モバP「もう十分堪能したよ」 (56)


事務所前 ドア


P「外から帰ってきたら事務所から甘い匂いがする」

P「俺はこの匂いを知っている」

P「奴がいる」

P「数ヶ月前対峙した悪魔が」










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~回想~

チャレンジクッキング


ありす「ふふん」

イチゴパスタ「」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


P「………………」
モグモグ

柚「………………」
モグモグ

ありす「二人ともただ食べ続けてるだけなんて」

ありす「言葉も出ないくらいの感動ですか、ふふっ…やはり私が作っただけありますね」

P『(今回のイベントチャレンジクッキング、ありすが試食を頼むと言うのでやってきた訳だが)』

P『(出されたのは、この罰ゲームとしか思えない代物だった)』


柚「Pサーン…へーきぃ…?」
モソモソ

P「…何とかな」
モソモソ


P『(苺の甘酸っぱさと生クリームのもったり感、そしてパスタ)』

P『(これらだけなら意外と食える、が、冷たい苺とクリームと熱々のパスタとの温度差とのコンボがヤバイ)』

P『口の中で微妙な温度になる苺とパスタ、溶けて濃厚な風味が増す生暖かい生クリーム』

P『(一体俺は何を食べているのかと問答が頭を巡り続け、謎は口の中で小宇宙の様に広がり意識が飛び)』


ありす「あの、本当に静かですね二人とも………一応聞きますけど…おいしくなかったですか?」

P「独特な味だ誰にも真似できん」

ありす「あ、よかった………じゃ、ありませんね、当然です」

柚「(おいしいとは言っていない)」


柚「(でも中々意地を魅せるじゃんPさんったら)」

P「(ま…あな、味はどうあれありすが頑張ったんだ、無碍にはできん)」

柚「(おーさっすがー)」

P「(それに実際まずいって言われるとそれも違った超感覚だからなコレ…ひょっとしたら味の先にたどり着けるかもしれないぞハハハ)」

柚「(…ふーん、そっか、じゃあお願いしちゃおうかな)」

P「(うん?何の話だ?)」

ありす「あの、どうしました?二人でこそこそと…気になるんですが」


P「え、あ、あーいや何でもないさ、このパスタは凄いなーって、なあ?」

柚「うんうん、でもPさんったらこのくらいじゃ全然物足りないからアタシの分も食べたいって言うんだよね」

P「っ!?!?!?ゆゆゆ柚!?」

柚「Pさんは男の子だもんねー二人分くらい無いと物足りないもんねー」
ススッ

ありす「あ、そうだったんですか、残念ながら出したのでおしまいですし、それなら仕方ありませんね…どうぞ二人分を食べてください」

P「」

柚「(てへっ♪ごめんね♪頑張って味の先にたどり着いてね♪Pさんならきっとできるよっ)」

P「(いいぃいやぁあああああああ)」

イチゴパスタ「興味のある人は喫茶マウンテンで検索」


~回想終了~


P「…………………」

P「思い出したら吐き気してきた」

P「(根性で全部食べきったが、しばらく立ち直れなかったなあ…)」

P「しかし事務所に入らない訳にもいかぬまい、立ち往生しててもしょうがない」

P「クールになろう、何も食べる事が確定した訳じゃない」

P「逃げ場の無かったあの時とは違う、言い訳何て幾らでも用意できる」


P「(さあ、覚悟を決めよう!)」


ガチャ

P「お、おはようございま」





巴「絶品じゃー!!」
ピカー


巴「フゴフゴフゴフゴ…ゴクン」

巴「うまいのう!こんな世界があったとはのう!ああ、うちの完敗じゃ!!」






P「…………………」

P「(覚悟決めて事務所入ったら)」

P「(グルメ漫画みたいにキラキラした笑顔で巴が苺パスタ食っとる)」




巴「いったい何処のどいつがこの逸品を…?お、なんじゃPおったんか?」

P「ああ」

巴「…うん?みくが魚くらったような顔しおって」

P「ありすに幾ら積まれたんだ」

巴「?」

P「いいんだ、お前が仲間思いなのは知ってるが無理はするな」

巴「Pが何を言うちょるかうちにはわからんぞ」

P「え?ホントに美味いの?演技とかじゃないのその顔?」

P「(ていうか演技であってほしい、巴のこんな顔始めて見たぞ)」

巴「勿の論じゃ」
モグモグ

P「えぇ…」

P「(ちょっと目の前の光景を脳が受け入れてくれない)」

P「(コレを受け入れる人間がいるのも驚きだが、よりによって何故巴なんだ…予想外すぎて頭が追いつかん)」

巴「…なあPよさっきからどうしたんじゃ?様子がおかしいぞ」

P「(どっちかというと様子が変なのはお前だ)」

巴「あ、もしかして…Pもコレ食いたいんじゃろ?」

P「どえっ?!」

巴「全く、しょうがない奴じゃのー」

P「違うよ、全然違うよ」

巴「遠慮するなや、美味いもんは皆で分けるのが最良じゃ、ほれほれ」

P「(何でこうなるの)」


巴「遠慮はいらんぞうちとPの仲じゃろ」

P「いやその食べたい事は無くも無いんだがそのー」

巴「…あ゛?どっちじゃそりゃ?はっきりせーや!」

P「(げっまずい返事をウダウダするのは巴が最も嫌う、とにかく返事しないと!)」

P「え、えーっと…そう、巴がだな」

巴「うちが?」

P「おいし…そうに食べてるのを見て」

巴「見て?」

P「俺は自分で食べるだけじゃなくて…巴が…そう!巴に食べさせて貰いたいんだっ!!」

巴「んなっ!?」

P「(よし、これなら何とかなる)」

P「(巴の性格からして茶化すなとドツかれておしまいだ!)」

P「(これで食べずにすむしここからも離れられる、現状のベスト!!)


P「………………」

巴「………………」

P「………………」

巴「………………」

P「……………?」

P「(あれ、何で止まってるんだ巴、それに顔まで伏せてこれじゃまるで)」

巴「そうか、仕方ないの」

P「えっ」

巴「コレはそーいやそういう仕事の時の料理じゃったな」

P「あの」

巴「ええわ、やったる」

P「いや、違うそういうつもりじゃなかったんだ、無理しなくてい」

巴「おのれの言ったことじゃろ?責任持てや」
キッ

P「(睨まれた、可愛い)」

巴「………………」
クルクルクル ヒョイッ

巴「P!」

P「お、おう!」






巴「あーん………召し上が………れ」


P「………………」

巴「………………」

P「………………」

巴「………………」

P「………………」

巴「………………」

P「………………」

巴「………………」




巴「…はよ食えや」

P「ちょうかわいい」

巴「…かわいいは止めろや」

P「いや我慢できん、可愛い可愛い可愛い」

巴「っ!!あーアホくさっ!!!本当にこげな真似がええんか?媚売っとるのがバレバレじゃろ!!!」

P「だがそれがいい」

巴「………アホじゃな」

P「それが男の情ってやつだ、よし、次はポーズをとって頼むぞ、しなを作って俺を見上げてくれ、台詞はご主人さモガ」
ズボッ

巴「うっさいわ!!いつまでも待たせとらんと食え!!」

P「モガモガ」


P「(おぐっ…結局食べる事になるのか、巴にあーんしてもらえたとはいえ……味の相殺は……?)」

P「」
モグモグ モグモグ モグモグ

P「」
ゴクン

P「(あれ、意外といける)」

P「(文明開化みたいな味は変わらんが)」

P「(前と違ってパンチが減って食べやすい感じだ)」

P「(甘い物が苦手な訳じゃないしこれなら大丈夫、イケルイケル)」

巴「はーこっぱずいのう…どうじゃP満足したか?」

P「巴、もう一回」

巴「なっ」


P「ああ、思ったより良くてさ(味が)」

巴「ぐ…ぅ…(うちのあーんが?)」

P「できればもう少しお願いしたいが…駄目か?」

巴「………………」

巴「そ、そんなに良かったんか?(うちから食べさせられるのが)」

P「ああ、意外というか新鮮というか…とりあえずもっと試してみたい(苺パスタを)」

巴「あ………うう、思ったより大胆じゃのP、そうまで言われたら…断れん」

P「そうか、じゃあ頼むぞ」

巴「でもな、その…なら……P…も、うちにするのが筋じゃろ?」

P「…?いいけどそんな事しなくてもいいんじゃないか?俺がやっても可愛くなけりゃ絵にもならんのに」

巴「うちにだけ恥ずかしい真似させる方が駄目じゃ、ほれフォーク持って…」










ありす「そこまでです!!!!」


巴「うひゃあっ!?」
ササッ

P「うん?」

ありす「それ以上は駄目です!!」

P「あれ、いたのかありす」

ありす「ええ、ずっと」

巴「わ、われぇ…出歯亀しとったんかぁ…」

ありす「ふん、出るタイミングを損ねてただけです」


P「タイミング?」

ありす「それ、Pさんに用意してたパスタなんですけど…食べられちゃってどうしようと様子見てたんです」

P「(あ、結局俺のだったのかコレ)」

巴「Pの?」

ありす「書置き…気付きませんでしたか?」

巴「え……あ、これ…………すまん、気付かなかった」

ありす「………………」

巴「じゃが、何故うちが食べるのを止めなかったんじゃ?」

ありす「…だって」

P「ありす?」

ありす「誰よりもおいしそうに食べてくれてましたから…止められないですよ」

巴「…そうか、悪かったの勝手に食べてしまって」

ありす「いいですよもう、料理人はおいしいという言葉が報酬ですから、いっぱい報酬貰いましたし」

P「イイハナシダナーそれじゃこれにて一件落着」

ありす「しませんよ?ここからが本題です!」
ズイッ

P「お、おい何する気だ、近いぞ」

ありす「…あの時だってあんな事はさせてくれなかったのに!」

P「いやそりゃ撮影でそんな真似できる訳が」

ありす「さあPさん!今度は私の番です!!」
クルクルクル ヒョイッ


ありす「巴さんがPさんにあーんしたなら私だってする権利が発生します」

P「なんじゃそりゃ」

巴「…う、わ、忘れろや、あんなのは気の迷いじゃ」

P「かわいい」

ありす「そしてPさん食べさせるのは作った私であるべきです!」

巴「…あ?」

ありす「別にどうしてもやりたい訳じゃありませんし子供じゃないんですから食べさせるのも食べさせられるのも必要ありませんけどこのパスタを作ったのは私ですし巴さんがやって私がソレをやらないのはバランスが悪いです従ってこうするのが自然で」

P「???」

巴「ほう」

P「(何だか良く解らんが食えるのは解ったし相手してやれば満足するだろ)」

P「解った、それじゃ頼むよ」

ありす「あ…は、はい、よろしくお願いします」
ノソノソ

P「えっ」

巴「おい、何でPに乗るんじゃ」

ありす「え?だって食べさせ合うならこれくらいは当然です」

巴「…うちもそこまではしとらんぞ」

ありす「作った私がそれ以上の事をするのは当然です、Pさん手は腰と頭に回し」

巴「って目の前でんな事されたら見過ごせんわ!!」
ガバッ

P「ぐえっ」

P「(ソファーに座ってたんだが気付けばありすに乗られ、続いて隣にいた巴にも乗られた)

P「お、おい?どいて欲しいなーって」

ありす「だそうですよ?どいてあげたらどうですか?」

巴「あ?おのれがどけばすむ話じゃろ?」

ありす「……………」

巴「……………」

P「……………」

ありす「……………」

巴「……………」

P「……………」

ありす「……………」

巴「……………」

P「……………」





P「(なんだこれ)」


ありす「…お互い引く気は無いみたいですね」

巴「…そうじゃな、こうなったら」


ありす・巴『……………』
ジー

P「え?」


………
……





悪徳「けっけっけ今日もある事無い事書いて記事にしてやるぜ」

悪徳「事務所に入る前から準備しておくのがプロってもんよ…ん?」

悪徳「中から声が聞こえるな、取材申し込む前に音を拾ってみるか」

悪徳「もしかしたらスクープが撮れるかもな…くくく」


ザザッ



『Pさん口………あけて下さい……』

『………落ち着いて…むぐっ』

ッ  ンッ  グッ

『ふふ…どうで………おいしいですか?私の……うふふ…』

『お、おいしい、から、離し…っ」


悪徳「えっ」

悪徳「…もう一回」

ザザッ


『P、こっち向けや』

『…ま、待ってくれ、これ以上は』

『もう散々した後じゃろ?…Pは女に恥をかかせる気か?』

『……っ……だ、駄目だこれ以上は、もう限界…うむっ』


悪徳「………………」

悪徳「最後」

ザザッ


『……ぐ……う……お前ら、俺に何の恨みが…』

『優柔不断なのが悪いんです』

『そうじゃな、そもそもPが一番悪い』

『…幾ら何でも二人同時はキツかったぞ』

『でもちゃんと食べてくれたじゃないですか』

『ああ、うちら二人とも分け隔て無く相手を───』


プツン


悪徳「…………………」


………
……




P「この間は散々だったな…」

P「でもまあ最後は二人とも楽しそうだったし終わりよければ全て良しだな、うん」

P「さてTVでも見ようかな」
ピッ


驚愕!!人気アイドル事務所の爛れた実態!!


P「うさんくさっ、でもちょっと気になるしどんな内容か…………え」
















この後、誤解を解くために奔走したが


黒服A「兄ちゃん、海か山か、どっちがいい?」

黒服B「お嬢が世話になったんじゃ、それくらいは選ばせたる」

P「」

巴の親族にピーされそうになったり




記者「ではあの記事は本当なので?」

ありす「あの人は待てなかったみたいでですね、でも愛があれば歳とかは関係無いと思います」

巴「そうじゃな、うちの親父だって愛人が」

記者「ストップ!!」


何故か否定しない両者を止めたりと安息は見えなかった




おしまい

読んでくれた方ありがとうございました
終盤オチが見つからず強引になってごめんなさい
次はもっと純粋にありすや巴とイチャつけるようにしたいです

橘ありす(12)
http://i.imgur.com/8xhvDAP.jpg
http://i.imgur.com/u0cgCBK.jpg

喜多見柚(15)
http://i.imgur.com/Dzj0mgm.jpg
http://i.imgur.com/XDIQWzO.jpg

村上巴(13)
http://i.imgur.com/izsvvxo.jpg
http://i.imgur.com/vCroPUA.jpg

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