男「中二病だらけの学園で俺がリア充の頂点を目指す」 (21)

 ガタ ガタガタッ

「……」

 ガタガタガタッ

「……」

「……ふぅ」


男「――しょうがねえヤツらだな、まったく」

男「人一人をイジメるのに馬鹿みてーな数揃えるだけでもおめでたいっつーのに」

男「肝心の中身もコレじゃあなぁ……まだ殴る蹴るのほうがわかりやすくていいぜ」

男「やはりクズには他者をいたぶるセンスすらないというわけか。哀れな」

 ガタガタガタッ

男「……」

 ガタガタガタッ

男「……ちっ、ご丁寧に何かでつっかえてやがる。手の込んだことで」

男「ふんっ」ガタッ

 シーーーーン

男「……」

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男「ク、クク……戯れもここまで幼稚だと逆に笑いが零れちまう。今時閉所に閉じ込めらたくらいで誰がうろ

たえるというのだ。一度アイツらの頭をカチ割ってその軽そうな脳の回路図を見てみたい」

男「まさか俺が泣き叫ぶとでも思ったか? 俺が独りでの闇に心を乱すとでも?」

男「馬鹿馬鹿しい」

男「抵抗する素振りを見せたのもそのほうがお前らアホの歓喜を湧かせるに十分だと判断したからだ。
他人の嫌がる様を見れば口から下卑た笑いを漏らすという単純な生き物の集まりだからなぁ」

男「俺はお前らの非生産的な限りある時間を無意味に費やすという人生においてもっとも愚かな行為にあ

えて付き合ってやっただけなのだ。……どうだ、楽しかったか? 満足したか?」

男「もういいだろう。俺は――」

男「そろそろ本気を出すぜ?」

男「お開きだ。お前らとのも遊びもここまd」

 ガラッ 

女子生徒「暑っつーい! あーもう、疲れたぁ~」

男(いぃーーーーーーーーーーーっ!?)

女子生徒「だっるぅ~、男女混合とかありえないんだけどぉ」

女子生徒「ねー、確かに意外過ぎたわ」

男(ええっ!? えええええ!?)

女子生徒「しかもさぁ、この後普通に授業あるとか信じられる? 汗かきまくり」パタパタ

女子生徒「oh、良い香りがしますぞ~」

女子生徒「うぃーす、お疲れー」

 「「お疲れ~」」

 ガヤガヤ 

男「……!」

男(えええ……う、ウソでしょおい、早すぎんだろ戻ってくんの……!)

男(チャイムはまだ鳴っていない教師は何をやってるんだぁ~、サボッてんじゃねーぞ!)

女子生徒「ま、ウチらだけ早めに終わったし。先生も一応気ぃ利かせてれたんじゃない?」

女子生徒「んなことまで考えてるかな~」

 キャッキャッ

男「あばっ、あばばばば」ガタガタ

男(や、ヤバ過ぎる……! ぞくぞくと女子が我が下に群がってきたぁ。バレたら殺される)

男(なんて日だ。なんてことしやがるあの低脳ドクズども。世の中やって良いことと悪いことってあるだろぉ……っ、女子更衣室のロッカーに閉じ込めるなんてお戯れが過ぎるんだよどんだけ頭が悪いんだ)

男(薄汚い場所なら他にもたくさんあるだろうに、前みたいにトイレの用具入れとか学食の廃棄室に押し込めときゃいいんだ馬鹿馬鹿馬鹿)

男「なんで……どうして新たな趣向に挑戦しようとするんだぁ……」ズルズル

男(お前らは一生代わり映えのない日々をただ無為に過ごせば良いと常々言っているはずだぞ。頼むからもう俺に関わらないでくれ。そして頼むから助けて下さい神様)

女子生徒「うわ、アンタまーたでかくなった?」

女子生徒「ちょ、ちょっと!///」

男「……」ピク

女子生徒「ねえ見てよ。コイツ彼氏出来たとたん急にコレですよ、コレ」モミモミ

女子生徒「ほう、胸ですか」

女子生徒「さ、触んないでよ。もう!///」

男「……ふむ」

男(どれどれ)ゴソゴソ

女子生徒「そーいうアンタだって随分エッチな下着履いてるじゃない。今日はあの彼氏クンの家?」
男(うお!? ホントにでけえ! なにアレおっぱい!?)

女子生徒「は、はあ?/// 別にそんなんじゃないし。いつもこんな感じだっつーの///」
男(こっちは紐!? あれが噂の紐パン!? しかも布面積せっま! 初めて見た)

女子生徒「ほらほらさっさと着替えなよー。制汗スプレーかけちゃうぞー?」
男(あ、あっちはクラス委員長の……すごい、意外とスタイル良いんだな。しかも下着姿でハシャぐ一面があったなんて驚きだ)

女子生徒「そーれ♪」プシュー
女子生徒「キャー♪ 冷たいけどクセになるー」クルクル
男(あれは隣の席の女の子。一度も会話をしたことがないけどあんな可愛い声出すんだ。回るたびに揺れるおっぱいも中々……目に焼き付けておこう)

 キャッキャッ

男(……すごい。こんな時間にこんな場所にいる俺もすごいが彼女たちの肌色はもっとすごい)

男「女の子ってすごいんだな。なんて素晴らしい光景なんだ神様ありがとう」

男(あとは彼女たちが俺の存在に気づかないまま部屋を出てくれることを祈るばかりだ)ギュッ

 キャッキャッ

男「……ん?」

 キャッキャッ

男(あれ、待てよ。そういえば……)

 ガラッ

女子生徒「あ……」

黒羽「……」

 しーーーーーーーん

男(やっぱり……この人の姿が見えないと思ったけど授業には出てたのか)

女子生徒「あ、く、黒羽さん。後片付けありがとうね」

女子生徒「あ、ありがとう。ごめんね、黒羽さん一人にやらせるなんて」

黒羽「……いいです。私がやると言ったので」

女子生徒「そ、そう」

 しーーーーーーーーん

男「……うわぁ(ごくり)」

男(一気に空気が変わったよ。さすがは黒羽さん。相変わらずすげえ重いオーラを発してんな)

男(俺まで思わず姿勢を正してしまった)

女子生徒「じゃ、じゃあさ、ウチらもう行くね」

女子生徒「あ、待ってよ! 私もすぐ着替えるから!」アセアセ

黒羽「……」

男(同じクラスメートの黒羽箭千代さん……つい2、3ヶ月前に俺たちと同じ『一般棟』へ移動してきたばかりの才女であり、校内のちょっとした有名人だ)

男(スポーツ・学業ともに何をやらせても成績抜群。その上あの眉目秀麗な容姿を兼ね備えているとくれば当然生徒の間で話題にもなるだろう)

男(確か彼女は――以前いた『武棟』においても上級生にまでその名を知られていたと聞く)

女子生徒「はやく、はやくしてよ」ヒソヒソ

女子生徒「わかってるって」ヒソヒソ

黒羽「……」

男(けど、そんな黒羽さんは未だ女子の間に馴染めていないみたいだ)

男(彼女の生真面目な性格・立ち振る舞いがそうさせるのか、とにかく近寄りがたい雰囲気を纏う彼女は周囲の人間から恐れられている。……女子だけでなく、男子にも)

男「ク、クク……馬鹿どもめ」

男(そこがいいんじゃないか。そこが彼女の魅力なのだ理解しているのは恐らく俺だけだろう)

男(ま、もっともアイツらが黒羽さんを忌避する最大の理由は『アレ』だろうがな……)

黒羽「……」ジーッ

男「ん?」

黒羽「……」ジーッ

男「おわっ!? ――っ、(しまった声が……!)」

女子生徒「……え? く、黒羽さん……? 今何か言った?」

男「……!」

黒羽「……いえ、何も」

男(な、ななななな何で黒羽さんが俺のロッカーの前に立ってるんだ今完全に目が合ったぞ!?)

黒羽「……」ジーッ

男(ま、まさか……!)

女子生徒「黒羽さん、着替えないの? 制服そのロッカーの中でしょ?」

男(やっぱそうだったぁああああ! ここ黒羽さんのロッカーかよぉおおおお!?)

男(ハッ、つまり俺が手に握っているこの布は……)モミモミ

男「黒羽さんの制服」

男「……」

 スンスン

男「……なるほど///」

男(なんてやってる場合じゃない! 俺はどの道見つかる運命だったということじゃねーか!)

男(し、しかもよりによって黒羽さんの……あこがれの女性のロッカーに入り込む変態として白日の下に晒されるというのか冗談じゃないぞ俺は断固拒否する!)

男(俺は変態なんかじゃありませんよ。頭の悪い連中に無理やり押し込まれただけなんです。狭いので土下座は出来ませんがこうして頭を扉にこすり付けています。今日はもう体操着のままでいて下さいそのほうが新鮮で素敵ですよー、黒羽さん!)

男(お願いですから開けないでーーーーーーーーーーーーーー!!)

黒羽「……」ジーッ

男「!」
 
男(そうだ、何故黒羽さんはさっきからロッカーの前で突っ立ったままなんだ?)

男(まさか同性の目の前ですら着替えるのは恥ずかしいと……いや、黒羽さんに限ってそんなことはないだろう。むしろ周りの視線など頓着せずに堂々とその綺麗な肌を露にするに違いない)

男(と、なると……)

黒羽「……」ジーッ

男(……完全に俺に気づいてるよねコレ。めっちゃ見られてる)

女子生徒「じゃ、じゃあ私たち先に教室に戻ってるね。黒羽さんも、また後で」

黒羽「……」

男(そういうことか。黒羽さん……貴女って人は)

男(思えばあの時もそうだった。俺が教室のカーテンで首吊り遊戯なるあのどくざれどもの戯れに付き合っていた時……)

男(キミが窓のそばに近づいただけで蜘蛛の子を散らすかのようにヤツらが逃げていったことがあった。その後何事もなかったかのように外の景色を眺めていたけど……あれは黒羽さん、キミの優しさなんだろ?)

男(やはり俺だけが知っている。黒羽さんの魅力はこういう所にも――)

 ガチャ

男「あん」ドサッ

女子生徒「……へ?」

男「……」

女子生徒「……」

黒羽「……」

男「……こ」

男「ここは一体……? 俺は今まで授業で校庭に……ま、まさか座標軸を……うっ、頭が」

女子生徒「――っ」

 「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

男「うわーーーっ!? なんで開けるの黒羽さーーーーーーーーん!!」

黒羽「……? 扉を開けないと着替えをすることが出来ません」

男「答えが優等生過ぎる! そうじゃなくて!」

黒羽「貴方こそここで何を? 男子はまだ片づけをしているはずですが」

男「い、いや、あの、その」

女子生徒「イヤーーーーーーーっ! 流星が女子の更衣室にいるんだけどーーーっ!」

男「あまり叫ばないで頂けますか!? 仲間を呼び寄せないで!」

女子生徒「ギャーーーーーー! 皆来てーーーーーーー!」

男「」

黒羽「いつからここに? ずっとロッカーの中にいたのですか?」

男「……!」

黒羽「良く更衣室に忍び込めましたね。しかもこんな狭い空間に……」ジーッ

黒羽「流星くん、特別小柄というわけではないですよね? 不思議です」

男「……っ、ふ、ふくく。その通り」

男「耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶのが我がモットー。俺の歩む人生は――」

女子生徒「男子も戻ってきた! 流星が覗きしてたこと早く言わなきゃ!」

男「……」

黒羽「……人生は?」

男「人生は……」

男子生徒「何ぃ!? あのクソ野郎……! ぶっ殺してやる!」ドドドド

 

男 「たった今、終わりを告げたのであった」




気分転換に学園モノでも書きたいなぁと思い始めました。

※注意
オリジナル物で固有名詞などが出てきます
タイトル通り学園の設定その他もろもろにかなりの中二要素がありますので苦手な方はご注意を

ではここまで

______________

 ガヤガヤ 

教師「――次。えー、教科書の31ページから」

 ヒソヒソ

男「……」

教師「ここからちょっと難しい式が出てくるぞ。しっかり聞いておくように」

 ヒソヒソ 「よく学校来れるわね」  「どういう神経……」 ヒソヒソ

男「……」

男(視線が痛い。耳も……痛いほど周りが俺のことを影で噂しているのがわかる)

男(あれ以来、このクラスのみならず、学年全体で俺の名は一躍有名になってしまった)

男(女子更衣室に忍び込んだ根暗のキモ男……)


 ヒソヒソ 「うわ、今こっち見た」 「ヤベ、あいつ本物だろ」 ヒソヒソ


男「く……っ!」

男(本物ってどういう意味だ……っ、俺が何をしたからってこんな扱いを受けなきゃなんねーんだ……っ!)

男(楽しそうにおっぱい揺らしていた隣の席の女の子も、もはや隣と呼んでいいのかわからないくらいに俺と席を離しているしっ!)

男(教師も気づけよ! 俺の周りだけなんかの爆心地みてーに空間空いてるじゃねえか、どう見てもおかしいだろ!)

教師「……ん? どうした北野、何か質問か?」

男「え? あ、いえ……何でも」

教師「? そうか」

 ヒソヒソ 「喋んな」 「死ね」 ヒソヒソ

男「ぐ、く……っ」ギリッ

男(耐えられない。ただでさえクソみたいな日常が続いてたっつーのに、地獄がさらに深まってしまった。何故だ、どうしていつも俺はこんな目に……)

教師「――では、この例題を……黒羽、やってみるか」

黒羽「……」

男(! 黒羽さん……)

黒羽「……」

男(相変わらず凛とした佇まい……黒羽さんも、やはり俺のことを軽蔑しているのだろうか)

教師「うん、さすが黒羽。正解だ」

黒羽「……」

男(あの時、俺が隠れていたとされるのはこの黒羽さんのロッカーだ)

男(駆けつけた生徒たちから私物を盗まれていないかたずねられていた黒羽さんは、特に何も答えることなくいつの間にか更衣室から姿を消してたっけ……)

男(あの後は色んな意味で袋叩きだった……つい情けない声で許しを請う俺の姿を、黒羽さんに見られなくて良かっと思う。……もっとも、)

男(貼られた俺のレッテルとともに、被害者の一人である黒羽さんが心の中でどう思っているのかは推して知るべし、か)

男「はぁ……」

男(事情だけでも説明したい。他のヤツらはどうでもいいが、彼女にだけは何があったのかを釈明してもう一度謝りたい。そして出来ることなら許して欲しい)

男「……」

男「……ていうか」

男(そういえば黒羽さんには謝ってなかったような……)

教師「――たの! おい、北野!」

男「は、はい!?」ギクッ

教師「……何度呼べば気づく。ボーッとするな。次はお前だぞ」

男「へ?」

教師「へ、じゃない。この問題を解くんだ。ほら前に出ろ」

男「う……」

 ヒソヒソ

男「……」

男(や、ヤバイ……まったく授業を聞いてなかった。どの問題だ? まさかあのわけのわからん数式を解きに来いと? 待ってくれ無理だ……解けないとわかっていて前に出るのはわざわざ恥をかきに行くようなもんじゃないか。これ以上嘲笑われるのは正直……)

教師「どうした。さっさと出て来い」

男「あの、わか、わかりません」

教師「はぁ? おい北野~、ちゃんと話を聞いてたのか? お前、これは単純に数字を当てはめるだけの、基本中の基本だぞ? そもそも答えは教科書に載っている」

男「え」

教師「ちゃんと途中の式を書けるかどうかの問題だったんだがな。分からないんだったらそれなりに話を聞いて、他の子の答えをしっかり見てなさいバカモンが」

 プー クスクス

男「~~~っ!///」


黒羽「…………」

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