どうやら彼女は死んだようです(10)

ある晴れた日のこと、クラスに転入生がやってきた。

漫画や小説なんかじゃ美少女が相場なんだろうが、現実は違う。
俺が心をときめかすようなこともなく、その日も特に変わらない
一日が過ぎたんだった。

翌日。

今日も今日とて俺の一日は変わらないはずだった。
だが、この日は違った。

朝っぱらから、昨日来た転入生が迷子になっているのを発見する。

「……」

正直放っとこうとも思ったが、朝のHRが伸びるのも、それはそれで
嫌だなと思い直し助けてやることにした。

これがいけなかった。

転入生は何か勘違いしたのか俺を『良い人』だと思いこみ、俺の後を
付いて回るようになる。

飯も、移動教室も、トイレまでも。

「一緒に行っていいかな?」

と、いちいち断って。

最初の間は別にそれほどとも思わなかったが、日が経つにつれて
だんだんと煩わしくなっていく。

クラスの連中からも

「お前らって仲良いよな」 「お幸せに」 「お似合いだよ」

などと、からかわれるように。
正直勘弁してほしい。

しかも当の本人は……

「あ、あの……ありがと…ごぜます」

とか嬉しそうに言ってるし。
なんだよ、ごぜますって。

いいかげんこれ以上からかわれ続けるのも不愉快なので、
転入生に一言言ってやることにした。

「ちょっとこいよ」

「は~い♪」

平和そうな顔して嬉しそうにトコトコ付いてくる。

体育館裏にて。


「あのさ、なんで俺の後ずっと付いてくんの?」

「え?」

「クラスの連中に何て言われてるか知ってる?仲良し夫婦だって」

「……あ」

「俺と君、付き合ってるわけじゃねーのにさ」

「あ、あの……」

「なに」

「その……す、好きでしゅ」

「…………」

「あ、あの……これからもお願いします。ありがとうございます!」

「お、おい!」


俺の主張は虚しく砕け散った。

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