如月優「どうも」P「え」 (102)

書き溜め無しです。

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P「君は……千早の……」

優「はい。弟です」

P「亡くなったと聞いたけど……」

優「死にましたよ。ほら」とおりぬけーの

P「」

優「あの……あれ? お兄さん?」

P「」

優「……気絶してる」

優「あっ! 三浦あずささんがストリップしてる!」

P「何!? 何処だ!?」

優「おはようございます」

P「……夢じゃなかったのか」

優「本物ですよ? 今日はお兄さんにお願いがあって、化けーー来ました」

P「……」

優「お姉ちゃんと結婚して欲しいんです!」

P「……はい?」

優「お姉ちゃんですよ! 世界一可愛いアイドルの如月千早! 僕の姉です!」

P「うるさい」

優「あ、はい」

P「……何で千早と結婚する事になるの?」

優「僕は死んでから、お姉ちゃんの守護霊としてずっと見守って来ました」

P「うん」

優「故に僕は思う訳です……お姉ちゃん。ぶっちゃけ、貰い手ないだろ? っと」

P「おい」

優「いや、確かにお姉ちゃんは世界一可愛いですよ? でも……72だし……ねえ?」

P「同意を求められても頷かないからな?」

優「お兄さん以外にお姉ちゃんと結婚出来るのは居ないと思います!」

P「いや、千早にもいつか好きな人ぐらい……」

優「もう現れてますよ」

P「何!? だ、誰なんだ!」

優「……まあ、そういう人だとは思ってましたけど」やれやれ

P「大袈裟に肩を竦めないでくれる? かなりムカつくから」

優「お兄さんは千早お姉ちゃんの事をどう思っているんですか?」

P「不器用だけど……良い娘だと思うよ」

優「愛してるか嫌いかで言ったら」

P「何だよ。その二択……」

優「愛してるんですよね! なら、結婚しかないじゃないですか!」

P「……君、本物に千早の弟?」

優「はい。世界一72が似合う可愛い如月千早の弟、如月優ですよ?」

P「……頭が痛くなって来た」

ーー翌日。

小鳥「プロデューサーさん。おはようございます」

P「……おはようございます」げっそり

小鳥「ど、どうしたんですか!」

P「ちょっと……浸かれただけですよ……問題ありません」

小鳥「虚ろな目で言われても……」

優「全く。体調を疎かにするなんてそれでもお姉ちゃんのプロデューサーですか?」

P(殴りてぇ……)

小鳥「今日は帰った方が……」

P「何……大丈夫ですよ……」

千早「おはようございます」

小鳥「千早ちゃん。おはよう」

P「千早か! おはよう!」

小鳥(あ、あれ……顔色が良い……?)

千早「プロデューサー。おはようございます……?」

P「どうしたんだ?」

千早「いえ……プロデューサーから懐かしい感じが……気のせいみたいです」

優「お姉ちゃん、お姉ちゃんですよ!」

P(うるさいなぁ……)

優はPにしか見えていません。

千早「……あの……」

P「この前の服か。似合ってるよ」

千早「そ、そうですか……? やっぱり……私なんかには……」

小鳥「そんな事ないわ! とっても似合ってる! ね、プロデューサーさん!」

P「はい。千早はもっと可愛い服を着るべきだ、せっかく似合うんだからな?」

千早「や、やめて下さい……」

千早「れ、レッスンに行って来ます……!」

小鳥「あ、千早ちゃん……行っちゃいましたね」

P「……そうですね……」

小鳥「うわっ! さっきまで元気だったのに、やっぱり体調が……」

P「アイドルの前でこんな姿見せる訳にはいきませんから……」

小鳥「か、顔色をコントロール出来るもんなんですか……?」

P「プロデュースやってるんで……」

優「照れてるお姉ちゃん。すっごい可愛いくありませんでしたか!?」

P(こ、こいつは……)

小鳥「無理しないでくださいね?」

P「……ありがとうございます」

千早「すみません……忘れ物を」

P「おう!」キリッ

千早「それでは……」

P「……」だるっ

優「すっごく面白いですね!」

小鳥「プロデューサーさん? 本当に今日は帰った方が……」

P「いや……仕事が出来ないほどじゃ……無いんで」

小鳥「確かに仕事は出来てますけど……」

P「無理そうなら頼るかも知れません……その時はお願いします」

小鳥「! はい! ドンッと頼っちゃって下さい!」

優「上手く言いましたね」

P(本当に黙ってくれないかな……)

問題は年相応になってるのか、それとも当時のままなのか

>>15見た目は亡くなった時のままです。
精神(?)だけ成長しました。

P「Pです。先日、お話しした件ですが……本当ですか! ありがとうございます!」

P「はい! 失礼します……」

小鳥「前にプロデューサーさんが言っていた……」

P「はい! 歌番組の出演が決まりました!」

小鳥「え!? 全国放送されるんですよね? 凄いじゃないですか!」

P「全員と言うわけにはいかないと想いますが……そこは向こう次第です」

優「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん……!」

ガタガタガタ!

小鳥「ひっ! 棚が勝手に!?」

P「じ、地震じゃないですかね! 千早が良いんじゃないかと!」

優「……!」

小鳥「え……? あ、はい。良いと思います!」

優「お兄さんと呼ばせて下さい!」

P(もう呼んでるだろ……)

小鳥「千早ちゃん、喜びますよ」

P「最近、歌の仕事取って来れなかったからなぁ……俺の力不足ですよ」

小鳥「そんな事ないと思いますけど……またネガティブになってますよ?」

P「……」

小鳥「千早ちゃん。最近、歌の仕事じゃなくても嫌な顔しなくなったじゃないですか」

P「……はい。無駄じゃないって事がわかって貰えたので」

小鳥「プロデューサーさんを信頼しているんですよ」

P「……だと嬉しいですね」

小鳥「早いうちに教えてあげた方が良いんじゃないですか?」

P「レッスンから戻って来た時にでも話しますよ」

優「引っ張るだけ引っ張って、お姉ちゃんの可愛い反応を見るつもりですね!」

小鳥「休憩に丁度いい時間ですし、お茶でも飲みません?」

P「俺が淹れますよ」

小鳥「そんな……私が淹れますよ?

P「まあまあ……たまには良いじゃないですか」

小鳥「……それじゃあ……お願いしちゃいます」

P「少し時間を頂きますね」

P「はい。お茶が入りました」

小鳥「ありがとうございます……あれ? 三つありますよ?」

優「……!」

P「……なんとなくですよ」

優「ありがとうございます……まあ、飲めないんですけど」

P「気持ちの問題だよ」

小鳥「……?」

P「何でもないです」

春香「おはようございます!」

千早「戻りました」

優「!」

P「お、春香も一緒か」

春香「偶然、事務所の前で会っちゃって……」

P「まあ、丁度いいか……例の歌番組から出演のオファーが来たんだ」

春香「ええ!? 例の……って、全国放送の番組ですよね?」

千早「凄い……」

P「まだ具体的な人数は決まっていないが、その一人には千早を指名したいと思う」

千早「……!」

春香「凄いよ! 千早ちゃん!」

P「受けてくれるか?」

千早「も、勿論でしゅ……!」

P「……しゅ?」

千早「ち、違いました! 勿論です!」

優「噛んだ、絶対に噛んだよね。お姉ちゃん」

P「向こう次第だが、場合によっては春香にフォローを頼むかも知れない」

春香「任せて下さい! 千早ちゃん、一緒に頑張ろうね!」

千早「ありがとう……春香」

P「これ程のチャンスは滅多に無い。最高の状態で挑めるよう、心掛けてくれ」

千早「はい!」

優「嬉しそうな顔するなぁ……」

P「ああ……そうだな」

千早「そうと決まれば……」

P「無茶はしないようにな?」

千早「わ、わかってます……」

P「……」じー

千早「ちょっとだけ……無茶するつもりでした……」

P「それで体を壊したら元も子もないだろ?」

千早「……はい」

春香「流石はプロデューサーさん! 千早ちゃんの事をよくわかってますね」

P「まあ、プロデューサーだしな……全部、という訳にはいかないけどな」

春香「私の事もわかってくれてますか?」

P「春香は特に分かりやすいからな」

春香「ちょっ……どういう意味ですか、それ!?」

千早「ふふふっ……」

P「なぁ……」

優「はい?」とおりぬけーの

P「いつまで憑きまとう気だ?」

優「お兄さんが約束してくれるまで、かな」

P「……勝手な奴だな」

優「幽霊は自己中心なんですよ」

P「だと思っていたよ」

響「貴音。どうしたんだ?」

貴音「面妖な面妖な面妖な面妖な……」ぶつぶつ

優「お姉ちゃん。いい顔するようになりましたね……」

P「……まぁ、そうだな」

優「僕が守護霊してた時は、ずっと思い詰めた顔してましたけど……」

P「……君が守護霊をやめたのは、安心出来たからか?」

優「そういうことです。今のお姉ちゃんなら、僕が憑いている必要ありませんから」

P「そして今は俺に憑いている、と」

優「お兄さんが約束してくれたら、すぐにでも成仏しますけど」

P「プロデューサーとしては約束出来ないな」

優「えー」

貴音「落ち着くのです。落ち着くのです。落ち着くのです……」ぶつぶつ

響「た、貴音……? な、何で自分を抱き締めるんだ……?」

小鳥「プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「音無さんもお疲れ様です」

小鳥「はい。お先に失礼しますね」

優「こんな遅くまで大変ですね」

P「まぁ、好きでやってるからな」

優「よっ! 社畜!」

P「帰り、ビ○クカメラに寄るか」

優「何か用でも?」

P「射影機でも買おうかなっと」

優「あはは……ご冗談を……」

携帯「電話には誰も出んわ……ふふっ」

優「ぶはっ!?」

P(ん……千早から電話?)

優「……!(爆笑中)」

P「どうした?」

千早「プロデューサー……帰ったら……私の部屋が荒らされていて……」

P「何!?」

優「あっははは……!」

P(うるせえ!)

千早「あの……そこに誰か……? 笑い声が……」

P「今すぐ行くから、待ってろ!」

P「千早!」

千早「プロデューサー……!」

P「これは酷い有様だな……」

優(あれ……?)

P「大丈夫か? 怪我してーー」

千早「あの……私が帰った時には誰もいませんでしたから……」

P「そ、そうだったな……」

千早「私……怖いです」

P「そうだよな……今日は近くのホテルにでもーー」

千早「一人になりたくありません……」

P「そ、そうだよな……小鳥さんに……いや、今からだと迷惑か?」

千早「プロデューサーが良いです……」

P「いや、いくら何でも……」

千早「……」

優「……」

P「……わかった。俺の家で良いんだな?」

千早「い、良いんですか……?」

P「一人になりたくないんだろ? 仕方ないさ」

P(姉弟揃って同じ目されたら、断れる訳ないだろ……)

P「警察に連絡してからになるから、遅くなるけど問題ないな?」

千早「……はい!」

千早「ここがプロデューサーの家……」

P「適当に寛いでいてくれ」

優「辺りにそれぽい人たちが居たので、ポルターガイストで追い払いました」

P(もう空き巣の事がバレてるのか? ちょっと甘く見てたな……千早狙いとは限らないけど)

千早「我が儘言って……すみませんでした」

P「あんな事があったら、怖くもなるよ」

千早「プロデューサー……」

P「シャワー浴びるか?」

千早「え!?」

優「……」

P「何でそんなに驚くんだよ……」

千早「そ、そうですね……頂きます……」

優「……お姉ちゃん。シャワー浴びてますね」

P「……そうだな」

優「ちょっと、翔ーーじゃない。お手洗いに……」

P「……待て。お前、幽霊だろ」

優「……そうですか」

P「……」

優「そこまでして見る物でもありませんでした」

P「お前、千早の事好きじゃないだろ?」

優「可笑しな事を言いますね? 好きじゃなければこんな一生懸命になりませんよ」

P「そ、そうか……」

優「ぷぷっ……僕、幽霊なのに一生懸命って……!」

P「……」

優「失礼しました。僕は愛があるから言って良いんです」

P「……」

優「引かないで下さい」

P「……ちょっと聞きたい事があるんだが」

優「……何ですか?」

P「千早の部屋を荒らしたのは君だろ?」

優「……どうしてそう思うんですか?」

P「君の千早への溺愛にぶりにしては、随分大人しいと思ってな」

優「……半分は正解です」

P「半分?」

優「僕がしたのは、微妙に家具の位置を変えただけです」

P(地味に嫌だな……)

優「動機はそうすればお姉ちゃんが、お兄さんを頼るだろうと」

P「……春香や他に頼る可能性もあるだろ?」

優「ですね。これは一つの賭けでした」

優「お姉ちゃん自分の気持ちに気づいていないと思うんです」

P「……気持ち、か」

優「ですが、今回でお姉ちゃんは気づけたと思います」

優「どうして自分が真っ先にプロデューサーを頼ったのか……それを今、考えてるでしょう」

優「そして気づく筈です。自分の気持ちに……」

P「お節介過ぎないか?」

優「幽霊は身内に対してこんなもんですよ?」にこにこ

P「……だと思っていたよ」

優君は生きている人間と話すのは久しぶりなので、多少テンション上がってます。
悪い子じゃないんです……多分。

少しだけ投下します。

千早「あの……シャワーありがとうございました」

P「いや、良いよ……そろそろ寝た方が良いんじゃないか?」

千早「……それでは私はソファーに」

P「つべこべ言わずにベッドに行け」

千早「ですが……いえ、ありがとうございます」

P「あんまり寝心地は良いとは言えないが……ゆっくりと休んでくれ」

千早「はい……プロデューサー。おやすみなさい」

P「おやすみ」

優「……」

P「余計な事はするなよ?」

優「僕を何だと思っているのかなぁ……しませんよ」

千早(このベッド……プロデューサーの匂いがする……当たり前なのだけど……)

千早(美希が知ったら何て言われるのかしら……言えやしないのだけど……)

千早(プロデューサーの家……懐かしい気配がする……気のせいなの……?)

千早(それとも……あなはここに居るの……?)

千早(いいえ……そんな訳ないわよね……)

千早(……優)

「……優」

お姉ちゃん……泣いてるの? 僕が死んじゃったから?

「優、優……!」

お姉ちゃん、泣かないで……。

「歌うから……ちゃんと歌うから……聞いてよ……優……」

僕が守るから……僕は死んじゃったけど……。

「……優」

お姉ちゃんが心の底から笑える日が来るまで……僕がお姉ちゃんを守るから。

泣かないで。

千早「おはようございます。プロデューサー」

P「おはよう」

千早「目の下にクマが出来てますよ?」

P「え、本当か!?」

千早「出来てませんけど……また寝れませんでしたね?」じとー

P「うっ……鋭いなぁ。千早は」

千早「私達には無茶するなっと煩く言っておきながら、それはどうかと思いますが……」

P「大人は良いんだよ……あ、すみません」

千早「……まだ時間はありますね?」

P「いや……少し早く出ないと……」

千早「少し電話しますね」

P「……え?」

千早「社長ですか?」

P「!」

千早「朝早くすみません……はい。プロデューサーの事で話がーー」

P「!?」

千早「はい……ありがとうございます……では、その様に」

P「……」

千早「プロデューサー? 時間出来ましたよ」

P「」

千早「これで少し休めますね……それで……その……」

千早「私の膝で良ければ……どうぞ……」

P「……」

千早「……」

P「……」

千早「あの……プロデューサー……?」

千早「何か言って下さい……恥ずかして……」

P「膝、気持ち良いとかか?」

千早「……!」

千早「な、何を言っているんですか……も、もう……」

P「恥ずかしがるなら……」

千早「最初からしなければ良い、ですか?」

千早「恥ずかしいけど……嫌ではありませんから……」

P「……」

千早「プロデューサー?」

P「……」

千早「眠ったのね。無茶ばっかりしてるから……仕方のない人……ふふふ」

千早「……そう言えば、こんな無防備のプロデューサーを見るの初めてね」

千早「……」つんつん

P「……ん……」

千早「!」

P「やめるんだ……美希……それはおにぎりじゃない……石鹸……だ……」

千早「……寝言みたいね」

千早「少しの間ですけど……おやすみなさい。プロデューサー」

ーー事務所。

P「遅くなってすみません」

小鳥「良いんですよ。社長から話は聞いてますし、もう少し私を頼ってくださいね?」

P「いや、甘える訳にはーー」

千早「……」じー

P「……たまに甘えるかも知れません」

小鳥「あ、なるほど……うふふ」

千早「な、何ですか……?」

小鳥「頑張ってね、千早ちゃん」

千早「!?」

優「どうも」

P「……何処に行ってたんだ?」

優「僕は空気を読める幽霊なんで……少し野暮用に」

P「野暮用?」

優「……つまらない用事ですよ」

P「……そうか」

優「少し顔色良くなりました?」

P「千早のお陰で……音無さんの生暖かい視線が気になるけど、体調は良いよ」

優「お兄さんは気づいていなかったでしょうけど、お兄さん今にも倒れそうだったんですよ?」

P「……そんなにか?」

優「幽霊でも心配になるぐらいに」

P「マジか……気をつけるよ」

優「そうして下さい」

優「僕の部屋……あの時のまま……」

優「僕のせいだ……僕が父さん……母さん……お姉ちゃん、家族をバラバラにしちゃった……」

優「……ごめんなさい」

優「せめて……お姉ちゃんは幸せに……」

千早「ーー♪」

春香「千早ちゃん」

千早「春香、どうかしたの?」

春香「何かいい事でもあったのかなぁーって」

千早「べ、別に何も……」

春香「ふーーん……そうなんだ♪」

千早「春香? 何をニヤニヤして……」

春香「千早ちゃんって、わかりやすいよね」

千早「ちょっと……春香? それは……」

春香「……頑張ってね」

千早「!?」

千早「は……春香……?」

春香「バレバレだよ。千早ちゃん」

千早「……」

春香「千早ちゃんはどうしたいの?」

千早「わからないわ……」

春香「……私ね。千早ちゃんとは対等な友達でいたいから、待ってるね」

千早「春香? それはどういう……」

春香「あ、休憩時間終わりだよ」

千早「え、ええ……」

優「外回りも大変なんですね……じっとしてても仕事は入って来るでしょうに」

P「なるべくは自分で探したいんだよ……そう言えば、普段は何してるんだ?」

優「ポルターガイストを起こして遊んでますよ? ここの皆さんは、いい反応してくれてーー」

P「幽霊が出るプロダクションなんて笑えないから、やめてくれ……」

優「えー」

P「本当にこいつ、どうしてやろうか……」

優「冗談ですって……あ」

P「事務所の前に誰か……?」

優「ーーさん」

P「すみません。事務所に何か……?」

??「……え?」

??「あなたは……」

P「私はこの765プロのプロデューサーをしている……」

??「ああ……あなたが」

P「……?」

??「たまに連絡してくると思ったら、あなたのことばかりなんですよ?」

P「アイドルのご家族の方ですか?」

??「はい。如月千早の母ーー如月千種と言います」

P(優君の姿が見当たらない……どこに行った?)

P「そうですか……千早に用があるなら連絡しますが」

千種「近く寄ったついでに、あの子の居場所を見ようと思っただけですから……これで」

P「……そうですか。わかりました」

優「……行きましたか?」

P「……何で隠れてるんだ?」

優「あれですよ。暫く実家に顔を見せてないと、親に会いづらくて、見かけても隠れちゃう……みたいな」

P「……俺にしか見えないんじゃないのか?」

優「まあ、基本的には……幽霊は姿を見せる相手を選べますのでーーなんとなくですよ」

P「……そうか」

優「……はい。そうです」

P「……千早から大体の話は聞いている」

優「……」

P「すれ違っていた時間は長かったけれど、最近はメールも電話も出来ているって」

優「…….ですね。だから、僕はお姉ちゃんから離れることにしたんです」

P「……」

優「お兄さんが考えている通りですよ。僕はただ、この場に留まる理由が欲しかったーーだけど」

優「お姉ちゃんに幸せになって欲しいーーそれも事実です」

P「……そうか。今日は帰ろう」

優「帰るなら、あのゲームの続編買いましょうよ! 零っていうの」

P「……」

千早「……春香の言った通りね」

千早「私も……そろそろ踏み出さないと」

ポパピプペ

千早「……もしもし」

千早「はい……プロデューサー。今、時間ありますか?」

千早「……」どきどき

千早「……」きょろきょろ

P「千早!」

千早「プロデューサー」

P「すまない。待たせたな」

千早「いいえ……急に呼び出したのは私ですから……それに、早いぐらいです」

P「そうか……それで、何があったんだ?」

千早「少し……一緒に歩きませんか?」

P「……わかった」

千早「この時間だと……この広場もあまり、人がいませんね」

P「……」

千早「……プロデューサーには感謝しています」

P「それは俺もだよ」

千早「……歌しかなかった私に、色んな物を貰いました……思い出も貰いました……力を貰いました」

P「千早?」

千早「時間か掛かりました……憧れなのか、恩人に対する感情なのか……でも、漸くわかりました」

千早「……プロデューサー」

千早「如月千早は……あなたのことが好きです」

千早「ずっと……側に居させて下さい……」

P「……千早」

千早「ふふふ……恋愛漫画の主人公を大袈裟っと思ったことがありますがーーこんなにも、ドキドキする物なんですね」

P「千早……俺は……」

千早「返事は……まだしないでください」

P「……え?」

千早「どの返事を貰っても……私は弱くなってしまいます」

千早「それでも……隠し続けられそうにもありませんでした」

P「……」

千早「返事は……私がトップを取って、世界中にこの歌を届かせられるようになってからでお願いします」

P「……勝手だな」

千早「……すみません」

P「わかった。その時まで、千早の気持ちは預かっておく……それで良いな?」

千早「はい……ありがとうございます……それともう一つ良いですか?」

P「まだあるのか?」

千早「いえ……プロデューサーにではなく……」

千早「姿は見えないけれど……そこに居るのでしょう?」

千早「……優」

優「……」

今回はここまで

P「……」ちらっ

千早「……プロデューサーには見えているんですか?」

P「……すまない」

千早「良いんです……私が逆の立場でも、そうしてましたから」

優「……」

千早「優は何か言ってますか?」

P「いいや……さっきから、黙ったままだ」

千早「そうですか……」

千早「……優」

千早「何も言わなくても良いから……聞いて」

優「……」

千早「……ごめんなさい」

優「!?」

千早「ずっと謝りたかったの……優に」

優「……お姉ちゃん」

千早「あの時……優を守れなくて……ごめんなさい」

P「千早……」

千早「あの時……私が身を挺してたら、優を守ってあげられた……」

千早「でも、動けなかったの……優が車に引かれるのを、黙って見ているしか出来なかった……」

千早「……何か出来たかも知れないのに、私は何も出来なかった……」

千早「優……守ってあげられなくて……ごめんなさい……」

僕は勘違いをしていた。

お姉ちゃんは、死んじゃった僕と同じぐらい……もしかして、それ以上に苦しんでいたのも知れない。

ずっと側に居たのに、気づけなかった……気づかないフリをしていたのかも知れない。

だって……お姉ちゃんは、僕が着いている必要がないぐらいに強かったから。

僕は、お姉ちゃんの側に居る理由が欲しかっただけ……僕だけが、あの時から何も変わっていなかったんだ。

……僕も……強くならないといけない。

優「お兄さん。お姉ちゃんに目を閉じるように、言って貰えますか?」

P「ん、ああ……千早。優君が」

千早「優が? ……わかりました」

千早「……」

優「……いいよ。お姉ちゃん」

千早「……優?」

優「うん……久しぶり。お姉ちゃん」

千早「優……!」

優「……久しぶり」

千早「会いたかった……ずっと……」

優「……ごめん。その気になれば、いつでも会えたんだけれど」

千早「いいの……優の気持ちはわかるから……」

優「……うん」

千早「もし……そうしてたら、私は優を縛り付けてしまっていたわ……だから、それで良かったの」

優「……僕も、お姉ちゃんから離れられなくなっていた」

千早「話したいことはいっぱいあるのだけれど……行くのよね?」

優「……うん。お姉ちゃんに、僕はもう必要ないから」

優「……じゃない。僕もお姉ちゃん離れしなくちゃ」

千早「もう行くの?」

優「うん……さっきから、凄く眠たいんだ……幽霊になってから、寝るなんてしたことないから、多分……これが……」

千早「……そう」

P(優君の姿が透き通って……)

優「ちょっと、怖いかな……手を握って……あ、無理か」

千早「……」

優「ありがとう……」

P「……」

優「……お兄さんも、ありがとう……そして、ごめんなさい」

P「いや……まあ、弟が出来たみたいで、良かったよ」

優「本当の弟にして貰っても、構いませんよ?」

千早「ゆ、優!?」

優「ごめんごめん……あ、そうだ……お兄さん。お姉ちゃんの部屋を荒らした犯人ですけど」

P「ん? ……ああ……」

優「ストーカーの類じゃなくて、空き巣だったみたいです……住所を調べておきましたので……」

P「……認めるか?」

優「多分、証拠は警察の人が見つけてますし……おど……お話をしたので、すぐに自首すると思います」

P「……そうか。よく分かったな」

優「あの辺りを漂っている人達に聞いたら、すぐでしたよ」

千早「……え?」

優「あ、そろそろ時間のようです」

千早「ゆ、優……ちょっと……その人達って……?」

優「……お姉ちゃん」

千早「……ええ。そうね」

ーー優。行ってらっしゃい。

ーー行ってきます。お姉ちゃん。

P(別れは意外とあっさりしたものだった。優君の言葉を借りるのなら)

P(幽霊との別れはそういうものなんですよ、か)

千早「ちょっとだけ……少しだけで良いので……泣いても……?」

P「ああ。よく我慢したな」

千早「プロデューサー……私……ちゃんと……お姉ちゃんで居られましたか……?」

P「ああ。強くて、優しい……立派なお姉ちゃんだったよ」

千早「プロデューサー……!」

千早「プロデューサー」

P「うん?」

千早「私がトップアイドルになったら……優の所まで、私の歌を届けることが出来るでしょうか」

P「ああ。きっと……できる」

千早「プロデューサー? 手を繋いでも……」

P「おい……」

千早「ふふふ……冗談です。もうちょっとだけ……プロデューサーに甘えたいっと、思っただけですから」

P「はぁ……行くか」ぎゅっ

千早「あ……はい!」

P(例のテレビ番組に出た千早。結果は大成功……今では、様々な歌番組に出ている)

P(他のアイドルも千早に負けず劣らず活躍。今やみんなが引っ張りだこだ)

P「よし、このまま突っ走るか!」

??「……あんたが響のプロデューサーさん?」

P「はい?」

響父「響の父です」とおりぬけーの

P「」

終わり。

おまけ

悪徳「チッ……飯になるネタないもんかね……あん?」

千早「少しだけ……泣いてもいいですか……?」

P「ああ」

悪徳「へっへへ……」

悪徳「……」

悪徳「チッ……」

悪徳「女の涙で稼いだ金で飯なんか食ったら……腹、壊すわな……」

悪徳「ああー……やってらんねぇ」

おまけ終わり。

たまにはまともな千早ちゃんを書きたかったので書きました。ダラダラですみません。

終わりです。ありがとうございました。

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