星宮ケイト「りーんばうむ?」 (67)

ケイト「…それはバームクーヘン的なものなのか?」

アティ「ち、ちがいますよっ」

的なものを拙いながらつらつらと

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~第X話 招かれた侵略者~


-アリーゼの部屋-

アティ「…んー、今日はとってもいい天気ですね、ポカポカして」

アリーゼ「はい、そうですね…」

アティ「潮風も気持ちいいし、お洗濯にはいい日ですね~」

アリーゼ「…先生、あの」

アティ「はい?なんですか?」

アリーゼ「ちゃ、ちゃんと授業してください」

アティ「…あはは、すみません、つい」

アリーゼ「…もぅ」

アティ「それにしたって、こんな日は外に出なきゃ勿体無いですよ」

アリーゼ「それはまぁ…そうなんでしょうけど」

キユピー「キュッピ~?」

アティ「そうだ!今日の授業は実習にしましょうか」

アリーゼ「実習ですか?」

アティ「はい、召喚術を使いこなすためには実際にやってみるのも大事ですから」

アリーゼ「…はぁ、でも…私まだキユピー以外の召喚術は…自信、ないですよ…」

キユピー「キュ~」

アティ「大丈夫です、最初は簡単な術にしますし私もついてますから」

アリーゼ「…先生がそういうなら、分かりました」

アティ「はいっ、では行きましょうか」

-草原-

アリーゼ「…あの、先生…その石は?」

アティ「これは無色のサモナイト石です、今日はこれの使い方を練習しようと思いまして」

アリーゼ「えと、でも確か…先生は私には霊界サプレスの召喚術の素養があると前に言いましたよね?」

アティ「はい、でもこの石を使った召喚術は基礎さえしっかりしていれば誰でも大抵は使えるものなんですよ」

アリーゼ「…そうなんですか?」

アティ「ええ、使いこなせればそれなりに便利なんですよ?…例えば」

パアアア ボフンッ

アリーゼ「わっ?!」

ウッドテーブル「」

アティ「こんな風にテーブルを出したりして、ピクニックの時なんかは重宝しますね」

アリーゼ「へ、へぇ…」

アティ「あとは適当な道具とか、呼び出されるのが結構ランダムなので…そこが欠点ですね」

アリーゼ「この子みたいな、召喚獣が呼び出されることはないんですか?」

キユピー「キュ?」

アティ「ええ、大抵は石塊なんかの無機物がほとんどで…一説によると"名もなき世界"とは既に荒廃した世界であり、生き物のいない場所といわれています」

アリーゼ「…そ、そうなんですか?」

アティ「あっ、でも中には私たちのような人間が召喚されたとの証言もあって、本当のところは誰にも分からないんですよ」

アティ「それでは練習を始めましょう、アリーゼちゃん」

アリーゼ「は、はい!がんばります…」


アリーゼ「えっと、まずはサモナイト石と…道具を合わせて」

アティ「…」ウンウン

アリーゼ「…こう、かな」


スバル「あっ!お姉ちゃんに先生!なにやってんだー?」

パナシェ「先生、こんにちはー」

アティ「あっ、はい皆こんにちは」

マルルゥ「なんだか2人して面白そうなことしてますね?マルルゥも混ぜてくださーい!」

アティ「えっとね、今ちょっと集中してるところだからあまり大きな声は」


アリーゼ「あっ!わわわ、きゃーっ!」

ガタガタ グラグラ バチバチ

アティ「えっ!アリーゼちゃん!?」

アリーゼ「せ、せんせぇ!」

マルルゥ「な!?なんだかすっごいビカビカしてるですよーっ!!」

アリーゼ「ど、どうしよう!?先生っ!」

アティ「落ち着いて!まずは力を抜いて石の力を安定させるの!」

スバル「もしかしてお姉ちゃん…かなりやばいんじゃ…!」

パナシェ「もしかしなくてもだよ、スバル!」

アリーゼ「だ、め…抑えられない…っ!」

ゴゴゴゴゴッ グォォオオッ

アティ「っ?!危ない!」バッ

バァァアアアアアンッッ

パナシェ「うわぁあっ!?」

スバル「破裂したぞっ!!」

マルルゥ「せ、先生さんが飛び込んでいったですよーっ!」

プスプスプス モクモクモクモク

アリーゼ「…ぅ、ぅぅ……」

アティ「あ、アリーゼちゃん…大丈夫ですか?」

アリーゼ「せ、せんせえ……はい、わたしは…先生こそ、怪我は」

アティ「私のことはいいんです……ごめんなさい、私がついていながらこんな」

アリーゼ「い、いいえ!私のほうこそ…うまく、できなくて…うぅ」

アティ「何事も失敗はつきものだから、そんなに落ち込まないで」

アリーゼ「……先生…」

マルルゥ「2人ともーっ!だいじょうぶですかーっ?!」

パナシェ「…え?…あれって」

?「……」

スバル「先生たち以外にも、誰か倒れてるぞ?」

アティ「…え?」

?「…うぅ、あいたたた…なんだ?急に椅子から転げ落ちた…?」


アリーゼ「先生、あれって…」

アティ「…ええっと」

?「ん?草?…外?……えっ?」


?「えええーーーーーーーっ!?!?」

マルルゥ「わわっ?!」

スバル「な、なんだ?ニンゲン…か?」

パナシェ「お、女のコみたいだけど…でもなんで」

?「妖精、ケモノ?鬼の子??なんだ急に!誰だおまえたち!」

アティ「みんな!興奮させないようにひとまず離れてて!」

?「失敬な!ヒトをそんな野生動物みたいにいうな!」

アティ「ええっと…あなたは、ヒト?人間…なの?」

?「それ以外の何に見える、こんないたいけな幼女をつかまえてからに」

アティ「ごめんなさい、私はアティ…この島であの子達の先生をしているものです」

ケイト「アティか、私の名は星宮ケイトだ、またの名を……島!?」

アティ「は、はい」

ケイト「西ウド川市ではないのか?東京は?」

アティ「ニシウドガワ?トウキョウ?」

ケイト「わ、わたしはいったいどこ来てしまったのだ?まさかニッポンよりも…いやでも日本語は通じているし…」

アティ「ニッポン?…え?じゃあやっぱりあなたは」

ケイト「ん?」

アティ「…召喚、されてきたの?」

ケイト「…………召喚?」

-鬼の御殿-

アティ「ええっと、つまりはそういうことなんですけど…分かりましたか?」

ケイト「…りーんばうむ、さもないと石、名もなき世界…召喚術?」


ケイト「………ふむ」

アティ「…あ、あの?」

ゲンジ「まあそう急かすな、そうそう簡単には理解できんわい」

アティ「そうですよね…すみません」

ケイト「…とにかく、ここは日本でも地球ですらない…ということなのか?」

ゲンジ「まあ、そうじゃな…そういうことになる」

ケイト「……むぅぅ」

アティ「………」

アティ「…大丈夫でしょうか?あの子は」

ミスミ「さて、な…ご老公がここへやって来た時は特段慌てた様子も無かったが…」

ゲンジ「そりゃワシはもう年老いてたからの、慌てるだけの元気も…それこそ未練も無かっただけじゃわい…じゃが今回は」

ケイト「…ん?」

アティ(ケイトちゃん…こんなに小さいのに、急に別の世界に飛ばされてきたなんて聞かされたら当然不安よね…しかも、その時のサモナイト石は…)


アティ「ケイトちゃん…その」

ケイト「うーん、まあどうせあれだ、元の世界には戻れないとか…そういうことになっているのだろう?」

アティ「えっ?!ええ、っと…その」

ケイト「ごまかさなくてもよい、この手の設定ではお約束みたいなものだからな」

アティ「せ、設定?お約束?」

ケイト「戻れないとあれば、ジタバタしてもしょうがないな…」ゴロン

ミスミ「なんじゃ、見かけより肝の据わった娘っ子じゃな」

ゲンジ「ふむ、じゃがまあ、よくいったバーチャル世代というやつ…なのかのう?」

ケイト「アティ、といったか?」

アティ「は、はい」

ケイト「わたしはこの世界について何も知らない…しばらく世話になるが、構わないか?」

アティ「はい、それは勿論……あの、ケイトちゃん?」

ケイト「…なんだ?」

アティ「ケイトちゃんは、不安じゃないの?…その、家族やお友達は…?」

ゲンジ「……」

ケイト「……」

アティ「…あの」

ケイト「…すべては星の巡り合わせだ、わたしがここに呼ばれたことには、何か意味があるのだろう…たぶん、な」

ケイト「さいわい、ガラクーチカも…ある……なん、とか」zzz

アティ「………あ、あれ?ケイトちゃん?」


ミスミ「おや?寝てしまったのか…やはり見た目通りの子供なのかのう…」

ゲンジ「ふむ…じゃがこいつは、とんだ大物が転がり込んだのかもしれんぞ」

アティ「…はぁ」

ケイト「…zzz」



ケイト「……むにゃ、お昼寝してしまったのか…異界の地だというのに気が抜けているな」

ゲンジ「目が覚めたか?…ここは日本の雰囲気に似ておるからな」

ケイト「ああ…お主は、ゲンジとかいったか?すまないな、幼女の体は眠気に弱くてな」

ゲンジ「まあ心配せんでもここにはお前さんに危害をくわえようなんて輩はおらんわい」


ゲンジ「おーい、嬢ちゃんが目を覚ましたぞ!」

ケイト「……ふぁぁ~」

アティ「はい、すみませんゲンジさん…みててもらっちゃって」

アリーゼ「……」

ゲンジ「気にするでない、子の面倒なんぞこれまで腐る程見てきとるわい」

アティ「そうですよね、あはは」

ケイト「…ん?おまえは?」

アリーゼ「は、はいっ…えっと、その」チラ

アティ「この子はアリーゼちゃんですよ、アリーゼちゃん、この子はケイトちゃんです」


アリーゼ「…あ、アリーゼ

ケイト「我が名は星宮ケイト!またの名を悪の秘密結社ズヴィズダーの総帥…ヴィニエイラ様だっ!!」

アリーゼ「…え、えーっ?!」

ケイト(…決まった)ニヤリ

アリーゼ「あ、悪…って、悪い人なんですか?」


アティ「…あの、どういう意味なんでしょうか?」

ゲンジ「子供のごっこ遊びじゃろ?まあよくあることじゃよ」


ケイト「お前か、わたしをこの世界に召喚したというのは」

アリーゼ「は、はい…ごめんなさい…こんなことして」

ケイト「まあ、ワザとでない以上はそう責めることもないが…」

アリーゼ「…え?そう、なんですか?」

ケイト「ああ、そう気にしてはいない…安心しろ」

アリーゼ「ふ、不安だったり…しないんですか?いきなりこんなところに呼び出されて」

ケイト「うむ、急に周りが見知らぬ島だったので驚きはしたが…まあそれだけだ」

アティ「つ、強い子ですね」

ゲンジ「子供は順応力の高いもんじゃ」


ケイト「しかしなあ、正直こういうのは明日汰の役割だと思ったのだがな」

アリーゼ「…え?」

ケイト「美人教師に引っ込み思案少女、あとはさっきの妖精?か…できればもうちょっと中高生あたりが充実すると…」

アリーゼ「あ、あの…?」

ケイト「ふっふっふ、明日汰に言ったらきっと羨ましがるだろうな…!」

アリーゼ(な、なんの話なんだろう…)

ケイト「…ふむ、それではアリーゼ、それにアティ…いまから島を案内してくれないか?色々と見て回りたい」

アティ「えっ?もう行くんですか?もう少し休んでも…」

ケイト「グズグズしてはおれん…わたしがここに来た意味が必ずあるはずだ、それを探しにいかねば…」

アティ「ケイトちゃん…」

アリーゼ「…すごいなぁ」


ケイト(クックック…なかなか見所のありそうなところだ、いっそ島ごと征服してこの世界の侵略の拠点にしてやるか…)

ケイト「くっくっくっく…」ニヤニヤ

アティ「…?」

-風雷の郷-

アティ「ここは風雷の郷です、シルターンの方々が暮らしていて…ニッポンというところに似ているらしいですね」

ケイト「ああ、古き日本の農村風景といったところだな」

アティ「そうなんですか」

キュウマ「おや?アティさん、お連れの方は目が覚めたのですか?」

アティ「あっキュウマさん、はい、おかげさまで」

ケイト「ん?誰だこの者は…」

アティ「この人はキュウマさん、この集落の護人をしている方ですよ」

ケイト「ほほう、こんどは鬼の武人か…なかなか強そうな」

キュウマ「いいえ!私などは…いまだミスミ様の足元にも及びませんよ」

ケイト「ミスミ、というとさっきのご婦人がか?そうだったのか…」

ケイト「ふむ、星宮ケイトだ…よろしくたのむ」


キュウマ「これはどうも、ご丁寧に…」

キュウマ(…この者、ただならぬ気配を感じる…ミスミ様の仰られていたとおり)

ケイト「よしっ、では次へ行くぞ!むこうに面白そうなものが見えるではないか!」

アリーゼ「あっ!ちょっとケイトちゃん、待ってーっ」


アティ「あらら、あはは…」

キュウマ「アティ殿、彼奴ですが…油断なさらないでください」

アティ「え?やだなぁキュウマさん…考えすぎですよ、それかただの勘違いですって」

キュウマ「…だと良いのですが」

アティ「……」

-狭間の領域-

ケイト「ここはなんだ?まわりの石がやたらピカピカ光ってるが…」

アリーゼ「ハァ…ハァ…ここは狭間の領域って、いって…精霊たちの住んでるところなんだよ」

ケイト「精霊とな…」

アリーゼ「うん、私のお友達のキユピーもその仲間なんだよ」

ケイト「ふうむ、これはまた興味深いな…」


フレイズ「そこで何をしているんです?そちらの方は見慣れない方ですが…」

アリーゼ「あ、フレイズさん…こんにちは」

ケイト「!?…妖精と鬼、獣に続いて、今度は天使までいるのかこの島には」

フレイズ「?…そういう貴方は?」

ケイト「わたしか?わたしはこの者に召喚されてきた星宮ケイトだっ」

フレイズ「…召喚?…では貴方もサプレスの…というわけでもなさそうですね」

アリーゼ「はい、この子は…どうやら名もなき世界から来たみたいで…」

フレイズ「ああ…先ほどの召喚の気配はこの者の…しかし」

ケイト「?」

フレイズ「………ふむ」

アティ「もーっ、2人ともあまり走らないでくださいよ」

アリーゼ「あ、先生」

ケイト「遅かったではないか、アティよ」


ファルゼン「…ドウシタ?サワガシイナ…フレイズ」

フレイズ「あっ、ファルゼン様…申し訳ありません、予想外の来客がありまして」

ケイト「…ほお、すまなかった娘っ子よ…寝ていたところを起こしてしまったようだな」

ファルゼン「!!」

フレイズ「なっ?!アティさん、あなたまさか!」

アティ「えっ!え?ええっ!?ち、違いますよ!私は何も…」

フレイズ「で、では…この子は」

アティ「…あっ、アリーゼちゃん!ちょっとあっちへ行ってましょうか~」

アリーゼ「え?先生、なんで急に??」

ケイト「お、おいお前たちっ」


フレイズ「なぜ分かったのですか?このお方が、女性だと…」

ケイト「なぜと言われてもな、わたしは見たままを喋っただけで」

ファルゼン「」
ファリエル「……」

ケイト「…ふむ、どうやら人に知られたくない事情があるようだな、失言だったようだ」

ファルゼン「イヤ、イインダ…シカタナイコトダ」

フレイズ「ファルゼン様…」

ケイト「あの2人には…いや、アティには話してあるのだな?まあその辺りは黙っておこう」

ファルゼン「…タノム」

ケイト「ではわたしは行くぞ、騒がしてすまなかった」

フレイズ「…貴方はいったい、ただのニンゲンなのですか?」

ケイト「ただの星宮ケイトだよ、今はまだな」ニヤリ

アリーゼ「ケイトちゃん、一体なんの話をしてたの?」

ケイト「ん?…あぁ、いや」チラ

アティ「…」シーッ

ケイト「あのフレイズという者をな、てっきり女だと思っていたのだが、そのことで注意されてしまったよ」

アリーゼ「へぇ、そうだったんだ」

アティ「ああ、でも天使だから…厳密にいうと男も女もないと思いますよ」

ケイト「ふぅん、そうか…」

アティ「……んー…」

-ラトクリス-

ケイト「ふぅん、ほお…へえ…なるほど」

クノン「…あの、そんなに自動人形が珍しいのですか?」

ケイト「ふらーぜん?ふむふむ、そういうのか」

アルディラ「ちょっと、ケイトちゃん…だっけ?あんまり変なところベタベタさわっちゃダメよ」


ケイト「ウチのロボ子より、武装は原始的だな…しかし召喚術は使えるのか?」

クノン「はい、元は医療用ですから…それに闘えはしますが、専門ではありません」

ケイト「なるほどな、見積もってもウーム教授のと同程度か…もしくは」

アルディラ「ん?…何か用かしら」

ケイト「融機人というが、人間と何が違うのだ?」

アルディラ「そう…エネルギー効率は人よりはいいかしらね、あとは処理能力なんかも違うらしいわ」

ケイト「ふーむ、見た目は同じでもそらなりに違うものだな」

アルディラ「貴方だってそうじゃない?そのなりで随分とここの設備に明るいようだし…あの先生でもそこまでは詳しくなかったわよ?」

ケイト「…まあ、わたしのは他人の知恵を借りてるだけだ…わたし自身はたいしたことはない」

アルディラ「…ふぅん、そう」

ケイト「…ぬ、なんだ?」

クノン「センサーによると、なにやら不明なエネルギーを感じますが…」

ケイト「…う」

アルディラ「とくにそのぬいぐるみ、いったい中に何が入ってるのかしら…」

ケイト「…む…これは、その」

アルディラ「まあ別に、あなたが何を考えていようと関係ないけれど…私達の障害になるようなら、容赦しないわよ…?」

クノン「……」ガシャン

ケイト「…あ、あははは」




アティ「あ、ケイトちゃん、どうでしたか?ここの設備は」

ケイト「う、うん」

アリーゼ「ケイトちゃんすごいです、私には全然ちんぷんかんぷんなのに…」

ケイト「…あぁ、しかしまあ…ここの人は、怖いなぁ…」

アリーゼ「…?」

アティ「………」

アティ(うーん、もしかしてみんなの言うとおり、ケイトちゃんって…)

ケイト「次はどこへいくのだ?」

アリーゼ「次はユクレス村っていって、亜人のみんなが暮らしてる村でね…」

ケイト「亜人?…亜人とはなんだ?」

アティ「…本当に…うーん」

アリーゼ「メイトルパの人達でね、みんな動物みたいで…」

ケイト「…ほうほう、なるほどな」


アティ(……まあ、仲良くしているようですし、別にいいかな…)

ケイト「ふむ…ん?アティよ、どうした?」

アティ「べつに、なんでもありませんよっ」

-ユクレス村-

マルルゥ「あっ、先生さん!いらっしゃい!」

パナシェ「あ、あの子って…さっきの」

スバル「ウチに来てたやつだよな」


アリーゼ「こっちがパナシェくんとスバルくん」

ケイト「ああ、先ほども目にした者たちだな」

パナシェ「ど、どうも」

スバル「お、お姉ちゃん、大丈夫なのか?こいつ」


ケイト「こいつとはなんだ!我が名は星宮ケイト!またの名を

マルルゥ「マルルゥはマルルゥですよ!えへへ」

ケイト「うっく…むう、妖精か」

パナシェ「それで、ケイトちゃんは召喚獣…なの?」

ケイト「…ちがうだろうな、わたしには爪も牙も機械の体もないからな」

スバル「…ふーん、そうなのか」


マルルゥ「なんにせよ、この島に呼ばれたのなら私たちのお仲間さんですよーっ」

スバル「ま、例外もあるけどな…」

マルルゥ「もーっ、ヤンチャさんはいっつも一言多いですよっ」


ケイト「…例外とな?それは」

アティ「…えぇ、ちょっと問題があってね、うん」

アリーゼ「この島にはね、帝国の軍人が流れ着いていて、時々悪いことをしてくるの…」

ケイト「…そんな輩もいたのか」

ケイト「それは黙ってはいられないな、悪の総帥としては…」

アリーゼ「危ないよ、ケイトちゃんそれは…」


イスラ「あれ?…なんか今日は賑やかだね、どうかしたの?」

スバル「おっ!イスラの兄ちゃん、こんちわ!」

ケイト「おお、また新顔か?」

イスラ「えっと、誰…かな?」

ケイト「ケイトだ!星宮ケイト!」

アティ「実は召喚術の失敗で、間違えてきてしまった子なんです…」

アリーゼ「…ぅ」

イスラ「…へえ、そうなんだ…大変だね」


ケイト「そう悪いものでもないがな、この島は…なにより空気がうまいしな!」

スバル「ああ、それはあのお爺ちゃんもゆってたな、木がいっぱいあるって」

イスラ「……ふうん」

マルルゥ「ふふふーん、こうして集まったからにはなにかして遊びますですよっ!」


パナシェ「ぼく鬼ごっこがいいなぁ、お兄ちゃんもやろうよ」

イスラ「ああうん、そうだね」

スバル「よっしゃ!先生たちもやろう!」

アティ「ええ、そうですね…付き合いますよ」

ケイト「ふふふ、たまには童の児戯に付き合ってやろう…光栄に思うがいい!」

スバル「いや、お前は今日が初対面だぞ…」


イスラ「じゃあ今日は僕から鬼をやろうかな…いいよね?」

パナシェ「うん!いいよ」

マルルゥ「さぁーて、それじゃあ…逃げるですよーっ!!」


スバル「わっはーいっ!」タッタッタ

アティ「あはは…」タッタッタ

パナシェ「よしっ、今日は捕まらないように…!」タッタッタ



イスラ「ほーら、捕まえちゃうぞー」

ケイト「うわぁあ!幼女の勘が、こいつには捕まってはいけないと叫んでいるぞーっ!」

アティ「どんな勘なんでしょうか、それって」

イスラ「まてまてーっ」

マルルゥ「きゃーっ!なのです!」

スバル「くっそー、負けないぞ!」


イスラ「はぁはぁ…み、みんな足はやいな…」

ケイト「子供とは、まこと…元気な生き物よな…」

イスラ「しかたない、ケイトちゃん捕まえちゃうぞー!」ガバッ

ケイト「ふっ!すぐれた司令官たるもの、つねに最善の逃げみちを確保してなくてはなっ!」

イスラ「あっ!茂みの中に…」

スバル「なかなかやるなぁあいつ…」



アティ「はぁ…はぁ…ぜぇ」

アリーゼ「先生、大丈夫ですか?」

アティ「え、ええ…最近運動不足だったので、ちょうどいい…くらいです」



イスラ「……ふぅ」

ガサガサ ガサガサ


ケイト「ふっふっふ、ここまで奥の方に逃げればもはや充分だろう、さしもの奴とて、まいたは…ず……」


ポツーーン

ケイト「……あっ」

ケイト「し、しまったーっ!!ついガチで逃げ切ってしまったではないか!逃亡生活で染み付いたクセが抜けてなかったというのか…!」


ケイト「うう…ええっと」

ポツーーン

ケイト「マズイぞ、完全に迷子になってしまった…どうしよう…」



ガサガサッ

ケイト「ひうっ?!…な、なんだ…この」


ガサガサッガサガサッ

ケイト「うっ……うぅ…」


ケイト「うー……教授…逸花…ロボ子…将軍……ドヴァー…」

ヤッファ「…ああ?ガキを1人見失っただと?」

アティ「…はい、面目ないことに」

イスラ「すいません…」

ヤッファ「ったく、大人2人いて何やってんだ」

マルルゥ「もうっ!シマシマさん!寝てただけなのにそんなに責めないでください!」


ヤッファ「…そーかい、それで?オレに何の用なんだ?」

アティ「ええ、それで…ヤッファさんにも手伝ってもらいたくて」

イスラ「……」

ヤッファ「…無理だな」

マルルゥ「ど、どうしてなんですかっ?困ってる人がいたら助けてあげなきゃですよ!シマシマさんっ」


アティ「あまり森の奥まで迷い込んでしまうと、帝国の人達と遭遇してしまうかもしれないんです…」

イスラ「…森に詳しくて、腕も立つ貴方が協力してくれると、とても助かります」

マルルゥ「お願いしますですよ、シマシマさん…」

イスラ「……」


ヤッファ「……ふん」

ヤッファ「だからこそだ、オレには護人としてこの村を守る責任がある…そう簡単に村を空けることはできねえのさ」

アティ「あっ…」

マルルゥ「うぅ…そうですけど…」


ヤッファ「悪いな、どっかのよそ者を助けるよりも自分とこの仲間を守る方が大事なんでな」

マルルゥ「……で、でも…シマシマさん」


アティ「いいんです、マルルゥ…そうですよね、お仕事があるんですもん…仕方ないですよ」

イスラ「…そうですか」

ヤッファ「悪いな…でもよ、あの嬢ちゃんならほっといたって大丈夫だろう」

アティ「…え?」

ヤッファ「そんな感じがした、匂いとか気配とかな」

マルルゥ「またそんな無責任な…」


アティ「…うーん、まあとにかく私たちだけでも探しましょう!事態は一刻を争いますから」

マルルゥ「もう!シマシマさんのせいでとんだ無駄足ですよ!」

ヤッファ「オレのせいかよ!」


イスラ「……っ…」

ケイト「…うう、まるきり検討もつかんな…どんだけ走るのに夢中だったのだ?わたしは」

ケイト「いっそのこと変身して…いや、今はまだ時期ではないか…?」

ガサガサ

ケイト「それにこの世界にウドがあるかも分からない以上、無駄づかいは厳禁だ」

ガサガサ ガサガサ


ケイト「むぅ……そうだ!こんな時のために逸花たちにもらったアレを…」

バサッ

ケイト「うわぁあっ?!」

ビジュ「…あぁん?ブツクサなぁに言ってんだ?てめぇ」

ケイト「な、なんだおまえ、なんだその髪型!」

ビシュ「か!?…このガキゃ……」

ケイト「やるか?このチンピラ…!」

ケイト「こらーっ!はなせー!このチンピラ!変な髪型!いれずみ!!」


ギャレオ「おいビジュ、貴様いったいなにを連れてきておるのだ」

ケイト「かえせっ!わたしの、わたしのガラクーチカ!」

ビジュ「いえね、さっき小便いった帰りに森ん中歩いてたガキがいたんで、とっ捕まえたんでさ」

ケイト「わー!きったな!きったないっ!えんがちょーっ!」

アズリア「おい騒がしいぞ、そんな子供捕まえてなんになるというのだ、ビジュ」


ビジュ「へい、隊長殿…まあこのガキを盾にしてあの甘ちゃんの英雄様をぶっ倒してやろうかと思いまして」

ギャレオ「おまえ、またそんな卑怯な手を」

ビジュ「はっ、結果も出てねえのにもう卑怯もクソもあったもんじゃねえぜ、なあ?隊長」

アズリア「………っ」

ギャレオ「隊長!」


アズリア「…ギャレオ、お前は下がれ」

ギャレオ「し、しかしっ!」

アズリア「ビジュ、指揮はお前に任せる…ただし、子供にあまり手荒なことはするな…分かったな」

ビジュ「…へい、そりゃあもう」

ギャレオ「……くっ」


ケイト「……ふん、帝国の軍人様というからどれほどのものと思っていたが、思った通りの悪役ぶりだな」


ギャレオ「…なに?」

ケイト「おまえたち全身から悪者のオーラがにじみ出ているぞ、軍人様よ」

ギャレオ「キサマ、言わせておけば…!」

アズリア「やめろ、子供のたわ言に付き合うなギャレオ…」

ギャレオ「…ちっ!」

ビジュ「…ふふん」


ケイト「戯言と嘲笑うか、そのような舐めた態度ではその内に足元をすくわれるぞ?このわたしに!」

アズリア「…ほう?」

アズリア「お前、子供にしては口が回るではないか…名は?」

ケイト「……我が名は、悪の秘密結社ズヴィズダーの総帥…ヴィニエイラだ」

ビジュ「ああ?なにほざいてんだコイツ」


アズリア「…ほう、我々を悪とそしるくせに、自らも悪と名乗るか…ヴィニエイラよ」

ケイト「ああ、わたしはこの世の正義というものがキライだ!」


ケイト「正義とは、世の悪に対立する…いわば後だしジャンケンでしかない」

ケイト「しかしだ、とかく気に入らない他者を悪と罵り、さも自らが正しいかのように振る舞う、そんな正義がわたしはキライだ!」


アズリア「……」

ケイト「だからわたしは、自ら悪を名乗る!貴様らのようなふざけた輩に喧嘩を売るためにな!」


ギャレオ「…ぐぬ」

アズリア「…おまえ、本当にただの子供か?」

ケイト「…ふっ、ただの幼女だよ…その証拠に…もう眠くて…ねむくて……もう幼女にはおねむの、じかん…」

ビジュ「あっこいつ、こんな状況で寝てやがる」

ケイト「…すぴー…すぴー」

アズリア「…こいつはいったい…なにもの」

アティ「…おーい!ケイトちゃーん!…どこいっちゃったんだろう…」

アティ「早く見つけないと、もしかしたら取り返しのつかないことに…」


ザッザッ

アティ「?!…誰?」

アズリア「…ふん、都合良く1人か…まったくたるんでいるな、貴様は」

アティ「アズリア!?…貴方がなんで」


ビジュ「おっと、逃げんなよ英雄さんよ…逃げたらこのガキがどうなるか」

ケイト「……」

アティ「ケイトちゃん!」


ケイト「……むにゃむにゃ、もう征服できないぞ…zzz」

アティ「ね、寝てる…?」

アズリア「まったく、大物だな…今度のお前の連れは」


ビジュ「なんでもいいや、とにかく怪我させたくなかったらテメエの"剣"を差し出しな!」

アズリア「怪しい動きはするなよ、アティ…我々にももう後がないのでな」

アティ「…くっ…ケイトちゃん」


ビジュ「おらおら!さっさとしやがれ!」ジャキンッ

アティ「わ、分かりました!…おとなしく差し出すから…手出しはしないで」

アズリア「…そうか、それでいい…アティ」


アティ(……ごめんね、ケイトちゃん…みんな…)

アティ(…碧の賢帝!!)

パァァアアアッ


アティ(覚醒)「………ふう」

アズリア「…さあ、剣をこちらへ」


アティ(覚醒)「…渡すから、もうケイトちゃんをはなして」

ギャレオ「ああ、おいビジュ!」

ビジュ「わーってるよ、てめえが剣を手放しゃ…こんなガキすぐにでもかえしてやるよ!」



ケイト「…むにゃ」


ポロッ

ビジュ「ん?このガキ、今なんか落としたような…」

ギャレオ「…これか?なにやらロレイラルの道具のようにもみえるが」

ビジュ「あん?…けっ、ガキのおもちゃかよ、こんなもんっ」バシッ

コロン コロン

アズリア「?」

アティ(覚醒)「え、なにが…」

カチッ


Prrrrr!!!!!!!!
Prrrrrrrrrrrr!!!!.!!!!!!

ギャレオ「ぬおっ?!」

ビジュ「うるせえっ!?なんだってんだ急に!!」


アズリア「こ、これは?!」

ケイト「うにゅ…?!…おーい、うるさいぞおまえたちー」

ビジュ「てめえのせいだろうが!このガキ!!」


ケイト「ん?…ああこれは、幼女必携!我が結社特製の防犯ブザーではないか…」

ビジュ「あ?防犯ブザーぁ…?」

アズリア「まずいな、この音で仲間を呼ぼうという算段か、ヴィニエイラ」

アティ(覚醒)「…?」


アズリア「ならば仲間が到着するまでに奪い取るまでだ!!」バッ

アティ(覚醒)「あっ!…アズリア!」

帝国軍兵士「た、隊長!何かがこっちにむかって飛んで来ます!!」

アズリア「なんだと?!」


アティ(覚醒)「飛んで、もしかしてフレイズさんが





ヒュルルルルルルルルルルル


?「ーーーーーーっ!!? ケェェェェェィィィいいいいとおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!」

ドッバーーンっ!!


アティ「だ、だれ?!」

アズリア「くっ、なにものだ!!」


?「ケイトっ!!無事かっ??!」

ケイト「おお、その声はプラーミャか?だがなぜここに」


逸花「オラてめえら、アタシのケイトに何してくれてんだ、あァン?」

ケイト「こら!人の話を聞かんか!」

ビジュ「ぁ、ああ?てめえこそなに舐めた口聞いてんだコラ」

逸花「ふざけた髪型してんじゃねえぞこら!」

ビジュ「っざけてんのはどっちだこらぁあ!」


ケイト「おまえら、ガラ悪すぎるぞ…」

ビジュ「けっ!相手は女1人だ!てめえらやっちまえ!!」

「「おおーっ!!!」」


逸花「………ふんっ!!」ブンッ

ドッッガァァァアアアア

「「うわーっ!!」」

ビジュ「なっ?!て、てめえら!何やられてんだ!」


逸花「…バカが、刀を持ったJKは最強だってこと知らねえのか?」

ビジュ「じぇ、ジェイケー?だと?」

アズリア「な…なんなんだこいつらは」

アティ「さあ、誰なんでしょうか…」



ナターシャ「助けにきたで、ヴィニエイラ様」

ケイト「あ、教授まで!いったいおまえたち、どうして」

ナターシャ「このブザーから発するシグナルをキャッチしてな…ようやく位置を特定したんじゃよ」

ケイト「…い、いや…だがしかしここは」

ギャレオ「き、貴様!また新手か!」

ナターシャ「ふん、まあ細かい話は後じゃ!クルクルっ!!」

クルクル「「クルーッ!」」

ギャレオ「ぐぉおっ!?なんだこの召喚獣は?!」


アズリア「くっ?!馬鹿な、我ら帝国軍が…ただの2人に」


ケイト「ただの…ではない!!」

ケイト「言ったであろう!我々は秘密結社ズヴィズダー!!貴様らのような奴らに負ける組織ではないわ!!」


アズリア「くっ、やはりただの子供というわけではなかったというのか…」

アティ「…ケイトちゃん」


ケイト「逸花!」

逸花「おうっ!」バッ

パアアアアアアアアアッ


アズリア「!?なんだ?」


ヴィニエイラ「…ふぅ…ようやく、戦闘準備完了だな…!」

プラーミャ「オラオラオラぁ!なに見てんだテメぇら、ぁあん?」

ウーム「おんどりゃあ、指ぃつめる覚悟は出来とるんじゃろうなぁ…おぉう?」

アズリア「…まるでチンピラの集まりみたいだな」

ヴィニエイラ「…そこは言うな」


ビジュ「け、けっ!こんなたかが女子供どもなんかに!!」

ギャレオ「お前ら!怯むんじゃない!!」

「「お、おーっ!」」

バンッ ザシュッ

プラーミャ「けっ!まるで草刈りだな、雑ァ魚ども!」

ビジュ「ひ、ひえぇっ!?」


ウーム「くーっくっくっく、どいつもこいつも絡め取ってくれるわーっ!」

アクティニカ「オオオオオオオオオオoooooooh」

ヌルヌル ヌメヌメヌルヌル

ギャレオ「た、隊長ーっ!」


ヴィニエイラ「ぬっはっはっは!!どうだどうだどうだっ!!

アズリア「くっ、術士部隊…構えろ!!」

アティ「あ、アズリア待って!!」

アズリア「全員、ありったけの召喚術を化け物どもに打ち込むのだ!!」

アティ「ケイトちゃんも!もうこれ以上争うのは」

ヴィニエイラ「…アティよ、それは出来ない相談だ…!」

アティ「そんなことない!いつだって、話し合って止められるものは必ず…」

アズリア「…っ?!…アティ、邪魔だ!どけっ!」

アティ「…どかないよ、アズリア…私は!」


ヴィニエイラ「……アティ」

プラーミャ「……ケイト?」

ヴィニエイラ「……ぬるいな、アティ…話し合いだと?」

アティ「…け、ケイトちゃん?」


アズリア「くそ、もういい!全員…合図とともに一斉に打て!」

ヴィニエイラ「この世はな、気づいた時にはもう話し合いでは遅いのだ、もうその時には誰しもが拳を振り上げているのだ!」


アティ「…そんな、こと……ない!」パァアア

アズリア「全員…っ!」

ヴィニエイラ「だから私が征服する!!どいつもこいつも全員の拳を、私が下ろさせてやる!!!」

ズリュリュリュ ガシッ


アティ(覚醒)「2人とも、やめてえっ!!!」

アズリア「うてぇぇええっ!!!」キィィィイイイン


ヴィニエイラ「征服ーーーーー…っ!!」グワッ

ヴィニエイラ「実行ーーーーーっ!!!!」

バーーーーーーンッ!!

プラーミャ「……くっ、うう…ケイト!?」


ヴィニエイラ「……ふっ、決まったな」

アティ(覚醒)「いったい、なにが?」

アズリア「う、なんだ…お前らどうした?!」

ギャレオ「これは、召喚術が…かき消された?」

ビジュ「くそったれ!なんだよコイツは!石が使い物にならなくなっちまってるじゃねーか!」


アティ(覚醒)「え、そんなこと…どうして」

ヴィニエイラ「見たか!聞いたか!参ったか!これがわたしの力だ!!思い知ったか!!」

ヴィニエイラ式 強制送還術!

アティ「そんな無茶苦茶な…」


アズリア「こ、こんなことが…あり得ない…!」

ビジュ「た、隊長~…」

ギャレオ「隊長、向こうからまた新手がきます!…」

アズリア「ーっ!…くそ、撤退だ!全員撤退させろ!!」

ギャレオ「はっ!」



アティ「……アズリア、ケイトちゃん」



ヴィニエイラ「…くくくく、またもや我々が大勝利してしまったな!」

プラーミャ「ああ、そうだな」

ヴィニエイラ「しかし、お前たちはどうしてこんなところに?…そう簡単に来れる場所ではないはずだが…」

ウーム「ああ、それはのぉ…」

ケイト「時空の、ひずみ?」

ナターシャ「ほーじゃ、突然お前さんが消えたもんじゃから…調べて見た結果、食堂の席に時空の歪みを発見してな」

ナターシャ「ロボ子と将軍の奥さんの力も借りて無理やり裂け目をこじ開けてきたんじゃ」

逸花「そのままでも行こうとしたんだがな、座標がはっきりしないとかで突入できなかったんだ」

ケイト「なるほどな、それでこのブザーが思わず役に立ったわけか」

ナターシャ「特別なGPSじゃったから、時空を超えてもキャッチできたんじゃな」

ケイト「そういうもんか?」

逸花「まあいいじゃないかケイト、それよりも心配したんだぞ~、ケイトが誰かにイタズラされてるんじゃないかって~」

ケイト「大丈夫だ、私を誰だと思ってる…悪の総帥ヴィニエイラ様だぞ、なんだったらこの世界も征服してやろうかと企てておったところだ」

逸花「…へへ、それもそうだったな」

ナターシャ「まったく、どこまでも末恐ろしいお人じゃのう…」

ケイト「ふっふっふっふ…」




アティ「…ケイトちゃん、あなたは一体」

アティ「何者なの?ケイトちゃん…」


ケイト「なんだ?アティ…最初にキチンと説明したではないか、私は星宮ケイト…そしてヴィニエイラであると」

アティ「…それじゃあ、本当に」

ケイト「ふ、まだまだ未熟よな…アティも」

アティ「…はぁ……」


逸花「ケイト…こいつはだれだ?」

ケイト「ああ、話は長くなるがな、この人は…

ナターシャ「…ほうほう」

「今日はその、ありがとう…アズリア達のこと」

ケイト「ん?…なぁに気にするな、自らにかかる火の粉をはらっただけのことだ」


「そう、なんだ…すごいねケイトちゃんは」

ケイト「ふふん、これでも組織を束ねる悪の総帥だからな…あの程度できて当然だ!」

「ケイトちゃんって、本当に子供?…歳はいくつなの?」

ケイト「こら、女の子にとしを聞くものではないぞ!そんな風ではいつかまた誰かに怒られるやもしれんな」

「あ、あはは…


そのことでは、もう怒られました

「…でも、もう帰っちゃうんですよねで…せっかくみんなで歓迎会の準備もできてたのに」

ケイト「そこはすまないと思っている、でもロボ子達が開いてくれた道はかなり不安定でな、そうそうもたないらしいのだ」

「そっか、それじゃあ仕方ないですよね」


ケイト「ああ、また出会うことがあったら…その時にごちそうになろう、なんならウチの食事係の料理も堪能してくれ」

「ええ、楽しみにしておきますね…」

ケイト「うむ!」


「でも……また会うことなんてあるんでしょうか、そんなこと」

ケイト「あるさ、互いに悠久の時をすごす身として、生きることに飽いた時にまた会うことになるだろう」


「?…それはどういう意味なんでしょうか」

ケイト「わたしには未来がみえる、といったら信じるか?」

「…ええっと、どうでしょうか」


ケイト「…まあいい、今は聞き流すだけにとどめておいて構わない」

ケイト「だがな…やがて世界の壁は取り払われ、この世のありようは大きく変わる…そしてその前に世界は酷く傷つかねばならぬ、何度でもな」

「そ、そんなこと…あるんですか?」

ケイト「たぶんな、その時になって…アティがどうこの世界を導いていくのか…私は楽しみだ」

「私にはそんなこと…」


ケイト「できるさ、貴様にはその資格がある…」

「ケイトちゃん…」

ケイト「ふっ、じゃあな…アティ…この話のつづきはまた今度にしよう」

ケイト「この島の社会が育ち、人々が溢れ、街ができた…そのときになったら、な」

アティ「え、それって…!」


ケイト「さらばだ!リィンバウムの諸君!せいぜいこのわたしに征服される必要のないようにな!!」

アティ「あ…」



それだけを言い残し、彼女は
彼女の仲間たちと共に帰って行きました


私は彼女の言葉の意味を、その真意を初めはわかりかねていました

でものちに、思い知ることになります


そう、果てしなき蒼の その未来で…

-日本 ズヴィズダー本部-


ケイト「ということがあったのだ…いやああれは大冒険だったなぁ…うむ」

明日汰「はいはい、そうですか」

ケイト「む?なんだ明日汰、反応が鈍いな…うらやましくないのか?」


明日汰「いや、ただでさえ悪の秘密結社あずかりなのに…異世界に召喚とかされても…もういっぱいいっぱいだよ、設定盛り過ぎ」

ケイト「そうか、明日汰の好きなツインテールの娘もいたのだがな」

明日汰「べつにツインテールが好みってわけじゃないし!…ただその、好きになった子がツインテールなだけで…

ケイト「なんだーつまらん!嫉妬に狂って悔しがる明日汰の姿が見られると思っておったのに!」


ナターシャ「まあこればっかりは仕方ないのう…」

逸花「ったくよ、どいつもこいつも、うちの連中は敵と仲良くする率が高すぎじゃねえか?こいつといいオヤジといい」


ケイト「そういえば吾郎の姿が見えぬが…そうか、まあ今回はあの女にも協力してもらったのだから、しっぽりとサービスしてやらんとな」ニヤリ

明日汰「し、しっぽり?!ってえ?」


逸花「娘の前でそういう話はやめてくれ、複雑だ…」

ナターシャ「…よかったの、もうすぐ晴れてお姉ちゃんじゃな?」

逸花「……うぅ」


ケイト「まあなにはともあれ一件落着だ、やはり我が家が一番落ち着くな!明日汰、おかわり!」

明日汰「はいはい、わかったよ



ドォォォォオオオオッ!!

ケイト「うわっ?!っと」

明日汰「な、なんだぁ?!爆発?」

逸花「敵襲か?くそっ!!」


ナターシャ「いや、この反応…倉庫からじゃ!」

-倉庫-

ケイト「…煙が、いったいなにが」

明日汰「あ!あそこに誰か倒れて


ヤス「」プスプス

ナターシャ「なんじゃい、犯人はヤスか…人騒がせな」

逸花「ちっ、大方腹が減って倉庫を荒らしてた時になんか変なもん触ったんだろ、オラ起きろこらぁ!」


明日汰「いやじゃなくて、その奥の…瓦礫の上に誰かが!」



?「…う、うぅん…あいたた」

ケイト「お、お前は…!」

?「あ、あれ?私、さっきまで釣りしてたと思ったんだけど…ここは」


ケイト「…あ、アティ…なのか?」

終わり


読み返すとやや表記ぶれが…

依頼だして来ます。

5は正直先生が仲間にならないという重大なバグがあるので手が出ません
…クグツもないなんて

↓決めゼリフ入れ忘れた

ヴィニエイラ「我らがズヴィズダーの光をあまねく世界に!」ピキューンッ

アティ「え?…えっと、こうかな?」


ヴィニエイラ「ちがう!こうして、こうだ!」バッビシムッ

ヴィニエイラ「ズヴィズダーの光を!」


アティ「あ、あまねく世界に!!」キュピーンッ

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