シノ「津田、二人で旅行に行かないか?」津田「え?」 (73)

津田「二人で、ですか?」

シノ「うむ。イヤか?」

津田「いえ、そういうわけじゃないんですけど、どうしてですか?」

シノ「実はアリアにこんな物をもらってな」ピラッ

津田「これは………宿泊券ですか?」

シノ「今度七条グループがオープンする旅館の宿泊券だ」

津田「へー、凄いですね」

シノ「それで、アリアに宿泊券をもらったわけだが、あいにく私にはこういった旅行に二人で行ける間柄の人間があまりいなくてだな、そこで、津田を誘ったんだ」

津田「なるほど、そういう事だったんですね」

シノ「……迷惑、だったか?」

津田「いえいえ、迷惑だなんて」

シノ「私もあと少しで卒業だ。だから、それまでに津田ともっと親睦を深めたいんだ」

津田「………会長」

シノ「………やっぱりダメか?」

津田「そんなことありません。是非、お供させてください」

シノ「ほ、本当か!?」

津田「えぇ、会長にそこまで神経に言われたら、断れませんよ」

シノ「そ、そうか…」テレッ

津田「会長が下ネタ一つ言わずに頼むんですから、俺もそれに応えますよ」

シノ「まるで私が下ネタ好きみたいな言い方だな!?」

津田「身に覚えがないとは言わせないからな!?」

シノ「とにかく、楽しみにしてるぞ」

津田「ハイ、俺も楽しみにしてます」ニコッ

シノ「………そ、それじゃあまた後でな!!」バッ!

津田「? なんかまずかったかな?」

ーーーーー

シノ「うぅー!津田と二人で旅行だぁ!!」

シノ「アリアに言われるままに誘ってみたが、本当に行けるだなんて………」

シノ「しばらく緊張して眠れないかもしれないな……」ドキドキ

シノ「うっ、もう緊張している………」

シノ「………津田と二人、ふふふっ」

ーーーーー

スズ「津田ー、それ取って」

津田「これか?」

スズ「違う違う、そっちじゃなくてそれの右」

津田「これね、はいよ」

スズ「ん、ありがと」

津田「………なぁ、萩村」

スズ「なによ?」

津田「さっき、会長と話してたんだけど、なんか逃げるみたいにいなくなっちゃったんだけど、どうしてかな?」

スズ「知らないわよそんな事。アンタが何かしたんじゃないの?」

津田「やっぱそうなのかなー?はーぁ」

スズ「ちなみに、どんな状況だったの?」

津田「えーっと、会長と旅行の約束して、それで」

スズ「ストップ、会長となんですって?」

津田「え?旅行の約束した」

スズ「………りょこー?」

津田「うん。七条先輩から宿泊券もらったんだってさ」

スズ「………ふたりきりー?」

津田「まぁ宿泊券二枚しかないからね」

スズ「…………」

津田「それで、それがどうかしたのか?」

スズ「………ううん、なんでもないわよ。それで?」

津田「それで、俺がーーー」

スズ(旅行!?会長と津田が!?二人で!?そんな、そんなの羨まsズルイ!!なんで!?)

津田「ーーーって感じだったんだけど、どうなのかな?」

スズ「ふぇ!?し、知らないわよそんなの!?死ね!!」

津田「何故!?」

スズ「とにかく、そこの書類整理しといて!私ちょっと生徒会室戻るから!」

津田「う、うん……」

スズ(確かにそういえば会長、今日機嫌よかったし、チラチラ津田の方見てると思ったら!!)

スズ(とにかく、生徒会室に行かなきゃ!!)

ーーーーー

シノ「それでなー!!津田が俺も楽しみだって言ったんだ!!」

アリア「あらあら、津田君ったら相変わらずね」

シノ「それでつい、恥ずかしくなってその場から去ってしまったんだが………」

アリア「大丈夫よ、津田君なら」

シノ「そ、そうかな………」モジモジ

バタンッ!!

スズ「かいちょーー!!」

シノ「おや、萩村。どうかしたか?」

スズ「どうかしたかじゃありませんよ!!聞きましたよ!!津田と二人で」

シノ「おぉ、そうか。まったく津田の奴」テレッ

スズ「ズルイですよ!!私だって!!」

畑「私だって?私だってなあに?」

スズ「きゃあっ!?」

シノ「よう、畑。どうかしたか?」

畑「いえいえ、開きっぱなしの扉の向こうから面白い会話が聞こえたんで取材をしに」

スズ「いや、勝手に入るなよ」

畑「それで?私だって何なの?」

スズ「そ、それは………」カァーッ

畑「好きなの?私だって好きって言いたかったの?ねぇ?ねぇ?」

スズ「ち、違っ!」

シノ「コラ畑、あんまりからかうな」

畑「あらー、ざーんねーん」

スズ「会長………」

畑「それじゃ私は帰りますねー、ばいならー」

シノ「まったく、畑には毎度びっくりさせられる」

スズ「そうですね。盗聴器でも仕掛けられてるんじゃないですかね?」

アリア「出島さん調べられるけど呼ぶ?」

スズ「見つかったらイヤなのでお断りします」

シノ「本当にあったら笑えないからな」

アリア「あら、そう?」

津田「ただいま戻りました」ガチャッ

シノ「おう、お帰り」

津田「扉開きっぱなしでしたけど、誰か来たんですか?」

スズ「畑さんが突然」

津田「凄い納得した」

アリア「津田君、聞いたわよ。シノちゃんに誘われたんでしょ?」

津田「あぁ、ハイ」

アリア「二人きりだからって、シノちゃんに変な気起こしちゃダメだよ?」

津田「そんな、大丈夫ですよ」

シノ「なんだ、襲ってはくれないのか」

津田「なんで迎撃体制バッチリなんだよ」

スズ「まったく、生徒会役員が二人で旅行だなんて、五十嵐さんに聞かれたら大変ですよ」

カエデ「私がなんですか?」

津田「噂をすればですね」

カエデ「今月の報告書を渡しに来ました。それで、何の話しをしてたんですか?」

アリア「津田君が五十嵐さんを気絶させちゃうような事をするって話だよー」

カエデ「」

スズ「気絶しちゃった」

津田「弁解のハードルが上がってしまった」

カエデ「 ハッ!?つ、津田副会長!!アナタって人は!!」

津田「違いますって、誤解ですよ」

シノ「なっ!?五回もするのか!?」

カエデ「ひっ!ケダモノ!!」

津田「俺の話し聞いて!?」

アリア「さぁ、津田君の言葉攻めが始まるよ!!」

津田「始まらねぇよ!!」

津田「ーーーって訳なんです」

カエデ「なるほど、つまり誤解だったんですね」

津田「えぇ、第三者の介入が原因ですが」

カエデ「まぁ二人で出かけるだけなら、そこまでではないんじゃないですか?」

シノ(津田の奴、大分話しを端折ったな)

津田(嘘ついた訳ではないし、まぁいいかな)

カエデ「もっとも、宿泊などの用事であれば話しは変わりますが」

津田「そ、そうですよね、アハハハ」

カエデ「顔が笑ってませんが……とにかく、校則上我が校は恋愛禁止ですから、くれぐれも忘れないようにしてくださいね」

シノ「大丈夫。安心してくれ」

スズ(嘘だな)

アリア(言い切ったわね)

津田(ま、大丈夫だろうな)

カエデ「それでは、失礼しますね」

津田「まったく、危ない所でしたよ」

スズ「でも、五十嵐さんの言う通りだからね」

津田「うっ」

アリア「そうね、間違いが起きないよう、ちゃんとゴムは持ってかないとだね」

津田「それ間違い起こす用のアイテムだよ」

シノ「安心しろ萩村、私達は大丈夫だ」

スズ「会長………」

シノ「私はガードが硬いからな!」

スズ「もう逆に大丈夫な気がしてきた 」

津田「俺も」

ーーーーー

コトミ「え?じゃあタカ兄土日は家にいないの?」

津田「あぁ、留守番頼んだ」

コトミ「それじゃあお土産よろしくねー!」

津田「いいよ?何がいい?」

コトミ「冥土の土産とか?」

津田「それは多分売店にないよ」

コトミ「しかし、会長と二人で旅行かー」

津田「確かに、ちょっと緊張するな」

コトミ「ちゃんとゴムつける練習しないとだね」

津田「何故君たちはそこに辿りつくんだい?」

コトミ「でも、土日の間どうしようかなー?」

津田「それなら、お姉ちゃん呼ぶよ」

コトミ「うーん、来て暮れるかなー?」

津田「確かに、予定とかあったらなー」

コトミ「いや、タカ兄いないからなー」

津田「え?」

コトミ「まーいーや、楽しんでね」

津田「? おう」

コトミ「それじゃ、お姉ちゃんに電話しておいてね?」

津田「分かった。それじゃ忘れない内に」ピッピッ

プルルルル、プルルルル

魚見『ハイ、もしもし』

津田「もしもし、お姉ちゃん」

魚見『あら、タカ君。どうしましたか?』

津田「ハイ、実は頼みたい事があって」

魚見『頼みたい事?なんですか?』

津田「実は、土日の間、コトミの世話をして欲しいんです」

魚見『なんだ、テレフォンセックスじゃ無かったんですか。残念』

津田「アナタの頭も残念だよ」

魚見『それで、コトミちゃんと百合プレイがなんですか?』

津田「一体どこの世話をする気なんだい?」

津田「いえ、俺が土日の間家を空けるんで、その間コトミといて欲しいんです」

魚見『あら、どこかに出かけるんですか?』

津田「はい、会長と旅行に」

魚見『シノっちと?それじゃあゴムは欠かせませんね』

津田「お前もか」

魚見『それとも、生で?』

津田「どっちもお断りだ」

魚見『分かりました。その変わり、お土産、期待してますよ』

津田「分かりました。何がいいですか?」

魚見『ホントはタカ君の童貞が良かったですが、多分無理だと思うので官能小説でも』

津田「ことごとく酷いリクエスト」

魚見『それでは、また』

津田「はい、また」ピッ

コトミ「お姉ちゃんなんて?」

津田「来るってさ。お前も部屋片付けとけよ」

コトミ「はいはーい!」

津田「さて、それじゃ荷作りしちゃうかな」

コトミ「え?子作り?」

津田「お黙り思春期」

ーーーーー

津田「えっと、着替え一式と入浴道具一式と、後は………」

コトミ「タカ兄、会長から電話だよ」

津田「へ?会長から」

コトミ「ん」

津田「はい、変わりました」

シノ『津田、いよいよ明日から旅行だが』

津田「そうですね」

シノ『待ち合わせはいつもの駅でいいか?』

津田「はい、大丈夫です」

シノ『旅館の場所などは大丈夫か?』

津田「しっかり調べました」

シノ『津田』

津田「ハイ、なんですか?」

シノ『寝れない』

津田「わーぉ」

津田「そういえば会長、遠足の前日寝れないタイプでしたっけ」

シノ『うむ。楽しみ過ぎて興奮してしまって』

津田「なるほど、分かります」

シノ『さきほど下着も変えたんだが』

津田「それは分からない」

シノ『………それで、えっと』

津田「分かりました。会長が寝るまで付き合いますよ」

シノ『そ、そんな……それは君に悪い』

津田「大丈夫ですよ、これくらい」

シノ『そ、そうか………それじゃあ、君の携帯にかけ直すよ』

津田「分かりました」ピッ

プルルルル、ガチャッ

シノ『それじゃあ早速テレフォンセッ』

津田「それには付き合えない」

ーーーーー

津田「おはようございます会長」

シノ「おはよう、津田」

津田「会長早いですね、まだ30分前ですよ」

シノ「15分待ったぞ」

津田「やっぱり、楽しみなんですか?」

シノ「うむ、楽しみだ」

津田「それじゃあ、行きましょうか、会長」

シノ「それなんだが、津田」

津田「?」

シノ「ここは学校ではないし、二人きりなんだ………旅行の間は、その呼び方はやめて欲しい………」

津田「え?じゃあ何て呼べば」

シノ「………シノ、とか」カァーッ

津田「………それじゃあ、まるで」

シノ「あー!!無し無し!!やっぱり今のは無しだ!!」

津田「………いいですよ、それで」

シノ「へ?」

津田「いいですよ。その呼び方で」

シノ「………えっと、それじゃあ、もう一個だけ」

津田「なんですか?」

シノ「その………敬語も、堅苦しいから、やめるとまでは言わないから、その……極力控えて欲しい……」モジモジ

津田「……分かりました。極力控えます」

シノ「………むぅ、控えてないじゃないか」

津田「そうですね、じゃあ…」


津田「行こう、シノ」

シノ「~~~~~っ!!」カァーッ

津田「? 大丈夫ですか?」

シノ「………大丈夫だ。ただ、極力敬語にしてくれ」

津田「? ハイ、分かりました」

シノ(自分で言い出しておいて、凄い恥ずかしい!!)

津田(会長顔真っ赤だけど、大丈夫かな?)

ーーーーー

津田「ふぁぁあ」

シノ「どうした、津田。寝不足か?」

津田「ハイ、ちょっと………」

シノ「すまない、付き合わせてしまって………」

津田「いえいえ、会長のせいじゃ………」

シノ「大丈夫だ。もう新幹線の中だし、目的地までしばらくかかるし、寝てもいいぞ?」

津田「………スミマセン、それじゃあ」

シノ「うむ、おやすみ」

津田「………ハイ」コクッ

シノ「………もう寝たのか」

津田「すー……すー……」

シノ「………寝たのか」

シノ「………そういえば、初めて津田と海に行った時も、帰りに津田は寝たっけな」

シノ「それから、文化祭の時はベンチで寝ていたな………」

シノ「………相変わらず、隙だらけの寝顔だな」

シノ「………」

津田「すー……すー……」

シノ「………ちょっとだけ」

つんつん、つんつん

津田「すー……すー……」

シノ「………起きないな」

つんつん、つんつん

津田「…んっ……」

シノ「………ちょっとやりすぎたかな」

シノ「………ふふ、良く寝てるな、津田」

津田「すー……すー……んっ」

ドサッ

津田「すー……すー……」

シノ「つ、津田!?」

シノ(つ、津田が私の肩に、寄りかかって………)

津田「すー……すー……」

シノ「………確か、あの時もだったな」

シノ「………変わったのは、私の気持ちだけか」

シノ「………津田」

津田「……んっ」

シノ「………寝言か、びっくりした」

津田「………んんっ、お姉、ちゃん………」

シノ「………お姉ちゃん?」

シノ(お姉ちゃんって、ウオミーのことだよな………)

シノ(………一体、どんな夢を見てるんだ)

シノ「………私じゃなくて、ウオミーなのか………」

津田「すー……すー……」

ーーーーー

津田「………まだ新幹線の中か」

津田「………それほど寝てなかったっぽいな」

シノ「……すー……すー」

津田「その変わり、会長が寝ちゃったか」

シノ「……すー……すー」

津田「まったく、会長にはびっくりさせられるな」

津田「夢の中とは言え、まさかお姉ちゃんって呼ばされるとは………」

津田「女子ってお姉ちゃん呼びに憧れるもんなのかな………」

津田「まぁ、夢の中だけどね」

ーーーーー

津田「会長、起きてください。かーいちょー」

シノ(………ん?津田?あぁ、そろそろ着くんだろうか)

津田「もう、早く起きてください。そろそろ着きます」

シノ(うぅ……眠いが、早く起きなくては)

津田「あ、そうだ。忘れてた」

シノ(まってろ津田、今起きるからな………)

津田「シノ、早く起きな?」

シノ「っ!?」ガタッ

津田「あ、おはようごさいます」

シノ「つ、つ、津田、今っ!今!?」

津田「え?だって、シノが自分で呼べって」

シノ「う、うるちゃい!!」

津田「噛むほど焦らなくても………あ、そろそろ着きますよ」

シノ(うぅ、まだ顔が熱い……名前呼びにこんなにも破壊力があるとは……)

シノ(……ウオミーは、普段から津田を名前で呼んでるんだよな)

シノ(………ダメだ、何を考えても暗くなってしまう)

シノ(もっとポジティブにならなくては!!)

津田(さっきから凄い表情の変化だ)

津田「あ、シノ。着きました」

シノ「う、うむ。早くおりようか!」

シノ(……ウオミーは、名前では呼ばれていない、そこはリードしているよな)

シノ(しかし、やっぱり恥ずかしいな………)

ーーーーー

津田「うわー、立派な旅館ですね!」

シノ「うむ、素晴らしい佇まいだな!!」

津田「それじゃ、さっそく入りましょうか」

シノ「そうだな」

女将「いらっしゃいますー、ようこそいらっしゃいました」

シノ「あの、これを使って宿泊したいんですが………」

女将「はい、宿泊券をご利用ですね。それではどうぞ、コチラの方へ」

津田「中も立派ですね」

シノ「あぁ、いい雰囲気だ」

女将「それでは、コチラの部屋をお使いくださいませ」

津田「うわ、凄い部屋!!」

シノ「景色が絶景だな!!」

女将「では、ごゆっくりどうぞ」パタンッ

津田「いい部屋ですね。七条先輩のおかげですかね?」

シノ「だろうな。突然来てこんないい部屋に泊まれるはずがないからな」

津田「七条先輩に感謝ですね」

シノ「だな」

津田「さて、これからどうしますか?」

シノ「今は四時か。とりあえず、外に出ないか?」

津田「そうですね。俺もお土産屋さんとか見たいです」

シノ「うむ、決まりだな!」

ーーーーー

シノ「色んな店があるな!」

津田「まるでお祭り商店街みたいですね」

シノ「津田!アレ!アレ見てくれ!」

津田「ん?巨大アイス?」

シノ「二人で食べないか!?」キラキラ

津田「会長、楽しそうですね」

シノ「むっ?会長?」

津田「あ、スミマセン、慣れなくて」

シノ「まぁ確かに敬語に名前呼びは難しいだろう。津田の好きな方を取ればいい」

津田「そうですか……でも、せっかくですし、シノ先輩って呼びますよ」

シノ「そ、そうか…」ポッ

津田「それじゃあ、食べようか。シノ」

シノ「う、うむ………」カァーッ

シノ(なんだか、調子が狂うな…)

津田(会長がボケないなんて、調子狂うな…)

店員「いらっしゃいませ、ご注文は?」

シノ「巨大アイスクリームを一つ!」

店員「かしこまりました、少々お待ちください」

津田「楽しそうですね、シノ先輩」

シノ「あぁ。一体どんなアイスなんだろうか」ワクワク

津田「シノ先輩って、たまに子どもみたいになりますよね」

シノ「な、なんだと!?」

津田「普段は真面目で頼りがいがあるのに、イベントとかだと良く子どもみたいになるじゃないですか」

シノ「そ、そうなのか………知らなかった」

津田「でも、俺はそんなシノ先輩、好きですよ」

シノ「す、好き………」カァーッ

店員「お待たせしましたー、巨大アイスクリームでございます」

津田「あ、来ましたよシノ先輩」

シノ「う、うむ………」

ーーーーー

津田「意外と量多かったですね」

シノ「そ、そうだったな」

津田「………シノ先輩、今日様子おかしいですよ?」

シノ「そ、そうか?」

津田「えぇ、ボケないなんて珍しいですね。何かありました?」

シノ「そうだな………やっぱり、津田に名前を呼ばれるのに慣れていないからか、ちょっと変な気持ちなんだ」

津田「そうでしたか」

シノ「うむ。悪いが、呼び方を戻してくれるか?」

津田「分かりました………会長」

シノ「………うん、しっくり来るよ」

津田「俺もですよ」

シノ「それでは、行くぞ!津田!」

津田「ハイ、会長!」

ーーーーー

津田「結構お土産買ったなぁ」

シノ「そのお土産は誰に渡す気だ?」

津田「そうですね、仲のいいクラスメイト達と、コトミ、それから、お姉ちゃんですかね」

シノ「………ウオミーにもか?」

津田「はい。俺がいない間、コトミの世話を頼んだんで、普段のお礼も兼ねて。あと七条先輩と萩村にもですね」

シノ「………そうか。津田はプレイボーイなんだな!」

津田「悪いが誰ともプレイしてないよ」

ガラッ

女将「失礼します。お食事の準備を致しますので、どうぞお風呂にでも」

津田「ですって。行きましょうか。会長」

シノ「うむ、混浴があるといいな!」

津田「このやりとり普通逆だよね?」

女将「当旅館、共有の大浴場の他にも庭に24時間いつでも使える露天風呂がございます。どちらでもお好きな方をどうぞ」ピシャッ

津田「ですってよ会長。ちょっと見て見ますか」

ガラガラッ

シノ「おぉ!これは凄いな!」

津田「本格的な露天風呂ですね!でも、これ………」

シノ「……混浴、だな」

津田「………」

シノ「………」

津田「あの、会長……俺、大浴場の方に」

シノ「いいぞ、別に」

ギュッ

津田「………会長?」

シノ「………私は、津田となら、別にいいぞ」

津田「それって………」ドキドキ

シノ「せっかくの露天風呂だ……一緒に入らないか?」ドキドキ

津田「………いいんですか?」

シノ「さっき言ったはずだ……」

津田「………分かりました」

シノ「………なら、先に入っていてくれるか?」

津田「………ハイ」

ガラガラッ

シノ「………」ドキドキ

シノ(津田と二人きりで温泉か……)

シノ(………手入れしておいて良かった)

津田「………ヤバイ、緊張してきた」

津田「………あ、タオルって入れたらマズイよな」

津田「………まぁ、どうせ会長もタオル入れるだろうしな」

ガラガラッ

シノ「つ、津田。入るぞ?」

津田「は、ハイ!」

シノ「こっちを見るな!そっちを向いてろ!」

津田「え!?あ、ハイ!そうですね!!」

シノ「………今、そっちに行くぞ」

チャポン………

津田「………」

シノ「………む、津田よ」

津田「ハイ?」

シノ「湯船にタオルを入れるのはマナー違反だぞ」

津田「え、でも今は状況が状況なだけに………」

シノ「………私は入れてないぞ?」

津田「………え?」

シノ「………早くとれ」

津田「いやいやいやいや!?冗談ですよね!?」

シノ「………ホントだぞ」

津田「………会長」

シノ「なんだ?」

津田「素数ってどれくらい分かりますか?」

シノ「何故素数を数え始める」

津田「男性事情です」

シノ「勃起か」

津田「伏せた俺の心遣い返してくれ」

シノ「そんな事をしなくても、堂々としていればいいだろう」

津田「………ところで会長、今どこにいるんですか?」

シノ「君の後ろだ」

津田「………上がっていいですか?」

シノ「私が上がるまではダメだ」

津田「………」

シノ「なんだ、そんなにか」ニヤニヤ

津田「すっごい楽しそうですね会長」

シノ「津田はMだからな、悦ばしてるだけだ」

津田「やめてくれよ」

シノ「で、どうなんだ?ん?」

津田「………それは、ヤバイですよ」

シノ「そうか?」

津田「………そうですよ。そりゃあ会長みたいな綺麗な人が、裸で側にいるんですから。ヤバイに決まってますよ」

シノ「ふふふ、つーだ?」

ギュウッ

津田「か、会長!?ちょっと!?」

シノ「嬉しい事言ってくれるじゃないかー、このー」

津田「会長、ホントにヤバイですから!!」

シノ「………なぁ、津田」

津田「………ハイ」

シノ「聞こえるか?私の鼓動が」

津田「………聞こえてます」

シノ「津田、お前が緊張してるように、私だって緊張しているんだ」

津田「………会長」

シノ「………なぁ、津田。一つだけ聞いていいか?」

津田「何を、ですか?」

シノ「意地悪な質問だ。答えたくなければ答えなくていい」

津田「………大丈夫です。答えますから」

シノ「………君は、ウオミーの事が好きなのか?」

津田「………随分と意地悪な質問ですね」

シノ「言ったはずだ。答えたくなければ答えなくていい」

津田「………好きです。でも、それは恋愛感情じゃないです」

シノ「………そうなのか」

津田「………なんで、そんな質問を?」

シノ「君が、寝言で言ったんだ。お姉ちゃん、と」

津田「………マジですか?」

シノ「うむ」

津田「うわぁ………恥ずかしい」

シノ「なんだ?どうかしたのか?」

津田「………それ言わないとダメですか?」

シノ「………いや、言いたくなければいい。無理強いはしないさ」

津田「分かりました。スミマセン」

シノ「大丈夫だ。むしろ、すまなかった」

津田「………いい景色ですね」

シノ「………そうだな」

津田「いい湯ですね」

シノ「あぁ、来てよかった」

津田「明日帰るの、ちょっと心惜しいですね」

シノ「あぁ、学校が無ければしばらくいたかったよ」

津田「そうですね。ただこの温泉には朝入りそうです」

シノ「朝風呂か、それもいいな」

津田「今はちょっと暗いですけど、明るくなれば景色も見やすいと思いますよ」

シノ「そうだな。青姦カップルも見つけやすいだろうな」

津田「雰囲気をぶち壊すんじゃねえよ」

シノ「ハハハ、そうだな。やるなら朝より今頃だろうな」

津田「よーし、みっけたら目を背けちゃうぞー」

シノ「………なぁ、津田」

津田「なんですか?」


シノ「私は、津田の事が好きらしい」

津田「奇遇ですね。俺もどうやら会長が好きみたいです」


シノ「………なんだ、随分と軽いな」

津田「会長こそ」

シノ「私はいいんだ。月一で重い日があるからな」

津田「いつかも言いましたけど、知ったこっちゃありません」

シノ「ふふ、懐かしいやりとりだな」

津田「初めて会って、俺が生徒会に半ば無理矢理入らされた時ですね」

シノ「なんだ、不満か?」

津田「………あの時は、正直不満でしたね。初めて会って、いきなり生徒会に入れてやるですからね」

シノ「後悔してるのか?」

津田「いいえ。これだけは胸を張って言えます」


津田「俺は、生徒会に入ってよかった」

シノ「………そうか。嬉しい限りだよ」

津田「………会長、好きです」

シノ「私もだ。津田」

津田「俺と、付き合ってくれますか?」

シノ「………あぁ、こちらこそ」

津田「………あっけないですね」

シノ「いや、私には十分だよ」

津田「そうですか?」

シノ「好きな人に好きと伝え、それに応えてもらえた」

シノ「これ以上望むと、罰があたりそうだ」

津田「一応、俺もロマンチックな告白とかに憧れてたんですよ」

シノ「ほぅ、どんな告白だ?」

津田「夜景の見えるレストランで、プロポーズだとか」

シノ「私は高い所が苦手だが?」

津田「そうでしたね」

シノ「今だに高い所は慣れない」

津田「やっぱり、俺達には十分でしたね」

シノ「あぁ、十分だよ」

ーーーーー

津田「ご馳走様でした!」

シノ「うむ、見事な食事だったな。さすが七条グループだな」

津田「それにしても、やっぱり似合いますね、浴衣」

シノ「あぁ、だって良く言うだろう?」

津田「へ?何て?」

シノ「胸が小さいと和服が似合うと………」

津田「へこむなら言わないでください」

シノ「………しかし津田はアリアの様な大きいのが良いんだろう!!」

津田「ま、まぁちょっとは……」

シノ「やっぱり!そうだと思ったよ!」

津田「何思ってくれちゃってんだよ」

シノ「………津田は、私の胸でも我慢できるか?」

津田「………大丈夫ですよ。別に俺は胸で女の人選びませんから」

シノ「……そ、そうか」カァーッ

津田「なんだこのやりとり」

女将「失礼致します。お布団の準備が整いました」

津田「あ、ありがとうございます」

女将「では、失礼致します」

パタンッ

津田「しかし、まだ寝るには早いですね」

シノ「だな。でも、やることもないしな」

津田「とりあえず、外歩きませんか?何かあるかもしれませんよ?」

シノ「そうだな。では行こうか」

津田「ハイ。行きましょうか」

シノ「何かあるといいな」

津田「ですね」

シノ「! そうだ、津田」

津田「何ですか?」

ギュッ

シノ「……ふふ、恋人なんだ。手ぐらい繋いだっていいだろ?」ニコッ

津田「……そ、そうですね」

シノ「じゃあ行くぞ!」

津田「………ハイ」

ーーーーー

シノ「………」

津田「………」

シノ「………なんだコレは」

津田「………くっついてますね。布団」

シノ「………津田、どうする?」

津田「え、いや………会長に任せます」

シノ「そ、そうか………」

津田「………」

シノ「い、一緒に寝ようか」

津田「は、ハイ………」

シノ「………」ドキドキ

津田「………」ドキドキ

シノ(津田の背中、大きいんだな………)

津田(ヤバイ、顔見れない………)

シノ「………津田、こっちを向かないのか?」

津田「………向けないです」

シノ「どうして?」

津田「………向かないですからね?」

シノ「………私は、向いて欲しいんだ」

津田「………どうしても、ですか?」

シノ「どうしても、向いてはくれないか?」

津田「………どうしてもです」

シノ「………ならいい。その代わり、一つ答えてくれ」

津田「何ですか?」

シノ「なぜ寝言とは言え、お姉ちゃんと、ウオミーを呼んだんだ?」

津田「………それですか」

シノ「ずっと気になってたんだ。教えてくれ」

津田「……笑わない、ですか?」

シノ「答えるのか?」

津田「えぇ、笑わないなら」

シノ「笑わないさ。絶対にだ」

津田「………会長に、夢の中で言えって言われたからです」

シノ「………それで、呼んだのか」

津田「し、仕方ないじゃないですか!」

シノ「なぜ仕方ないんだ?」

津田「……会長だったから」

シノ「え?」

津田「好きな人の頼みは、叶えたいじゃないですか………」

シノ「………プッ」

津田「笑わないって言ったのに!!」

シノ「違うよ。おかしくて笑ったんじゃない」

津田「じゃあ何ですか?」

シノ「嬉しくて、つい」

津田「………そうですか」

シノ「なぁ、津田。なら、なぜこっちを向いてくれない」

シノ「好きな人の頼みは、叶えたいって………じゃあ、私の頼みは叶えてくれんのか?」

津田「……………です」

シノ「え?Death?」

津田「国際的な間違い方ですね」

シノ「なんなんだ、ハッキリ言え」

津田「………我慢できないからです」

シノ「………え?」

津田「こんな状態で、今、会長の顔見たら、俺、我慢できないです」

シノ「………我慢?」

津田「………男として、我慢できません」

津田「ずっと好きで、ようやく結ばれた人に、俺はそんなことしたくありません………」

シノ「………津田」

津田「だから、そっちは向けません」

シノ「………ありがとう、津田」

ギュウッ

津田「会長!?」

シノ「嬉しいよ、津田。お前が私の事、そんな風に思ってくれてる事が」

津田「………そうですか」

シノ「………でも、一回だけ、こっちを向いてくれないか?目をつぶって構わない。一回だけ」

津田「……分かりました、一回だけですよ」ゴロンッ

シノ「ん、ありがとう」スッ

チュッ

津田「!?」

シノ「もう向こう向いていいぞ」

支援

津田「………イヤです」

ギュウッ

シノ「………ふふ、津田は暖かいな」

津田「会長は、少し冷たいですね」

シノ「冷え症だからな。結構辛いんだぞ?」

津田「………会長」

シノ「津田」


津田「愛してます」

シノ「愛してる」

ーーーーー

スズ「………」ムスー

アリア「あら、シノちゃんったら」

シノ「と、言うわけでだ。私達は身も心も恋人同士になったわけだ」

津田「身は余計だ」

シノ「なんだ、違うのか?」

津田「………いや、違くないです」

スズ「生徒会長と副会長が校則破ってどうするんですか!!」

アリア「大丈夫よスズちゃん。きっと皆祝福してくれるわよ」

スズ「そういう問題じゃありません!!」

アリア「あら、スズちゃんは祝福してあげないの?」

スズ「そ、それは………」

アリア「せっかく生徒会の仲間が幸せになったのに………」

スズ「うぅ……し、しますけど……」

アリア「うん、そうだよね!」

シノ「大丈夫。校内ではいちゃついたりはしないさ」

アリア「校内では、ね?」

シノ「あぁ、二人きりになり次第イチャイチャする所存だ」

津田「そこで引かないだと!?」

シノ「なんだ津田、私とイチャイチャしたくはないのか?」

津田「なんて質問をするんだ」

シノ「したくはないのか?」

津田「………そ、そりゃ、したいですけど」

シノ「………ふふ、津田、ありがとう」

ギュウッ

スズ「さっそくしてんじゃねーか!!」

愛してるの事が一番大事なのに端折ったな

愛してるの事が一番大事なのに端折ったな

くぅ疲おしまい

生徒会役員共、最後のシノルート

SSだとシノは人気あんまりない気がする

生徒会役員共は一通り書いたのでしばらくは別のSS書きたいです

ここまで読んでたらくれた人、ありがとうございました

>>55

エロいの書くの苦手なんよ………

エロいのが書けてたら満点なできだったのに

>>59

すまんかったな

尚、これ書いてる途中に私は彼女に振られた模様

何それkwsk

kwskも何もLINEしながら書いててシノと津田が風呂入った所で別れを告げられただけですが………

兆候はあったのか?

>>64

あったで
まぁ自然消滅する前に決着つけた感じかな

あとごめん、別れた話が衝撃すぎて乙し忘れてたw

>>65
なるほど…頑張れよ

>>66

大丈夫だ
俺自身LINE返した後書き込み画面見て

「俺はリアルを犠牲にしてなにしてんだ」

と軽めの自己嫌悪に入ったから


ありがと!

>>67

これでまたSS書ける時間が増えたお(^ω^)

泣いてなどないお(^ω^)

いっぱい書いてくれ、また読みたい

>>70

そう言われると嬉しい

「生徒会役員共SS増やしたい」って所から始めて、全部で7つ書けたから、しばらくは生徒会役員共以外で書くわ

できれば不評だった男女SSのリベンジもしたい

お疲れー!GJ!
どこかまとめられてたりするかい?
全部読みたいのだが!

>>72

ありがとう!

過去スレのまとめサイトのURL置いとくね

津田「彼女欲しいなー」シノ•スズ「ッ!?」ガタッ

津田「萩村、二人で出かけない?」スズ「ふぇ!?」

ムツミ「タカトシくーん」津田「ん?」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=218452

カエデ「つ、津田副会長!」津田「ハイ」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=218771

アリア「あら?津田君?」津田「あ、七条先輩」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=218937

魚見「タカ君、ちょっといいかしら」津田「どうかしましたか?」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=219108


あとは二つ男女SS書いてたけどそっちは需要無いだろうからとりあえず生徒会役員共のだけ置いとくね!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月20日 (日) 13:45:31   ID: ZSZHCkLj

もっとシノルートくれェェェェ

2 :  SS好きの774さん   2014年04月22日 (火) 14:19:23   ID: zlePZqHP

リアルを犠牲にするとは…

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