魔王「馬鹿じゃねえの!?」 (22)

魔王「馬鹿じゃねえの!?」


魔王「本当に俺を殺せば世界が平和になると思ってんの?」

勇者「あたりまえだろ!諸悪の根源は貴様だろ!貴様を倒して平和を取り戻す!」


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魔王「は?魔族が人間に何をしたってんだよ?」

勇者「お前ら魔族は人間を殺してるだろう?」

魔王「はあ?」


勇者「人間を襲って殺してきただろうが!知らないとは言わさないぞ!」

魔王「いや、知らねーよ。大体なんで襲って[ピーーー]必要なんてあんだよ。」

勇者「襲って人間を食ってるって話だぞ?」


魔王「馬鹿じゃねえの!?」

魔王「人間を食う為に襲う魔族なんていねーよ!」

勇者「だって王様とか村人達がそう言ってたし・・・」

魔王「それってさあ・・・・魔族とは関係ない野生動物なんじゃねーの?」

勇者「いや、そこまでわからないよ。見てないし。俺、王様とか村人に聞いただけだから・・・」

魔王「馬鹿じゃねえの!?」

魔王「お前他人から聞いた話だけで全部信じちゃうわけ?見た目が悪くて凶暴だとなんでも魔族になっちゃうの?」

勇者「でも俺にいきなり襲いかかってきたモンスターもいたぞ。」

魔王「それってお前がモンスターのナワバリに勝手に入ったからじゃね?」

勇者「・・・かもしれない・・・」

魔王「馬鹿じゃねえの!?」

勇者「・・それに村から食料とか金品を巻き上げてく魔族もいたぞ!言葉とかも話してたし!野生生物じゃないし!俺その場に居たし!」

魔王「まあ、魔族の中にも強盗とか外道は中にはいるわな。その件については申し訳ない」

勇者「認めるか!」

魔王「だけどさあ、お前ら人間の中にも盗賊とか人殺しとか、一部分の外道とかいるよな?」

勇者「・・・まあ、いる・・だろうねえ・・・。」

魔王「だからって『人間=悪』とはならないよなあ?」

勇者「まあな」

魔王「じゃあ、『魔族=悪』とはならないよなあ?」

勇者「・・・・」

魔王「馬鹿じゃねえの!?」

勇者「でもさ!でもさ!いきなり俺に襲いかかってきた魔族とかたっくさんいたぞ!『[ピーーー]勇者!』とか不意打ちかけてきたやつもいるし!」

魔王「お前さ、ここに来るまで何人の魔族を殺してきた?」

勇者「そんなものいちいち数えてられるか!」

魔王「それってさあ・・・身内を殺された魔族に恨みを買ったから付け狙われてるだけじゃねえの?」

勇者「」

魔王「何人殺したかもうわかんないんだよねぇ?」

勇者「うん」

魔王「馬鹿じゃねえの!?」

魔王「あのさぁ・・・いい加減にしないと温厚な俺も暴力に訴えるぞ?」

勇者「・・・じゃあ基本的に魔族に好戦的な奴はいないってことなんだな?」

魔王「当たり前だろ!我々魔族は知性を持って社会を築いているんだよ!」


勇者「・・・俺は今まで何の為に冒険をしてきたんだ・・・」

魔王「おそらくお前んところの王族に利用されてたんだろ」

勇者「何!?」

魔王「お前んとこの国ってさ、最近ずっと物価上がってるんじゃねえの?」

勇者「・・・そうだな。薬草もすっごい高くなったし」

魔王「お前の国は代々戦争やって儲けてる国だからなあ。戦争やってないと国がやっていけないわけなんだよ。」

勇者「なんだよそれ。」

魔王「お前、ここに来るまで色んな国とか回って来たろ」

勇者「うん」

魔王「そんで『ぼうけんのしょ』を書くためだとか言って、一々王様の所戻って逐一報告に戻ってただろ」

勇者「うん」

魔王「お前、スパイやらされてるんだよ」

勇者「は?」

魔王「50年前の俺と同じだって言ってんの」


勇者「え!?」

魔王「50年前俺はお前と同じようにここに来て先代魔王をブッ殺したんだよ。先代魔王の話も聞かずにな」


魔王「先代魔王を殺した俺は魔族を根絶やしにしようと思って魔王城下町に行ったんだよ」

魔王「そこには好戦的な魔族なんて誰もいなかった。知性を持った人間と同じ生き物ばかりだったんだ。」

魔王「いや、人間からの迫害を避ける為に痩せた土地しかない僻地で隠れるように住んでいた哀れな種族しかいなかったんだ・・・。」

勇者「アンタ先代勇者だったの!?」

魔王「なんで人畜無害の魔族を根絶やしにしようとしてたのかと疑問に思った俺はこっそりと城に戻った。

そして俺は当時の姫から話を聞いた・・・。

『魔族の脅威を根絶やしにした後にこの国は世界を征服しようとしている』

ってな・・・・。」

魔王「先代魔王をブッ殺しちまった俺は人間の世界の平和を守るため、魔族の平和を守るため、魔族と話し合い、魔王に即位したんだ。」

勇者「マジかよ・・・。」

魔王「姫と最後の別れにもらった指輪がこれだ」

勇者「それは王族の印の指輪!」


魔王「俺も元人間だったけど、この土地の瘴気に当てられて本格的に魔族化しちまったんだよ。」

魔王「あとお前が持ってるその剣、それ元は俺のだから」

勇者「・・・・返そうか?」

魔王「・・・いいよ・・・もう使い道ないし・・・」

魔王「ともかくだ。俺が魔族にお前を付け狙うのはやめろと説得しておく。

そのかわりお前は何をすべきかよーく考えて国に帰れ。いいな?」

勇者「・・・」

魔王「もう二度と来んなよ」

5年後


側近「あれから勇者はクーデターを起こし王族を追放」

魔王「自らが王となり魔族との共存をめざすようになる」

側近「そして軍縮化を進め、内政に財政をつぎこみ豊かな国へと構造改革を成し遂げる」


魔王「そろそろかな・・・・」

側近「ですね」

魔王「あんだけヘたれた国になれば3日もあれば楽勝で皆殺しだろ」

側近「そろそろ肥えた豚を喰らう時期でしょうね」

魔王「しっかしあんだけ嘘デタラメばっかの話を信じるとかなぁ・・・馬鹿だわぁ・・・」

側近「勇者の家系は代々脳筋らしいですからね」

魔王「なー」


魔王・側近「馬鹿じゃねえの?」



-終-

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