P「無題のドキュメント2」 (11)

社長「ーーー」
P「ーーーー」
社長「ーーーー、と、どうだね、これがうちの子の名簿だよ」
P「あ、ありがとうございます」
社長「どの子もいい子たちでねぇ、そうだなぁ、先ず、天海君は…」
P「………」
社長「ふむ、どうやら、君は四条君にティンときたようだね!」
P「あっ、すみません!この子、なんかこう…引き込まれるような…魅入っちゃって」

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鼓動が早くなる
頭の奥が沈む

社長「はっはっは!ではもう皆まで言うまい、君には四条君のプロデュースをお願いするよ」
P「は、はい…!是非お願いします!!」
社長「では早速だが顔合わせに行ってきてほしい」
P「わかりました」
社長「担当プロデューサーが決まったとなれば彼女達も喜ぶだろう、それにやはりアイドル達とのコミュニケーションが…」
P「な、なるほどわかりました!では挨拶に行ってきますね!失礼しました!」
社長「、あっ、君ィ!四条君は今、公園の方に…って行ってしまったようだね。はっは、あれが若さかな」


気持ちが逸る
何で?何に?
わからない
わからないけど早く会いたい
会えばわかる気がする
何がわかるのかはわからないけど
とにかく早く


事務所の階段を駆け下りて馬鹿みたいに走った
足が止まらない
何処に向かえばいいか知らない
でも何処に向かえばいいかわかっていた
桜の舞うあの場所に

P「はぁはぁ…確か…この辺に…」

どうして知っているのだろう
知らないのに
俺は何を知っているんだ?
何を……思い出す…?

P「はぁ…はぁ、っ!うっ…く…」

まだ息の上がる体に頭痛が襲う
膝は笑ってるし手の先は痺れているようだ
へたり込んでしまう

P「はぁ…ふぅ…綺麗だな…桜……うぉ、風が…!」

1つの大きな風が吹いた
心地よさがあった
遊ばれるように散らされた桜の花が舞う
耳の奥がキーンと鳴る
俺の世界は急に静かになる
風を追うように捌けた桜の花たちが俺の視界を取り戻させる


そこに少女はいた


見惚れていた
初めて見たよく知るその少女に
その重たそうな銀髪が風に戦ぐ様すら優雅だ
桜の木々の間に佇む彼女はそれだけで美しかった

少女がこっちに気付いて振り向く
そんな振る舞いにも可憐さを称えるように相変わらず見惚れていた
彼女はゆっくりとまた厳かにこっちへ歩み寄りながら言った



ーーーお帰りなさい、あなた様




おしり。

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