MH凍土で女ハンター2人が遭難ですって。 (9)

ムラムラしたので妄想してみた。

反省はしない。

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 白銀の世界を、ひとりのハンターが歩いていた。

濃緑の忍び装束風の装備に身を包み、弓を背負った赤い髪をした彼女は、雪道に残る足跡を追っていた。

 「やっぱり、まだ新しい。私以外にも、この僻地に人がいるんだ…一般の人じゃなきゃ良いけど…」

 彼女はこの日、朝から、この凍土に入って、轟竜、ティガレックスを追っていたのだが、

思いがけず人の足跡を発見してしまったために、安全を優先して、こちらを先に追跡することにしていた。

 「あっちの方向ね…」

足跡を確かめ、氷の壁で出来たクレバスの出口に差し掛かった。

ガアァァァァァァァ!

 唐突に雄叫びがあたりを包んだ。

———今のは…ティガレックス?!

 彼女は即座に弓を構え矢を抜いてクレバスを抜ける。

そこは高台になっていて、その中央に巨大な竜に追いかけられている人物の姿があった。彼女は、その人物の顔に見覚えがあった。

「あぁぁ!あいつ!」

 彼女はそう口走りながら、弓を絞って矢を放った。矢がティガレックスの顔をかすめる。ティガレックスが彼女に標的を変えた。

「援護するから逃げて!」

彼女はそう言って、身軽に足場を飛び移り迫ってくるティガレックスから距離を話す。

「なぁぁぁ!あんたは!」

今まで、ティガレックスに追われていた金髪の女も、赤髪の姿を見てそう叫んでいた。

彼女はすぐに片手剣を引き抜くと、向きを変えていたティガレックスに斬りかかった。それから

「ちょっと!邪魔しないでよ!こっちがギルドで受けてきてる依頼なんだから!」

と怒鳴る。

「うそだ!私だって、ギルドで受けてきてる!モゲ村?だっけ?田舎のハンターはギルド協会の依頼と村営ギルドの依頼の違いもわかんないの!?」


「モガ村よ!バカにするんじゃないわ!ちゃんと正式に協会からの依頼で来てるわよ!そちらこそ、ヤマオク村でしたっけ?私が依頼受けてるのに、取り下げの情報の伝達が届いてないんじゃないの!?ヤマオクですもんね!」

「ユクモ村よ!一字も合ってないじゃない!だいたい、なんなのよその装備!ウサギ?!カワイイつもり?!狩り舐めてると死ぬわよ!?」

「そっちこそ、こんなとこでそんな露出多い格好して!自然舐めてると死ぬよ!?」

二人はティガレックスを挟んで、弓を撃ち、片手剣で斬りつけながら言い合いを続ける。

 二人は、以前に中央ギルド協会の主催で行われた技術向上のための狩り演習でハイレベルなトップ争いを演じて以降、

お互いに勝気で負けず嫌いな性格がぶつかって、狩場や中央で顔を合わせるたびに、ケンカになる。

 しかし、ここに腹を立てているのがもう一人。いや、一匹。自分を無視するわけでもないが、片手間でチマチマ攻撃されながら、左右の
耳へ変わり順番に罵声が聞こえてくるその状況は、怒りっぽいティガレックスの血液を瞬間的に沸騰させた。

 腕や顔に血管が浮き上がり、その固いうろこがみるみる赤く染まっていく。そして、大きく息を吸い込んだ。

「うげっ!」

「ヤバっ!」

 二人はとっさに耳をふさいで後方に身を投げた。

 ティガレックスが渾身の怒りを込めて、大地を揺るがすほどに咆哮した。

「う…くっ!」

「もう!邪魔するから!」

「なによ!」

それでも言い合う二人の耳に、ゴゴゴゴとどこからか地鳴りが聞こえてきた。

「え?」

「何、これ?」

「ガウ…?」

辺りを見回す二人と一匹が目にしたのは、咆哮によって、発生した雪崩が彼らに迫っている音だった。

「いぃぃ!?」

「えぇぇ?!」

「ウッガバァッ!」

ティガレックスはすぐさま飛び上がると、大きな腕を広げて高台から滑空して丘の向こうへ消えてきた。

「あぁ!逃げた!」

「あいつ!」

飛び去ったティガレックスに気を取られた瞬間、二人は白く迫る濁流に飲み込まれた。


 「寒い…」

「どうしてこんな目に…」

二人は、幸い生き埋めは免れた。しかし、雪崩によってクレバスに押しやられ、狭い横穴に退避してしまったがため、膨大な量の雪に出口をふさがれ、身動きできない状況に陥ってしまった。

あちこちに亀裂があって外からの光も漏れているので空気がなくなるようなことはなさそうだが、壁が厚すぎて破壊して出るのは不可能に思えた。

「そっちが邪魔しなければ、こんなことにはなんなかったのに」

「邪魔したのはあんたでしょ?!狭い場所からようやくあそこに誘い出したってのに」

「だいたい、あれはこっちの獲物!」

「いいえ!私の獲物よ!」

二人は言い合ってからため息をついた。

 行方不明となれば、2、3日もすれば捜索隊が来るはずだ。それまで生き延びなければならない。こんな狭く冷たい洞窟の中で、だ。

 「食料はある?こっちは流された」

「ポポの肉を切りだしたのは残ってるけど、燃料がない」

「燃料は残ってる。すこしだけど」

「良かった。あんた、寒そうだけど、毛布は?」

「シュラフになるのがある。そっちこそ、上着なくして、他に防寒具あるの?」

「一応、羽織れるものはあるわ」

「そう」

 ケンカ相手でライバルとはいえ、二人もプロのハンターだ。こうした状況への対応は叩き込んである。

無駄な体力を消耗している場合ではないし、遭難で相手を死なせてしまうのはハンターとしての名に傷がつく。

気は進まないが、助け合う必要があった。

 燃料を持っていた赤髪が火をつけ、食料を持っていた金髪が肉を焼いた。

陶器のコップに雪を入れて、火で溶かし、保温のための薬草を入れてすする。

 それでも、日が傾いてきてただでさえ低かった気温がグングンと下がっていく。

ナルガクルガの装備に身を包んでいた赤髪が震えだした。毛布を取り出して体に巻きつける。

次いで、ウルククスの装備に身を包んだ金髪も震えだした。

胴当てが雪にもまれている間に流されてしまった彼女は、仕方なく薄い鎧下を取り出して上に羽織る。

 しかし、それでも凍てつくような寒さは変わらない。


「…」

「…」

お互いに黙っている。協会のマニュアルでは、こうした時、身を寄せ合ってひと肌で保温しあうように推奨されているのを二人は知っていた。

しかし、いくら緊急時で助け合いが必要だからと言って、相手は顔を合わせばケンカをするような相手。

できれば密着するような事態は避けたかった。

 だからと言って、このままでは凍死しかねない…せめて、自分からではなく、相手からその提案を引き出したい。

二人はお互いにそう考えていた。

「そ、その鎧下じゃ、寒いでしょ。毛布入れてあげてもいいよ」

赤髪が切りだす。

「べ、べつにそれほど寒くなんかないわよ。あ、あんたが寒いってんなら、一緒にはいってあげてもいいけど」

金髪が言い返す。

「こ、こっちは寒くないけどさ…こんな狭いとこで死体になられても困るし」

「これくらいで死ぬわけないでしょ。あんたなんかとは、鍛え方が違うのよ」

赤髪の言葉に金髪も答える。しかし、この駆け引きは毛布を持っている赤髪の有利には違いない。

金髪は、その点に気づいていた。そこでそのアドバンテージを取られる前に攻勢に出た。

「まったく、素直じゃないわね。いいわよ、入ってあげるわよ」

「な、なんだその言い方は!?自分が入りたいだけだろう!?」

「いいえ、別に?入ってほしくなければ構わないのだけど?」

「そ、そっちこそ、入れてほしいと素直に言えば入れてやらないことはないんだぞ!?」

「い、意地張ってんじゃないわよ。ほら、入ってあげるわよ」

「意地張ってるのはそっちじゃないのか!?そんなに入りたいなら入れてやるよ!」

言い合ってはいるが、お互いに目的が同じなだけに、行動はスムーズだ。

 二人はもそもそと一枚の毛布にくるまる。


しかし、お互いの装備が邪魔で密着できずに空間ができ、そこから冷気が入り込んできて思いの外暖かくない。

「そ、装備が邪魔ね…」

「脱ぐしかないか…」

そこは同意見であったらしく、装備を脱いで下着姿になり、再び毛布にくるまる。

今度は密着で来ており、すぐに保温効果を感じられる。

「あったかいだろ?」

自分自身も実感しているが、まずは相手に、と赤髪が投げかける。

「私は別にまだ全然大丈夫だったけれどね。あなたこそ、最初から素直にこうしたいって言えばいいのに」

金髪も言い返す。二人はまた、そこから不毛な言い争いを続けた。

日が完璧に落ちて、焼け残った火種の明かりだけが煌々と灯っている。気温はさらに下がっている。

いつの間にか二人は、くるまれた毛布の中で抱き合うような格好になっていた。

体力温存のために、言い争いはやめ、すでに狭い空間でゴロっと横になっている。

毛布はケルビの毛皮で出来ており、二人でくるまっていれば最低限の暖は取れる。

シュラフに出来る様に加工されており、二人とも足元から頭まで、すっぽり覆われている。

その中で、もぞもぞと金髪が動いた。そのせいでうとうとしかけていた赤髪の目がさえてしまう。

「ちょっと、狭いんだからあんまり動かないでよ」

赤髪が文句を言う。

「あなたがぎゅうぎゅう体押し付けてくるからでしょう」

金髪は反論した。

「おしつけてきたのはそっちだろう?」

「何言ってるのよ。さっきからあなた、胸とか脚とかくっつけてきてるじゃない」

「あぁ、それはすまないな。サイズの問題だ。質量だな。そっちの方が小さそうだし、勘弁してくれ」

「はぁ!?何言ってんの、私の方がサイズ的には大きいと思うけど?」

「どんな目してるんだよ。こっちの方が大きいだろ?」

二人ともサイズはさほど変わらず、分類としては下から2番目程度と大きくもないのだが、

そう言われてしまうと反論せずにはいられない。

いつの間にか二人は、シュラフの中でお互いに胸を押し付け大きさを誇示し合い始めてしまった。

焦らされるの、好きだろう?

続きはまた今度。

焦らしプレイなんだからな。

眠い訳じゃないんだからな。

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