空色エスオーエス:涼宮ハルヒの空想 (109)

涼宮ハルヒの憂鬱×空色パンデミック





ハルヒ「ただの人間には興味ありません。この中にピエロ・ザ・リッパーを名乗るものがいたら、あたしのとこまで来なさい。以上」






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キョン「おい、涼宮」

ハルヒ「何よ」

キョン「さっきのあれ、何だったんだ?」

ハルヒ「さっきのあれって?」

キョン「ピエロザなんとかってやつ」

ハルヒ「…」

キョン「?」

ハルヒ「…」

キョン「おーい」

ハルヒ「何でもないわよ!さっさと忘れなさい!」

昼休み

谷口「お前、よくあんなことできたな」

キョン「あんなことって何だ?」

国木田「ほら、朝の」

キョン「ピエロザなんとかってやつか」

谷口「同級生からの忠告だ。あいつだけはやめとけ」

国木田「涼宮さんに関わるといいことないって聞くよね」

キョン「なんで?」

国木田「え、キョン知らないの?」

谷口「あいつ空想病だぞ?」

初回ここまでです

キョン「空想病?」

国木田「知らないの?」

朝倉「この辺りでは結構有名なんだけど…」

谷口「校庭で見えない怪獣と戦ったり」

国木田「昇降口に日本刀構えて張り込んだり」

朝倉「屋上の柵をハンマーで片っ端から壊したこともあったわね」

キョン「なんだそれ…」

谷口「キョン、こんなやつと付き合いたいか?」

キョン「断固拒否する」

翌日

ハルヒ「待たせたわね、ピエロ・ザ・リッパー!」

キョン「?」

谷口「…」

ハルヒ「我が盟友たるジャスティスの名をもって」

ハルヒ「あなたを処刑します!」

キョン「待て待て待て待て」

ハルヒ「問答無用!」

キョン「痛っ」

ハルヒ「…」

キョン「…」

ハルヒ「…ちょっと来なさい!」グイッ

キョン「わわわわわわわ」

屋上階段下

ハルヒ「あたし、空想病なのよ」

キョン「知ってる」

ハルヒ「谷口に聞いたの?」

キョン「ああ」

ハルヒ「なら話は早いわ。あたしに付き合いなさい」

キョン「…は?」

ハルヒ「あたしの発作に、とことんまで付き合いなさい!」

キョン「意味がわからないんたが」

ハルヒ「部活を作ろうと思うのよ」

キョン「部活?」

ハルヒ「世界を穏やかにするための涼宮ハルヒの団、略してSOS団」

キョン「どんな部活なんだ」

ハルヒ「ほら、あたしの発作って、時々突拍子もないことするでしょ」

ハルヒ「校庭で暴れたり、屋上の柵壊したり」

ハルヒ「さっきみたいに人を殴ったり…」

キョン「発作なら仕方ないだろ」

ハルヒ「でも、防げるなら防ぎたいじゃない?」

キョン「…まあそうだな」

ハルヒ「空想病の発作って、親しい人ほど感染しやすいんだって」

キョン「ああ」

ハルヒ「だから、必ず感染するメンバーを決めておけば」

ハルヒ「他の人には感染しないと思ったのよ」

キョン「待て、俺の人権はどうなるんだ」

ハルヒ「そんなの自分でなんとかしなさいよ」

キョン「は?」

ハルヒ「それじゃ早速、他の部員に会いに行くわよ」グイッ

キョン「わわわわわわわ」

今回はここまで

ガラガラ

ハルヒ「お待たせ!」

長門「…」

朝比奈「…あ」

古泉「おっ」

キョン「」

ハルヒ「紹介するわ、新入部員のキョン」

キョン「えっと…」

ハルヒ「有希とみくるちゃんと古泉くん」

長門「よろしく」

キョン「…ああ」

ハルヒ「じゃあ、明日からは放課後ここに来るように」

ハルヒ「解散!」

キョン「…」

ガラガラ

キョン「…」

長門「…」

古泉「…」

朝比奈「…」

キョン「…」

長門「…話がある。来て」

長門宅

キョン「なんでお前の家?」

長門「…」

キョン「学校では言えないことか?」

長門「そう」

キョン「ハルヒが空想病だってことならもう知ってるぞ」

長門「それに関係すること」

キョン「ああ」

長門「それと、わたしのこと」

キョン「ん?」

訂正

キョン「涼宮が空想病だってことなら知ってるぞ」

長門「涼宮ハルヒは普通の人間ではない」

キョン「知ってる」

長門「そして、普通の空想病罹患者でもない」

キョン「え?」

長門「彼女のトゥリウム波は極めて強力」

長門「その強度は162ショーツに達し、我々情報統合思念体の存在を揺るがしている」

キョン「162ショーツ?」

長門「劇場型空想病罹患者が持つトゥリウム波の強度は、通常5から8ショーツ」

長門「強力な者であっても、14ショーツが限界とされている」

キョン「涼宮は…」

長門「162ショーツ」

キョン「すごい強力じゃねーか…」

1レス投下
ちなみに「ショーツ」はオリ設定です

長門「80ショーツを超えるトゥリウム波は、世界の秩序を改変する危険がある」

キョン「世界の秩序?」

長門「たとえば空間の連続性を破壊し、特定の空間に立ち入れなくなる」

長門「時間の連続性を破壊し、特定の時間帯を繰り返す」

長門「これらは91ショーツの患者が実際に行ったこと」

キョン「そうか…空想病って怖いな…」

長門「涼宮ハルヒのトゥリウム波の強度はこの1.8倍」

長門「我々にも何が起こるかわからない」

キョン「今言ったやつの1.8倍か…」

長門「情報統合思念体は、涼宮ハルヒによる世界の秩序の破壊が我々の存在を脅かすものと判断し」

長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース、パーソナルネーム長門有希を有機世界に投入した」

長門「それがわたし」

キョン「え?」

長門「端的に言うと、宇宙人」

長門「情報統合思念体は宇宙開闢と同時に存在し」

長門「情報体を生命としてきた」

長門「162ショーツのトゥリウム波を持つ涼宮ハルヒは情報体の存在を消滅させる可能性があり」

長門「このままでは我々の存在が脅かされると判断」

キョン「…要するに」

キョン「情報ナントカ体っていう宇宙人的なやつがあって、長門はそこのスパイってことか?」

長門「そう」

キョン「正直まったくついていけないんだが」

長門「信じて」

キョン「え?」

長門「信じて。わたしのこと、情報統合思念体のこと」

キョン「…」

長門「…」

キョン「…」

長門「…」

キョン「…とりあえず、全部保留でいいか」

キョン「長門のことも、情報ナントカ体のことも」

長門「了解した」

今回はここまで


翌日

ハルヒ「お待たせ」

キョン「おう」

朝比奈「こんにちは」

長門「あなたが最後とは珍しい」

古泉「何かあったんですか?」

ハルヒ「よく聞いてくれたわね古泉くん」

古泉「?」

ハルヒ「せっかく5人集まったんだし、親睦会やりましょう」

キョン「親睦会?」

朝比奈「親睦会ですか…」

ハルヒ「そう、親睦会」

長門「具体的に何をする?」


ハルヒ「みんな、準備はできた?」

キョン「なんで俺たちは靴を履き替えているんだろう…」

ハルヒ「外出るからに決まってるでしょ?」

朝比奈「どこに行くんですか?」

ハルヒ「さあ?適当に散歩しながら決めるわ」

キョン「適当だな…」

朝比奈「あの…」

ハルヒ「ん?」

朝比奈「お願いがあるんですが…」


桜川公園


ハルヒ「…ここ?みくるちゃんが来たかったとこって」

朝比奈「はい」

ハルヒ「確かに桜はきれいだけど…」

古泉「思い出の場所なんですか?」

朝比奈「いえ、そういうわけではないんですが」

朝比奈「ベンチがあるところで話したかったんです」

キョン「なるほど」

ハルヒ「それじゃ、あたしたち散歩してるから」

ハルヒ「終わったら電話して」

朝比奈「はーい」

今回はここまで

キョン「で、話って何ですか」

朝比奈「えっと…」

キョン「…」

朝比奈「…」

キョン「…」

朝比奈「…」

キョン「…」

朝比奈「実は私、未来から来たんです」

キョン「…え?」

朝比奈「涼宮さんのトゥリウム波が極めて強いのはご存知ですか?」

キョン「長門に聞きました」

朝比奈「私たちはそれが原因で、過去に戻れなくなってしまったんです」

朝比奈「正確には、3年前のある時点より前の世界に戻れないんです」

キョン「…」

朝比奈「その原因を調査していたところ、この時間軸が怪しいと分かりましたので」

朝比奈「こうして調査に…」

キョン「…」

朝比奈「ごめんなさい、信じてもらえませんよね…」

キョン「はい…」

トゥリウム波じゃなくてトゥラウム波でした


朝比奈「涼宮さーん」

ハルヒ「あ、終わった?」

朝比奈「とりあえずは」

古泉「これからどうするんですか?」

ハルヒ「うーん……どっか行きたいとこある?」

朝比奈「特には……」

長門「同感」

ハルヒ「そうね……じゃあ」

ハルヒ「ピエロ・ザ・リッパー」

ハルヒ「あんたに復讐するわ!」

キョン「?」

ハルヒ「今日あんたに復讐するために、高野山で修行してきたのよ!」

ハルヒ「修行の成果、受けてみなさい!」

翌日

ハルヒ「はあ………………………………」

キョン「どした?」

ハルヒ「何よあの発作………………………………」

谷口「あいつら何してんだ?」

朝倉「さあ?」

ハルヒ「何もあんなタイミングで起こさなくても……………………」

キョン「おーい授業始まるぞ」

ハルヒ「勝手にしなさいよ……………………」

今回はここまで

昼休み

キョン「古泉」

古泉「何でしょう」

キョン「お前も何か話があるんじゃないのか?涼宮絡みで」

古泉「分かってしまいましたか」

古泉「ここではあれなので、屋上に行きましょう」

古泉「僕は、東京本部が設立した『機関』に所属しています」

キョン「機関?」

古泉「詳しく話すと長くなりますが」

古泉「おおまかに言うと、涼宮さんの発作が暴走しないように監視する機関、といったところでしょうか」

キョン「ほう」

古泉「162ショーツですからね」

キョン「暴走することもあると」

今回はここまで

古泉「まあ、ちょっとした超能力者でもあるんですけどね」

キョン「ちょっとした?」

古泉「大したことはできませんよ」

キョン「ほう……ちょっと見せてくれないか」

古泉「残念ながらできないんですよ」

古泉「ちょっと条件がありましてね」

キョン「そうか」

古泉「条件が整ったらお見せしますから、待っていてください」

キョン「了解」

なんか曜日配列がおかしい気がするけど気にしないでくれ


翌日

『放課後誰もいなくなったら、教室に来て』

キョン「…………」

キョン(これ誰の字だ?)

キョン(長門に似てる気もするけどなんか違うな……)

ハルヒ「……なんであんたがいるの?」

キョン「ん?」

ハルヒ「ピエロ・ザ・リッパーは10年前に死滅させたはず……」

ハルヒ「あなたは……本当にピエロ・ザ・リッパー?」

キョン「いや違」

ハルヒ「さてはあんた、九段研究所が開発したクローンなのね?」

キョン「……」

教室

ハルヒ「本当にごめんなさい!」

キョン「お前が謝ることじゃないだろ」

ハルヒ「でもあたしが発作起こして、巻き込まれるのは毎回あんたじゃない……」

キョン「制御できないんだから仕方ない」

朝倉「何かあったの?」

キョン「発作だ」

谷口「あー……また巻き込まれたのか」

国木田「本当好きだよね、こういうの」

キョン「うるせーな」

今回はここまで

放課後

キョン「」ガラガラ

朝倉「こんにちは」

キョン「朝倉?」

朝倉「1人で来たのね」

キョン「いや普通1人だろ」

キョン「それで、何の用だ」

朝倉「涼宮さんのことなんだけど」

キョン「涼宮?」

朝倉「空想病には2種類あるっていうのは知ってるよね?」

キョン「自己完結型と劇場型だったか?」

朝倉「そう。涼宮さんは自己完結型ね」

朝倉「今のところは…………ね」

キョン「今のところは?」

朝倉「トゥラウム波の強さが140ショーツを超えると、劇場型になる可能性が高いんだって」

キョン「涼宮は162ショーツだから……」

朝倉「そろそろ劇場型になってもおかしくない時期なの」

キョン「それで、なんで俺に?」

朝倉「立川研究所が面白い研究結果を出してるのよ」

朝倉「まだ公表されてないから、オフレコでお願いね」

キョン「おう」

朝倉「空想病患者の一番親しい人を殺すと、トゥラウム波が弱まるんだって」

キョン「……そうなのか」

朝倉「ちゃんと実験結果もあるから」

キョン「実験したのか?」

朝倉「実験って言っても本当に殺したりはしないわよ。監禁して死んだと思い込ませるだけ」

キョン「なるほどな」

朝倉「でも監禁するだけよりは、本当に殺したほうが効果あると思わない?」

キョン「うーん……よく分からんな」

朝倉「分からないでしょ?」

朝倉「だから、確かめたいの」

キョン「確かめるって、どうやって」

朝倉「分かってるくせに」



朝倉「あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見る」


今回はここまで

長門「させない」




キョン「長門!?」

長門「何?」

キョン「どっから出てきた?」

長門「情報操作」

キョン「…………」

朝倉「ふふっ、それで長門さんはどうしたいの?」

長門「あなたの情報を抹消する」

朝倉「へえ……随分面白いこと考えるじゃない」

長門「あなたは情報統合思念体の急進派」

長門「わたしは主流派、相容れることは絶対にない」

朝倉「ふーん……まあどっちでもいいけど、なんでそこまで躍起になるのかしら?」

長門「涼宮ハルヒとSOS団を守る」

長門「わたしはそう決めたから」

朝倉「それで、情報連結解除の準備はできたのかしら?」

朝倉「申請してから時間かかるはずだけど?」

長門「たった今、終わった」

朝倉「そう」

長門「パーソナルネーム朝倉涼子の情報連結を解除する」

今回はここまで

キョン「朝倉!?」

長門「何?」

キョン「朝倉が……」

長門「消滅した」

キョン「驚かないのか……?」

長門「わたしが消した」

長門「彼女は情報統合思念体の急進派」

長門「端的に言えば、あなたを抹殺しようとしていた」

長門「このまま放置してはあなたと涼宮ハルヒの安全が確保できないと判断し」

長門「彼女の情報連結の解除を決定した」

キョン「…………」

長門「納得できない?」

キョン「朝倉……宇宙人だったのか……?」

キョン「それと、長門も……」

長門「そう」

キョン「信じるしかないのか……」

長門「信じられない?」

キョン「信じたくないけど……」

長門「お願い、信じて」

今回はここまで

翌日

ハルヒ「ピエロ・ザ・リッパー!」

ハルヒ「今日こそジャスティスの敵を取らせてもらうわ」

キョン「……」

ハルヒ「あたしは今までのあたしとは違う」

ハルヒ「我がジャーミン軍の秘宝たる炎の水晶を手に入れたんだから!」

ハルヒ「さあ、かかってきなさい!」

10分後

ハルヒ「キョン……本当にごめんなさい……」

キョン「発作なら仕方ないだろ」

ハルヒ「そういやキョン、さっき机に突っ伏してたみたいだけど何かあったの?」

キョン「ああ、これだ」

『昼休みになったら部室に来てください みくる』

ハルヒ「何これ……みくるちゃん?」

キョン「らしいんだが……」

ハルヒ「行けばいいじゃない」

キョン「…………」

ハルヒ「何を怖がってるのよ」

キョン「…………すまん、それは言えないんだ」

ハルヒ「は?」

キョン「なんか、言ってはいけないような気がした」

ハルヒ「キョン、何言ってるの?」

キョン「誰かに言ったら、さっきのジャーミン軍みたいな組織に消されそうな気がするんだ」

ハルヒ「キョン…………?」

キーンコーンカーンコーン

岡部「HR始めるぞー席に着けー」

放課後部室

朝比奈(大)「あ、お久し振りですキョンくん」

キョン「朝比奈……さん……?」

朝比奈(大)「私は朝比奈みくるです」

朝比奈(大)「この時間にいる朝比奈みくるより、さらに未来から来た朝比奈みくるです」

キョン「……」

朝比奈(大)「とりあえず、座りませんか?」

朝比奈(大)「懐かしい……こんな葉っぱ使ってましたね……」

キョン「あの……朝比奈さん」

朝比奈(大)「何ですか?」

キョン「わざわざ呼び出して、何がしたいんですか?」

朝比奈(大)「えっと……」

朝比奈(大)「禁則事項があるからうまく言えないんですけど……」

キョン「はい……」

朝比奈(大)「端的に言うと」

朝比奈(大)「涼宮さんは、近いうちに感染爆発を発生させます」

キョン「え?」

朝比奈(大)「細かい時間は禁則事項なんですけど、大体今から1週間以内に」

キョン「ちょっと待ってください」

朝比奈(大)「何ですか?」

キョン「感染爆発って、劇場型患者が2人いないと成立しないって聞きましたけど」

朝比奈(大)「普通はそうなんですけど」

朝比奈(大)「涼宮さんは162ショーツですから、1人でも発生させてしまうんです」

キョン「それで、俺はどうすれば……」

朝比奈(大)「正直に言うと、何もできない可能性が高いです」

キョン「そんな……」

朝比奈(大)「でも、1つだけ可能性があります」

キョン「教えて下さい」

朝比奈(大)「白雪姫」

キョン「はい?」

朝比奈(大)「白雪姫。私に言えるのはこれだけです」

朝比奈(大)「あとは全部禁則事項です……ごめんなさい……」

キョン「いえ、ありがとうございました」

キョン「この世界を、救ってみせます」

今回はここまで

昇降口

ハルヒ「キョン、ちょっと来なさい」

キョン「ん?」

ハルヒ「朝倉の家に行くわよ」

キョン「朝倉?」

ハルヒ「ほら、今朝いきなり転校しちゃったじゃない?」

ハルヒ「もしかしたらあたしの発作が原因かもしれないって思うのよ」

キョン「関係ないと思うぞ」

ハルヒ「なんで?」

キョン「…………」

ハルヒ「行きましょう」

キョン「…………おう」

光陽園駅前

ハルヒ「朝倉、いなかったわね…………」

キョン「転校したんだから普通いないだろ」

ハルヒ「でもさ、何かおかしいと思わない?」

キョン「何が?」

ハルヒ「管理人も担任も、今朝まで何も聞かされてないってどういうことよ」

キョン「急に決まったとかだろ?」

ハルヒ「転勤って急に決まるもんなの?」

キョン「さあ?」

ハルヒ「もしかしたら、あたしの発作で消しちゃったのかもしれない」

キョン「発作で?」

ハルヒ「普通は発作で人が消えるなんてことないけど」

ハルヒ「あたしは162ショーツだから、何があってもおかしくない…………」

ハルヒ「80ショーツ超えたら危ないんでしょ?」

キョン「…………」

キョン「ハルヒ、心配しなくていいぞ」

キョン「ハルヒがどんな発作を起こしても、俺達がとことんまで付き合う」

キョン「それがSOS団だからな」

ハルヒ「キョン…………」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「とりあえず、今日は帰りましょう」

ハルヒ「朝倉のことは、明日また考えるわ」

今回はここまで

古泉「こんばんは」

キョン「わざわざ家まで来て何の用だ」

古泉「僕が超能力者という話は以前しましたよね」

キョン「条件があるとか言ってたな」

古泉「その条件が整いましたので、今からお見せします」

キョン「今から?」

古泉「では、車に乗って下さい」

キョン「どこに行くんだ」

古泉「今回は、駅前のロータリーです」

キョン「今回は?」

古泉「毎回場所が変わるんですよ。面倒な能力ですね」

北口駅前到着

キョン「本当にこんなところでやるのか?」

古泉「はい」

キョン「何をやるのか聞かされてないんだが」

古泉「とりあえず、目を閉じていただけますか」

キョン「了解」

数分後

古泉「開けてください」

キョン「おう」

古泉「いかがですか」

キョン「まず一つ聞いていいか」

古泉「どうぞ」

キョン「ここはどこだ」

古泉「そうですね……我々は閉鎖空間と呼んでいます」

古泉「涼宮さんの発作により成立した世界」

古泉「周りの世界とは完全に隔離され、僕たち以外は誰も入ってこれません」

キョン「空想病の発作でそんなことができるのか」

古泉「162ショーツですから」

キョン「僕たちって言ったな」

古泉「はい」

キョン「他にもいるのか?この世界に入れるやつが」

古泉「ざっと10人ほどですね」

キョン「あそこにいるやつか」

古泉「はい」

今回はここまで

キョン「おい、何か出てきたぞ!」

古泉「どれですか?」

キョン「あの渦を巻いてるやつだ」

古泉「ああ、あれですか」

古泉「僕たちは『混沌』と呼んでいます」

キョン「混沌?」

古泉「詳細はよく分かっていないのですが」

古泉「涼宮さんの空想の核となっているのは確かです」

古泉「そして、それを消滅させるのが僕たちの役目」

古泉「では、僕も行きますね」

古泉「終わりました」

キョン「お疲れ」

古泉「いかがでしたか?」

キョン「正直、よく分からん」

キョン「古泉が『混沌』のほうに歩いていったのは分かった」

キョン「どういう原理で消滅させてるんだ?」

古泉「それが、僕たちにも分からないんですよ」

キョン「そうか」

古泉「『混沌』が消えたので、この閉鎖空間もじきに消滅します」

古泉「僕たちも帰りましょうか」

キョン「そうだな。早く帰って寝たい」

今回はここまで

翌日

昼休み明けの5限

キョン「zzz」

ピエロザリッパー!

キョン「zzz……」

ハルヒ「ピエロ・ザ・リッパー!」ツンツン

キョン「何だよ……」

ハルヒ「あれを見なさい!」

キョン「ん?」

ハルヒ「なんか渦巻いてるわよ!」

キョン「あ……」

ハルヒ「きっとジャスティスが攻めてきたのよ!なんとかしなさい!」

キョン「……」

谷口「え?何?渦巻いてる?ジャスティス?」

谷口「あー涼宮の発作か」

国木田「どうやら違うみたいだよ」

谷口「ん?」

谷口「本当だ渦巻いてる」

谷口「……ってこれやばいんじゃねーか?」

放送『緊急放送。緊急放送。ただいま校庭にジャスティスが出現した模様です。全校生徒はただちに地下に避難して下さい』

キョン「……え?」

今回はここまで

ハルヒ「ごめんなさい!」

キョン「また発作か……まあ大体分かってたけどな」

ハルヒ「谷口達も巻き込んじゃって……あれ?」

キョン「ん?」

ハルヒ「なんで誰もいないの……?」

キョン「本当だ」

ハルヒ「そういえばさっき地下に避難とか言ってたような……」

キョン「あいつら本当に避難しやがったのか」

ハルヒ「ちょっと探してくる!」

キョン「俺も行く」

数分後

昇降口にて

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「どうだった?」

キョン「まずいな……本当に誰もいないぞ」

キョン「とりあえず、本館には誰もいなかった」

ハルヒ「あたしは旧館を探してみたんだけど」

ハルヒ「やっぱり誰もいなかったわ」

キョン「長門とか古泉も?」

ハルヒ「うん」

キョン「ところで」

キョン「ちょっと暗くなってないか?」

ハルヒ「本当だ……なんか灰色になってる」

ハルヒ「でも曇ってるっていう感じじゃなさそうね……」

キョン「感染爆発」

ハルヒ「へ?」

キョン「劇場型の患者が二人いると、相互作用で全世界に感染が広がって」

キョン「果ては世界の秩序を壊すっていうやつ」

ハルヒ「それがどうしたの?」

キョン「お前は162ショーツだから、一人でも感染爆発を起こす可能性があるって」

キョン「朝比奈さんが言ってた」

ハルヒ「そんな……あたしが感染爆発を……?」

キョン「135ショーツより強いトゥラウム波はあんまり研究されてないからな」

キョン「はっきり言って、何が起きてもおかしくない」

ハルヒ「でも……今まで平気だったし……兆候とかなかったし……」

キョン「でも現に谷口達は消えてるし、空は灰色だし」

ハルヒ「とりあえず、帰りましょう」

キョン「まあ考えてどうにかなるわけじゃないし」

ハルヒ「家に電話しないと」ピポパ

キョン「携帯使えるのか?」

ハルヒ「さあ?」プルルルルル

キョン「……」

ハルヒ「……」プルルルルル

キョン「……」

ハルヒ「……」ただいま電波の届かないところにいるか、電源が入っていないため

キョン「……」

キョン「駄目だったか……」

ハルヒ「そうね……」

キョン「おい」

ハルヒ「ん?」

キョン「なんか渦増えてるぞ?」

ハルヒ「へ?」

キョン「さっき1個だったのに」

キョン「向こうにもう1個」

ハルヒ「本当ね」

ハルヒ「なんか向こうにもできてるわよ」

キョン「同時に2個かよ」

キョン「って言ってる間にさっきの所にもう1個」

ハルヒ「ちょっと待ってこれどんどん増えていくんじゃない?」

キョン「ハルヒ、逃げよう」

ハルヒ「逃げるってどこに?」

キョン「とりあえず校外に逃げれば」ガシャン

キョン「って門閉まってる!?」

ハルヒ「しかも鍵も開かない!」

プルルルルル

キョン「ん?電話?」

ハルヒ「繋がらないんじゃないの?」

YUKI.N>みえてる?

キョン「ユキ……長門か?」

ハルヒ「有希?何が起こっているの?」

YUKI.N>今あなたがいる世界は、涼宮ハルヒの劇場型発作が暴走したもの。

YUKI.N>俗に感染爆発と呼ばれている。

キョン「感染爆発……」

ハルヒ「やっぱり……あたしの発作で……」

YUKI.N>世界の秩序は破壊され、新しい世界が構築される。

YUKI.N>本来なら事前に阻止すべき事態。

YUKI.N>既に新しい世界の構築が始まってしまった以上、止めるのは不可能。

ハルヒ「そん……な……」

キョン「何とか……ならないのか……?」

YUKI.N>情報統合思念体、古泉一樹の所属する機関、朝比奈みくるを送り出した組織。

YUKI.N>三者とも、不可能と結論している。

キョン「そうか……」

YUKI.N>長門有希の個人的な願望としては、あなたたちに戻ってきてほしいと感じているが、

YUKI.N>不可能ならば諦めるしかない。

キョン「……」

ハルヒ「……」

YUKI.N>この通信も限界が近づいている。

ハルヒ「有希!?」

YUKI.N>新しい世界でまた会えることを祈る。

プツッ

キョン「切れたか」

ハルヒ「みたいね」

キョン「ハルヒ」

キョン「俺は覚悟を決めた」

キョン「あの渦に入ろう」

ハルヒ「え?」

キョン「長門と朝比奈さんと古泉が3人揃って無理って言ってるんだ」

キョン「俺達が足掻いてどうにかできるものじゃない」

ハルヒ「いやでもあたしの空想なんだから」

キョン「お前がどうにかできたことがあったか?」

ハルヒ「……ないわね」

キョン「そういうことだ、受け入れろ」

ハルヒ「……うん」

キョン「ハルヒ、最後に一つだけ」

ハルヒ「何よ」

キョン「できれば、新しい世界でもSOS団を立ち上げてほしい」

ハルヒ「言われなくてもそのつもりよ」

キョン「よし、じゃあ行くか」

ハルヒ「うんっ」





─────こうして、長きに渡った空想は完結した─────



本編終了、エピローグ残して今回はここまで

その後のことを、少しだけ語ろう。



翌日

清水「おす」

谷口「おう」

国木田「災難だったね」

清水「結構大変だったぞ」

清水「いきなりキョンとか呼ばれるし」

国木田「清水くんにあだ名なんてあったっけ?」

清水「無い。俺の名前は清水だ」

谷口「なんで清水がキョンになったんだろうな……」

清水「知らん」

国木田「そういえば、9月くらいにどっかのクイズ番組でキョンっていう動物が出てきたような……」

谷口「あの鹿みたいなやつか?」

国木田「それ」

清水「あれか……」

谷口「清水鹿かよ」

清水「俺は人間だ」

ハルヒ「おはよ」

清水「おう」

谷口「来たか」

ハルヒ「みんな、ごめんね」

国木田「謝ることじゃないよ」

谷口「発作なら仕方ない」

清水「中学の頃から付き合わされてるんだ」

清水「もう慣れた」

ハルヒ「そだね……私たち中学から一緒なんだよね」

清水「俺とハルヒと谷口と国木田と朝倉だな」

国木田「なぜか二つに分裂してたけど」

谷口「空想設定だと俺と涼宮が東中で」

清水「俺と国木田が同じ中学」

ハルヒ「朝倉だけ市外から」

清水「そもそも北高って市外から受験できたのか?」

国木田「確か駄目だった気がする」

朝倉「ごめん、遅れちゃった」

清水「朝倉?」

ハルヒ「転校しなかったっけ?」

朝倉「北高に転校なんていう制度は無いんだけど」

ハルヒ「そうだったわね……」

清水「俺の記憶では長門が消したことになってる」

朝倉「え?長門さんが私を消した?」

清水「ように見えた」

朝倉「私ずっといたよ?」

清水「え?」

国木田「視覚補正じゃないの?」

清水「だな」

谷口「視覚補正って凄いな」

朝倉「ところで、進路希望票って出した?」

清水「まだだな」

国木田「そういえばそんな時期だったね」

ハルヒ「えっと……今11月?」

朝倉「混乱してる?」

ハルヒ「うん……」

清水「一応確認だが俺たちは2年生だ」

国木田「文化祭終わった10月にあの発作が始まったんだよ」

ハルヒ「1年の4月っていう設定で?」

国木田「うん」

ハルヒ「ごめんなさい……」

清水「謝らなくていいぞ」

放課後 部室

ハルヒ「有希!」

長門「?」

清水「長門」

長門「キョン?」

清水「違う、清水だ」

長門「冗談だよ」

ハルヒ「ごめんね……有希……」

長門「気にしないで。結構楽しかったから」

ハルヒ「楽しかったの?」

長門「うん。ハルヒのこともちょっと分かったし」

ハルヒ「あたしのこと?」

長門「ハルヒは、宇宙人と未来人と超能力者に会いたいんだよね?」

ハルヒ「忘れなさいそんなの!」

差し替えます


ハルヒ「ごめんね……有希……」

長門「気にしないで。結構楽しかったから」

ハルヒ「楽しかったの?」

長門「うん。ハルヒのこともちょっと分かったし」

ハルヒ「あたしのこと?」

長門「ハルヒは、宇宙人と未来人と超能力者に会いたいんだよね?」

ハルヒ「そんなことないわよ!」


朝比奈「涼宮先輩!」

ハルヒ「あ、みくるちゃん」

朝比奈「半年文芸部でやってましたけど、こんなのは初めてですよ……」

ハルヒ「……確認だけど、あたしたち文芸部だよね?」

長門「うん」

朝比奈「そうですよ」

ハルヒ「みくるちゃん……ごめんなさい……」

朝比奈「謝らなくていいですよ」

朝比奈「結構楽しかったんですよ、先輩方の先輩役って」

清水「朝比奈が先輩で古泉が同級生か」

ハルヒ「本当は2人とも後輩なのに」

長門「ハルヒはいつも面白い設定考えるよね」

長門「そういえば古泉くんは?」

朝比奈「今日は欠席です。アルバイトって言ってました」

ハルヒ「アルバイト?もしかして閉鎖空間の?」

朝比奈「いや普通にコンビニの」

ハルヒ「そうだったわね」

清水「もしかしてまだ抜けてないのか?」

ハルヒ「そうみたいね……」

清水「ところで、ちょっと聞きたいんだが」

長門「どうしたの?」

清水「長門だけキャラ変わりすぎじゃないか?」

長門「私もそんな気がする」

ハルヒ「宇宙人だからかな?」

朝比奈「涼宮先輩が考えてる宇宙人の喋り方ってあれなんですか?」

ハルヒ「うん……」

清水「『ワレワレハ』みたいなやつだと思ってた」

ハルヒ「あんな宇宙人いるわけないでしょ!」

長門「そのまんまじゃ駄目だったの?」

ハルヒ「そのまんまだとなんかキャラ立ってないし……」

長門「いや清水だって立ってないじゃん」

清水「……」

ハルヒ「まあとりあえず、これで一件落着ってことで」

長門「涼宮ハルヒ、話がある」

ハルヒ「え?」

長門「情報統合思念体は存在する」

ハルヒ「……え?」

長門「我々情報統合思念体は宇宙開闢と同時に生まれ、情報体として存在していた」

長門「今から3年前、我々は大規模な情報フレアを観測した」

長門「その中心にあったのが、涼宮ハルヒ」

長門「我々は涼宮ハルヒが暴走しないよう監視するとともに、情報フレアの原因を突き止めることを使命として」

長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースを作成し」

長門「長門有希という名前を付けて、北高校文芸部に送り込んだ」

長門「それが私」

清水「……」

ハルヒ「……」

朝比奈「……」

ハルヒ「有希……」

朝比奈「それって……」

清水「本当なのか……?」

長門「もちろん冗談だよ」

清水「冗談かよ!」

ハルヒ「びっくりさせないでよ!」

朝比奈「こういうのが発作のもとになるんですよ!」

長門「ふふっ、ごめんね」

長門「じゃあ、ここから本当の話」

清水「おう」

朝比奈「もう発作が起きるようなのはなしですよ」

長門「さっきネットで見つけたんだけど」

長門「トゥラウム波の強さを表す単位として、ハルヒが考えた『ショーツ』が使われることになったんだって」

ハルヒ「あれか……」

清水「そういや162ショーツとか言ってたな」

朝比奈「あれ?トゥラウム波に強さなんてありましたっけ?」

長門「無いって言われてたけど、最近の研究で発見されたらしいよ」

長門「1メートルの距離で感染する強さが1ショーツ」

ハルヒ「ちなみにあたしは何ショーツ?」

朝比奈「5ショーツくらいじゃないですか?」

清水「弱いな」

長門「期間も人数もトゥラウム波の強さとは関係ないからね」

ハルヒ「それじゃ、今日はこれで」

清水「あ、一つ忘れてた」

長門「何?」

清水「最後の閉鎖空間の時、なんで誰もいなかったんだ?」

朝比奈「避難訓練やってたんですよ」

清水「えっ」

ハルヒ「避難訓練?」

長門「何か放送とかなかった?」

清水「そういやあったな……」

ハルヒ「ジャスティスが攻めてきたから逃げろとかなんとか……」

長門「聴覚補正だね」

ハルヒ「でも外出ても誰もいなかったわよ?」

朝比奈「避難訓練終わって教室に戻ったんだと思います」

清水「入れ違いか……」

朝比奈「空が灰色だったのは単純に雨雲が出てたからです」

長門「門に鍵が掛かってるのはいつものことだし」

清水「長門のあれはどうせ視覚補正だろ?」

長門「あれって?」

清水「なんか携帯が急にブラックアウトして」

清水「いきなりYUKI.N>みえてる?とか出てきたから」

長門「え?私何もしてないけど」

清水「だよな」

朝比奈「視覚補正ですね」

ハルヒ「みくるちゃん(大)の話は聞かなくていいの?」

清水「あれ本人だろ?」

朝比奈「はい」

清水「冷静に考えてみたらそんなに体型変わんなかったぞ」

長門「多分視覚補正掛かってたんじゃないかな?」

清水「だと思う」

ハルヒ「ちっ」

清水「誰だいま舌打ちしたのは」

ハルヒ「はい解散!全員さっさと帰る!」

下校中

ハルヒ「あたし、面白いこと考えた」

長門「言ってみて」

ハルヒ「今回の話、今年の部誌で書いてみようと思うのよ」

清水「今回の話ってどっから?」

ハルヒ「自己紹介のとこから」

朝比奈「なんか面白そうです」

ハルヒ「タイトルはそうね……『空色エスオーエス』でどうかしら」

長門「SOS団だから?」

ハルヒ「うん」

長門「なんで片仮名?」

ハルヒ「なんとなく」

長門「ふーん……」

ハルヒ「どしたの有希?」

長門「……」

清水「まさかネタ取られた?」

長門「ギクッ」

ハルヒ「残念でしたー」

長門「情報操作で消してやる……」

清水「そういやハルヒ」

清水「白雪姫って結局何だったんだ?」

ハルヒ「あっ」

朝比奈「忘れてたんですか!?」

ハルヒ「ごめんみくるちゃん……」


空色エスオーエス:涼宮ハルヒの空想
完 結

以上で完結です。ありがとうございました。

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