貴音「でぃーぶいでぃー?」(31)


P「うぅ……」カタカタ

貴音「? どうなされました、あなた様」

P「仕事が……仕事が……」カタカタカタカタ

貴音「……。」

千早「私たちに手伝える事はありますか?」

P「気持ちはありがたいが、もう時間も遅い」

P「気にしないで帰ってくれ」

貴音「参りましょうか、千早」

千早「はい」

P「ああ!!」

貴音千早「!?」


P「DVD返すの忘れてたぁー!」

貴音「でぃーぶいでぃーですか?」

千早「どこで借りたんです?」

P「駅前のCHUTAYA……」

千早「CHUTAYAなら店が閉まっても返却ボックスがありますよ」

P「今日はもう徹夜コースなんだ……CHUTAYAに行ってる暇なんてない……」

千早「……私は駅前なら逆方向だし」

貴音「では、わたくしが返却してきましょう」

P「た、貴音が!?」

貴音「……何か不満が?」

P「え!?い、いや……何も……」


P「貴音……返却の仕方分かるのか?」

貴音「返却用のぼっくすに入れるだけでしょう」

貴音「それくらい、わたくしにもできますよ」

千早「そうですよ、馬鹿にし過ぎです」

P「……分かった。じゃあこれ」スッ

貴音「確かに。ではおまかせください」

P「お、おう。頼んだ」

貴音「ところで、あなた様は何のでぃーぶいでぃーを……」ゴソゴソ

P「やめろぉおおおおおおーーー!!!」

貴音千早「」ビクッ


貴音「あなた様……?」

千早「プ、プロデューサー?」

P「い、いや……その……」

P「ほ、ほら!あれだ!R18で……」

P「貴音が苦手なホラーとかゾンビ系だから!」

貴音「そ、そうでしたか……ありがとうございます」

千早「R18って……どれだけグロテスクなんですか」

P「時々見たくなるんだ。い、いいだろ別に?」

千早「まあ、どうでもいいですけれど」

P「貴音」

貴音「は、はい?」

P「トラウマになって眠れなくなるから、絶対中身を見るなよ?」

貴音「承知しました……」


貴音「それではまた明日、あなた様」

千早「おやすみなさい、プロデューサー」

P「お、おう。またな」

キィー バタン

P「心配だ……」



千早「それじゃあ四条さん、また明日」

貴音「お休みなさい千早」

貴音「ふぅ」

貴音「……。」


貴音「ほらー物の映画……」

貴音「確かあなた様もその類は苦手だったはず」

貴音「少し疑問が残ります」

貴音「加えて先ほどの狼狽えよう……」

貴音「……。」ジィー

貴音「申し訳ありませんあなた様」

貴音「ぷらいばしーを害するようで少々気が引けますが……」

貴音「恐い物見たさで忠告を無視してしまう四条貴音をお許しください」ゴソゴソ


貴音「……どうやら一本だけのようですね」

貴音「……。」

貴音(ちょっと怖いですが……)

貴音「……んん?」(薄目)

貴音「何やら明るい雰囲気のぱっけーじですね……」ウスメー

貴音「……それでは拝見させていただきます!」バッ

貴音「……?」


貴音「『あの銀色の女王四○貴音似AV女優電撃デビュー! 痴情貴音~わたくしのデカ尻はMEN用な!?~』……?」


貴音「……。」ワナワナ

貴音「……ふふ、明日が楽しみです」


次の日

貴音「おはようございます」

響「はいさーい貴音!」

貴音「おや響。ぷろでゅーさーはいらっしゃいますか?」

響「今は給湯室にいるんじゃないか?」

貴音「そうですか、ありがとうございます」

響「どういたしまして!」


貴音「おはようございます、あなた様」

P「お、おう貴音!昨日はありがとうな!」

貴音「あなた様のお役に立てて何よりです」

P「あ、あのさ……」

貴音「はい?」

P「中身は見てない……よな?」

貴音「……とらうまを作るのは嫌ですから」

P「だ、だよなぁ!はは、はははは!」

貴音「ふふふふっ……」

貴音「……私のデカ尻はめん用な……」ボソッ

P「!?」ビクッ!

貴音「それでは、お仕事に行って参ります」タッタッタッ

P「えっ……い、今貴音のやつ……」

P(……考えすぎか?)


午後

貴音「ただいま戻りました」ガチャッ

やよい「貴音さんこんにちはー!」

貴音「おや、やよい。やよいももう上がりですか?」

やよい「はい!」

貴音「……はて、ぷろでゅーさーは何処に?」

やよい「今はトイレですよー!」

貴音「なるほど」


P「ふー、お、貴音。おかえり」

貴音「ああ、あなた様」

貴音「痴情貴音、ただいま戻りました」

P「!?」ビクゥッ

やよい「あれー?貴音さんの名字って、四条じゃないんですかー?」

貴音「すみませんやよい。滑舌が悪かったですか?」

貴音「四条と言ったつもりだったんですが……」チラッ

P「」ドキドキ


やよい「はわっ!ごめんなさい!」

やよい「私の耳が悪いのかも……」

貴音「……ぷろでゅーさーは何と聞こえました?」

P「お、俺!?」

P「いや……普通に……四条貴音だけど……」

やよい「やっぱり私が……ごめんなさい貴音さん!」

貴音「いいのですよやよい。ところで……何と聞こえたのですか?」

やよい「ちじょうって……」

P「!!」


貴音「ちじょう貴音ですか。存在しそうな名前ですね」

貴音「今度響にいんたーねっとで検索してもらいましょう」

やよい「それって面白そうですねー!!」

貴音「でしょう。私もそう思います」

貴音「ねぇ、あなた様」ニコ

P「」


やよい「それじゃ、お疲れ様でしたー!」

貴音「また明日、やよい」

P「き、気を付けて帰れよー……」

やよい「はーい!」バタン

P「……。」

貴音「……。」

P「す、すみませんでしたー!!!!」ドゲザァ

貴音「……おや、何を謝っているのですか?あなた様」

P「ぐっ……!」

P「見たんだろ!?昨日のDVD!!」


貴音「……ええ」

貴音「あなた様の忠告を無視したのは心が痛む思いでしたが」

貴音「中身を見てしまいました」

P「や、やっぱり……!」

P「その……すまんかった!!」

P「可愛いアイドルに囲まれてたら我慢できなくなっちまうんだ!」

貴音「そこで、私を性欲の捌け口にしようと?」

P「い、いや……その……あのDVDが目についたから……」

貴音「では……私ではなくても良かったと?」


P「い、いや……そういうわけでも」

貴音「はっきりしませんね」

P「うぅ……」

貴音「……でぃーぶいでぃーの私似とされていた女優」

貴音「あまり、私には似てないように思いましたが」

P「えっ?い、いや……」

貴音「私はあれ程ぽっちゃりとしていませんし、もっと腰もくびれ、肌も綺麗なつもりです」

P「た、貴音……?」

貴音「あなた様は、どう思われますか?」


P「あ、ああ……もちろん、貴音のほうが何百倍も魅力的だよ」

P「それだけは絶対に言い切れる」

貴音「なら何故私のぐらびあ写真などではなく」

貴音「あのようなでぃーぶいでぃーを選ばれたのですか?」

P「そ、その……あんなDVD借りといてあれだけど……」

P「本物の貴音を汚したくなかったんだ……」

貴音「……。」

P「軽蔑しても構わない……担当アイドルをそんな目で見てたなんて」

P「社長に報告してクビにされても文句言えないよな……」


貴音「……ふぅ」

貴音「殿方のそういう事情に詳しくないのでよく分かりませんが」

貴音「あなた様のような特殊な立場になれば、今回のような事も仕方のない事なのかもしれません」

P「貴音……」

貴音「しかし一つ……いえ、二つほど文句があるとしたら」

P「は、はい」

貴音「まず一つ目にあなた様が本物の私ではなく、あのような偽物を見て欲を満たしていたことです」

P「……?う、うん?」

貴音「あなた様は、痴情という言葉の意味が分かりますか?」


P「え?いや……なんとなくしか」

貴音「痴情という言葉の意味は」

貴音「色情に迷う心という意味です」

P「……。」

貴音「あのようなでぃーぶいでぃーに見透かされているようで少々嫌ですが」

貴音「私も、色情に迷う心くらいは持っています」スタスタ

P「た、貴音……?」

貴音「あなた様」ジィー

P「おう……?」

P(上目使い可愛い)

貴音「……以前から、お慕い申し上げておりました」

P「……はい?」


P「え!?いや……ちょ、ちょっと待った!」

P「……そ、それは、尊敬の念を抱いているとかの意味か?」

貴音「いけずですよ、あなた様……」

貴音「私の場合、恋心を抱いている、という意味です」

P「た、貴音。冗談なら……」

貴音「あなた様」

P「はい」

貴音「あのような偽物の私ではなく」

貴音「どうか本物の私だけを見ていてください……」ギュッ

P「た、貴音……!?」

貴音「あなた様のお返事を、聞かせていただけますか?」


P「へ、返事って……」

P「……プロデューサーとしては駄目なんだろうけど」

P「俺も、貴音のことが好き……です」

貴音「……ふふ」

P「どうした?」

貴音「思い人と相思相愛になれるのが」

貴音「このように心の暖まるものだとは……」

貴音「想像以上のぬくもりです」ギュー

P「貴音、だ、誰かくるかもしれないし……」

貴音「……すけじゅーるでは、もう事務所には誰も寄らないでしょう」

貴音「それともあなた様は、私と抱き合うのは嫌ですか……?」

P「そ、そんなわけないだろ!?」

P「貴音を独り占めできるなんて、夢みたいだよ」

貴音「私も、同じ思いですよ」


P「でも貴音、そろそろ離れないと仕事が……」

貴音「……。」

貴音「あなた様」

P「うん?」

貴音「二つ目の文句です」

P「ああ、そういえばそんな話も……」

貴音「私はデカ尻なのでしょうか?」

P「え、えぇ?いや、それは別に悪い事じゃ……」

貴音「説明してくださいますか?」

P「ほら……大きいお尻が好きな人もいるし……胸の大きさと同じくらい重要じゃないかな?」

貴音「ではあなた様は……私のお尻が好きですか?」

P「も、もちろんだろ?」

貴音「では、触って確かめてみてください」

P「」


P「いあ、いやいや……それは、駄目だろ?」

貴音「何故です?私たちは相思相愛なのですよ?」

P「担当のアイドルに手を出すわけには……」

貴音「いいから、一度触ってみてください!」

P「た、貴音!?俺の手を無理やり……!?」

P「……。」モミモミ

貴音「んっ……ど、どうですか?あなた様……」

P「凄く……柔らかいです……」モミモミ

貴音「ハァ……ンっ。あなた様。私の体は……『MEN用』などではありません」

P「?」モミモミ

貴音「私の体は全て……んぅ……あなた様だけのものですよ……?」ボソッ

P「」ブッチーン

P「うぉおおおおおおおお!貴音ぇええ!!」バッ

貴音「きゃあ」


~~~~~~~~
~~~~~~
~~~~
~~


春香「プロデューサーさん!差し入れのクッキーです!」

P「おーう、サンキュー」

真「プロデューサー!ランニング行きましょうランニング!」

P「仕事終わってないっつうの」

貴音「ふふ、人気者ですね、あなた様」

P「……一番が誰か分かってるなら、嫉妬なんてしないでくれよ?」

貴音「私は嫉妬深いですから……」

P「ははは……今日、俺ん家来るか?」

貴音「あなた様……。ええ、寄らせていただきます」

響「二人で何話してるんだー?」

P「響には関係ねーよーだ」

響「うがー!?何だその言い方ー!酷いぞプロデューサー!!」

P「はっはっは、ごめんごめん」

ギャーギャー


あずさ「人気者ねえ、プロデューサーさん」

貴音「そうですね、皆、信頼しているのが傍目からでも分かります」

あずさ「競争率高いなぁ……」ボソッ

貴音「……?あずさ、今何か?」

あずさ「あ、いや……何でもないわ、貴音ちゃん……あら?」

あずさ「これ、CHUTAYAの袋……プロデューサーさん、どんな物見てるのかしら~」ゴソゴソ

貴音「私にも見せてください」


あずさ「えーっと、これは……?」

あずさ「」

貴音「あずさ?どうしました?」

貴音「いきなり固まっ……て……」


『隣に引っ越してきたのはあの三浦あ○さ!? 私は君だけのアイドル~となりのあらあら痴女お姉さん~』


貴音「」


あずさ「……あ」

あずさ「あらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあら~////////」

貴音「!?」

あずさ「プロデューサーさんってこういうのが好きなのね~///」

あずさ「早速引越しの準備しなくちゃ~///」ドドドドド

貴音「……。」

貴音「……あ」

貴音「あなた様ぁあああああああああ!!!!」


END

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom