モバP「マシンガントーク」 (21)


幸子「それでですね、ボクは思うんですよ。ボクはもっとこういうお仕事が増えても良いって。
   今まではスカイダイビングさせられたり素潜りさせられたりしてきましたけど、
   こういうモデル系のお仕事がやっぱりボクのカワイさを一番表せる仕事だと思うんですよ」

幸子「ボク自身、素材としても勿論十分にカワイイですけど、やっぱりカワイイ服を着た方がよりカワイく見えるんですよ。
   クリスマスの時の衣装、ちゃんとPさんも見ましたよね? ね? カワイかったですよね?
   ほら、この時の写真見て下さいよ。やっぱりこういう衣装を合わせていった方がボクは一番輝きますよね!」

幸子「ですからこれからはもっとああいうお仕事を増やして行った方が良いと思うんです。
   最近になってようやくPさんがその事に気付いたみたいで、ボクが今言ったようなお仕事は増えましたけど、
   まだまだ足りません。これからはこういう路線で行きましょう!」

幸子「でも箱に入ってやったあの役もやってて案外楽しかったですけどね。
   色モノな役でしたけど、どんな仕事も完璧にこなしちゃいますね、ボクは。
   我ながら困ったものです。どんな物を着てもカワイイだなんて……」

幸子「あ、だからと言ってとんでもない衣装とかは嫌ですよ。まぁその辺りはさすがのPさんでも理解してるようでしょうから、
   心配はそこまでしてないですけど。本当にお願いしますよ? ちゃんとボクに合うお仕事を増やして行って下さいね?」

幸子「あ、あと、仕事で着る衣装ばかりカワイくても、普段着てる服を疎かにしちゃいけませんよね。
   もう季節も変わりますし、新しい服を買わないといけませんね……。
   あっ、そう言えば明後日のオフ、言った通り空けておいてくれましたよね? ならボクの買い物について来て下さいよ。
   どうせPさんはオフの日は家でゴロゴロするだけでしょうから、ボクの荷物を持って運動すると良いですよ。
   健康にも気を遣ってあげるなんてボクは親切ですね!」


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幸子「というか話聞いてますかPさん。さっきから手を止めてないですけど」

P「あ、あはは……聞いてるよ、ちゃんと」

幸子「全く……ボクが話してるんですからちゃんと聞いて下さいよ。というか事後処理くらいすぐに済ませて下さい」

P「いやぁ、こういう書類こそ疎かにしちゃいけないものだよ。
  これで間違いとか起こしてると迷惑を被るのは事務員さんはじめ、事務所の皆なんだから」

幸子「それにしたってちょっと遅いでしょう」

P「うーん……幸子の話聴くのに、八割頭の中を割いてるから。ちょっと遅くなってるかもな」

幸子「ボクのせいですか?」

P「そうじゃないけど……幸子の話を聞いてると楽しいから、つい、ね」

幸子「む……ま、まぁ、それは当然ですよ。このボクの話につい耳を傾けてしまうのは仕方が無い事ですよね!」

P「うん。それで、買い物の付き添いだっけ?」

幸子「はい! 勿論一緒に来てくれますよね! いやむしろ来ない方がおかしいですよね!」

P「あはは。うん、行くよ」


幸子「じゃあ朝から集合で良いですよね! 沢山見る物はありますから、夕方まで荷物持ちをして下さいね!」

P「うん、わかったわかった」

幸子「それでですね、今度は……えっと、ありました。この場所に行きたいんですけど……」

P「うん」

P(仕事の途中でも止まらない、幸子のマシンガントーク)

P(俺が何をしていようと近くにいれば沢山話しかけてくる。ちょっと困る時もあるけれど、彼女の話を聞くのは楽しい)

幸子「ここなんかも……ちょっとPさん、聞いてますか? というかいつになったら終わるんですかそれ」

P「話は聞いてるよ。もう少しで終わるから、ちょっと待っててな」

幸子「全く……それくらい早く終わらせて下さいよ、ボクの帰る時間も遅くなっちゃうじゃないですか。
   ボクの送り迎えもPさんの仕事なんですからね、早くして下さい」

P「ごめん」

幸子「Pさんはゆっくりし過ぎなんですよ。
   虫も殺せないような顔して、お爺さんみたいな雰囲気出して仕事なんてしてるから遅くなるんですよ」

P「それはもう生来の物だから、しょうがない」


幸子「そのくせトンデモな仕事を取って来ますからね……えっとそれで、何でしたっけ……あぁ、見て下さいこのページ」ペラペラ

P「ん、何?」

幸子「ここですよ、ここ」トントン

P「あぁここか。昔何度か家族で行ったなぁ」

幸子「ね、ここなら服屋さんも食べる所も沢山ありますからここに行きましょうよ。いいですよね?」

P「そうだな。近いし、そこにしようか」

幸子「じゃあ決まりですね! 朝九時に迎えに来て下さい、いいですか?」

P「うん、わかったよ」

幸子「寝坊しないで下さいよ? いくらボクと買い物に行くのが楽しみで興奮して眠れないって状況になっても、
   ボクは電話で起こしたりしてあげませんからね?」

P「大丈夫大丈夫。ちゃんと目覚まし二つつけておくよ」


幸子「うーん、それでも何だか心配ですね……あ、やっぱりボクがモーニングコールしてあげましょうか?
   ボクのカワイイ声を聞けば寝起きでダルダルになったPさんもシャキッとするでしょうからね。
   どうです? またとない提案ですよ? して欲しいですか? して欲しいですよね?」

P「あー、じゃあお願いしようか。俺も幸子の声聞きたいから、電話してくれると嬉しいな」

幸子「……」

P「うん? 駄目か?」

幸子「……ふ、フフーン! じゃ、じゃあしょうがないですね、電話してあげますよ!
   3コール以内でちゃんと起きて下さいね! 良いですか!」

P「うん。わかった」

P(彼女の話す事と言えば、基本的に自分がどうとか、今日何したかとか、些細な事。他は俺をなじるような言葉ばかり)

P(でも、それは表面的なもの。自慢したいとか、そういうのとは少し違う)

P(本当はとにかく俺と話したいだけ。一生懸命気を引いて、言葉を返して欲しいだけ。
  憎まれ口も俺相手だから言う。そうじゃなきゃまず言わない。一番信頼してる俺にしか、言わない)

P(ちょっと見えない位置にある幸子の気持ち。でもそんな気持ちが見え隠れして、それが堪らなく可愛い)

P(だから、俺は幸子の話をもっともっと聞きたい)


幸子「あ、じゃあ今のうちにどういう順番で見るか決めましょうか。案外広いですからね、計画立てておかないと周り切れない可能性がありますから。
   ボクは準備も怠りませんよ」

P「あはは……(またヒートアップしちゃったな)」

幸子「えーと……この辺りのページに……」

P(最初の頃は誤解もあったけど、今ではそんな事はまず起きない。
  他のアイドルと楽しそうに俺が話してると、たまーに幸子が焼きもち焼いて怒るくらい)

P(怒って、機嫌悪くして、一生懸命謝って、じゃあどこそこへ連れて行ってくれたら許す、なんて事をして)

P(結局休みの日も幸子にかりだされる。次のオフもかりだされる。
  ずっと、ピッタリと一緒にいる。一緒にいれないのは眠る時くらい。まるでコンタクトレンズのよう)

幸子「ほら、見て下さい! ここですよここ。ボクが行きたいと思ってるお店です!」トントン


P(でも、さすがにちょっと仕事に時間かけ過ぎかな……そろそろ幸子と話すのも一旦止めよう)

P「……よいしょっと」

幸子「入口付近に……あれ、どうしたんですか立ち上がって。終わったんですか?」

P「ん? いや、ちょっと、ね」

幸子「?」

P「……よっと」ギュッ

幸子「わっ」

P「よいしょっと」ボフッ

幸子「ど、どうしたんですか急に」

P「んー? いや、少し……こうしたくて」

P(ソファに座って、幸子を抱きしめ膝に乗せる)

P(そうやってやると幸子の口数はどんどん少なくなっていく)

幸子「な、なんですかPさん。お仕事終わったんですか」

P「ううん。ただちょっと……こうしたいなって思って」

幸子「と、唐突過ぎますよ……」


P「駄目だった?」

幸子「だ、駄目って言うか……その、あまりに突然だったので……」

P「そうかな。たまにこうしてるじゃないか」

幸子「で、ですけど、慣れないものは慣れないんですよ」

P「ふふっ、そっか」

P(少し強く抱きしめる。また彼女の口数は減る)

幸子「ま、全く……」

P「……」ギュウッ

P(最初は落ちつかないようにしているけれど、少し強く抱きしめてあげれば殆ど喋らなくなる)

幸子「……」

P(それから観念したように、小さな体を俺の胸に擦り寄せてくる。嬉しそうに目を細めながら)

幸子「……ふふっ」

P(しばらく、動かずにこうしている。さすがにまだキスまでは出来ないけれどこうしている時だけは本当に静かだ)

P(シャワーみたいに否応無く浴びせてくる幸子の話も好きだ。
  どんな小さい事でも良いから俺に喋って欲しい。その言葉に溺れていたい)

P(でもこうして黙って、嬉しそうに、ただ俺の腕に抱かれている幸子も好きだ。
  心臓の温かい鼓動だけを聞かせて、俺を安心させてくれる幸子も好きだ)

P(つまり、全部が好きだ)


P「……幸子」

幸子「……ん、なんですか?」

P「終わりだ」

幸子「え?」

P「よいしょっと」スクッ

幸子「あっ……」

P「そんな残念な顔しないで。残ったお仕事すぐ終わらせるから、ね?」

幸子「……しょうが、ないですね。早く終わらせて下さいよ」

P「うん。だから、ちょっと静かに待っててね」

幸子「……はい」

P(抱きしめてあげた後は満足したのか、少し静かになる。借りてきた猫みたいだ、と思う。それも可愛いと思う)


幸子「……」

P「……」カタカタ

幸子「……」

P「……えっと……ここが、これで……」

幸子「……」

P「……ふぅ……幸子、終わったよ」

幸子「あ、終わりました?」

P「うん。じゃあ、帰ろうか」

幸子「もう、遅いですよ……」

P「ごめん。許して」

幸子「……良いですよ、別に」

P「あはは、ありがと」


幸子「ほら、行きますよ」

P「うん」

幸子「……ほら」

P「んー? 何、その手」

幸子「外……今日ちょっと寒いじゃないですか」

P「あぁ」

幸子「だから、ほら……鈍いですよ」

P「あはは、ごめん」

P(ちょっと意地悪をしてから、差し出された手を握る)

幸子「……わかってるならはじめからそうして下さいよ」

P「ごめん」

幸子「Pさんのごめんには何だか誠意が感じられませんね」

P「あはは、ごめんごめん」

幸子「だからそれですって」

P「そう言われてもなぁ」

幸子「はぁ……」


P「……行こうか。もう遅い時間だ」

幸子「誰のせいですか」

P「俺だね」

幸子「反省の色が全く見えない言い方なんですけど」

P「まぁ良いじゃないか。ほら、行こう」

幸子「……わかりました。全く……」

P(軽口を叩き合い、呆れたようにそう言った後に、彼女はまた小さく笑う。
  甘えるような目で、口の端を幸福に引っ張られるように上げて笑う。ふと出てしまったような笑み)

P(こんな仕草ばかりされてたら、どうにかなってしまう。これ以上好きになったら大変なのに)


P「……忘れ物、無いね?」

幸子「はい、大丈夫です」

P「……なぁ、幸子」

幸子「なんですか?」

P「……」

P(もっと……こういう大事な時間を過ごせれば良いね)

幸子「……? 何ですか黙って」

P「……ううん、何でもないよ。じゃあ、帰ろうか」

幸子「……はい」


ガチャッ
バタンッ


――

終わりです
題材はポルノグラフィティ「マシンガントーク」
何となく、相手の女性が幸子みたいだなと思ったので題材にして投稿しました
幸子カワイイですね、選挙終わってから投稿するなって話ですけどね

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