敷島三笠艦隊司令の愉快な日々 (136)

佐世保に着任した新しい艦隊司令官「敷島三笠」。古巣である佐世保の空気に喜びは隠せない。

海軍軍令部の命令により、『敷島型戦艦四番艦 三笠』という立場を明かすことなく、艦隊を指揮し、勝利に導くのが仕事だ。

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まったくログインできない私の八つ当たり的作品です。期待せずお待ちください

着いて最初にやることと言えば、指揮官私室と公室の確認。極秘裏に用意した大量の石炭、アームストロング製40口径長12吋砲弾400発、同じく40口径長6吋砲弾1400発、同じく40口径長3吋砲弾2000発、47ミリ単装砲弾1600発、ホワイトヘッド魚雷200本を私室に隠し、偽装も同じく隠す。

それが終った時、吹雪がやってきた。

吹雪「あなたが、今度着任してきた提督の敷島三笠ですか?」

三笠「そうだ、私が大日本帝國海軍大将の敷島三笠だ。着任手続きを申請する。」

吹雪「了解いたしました。提督!」

三笠「私の事は艦隊指揮官と呼んでくれ、提督は好きじゃない。」

吹雪「かしこまりました。艦隊指揮官!」

煩雑な手続きを終えて、吹雪と私は施設を確認する。

とはいえ、日露戦争中はほとんどここで過ごし、戦っていたがゆえに殆どわからないところは無かった。

吹雪「そういえば、何か手紙みたいなものがもうきているのですが・・・」

三笠「どれどれ・・・『練習艦富士及び、特務練習艦敷島を戦艦の任に戻すので、本日付けを以て受領せよ』って嫌がらせかなにかか?」

吹雪「富士とか敷島ってどんな艦なんですか?」

??「戦艦富士、ただ今到着いたしました。着任手続きをお願いいたします。」

??「戦艦敷島、現時刻を持って到着、任に就きます。承認をお願いいたします。」

三笠「了解した。各自任務に励んでくれ。私からの訓示は特にない。」

敷島富士「Mam,yes mam!」

敷島と富士はちょっと石炭喰って来ると行った後倉庫に歩いて行った。

吹雪「で、どういう人たちですか?名簿に無いのですが。」

三笠「正直、日露戦争前にイギリスに発注された旧式艦だ。巡航速力も10ノット、最大戦速も18ノットという代物さ。」

三笠(敷島姉さまと富士義姉さまが来るとか、どうなるかも責任とれる気がしないZe。砲の旧式化と換装可能な物の無さから、このままか)

三笠「まあ飯にするか。吹雪。後、副官長は君に任命する。職務に忠実であれ。」

吹雪「はい!」

ちなみに三笠は男装している。
敷島と富士は黒と紺の剣道着っぽい服装。

んで、三隻に艦隊を組ませて近接海域に出撃させた。自身は無い

落ち着かないのでお茶の時間でもするか。

だれだ?心の中に直接『私とキャラがかぶってるデース』なぞと語りかけて来る馬鹿ものは。ティータイムは優雅に楽しむものだ。違うかね猫吊るしくん?

そんな事をしていると、艦隊が返ってきた。間違いない、あの煙、だってこの辺で石炭焚きの船なんて敷島お姉さまと富士お義姉さま以外いないし。

猫吊るしとのティータイムを終えて片付けたあと、我が艦隊を迎えた。

三笠「で、今回の最優秀戦果をあげた艦は、敷島です。」

敷島「敷島型の誇り、とくとご覧あれ。」

三笠「いや、駆逐艦一隻に12吋砲を3発あてたのはすごいけど、一応戦艦と駆逐艦な。」

富士「ついでにこんなの拾ったZe☆」

??「金剛デース。提督、今後もよろしくデス。」

三笠(さっきのはこいつか!)

金剛「どうしたデスか?提督?」

三笠「提督とは呼ぶな。艦隊指揮官とよぶように。」

金剛「了解デス。」

三笠「敷島君、MVPを取ったのだし、何か一つリクエストは無いか?」

敷島「そうね、あなたと今夜一晩添い寝がしたいわ。」

三笠「うん、善処する。」

金剛「私は何をしたらいいデスカ?」

三笠「とにかく部屋に案内をするからついてくると良い。」

金剛「了解デース」

そんなこんなで金剛を部屋に案内し、日課の俳句作りをしたののちに夕食の用意を行うことにした。補給艦がいないので私が用意するのだ。

3時間後、献立が凄い事になっていた。どっかの天城型戦艦のなれの果てじゃない自分が不安になるぐらいだ。

だが結局、全て食いきった。私も一応戦艦であることが幸いだったようだ。

で、恐怖イベントの敷島との添い寝の時間が来た。指揮官と艦娘の間での添い寝というといかがわしい気がするが、敷島型艦同士姉妹での添い寝と考えれば健全だ。よし、問題は・・・大有りだ!ばかやろぅ!敷島型1番艦と2番艦ならともかく、1番艦と4番艦はあまり仲好くないというか嫌われてるンだが。

敷島「でも、こうして並ぶのってひさしぶりね・・・」

三笠「明治41年以来かな。」

敷島「しかし、あなたが旗艦ではなく指揮官とは不思議なものね。」

三笠「いや、東郷提督の事を間近で見てきたから、できるとおもう。」

敷島「そういうことではないわ。あなたが初瀬の沈んだときになんて言ったか覚えてる?」

三笠「忘れるはずがないさ、あんな事。『何だ、二人しか沈んでいないじゃないか。』と言ったことは。」

敷島「あなたが指揮官なら、何も恐れずに捨て駒ぐらい用意しそうってことよ。」

三笠「・・・保証はしないが多分そんなことはない。」

敷島「そう、そうね、姉を失っても涙一つ流さないあなたが、ね。いいわ、気が変わった。一人にさせて。」

三笠「・・・あぁ、じゃあお休み」

敷島は何も言わずに部屋に帰って行った。

仕方ないじゃぁないか旗艦は泣いてはいけないのだから。それも聯合艦隊の旗艦なら味方の士気を下げないように、気丈にふるまわねばさ。

朝だ。そういえば近くの艦隊から不要になった水上機を譲ってもらったんだ。金剛に3機搭載できるし、湾内から飛んでもよい。楽しみだ。

倉庫前にて総員集合後

三笠「これが今後使うことになった九五式水上偵察機だ。金剛に3機搭載するつもりだ。」

金剛「これデスカ?了解デース。」

敷島「かわいいわね、これ。」

富士「なにこれー、ちいさーい、かわいいー。」

三笠「何故富士は棒読みなんだ。いいが。ついでに対潜警戒用に3番対潜爆弾を用意してあるゾ」

金剛「楽しみデース。」

三笠「うむ。いいだろう。諸君、一〇〇〇を以て出撃する。各員戦闘に備えよ。」

全員「了解しました!指揮官!」

此処で忘れていたキャラ設定

三笠:元聯合艦隊旗艦の敷島型四番艦。熱血である。性格は男っぽい。一応元艦娘であることは秘密。東郷元帥大将提督   並みかそれ以上の素質がなければ提督とは呼ばない。指揮官としてのレベルは1。艦娘としてのレベルは99

敷島:三笠の姉。実戦経験は豊富。三笠とは仲が悪い。お姉さん体質。黒い服を着ているのは石炭焚きだから。艦娘とし   てのレベルは99

富士:日本海軍最古参の1万トン越えの戦艦。敷島型の全員にお義姉さまと呼ばれていた。妹の海没は目の前で見た。黒   い服を着ているのは石炭焚きだから。艦娘としてのレベルは99

出撃先は湾外近接海域。戦艦3、駆逐艦1という訳わからん編成なのは御愛嬌だ。旗艦は敷島。

敷島「お弁当はみんな持った?」

その他「もちろん!」
敷島「敷島、いざ、参る。」ワレニツヅケ

敷島 ムセンキ コショウ イゴ ノ レンラクハ キリュウシンゴウ オヨビ ハッコウシンゴウ ヲ モッテ オコナウ

富士「変わろうか?」

敷島 ムセンキ ノ コショウ ニ ツキ キリュウシンゴウ デノ レンラク ヲ コウ

富士 キカン ノ ニンム ケイゾク ハ カノウ ナリヤ

敷島 シショウ ヲ ミトメズ ワレ ハ シキ ヲ ケイゾク ス ゼンカン ソクリョクヲ 10ノット ニ セヨ ワンガイ ニ デル

各艦は回答旗を揚げ敷島に続く。

金剛 ワレ テイサツキ ヲ ハッシン サセル キョカ ヲ コウ

敷島 OK,It is your very important task

金剛は回答旗を掲げ、艦載機を発進させた。

金剛1番搭載機(以下金1)「しかし、無線のいかれた旗艦とか大変だね。関係無いけどね」



一一〇二 金剛搭載機1号機連絡 「敵艦ミユ 位置一〇一戦域 進路一二五度 速力20ノット 駆逐艦3 単縦陣」

一一〇三 金剛返信       「了解、可能な限り接敵行動を継続せよ」

一一〇六 金剛搭載機1号機連絡 「敵艦隊変進 方位一四〇度 敵艦隊詳細 イ級2 ロ級1」

一一〇七 金剛返信       「了解、燃料は十分か。」

一一〇七 金剛搭載機1号機連絡 「不足 帰投する 現在位置一〇四戦域」

一一〇九 金剛返信       「了解、後続機を以て任に充てる。交代せよ」

一一一三 金剛 3号搭載機出撃

一一二一 金剛搭載機1号機帰投

一一二七 金剛搭載機3号機連絡  「敵艦隊視認 追尾開始 敵艦隊進路一四〇度 速力25ノット 位置一一四戦域」

一一二八 金剛返信        「了解、着弾観測もお願いネ」

一一三〇 富士全艦に打電     「接敵間近 各艦合戦準備」

一一三一 敷島全艦に打電     「無線機復旧」

一一三三 敷島、金剛に打電    「貴艦を第二戦隊旗艦とし、吹雪を率い、敵を追撃せよ」

一一三七 全艦敵艦隊と接触

一一四一 各艦射撃開始 距離一万三千

一一五八 敵旗艦ロ級爆沈

一二〇二 敷島被弾 三吋単装砲一門粉砕 死者二名 重傷者九名 軽傷者一名

一二〇九 敵艦隊反転 第二戦隊追尾開始

一二一八 敵二番艦大破停止 (後に自沈)

一二二七 敵三番艦座礁

一二三三 敷島射撃停止

一二三八 富士射撃中止

一二四〇 敵三番艦自爆

一二四一 金剛、吹雪射撃停止

被害報告

敷島被弾五発 三吋単装砲一門破壊 第一番主砲塔電路切断旋回不能 他軽微 戦死者二名 重傷者十七名

富士被弾一発 前艦橋司令塔粉砕 後部艦橋操舵機で代用 戦死者一名 重傷者航海長以下一名

金剛被弾一発 損害軽微 戦死者なし 重傷者一名

吹雪被弾なし (備考、水雷発射管不発) 

 

暁を拾ったのはいいが、戦艦のはずの敷島、富士の損害がひどい。いくら火力が集中しようと戦艦が駆逐艦の砲火で一番厚いアーマー撃ち抜かれるのもどうかと思うし(富士)、さすがに三六式無線機は換装すべきだと思う(敷島)。

作業員1「三六から四三式に換装、砲塔の復旧となりますとかなりの時間がかかります。」

三笠「構わぬ。旗艦の性能が低くてはかなわん。九五式短四号送信機も追加してくれると有難い。」

作業員1「完全に発注生産ですから遅くなりますよ。」

三笠「旗艦だ。やれ!」

作業員1「了解!」

作業員2「富士は自動装填機をいっそ換装しましょう。」

三笠「で、それは何年かかるのだ?今度にしろ!そんな暇は無い!」

作業員2「かしこまりました。」

厄介だなこの結果は。どうしようか。

更に、敷島と富士は射撃方位盤の追加も受けることとなった。全部で二ヶ月位かかるそうだ。仕方はあるまい。

金剛、吹雪は今回の作戦の遂行により成長を遂げた。吹雪の水雷発射管不発の件はただの電路の短絡であった。

作業員1「敷島のベルビールボイラの部材がありません。修復不能です。」

作業員2「富士も同じく。」

三笠「換装して構わん。」

作業員2「富士は了承したのですが…」

作業員1「敷島が『敷島艦の誇りをこんな事で失うわけにはいかないわ』と言って、拒んでいるのです。」

三笠(あの人らしいな・・・)

三笠「説得はしてみる。駄目だったら、手作りか。故障が増えそうだ。」

三笠(むしろベルヴィ―ルでよくここまで頑張ったと言えるのだが…)

敷島「だから換装はしないってば。」

三笠「故障したらもう治せないって。」

敷島「敷島型の誇り、おぼえている?」

三笠「ボイラーは最新式のベルヴィ―ル、機関は三気筒三段膨張蒸気レシプロ、最新の一・五メートル測距儀、最新の自動装填機で砲塔をどの   向きに向けても装填可能。だったか。」

敷島「アーマーも最新のニッケル・ハ―ヴェイ鋼、でショ。」

三笠「私はクルップ鋼だったけどね。」

敷島「それは例外。」

三笠「ボイラの換装は私の希望だ。艦政本部式ロ号重油専燃缶だ。」

敷島「いやよ。」

三笠「富士お義姉様は受け入れたそうだが。」

敷島「いやよ。」

三笠「外観は変わらん。頼む。これ以上敷島型が周りから旧式化していくのが見たくないんだ。」

敷島「考えさせて。」

三笠「二日だけだ。搬入の都合もあるのでな。」

敷島「わかったわ。」

ついでに帝国海軍は土曜日がカレー。週休二日になる前の海上自衛隊も土曜がカレー・・・

>>24うるせぇホワイトヘッドぶち込むぞ。

古い物の方がいいものは残さねばならない。例えば、富士型、敷島型は乾舷が低いから望遠鏡式照準器は海水をかぶって照準困難になるが、アイアンサイトであれば問題がないように。だが、ベルヴィ―ル式ボイラは別だ。第一次の前から欠陥ボイラとして消えていった代物だ。とはいえ、私もそのままなのだが、前線に出ないから問題は無い。

三笠「決めたか?」

敷島「勿論。換装をお願い。」

三笠「そうか、どうしてそう思った?」

敷島「周りから置いて行かれ、古ぼけていってしまったら、誇りも何もないものね。」

三笠「ありがとう。今後の活躍に期待しているわ。」

敷島「その代わり、あれをちょうだい。」

三笠「あれって、まさか、あれ?」

敷島「何だか言ってごらん。」

三笠「指揮官室に飾ってある、日本海艦戦のときのZ旗?」

敷島「その通り。いいかしら?」

三笠「構わない。それがお姉さまのためなら。」

敷島「それは秘密じゃないの?」

三笠「私はお姉さまなど言っていないよ。」

敷島「そうネ、そういうことにしてあげる。」

三笠「換装を早く終えて、帰ってこいや。そこで、敷島型の誇りを思う存分発揮するんだ。私も敷島型だ。それが見たい。」

敷島「ティーパーティーも久々にしたいわね。」

三笠「そいつは素敵だ、大好きだ。」

敷島「いつ以来かしら。」

三笠「初瀬お姉さまの戦没以来だから黄海海戦以来初か。」

敷島「私が贈った聯合艦隊旗艦就任祝いのティーセット、まだ持っている?」

三笠「もちろん。」

敷島「改装後が楽しみになってきたわ。」

三笠「同感。」

敷島「金剛ちゃんとも仲良くしなさいよ。」

三笠「当たり前だゼ、私は戦艦三笠なんだから。」

敷島「良い指揮官になれそう?」

三笠「それは分からない。でも努力する。」

吹雪「指揮官!電話です!急いでください。」

三笠「では、敷島君。健闘を祈る。」

敷島は笑って三笠たちを見送った。良い事がありそうだ。

三笠「了解いたしました、軍令部長。」

此処からは夜の仕事だ。第一種軍装に身を包み、左腕に”特警隊”の腕章を巻く。陸式拳銃を腰に下げ、外に出る。

別の艦隊の司令部にて

モブ提督「いいじゃないか、減るもんじゃないし。」

霧島「やめてください、提督。」

制止を振り切って彼は霧島の胸に手を伸ばす。

私はその手を掴んで一万五千馬力の全力で締め上げる。

三笠「艦娘へのお障りは禁止されております。ちょっと屯所に来い。」

モブ提督「アイエェェェェ!」

腕を粉砕させた気がするが気にせず連れてゆく。

三笠「スマートで 目先が利いて几帳面 負けじ魂 これぞ海軍。違うかね、少将?」

モブ提督「ハイそうです。」

三笠「声がちいせぇ!殺されてぇのか、この屑が!ケツに魚雷突っ込んで海に放り込むぞ。」

モブ提督ガクガクブルブル

三笠「そうか、死ぬか、それとも海軍刑法に基づいて軍法会議にかけられるのがいいか、選べ。」

モブ提督「軍法会議がいいです。」

三笠「第四十二条 指揮官又ハ乗員故ナク其ノ艦船ヲ覆没又ハ破壊シタルトキハ死刑ニ処シ之ヲ損壊シタルトキハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス」

モブ提督「アイエェェェ!」

三笠「第四十五条 部下多衆共同シテ罪ヲ犯スニ当リ鎮定ノ方法ヲ尽ササル者ハ三年以下ノ禁錮ニ処ス」

モブ提督「アイエェェェェ!」

三笠「第六十九条 職権ヲ濫用シテ陵虐ノ行為ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」

モブ提督「アイエェェェェェ!」

三笠「第七十八条 海軍ノ艦船、航空機、戦車、工場、戦闘ノ用ニ供スル建造物、汽車、電車、自動車若ハ橋梁又ハ海軍ノ軍用ニ供スノ物ヲ貯蔵スル倉庫ヲ焼燬シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ十年以上ノ懲役ニ処ス」

モブ提督「アイエェェェェェェ!」

三笠「第八十八条ノ二 戦地又ハ帝国軍ノ占領地ニ於テ婦女ヲ強姦シタル者ハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス
2 前項ノ罪ヲ犯ス者人ヲ傷シタルトキハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処シ死ニ致シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ七年以上ノ懲役ニ処ス」

モブ提督「アイエェェェェェェェェ!」

三笠「なんでこんなに該当項目が多いのだ。貴官は。」


後日談

吹雪「艦娘に手を出した屑が実刑を喰らったみたいですよ。指揮官。」

三笠「世の中にはアホもいるんだな。」

そういえば捨て艦は、海軍刑法の第四十二条 「指揮官又ハ乗員故ナク其ノ艦船ヲ覆没又ハ破壊シタルトキハ死刑ニ処シ之ヲ損壊シタルトキハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス」で処分されるのでは?ついでに比叡は、第五十二条 「健康ヲ害スヘキ飲食物ヲ配給シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ処ス因テ人ヲ死ニ致シタル者ハ無期又ハ五年以上ノ懲役ニ処ス」に抵触するのでは?

三笠「よし、今日は作戦講座だ。出席取るぞ。暁。」

暁「はい!」

三笠「金剛。」

金剛「ハーイ」

三笠「吹雪。」

吹雪「はい!」

三笠「以上三名出席確認よし。」

三笠「今回の作戦講座は丁字不利を覆す方法だ。」

金剛「そんな手段があるデスカ?」

三笠「ある程度広さがあれば可能だ。此処(http://www.sakanouenokumo.com/koukai.htm)に日露戦争中の黄海海戦の海戦図の概略ががある。見たまえ。此処でロシア海軍は反転、聯合艦隊の後方に向かった。ここでもしロシア艦の方が優速であったのなら、振り切られていた、もしくはイの字を取られて苦戦したと思う。」

吹雪「なんでロシア艦はそうしなかったのでしょうか。

三笠「目的と手段を間違えてはいけないよ。日本海軍の目的は、旅順艦隊の撃破だけれども、ロシア海軍の目的はより日本軍を脅かせるウラジオストクに行く事だ。」

暁「つまり、戦力を温存してウラジオストクへ着きたかったということ?」

三笠「そういうことだ。戦って、戦力を減らしたくないなら、妥当だろう。ただ、逃げると士気が凄く下がるから難しいものだぞ。」

金剛「デスカ。」

三笠「ただ、この後、追ってきた敵艦隊の頭を押えに行くことも可能だ。ほら、丁字不利をひっくり返した。」

三人「ホントだ!」

吹雪「あれ、日本海海戦ではそういうことは無かったのですよね?」

三笠「それどころか丁字すら取ってないぞ。」

三人「えぇ!」

三笠「当時の報告書を見た事無いのか?秋山参謀長が『丁字なんか取れないのだから、イの字かリの字を取るべき。』と言った事を言っているし、戦闘図でも最初イの字かリの字をとって、あとは殴り合いに落ち着いている。」

三人「へぇー」

三笠「ついでに東郷ターンと言われるけど、あれ、そんなに危険とは思えない理由があってさ、戦艦の射撃は間接照準が一般的なんだ。」

暁「間接照準?」

三笠「要するに、撃って弾が落ちる、そしてそこからどれだけ照準をずらせばいいか計算する。これを繰り返せば当たるわけさ。でも、旋回中の敵にこれで当てるのは至難の業。今は方位盤があるからどうなるかわからんが。そして、さらには敵艦隊が使用していた発射装薬が褐色火薬で、観測がしにくいという欠点があった。だからともいえる。」

金剛「東郷提督も神懸っていた訳じゃないのデスネー。」

三笠「そりゃそうだ。でも、自分の命と旗艦の損耗を恐れないのは指揮官としての最良の素質と言えると思う。」

三人「確かに。」

キーンコーンカーンコーン

三笠「おや、時間だ、飯にしよう。」

三人「はい!」

午後は戦闘可能な三人を正面海域に出した。実を言うと三六式でも一五〇〇キロ以内の範囲であれば無線の傍受が可能だ。此処からはそういう傍受無線の時間だ。記録もとる。

一四〇〇 艦隊出撃。旗艦金剛・

一四〇六 金剛「搭載機2号機発進セヨ。」

一四〇八 金剛搭載機2号機「射出用意良シ。」

一四〇八 金剛「射出!(ファイアー!)」

一四一三 金剛搭載機2号機「敵艦隊ミユ 進路一〇〇度 速力20ノット イ級3」

一四一三 艦隊接敵行動開始

一四一五 金剛搭載機2号機「敵艦隊直進」

一四一六 金剛「各艦ニ次グ 照準ヲ敵先頭艦ニ集中セヨ。」

一四一六 暁「了解」

一四一七 吹雪「了解」 

一四二二 艦隊接敵

一四二二 金剛「トツトツクレ」

一四二三 金剛「トトトトト・・・」ト連送

一四二八 金剛射撃開始距離三万

一四三八 金剛射弾命中 イ級1隻火災発生

一四四二 敵先頭艦イ級 爆沈

一四四七 暁、吹雪雷撃決行 距離四千五百

一四四九 水雷命中三 敵二番艦轟沈

一四五六 敵三番艦投降

一五〇一 吹雪曳航ヲ開始

一六〇九 艦隊帰着

被害報告

金剛 被弾無シ

暁 三吋砲一発被弾 死者負傷者無シ。糧食庫味噌樽粉砕

吹雪 敵水雷一発被弾 左舷傾斜五度。注排水装置故障ニ付、櫓作成ノ上バケツニテ排水ヲ行フ    

その間に起きたこと。

三笠「盗聴って疲れるし面倒くさい。」

三笠(うん?埠頭の方が騒がしい?何事だ?)

三笠は躊躇することなく埠頭へ向かう。しかし、見た目には埠頭は何も変わっていない。
(ココハ クライ・・・ ダレカ タスケテ)
三笠はその瞬間に後ずさった。長年の戦艦としての勘が危機を告げていた。しかし遅すぎた。盛り上がる海面。敵の襲来であった。

三笠(これが噂に聞こえていた指揮官を海に引きずり込む連中か。)

三笠は敵を確認した。リ級1、そして、もう一隻は・・・

三笠(まさか、あれは・・・戦艦スワロフか、馬鹿な、一体どんな怨念があるというのだ)

三笠は駆けだした、私室へと。艤装を取りに行くためである。しかし、スワロフならともかくリ級は振り切れない。しかもスワロフの放つ三十センチの弾は威力は凄まじかった。

三笠(なぜだ、やつは。時期が遅すぎる。日本海海戦から一体どれだけ立っていると思って居やがる。)

間一髪で私室に飛び込む。目の前にあった前主砲塔を掴んで背後の扉に向ける。リ級が突っ込んできた。最早近すぎて狙う必要はなかった。
 唯向けて撃ち込んだ。 爆風で部屋の窓が全て割れ、蛍光灯も砕け散った。 連装砲塔の威力はここにあった。 リ級は腹のあたりに二発とも喰ったらしく、胴を真っ二つに引き裂かれて崩れ落ちた。

三笠(残るはスワロフ。征くぞ。)

三笠は残りの艤装も装備し、建物の外に出た。直後、アーマーに弾が当る。六吋クラス。問題は無い。

三笠「左砲雷戦、統一撃ち方、始ぇ!」

左舷砲門の全火力を以てスワロフに答えた。否、最早あれはスワロフに非ず。深海棲艦戦艦ボロジノ級四番艦と言うべきだと思った。

三笠(スワロフは日本海海戦の際にロシア艦の誇りを示し、その悔い無く沈没した。深海棲艦になどなっては居ない。)

両者火力は伯仲。命中精度に勝る三笠にやや有利。両者の射撃戦は熾烈を極めた。

三笠「何をいまさら出てくる。この敗北者。」

スワロフ「・・・シネ」

三笠「貴様はロシア海軍の誇りを示しつつ戦没したのだ。何故成仏しない?貴様ほどの忠勇の艦などあるまい。」

スワロフ「ワタシノ・・ナカマ・・・ミンナイナイ・・・・テキノ・・・・・オマエデモイイ・・・・・・イッショニイテ。」

三笠「断る!仲間諸共成仏すればよかったのに。哀れだ。艦ならば、討ち死には覚悟のうえであろうに。こうなると悲惨の一言に尽きる。再び沈め!そして成仏しろ!」

スワロフ「アアアアァァァァァ!」

砲煙辺りに充満し、砲声は天に知られぬ雷か、砲炎は波に煌めく稲妻か。スワロフすでに炎上し凄惨なる様を示すなり。三笠被弾おおく血塗れなり。

スワロフ「サミシイノ・・ダレカイナイノ・・・?」

三笠「うらぁぁぁ!」

最後の主砲射撃はスワロフをしとめるのには十分だった。スワロフその場に倒れた。三笠はそっと歩み寄った。スワロフは最期の力を振り絞って三笠の足を掴んだ。

それは遠目から見ればまるで三笠がスワロフを吸収しているように見えたかもしれない。しかし、そうではない。三笠とスワロフは同化したのだ。三笠は戦慄した。だが、そのような暇はない。戦闘の後片付けと、艤装の隠蔽を行わねばならない。スワロフについては、後で考えよう。

片付けと隠蔽が終って間もなく部隊が戻ってきた。

金剛「TF戻りまシタ。・・・なんか建物とか凄く荒れてまセン?」

三笠「任務御苦労。休息せよ。建物はなんとかする。ほっとけ。暁、吹雪、船渠行って来い。」

暁・吹雪「はい!」

二人の後姿を見送りながら言う。

三笠「金剛、一寸来い。」

金剛「どうかしたのデスカ?」

三笠「死体の処理だ。」

金剛「そうデスカ。ってはい?」

三笠「て・つ・だ・え・よ?」

金剛「ひぃぃぃ!」

こうして一日の終わりは近づいてくる。

三笠は普段明治三十七八年従軍記章と二等金鵄勲章の略章を付けている。今は第一種軍装。RJ以上のつるぺた。

その日、三笠は夢を見た。遠く物悲しい戦闘艦の夢だ。

闘いで沈むのは苦にならない。戦闘艦なのだから。しかし、味方に見捨てられるようにして沈むのは寂しい者ダ。全て祖国の為にやったノニ。私は悪クナイ。いや、これは私デハナイ。私だがそウデハナイ。私は着底シタコトハアル。しかし、戦闘で沈ンダコトハナイ。これは、私に流れ込んできた奴、スワロフのキオクニチガイナイ。

――廊下にて

暁「トイレって夜に行くの、怖い。」

暁(一人前のレディーなら一人でトイレにいけるもん。怖くないもん。)

一方、三笠の体に異変が起きていた。元々イギリスのバロー=イン=ファーネスで生まれたので、白っぽかった肌の色がさらに抜けて、蝋人形の様に真っ白になり、髪も白く、どこぞのシエル=アランソンのような色になった。そして、澄んだ青い目も赤く染まる。そして一番の変化は、敷島型四隻のうち唯一のつるぺたの胸部に大きな“モノ”が現れたことである。それは深海棲艦と化したスワロフと何ら変わらない姿になった。そのうち、“彼女”は体の感覚を試し終えると、廊下に出て外に向けて歩き出した。

暁(あれって、間違いない。知らせないと。)

暁は吹雪に部屋に駆けだした。

――吹雪の部屋にて

暁「起きて!吹雪!!棲艦が!!!廊下に!!!!」

吹雪「うにゃ・いるわけないじゃない。棲艦が、こんなところに。」

暁「でも、見たもん。」

吹雪「見間違いじゃないの?」

暁「間違いじゃないもん。」


吹雪「見間違いじゃない…行こう。倒しに。」

暁「うん!!!」

――外の広場にて

吹雪「あれだね。行ける?」

暁「と、当然よ!」

そんなことを言って居ると、その棲艦はかき消えたように見えた。二人は棲艦がいた所に駆け寄った。そこにはぐっすり眠りこけた指揮官がいた。

暁「もしかして、指揮官が棲艦?」

吹雪「普段はそんな風には見えなかったのです。」

暁「とにかく運ぼう。」

吹雪「そうだね、風邪ひかれても困るし。」

二人は疑念を抱きつつ指揮官を指揮官私室に運び込む。指揮官私室にはティーセットや本に隠れて石炭や弾薬が置いてあった。疑念を更に深めた二人は明日、朝一番で問い詰めることにした。

起床ラッパ(http://www7a.biglobe.ne.jp/~the_whirlwind48/kaigunkisyou.html)が鳴り響く。朝は忙しい。飛び起きてすぐさま着替える。顔を洗いすぐに歯を磨く。そのうち点呼の喇叭が響き渡る(http://www7a.biglobe.ne.jp/~the_whirlwind48/buntaitenko.html)点呼も何もない小さな部隊だが、欠かすことはない。そのあと海軍体操(http://www.nicovideo.jp/watch/sm14026023)をして、喇叭(http://www7a.biglobe.ne.jp/~the_whirlwind48/syokuji3.html)とともに食餌をとる。その食事中の話だ。

暁「聞きたいことがあるのです。」

三笠「なにかあるのか?構わないぞ。」

暁「指揮官は深海棲艦なのですか?」

三笠「・・・?・・・!?・・・!!・・・(^O^)」

暁「なんなんです?それは。」

三笠「心当たりは・・・ある。でもそれは厳密には私ではない。昨日の話から始めようか。」

暁「どゆこと?」

三笠「その辺も話すから、待て。」

三笠は昨日スワロフが深海棲艦として自分を海に引き込もうとしたこと、様々にして(戦艦という立場を隠しつつ)倒したことを述べ、そのあと向こうが自分に流れ込んできて同化したことを述べた。


三笠「当時のロシアの国歌だ。未練があるんだろう。暴れない限りほっとけ。」

金剛「しかし、難しい問題デスネ。」

三笠「深く考えるな。そのうち何とかなる。」

金剛「本当にそうでショウカ?」

三笠「そうでなければ困る。」


age

三笠は手紙を書くことにした。今度海軍軍令部に行くついでに渡す為に。

『拝啓 東郷平八郎元帥大将提督へ

 お元気でしょうか、私は元気です。提督はもうすでに神社の祭神となってしまい、寂しい限りです。
 
 私は、提督のもとで第二代聯合艦隊旗艦として戦えた事を誇りに思っています。今私は旗艦ではなく、艦隊の指揮官として働いています。

私は提督ほどこのような職務に向いていないのか、艦隊全体の力を発揮させ得ないような気がします。提督ならばどのように致すのでしょう

か。私の艦隊は数は少ないのですが、みな優秀で愉快な仲間達です。しかし、戦闘に於いては齟齬が生じ、歯噛みする思いです。世代間の差と

も言えるものが多い事も私の勉強不足でしょうか。

 敬具 帝國海軍戦艦三笠大将
 
 追伸 愚痴ばかりのようなところ、ご容赦ください。』

書きあげてから、三笠は一息ついた。

三笠「こりゃ愚痴だな。でもあの人なら・・・」

そう言いながら机の上の双眼鏡に目を落とす。東郷元帥とお揃いのものである。高かったが、奮発した甲斐があった代物である。

そして床に置いてある連装主砲塔に目を移す。

三笠「使わないのだが、やはり磨かないと気が済まないな。自動装填機もあるし。このくらい古いとプレミア付きそうだが、ついても困る。」

三笠は毎日、自分の艦載砲熕兵器を磨き、照準器を調整していた。最早癖である。彼女にとって砲熕兵器はidentityなのであった。

age

三笠は今、海軍軍令部の一室にいた。軍令部長と二人だった。

軍令部長「手持ちの資料は読んだかね?」

三笠「読みましたが、納得ができません。」

軍令部長「納得ができない?構わないさ。これは軍令部命令だ。納得できようとできまいと、やってもらおう。」

三笠「軍の士気を上げるのに私が必要だとは思えないのです。海軍公式アイドルグループの『むつ☆ながと』では駄目なのですか?」

軍令部長「三笠君、君は日露戦争の英雄だ。君が適任だと判断した。」

三笠「ですが・・・」

軍令部長「異論は認めない。」

扉が開いて一人の士官が入ってきた。

軍令部勤務海軍中佐「軍将兵士気向上計画のためのメディアを押えました朝日、毎日、読売、産経です。新聞も放送も雑誌もグループごとです。」

軍令部長「というわけだ。任せたぞ。その前には齟齬の無いよう、戦艦であることは明かしておくように。」

三笠「・・・了解いたしました。軍令部長!」

三笠は落ち込んだようになりながら軍令部の建物から出た。哨兵に挨拶をして、東京駅に向かう。交通費は経費で出る。佐世保まで鉄道である。三笠はこの時、これが原因で死闘に巻き込まれるとは思いもよらなかった。

佐世保に着いた時、佐世保の空気はまるで戦闘の後のようないがらっぽい空気だった。いやな予感がしたので、三笠は一目散に鎮守府へ向けて走り出した。一万五千馬力の出力の結果、アスファルトの一部がぶっ飛んだが、それは御愛嬌である。

予想通り鎮守府は凄惨な状況だった。燃料庫は焼け、鉄骨が飴の様に曲がり、弾庫はクレーターしか残っていなかった。船渠及び船台は無事であるものの、収容が間に合っておらず、悲惨の極み。暁がうわ言の様に「畜生、畜生めが、」と呻き続けていた。現状を報告できる艦はなかった。そう言えば日露戦争初期に沈んだ駆逐艦『暁』のことを思い出してしまった。あいつもイギリス製のそして一流の淑女であった。

残存兵1「敵はヲ級フラグ1、戦艦1、重巡リ級1、軽巡ホ級2、駆逐艦イ級8。我が艦隊反撃せしも多勢に無勢。押し切られました。」

三笠「わかった、後はなんとかする。」

三笠は、敷島の所に行く。

敷島「ひどい事になったわ。軍令部は何て?」

三笠「戦艦であることは明かして構わないとさ。」

敷島「で、征くの?」

三笠「勿論だ。一矢報いてきてやるさ。」

敷島「ご武運を」

三笠「私は戦いで沈んだことはない。任せておいてくれ。」

三笠は私室に向かう。

三笠は自分の装備を確認する。連装主砲塔二基四門、単装副砲一四門、一二斤単装砲二〇門、四七粍単装砲二門、四五糎単装魚雷発射管四基。全て正常。三笠はその状態で、部屋に隠してある弾薬、石炭を食えるだけ喰らい、夜を待った。

三笠は紛れもなく数隻の船の蒸気タービンのうなりを聞いた。その音は、三笠をいらだたせるのには充分であった。

三笠「当直は可燃物投棄。非当直は釣床マンドレット作り方。」

その命令に乗り組みの八百六十名に及ぶ妖精(以下、「男」と読む)たちが己の配置で作業を開始した。三笠の艦橋など主要区画に釣床マンドレットが括り付けられ、可燃物は海中投棄された。隔壁は閉鎖。

霧が薄くなってきた。三百米程視界がきくようになった途端、三笠は戦慄した。四時方向距離三百四十米の所に空母ヲ級フラグが居たのだから。

三笠「右舷(みぎげん)砲門、急ぎ撃て、距離三百三十七米、進路平行、敵速二十ノット。」

右舷の六吋副砲、四十七粍単装砲が逐次射撃を開始した。向こうも慌てているのか、甲板上の敵水兵が小銃まで持ち出して盛んに撃ちかけて来た。三笠は火砲で以てそれに答える。魚雷もまさかこの距離で外すはずもない。2,3本が命中する。向こうに将旗が翻っていたが、登舷礼ではなく、実弾での応酬が行われていた。

その時、前檣の見張り台が、七時方向戦艦発見を報告した。

三笠「主砲徹甲弾装填。距離千四百九十三米、主砲及び左舷砲門、並みに撃て。」

三笠は敵艦に挟撃を受けるような配置となった。敵戦艦も砲撃を開始した。十八吋級の砲弾が辺りに落下する。その水柱は三笠のマストを超えるように見えた。三笠も主砲弾が敵艦のアーマーで弾かれる。

三笠「この距離で弾くのか。奴は化け物か。魚雷しかないか?最悪衝角戦か?」

三笠は考えつつも撃たせ続けた。その時、三笠は激しい震動に見舞われ、爆音で聴力を失った。敵の十八吋級砲弾が後部主砲塔に直撃し炸裂、砲塔を粉砕した。衝撃で砲身は海に脱落し、ターレット以外の原型を失ってしまっていた。

 衝撃から覚める前に再び被弾する。前の煙突が半ばより折損し、数門の十二斤単装砲を押しつぶした。

 至近弾の破片は砲郭の妖精を薙ぎ払い、爆風は照準器のレンズに罅を入れた。甲板は血に染まり、医務室に人が入りきらず、折り重なっていた。

 前砲塔弾火薬このその下の階では、至近弾の衝撃で外板のリベットが千切れ、浸水していた。そこには魚雷発射管があった。腰まで水が来たときに装填を終え、肩まで来たときに発射、後は最期のラムネを飲んで沈んでいった。

三笠は火災を起こしつつ戦い続けていた。ヲ級はいつの間にか沈み、戦艦と全力で戦っていた。そして三笠は最後の望みをかけて衝角戦を決行した。前方艦橋の操舵室、司令塔も被弾し、後部艦橋でかじを取っていた。三笠は敵戦艦に体当たりをし、下がり、再び体当たりをした。そして反転、最大船側で戦域を離脱した。沈んだかどうかはあずかり知らない。

回想で無く証言だったぜ

三笠は今、暗闇の中満身創痍で一人、坊ノ岬沖から佐世保に向けて航行していた。前方部水中発射管室が浸水しているため、艦は前傾し、副砲は全門射撃不能、後部砲塔は何も残してはいなかった。主計課も敵六吋級砲弾の直撃で壊滅し、無事なのは機関科ばかりであった。最後の航海士が後部艦橋で舵をとっていた。

甲板は唐紅に染まり、前艦橋は骨組みから歪み、前煙突が半ばから失われていた。夜は戦艦にとっては活動時間外である。『夜活躍するのは駆逐艦と水雷艇ばかりである』が常識だった世代の戦艦は今、夜間無灯火単独航行をしていた。

――――少し前の佐世保鎮守府――――

敷島「大幅改装も終わったわ。此処の復旧をしないといけませんね。」

富士「帰って来た三笠ちゃんが驚くくらい復旧させてしまいましょう、敷島。」

敷島「はい、富士義姉様。」

敷島「あれ?何か私宛てに通知が来ている?」

富士「私もね」

二人はその通知を後回しにして復旧のための作業を始めた。燃料庫と弾庫はバンカーにした。今回の教訓である。やがて金剛も作業の列に加わり、黙々とこなしていった。艤装が無ければただの人とそう変わらないサイズであるが、艤装を装着すればその反動に耐える大きさになるので、細かい作業以外はそうした艤装付の状態でこなした。

伝令兵「鹿屋航空隊から連絡!敵の空母はすでになく、他に攻撃を行う。攻撃前に敵戦艦横転沈没ののち爆発。北緯38度43分、東経128度4分。残敵掃討継続中とのことです。」

敷島「了解。健闘を祈ると返信せよ。」

伝令兵「了解!」

敷島(あの子は戦えたのかしら。もしそうなら帰ってこれるかしら)

三笠は今激しく後悔していた。自分の性能は海上戦では明らかに敵重巡にすら太刀打ちが出来ないほどに旧式化している事を深く思い知らされたからであった。この速力では重巡洋艦を振り切れず、射程も自分が1万2千に対し、向こう2万と来ていた。とにかく向こうが勝手に反転したので無事逃れる事が出来たのである。

三笠「♪海路壱萬五千余里・・・・」

乗組員な妖精たち「♪万苦を忍び東洋に・・・・」

通りがかったやたら速い駆逐艦「おっそーい☆」

三笠(撃てねェ、弾がねぇ)

三笠「♪今度の勝敗決せんと・・・」

乗組員な妖精たち「♪寄せ来し敵こそ健気なれ・・・・」

通りすがりの巡洋艦「まあまあか。」

三笠(何か敗残兵の様な気分だ・・・)

――――鎮守府にて――――
たびたび報告されている正体不明の艦娘の目撃翌例ははほとんどの場合、特徴から三笠の事であると考えられた。速力は6ノットでのろのろとした歩みだあるが、明日には到着が見込まれた。

敷島「良かったと言えるでしょうね、これは」

富士「違いないね。復旧工事もほとんど終わったし。」

??「アタシは軽巡、北上。まーよろしく。というか提督は?」

敷島「指揮官は今不在。明日にはたどり着くはず。」

北上「???」

富士「明日になったらわかるわ。」

その頃のとある鎮守府の大広間で、大井が演説をしていた。

大井「諸君 私は魚雷が好きだ
   諸君 私は魚雷が好きだ
   諸君 私は魚雷が大好きだ

   冷走魚雷が好きだ
   乾式熱走魚雷が好きだ
   湿式熱走魚雷が好きだ
   酸素魚雷が好きだ
   シグヴァルが好きだ
   外装魚雷が好きだ
   航空魚雷が好きだ
   艦載魚雷が好きだ
   核魚雷が好きだ

   駆逐艦で 軽巡洋艦で
   重巡洋艦で 雷装巡洋艦で
   潜水艦で 艦攻で
   陸攻で 港湾で
   水雷艇で 工場で

   この地上で見かける ありとあらゆる魚雷達が大好きだ

   単縦陣を組んだ水雷戦隊の一斉発射が 轟音と共に敵艦を吹き飛ばすのが好きだ
   厄介であった敵艦が 直撃魚雷で真っ二つになった時など心がおどる

   潜水艦乗りの操る伊号潜 の61センチ魚雷 が 敵空母を撃破するのが好きだ
   悲鳴を上げて 燃えさかる空母から転がり落ちた敵兵がスクリューの海流でミンチになった時など胸がすくような気持ちだった

   艦首をそろえた駆逐隊の単横陣が 敵の戦列を蹂躙するのが好きだ
   恐慌状態の新兵が 既に息絶えた戦友を 押しのけて命がけで発射しようとする様など感動すら覚える

   敗北主義の損傷艦を雷撃処分にする様などはもうたまらない
   泣き叫ぶ損傷艦が 私の降り下ろした手の平とともに圧搾空気で押し出された魚雷に 引きちぎられるようにして沈没するのも最高だ

   哀れな敵戦艦 が 雑多な編成でで健気にも立ち上がってきたのを
   五連装発射管の斉発射撃が 艦隊司令部ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

   米軍の水雷戦隊に滅茶苦茶にされるのが好きだ
   必死に守るはずだった島々が蹂躙され 陸軍兵が玉砕してゆく様は とてもとても悲しいものだ

   敵軍の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ
   英米攻撃機に封鎖されて 出撃が出来ず湾内に留められるのは屈辱の極みだ

   諸君 私は水雷戦を 地獄の様な水雷戦を望んでいる
   諸君 私に付き従う水雷戦隊戦友諸君
   君達は一体 何を望んでいる?

   更なる水雷戦を望むか?
   情け容赦のない 糞の様な水雷戦を望むか?
   鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を[ピーーー] 地獄の如き闘争を望むか?

駆逐艦s「水雷戦!水雷戦!!水雷戦!!!」

  よろしい  ならば水雷戦だ

  我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
  だがまともな実践の無かった中で半世紀もの間 堪え続けてきた我々に ただの水雷戦では もはや足りない!!
  大水雷戦を!! 一心不乱の大水雷戦を!!

  我らはわずかに三個戦隊 四八隻に満たぬ小兵力にすぎない
  だが諸君は 一騎当千 の古強者だ と私は確信している
  ならば我らは 諸君と私で総兵力四七〇〇〇隻と1隻の一大戦力となる

  我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう

  髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼開けさせ思い出させよう
  連中に魚雷の味を思い出させてやる 連中に我々の機関の音を思い出させてやる

  天と地のはざまには 奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる

  四八隻の水雷戦隊の集団で
  世界を燃やし尽くしてやる

  「特別水雷戦隊 戦隊指揮官より全艦へ」

  第二次渾作戦作戦 状況を開始せよ

  征くぞ 諸君

三笠は佐世保の軍港に入りつつあった。無茶な衝角戦と至近弾による破損で大きく前傾し、煙突を損傷したために煙で後尾が隠れるほどであった。

北上「あれは?」

敷島「第二代聯合艦隊旗艦にしてここの司令官の敷島型四番艦、戦艦三笠よ。」

富士「ひどく損傷してるなぁ。しかし、何か歌ってる」

♪轟沈 轟沈 凱歌があがりゃ・・・

暁「後ろに何かいるようだけど?」

富士「煙のせいで見えないわね。」

♪積もる苦労も 苦労にゃならぬ・・・

金剛「凄くシュールデスネ。」

三笠はよろめきつつそのまま三ノットでドックに進路をとる。その時、後ろに居る船の姿がはっきりと見えた。それは日本海軍に於いて日露戦争前に就役した駆逐艦であった。

敷島「雷型かしら?それとも東雲型?暁型?白雲型?」

暁「?」

富士「日露戦争中の駆逐艦と今の駆逐艦は名前かぶりがあるのよ。もっとも、初期の駆逐艦だから三七〇tないのよねぇ(ふぅ)」

三笠はドックに入った。そして後続の艦は陸に上がり、挨拶をした。

??「元帝國海軍聯合艦隊第一艦隊に所属しており、明治三七年五月十七日触雷沈没、そしてこの前棲艦状態から救済されました、駆逐艦の暁です。」

敷島「よろしくね。でも、暁は同じ名前がかぶるから、初代を付けさせてもらってもいいかしら?」

初代暁「構いません。」

二代目暁「金髪碧眼で、しかもあの余裕を忘れない態度。やっぱり噂の通り一人前のレディーなんだ・・・」

初代暁「貴女、お名前は?」

二代目暁「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」

初代暁「そんな態度では難しいわね。まあ、同じ名前ですから、仲良くしましょう。」

富士(うわぁ…何か起こりそうだ…怪我人が出なきゃいいけれど…)

敷島「吹雪ちゃん、初代の方を部屋に案内してあげて。」

吹雪「了解!」

二代目暁「なんで第一種冷走になってるのさ、吹雪?」

吹雪「……」

富士「敷島、まさか…」

敷島「うん。」

逃げた敷島を追う富士の姿がそれから4時間ほど目撃されたと云う。

富士「まったく、敷島型は節操がないというか何というか。」

敷島「かわいいのはついつい啼かせてみたくなるじゃない。」

富士「そんなこと言ってさぁ、朝日も三笠も碌な事しやしない。」

敷島「三笠は自覚してないし、手出ししないのだけど、駆逐艦を落としまくるもんねー?」

富士「まずは貴女から精神改造(文字通り洗脳)しようかしら?」

敷島「…オナカイタイ!帰る!」

富士「余程私のアームストロング砲を撃ち込まれたいみたいね?」

敷島「…そんなコト、ないよ!」

富士「貴女は三橋廉か!」

結局敷島は富士が独房にに放り込んだとの事だった。

三笠「新聞は無いか?」

吹雪「ここにあります!」

三笠「寄越してくれるか?」

吹雪「はい、どうぞ。」

三笠「しかし、君には姉が失礼した。敷島型の一員として謝意を示したい。」

吹雪「いえ、それほどのことは、」

三笠「それほどの事だから言っているのだ。お詫びとして何かできる事はないか?」

吹雪「いえ、大丈夫です。」

三笠「そうか、わかった。」

三笠は椅子に深く腰をかけて新聞を広げると、再び立ちあがり、思いっきり叫んだ。

三笠「反乱!?叛乱だと!?」

北上「何があった?」

三笠は新聞の記事を読み上げた。

三笠「南方最前線の基地に於いて艦娘が叛乱、三顧水雷戦隊の司令部要員が惨殺。司令部付水雷戦隊旗艦阿武隈壮烈なる戦死。叛乱首謀者は大井。幹部はほかに四名。詳細は不明。・・・性質が悪いな。」

北上「大井っちが・・やっぱりあれは・・・」

三笠「落ち着け。第二報を待て。明日になったらまた話そう。私は少し休む。」

三笠が私室に入ったのちも北上はそこで立ち尽くしていた。

――――翌日の朝――――
 
三笠は今電話を掛けて居た。

三笠「ええ、ですが…はい、わかりました。三笠、復唱致します。本日〇八〇〇を持って敵根拠地旅順制圧隊の編成を行い、来月三日を以て訓練を終了し、来四日を以て作戦を遂行いたします。」

三笠は電話を終えた。そろそろ総員起こしであろう、空が明るくなってきた。糧食艦が居ない以上三笠が食餌を用意していた。故に今日の朝の食餌は昨日の夕方の余りであった。

海軍体操を終えて、三笠は全員にアナウンスをした。

三笠「〇七三〇に第一種礼装で玄関前に集合!」

全員「りょうかーい!」

三笠は今日、陸奥が佐世保に転属になる事が楽しみで仕方がなかった。

♪Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein

三笠は歌いながら着替えをしていた。

♪Und das heißt, Erika.

真新しい褌に履き替え、やたら糊がきいたワイシャツに着替える。

♪Heiß von hunderttausend kleinen Bienelein

しっかりアイロン掛けをしたズボンをはく。

♪Wird umschwärmt, Erika.

剣帯をして将官飾緒の付いた上衣を着る。

♪Denn ihr Herz ist voller Süßigkeit,

しっかり磨いた靴を履く。

♪Zarter Duft entströmt dem Blütenkleid.


日本海海戦の結果として受領した短剣を下げる。

♪Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein

そうして、ピンと張った紺と黒の軍帽をかぶる。

♪Und das heißt, Erika.

そして白い手袋をする。

♪In der Heimat wohnt ein kleines Mägdelein

そして三笠は鏡の前で変なところがないか確認する。

♪Und das heißt, Erika.

鏡の中には、完璧に第一種礼装を着た銀髪碧眼のつるぺたな三笠が居た。

♪Dieses Mädel ist mein treues Schätzelein

三笠は確認を終えると部屋を出た。

♪Und mein Glück, Erika.

そしてご機嫌な調子で廊下を歩いて行った。

♪Wenn das Heidekraut rotlila blüht,

そして玄関前に出て周囲を確認する。

♪Singe ich zum Gruß ihr dieses Lied.

いつも通り手入れが行き届いている事を確認する。

♪Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein

三笠は今日迎えるひとを思い浮かべて感慨にふけった。

♪Und das heißt, Erika.

予想通り全員が〇七二五に揃った。

三笠「今日は戦艦陸奥を迎える。心せよ。」

全員「おぅ!」

彼女らは完璧に整列して待った。〇七三〇に車がつく。戸が開いて人が出て来るあれは間違いなく陸奥であった。

そして車から陸奥が下りると、それに続いて一人の巡洋艦が降り立った。規則どおりにピッと整った第一種礼装(少佐)に五等金鵄勲章、三等瑞宝勲章、明治三十七八年従軍記章、大正三四年戦役従軍記章、大東亜戦争従軍記章を下げ、陸奥に付添うように歩いていた。

三笠(あの人はまさか、いや、まて、あれは・・・)

敷島(むっちゃん可愛いよ、むっちゃんかわいい)ハァハァ

富士(間違いないあれは!)

陸奥は近づいてくる。隣の艦はその間ずっと随伴していた。

陸奥「本日付けで佐世保に転属になりました長門型二番艦陸奥であります。よろしくお願いします。」挙手の礼

三笠「うむ。よろしく頼むぞ。」答礼

??「元帝國海軍第二艦隊所属、装甲巡洋艦八雲、であります。お久しぶりであります。」挙手の礼

三笠「了解した、まかせたぞ、Mein guter Kamerad!」

八雲「Herr,jahol,herr!」

三笠(やっぱり八雲か。どうなる事やら。)

三笠「ええ、注文通りの数、受け取りました。」

三笠は電話を終えた。

三笠「やっぱりこういう時は内膅(ないとう)銃射撃演習だな。部隊の錬度を上げねば。」

三笠は大量の内膅銃と弾薬箱を用意してそれから勤務用の第三種被服に着替える。そして〇七五五にブリーフィングルームに入る。其処には全艦がそろって居た。

三笠「これより来三日を以て行う作戦を説明する。」

三笠は地図を広げて説明を続ける。

三笠「ここの港、要するに旅順港が棲艦の根拠地と化している。結果、日本国のシーレーンは今や危機に瀕している。ここから通商破壊が行われている。依って我々の任務はここの敵艦隊の粉砕、もしくは封鎖である。」

八雲「現地の海軍は?中共軍は?」

三笠「玉砕、若しくは敵前逃亡。」

敷島「…敵状は?」

三笠「全ド級戦艦3、超ド級戦艦1、巡洋戦艦1、巡洋艦8、駆逐艦12、港湾棲鬼1、要塞棲鬼1。」

日露戦争に参加した全艦『乃木将軍を呼んで来い「(^O^)」』

三笠「要塞と港湾は陸上自衛隊対棲艦部隊が頑張るそうだ。まあ、『深海棲艦特別措置法』のおかげだな。」

敷島「私たちは船の撃沈を行う、ということよね?」

三笠「勿論。ただ、厄介なのは、向こうの動きは活発なうえ、数が多い。」

陸奥「で、その超ド級戦艦は?」

三笠「特徴的な英国面四連装砲塔からHMS Prince of Walesのなれの果てと言えそうだな。」

吹雪「陸上攻撃機は?」

三笠「居ないから、死闘になるわな。」

八雲「編成は?」

三笠「第一戦隊は三笠、陸奥、金剛。第二戦隊は敷島、富士、八雲。第三戦隊は北上、吹雪、暁ペア。以上。」

初代暁「ペアって…」

三笠「一四〇〇から射撃演習を行う。それまで待機。」

総員「了解!」

三笠も姉妹並の改修しないとスクラップ必至だな

>>70

ここから本編

三笠「これより内膅銃を配布する。取説をしっかりと読め。」

内膅銃、それは実弾を使わず精度を上げるための機材である。砲身内にこれを砲尾から差し込み、銃弾を用いて照準の感覚を砲手に叩き込ませるのである。日本海海戦の直前には一年分の弾を数日で使い果たすほど激しい訓練を行った事はよい思い出である。

吹雪「なにか理不尽な気が。」

八雲「久々に内膅銃射撃演習か、腕が鳴る。」

三笠「弾薬も配布する。火気厳禁だ。」

敷島「得点類は?」

三笠「命中精度で以て得点と為す。得点の最も高い艦とその乗員にはそれなりの措置があるので、努力するように。」

富士「標的は?」

三笠「私の内火(うちび)艇で行う。的を上に立てているので、的を撃て。艇を撃つな。」

金剛「しかし、何か忘れてる気がするのデス。」

三笠「前から思ったけど、就役時はやたら硬い日本語話してなかった?」

金剛「!」

ごめん、70じゃなく>>69だわ

三笠「マァ、どうでも宜しい。一〇三〇には兵装点検、備品の確認を行う。〇九〇〇までには暖機を開始しておけ。以上、解散。」

―――― 一四〇〇 全艦演習海域到着 ――――

三笠「よし、揃ったようだな。これより内膅射撃演習をおこなう!」

敷島「懐かしいなぁ、ムネアツな演習が待っている。」

富士「んな経験ないぞ、中将殿?」

敷島「うるせぇ!」

三笠「あの二人はともかく、みな始めるぞ。」

全員「Jahol!」

―――

ここで安価。誰を一位にする?(三笠は判定員なので不参加)

――― 一五三〇 射撃演習終了、結果発表 ―――

三笠「一位は、戦艦富士、79%だ。300mだから、もっとあてられるとは思うが、今日は終了だ。」

富士「賞品は?」

三笠「かき氷だぞ。シロップは買ってきてあるし、製氷なら任せてくれ。機材買ったばかりで楽しみだ。」

敷島「どこからそんな金が・

三笠「経費で落ちたぞ。」

敷島「なんで!?」

三笠「雛人形や、炬燵が経費で落ちるんだぞ、何を今更。」

他の全員「!」

三笠「?」

八雲「軍規粛正が必要ですね。」

富士「C96はやめた方がいいんじゃ?」

三笠「 In Reihe -- Angetreten!(一列に整列!)」

列を整える全艦

三笠「Stillgestanden!(気を付け!)」

三笠「帰投後は、各自点検のために入渠。連絡、以上、Wegtreten!(解散!)」


―――――――――――――――
次回お風呂。お楽しみに。

三笠が富士にかき氷を与えている時、風呂場。

吹雪「八雲さん、凄い…」

八雲「何が?兵装か?」

吹雪「いえ・・あの・・・その・・・・」

目線を追う八雲

八雲「ああ、なんだ胸の事とかか。まあ私は日本海軍初のPanzerkreuzer(装甲巡洋艦)だし、二十糎砲を搭載してるからな。」

吹雪「肌は白くて張りがあるし、髪も金で」

八雲「まぁ癖っ毛だけれどね。」

北上「しかし、どこの生まれだっけ。」

八雲「Stettiner Vulcanwerftというところで、ドイツ生まれと言ってもいいね。」

突然放送が入る。

放送『只今より、魚雷の搬入作業を行う。手あきのものは第三埠頭にて手伝う事。』

北上「行かないと」

八雲「だな。」

八雲の設定忘れてたぜ。

八雲・・・日本初の装甲巡洋艦胸は大き目。規則に厳しい。愛銃はMauser C96、好物はクリームケーキ。階級は少佐。Lvは79.1898年生まれ、1946年解体。

age

北上「この三八式と書いてある魚雷は何であるんだ。」

八雲「三笠、敷島、富士、そして私が装備しているからであろうな。一応二号B型だな。国産初の熱走魚雷だな。」

北上「性能は?」

八雲「口径四五糎、全長五.一九米、重量六六三瓩、機関は星型四気筒、炸薬九五瓩、射程は雷速四十ノットで千米、三二ノットで二千米、23ノットで四千米だ。」

北上「古いなぁ。」

八雲「明治三八年式だし仕方あるまい。どうせ訓練以外じゃめったに撃ちやしない。」

北上「!?」

八雲「めったに当たらないし、砲弾の方が安いモノだから、仕方がない。雷撃処分くらいかな、後は。」

北上「そんなものか。」

八雲「そんなものだ。」

北上「で、この箱は?」

八雲「信管とタグが付いているが?」

北上「・・・(顔真っ赤)」

同じころ三笠

三笠「で、君は何者かね?」

??「私はただの軍使だ。」

富士「ほぉ、君が。」

??「そうだ。私はどこにでもいるし、どこにもいない。」

三笠「シュレティンガーの猫、か。」

??「さぁね。遅い人たちにはわからないでしょうけれど。」

三笠「ふむ。興味深い。」

富士「で、用は?」

??「なぁに、未だ主役がそろっちゃぁいなぁい。そろってからのお楽しみ。」

三笠「宜しいそろえて差し上げよう。」

その時4人が入って来る。

北上「終わったよ~」

敷島「魚雷はやっぱり重いわね。」

二代目暁「でも少なくて良かったわ。」

初代暁「またあせをかいてしまった。」

・・・
・・・・
四人『誰!』

三笠「軍使殿だとさ。」

??「それではこれをご覧ください。」

三笠「スマホをいじった機械か。」

『久しぶりじゃない、北上さん』

北上「大井っち・・・」

『それじゃあまず話をしよう。』

八雲が部屋に着く。そして八雲は無言でC96を抜き、軍使の口に突っ込んで引き金を引く。
 乾いた音とともに軍使の頭が砕ける。

『ほぉ。軍使を撃ち[ピーーー]なんて、ひどいじゃないか。』

八雲「だからどうした。」

『さすがはドイツ生まれだ、躊躇がない。だが、君が撃ったのは何か、また見てみると良い』

皆「死体が消えている・・・」

『そうだ、あれはどこにでも居て、どこにも居ない。』

三笠「いかれてるよ、貴様は。」

『君達が狂気を口にするかね
  姉の死を気にしない旗艦 C96を振り回す巡洋艦が
   私の狂気は君達の第二代聯合艦隊旗艦が保証してくれるというわけだ
    ならば私も問おう
     君達の旗艦の正気はどこの誰が保証してくれるのかね?
      我々はれっきとした反乱軍だぞ?
       いったい何人殺したと思っている?
        狂っている?なにを今さら
         数週間ほど言うのが遅いぞ!
          よろしい!けっこうだ!
           ならば私を止めてみせろ!自称健常者諸君!』

三笠「切りやがった。性質悪い連中だ。」

八雲「あぁ。」

ついでに金剛はそんとき仮眠室で寝てた。

三笠は飯の時間まで時間があるため、講義をすることとなった。

三笠「では講義を行う。本日は砲の威力の向上についてである。」

富士「そこに置いてあるのは何?」

三笠「近頃の戦車の徹甲弾で、APFSDS、装弾筒付翼安定弾と言う代物だ。金属はある程度の圧力を加えると液体のように振舞う。その性質を用いたものだ。」

敷島「隣にあるのが三十糎砲弾よね?徹甲弾?」

三笠「そう、徹甲弾。五百瓩位あるやつ。」

陸奥「古いやつ?」

三笠「私の主砲弾だ。察してくれ。」

三笠「で、戦艦の主砲の威力を向上させたいとき、どうすればよいか。三つある。一つは初速の向上。一つは弾頭重量の増加。一つは大口径化。」

吹雪「初速?」

三笠「そうだ。徹甲弾の貫徹力は『存速の自乗かける事の弾頭質量割る事の二』であるから、初速を上げる事も選択肢の一つだ。」

初代暁「その手段は?」

三笠「装薬の増量、砲身の延長である。」

八雲「例示。」

三笠「アメリカ海軍のオイオワ級戦艦の主砲が良い例であろう。」

八雲「説明。」

三笠「これは、長門型戦艦の砲が四五口径四一糎で、これに対し、オイオワ級戦艦の主砲が五〇口径四〇,六糎である事を見れば良い。」

三笠「その結果初速は見事に向上している、これなら威力の増大も期待できそうだな。だが、そんなに甘くはない。空気抵抗というものは物体が速ければ速いほど大きくなり、二万米も飛んだ後はあまり変わらん。下手すると四五口径の方が速い位だ。」

富士「詳しくお願い。」

三笠「当時の戦艦の想定交戦距離は二~三万米。今一つ破壊力が増え無い訳だ。さらに悪いことに、砲が重い。要するに俯迎が遅くなる。しかも何発か撃ってみると熱が上にたまるから砲身が熱膨張率の違いで垂れ下がり始める。問題なく撃てるが数万米先では精度が大きく落ちる。」

三笠「その上、装薬が多いために砲身へのダメージも大きい。砲身命数も減る。私の頃の交戦距離ならともかく、戦艦の主砲に高初速化ははっきり言って不向きだ。」

敷島「他の手段は?」

三笠「弾頭重量の増加だ。一つは砲弾を長くして同じ口径で重くするやり方。これはアメリカが「超重量砲弾」(スーパーヘビーシェル:SHS)という名前で実用化しておる。九一もその一例である。」

三笠「超重量砲弾は、初速は下がるが砲弾が重いので空気抵抗による減速が小さく、かなりの遠距離での大落角でとても有利になるという。」

二代目暁「で?」

三笠「ただ、この砲弾、短所がすごくてな。まず、当然射程距離が短くなるわ、砲弾の縦横比が長くなるんで、弾道の安定性が悪くなるわ。精度は落ちるし。」

吹雪「後は大口径化ですか。」

三笠「そうだ。戦艦の主砲は大口径化を進めてきた。大口径化のいいところは、縦横比を同じままに砲弾を大きく、重くできることだ。理想的な砲弾の形状を保ったまま、破壊力の絶対量を増せる。」

陸奥「なるほど。」

三笠「榴弾射撃の際の炸薬量も増やせる。私のときも、至近に落ちた榴弾の爆風で戦死したロシア兵は多かったと云われている。」

八雲「デメリット。」

三笠「砲がとても重く、大きくなる、拠って搭載するには見合った大きさの船体が必要だ。砲の反動も大きい、だから船体も重いほうが良い。さもなければ松島閣下(※1)みたいになるぞ。」

全員「あぁ理解。」


三笠「時間も近いし、今日はここまでだな。」

全員「はーい」

※1松島・・・初代聯合艦隊旗艦。詳細は各自で調べて。からかう様にわざと閣下を付けて呼ばれている。

夜間戦闘演習の予定はあっさりと取りやめとなった。理由は簡単。空襲である。

三笠「まさか夜戦を野戦でやるとはね。」

高射砲兵A「ホークJがもうありませんが、どうします?」

三笠「ぺトリオットはどうした?」

高射砲兵A「私の管轄外です。」

三笠「で、あるか。機銃は?」

高射砲兵A「87式高射自走砲も頑張ってますねぇ。」

三笠「三八式歩兵銃まで持ち出してやってるけど、案外余裕があるな。」

高射砲兵A「数もあまりおりませんし、主に偵察のついでと言ったところでしょう。」

三笠「そうか。作戦の変更が要るかどうかは検討しよう。」

高射砲兵B[敵は退却しましたよ。」

三笠「良し、諸君、今日はゆっくり休め。」

その場にいる全兵員「了解!」

次の日三笠たちは教室に居た。

三笠「本日は『戦艦の魚雷』について講義を行う。」

吹雪「戦艦に魚雷なんてあるのですか?」

三笠「無論ある。と、いうかあった。」

吹雪「あったと言うと?」

三笠「殆どの場合撤去されたりしてるということだ。私にも魚雷発射管は搭載されている。」

二代目暁「でもどこに?」

三笠「水線下に両舷二基ずつ計四基だ。敷島型の中では少ない方だ。」

敷島「私は艦首に水上発射管が一基あるの。艦首部分の写真には筒状のふくらみがあるのがお分かりいただけるかしら。」http://www.geocities.jp/bbhusou/siswar/minnadebb02.html

三笠「日本海軍で最初から魚雷を搭載しなかったのは大和型のみだ。」

三笠は金剛型、長門型の図面を広げる。

三笠「金剛型、長門型は竣工時には片舷四基、合計八基の発射管を有している。扶桑型や伊勢型は片舷三基、計六基だ。」

金剛「照準とかは困難なのデース。」

三笠「バルジ追加などを受けるとふさがったり、砲弾に比べ自爆しやすかったり、射程が短かったりで廃止されることが多かった。」

富士「戦艦が発射した魚雷が命中したとされるのはビスマルク追撃戦におけるHMS Rodneyの一発きり。」

三笠「ビスマルクの生存者は否定してるがな。要するにただの重量物にしかならん。日本海海戦では私も四発発射したが戦果はない。」

富士「土佐の沈没試験はその魚雷の誘爆・自爆を想定したものだったし。」

陸奥「結論は、いらないということ?」

三笠「雷撃処分には重宝するぞ。」

八雲「それしかないじゃん。」

初代暁「あてたければ400メートルにまで近づけ、という世代で無くともこうなんですか・・・」

三笠「戦艦の魚雷はそういうものでしかない。結論は要らないということだな。」

陸奥「あらあら結局それ?」

三笠「以上だが、魚雷も誘導化されれば…邪魔か。」

八雲「だな。」

三笠「では今日はここまで。」

age

北上「講義の間中寝てた。」

三笠「講義録やるからへこむな。」

と言いつつ壁に『火気厳禁』の張り紙をする三笠。

北上(弾火薬庫爆発事故のトラウマ?)

三笠(石炭の搭載時は炭塵が舞うからこれがないと。)

三笠と八雲が石炭の供給を受けている時、敷島と富士の怒号飛び交う広間。

敷島「オリョール海?対馬東水道203地点じゃないの!何が通商破壊か!対馬の要塞はなにをしているの?」

富士「オリョール海は秘匿名称だ、あの辺は厄介な海域だと知ってるだろう。敵輸送船もおるし、いちばん近い泊地はここだ。」

敷島「でも三笠が出る必要がないじゃない!」

富士「出せる艦があれしか居ないのがわからんのか!石油はバシーだ台湾だで塞がれて全国で不足し、呉の主力連中に優先配給してる、ここは今度の大出撃に備えて燃料を節約している。石炭船の二人が出て何がおかしい!」

敷島「しかし!」

その時、出港を伝える汽笛が響いた。万感の思いを込めた汽笛であった。そして窓から、八雲が、それに続いて三笠が動き出すのが見えた。威風堂々とした出陣姿であった。

意気揚々と出撃した三笠と八雲佐世保湾を離れて暫くののち

三笠「意気揚々と出たのはいいけれど、私は運が悪いからなぁ。」

八雲「あきらめろ。特に無茶はしないしな。」

三笠「てかさ、石炭焚いてるから煙が凄いせいで発見されやすいと思うんだが、違うか?」

八雲「戦艦なんだから頑張れ。」

三笠檣上見張「重巡2、軽巡2、駆逐艦2視認。進路は我が艦と交差している。二列縦陣。いや、三列か?…やはり二列です。」

三笠「了解!両舷戦速。可燃物投棄。主砲徹甲榴弾装填。」

八雲「両舷戦速。私が先に行くぞ。Panzerkreuzerの意地を見せてごらんにいれる。」

両艦のボイラーマンは一気呵成に石炭をくべる。赤々と燃える石炭。ボイラー水は蒸機へと状態変化をする。そして機関士たちは機関に対する蒸気の過給を増やしてゆく。シリンダー内で蒸気が膨張しピストンを勢いよく押す。クロスヘッドを介した往復運動はクランクシャフトで回転運動に変換され、スクリューを回し艦を進める。今や戦闘準備は整い隔壁は閉鎖、主砲は装填、各砲員は配置に着いた。

次回予告:妖精(おとこ)達の一二吋連装砲塔

三笠の前主砲塔の内部の話

アルペジオ方式なの?

>>102単にイギリス式だからこの呼称が用いられる。

前主砲塔砲塔内に左右砲門の一番砲手の叫びが響く

一番砲手右「徹甲榴弾揚弾・揚薬急げ!」

一番砲手左「徹甲榴弾直ちに揚弾・揚薬!」

明治時代の、否、最初期の自動装填機の悲しさか、下部弾火薬庫から砲弾、装薬を揚げて装填を完了するまで最低で二分かかる。

揚弾をされた砲弾は自動装填機のランマー(*1)の前に来る。昔はここで弾底の仮栓を信管に換えていたが、今は信管の安全性が増した事により、弾火薬庫にあるうちから信管が装着されているので、左右の三番砲手はともに自動装填機のスイッチを入れる。

メキメキメキッ

ランマーが軋みながら四百瓩近くある弾頭を砲尾に押し込む。そして弾頭を定位置に持ってゆくとランマーは戻って来る。

右砲三番砲手「装弾良し。装薬、装填!」

左砲三番砲手「装弾完了。装薬装填開始。」

機材が軋み動く中では自然と兵員の声は叫びの様になって来る。事実彼らは大きな声で作業を行っていた。
装薬もまた同じ手順で砲尾に押し込まれる

右砲三番砲手「装填よし!」

左砲三番砲手「装填完了!」

各砲一番砲手「閉鎖!」

各砲二番砲手「閉鎖機、閉鎖ァ!」

砲尾の大きな尾栓が閉められ、何時でも撃てるようになった。

各砲一番砲手「砲台長、装填完了致しましたァ!」

砲台長「各自そのまま待機!別命あるまで待て。」 

(*1)ランマーとは砲弾を押し込むだけの機械。水圧式。故障したらやけに硬いハンドルを六番砲手が回す羽目になる。

age

age

砲塔次長は自分の照準塔上面のハッチを開けて身を乗り出した。三笠の顔の方を見ると、ずいぶん不安そうな表情をしていた。

砲塔次長(こいつぁひでぇ緊張だ。なんとか出来ねぇもんか?)

砲塔次長「よぅ!三笠のネェちゃんよぉ!あんたがしっかり諸元を与えてくれりゃ俺らがしっかり決めてやんよぉ!なんも恐れるこたァねぇそ!」

三笠の表情は少し柔らかくなったようだった。

未だかけてないから待っててね

世界観の解説を追加させていただきます。

時代…近未来2010年代末期から2020年代

状況…2015年ごろから正体不明の人型艦が現れ人類と戦闘している。2016年敵性人型艦を深海棲艦と呼称。2017年世界初の人類側人型艦「アイオワ」現る。

他の設定…

深海棲艦周辺ではレーダーが曇り、誘導兵器が一部(音響誘導魚雷)を除いて使用不能。この現象を「レーダーの霧」と呼ぶ。

艦娘は艤装をとると人間サイズ。艤装を付けると大きくなる。そうなってから乗組員が乗艦する。また、艤装付の行動では娘モードと通常艦モードが選べる。ただし三笠以外はやりたがらない。娘状態は補正があるらしく三笠が30ノットの駆逐艦を追い抜いたという海上自衛隊の報告がある。(島風は100ノットを突破している)

通常の艦では砲の命中精度はイージス艦でも10パーセント。しかし艦娘は80パーセント。深海棲艦も80パーセント。

艦娘は「海上自衛隊付旧軍軍艦娘司令部」略して「海軍軍令部」の指揮下にある。市ヶ谷に入りきらず、なぜか東郷神社の敷地内にある。

砲塔次長は照準塔に引っ込みハッチを閉めた。照準塔には明治時代には最新であった望遠式照準器があった。これ以前は銃同然のアイアンサイトかそれすら無い事すらあったという。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

砲台長と砲台付士官に伝声管から自針・自速、敵針・敵速、敵原初位置、気温、湿度、気圧、風向、風速の情報が伝えられる。早速彼らは計算を開始する。この計算が敵艦に直撃弾を出すか否かを決めるのだ。士官たちは慎重に素早く計算する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

砲塔長は不審に思っていた。敵艦は何故撃たないのかと。射程は向こうの駆逐艦でも一九〇〇〇メートルこちらは一三〇〇〇メートル、しかし距離は今や一二五〇〇メートルにならんとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

士官たちは計算を終え、砲塔長に命令を下す。

砲台長「右…度。仰角1…度。徐(しず)かに撃て、単発撃ち方右より初め!」

砲塔長は復唱し操作を開始する

砲塔は旋回し、右砲は仰角をとり始める。
グキ!ギシギシ!メキメキメキッ!と軋みながら旋回と腑仰を終えた。

砲台長「ぅてーーーー!」

砲塔長は照準器を覗いて十字が敵艦喫水にあった瞬間引き金を引いた。

砲塔内で砲声が聞こえる事はまずない。乾いた手拭で叩かれたような衝撃と大音量で軋みつつ動く後座・復座装置の音にかき消されてしまう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
命中判定は安価>>116

1・命中

2・至近弾

3・近弾(手前の見当はずれ)

4・遠弾(飛び越して見当はずれ)

を選んでね

しょうがねえな

1

皆さんどうも!今回紹介するオススメのSSはこちらです!!


闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成
闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409244833/)

文句がありましたら上記のスレの>>1へどうぞ!!
皆さんのこと、お待ちしております!!

闇条「待ってるぜ!」

フレンダ「待ってるって訳よ!」

それではまた会いましょう!

その頃三笠後部魚雷発射管室。

下士官A「密航者だ!」

兵A「というか何で魚雷に抱きついて寝ている?」

兵B「いや、ひんやりしてるから寝やすいだろ、あれ。」

指揮官大尉「いいから起こせ。」

下士官A(ラックに掛ってる六百キロの魚雷に抱きつくとか、いったいどうやった?)

北上「むにゃむにゃ…うふふ…魚雷って素敵…すぅすぅ」

射手少尉「起きろ!」ドゴッ(蹴っ

北上「ふぅ…いい夢だったぜぇ…」

射手少尉「」ドガッドゴッ(蹴っ

指揮官大尉「貴様は何者か!官等姓名は?」

北上「スーパー北上様だよ―」

指揮官大尉「」メキッ(殴っ

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