塩見周子は揺るがない (17)

初ssになります。書き溜めもありますし短いと思うのでちゃっちゃと投下したいと思います。

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名前、塩見周子。
年齢、18歳。
誕生日、12月12日。
身長、163センチ。
体重、45キロ。
スリーサイズ、上から、82,56,81。
出身地、京都府。
性格、奔放。
キリっとした瞳に大きな黒目。
白く透き通る肌に、脱色したのであろうか、白い髪。
身体の線は細く、目を離してしまうと消えてしまいそうな儚さを感じさせる。
そんな彼女は今、俺の元でアイドルをしている―――。

「おなかすいたーん」

彼女の声が送迎用の車内に響く。時刻は午後十一時、仕事終わりである。

「お疲れ様、どっか寄ってくか?」

彼女の仕事は上々の仕上がりだった。監督、カメラマンから次の機会を与えてもらえるくらいに。仕事の内容は少年誌のグラビア撮影。彼女の白い肌に黒い水着がよく映えていた。その姿はまるで雪のように美しく、触れれば融けてしまいそうで―――。

「ファミレスがいいなー?だめー?」

撮影現場の光景を思い出している最中、彼女の声がかかる。

「ん、了解。外食もいいけどたまには料理もしろよ?」

「将来のためにもねー。」

そういって目を細める。今日の撮影では見られなかった表情だ。

「今日はたくさん褒められちゃった。真っ白で綺麗だねーって。」

「ん?ああ、そうだな。」

一瞬どきりとして、思わず素っ気なく応じてしまう。

「ふふーん!しゅーこちゃんはかわいいので!」

「幸子が拗ねるぞ。」

同僚の物真似をする彼女。どうやらあまり似せる気はないようだ。
「拗ねたらPさんが慰めてあげるんでしょ?」

「誰がするか」

にやにやと笑う彼女に、軽口で答える。

「あ、Pさんあそこ!ファミレスはっけーん!」

彼女が指差すその先に、明かりのついた看板が立っていた。

「あそこでいいか?変装の準備しとけよ。」

「はーい」

そういって後部座席にある鞄を漁る彼女。
その後ろ姿に覗く白く美しいうなじに思わず息をのむ。ハンドルを回し、駐車場に車を止める。先に入っとくぞ、と声をかけ、車外に出る。高鳴る鼓動を悟られぬように。

「とんかつ定食一つ、おまえは?」

「シーザーサラダとミートドリアで」

かしこまりました、と一礼して店員は去って行った。

「やーんPさん、おまえ、だなんてー!まるで夫婦みたーい!」

頬を赤らめながら、身をくねらせて彼女が言う。思わず顔が緩んでしまいそうになるが、ぐっと堪え、言葉の代わりにデコピンで返す。

「あいたー。」

「いいから水でも持ってきなさい。」

「わかりましたよー。あ、な、た。」

そういって席を立つとドリンクバーへと向かう。去り際にウインクを残して。

「あれで真面目なんだよなあ・・・。」
思わず独り言をこぼしてしまう。そうなのだ。あんなに奔放で、飄々としている彼女だが、レッスンは真剣に受けているし、ライブも一生懸命に取り組んでいる。
最初期、事務所に入りたての頃こそ、アイドル活動に対して不慣れなところもあったのか、精力的に活動しているとは言えなかったものの、
今では多くのファンを得るまでに成長している。そんな彼女の成長を見てきた俺は―――。

「お水いれたーん」

俺の横にグラスを置いて、先ほどと同じように正面に座る。頬の赤らみは既におさまっていて、いつもと同じ白い顔だ。

「たーんって言いたいだけじゃないのか?」

「いやーしゅーこちゃんの代名詞だからねー。積極的に使ってアピールしとかないと。」

そういってグラスを傾け、水を飲む彼女。

「ここで何をアピールするんだ。テレビじゃあるまいし。」

「さあー?」

「お待たせいたしました。こちらとんかつ定食になります。こちらミートドリアとシーザーサラダになります。ご注文は以上でよろしいですか?」

店員がやってきて手慣れた手つき次々と料理を置いていく。よくそんなに多くのものを持ってバランスが取れるものだと思わず感心してしまう。一つもまともに持つことができそうもない俺には到底無理なものだ、と去っていく店員の後姿をぼんやりと眺めていた。

「あ痛っ!」

ぼんやりと店員の後姿を眺めていた俺の額に、痛みが走る。前を向けば、彼女が不機嫌そうな顔をして、手をこちらに伸ばしていた。どうやら先ほどの仕返しをされたようだ。

「アイドルの目の前でほかの女の子に目移りしちゃうんだー。へー。あの子もスカウトしちゃうのかなー?」

「い、いや、そうじゃなくてだな・・・。」

「言い訳は聞きたくありませーん。」

「うぐ・・・すまん。お詫びになんか好きなデザート頼んでいいから。」

「Pさんさっすがー!男前―!」

言質を取った彼女は、すぐさま店員を呼び、このストロベリーパフェ一つ、と頼んでいた。

「でもほんとPさん、アタシだからいいけど、ほかの女の子の前でそんなことしたらそっぽ向かれちゃうよー?」

別にいいんだけどな、と呟いたが、どうやら彼女には聞き取れなかったらしく、首をかしげて頭に?マークを浮かべていた。

「なんでもないよ。どうせそんな相手もいないしな。」

そういうと彼女は、頬杖をついてそっぽを向いた。口元が微かに動いたような気がしたが、気にしないことにした。

「冷めないうちに食べるぞ。後でパフェも来るんだからな?」

「はいはーい。」

そういうと、ミートドリアに手を付け始める。同じように、こっちも箸をつけることにした。店内は静かで、会話がなくなったことを嫌に実感させられた。

「ご馳走様でした。」

パフェを食べ終えご満悦の表情をしている彼女に、プロデューサーとして話題にすべきであろうイベントの話を切り出す。

「総選挙、発表明日だな。」

「うーん、そうだね。どう?Pさんはそのへん。」

「中間はいい位置につけてたからな。十分可能性はあると思う。」

そう、中間発表の時点では前回の19位よりもいい位置にいたのである。発表の当時は仕事だったため、俺一人で見ることになったが、13位の掲示を見た後はもちろんすぐに彼女に連絡した。その時の対応は存外素っ気ないもので、ひどく冷静だったのを覚えている。

「13位だっけー?でも、今回ニュージェネレーションが強いしどうかなー?」

「弱気になってどうする。大丈夫さ。」

「めざせトップ10入り!かなー。」
控えめに目標を掲げる彼女。目指せシンデレラガール!と言っても問題ではない位置につけているのだが。

「いや、シンデレラガールになりたくないわけじゃないんだよ?でもさ、こっちにもちょっと色々と事情があってね?」

そんな表情が表に出てしまっていたのか、彼女が言葉を続ける。

「まだ踏ん切りがつかないっていうか、自分でも臆病だなーって思うんだけどさ。」

そういうと頭を掻いてうーんと唸る。

「大丈夫だって。お前はシンデレラガールになる資格がちゃんとあるさ。」

しばらく黙っていた彼女だったが、すっと顔を上げた。

「うん、そうだね。よし、決めた!しゅーこちゃん、一位目指しちゃおー!」

そうと決まったら善は急げだ、と言わんばかりに席を立って店を後にしようとする。

「待て待て、会計すんでないから。ほれ鍵。先に車に入っとけ。」

そういうと彼女に鍵を渡して、会計を済ませる。明日は総選挙の結果発表。今日までの一年間の総決算とも言える重要な日だ。ふと時計を見ると、シンデレラの魔法が解ける時間だった。

総選挙の発表の後、彼女は姿を消していた。事務所では多くのアイドルの喜ぶ姿と、それの倍以上に悲しむ姿が目についていた。ある意味総選挙とは酷なもので、順位が付けられることによってこれまでの努力が否定されるかのような感覚がやはりあるのだろう。それに配慮しているからなのか、発表は上位50名からとなっている。
結果自体は11位と、全アイドルの中でも上位に入り、満足のいく結果のはずだ。しかし、シンデレラガールに手が届く位置にあったという事実が、やはり悔しかったのだろうか。それに彼女は昨日、「シンデレラガールを目指す。」と言っていた。

「屋上、って言ってたかな。」

事務所を後にし、屋上に向かう。屋上に向かうにはエレベーターではなく、外の非常階段からでなければならない。一歩一歩、階段を上っていく。彼女のことを思いながら。いま彼女はどんな気持ちでいるのだろうか?シンデレラガールになれなかった悲しみに溺れているのだろうか。自然と足が速くなる。すぐにでも彼女の元に着きたかった。プロデューサーとしてではなく、一人の男として。

屋上に上がると、彼女は空を眺めていた。太陽は沈みかかっていて、次第に夜の帳が下りてくるころだ。

「あ・・・。」

こっちに気が付いたのか、彼女が振り返る。 その目は赤く腫れていて、先ほどまで彼女が泣いていたことが容易に理解できた。

「ごめんね、Pさん。アタシ、駄目だった。」

そういうと、彼女は胸に飛び込んできた。それを受け止めて、抱きしめる。強く抱きしめてしまうと折れてしまいそうな細い体が、微かに震えていた。

「なあ、周子。」

様々な言葉が頭の中を巡っていた。大丈夫だ。お前はよく頑張った。次があるさ。立派な成績じゃないか。違う、こんなことが言いたいんじゃない。俺が言いたい言葉は―――。

「好きだ。」

いつからだったろうか、彼女のことを好きになったのは。あってはならないことだと理性では理解していながらも、その感情の火は消えるどころか、次第に大きくなっていった。一緒に仕事をする時間に比例し、思いは募っていくばかり。どこから間違ってしまったのか。今となってはもう覚えていない。アイドルとプロデューサー。決して交わることのない関係なのだと、自分に言い聞かせて過ごしてきた。だが駄目だった。泣いている彼女を前にして、抑えていた感情が溢れてきた。

「プロデューサーとして最低だと思う。泣いているアイドルを前にして、こんなこと言うべきじゃないってのはわかってる。でも言わせてくれ。アイドルとしてじゃなく、一人の女の子として、俺は周子のことが好きだ。」

そういうと、彼女が顔を上げた。涙でメイクはボロボロだし、目は真っ赤に腫れていてとてもテレビには出られそうもなかった。

「なんで、先に言っちゃうかな。ほんとは、アタシが、シンデレラガールになって、言う、つもりだったのに。」

嗚咽しながらも、彼女が言葉を紡ぐ。

「あ、アタシも、Pさんが、好き。大好き。プロデューサーとしてじゃ、なくて。一人の男として、大好き。」

そういうと、彼女は俺の体に手を回した。雪のように白い彼女は、大きな熱を持って俺の腕の中に収まっていた―――。

塩見周子は揺るがない。

「おはよーPさん。」

「おう、おはよう。」

それから一週間後、周子はこれまで以上に精力的に、アイドル活動に取り組んでいた。総選挙の結果に落ち込むこともなく、次の総選挙に向けて努力を続けている。関係はプロデューサーとアイドルから恋人になったものの、公私を分け、二人でいるときのみ、恋人らしいことをするようにしている。

「今日は午前がダンスレッスン。午後からは雑誌の撮影だな。」

「はーい、それじゃあレッスン行ってくるね!」

そういってレッスンスタジオに向かおうとする周子だったが、足早に戻ってきて一言、

「あの日の続きは、アタシがシンデレラガールになってからね?」

と耳元で呟いて去っていった。きっと今頃周子の顔は赤く火照っていることだろう。
デスクに座ると、向かいのパソコン越しからちひろさんがこちらを覗いていた。

「どうしたんですか?顔が赤いですよ?熱でもあるんですか?」

「大丈夫ですよ。」

そういうと彼女はすこししょんぼりした顔をした。大方エナジードリンクでも売ろうと考えていたのだろう。


「そういえば、最近周子ちゃん、調子良さそうですね。」

ちひろさんからの質問に俺は胸を張って答える。

「ええ、自慢のアイドルですから。」

終わりです。
短くまとめようとした結果膨らまないお話となりました。
ちひろをdisったことによるガチャへの被害が少し怖いです。

稚拙な文を公に晒すことがこんなに恥ずかしいこととは。
というわけでパワプロで天才型出るまで粘ってきます。

コメントありがとうございます。
個人的にしゅーこはPとの距離感をうまく保ちそうなタイプ。
あと飄々としているので泣かせたかった。反省はしていない。
html化依頼?をするのがよさそうなのでしてきます。

次こそはシンデレラガールへ!

>>11
ちひろをdisったらもうおしまいだな
早く課金しないと

>>15
最近20kくらいじゃまったく引けなくなってきて悲しいです

次書く題材が決まってないのでなんかヒントをください(懇願

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