京に来ることはあまりなかったな」

宥「いつも今度こそ私がそっちに行くねって言ってるのに、菫ちゃんが来てくれるんだもん」

菫「あまり宥に長旅をさせたくないんだ。何があるかわからないからな」

宥「もう、心配しすぎだよ。私だって高校三年生なんだから」

菫「宥は可愛いから、変な奴に目をつけられる可能性も充分にある」

宥「菫ちゃん、そこまで私のこと考えてくれてるんだ」

菫「当たり前だろう、大切な恋人なんだから」キリッ

菫(決まった……)フッ

宥「……そっかぁ」ウツムキ

菫(思ったより反応が薄いな……)

菫「それより宥、寒くないか?」

宥「んと、少しだけ寒い、かな」

菫「じゃあ、こうしよう」テツナギ

宥「菫ちゃん……!」

菫「こうすれば、少しは寒さも和らぐだろう。私は体温が高いからな」

宥「でも、他の人に見られちゃうよ?」

菫「いくらでも見せびらかしてやるさ」

宥「……//」ギュッ

~~

菫「ということがあった」

久「結構やるじゃない……」

竜華「見直したで」

和「どちらかの家ならともかく、外で手をつなぐのはなかなか難しいです……」

ゆみ「好奇の目で見られることも少なくないからな……」

久「次は竜華ね」

竜華「うん、私はな……」

~~

千里山女子麻雀部 部活後

セーラ「じゃ、俺らは先帰るでー」

浩子「失礼します」

泉「お疲れ様でしたー!」

竜華「お疲れ~」

竜華「ふぅ」チラッ

怜「すぅ、すぅ……」Zzz

竜華「それにしても、よう寝とるなぁ」

竜華(夕暮れの部室で、膝の上で眠る恋人と二人きり……)

竜華「ロマンチック、やな」

竜華「怜ー、怜ー?……起きひん」

竜華「キス、しちゃうで?」

怜「すぅ、すぅ……」

竜華「……」チュ

怜「……ちゅっ」

竜華「!?怜、起きてた……んっ」

怜「……寝込みを襲うとは、ムッツリやな」

竜華「お、怒っとる……?」

怜「恋人にキスされて怒るわけないやろ?さ、帰るで~」

竜華「ちょ、怜!置いていかんといて!」

~~

竜華「以上や」

久「ラブラブじゃない!!」

菫「部室でディープキスだと!?」

和「誰かに見られてもおかしくないです……!」

ゆみ「以前に比べたらだいぶ積極的になったな」

久「次は和、ね」

和「はい、私は……」

~~

休日 映画館

咲「この映画、ずっと見たかったんだ~。一緒に来てくれてありがとね、和ちゃん」

和「いえ、実は私も見たかったんです」ニコッ

和(本当は咲さんに誘われてから原作まで読んできたのですが)

咲「そうなんだ!」パァッ

和(この笑顔を見られるだけで私は幸せです……!)

和「さて、そろそろ始まるようですし行きますか」

咲「うん!」

映画視聴中

咲「」ジーッ

和(咲さん、真剣に見ていますね……何かした方がいいでしょうか?)

和(しかし邪魔をしてしまうのは……)

和(いえ、ここでヘタれてはいつまで経っても前に進めません!やるのです私!)

和「……っ!」スッ

咲「」ビクッ

咲「……」サッ

和(手を重ねたら避けられてしまいました……いつかの弘世さんみたいです)ショボーン

咲「」ギュッ

和「!!」

咲「いきなりでびっくりしちゃったから……ごめんね」コソッ

和「いえ、こちらこそすみません……」コゴエ

咲「和ちゃん」

和「?」

咲「好き」チュッ

和「ささ咲さん」カァッ

~~

和「ということがありました」

久「甘い、甘いわ……」

菫「清水谷といい原村といい、いつ誰が見ているか分からないのにキスをするなんて……羨ましいじゃないか!」

竜華「咲ちゃんは結構押しが強いみたいやな」

ゆみ「愛されている証拠じゃないか」

久「次はゆみね、よろしく」

ゆみ「ああ、私は……」

~~

部活帰り 公園

ゆみ「今日も疲れたな……」

モモ「お疲れ様っすよ。それにしても珍しいっすね、先輩が寄り道したいだなんて」

ゆみ「まぁ、たまにはな」

モモ「そんな先輩に、これをプレゼントっす」

ゆみ「缶ジュース……どうしたんだ、これ」

モモ「さっきこっそり買ってきたっすよ。ささ、遠慮なくどうぞっす」

ゆみ「だが……」

モモ「いつもお世話になってるお礼っす。こんなんじゃ足りないっすけど」

ゆみ「いや、嬉しいよ。ありがとう」プシュ

ゆみ「……おいしい」ゴクッ

モモ「それは良かったっす」ニコッ

ゆみ「……ところでモモ」

モモ「?」

ゆみ(折角のチャンス、無駄にするわけにはいかない)

ゆみ「この甘いジュースを、もっと甘くする方法……知っているか?」

ゆみ(やれ、私……やるんだ!!)グッ

モモ「なぞなぞかなんかっすk……んっ」

ゆみ「……」チュ

モモ「……」ゴクッゴクッ

ゆみ「ぷはっ……」

モモ「せ、先輩……?」

ゆみ「甘い、か?」

モモ「……甘すぎて蕩けそう、っす」カァッ

~~

ゆみ「ということg 怜「青春か!!!!!」

ゆみ「まぁ、な」テレッ

怜「テレッやないわ!ヘタレちゃうやろ自分!!」

菫「公園で口移し……ヘタレができる芸当ではないな」

久「キザね……ゆみは元々そういうとこあるけど……」

ゆみ「べ、別にそんなこと」

和「ファッションヘタレ」ボソッ

ゆみ「なっ!」ガーン

久「さて、最後は私ね……」

>>88
怜でなく竜華でした……脳内変換お願いします……

~~

休日 ショッピングモール

久「この服、美穂子にすごく似合うと思うんだけど」

美穂子「少し派手じゃないかしら」

久「ううん、絶対似合うって。ちょっと着てみてよ」

美穂子「久が言うなら……」


美穂子「ど、どうかしら?」

久「……かわいい」ボーッ

美穂子「あまり見られると恥ずかしいわ」

久「うん、買いましょう。すみません、これください」

店員「かしこまりました、新品をお持ちしますね」

久「はーい。財布財布っと……」

美穂子「ちょ、ちょっと久!」

久「何よ、デートのときくらいかっこつけさせてくれてもいいじゃない」

美穂子「でも……」

久「いいから、大人しく甘えなさい」

美穂子「……ありがとう」ニコッ

久「どういたしまして。その笑顔が見られるだけで私は満足よ」チュッ

美穂子「久っ//」

久「大丈夫よ、ほっぺだし、誰も見てないし」

久(脚は震えてるけど)ガクガク


店員「ありがとうございました」

久「さ、どんどん行くわよ」ギュッ

美穂子「ええ」ギュッ

~~

久「ってことがあったわ」

菫「……お前も加治木のこと言えないんじゃないか?」

竜華「それ思ったわ。少女漫画によくいる女ったらしの男みたいや」

久「やめてよ、これでもかなり緊張したんだから。脚の震えが止まらなかったわ」

和「確かに以前の部長なら絶対にそんなことはできなかったと思います」

ゆみ「さすが、初対面の人に『あなたの瞳、綺麗ね』というだけはあるな」ニヤニヤ

久「……さっきのこと根に持ってるでしょ」ジトッ

ゆみ「さぁな」フフッ

久「もー!!」

久「……とりあえず、全員出揃ったわね。それで何か分かった人はいる?」

菫「さっぱりだ」

竜華「惚気を聞かされた気しかせぇへん」

和「なんだかんだでみなさん上手くいってるじゃないですか」

ゆみ「この人数を以ってして何もわからないとはな……」

久「んー……ダメだわ、考えれば考えるほどわからなくなってくる」

菫「ずっとこのままなのか……?」

和「咲さん……」

竜華「まぁまぁ、腹ごしらえでもして考えたらええんとちゃう?ごちゃごちゃ悩んでてもどうにもならへんし」

ゆみ「……言われてみれば、まだ何も食べてなかったな」

久「意識し始めると急にお腹が空いてくるわね」

和「どこかに食べに行きますか?」

菫「そうだな……」

竜華「ふっふっふ……そう言うと思ってな、これを持ってきたんや!」ドーン

久「なっ」

和「これは……」

菫「よくここまで持ってきたな……」

ゆみ「おお……!」

竜華「一家に一台、たこ焼き器や!!」

竜華「今日はたこ焼きパーティーやでー」

久「たこ焼きなんて久しぶりかも」

菫(淡を見てると食べたくなるんだよな……たこ焼き)

ゆみ「いいじゃないか、たこ焼き」ウンウン

竜華「せやろー?」

和「私も賛成ですが、材料はどうするんです?」

竜華「そりゃあ……買いに行くしかないやろ」

久「あ、それなら私と菫が行くわ」

和「先輩方に任せるわけには……」

久「いいのよ、今は先輩後輩は関係ないわ。ね、菫」チラッ

菫(……福路の件か)コクッ

菫「ああ、私と久が行くから、みんなは用意を頼む」

竜華「おおきにー」

ゆみ「すまないな」

和「ありがとうございます」

久「じゃ、行ってきまーす」

菫「行ってきます」ガチャ

菫「……」テクテク

久「……」テクテク

菫「……」ハァ

菫「えーと、一応聞いておくが、福路のことだよな?」

久「……ええ、そうよ」

菫「お前が心配しているようなことはなかったぞ。心の底からお前のことを大事にしていると思う」

久「ほ、本当?」

菫「本当だ」

久「本当に本当……?」

菫「……本当に、本当だ」

久「っはぁぁぁぁ………」ヘナヘナ

菫「お、おい、大丈夫か?こんなところに座り込むなって」

久「よかった……」

菫「まぁ、わざわざ聞かなくても分かっていたけどな」ヤレヤレ

久「……私だって、決して美穂子を疑っていたわけじゃないわ。ただ、自分に自信がなかったの。私は本当に美穂子に愛されてもいい人間なのかなって」

久「卑怯よね、自分からは何も言えないのに、人にだけ言わせようとするなんて」

菫「……確かに卑怯だな」

久「……」

菫「今のお前は卑怯だと思う。みんなは手探りで相手の心を知ろうと頑張っているのに、お前は結果的に相手から直接聞いた」

久「うん……」

菫「だが、聞いてしまったなら仕方がない。ならお前にできることは何だ?自分の気持ちを相手に直接伝えられるようにすることじゃないのか」

菫「自分がどんなに福路のことを大切に思っているか、本人に言ってやれるように努力すればいい話じゃないか。私だってそうだし、他のみんなだってそうだ。お前には同じ目的を持った仲間がいる」

久「……!」

菫「辛気臭い顔はお前には似合わないぞ」フッ

久「なによ……菫のくせに」

菫「失礼な奴だな、これでも私は白糸台高校麻雀部の部長だぞ」

久「はいはい……んー、なんか少し元気出たかも」

菫「全く……さっさと立て。みんなが待ってるぞ」

久「そう、ね」

菫「……」

久「……」

菫「……おい」

久「……安心して腰が抜けちゃった」テヘ

菫「……おい」イラッ

菫「……何故私がこんなことを」

久「まぁいいじゃない。袋は待ってあげてるんだから。それにしても、おんぶしてもらうなんて何年ぶりかしら」

菫「くっ、こんなところ宥に見られたら言い訳できないぞ……宥、すまない……私は宥が一番だ……」

久「何ブツブツ言ってんのよ。私だってこんなところ美穂子に見られたら……ま、流石にこのタイミングで鉢合わせする訳ないわよね」

菫(それにしてもこいつ、軽いな……宥と同じくらい、か?)

久「……」ドサドサッ

菫「……袋落としたぞ」

宥「菫、ちゃん……?」

菫(宥のことを考えてたら宥の声が聞こえてきたぞ……幻聴にしてはやけに鮮明だが……)

久「美穂子……」

美穂子「ひ、さ……」

菫「え?」

咲「部長……」

怜「これは……」

モモ(修羅場不可避っす)

菫「宥、何でこんな所に」

宥「菫ちゃんだって……それに」

宥「何してるの……?二人で」

菫「ゆ、宥、これはだなその」

久「私のせいなの」

久「情けない話なんだけど、私が腰を抜かしちゃって……」

宥「それって、菫ちゃんがあなたと二人で一緒にいる理由になるんですか?」キッ

久「そ、それは……」チラッ

美穂子「……」

怜(あ、あかんやろこれは)

咲(ど、どうしよう)

モモ(極力空気になるように努めるっす)

菫「とりあえず、話さないか?……できれば4人で」

美穂子「……分かったわ。松実さん、いい?」

宥「うん……」

菫「竹井、歩けそうか?」

久「ん……きゃっ」ヨロッ

美穂子「久っ」ガシッ

久「……ご、ごめんなさい」

美穂子「みんな、先に私の家に戻ってもらってもいいかしら?」

怜「ええけど……大丈夫なん?」

美穂子「平気よ。ごめんね」

咲「いえ……」

モモ「……お先っす」

菫「どこが話しやすいか」

美穂子「近くに公園があるわ。人もほとんどいないし、そこにしましょう」

菫「分かった」

公園

美穂子「単刀直入に聞くけど、弘世さんと久はどういう関係なの?」

菫「友達同士だ」

美穂子「久、そうなの?」

久「……ええ」

美穂子「今日は二人で遊んでいたの?」

菫「……いや、あと三人いる」

美穂子「誰?」

菫「鶴賀の加治木、清澄の原村、千里山の清水谷だ」

美穂子(……偶然かしら。それとも……)

美穂子「他のみんなはどうしたの?」

菫「みんなで夕食を食べることになっていて、用意をしてもらっている。私と竹井は買い出しの帰りだった」

美穂子「その帰り道、久は腰が抜けてしまって弘世さんにおぶられていたということね?」

菫「そうだ」

宥「嘘」

菫「宥……」

宥「そんなの嘘なんでしょ?二人ともにこにこしてて楽しそうで」

宥「信じられるわけ……ないよ……」ポロポロ

久「……ごめんなさい」

菫「宥、不安にさせてしまったことは本当に申し訳ないと思う。だけど、私と久は宥が思っているような関係では決してない。これだけは、信じてほしい」

美穂子「松実さん、言いたいことはよくわかるけど、とりあえず二人の言い分を聞いてあげましょう?それをどう判断するかはあなた次第だけれど」

宥「……うん」

美穂子「弘世さん、今日私の家に来たわよね?」

菫「ああ」

美穂子「確か集会……だったかしら」

菫「……そうだ」

美穂子「何の集会だったの?」

菫「それは……」

美穂子「久もその集会のメンバーなのよね?」

久「ええ」

美穂子「そして、東横さんの恋人の加治木さん、宮永さんの恋人の原村さん、園城寺さんの恋人の清水谷さん」

美穂子「全員が今日長野に揃っている。偶然だとは思えないの」

菫「……それもそうだな」

美穂子「もちろん弘世さんも何故松実さんがここにいるのか気になるわよね。だから、そちらが話してくれればこちらも包み隠さず話すわ」

美穂子「松実さんを安心させてあげるためにも……どうかしら」

宥「菫ちゃん……」

菫(交換条件か……流石福路だな。だが、みんなのためにも私一人であの集まりのことを話すのは……)チラッ

久「っ……」

菫(……久も相当参っているようだな)

美穂子「……答えを聞いてもいいかしら」

菫「……わかった」フゥ

菫「私達は……」

美穂子「……」

宥「……」

久「……!」

菫「甘いもの同好会だ」

美穂子「……えっ」

宥「……」

久「菫……」

美穂子「ご、ごめんなさい。もう一度言ってもらってもいいかしら」

菫「甘いもの同好会だ」

美穂子「」

菫「部活の合間に甘いものを求め遥々 宥「菫ちゃん」

菫「何だ?」

宥「ちゃんと話して。正直に、全部。これ以上誤魔化すと私、菫ちゃんのこと本当に信じられなくなっちゃう」

菫「……」

菫「わかった。ふざけてすまない。だが、これは私と久だけで決められることじゃないんだ。家にいるメンバーを呼び出すから、そっちのメンバーも呼び出してもらえないか?」

美穂子「……分かったわ」

菫「全員揃ったら全てを話す。いいよな、久」

久「……うん」

久の家
竜華「おっそいわ!!」

和「確かに、もう帰ってきてもいい頃ですね……」

ゆみ「まさか……事故にでも遭ったんじゃないだろうな」

竜華「さ、探しに行ったほうがええんやろか」

和「しかし、無闇に動いて行き違いになったら……」

prrr

ゆみ「電話か」ピッ

菫『もしもし、加治木か?』

ゆみ「ああ、どうしたんだ。事故にでも遭ったんじゃないかと心配していたぞ」

菫『すまない。みんなにも聞こえるようにスピーカーモードにしてもらえるか?』

ゆみ「わかった」

菫『みんな、お願いがあるんだ』

竜華「なんなん?ってか今どこにおるん?」

和「無事でよかったです……」

菫『順を追って説明するから、よく聞いてくれ。帰る途中、腰が抜けた久をわたしがおぶっていたら、福路、宥、園城寺、宮永、東横に鉢合わせした』

竜華「なんやて!?怜が長野に来とるんか!?」

和「さ、咲さん……?」

ゆみ「モモまでか……」

菫『私達の関係が知りたいらしくてな……あんなシチュエーションで見つかったから、誤解を招いてしまったようだ。本当に申し訳ない』

竜華「となると、この会のことを話さんといけなくなるっちゅうことやな」

菫『そういうことだ。この会は私達だけの物じゃないからな。みんなにも意見を聞いておきたい』

和「このままだと関係が修復不可能になってしまうのではないでしょうか……私は素直に話すべきだと思います」

ゆみ「私もそう思う。二人の関係が誤解されたままで終わるなんて、私の気が済まない」

竜華「もちろん私だってそうや。友達を見捨てるなんてことはできひん。それに、怜がいる理由も知りたいしな」

久『……ごめんなさい。私のせいで』

和「やめてください、部長。らしくないですよ」

竜華「せや、久は笑顔が一番似合っとるで」

ゆみ「何も気にすることはない。もう二度と集まれない訳ではないんだ」

久『……ありがとう、みんな』

菫『場所は、○○公園だ。分かるか?』

和「はい、分かります」

竜華「そこに行けばええんやな?」

菫『頼んだ』

ゆみ「ああ。じゃあ後で、な」ピッ

竜華「……行くで」

和「はい」

ゆみ「ああ」

美穂子の家

怜「……」

咲「……」

モモ「……」

怜「何が起こってるんやろな」

咲「わかりません……けど、部長が福路さんに何も言わないで、他の人と二人で会ってたなんて……何か理由があるとしか思えません」

モモ「……そもそも、本当に二人だけだったんすかね」

咲「え?」

モモ「だって、変だと思わないすか?清澄の部長さんと、白糸台の部長さん……そして私達……」

モモ「もしかしたら、もしかしたらっすけど……」

prrr

咲「す、すみません。福路先輩から電話……?」ピッ

咲「もしもし」

美穂子『もしもし、宮永さん?そこに全員いるかしら』

咲「はい、いますよ」

美穂子『スピーカーモードにして、周りにも聴こえるようにしてくれる?』

咲「わかりました」ピッ

美穂子『みんな、さっきはごめんなさい。それで、伝えたいことがあるの』

怜「なんや、どしたん?」

美穂子『久と弘世さんの他にも、清水谷さん、原村さん、加治木さんが来ているらしいわ』

怜「竜華が長野に?なんでや?」

咲「和ちゃんもいるんですか!?」

モモ「やっぱりっすか……」

美穂子『何か集まりがあるらしくて来ていたらしいのだけど、詳しい話は今から聞こうと思っているの』

美穂子『○○公園に来てくれないかしら。……そこで全てが分かるわ』

咲「○○公園ですね、分かりました」

美穂子『話が早くて助かるわ。それじゃあ、よろしくね。もしかしたら、私達のこともバレてしまうかもしれないけど』

怜「そんときはそんときや」

咲「そうですよ、バレたらバレたで和ちゃんがいかにヘタレかを自覚させてあげるんだから!」

モモ「バレたとしても、その上で集まることだってできるっすよ」

美穂子『……頼もしいわね、ありがとう。みんな』

咲「じゃあ、今から行きますね」

美穂子『ええ、よろしくね』

咲「はい、失礼します」ピッ

怜「な、なんや変に緊張するわ」

モモ「ドキドキっすね……」

咲「……行きましょうか」

怜「……」コクッ

モモ「はいっす」

公園

美穂子「……」

宥「……」

怜「……」

咲「……」

モモ「……」

久「……」

菫「……」

竜華「……」

和「……」

ゆみ「……」

久「……そうそうたる面子ね」

菫「まったくだ」

美穂子「みんな、言いたいことはあるだろうけど、まずは久たちの集まりについて聞きましょう。質問は全部それからでお願いね」

美穂子「久、弘世さん、教えてくれるかしら。そのメンバーで集まって、何をしていたのか」

美穂子「あなた達二人の疑いを晴らすためにも、ね」

久「……っ」

菫「私達は……」

久「待って、私が言うわ」

菫「無理するな」

久「いいの。私が言うべきだから」

菫「……分かった」

久「私達は……」

久「『最近恋人が冷たい理由について考える会』のメンバーよ」

美穂子「最近」

宥「恋人が」

怜「冷たい」

咲「理由について」

モモ「考える会?」

久「そうよ、名前通り自分たちの恋人が冷たくなった理由について、一ヶ月くらい前から集まって、あーでもないこーでもないって議論しているの」

美穂子(まさかとは思ってたけど……流石に予想外だったわ)

宥「わ、私、菫ちゃんに冷たくなんて……あっ」

怜「あの作戦を実行したためにこんな会が発足してたんか……」

咲「これはなんと言うか……」

モモ「……あるんっすねぇ、こんなこと」

竜華「な、なんやその顔!」

和「そうです!!私達がどんなに悩んだか……」

ゆみ「色々考えたんだぞ!!」

モモ「だってそもそもの原因は……」ジーッ

怜「なぁ……?」ジトーッ

咲「和ちゃん達がヘタレだから……」

和「うっ」

モモ「そうっす」

ゆみ「くっ……」

怜「ヘタレ竜華」

竜華「うぅ……」

美穂子「あの反応を見るに、さっきのように嘘を言っているわけではないようだし……私達の集まりも教えておくわね」

美穂子「私達は……」

久「私達は……?」ドキドキ

美穂子「『ヘタレな恋人をどうにかしようの会』です」

久「」

菫「」

久「な、何よその会……」

菫「宥、私に黙ってそんな会に……」

宥「ごめんね……だけど」

宥「菫ちゃんがあまりにもあの、ね……?」

菫「それは……す、すまない……」ガクッ

美穂子「私達は、一年くらい前からこの会を始めたの」

美穂子「ヘタレを改善してほしくて、いろいろ試してきたわ。ほとんどは効果がなかったけれど」

久「そういうことだったのね……ということは、冷たくなったのも……?」

美穂子「ええ、亦野さんから教えてもらった、『押してダメなら引いてみろ作戦』の一環よ」

菫「亦野も絡んでいるのか……」

美穂子「誰か、お互いに質問のある人は……」

竜華「怜!ヘタレな恋人をどうにかしようってどういうことやねん!!」

怜「そのままの意味や!ヘタレ!!」

和「私に何も言わないでそんな会に参加するなんて!!」

咲「言ったら意味ないもん!!」

ゆみ「モモ、せめて何か言ってくれたら……」

モモ「言ってもダメだった人のためにこの会があるっす!!」

ワーワーギャーギャー

美穂子「……ないみたいね」

菫「ちょっといいか?」

美穂子「何かしら」

菫「そっちも今日やってたんだよな、だとすると、私が福路の家に行ったとき……」

美穂子「ええ、全員いたわ。勿論松実さんもね」

菫「……ということは」

美穂子「あなたの松実さんへの愛、感動したわ」

菫「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」カァァ

宥「菫ちゃん、かっこよかったよ」

菫「宥……!」

宥「あのあと竹井さんをおんぶしてるところを見るとは思わなかったけど……私には滅多にあそこまで近づいてくれないのに」ボソッ

菫「ぐっ……す、すまない、宥……」

宥「なんて、謝らなくちゃいけないのは私だよね……信じてあげられなくてごめんなさい、菫ちゃん。竹井さんも、酷いこと言っちゃってごめんなさい」ペコリ

久「ううん、あんな所を見たら、普通は誤解するに決まってるわ。誤解させてしまってごめんなさい、松実さん」ペコリ

久「美穂子も……ごめんっ」

美穂子「……久っ」ギュッ

久「みみみ美穂子!?ここ公園だし、みんな見てるから……っ」

菫「お熱いことだな」フッ

宥「私達もね」ギュッ

菫「ゆ、宥……//」

美穂子「みなさん、今日はお疲れ様でした」

久「お疲れ様」

菫「一日がとても長く感じたな……」

宥「だけど距離は縮まった気がするなぁ」

怜「まさかこんなことになってるとは思わんかったわ」

竜華「事実は小説より寄なりっちゅうことやな」

和「一生忘れない日になりそうですね」

咲「衝撃的だったもんね」

モモ「一時はどうなることかと思ったっすけどね」

ゆみ「まぁ、終わりよければ全て良し、だな」

美穂子「これからは各自解散にするわね。荷物は帰る時までに取りに来てくれたらいいから」

久「ん?」

菫「どうした?」

久「なんか忘れてるような……」

菫「忘れてる……?あ」

久「……そうよ」

和「ひょっとして」

ゆみ「ん?……あっ」

竜華「たこ焼き食べてないやん!!!!!!」

久の家

久「まさか自分の家にここまで人が集まるとは思ってなかったわ……」モグモグ

美穂子「私達まで押しかけちゃってごめんなさい」

久「いいのいいの、大人数のほうが楽しいし。それに……」ゴクン

美穂子「?」

久「恋人と食べるご飯って、美味しいじゃない」ニコッ

美穂子「久……//」

竜華「あっついわぁ……」

怜「うちらも負けてられんなぁ……竜華、あーん」

竜華「……っあーん//」パクッ

怜「竜華、顔真っ赤やで。そんなに暑いん?」ニヤニヤ

竜華「くっ……怜が可愛いのが悪いんや!!」

怜「なっ……竜華……//」

菫「全く……節操のない奴らだな」モグモグ

宥「たこ焼き、あったかーい」ホカホカ

菫「宥、火傷しないようにな。私が食べやすいようにある程度冷ましておいたから、それを食べると良い」

宥「ありがとう、菫ちゃん。……菫ちゃんは食べさせてくれないの?」

菫「……わ、分かった」

菫「宥、あ、あーん……」ガクガク

宥「あーん……うん、美味しい」ニコニコ

和「口から砂糖が出てきそうです」

咲「あはは……でも、こうやって大人数で食べるのって楽しいね」

和「はい、麻雀とはまた違った楽しさがあります……あ、咲さん。口の横にソースが」

咲「えっ、どこどこ!?」

和「……」ゴクリ

和「ここ、です」ペロッ

咲「っ!の、和ちゃん……//」

和「……//」

モモ「なんすかこれ!!」

ゆみ「まぁ、いいんじゃないか?家だし」

モモ「そういう問題じゃないっす!私も先輩といちゃいちゃしたいっすー!!」

ゆみ「そ、そっちなのか」

モモ「さぁ先輩!今すぐ私に熱い口づけを……!」ンー

ゆみ「お、おい……モモ……?」

モモ「先輩……」

ゆみ「こ、これで許してくれっ」ギュ

モモ「柔らかいから許すっすー!!!」ギュッ

そして……

久「私は今日は美穂子を泊めるつもりだけど、みんなはどうする?」

菫「そういえば考えてなかったな……どこかホテルでも探すか」

美穂子「それなら私の家に泊まればいいわ」

菫「いや、でも……」

美穂子「松実さん、私の家、分かるわよね?」

宥「分かるけど……いいの?」

美穂子「遠慮なんていらないわ、友達だもの」ニコッ

宥「ありがとう」ニコ

菫「すまない」ペコリ

咲「あ、じゃあ怜さんたちは私の家に泊まって下さい。今日はお父さんいませんし。前に来たことありましたよね?」

怜「え、ええの……?」

竜華「家主がおらん家に他人が泊まるんもなぁ……」

咲「いいんです、私達も怜さん達も二人きりになりたい……利害の一致です」フンス

竜華「うぅ……おおきに、咲ちゃん!」ギュッ

怜「竜華……」ジトッ

竜華「う……堪忍してや、怜ぃ」

和「咲さんも嬉しそうにしないでください!……私は咲さんと私の家に行きます」

ゆみ「私もモモと私の家に行く」

久「じゃあ、ここで解散でいいかしら」

美穂子「そうね。みんな、改めてお疲れ様でした」

宥「うん、今日はありがとう」

怜「楽しかったで~」

咲「今度はみんなで麻雀でも打ちましょう」

モモ「楽しみっす!!」

「それじゃあまた」

「じゃあね~」

「お疲れ様でした~」

久「……」

美穂子「……」

久「私の部屋、行く?」

美穂子「ええ、そうね」


久の部屋

久「今日は楽しかったわね」

美穂子「ふふ、色々あったけどね。まさか久があんな会を開いていたなんて」

久「……こっちのセリフよ、それは」

美穂子「そうかもね、ごめんなさい」

久「美穂子……」ギュッ

美穂子「どうしたの?久」ナデナデ

久「私、怖かった……美穂子に嫌われちゃったんじゃないかって」

美穂子「どうして?」

久「最近冷たかったし、菫と二人で一緒にいるところも見られちゃったし」

美穂子「私は、そんなことでは久のこと嫌いになんてならないわ」

久「それは分かってたけど……」

久「ねぇ、美穂子」

美穂子「?」

久「ヘタレな私は嫌?やっぱり直してほしい?」

久「なんて、嫌に決まってるわよね。ごめんなさい。これからは直すように気をつけるから」

美穂子「……久」

久「なに?」

美穂子「私、間違っていたわ」

久「え?」

美穂子「確かに、もう少し久が勇気を出してくれたらって考えていたし、そのためにいろいろやったわ。だけどいつの間にか、久のヘタレを直すことだけを考えて、久の気持ちを考えていなかった。目的と手段が、入れ替わってしまっていた」

美穂子「自分に自信がないだけなのに、それを久がヘタレだからってことにして、久を不安にさせて、それに今更気づくなんて……彼女失格ね、私」

久「正直、不安にはなったわ……だけど私、冷たくされて気づいたのよ。自分が今までどれだけ美穂子に甘えてきたかって。自分に自信が持てなかったのは私も同じだし」

久「それにね、美穂子は彼女失格なんかじゃない。だって私はこんなに美穂子のことが好きなんだもの。美穂子が私の彼女失格なら、私も美穂子の彼女失格だわ」

久「私達は、両方同じようなことを考えていたのね。だからぶつかり合って、うまく重ならなかった」

久「だけど美穂子がちゃんと思ってたことを話してくれたから、美穂子のことを知ることができた」

久「もっと美穂子には自信を持ってほしいわ。私、美穂子の彼女で本当に良かったって思ってるのよ?」

美穂子「久……久ぁ……っ!」グスッ

久「たまには私に甘えてよ。私ももっと頑張るから」ナデナデ

美穂子「私も、久の彼女で良かった……っ」

久「うん」

美穂子「これからも、私の彼女でいてくれる……?」

久「美穂子が私のこと嫌いになるまで、離れてあげないんだから。だから美穂子も、私の彼女でいてね」

美穂子「ええ……」ギュッ

久「美穂子の瞳、本当に綺麗ね」

美穂子「……その言葉を中学生の頃に言われてから、この瞳を少しだけ好きになることができたの。久のおかげよ」

久「あのときは、お互いのことなんて全然知らなかったわよね。それなのに今はこうやって二人きりでくっついて、話してる。不思議だわ」

美穂子「そうね、とても不思議。夢みたい」

久「夢なんかじゃないわ……ねぇ美穂子。私ね、美穂子のこと、もっと深くまで知りたいって思ってるの」

美穂子「……え?」

久「今までは、ずっと怖かった。失敗して、嫌われたらどうしようって、そればかり考えてた。だけど、今日美穂子とちゃんと話してみて分かったの。怖がることなんてないんだって」

美穂子「久……」

久「美穂子の全部、私に教えて?」

美穂子「嬉しい……もちろんよ、久」

久「えと、下手くそかもしれないけど……」

美穂子「そんなの関係ないわ」

久「そっか……愛してるわ、美穂子……ちゅっ」ドサッ

美穂子「んっ……私もよ……久」

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